説明

実装部品の電気検査方法および電気検査治具

【課題】プリント配線板に実装され、上部に開口部を有する実装部品の導通状態を電気的に検査するに際して、前記実装部品の端子との摺擦を抑制して破損を防止するとともに前記端子との接続を確実にする。さらに、検査用治具の電極が劣化または破損時には、簡単かつ迅速に交換できるようにする。
【解決手段】プリント配線板50に実装されたときに上部に開口部101を有する実装部品100の導通状態を電気的に検査する方法において、片面に設けた回路22を外側にして折り返されたフレキシブルプリント配線板21の隙間に拡張手段30を介装して電気検査治具10の導通部20を形成し、該導通部20を前記実装部品100の開口部101に挿入した後に、前記拡張手段30を拡張させてフレキシブルプリント配線板21の隙間を拡張し、該フレキシブルプリント配線板21の回路22に設けた電極23を実装部品100の端子102に接触させて導通状態を検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は実装部品の電気検査方法および電気検査治具に関するものであり、特に、プリント配線板に実装されたときに上部に開口部を有するコネクタやソケットなどの実装部品の導通状態を電気的に検査する方法および該電気検査方法に使用される電気検査治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レセプタクルやソケットなどのように、上部に開口部を有するコネクタをプリント配線板に実装し、該コネクタに他のプリント配線板やケーブルのコネクタあるいは電子部品を挿入して接続することは広く知られている。
【0003】
例えば特許文献1では、一方の回路基板に上部に開口部を有するレセプタクルを実装し、他方の回路基板に突出部を有するプラグを配置して、前記レセプタクルにプラグを挿入して双方の回路基板を接続する構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、中空四角柱状の基枠と、その開口部の内面に形成された複数の端子とからなるソケットを回路基板に実装し、側面にコ字状の端子を備えたチップ部品を前記ソケットの開口部へ挿入してチップ部品を取り付ける構成が開示されている。
【0005】
これら接続用の実装部品をプリント配線板に実装した後は、実装部品がプリント配線板の回路と確実に電気的接続されているかどうかを確認するために、導通状態を電気的検査にて行っている。
【0006】
図7は従来の電気的検査方法の一例を示し、プリント配線板50の表面に実装された実装部品100は、実装された状態で上部に開口部101を有しており、開口部101の内部に設けられている端子102と、実装部品100の外部に設けられている端子103またはプリント配線板50の回路に、電気検査治具から突出するプローブピン104をそれぞれ接触させて導通状態を検査する方法である。また、特許文献3では、コネクタ自体に導電プローブを挿入するための穴を設けたり、プリント配線板に検査用の端子を設けたりしている。
【0007】
一方、図8に示すように、実装部品100の開口部101に嵌合できるテストヘッド105に電気検査治具からの導通部の電極106を設け、該テストヘッド105を実装部品100の開口部101に嵌合して、導通部の電極106と開口部の端子102を接触させるとともに、図示しないプローブを外部の端子103またはプリント配線板50の回路に接触させて、導通状態を検査する方法がある。例えば特許文献4では、テストヘッダのブロックにコネクタ用テストプローブを配列するとともに、該テストプローブのピッチをコネクタのコンタクトと同程度のピッチに設定し、コンタクトとテストプローブとが面接触するように形成してある。
【0008】
さらに、図9に示すように、補強部材107の側面にフレキシブルプリント配線板108を、その電極109が外側になるように貼り付け、実装部品100の開口部101へ前記補強部材107とフレキシブルプリント配線板108を一体的にしたものを挿入して、フレキシブルプリント配線板の電極109と開口部の端子102を接触させるとともに、プローブを外部の端子103またはプリント配線板50の回路に接触させて、導通状態を検査する方法もある。例えば、特許文献5では、樹脂などで成形された型板にフレキシブルプリント配線板を屈曲させて接着し、コネクタの端子群間に前記屈曲したフレキシブルプリント配線板を挿入して、フレキシブルプリント配線板の電極とコネクタの端子が接触するように形成してある。
