説明

定電流回路およびフィールド機器

【課題】電流信号の伝送線上の負荷に流れる電流の値の変化を低減させることのできる定電流回路およびフィールド機器を提供する。
【解決手段】電流(電流信号)ISが流れる伝送線L1上の負荷Fに対して直列に接続され、該負荷Fに流れる負荷電流I1の値を検出する電流検出部21と、負荷Fおよび電流検出部21の上流で伝送線L1から分流して負荷Fおよび電流検出部21の下流で伝送線L1に合流するバイパス電流I2の値を、負荷電流I1の値に基づいて制御する電流制御部25と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係るいくつかの態様は、電流信号の伝送路における定電流回路およびフィールド機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電流信号の伝送路において、当該電流信号を用いてモニタの裏面に配置されたバックライトを点灯させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−276264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、伝送線に流れる電流信号の電流値が変化するため、電流値の変化に応じてバックライトの光量も変化してしまう、という問題があった。
【0005】
本発明のいくつかの態様は前述の問題に鑑みてなされたものであり、電流信号の伝送線上の負荷に流れる電流の値の変化を低減させることのできる定電流回路およびフィールド機器を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る定電流回路は、電流信号が流れる伝送線上の負荷に対して直列に接続され、該負荷に流れる負荷電流の値を検出する電流検出部と、負荷および電流検出部の上流で伝送線から分流して負荷および電流検出部の下流で伝送線に合流するバイパス電流の値を、負荷電流の値に基づいて制御する電流制御部と、を備える。
【0007】
かかる構成によれば、電流制御部は、負荷および電流検出部の上流で伝送線から分流して負荷および電流検出部の下流で伝送線に合流するバイパス電流の値を、負荷電流の値に基づいて制御する。ここで、バイパス電流は、負荷および電流検出部の上流で伝送線から分流しているので、分流点より上流において伝送線を流れる電流は、分流点において負荷電流とバイパス電流とに分けられる。よって、電流制御部は、バイパス電流の値を制御することで、負荷電流の値を間接的に制御することが可能となる。
【0008】
また、バイパス電流は負荷および電流検出部の下流で伝送線に合流しているので、合流点より下流において、伝送線にもとの電流(負荷電流+バイパス電流)が流れる。
【0009】
好ましくは、電流制御部は、負荷および電流検出部に対して並列に接続される。
【0010】
かかる構成によれば、電流制御部は、負荷および電流検出部に対して並列に接続される。したがって、バイパス電流の値を制御する電流制御部を容易に実現(構成)することができる。
【0011】
好ましくは、電流検出部は抵抗であり、電流制御部はトランジスタである。
【0012】
かかる構成によれば、電流検出部が抵抗であり、電流制御部がトランジスタである。したがって、定電流回路を容易かつ安価に実現(構成)することができる。
【0013】
好ましくは、負荷は発光体である。
【0014】
かかる構成によれば、負荷が発光体である。したがって、当該発光体はほぼ一定の光量を発することができる。
【0015】
また、本発明に係るフィールド機器は、前述の負荷と、前述の定電流回路と、を備える。
【0016】
かかる構成によれば、電流制御部は、負荷および電流検出部の上流で伝送線から分流して負荷および電流検出部の下流で伝送線に合流するバイパス電流の値を、負荷電流の値に基づいて制御する。ここで、バイパス電流は、負荷および電流検出部の上流で伝送線から分流しているので、分流点より上流において伝送線を流れる電流は、分流点において負荷電流とバイパス電流とに分けられる。よって、電流制御部は、バイパス電流の値を制御することで、負荷電流の値を間接的に制御することが可能となる。
【0017】
また、バイパス電流は負荷および電流検出部の下流で伝送線に合流しているので、合流点より下流において、伝送線にもとの電流(負荷電流+バイパス電流)が流れる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の定電流回路およびフィールド機器によれば、電流制御部は、バイパス電流の値を制御することで、負荷電流の値を間接的に制御することが可能となる。したがって、負荷電流の値に基づいてバイパス電流の値を制御することにより、伝送線を流れる電流の値が変化しても、負荷電流の値が所定(一定)の値になるように、バイパス電流の値を変化させることができ、負荷電流の値の変化を低減させることができる。また、バイパス電流は負荷および電流検出部の下流で伝送線に合流しているので、合流点より下流において、伝送線にもとの電流(負荷電流+バイパス電流)が流れる。したがって、伝送線を流れる電流の値に影響を及ぼさず(与えず)、電流信号が流れる伝送線上に挿入(設置)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】カレントループ方式の通信システムSの一例を説明する概略構成図である。
