説明

実質的に球形の代謝粒子の個々の代謝速度の非−侵入的測定のためのデバイスおよび方法

本発明は、胚のような実質的に球形の代謝粒子の代謝速度の非−侵入的かつ乱さない測定のための方法およびデバイス、および胚のレベルにおける酸素分圧を制御する方法およびデバイスに関する。さらに、本発明は、実質的に球形の代謝粒子への代謝産物の供給を調節する方法、ならびに所定の品質の実質的に球形の代謝粒子を選択する方法に関する。本発明は、当該デバイス中の区画内部の実質的に球形の代謝粒子と該区画外部の環境との間の代謝産物の拡散勾配を確立することができるデバイスで実施される。代謝速度は、代謝産物拡散勾配の情報に基づいて決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に球形の代謝粒子についての代謝速度の非−侵入的かつ乱れの無い測定方法およびデバイス、および粒子のレベルにおいて代謝産物濃度を制御するための方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
IVF(試験管内受精)および関連技術のような胚移動(ET)技術の使用は、選択された胚の再‐着床前に数日間の間発生する胚をイン・ビトロ培養することを含む。理想的な成長条件でさえ、再−着床のための最も活動的な胚を選択するためのツールとしての選択基準が必要である。胚の生存率は、移動のための胚の適切性を判断するための重要なパラメーターである。現在、操作に続いて胚の生存率を評価するのに働くことができる現実的なレベルで適用可能な客観的手段がない。現実には、胚の評価は、形態学的基準に基づく多かれ少なかれ主観的なグレーディングに限定される。
【0003】
胚の呼吸速度は、客観的な生存率インジケーターのための良好な候補を証明することができる。従来、(酸素消費として表される)ウシ、ネズミおよびヒトの胚の呼吸速度は胚生存率の使用できるインジケーターであることが証明されている(Shiko et al.2001, Oxygen consumption of single bivine embryos probed by scanning electrochemical microscopy. Anal. Chem 73:3751−3758 またはTrimarchi et al.2000.Oxydative phosphoryzation dependent and‐independent oxygen consumptionby indibidual preimplantation mouse embryose. Biology of reproduction 62:1866−1874 またはOverstrom EW et al. 1992.Viability and oxydative mathabolism of the bovine blastocyst.Theriogenology 37(1):269 またはMagnusson C et al. 1986. Oxygen consumption by human oocytes and blastocysts grown in bitro. Human Reproduction 1:183−184参照)。これらの研究は、ある種の(高い)呼吸速度が、(増大した胚盤胞頻度によって表された)改良されたイン・ビトロ発生または増大した妊娠頻度のような改良された発生と関連付けられることを証明している。
【0004】
胚呼吸の測定のための多数の方法が知られている。MillsおよびBrinster (Mills and Brinster 1967. Oxygen consumption of preimplantation mouse embryos. Ehp. Cell. Res., 47:337−344参照)は、胚の増殖培地に直接接触した酸素ガス気泡の容量変化を測定する、マウス胚のバッチについてのCartesian diver(浮沈子)技術を用いる方法を記載する。
【0005】
Magnusson et al., 1986(Oxygen consumption by human oocytes and blastocytes grown in bitro. Human Reproduction 1, 183−184)および後のHoughton et al., 1996(Oxygen consumption and energy methabolism of the early mouse embryos. Molecular reproduction and development 44:476−485)は、感度の良いミクロ分光測定技術を用いて個々の胚の酸素消費を測定することができる方法を記載しており、そこでは、胚は小さな密封されたチャンバーに入れられ、酸素消費は、その光学吸光度が酸素の存在に対して感受性の物質の吸光度変化としてモニターされる酸素分圧の減少として見積もられる。密封されたチャンバー中および外での胚の広範な取扱のため、測定は胚を乱し、ならびに時間を消費するものである。
【0006】
もう1つの技術が記載されており、そこでは、胚は薄いキャピラリーに固定され、酸素濃度勾配は、球形拡散を仮定して非常に正確に位置した振動酸素ミクロ電極で測定される(Shiko et al., 2001.Oxygen consumption of single bovine embryoses probed by scanning electrochemical microscopy. Anal. Chem 73: 3751−3758, またはTrimarchi jr, et al., 2000. Oxydative phosphorilation dependent and independent oxygen consumption by invidual preimplantation mouse embryos. Biology of reproduction 62: 1866−1874参照)。これらの技術は、操作することが要求される比較的複雑な実験設計によって特徴付けられ、胚のかなりの乱れをもたらす。さらに、測定を実行するのには時間を消費し、該方法についての仮定が満たされることが要求される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、個々の胚呼吸を測定するための前記研究および関連研究は複雑であり、胚を乱し、時間を消費することに悩んでおり、従って、そのような方法は、イン・ビトロでの培養中の胚の個々の呼吸速度をモニターするためにルーチン的には余り適用されないようである。従って、胚生存率についての尺度としての、個々の胚呼吸速度を測定するための迅速、単純かつ乱さない方法およびデバイスに対する要求が依然として存在する。この要求は、胚のイン・ビトロ培養に関連する胚移動技術の研究者および実行者によって広く表明されている。Overstom 1996 (Overstrom EW 1996, In bitro assessment of embryos viability. Theriogenology 45:3−16)は、文献レビューにおいて、胚生存率の表現としての、個々の肺呼吸の測定のための単純かつ客観的方法に対する要求を編集している。ICSI(Intra Cytoolasmic Sperm Injection)、クローニングおよび凍結サイクルを含めた胚イン・ビトロ技術がより精巧になるに従い、この要求は、なおより顕著になることが予期される。ヒト受精処理の分野内では、単一胚移動に焦点を当てて、複数胚移動の結果である望まない複数妊娠を避けることが必要となった。しかしながら、単一胚移動は、最良の胚を選択し、それにより、首尾よい妊娠の確率を増大させることができるためには、綿密な生存率評価を必要とし、これは、再度ルーチン的レベルで適用できる単純かつ客観的な生存率インジケーターに対する必要性を強調する。新しい方法は、好ましくは、Overstrom 1996(In bitro assessment of embryos viability Theriogenology 45:3−16 1996参照)によって概説された以下の鍵となる要素を含むべきである。
【0008】
−複数の個々の胚の同時の客観的測定を成す能力。
−個々の胚/卵母細胞を測定するための感度および分解能。
−迅速な見積もり(約30分以下)
−生存率テストは乱さないものでなければならず、理想的には非−侵入的でなければならない。
−技術的に単純で使いやすいこと。
−余裕があること。
【0009】
ルーチンレベルで適用可能な呼吸測定のための方法およびデバイスに対する表現された要望に加えて、胚のイン・ビトロ培養は、発生する胚によって経験される酸素分圧の不十分な制御に悩んでいる。胚のイン・ビトロ培養は、しばしば、環境が調節された(温度、相対湿度およびガス組成)インキュベーター中で行われる。大気は21%の酸素(210hPa分圧)を含むが、イン・ビトロ(卵管および子宮)酸素緊張は、約5ないし10%酸素(50ないし100hPa)飽和であると考えられる。従って、一般に、胚発生は空気下よりは5ないし10%雰囲気下で良好であることは驚くべきことではない。Lim et al. およびThompson etal(Lim et al. 1999 Development of in bitro bivime embryos cultured in 5% CO in air or 5%O, 5%CO and 90%N. Human reproduction 7(4): 558−562 またはThompson JGE et al. 1990 Effect of oxygen concentration on in bitro develpment of preimplantation sheep and cattle embryos. J.Reprod. Fert. 89,573−578)およびその他の者は、以前、哺乳動物胚発生に対する低下した酸素分圧の正の効果を証明している。従って、胚は、ある場合には、低下した酸素雰囲気、例えば、5%飽和下で培養される。しかしながら、培地(培養基)上方の雰囲気を制御するのみによっては酸素への胚暴露を制御するのは不十分である。イン・ビトロ培養を開始する場合には培地は典型的には酸素飽和され(21%)、培地およびその上に置かれるガス雰囲気の間の平衡時間は、イン・ビトロ成長システムに応じて、イン・ビトロ培養のかなりの期間の胚が、現在最適と考えられているもの(5ないし10%)をかなり超える酸素分圧を経験するように、12ないし24時間と長くし得る。しかしながら、胚の表面における最終的な定常状態の分圧は、胚呼吸の結果として生起する、胚に向けてのバルク培地からの定常状態酸素分圧勾配のため、前記雰囲気のそれよりも低い、例えば、5%となろう。
【0010】
従って、イン・ビトロ培養中の発生する胚によって経験される酸素分圧を調節するための単純かつ迅速な(1時間未満)方法に対する要望が依然として存在する。
【0011】
本出願中で引用された全ての特許および非特許文献は、ここに引用してその全体を参照する。
【非特許文献1】Hogan MC Phosphrescence quenching method for measurement of intracellular PO2 in isolated skeletal muscle fibers. J Appl Physiol.1999 Feb;86(2):720−4
【非特許文献2】Trettnak W,Kolle C,Reininger F,Dolezal C,O‘Leary P,Binot RA.Optical ogygen scensor instrumentation based on the detection of luminescence lifetime. Adv Space Res.1998;22(10):1465−74
【非特許文献3】Gewhr PM,DelpyDT.Optical oxyegen sensor based on phosphorescence lifetime quenching and instrumentation. Med Biol Eng Comput. 1993 Jan;31(1):2−10.
【非特許文献4】Klimant,L,Meyer,V.,KHl,M.1995.Fiber−optic oxygen microsensors, an new tool in aquatic biology Limnology and Oceanography, 40(6)1159−1165
【非特許文献5】Glud,R.N.,Ramsing,N.B.,Gundersen,J.K.,and Klimant,I.(1996). Planar optrodes,microbial communities. Marine Ecology Progress. Series 140:217−226.
【非特許文献6】RN Glud,JK Gundersen,NB Ramsing (2000) Electrochemical and optical oxygen microsensors for in situ measurements, In in situ monitoring of aquatic systems: Chemical analysis and speciation. John Wiley & Sons Ltd(eds J Buffle & G Horvai). Chapter 2:19−73
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、実質的に球形の代謝粒子の代謝速度の容易かつ迅速な測定に適したデバイスに関する。従って、本発明は、実質的に球形の代謝粒子の個々の代謝速度の非−侵入的測定のためのデバイスであって、
a)拡散バリアーによって規定され、かつ実質的に球形の代謝粒子を含む培地を含むことができ、該拡散バリアーは拡散によって実質的に球形の代謝粒子への、および/または該代謝粒子からの代謝産物移送を可能とし、それにより、代謝産物拡散勾配が、実質的に球形な代謝粒子から、および培地を通じて確立されることが可能な、少なくとも1つの区画と、
b)区画内部の代謝産物の濃度を測定するための少なくとも1つの検出器と、を備えたデバイスに関する。
【0013】
該装置は、代謝粒子の代謝速度を測定し、ならびに粒子をモニターし、特定状態の粒子を選択するのに適している。かくして、本発明は、さらに、実質的に球形の代謝粒子の代謝速度を測定するための非−侵入的方法に関し、
a)前記定義の少なくとも1つのデバイスを設け、
b)区画の培地中に実質的に球形の代謝粒子を配置し、
c)区画内部の代謝産物濃度を測定して、代謝産物濃度の尺度を得、
d)該代謝産物濃度の尺度を、該実質的に球形の代謝粒子の代謝速度に相関させる、ことを特徴とする。
【0014】
本発明は、さらに、培養中に実質的に球形の代謝粒子への代謝産物供給を調節する方法に関し、
a)培地を含む区画を備えた少なくとも1つのデバイスを設け、
b)区画の培地中で実質的に球形の代謝粒子を培養し、所望により、
c)該区画の内部の代謝産物濃度を測定して、代謝産物尺度を得、所望により
d)該代謝産物濃度尺度を該実質的に球形の代謝粒子の代謝速度に相関させ、所望により、
e)代謝産物濃度尺度および/または該実質的に球形の代謝粒子の代謝速度に応じて代謝産物供給を調節する、ことを特徴とする。
【0015】
もう1つの態様においては、本発明は、生きた胚を選択する方法に関し、
a)培養の間に胚の代謝速度を少なくても一回測定し、
b)最適代謝速度を有する胚を選択する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明は、周囲と連絡する開放システムにおける粒子についての代謝速度を測定するのに特に適している。しかしながら、本発明によるデバイスは、閉じたシステムおける代謝速度を測定するのにも用いることができる。
【0017】
従って、さらにもう1つの態様において、本発明は、代謝粒子の代謝速度を測定するための非−侵入的方法に関し、
a)前記定義の少なくても1つのデバイスを設け、
b)区画の培地中で代謝粒子を培養し、
c)培養期間の少なくても一部の間に、培地への代謝産物供給を低下させ、
d)代謝産物供給が低下された後、区画内部の代謝産物濃度を測定して、代謝産物濃度尺度を得、
e)該代謝産物濃度尺度を、該実質的に球形の代謝粒子の代謝速度に相関させる、ことを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明は最適化された培養デバイスに関し、該デバイスは少なくても1つの区画を含み、該区画は拡散バリヤーによって規定され、かつ実質的に球形の代謝粒子を含む培地を備えることができ、該拡散バイヤーは拡散によって実質的に球形の代謝粒子への、および/または、該代謝粒子からの代謝産物移送を可能とし、それにより、代謝産物拡散勾配は実質的に球形の代謝粒子から、および培地を通じて確立されることができる。
【0019】
さらにもう1つの態様において、本発明は、本明細書に定義された粒子を培養する方法に関し、
a)培地を含む区画を備えた少なくとも1つのデバイスを設け、
b)区画の培地中で実質的に球形の代謝粒子を培養し、次に、所望により、
c)該実質的に球形の代謝粒子への、および/または、代謝粒子からの代謝産物供給を調節する、ことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1は本発明による、底に酸素検出器を持つ拡散区画の第一の実施形態の断面である。理論定常状態酸素勾配を図面の隣のグラフに示す。浸透性拡散バリヤーは、この場合、培地の淀んだ本体である。図2は第一の実施形態の内部横方向寸法を調整するための、図1による実施形態におけるインサートを持つ区画の断面である。図3は調整可能な底を持つ拡散区画を含む本発明のもう1つの実施形態の断面である。図4は円筒拡散区画内部で測定された定常状態酸素勾配の例であり、ここに、胚は底で培養される。図4における勾配の直線部分は、図1における理論グラフ中の線の実線部分のセクションに対応する。x−軸の単位はhPaであって、y−軸の単位はμmである。勾配に対する区画(X.7)の開口の位置は垂直線でマークする。
【0021】
図5のAは該拡散区画のもう1つの実施形態であり、ここに、拡散区画は完全に開放され、酸素勾配は胚の周りに二次元で記録される。Bは胚のレベルにおける底の断面を示す。CはCCDカメラから見た仮想イメージ(頂面図または底図)を示し、ここに、各個々の胚の周りのルミノフォアの予期されるルミネセンス強度は灰色の色調で可視化される。図6Aは図5に示された開いた区画の平面底に沿って胚に向けて測定された定常状態酸素勾配の例である。図6Bは、理論的に理想的な球勾配に対してどのようにして現実の勾配を適合させるかを示すためのプロットである。もしプロットが直線であれば、球拡散系の過程は満足される。
【0022】
図7は設計の例を示し、それを用いて、調べた代謝粒子を移動容器からピックアップするピペットとして設計された設計を通じての横方向断面である。ピペットのプランジャーは、それがガス検出器を有する点で特別である。呼吸粒子がピックアップされた後、ピペットを先端を逆さにし、培地容器の底のポートを通じて挿入する。培地容器を、引き続いて、培地で充填する。ピペットのバレルは、区画の側壁として働く。
【0023】
図8は設計の例を示し、設計を通じての横方向の断面であり、そこでは、代謝粒子がプレート中の浅いウェルに入れられる。ウェルは変化する厚みおよび、かくして、変化する代謝産物伝達能力を持つ代謝産物浸透性蓋を有し、これは、水平方向の変位によって異なる断面を持つウェルを被覆することができる。かくして、培地および周囲の間の拡散バリヤーは、蓋の異なる断面をウェルの直ぐ上に置くことによって調製することができる。この図面では、ウェルの外部の培地は液滴の形態であるが、より大きなボディーの形態とすることもできる。
【0024】
図9は設計の例を示し、代謝粒子が不浸透性ディスク下の検出器近くに置かれる、設計を通じての横方向断面図である。実質的に不浸透性の区画上方部分を構成する該ディスクはスペーサーによって支持されて、実質的に不浸透性の区画壁の下方部分までの良く規定された距離を維持する。スペーサーはハッチングを施した線で示されて、それらが、ディスク下の面積の小さな割合を占めるに過ぎず、拡散に対する有意なバリヤーを構成しないことを示す。ディスク下の中央に位置するのは、そこに代謝粒子が入れられる浅いウェルである。浸透性拡散バリヤーの浸透度は、実質的に不浸透性の区画壁の上方の壁(蓋)を支持するスペーサーの高さを変化させることによって調製することができる。
【0025】
図10は設計の例を示し、呼吸粒子が不浸透性プレート中の円錐−形状圧痕に入れられる設計を通じての横方向断面図である。検出器は円錐の先端近くに位置し、円錐−不浸透性蓋の圧痕に入れられる。スペーサーは、よく規定された距離が蓋および圧痕の間で維持されることを保障する。
【0026】
図11は設計の例を示し、不浸透性区画は、不浸透性プレート(11.5)上に置かれた材料(11.5)の不浸透性ブロックを通るキャビティー(11.4)よりなる設計を通じての横方向断面図である。キャビティーはかなり円筒形(または多面体)であり、培地で満たされているが、プレートに面する端部近くは中空として、代謝粒子(11.1)のためのレセプタクルを形成することができる。ルミノフォア(11.3)は底プレート(11.5)近くの拡大されたキャビティーに入れられる。
【0027】
図12は設計の例を示し、部分的に開いた蓋を持つ窪み(を調整することができる)。検出器は代謝粒子下の平坦な表面、例えば、フルオロフォアシートの形態を有する。図13は設計の例で、中心ポアを持つ窪み(非−調整可能)を示す。図14は設計の例で、代謝粒子が立方体に落下し、立方体を逆さにし、それを重力によって落下させることによって検索される立方体を示す。水の流れが立方体を通じて行われて、呼吸粒子をフラッシュするように、2つの入口がある。
【0028】
図15は設計の例で、端部に漏斗を持つベントキャピラリーを示す。検出器は、例えば、フルオロフォアの層として、キャピラリーの内部に2つの円形領域の形態を有する。呼吸粒子の位置および、かくして、拡散バリヤーの長さは、支持体上のキャピラリーの位置を変化させることによって調製することができる。というのは、該位置は、代謝粒子が重力によって移動するキャピラリー中の最低点の位置を決定するからである。
【0029】
