説明

容量デバイス、有機誘電ラミネート、およびそのようなデバイスを組み込んだプリント配線板、ならびにそれらの製造方法

【課題】本発明は誘電性組成物に関する。
【解決手段】本発明の誘電性組成物が常誘電性フィラーとポリマーとを含み、前記誘電性フィラーは50〜150の誘電率を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、誘電性組成物およびフィルム、ならびに多層プリント回路、フレキシブル回路、半導体パッケージング、埋込型フィルムキャパシタなどの電子回路および電子部品におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路部品のサイズを小さくし、且つ性能を高めることに対する必要性が高まっている。集積回路部品の一般的な一部品、例えば平面キャパシタ部品は、誘電性機能を有するフィラー材料とポリマーとを含む組成物から形成される誘電層を有する。一般に、高い誘電率Kを有する誘電性機能フィラー材料をキャパシタに使用することにより、所与の厚さの誘電層に対して、フィラーを含まないものと比較してより少ないキャパシタ面積に同じ量の電荷を貯蔵できる。
【0003】
現在、様々な種類の誘電層が、回路基板キャパシタの製造に用いられている。しかしながら、誘電層の誘電率は制限されており、低い誘電耐電圧(dielectric withstanding voltage)及び高い漏れ電流などの特定の電気特性に関して問題がある。これら両方の問題により、最終的なキャパシタの容量が制限され、多くの場合、キャパシタ内の誘電層の厚さを所望のレベルまで低下させる能力が制限されている。
【0004】
Howard等の特許文献1は、容量プリント回路基板において使用するためのキャパシタ・ラミネートに関する。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5079069号明細書
【特許文献2】米国特許第5298331号明細書
【特許文献3】米国特許第6600645号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明者は、高い絶縁耐電圧及び低い漏れ電流などの望ましい電気的ならびに物理的特性を有する電子部品においてキャパシタ形成に使用するための誘電性組成物及びフィルムを提供しようとした。特に、これらの誘電性組成物及びフィルムは、埋込型受動部品用途に有用である。
【0007】
本発明は、このような組成物、フィルム、デバイス及びこのようなデバイスの製造方法を提供する。本発明は、常誘電性(paraelectric)フィラーとポリマー材料とを含み、その組合せが50〜150の誘電率を有する誘電性複合材料(composite)に関する。さらに本発明は上記の組成物に関し、該組成物は加工されて、フィルムおよび該フィルムを含むキャパシタを形成する。
【0008】
本発明のさらなる実施形態は、二つの導電性電極の間に配置された上記の誘電性組成物を含むキャパシタと、前記キャパシタを含むプリント配線板である。またさらなる実施形態は、埋込型平面キャパシタの形成方法に関し、該形成方法は、上記の誘電性組成物を提供するステップ;前記誘電性組成物を第一の金属層に適用し、そのようにして金属面と誘電体面とを作成するステップ;そして第二の金属層を前記誘電体面に適用するステップを含む。さらなる実施形態は、上記方法により作成された平面キャパシタである。
【0009】
一般に、本発明の組成物を利用して構成されるキャパシタは、高い静電容量密度とその他の望ましい電気的及び物理的特性を有する。例えば、このキャパシタを、プリント配線板内、及び集積回路基板上に埋め込むことができ、且つ集積回路パッケージング及び集積受動デバイスを形成するのに使用することができる。
【0010】
当業者は、後に列挙される図に関連する実施形態の以下の詳細な説明を読む際に、上記に述べた優位点及びその他の優位点ならびに、本発明の種々の追加的な実施形態の利点を認識するだろう。
【0011】
慣例に従い、後に論じられる図の種々の特徴は、必ずしも実物大で描かれているわけではない。図の中の種々の特徴及び構成要素の外形寸法は、本発明の実施形態をより明瞭に説明するために拡大されるか、縮小されることがある。詳細な説明では以下の図を参照し、同じ符号は同じ構成要素を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、多層プリント回路、フレキシブル回路、半導体パッケージング及び埋込型フィルムキャパシタなどの電子回路において、高い誘電耐電圧と低い漏れ電流などの電気特性の向上を可能とする誘電性組成物ならびに誘電性フィルムに関する。本誘電性組成物は、これらに限定されないが、TiO、Ta、HfO、Nb、Al、及びステアタイト(Steatite)などの常誘電性(paraelectric)フィラーとポリマーとを含む。フィラーは、10〜150の誘電率を有する任意の常誘電性フィラーであってもよい。常誘電性フィラーは、バルク状態で、相対的に高い絶縁抵抗(低い漏れ電流)及び破壊電圧を有する。
