説明

官能性多層構造を有する粒子

本発明は、1種または複数のポリマーの1個または複数の層と、1種または複数のシランの1個または複数の層とで基材がコーティングされていることを特徴とする、基材をベースとした官能性多層構造を有する粒子、それらの製造方法、ならびにそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種または複数のポリマーの1個または複数の層と、1種または複数のシランの1個または複数の層とで基材がコーティングされていることを特徴とする、基材をベースとした官能性多層構造を有する粒子、それらの製造方法、ならびにそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一連の技術的システムおよび材料において、粒子材料の使用が増大しており、それらはシステムにおいて幅広い様々な役割を担っている。すなわち、例えば、それらは腐食防止のため、バリヤーとして、機械的補強のため、それだけでなく、着色のためにも用いられる。ここで、粒子材料は、例えば塗料、コーティングおよびプラスチックなどの多くの様々な適用媒体中で用いられ、極めて個別の条件が粒子材料に要求される。何よりも、材料は、これらを取り巻く適用媒体との相溶性が非常に良いと同時に、場合によっては長期間にわたって、十分に安定していなければならない。すなわち、例えば、フレーク状基材をベースとするフレーク状効果顔料が着色のために広く使用されているが、これは組成において非常に異なる適用媒体のシリーズ全てにおいてである。ここでの根本的な問題は、フレーク状効果顔料が他の顔料の上に重なって堆積形態をなし、その強力な凝着力のために再び分離するのが非常に困難であるような凝集体を形成しやすいことである。フレーク状効果顔料を適用媒体中に混和させる間、薄いフレークの脆弱さのために高いせん断力を働かせることができなければ、これはなおさら深刻となる。ここにおける粒子材料と適用媒体との相溶性は、フレーク状材料の場合だけでなく、あらゆる粒子材料の場合に問題を生じやすい。
【0003】
これらの問題を回避するため、粒子材料の適用特性を改良することを目的として、これらを後処理に供することが何度も提案されている。後処理には、シランまたはポリマーを用いた粒子材料のコーティングが含まれることが多い。すなわち、WO99/51690には、改良された分散特性を有する顔料が記載されているが、ここでは顔料、例えばグラファイトが、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルなどを用いてコーティングされており、これらの表面変性顔料は、インク、トナー、およびプラスチック中で使用される。
【0004】
欧州特許第0703192号には、架橋樹脂でコーティングされた0.6から17μmのサイズを有するSiO2粒子が記載されているが、これらは引き続いてフリーラジカル重合によってそれにビニルモノマーを重合させてポリマーを得るために、ビニル含有シランを用いてコーティングされている。このような方法でコーティングされた粒子は、LCD画面の液晶層の厚みを制御する手段として働く。すなわちコーティングは、粒子のスペーサー機能を確実にするという唯一の目的のためだけに働くものであり、換言すれば、いかなる場合にもこれらの粒子の液晶媒体中での分散が望まれているものではない。したがって、これらの粒子は、塗料、コーティング、またはプラスチック中における十分な分散性を有していないため、これらの媒体中での使用には適さない。
【0005】
例えば、被コーティング粒子の存在下におけるモノマー化合物の沈殿重合または官能化表面へのモノマーの重合、いわゆるgrafting−from法(欧州特許第0703192号参照)、などの粒子の表面変性のためのものとして記載されている方法は、例えばシランコーティングなどの予備変性表面へコーティング材料が不十分に結合するために、表面の複雑な官能化が必要なため、または、例えば保護ガス環境下での重合のような反応の実施中における特定の要件のために、失敗することが多い。さらに、層配列は自由に選択できないことが多く、換言すれば、層配列を要求に合致させることができず、むしろそのプロセスパラメータに合致させなければならない。ここにおける重要なステップは、シラン変性ではなく、むしろポリマーを用いた表面コーティングであることが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、粒子材料を様々に異なる媒体中において分散させることができ、また、これらの用途もしくは適用特性を適用媒体に個別に合致させることができるような方法で、粒子材料を変性することである。加えて、変性粒子は適用媒体中で安定であり、特に顔料の場合には、本来の色特性や光沢に影響をすることなく均一な発色を与えるものとする。さらに、特にフレーク状材料の場合には、高い機械的または熱的ストレスを伴う用途においても粒子材料を問題なく使用するために、これらをより安定化することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従う多層構造を有する粒子は、このような複雑な要件のプロファイルを満たしており、すなわちまた、機械的または熱的要求が高く適用の難しい分野における粒子材料の適用範囲を広げることが見出された。
【0008】
したがって本発明は、1種または複数のポリマーの1個または複数の層と、1種または複数のシランの1個または複数の層とでコーティングされている基材をベースとした多層構造を有する粒子に関する。本発明はさらに、これらの顔料の調製のための方法と、表面コーティング、水性コーティング(water−borne coating)、粉体コーティング、塗料、印刷用インク、安全要素、プラスチック、コンクリート、化粧品配合物、農業用シート、およびテントオーニング(天幕)における、ならびに、顔料組成物および乾燥調製物の調製のための使用に関する。