【図2】図1に示した発信器が測定した温度と伝送路を流れる電流との関係を示すグラフである。
【図3】図1に示した発信器が制御するバルブの開度と伝送路を流れる電流との関係を示すグラフである。
【図4】従来のフィールド機器の一例を説明するブロック図である。
【図5】仮想的なフィールド機器の例を説明するブロック図である。
【図6】本発明に係るフィールド機器の一例を説明するブロック図である。
【図7】図6に示した定電流回路部の一例を説明するブロック図である。
【図8】図6に示した定電流回路部の他の例を説明するブロック図である。
【図9】図7に示した定電流回路部の一例を説明する回路図である。
【図10】図7に示した定電流回路部の他の例を説明する回路図である。
【図11】図7に示した定電流回路部のさらに他の例を説明する回路図である。
【図12】伝送線を流れる電流と図11に示した定電流回路部の負荷電流との関係を示すグラフである。
【図13】図11に示した定電流回路部の変形例を説明する回路図である。
【図14】図11に示した定電流回路部の変形例を説明する回路図である。
【図15】図11に示した定電流回路部の変形例を説明する回路図である。
【図16】図11に示した定電流回路部の変形例を説明する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。なお、以下の説明において、図面の上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」という。
【0021】
図1ないし図16は、本発明に係る定電流回路およびフィールド機器の一実施形態を示すためのものである。図1は、カレントループ方式の通信システムSの一例を説明する概略構成図である。図1に示すように、通信システムSは、発信器Tと受信器Rとを備える。発信器Tと受信器Rとは、カレントループ方式の伝送路Nに接続されており、発信器Tは、伝送路Nを介して受信器Rに信号を送信する。
【0022】
カレントループ方式は、電流の値を信号として使用する伝送(通信)方式であり、所定範囲、例えば、4[mA]以上20[mA]以下の範囲で変化する電流ISの信号(電流信号)を伝送する方式である。一般に、電流は減衰しないので伝送距離が長くなっても誤差が生じにくいという利点がある。また、電流は電圧と比較して外乱やノイズの影響を受けにくいという利点もある。そのため、カレントループ方式は、比較的広い範囲に測定装置や制御装置が点在するプラントなどの計装システムにおいて広く使用されている。
【0023】
図2は、図1に示した発信器Tが測定した温度と伝送路Nを流れる電流ISとの関係を示すグラフである。例えば、発信器Tが0[℃]以上100[℃]以下の温度を測定する温度計である場合、発信器Tは、図2に示すように、測定温度の0[℃]を4[mA]の電流に対応させ、測定温度の100[℃]を20[mA]の電流に対応させて信号を送信する。この場合、発信器Tの測定温度が50[℃]であるときに、伝送路Nには12[mA]の電流ISが流れることになる。
【0024】
図3は、図1に示した発信器Tが制御するバルブの開度と伝送路Nを流れる電流ISとの関係を示すグラフである。また、別の例として、受信器Rが、0[%]以上100[%]の開度で開閉するバルブであり、発信器Tが、バルブの開度を制御する制御装置(コントローラ)である場合、発信器は、図3に示すように、バルブの開度の0[%]を4[mA]の電流に対応させ、バルブの開度の100[%]を20[mA]の電流に対応させて信号を送信する。この場合、バルブの開度を50[%]にしたいときに、伝送路Nには12[mA]の電流ISが流れることになる。
【0025】
このように、カレントループ方式における電流ISは、情報を伝達する機能(役割)を有しており、その値に応じて異なる意味を表している。
【0026】
前述したように、電流ISの値として、4[mA]以上20[mA]以下の範囲を用いる場合、伝送路Nには4[mA]以上の電流ISが流れていることになる。よって、伝送路Nに接続された装置(フィールド機器)は、この電流ISを電源(駆動源)として使用することが可能となる。このように、信号である電流ISを電源として使用する装置(フィールド機器)は二線式と呼ばれる。
【0027】
図4は、従来のフィールド機器200の一例を説明するブロック図である。図4に示すように、従来のフィールド機器200は、前述した伝送路Nを構成する伝送線L1,L2に接続されている。前述した電流ISは、伝送線L1を介してフィールド機器200に入力され、伝送線L2を介してフィールド機器200から出力される。
【0028】