【0013】
図1は、ICデバイス30と接続されて従来技術のプリント回路基板25を形成する表面実装技術(SMT)キャパシタ50を有するプリント回路基板25の一部の断面図である。信号をIC30に運ぶ信号線は、ICデバイス30をキャパシタ50に接続する回路トレース60に接続されている。キャパシタ50は、一対のはんだパッド52及びはんだ接合58の一つにより回路トレース70と連結され、且つはんだパッド42及びハンダ接合48により回路トレース70と連結されている。キャパシタ50は、もう一方のはんだパッド58及び回路トレース59により、バイヤホール(via hole)80と連結されている。この配置では、二つのキャパシタ50を信号線と直列に配置し、めっきされたスルーホールバイヤ(plated thorough−hole via)80を通して接地されている。この従来の表面実装手法は、貴重な表面積を使用することが必要である。さらに、はんだ接合を必要とするために信頼性が低下し、生産コストが増加する。
【0014】
(常誘電性フィラー)
10〜150の誘電率で且つ高い絶縁抵抗及び破壊電圧を有する常誘電性セラミックフィラーは、本発明に対して本質的である。本明細書において常誘電性セラミックフィラーは、電圧に対して電荷及び分極の線形応答(linear response)を示すセラミック粒子を意味するものと定義される。常誘電性フィラーは、加えられた電界を取り除いた後、結晶構造内で全体的な電荷の可逆性分極を示す。従来より、強誘電性(ferroelectric)フィラーは、それらが一般に常誘電性フィラーよりも高い誘電率を有するので、誘電体の誘電率を高めるために用いられている。強誘電性材料のより高い誘電率は、電圧に対する電荷及び分極の非線形応答によるものである。この非線形応答は、強誘電性材料の重要な特性である。また、強誘電性フィラーは、結晶構造中の非可逆性変化のため、加えられた電界による分極に関してヒステリシス現象を示す。強誘電性フィラーはより高い誘電率を有するが、強誘電性特性のために多数の否定的電気特性を有している。強誘電性材料は、常誘電性材料よりも低い絶縁抵抗(高い漏れ電流)を有する傾向がある。また、強誘電性材料は、より低い誘電耐電圧を有し、且つ温度と共により広く静電容量が変化する傾向がある。充填材入りポリマーフィルムに対して高い静電容量を実現するために、3つの要素が利用できる:フィラー粉末の誘電率を増加する、フィラー粉末の濃度を増加する、又は充填材入りポリマーフィルムの厚さを減少する。確かに、強誘電性フィラーはより高い誘電率という優位点を有している。しかしながら、常誘電性フィラーのより高い誘電耐電圧及びより低い漏れ電流により、これらのキャパシタフィルムは、より高い濃度で充填され、且つより薄いフィルムに含有され、そしてさらに、必要とされる全ての電気特性を得ることができる。
【0015】
本発明に有用な常誘電性フィラー粉末は、これらに限定されないが、TiO、Ta、HfO、Nb、Al、ステアライト及びこれらの混合物を含む。これらの常誘電性材料は、これらのバルク形態において、およそ1000V/ミル又はそれ以上の高い破壊電圧と、1012Ω−cm又はそれ以上の体積抵抗率を示す。一般に、常誘電性フィラー粉末は、2ミクロンより小さい平均粒度(D50)を有する。一実施形態において、平均粒度は0.1〜0.3ミクロンの範囲内である。常誘電性フィラー粉末は、およそ5〜55体積%で組成物内に存在する。
【0016】
一実施形態において、常誘電性フィラーはTであり、50〜117の誘電率を有する。本発明に有用なTの一例は、E.I.du Pont de Nemours and Companyから入手できるTi−Pure(登録商標)R101である。
【0017】
(ポリマー)
ポリマーは、この発明の組成物にとって重要である。ポリマーの最も重要な特性の一つは、常誘電性フィラー及び任意選択的なその他のフィラーを組成物中に分散できることである。本発明に有用なポリマーは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン及びポリイミドである。本発明の使用に適切なポリイミドは、Kanakarajan等の特許文献2に開示され、それらは本明細書中に組み込まれる。
【0018】
一実施形態において、本発明の常誘電性フィラー/ポリマー組成物の絶縁抵抗及び誘電耐電圧は、それぞれ1010Ω/cmより大きく、250Vより大きい。ここで、誘電耐電圧を、誘電体が少なくとも30秒間耐えうる電圧と定義する。
【0019】
(追加的な構成成分)
強誘電性セラミックフィラー、溶媒、分散剤、接着剤、ならびに当業者に既知のその他の添加剤などの他の構成成分を、組成物に添加してもよい。
