説明

容器検査方法及び容器検査装置

【課題】検査経路を搬送される容器に照射した光が容器壁部を漏光するのを検出して、容器に生じた小孔を検査する場合に、容器の胴部及び底部の両方を同時に検出可能な容器検査方法及び容器検出装置を提供すること。
【解決手段】容器Wを保持して周回するとともに搬送する小孔検査検出回転体と、前記容器Wの開口部W1側を支持するとともに遮光する開口部側支持体と、前記容器Wの底部W2側を支持して前記容器Wを前記開口部側支持体に押し付ける押圧部材40と、前記容器Wに光を照射する光源と、前記開口部W1が遮光された容器内部に配置された光センサ51Aを有し前記光源が照射した光の漏光を前記容器Wの内部で検出する光検出部とを備えた容器検査装置であって、前記押圧部材40の前記容器Wの底部W2と当接する部分には、光透過性を有する当接部材41を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛直方向に配置された軸線周りに周回、搬送される搬送治具に収容された容器に照射した光が容器壁部を漏光するのを検出して、容器に生じた小孔等を検査する容器検査方法及び容器検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属板を絞り加工、又はDI(しぼり、しごき)加工することにより形成された電池の容器をはじめとする容器の、品質を確保するためにエアリークにより容器の壁部に形成された小孔を検査する場合や、照射した光の漏光による容器の壁部の小孔の検査が行なわれている(例えば、特許文献1参照)。
一方、かかる電池容器等の加工に際して、加工の高速化や省スペースのニーズから電池容器等の容器を水平方向に移動させる必要性が増大している。そこで、底部に対して長尺に形成されている等の理由から、立てた状態で搬送する際に、安定した姿勢を保つことが困難な容器は、例えば、容器底部を収容可能な凹部が形成された搬送治具に収容して、容器を安定した状態にしたうえで、搬送、ハンドリングすることが、広く一般に行なわれている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
このような搬送治具に収容された容器は、例えば、複数の工程で正確な位置決めをして、適切な加工を施すために、搬送治具に収容されたまま加工等を施すことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−277980号公報
【特許文献2】特開平8−185844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、容器の底部に加工や刻印を施す場合には、容器を搬送治具から離脱させる必要が生じる場合がある。
容器を搬送治具からの離脱させる場合、例えば、容器底部と当接する当接部材を搬送治具の底部に形成された穴から挿入して、当接部材により容器底部を押圧して取り出す場合が一般的である。
【0006】
このように、搬送治具から容器を取出す場合、加工等を施した容器を、搬送治具の凹部に確実に戻すためには、1)加工工程に設けられた仮置き治具等に、少なくとも容器を一旦仮置きして加工時の位置と搬送治具における相対的位置を保持する、2)当接部材の少なくとも一部を容器底部に当接したまま加工等を施す、のいずれかを行なうことが必要であるが、容器の胴部と底部を同時に検査することは困難である。
【0007】
しかしながら、エアリークにより容器の壁部に形成された小孔を検査する場合や、照射した光の漏光により容器の壁部の小孔を検査する場合には、容器表面の全領域が対象であるため、容器の胴部と底部を一度に検査することが、経済性、検査の信頼性当の観点から不可欠である。
【0008】
そこで、このような容器の壁部に形成された小孔(例えば、ピンホール等)を検査する場合に、容器の検査対象となる全領域の小孔を同時に検査することが可能な容器検査技術に対する強い要請がある。
【0009】