【0009】
本発明の多層構造を有する粒子は、その適用特性を、適用媒体に個別に合致させることができるという利点を有する。1種または複数のシランの層がバリヤー機能を発揮する一方で、1個または複数のポリマー層は凝集に対するのみならず機械的影響に対しても粒子を安定化させる。選択するポリマーに応じて、ポリマーを構成するようなマトリックス、例えばバインダマトリックスと、粒子との相溶性は格段に向上する。ここで、多層構造が安定であることが示され、換言すれば、シランおよびポリマーの塗布層の脱着は起こらなかった。ここで、従来技術の場合におけるようなシランのポリマーへの化学結合が必要ないこと、換言すれば、構造および反応性に応じてシランとポリマーとを互いに合致させる必要がないことは有利である。これにより、粒子の要求特性に関する多様性が増大し、用いるシランの特性と用いるポリマーのそれとの理想的な組合せが可能となる。ポリマー層がグラフト重合によって形成される代わりに、本発明におけるように、好ましくはポリマーの重合によって形成されれば、複雑な保護ガス環境も省くことができる。さらに、このプロセスによって粒子がさらされる異物(foreign substance)も、より少なくなる。得られる生成物は、すなわち、製造においてより純粋な形態で直接的に形成されるため、ここでは、妨害モノマーの含有や複雑な精製を避けることが可能となる。
【0010】
本発明による多層構造を有する粒子は基材をベースとするが、基材は基本的にはどのような形状を有していてもよく、フレーク状であることが好ましい。フレーク状粒子は特に、用途における混和の間、機械的せん断力にさらされる。シランとポリマーを含む本発明による層構造は、これらの粒子をさらに安定化させ、機械的要求の高い分野での使用を可能にする。
【0011】
適当な基材は、SiO2粒子、TiO2粒子、効果顔料、ホログラフィック顔料、真珠光沢顔料、干渉性顔料、多層顔料、または金属効果顔料および/または、BiOCl顔料であり、基材は、効果顔料、真珠光沢顔料、干渉性顔料、多層顔料、または金属効果顔料であることが好ましい。
【0012】
本発明において用いることができる効果顔料、真珠光沢顔料、干渉性顔料、金属効果顔料、または多層顔料は、フレーク状の担体をベースとするものが特に好ましい。適当な担体は、例えばフレーク状TiO2、合成または天然の雲母、ガラスフレーク、金属フレーク、フレーク状SiO2、Al23またはフレーク状酸化鉄である。金属フレークは、とりわけ、アルミニウム、チタニウム、ブロンズ、スチールまたは銀からなることができ、アルミニウムおよび/またはチタニウムが好ましい。金属フレークは、適当な処理によって不動態化しておいてもよい。好ましい実施形態においては、担体は、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物、またはこれらの材料の混合物を含む、透明、半透明、および/または不透明な、1個または複数の層でコーティングされる。金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物もしくは金属酸窒化物の層、またはこれらの混合物は、低屈折率(屈折率<1.8)または高屈折率(屈折率≧1.8)を有することができる。適当な金属酸化物および金属酸化物水和物は、当業者に知られている全ての金属酸化物および金属酸化物水和物で、例えば、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化鉄、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化チタン、特に二酸化チタン、酸化チタン水和物、および例えばイルメナイトまたはシュードブルカイトのようなこれらの混合物がある。用いることができる金属亜酸化物には、例えば、亜酸化チタンがある。適当な金属には、例えばクロム、アルミニウム、ニッケル、銀、金、チタン、銅、または合金類であり、適当な金属フッ化物は、例えばフッ化マグネシウムがある。用いることができる金属窒化物または金属酸窒化物には、例えば金属チタン、ジルコニウム、および/またはタンタルの窒化物または酸窒化物がある。
【0013】
金属酸化物、金属、金属フッ化物、および/または金属酸化物水和物層の適用が好ましく、また、担体上の金属酸化物および/または金属酸化物水和物層が特に好ましい。さらにまた、高屈折率および低屈折率の金属酸化物、金属酸化物水和物、金属または金属フッ化物の層を含む多層構造が存在していてもよく、高屈折率層と低屈折率層とが交互になっていることが好ましい。高屈折率層と低屈折率層とを含む層のパッケージが特に好ましいが、これは、1個または複数のこれらの層のパッケージが担体上に適用される場合に可能である。ここで、高屈折率および低屈折率の層の配列を担体に合致させて、多層構造の中に担体を含めることができる。さらなる実施形態においては、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物または属酸窒化物の層には、着色剤またはその他の元素を混合またはドープすることができる。適当な着色剤またはその他の元素には、例えばマグネタイトまたは酸化クロムなどの有色金属酸化物のような有機または無機の有色顔料、例えばベルリンブルー、ウルトラマリン、バナジウム酸ビスマス、テナール青のような有色顔料、または、例えばインジゴ、アゾ顔料、フタロシアニンもしくはカーミン赤などの有機有色顔料、または、例えばイットリウムまたはアンチモンなどの元素がある。これらの層に含まれる効果顔料は、これらのマス色調に応じて幅広い色を示し、多くの場合、干渉のために角度に依存する色の変化(カラーフロップ:colour flop)を示す。