【0020】
強誘電性セラミックフィラーを、特定の用途により決まるフィルムの電気特性を高めるために種々の量で組成物に添加してもよい。一般に、これらの追加的な強誘電性セラミックフィラーは、5〜25体積%の量で存在する。多くの場合、強誘電性フィラーは、常誘電性フィラーより低い濃度であろう。組成物に添加してもよい強誘電性セラミックフィラーの特定の具体例は以下を含む:一般式ABOのペロブスカイト(perovskite)、結晶性チタン酸バリウム(BT)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛ランタン、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)、ニオブ酸マグネシウム鉛(PMN)、及びチタン酸カルシウム銅、ならびにそれらの混合物。フィラーは粉末形態でもよい。これらの強誘電性フィラーを単独で、又は組合わせて使用してもよい。これらの強誘電性フィラーが本発明の常誘電性フィラーの定義と合致しないことは、注目に値する。一実施形態において、適切なチタン酸バリウムフィラー(Tam Ceramics又は富士チタン工業株式会社から得ることができる)を組成物に添加する。加えて、強誘電性フィラーを分散剤でコーティングして、組成物内での分散を助けてもよい。溶媒を組成物に加えて、分散を助けてもよい。ポリマーと所望の組成物の特性とが適合する限り、溶媒は重要ではない。一般的な溶媒の具体例は、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン、イソプロパノールなどの脂肪族アルコール、そのようなアルコールのエステル(例えば酢酸エステル及びプロピオン酸エステル);パイン油及びα−テルピネオールもしくはβ−テルピネオールなどのテルペン、又はそれらの混合物;エチレングリコール、ならびにエチレングリコールモノブチルエーテル及びブチルセロソルブアセテートなどのそれらのエステル;ブチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトール、及び酢酸カルビトールなどのカルビトールエステル、ならびにその他の適切な溶媒を含む。
【0021】
(フィルム形成)
本発明の組成物は、常誘電性フィラー及び任意選択的にその他の追加のフィラーを供給し、そのフィラーを望ましいポリマーと混合し、そして、従来のダイカスティング技術などの当業者に既知の技術で組成物をフィルム形状に成形することにより、「フィルム」に作成される。このフィルムを単層又は多層構造として形成してもよい。
【0022】
多層構造を形成する手段として、当業者に既知の種々の方法を用いてもよく、該方法は、押出ラミネート;熱圧縮;溶液コーティング及び共押出成形を含む。これらは一般的だが、多層フィルムを形成する方法の限定的な具体例ではない。
【0023】
(本発明の組成物/フィルムを利用する電気部品の形成)
本発明のフィルムは、本発明の誘電性組成物の単層又は多層から形成されたキャパシタなどの種々の電子部品、例えば、平面キャパシタ・ラミネートの形成に利用することができる。
【0024】
本組成物及びフィルムに関する一つの特定の有用性は、キャパシタ、フィルターなどを形成するために特許文献3に記載された種類の誘電性組成物においてである。従って、本発明の一実施形態において、本発明は、その中に常誘電性フィラーを分散させているポリマーマトリックスを含む誘電性組成物に関する。別の実施形態において、本発明は、二つの導電性電極の間に配置された誘電性組成物を含む電気キャパシタに関し、該誘電性組成物は本発明の常誘電性フィラーをその中に分散させているポリマーマトリックスを含む。さらに別の実施形態において、本発明はポリマー厚膜キャパシタのための焼成前のセラミック誘電体に関し、該誘電体は本発明の粒子をその中に分散させているポリマーマトリックスを含む。本発明の誘電性組成物及びフィルムを、種々の態様の電子回路及び電子部品を形成するのに用いてもよい。しかしながら、本発明の一実施形態を表すために、本明細書では平面キャパシタ・ラミネートの形成に用いている。
【0025】
該平面キャパシタ・ラミネートは、金属箔−誘電体−金属箔ラミネート構造を有する材料から形成されてもよく、該構造において誘電体は本発明の単層又は多層誘電性フィルムを含む。多層体を使用する場合、各層は異なる材料でもよい。そのような誘電体は、インピーダンスを調整するために薄層で製造されてもよい。
【0026】
当業者は、後に列挙される図に関連する実施形態のこの詳細な説明を読む際に、上記に述べた優位点及びその他の優位点ならびに、本発明の種々の実施形態の利点を認識するだろう。
【0027】
慣例に従い、図の種々の特徴は、必ずしも実物大で描かれているわけではない。図の中の種々の特徴の外形寸法は、本発明の実施形態をより明瞭に説明するために拡大されるか、縮小されることがある。