この発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、容器の小孔検査のうち、鉛直方向に配置された軸線周りに周回、搬送される搬送治具に収容されて検査経路を搬送される容器に光を照射して、その漏光を検出して容器に生じた小孔を検査する場合に、容器の胴部及び底部を同時に検出することが可能な容器検査方法及び容器検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、鉛直方向に形成された軸線周りに回転する小孔検査検出回転体の周縁部に保持され、前記軸線周りに周回して検査経路にしたがって搬送される容器を、前記容器の底部側を支持するとともに移動して、前記容器の開口部側を開口部側支持体に押し付けて前記開口部側を支持するとともに開口部を遮光し、光源から照射した光の前記容器の内部における漏光に基づいて、前記容器の小孔を検出する容器検査方法であって、前記容器の底部側を支持して押し付ける押圧部材の前記容器の底部と当接する部分に、光透過性を有する当接部材を配置して前記光源から光を照射することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、鉛直方向に形成された軸線周りに回転可能とされ、周縁部に容器を保持して周回するとともに前記容器を検査経路にしたがって搬送する小孔検査検出回転体と、前記容器の開口部側を支持するとともに前記開口部を遮光する開口部側支持体と、前記容器の底部側を支持して、前記容器を前記開口部側支持体に押し付ける押圧部材と、前記容器に光を照射する光源と、前記開口部が遮光された容器内部に配置された光センサを有し前記光源が照射した光の漏光を前記容器の内部で検出する光検出部と、を備えた容器検査装置であって、前記押圧部材の前記容器の底部と当接する部分には、光透過性を有する当接部材を備えていることを特徴とする。
【0012】
この発明に係る容器検査方法、容器検査装置によれば、鉛直に形成された軸線に沿って容器が保持されていて、押圧部材により軸線方向に移動して開口部側支持体に押し付けられる。したがって、容器の胴部を保持する胴部保持部材があったとしても、容器を軸線方向に移動させることにより、容器の胴部を胴部保持部材から離間させて、光源の光を胴部全体に照射することができる。
また、容器の底部を支持する押圧部材の容器の底部と当接する部分に、光透過性を有する当接部材を有しているので、光源の光を底部に照射することができる。
その結果、容器の胴部及び底部に同時に検査することが可能となり、小孔検査の性能及び信頼性を向上することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の容器検査方法であって、前記当接部材の下部に反射板を配置し、前記光源からの光を前記容器側に反射することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の容器検査装置であって、前記当接部材の下部に、前記光源からの光を前記容器側に反射する反射板を備えていることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る容器検査方法、容器検査装置によれば、当接部材の下部に反射板を配置して、光源からの光を容器側に反射するので、容器の底部に生じた小孔をより確実に検査することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の容器検査方法であって、前記容器は、前記容器を保持する搬送治具に装着され、前記搬送治具を介して前記小孔検査検出回転体に保持されることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の容器検査装置であって、
前記容器を保持する搬送治具を備え、前記小孔検査検出回転体は、前記容器を前記搬送治具に装着された状態で保持することを特徴とする。
【0018】
この発明に係る容器検査方法、容器検査装置によれば、小孔検査検出回転体が、容器を搬送治具に装着した状態で保持するので、小孔検査検出回転体の前後に設けられた搬送装置や設備等と、容易かつ効率的に容器を受渡しすることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の容器検査方法であって、前記押圧部材を、カム機構を用いて進退させることを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の容器検査装置であって、前記押圧部材を進退させるカム機構を備えることを特徴とする。
【0021】
この発明に係る容器検査方法、容器検査装置によれば、押圧部材をカム機構により進退するので、高速かつ効率的に小孔を検査することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る容器検査方法、容器検査装置によれば、容器の胴部及び底部に同時に検査することが可能となり、小孔検査の性能及び信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る容器検査装置を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線で切断した正断面図である。