【0014】
好ましい実施形態においては、担体上の外層は高屈折率の金属酸化物である。外層はさらに、上述の層パッケージの上にあるか、または高屈折率担体の層パッケージの一部であってもよく、例えばTiO2、亜酸化チタン、Fe23、SnO2、ZnO、ZrO2、Ce23、CoO、Co34、V25、Cr23、および/または、これらの混合物、例えばイルメナイトまたはシュードブルカイトのようなものからなっていることができる。TiO2が特に好ましい。
【0015】
上述の材料および顔料構造の実施例および実施形態はまた、例えば、リサーチディスクロージャ(Research Disclosures)のRD471001、およびRD472005中に示されており、これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属フッ化物、金属窒化物または金属酸窒化物の層、またはこれらの混合物の厚みは、通常、3から300nmであり、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属フッ化物、金属窒化物または金属酸窒化物層、またはこれらの混合物の場合には、20から200nmであることが好ましい。金属層の厚みは、4から50nmであることが好ましい。
【0017】
担体、ひいては効果顔料のサイズは、本来、それほど重要ではない。フレーク状担体、および/または、透明、半透明および/または不透明な、1個または複数の層でコーティングされたフレーク状担体は、一般的には0.05から5μmの間、特に0.1から4.5μmの間の厚みを有している。長さまたは幅の寸法は、通常、1から250μmの間であり、2から200μmの間、特に2から100μmの間であることが好ましい。
【0018】
1種または複数のポリマーの1個または複数の層、および1種または複数のシランの1個または複数の層は、上に記載した基材に塗布される。シランおよびポリマーの1個または複数の層は、シランとポリマーとの交互層の形態であること、換言すれば、シランとポリマーの層が交互になっていることが好ましい。最初に1種または複数のシランの層が基材上に塗布された場合には、続いて1種または複数のポリマーの層が塗布されることが好ましく、逆の場合も同様である。この交互構造は、次々に多数存在していることができ、奇数個または偶数個の層、例えば二層、三層、四層、五層または六層、またはこれらの倍数で存在していることができる。ここにおいて、配列は所望の要件に合致させることができる。基材が1種または複数のポリマーの層でコーティングされている上に、1種または複数のシランの層が塗布されているか、基材が1種または複数のシランの層でコーティングされている上に、1種または複数のポリマーの層が塗布されているような構造が好ましい。全体としては、正確に、1種または複数のシランの1個の層と、1種または複数のポリマーの1個の層とが、基材に塗布されていることが、好ましい。
【0019】
1種または複数のポリマーは、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリビニルカプロラクタム、セルロース、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリシロキサン、前記ポリマーの誘導体またはそれらの混合物からなる群から選択することができる。ポリマーは、LCSTおよび/またはUCSTポリマー、または加溶媒分解性基(solvolysable group)含有ポリマーであることが好ましい。LCSTポリマーまたはUCSTポリマーとは、それぞれ、低温または高温において溶媒に可溶であり、温度をそれぞれ向上させるか、低下させて、いわゆるLCSTまたはUCST(臨界溶解温度の下限または上限)にそれぞれ達したときに、分離層として溶液から分離するようなポリマーである。このタイプのポリマーは、例えば、文献「Polymere」、H.G.Elias、Huethig und Wepf−Verlag、Zug、1996年、183頁以降に記載されている。加溶媒分解性基含有ポリマーの場合には、加溶媒分解の間に加溶媒分解性基が開裂して、基材上にポリマーが沈殿する。
【0020】
本発明に適するLCSTポリマーには、例えばWO01/60926およびWO03/014229に記載されているようなものがある。特に適するLCSTポリマーは、ポリアルキレンオキシド誘導体、好ましくは、ポリエチレンオキシド(PEO)誘導体、ポリプロピレンオキシド(PPO)誘導体、オレフィン変性PPO−PEOブロックコポリマー、アクリレート変性PEO−PPO−PEO三ブロックコポリマー、および、ポリメチルビニルエーテル、ポリ−N−ビニルカプロラクタム、エチル−(ヒドロキシエチル)セルロース、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、およびポリシロキサンからなるクラスからの、ポリマーまたはこれらの誘導体である。特に好ましいLCSTポリマーは、オレフィン性またはシラノール性基によって変性した、ポリエーテルまたはシロキサンポリマーである。
【0021】
適したUCSTポリマーは、特に、ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、およびポリエチレンオキシドコポリマーである。
【0022】
基材または、例えば表面コーティングマトリックスのような適用媒体との間に、強力な相互作用を受けたり、および/または、化学結合を形成したりすることができるような、加溶媒分解性基または官能基を含有するLCSTまたはUCSTポリマーの使用が好ましい。当業者に知られている全ての官能基が適しているが、特に、シラノール、アミノ、ヒドロキシル、オレフィン、ヒドロキシル、エポキシド、酸無水和物、および酸性基が適している。
