定着装置
【課題】 ヒートローラの熱容量を低減することができ、これにより起動後のヒートローラの温度の立ち上がりを早めることができる定着装置を提供する。
【解決手段】 ヒートローラ2を誘導加熱するためのコイル21,22,23が、ヒートローラ2の外側に設けられている。これらコイル21,22,23のうち、ヒートローラの軸方向端部と対応するコイル22,23が、ヒートローラ2の軸方向と直行する方向に拡がっている。
【解決手段】 ヒートローラ2を誘導加熱するためのコイル21,22,23が、ヒートローラ2の外側に設けられている。これらコイル21,22,23のうち、ヒートローラの軸方向端部と対応するコイル22,23が、ヒートローラ2の軸方向と直行する方向に拡がっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙上の現像剤像を定着させる定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、原稿から画像を読取り、その読取った画像に対応する現像剤像を用紙に形成し、その現像剤像を定着装置により用紙上に定着させる。
【0003】
上記定着装置は、ヒートローラおよびプレスローラを有し、このヒートローラとプレスローラとの間に上記用紙を挟んで搬送することにより、用紙上の現像剤像をその用紙上に定着させる。上記ヒートローラの内側には、例えばハロゲンランプヒータが収容されている。このハロゲンランプヒータの発熱によってヒートローラが温度上昇し、そのヒートローラの熱により用紙上の現像剤が溶融する。
【0004】
誘導加熱型の定着装置は、ヒートローラの内側に誘導加熱用のコイルを収容し、そのコイルに高周波電流を供給することにより、コイルから高周波磁界を発生させる。この高周波磁界によって上記ヒートローラに渦電流が生じ、その渦電流に基づくジュール熱によって上記ヒートローラが自己発熱する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハロゲンランプヒータあるいは誘導加熱用のコイルを収容したヒートローラは、熱容量が大きい。ヒートローラの熱容量が大きいと、起動後、ヒートローラの温度が定着に必要な温度に達するまでに、長い時間がかかってしまう。
【0006】
この発明は、上記の事情を考慮したもので、ヒートローラの熱容量を低減することができ、これにより起動後のヒートローラの温度の立ち上がりを早めることができる定着装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明の定着装置は、ヒートローラと、このヒートローラの外側に設けられ、そのヒートローラを誘導加熱するための高周波磁界を発するコイルと、を備える。そして、上記コイルは上記ヒートローラの軸方向に沿って配置された複数のコイルからなり、これらコイルのうち上記ヒートローラの軸方向端部と対応する部位が上記ヒートローラの軸方向と直行する方向に拡がっている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、ヒートローラの熱容量を低減することができ、これにより起動後のヒートローラの温度の立ち上がりを早めることができる定着装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[1]以下、この発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
この発明に係る画像形成装置は、原稿の画像を光学的に読取るスキャンユニット(後述のスキャンユニット33)、このスキャンユニットで読取られた画像に対応する現像剤像を画像形成用の用紙に形成するプロセスユニット(後述のプロセスユニット45)、および上記用紙に形成された現像剤像を加熱によりその用紙に定着させる定着装置(後述の定着装置1)などを備えている。この画像形成装置の具体的な構成は、先に米国に特許出願しているAppl.No.09/955,089に記載されている。よって、その構成の説明は省略する。
【0010】
上記定着装置の構成を図1、図2、図3に示している。
定着装置1は、ヒートローラ2を有している。このヒートローラ2とプレスローラ8とが、画像形成用の用紙Pの搬送路を上下に挟む状態に設けられている。プレスローラ8は、図示していない加圧機構により、ヒートローラ2の表面(外周面)に加圧状態で接している。このヒートローラ2とプレスローラ8との接触部は、一定のニップ幅を持つ。
【0011】
ヒートローラ2は、芯金3の上に、厚さが例えば5mmの断熱部材(断熱層)4、厚さが例えば40μmの金属部材(金属層)5、厚さが例えば0.3mmの弾性部材(弾性層)6、厚さが例えば20μmの表面部材(剥離層ともいう)7を順に積層して構成されたもので、図示右方向に回転駆動される。断熱部材4は、厚さが0.5mm以上であれば、十分な断熱性能を発揮する。
【0012】
プレスローラ3は、ヒートローラ2の回転を受けて図示左方向に回転する。用紙Pがヒートローラ2とプレスローラ8との間に挟まれて搬送され、かつヒートローラ2の熱が用紙Pに伝わることにより、用紙P上の現像剤像が溶融し、その溶融した現像剤が用紙P上に定着する。
【0013】
ヒートローラ2の周囲に、用紙Pをヒートローラ2から剥離するための爪9、ヒートローラ2上に残る現像剤および紙屑等を除去するためのクリーニング部材10、ヒートローラ2の表面にオイルを塗布するためのオイル塗布ローラ11、誘導加熱用のコイル21,22,23、ヒートローラ2の表面(表面部材7)の温度を検知する温度検知器12,13、およびヒートローラ2の表面温度が異常上昇した場合に開放するサーモスタット14が設けられている。
【0014】
上記コイル21は、ヒートローラ2の軸方向中央部と対応する位置に設けられている。上記コイル22は、ヒートローラ2の軸方向一端部と対応する位置に設けられている。上記コイル23は、ヒートローラ2の軸方向他端部と対応する位置に設けられている。これらコイル21,22,23は、それぞれコア24,25,26に装着されており、誘導加熱用の高周波磁界を発する。この高周波磁界がヒートローラ2に与えられることにより、ヒートローラ2の金属部材5に渦電流が生じ、その渦電流によるジュール熱で金属部材5が自己発熱する。
【0015】
上記コイル21,22,23は、銅線がヒートローラ2の軸方向に沿って往復を繰り返す状態に巻かれることにより、構成されている。上記銅線は、耐熱性のエナメルで被覆されている。
【0016】
コイル22は、ヒートローラ2の軸方向端縁よりも、距離Aだけ、外側に食み出ている。コイル23は、ヒートローラ2の軸方向端縁よりも、距離Aだけ、外側に食み出ている。
【0017】
上記温度検知器12は、ヒートローラ2の軸方向中央部と対応する位置に設けられている。上記温度検知器13は、ヒートローラ2の軸方向他端部と対応する位置に設けられている。また、温度検知器12の近傍に、上記サーモスタット14が設けられている。
【0018】
これら温度検知器12,13およびサーモスタット14は、ヒートローラ2の表面に接する接触式でも、ヒートローラ2から離れる非接触式でも、そのいずれでもよい。
【0019】
ヒートローラ2とコイル21,22,23との間に、板状の絶縁部材27が設けられている。絶縁部材27の材質は、耐熱性樹脂たとえば耐熱フェノール、ポリイミド、液晶ポリマー等である。
【0020】
上記画像形成装置の制御回路を図4に示している。
【0021】
メインコントローラ30に、コントロールパネルコントローラ31、スキャンコントローラ32、およびプリントコントローラ40が接続されている。
【0022】
メインコントローラ30は、コントロールパネルコントローラ31、スキャンコントローラ32、およびプリントコントローラ40を統括的に制御する。スキャンコントローラ32は、原稿の画像を光学的に読取るスキャンユニット33を制御する。
【0023】
プリントコントローラ40に、制御プログラム記憶用のROM41、データ記憶用のRAM42、プリントエンジン43、用紙搬送ユニット44、プロセスユニット45、定着装置1が接続されている。プリントエンジン43は、上記スキャンユニット33で読取られた画像を上記プロセスユニット45の感光体ドラムに形成するためのレーザ光を発する。用紙搬送ユニット44は、用紙Pの搬送機構およびその駆動回路などにより構成されている。プロセスユニット45は、上記スキャンユニット53で読取られた画像に対応する静電潜像を上記プリントエンジン43から発せられるレーザ光によって感光体ドラムの表面に形成し、その感光体ドラム上の静電潜像を現像剤で現像し、その現像剤像を用紙Pに転写する。
【0024】
定着装置1の電気回路を図5に示している。