【0028】
図2は、プリント配線板2000の一部の断面図である。プリント配線板断面2000は、容量デバイス200に組み込まれたキャパシタを備える。デバイス200は、下部電極210、誘電体220、上部電極又は上部極板240、及び導電トレース245を備える。デバイス200により、一般に括弧(})201で表されるラミネート構造内に容量性機能が提供される。デバイス200は、導電回路トレース245、誘電層280を貫通して伸びているめっきスルーホールバイヤ250、及び導電回路トレース260により、ICデバイス270と連結される。ICデバイス270を、はんだパッド272及びはんだ接合274により導電回路トレース260と接続してもよい。導電回路トレース211を、接地又は他の回路と接続するために下部電極210から延長してもよい。
【0029】
図3A〜3Dは、デバイス200を備えたラミネートの作成方法を説明する。図3Aは、第一の金属箔212及び第二の金属箔242を提供する製造の第一段階における正面からの断面図である。第一及び第二の金属箔212、242は、例えば、銅、銅ベースの材料、ならびに他の金属から作成することができる。
【0030】
本発明の誘電組成物もしくはフィルムを、第一の箔212上に流し込むか又はコーティングし、そして硬化させ、第一の誘電層222を形成してもよい。同様の第二の誘電層226を、第二の箔242上に同様の方法で形成してもよい。
【0031】
薄い接着層227を、いずれか一方の誘電層222、226の片面又は両面に付けてもよい(図3Aでは層222の上に見られる)。接着層227を、例えば熱可塑性ポリマーから形成してもよく、誘電性の高い相で満たして、誘電率の減少を防止してもよい。そして、二つの構造物を、図3A中に示される矢印の方向に共にラミネートする。
【0032】
図3Bを参照すると、ラミネートにより、層222、226、及び227から単一の誘電体220が形成される。この常誘電性フィラーを含む本発明の誘電層は、5〜30の範囲の誘電率を有することができる。接着層227により、ラミネートプロセス中の誘電層222と226の接合が促進される。しかしながら、もし誘電層222と226が、ラミネートする前に硬化したのが一部のみであったり、またはこれらの誘電層が、ラミネートの際の適切な温度と圧力により層222及び226が接着剤なしに接合するほど十分に樹脂が軟化されるほどに熱可塑性の性質であったならば、接着層227を省いてもよい。また、箔212、242の一方のみの上にスラリーを流し込み、もう一方の箔を、硬化又は一部硬化したスラリーとラミネートすることにより、図3Bに見られる構造を形成してもよい。さらに別の代替方法は、硬化又は一部硬化したスラリーの支持体のないフィルム220を形成し、そして、ポリマーフィルム220の両側に箔212と242とをラミネートすることであろう。
【0033】
フォトレジスト(図3Bに図示せず)を箔212に塗布し、そして、箔212を画像形成させてエッチングし、そして一般的なプリント配線板プロセス条件を用いて残ったフォトレジストを剥離させる。
【0034】
図3Cは線4C−4Cで切り取った正面の断面図である。図3Cを参照すると、生じる物品の下部電極210側は、ラミネート材料282でラミネートされている。ラミネートは、例えば、一般的なプリント配線板プロセスにおける、FR4プリプレッグ又はその他のプリプレッグを用いて行うことができる。
【0035】
フォトレジスト(図3Cに図示せず)を箔242に塗布し、箔242を画像形成させてエッチングし、そして残ったフォトレジストを剥離させる。図3Dは、生じる物品を線4D−4Dで切り取った正面の断面図である。図3Dを参照すると、エッチングにより、デバイス200の上部電極240と導電回路トレース245が製造される。また、エッチングによりギャップ248も製造される。
【0036】
図3Dを参照すると、誘電層280は誘電層282のコンポーネント側にラミネートされ、ラミネート構造201を形成する。そして、ラミネート構造201を、例えば従来のラミネート化及びバイア形成プロセスを用いて、プリント配線板に組み込むことができる。
【0037】
前述の発明の説明は、本発明の一実施形態を説明し、記述している。加えて、本開示は本発明の選ばれた好ましい実施形態のみを示し、且つ記述しているが、本発明はその他の種々の組合せ、改変、及び環境において使用することができ、そして、上記の教示と、及び/又は関連する分野の技術もしくは知識の範囲内に相当し、本明細書中に表現された発明の思想の範囲内において、変更及び改変できることが理解される。
【0038】