【0023】
LCSTおよびUCSTポリマーは、300から500,000g/mol、特に500から20,000g/molの範囲の分子量を有していることが好ましい。
【0024】
1個または複数のポリマー層はまた、粒子の化学的および/または機械的安定性を増大または減少させるか、あるいは、粒子にUVフィルター特性や着色作用を与えるような添加剤をさらに含んでいてもよい。適当な添加剤には、例えば、あらゆるタイプのナノ粒子、可塑剤、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、UVフィルター、染料、ミクロチタニウムまたはこれらの混合物がある。添加剤は、好ましくはポリマー溶液と同じ溶媒を用いて、ポリマーの溶液と分散液の形態に混合されていることが好ましい。例えばナノ粒子、可塑剤または染料のような異物の包含によって、粒子の特性をユーザーの個々の要求に合致させることが可能となったり、あるいは、1種のタイプの粒子に、例えば着色およびUVフィルターのような複数の機能を互いに組み合わることが可能となったりする。
【0025】
本発明による粒子のさらなる必須構成要素は、1種または複数のシランの1個または複数の層である。
適当なシランは、一般式
4-n-mZ−Rn(−B−Y)m
を有するオルガノシラン
(式中、X=OH、ハロゲン、アルコキシまたはアリールオキシ
Z=Si
R=アルキル、フェニルまたは水素
B=少なくとも二官能性の有機基(アルキレンまたはアルキレンオキシアルキレン)
Y=アルキル、アミノ、置換アミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、シロキサン、アセトキシ、イソシアネート、ビニル、アクリロイル、エポキシド、エポキシプロピルオキシ、イミダゾール、またはウレイド基
nおよびm=0、1、2または3、但し、n+m≦3)である。
【0026】
オルガノシランは、例えば基材表面に結合可能なアンカー基(X4-n-mZ)、少なくとも1個の疎水基(RまたはB)、および1個または複数のアルキルまたは官能基(Y)からなる。アンカー基は、加水分解反応条件によって対応するヒドロキシル基に変換できるような、アルコキシシランからなることが好ましい。ヒドロキシル基は、最初にシラン層が、続いてポリマー層が、基材に塗布されるような本発明による実施形態の場合においては、例えば基材の焼成金属酸化物表面に結合して、酸素ブリッジを介してアンカーとして作用することができる。
【0027】
オルガノシランは、適当な官能基を選択することを通じて要件に合致させることができる。加えて、コーティング配列に応じて、官能基の、適用媒体中の対応する官能基との反応を通じて、粒子と媒体との間にオルガノシランを介して付加結合を生成することができる。ある特定の実施形態においては、使用する媒体に合致するように、本発明による粒子の表面を有機官能基の組合せによって変性する。同様に、この目的のためには、異なるオルガノシランの混合物を使用することが適当である。粒子表面の疎水性は、例えばアルキルシランのようなアルキル含有カップリング試薬の一体化によって、同じく適合させることができる。オルガノシランの他に、これらの加水分解物、ならびに、これらの均質および不均質なオリゴマーおよび/またはポリマーの使用もまた好ましく、これらは単独で、または上述のシランと組み合わせて、用いることができる。異なるオルガノシランの混合物、特に互いに異なる官能基Yを含有するものが特に好ましく、これらを使用すると特定の適用自由応が確保される。
【0028】
オルガノシランの例としては、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、i−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、およびオクタデシルトリメトキシシランがあげられるが、ビニルトリメトキシシランが好ましい。アルコールを含まない適当なオルガノシラン加水分解物オリゴマーとしては、とりわけSiventoから「Dynasylan(登録商標)」の商品名で市販されている製品、例えばDynasylan HS 2926、Dynasylan HS 2909、Dynasylan HS 2907、Dynasylan HS 2781、Dynasylan HS 2776およびDynasylan HS 2627のようなものがある。加えて、ビニルシランオリゴマーおよびアミノシラン加水分解物も、有機コーティングとして適している。官能化オルガノシランには、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタアクリロキシトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ガンマ−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ウレイドプロピルトリエトキシシランがあるが、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタアクリロキシトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、およびガンマ−イソシアナートプロピルトリメトキシシランが好ましい。ポリマーシランシステムの例は、WO98/13426に記載されており、例えばSiventoから「Hydrosil(登録商標)」の商品名で市販されている。
【0029】
