説明

容易に清浄可能な表面を備える構造体、及び同構造体の製造方法

遊離−OH基と反応可能な疎水性成分が含まれる外側コーティング及び無機ゾル−ゲルコーティングである内側コーティングから成る二重コーティングが施されることにより容易に洗浄可能となる表面を備えた構造体であって、
前記外側疎水性コーティングが高くても100℃までの穏やかな温度で乾燥された極めて反応性の高い内側ゾル−ゲルコーティングへ処理され、及び前記疎水性コーティングが縮合反応によって前記ゾル−ゲルコーティングへ化学的に強固に固定され、及び前記構造体表面上の前記二重コーティングが50℃を越える温度で焼成されることを特徴とする前記構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外層が遊離−OH基と反応可能な疎水性成分が含まれるコーティングであり、及び内層が無機ゾル−ゲルコーティングである二重コーティングを施すことによって得られる容易に清浄可能な表面を備える構造体に関する。
【0002】
上記構造体は例えばタイルまたは衛生セラミック製品等のようにセラミック材料、例えばベーキングオーブンマッフル等のようにエナメル、合金鋼等ように金属、あるいはプラスチック材料から製造可能である。ガラスあるいはガラスセラミックから製造される構造体は、好ましくは、例えば高温及び/またはかなりの汚損に晒され及び適切に機能させるために常に清浄化されていなければならないベーキングオーブン内装板あるいは暖炉用透明扉として使用される。
【0003】
本発明はまた、前記コーティング構造体の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
かなりの汚損へ晒されるため容易に清浄化できることが重要な個人用あるいは商用構造体は多岐に及ぶ。
従来技術においては、汚損へ晒される構造体に対しては一般的には疎水性溶液を用いた処理が行われるか、あるいは親水性の光触媒コーティングが施されてきた。
【0005】
疎水性表面は種々方法によって製造可能である。一方において、セラミック工業におけるように、不飽和有機基を介して、あるいはUV光を用いて無機−有機ナノ粒子網状構造から成るコーティングを加熱により架橋させることが可能である。その典型例として、シリケートリサーチ社フラウンホーファー研究所製の商品名「ORMOCER(登録商標)」で知られる無機−有機混成ポリマーがある。他方において、製品作製後、あるいは最終ユーザーによっても処理可能な疎水性溶液も多数ある(例えば商品名「Clear Shield(登録商標)」で知られている溶液)。WO00/37374にはこのような溶液コーティングの一例が開示されている。これらの溶液は機械的にとりわけ安定ではなく、またそれら溶液を成す有機成分に起因して使用最高温度に限界がある。
【0006】
親水性光触媒コーティングは、例えばピルキングトン(Aktiv Glas(登録商標))によって容易に洗浄可能な正面ガラスとして提供されている。洗浄効果を得るためには、UV光による活性化が絶対的に必要である。さらに、これらコーティングの劣化速度は極めて緩慢であり、汚損との接触に不適である。
【0007】
実用場面において前記容易に洗浄可能な表面を備える構造体に求められる用途的特異要求のいくつかについては適合が極めて困難である。例えば、ベーキングオーブン内装板のコーティングに関して求められる要求は下記の通りである。
−300℃/100時間の耐熱性、
−高温(300℃以上)における種々直接的汚損(例えば、チーズ、ケチャップ、カード、食品混合物、豚わき腹肉、プラムジャム)の洗浄容易性、
−機械的耐久性(慣用の洗浄布またはスポンジ、例えば微小繊維布を用いた拭き取り試験及び摩擦洗浄試験)、
−ベーキングオーブンスプレー、濯ぎ剤、ヴィネガー洗浄剤等の多種洗浄剤及び食品に対する耐薬品性。
【0008】
上記要求のすべてを満たす容易に洗浄可能な表面を備える構造体は未だ知られていない。このことは、EP0891953A1及びDE10018671A1において開示されている二重コーティング面を備える構造体及びその作製方法についても同様である。
【0009】
DE10018671A1には、ガラスまたはセラミック材料から成り、及び金属化合物、特に好ましくはSi、Al、TiまたはZr等の4価金属の無機あるいは有機化合物から成る薄い下層コーティングが施された構造体が開示されている。この下層コーティングは、構造体表面へ分散液の状態で噴霧、あるいは浸漬、あるいは粉末噴霧によって処理し、あるいは適当なゾルまたはゲル形態で他の処理法によって処理し、次いで高温で焼成して前記有機成分を分解させることによって形成される。冷却後、このコーティングの外側へシロキサン、シラン、フルオロシランポリウレタンあるいはテトラフルオロポリエチレンから成る疎水性有機コーティングが公知方法を用いて処理され、この処理されたコーティングは部分的に乾燥される。