さらに、本明細書中において上述した実施形態は、本発明を実施するのに知られる最善の形態を説明し、そして、他人である当業者が、そのような実施形態又は別の実施形態、及び本発明の特定の用途及び使用により必要とされる種々の改変を伴った実施形態において本発明を利用できるようにすることを意図したものである。したがって、本記述により、本発明が明細書中に開示された形態に限定されることを意図するものではない。また、添付された特許請求の範囲は、詳細な説明に明確に定義されていない別の実施形態をも含むと解釈されることを意図するものである。
【実施例1】
【0039】
以下のモノマー:ピロメリト酸ニ無水物(PMDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、及び1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−134)から誘導されるポリアミック酸160gの溶液を、120gのジメチルアセトアミド(DMAC)溶媒と30gのDu Pont Ti−Pure(登録商標)R−101二酸化チタン粉末と共に混合した。この溶液を、粉末が分散するまで高速ミキサー内で攪拌した。少量の追加的なモノマーを、粘度が500ポイズになるまで添加した。次いで、この溶液を、均一なコーティングとなるように固体表面にコーティングした。次いで、コーティングを170℃で乾燥させ、70〜80%の溶媒を除去した。次いで、形成されたフィルムを固体表面から取り除いた。そして、このフィルムを350℃のオーブン中で1時間硬化させた。最終的なフィルムの厚さは1.1ミルで、フィラー添加量は26体積%であった。
【0040】
次いで、硬化させた二酸化チタン充填フィルムを、2シートの銅箔の間にラミネートした。各銅シートは36ミクロンの厚さであった。ラミネート加圧プロセスサイクルを、減圧下250℃で1.5時間シートを保持することより始めた。最後の1/2時間では10psiの圧力をシートに加えた。次いで、さらに1時間にわたり温度を350℃まで上昇させた。より高温での30分後に、圧力は352psiまで増加した。次いで、加熱を止め、冷却後サンプルを取り外した。
【0041】
フォトレジストの画像形成と銅のエッチングを使用して、試験するために直径1インチのキャパシタを画像形成させた。画像形成されたキャパシタの電気的試験により、それらが、誘電耐電圧試験において直流500Vに合格することが示された。3Vでの誘電体の両端にかかる抵抗は、1010Ω/cmより大きかった。直流100Vでの漏れ電流は、0.1μA/cmより小さかった。強誘電性フィラーであるチタン酸バリウムを充填した同様のサンプルは、3Vで4×10Ω/cmの抵抗を有した。これは、誘電耐電圧試験において直流100Vだけには合格するが、直流100Vで100μA/cmを超える漏れ電流を有する可能性があった。
【実施例2】
【0042】
18ポンドのDMACと18ポンドのDu Pont Ti−Pure(登録商標)R−101二酸化チタン粉末の溶液を、1時間高速ミキサー内で攪拌した。次いで、以下のモノマー:ピロメリト酸ニ無水物(PMDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、及び1,3−ビス−(4−アミノフォノキシ)ベンゼン(APB−134)から誘導されるポリアミック酸84ポンドを添加した。この混合物を、さらに30分間攪拌した。少量の追加のモノマーを、粘度が400ポイズになるまで添加した。
【0043】
次いで、この溶液を銅箔の連続シート(厚さ36ミクロン)上に流し込んだ。この溶液を190℃で固形分約90%になるまで乾燥させた。次いで、コーティングされた銅を350℃のオーブン内で1時間硬化させた。最終的なフィルムの厚さは8ミクロン及び12ミクロンであった。フィラー添加量は29体積%であった。
【0044】
次いで、銅上にコーティングした充填材入りポリイミドフィルムを銅箔のシートにラミネートした。銅シートは35ミクロンの厚さであった。ラミネート化は、最大ラミネート温度350℃、減圧下でオートクレーブを使用した。
【0045】
フォトレジストの画像形成と銅のエッチングを使用して、試験するために直径1インチのキャパシタを画像形成させた。画像形成されたキャパシタの電気的試験により、それらが、8ミクロンの厚さの誘電体サンプルに対する誘電耐電圧試験において、直流250Vに合格することが示された。3Vでの誘電体の両端にかかる抵抗は、1010Ω/cmより大きかった。直流100Vでの漏れ電流は、0.1μA/cmより小さかった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の技術分野は、誘電性組成物およびフィルム、ならびに多層プリント回路、フレキシブル回路、半導体パッケージング、埋込型フィルムキャパシタなどの電子回路および部品におけるそれらの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来技術の表面実装技術(SMT)キヤパシタを有するプリント配線板の正面における断面図を描写したものである。