商用交流電源50に、上記サーモスタット14および入力検出部51を介して、整流回路60,70が接続されている。整流回路60,70の出力端に、高周波発生回路(スイッチング回路あるいはハーフブリッジ型インバータともいう)61,71が接続されている。
【0025】
高周波発生回路61は、上記コイル21と共に共振回路を形成する共振用コンデンサ62、その共振回路を励起するスイッチング素子たとえばトランジスタ63、およびそのトランジスタ63に並列接続されたダンパダイオード64により構成され、トランジスタ63が駆動回路52によってオン,オフ駆動されることにより、高周波電流を生成する。
【0026】
高周波発生回路71は、上記コイル22,23と共に共振回路を形成する共振用コンデンサ72、その共振回路を励起するスイッチング素子たとえばトランジスタ73、およびそのトランジスタ73に並列接続されたダンパダイオード74により構成され、トランジスタ73が上記駆動回路52によってオン,オフ駆動されることにより、高周波電流を生成する。
【0027】
この高周波発生回路61,71で生成される高周波電流がコイル21,22,23に供給されることにより、コイル21,22,23から高周波磁界が発生する。この高周波磁界によってヒートローラ2の金属部材5に渦電流が生じ、その渦電流に基づくジュール熱によって金属部材5が自己発熱する。
【0028】
コイル21,22,23から発せられる高周波磁界のエネルギをヒートローラ2の金属部材5に効率良く吸収させるためには、金属部材5の厚さを大きくするか、あるいは、コイル21,22,23から発せられる高周波磁界の周波数を高くすればよい。そこで、コイル21,22,23から発せられる高周波磁界の周波数が、20kHz以上たとえば1MHz〜4MHzに設定されている。
【0029】
上記入力検出部51は、商用交流電源50の電圧および電流を検知し、この検知結果に基づいて定着装置1への入力電力を検出する。この入力検出部51の検出結果がCPU53に供給される。このCPU53に、上記温度検知器12,13、上記プリントコントローラ40、および上記駆動回路52が接続されている。
【0030】
CPU53は、制御部54,55を有している。制御部54は、温度検知器12の検知温度が予め定められている設定値となるように、高周波発生回路61の出力(駆動回路52の駆動)を制御する。制御部55は、温度検知器13の検知温度が予め定められている設定値となるように、高周波発生回路71の出力(駆動回路52の駆動)を制御する。
【0031】
以上のように、断熱部材4の上に金属部材5が積層されたヒートローラ2を採用するとともに、ヒートローラ2の外側に誘導加熱用のコイル21,22,23を設けることにより、ヒートローラ2の熱容量を大幅に低減することができる。ヒートローラ2の熱容量を大幅に低減できることにより、起動後のヒートローラ2の温度の立ち上がりが早くなる。
【0032】
コイル21,22,23がヒートローラ2の外側に設けられているので、ヒートローラ2の中心部材として芯金3を設けることが可能となっている。芯金3を設けていることにより、ヒートローラ2の強度が増大する。
【0033】
なお、芯金3は、ヒートローラ2の十分な強度が維持できれば、無くてもよい。この場合、ヒートローラ2がいわゆる空芯構造となる。ヒートローラ2の十分な強度が維持できれば、芯金3に代えて、プラスチック等の樹脂部材を採用することも可能である。
【0034】
ところで、ヒートローラ2の熱容量は、ヒートローラ2の軸方向の位置に応じて異なる。すなわち、ヒートローラ2の軸方向両端部の熱容量は、ヒートローラ2の軸方向中央部の熱容量よりも大きい。このため、ヒートローラ2の軸方向両端部の温度の立ち上がりは、ヒートローラ2の軸方向中央部の温度の立ち上がりよりも遅くなる。
【0035】
この熱容量の違いに対処するため、コイル22がヒートローラ2の軸方向端縁よりも距離Aだけ外側に食み出るとともに、コイル23がヒートローラ2の軸方向端縁よりも距離Aだけ外側に食み出ている。この構成により、コイル22,23から発せられる高周波磁界を効率良くヒートローラ2の軸方向両端部に与えることができる。よって、ヒートローラ2の軸方向両端部に対する加熱量が増大して、ヒートローラ2の軸方向の温度分布が均一になる。
【0036】
用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向両端部のどちらか一方に片寄る場合には、距離Aの食み出し構成をコイル22,23のいずれか一方のみに採用してもよい。すなわち、用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向一端部に片寄る場合には、少なくともコイル22が、ヒートローラ2の軸方向一端部の端縁よりも外側に食み出される。用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向他端部に片寄る場合には、少なくともコイル23が、ヒートローラ2の軸方向他端部の端縁よりも外側に食み出される。
【0037】
また、絶縁部材27がヒートローラ2とコイル21,22,23との間に設けられているので、コイル21,22,23がヒートローラ2の表面に接することがない。よって、ヒートローラ2の表面に傷が付かない。ヒートローラ2の金属部材5とコイル21,22,23との間で漏電が生じることもない。
【0038】
温度検知器12,13が、ヒートローラ2の回転方向においてコイル21,22,23の位置よりも下流側に設けられているので、誘導加熱されたヒートローラ2の温度を的確に検知することができる。
【0039】
サーモスタット14が、ヒートローラ2の回転方向においてコイル21,22,23の位置よりも下流側に設けられているので、誘導加熱されたヒートローラ2の異常温度上昇を的確に検知することができる。この場合、サーモスタット14が開放し、商用交流電源50から定着装置1への通電が遮断される。
【0040】
なお、ヒートローラ2に代えて、弾性ベルトの上面に金属部材が積層されたヒートベルトを使用することが考えられる。このヒートベルトは、ヒートローラ2と同じく熱容量が小さく、2つのローラに掛け渡されて回転する。ただし、ヒートベルトは、回転方向と直交する方向に位置がずれてしまう。このため、ヒートベルトを採用する場合、回転方向と直交する方向のヒートベルトの位置を調整する必要がある。また、ヒートベルトは2つのローラに掛け渡されているため、ヒートベルトの張力を調整する必要がある。
【0041】
ヒートローラ2を採用することにより、そのような位置調整および張力調整が不要である。
【0042】
[2]この発明の第2の実施形態を説明する。
図6に示すように、ヒートローラ2は、芯金3の上に、厚さが例えば5mmの断熱部材4、厚さが例えば40μmの金属部材5、厚さが例えば20μmの表面部材7を順に積層して構成されている。すなわち、第1の実施形態における弾性部材6が除去されている。他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0043】
[3]この発明の第3の実施形態を説明する。
図7に示すように、コイル21,22,23およびコア24,25,26が、絶縁部材で形成されたケース28に収容されている。ケース28は、少なくともヒートローラ2に対向する面が、耐熱性樹脂たとえば耐熱フェノール、ポリイミド、液晶ポリマー等で形成されている。
【0044】
このケース28の採用に伴い、第1の実施形態における絶縁部材27が除去されている。
【0045】
このように、コイル21,22,23およびコア24,25,26をケース28に収容してユニット化することにより、コイル21,22,23およびコア24,25,26の交換作業が容易となる。他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0046】
[4]この発明の第4の実施形態を説明する。
図8に示すように、上記ケース28の近傍に、冷却用のファン29が設けられている。このファン29の冷却風が、ケース28の開口を通してコイル21,22,23へ供給される。ファン29の送風は、ケース28内に供給されるだけで、ヒートローラ2へは供給されない。
【0047】
他の構成、作用、効果は、第3の実施形態と同じである。
【0048】
[5]この発明の第5の実施形態を説明する。
図9に示すように、コイル21,22,23およびコア24,25,26が、絶縁部材90で覆われている。絶縁部材90は、耐熱性樹脂たとえば耐熱フェノール、ポリイミド、液晶ポリマー等で形成されている。
【0049】
