説明

官能基で均質にコーティングされた粉末粒子、及び同粉末粒子の製造方法及び使用

攪拌ミル中において未加工粉末粒子懸濁液を均質化し、次いでそれら懸濁液粒子を少なくとも1種の官能基を含むコーティング剤と反応させることにより、官能基で均質にコーティングされた粉末粒子を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は官能基で均質にコーティングされた粉末粒子、特にガラス粉末、ガラスセラミック粉末、及び/またはセラミック粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した粉末は広範囲の技術分野において広い用途をもち、未加工粉末をコーティング処理することによって得られる。例えば、ガラス形態にある前記粉末は、歯科技術において充填用合成樹脂の調製に用いられる他、化粧品及び医薬製剤においても用いられる。また、前記粉末は、塗料、ラッカー、石膏及び木材保存剤の内部及び外部材料、また接着剤中の増量剤として、硬度を高めるため、あるいは伸張性を減ずるために用いられる。特に粒径の小さい、あるいは極めて小さい微粒子粉末の調製に関しては例えばUSA6,010,085に記載がある。さらに、USA5,340,776には平均粒径d50が0.2〜10μmである極めて細かい不純物無含有(高純度)ガラス粉末の調製に関して記載されており、ここでd50値が0.2μmとは、全粒子の50%の粒径が0.2μmより小さいことを意味している。この方法では、最大粒径が300μm以下であるガラス粉末が、粉砕によって得られるガラス粉末の特性、例えば屈折率に悪影響が及ばない攪拌ボールミルあるいはガラスから成る磨砕素子を備えた磨砕ミル中において粉砕される。この磨砕方法では、磨砕は所望される粒径が得られるまで磨砕液の存在下で行われる。次いで磨砕されたスラリーが凍結され、該磨砕スラリーから磨砕液が凍結乾燥処理によって除去される。
【0003】
前記粉末が歯科技術において用いられるプラスチック材の充填剤として用いられる場合、充填されるプラスチック材が高度に透明及び半透明となるためには、ガラス粉末の屈折率がプラスチック材の屈折率と極めて近接して調和することが重要である。ガラス粉末中に磨砕ミルに由来する屈折率の異なる磨砕片等の不純物粒子が混入していると、半透明度、透明度、さらには充填されたプラスチック材の色が劣悪化するため、そのような粉末を使用することはもはや不可であるか、あるいはそのような粉末の使用は厳しく制限される。
【0004】
かかる理由から、USA6,010,085及びUSA5,340,776に記載されているように、磨砕に晒されるミル容器、磨砕室及び攪拌機等のすべての部分は、粉末を構成する同一材料か、あるいは抽出、蒸留または熱分解によって容易に除去可能なプラスチックを用いてコーティングされる。ガラス粒子がプラスチック材の充填材として使用される場合、プラスチックマトリックス中へ粉末がより良好に混入するように、ガラス粉末粒子表面は通常あるいはしばしば適当なシラン化合物を用いてコーティングされる。このような方法は、例えばPCT/US92/04553に記載されている。このシラン化は、まずシランを適当な溶媒中に溶解してシランを予め加水分解し、次いで例えば遊星歯車式ミキサー等のミキサー、あるいは振動あるいはドラムミル中において前もって完全に磨砕したガラス粉末へ処理することによって達成される。しかしながら、この処理過程において、シランはシラノール凝塊を生成するだけでなく、部分的にコーティングされた粒子上にシラノール基が残存することにより、100〜300μm程度の大きさの集塊を形成する二量体、三量体、あるいはオリゴマーをも生成する。前記ミキサーあるいはミルを使用する限り、このような凝塊あるいは集塊の形成を防止することは不可である。たとえその後に凝塊を磨砕しても使用可能な目的物は得られない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、凝塊を生成することなく、また粉末粒子をコーティング剤で互いに付着させることなく(所謂化学的凝集)、粉末を官能基で均質にコーティングすることを可能とする方法を提供することを目的とする。
【0006】
本発明はさらに、従来技術方法によって得られるコーティング密度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は請求項1項記載の方法を用いることによって達成される。実際、本願発明者によって、本発明方法により、凝塊を生ずることなく均質にコーティングされた高純度粉末が獲られることが見出されている。
【0008】