【特許文献1】特開平10−55865号公報
【特許文献2】特開平4−51785号公報
【特許文献3】特開平5−144520号公報
【特許文献4】特開平7−311242号公報
【特許文献5】特開昭58−147904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1記載のコネクタや特許文献2記載のソケットのように、上部に開口部を有する実装部品は、近年電子機器の小型化に伴って端子の微細化および多ピン化が進み、実装部品の上部に設けた開口部の幅も狭くなりつつある。
【0010】
このため、電気検査するに際して、例えば図7のように、導電プローブを使用する場合は細いプローブピンを使用しなくてはならず、プローブピンの折れや曲がりによって、端子との接触信頼性が損なわれるおそれがある。また、特許文献3のように、実装部品自体に穴を設けることは、端子の微細化および多ピン化に対応するのに限界があり、プリント配線板に検査用の端子を設けることも、実装密度の向上への阻害要因となる。
【0011】
一方、図8や特許文献4のように、テストヘッドを実装部品の開口部に嵌合させる場合は、テストヘッドの導通部と実装部品の端子が摺擦し合うため、挿入離脱を繰り返すと実装部品の端子が摺擦によって破損するおそれがある。また、テストヘッド自体も挿入離脱の繰り返しによって導通部が破損しやすくなり、比較的短時間で使用不可になるおそれがある。
【0012】
さらに、図9や特許文献5のように、実装部品の開口部に挿入する導通部分にフレキシブルプリント配線板を使用する場合は、導通部が破損したときの交換が前述したテストヘッドの場合に比べて容易であるが、摺擦によるフレキシブルプリント配線板の電極や実装部品の端子の破損は防止できない。
【0013】
このように、従来の電気検査方法は、端子の微細化および多ピン化に対して、効果的な対応が困難になっている。そこで、本発明は、プリント配線板に実装されたときに上部に開口部を有する実装部品の導通状態を電気的に検査するに際して、検査用治具の導通部と実装部品の開口部との挿入離脱時に、導通部の電極と実装部品の端子との摺擦を抑制して破損を防止するとともに、電気検査時には前記導通部の電極と前記実装部品の端子とを確実に接続できるようにし、さらに、検査用治具の導通部の電極が劣化または破損したときには、簡単かつ迅速に交換できるような実装部品の電気検査方法および電気検査治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、プリント配線板に実装されたときに上部に開口部を有する実装部品の導通状態を電気的に検査する方法において、片面に設けた回路を外側にして折り返されたフレキシブルプリント配線板の隙間に拡張手段を介装して電気検査治具の導通部を形成し、該導通部を前記実装部品の開口部に挿入した後に、前記拡張手段を拡張させてフレキシブルプリント配線板の隙間を拡張し、該フレキシブルプリント配線板の回路に設けた電極を実装部品の端子に接触させて導通状態を検査することを特徴とする実装部品の電気検査方法を提供する。
【0015】
この構成によれば、実装部品の開口部に電気検査治具の導通部を挿入する際は、拡張手段を拡張させずに、導通部の厚みが薄い状態で挿入する。そして、該導通部を前記実装部品の開口部に挿入した後に、前記拡張手段を拡張させてフレキシブルプリント配線板の隙間を拡張すれば、フレキシブルプリント配線板の外側に設けた回路の電極が実装部品の端子に接触し、導通状態の電気検査を行う。電気検査を終えたときは、前記拡張手段の拡張を解除し、導通部の厚みが薄い状態に戻して実装部品の開口部から引き抜く。
【0016】
このように、電気検査治具の導通部を実装部品の開口部へ挿入または離脱させるときは、導通部の厚みが薄い状態で行うので、導通部の電極と開口部内の端子との摺擦を抑止し、電気検査時には拡張手段を拡張させて、導通部の電極と実装部品の端子とを確実に接続させる。
【0017】