図16は設計の例で、ダイヤル設定の調整可能底を示す。この特別な実施形態は、浸透性拡散バリヤー、この場合、培地の淀んだ本体の浸透度が、該層の厚みを変化させ、かくして、浸透係数を変化させることによって調整できるような、調製可能な容量を持つさらにもう1つの区画を提供する。浸透性層の厚みは16.17を時計方向に回転させることによって低下させ、それにより16.17、ネジ16.18により、周囲培地16.2を含有する大きなウェルの底に向けて移動される。区画の底がより大きなウェルの底に対して固定されているので、この結果、区画容量が減少し、かくして、浸透性層の厚みが減少し、従って、浸透度が増加する。検出器は区画の底から、周囲培地を含有するより大きなウェルの底に向けて延び、そこで、それは記録ユニットと接触することができる。
【0030】
図17は設計の例で、窪みを持つプレートを示す。この実施形態は、親水性表面を持つさらにもう1つの窪みに入れられた、(15ないし60度のような)適当な角度30の幾つかの、例えば、500ないし3000μm深さの円錐窪みを持つプレートよりなる。プレート表面の残りの部分は疎水性である。適当な容量の液滴17.2、10ないし20μl、は2つの窪みを満たし、浸透性拡散バリヤーを形成する。液滴上方の適当な油の層は、現実的な目的で培地の本体が淀んで維持されるように、液滴からの蒸発および液滴内部の対流を妨げる。別法として、円錐窪み内部の容量は周囲培地を作り、他の理由でそれが淀んだままでいるのでなければ、浸透性拡散層に具体的には含まれない。拡散バリヤーの浸透度は、異なる角度または深さを持つ円錐窪み(区画)の適用を介して調整することができ、特別な円錐形状の区画の浸透度は、実施例4における方程式に従って計算することができる。
【0031】
図18は図11に示されて実施例6(Skorstensの例)に記載された設定におけるマウス胚についての呼吸速度の測定及び生の蛍光データを示す。インキュベーションチャンバー中の培地と接触した酸素クエンチ可能ポルフィリンフルオロフォア(ポリスチレン中の白金(II)‐オクタ−エチル−ポルフィリン)からの蛍光強度は、各々、360および550nmにおける励起光を用い、Tecan Spectraflour蛍光プレートリーダーにて650nmにおける発光を記録することにより記録した。蛍光は励起後に0ないし500μsで記録した。
【0032】
図19は図11に示され、実施例6(Skorstensの例)に記載された設定におけるマウス胚についての呼吸速度の測定及び測定された酸素濃度、構成されたデータを示す。蛍光強度は、Klimant et al 1995(繊維光学酸素マイクロセンサー、水生生物学における新しいツール;Limnol Oceanogr40:1159−1165)に従って、ほとんどのオプトロードの応答を適切に記載する修飾されたStern−Volmer方程式を用いて酸素分圧に変換した。図20は図17に示された設計を用い、実施例7に記載されたように酸素ミクロセンサーで行ったマウス胚についての呼吸速度の測定を示す図である。
【0033】
定義
電流酸素センサー: 内部参照に対して分極された金陰極を持つクラークタイプの電気化学的センサーであり、ここに、酸素は陰極表面で還元される。電流メーターは得られた還元電流を信号に変換する。
【0034】
区画の底:本発明の関係では、用語「区画の底」は、実質的に球形の代謝粒子と比較したいずれかの代謝産物浸透性開口からさらに離れて位置する区画の部分を意味する。該「底」は、実質的に球形の代謝産物粒子下方の垂直位置を必ずしも示すものではなく、開口とは反対の区画の側であってもよい。
【0035】
バルク培地:粒子の代謝がバルク培地の代謝産物濃度に影響しないような、区画外側の、または代謝産物粒子からある距離を置いた周囲の培地。
【0036】
拡散:それにより、液体、ガス、または固体の粒子が熱擾乱によって引き起こされたランダムな分子運動の結果として混ざり、その結果、溶解された物質のより高い濃度の領域からより低い濃度への領域への正味の移送が起こるプロセス。
【0037】
拡散バリヤー:本発明の関係では、該「拡散バリヤー」は代謝産物の代謝産物粒子への拡散的流動を制限する不浸透性材料、およびそれを通って、粒子によって摂取された代謝産物が分子拡散によって通過する浸透性材料を共に意味する。それは、ある場合には、該浸透性材料および不浸透性材料が占める容量および特定の幾何学をもいう。好ましい実施形態においては、拡散バリヤーは不浸透性壁と境界を接する一以上の培地充填開口よりなるが、それは、シリコーンまたは他のポリマー(前記参照)のような他の浸透性材料も含むことができる。もしバルク培地から代謝粒子への代謝産物によって取られる拡散的経路が、図2インサート、または図8の蓋のような減少した断面および/または減少した浸透性を持つ縮小した領域を通過するならば、この領域は、面積積分流動につき特に制限的である。かくして、それは最大かつ最も鋭い代謝産物濃度勾配を含み、デバイスのこの部分は、従って、しばしば、「拡散バリヤー」といわれる。
【0038】
拡散区画:外部環境に向けての規定された開口を持つ規定された内部寸法の空間または区画。該拡散区画内部の液体ベースの材料は、主として、液体および区画壁の間の摩擦力のため淀んでいる。該拡散区画は本発明のデバイスおよび方法では「区画」ともいわれる。
【0039】
不浸透性材料:本発明の関係では、「不浸透性材料」または「実質的に不浸透性材料」は、水と比較して問題の代謝産物に対して顕著に低下した浸透性を持つ材料を意味し、好ましくは該浸透性が水と比較して問題の代謝産物に対して1%未満まで低下し、より好ましくは0.2%未満、または0.05%未満まで低下し、従って、この材料を通っての代謝目的物への面積積分フラックスは浸透性材料(例えば、開口、浸透性膜および/または拡散バリヤー)を通ってのフラックスよりもかなり低い。不浸透性または実質的不浸透性材料を通っての面積積分フラックスは、代謝粒子への合計面積積分フラックスの10%未満、好ましくは1%未満または最も好ましくは0.01%未満であるべきである。
【0040】
ルミネセンス:光の生成。本発明の関係では、ルミネセンスは、ルミノフォアによる光の吸収、およびより長い波長を持つ光の発光後の基底状態への引き続いての復帰によって生起する。このプロセスは、しばしば、崩壊のタイプおよび寿命に応じて蛍光または燐光といわれる。
【0041】
培地:流体成長物質、好ましくは液体成長物質のような胚のための液体成長物質。
【0042】
膜流入口質量分光測定(MIMS):マススペクトロメーターの流入口に連結された、ガス浸透性膜を備えたチューブに基づく、酸素および他の溶解したガスを測定するための技術。チューブ内部の(マススペクトロメーターによって適用された)真空のため、ガスは、ガス浸透性膜を通じてマススペクトロメーターに進入する。選択されたガスの濃度は、引き続いて、マススペクトロメーターによって測定される。
【0043】
代謝産物:本発明の関係では、用語「代謝産物」は、代謝粒子によって摂取された、または放出されたいずれかの化合物を意味する。代謝産物の例は酸素、二酸化炭素、アミノ酸、グルコース、Ca++イオンおよびHイオンのようなイオンを含む。
【0044】
代謝速度:問題の代謝産物が代謝粒子によって摂取または放出される速度。代謝速度は問題の代謝産物、および生物の活動のレベル双方に依存する。
【0045】
代謝:本発明の関係では、用語「代謝」とは代謝産物の摂取または放出をいう。代謝されつつある好ましい代謝産物は、呼吸によって摂取される酸素である。
【0046】
代謝産物浸透性開口:本発明の関係では、区画中の「代謝産物浸透性開口」を用いて、自由開口(すなわち、培地以外は何も含まない)および被覆された開口を共に示すことができる。後者は、開口が膜(例えば、シリコーン層)のような浸透性材料で被覆され、区画の他の壁よりも浸透性である拡散バリヤーを構成する場合である。
【0047】
代謝粒子:本発明の関係では、用語「代謝粒子」は、ある時間の間における代謝産物を摂取しまたは放出する粒子を意味する。代謝粒子の好ましいタイプは、呼吸によって酸素を消費する呼吸粒子である。代謝粒子は好ましくは細胞または細胞の群であるが、代謝粒子は酸素を消費する合成粒子でもあり得る。
【0048】
ミクロ分光光度技術:435nmにおける吸収の増加または減少に基づいて酸素を測定するための技術である、酸素分圧の減少または増加によるオキシヘモグロビンの解離を反映する。他の波長の特徴を持つ、他の酸素結合分子を用いることができる。
【0049】
非侵入的方法:いずれの破壊的乱れもなくてし、あるいは皮膚または体オリフィスを通じて機器またはデバイスの挿入を必要とすることなく、注目する体に関するパラメーターを測定することができる方法。
【0050】
光学酸素検知:ルミノフォアの動的ルミネセンスクエンチャーとして働く酸素の能力測定原理。該ルミノフォアは規定された波長によって励起され、ルミネセンスは酸素濃度の関数としてルミネセントインジケーターによって発せられる。このプロセスは、しばしば、蛍光または燐光といわれる。酸素の存在下では、ルミネセンスの強度および崩壊時間は、クエンチングプロセスのため予測されたように減少する。二次元の光学酸素検知は、ルミネセンス寿命イメージングに基づくことができ、これはある場合には、ルミネセンス強度イメージングよりも有利である。
【0051】
酸素分圧:単一成分としての酸素が発揮する圧力。合計ガス圧は個々のガス圧の総和である。通常の大気条件下では、合計の現実のガス圧は1気圧または1000hPaに近い。大気酸素分圧はほぼ21%または210hPaである。酸素濃度Cは酸素分圧Pに酸素溶解度Sを乗じたもの(C=PS)であり、ここに、溶解度Sは温度、塩度および合計ガス圧の関数である。
【0052】
呼吸速度:発生する胚を含めた殆どの生きた生物は、呼吸と呼ばれるプロセスによってそのエネルギー代謝において酸素を消費する。呼吸生物の酸素消費速度は呼吸速度とも呼ばれる。ヒト胚の呼吸速度は、以前、0.34ないし0.53nlO/胚/1hの範囲であると測定されているが、胚呼吸速度は、桑実胚ないし胎盤胞段階にわたる卵細胞からの発生の間にかなり変動し得る(Magnusson C et al. 1986 Oxygin consumption by human oocytes and blastocysts grown in vitro. Human Reproduction 1:183−184参照)ウシ胚は、典型的には1ないし8nlO/胚/1hの範囲の呼吸速度を有する。
【0053】
応答時間:測定に適した応答または信号が得られるまでの測定開始からの時間であり、測定は成功したと考えることができる。
【0054】
淀んだ液体:いずれの流動、乱れまたは運動のない液体。溶解された物質の移送は、主として拡散によって起こる。
【0055】
定常状態:ガス分圧、または溶解した物質の濃度勾配が安定しており、かつ分圧の変化または濃度の変化が経時的に起こらないように、消費および移送が平衡している状態。
【0056】
実質的に球形の代謝粒子:本発明の関係では、用語「実質的に球形の代謝粒子」は代謝粒子または代謝粒子の群を意味し、ここで、該群は細胞の群、例えば、多細胞胚のような、実質的に球形または楕円形または箱型物体を形成するように配される。
【0057】
本発明は、実質的に球形の代謝粒子の代謝速度を確立することに関する。代謝速度は、好ましくは、粒子を乱さないために非−進入的に確立される。本発明は、代謝の速度が、もし環境が粒子へのまたは粒子からの代謝産物の拡散のみを可能とするように構成されているならば、粒子の環境の小さな容量中の所定の代謝産物の濃度を測定することによって迅速かつ非−進入的に測定することができるという知見に基づく。そのような構成によって、所定の代謝産物の拡散勾配が環境に発生し、環境外部の濃度を知る拡散勾配の1つの位置のみにおける所定の代謝産物の濃度を測定することによって、粒子の該位置における代謝産物濃度を計算し、それにより、粒子の代謝速度を決定することが可能である。
【0058】
本発明は実質的に球形の代謝粒子に関する。本発明に対する注目する代謝粒子は原核生物または真核生物細胞またはそのような細胞群を含むが、代謝粒子は酸素を消費する合成粒子であってもよい。粒子の好ましいタイプは胚、癌細胞、幹細胞、胚性幹細胞のような細胞の群、Caenorhabditis elegans, Dicpyostelium discoideum, Drosophila melanogaster, Xenopus naevis, Arabidopsis thaliana, Danio Reri, Chlamydomonas reinhardtii, Aplysia Californicaのような重要なサイズおよび代謝速度を持つ生命段階における小さな多細胞生物(例えば、より大きな生物のいくつかの卵、胚または組織試料)を含む。最も好ましい粒子はヒト、ウシまたはネズミ胚のような哺乳動物胚を含む。
【0059】
そのような粒子によって摂取された、またはそれらによって放出された代謝産物は、実施例4に概説されたように、分子拡散によって補充されるか、または除去される。本発明のデバイスは、実質的に球形の代謝粒子がその中に置かれる区画を持つデバイスを含む。該区画は、粒子への、および粒子からの代謝産物の拡散的フラックスを制限し、低下させるための、代謝粒子の周りに配置された浸透性および不浸透性材料よりなる。もし実質的に球形の代謝粒子が、代謝産物補充および除去が中程度の代謝速度で効果的な球形拡散によって邪魔されない環境に配置されるならば、これらの代謝産物の濃度は呼吸粒子の近くの非常に小さな容量では殆ど影響されない。しかしながら、もし粒子が、代謝産物の拡散的再供給または除去を制限する区画に入れられれば、これらの代謝産物の区画内部での濃度の測定可能な変化は検出できる。本発明によるデバイスは、代謝産物が不浸透性(または実質的に不浸透性)表面により分子拡散によってそれを通過することができる容量を制限することによってこれを達成する。これらの表面(または壁)は代謝粒子を全く囲わないが、代謝産物が拡散によってそれを通過する浸透性開口を残す。浸透性開口は培地またはもう1つの浸透性材料を満たすことができる。代謝粒子の周りの浸透性および不浸透性材料の空間的配置は拡散バリヤーを構成する。それは3つの目的を達成する:1)バルク濃度からの局所的逸脱がデテクターで測定できるように代謝産物のフラックスを制限すること。2)それは該逸脱の大きさに基づいて代謝粒子についての代謝速度の測定を可能とする。3)それは乱流によって代謝粒子への代謝産物の移送を制限または排除する。拡散バリヤーの後者の目的は、通常、相互に余りにも近いので、液体が表面間の乱流によって混合できないように位置した表面間に培地を閉じ込めることによって達成される。デバイスおよび拡散バリヤーについての可能な生起の多くのことなる例は実施例5に示される。異なる設計から生起する理論的濃度勾配を実施例4に示す。円筒型窪みを持つ区画から生起する実験データを実施例1および6に示し、窪みを持つ不浸透性表面に置かれた胚は実施例7に示される、実施例3ではそれがない。
【0060】
拡散の理論は、以下の文献:Crank, J. 1997. The Mathematics of Diffusion. Clarendon Pressに基づいて実施例4に示される。
【0061】
もし、実質的に球形の代謝粒子による代謝によって引き起こされた区画中の勾配の性質が十分には記載できないか、あるいは区画の内部寸法がよく規定されなければ、デバイスは、既知代謝産物摂取および/または放出を持つ人工的な実質的に球形の代謝粒子を用いて較正することができる。較正のための人工的な実質的に球形の代謝粒子は、関連する実質的に球形の代謝粒子の直径を持つ小さな球形粒子、例えば、澱粉のような安定な補助的化合物に包埋された、あるいはガラスビースのような不活性な球体にコートされた、ビタミンC、E、A、カロテノイド、セレン、塩化チタン、ジチオナイト、硫化第一鉄のような、酸素消費物質(抗酸化剤)からなる50ないし200μmの寸法の人工胚であり得る。
【0062】
実質的に球形の代謝粒子が区画に入れられてからまもなくの場合であり得る、区画内部の代謝産物濃度勾配が定常状態ではなく、依然として展開する場合、代謝速度は、依然として、時間単位当たりの区画内部の代謝産物濃度勾配の変化を調べることによって決定することができる。定常状態勾配は、換言すれば、経時的な一連の非定常的勾配から数学的にモデル化することができる。
【0063】
代謝産物
本発明によって測定された代謝産物は、実質的に球形の代謝粒子によって摂取された、あるいは該粒子から放出された関連するいずれの代謝産物でもあり得る。代謝産物の例は定義下前記した通りである。1つの実施形態において、代謝産物は後記するいくつかの方法によって検出することができる酸素のようなガスであり、あるいは代謝産物は、その測定方法をやはり後に述べる二酸化炭素である。
【0064】
かくして、好ましい実施形態においては、本発明は、酸素および/または二酸化炭素のガス分圧を測定することによる、実質的に球形の代謝粒子の呼吸速度の決定に関する。
【0065】
区画
前記したように、本発明は、すなわち、実質的に球形の代謝粒子の周りの物理的条件が、少なくても、代謝速度を測定するのに関連する時間の間に、拡散勾配が確立されるのを可能にするという、測定すべき代謝産物についての拡散勾配の確立に基づく。
【0066】
実質的に球形の代謝粒子は予め規定された寸法を持つ区画に入れられ、および/または該区画中で培養される。該区画が、好ましくは、実質的に球形の代謝粒子のための代謝産物を含む培地を含む。さらに、該区画は、区画の外部と連絡し、代謝産物が区画に入り、拡散によって培地に入るのを可能とするのが好ましい。それにより、代謝速度を測定する場合に実質的に球形の代謝粒子を移動させる必要なくしてより長い間、実質的に球形の代謝粒子を培養するために該区画を用いるのが可能である。しかしながら、代謝速度を測定し、引き続いて区画から除去する場合に、実質的に球形の代謝粒子を区画に移動させるのは本発明の範囲内である。
【0067】
拡散勾配を確立するのを可能とするための条件を確立するためには、該区画は拡散バリヤーによって規定することができ、培地を含むことができ、該拡散バリヤーは拡散によって実質的に球形の代謝粒子への、および/または該代謝粒子からの代謝産物移送を可能とし、それにより、代謝産物拡散勾配は、実質的に球形の代謝粒子から、および培地を通じて確立される。
【0068】
該区画は、実質的に球形の代謝粒子のための局所的環境を確立し、少なくとも一つの代謝産物が、拡散のみによって実質的に球形の代謝粒子へ、および/または代謝粒子から移送されるのを可能とする。
【0069】
実質的に球形の代謝粒子を囲う区画内部の培地は、好ましくは、培地に溶解した物質の移送が拡散によってのみ起こり得るように淀んだまま維持すべきである。該区画外部のバルク培地は淀んでいる必要はない。淀みは前記定義の通りである。
【0070】
さらに、区画は、内部の培地が淀んだまま維持され、さらに、その代謝速度が測定されるべき、実質的に球形の代謝粒子に関して、区画への所定の代謝産物の移送が制御されるように設計されるべきである。
【0071】
淀んだ
淀んだ培地の重要性は、胚の呼吸速度に関連して説明することができる:胚が区画内部の淀んだ培地中にあれば、胚に近い酸素分圧は、胚の酸素消費のため、区画外部の酸素分圧と比較して低下するであろう。定常状態の状況においては、酸素の供給は消費と等しく、胚に向けての酸素分圧勾配は安定であろう。拡散空間の、または胚からある距離の開口から、胚に向けての勾配の急峻性は、かくして、胚酸素消費(呼吸)の尺度である。胚の呼吸速度は、区画内部の位置における酸素分圧または濃度を測定することによって測定される。1つの測定は、前記した条件下で呼吸速度を決定するのに十分であろう。
【0072】
区画の設計および材料
区画はいくつかの方法で設計でき、その例を以下に議論する。
【0073】
区画の2つの異なる原理を以下に議論するが、拡散勾配が確立されるのを可能とすることができるいずれの区画タイプも本発明の範囲内にある。
【0074】
2つの異なる原理は:
・空間を囲う壁からなる区画
・少なくても一つの代謝産物の制御された拡散を可能とする粘性材料によって作成され、かつそれを満たした区画。
【0075】
かくして、第一の原理に関しては、区画は、区画の外側境界を構成し、かつ培地ならびに実質的に球形の代謝粒子を保持することができる少なくとも一つの壁によって規定することができる。該壁は、好ましくは、測定すべき代謝産物にとって不浸透性である。ポリマーまたはコポリマーが実質的に不浸透性の拡散バリヤーを供する材料を構成するように選択される場合、それは、区画を満たす培地に対する低い浸透性によって特徴付けられるべきである。もし壁が浸透性であれば、壁材料、区画を満たす培地に対する低い浸透性によって特徴付けられることが重要である。
【0076】
壁それ自体が測定すべき培地に対して実質的に不浸透性である場合は、該壁は、該代謝産物の実質的に球形の代謝粒子への移送を可能とする少なくとも1つの開口を含まなければならない。そのような開口は周囲の環境に対して十分に開放することができるか、あるいは膜によって部分的にまたは十分に被覆することができ、ここに、該膜は該区画の内部へのおよび/または該区画の内部からの代謝産物の移送を可能とする。
【0077】
代謝の対象を囲う拡散球のバリヤー材料(不浸透性部分)は、一般に、その境界を通じての代謝産物または材料の通過を制限する能力を保有すべきである。従って、区画は、その境界を通っての代謝産物通過を制限する能力を保有するいずれかの適当な材料によって作成することができる。プラスチック、複合体、コーティング、ラミネート、ファブリック、金属、ガラス、セラミック、アセタール樹脂、アクリル樹脂、セルロース性プラスチック、フルオロプラスチック、アイオノマー、パリレン、ポリアミド、ポリアミドナノ複合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリフェニルスルフィド、ポリスルホン、スチレン樹脂、ビニル樹脂などのポリマー、プラスチックアロイ、多層ポリマー、エポキシ樹脂、オレフィン熱可塑性エラストマー、ポリエーテルブロックアミド、ポリブタジエン、熱可塑性エラストマー、スチレン熱可塑性エラストマー、ビニル熱可塑性エラストマー、ブタジエンゴム、ブチルゴム、ブロムブチルゴム、クロロブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン−プロピレンゴム、フルオロエラストアマー、天然ゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ポリスルフィドゴム、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジレンゴムのようなゴム材料は、実質的に不浸透性バリヤー層を達成するのに用いることができる材料の例である。
【0078】
材料の浸透性は、バリヤーを横切っての浸透体の質量移送のための一般式の比例定数である。

