説明

定電流式電荷ポンプ

【課題】 定電流式電荷ポンプの提供。
【解決手段】 ポンプ回路の出力に電流検出回路及び調節回路を設け、これによりポンプ回路の出力電流を制御する。負荷が変動する時、出力電流変化を検出してポンプ回路の増圧出力が必要な電流を調節し、出力電流を安定させる効果を達成し、且つ異なる入力電圧及び負荷変化に対して、その出力電流変化を相当に小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の電荷ポンプの技術に係り、特に、発光ダイオード駆動回路に応用される電荷ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話及び携帯情報端末機(PDA)等、携帯式電子製品の液晶ディスプレイは次第に白黒スクリーンからカラースクリーンへと変わっている。液晶自身は発光しないため、液晶ディスプレイはバックライト照明がなければスクリーンの情報を表示できない。携帯式電子製品のバックライトユニットは節電を考慮して、白色LEDが急速に伝統的なバルブにとって代わり、バックライトユニットの主要な発光素子となっている。白色LEDを点灯するには高い順方向電圧と順方向電流が必要で、特にそのバックライトユニットの電流制御は、携帯式電子製品の電池作業時間に対して絶対的影響を有し、高い点灯効率に必要な電荷ポンプ設計倍数はよく見られるものに1.5倍と2倍の二種類がある。
【0003】
一般に白色LED駆動チップ(driver IC)を応用すると、入力電圧は高くなく、通常2.6Vから3.5Vであるが、白色LEDの応用には電流を用いての駆動が必要で、一般には20mAとされる。白色LEDの順方向電圧(約3.6V〜4V)は入力電圧に較べて高いため、ゆえに我々は電荷ポンプ回路を用いて入力電圧を高くする必要がある。
【0004】
図1は既存の電荷ポンプ製品中、2倍(2x)の電荷ポンプ(charge pump)回路10を示す。一般に2倍の電荷ポンプ回路10にはポンプ容量Cpが外接され、その出力に接地された出力容量Coが接続されている。電荷ポンプ回路10の特性は、単純に入力電圧を2倍に増圧することとされ、ゆえに安定し調節された電流を達成するためには負荷20(白色LED)の後ろに電流調節器30を加える必要があり、電流調節器30を負荷20に直列に接続させることで定電流20mAを得られる。
【0005】
図2は充電トランジスタ11と放電トランジスタ12を設けた電荷ポンプ回路10を示し、それは該ポンプ容量Cpの両端のピンに外接されたパッド(PAD)PC1とPC2、及び出力端OUTの負荷20のピンに接続されたパッドPOUT 、及び接地するパッドPGNDを有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図2の従来の電荷ポンプ回路10において、この電流調節器30を電荷ポンプIC内に整合させるなら、ICにピンを増設して負荷20に接続し、負荷20と電流調節器30を直列に接続する必要があり、且つ白色LEDの電流要求は非常に大きいため、このピン数は複数のパッドPlED 並列に接続させて電力供給する必要があり(図中では10個のパッドPlED が設けられた場合を例としている)、ゆえに、全体的に考慮すると、パッドPlED の増加によりIC面積が増加し、且つ多くのパッドをレイアウトするのは容易ではない。
【0007】
本発明は、上述の従来の技術の欠点を解決し、欠点を存在させないようにするため、負荷を除去した後に電流調節器を加える方法により、ピンの設計を簡易化することを目的とする。本発明は出力電圧と負荷(白色LED)の間に検出及び調節回路を加えて定電流式電荷ポンプを形成し、出力電流変化を検出することで増圧(pump)して出力する必要がある電流を調節し、これにより出力電流を安定させ、且つ異なる入力電圧及び負荷の変化に対して、その出力電流変化を相当に小さくする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、定電流式電荷ポンプにおいて、該定電流式電荷ポンプ(100)は、
電圧を増圧増幅するポンプ回路(110)と、
該ポンプ回路(110)に接続されたポンプ容量(Cp)を制御するインバータ(101)と、
該ポンプ回路(110)の出力部分に設けられて、出力電流を検出し且つ電流を電圧に変換する電流検出回路(120)と、
入力電圧(VDD)と該電流検出回路(120)の送出する電圧に接続され、マイナスフィードバックのメカニズムを形成して該ポンプ回路(110)の出力電流を調節する調節回路(130)と、
を包含したことを特徴とする、定電流式電荷ポンプとしている。