この絶縁部材90の採用に伴い、第1の実施形態における絶縁部材27が除去されている。他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0050】
[6]この発明の第6の実施形態を説明する。
上記したように、ヒートローラ2の軸方向両端部の熱容量は、ヒートローラ2の軸方向中央部の熱容量よりも大きい。この熱容量の違いに対処するため、図10に示すように、コイル22,23を保持しているコア25,26が、ヒートローラ2の表面に近接されている。すなわち、コイル21とヒートローラ2の表面との間が距離Bに設定され、コイル22,23とヒートローラ2の表面との間が距離C(<B)に設定されている。
【0051】
この構成により、コイル22,23から発せられる高周波磁界を効率良くヒートローラ2の軸方向両端部に与えることができる。よって、ヒートローラ2の軸方向両端部に対する加熱量が増大して、ヒートローラ2の軸方向の温度分布が均一になる。
【0052】
用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向両端部のどちらか一方に片寄る場合には、コア25,26のいずれか一方のみをヒートローラ2の表面に近接する構成としてもよい。すなわち、用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向一端部に片寄る場合には、少なくともコア24が、ヒートローラ2の表面に近接される。用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向他端部に片寄る場合には、少なくともコア25が、ヒートローラ2の表面に近接される。
【0053】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0054】
[7]この発明の第7の実施形態を説明する。
図11に示すように、コイル21,22,23が保持部材91,92,93に装着されている。コイル22の一部(ヒートローラ2の軸方向一端部の端縁と対応する部位)が、ヒートローラ2の表面に近接されている。コイル23の一部(ヒートローラ2の軸方向他端部の端縁と対応する部位)が、ヒートローラ2の表面に近接されている。すなわち、コイル21とヒートローラ2の表面との間が距離Bに設定され、コイル22,23のそれぞれ一部とヒートローラ2の表面との間が距離C(<B)に設定されている。
【0055】
この構成により、コイル22,23から発せられる高周波磁界を効率良くヒートローラ2の軸方向両端部に与えることができる。よって、ヒートローラ2の軸方向両端部に対する加熱量が増大して、ヒートローラ2の軸方向の温度分布が均一になる。
【0056】
用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向両端部のどちらか一方に片寄る場合には、コイル22,23のいずれか一方のみをヒートローラ2の表面に近接する構成としてもよい。すなわち、用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向一端部に片寄る場合には、少なくともコイル22の一部が、ヒートローラ2の表面に近接される。用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向他端部に片寄る場合には、少なくともコア25の一部が、ヒートローラ2の表面に近接される。
【0057】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0058】
[8]この発明の第8の実施形態を説明する。
図12に示すように、コイル21,22,23が保持部材91,92,93に装着されている。コイル22の一部(ヒートローラ2の軸方向一端部の端縁と対応する部位)の径が、ヒートローラ2の軸方向とほぼ直行する方向に拡がっている。コイル23の一部(ヒートローラ2の軸方向他端部の端縁と対応する部位)の径が、ヒートローラ2の軸方向と直行する方向に拡がっている。すなわち、コイル21の径がDに設定され、コイル22,23のそれぞれ一部の径がE(<D)に設定されている。
【0059】
この構成により、コイル22,23から発せられる高周波磁界を効率良くヒートローラ2の軸方向両端部に与えることができる。よって、ヒートローラ2の軸方向両端部に対する加熱量が増大して、ヒートローラ2の軸方向の温度分布が均一になる。
【0060】
用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向両端部のどちらか一方に片寄る場合には、径の拡大構成をコイル22,23のいずれか一方のみに採用してもよい。すなわち、用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向一端部に片寄る場合には、少なくともコイル22の一部の径が、ヒートローラ2の軸方向とほぼ直交する方向に拡大される。用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向他端部に片寄る場合には、少なくともコア25の一部の径が、ヒートローラ2の軸方向とほぼ直交する方向に拡大される。
【0061】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0062】
[9]この発明の第9の実施形態を説明する。
図13に示すように、プレスローラ3が、ヒートローラ2と同じく、芯金3の上に、断熱部材4、金属部材5、弾性部材6、表面部材7を順に積層して構成されている。
【0063】
このプレスローラ3およびヒートローラ2の両方と対応する位置に、誘導加熱用の1つのコイル100が設けられている。コイル100は、図示していないが、コアに装着されており、誘導加熱用の高周波磁界を発する。この高周波磁界がヒートローラ2およびプレスローラ3に与えられることにより、ヒートローラ2の金属部材5およびプレスローラ3の金属部材5がそれぞれ発熱する。
【0064】
また、コイル100は、銅線がヒートローラ2の軸方向に沿って往復を繰り返す状態に巻かれることにより、構成されている。
【0065】
定着装置1の電気回路を図14に示している。
商用交流電源50に、サーモスタット14および入力検出部51を介して、整流回路60が接続されている。整流回路60の出力端に、高周波発生回路61が接続されている。
【0066】
高周波発生回路61は、上記コイル100と共に共振回路を形成する共振用コンデンサ62、その共振回路を励起するスイッチング素子たとえばトランジスタ63、およびそのトランジスタ63に並列接続されたダンパダイオード64により構成され、トランジスタ63が駆動回路52によってオン,オフ駆動されることにより、高周波電流を生成する。この高周波電流がコイル100に供給される。
【0067】
CPU53に、温度検知器12、プリントコントローラ40、および駆動回路52が接続されている。CPU53は、制御部56を有している。制御部56は、温度検知器12の検知温度が予め定められている設定値となるように、高周波発生回路61の出力(駆動回路52の駆動)を制御する。
【0068】
このように、ヒートローラ2およびプレスローラ3を共に誘導加熱することにより、たとえヒートローラ2の熱容量が小さくても、用紙Pに対する必要十分な加熱量を得ることができる。すなわち、ヒートローラ2の熱容量が小さいことによって不足気味となる熱エネルギが、プレスローラ3の発熱によって補われる。
【0069】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0070】
[10]この発明の第10の実施形態を説明する。
図14に示すように、プレスローラ3が、ヒートローラ2と同じく、芯金3の上に、断熱部材4、金属部材5、弾性部材6、表面部材7を順に積層して構成されている。
【0071】
ヒートローラ2と対応する位置に、誘導加熱用の1つのヒートローラ用コイル101が設けられている。コイル101は、図示していないが、コアに装着されており、誘導加熱用の高周波磁界を発する。この高周波磁界がヒートローラ2に与えられることにより、ヒートローラ2の金属部材5が発熱する。
【0072】
プレスローラ3と対応する位置に、誘導加熱用の1つのプレスローラ用コイル102が設けられている。コイル102は、図示していないが、コアに装着されており、誘導加熱用の高周波磁界を発する。この高周波磁界がプレスローラ3に与えられることにより、プレスローラ3の金属部材5が発熱する。
【0073】
定着装置1の電気回路を図16に示している。
商用交流電源50に、サーモスタット14および入力検出部51を介して、整流回路60,80が接続されている。整流回路60,80の出力端に、高周波発生回路61,81が接続されている。