本発明方法は、好ましくは懸濁剤の存在下の粉末懸濁液に対して適用される。コーティング剤は本質的に懸濁剤としても機能可能である。
【0009】
しかしながら、本発明においては、好ましくは液体懸濁剤が用いられる。この液体懸濁剤としては無機溶媒あるいは有機溶媒を用いることができ、その例として水、あるいは親水性、疎水性、プロトン性または非プロトン性有機溶媒を挙げることができる。有機溶媒の中で好ましいものとしてアルコール類及びケトン類がある。しかしながら、基本的に当業者は使用される粉末及び/またはコーティング剤に対応して懸濁剤を選定するであろう。
【0010】
本発明方法に従って用いられるコーティング剤には未加工粉末との化学結合を形成できる少なくとも1種の官能基が含まれ、及び/またはこのコーティング剤は粉末粒子表面へ吸着によって堅固に付着する。このような官能基は使用される粉末材料に依存して異なる。しかしながら、好ましくはシラノール基が用いられる。好ましいシラノール基としては、アルコキシシラン、特に3−トリアミノピロピルトリメトキシシラン、3−トリアミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、(2−アミノエチル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシラン等のトリアルコキシシランを挙げることができる。
【0011】
前記コーティング剤には、好ましくはコーティング工程後にも適当な反応相手との相互作用あるいは反応が可能な状態で残存する付加的官能基が含まれる。このような官能基としては、例えばアミノ、メルカプト、アクリルまたはメタクリル、ビニル、置換カルボキシ基、二重結合を含んでいてもよい直鎖、枝分れ、環状、複素環状及び/または芳香族アルキル基(特にC1−20アルキル基)及びアルコキシ基(好ましくはC1−20アルコキシ基)、シアノ基、イソシアノ基、シアネート基、イソシアネート基、酸無水物(特に無水琥珀酸等の環状無水物)、エポキシ基、及び特にグリシドオキシ基等のエトキシ基、カーバメート等を挙げることができる。このような反応相手によって、粉末表面には例えばプラスチックマトリックス中への混入が容易となる等の望ましい特性が与えられ、あるいは親水性または疎水性、UV吸収、耐汚染性、より向上された懸濁性等の特性が与えられる。
【0012】
本発明方法は無機粉末または無機粉末粒子の他、有機粉末または有機粉末粒子にも適用可能である。しかしながら、本発明方法は好ましくは無機材料から成る粉末粒子に用いられる。特に好ましい粉末材料はSiO、TiO、ガラス、ガラスセラミック、またはガラスセラミック生成材料等の無機酸化物材料である。前記材料は結晶質であっても非晶質であってもよい。特に好ましい粉末材料は、ガラス、石英、ガラスセラミック及びセラミックである。好ましい溶媒及び/または懸濁剤は、水、あるいは少なくとも水50重量%及び分子中に1〜5個の炭素原子を含む少なくとも1種の水溶性酸素含有有機化合物を含む混合物である。適する有機化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド及びペンタナール等のアルデヒド類、さらにアセトン、メチルエチルケトン及びジエチルケトン等のケトン類、例えば酢酸エチル、酢酸メチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル及び蟻酸プロピル等のエステル類、あるいは酢酸及びプロピオン酸等の酸類を挙げることができる。一価、二価及び三価アルコール類も同様に適している。適する三価アルコールの例としてはグリセロールがあり、適する二価アルコールの例としてはエチレングリコール及びプロパンジオールがある。特に適するアルコールは一価アルコール類であるが、中でも分子中に5個以下の炭素原子を含むものが特に適する。水と有機化合物の混合物も好ましい。特に好ましい有機化合物としては、アセトン、ターシャルブチルアルコール、メタノール、エタノール、n−プロパノール、及びイソプロパノールを挙げることができる。これらアルコールまたはアセトンと水80〜90重量%との混合物を用いることにより、並外れた反応性及び良好な均質性が付与される。
【0013】
コーティング剤は好ましくは未反応状態では添加されない。特にコーティング剤はその添加前に予め加溶媒分解されず、また特にあらかじめ加水分解されない。
【0014】
本発明に従って用いられる懸濁液中における溶媒対粉末粒子の重量比は0.5:1〜5:1の範囲内、とりわけ1:1〜4:1の範囲内である。特に好ましい重量比は2:1〜4:1の範囲内、好ましくは1.8:1〜4:1の範囲内、特に好ましくは1.9:1〜3.5:1の範囲内である。