請求項2の発明は、請求項1記載の定電流式電荷ポンプにおいて、該電流検出回路(120)は、
該ポンプ回路(110)と出力端(OUT)に接続されて出力電流を検出する抵抗(121)と、
該抵抗(121)の両端電圧に接続され、且つ電圧を増幅して該調節回路(130)に送る電圧増幅器(122)と、
を包含したことを特徴とする、定電流式電荷ポンプとしている。
請求項3の発明は、請求項1記載の定電流式電荷ポンプにおいて、該調節回路(130)は、
該電流検出回路(120)の送る電圧に接続されて参考電圧(Vref )と比較する誤差増幅器(131)と、
入力電圧(VDD)に接続され且つ該誤差増幅器(131)の制御を受け、該ポンプ回路(110)の出力電流を調節する調節トランジスタ(132)と、
を包含したことを特徴とする、定電流式電荷ポンプとしている。
請求項4の発明は、請求項1記載の定電流式電荷ポンプにおいて、該調節回路(130)は、該インバータ(101)に接続され、該インバータ(101)により該ポンプ容量(Cp)が必要とする増圧電圧(Vjmp )が増加されることを特徴とする、定電流式電荷ポンプとしている。
請求項5の発明は、請求項1記載の定電流式電荷ポンプにおいて、該調節回路(130)は、該ポンプ回路(110)の入力端に接続され、該調節トランジスタ(132)が増圧入力を必要とする電流量を制御して該ポンプ回路(110)内の充電トランジスタ(111)に与えることを特徴とする、定電流式電荷ポンプとしている。
【発明の効果】
【0009】
我々はポンプ回路の出力に電流検出回路と調節回路を設け、ポンプ回路の出力電流を制御して、負荷変動時に、この回路がポンプ電流量を変更するようにし、これにより、出力電流を調節する目的を達成する。この方式は負荷の後ろに電流調節器を増設する必要がなく、且つ異なる入力電圧及び負荷変化に対して、その出力電流変化は相当に小さく、約0.5%内であり、結果の表現は電流調節器を外付けした場合の結果に相当接近し、満足のゆくものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は一種の定電流式電荷ポンプであり、該定電流式電荷ポンプは、電圧を増圧増幅するポンプ回路、該ポンプ回路に外接されたポンプ容量を制御するインバータ、ポンプ回路の出力部分に設けられて、出力電流を検出し且つ電流を電圧に変換する電流検出回路、及び、入力電圧と該電流検出回路の送出した電圧を導入し、マイナスフィードバックのメカニズムを形成して該ポンプ回路の出力電流を調節する調節回路、を包含する。
【0011】
そのうち、該電流検出回路は該ポンプ回路と出力端に接続されて出力電流を検出するのに用いられる抵抗、及び、該抵抗の両端に電圧を導入し且つ電圧を増幅して該調節回路に伝送する電圧増幅器を包含する。
【0012】
該調節回路は該電流検出回路が送る電圧を導入して参考電圧と比較する誤差増幅器、及び、入力電圧を導入し且つ該誤差増幅器の制御を受けて該ポンプ回路の出力電流を調節する調節トランジスタを包含する。
【0013】
そのうち、該調節回路は該インバータに接続され、該インバータにより該ポンプ容量が必要とする増圧電圧を増加する。或いは該調節回路は該ポンプ回路の入力端に接続され、該調節トランジスタが増圧入力を必要とする電流を制御して該ポンプ回路内の充電トランジスタに与える。
【実施例1】
【0014】
図3は本発明の定電流式電荷ポンプの接続表示図である。2倍(2x)の電荷ポンプを例とすると、本発明の定電流式電荷ポンプ100は、一般の電荷ポンプ回路と同様に、ポンプ容量Cpが接続され、その出力に、接地する出力容量Coが接続されている。該定電流式電荷ポンプ100の特性は、入力電圧を2倍に倍圧し、且つ定電流20mAを負荷200(白色LED)に与えることである。
【0015】
図4の本発明の定電流式電荷ポンプの回路表示図に示されるように、該定電流式電荷ポンプ100内には、充電トランジスタ111と放電トランジスタ112が入力電圧VDDと出力端OUTの間に順に設置されて形成されたポンプ回路110を包含し、該定電流式電荷ポンプ100の、ポンプ容量Cpに外接された一端は、該充電トランジスタ111と該放電トランジスタ112の間に接続され、もう一端はインバータ101の出力端に接続される。且つ該定電流式電荷ポンプ100の出力端OUTに接地された出力容量Coと負荷200(例えば白色LED)が接続されている。
【0016】
本発明は出力端OUTの前に電流検出回路120と調節回路130が設置され、これにより該定電流式電荷ポンプ100の出力電流を制御し、該電流検出回路120が出力電流変化を検出し、該調節回路130がマイナスフィードバックのメカニズムと適当な出力電流調節メカニズムを利用して急速負荷応答と電流安定化の作用を達成し、増圧(pump)出力が必要な電流を調節し、負荷200が変動する時、該定電流式電荷ポンプ100の電流量を変更して、出力電流調節の目的を達成する。