【0074】
高周波発生回路61は、上記コイル101と共に共振回路を形成する共振用コンデンサ62、その共振回路を励起するスイッチング素子たとえばトランジスタ63、およびそのトランジスタ63に並列接続されたダンパダイオード64により構成され、トランジスタ63が駆動回路52によってオン,オフ駆動されることにより、高周波電流を生成する。この高周波電流がコイル101に供給される。
【0075】
高周波発生回路81は、上記コイル102と共に共振回路を形成する共振用コンデンサ82、その共振回路を励起するスイッチング素子たとえばトランジスタ83、およびそのトランジスタ83に並列接続されたダンパダイオード84により構成され、トランジスタ83が駆動回路52によってオン,オフ駆動されることにより、高周波電流を生成する。この高周波電流がコイル102に供給される。
【0076】
CPU53に、温度検知器12、プリントコントローラ40、および駆動回路52が接続されている。
【0077】
CPU53は、制御部56,57を有している。制御部56は、温度検知器12の検知温度が予め定められている設定値となるように、高周波発生回路61の出力(駆動回路52の駆動)を制御する。制御部57は、温度検知器12の検知温度が設定値以下に低下した場合に、高周波発生回路81を動作させる。
【0078】
このように、ヒートローラ2およびプレスローラ3を共に誘導加熱することにより、たとえヒートローラ2の熱容量が小さくても、用紙Pに対する必要十分な加熱量を得ることができる。
【0079】
なお、図16の電気回路に限らず、コイル101,102のいずれか一方を、互いに異なる共振周波数によって選択的に動作させる電気回路を採用してもよい。
【0080】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0081】
[11]この発明の第11の実施形態を説明する。
図17に示すように、プレスローラ3が、ヒートローラ2と同じく、芯金3の上に、断熱部材4、金属部材5、弾性部材6、表面部材7を順に積層して構成されている。
【0082】
ヒートローラ2と対応する位置に、第1の実施形態と同じく、誘導加熱用の3つのコイル21,22,23が設けられている。コイル21,22,23は、図示していないが、第1の実施形態と同じくコア24,25,26に装着されている。
【0083】
プレスローラ3と対応する位置に、第10の実施形態と同じく、誘導加熱用の1つのコイル102が設けられている。
【0084】
定着装置1の電気回路を図18に示している。この電気回路は、第1の実施形態の電気回路と、第10の実施形態の電気回路との、組み合わせに相当する。
【0085】
このように、ヒートローラ2およびプレスローラ3を共に誘導加熱することにより、たとえヒートローラ2の熱容量が小さくても、用紙Pに対する必要十分な加熱量を得ることができる。
【0086】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0087】
[12]この発明の第12の実施形態を説明する。
図19に示すように、温度検知器12,13およびサーモスタット14が、ヒートローラ2の回転方向において、ヒートローラ2とプレスローラ3との接触部いわゆるニップ部よりも下流側に設けられている。
【0088】
温度検知器12,13は、ヒートローラ2の表面温度のうち、ヒートローラ2とプレスローラ3とのニップ部を過ぎた直後の温度を検知する。サーモスタット14は、ヒートローラ2の表面温度のうち、ヒートローラ2とプレスローラ3とのニップ部を過ぎた直後の温度が異常上昇した場合に開放する。
【0089】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0090】
[13]この発明の第13の実施形態を説明する。
図20に示すように、ヒートローラ2は、厚さが例えば2mmの非金属部材10、厚さが例えば0.5mmの断熱部材4、厚さが例えば50μmの金属部材5、厚さが例えば20μmの表面部材7を順に積層して筒状に構成されている。このヒートローラ2の内側の空間に、誘導加熱用のコイル110が収容されている。
【0091】
上記コイル110は、保持部材111に装着されており、誘導加熱用の高周波磁界を発する。この高周波磁界が金属部材5に与えられることにより、金属部材5が発熱する。
【0092】
なお、金属部材5と表面部材7との間に、第1の実施形態と同じく、弾性部材6を設けてもよい。
他の構成、作用、効果は、第10の実施形態と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】第1の実施形態における定着装置の構成を示す図。
【図2】第1の実施形態におけるヒートローラおよび各コイルの構成を示す図。
【図3】第1の実施形態におけるヒートローラ、各コイル、および各コアの構成を示す図。
【図4】各実施形態に係る画像形成装置の制御回路のブロック図。
【図5】第1ないし第8の実施形態における定着装置の電気回路のブロック図。
【図6】第2の実施形態における定着装置の構成を示す図。
【図7】第3の実施形態における定着装置の構成を示す図。
【図8】第4の実施形態における定着装置の構成を示す図。
【図9】第5の実施形態における定着装置の構成を示す図。
【図10】第6の実施形態におけるヒートローラ、各コイル、および各コアの構成を示す図。
【図11】第7の実施形態におけるヒートローラ、各コイル、および各コアの構成を示す図。
【図12】第8の実施形態におけるヒートローラ、各コイル、および各コアの構成を示す図。
【図13】第9の実施形態におけるヒートローラ、プレスローラ、およびコイルの構成を示す図。
【図14】第9の実施形態における定着装置の電気回路のブロック図。
【図15】第10の実施形態におけるヒートローラ、プレスローラ、および各コイルの構成を示す図。
【図16】第10の実施形態における定着装置の電気回路のブロック図。
【図17】第11の実施形におけるヒートローラ、プレスローラ、および各コイルの構成を示す図。
【図18】第11の実施形態における定着装置の電気回路のブロック図。
【図19】第12の実施形態における定着装置の構成を示す図。
【図20】第13の実施形態における定着装置の構成を示す図。
【符号の説明】
【0094】
1…定着装置、2…ヒートローラ、3…芯金、4…断熱部材、5…金属部材、6…弾性部材、7…表面部材、8…プレスローラ、12,13…温度検知器、14…サーモスタット、21,22,23…コイル、24,25,26…コア、27…絶縁部材、28…ケース、29…ファン、30…メインコントローラ、32…スキャンコントローラ、40…プリントコントローラ、51…入力検出部、52…駆動回路、53…CPU、54,55,56,57…制御部、61,71…高周波発生回路、90…絶縁部材、91,92,93…保持部材、100,101…コイル
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙上の現像剤像を定着させる定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、原稿から画像を読取り、その読取った画像に対応する現像剤像を用紙に形成し、その現像剤像を定着装置により用紙上に定着させる。
【0003】
上記定着装置は、ヒートローラおよびプレスローラを有し、このヒートローラとプレスローラとの間に上記用紙を挟んで搬送することにより、用紙上の現像剤像をその用紙上に定着させる。上記ヒートローラの内側には、例えばハロゲンランプヒータが収容されている。このハロゲンランプヒータの発熱によってヒートローラが温度上昇し、そのヒートローラの熱により用紙上の現像剤が溶融する。
【0004】
誘導加熱型の定着装置は、ヒートローラの内側に誘導加熱用のコイルを収容し、そのコイルに高周波電流を供給することにより、コイルから高周波磁界を発生させる。この高周波磁界によって上記ヒートローラに渦電流が生じ、その渦電流に基づくジュール熱によって上記ヒートローラが自己発熱する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハロゲンランプヒータあるいは誘導加熱用のコイルを収容したヒートローラは、熱容量が大きい。ヒートローラの熱容量が大きいと、起動後、ヒートローラの温度が定着に必要な温度に達するまでに、長い時間がかかってしまう。
【0006】