フィールド機器200は、主な機能を実現する本体回路Mと、液晶表示器用のバックライトBLとを備えている。バックライトBLは、例えば、発光ダイオード(LED)などで構成され、伝送線L1に直列に接続されている。
【0029】
このように、バックライトBLは伝送線L1に流れる電流ISを電源(駆動源)として使用することができる。しかしながら、電流ISの値は、4[mA]〜20[mA]の範囲で変化するので、バックライトBLに流れる電流の値も同様に変化し、バックライトBLの光量は約5倍も変化してしまう。また、電流ISの値が短い時間で変化する場合、バックライトBLの光量も電流ISの値に応じて変化するので、ちらついて見えてしまう。その結果、従来のフィールド機器200では、作業性や製品の印象を著しく損ねてしまっていた。
【0030】
図5は、仮想的なフィールド機器200の例を説明するブロック図である。また、図5に示すように、バックライトBLに対して直列に定電流回路Cを接続すると、バックライトBLに所定(一定)の値の電流を流すことが可能となる。しかし、このように、伝送線L1上に定電流回路Cを設けると、本来伝送線L1に流れるべき電流ISが阻害されてしまう。例えば、図1ないし図3に示した例において、発信器Tが12[mA]の電流ISを伝送路Nに送信し、受信器Rが図5に示すフィールド機器200である場合、伝送線L1上の定電流回路Cが、電流ISの値を、例えば、12[mA]に制御してしまうと、50[℃]または50[%]という情報が、0[℃]または0[%]という情報に、変わってしまい、本体回路Mに正しい情報を伝達(伝送)することができない。
【0031】
図6は、本発明に係るフィールド機器100の一例を説明するブロック図である。これに対し、本発明に係るフィールド機器100は、端子T1を有する伝送線L1と、端子T2を有する伝送線L2と、が接続されている。伝送線L1の端子T1と伝送線L2の端子T2とは、例えば、図1に示す伝送路Nに接続され、図6において矢印で示すように、電流ISは、伝送線L1を介してフィールド機器100に入力され、伝送線L2を介してフィールド機器100から出力される。
【0032】
また、フィールド機器100は、定電流回路部10と、本体回路部50と、を備える。本体回路部50は、フィールド機器100の主な機能を実現するためのものである。
【0033】
図7は、図6に示した定電流回路部10の一例を説明するブロック図である。なお、図において上端の端子T3は、図6に示す端子T1側に接続され、下端の端子T4は、図6に示す本体回路部50側に接続されている。図7に示すように、定電流回路部10は、伝送線L1上に設けられた負荷Fと、定電流回路部20と、を含んで構成される。負荷Fは、定電流を流す対象となる素子(デバイス)または回路である。
【0034】
定電流回路20は、電流検出部21と、電流制御部25と、を備える。定電流回路20の内部で、伝送線L1は線路L1’とバイパス線LBとに分岐される。線路L1’上には、負荷Fに加え、電流検出部21が設けられている。これにより、電流検出部21は、負荷Fに対して直列に接続される。
【0035】
電流検出部21は、線路L1’を流れる電流、すなわち、負荷Fに流れる負荷電流I1の値を検出する。
【0036】
バイパス線LBは、負荷Fおよび電流検出部21の上流側の接続点P1で、伝送線L1から分岐するとともに、負荷Fおよび電流検出部11の下流側の接続点P2で、伝送線L1に合流する。
【0037】
電流制御部25は、バイパス線LB上に設けられる。これにより、電流制御部25は、負荷Fおよび電流検出部21に対して並列に接続される。
【0038】
電流制御部25には、電流検出部21から負荷電流I1の値が入力される。電流制御部25は、この負荷電流I1の値に基づいて、バイパス線LBを流れるバイパス電流I2の値を制御する。ここで、バイパス線LBは、負荷Fおよび電流検出部21の上流で伝送線L1から分岐しているので、端子T3において伝送線L1を流れる電流ISは、接続点P1において負荷電流I1とバイパス電流I2とに分けられる(IS=I1+I2)。
よって、電流制御部25は、バイパス電流I2の値を制御することで、負荷電流I1の値を間接的に制御することが可能となる。
【0039】
また、バイパス線LBは負荷Fおよび電流検出部21の下流で伝送線L1に合流しているので、端子T4において伝送線L1には電流ISが流れる。
【0040】
本実施形態では、定電流回路部10がフィールド機器100内部の伝送線L1に挿入(設置)される例を示したが、これに限定されず、フィールド機器100外部の伝送線L1に挿入(設置)されるようにしてもよい。
【0041】
図7では、電流検出部21が負荷Fの下流側で伝送線L1に接続される例を示したが、これに限定されない。
【0042】
図8は、図6に示した定電流回路部10の他の例を説明するブロック図である。例えば、図8に示すように、電流検出部21は、負荷Fの上流側で、負荷Fに対して直列に接続されるようにしてもよい。
【0043】