【0010】
前記EP文献には、ガラスから成り、さらに珪土(シリカ)から成る第一の下層コーティング及びシランを含む第二の疎水性コーティングが施された構造体について記載されている。この構造体の場合においても、前記シリカコーティングは疎水性コーティングの処理前に焼成されている。
【0011】
上述した問題に関連した経験によれば、これら公知の二重コーティングは洗浄処理過程において十分安定であるとは言えない。下層コーティングをガラス質にするために高温で焼成処理を行う結果、該下層コーティング中の実質的にすべての反応基が反応を起こし、その生ずる反応によって前記反応基が消費されるため、前記外側疎水性コーティング中の結合相手との化学結合が極端に僅かとなってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、ベーキングオーブン内装板に関して要求される前記試験に合格可能な前記コーティングを備える構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、遊離−OH基と反応可能な疎水性成分が含まれる外側コーティングと無機のゾル−ゲルコーティングである内側コーティングから成る二重コーティングを施すことによって得られる容易に洗浄可能な表面を備える構造体を提供することによって達成される。本発明に従って、前記外側疎水性コーティングは、高くとも100℃の極端に高くない温度において、前記高反応性で部分的にしか乾燥されていない内側ゾル−ゲルコーティングへ処理され、縮合反応によって前記内側コーティングへ化学的かつ強固に固定され、そして、この二重コーティング系は50℃を越えるの温度で前記構造体上において焼成される。
【0014】
また本発明に従って、上記目的は、
−第一工程において従来方法を用いて構造体表面上へ直接内側無機ゾル−ゲルコーティングを処理し、
−前記内側ゾル−ゲルコーティングを室温ないし100℃の温度範囲内で乾燥させ、
−第二工程において、公知方法を用いて前記反応性内側ゾル−ゲルコーティングへ遊離−OH基と反応可能な成分を含む外側疎水性コーティングを処理し、及び
−前記構造体表面上において前記二重コーティングを焼成する各工程から構成される、二重コーティングを施すことによって容易に洗浄可能となる表面を備える構造体の製造方法を提供することによって達成される。
【0015】
本発明に従った二重コーティングを施すことにより、実質的に目立たず、機械的安定性に優れ、かつ容易に洗浄可能な保護コーティングが付与された構造体の製造が可能である。前記下層コーティング、すなわち内側ゾル−ゲルコーティングは焼成処理されずに極めて高温である焼成温度に比べればかなり穏やかな温度で部分的に乾燥されるため、反応基、すなわち前記ゾル−ゲルコーティングの−OH基が失われることがなく、特に縮合反応による疎水性上層分子との化学的結合の形成が可能である。従って本発明の本質的要素は、縮合反応を介して第二コーティングへ強固に固定される高反応性ゾル−ゲルコーティング、すなわち無機ゾル−ゲル網状構造にある。この第二コーティングは高疎水性であるため耐汚損性である。
【0016】
公知となっているように、前記ゾル−ゲル法は機械的に安定な金属酸化物コーティングの製造が可能な方法である。この方法では、出発材料である金属有機物を溶融状態で反応させてコーティングが形成される。前記金属有機物出発材料を制御下で加水分解及び縮合反応させることにより、典型的な金属酸化物網状構造、すなわち金属原子が酸素原子によって相互に連結された構造が形成され、同時にアルコール及び水等の反応生成物が取り除かれる。触媒を添加して前記加水分解反応を速めることも可能である。
【0017】
従って、前記下層コーティングは金属有機物材料のゲルから成り、本発明における好ましい金属はTi、Si、Zr、Al及びSnである。
【0018】
この下層コーティングの厚さは典型的には10nm〜1μmの範囲内であり、コーティングされる構造体、好ましくはガラス基板の表面へ従来方法、好ましくは噴霧法あるいは浸漬法を用いて処理される。噴霧あるいは浸漬処理以外の処理方法として、例えばスピンコーティング処理あるいは蒸着処理(VD、及び好ましくはCVD処理)等の当業者に公知なあらゆる処理方法を用いることが可能である。
【0019】