本発明はさらに、1種または複数のポリマーの1個または複数の層と、1種または複数のシランの1個または複数の層とによって基材がコーティングされている、本発明による粒子の製造方法に関する。
【0030】
1種または複数のポリマーの1個または複数の層によるコーティングは、水および/または有機溶媒中での析出によって、重縮合反応によって、重付加反応によって、および/またはフリーラジカル重合によって、実施することが好ましい。ポリマーの析出、換言すれば、ポリマー沈殿方法の使用が特に好ましい。ここで言及できる粒子の表面変性のために好ましいポリマー沈殿方法としては、下方臨界溶解温度、上方臨界溶解温度、および加溶媒分解技術がある。これらの方法は、第一に、プロセス工学的にみて単純であり、第二に、表面の性質および官能基の影響を受けにくい、という利点を有する。これらの方法は、あらかじめ調製済みのポリマーから始めるため、適用が簡単なことで際立っている。それによってはじめて、シランとポリマーの複数の交互層を有する多層構造が実際的となるが、沈降重合とgrafting−from法による新しい各層を複雑に配列しようとすると、より困難となる。最後に言及した方法で形成される、消費されなかったモノマーの量も、これらが化学的に活性であることに加えて、ポリマーマトリックスの硬度や弾性のような物理パラメータに悪影響を与えうるため、極めて望ましくない不純度を表すが、減少させることができる。
【0031】
本発明による方法の好ましい実施形態においては、基材と、LCSTおよび/またはUCSTポリマーまたは加溶媒分解基を含有するポリマーまたはポリマー混合物とを、場合によっては溶剤の存在下において、混合する。LCSTポリマーはLCSTよりも低い温度で溶解させ、一方、UCSTポリマーはUCSTよりも高い温度で溶解させる。通常、LCST温度は0.5から90℃、好ましくは35から80℃であり、一方、UCST温度は5から90℃、特に35から60℃である。次いで、各種の添加剤を添加する。引き続いて、温度を、通常は約5℃だけ、LCSTよりも高くまで上昇させるか、UCSTよりも低くまで低下させるが、この間にポリマーが析出して粒子表面上に堆積する。最終的に、粒子表面上でポリマーを架橋させる形で不動化を実施するが、この間にポリマーが粒子表面に不可逆的に固定化される。不動化は、フリーラジカルによって、カチオン的に、アニオン的に、または縮合反応によって、実施される。LCSTまたはUCSTポリマーは、フリーラジカルによって、または縮合反応によって、架橋されることが好ましい。
【0032】
水中における堆積層のフリーラジカル架橋(不動化)には、コーティングに使用するオレフィン性LCSTまたはUCSTポリマーをベースとして1から100重量%の濃度範囲のペルオキソ二硫酸カリウムまたはペルオキソ二硫酸アンモニウムを使用することが好ましい。架橋は、ポリマーのLCSTまたはUCST温度に応じて、例えばFe(II)塩のような触媒を用いて0から35℃で、またはフリーラジカル開始剤の直接熱分解によって40から100℃で、実施する。
【0033】
ポリマー層の厚みは、通常、2から500nmの範囲であり、5から300nm、特に5から200nmであることが好ましい。
【0034】
本発明による方法において溶媒が必要な場合には、使用するポリマーの溶解度に応じて溶媒を選択する。溶媒は、水または水混和性有機溶媒であることが好ましい。水混和性溶媒にはまた、水と間に混和性ギャップを有するような溶媒も含まれる。これらの場合には、混合割合は、混和性が生じるように選択する。適当な溶媒の例としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、グリコール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコールのような一価および多価のアルコール、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールとポリアルキレングリコールのモノおよびジエーテル、加えて、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−プロパンジオールプロピルエーテル、1,2−ブタン1−メチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテルがある。例えば酢酸メチル、エチレングリコールまたはプロピレングリコールの酢酸とのモノエステル、ブチロラクトンのようなエステル、ならびに、例えばアセトンまたはメチルエチルケトンのようなケトン、あるいは、例えばホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチル−ピロリドンおよびヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド、あるいは、例えばジエチルスルホキシドおよびスルホランのようなスルホキシドおよびスルホン、ならびに、蟻酸または酢酸のようなアルカンカルボン酸もまた適している。好ましい溶媒は、水およびアルコールまたはグリコールである。
【0035】
1種または複数のシランは、60℃を超える温度、好ましくは70℃を超える温度での溶液中における析出によって塗布することが好ましい。このタイプの方法は、当業者には既に知られており、例えば、参照によりその開示内容が本明細書に組み込まれる、WO98/13426、欧州特許第0416395号、欧州特許第0679700号、欧州特許第0634459号、または欧州特許第0268918号に記載されている。適当な溶媒は、有機溶媒、水、またはこれらの混合物であり、水の使用が好ましい。有機コーティングの塗布に必要な反応時間は、少なくとも5分間であり、10から90分間行われることが好ましいが、所望に応じて延長することもできる。得られる粒子は、例えば、濾過、乾燥および篩分けのような当業者が通常行う方法によって、仕上げられて単離される。