図9は、図7に示した定電流回路部10の一例を説明する回路図である。電流検出部21および電流制御部25の具体例として、例えば、以下の回路構成が挙げられる。すなわち、図9に示すように、電流検出部21は、線路L1’上に設けられた1つの抵抗R1と、1つのオペアンプOP1と、3つの抵抗R2、R3、R4と、を含んで構成することができる。また、電流制御部25は、バイパス線LB上に設けられた1つのPNP型のバイポーラトランジスタT1と、1つの抵抗R5と、1つのオペアンプOP2と、1つの直流電圧源E1と、を含んで構成することができる。電流検出部21および電流制御部25をこのように構成することにより、高い精度で負荷電流I1の値の変化を低減させることができる。
【0044】
図10は、図7に示した定電流回路部10の他の例を説明する回路図である。また、負荷電流I1の値に関して高い精度が要求されない場合、電流検出部21および電流制御部25は、例えば、以下の回路構成を採用してもよい。すなわち、図10に示すように、電流検出部21は、線路L1’上に設けられた1つの抵抗R1である。また、電流制御部25は、バイパス線LB上に設けられた1つのNPN型のバイポーラトランジスタT2である。NPN型のバイポーラトランジスタT2は、コレクタが接続点P1側に、エミッタが接続点P2側に、ベースが、負荷Fと電流検出部21の抵抗R1との間の接続点P3側に、それぞれ接続されている。このように、電流検出部21が1つの抵抗であり、電流制御部25が1つのトランジスタであることにより、定電流回路20を容易かつ安価に実現(構成)することができる。
【0045】
図11は、図7に示した定電流回路部10のさらに他の例を説明する回路図である。また、負荷電流I1の値に関して高い精度が要求されない負荷Fとして、例えば、パイロットランプや液晶表示器などのバックライトなどの発光体が挙げられる。すなわち、図11に示すように、負荷Fは、発光体の一例として、1つの発光ダイオードLED1である。また、電流検出部21は、図10に示した例と同様に、1つの抵抗R1であり、電流制御部25は、図10に示した例と同様に、1つのNPN型のバイポーラトランジスタT2である。
【0046】
図12は、伝送線L1を流れる電流ISと図11に示した定電流回路部10の負荷電流I1との関係を示すグラフである。図11に示す定電流回路部10において、電流ISの値が4[mA]から20[mA]まで変化したときに、NPN型のバイポーラトランジスタT2のベースとエミッタとの間の電圧VBEと、NPN型のバイポーラトランジスタT2のコレクタとエミッタとの間の電圧VCEと、負荷電流I1と、のシミュレーション結果を図12に示す。なお、図12において、横軸は電流IS、左の縦軸は電圧VBEおよび電圧VCE、右の縦軸は負荷電流I1、をそれぞれ表している。図12に示すように、負荷電流I1は、約3.6[mA]から約4.2[mA]まで、約十数パーセント変化している。これにより、負荷電流が約5倍変化する従来のフィールド機器200と比較して、負荷電流I1の値の変化を大幅に低減させることができる。
【0047】
また、約十数パーセント程度の変化であれば、発光ダイオードLED1の光量の変化は、視覚的にほとんど認識されることはない。よって、発光ダイオードLED1は、ほぼ一定の光量を発するとみなすことができる。このように、負荷Fが発光体であることにより、当該発光体はほぼ一定の光量を発することができる。
【0048】
図11では、電流制御部25としてNPN型のバイポーラトランジスタT2を用いる例を示したが、これに限定されない。
【0049】
図13は、図11に示した定電流回路部10の変形例を説明する回路図である。例えば、図13に示すように、定電流回路部10は、電流制御部25として、1つのPNP型のバイポーラトランジスタT3を用いるようにしてもよい。この場合、PNP型のバイポーラトランジスタT3は、エミッタが接続点P1側に、コレクタが接続点P2側に、ベースが接続点P3側に、それぞれ接続されている。
【0050】
また、電流制御部25として用いるトランジスタは、バイポーラトランジスタT2、T3に限定されない。
【0051】
図14および図15は、図11に示した定電流回路部10のさらに他の例を説明する回路図である。例えば、図14に示すように、定電流回路部10は、電流制御部25として、N型のMOSタイプの電界効果トランジスタ(MOS−FET)T4を用いるようにしてもよい。また、図15に示すように、定電流回路部10は、電流制御部25として、P型のMOSタイプの電界効果トランジスタ(MOS−FET)T5を用いるようにしてもよい。この場合、N型のMOSタイプの電界効果トランジスタT4およびP型のMOSタイプの電界効果トランジスタT5は、いずれも、ドレインが接続点P1側に、ソースが接続点P2側に、ゲートが接続点P3側に、それぞれ接続されている。
【0052】
図16は、図11に示した定電流回路部10のさらに他の例を説明する回路図である。さらに、負荷Fとして用いる発光ダイオードLED1は、1つである場合に限定されず、例えば、図15に示すように、複数の、例えば3つの発光ダイオードLED2、LED3、LED4を用いるようにしてもよい。