請求項2記載の発明は、上記導通部の拡張手段は、通電時に外側へ変形して上記フレキシブルプリント配線板の隙間を拡張させる電歪素子からなることを特徴とする請求項1記載の電気検査方法に使用される電気検査治具を提供する。
【0018】
この構成によれば、上記導通部の拡張手段は電歪素子からなり、該導通部を上記開口部に挿入する際は、電歪素子に通電せずに該電歪素子が非変形で導通部の厚みが薄い状態で挿入する。そして、該導通部を開口部に挿入した後に、電歪素子に通電すれば該電歪素子が外側へ変形し、フレキシブルプリント配線板の隙間が拡張して、回路の電極が実装部品の端子に接触する。
【0019】
請求項3記載の発明は、上記導通部の拡張手段は、面状発熱体と、該面状発熱体の両面に密着され加熱時に外側へ変形して上記フレキシブルプリント配線板の隙間を拡張させるバイメタルとからなることを特徴とする請求項1記載の電気検査方法に使用される電気検査治具を提供する。
【0020】
この構成によれば、上記導通部の拡張手段は面状発熱体とバイメタルとからなり、該導通部を上記開口部に挿入する際は、面状発熱体に通電せずに常温状態とし、バイメタルが面状発熱体に密着して導通部の厚みが薄い状態で挿入する。そして、該導通部を開口部に挿入した後に、面状発熱体に通電すれば該面状発熱体が発熱し、この発熱によりバイメタルが外側へ変形し、フレキシブルプリント配線板の隙間が拡張して、回路の電極が実装部品の端子に接触する。
【0021】
請求項4記載の発明は、上記導通部の拡張手段は、袋状部材と、前記袋状部材を膨拡させて上記フレキシブルプリント配線板の隙間を拡張させる流体圧送手段とからなることを特徴とする請求項1記載の電気検査方法に使用される電気検査治具を提供する。
【0022】
この構成によれば、上記導通部の拡張手段は袋状部材と流体圧送手段とからなり、該導通部を上記開口部に挿入する際は、袋状部材に流体を圧送せずに袋状部材が収縮状態とし、導通部の厚みが薄い状態で挿入する。そして、該導通部を開口部に挿入した後に、流体圧送手段から袋状部材に流体を圧送して注入すれば、該袋状部材が外側へ膨拡してフレキシブルプリント配線板の隙間が拡張し、回路の電極が実装部品の端子に接触する。
【0023】
請求項5記載の発明は、上記導通部の拡張手段は、中央部が外側へ膨らんだ紡錘状もしくは太鼓状の板ばねと、該板ばねの頂部を押圧して膨拡させ上記フレキシブルプリント配線板の隙間を拡張させる押圧手段とからなる請求項1記載の電気検査方法に使用される電気検査治具を提供する。
【0024】
この構成によれば、上記導通部の拡張手段は紡錘状もしくは太鼓状の板ばねと押圧手段とからなり、該導通部を上記開口部に挿入する際は、前記板ばねを強く押圧せずに該板ばねが収縮して導通部の厚みが薄い状態で挿入する。そして、該導通部を開口部に挿入されて接地した後に、前記押圧手段で板ばねの頂部を押圧すれば、該板ばねが外側へ膨拡してフレキシブルプリント配線板の隙間が拡張し、回路の電極が実装部品の端子に接触する。
【発明の効果】
【0025】
請求項1記載の発明は、回路を外側にして折り返されたフレキシブルプリント配線板の隙間に、拡張手段を介装して電気検査治具の導通部を形成したことにより、導通部を実装部品の開口部へ挿入または離脱させるときは、拡張手段を拡張させずに、導通部の厚みが薄い状態で行うので、導通部の電極と開口部内の端子との摺擦を抑止することができる。そして、該導通部を前記実装部品の開口部に挿入した後の電気検査時に、前記拡張手段を拡張させてフレキシブルプリント配線板の隙間を拡張すれば、フレキシブルプリント配線板の外側に設けた回路の電極と実装部品の端子とを確実に接続させることができる。
【0026】
かくして、電気検査治具の導通部の電極および実装治具の端子の耐久性が向上し、前記電極や端子の劣化および破損などを防止することができ、端子の微細化および多ピン化に効果的に対応することができる。万一、電気検査治具の導通部の電極が劣化または破損した場合でも、フレキシブルプリント配線板を交換することにより、簡単かつ迅速に電気検査治具の導通部を修復することができる。
【0027】
請求項2記載の発明は、上記導通部の拡張手段が電歪素子からなるので、請求項1記載の効果に加えて、拡張および収縮動作を瞬時に行うことができ、検査時間の短縮化に寄与する。
【0028】