この発明は、上記の事情を考慮したもので、ヒートローラの熱容量を低減することができ、これにより起動後のヒートローラの温度の立ち上がりを早めることができる定着装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明の定着装置は、ヒートローラと、このヒートローラの外側に設けられ、そのヒートローラを誘導加熱するための高周波磁界を発するコイルと、を備える。そして、上記コイルは上記ヒートローラの軸方向に沿って配置された複数のコイルからなり、これらコイルのうち上記ヒートローラの軸方向端部と対応する部位が上記ヒートローラの軸方向と直行する方向に拡がっている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、ヒートローラの熱容量を低減することができ、これにより起動後のヒートローラの温度の立ち上がりを早めることができる定着装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[1]以下、この発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
この発明に係る画像形成装置は、原稿の画像を光学的に読取るスキャンユニット(後述のスキャンユニット33)、このスキャンユニットで読取られた画像に対応する現像剤像を画像形成用の用紙に形成するプロセスユニット(後述のプロセスユニット45)、および上記用紙に形成された現像剤像を加熱によりその用紙に定着させる定着装置(後述の定着装置1)などを備えている。この画像形成装置の具体的な構成は、先に米国に特許出願しているAppl.No.09/955,089に記載されている。よって、その構成の説明は省略する。
【0010】
上記定着装置の構成を図1、図2、図3に示している。
定着装置1は、ヒートローラ2を有している。このヒートローラ2とプレスローラ8とが、画像形成用の用紙Pの搬送路を上下に挟む状態に設けられている。プレスローラ8は、図示していない加圧機構により、ヒートローラ2の表面(外周面)に加圧状態で接している。このヒートローラ2とプレスローラ8との接触部は、一定のニップ幅を持つ。
【0011】
ヒートローラ2は、芯金3の上に、厚さが例えば5mmの断熱部材(断熱層)4、厚さが例えば40μmの金属部材(金属層)5、厚さが例えば0.3mmの弾性部材(弾性層)6、厚さが例えば20μmの表面部材(剥離層ともいう)7を順に積層して構成されたもので、図示右方向に回転駆動される。断熱部材4は、厚さが0.5mm以上であれば、十分な断熱性能を発揮する。
【0012】
プレスローラ3は、ヒートローラ2の回転を受けて図示左方向に回転する。用紙Pがヒートローラ2とプレスローラ8との間に挟まれて搬送され、かつヒートローラ2の熱が用紙Pに伝わることにより、用紙P上の現像剤像が溶融し、その溶融した現像剤が用紙P上に定着する。
【0013】
ヒートローラ2の周囲に、用紙Pをヒートローラ2から剥離するための爪9、ヒートローラ2上に残る現像剤および紙屑等を除去するためのクリーニング部材10、ヒートローラ2の表面にオイルを塗布するためのオイル塗布ローラ11、誘導加熱用のコイル21,22,23、ヒートローラ2の表面(表面部材7)の温度を検知する温度検知器12,13、およびヒートローラ2の表面温度が異常上昇した場合に開放するサーモスタット14が設けられている。
【0014】
上記コイル21は、ヒートローラ2の軸方向中央部と対応する位置に設けられている。上記コイル22は、ヒートローラ2の軸方向一端部と対応する位置に設けられている。上記コイル23は、ヒートローラ2の軸方向他端部と対応する位置に設けられている。これらコイル21,22,23は、それぞれコア24,25,26に装着されており、誘導加熱用の高周波磁界を発する。この高周波磁界がヒートローラ2に与えられることにより、ヒートローラ2の金属部材5に渦電流が生じ、その渦電流によるジュール熱で金属部材5が自己発熱する。
【0015】
上記コイル21,22,23は、銅線がヒートローラ2の軸方向に沿って往復を繰り返す状態に巻かれることにより、構成されている。上記銅線は、耐熱性のエナメルで被覆されている。
【0016】
コイル22は、ヒートローラ2の軸方向端縁よりも、距離Aだけ、外側に食み出ている。コイル23は、ヒートローラ2の軸方向端縁よりも、距離Aだけ、外側に食み出ている。
【0017】
上記温度検知器12は、ヒートローラ2の軸方向中央部と対応する位置に設けられている。上記温度検知器13は、ヒートローラ2の軸方向他端部と対応する位置に設けられている。また、温度検知器12の近傍に、上記サーモスタット14が設けられている。
【0018】
これら温度検知器12,13およびサーモスタット14は、ヒートローラ2の表面に接する接触式でも、ヒートローラ2から離れる非接触式でも、そのいずれでもよい。
【0019】
ヒートローラ2とコイル21,22,23との間に、板状の絶縁部材27が設けられている。絶縁部材27の材質は、耐熱性樹脂たとえば耐熱フェノール、ポリイミド、液晶ポリマー等である。
【0020】
上記画像形成装置の制御回路を図4に示している。
【0021】
メインコントローラ30に、コントロールパネルコントローラ31、スキャンコントローラ32、およびプリントコントローラ40が接続されている。
【0022】
メインコントローラ30は、コントロールパネルコントローラ31、スキャンコントローラ32、およびプリントコントローラ40を統括的に制御する。スキャンコントローラ32は、原稿の画像を光学的に読取るスキャンユニット33を制御する。
【0023】
プリントコントローラ40に、制御プログラム記憶用のROM41、データ記憶用のRAM42、プリントエンジン43、用紙搬送ユニット44、プロセスユニット45、定着装置1が接続されている。プリントエンジン43は、上記スキャンユニット33で読取られた画像を上記プロセスユニット45の感光体ドラムに形成するためのレーザ光を発する。用紙搬送ユニット44は、用紙Pの搬送機構およびその駆動回路などにより構成されている。プロセスユニット45は、上記スキャンユニット53で読取られた画像に対応する静電潜像を上記プリントエンジン43から発せられるレーザ光によって感光体ドラムの表面に形成し、その感光体ドラム上の静電潜像を現像剤で現像し、その現像剤像を用紙Pに転写する。
【0024】
定着装置1の電気回路を図5に示している。
商用交流電源50に、上記サーモスタット14および入力検出部51を介して、整流回路60,70が接続されている。整流回路60,70の出力端に、高周波発生回路(スイッチング回路あるいはハーフブリッジ型インバータともいう)61,71が接続されている。
【0025】
高周波発生回路61は、上記コイル21と共に共振回路を形成する共振用コンデンサ62、その共振回路を励起するスイッチング素子たとえばトランジスタ63、およびそのトランジスタ63に並列接続されたダンパダイオード64により構成され、トランジスタ63が駆動回路52によってオン,オフ駆動されることにより、高周波電流を生成する。
【0026】
高周波発生回路71は、上記コイル22,23と共に共振回路を形成する共振用コンデンサ72、その共振回路を励起するスイッチング素子たとえばトランジスタ73、およびそのトランジスタ73に並列接続されたダンパダイオード74により構成され、トランジスタ73が上記駆動回路52によってオン,オフ駆動されることにより、高周波電流を生成する。
【0027】
この高周波発生回路61,71で生成される高周波電流がコイル21,22,23に供給されることにより、コイル21,22,23から高周波磁界が発生する。この高周波磁界によってヒートローラ2の金属部材5に渦電流が生じ、その渦電流に基づくジュール熱によって金属部材5が自己発熱する。
【0028】
コイル21,22,23から発せられる高周波磁界のエネルギをヒートローラ2の金属部材5に効率良く吸収させるためには、金属部材5の厚さを大きくするか、あるいは、コイル21,22,23から発せられる高周波磁界の周波数を高くすればよい。そこで、コイル21,22,23から発せられる高周波磁界の周波数が、20kHz以上たとえば1MHz〜4MHzに設定されている。
【0029】
上記入力検出部51は、商用交流電源50の電圧および電流を検知し、この検知結果に基づいて定着装置1への入力電力を検出する。この入力検出部51の検出結果がCPU53に供給される。このCPU53に、上記温度検知器12,13、上記プリントコントローラ40、および上記駆動回路52が接続されている。
【0030】
CPU53は、制御部54,55を有している。制御部54は、温度検知器12の検知温度が予め定められている設定値となるように、高周波発生回路61の出力(駆動回路52の駆動)を制御する。制御部55は、温度検知器13の検知温度が予め定められている設定値となるように、高周波発生回路71の出力(駆動回路52の駆動)を制御する。