式中、Pは材料/バリヤーの浸透率であり、Q=δmgas/δtは面積積分フラックス、すなわち、伝達率であり、Aは面積であり、Iは厚みであって、Δpはバリヤーを横切っての分圧の差である。Pは次元:
[P]=(浸透体*バリヤー厚みの量)/(面積*時間*圧力勾配)
を有する。
【0079】
前記定義の用語の浸透率はガスで最も通常に用いられ、他の代謝産物の溶解した代謝産物で最も通常に用いられる用語は拡散率である(実施例4参照)。この場合以下の通りである。

【0080】
ガスの拡散移送は方程式のいずれかの組によって記載することができる。浸透率Pは拡散係数Dおよび溶解度Sの積であり(すなわち、P=S*D)、ここに、溶解度は濃度および分圧の間の比として定義される(すなわち、S=C/p)。拡散係数についての通常の単位はcm/sである。
【0081】
浸透率および拡散係数は共に温度によって影響される。第一の近似として、両者は、古典的なアレニウスの関係に概略従って温度と共に増大する。
【0082】
淀んだ水性培地は、37℃において、ほぼ6700cmmm/(m日気圧)の酸素に対する浸透率を有する。
【0083】
代謝産物酸素の場合、不浸透性材料は、1cmmm/m日気圧23℃以下のような、2cmmm/m日気圧23℃以下のような、5cmmm/m日気圧23℃以下のような、10cmmm/m日気圧23℃以下のような、15cmmm/m日気圧23℃以下のような、20cmmm/m日気圧23℃以下のような、25cmmm/m日気圧23℃以下のような、30cmmm/m日気圧23℃以下のような、35cmmm/m日気圧23℃以下のような、40cmmm/m日気圧23℃以下の浸透率を有する材料と定義することができる。
【0084】
選択されたプラスチック/ポリマーについての酸素浸透率の例は:
スチレン−アクリロニトリルコポリマーSAN(24℃においてP=15〜40cmmm/m日気圧)
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマーABS(25℃においてP=39.3cmmm/m日気圧)
ポリ塩化ビニル
ポリブチレンテレフタレートPBT(P=15.5cmmm/m日気圧)
ポリフェニレンスルフィドPPS(P=11.8cmmm/m日気圧)
ポリイミド(P=10cmmm/m日気圧)
ポリシクロヘキシレンジメチレンエチレンテレフタレートPETG(22.8℃においてP=9.97cmmm/m日気圧)
ポリフッ化ビニリデンPVDF(P=1.96cmmm/m日気圧)
ポリエチレンテレフタレートPET(P=2.4cmmm/m日気圧)
ポリエチレンナフタレートPEN(P=0.525cmmm/m日気圧)
ナイロン/ポリアミド(P=0.4−1.5cmmm/m日気圧)
液晶ポリマーLCP(23℃においてP=0.037cmmm/m日気圧)
エチレンビニルアルコールコポリマーEVOHバリヤー層(例えば、Capram Oxyshield OB、P=0.0021〜24cmmm/m日気圧)
アクリロニトリル−アクリル酸メチルコポリマーAMA(P=0.08〜0.64cmmm/m日気圧)
【0085】
区画への開口は、代謝産物浸透性材料で作成された膜によって被覆することができ、それにより、膜は制御された拡散バリヤーを構成する(実施例5、図8における設計L参照)。
【0086】
もう1つの実施形態において、全区画壁は代謝産物浸透性材料で作成することができ、唯一の仮定は、壁材料が、区画を満たす培地に対するより低い浸透率によって特徴付けられることである。それにより、区画壁は制御された拡散バリヤーを構成する。
【0087】
浸透性膜および浸透性壁は共に膜−またはフィルム−様構造または別の構造を有し、代謝粒子への、および/または代謝粒子からの酸素のような代謝産物の制御された有意な移送を可能とする。代謝産物酸素、制御された拡散バリヤーを可能とする浸透性材料の場合には、浸透率は、好ましくは、少なくとも90cmmm/m日気圧23℃のような、少なくとも80cm mm/m日気圧23℃のような、少なくとも750cm mm/m日気圧23℃のような、少なくとも60cm mm/m日気圧23℃のような、少なくとも50cm mm/m日気圧23℃である。
【0088】
酸素浸透性材料についての適当な材料の例は以下の通りである:
ポリスルフォン(P=90.5cmmm/m日気圧23℃)
ポリプロピレンPP(23℃においてP=59〜102cmmm/m日日気圧)
環状オレフィンコポリマーCOC(P=71cmmm/m日気圧)
ポリカーボネート(P=90〜120cmmm/m日気圧)
ポリスチレンPS(P=117〜157cmmm/m日気圧)
ポリエチレンPE(P(ULDPE)=280、P(LDPE)=102〜188、P(HDPE)=35〜110、P(LLDPE)=98〜274cmmm/m日気圧)
エチレン−アクリル酸コポリマーEAA(P=178−550cmmm/m日気圧)
ポリテトラフリオルオロエチレン、PTFEテフロン(25℃においてP=223cmmm/m日気圧)
エチレン−ビニルアセタトコポリマーEVA(P=177−210cmmm/m日気圧)
【0089】
非常に浸透性のポリマーの例はシリコーン(P=17280cmmm/m日気圧)であり得る。
【0090】
これらの記載した材料は例を構成するに過ぎず、適当な浸透率および特徴を持つ他の材料を選択して、該呼吸粒子の周りの拡散バリヤーの所望の組合せを得ることができる。関連ポリマーのさらなる例は:Liesl K.Massey:Permeavility properties of plastics and Elastomeres, a guide to packaging and burrier materials 第2版 P57−507に浸透係数と共にリストされている。なおさらなる例はBram Drup & Immergut, Polymer Handbook 第4版にリストされている。
【0091】
1つの特別な実施形態において、区画は少なくても1つの開口を有するガス不浸透性材料から作成され、その開口はガス浸透性である。該開口はガス浸透性膜によって被覆することができる。1つの特別の実施形態において、側壁側および底はガス不浸透性材料で作成される。適当な成長培地中の実質的に球形の代謝粒子を含む区画は、該開口を直接介して、または該区画の外部のより大きな容量の培地を通って、既知のガス状組成、および制御された温度および湿度の雰囲気と開放連結している。酸素および他の溶解した物質は、区画内部の淀んだ培地を通っての拡散により、規定された拡散区画通じて、該雰囲気から直接的、あるいは、該雰囲気と平衡にあるより大きな容量の培地を介して、実質的に球形の代謝粒子に供給される。区画外部の酸素分圧は、双方の場合において、知られているであろう。雰囲気の組成は知られているか、あるいはバルク培地は既知の組成の雰囲気と平衡にあるかのいずれかである。
【0092】
もう1つの実施形態において、区画は、いずれかの高粘度の培養基によって規定されるか、あるいはより高い粘度および/または極性の培地によって囲まれる。
【0093】
(例えば、Sigma,Medicult,In vitro Life,Nidaconから)商業的に入手可能な培養基は、同一塩度の殆ど水のような拡散係数を通常は有する。そのような培養基は、不浸透性粒子または対象を該培養基に懸濁させるか、あるいは該培養基の粘度を増加させることによって変化させることができる。
【0094】
培養基は、不浸透性粒子または対象を懸濁させて、多孔度を低下させ、かくして、拡散係数Dを低下させることによって変化させることができる。ガスまたは他の代謝産物が液体および不浸透性粒子の混合物中を拡散する場合、D混合物=D液体*多孔度である。
【0095】
また、培養基は、粘度を増加させて、高い粘度および実質的に低下した拡散係数を持つ培地を達成することによって変化させることができる。そのような培地はデキストラン、グリセロール、糖類、炭水化物、蛋白質、有機ポリマーのような実質的に不活性な有機溶質、または無機塩の添加から生起させることができる。
【0096】
また、澱粉、アガロースまたは他のゲル化試薬のような有機ポリマーの添加によって、実質的に拡散係数に影響することなく、粘度を変化させることができる。これは、大きな自由液体空間中での乱れた混合を低下させるのに価値があり得る。
【0097】
さらに、培養基は、例えば、パラフィン油またはシリコーン油または他の医療油のような油を重ねることによって包むことができ、ここに、該油は培養基の同等の本体と比較して同様なまたは異なる拡散バリヤーを構成する。乱れたかつ拡散的流動についての溶解度および移送係数の双方は油および水の間で異なり得る。
【0098】
区画の形状
区画は、原理的には、問題の代謝産物のための拡散勾配を確立するための各適当な形状を呈することができる。しかしながら、区画の形状は、好ましくは、特に、実質的に球形の代謝粒子の挿入および除去に関して実質的に球形の代謝粒子の取扱いを容易とすべきである。本発明の関係では、該形状は区画の内部寸法をいう。区画の外側寸法は任意の現実的な形状を達成することができる。
【0099】
従って、区画の内部形状は、円筒、多面体、円錐、半球またはその組合せの群から選択することができる。好ましい実施形態においては、該形状は円筒、円錐、2つの円筒の組合せ、または円錐および円筒の組合せである。その例は図面に示されている。より好ましくは、円筒である。
【0100】
区画の寸法
区画は先に議論した拡散勾配の確立を可能とするような寸法とされる。この点において、実質的に球形の代謝粒子の摂取および/または放出に対する区画の寸法は重要である。与えられた実質的に球形の代謝粒子の代謝産物の摂取および/または放出は、しばしば、実質的に球形の代謝粒子のサイズに依存するので、実質的に球形の代謝粒子のサイズに対する区画の寸法は重要である。
【0101】
以下において、該寸法は、哺乳動物胚のサイズ、すなわち、発生段階および種に応じて30ないし400μmの間のおおまかな直径を有する実質的に円筒の区画および実質的に球形の代謝粒子に対して議論する。他の実質的に球形の代謝粒子については、当業者であれば、それに従って、適切な寸法を計算することができる。
【0102】
典型的には、該区画の横方向の寸法は、2.5mm未満、特に1.5mm未満、とりわけ250μm未満など、500μm未満である。
【0103】
区画の長手方向寸法は、1つの実施形態において、2ないし25mm、特に3ないし15mmの間である。該長手方向は、通常は、拡散バリヤーを構成する培地の垂直高さである。一般化された項目においては、それは代謝粒子からバルク培地への拡散勾配に対して垂直な距離である。
【0104】
該寸法は区画自体の寸法であってよく、あるいは、それは、1以上のインサートを標準区画に挿入することによって供することができ、それにより、いくつかの異なるタイプの実質的に球形の代謝粒子の代謝速度を測定するための同一タイプの区画の使用を容易にしている。
【0105】
1つの実施形態において、区画は、区画の横方向寸法の調整のために少なくとも1つのインサートを有する。好ましい実施形態において、円筒インサートの内側横方向寸法は2.5mm未満、特に1.5mm未満、とりわけ300μmm未満など、500μm未満のように前記定義の通りである。
【0106】
もう1つの実施形態において、寸法は調整可能な底を区画に設けることによって調整することができ、例えば、ここに、区画はプランジャー様底で形成される。それにより、区画の寸法は増加させ、および減少させることができる。
【0107】
調整可能な底は、特別な状況において適切なように、1以上のインサートの挿入と組み合わせて用いることができる。
【0108】
機能的な区画の寸法は、区画中の培地の容量を変化させることによって変化させることができる。区画中の培地のレベルは、規定された量の培地を添加または除去することによって、制御された方法で変化させることができる。これの機能的原理は、効果的な拡散区画の寸法を改変し、かくして、実質的に球形の代謝粒子への、一定組成の区画の外側からの代謝産物の移送を制御することに対応して、それを通って代謝産物ガスが拡散しなければならない淀んだ培地中の距離を増加または減少させることに関する。実質的に球形の代謝粒子の代謝速度は、培地のレベル、かくして、実質的に球形の代謝粒子によって経験される代謝産物濃度をいずれかの代謝速度において所望のレベルまで調整するという任意工程の下で、実質的に球形の代謝粒子の代謝速度を決定することができる。
【0109】
代謝産物の浸透性層
1つの実施形態において、実質的に球形の代謝粒子は、代謝産物浸透性層の層上の区画中に配置される。それにより、実質的に球形の代謝粒子には、全ての側から代謝産物が供給され、より最適な条件に導く。代謝産物浸透性層のもう1つの利点は、それが、後に議論するように代謝産物濃度の測定を容易とすることができることである。代謝産物浸透性層は、好ましくは、底が前記定義の通りである少なくとも1つの区画の底に配置される。
【0110】
代謝産物浸透性層は、代謝産物浸透性膜について前記で議論したように、問題の代謝産物に対して浸透性の任意の材料から製造することができる。特に、代謝産物浸透性層はシリコーン、テフロンフルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはネオプレンのようなプラスチック化合物を含む材料から製造することができる。
【0111】
もう1つの実施形態において、代謝産物浸透性層は、ガラス、セラミック、鉱物、ガラスまたは鉱物繊維のような浸透性マトリックスまたは多孔性材料、または金または白金のような貴金属を含む材料から製造される。
【0112】
さらにもう1つの実施形態において、代謝産物浸透性層はシリコーンを含む材料から製造される。
【0113】
代謝産物浸透性層の厚みは、前記したように、それが果たす目的に応じた寸法とされる。好ましい実施形態において、代謝産物浸透性層の厚みは、好ましくは、少なくとも100μm、特に少なくとも300μm、とりわけ少なくとも900μmのような、実質的に球形の代謝粒子の直径の少なくとも2倍である。
【0114】
検出方法
区画内部の代謝産物濃度は、好ましくは、非−侵入性方法によって測定される。該方法は、適切には、問題の代謝産物に応じて選択される。
【0115】
1つの実施形態において、代謝産物は実質的に球形の代謝粒子によって酸素消費される。酸素の検出は、固定化、ルミノフォア、培地に溶解されたルミノフォアでの光学検知、ミクロ分光光度技術、クラークタイプの酸素センサーを含めた電気化学的ベースの酸素センサー、MIMS技術(膜流入口質量分析)またはその分野における当業者によって考えることができるいずれかの他の検出手段での光学検知に基づくことができる(定義参照)。本発明の特別な実施形態において、酸素分圧または濃度は、固定化ルミノフォア層を用い、CCD−カメラ、または光電子増倍管のようなルミノセンスリーダーまたはカメラでルミネセンスを記録して測定される。
【0116】
光学酸素センサーは、主として、ルミノセンスクエンティングの原理に基づく。酸素濃度が低くなると、クエンチングは弱くなり、増大したルミネセンスが観察される。変形されたシュテルン−ボルマー方程式に基づき、以下が見出される:

(式中、αはルミネセンスの非クエンチ可能分率であり、Iは酸素の存在下におけるルミネセンス増加であり、KSVは固定化されたルミノフォアのクエンチング効果を表す定数である(Stern and Volmer 1919, Klimant et al. 1995)。)濃度は単純な3−点較正に基づいて検索することができる。
【0117】
別の光学検知原理が、長い燐光寿命を持つルミノフォアで開発されている。酸素濃度がルミノフォアの周りの環境で減少するにつれ、(光の単一フラッシュ後の)燐光寿命は系統的に長くなる。
【0118】
このタイプのセンサーのための燐光の酸素依存性はStern−Volmer関係:
τ/τ=1 + k・τ・po2 (2)
[式中、τおよびτは、各々、酸素の不存在下における、およびpo2の酸素分圧における燐光寿命でありk(クエンチング定数)は、酸素および励起されたトリプレット状態のポルフィリンの間の衝突の頻度、および衝突が起こった場合のエネルギー移動の確率に関する二次速度定数である。酸素分圧po2を計算するためには、酸素の不存在下におけるクエンチング定数および寿命が測定されなければならない。]
【0119】
より通常に用いられる強度−ベースのシステムとは対照的に、ルミネセンス寿命の測定は光ブリーチングに対する非感受性、色素の不均一な分布または浸出、励起光の強度の変化のようなある種の利点を提供する。これは単純な光学系または光ファイバーの使用を容易とする。酸素−感受性色素の新しいファミリー、ポルフィリン−ケトンが導入されており、これは、好都合なスペクトル特性および数十および数百のマイクロ秒のオーダーの時間で崩壊する。これは、単純な光電気回路性および低コスト加工エレクトロニクスの使用を可能とする。
【0120】
最近、高空間分解能に対する新しいアプローチが、イメージング技術と組み合わせた酸素用の平面光学センサーホイルの使用に基づいて開発された。ここに、センサーホイルは透明な試料容器の内側に設置することができ、電荷−結合デバイス(CCD)カメラで外側からセンサーホイルをモニターすることによって、センサーホイルの酸素−依存性ルミネセンスの変化をモニターすることができ、試料中の二次元酸素分布を測定するのに用いることができる。これらのホイルは強度および寿命ベースの測定の双方で用いることができる。それらは、本明細書に記載された新規なデバイスにおいて内部検出器として用いることができる。酸素ルミノフォアの例はルテニウム(II)ポリピリジル複合体、ルテニウム(II)ビピリジル複合体、ルテニウム(II)ジイミン複合体、ポルフィリン複合体、ビス(ヒスチジナト)コバルト(II)、白金1,2‐エンジチオレートのような金属有機色素である。好ましくは、酸素ルミノフォアは、ポリスチレンマトリックス中に固定化されたクロレート(Rudpp)当たりルテニウム(II)−トリス−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、ルテニウム(II)トリス−1,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン塩化物、ルテニウム(II)‐トリス(ビピリジル)複合体、トリス(2,2’−ビピリジルジクロロ−ルテニウム)六水和物、Ru(bpy)、ポリスチレン中の白金(II)‐オクタ−エチル−ポルフィリン、ポリ(メタクリル酸メチル)中の白金(II)‐オクタ−エチル−ポルフィリン、ポリスチレン中の白金(II)‐オクタ−エチル−ケト−ポルフィリン、白金(II)‐オクタ−エチル−ケト−ポルフィリン、ポリスチレン中のパラジウム(II)−オクタ−エチル−ポルフィリンで作成することができる。
【0121】
光学酸素センサー、およびグルコース、pHおよび二酸化炭素のような他の代謝産物についてのセンサーの使用についてのさらなる情報は、後にリストする文献中で見出すことができる。
【0122】
かくして、1つの実施形態において、酸素検出器は、酸素について、電気化学的またはいずれかの他の検出原理であり得る。
【0123】
酸素濃度測定は区画の底で行われる特定の実施形態におけるものであり、もう1つの実施形態においては、酸素測定用の手段は代謝産物浸透性層の直下の区画の底に置かれ、少なくとも1つの実質的に球形の代謝粒子はガス浸透性層の上にあり、従って、代謝産物浸透性層は実質的に球形の代謝粒子および代謝産物検出器の間に置かれる。
【0124】
1つの実施形態において、酸素分圧は、区画の酸素不浸透性底壁を貫くセンサー先端を備えた区画の底に置かれた区画の横方向直径を超えない先端直径を持つクラークタイプの電気化学的酸素ミクロセンサーで測定される。センサー先端は、酸素浸透性層によって実質的に球形の代謝粒子から分離される。酸素センサーは、センサーの分析物(酸素)消費が、区画勾配内部の酸素分圧が該センサーの測定活動によって乱されないように、実質的に球形の代謝粒子呼吸速度の1%のような無視できる割合を超えないような設計とすべきである。
【0125】
もう1つの実施形態において、クラークタイプの酸素センサーは、区画の酸素不浸透性底を貫くMIMS繊維によって置き換えられる。MIMS繊維先端はガス浸透性層によって胚から分離される。MIMS繊維は、センサーの分析物(MIMS繊維膜を通じて移動でき、質量分析器で検出できるいずれかのガス)消費が、区画勾配内部の特定ガスの勾配が該MIMS繊維の測定活動によって乱されないように、実質的に球形の代謝粒子の消費または生産速度の1%のように無視できる割合を超えないような設計とすべきである。
【0126】
さらにもう1つの実施形態において、区画内部の酸素分圧勾配は、オキシヘモグロビン、または酸素依存性吸収特徴を持つもう1つの分子を成長培地に添加し、次いで、区画の透明な側壁を通じて、435nmまたはもう1つの適当な波長において吸収勾配を測定し、それにより、区画中の酸素分布を決定することによって決定される。
【0127】
他の代謝産物は、二酸化炭素、Ca2+、およびグルコースについてのルミネセンスのインジケーターのようなこれらの代謝産物についてのルミネセントのインジケーターを用いることによって測定することができる。
【0128】
さらに、pHは、区画中の代謝産物の濃度を示す区画中のある所定の位置で測定することができる。
【0129】
デバイス
本発明によるデバイスは前記した少なくとも1つの区画を含む。好ましい実施形態においては、該デバイスは、少なくとも96区画のような、少なくとも48区画のような、少なくとも24区画のような、少なくとも12区画のような、少なくとも8区画のような、少なくとも6区画のような、少なくとも4区画のような、少なくとも2区画のような複数の区画を含む。それにより、1を超える実質的に球形の代謝粒子の代謝速度を容易に測定することができ、各区画は1つの実質的に球形の代謝粒子を含む。
【0130】
区画は、実質的に球形の代謝粒子を培養するのに適しているのが好ましい。1つの実施形態において、該デバイスは細胞培養用の慣用的48−または96−ウェルデバイスである。しかしながら、慣用的ウェルは、実質的に球形の代謝粒子を測定する場合に勾配が確立されるのを可能とするのには余りにも大きな開口を有する。従って、ウェルは前記したようなインサートを設けることができる。インサートは全培養期間の間、または代謝産物勾配を確立し、代謝産物濃度を測定する期間のみにおいて位置させることができる。
【0131】
培養デバイス
本発明は、さらに、前記した代謝粒子を培養するための最適化されたデバイスに関し、ここに、該デバイスは前記した少なくとも1つの区画を含む。したがって、本発明は代謝粒子の培養用のデバイスに関し、そのデバイスは少なくとも1つの区画を含み、該区画は拡散バリアーによって規定され、かつ代謝粒子を含む培地を含むことができ、該拡バリヤーは拡散によって代謝粒子への、および/または代謝粒子からの代謝産物移送を可能とし、それにより、代謝産物拡散勾配が、代謝粒子から、および培地を通じて確立される。
【0132】
該区画は、好ましくは、検出器が培養デバイスに必然的には含まれない以外は前記した通りである。従って、該デバイスは、少なくとも96区画のような、少なくとも48区画のような、少なくとも24区画のような、少なくとも12区画のような、少なくとも8区画のような、少なくとも6区画のような、少なくとも4区画のような、少なくとも2区画のような、複数の区画を含むことができる。
【0133】
デバイスは、細胞および生物の周りのミクロ環境が容易にモニターされ、個々に記載するように最適化される点で、細胞および生物の培養の最適化された条件を提供する。
【0134】
従って、本発明は、さらに、代謝粒子を培養するための方法に関し、該方法は:
a)本明細書中に定義された少なくとも1つのデバイスを設け、
b)代謝粒子を区画の倍地中に配置し、
c)代謝粒子を培養する;
ことを含む。
【0135】
本明細書中に記載された方法のいずれかと該培養方法とを組み合わせるのは本発明の範囲内のものである。
【0136】
代謝速度の測定方法
もう1つの態様において、本発明は、実質的に球形の代謝粒子の代謝速度を測定するための非−侵入的方法に関する。該方法は、
a)前記定義の少なくとも1つのデバイスを設け、
b)実質的に球形の代謝粒子を区画の倍地中に配置し、
c)区画内部の代謝物濃度を測定して、代謝産物濃度尺度を得、
d)該代謝産物濃度尺度を該実質的に球形の代謝粒子に相関させ、それにより、実質的に球形の代謝粒子の代謝速度を決定する;
ことを含む。
【0137】
代謝産物は前記した通りでよい。代謝産物は、培地を通じての拡散によって、実質的に球形の代謝粒子に供された酸素のような培地を通じての拡散によって、実質的に球形の代謝粒子に供給することができるか、あるいは該粒子から除去することができる。後者の場合、代謝濃度は、酸素または二酸化炭素ガス分圧のようなガス分圧であり得る。
【0138】
実質的に球形の代謝粒子は、実質的に球形の代謝粒子の不必要な乱れが代謝速度の測定により起こらないように、区画中で培養するのが好ましい。
【0139】
代謝産物濃度は区画の容量および/または培地の容量よりも小さな容量中で測定することができる。該実質的に球形の代謝粒子の代謝速度は、測定された代謝産物濃度に基づいて区画中の代謝産物拡散勾配を決定し、該代謝産物拡散勾配を、該実質的に球形の代謝粒子の代謝速度に相関させることによって決定されるのが好ましい。
【0140】
代謝速度は代謝産物濃度の1回の測定、または少なくとも2回の測定のような数回の測定を行うことによって決定することができる。さらに、代謝速度は、培養期間中に1回を超えて決定して、実質的に球形の代謝粒子の状態をモニターすることができる。
【0141】
前記したように、代謝産物が酸素のようなガスである場合、ガスは、大気から直接的に、あるいは大気と平衡しているより大きな容量の培地から、区画中の淀んだ培地を通じて、拡散によって、実質的に球形の代謝粒子に供給することができる。
【0142】
閉じた呼吸測定
本発明によるデバイスは、さらに、閉じた呼吸測定によって、実質的に球形の代謝粒子のような粒子の呼吸速度を測定するのに用いることができる。閉じた呼吸測定は、閉じた呼吸測定セル、すなわち、酸素の供給が少なくとも一次的に停止されたセルにおける呼吸速度の尺度である。本発明のデバイスは、デバイスの区画中のいずれかの開口にわたって、酸素のような代謝産物に不浸透性の材料のカバーを適用することによって閉じた呼吸測定セルに変換することができる。該カバーは前記した不浸透性材料のいずれかから製造することができる。
【0143】
従って、本発明は、さらに、
a)前記定義の少なくとも1つのデバイスを設け、
b)代謝粒子を区画の倍地中で培養し、
c)培養期間の少なくとも一部の間に、培地への代謝産物供給を低下させ、
d)代謝産物供給が低下された後に、区画内部の代謝産物濃度を測定して、代謝産物濃度尺度を得、
e)該代謝産物濃度尺度を該実質的に球形の代謝粒子に相関させる;
ことを特徴とする、代謝粒子の代謝速度を決定するための非−侵入的方法に関する。
【0144】
閉じた呼吸測定に関しては、代謝産物は最もしばしばは酸素であって、代謝速度は呼吸速度である。該方法においては、酸素供給は好ましくはゼロまで低下される。
代謝産物濃度尺度は低下した供給の間に得られているのが好ましい。
【0145】
代謝産物供給の調節
さらなる態様において、本発明は、区画中において、実質的に球形の代謝粒子のような粒子への代謝産物供給を調節する方法に関する。
【0146】
従って、本発明は、さらに、
a)培地を含む区画を含む少なくとも1つのデバイスを設け、
a)実質的に球形の代謝粒子を区画の培地中で培養し、
b)区画内部の代謝産物濃度を測定して、代謝産物濃度尺度を得、次いで、所望により、
c)該代謝産物濃度尺度を、該実質的に球形の代謝粒子の代謝速度に相関させ、
d)代謝産物濃度尺度および/または該実質的に球形の代謝粒子の代謝速度に応じて代謝産物供給を調節する;
ことを特徴とする、培養の間に実質的に球形の代謝粒子への代謝産物供給を調節する方法に関する。
【0147】
該方法は、特に、代謝産物が酸素のようなガスであって、代謝プロセスが呼吸である測定に関する。
【0148】
区画は、好ましくは、代謝産物拡散勾配の確立を可能とするのに適した本明細書中で定義された区画である。
【0149】
代謝産物の供給の調節はいずれかの適当な方法で行うことができる。1つの実施形態において、該調節は、区画外部の代謝産物濃度を変化させることによって行われる。
【0150】
もう1つの実施形態において、該調節は、区画の寸法を変化させることによって行われる。前記したように、容量はいくつかの方法で変化させることができる。その1つの例では、区画の横方向寸法がインサートを挿入することによって調整されるように、寸法はインサートを挿入することによって調整される。また、長手方向寸法は、区画の調整可能な底の位置をシフトすることによって調整することができる。
【0151】
第3の実施形態において、該調節は区画の拡散バリアーを変化させることによって行われる。これは、区画壁の厚みを変化させることによって、あるいは、区画壁中の少なくとも1つの開口のサイズを変化させることによって行うことができる。
【0152】
実質的に球形の代謝粒子のモニタリング
本発明は、さらに、実質的に球形の代謝粒子のモニタリング、および代謝速度によって測定される生存率の点で高品質を有する実質的に球形の代謝粒子の選択に関する。
【0153】
好ましい実施形態において、本発明は、
a)培養の間に胚の代謝速度を少なくとも1回測定し、
b)最適な代謝速度を有する胚を選択する;
ことを特徴とする、生きた胚を選択する方法のような、生きた胚の選択に関する。
【0154】
代謝速度の決定は、好ましくは、本発明によって、ならびに本明細書中に記載される方法によって既定されるデバイスで行われる。さらに、胚は、好ましくは、該デバイスの区画中で培養される。
【0155】
それにより、代謝速度の決定は、胚によって経験される成長条件のいずれかの変化を引き起こすことなく行われるのが促進される。
【0156】
図面による詳細な説明
以下において、本発明の多数の異なる実施形態を添付の図面を参照して説明するが、これらの実施形態は一般的な発明概念の例を構成するに過ぎず、他の実施形態が当業者によって考えることができるのは理解されるべきである。
【0157】
胚呼吸を測定するための図1に示された発明の実施形態は、一方の端部に開いた長手方向区画1.4を示す。円筒形とすることができる区画の底は、透明な酸素感受性ルミノフォア1.3の頂部上のガス浸透性物質1.6よりなる。拡散区画の底壁1.5は、拡大下で胚の芽による観察を可能とする透明な材料で作成される。底壁1.5は、酸素の唯一の供給が区画1.7の開口を通じるように、ガラスまたはプラスチックのようなガス不浸透性材料で作成される。区画の底のルミノフォア層1.3における酸素分圧は、透明な底壁1.5を通じて区画の底の酸素ルミノフォア1.3からのルミネセンスを記録することにより、外部ルミネセンスリーダーによって測定される。1つの実施形態において、バルク培地であり得る周囲1.2は、既知または未知のガス組成の雰囲気と平衡している。該デバイスは、1つの実施形態においては、透明な酸素感受性ルミノフォア1.3の頂部上のガス浸透性物質1.6の上に置かれた単一または数個の胚1.1を収容する。ガス浸透性物質1.6はシリコーン化合物、テフロンフルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはネオプレンのようなプラスチック化合物、もう1つの化学的に不活性なガラスのような材料に基づく浸透性マトリックスまたは多孔性材料、セラミックまたは鉱物、ガラスまたは鉱物繊維、あるいは金または白金のような貴金属であり得る。
【0158】
本発明の機能的原理は、酸素の胚の消費が、バルク培地/周囲1.2における酸素分圧と比較して、酸素検出器(ルミノフォア)1.3における酸素分圧を低下させることである。酸素分圧勾配1.8は、定常状態では、安定であって、肺の酸素消費が一定である限り変化されない。長手方向円筒形拡散区画を含む本実施形態においては、酸素分圧勾配は図1に示されたように直線的である。現実の実験データを図4に示す。従って、胚による酸素消費は、底の胚1.1に向けての開口からの酸素の直線的減少(理論的グラフ1.8参照)を仮定して、拡散のフィックの第一法則(方程式1)