請求項3記載の発明は、上記導通部の拡張手段が面状発熱体とバイメタルとからなるので、請求項1記載の効果に加えて、拡張動作を瞬時に行うことができ、検査時間の短縮化に寄与する。
【0029】
請求項4記載の発明は、上記導通部の拡張手段が袋状部材と流体圧送手段とからなるので、請求項1記載の効果に加えて、拡張および伸縮動作に電気素子が不要であり、検査時間の短縮化およびコストダウンに寄与できる。
【0030】
請求項5記載の発明は、上記導通部の拡張手段が紡錘状もしくは太鼓状の板ばねと押圧手段とからなるので、請求項1記載の効果に加えて、拡張および伸縮動作に電気素子が不要であり、検査時間の短縮化およびコストダウンに寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明に係る実装部品の電気検査方法および電気検査治具について、好適な実施例をあげて説明する。プリント配線板に実装されたときに上部に開口部を有する実装部品の導通状態を電気的に検査するに際して、検査用治具の導通部と実装部品の開口部との挿入離脱時に、導通部の電極と実装部品の端子との摺擦を抑制して破損を防止するとともに、電気検査時には前記導通部の電極と前記実装部品の端子とを確実に接続できるようにし、さらに、検査用治具の導通部の電極が劣化または破損したときには、簡単かつ迅速に交換できるようにするという目的を達成するために、本発明は、プリント配線板に実装されたときに上部に開口部を有する実装部品の導通状態を電気的に検査する方法において、片面に回路を設けたフレキシブルプリント配線板の中間部位で、前記回路を外側にしてフレキシブルプリント配線板を折り返し、重ね合わされたフレキシブルプリント配線板の隙間に拡張手段を介装して電気検査治具の導通部を形成し、該導通部を前記実装部品の開口部に挿入した後に、前記拡張手段を拡張させてフレキシブルプリント配線板の隙間を拡張し、該フレキシブルプリント配線板の回路に設けた電極を実装部品の端子に接触させて導通状態を検査することにより実現した。
【実施例1】
【0032】
図1は本発明に係る電気検査方法の概要説明図である。なお、プリント配線板50の表面に実装される実装部品100については、図7〜図9に示したものと同一構成であるので、同一符号を付して重複説明は省略する。
【0033】
電気検査治具10は、治具本体11と該治具本体11に接続された導通部20とからなり、片面に設けた回路22を外側にして折り返されたフレキシブルプリント配線板(Flexieble Printed Circuit Board、以下FPCという)21の隙間に、拡張手段30を介装して前記導通部20が形成されている。
【0034】
図2は図1に示すFPC21の説明図であり、同図(a)に示すように、片面に形成された回路22は図中一点鎖線で示す長手方向の中間部位で遮断され、遮断されている近傍の回路22は、保護シート(図示せず)から露出して、それぞれ電極23が形成されている。また、図中左右方向へ延設されているそれぞれの回路22の両端部は、図1に示した治具本体11に接続されている。同図(b)に示すように、前記FPC21の中間部位で、前記回路22を外側にしてFPC21を折り返す。したがって、同図(C)に示すように、重ね合わされたFPC21の外側両面に回路22の電極23が配置される。
【0035】
図3は前記導通部20に設けた拡張手段30の一例を示す説明図である。外側に折り返された前記FPC21の隙間に、拡張手段30を介装して電気検査治具10の導通部20が形成されている。該導通部20に設けられている拡張手段30については種々の構成が考えられるが、同図では拡張手段30に電歪素子31を使用している。電歪素子31としては例えばピエゾフィルムを対峙させて張り合わせておき、電気ケーブル24を介して電歪素子31に通電したときに、該電歪素子31がそれぞれ外側へ変形して、拡張手段30が拡張するように形成されている。
【0036】
同図(a)に示すように、前記実装部品100の開口部101に前記導通部20を挿入する際は、電歪素子31に通電しない。このため、拡張手段30は拡張せず、導通部20の厚みが薄い状態で挿入される。したがって、導通部20の挿入時には、導通部20の電極23と開口部101内の端子102とが接触しない。
【0037】