【0017】
そのうち、電流検出回路120は、該ポンプ回路110と該出力端OUTの間に接続された抵抗121を包含し、該抵抗121は出力電流検出に用いられ、電圧増幅器122が該抵抗121の両端に接続されて、該抵抗121の両端の電圧差を該調節回路130に伝える。該調節回路130は誤差増幅器131と調節トランジスタ132を包含し、該誤差増幅器131は該電圧増幅器122の出力する電圧を導入し、該誤差増幅器131を利用してマイナスフィードバックのメカニズムにより出力電流を調節し、該誤差増幅器131のプラス端が参考電圧Vref (例えば1.5V)を導入する時、出力電流を変換した電圧を更に該誤差増幅器131のマイナス端に入力し、該誤差増幅器131により該調節トランジスタ132によりどれだけの電流を該インバータ101より該ポンプ容量Cpに増圧(pump)出力するかを制御する。
【0018】
該負荷200が必要とする電流が大きくなる時、該誤差増幅器131の導入するフィードバック電圧は大きくなり、すなわち、該誤差増幅器131がこの誤差電圧を検出し、該調節トランジスタ132を制御して比較的少ない電流を通過させてフィードバック電圧を参考電圧Vref (例えば1.2V)に安定させ、出力電流とフィードバック電圧は該電圧増幅器122の倍率(6倍)及び該抵抗121(10Ω)の倍数であるため、ゆえに出力電流は20mAに安定しうる。
【0019】
本発明の定電流式電荷ポンプ100回路は定電流を負荷200に提供でき、出力電流を調節する目的を達成し、且つポンプ回路110或いは負荷200の後ろに余分に電圧増幅器を増設する必要がなく、ゆえにICピン設計を簡易化できる。
【0020】
図5は図4の詳細な回路図である。仮に定電流式電荷ポンプ100が2xポンプ回路であるとすると、該ポンプ回路110中の充電トランジスタ111と放電トランジスタ112はそれぞれ第1クロックCK1と第2クロックCK2の制御を受け、そのうち、該第1クロックCK1と第2クロックCK2のクロック信号は相反する。及びp型トランジスタとn型トランジスタで構成されたインバータ101は、その第3クロックCLKと第2クロックCK2のクロック信号が同期し、且つ入力端は入力電圧VDD(一般に約2.6Vー3.5V)を導入する。そのうち、該ポンプ容量Cpは該インバータ101の出力端と該充電トランジスタ111と放電トランジスタ112の間の接点に設置される。
【0021】
該負荷200の必要な電流が大きくなる時、該抵抗121の両端の電圧差も大きくなり、該電圧増幅器122により変換された電圧が誤差増幅器131に提供され、該誤差増幅器131がこの誤差電圧を検出し、該調節トランジスタ132に比較的少ない電流が流れるように制御してフィードバック電圧を参考電圧Vref (例えば1.2V)に安定させ、該誤差増幅器131は則ち、該調節トランジスタ132を制御して該インバータ101より増圧出力させる電流量を制御し、これにより該ポンプ容量Cpの必要とする増圧電圧Vjmp を増加し、すなわち、該定電流式電荷ポンプ100の出力電圧Vout は、ポンプ回路110中の充電トランジスタ111が導入する入力電圧VDDに該増圧電圧Vjmp を加えたものとされる。
【実施例2】
【0022】
図6は本発明の定電流式電荷ポンプの別の詳細な電気回路図であり、図4及び図5との違いは、該調節回路130の調節トランジスタ132が該ポンプ回路110の前に接続され、こうして本実施例が該充電トランジスタ111の前に設けられることである。実施動作上、該負荷200の必要とする電流が大きくなるとき、該抵抗121の両端の電圧差も大きくなり、該電圧増幅器122により変換された電圧が該誤差増幅器131に提供され、該誤差増幅器131がこの誤差電圧を検出して、該調節トランジスタ132を比較的少ない電流が通過するように制御してフィードバック電圧を参考電圧Vref (例えば1.2V)に安定させる。該誤差増幅器131はすなわち該調節トランジスタ132を制御して、該ポンプ回路110の充電トランジスタ111が必要とする入力電圧Vinを提供させ、定電流式電荷ポンプ100の出力電圧Vout は該インバータ101より導入される電圧源電圧VDDにこの入力電圧Vinを加えたものとされる。
【0023】