【図3】押圧機構の押圧部材先端を示す正断面図であって、(A)は押圧部材が後退した位置にある場合の図、(B)は押圧部材が前進した位置にある場合の図である。
【図4】(A)〜(E)は押圧機構の動作を説明するための工程図であり、(A´)は、図4(A)におけるA−A矢視を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
図1、図2は、本発明に係る容器検査装置100を示す図であり、例えば、リチウム電池の容器をはじめとする容器Wの小孔を検査対象としている。
容器Wは、図3に示すように、一方側が開口部W1とされ他方側が底部W2とされた、有底円筒状に形成され、底部W2には他端側に突出する凸状部W3が形成され、該凸状部W3の外周には周縁部W4が形成されている。
【0025】
図1において、符号1で示すものは、検査対象となる容器Wを支持して検査位置Cに搬送するための回転搬送機構であり、ベースB上に設置されている。
これら回転搬送機構1は、容器Wに光源50からの光が照射されて小孔が検出される小孔検出回転体2、3と、該小孔検出回転体2、3に対して容器Wの供給又は排出を行うための搬送回転体4〜6と、前記小孔検出回転体2、3に対して容器Wを押し付けるための押圧機構90(後述する)とを備えている。
【0026】
回転搬送機構1は、図1に示すように、小孔検出回転体2、3が反時計方向(矢印b方向)に回転し、搬送回転体4〜6が時計方向(矢印a方向)に回転するようになっており、容器Wは、搬送回転体4、小孔検出回転体2、搬送回転体5、小孔検出回転体3、搬送回転体6の順に配置された小孔検査経路(検査経路)Mを移動するようになっている。
【0027】
小孔検査経路Mは、上流側(搬入側)から、搬送回転体4、小孔検出回転体2、搬送回転体5、小孔検出回転体3、搬送回転体6の順に配置されている。
【0028】
小孔検出回転体2、3及び搬送回転体4〜6は、周縁部に沿うように複数の容器Wを一定の間隔で支持するようになっている。また、これら小孔検出回転体2、3及び搬送回転体4〜6は、その回転軸2A〜6Aが、上下方向である矢印c‐d方向に沿い互いに平行に配置されている。
【0029】
これら搬送回転体4、小孔検出回転体2、搬送回転体5、小孔検出回転体3、搬送回転体6は、周縁部が互いに重なるように形成され、その重なる箇所において、ガイド部材10〜13の案内により、容器Wの受け渡しが行われるようになっている。
【0030】
次に、小孔検出回転体2、3について、図1及び図2を参照して詳細に説明する。
なお、これら小孔検出回転体2、3は、基本構成は同一であるので、一方の小孔検出回転体2についてのみ説明し、他方の小孔検出回転体3について同一符号を付し、重複した説明を省略する。
【0031】
小孔検出回転体2は、駆動機構(図示略)により駆動される駆動軸20により駆動される平面視、円形に形成された回転盤(開口部側支持体)21を有し、回転盤21の周縁に沿って、容器Wの開口部W1側を一定間隔で支持する凹部22が多数配置されている。
【0032】
駆動軸20には、回転盤21の凹部22に対して容器Wの開口部W1側を押し付けるための押圧機構90が設けられている。
押圧機構90は、回転盤21の軸線に沿う矢印c‐d方向に対して間隔をあけて設けられ、回転盤21とともに回転する第2回転盤30と、回転盤21の凹部22に対応して配置されかつ矢印c‐d方向に沿って進退自在に設けられて容器Wの底部W2を押圧する移動部材31と、移動部材31が後退した位置にある場合に容器Wを保持する搬送冶具32と、移動部材31を矢印c‐d方向に駆動するカム機構33とを備えている。
【0033】
移動部材31は、第1移動部材31Aと、第2移動部材31Bと、回転盤21と第2回転盤30の間に配置され、軸線Aを中心とする周方向に分割して配列された搬送治具保持部材31Cとを備え、搬送治具保持部材31Cは第1移動部材31Aの先端側(上部)に連結されて第1移動部材31Aとともに移動するように構成され、第2移動部材31Bは、第1移動部材31Aと相対移動可能とされている。
【0034】
また、移動部材31は、図3に示すように、矢印c‐d方向に移動自在に第2回転盤30に支持されて下端部がカム機構33(後述する)に接続されるとともに、第2移動部材31Bの上方には押圧部材40が設けられている。