【0031】
以上のように、断熱部材4の上に金属部材5が積層されたヒートローラ2を採用するとともに、ヒートローラ2の外側に誘導加熱用のコイル21,22,23を設けることにより、ヒートローラ2の熱容量を大幅に低減することができる。ヒートローラ2の熱容量を大幅に低減できることにより、起動後のヒートローラ2の温度の立ち上がりが早くなる。
【0032】
コイル21,22,23がヒートローラ2の外側に設けられているので、ヒートローラ2の中心部材として芯金3を設けることが可能となっている。芯金3を設けていることにより、ヒートローラ2の強度が増大する。
【0033】
なお、芯金3は、ヒートローラ2の十分な強度が維持できれば、無くてもよい。この場合、ヒートローラ2がいわゆる空芯構造となる。ヒートローラ2の十分な強度が維持できれば、芯金3に代えて、プラスチック等の樹脂部材を採用することも可能である。
【0034】
ところで、ヒートローラ2の熱容量は、ヒートローラ2の軸方向の位置に応じて異なる。すなわち、ヒートローラ2の軸方向両端部の熱容量は、ヒートローラ2の軸方向中央部の熱容量よりも大きい。このため、ヒートローラ2の軸方向両端部の温度の立ち上がりは、ヒートローラ2の軸方向中央部の温度の立ち上がりよりも遅くなる。
【0035】
この熱容量の違いに対処するため、コイル22がヒートローラ2の軸方向端縁よりも距離Aだけ外側に食み出るとともに、コイル23がヒートローラ2の軸方向端縁よりも距離Aだけ外側に食み出ている。この構成により、コイル22,23から発せられる高周波磁界を効率良くヒートローラ2の軸方向両端部に与えることができる。よって、ヒートローラ2の軸方向両端部に対する加熱量が増大して、ヒートローラ2の軸方向の温度分布が均一になる。
【0036】
用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向両端部のどちらか一方に片寄る場合には、距離Aの食み出し構成をコイル22,23のいずれか一方のみに採用してもよい。すなわち、用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向一端部に片寄る場合には、少なくともコイル22が、ヒートローラ2の軸方向一端部の端縁よりも外側に食み出される。用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向他端部に片寄る場合には、少なくともコイル23が、ヒートローラ2の軸方向他端部の端縁よりも外側に食み出される。
【0037】
また、絶縁部材27がヒートローラ2とコイル21,22,23との間に設けられているので、コイル21,22,23がヒートローラ2の表面に接することがない。よって、ヒートローラ2の表面に傷が付かない。ヒートローラ2の金属部材5とコイル21,22,23との間で漏電が生じることもない。
【0038】
温度検知器12,13が、ヒートローラ2の回転方向においてコイル21,22,23の位置よりも下流側に設けられているので、誘導加熱されたヒートローラ2の温度を的確に検知することができる。
【0039】
サーモスタット14が、ヒートローラ2の回転方向においてコイル21,22,23の位置よりも下流側に設けられているので、誘導加熱されたヒートローラ2の異常温度上昇を的確に検知することができる。この場合、サーモスタット14が開放し、商用交流電源50から定着装置1への通電が遮断される。
【0040】
なお、ヒートローラ2に代えて、弾性ベルトの上面に金属部材が積層されたヒートベルトを使用することが考えられる。このヒートベルトは、ヒートローラ2と同じく熱容量が小さく、2つのローラに掛け渡されて回転する。ただし、ヒートベルトは、回転方向と直交する方向に位置がずれてしまう。このため、ヒートベルトを採用する場合、回転方向と直交する方向のヒートベルトの位置を調整する必要がある。また、ヒートベルトは2つのローラに掛け渡されているため、ヒートベルトの張力を調整する必要がある。
【0041】
ヒートローラ2を採用することにより、そのような位置調整および張力調整が不要である。
【0042】
[2]この発明の第2の実施形態を説明する。
図6に示すように、ヒートローラ2は、芯金3の上に、厚さが例えば5mmの断熱部材4、厚さが例えば40μmの金属部材5、厚さが例えば20μmの表面部材7を順に積層して構成されている。すなわち、第1の実施形態における弾性部材6が除去されている。他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0043】
[3]この発明の第3の実施形態を説明する。
図7に示すように、コイル21,22,23およびコア24,25,26が、絶縁部材で形成されたケース28に収容されている。ケース28は、少なくともヒートローラ2に対向する面が、耐熱性樹脂たとえば耐熱フェノール、ポリイミド、液晶ポリマー等で形成されている。
【0044】
このケース28の採用に伴い、第1の実施形態における絶縁部材27が除去されている。
【0045】
このように、コイル21,22,23およびコア24,25,26をケース28に収容してユニット化することにより、コイル21,22,23およびコア24,25,26の交換作業が容易となる。他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0046】
[4]この発明の第4の実施形態を説明する。
図8に示すように、上記ケース28の近傍に、冷却用のファン29が設けられている。このファン29の冷却風が、ケース28の開口を通してコイル21,22,23へ供給される。ファン29の送風は、ケース28内に供給されるだけで、ヒートローラ2へは供給されない。
【0047】
他の構成、作用、効果は、第3の実施形態と同じである。
【0048】
[5]この発明の第5の実施形態を説明する。
図9に示すように、コイル21,22,23およびコア24,25,26が、絶縁部材90で覆われている。絶縁部材90は、耐熱性樹脂たとえば耐熱フェノール、ポリイミド、液晶ポリマー等で形成されている。
【0049】
この絶縁部材90の採用に伴い、第1の実施形態における絶縁部材27が除去されている。他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0050】
[6]この発明の第6の実施形態を説明する。
上記したように、ヒートローラ2の軸方向両端部の熱容量は、ヒートローラ2の軸方向中央部の熱容量よりも大きい。この熱容量の違いに対処するため、図10に示すように、コイル22,23を保持しているコア25,26が、ヒートローラ2の表面に近接されている。すなわち、コイル21とヒートローラ2の表面との間が距離Bに設定され、コイル22,23とヒートローラ2の表面との間が距離C(<B)に設定されている。
【0051】
この構成により、コイル22,23から発せられる高周波磁界を効率良くヒートローラ2の軸方向両端部に与えることができる。よって、ヒートローラ2の軸方向両端部に対する加熱量が増大して、ヒートローラ2の軸方向の温度分布が均一になる。
【0052】
用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向両端部のどちらか一方に片寄る場合には、コア25,26のいずれか一方のみをヒートローラ2の表面に近接する構成としてもよい。すなわち、用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向一端部に片寄る場合には、少なくともコア24が、ヒートローラ2の表面に近接される。用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向他端部に片寄る場合には、少なくともコア25が、ヒートローラ2の表面に近接される。
【0053】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0054】
[7]この発明の第7の実施形態を説明する。
図11に示すように、コイル21,22,23が保持部材91,92,93に装着されている。コイル22の一部(ヒートローラ2の軸方向一端部の端縁と対応する部位)が、ヒートローラ2の表面に近接されている。コイル23の一部(ヒートローラ2の軸方向他端部の端縁と対応する部位)が、ヒートローラ2の表面に近接されている。すなわち、コイル21とヒートローラ2の表面との間が距離Bに設定され、コイル22,23のそれぞれ一部とヒートローラ2の表面との間が距離C(<B)に設定されている。
【0055】