同図(b)に示すように、電気検査を行うときは、電歪素子31に通電すると該電歪素子31がそれぞれ外側へ変形し、拡張手段30が拡張した状態となる。したがって、FPC21が外側へ膨拡し、FPC21の外側に設けた電極23が開口部101内の端子102に接触する。
【0038】
同図(c)に示すように、電気検査を終えたときは、電歪素子31への通電をやめて拡張手段30の拡張を解除する。したがって、導通部20の厚みが薄い状態に戻り、導通部20の電極23と端子102とが接触しないで、実装部品100の開口部101から導通部20が引き抜かれる。
【0039】
このように、電気検査治具10の導通部20を実装部品100の開口部101へ挿入または離脱させるときは、導通部20の厚みが薄い状態で行うので、導通部20の電極23と開口部101内の端子102とが接触しないため、摺擦による摩耗や破損が生じない。これに対して、電気検査時は、拡張手段30の拡張によりFPC21が膨拡し、導通部20の厚みが厚い状態となるため、電気検査治具の導電部20の電極23と実装部品100の内部の端子102が確実に接続される。
【0040】
また、導通部20の電極23がFPC21にて形成してあるので、万一、導通部20の電極23が劣化または破損したときには、FPC21を交換すればよいので、簡単かつ迅速に交換することができる。さらに、拡張手段30を電歪素子31にて構成したので、導電部20の拡張および収縮動作を瞬時に行うことができ、検査時間の短縮化を図ることができる。
【0041】
図4は前記導通部20に設けた拡張手段30の他の一例を示す説明図である。拡張手段30以外の構成は図3の構成と同じであるので、重複説明は省略する。同図では拡張手段30に面状発熱体32とバイメタル33を使用している。面状発熱体32としては例えばPTCサーミスタ(Positive Temperature Coefficient Thermistor)などの発熱半導体を使用し、該面状発熱体32にバイメタル33貼り合わせたものを、それぞれ対峙して密着させておく。電気ケーブル24を介して面状発熱体32に通電したときに、該面状発熱体32が発熱し、この発熱によりバイメタル33が面状発熱体32と一体にそれぞれ外側へ変形して湾曲し、拡張手段30が拡張するように形成されている。
【0042】
同図(a)に示すように、前記実装部品100の開口部101に前記導通部20を挿入する際は、面状発熱体32に通電しない。このため、拡張手段30は拡張せず、導通部20の厚みが薄い状態で挿入される。したがって、導通部20の挿入時には、導通部20の電極23と開口部101内の端子102とが接触しない。
【0043】
同図(b)に示すように、電気検査を行うときは、面状発熱体32に通電すると該面状発熱体32が発熱し、この発熱によりバイメタル33が面状発熱体32と一体にそれぞれ外側へ変形して湾曲し、拡張手段30が拡張した状態となる。したがって、FPC21が外側へ膨拡し、FPC21の外側に設けた電極23が開口部101内の端子102に接触する。
【0044】
同図(c)に示すように、電気検査を終えたときは、面状発熱体32への通電をやめて常温に戻し、バイメタル33を元の形状に復帰させて拡張手段30の拡張を解除する。したがって、導通部20の厚みが薄い状態に戻り、導通部20の電極23と端子102とが接触しないで、実装部品100の開口部101から導通部20が引き抜かれる。なお、面状発熱体32を常温に戻すまでの時間を短縮するために、さらに冷却素子(図示せず)を設けたハイブリッド構造にすれば、変形しているバイメタル33を短時間で元の形状に復帰させることができる。
【0045】
図4に示すように、面状発熱体32とバイメタル33にて拡張手段30を構成した場合も、前述の電歪素子31にて拡張手段30を構成した場合と同様に、検査用治具10の導通部20と実装部品100の開口部101との挿入離脱時に、導通部20の電極23と実装部品100の端子102との摺擦を抑制して破損を防止するとともに、電気検査時には前記導通部20の電極23と前記実装部品100の端子102とを確実に接続できる。また、導通部20の電極23が劣化または破損したときには、FPC21を交換すればよいので、簡単かつ迅速に交換することができる。さらに、導電部20の拡張および収縮動作を瞬時に行うことができ、検査時間の短縮化を図ることができる。