【0035】
搬送治具32は、図3に示すように、円筒形状とされた容器本体に、容器Wの大径部及び凸状部W3と対応して形成された貫通孔が形成された形態をしており、貫通孔には当接部材41が下方から挿入可能とされ、容器Wを下方から支持、昇降するようになっている。搬送容器の外周と貫通孔の間に示した四角の白抜きは鉄片を示しており、移動部材31に設けられたマグネットにより保持可能とされている。
【0036】
かかる構成により、搬送治具保持部材31Cに装着した容器Wを搬送治具32とともに移動させる場合には、第1移動部材31A及び第2移動部材31Bがともに移動し、容器Wを搬送治具保持部材31Cから押し上げる場合には、第2移動部材31Bが押圧部材40とともに矢印C方向(上方)に移動して、容器Wを搬送治具32から離脱させるとともに、回転盤21の凹部22に押し付けるようになっている。
【0037】
第1移動部材31A及び第2移動部材31Bがともに移動する場合には、カム板43、43は同じ形状(カム軌跡)を描くように形成され、第2移動部材31Bが容器Wを搬送治具32から離脱させて回転盤21の凹部22に押し付ける場合には、第2移動部材31Bと対応する側のカム板43が上方に位置するように形成されている。
その結果、第1移動部材31Aと、第2移動部材31B及び押圧場40の双方を高速かつ確実に移動させることができる。
【0038】
また、移動部材31は、光源50(後述する)から照射された光が透過可能な、例えば、透明アクリルからなる当接部材41と、押圧部材40の先端と当接部材41との間に設けられて光源50からの光を容器W側に反射させる反射板42とを備えている。
【0039】
その結果、移動部材31は、当接部材41上に容器Wが配置された状態で、カム機構33によって矢印c方向に前進させられた場合に、容器Wの開口部W1が上方に位置する回転盤21の凹部22内に嵌まり込むとともに回転盤21の表面に押し付けられるようになっている。
また、移動部材31は、カム機構33により矢印d方向に後退した場合に、容器Wの開口部W1が、回転盤21の凹部22から離れるようになっている。
【0040】
また、当接部材41は、図3に示すように、矢印c側の上面に容器Wの底部W2が接するようになっていて、容器Wとの接触箇所には、容器Wの底部W2に形成された凸状部W3が嵌まるように凹状部41Aが形成されている。
【0041】
また、搬送冶具32は、容器Wの底部W2が載置されるように凹状の載置部32Aを有する構造とされ、カム機構33(後述する)により押圧部材40が矢印d方向に下降した場合に、押圧部材40に支持された容器Wの周縁部W4が、凹状の載置部32A上に嵌り込んだ状態で載置されるようになっている。
【0042】
また、カム機構33は、ベースB上に配置され、移動部材31に対応して形成されたカム板43、43と、押圧部材40の下端部に設けられてカム板43の上面に沿って転動するカムフォロア44とを有しており、駆動軸20を介して回転盤21及び第2回転盤30が回転し、これに伴なって押圧部材40が、矢印c‐d方向に上下動するようになっている。
【0043】
小孔検出回転体2、3の一側部には、図1に示すように、容器Wを周囲から照射する複数の光源50と、容器Wを通過した光源50の漏光を検出するための光検出部51と、容器検出センサ54が設けられている。
【0044】
光源50は、押圧機構90により支持された容器Wに、外側から全体にわたって光線を照射するようになっており、容器Wの周面に小孔がある場合には、光源50からの光が容器Wの壁部から小孔を通じて内部に漏れるようになっている。
【0045】
また、この実施形態において、容器Wの底部W2は、透明材料からなる当接部材41及び反射板42を介して押圧部材40に支持されているので、光源50から照射された光線が、反射板42で反射するとともに当接部材41を透過して、容器Wの底部W2に照射されるようになっている。その結果、底部W2に小孔があった場合には、小孔を通じて光源50からの光が容器Wの内部に至るようになっている。
また、光源50は外部からの光を遮るカバー52内に収納されているので、容器Wへの光線照射を効率的に行うことができる。
【0046】
光検出部51は、図2から図4に示すように、回転盤21の凹部22内に光センサ51Aを設けることで、容器Wの開口部W1に面するようになっており、光センサ51Aからの検出信号に基づき、容器Wに生じた小孔による光源50からの漏光を検出するようになっている。なお、図4(A´)に示したのは、図4(A)において矢視A−Aで示した移動部材31を示している。図4(A´)において、容器Wは二点鎖線で示している。、