【0053】
本実施形態では、伝送路Nおよび伝送線L1,L2を流れる電流として、カレントループ方式の電流ISの例を示したが、これに限定されず、電流信号であれば、他の方式の電流であってもよい。また、カレントループ方式を採用する場合でも、4[mA]以上20[mA]以下の範囲で変化する電流に限定されず、他の範囲で変化する電流であってもよい。
【0054】
また、本実施形態では、1つの伝送路Nに接続される2線式のフィールド機器100の例を示したが、これに限定されず、2つ以上の伝送路に接続されるフィールド機器であってもよい。また、2線式のフィールド機器にも限定されず、例えば、4線式のフィールド機器であってもよい。
【0055】
このように、本実施形態における定電流回路20およびフィールド装置100によれば、電流制御部25は、負荷Fおよび電流検出部21の上流で伝送線L1から分流して負荷Fおよび電流検出部21の下流で伝送線L1に合流するバイパス電流I2の値を、負荷電流I1の値に基づいて制御する。ここで、バイパス線LBは、負荷Fおよび電流検出部21の上流で伝送線L1から分岐しているので、端子T3において伝送線L1を流れる電流ISは、接続点P1において負荷電流I1とバイパス電流I2とに分けられる(IS=I1+I2)。よって、電流制御部25は、バイパス電流I2の値を制御することで、負荷電流I1の値を間接的に制御することが可能となる。したがって、負荷電流I1の値に基づいてバイパス電流I2の値を制御することにより、電流ISの値が変化しても、負荷電流I1の値が所定(一定)の値になるように、バイパス電流I2の値を変化させることができ、負荷電流I1の値の変化を低減させることができる。
【0056】
また、バイパス線LBは負荷Fおよび電流検出部21の下流で伝送線L1に合流しているので、端子T4において伝送線L1には電流ISが流れる。したがって、電流ISの値に影響を及ぼさず(与えず)、電流信号が流れる伝送線L1,L2上に挿入(設置)することができる。
【0057】
また、本実施形態における定電流回路20およびフィールド装置100によれば、電流制御部25は、負荷Fおよび電流検出部21に対して並列に接続される。したがって、バイパス電流I2の値を制御する電流制御部25を容易に実現(構成)することができる。
【0058】
また、本実施形態における定電流回路20およびフィールド装置100によれば、電流検出部21が抵抗であり、電流制御部25がトランジスタである。したがって、定電流回路20を容易かつ安価に実現(構成)することができる。
【0059】
また、本実施形態における定電流回路20およびフィールド装置100によれば、負荷Fが発光体である。したがって、当該発光体はほぼ一定の光量を発することができる。
【0060】
なお、前述した実施形態の構成は、組み合わせたり、あるいは一部の構成部分を入れ替えたりしたりしてもよい。また、本発明の構成は前述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…定電流回路部
20…定電流回路
21…電流検出部
25…電流制御部
50…本体回路部
100…フィールド機器
F…負荷
1…負荷電流
2…バイパス電流
s…電流(電流信号)
L1,L2…伝送線
L1’…線路
LB…バイパス線
P1,P2,P3…接続点
T1,T2,T3,T4…端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流信号が流れる伝送線上の負荷に対して直列に接続され、該負荷に流れる負荷電流の値を検出する電流検出部と、
前記負荷および前記電流検出部の上流で前記伝送線から分流して前記負荷および前記電流検出部の下流で前記伝送線に合流するバイパス電流の値を、前記負荷電流の値に基づいて制御する電流制御部と、を備える
ことを特徴とする定電流回路。
【請求項2】
前記電流制御部は、前記負荷および前記電流検出部に対して並列に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の定電流回路。
【請求項3】
前記電流検出部は抵抗であり、前記電流制御部はトランジスタである
ことを特徴とする請求項1または2に記載の定電流回路。
【請求項4】
前記負荷は発光体である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の定電流回路。
【請求項5】
前記負荷と、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の定電流回路と、を備える
ことを特徴とするフィールド機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−15943(P2013−15943A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147037(P2011−147037)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】