【0036】
本発明はさらにまた、表面コーティング、水性コーティング、粉末コーティング、塗料、印刷用インク、トナー、安全要素、プラスチック、コンクリート、化粧品配合物、農業用シート、およびテントオーニングにおける、ならびに、顔料組成物および乾燥調製物の調製のための、本発明による粒子の使用にも関する。
【0037】
化粧品に用いる場合には、本発明による粒子は、例えばマニキュア、色粉、口紅、またはアイシャドー、石鹸、歯磨き粉などのような装飾用化粧品の製品および配合物に特に適している。本発明による粒子はまた、あらゆるタイプの化粧用原材料および助剤と組み合わせて配合物とすることも勿論できる。これらには、とりわけ、油、脂肪、ワックス、フィルム形成剤、保存料および例えばシックナーのような塗布特性を一般的に決定するような助剤、および、例えばベントナイト、ヘクトライト、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ゼラチン、高分子量炭化水素のような助剤、および/または表面活性助剤などのレオロジカル添加剤が含まれる。本発明による粒子を含む配合物は、脂溶性、親水性、または疎水性タイプに属することができる。水相と非水相とが分離している不均質な配合物においては、本発明による粒子は、それぞれの場合により、二相のうちのいずれか一相のみに存在していても、また両方の相に分散していてもよい。
【0038】
水性配合物のpH価は1から14の間であることができるが、2と11の間であることが好ましく、5と8との間であることが特に好ましい。配合物における本発明による粒子の濃度には、いかなる制約もない。用途に応じて、0.001(例えば、シャワージェルなどのリンス−オフ製品)と100%(例えば、基材として効果顔料を用いた特定用途のための艶出し物品)の間であることができる。本発明による粒子は、さらにまた化粧用活性成分と組み合わせてもよい。
【0039】
適当な活性成分としては、例えば、防虫剤、紫外線A/BC保護フィルター(例えば、OMC、B3およびMBC)、アンチエイジング活性成分、ビタミンおよびそれらの誘導体(例えば、ビタミンA、C、E、など)、セルフタンニング剤(例えば、とりわけ、DHA、エリスロロース)、ならびに、例えば、ビサボロール、LPO、エクトイン、エンブリカ、アラントイン、ビオフラボノイドおよびこれらの誘導体のような、さらなる化粧用活性成分がある。
【0040】
塗料および表面コーティング中での粒子の使用においては、当業者に知られているあらゆる応用分野のものが可能であり、例えば、粉末コーティング、自動車塗料、グラビア、オフセット、スクリーンまたはフレキソ印刷用印刷インク、および、アウトドア用途における表面コーティングのようなものがある。印刷用インクの製造には、特に水溶性グレードの様々なバインダが適しており、例えば、アクリレート、メタアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ニトロセルロース、エチルセルロース、ポリアミド、ポリビニルブチレート、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、デンプンまたはポリビニルアルコールをベースとするものがある。塗料は、水ベースまたは溶媒ベースの塗料であることができ、塗料成分の選択は、当業者の一般的知識の一部である。
【0041】
加えて、本発明による粒子は、例えば、農業用シート、赤外線反射フィルムや羽目板、贈答用ホイル、プラスチック容器、および当業者に知られているあらゆる用途の成型品のような、フィルムおよびプラスチック中にも用いることができる。本発明による粒子を混和するために適当なプラスチックは、例えば熱硬化性または熱可塑性のような、あらゆる一般的なプラスチックである。可能な用途および用いることができるプラスチックに関する記載、加工方法および添加剤は、例えば、RD472005、またはR.Glausch、M.Kieser、R.Maisch,G.Pfaff、J.Weitzel、Perlglanzpigmente[Pearlescent Pigments],Curt R.Vincentz Verlag、1996年、83以降中に挙げられており、これらの開示内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0042】
例えば、本発明による液体コーティングシステムにおいて使用されるフレーク状効果顔料の粒子の場合には、第一にこれらの顔料を防水層として機能するシラン層でコーティングし、次いでポリマー層で粒子の安定化、マトリックス、好ましくはバインダマトリックスと共に機械的安定化および相互作用の役割を担うようにコーティングすることが、有利であることが示されている。本発明による粒子の評価のために重要な判断基準は、これらをコーティング材料中に混和したときの特性の変化である。ここで検査のために使用する判断基準は、物体表面上に映されるイメージの輪郭線のシャープさを示す、DOI(イメージの明瞭さ)である。特に効果顔料の場合、高水準の反映性と光沢とを実現するために、可能な限り高い水準のDOIが望ましい。本発明によりコーティングされた粒子、例えば効果顔料では、表面コーティングシステム中に導入した場合には、高い初期DOI値と、例えば濃縮試験の間の、水への暴露における僅かなDOI低下とを有する。外側のポリマー層によって、表面コーティング媒体中での綿状沈殿および乾燥プロセス中の凝集は非常に顕著なまでに抑制され、濡れは非常に改善される。総じて、これらの粒子は、かなり広い範囲のポリマーマトリックスシステムにおける、より普遍的な適用性を示す。