(式中、Jは酸素のフラックスであり、これは、定常状態では、胚の消費に等しく、Dは培地の既知の拡散係数であって、dC/dXは酸素勾配である)を用いて、該拡散区画1.4の底1.3および開口1.7における酸素分圧間の差として測定される。勾配dC/dXは、区画の開口1.7および胚1.1のレベルにおける区画の底での規定された雰囲気または培地の間の酸素分圧の差である。区画1.4の底を被覆する光学酸素ルミノフォア1.3の本実施形態における使用は、合計底面積にわたって酸素信号を積分する。胚に関連する不均一に分布した酸素消費から生じる、胚のレベルにおける水平方向酸素勾配を、胚の正確な設置が呼吸見積もりと無関係になるように、消費が底面積にわたって均等に分布するかのごとく平均化する。
【0159】
かくして、個々の胚の呼吸速度は、区画内部に固定された酸素検出器手段によって胚を乱すことなく拡散区画の外部から行われた単一酸素分圧測定によって決定することができる。該測定は、胚のいずれの乱れも無くして、数秒以内に実行することができる。検出器手段に応じて、該測定は、例えば、インキュベーターまたは温かい部屋であり得るインキュベーター内部で行うことができるか、あるいは該測定は、胚によって経験される成長条件が有意に影響されないように、インキュベーター外部で非常に短い時間内に行うことができる。
【0160】
本発明の区画のアレイを用いることによって、複数の胚を同時に個々の呼吸速度についてスキャンすることができる。1つの実施形態において、少なくとも1つの区画は少なくとも5つの区画、特に少なくとも10の区画、とりわけ少なくとも24の区画、さらに少なくとも96の区画を含む。
【0161】
更なる実施形態において、個々の胚は別々の区画中で成長させ、さらなる実施形態においては、拡散は複数の胚を含む。
【0162】
図2は、長手方向区画2.4の横方向寸法Aを調整するように働く、第一の実施形態内部のインサート10を示す。横方向寸法を狭くするか、または拡大することによって、拡散によって溶解した物質を移送する拡散区画の能力は増加させるか、または低下させることができる。拡散区画の移送能力は、胚の位置における定常状態酸素分圧を決定する。
【0163】
本発明の1つの実施形態において、胚の位置における酸素分圧は、区画2.4の寸法を調整することによって制御される。これは、例えば、調整可能な底3.10(図3参照)の位置を調整することによって、区画内部の培地レベルを減少または増加させることによって、あるいはインサート2.9(図2参照)を区画に導入すること(これは横方向寸法Aを低下させるであろう)によって、いくつかの方法でなすことができる。
【0164】
ガス浸透性層2.6の厚みは、1つの実施形態においては、少なくとも100μm、特に少なくとも300μm、とりわけ少なくとも900μmである。ガス浸透性層の厚みは、好ましくは、哺乳動物胚では、典型的には、発生の段階および種に応じて30ないし400μmの間である胚の直径の約2倍以上とすべきである。
【0165】
図3は、本発明のもう1つの実施形態を示す。図1に示された第一の実施形態と同一な要素は図1におけるのと同一の参照番号によって命名される(図面の脚注参照)。該実施形態は一端に開口3.7を持つが酸素感受性ルミノフォア3.3の頂部にガス浸透性層3.6を備えた移動可能なまたは調整可能な底3.10を持つ区画3.4、例えば、円筒形区画よりなる。底壁3.10は、シールがガス不浸透性とするように、区画壁3.5に対してシールされる。
【0166】
本発明の第二の実施形態における区画の寸法は、移動可能な底3.10のため、制御された方法で変化させることができ、区画3.7の開口から胚3.1までの酸素の拡散長を増加させるかまたは減少させる。区画3.4の長さを増加または減少させることによって、胚3.1のレベルにおける定常状態酸素分圧は、呼吸見積もりを行う可能性に影響することなく、減少または増加させて、所望の酸素分圧に到達することができる。胚の呼吸速度は、このようにして、いずれかの呼吸速度において、胚によって経験される酸素分圧を所望のレベルに調整するオプションでもって決定することができる。
【0167】
図5は本発明のさらにもう1つの実施形態であり、そこでは、成長皿内のインキュベーション培地の完全な容量が区画5.4を規定し、これは、従って、本発明の他の実施形態におけるよりもかなり大きい。成長皿の底5.5は透明であって、胚の間の分圧勾配の重複を回避するのに十分大きな、相互からの距離、典型的には2mm未満の距離にて、その頂部に1個または数個の胚5.1が置かれたルミノフォア5.3で被覆される。本発明の機能的原理は、酸素は、図5Bに示すように、胚上方の区画外部の雰囲気と接触した周囲の培地から酸素が胚に供給されることである。区画が胚に対して非常に大きい場合、胚に向けての得られた酸素勾配は、図5Bにおける酸素分圧等圧線5.11、および図6からの現実のデータによって示されるように球形である。拡散区画を較正する成長皿は、光学酸素検知によって、二次元でルミノフォア5.3における酸素の水平分布を分解するCCDカメラ5.12上に置かれる。かくして、各胚5.1の周りの面積に対応するCCDカメラ5.12からの信号は、個々の胚呼吸の尺度となる。該効果は図5Cに示され、これはCCDカメラから見られるイメージを示し、ここに、各個々の胚の周りのルミノフォアのルミネセンス強度はグレイゾーンにおいて可視化される。胚呼吸は、胚の周りの記録された酸素分圧勾配を、理想的な球拡散を仮定する理論的モデルに適合させることによって見積もられる。自由な拡散空間における酸素消費体に向けての酸素の勾配は理論的に記載することができる。即ち、aおよびbの間の中空球における与えられたr(a<r<b)における濃度Cは、もしa(C1)およびb(C2)における濃度が既知であるならば、記載することができる(Crank 1997)。aおよびbの間の酸素の消費はない。

【0168】
球壁を通って拡散する酸素のフラックスJは、

によって与えられる。式中、Dは倍地中の酸素の拡散係数である。
【0169】
勾配は酸素消費体の周りで対称であって、該体の中心を通るいずれかの面に写すことができる。よって、酸素消費体、この場合には、大きな区画(直径>1cm、高さ2mmを超える)の底の平面な表面に置かれた胚を、胚によって消費される酸素が半球から供給されるように球の中心と考えることが可能である。計算された呼吸速度(球状壁を通っての酸素のフラックス)は、記録された勾配を理論的モデルに適合させた場合、従って、2で割るべきである。胚呼吸によって引き起こされた、拡散区画における勾配の性質がもし十分に記載できないならば、該デバイスは、既知の酸素消費を持つ人工胚を用いることによって較正することができる。該実施形態は、酸素分布の2D記録との、同一区画底で培養された胚の間の呼吸速度の相対的比較にも適する。
【0170】
(実施例1)
ウシ胚を、1mmの直径および4mmの深さを持つ円筒形区画の底に置き、55hPaの酸素分圧での雰囲気下で培養した。区画内部の定常状態酸素分圧勾配は、胚に向けての区画の開口から100μm間隔で測定した。定常状態が達成される前の時刻t(秒)は、以下の式:

によって近似することができる。式中、Iは拡散区画の深さ(cm)であって、Dは培地の拡散係数である。かくして、1mmの直径および4mmの深さを持つ区画における定常状態は、Dを3.5×10−5と仮定してほぼ35分後に達成されるであろう。ミクロマニピュレーターで位置決定された10μmの先端サイズを持つクラークタイプの酸素のミクロセンサーを用いた。図4に示されたデータは、区画を通っての直線勾配を示す。かくして、区画の頂部および底における酸素分圧を知るのは勾配を決定するのに十分である。図4から、開口から胚に向けての区画内部の直線勾配に沿ったいずれかの点において酸素分圧を測定することによって勾配を決定することができることはさらに明白である。
【0171】
現実的な目的では、ルミノフォア層を用いる場合、区画の底に酸素検出用の手段を置くのがより便利である。
【0172】
(実施例2)
胚操作の後、各個々の胚をピペットによって区画に移す(試験管受精、クローニング、解凍または他の技術;例えば、胚操作技術の一般的記載についてはIn vitro fertilization. Kay Elder, Brian Dale, 2nd rep. Ed, Cambridge University Press (2001参照)。該区画は、1または数人または数匹のヒトまたは動物からの1個または数個のバッチの胚が複数区画、または区画の群を含む単一フレーム内に含有できるように、数個の区画を含むより大きなフレーム内に含める。次いで、該フレームを、ヒト胚では、典型的には、商業的に入手可能な培養基(例えば、IVF−50、Scandinavian IVF Science AB,エーテボリ、スウェーデン国)中で成長させた、37℃、N中の5ないし21%Oおよび5%CO,100%湿度であろう所望の条件下でインキュベートする。選択する培地は、いずれかの特異的タイプよりはむしろ品質制御の許容性および培地の入手性に依存する。胚の培養のための相対的に単純な平衡塩溶液を用いることができる。イーグル、タイロードおよびHepes培地は首尾よく導入されている。これら培地は単一の強化又は濃縮された溶液として市販されている。呼吸測定は、各個々の区画の底のルミノフォアからルミネセンス信号を生じる特別に設計されたルミノセンスリーダーにフレームを入れることによって行われる。フレームは測定後直ちにインキュベーターに戻される。現実の呼吸速度は、各個々の区画寸法についての情報で計算される。もし胚の位置における酸素分圧が与えられた最適な間隔、例えば、5ないし10%の間内になければ、区画寸法および、かくして、酸素分圧は、例えば、適当なインサートで調整される。
【0173】
呼吸測定は、イン・ビトロ培養期間の間に必要とされる頻度で行われる。次いで、典型的には、形態学的評価と組み合わせて胚呼吸速度を、受容体への移動のための胚の選択についての基礎として用いる。
【0174】
イン・ビトロ形態学的評価は胚の幾つかの特徴に基づく。そのような評価方法は主観的であって、かなり経験に依存する。胚は球形であって、ゼラチン−様殻、透明帯として知られた無細胞マトリックスによって囲われた細胞(割球)から構成される。透明帯は、胚が孵化するまで種々の機能を行い、胚評価のための良好なランドマークである。該帯は球形であって、半透明であり、細胞デブリスから明瞭に区別可能なはずである。胚の形態学的評価における重要な基準は(1)胚の形状;(2)透明帯の存在;(3)サイズ;(4)色;(5)その発生段階に対する胚の年齢の知識、および(6)割球膜の一体性である。胚発生の間に、割球の数は幾何学的に増加する(1−2−4−8−16−等)。同調細胞分裂は、一般には、胚において16−細胞段階に維持される。その後、細胞分裂は非同調的となり、最後には、個々の細胞はそれ自体の細胞周期を保有する。胚を構成する細胞は球形の細胞として16−細胞段階によって容易に同定されるはずである。32−細胞段階(桑実胚段階)の後、胚は圧縮を受ける。その結果、胚中の個々の細胞はこの段階を超えて評価するのは困難である。受精処理の間に生じたヒト胚は、通常、桑実段階前に受容者に移され、他方、他の哺乳動物の胚は、しばしば、受容者への移動または放出前にさらなる発生段階(拡大された胚盤胞)まで実験的に培養される。
【0175】
(実施例3)
モデル化された半球拡散:図6Aは、大きな区画の平坦な底に存在するウシ胚に向けての酸素プロフィールを示す。図6BはC(r)対a/rにおける同一データを示し、ここに、aは該球の中心(胚の中心)から酸素プロフィールの選択された(胚に向けての)終点までの距離である。プロフィールが胚の表面から出発する場合、aは胚の半径である(aは胚から離れた地点においても選択できる)。球拡散についての仮定は、もしC(r)対a/rが非常に大きなb値(C2が真のバルク濃度である場合)につき直線的であるならば満たされる。
【0176】
点aにおける球を通過する酸素のフラックスは既に記載したように計算することができる。図6Bは、完全な球拡散の過程がこの特別な場合には完全には満たされないことを示す。というのは、該線は完全には直線ではないからである。よって、消費の評価は、完全な適合では当てはまらないaの選択によって影響されるであろう。
【0177】
(実施例4)
拡散理論
1.消費の一定源に向けての拡散
化合物を消費する代謝粒子または対象を含む拡散系においては、該化合物は拡散によって消費源に向けて移送される。この拡散の大きさ−フラックスはフィックの第一法則:

によって記載することができる。式中、Dは拡散係数であり、Cは濃度であり、xはそれに沿ってフラックスが考えられる軸である。
【0178】
定常状態においては、該系中のいずれかの位置における消費源に向けての面積−積分拡散フラックスは一定であろう。面積積分フラックスは対称軸に対して垂直な拡散系の断面積Fと定義される。正の消費を仮定すれば、Qは:

として表すことができ、これは方程式4.1.1を代入することによって、

が得られる。これらの方程式にはある範囲の幾何学(平行多面体、円筒、球)が適用され、これは本発明の異なる実施形態を表すと考えることができる。例えば、計算では、酸素呼吸粒子は3.45・10−5cm−1の拡散係数(38℃)を持つ水に懸濁させる。
【0179】
2.一次元の系(平行多面体または円筒)
もし拡散化合物の濃度および物理的境界が一次元で変化するだけであれば、拡散系は一次元と定義される。無限に広い面シートは一次元の系の例である。もしエッジ効果を無視することができるならば底における消費の源を持つ平行な辺のウェルは一次元の拡散系と考えるべきである。
【0180】
定常状態においては、一次元拡散は数学的には:

として記載することができ、これを積分すると、

が得られ、これをさらに積分すると、
C=Ax+B (4.2.2)
(式中、A、Bは積分定数である)
が得られる。
【0181】
x=hにおいて一定の濃度Cwを有する長さhを持つ一次元の系、およびx=0において一定消費Qの源を考える。一次元拡散系においては、断面積Fはxの関数として一定である。
【0182】
方程式4.2.1を方程式4.1.2に適用して、

が得られる。
【0183】
x=hにおける濃度はCwに等しく、これは方程式4.2.2に従うと:
C(h)=Ah+B=C (4.2.4)
が得られる。
【0184】
方程式(4.2.3)および(4.2.4)を組み合わせてAおよびBについて解くことによって、方程式(4.2.2)は:

と書き直すことができる。
【0185】
x=0における濃度Cを考慮すると、方程式4.2.5は:

が得られるように編集することができる。
【0186】
かくして、もしF、D、hおよびCが知られていると、消費速度は方程式4.2.6を用いてCの測定から計算することができる。
【0187】
拡散系が0.00196cmの表面積Fを生じることに対応する0.5ミリメートルの直径、および4ミリメートルの深さhを持つ平行な辺の円筒ウェルの形態であった実施例6で行われた測定でこれを適用して、ウェルの頂部における(210μMに対応する)21%酸素と比較してウェルの底における(169μMに対応する)17%酸素の測定された濃度は、0.546ナノリットル・時間−1に対応する6.77・10−6nmol・s−1の消費速度に変換させることができる。
【0188】
3.実質的に二次元の円筒系(ディスク−形状)
円筒形拡散系においては、拡散は円筒の半径に沿って起こり、他方、円筒系の長手方向軸に沿って変化は無い。もしエッジ効果を無視することができれば、その中心における消費源を持つディスク−形状の本体よりなる拡散系は円筒系と考えるべきである。
【0189】
定常状態においては、円筒拡散が数学的には:

と記載することができ、これを積分して、

が得られ、さらに積分して、
C=A+Blnr (4.3.2)
(式中、AおよびBは積分定数である)
が得られる。
【0190】
r=rにおいて一定濃度Cを有する長さlおよび半径rを持つ円筒系、およびr=0において一定消費Qの源を考える。
【0191】
方程式4.3.1を方程式4.1.2に適用して、

が得られる。
【0192】
r=rにおける濃度はCwと等しく、方程式4.3.2に従うとこれから、
C(r)=A+Blnr=C (4.3.4)
が得られる。
【0193】
円筒拡散系においては、断面積Fはrの関数である:
F=2π・r・l (4.3.5)
【0194】
方程式4.3.3と4.3.4および4.3.5を組み合わせてAおよびBについて解くことによって、方程式(4.3.2)は、

と書き直すことができる。
【0195】
拡散系においてさらなる点rにおける濃度Cを考慮すると、方程式4.3.6は、

と編集することができる。
【0196】
かくして、もしl、D、r、rおよびCが既知であると、消費速度は方程式4.3.7を用いてCの測定から計算することができる。
【0197】
もし円筒拡散系が、10mm直径の円状不浸透性ディスクを50μm不浸透性表面上に置き、100μmの直径および1nl・酸素時間−1の酸素消費速度を持つ酸素呼吸粒子をディスクの中心下に置くことによって構成されるならば、得られた定常状態濃度は方程式4.3.6に従って粒子表面では157μMとなる。
【0198】
4.球系(円錐−形状−半球)三次元系
球拡散系においては、拡散は球の半径または球の断面に沿って起こる。もしエッジ効果を無視することができれば、その先端に消費源を持つ円錐−形状本体よりなる拡散系は球系と考えるべきである。
【0199】
定常状態においては、球拡散は数学的には:

と記載することができ、これを積分して、

が得られ、これをさらに積分して、

(式中、AおよびBは積分定数である)が得られる。
【0200】
r=rにおいて一定濃度Cを有する半径rを持つ球系、および、r=0において一定消費Qの源を考える。
【0201】
方程式4.4.1を方程式1.2に適用して、

が得られる。
【0202】
r=rにおける濃度はCと等しく、これから方程式4.4.2に従うと、

が得られる。
【0203】
円筒拡散系においては、断面積Fは半径rの関数である。もし系が円錐よりなれば、Fは、

(式中、θは円錐の先端角度である)と記載することができる。方程式4.4.3と4.4.4および4.4.5を組み合わせてAおよびBを解くことによって、方程式(4.4.2)は、

と書き直すことができる。
【0204】
拡散系におけるさらなる点rでの濃度Cを考慮すると、方程式×4.6は、

と編集することができる。
【0205】
かくして、もしD、r、r、θおよびCが既知であれば、消費速度は方程式4.4.7を用いてCの測定から計算することができる。
【0206】
=206μMがr=0.015cm(胚表面)で見出され、ここに、D=3.45・10−5cm−1、r=0.04cm、θ=60°、およびC=210μMである実施例7で行われた測定にこれを適用して、0.11nl・時間−1の呼吸速度が得られる。
【0207】
文献:Crank, J.1997. The Mathimatics of Difusion. Clarendon Press.
【0208】
(実施例5)
本発明によって記載された新規なデバイスの設計例
この特許出願における図面は、本明細書中に記載された新規なデバイスについての15の異なる設計について示す。これらの変形の多くは、代謝粒子の取扱いおよび/または拡散バリアーの調整を容易として、代謝粒子についての最適なインキュベーション条件を確実とするための機能的に同等な設計である。それらは、区画内、および区画近くの培地で生じた代謝産物濃度勾配タイプに従ってカテゴリーに分けることができる。4つのカテゴリーは:
1.直線的代謝産物濃度勾配を持つ一次元の系
2.対数代謝産物濃度勾配を持つ二次元の系
3.双曲線濃度勾配を持つ三次元の系(円錐ないし半球)
4.前記の組合せであって、濃度勾配を記載するのにより複雑なモデリングが必要な不規則な系
である。
【0209】
3つのカテゴリーの各々に関する拡散理論は先の実施例(実施例4)に詳細に記載されている。誘導された方程式を用い、我々は、デバイスの各カテゴリーからの例をどのようにして設計し、寸法を与えて、所与の呼吸速度を持つ代謝粒子についての所望のセンサー信号を得る例を示す。我々の標準的な例は水性倍地中に懸濁させた呼吸胚への酸素の拡散を扱う。我々は以下の標準的なパラメーターを用いる:
−消費速度、Q=1.0ナノリットル・時間−1(=1.24・10−5nmol・s−1まで)、
−酸素拡散係数、(38℃において)培地中D=3.45・10−5cm−1
−培地中の酸素濃度、38℃においてC=210μM
−所望のセンサー信号はバルクよりも30%低い(すなわち、38℃においてC=147μM)である。
【0210】
直線代謝産物濃度勾配を持つ一次元系
そのような系に関する拡散方程式は実施例4の第二セクションに記載されている。もし我々が3mmの円筒の高さhを仮定すれば、我々は方程式4.2.6を用いて円筒の直径dを計算することができる。
但し、F=π(d/2)から


を得る。
【0211】
前記した標準パラメーターが決まると、我々は、予測された酸素呼吸速度を持つ対象用の所望の信号を得るためには、円筒の直径を約470μmまで低下させなければならないことがわかる。
【0212】
図1に示された設計A:不浸透性材料中の穴。この設計は不浸透性材料(1.5)に担持された単純な円筒穴である。それは、同様な寸法を持つ三角形または多角形キャビティーであり得る。代謝粒子(1.1)は、(限定されるものではないが、頂部から、または透明な底(1.5)を通じて観察されるルミノフォアの層であり得る)検出器(1.3)上方の浸透性材料1.6の層上の底に置かれる。浸透性層(1.6)の目的は、代謝粒子(1.1)近くで見出される水平代謝産物濃度勾配を均等にすることである。かくして、検出器(1.3)からの観察された信号はその表面を横切って現実的には均一である。代謝粒子の近くの濃度勾配は理想的な直線からわずかに偏るが、もし穴のアスペクト比が高ければ(すなわち、h>>d)、これらのわずかな歪みは重要でない。開口(1.7)の外側では、我々は、濃度が迅速にバルク流体の濃度を採る半球勾配を予測する。全ての現実的な目的では、かくして、我々は、前記方程式によって記載された特性を持つ一次元系として該系を考慮することができ、ここに、フラックスは穴のアスペクト比によって制御される。穴の直径は、乱れた混合が代謝粒子上方の培養カラム中で起こらないように低く維持されるべきであろう。この設計の利点はその単純性である。それは、実施例1に記載された酸素ミクロ電極実験で首尾よく用いられた。この設計での2つの主な不利は:1)深く狭い穴に沈積させた代謝粒子を検索する困難性、2)代謝粒子の代謝速度に基づいて拡散バリアーを調節する不可能性である。
【0213】
図11に示された設計B:交換可能な頂部を持つ穴。この設計は、先に議論した単純な穴(設計A)と非常に似ている。それは2つの不浸透性部品から構成されている。培地(11.5)を充填した不浸透性材料(例えば、ガラス)で作成された容器。この容器には、その中心を通る円筒(または多面体)穴(11.4)を持つ不浸透性材料(11.5)の小さな部品が置かれる。容器表面に面する穴の端部には、穴が開けられて(「中空とされ」)、呼吸粒子(11.1)が入れられる小さなキャビティーを形成する。キャビティーの頂部壁は代謝産物検出器(11.3)で覆われる。代謝粒子が入れられるキャビティー「チャンバー」が小さくて、穴のアスペクト比が高い限り、設計は前記で議論した単純な穴と同等である。酸素感受性ルミノフォアを持つガラス部品で作成されたこの設計のプロトタイプは、実施例6に記載されたネズミ胚の呼吸速度を測定するのに首尾よく用いられた。前記した中央穴と比較したこのデバイスの利点は、2つの不浸透性部品を分離する(すなわち、頂部「煙突」を除去する)ことによって、デバイスから代謝粒子を除去する可能性である。また、頂部を交換して、中央穴の異なる直径または長さを持つ異なる拡散バリアーを提供することもできる。しかしながら、主な不利は2つの不浸透性部分をスムーズに適合させる困難性であり、従って、それらの間の界面には水平ギャップはなく、ここに、代謝産物は界面に沿って水平に拡散することもできる。
【0214】
図2に示された設計C:インサートを持つ穴。この設計は設計A (図1)と同一である。唯一の差は穴(2.9)への不浸透性インサート部であり、これは、図1中のAから図2中のBへ穴の断面積を低下させる。低下させた断面積は拡散バリアーを増加させて、かくしてインサート(2.4)下の区画中の代謝産物濃度を低下させる。この設計の主な利点は、異なる穴直径を持つインサートの間を変化させることによって、拡散性バリアーを調節する能力である。また、もしインサートをまず取り出して、穴の直径を増大させ、代謝粒子へのアクセスを容易とすれば、代謝粒子を取り出すのは容易であろう。その不利な点は、それを取り扱うのを非常に困難とするインサートおよび穴の必要なサイズである。というのは、それらは非常に小さくて、非常によく適合させて、それを通って代謝産物は拡散できるインサートおよび穴の間のギャップを回避しなければならないからである。
【0215】
図15に示された設計D:ベントキャピラリー。この設計は設計Aと機能的に同等である。それは、1つの閉じた端部を持つベント不浸透性キャピラリー(15.5)(または裏側端部からの代謝産物の拡散性移動を無視することができるような非常に距離を置いた開口)および他の端部における漏斗よりなる。代謝粒子は漏斗の端部(15.7)に置かれ、培地(15.2)を含有する容器中に沈められた2つのホルダー(黒い三角形で記した15.4)上に置かれるキャピラリーの最低点(15.1)における重力によって固定する。代謝産物感受性検出器は2つのバンド(15.3)に置かれて、代謝産物濃度の勾配を検出する。もし2つのバンドがあれば、最も外側のバンドは参照として働き、開口(15.7)から代謝粒子(15.1)への距離は、バンドが呼吸粒子よりも開口に対してより基部側にある限り知られる必要はない。もし代謝粒子(15.1)よりも開口(15.7)からのより大きな距離においてバンドがあれば、後者および前者の間の距離は知られていなければならない。キャピラリーの直径は乱れを妨げるのに十分なように小さくなければならない。この設計の利点は、重力が開口(15.7)に向けて、またはそれから代謝粒子(15.1)を移動させ(回転させる)、かくして、代謝産物が拡散によって移動しなければならない距離を変化させるように、キャピラリーをホルダー中で傾けることによって拡散バリヤーを調節する能力である。このデバイスに伴う最も大きな問題は、代謝粒子をキャピラリー中に獲得することである。漏斗は助けとなるが、そのようなデバイスが構成されるのをより困難とするであろう。
【0216】
図3に示された設計E:調整可能な底を持つ穴。この設計は設計A、代謝産物感受性検出器(3.3)の頂部の底浸透性層(3.6)に存在する代謝粒子(3.1)を含む不浸透性材料(3.5)中の円筒(または多面体)穴(3.4)と同一である。しかしながら、この設計は拡散バリヤーの調整可能な高さhを得るためにピストン(3.10)を使用し、かくして、穴のアスペクト比を調整し、よって、穴の底における代謝産物濃度を調整するのが可能である。該調整可能な高さは、ここでは、固定された壁を持つ底を移動させることによって達成されるが、(以下の設計Gにおけるように)該底を静止して維持し、壁を下方に移動させることによって同一の効果を達成することができる。調整可能な底(3.10)は2つの目的を達成する:1)拡散バリアーを変更することによって呼吸粒子への代謝産物供給を調節すること、および2)デバイスからの代謝粒子の除去を容易とすること。主な不利は、穴の必要な小さな直径、およびその結果、ピストンの小さなサイズである。それらは、代謝産物がそれを通って拡散することができるピストンと穴とのギャップを回避するために非常によく嵌合しなければならないというのはさらなる複雑な問題である。また、ピストン(3.10)を通っての底からの代謝産物感受性検出器(3.3)からの信号を測定するのも困難であろう。
【0217】
図7に示された設計F:検出器ピストンを持つピペット。この設計は、どのようにして前記した設計Eを実現することができるかの例である。それは特別な実施形態を示し、そこでは、調整可能な底が、それを通って実験した代謝粒子が移動容器からピックアップされるピペットで一般化される。該ピペット(7.10)のプランジャーは、それが代謝産物検出器(7.3)を含有する点で特別である。呼吸粒子(7.1)がピックアップされた後に、ピペットは先端を上に向けて回転され、培地容器の底にあるポート(7.14)を通って挿入される。該培地容器は、引き続いて、培地(7.2)が充填される。ピペットのバレルは区画の側壁(7.5)として働く。
【0218】
図16に示された設計G:ネジ付の調整可能な底を持つ穴。この設計は2つの前記したものと機能的に同等であるが、該調整はわずかに異なる方法で達成される。それは調整可能な寸法を持つ中央穴(16.4)を含む。というのは、周囲の壁(16.5)の高さは、調整可能な頂部(16.17)を回転させることによって、固定された底(16.10)に対して変更することができるからである。拡散バリアーの厚み、すなわち、液体層(16.4)の厚みは時計方向に回転させる(16.17)ことによって低下し、それにより(16.17)、ネジ(16.18)によって、周囲の培地(16.2)を含有する大きなウェルの底に向けて移動される。区画(16.10)の底がより大きなウェルの底に対して固定されているので、この結果、区画容量は減少し、かくして、浸透性層(16.4)の厚みは減少し、従って、浸透性も減少する。検出器(16.3)は区画の底から、周囲の培地を含有するより大きなウェルの底に向けて延び、そこで、それは記録ユニットと接触させることができる。検出器材料(16.3)は、代謝粒子(16.1)下の検出器表面(16.10)を除いて不浸透性ウェル材料に包埋される。同一の代謝産物濃度が、検出器材料の全ての中で観察されるはずである。かくして、検出器を、代謝粒子の真下の水平ディスクまで延長することができる。このディスクは、下方から依然として観察される不浸透材料に包埋された代謝産物感受性ルミノフォアを用いる光学検出原理についての物理的信号増幅器として働くことができる。このタイプの信号増幅は検出器のより遅い応答に導くであろう。というのは、全検出器容量は、定常状態信号を獲得するために平衡しなければならない代謝産物用の貯蔵器として働くからである。依然として、このタイプの受動信号増幅は、同様に他の設計において有用であり得る。示された設計の主な利点は、頂部がずっと下に回転する場合、拡散バリアーの暫時の調整、および代謝粒子の容易な操作である。主な不利は、穴の必要な小さな直径、およびピストンの得られた小さなサイズである。それを通って代謝産物が拡散することができるピストンと穴との間のギャップを回避するためにそれらは非常によく嵌合しなければならないというのはさらなる複雑な問題である。
【0219】
対数代謝産物濃度勾配を持つ二次元系
このカテゴリーの設計においては、代謝粒子は、浸透性材料(例えば、培地)がディスクを構成するように、2つの不浸透性平面表面の間に位置する。我々は、ディスク形状の円筒において必須として径方向拡散を有する。円筒拡散系においては、拡散は円筒の半径に沿って起こり、他方、円筒系の長手方向軸に沿っては変化は無い。もしエッジ効果を無視することができれば、ディスクよりなる拡散系が開発される。そのような系に関する拡散方程式は実施例4の第三セクションに記載されている。もし我々が代謝粒子下の検出器ディスクの半径がr=0.5mmであり、代謝粒子上方にある平面表面の外側半径がr=5mmであると仮定すれば、我々は方程式4.3.7を用いて、不浸透性平面表面の間の距離lを計算して、所望の検出器信号:

を得ることができる。
【0220】
前記した標準パラメーターが決まると、我々は、予測される酸素呼吸速度を持つ対象について所望の信号を得るためには、平面表面の間の距離は20.1μmでなければならないことを見出す。
【0221】
図9に示された設計H:不浸透性プレートの間の拡散ディスク。これは、代謝粒子(9.1)が浸透性ディスク(9.5)下の検出器(9.3)近くに置かれた設計である。実質的に不浸透性区画壁の上方部分を構成するディスクはスペーサー(9.15)によって支えられて、実質的に不浸透性区画壁(9.5)の下方部分への充分規定された距離を維持する。代謝粒子(p.1)はプレート中の浅いウェル中に置かれる。スペーサー(9.15)はハッチングを付した線で示されて、それらがディスク下の面積の小さな割合を占めるに過ぎず、拡散に対する有意なバリヤーを構成しないことを示す。拡散バリヤーは、実質的に不浸透性の区画壁の上方壁(蓋)を支持するスペーサーの高さを変化することによって調整することができる。主な不利は、該プレートの間の距離を変化しないように、高度に平面化された表面に対する必要性である。平面性からの逸脱は、不浸透性表面の間のギャップの均一性を危うくすることを回避するために、10mmの比較的大きな直径に対して数μmに過ぎない必要がある。もう1つの問題は、代謝粒子を余りにも乱す乱れなくして密接な嵌合蓋を設置し、それを取り出すことである。
【0222】
図10に示された設計I:円錐の表面として包まれた拡散ディスク。これは、代謝産物の拡散的移送で利用可能な浸透性空間が2つの不浸透性表面の間に封じ込められる先の設計と機能的に同等である。しかしながら、この場合、不浸透性表面は平面でないが、不浸透性プレート(10.5)中の円錐形状キャビティーに挿入された不浸透性円錐蓋(10.5)を構成する。代謝粒子(10.3)は培地充填(10.2)円錐形状キャビティーに設置され、そこで、それは、重力によって、キャビティーの底先端で存在するようになる。検出器(10.3)はキャビティーの頂部における代謝粒子近くに位置し、円錐−形状の不浸透性蓋はキャビティー中に置かれる。スペーサー(10.15)はよく規定された距離が蓋および圧痕の間に維持されることを保障する。前記したものよりも優れたこの設計の利点は、代謝粒子の密度は、それを、キャビティーの底先端の検出器の位置まで沈むことである。依然として、2つの不浸透性部分の間の間隔は、容易には達成されない非常に小さな許容性でもって注意深く制御されなければならない。
【0223】
双曲線濃度勾配を持つ三次元系(円錐−半球)
このカテゴリーの設計において、代謝粒子は平面不浸透性表面上に、またはそのような表面中の円錐窪みに位置する。双方の場合は球拡散系の例であり、そこでは、不浸透性材料は、それから代謝産物が代謝粒子に接近することができる角度を制限する。もし我々が円錐窪みの角度の関数として観察された流動を表現するならば、不浸透性表面の代謝粒子の半球拡散パターンは、角度θ=180°を持つ方程式の同一の組によって記載することができる。そのような系に関する拡散方程式は、実施例4の第4セクションに記載されている。もし我々が代謝粒子の位置における円錐の半径がr=0.5mmであり、円錐窪みの外側半径がr=3mmであると仮定すれば、我々は方程式4.4.7を用いて、円錐の頂部における円錐角度θを計算して、所望の検出器信号:

を得ることができる。
【0224】
前記した標準的なパラメーターが得られると、予測される酸素呼吸速度を持つ対象について所望の信号を得るためには、円錐角度は20°でなければならないことがわかる。これは、1.05mmの開口および170μmの底幅を持つ2.5mm深さの円錐穴に対応する。呼吸粒子、この場合、円錐穴中のネズミ胚盤胞に向けての代謝産物濃度勾配の例は実施例7に与えられる。
【0225】
図5Aに示された設計J:検出器プレート上の代謝粒子。この設計は最も単純な可能な拡散区画であり、ここに、拡散区画は完全に開いており、代謝産物勾配は、その上に代謝粒子(5.1)が存在する表面に埋め込まれた検出器(5.3)によって二次元で記録される。5Bは、代謝産物についての同心円等濃度線(5.11)を示す代謝粒子のレベルにおける底の断面を示す。5CはCCDカメラ(5.12)から見た仮想イメージ(頂部図または底部図)を示し、そこでは、各個々の代謝粒子の周りの予測された検出器はグレイの色調で可視化される。ウシ胚に近いミクロ電極プロフィールはこのタイプの設定で測定されている。この実験は実施例3に示される。この設計の利点はその単純性であり、主な不利は、代謝粒子に非常に近くの局所的代謝産物濃度の測定における必要な精度である。球拡散は短い距離にわたって極端に効果的であるので、空間的分解能は非常に重要である。
【0226】
図17に示された設計K:円錐窪みを持つプレート。これは、双曲線表面を持つさらにもう1つのわずかな窪み中に置かれた、(15ないし60度のような)適当な角度30の500ないし3000μm深さの円錐窪みを持つ不浸透性プレート(17.5)より成る。プレート部分の残りの部分は疎水性である。適当な容量10ないし20μlの液滴(17.2)は2つの窪みを満たし、浸透性拡散バリアー(17.4)を構成する。代謝粒子(17.1)は、それが、不浸透性材料(17.3)に埋められた検出器材料(17.3)のディスクに接触するように、円錐窪み(17.4)の底に置かれる。代謝粒子真下水平粒子検出器への延長は、設計Gについて前記したように、それが、光学検出原理についての物理的信号増幅器として働くのを可能とする。該液滴上方の適当な油の層は該液滴(容器中の粗いハッチングを付した液体)からの蒸発を妨げ、現実的目的での培地(17.2)の液滴が淀んで維持されるように、該液滴内部の対流を排除する。別法として、円錐窪み(17.4)外部の容量は周りの培地の一部であり、かくして、他の理由でそれが淀んだままであるのでなければ、浸透性拡散バリヤーに特別に含まれない。拡散バリヤーの浸透性は、異なる角度および/または深さを持つ他の円錐窪み(区画)へ代謝粒子を移動させることによって調整することができ、特定の円錐形状の区画の浸透度は実施例4および前記方程式で説明したように計算することができる。
【0227】
そのような設計での実験結果を実施例7に示す。この設計の主な利点はその単純性であるが、代謝産物濃度の測定可能な差を得るためには、かなり深くかつ狭い円錐窪みが必要であり、かくして、前記した単純な穴に近づく。かくして、デバイスタイプAについて記載した単純な穴と比較した場合、もし円錐窪みが(呼吸対象をデバイスから取り除くのに特に関連した)取扱いでの認識可能な改良をもたらすかは明らかでない。
【0228】
前記設計の組合せを構成する不規則な系、およびより複雑なモデリングが濃度勾配を記載するのに必要な場合
図8に示された設計L:調整可能な厚みの蓋を持つ区画。この設計は、蓋(8.4)を、培地よりも代謝産物に対してより浸透性ではないが、区画の不浸透性壁(8.5)よりも依然として浸透性である材料から構成された非−液体拡散バリヤーとして使用する。代謝粒子(8.1)は、不浸透性プレート中の狭いウェルに入れられる。検出器(8.3)はウェルの底に置かれる。該ウェルは厚み(8.4)を変化させた代謝産物浸透性蓋を有する。かくして、我々は、蓋を単に水平に置くことにより異なる厚みを持つ蓋の異なるセクションでウェルを被覆することによって拡散バリヤーを調整することができる。この図面では、ウェルおよび蓋は油カバー(8.13)下に沈められて蒸発を防ぐ培地(8.2)の液滴で被覆されるが、該培地もまた油なくして容器を満たすことができる。この設計の主な利点は単純性、比較的浅いウェル中での代謝粒子を取り扱う容易性、および蓋を持つ調整可能な「コンパクトな」拡散バリヤーである。主な不利は、蓋とベースプレート間の緊密な嵌合を保障することである。もし該嵌合が不適切であれば、区画への代謝産物の水平拡散は可能となる。
【0229】
図12に示された設計M:部分的に開かれた蓋を持つ区画。この設計は、それが、代謝産物のための拡散バリヤーとしてウェルを部分的に被覆して小さな開口(12.7)を残す不浸透性蓋(12.5)を使用する以外は従前の設計とほとんど同一である。この設計の主な利点は単純性および拡散バリヤーを調整する調製可能な蓋であるが、不利は、各測定において蓋の正確な位置の追跡を綿密に維持することなくそのような不規則の系を較正する予測された困難性である。
【0230】
図13に示された設計N:腹側ポアを持つ不浸透性蓋を持つ区画。この設計は、非−調整可能拡散バリヤーとして不浸透性蓋(13.5)中の中央ポア(13.7)を使用する以外は、従前の設計と機能的に同一である。拡散バリヤーを変化させるためには、より大きなポアサイズを持つもう1つの蓋で該蓋を交換することが可能である。従前の設計よりも非常に単純かつおそらくより較正および使用し易い。主な不利は、蓋とベースプレート間の密接な嵌合を保障することである。もし該嵌合が適切でなければ、代謝産物の区画への水平拡散は可能となる。
【0231】
図14に示された設計O:代謝粒子のための入口および出口を持つ立方体。この設計は培地(14.2)に沈められた不浸透性立方体(14.5)であり、それは、中央区画と連結した2つの穴(14.4)を含む。各穴は漏斗形状の入口(14.7)を有する。最初に、代謝粒子(14.1)を垂直向きの漏斗に滴下し、重力によって、検出器(14.3)上に固定させ、得られた代謝産物濃度勾配は幾分複雑である。というのは、代謝産物は双方の穴を通じて補充されるからである。しかしながら、デバイス用の適当な寸法が与えられれば、多数のモデリングは予期された勾配を予測することができる。一旦それが設計されれば、それは既知の代謝速度を持つ代謝粒子を用いることによって較正することができる。明らかな利点は、立方体を逆さにし、粒子を重力によって落下させることによって、代謝粒子を検索する可能性である。代謝粒子は、立方体を逆さにすることによって、異なる検出器を持つ区画の他方側に沈積させることもできる。対流は、もし粒子を放出する必要があれば、立方体を通じて行うことができる。不利は、より複雑な設計、および代謝粒子が区画内部に粘着する可能性である。
【0232】
(実施例6)
ネズミ胚を含む円筒区画における光学酸素測定
一般的な測定原理は、図11に従った特定の実施形態で評価した。胚盤胞段階のマウス胚の呼吸活性は、以下の記載に従って測定した。
【0233】
デバイス
図11に示された実施例5、バージョンBにおける詳細な記載を参照されたし。
それはガラスから作成された2つの不浸透性部品から構成される。ガラスプレートが底(11.5)に対して形成される。このプレートの上に、4mmの高さhを持つガラス(11.5)の小さな円筒が置かれる。このクラスの円筒の中心を通るのは、0.5mmの直径dを持つ円筒状穴(11.4)である。容器表面に面する該穴の端部において、該穴はドリル先端で穴あけされて(「中空とされて」)、その中に呼吸粒子(11.1)が入れられる小さな円錐キャビティーを形成する。円錐キャビティーの上方壁は酸素でクエンチ可能なポリフィリンフルオロフォア(11.3)(ポリスチレン中の白金(II)−オクタ−エチル−ポルフィリン)で被覆される。ガラス円筒が、歯科用ワックスでガラスプレートに付着され、シールされて、2つのガラス部分の間の界面における酸素の水平方向移送を回避する。
【0234】

3ないし4週齢未成熟雌B6D2F1マウス(DBA/2J雄とC57BL//6J雌との間のF1交配種)を第0日に61.U.PMSG(Folligon vet,Intervet社,デンマーク国)で腹腔内で処理した。2日後に(第3日)それらを6I.U.Suigonan Vet.(Suigonan, Intervet社, デンマーク国 400I.E.血清ゴナドトロピン 200 I.E. じゅう毛性ゴナドトロピン)で処理した。同日に、雌を雄B6D2F1マウスと接合させた(受精テスト)。2−細胞胚を、培地M2(シグマケミカル社, セントルイス アメリカ合衆国)を用いて接合から2日後に(第5日)卵管2から流した。流した後に、胚をM16(シグマケミカル社, セントルイス アメリカ合衆国)培地に移し、空気雰囲気中の5%CO下で37℃にて培養した。動物をタイプII マクロロンケージ(Techniplst社,イタリア国)中に維持し、飼料(Altromin#1314,Brogaarden, デンマーク国)および水を自由に節食させた。
【0235】
図11によるデバイス(実施例5における設計B型)を、マイクロタイターフォーマットのNunc12ウェル皿(Nunc A/S, ロスキレ デンマーク国)に入れ、M2培地で満たし、インキュベーター中で60分間平衡させた。胚盤胞段階(接合後5日)における1つの胚を、それを、中央穴(11.7)の口の移動ピペットから発射させ、それを重力(11.1)によってチャンバー中の底へ沈めることによってデバイスに移した。チャンバー中の胚の到達は、下方からのチャンバーからの直接的な肉眼の観察を可能とする倒立顕微鏡によって証明した。インキュベーションチャンバー(11.3)中の培地と接触した、酸素クエンチ可能なポルフィリンフルオロフォア(ポリスチレン中の白金(II)−オクタ−エチル−ポルフィリン)からの蛍光強度を、各々、360および550nmにおける励起光を用いて記録し、テカン吸光発光(Tecan Spectraflour)・蛍光プレートリーダーにて650nmにおいて発光を記録した。蛍光は励起後に0ないし500μs記録した。蛍光強度は、Klimant et al 1995(繊維光学酸素マイクロセンサー、水生生物学における新しいツール;Limnol Oceanogr 40:1159−1165)に従って、ほとんどのオプロードの応答を適切に記載する変形されたStern−Volmer方程式:

を用いて酸素分圧に変換した。ここに、αは散乱迷光を含めた蛍光の非−クエンチ可能分率であり、Iは胚をデバイスに入れた後における不存在下での蛍光強度であり、酸素分圧は21%(雰囲気濃度)からほぼ17%まで降下し、デバイス(図11中11.4)の垂直円筒キャビティーの高さ(4mm)にわたって4%酸素(または19%大気飽和)の勾配を生じる。酸素の溶解度は38℃(インキュベーション温度)において210μMであり、これは100μMcm−1の勾配(dC/dX)をもたらす。38℃における成長培地中での拡散係数はほぼ3.45*10−5cm−1であり、これは3.45*10−12mol cm−2−1のフラックスを生じる。試験管は0.00196cmの断面積を有するので、これは0.677*10−14mol胚−1−1、または0.546*10−9l胚−1−1(0.546nl O−1)の胚特異的呼吸速度を与える。
【0236】
(実施例7)
円錐窪みにおけるマイクロセンサー測定
60度の尖ったスチールロッドをその表面にプレスすることによって、0.04cm深さの円錐窪みを、ポリスチレンプラスチックプレート中の2cm幅のウェルの底に生じさせた。歯科用ワックスの薄い層を該窪みの周りの4mm直径の丸として適用した。ほぼ20μlの培養培地をピペットで窪みおよびワックス丸内部の領域に入れ、4日齢のほぼ100μm直径のマウス胚を、5mlパラフィン油をウェルに注いで培地の液滴を被覆する前に、窪みの底に入れた。プレートを37℃の水浴に入れ、電動駆動マイクロマニピュレーターに固定された酸素マイクロセンサーの先端を窪み上方に位置させた。双方のマイクロマニピュレーターを制御し、マイクロセンサー増幅器からの信号を獲得するPCソフトウェアを、5マイクロメーターの工程で胚に向けての垂直線に沿って酸素測定を行うようにプログラミングした。測定された濃度−対−胚までのマイクロセンサー距離を図20に示す。窪みの先端/底からほぼ0.015cmに位置する胚表面において、濃度は206μMであり、これは式4.4.7を用いて0.11nl・時間−1の酸素消費速度に変換することができる。図面から理解できるように、完全な濃度プロフィールが胚に向けて測定され、モデルに対する式4.4.7を用い、このプロフィールは非常に良く適合し、これにより、モデルの有効性が確認される。
【図面の簡単な説明】
【0237】
【図1】本発明による、底に酸素検出器を持つ拡散区画の第一の実施形態の断面図である。
【図2】図1の実施形態におけるインサートを持つ区画の断面図である。
【図3】調整可能な底を持つ拡散区画を含む本発明のもう1つの実施形態の断面図である。
【図4】円筒拡散区画内部で測定された定常状態酸素勾配の例を示す図である。
【図5】Aは該拡散区画のもう1つの実施形態であり、Bは胚のレベルにおける底の断面を示し、CはCCDカメラから見た仮想イメージ(頂面図または底図)を示す。
【図6A】図5に示された開いた区画の平面底に沿って胚に向けて測定された定常状態酸素勾配の例を示す図である。
【図6B】理論的に理想的な球勾配に対してどのようにして現実の勾配を適合させるかを示すためのプロット図である。
【図7】代謝粒子を移動容器からピックアップするピペットとして設計された横方向断面図である。
【図8】代謝粒子がプレート中の浅いウェルに入れられる設計例の横方向の断面図である。
【図9】代謝粒子が不浸透性ディスク下の検出器近くに置かれる設計例の横方向断面図である。
【図10】呼吸粒子が不浸透性プレート中の円錐−形状圧痕に入れられる設計例の横方向断面図である。
【図11】不浸透性区画が不浸透性プレート上に置かれた材料の不浸透性ブロックを通るキャビティーよりなる設計例の横方向断面図である。
【図12】部分的に開いた蓋を持つ窪みを調整することができる検出器は代謝粒子下の平坦な表面の設計例を示す図である。
【図13】非−調整可能な中心ポアを持つ窪みを示す図である。
【図14】代謝粒子が立方体に落下し、立方体を逆さにし、それを重力によって落下させることによって検索される立方体の設計例を示す図である。
【図15】端部に漏斗を持つベントキャピラリーの設計例を示す図である。
【図16】ダイヤル設定の調整可能底の設計例を示す図である。
【図17】窪みを持つプレートの設計例を示す図である。
【図18】図11に示されて実施例6に記載された設定におけるマウス胚についての呼吸速度の測定及び生の蛍光データを示す図である。
【図19】図11に示す実施例6の設定におけるマウス胚についての呼吸速度の測定及び測定された酸素濃度、構成されたデータを示す図である。
【図20】図17の設計を用い、実施例7の酸素ミクロセンサーで行ったマウス胚についての呼吸速度の測定を示す図である。
【符号の説明】
【0238】
各参照はx.xの形態の2つの数字よりなり、最初の番号は図面番号をいい、第二の番号は各図面での特定をいう。
x.1 代謝粒子
x.2 周囲の培地
x.3 検出器
x.4 代謝産物浸透性拡散バリヤー
x.5 実質的に代謝産物不浸透性区画壁
x.6 代謝粒子を支持することができる代謝産物浸透性層
x.7 区画の外側の周囲に向けての区画の開口
x.8 理論代謝産物濃度勾配
x.9 図1による実施形態におけるインサート
x.10 区画の調整可能な底
x.11 濃度勾配等濃度線
x.12 CCDカメラ
x.13 蒸発および乱れを妨げるために培地を被覆する粘性層
x.14 挿入ポート(図7のみ)
x.15 スペーサー(図9および10のみ)
x.16 支持体構造
x.17 調整可能な頂部(図16のみ)
x.18 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に球形の代謝粒子の個々の代謝速度の非−侵入的測定用のデバイスであって、
a)拡散バリアーによって規定され、かつ実質的に球形の代謝粒子を含む培地を含むことができ、該拡散バリアーは拡散によって実質的に球形の代謝粒子へのおよび/または該代謝粒子からの代謝産物の移送を可能とし、それにより、代謝産物拡散勾配が、実質的に球形の代謝粒子から、および培地を通じて確立されうる少なくとも1つの区画と、
b)該区画内部の代謝産物の濃度を測定するための少なくとも1つの検出器と、を備えたことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記拡散バリアーが、少なくとも1つの代謝産物浸透性開口を有する区画壁と前記培地によって構成される請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記区画壁が実質的に代謝産物不浸透性材料から製造された請求項2記載のデバイス。
【請求項4】
前記実質的に代謝産物不浸透性材料の水中の代謝産物拡散係数が、1%未満、特に0.2%未満、とりわけ0.05%未満である請求項3記載のデバイス。
【請求項5】
実質的に代謝産物不浸透性材料の区画壁を通る代謝産物フラックスが、前記区画への合計代謝産物フラックスの10%未満、特に1%未満、とりわけ0.1%未満を構成する請求項2〜4いずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
実質的にガス不浸透性材料が、プラスチック材料、ポリマー材料、ガラス材料、金属材料、およびセラミック材料ならびにこれらの組合せからなる群から選択された請求項3記載のデバイス。
【請求項7】
前記ポリマー材料が、アセタール樹脂、アクリル樹脂、セルロースプラスチック、フルオロプラスチック、アイオノマー、パリレン、ポリアミド、ポリアミドナノ複合体、ポリカルボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、スチレン樹脂、ビニル樹脂、プラスチックアロイ、多層ポリマー、エポキシ樹脂、オレフィン熱可塑性エラストマー、ポリエーテルブロックアミド、ポリブタジエン熱可塑性エラストマー、スチレン熱可塑性エラストマー、ビニル熱可塑性エラストマー、およびブタジエンゴム、ブチルゴム、ブロモブチルゴム、クロロブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン−プロピレンゴム、フルオロエラストマー、天然ゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ポリスルフィドゴム、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴムのようなゴム材料、またはこれらのコポリマーからなる群から選択される請求項6記載のデバイス。
【請求項8】
前記拡散バリアーが高粘度培地によって構成される請求項1記載のデバイス。
【請求項9】
前記高粘度培地が、デキストラン、グリセロール、糖類、炭水化物、蛋白質の群から選択される高濃度の溶質および無機塩による請求項8記載のデバイス。
【請求項10】
前記区画の形状が円筒、多面体、円錐、半球またはこれらの組合せからなる群から選択される前記請求項1〜9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記区画の一般的形状が円筒である請求項10記載のデバイス。
【請求項12】
区画の横方向寸法の調整用のインサートを含む前記請求項1〜11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記区画が、寸法を変化させ、区画の容量を増加または減少させるための調整可能な底を有する前記請求項1〜12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
横方向寸法が、2.5mm未満、特に1.5mm未満、とりわけ500μm未満、また250μm未満のような前記請求項1〜13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記インサートの横方向寸法が1.5mm未満、特に1.0mm未満、とりわけ500μm未満、さらに300μm未満である請求項12記載のデバイス。
【請求項16】
前記区画の長手方向寸法が2mmないし25mmの間、特に3mmないし15mmの間である前記請求項1〜15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記代謝産物浸透性開口が代謝産物浸透性膜によって構成された請求項2記載のデバイス。
【請求項18】
前記代謝産物浸透性膜がシリコーン、テフロンフルオロポリマー、またはポリエチレン、ポリプロピレンもしくはネオプレンのようなプラスチック化合物を含む材料から製造された請求項17記載のデバイス。
【請求項19】
前記代謝産物浸透性膜がガラス、セラミック、鉱物、ガラスまたは鉱物繊維のような浸透性マトリックスまたは多孔性材料、または金もしくは白金のような貴金属を含む材料から製造された請求項17記載のデバイス。
【請求項20】
前記代謝産物浸透性膜がシリコーンを含む材料から製造された請求項17記載のデバイス。
【請求項21】
代謝産物浸透性層が少なくとも1つの区画の底に配置された前記請求項1〜20のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記代謝産物浸透性層がシリコーン、テフロンフルオロポリマー、およびポリエチレン、ポリプロピレンまたはネオプレンのようなプラスチック化合物を含む材料から製造された請求項21記載のデバイス。
【請求項23】
前記代謝産物浸透性層がガラス、セラミック、鉱物、ガラスまたは鉱物繊維のような浸透性マトリックスまたは多孔性材料、または金もしくは白金のような貴金属を含む材料から製造された請求項21記載のデバイス。
【請求項24】
代謝産物浸透性層がシリコーンを含む材料から製造された請求項21記載のデバイス。
【請求項25】
代謝産物浸透性層の厚みが少なくとも100μm、特に少なくとも300μm、とりわけ少なくとも900μmである請求項21〜24のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項26】
代謝産物検出器が区画の底に置かれた前記請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
代謝産物浸透性層が実質的に球形の代謝粒子と代謝産物検出器との間に置かれた請求項21〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記代謝産物浸透性層が実質的に球形の代謝粒子の直径の少なくとも2倍の厚みを有する請求項21〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記代謝産物がガスである前記請求項1〜28のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記代謝産物が酸素または二酸化炭素である前記請求項1〜29のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項31】
前記検出器が酸素検出器である前記請求項1〜30のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項32】
酸素濃度を測定するための検出器が電流酸素センサー、膜流入口質量分光測定、ミクロ分光光度測定、または光学酸素検知を含む請求項31記載のデバイス。
【請求項33】
前記光学酸素検知が、ルミノフォア、特に区画内部に置かれた、特に、底に置かれた固定化ルミノフォア、およびルミネッセンスの検出器を用いて行われる請求項32記載のデバイス。
【請求項34】
前記ルミノフォアが、ポリスチレンマトリックスに固定化されたクロレート(Rudpp)当たりのルテニウム(II)−トリス−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、ルテニウム(II)‐トリス−1,7−ジフェニルー1,10−フェナントロリン塩化物、ルテニウム(II)‐トリス(ビピリジル)複合体、トリス(2,2’−ビピリジルジ−クロロ−ルテニウム)六水和物、Ru(bpy)、ポリスチレン中の白金(II)‐オクタ−エチル−ポルフィリン、ポリ(メタクリン酸メチル)中の白金(II)‐オクタ−エチル−ポルフィリン、ポリスチレン中の白金(II)‐オクタ−エチル−ケト−ポルフィリン、白金(II)‐オクタ−エチル−ケト−ポルフィリン、ポリスチレン中の白金(II)‐オクタ−エチル−ポルフィリン、白金−1,2−エン−ジチオレートクラスの化合物を含む請求項33記載のデバイス。
【請求項35】
ルミネセンスの検出器がルミネセンスリーダー、光電子増倍管またはCCDカメラ(12)である請求項33記載のデバイス。
【請求項36】
実質的に球形の代謝粒子の代謝速度を測定する非−侵入的方法であって、
a)請求項1〜35のいずれか1項に記載の少なくとも1つのデバイスを設け、
b)区画の培地中に実質的に球形の代謝粒子を配置し、
c)該区画の内部で代謝産物の濃度を測定して、代謝産物濃度の尺度を得、
d)該代謝産物濃度の尺度を、実質的に球形の代謝粒子の代謝速度に相関させる、工程を有することを特徴とする方法。
【請求項37】
代謝産物が、培地を経由する拡散によって実質的に球形の代謝粒子に供される請求項36記載の方法。
【請求項38】
実質的に球形の代謝粒子を区画中で培養する請求項36〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
代謝産物濃度が、区画の容量および/または培地の容量よりも小さな容量にて測定される請求項36〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記実質的に球形の代謝粒子の代謝速度が、測定された代謝産物濃度に基づいて、区画中の代謝産物拡散勾配を測定し、次いで、代謝産物拡散勾配を、実質的に球形の代謝粒子の代謝速度に相関させることによって決定される請求項36〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
代謝産物濃度の少なくとも2つの測定が行われる請求項36〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
代謝産物濃度がガス分圧である請求項36〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記ガス分圧が酸素または二酸化炭素の分圧である請求項42記載の方法。
【請求項44】
ガスが、大気から直接に、または大気と平衡しているより大きな容量の培地から、区画中の淀んだ培地を通じての拡散によって実質的に球形の代謝粒子に供される請求項36〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
実質的に球形の代謝粒子が、胚の群、および癌細胞、幹細胞、胚性幹細胞、C,elegansまたは他の小さな多細胞生物のような細胞からなる群から選択される請求項36〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記実質的に球形の代謝粒子が胚である請求項45記載の方法。
【請求項47】
代謝産物の濃度の測定が、拡散性代謝産物を区画外部から区画へ供給することを一時的排除した後に行われる請求項36〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
培養の間に実質的に球形の代謝粒子への代謝産物供給を調節する方法であって、
a)培地を有する区画を備えた少なくとも1つのデバイスを設け、
b)区画の培地中で実質的に球形の代謝粒子を培養し、
c)区画内部の代謝産物濃度を測定して、代謝産物濃度の尺度を得、次いで、所望により、
d)該代謝産物濃度尺度を、実質的に球形の代謝粒子の代謝速度に相関させ、次いで、所望により、
e)代謝産物濃度尺度および/または実質的に球形の代謝粒子の代謝速度に依存して代謝産物供給を調節する、工程を有することを特徴とする方法。
【請求項49】
デバイスの少なくとも1つが請求項1〜35いずれかに規定された請求項48記載の方法。
【請求項50】
代謝産物がガスである請求項48または49記載の方法。
【請求項51】
代謝産物が酸素であって、代謝プロセスが呼吸である請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記調節が、区画外部の代謝産物濃度を変化させることによって行われる請求項48または49記載の方法。
【請求項53】
前記調節が、区画の寸法を変化させることによって行われる請求項48または49記載の方法。
【請求項54】
前記容量がインサートを挿入することによって調整される請求項53記載の方法。
【請求項55】
区画の横方向寸法がインサートを挿入することによって調整される請求項53記載の方法。
【請求項56】
前記容量が、区画の調整可能な底の位置をシフトすることによって調整される請求項53記載の方法。
【請求項57】
前記調節が、区画の拡散バリアーを変化させることによって行われる請求項53記載の方法。
【請求項58】
前記拡散バリアーが区画壁の厚みを変化させることによって変化される請求項53記載の方法。
【請求項59】
前記調節が区画壁中の少なくとも1つの開口のサイズを変化させることによって行われる請求項53記載の方法。
【請求項60】
a)培養の間に胚の代謝速度を少なくとも1回測定し、
b)最適代謝速度を有する胚を選択する、工程を有することを特徴とする生きた胚を選択する方法。
【請求項61】
代謝速度の測定が、胚によって経験される成長条件のいずれの変化も引き起こすことなく行われる請求項60記載の方法。
【請求項62】
代謝速度が、請求項1〜35のいずれか1項に記載のデバイスで測定される請求項60または61記載の方法。
【請求項63】
代謝速度が請求項36〜47のいずれか1項に記載の方法によって測定される請求項60または61記載の方法。
【請求項64】
代謝粒子の代謝速度を測定する非−侵入的方法であって、
a)請求項1〜35のいずれか1項に記載の少なくとも1つのデバイスを設け、
b)区画の培地中で代謝粒子を培養し、
c)培養期間の少なくとも一部の間に、培地への代謝産物供給を低下させ、
d)代謝産物供給が低下された後に、区画内部の代謝産物濃度を測定して、代謝産物濃度尺度を得、
e)該代謝産物濃度尺度を、実質的に球形の代謝粒子の代謝速度に相関させる、工程を有することを特徴とする方法。
【請求項65】
代謝産物が酸素であって、代謝速度が呼吸速度である請求項64記載の方法。
【請求項66】
酸素供給がゼロまで低下される請求項64記載の方法。
【請求項67】
区画中のガス分圧尺度が、低下した酸素供給の期間の間に得られている請求項64記載の方法。
【請求項68】
代謝粒子を培養するための培養デバイスであって、少なくとも1つの区画を含み、前記区画は拡散バリアーによって規定され、かつ代謝粒子を含む培地を備えることができ、前記拡散バリアーは拡散によって代謝粒子への、および/または、代謝粒子からの代謝産物移送を可能とし、それにより、代謝産物拡散勾配が、代謝粒子から、および培地を通じて確立されることを特徴とするデバイス。
【請求項69】
前記デバイスが請求項1〜35のいずれか1項に記載の特徴の1以上を有する請求項68記載のデバイス。
【請求項70】
代謝粒子を培養する方法であって、
a)請求項68または69記載の少なくとも1つのデバイスを設け、
b)区画の培地中に代謝粒子を配置させ、
c)代謝粒子を培養する、工程を有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2006−512925(P2006−512925A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502528(P2005−502528)
【出願日】平成15年12月23日(2003.12.23)
【国際出願番号】PCT/DK2003/000935
【国際公開番号】WO2004/056265
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(505238326)ユニセンス・ファーティリテック・アンパルトセルスカブ (3)
【氏名又は名称原語表記】UNISENSE FERTILITECH ApS
【Fターム(参考)】