【0046】
図5は前記導通部20に設けた拡張手段30のさらに他の一例を示す説明図である。拡張手段30以外の構成は図3および図4の構成と同じであるので、重複説明は省略する。同図では拡張手段30に袋状部材34と流体圧送手段35を使用している。袋状部材34としては例えば合成ゴムや合成樹脂にて形成されて膨張および収縮可能な風船状の部材である。また、流体圧送手段35としては例えばポンプを使用し、シリコンオイルなどの流体を前記袋状部材の中へ圧送して、袋状部材34を膨拡させることにより、拡張手段30が拡張するように形成されている。
【0047】
同図(a)に示すように、前記実装部品100の開口部101に前記導通部20を挿入する際は、袋状部材34に流体を圧送しない。このため、拡張手段30は拡張せず、導通部20の厚みが薄い状態で挿入される。したがって、導通部20の挿入時には、導通部20の電極23と開口部101内の端子102とが接触しない。
【0048】
同図(b)に示すように、電気検査を行うときは、流体圧送手段35から袋状部材34に流体を圧送して注入し、この流体注入により袋状部材34が外側へ膨拡し、拡張手段30が拡張した状態となる。したがって、FPC21が外側へ膨拡し、FPC21の外側に設けた電極23が開口部101内の端子102に接触する。
【0049】
同図(c)に示すように、電気検査を終えたときは、袋状部材34への流体圧送をやめて袋状部材34内の流体を外部へ排出し、袋状部材34を収縮させて、拡張手段30の拡張を解除する。したがって、導通部20の厚みが薄い状態に戻り、導通部20の電極23と端子102とが接触しないで、実装部品100の開口部101から導通部20が引き抜かれる。なお、流体としてはシリコンオイルなどの液体だけではなく、空気などの気体を使用することもでき、また、ポンプあるいはピエゾ素子の変形力などで気体あるいは液体を圧送するように構成することもできる。
【0050】
図5に示すように、袋状部材34と流体圧送手段35にて拡張手段30を構成した場合も、前述の電歪素子31や面状発熱体32などにて拡張手段30を構成した場合と同様に、検査用治具10の導通部20と実装部品100の開口部101との挿入離脱時に、導通部20の電極23と実装部品100の端子102との摺擦を抑制して破損を防止するとともに、電気検査時には前記導通部20の電極23と前記実装部品100の端子102とを確実に接続できる。また、導通部20の電極23が劣化または破損したときには、FPC21を交換すればよいので、簡単かつ迅速に交換することができる。さらに、導電部20の拡張および収縮動作を瞬時に行うことができ、検査時間の短縮化を図ることができる。
【0051】
図6は前記導通部20に設けた拡張手段30のさらに他の一例を示す説明図である。拡張手段30以外の構成は図3〜図5の構成と同じであるので、重複説明は省略する。同図では拡張手段30に中央部が外側へ膨らんだ紡錘状もしくは太鼓状の板ばね36と、該板ばね36の頂部を押圧して膨拡させる押圧手段37を使用している。押圧手段37はロッドと該ロッドを押し引きするアクチュエータからなり、押圧手段37の押圧によって板ばね36が外側に膨らんで、拡張手段30が拡張するように形成されている。
【0052】
同図(a)に示すように、前記実装部品100の開口部101に前記導通部20を挿入する際は、先ず押圧部材で板ばね36を開口部101の中に押し込む。このときは、板ばね36は膨拡しない。このため、拡張手段30は拡張せず、導通部20の厚みが薄い状態で挿入される。したがって、導通部20の挿入時には、導通部20の電極23と開口部101内の端子102とが接触しない。
【0053】
同図(b)に示すように、板ばね36が開口部101に挿入されて接地した後に、電気検査を行うときは、押圧手段37が板ばね36の頂部を押圧することにより、板ばね36が外側へ膨拡して、拡張手段30が拡張した状態となる。したがって、FPC21が外側へ膨拡し、FPC21の外側に設けた電極23が開口部101内の端子102に接触する。
【0054】
同図(c)に示すように、電気検査を終えたときは、押圧手段37が板ばね36の押圧をやめて、拡張手段30の拡張を解除する。したがって、導通部20の厚みが薄い状態に戻り、導通部20の電極23と端子102とが接触しないで、実装部品100の開口部101から導通部20が引き抜かれる。