【0047】
また、光検出部51は、小孔検出回転体2、3にそれぞれ設けられ、小孔検出回転体2の光センサ51Aの検出感度を、小孔検出回転体3の光センサ51Aの検出感度と異なるように設定されている。
【0048】
例えば、各光検出部51では、上流側の小孔検出回転体2では、大きな小孔の検出を行うために光センサ51Aの検出感度を相対的に低く設定し、下流側(搬出側)での小孔検出回転体3では、小さな小孔の検出を行うために光センサ51Aの検出感度を相対的に高く設定することで、容器Wに生じる大きな小孔及び小さな小孔をいずれも検出できるようにしている。
【0049】
容器検出センサ54は、例えば、光源管等により構成されており、通過する容器Wを検出して、小孔検出回転体2、3の容器Wが装着されたステーションを判別するようになっている。
また、光源50は、この小孔検出回転体2、3における容器Wの有無に係る情報を受けて、容器Wがある場合には光を照射し、容器Wがない場合には光を照射しないように構成されている。
かかる構成により、容器Wがない場合に、光を照射しないので、光センサ51Aが光源50の光を直接受けて過大光を検出することが防止されるようになっている。また、例えば、小孔検出回転体2において検出された大きな小孔がある不良品が、搬送回転体5において矢印Qに排出されても、小孔検出回転体3において、光のムダな照射が防止される。
【0050】
また、小孔検出回転体2、3の下流側に位置する搬送回転体5、6には、小孔が検出された不良品の容器Wを排除するための排除機構(図示略)が設けられている。
この排除機構は、小孔検出回転体2、3のそれぞれに位置する光検出部51が、容器Wの小孔を検出した場合に駆動され、小孔が検出された容器Wを、例えば、矢印Qにしたがって小孔検査経路M外に排除するようになっている。
【0051】
次に、図1〜図4を参照して本実施形態の動作について説明する。
[1]図1に示すように、搬送回転体4の矢印a方向への回転により搬送された容器Wは、ガイド部材10の案内により小孔検出回転体2に受け渡される。
【0052】
[2]小孔検出回転体2に受け渡された容器Wは、図3(A)及び図4(A)に示されるように、底部W2に形成された周縁部W4が搬送冶具32の載置部32A内に嵌まった状態で、載置部32A上に載置される。このとき、押圧機構90の押圧部材40は矢印d側の下方に位置している。
【0053】
[3]図3(A)、(B)及び図4(A)〜(C)に示すように、小孔検出回転体2の矢印b方向への回転に伴って、カム機構33により、押圧部材40が矢印c方向に移動して、押圧部材40に支持された容器Wも同方向に移動する。
これにより、押圧部材40に支持された容器Wの開口部W1が、回転盤21の凹部22に接触しかつ押し付けられる。
【0054】
[4]小孔検出回転体2の回転により、容器Wが検査位置C(図4(C)参照)となる光検出部51の近傍に位置した場合、容器Wに光源50から光が照射される。ここで光検出部51は、容器Wの開口部W1側にある光センサ51Aが、光源50の漏光を検出した場合に、容器Wに小孔があると検出する。
そして、光源50からの光が照射される容器Wは、底部W2が、透明材料からなる当接部材41及び反射板42を介して押圧部材40に支持されているので、光源50からの光線が、反射板42で反射するとともに当接部材41を介して透過して容器Wの底部W2に照射される。
その結果、底部W2に小孔があった場合に、光源50からの光が小孔を通じて容器Wの内部に至り光センサ51Aにより検出される。
また、小孔検出回転体2に設置された光検出部51では、光センサ51Aの検出感度を相対的に低く設定(すなわち、小孔検出回転体3での光センサ51Aの検出感度より低く設定)しており、これにより容器Wに形成された大きな小孔の検出を可能としている。
【0055】
[5]小孔検出回転体2がさらに矢印b方向に回転すると、図4(D)(E)に示すように、カム機構33の案内により、押圧部材40が矢印d方向に移動し、回転盤21の凹部22による容器Wの開口部W1の支持が解除される。
その結果、図3(A)で示すように、容器Wは、押圧部材40に支持された容器Wの周縁部W4が、凹状の載置部32A上に嵌まり込みかつ載置される。
【0056】