この構成により、コイル22,23から発せられる高周波磁界を効率良くヒートローラ2の軸方向両端部に与えることができる。よって、ヒートローラ2の軸方向両端部に対する加熱量が増大して、ヒートローラ2の軸方向の温度分布が均一になる。
【0056】
用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向両端部のどちらか一方に片寄る場合には、コイル22,23のいずれか一方のみをヒートローラ2の表面に近接する構成としてもよい。すなわち、用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向一端部に片寄る場合には、少なくともコイル22の一部が、ヒートローラ2の表面に近接される。用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向他端部に片寄る場合には、少なくともコア25の一部が、ヒートローラ2の表面に近接される。
【0057】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0058】
[8]この発明の第8の実施形態を説明する。
図12に示すように、コイル21,22,23が保持部材91,92,93に装着されている。コイル22の一部(ヒートローラ2の軸方向一端部の端縁と対応する部位)の径が、ヒートローラ2の軸方向とほぼ直行する方向に拡がっている。コイル23の一部(ヒートローラ2の軸方向他端部の端縁と対応する部位)の径が、ヒートローラ2の軸方向と直行する方向に拡がっている。すなわち、コイル21の径がDに設定され、コイル22,23のそれぞれ一部の径がE(<D)に設定されている。
【0059】
この構成により、コイル22,23から発せられる高周波磁界を効率良くヒートローラ2の軸方向両端部に与えることができる。よって、ヒートローラ2の軸方向両端部に対する加熱量が増大して、ヒートローラ2の軸方向の温度分布が均一になる。
【0060】
用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向両端部のどちらか一方に片寄る場合には、径の拡大構成をコイル22,23のいずれか一方のみに採用してもよい。すなわち、用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向一端部に片寄る場合には、少なくともコイル22の一部の径が、ヒートローラ2の軸方向とほぼ直交する方向に拡大される。用紙Pの通過領域がヒートローラ2の軸方向他端部に片寄る場合には、少なくともコア25の一部の径が、ヒートローラ2の軸方向とほぼ直交する方向に拡大される。
【0061】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0062】
[9]この発明の第9の実施形態を説明する。
図13に示すように、プレスローラ3が、ヒートローラ2と同じく、芯金3の上に、断熱部材4、金属部材5、弾性部材6、表面部材7を順に積層して構成されている。
【0063】
このプレスローラ3およびヒートローラ2の両方と対応する位置に、誘導加熱用の1つのコイル100が設けられている。コイル100は、図示していないが、コアに装着されており、誘導加熱用の高周波磁界を発する。この高周波磁界がヒートローラ2およびプレスローラ3に与えられることにより、ヒートローラ2の金属部材5およびプレスローラ3の金属部材5がそれぞれ発熱する。
【0064】
また、コイル100は、銅線がヒートローラ2の軸方向に沿って往復を繰り返す状態に巻かれることにより、構成されている。
【0065】
定着装置1の電気回路を図14に示している。
商用交流電源50に、サーモスタット14および入力検出部51を介して、整流回路60が接続されている。整流回路60の出力端に、高周波発生回路61が接続されている。
【0066】
高周波発生回路61は、上記コイル100と共に共振回路を形成する共振用コンデンサ62、その共振回路を励起するスイッチング素子たとえばトランジスタ63、およびそのトランジスタ63に並列接続されたダンパダイオード64により構成され、トランジスタ63が駆動回路52によってオン,オフ駆動されることにより、高周波電流を生成する。この高周波電流がコイル100に供給される。
【0067】
CPU53に、温度検知器12、プリントコントローラ40、および駆動回路52が接続されている。CPU53は、制御部56を有している。制御部56は、温度検知器12の検知温度が予め定められている設定値となるように、高周波発生回路61の出力(駆動回路52の駆動)を制御する。
【0068】
このように、ヒートローラ2およびプレスローラ3を共に誘導加熱することにより、たとえヒートローラ2の熱容量が小さくても、用紙Pに対する必要十分な加熱量を得ることができる。すなわち、ヒートローラ2の熱容量が小さいことによって不足気味となる熱エネルギが、プレスローラ3の発熱によって補われる。
【0069】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0070】
[10]この発明の第10の実施形態を説明する。
図14に示すように、プレスローラ3が、ヒートローラ2と同じく、芯金3の上に、断熱部材4、金属部材5、弾性部材6、表面部材7を順に積層して構成されている。
【0071】
ヒートローラ2と対応する位置に、誘導加熱用の1つのヒートローラ用コイル101が設けられている。コイル101は、図示していないが、コアに装着されており、誘導加熱用の高周波磁界を発する。この高周波磁界がヒートローラ2に与えられることにより、ヒートローラ2の金属部材5が発熱する。
【0072】
プレスローラ3と対応する位置に、誘導加熱用の1つのプレスローラ用コイル102が設けられている。コイル102は、図示していないが、コアに装着されており、誘導加熱用の高周波磁界を発する。この高周波磁界がプレスローラ3に与えられることにより、プレスローラ3の金属部材5が発熱する。
【0073】
定着装置1の電気回路を図16に示している。
商用交流電源50に、サーモスタット14および入力検出部51を介して、整流回路60,80が接続されている。整流回路60,80の出力端に、高周波発生回路61,81が接続されている。
【0074】
高周波発生回路61は、上記コイル101と共に共振回路を形成する共振用コンデンサ62、その共振回路を励起するスイッチング素子たとえばトランジスタ63、およびそのトランジスタ63に並列接続されたダンパダイオード64により構成され、トランジスタ63が駆動回路52によってオン,オフ駆動されることにより、高周波電流を生成する。この高周波電流がコイル101に供給される。
【0075】
高周波発生回路81は、上記コイル102と共に共振回路を形成する共振用コンデンサ82、その共振回路を励起するスイッチング素子たとえばトランジスタ83、およびそのトランジスタ83に並列接続されたダンパダイオード84により構成され、トランジスタ83が駆動回路52によってオン,オフ駆動されることにより、高周波電流を生成する。この高周波電流がコイル102に供給される。
【0076】
CPU53に、温度検知器12、プリントコントローラ40、および駆動回路52が接続されている。
【0077】
CPU53は、制御部56,57を有している。制御部56は、温度検知器12の検知温度が予め定められている設定値となるように、高周波発生回路61の出力(駆動回路52の駆動)を制御する。制御部57は、温度検知器12の検知温度が設定値以下に低下した場合に、高周波発生回路81を動作させる。
【0078】
このように、ヒートローラ2およびプレスローラ3を共に誘導加熱することにより、たとえヒートローラ2の熱容量が小さくても、用紙Pに対する必要十分な加熱量を得ることができる。
【0079】
なお、図16の電気回路に限らず、コイル101,102のいずれか一方を、互いに異なる共振周波数によって選択的に動作させる電気回路を採用してもよい。
【0080】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0081】
[11]この発明の第11の実施形態を説明する。
図17に示すように、プレスローラ3が、ヒートローラ2と同じく、芯金3の上に、断熱部材4、金属部材5、弾性部材6、表面部材7を順に積層して構成されている。
【0082】
ヒートローラ2と対応する位置に、第1の実施形態と同じく、誘導加熱用の3つのコイル21,22,23が設けられている。コイル21,22,23は、図示していないが、第1の実施形態と同じくコア24,25,26に装着されている。
【0083】
プレスローラ3と対応する位置に、第10の実施形態と同じく、誘導加熱用の1つのコイル102が設けられている。
【0084】