【0055】
図6に示すように、板ばね36と押圧手段37にて拡張手段30を構成した場合も、前述の電歪素子31や面状発熱体32あるいは袋状部材34などにて拡張手段30を構成した場合と同様に、検査用治具10の導通部20と実装部品100の開口部101との挿入離脱時に、導通部20の電極23と実装部品100の端子102との摺擦を抑制して破損を防止するとともに、電気検査時には前記導通部20の電極23と前記実装部品100の端子102とを確実に接続できる。また、導通部20の電極23が劣化または破損したときには、FPC21を交換すればよいので、簡単かつ迅速に交換することができる。さらに、導電部20の拡張および収縮動作を瞬時に行うことができ、検査時間の短縮化を図ることができる。
【0056】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る電気検査方法の概要説明図。
【図2】図1に示すフレキシブルプリント配線板(FPC)の説明図。
【図3】図1に示す導通部に設けた拡張手段の一例を示す説明図。
【図4】図1に示す導通部に設けた拡張手段の他の一例を示す説明図。
【図5】図1に示す導通部に設けた拡張手段のさらに他の一例を示す説明図。
【図6】図1に示す導通部に設けた拡張手段のさらに他の一例を示す説明図。
【図7】従来の電気的検査方法の一例を示す説明図。
【図8】従来の電気的検査方法の他の一例を示す説明図。
【図9】従来の電気的検査方法のさらに他の一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0058】
10 電気検査治具
11 治具本体
20 導通部
21 フレキシブルプリント配線板(FPC)
22 FPCの回路
23 FPCの電極
24 電気ケーブル
30 拡張手段
31 電歪素子
32 面状発熱体
33 バイメタル
34 袋状部材
35 流体圧送手段
36 板ばね
37 押圧手段
50 プリント配線板
100 実装部品
101 開口部
102(内部の)端子
103(外部の)端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板に実装されたときに上部に開口部を有する実装部品の導通状態を電気的に検査する方法において、
片面に設けた回路を外側にして折り返されたフレキシブルプリント配線板の隙間に拡張手段を介装して電気検査治具の導通部を形成し、
該導通部を前記実装部品の開口部に挿入した後に、前記拡張手段を拡張させてフレキシブルプリント配線板の隙間を拡張し、該フレキシブルプリント配線板の回路に設けた電極を実装部品の端子に接触させて導通状態を検査することを特徴とする実装部品の電気検査方法。
【請求項2】
上記導通部の拡張手段は、通電時に外側へ変形して上記フレキシブルプリント配線板の隙間を拡張させる電歪素子からなることを特徴とする請求項1記載の電気検査方法に使用される電気検査治具。
【請求項3】
上記導通部の拡張手段は、面状発熱体と、該面状発熱体の両面に密着され加熱時に外側へ変形して上記フレキシブルプリント配線板の隙間を拡張させるバイメタルとからなることを特徴とする請求項1記載の電気検査方法に使用される電気検査治具。
【請求項4】
上記導通部の拡張手段は、袋状部材と、前記袋状部材を膨拡させて上記フレキシブルプリント配線板の隙間を拡張させる流体圧送手段とからなることを特徴とする請求項1記載の電気検査方法に使用される電気検査治具。
【請求項5】
上記導通部の拡張手段は、中央部が外側へ膨らんだ紡錘状もしくは太鼓状の板ばねと、該板ばねの頂部を押圧して膨拡させ上記フレキシブルプリント配線板の隙間を拡張させる押圧手段とからなる請求項1記載の電気検査方法に使用される電気検査治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−256382(P2008−256382A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95806(P2007−95806)
【出願日】平成19年3月31日(2007.3.31)
【出願人】(000230249)日本メクトロン株式会社 (216)
【Fターム(参考)】