[6]小孔検出回転体2がさらに矢印b方向に回転すると、小孔検出回転体2にて小孔検査終了した容器Wが、ガイド部材11の案内により搬送回転体5に受け渡される。ここで、上記[4]の工程にて、光検出部51が容器Wの小孔を検出していた場合には、光検出部51の検出結果に基づき、搬送回転体5にて小孔が検出された容器Wを排除する。また、上記[4]の工程にて、光検出部51が容器Wの小孔を検出しない場合には、容器Wをそのまま搬送回転体5にて搬送し続ける。
【0057】
[7]上記[4]の工程にて小孔が検出されない容器Wは、ガイド部材12の案内により次の小孔検出回転体3に受け渡される。
小孔検出回転体3に受け渡された容器Wは、上記[2]〜[6]と同様の工程により、小孔が検査される。
小孔検出回転体3に設置された光検出部51は、光センサ51Aの検出感度を相対的に高く設定(すなわち、小孔検出回転体2での光センサ51Aの検出感度より高く設定)している。
その結果、容器Wに形成された小さな小孔の検出が可能であり、小孔検出回転体3の光検出部51で小孔が検出された容器Wは、下流側の搬送回転体6にて矢印Qにしたがって、小孔検査経路M外に排除される。小孔検出回転体3の光検出部51で小孔が検出されない容器Wは、次の搬送回転体6を経て図示しない次工程に送られる。
【0058】
本実施形態に係る容器検査装置100によれば、容器Wの小孔検査経路Mに、容器Wを支持して回転させる複数の小孔検出回転体2、3を配置し、小孔検出回転体2に大きな小孔の検出を行うために検出感度を相対的に低く設定した光センサ51Aを配置し、小孔検出回転体3に小さな小孔の検出を行うために検出感度を相対的に高く設定した光センサ51Aを配置したので、容器Wに生じた大小の小孔を、効率的かつ確実に検出することができる。
【0059】
また、容器検査装置100によれば、前進時(矢印c方向移動時)に容器Wの底部W2に当接して、小孔検出回転体2、3の回転盤21に押し付ける押圧部材40の当接部材41を透明材料により形成したので、光源50の光を当接部材41を介して底部W2に効率的に照射し、底部W2に生じた小孔を効率的かつ確実に検出することができる。その結果、容器Wの検査の信頼性を向上することができる。
【0060】
そして、小孔検出回転体2、3において光検出部51が、容器Wに小孔を検出した場合には、小孔が検出された容器Wを、小孔検出回転体2、3の下流側に配置された搬送回転体5、6から小孔検査経路M外に排出することができる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、ふたつの小孔検出回転体2、3に、検出感度の異なる光検出部51を設けて、大小の小孔を検出する場合について説明したが、ひとつ又は3つ以上の小孔検出回転体を備えた容器検出装置に適用してもよい。また、光検出部の設置数についても任意に設定することができる。
【0062】
また、上記実施の形態においては、当接部材41が、透明なアクリル樹脂である場合について説明したが、例えば、小孔検出に必要な量の光が透過可能であれば、透明でなくてもよいし、材料についても、ポリカーボネート等、アクリル以外の樹脂、ガラス、セラミックス等により当接部材41を形成してもよい。
【0063】
また、押圧部材40の先端と当接部材41との間に、光源50から照射された光を容器W側に反射させる反射板42を設ける場合について説明したが、透明な当接部材41を通じて、光源50の光が容器Wの底面W2に到達する場合には、反射板42を設けない構成としてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態においては、移動部材31及び押圧部材40をカム機構33により進退させる場合について説明したが、カム機構33に代えて、例えば、シリンダ等のアクチュエータをはじめとする他の駆動源を用いて進退させるように構成してもよい。
【0065】
また、上記実施の形態においては、容器Wが、リチウム電池の容器である場合について説明したが、例えば、アルカリ電池の容器、飲料用容器をはじめとする容器(缶体)等、他の容器に適用可能であることはいうまでもない。
【0066】