【0043】
比較的高い機械的ストレスにさらされるようなシステムにおける使用では、対応するポリマー層の厚みは、シラン層のものに合致させる必要がある。例えば、粉末コーティングシステムにおいては、例えばいわゆるリーフィング効果(バインダマトリックス中への混和に際しての顔料の表面浮遊)を得るために、表面コーティングマトリックスとのある種の非相溶性が所望されることも多い。ここでは、層の配列を逆にすることが有利であることがある。対応する層配列はまた、より耐熱性があり、したがって、熱的要求度の高いプラスチックにおけるこれらの粒子の応用をも容易にすることがしばしば示されている。厚いポリマー層はまた、例えば粉末コーティング塗布中の分離を減少させるため、本発明による粒子は、粉末コーティング、液体コーティングシステム、プラスチックおよび大きな機械的エネルギーが投入されるようなシステムにおいて好ましく用いられるが、ここにおいて、層配列および組成、ならびに個々の層の厚みは、特有の要件に合致させることができる。
【0044】
上述の応用分野においては、多層構造を有する本発明の粒子は、例えば透明および不透明の白色、有色および黒色顔料のような、有機染料および/または顔料との、あるいは、フレーク状酸化鉄、有機顔料、ホログラフィック顔料、LCPs(液晶ポリマー)、および、雲母、ガラス、Al23、Fe23、SiO2などをベースとした金属酸化物コーティングフレークをベースとする、従来の透明、有色、および黒色光沢顔料との、混合物としての使用のいずれにも適している。本発明による粒子は、市販の顔料およびフィラーと、あらゆる比率で混合することができる。
【0045】
言及することができるフィラーには、例えば、天然または合成の雲母、ナイロン粉末、純粋または充填剤入りのメラニン樹脂、タルク、ガラス、カオリン、アルミニウムの酸化物または水酸化物、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、BiOCl、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭素、およびこれらの物質の物理的または化学的組合せがある。フィラーの粒子形状については、いかなる制約もない。要件にあわせて、例えば、フレーク状、球状、または針状であることができる。
【0046】
本発明による粒子は、さらにまた、1種または複数の本発明による粒子と、バインダと、必要に応じて1種または複数の添加剤とを含む、流動性を有する顔料組成物および乾燥調製物の調製にも適している。乾燥調製物の語は、0から8重量%、好ましくは2から8重量%、特に3から6重量%の水および/または溶媒または混合溶媒を含む調製物という意味である。乾燥調製物は、ペレット、粒、チップ、ソーセージ、またはブリケットの形状であることが好ましく、0.2〜80mmの粒子サイズを有することが好ましい。乾燥調製物は、特に、印刷用インクの製造および、化粧品配合物において用いられる。
【0047】
幅広い応用範囲のために本発明はさらに、本発明による多層構造を有する粒子を含む、表面コーティング、水性コーティング、粉末コーティング、塗料、印刷用インク、トナー、安全要素、プラスチック、コンクリート、化粧品配合物、農業用シート、防水シート、顔料組成物、および乾燥調製物に関する。
【0048】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明することを意図したものであり、これを限定するものではない。
実施例
【0049】
実施例1
100gのIriodin(登録商標)225を、600mlの蒸留水中で攪拌しながら75℃まで加熱した。アミノプロピルトリメトキシシラン1gと、次いでビニルトリメトキシシラン1gとを、ゆっくりと滴下して加えた。75℃で30分間攪拌した後、顔料を濾過して洗浄した。顔料を再度300mlの水中にとり、20℃で1.5%のオレフィン官能化ポリプロピレンオキシドを滴下して加え、混合物を66℃まで加熱して、ペルオキソ二硫酸カリウム1gを添加し、この温度でさらに60分間攪拌してフリーラジカルにより混合物を架橋させた。コーティング後の顔料は、濾過し水で洗浄して、130℃の送風オーブンで乾燥させた。従来の表面コーティングシステムおよび水性コーティングシステム中に混和したところ、顔料は、総じて、高いDOI初期値と、小さなDOI低下とを有していた。この顔料は、表面コーティングシステムとはほとんど関係なく記載した利点を発現させるため、非常に幅広い種類の表面コーティングシステムに普遍的に用いることができるということが重要である。この顔料はさらに、シランコーティングした効果顔料と比較して、せん断応力に対して増加した機械的安定性を有していた。
【0050】
実施例2
100gのIriodin(登録商標)103を、アミノ官能化ポリプロピレンオキシド(LCST温度40℃)3gを含有する300mlの蒸留水中、室温で攪拌した。混合物を45℃まで加温し、この温度で15分間攪拌した。さらに75℃に加温した後、さらに300mlの蒸留水を加えた。アミノプロピルトリメトキシシラン0.5gをゆっくりと添加した後、ビニルトリメトキシシラン1.5gも同様に滴下してゆっくりと加えた。75℃で45分間攪拌した後、コーティング後の効果顔料を濾過し洗浄して、130℃の送風オーブン中で乾燥させた。比較的厚いポリマー層のために、この顔料はより大きな機械的エネルギーが投入されるようなシステム、換言すれば、粉末コーティング用途にも適しており、その疎水表面のために、多くの粉末コーティングシステムにおいて、優れたリーフィング特性と、塗布に際しての低い分離特性とを示した。これは、最外層の熱的に安定なシランコーティングのおかげで、高い熱的ストレスがかかるようなプラスチックでも良好に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または複数のポリマーの1個または複数の層と、1種または複数のシランの1個または複数の層とで基材がコーティングされていることを特徴とする、基材をベースとした多層構造を有する粒子。