【0015】
本発明方法においては、好ましくはd50が5μm未満、特に好ましくは2μmである微粒子が用いられる。特に好ましくは平均粒径d50が0.4μm未満、とりわけ2μm未満の粉末が用いられる。本発明方法に用いられる粒子は磨砕ミル中において所望される大きさまで直接磨砕することができ、あるいはそれら粒子を予め所望される大きさまで磨砕してから前記ミル中へ充填することが可能である。適当に細かな出発材料粉末から、磨砕ミルを用いて、50〜400nm、特に180〜220nmの狭い粒径分布をもつ粉末を得ることが可能である。
【0016】
本発明の好ましい実施態様においては、例えば前記引用したDEA4100604またはUSA6,010,085における記載と同様に、コーティングされた磨砕ミルが用いられる。本発明に従った好ましいコーティング材料は重合樹脂であり、好ましい重合樹脂はポリウレタンである。
【0017】
本発明に従って、コーティング剤の使用量は粉末重量に対する重量比で0.5〜15重量%の範囲内である。好ましい使用量は1〜12重量%の範囲内であるが、特に好ましい使用量は2〜10重量%の範囲内である。特定の目的に用いる最適量は所望される粉末の最終粉末度に左右されるが、当業者によれば簡単な試験を行うことによって容易に決定可能である。
【0018】
反応終了時、懸濁液は磨砕ミルから取り出され、さらに乾燥によって懸濁剤及び未反応コーティング剤が除去される。特に加熱によって溶媒あるいは懸濁液を蒸発させることが有効な乾燥方法であることが見出されている。多くの場合において、凍結乾燥は好ましくかつ有利な方法である。
【0019】
本発明においては、未反応のコーティング剤に対して抽出目的に適する溶媒を用いた抽出を行うことが好ましい場合がある。この場合、好ましい溶媒はコーティング剤が特によく除去されるようにコーティング剤を加溶媒分解する溶媒である。トリアルキルシラン類の場合、抽出に適する溶媒は特にアルコール類である。本発明方法によれば、磨砕の結果として反応生成物中に最終的に存在する合成物質から成る不純物である例えば樹脂、特にポリウレタンも、例えばエーテルを用いた抽出によって除去可能である。
【0020】
本願発明者は、本発明方法によって並外れて微細であり、かつ極めて純度の高いコーティング粉末粒子が得られることを見出した。また、本発明に従って得られるコーティングは単層であると想定されるべきである。さらに、本発明方法を用いることにより、未結合シランの量を従来技術方法に比較して劇的に減少させることが可能である。本発明方法によれば、コーティング処理中における凝塊あるいは集塊の形成が防止されるため、極めて均質なコーティングが施された粉末粒子が提供される。
【0021】
本発明はコーティングされた粉末物質そのもの、特に単層に密にコーティングされ、かつ粒径d50が2μm未満、好ましくは1.5μm未満、特に好ましくは1μm未満の粉末物質にも関する。この粉末中に凝塊及び集塊は皆無である。特に好ましい粉末は、その粒径d50が0.7μm未満及び0.4μm未満の粉末である。また、粒径が0.2μm未満であれば特に好ましい粉末である。d50は、篩中を通過させて得られる粒子粉末度を表す平均粒径を意味する。別の言い方をすれば、一定のメッシュサイズをもつ篩を用いた場合に、粒子の50%、特に50重量%がその篩を通過し、他方の50%がその篩を通過しないことを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明方法は以下に述べるように実施される。
【0023】
コーティング対象となる所望のガラス材料を攪拌ミル中において所定のサイズまで湿式磨砕し、次いで磨砕直後あるいは予備加水分解することなく何らかの時間経過時点で、攪拌ミル中において該ガラス材料へコーティング剤を処理する。コーティング剤はまずスラリー状に均質化され、次いで該コーティング剤が前記ガラス粉末スラリー中に均質に分散された後、該コーティング剤は徐々に加水分解される。
【0024】
前記シラン化反応の終了は粘度の著しい増加によって示されるため、粘度がそれ以上変化しないか、あるいは粘度変化が僅かしか起こらなくなったら、シラン化反応は完了したと考えることができる。
【0025】
約1時間後には粘度はかなり増加する。粘度がそれ以上変化しなくなると反応は終了である(約30分後あるいはそれ以上)。スラリーは汲み出され、乾燥される。
【0026】
有機残渣の焼成によって生ずる重量ロスからシラン含量が算定される。
【0027】
強固に結合していないシラン含量は以下に述べる方法によって算定される。すなわち、粉末をイソプロパノール中において洗浄した後、有機残渣の焼成によって生ずる重量ロスから前記した方法に従ってシラン含量を算定する。