また、上記実施の形態においては、小孔検査経路Mの上流側に配置される光検出部51の検出感度を相対的に低く設定して、小孔検査経路Mの下流側に位置する光検出部51の検出感度を相対的に高く設定する場合について説明したが、例えば、検出感度に設定範囲(上限、下限)を設ける等により小孔検出の状況に応じて、各光検出部の検出感度を任意に設定してもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、図4(A)〜(E)で示される小孔の検出工程において、例えば、図4(B)の工程で、検出対象の容器W内にエアーノズルを通じてエアー(エアーの供給を符号Fで示す)を供給し、容器Wからのエアーの漏れ検出により、容器Wに小孔の検出を容易にする工程を追加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る容器検査方法、容器検査装置によれば、容器の胴部及び底部に生じた小孔を同時に検出するので、容器検査の性能を向上することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 回転搬送機構
2 小孔検出回転体
3 小孔検出回転体
4 搬送回転体
5 搬送回転体
6 搬送回転体
32 搬送冶具
33 カム機構
40 押圧部材
41 当接部材
42 反射板
50 光源
51 光検出部
51A 光センサ
90 押圧機構
100 容器検査装置
W 容器
W1 開口部
W2 底部
M 小孔検査経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に形成された軸線周りに回転する小孔検査検出回転体の周縁部に保持され、前記軸線周りに周回して検査経路にしたがって搬送される容器を、前記容器の底部側を支持するとともに移動して、前記容器の開口部側を開口部側支持体に押し付けて前記開口部側を支持するとともに開口部を遮光し、光源から照射した光の前記容器の内部における漏光に基づいて、前記容器の小孔を検出する容器検査方法であって、
前記容器の底部側を支持して押し付ける押圧部材の前記容器の底部と当接する部分に、光透過性を有する当接部材を配置して前記光源から光を照射することを特徴とする容器検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の容器検査方法であって、
前記当接部材の下部に反射板を配置し、前記光源からの光を前記容器側に反射することを特徴とする容器検査方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の容器検査方法であって、
前記容器は、前記容器を保持する搬送治具に装着され、前記搬送治具を介して前記小孔検査検出回転体に保持されることを特徴とする容器検査方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の容器検査方法であって、
前記押圧部材を、カム機構を用いて進退させることを特徴とする容器検査方法。
【請求項5】
鉛直方向に形成された軸線周りに回転可能とされ、周縁部に容器を保持して周回するとともに前記容器を検査経路にしたがって搬送する小孔検査検出回転体と、
前記容器の開口部側を支持するとともに前記開口部を遮光する開口部側支持体と、
前記容器の底部側を支持して、前記容器を前記開口部側支持体に押し付ける押圧部材と、
前記容器に光を照射する光源と、
前記開口部が遮光された容器内部に配置された光センサを有し前記光源が照射した光の漏光を前記容器の内部で検出する光検出部と、を備えた容器検査装置であって、
前記押圧部材の前記容器の底部と当接する部分には、光透過性を有する当接部材を備えていることを特徴とする容器検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の容器検査装置であって、
前記当接部材の下部に、前記光源からの光を前記容器側に反射する反射板を備えていることを特徴とする容器検査装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の容器検査装置であって、
前記容器を保持する搬送治具を備え、
前記小孔検査検出回転体は、前記容器を前記搬送治具に装着された状態で保持することを特徴とする容器検査装置。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の容器検査装置であって、
前記押圧部材を進退させるカム機構を備えることを特徴とする容器検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−117900(P2012−117900A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267429(P2010−267429)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)
【Fターム(参考)】