本発明の別の実施態様に従って、前記構造体表面は前記ゾル−ゲルコーティング処理前に活性化される。かかる活性化処理方法としては、例えば酸化、プラズマ処理、及び酸及び/またはアルカリ溶液処理等の多数の方法が当業者に既知である。また、本発明に従った構造体のコーティング前に、ガス相あるいは液相から1または2以上の付着促進コーティングを該当部位へ処理することも可能である。かかる付着促進コーティングは多岐に渡り、いずれも当業者に公知であり、また特定の基板材料ごとに容易に選択可能である。一般的付着促進剤としては、反応基を含むシラン及びシラノールが用いられる。個々の付着促進コーティング処理においては、例えばサンドブラストによって機械的に、あるいは例えばエッチングによって化学的に、まず基板表面を粗面化すると有利である。また、コロナ放電、火炎処理、UV処理、及びこれら処理を組合せた物理的方法を用いることも可能である。
【0020】
第二段階において、室温あるいは約100℃までのより高温における好ましくは6時間未満の乾燥時間後に(実施例6参照)、このゾル−ゲルコーティングへ公知の方法、好ましくは噴霧処理によって、好ましくはパーフルオロ化シランから成る厚さ5nm未満の疎水性コーティング、あるいは疎水性成分を含む厚さ5nm〜1μm、好ましくは10nm〜150nmのゾル−ゲル混合物が処理される。
【0021】
前記第二コーティングには、好ましくは疎水性成分としてフルオロアルキルシランが含まれる。
【0022】
本発明に従った方法に好ましく用いられるシランは下記一般式、
(CF)−(CF(CF’H’)−Si−(OR)
式中、x及びyはそれぞれ独立して0、1、2または3を表し、かつx+y=3であり、a、a’及びb、b’はそれぞれ独立して0、1または2を表し、かつa+b=2及びa’+b’=2であり、及びn及びmはそれぞれ独立して0〜20を表し、かつ合わせて最大で30であり、及びRは直鎖あるいは分岐した飽和あるいは不飽和のC〜Cアルキル基(任意的にヘテロ原子を含む)を表す、で表される。好ましいアルキル基としては、メチル、エチル及びプロピル、及びそれらのアミノ誘導体が挙げられる。本発明に従った好ましいシランは、シランの水溶解性を増大あるいは促進させることが可能なヘテロ原子またはヘテロ原子含有官能基が含まれるシラン類である。
【0023】
疎水性溶液の噴霧前に、例えばコーティングが収縮しないように保って、流動で問題が生じないように、ゾル−ゲルコーティングは十分固くなっていなければならない。部分的に乾燥した極めて反応性である内側ゾル−ゲルコーティングへ疎水性噴霧溶液を処理することにより、疎水性成分の強い浸透、被覆及び内側ゾル−ゲルコーティングとの架橋が生ずる。次いで、二重コーティング系は50〜450℃、好ましくは250〜380℃の温度で2分〜2時間焼成される。
【0024】
本発明方法の利点は、良好な洗浄効果を与えることの他、処理時間が大幅に短縮される点にも存する。
【0025】
噴霧パラメータを適合させることによりスプレーノズルを2機用いて両コーティングを単一の噴霧工程において処理できる方式として構成し、ゾル−ゲルコーティングの流動時間及び乾燥時間を調節することが可能である。ガラス質コーティングの形成のための下層コーティング、すなわち内側ゾル−ゲルコーティングの強エネルギー焼成は必要とされない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
実施例1a
珪酸エステル及びアルコール溶液を各同量短時間混合してガラス基板上へSiO下層コーティングを調製する。次いで水25重量%を前記溶液へ加え、該溶液を少量の触媒(塩酸)と共に短時間攪拌してから1日間静置させる。このようにして調製された濃縮物を再度アルコールで希釈して、噴霧処理に特に好ましい濃縮物4gとアルコール320gとの混合液を得る。
【0027】
実施例1b
実施例1aの濃縮物へチタン濃縮物を重量比1:2の割合で添加して混合酸化物下層コーティングを調製した。前記チタン濃縮物はTiClのエタノール溶液(128g/L)から調製した。噴霧処理により処理される溶液は、SiO濃縮物8gをチタン濃縮物4g及びアルコール320gと混合して調製した。
【0028】
実施例2a
重量比1:70の割合で疎水性シラン(例えばデグッサF8261)及び触媒(酢酸)をアセトン中で一緒に撹拌して疎水性コーティングを調製した。次いでこの溶液を実施例1a及び1bによって得た下層コーティングへ処理した。
【0029】
実施例2b