定着装置1の電気回路を図18に示している。この電気回路は、第1の実施形態の電気回路と、第10の実施形態の電気回路との、組み合わせに相当する。
【0085】
このように、ヒートローラ2およびプレスローラ3を共に誘導加熱することにより、たとえヒートローラ2の熱容量が小さくても、用紙Pに対する必要十分な加熱量を得ることができる。
【0086】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0087】
[12]この発明の第12の実施形態を説明する。
図19に示すように、温度検知器12,13およびサーモスタット14が、ヒートローラ2の回転方向において、ヒートローラ2とプレスローラ3との接触部いわゆるニップ部よりも下流側に設けられている。
【0088】
温度検知器12,13は、ヒートローラ2の表面温度のうち、ヒートローラ2とプレスローラ3とのニップ部を過ぎた直後の温度を検知する。サーモスタット14は、ヒートローラ2の表面温度のうち、ヒートローラ2とプレスローラ3とのニップ部を過ぎた直後の温度が異常上昇した場合に開放する。
【0089】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0090】
[13]この発明の第13の実施形態を説明する。
図20に示すように、ヒートローラ2は、厚さが例えば2mmの非金属部材10、厚さが例えば0.5mmの断熱部材4、厚さが例えば50μmの金属部材5、厚さが例えば20μmの表面部材7を順に積層して筒状に構成されている。このヒートローラ2の内側の空間に、誘導加熱用のコイル110が収容されている。
【0091】
上記コイル110は、保持部材111に装着されており、誘導加熱用の高周波磁界を発する。この高周波磁界が金属部材5に与えられることにより、金属部材5が発熱する。
【0092】
なお、金属部材5と表面部材7との間に、第1の実施形態と同じく、弾性部材6を設けてもよい。
他の構成、作用、効果は、第10の実施形態と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】第1の実施形態における定着装置の構成を示す図。
【図2】第1の実施形態におけるヒートローラおよび各コイルの構成を示す図。
【図3】第1の実施形態におけるヒートローラ、各コイル、および各コアの構成を示す図。
【図4】各実施形態に係る画像形成装置の制御回路のブロック図。
【図5】第1ないし第8の実施形態における定着装置の電気回路のブロック図。
【図6】第2の実施形態における定着装置の構成を示す図。
【図7】第3の実施形態における定着装置の構成を示す図。
【図8】第4の実施形態における定着装置の構成を示す図。
【図9】第5の実施形態における定着装置の構成を示す図。
【図10】第6の実施形態におけるヒートローラ、各コイル、および各コアの構成を示す図。
【図11】第7の実施形態におけるヒートローラ、各コイル、および各コアの構成を示す図。
【図12】第8の実施形態におけるヒートローラ、各コイル、および各コアの構成を示す図。
【図13】第9の実施形態におけるヒートローラ、プレスローラ、およびコイルの構成を示す図。
【図14】第9の実施形態における定着装置の電気回路のブロック図。
【図15】第10の実施形態におけるヒートローラ、プレスローラ、および各コイルの構成を示す図。
【図16】第10の実施形態における定着装置の電気回路のブロック図。
【図17】第11の実施形におけるヒートローラ、プレスローラ、および各コイルの構成を示す図。
【図18】第11の実施形態における定着装置の電気回路のブロック図。
【図19】第12の実施形態における定着装置の構成を示す図。
【図20】第13の実施形態における定着装置の構成を示す図。
【符号の説明】
【0094】
1…定着装置、2…ヒートローラ、3…芯金、4…断熱部材、5…金属部材、6…弾性部材、7…表面部材、8…プレスローラ、12,13…温度検知器、14…サーモスタット、21,22,23…コイル、24,25,26…コア、27…絶縁部材、28…ケース、29…ファン、30…メインコントローラ、32…スキャンコントローラ、40…プリントコントローラ、51…入力検出部、52…駆動回路、53…CPU、54,55,56,57…制御部、61,71…高周波発生回路、90…絶縁部材、91,92,93…保持部材、100,101…コイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートローラと、
前記ヒートローラの外側に設けられ、そのヒートローラを誘導加熱するための高周波磁界を発するコイルと、
を備え、
前記コイルは前記ヒートローラの軸方向に沿って配置された複数のコイルからなり、これらコイルのうち前記ヒートローラの軸方向端部と対応する部位が前記ヒートローラの軸方向と直行する方向に拡がっている、
ことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記複数のコイルは、第1コイルおよび第2コイルであり、
前記第1コイルは、前記ヒートローラの軸方向中央部と対応する位置に設けられ、かつ前記ヒートローラの軸方向と直行する方向の径が一定値に設定され、
前記第2コイルは、前記ヒートローラの軸方向端部と対応する位置に設けられ、前記ヒートローラの軸方向と直行する方向の径が前記一定値と同じ内側部分、およびその内側部分よりも軸方向端部側において前記ヒートローラの軸方向と直行する方向の径が前記一定値よりも大きい外側部分を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記ヒートローラは、芯金の上に断熱層、金属層、剥離層を順に積層して構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記ヒートローラの表面に加圧状態で接するプレスローラと、
前記プレスローラの外側に設けられ、そのプレスローラを誘導加熱するための高周波磁界を発するコイルと、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項1】
ヒートローラと、
前記ヒートローラの外側に設けられ、そのヒートローラを誘導加熱するための高周波磁界を発するコイルと、
を備え、
前記コイルは前記ヒートローラの軸方向に沿って配置された複数のコイルからなり、これらコイルのうち前記ヒートローラの軸方向端部と対応する部位が前記ヒートローラの軸方向と直行する方向に拡がっている、
ことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記複数のコイルは、第1コイルおよび第2コイルであり、
前記第1コイルは、前記ヒートローラの軸方向中央部と対応する位置に設けられ、かつ前記ヒートローラの軸方向と直行する方向の径が一定値に設定され、
前記第2コイルは、前記ヒートローラの軸方向端部と対応する位置に設けられ、前記ヒートローラの軸方向と直行する方向の径が前記一定値と同じ内側部分、およびその内側部分よりも軸方向端部側において前記ヒートローラの軸方向と直行する方向の径が前記一定値よりも大きい外側部分を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記ヒートローラは、芯金の上に断熱層、金属層、剥離層を順に積層して構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記ヒートローラの表面に加圧状態で接するプレスローラと、
前記プレスローラの外側に設けられ、そのプレスローラを誘導加熱するための高周波磁界を発するコイルと、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−152278(P2008−152278A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19436(P2008−19436)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【分割の表示】特願2004−75118(P2004−75118)の分割
【原出願日】平成16年3月16日(2004.3.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【分割の表示】特願2004−75118(P2004−75118)の分割
【原出願日】平成16年3月16日(2004.3.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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