本発明の精神は、電流調節器のように安定電流を生成でき、この回路に電流調節器を外接するためにピンとパッド数(パッドPLED )を増加しないようにすることにある。本発明はポンプ回路110と負荷200の間に制御回路(電流検出回路120と調節回路130)を加え、この回路は水管のようであり、電圧を入力するか或いは負荷抵抗が変化する時、この回路は管路の太さの変化を検出することで電流量を安定させ、このとき入力電圧及び負荷内抵抗はそれ以上出力電流を決定せず、それはこの制御回路により決定され、これにより我々が必要とする、負荷及び入力電圧に伴い変動しない電流を得る。
【0024】
ただし、上述の実施例は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の実施の範囲を限定するものではなく、本発明の請求範囲に基づきなしうる同等の変化と修飾は、いずれも本発明の請求範囲に属するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】周知の電荷ポンプ回路の接続表示図である。
【図2】周知の電荷ポンプ回路の回路表示図である。
【図3】本発明の定電流式電荷ポンプの接続表示図である。
【図4】本発明の定電流式電荷ポンプの回路表示図である。
【図5】図4の詳細な実施回路図である。
【図6】本発明の定電流式電荷ポンプの別の詳細な実施回路図である。
【符号の説明】
【0026】
10 電荷ポンプ回路
11 充電トランジスタ
12 放電トランジスタ
20 負荷
30 電流調節器
100 定電流式電荷ポンプ
101 インバータ
110 ポンプ回路
111 充電トランジスタ
112 放電トランジスタ
120 電流検出回路
121 抵抗
122 電圧増幅器
130 調節回路
131 誤差増幅器
132 調節トランジスタ
200 負荷
Cp ポンプ容量
Co 出力容量
OUT 出力端
C1、PC2 パッド
OUT パッド
GND パッド
lED パッド
VDD 入力電圧
ref 参考電圧
out 出力電圧
jmp 増圧電圧
CK1 第1クロック
CK2 第2クロック
CLK 第3クロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定電流式電荷ポンプにおいて、該定電流式電荷ポンプ(100)は、
電圧を増圧増幅するポンプ回路(110)と、
該ポンプ回路(110)に接続されたポンプ容量(Cp)を制御するインバータ(101)と、
該ポンプ回路(110)の出力部分に設けられて、出力電流を検出し且つ電流を電圧に変換する電流検出回路(120)と、
入力電圧(VDD)と該電流検出回路(120)の送出する電圧に接続され、マイナスフィードバックのメカニズムを形成して該ポンプ回路(110)の出力電流を調節する調節回路(130)と、
を包含したことを特徴とする、定電流式電荷ポンプ。
【請求項2】
請求項1記載の定電流式電荷ポンプにおいて、該電流検出回路(120)は、
該ポンプ回路(110)と出力端(OUT)に接続されて出力電流を検出する抵抗(121)と、
該抵抗(121)の両端電圧に接続され、且つ電圧を増幅して該調節回路(130)に送る電圧増幅器(122)と、
を包含したことを特徴とする、定電流式電荷ポンプ。
【請求項3】
請求項1記載の定電流式電荷ポンプにおいて、該調節回路(130)は、
該電流検出回路(120)の送る電圧に接続されて参考電圧(Vref )と比較する誤差増幅器(131)と、
入力電圧(VDD)に接続され且つ該誤差増幅器(131)の制御を受け、該ポンプ回路(110)の出力電流を調節する調節トランジスタ(132)と、
を包含したことを特徴とする、定電流式電荷ポンプ。
【請求項4】
請求項1記載の定電流式電荷ポンプにおいて、該調節回路(130)は、該インバータ(101)に接続され、該インバータ(101)により該ポンプ容量(Cp)が必要とする増圧電圧(Vjmp )が増加されることを特徴とする、定電流式電荷ポンプ。
【請求項5】
請求項1記載の定電流式電荷ポンプにおいて、該調節回路(130)は、該ポンプ回路(110)の入力端に接続され、該調節トランジスタ(132)が増圧入力を必要とする電流量を制御して該ポンプ回路(110)内の充電トランジスタ(111)に与えることを特徴とする、定電流式電荷ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−70951(P2009−70951A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236280(P2007−236280)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(505467775)▲しい▼創電子股▲ふん▼有限公司 (13)
【Fターム(参考)】