重量比で同量の珪酸エステル及びアルコール溶液を一緒に短時間撹拌して別の疎水性コーティングを調製した。次いで、この溶液中へ疎水性シラン(例えばデグッサF8800)5重量%を撹拌しながら加え、その後に水と少量の触媒(塩酸)の混合物22重量%を撹拌しながらゆっくり加えた。次いで生じた濃縮物を4時間静置した。この濃縮物をアセトンと重量比1:20の割合で混合して噴霧溶液を得た。次いで得られた噴霧溶液を実施例1と同様に調製して得られた中間コーティングへ処理した。
【0030】
実施例3
遊離−OH基と反応可能な市販の疎水性溶液(例えば、Flexotec製のNano Top(登録商標)、あるいはNano−X供給の洗浄容易製品)を実施例1において得られた下層コーティングのひとつへ処理することにより別の疎水性コーティング系を得、次いで該コーティング系を実施例4において説明した方法に従ってガラス基板へ処理した。
【0031】
実施例4
実施例1において得られた下層コーティングを従来の噴霧方法によって熱反射性ガラス基板へ処理した。良好な飛散性を確保するため、マイクロスプレーノズル(Krautz−berger供給)を使用した。噴霧された下層コーティングは室温で乾燥させた。
疎水性コーティング(実施例2)をマイクロスプレーノズルを用いて部分的に乾燥させた下層コーティングへ処理した。次いで前記系全体を300℃/20分の加熱速度で、有機成分を分解させない一方、コーティング間及びコーティング内、及び基板との反応が極めて良好に起こるように焼成処理を行った。
【0032】
実施例5
本発明コーティング系の未焼成底部ゾル−ゲル層の従来技術による焼成ゾル−ゲルコーティングに対する優越性を示すため、2種の類似標品を調製して試験に供した。
実施例1と同様の方法により、2個の同一基板のそれぞれへSiOコーティングを噴霧処理した。前記標品の1個をオーブン中500℃で3時間加熱し、一方別の1個の標品を大気条件下で室温に保持した。
次いで双方の基板を実施例2と同様にフルオロシランで噴霧によりコーティング処理してから300℃において20分間加熱した。
次いで前記2種の標品のコーティング面に対し1kgの負荷下湿フェルトパッドを用いて機械的摩擦を与える試験を実施した。所定回数の摩擦サイクル後、両標品について摩擦面上における水の接触角を測定した。下記表に示すように、従来技術によって得られた焼成SiO下層コーティングをもつ標品においては、本発明に従ってコーティングされた第二の標品と比較した場合、摩擦サイクル数に符合した急激な接触角の減少及び焼成SiO下層コーティングの欠落が認められた。
【0033】
【表1】

【0034】
前記接触角測定結果を、XPSを用いて予め機械的応力が加えられた部位について確認した。この化学量論的試験により、焼成された下層コーティングを備える標品におけるXPS情報生成深度(2−4nm)領域中のフッ素原子含量は、第二のコーティング処理前において未焼成である本発明標品の同含量の約半分しかないことが示された。
【0035】
【表2】

【0036】
上記表から分かるように、コーティングの安定性は下層コーティングの熱処理に強く依存している。本発明に係るコーティング系にはこの観点において明らかな有利性が認められる。
【0037】
実施例6
疎水性外側コーティングを未焼成下層コーティングへ処理するまでの最適静置時間を決めるため、実施例2aと同様の方法を用い、但し持続時間を変えて、標品を調製した。静置時間は通常の実験室環境条件下で5分〜1週間の範囲に亘った。簡略なベーキングオーブン洗浄試験において、前記二重コーティングの耐摩耗性に実用的差異は認められなかった。一般論として、経済的理由から加工時間は短い方が望ましいため、前記静置時間は比較的短時間にされるべきである。
【0038】
また他の理由から、前記静置時間は一定期間を超過してはならない。この時間的限界を決めるため、前記比較用標品(種々静置時間について得られた標品)について実施例5と同様な湿フェルトパッドを用いた機械的摩擦試験を行った。下記表に、疎水性コーティング処理前に静置時間0.5、6及び24時間をそれぞれ置いた3標品についての500摩擦サイクル前後に得られた接触角を示す。この表から分かるように、静置時間を0.5時間とした標品では接触角には事実上変化はなく高い角度が維持された。静置時間を0.5時間以上とした標品では接触角の急激な減少が認められた。かかる理由から、6時間を越えない静置時間が好ましいことが分かった。
【0039】

【0040】
実用的実施例については以上である。
【0041】