【0028】
Micromeritics社によって提供されたBET器具Flow Sorb 2300型を用いてDIN(ドイツ工業規格)66131(1990年)に従ったBET法により比表面積を測定した。用いられたガスはヘリウム及び窒素ら成る混合ガス(混合比70:30)である。
【0029】
目的とする最終粉末度に依存して、予備磨砕ガラスの粒径d50は0.9〜1.2μm、0.6〜0.9μm、あるいは0.2〜0.6の各範囲内に調製される。粒径分布は、Quantachrome社によって提供されるCilas1064Lレーザ粒度計を用いて測定した。この測定は磨砕スラリーに対して実施した。この測定の精度は±1μmである。
【0030】
本発明はさらに、本発明方法によって得られた粒子の充填剤、特に歯科材料における義歯あるいは部分義歯及び歯充填材等として、化粧品及び医薬品製剤において軟膏、ペースト、さらに口紅中の濃化剤及び/または保存材として、コーティング及び被覆分野、特にUV吸収コーティングあるいは紫外線保護用コーティングにおいて例えば外部及び内部両用の塗料、ラッカー、石膏及び木材保存材としての使用、さらに接着剤分野において例えば硬度を増加し、あるいは収縮及び伸張を減少させ、及び沈殿を防止するための使用にも関する。
【0031】
次に、本発明を以下に記載の実施例を用いてより詳細に説明する。
【0032】
実施例1
本発明に従って、粒径d50が0.7μmである超微細ガラス粉末500gを水性スラリー状態で攪拌ミル(PML V+H型、ドイツDRAIS GmbH製)中へ充填した。前記スラリーを十分に均質化した後、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン4重量%を該スラリー中へ3〜5分間をかけてゆっくりと添加した。約1時間後、前記スラリーの粘度は明らかに増加した。さらに30分後、シラン化は終了し、スラリーは汲み出された。前記スラリーを乾燥させることにより、シラン化された凝塊無含有高純度ガラス粉末が得られた。焼成ロス算定されたシラン含量は2.5%であった。また、未結合シラン量は0%であった。シラン化された粉末の比表面積は20m/gであった。このようにして得られた粉末の電子顕微鏡写真を図1(倍尺:10μm)に示した。
【0033】
比較例2
混合装置中において、粒径d50が0.7μmである超微細粉末500gを予め加水分解したシラン(4重量%)と混合した。約2時間湿潤させた後、前記混合物を取り出して乾燥させた。焼成ロスから算定されたシラン含量は1.8%であった。また、未結合シラン量は22%であった。シラン化された粉末の比表面積は7m/gであった。このようにして得られた粉末の電子顕微鏡写真を図2に示した(倍尺:5μm)。
【0034】
実施例3
本発明に従って、粒径d50が1.0μmである調微細粉末500gを水性スラリーの状態で攪拌ミルへ充填した。前記スラリーを十分に均質化した後、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン3重量%を該スラリー中へゆっくりと添加した。約1時間後、前記スラリーの粘度は明らかに増加した。さらに30分後、シラン化は終了し、スラリーは汲み出された。前記スラリーを乾燥させることにより、シラン化された凝塊無含有高純度ガラス粉末が得られた。焼成ロスから算定されたシラン含量は1.9%であった。また、未結合シラン量は0%であった。シラン化された粉末の比表面積は10m/gであった。このようにして得られた粉末の電子顕微鏡写真を図3(倍尺:5μm)に示した。
【0035】
比較例4
混合装置において、粒径d50が1.0μmである超微細粉末500gを予め加水分解したシラン3重量%と混合した。約2時間湿潤させた後、前記混合物を取り出して乾燥させた。焼成ロスから算定されたシラン含量は1.5%であった。また、未結合シラン量は22%であった。シラン化された粉末の比表面積は3.2m/gであった。このようにして得られた粉末の電子顕微鏡写真を図4に示した(倍尺:5μm)。
【0036】
実施例5
本発明に従って、攪拌ミル中において、粒径d50が0.4μmである調微細粉末500gを水と混合してスラリーを調製し、次いでこのスラリーをコーティング装置へ充填した。前記スラリーを十分に均質化した後、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン9重量%を該スラリー中へゆっくりと添加した。約1時間後、前記スラリーの粘度は明らかに増加した。さらに30分後、シラン化は終了し、スラリーは汲み出された。前記スラリーを乾燥させることにより、シラン化された凝塊無含有高純度ガラス粉末が得られた。焼成ロスから算定されたシラン含量は5%であった。また、未結合シラン量は0%であった。シラン化された粉末の比表面積は40m/gであった。このようにして得られた粉末の電子顕微鏡写真を図5(倍尺:10μm)に示した。