【図2】本発明の一実施形態に基づく埋込型容量デバイスを有するプリント配線板の一部の断面図である。
【図3A】図2で説明した容量デバイスを備えたラミネート構造物の製造方法を説明する。
【図3B】図2で説明した容量デバイスを備えたラミネート構造物の製造方法を説明する。
【図3C】図2で説明した容量デバイスを備えたラミネート構造物の製造方法を説明する。
【図3D】図2で説明した容量デバイスを備えたラミネート構造物の製造方法を説明する。
【符号の説明】
【0048】
25 プリント回路基板
30 ICデバイス
42 はんだパッド
48 はんだ接合
50 表面実装技術(SMT)キャパシタ
52 はんだパッド
58 はんだ接合
59 回路トレース
60 回路トレース
70 回路トレース
80 バイヤホール(スルーホールバイヤ)
200 容量デバイス
201 括弧(})
210 下部電極
211 導電回路トレース
212 第一の金属箔
220 誘電体
222 第一の誘電層
226 第二の誘電層
227 薄い接着層
240 上部電極又は上部極板
242 第二の金属箔
245 導電(回路)トレース
248 ギャップ
250 めっきスルーホールバイヤ
260 導電回路トレース
270 ICデバイス
272 はんだパッド
274 はんだ接合
280 誘電層
282 ラミネート材料(誘電層)
2000 プリント配線板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
常誘電性フィラー及びポリマー材料を含む誘電性組成物であって、50〜150の誘電率を有することを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記常誘電性フィラーは5〜55体積%の量で含まれることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに溶媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記常誘電性フィラーは、TiO、Ta、Hf、Nb、Al、ステアタイト及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記常誘電性フィラーの平均粒度は2ミクロンより小さいことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリマーは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン及びポリイミドから選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
さらに強誘電性フィラーを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記強誘電性フィラーは、一般式ABOのペロブスカイト、結晶性チタン酸バリウム(BT)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛ランタン、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)、ニオブ酸マグネシウム鉛(PMN)、及びチタン酸カルシウム銅、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は、加工されてフィルムに形成されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
二つの導電性電極の間に配置された請求項1に記載の誘電性組成物を含むことを特徴とするキャパシタ。
【請求項11】
請求項10に記載のフィルムを含むことを特徴とするキャパシタ。
【請求項12】
埋込型平面キャパシタを形成する方法であって、
請求項1に記載の誘電性組成物を提供するステップ;
前記請求項1に記載の誘電性組成物を第一の金属層に付け、そのようにして金属面と誘電体面が形成されるステップ;
前記誘電体面に第二の金属層を付けるステップ;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法で形成されたことを特徴とする埋込型平面キャパシタ。
【請求項14】
請求項11に記載のキャパシタを含むことを特徴とするプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【公開番号】特開2006−179925(P2006−179925A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−368190(P2005−368190)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】