本発明に従った二重コーティングが施される構造体は、例えばタイルまたは衛生セラミック材料等のようにセラミック材料、例えばベーキングオーブンマッフル等のようにエナメル、例えば貴金属等のように金属、あるいはプラスチック材料から作製可能である。ガラスあるいはガラスセラミック材料から成る構造体の場合の好ましい用途としては、高温及び/または汚損に晒され、かつ常時洗浄が必要とされる例えばベーキングオーブン内装板や暖炉用透明扉が挙げられる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離−OH基と反応可能な疎水性成分が含まれる外側コーティング及び無機ゾル−ゲルコーティングである内側コーティングから成る二重コーティングが施されることにより容易に洗浄可能な表面を備えた構造体であって、
前記外側疎水性コーティングは、高くても100℃までの穏やかな温度で乾燥された極めて反応性の高い内側ゾル−ゲルコーティングへ処理され、及び前記疎水性コーティングが縮合反応によって前記ゾル−ゲルコーティングへ化学的に強固に固定され、及び前記構造体表面上の前記二重コーティングが50℃を越える温度で焼成されることを特徴とする前記構造体。
【請求項2】
第一工程において、従来方法を用いて構造体表面へ内側無機ゾル−ゲルコーティングを直接処理し、
前記内側無機ゾル−ゲルコーティングを室温〜100℃の範囲内の温度で乾燥させ、
第二工程において、前記反応性内側ゾル−ゲルコーティングへ公知の方法を用いて遊離−OH基と反応可能な成分を含む外側疎水性コーティングを処理し、及び
前記構造体表面上において処理された二重のコーティングを焼成する各工程から構成される、二重コーティングによって容易に洗浄可能な表面を備える構造体の製造方法。
【請求項3】
厚さが10nm〜1μmの内側ゾル−ゲルコーティングが処理されることを特徴とする請求項2項記載の方法。
【請求項4】
前記内側ゾル−ゲルコーティングが噴霧あるいは浸漬によって処理されることを特徴とする請求項2または3項記載の方法。
【請求項5】
前記ゾル−ゲルコーティングが、使用される温度に依存した好ましくは6時間以内の期間乾燥されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記コーティング処理面が、最初に例えばコロナ放電、火炎処理、UV処理あるいはプラズマ活性化等の物理的方法、及び/または粗面化あるいはサンドブラスト等の機械的方法、及び/またはエッチングあるいはガス相または液相からの1または2以上の適当な付着促進コーティングの処理等の化学的方法を用いて活性化されることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
パーフルオロ化シラン、あるいはパーフルオロシランとのゾル−ゲル混合物が前記外側コーティングとして前記乾燥された内側コーティングへ処理されることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記外側コーティングが噴霧処理されることを特徴とする請求項7項記載の方法。
【請求項9】
前記内側ゾル−ゲルコーティングの流動時間及び乾燥時間を調節することにより、両コーティングが単一噴霧工程において処理されるように噴霧パラメータが適合されることを特徴とする請求項4又は請求項8項記載の方法。
【請求項10】
前記外側コーティングに用いる前記疎水性溶液が、形成中の高反応性内側ゾル−ゲルコーティングへ処理されることを特徴とする請求項9項記載の方法。
【請求項11】
前記二重コーティングが50〜450℃の温度で2分〜2時間焼成されることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
例えばタイルまたは衛生セラミック製品等のようにセラミック材料、例えばベーキングオーブンマッフル等のようにエナメル、合金鋼等のように金属、プラスチック材料、高温及び/またはかなりの汚損に晒され及び適切に機能させるために常に清浄化されていなければならないベーキングオーブン内装板あるいは暖炉用透明扉等のようにガラスあるいはガラスセラミックから成ることを特徴とする請求項1項記載の構造体、及び請求項1〜11のいずれかに記載の方法によって製造される構造体。


【公表番号】特表2007−509738(P2007−509738A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537234(P2006−537234)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012370
【国際公開番号】WO2005/044748
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】