【0037】
比較例6
混合装置において、粒径d50が0.4μmである超微細粉末500gを予め加水分解したシラン(9重量%)と混合した。約2時間湿潤させた後、前記混合物を取り出して乾燥させた。
焼成ロスから算定されたシラン含量は5%であった。また、未結合シラン量は24.5%であった。シラン化された粉末の比表面積は10m/gであった。このようにして得られた粉末の電子顕微鏡写真を図6に示した(倍尺:20μm)。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1に従って得られた粉末の電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明の比較例2に従って得られた粉末の電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の実施例3に従って得られた粉末の電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の比較例4に従って得られた粉末の電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の実施例5に従って得られた粉末の電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の比較例6に従って得られた粉末の電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加工粉末粒子懸濁液を少なくとも1種の官能基を含むコーティング剤と反応させることによって、官能基で均質にコーティングされた粉末粒子を製造する方法であって、前記懸濁液は撹拌ミル中で均質化され、そこで粒子はコーティング剤と反応させられることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記粒子がガラス、石英、ガラスセラミック、及び/またはセラミックから成ることを特徴とする請求項1項記載の方法。
【請求項3】
前記反応がコーティングされた攪拌ミル中において実施されることを特徴とする請求項1項記載の方法。
【請求項4】
シランがコーティング剤として用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記懸濁液が水性懸濁剤によって得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
粒径d50が2μm未満である粉末粒子が製造されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
5〜40m/gの比表面積をもつ粒子が製造されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記懸濁液中における懸濁剤と固体粒子との重量比が1:1〜5:1の範囲内であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記反応が、粉末とコーティング剤の重量比が1:0.005〜1:0.2となる範囲内で実施されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の方法によって得られる均質にコーティングされた粉末。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかにおいて得られた粉末の歯科材料、化粧品、医薬品、粉末コーティング、塗料、コーティング、ゴム混合物及び接着剤における充填剤としての使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2007−536416(P2007−536416A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511854(P2007−511854)
【出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000851
【国際公開番号】WO2005/108320
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】