【請求項2】
層が、ポリマーの層とシランの層との交互層であることを特徴とする請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
1種または複数のポリマーの層と、それに塗布された1種または複数のシランの層とで基材がコーティングされていることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子。
【請求項4】
1種または複数のシランの層と、それに塗布された1種または複数のポリマーの層とで基材がコーティングされていることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子。
【請求項5】
基材がフレーク状であることを特徴とする請求項1から4の一項に記載の粒子。
【請求項6】
基材が、SiO2粒子、TiO2粒子、効果顔料、ホログラフィック顔料、真珠光沢顔料、干渉性顔料、多層顔料、金属効果顔料、および/またはBiOCl顔料からなる群から選択されることを特徴とする請求項1から5の一項に記載の粒子。
【請求項7】
効果顔料、ホログラフィック顔料、真珠光沢顔料、干渉性顔料、多層顔料、および/または金属効果顔料が、天然または合成の雲母、Al23フレーク、TiO2フレーク、SiO2フレーク、Fe23フレーク、ガラスフレーク、セラミックフレーク、金属フレーク、またはグラファイトフレークをベースとすることを特徴とする請求項6に記載の粒子。
【請求項8】
1個または複数のポリマーが、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリビニルカプロラクタム、セルロース、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリシロキサン、前記ポリマーの誘導体またはそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項7の一項に記載の粒子。
【請求項9】
ポリマーが、LCSTおよび/またはUCSTポリマー、または加溶媒分解性基含有ポリマーであることを特徴とする請求項1から8の一項に記載の粒子。
【請求項10】
1個または複数のポリマー層が、添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項9の一項に記載の粒子。
【請求項11】
1種または複数のシランが、一般式
4-n-mZ−Rn(−B−Y)m
を有するオルガノシラン
(式中、X=OH、ハロゲン、アルコキシまたはアリールオキシ
Z=Si
R=アルキル、フェニルまたは水素
B=少なくとも二官能性の有機基(アルキレン、アルキレンオキシアルキレン)
Y=アルキル、アミノ、置換アミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、シロキサン、アセトキシ、イソシアネート、ビニル、アクリロイル、エポキシド、エポキシプロピルオキシ、イミダゾール、またはウレイド基
nおよびm=0、1、2または3、但し、n+m≦3)
からなる群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項10の一項に記載の粒子。
【請求項12】
基材が1種または複数のポリマーの1個または複数の層と、1種または複数のシランの1個または複数の層とでコーティングされることを特徴とする、請求項1に記載の多層構造を有する粒子の製造方法。
【請求項13】
1種または複数のポリマーを用いたコーティングが、水および/または有機溶媒中での析出、重縮合反応、重付加反応および/またはフリーラジカル重合によって行われることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ポリマーが、LCSTおよび/またはUCSTポリマー、または可溶媒分解性基含有ポリマーであることを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
シランが、水および/または有機溶媒中での析出によって塗布されることを特徴とする請求項12から14の一項に記載の方法。
【請求項16】
表面コーティング、水性コーティング、粉末コーティング、塗料、印刷用インク、トナー、安全要素、プラスチック、コンクリート、化粧品配合物、農業用シート、およびテントオーニングにおける、ならびに、顔料組成物および乾燥調製物の調製のための、請求項1に記載の多層構造を有する粒子の使用。
【請求項17】
請求項1に記載の多層構造を有する粒子を含む、表面コーティング、水性コーティング、粉末コーティング、塗料、印刷用インク、トナー、安全要素、プラスチック、コンクリート、化粧品配合物、農業用シート、防水シート、顔料組成物、および乾燥調製物。

【公表番号】特表2007−525572(P2007−525572A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551747(P2006−551747)
【出願日】平成17年1月15日(2005.1.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000370
【国際公開番号】WO2005/075578
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】