説明

密封装置

【課題】相手部材に摺動自在に密接するシールリップを有する密封装置において、前記摺動に伴う低摩擦化を実現することができ、しかもリップ摩耗を抑制することもできる密封装置を提供する。
【解決手段】相手部材に摺動自在に密接するシールリップを有する密封装置において、前記摺動における摩擦力の低減およびリップ摩耗の抑制を同時に実現すべく前記シールリップの摺動面に凹凸を付与するとともに前記シールリップの摺動面に低基油粘度グリースを供給することを特徴とする。凹凸は、1.0〜3.0μmRaの大きさとし、低基油粘度グリースは、40℃での基油動粘度が10〜40mm/sのグリースとするのが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封装置に係り、更に詳しくは、相手部材に摺動自在に密接するシールリップを有する密封装置に関する。本発明の密封装置は例えば、自動車関連の分野において、ベアリンググリースシール等として用いられる。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の軸受ユニットには、外部からの泥水侵入の防止およびベアリンググリースの密封を目的として密封装置(以下、シールとも称する)が使用されている。
【0003】
近年、自動車の燃費向上のための取り組みとして、対象シールにおいても低摩擦化(低トルク化)が求められており、例えば図5に示す従来技術では、リップ摺接面(シールリップ51が摺動自在に密接する相手部材52の表面)53に凹凸(ディンプル)54を付与すること等による対策が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このようにリップ摺接面53に凹凸54を付与すると、ゴム状弾性体製のシールリップ51がこの凹凸54に対して摺動することになるために、シールリップ51の摺動摩耗を促進してしまい、よってシール性の悪化につながる問題がある。
【0005】
また、上記特許文献1を含めて、本発明に対する先行技術文献としては、以下のものがある。
【0006】
しかしながら、これらの文献に記載された発明はいずれも上記したようにリップ摺接面(シールリップが摺動自在に密接する相手部材の表面)に凹凸を付与するものとなっており、よって本発明とは構成を異にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2006/064908A1
【特許文献2】WO03/091573A1
【特許文献3】特開2008−298106号公報
【特許文献4】特表2010−531966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上の点に鑑みて、相手部材に摺動自在に密接するシールリップを有する密封装置において、前記摺動に伴う低摩擦化を実現することができ、しかもリップ摩耗を抑制することもできる密封装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1による密封装置は、相手部材に摺動自在に密接するシールリップを有する密封装置において、前記摺動における摩擦力の低減およびリップ摩耗の抑制を同時に実現すべく前記シールリップの摺動面に凹凸を付与するとともに前記シールリップの摺動面に低基油粘度グリースを供給することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2による密封装置は、上記した請求項1記載の密封装置において、前記相手部材は、筒状部の軸方向一端から径方向外方へ向けてフランジ部を一体成形した半裁断面ほぼL字形のスリンガーであり、前記シールリップは、前記フランジ部の端面に摺動自在に密接する第1シールリップと、前記筒状部の外周面に摺動自在に密接する第2シールリップと、前記第2シールリップの内側で同じく前記筒状部の外周面に摺動自在に密接する第3シールリップと、を備え、前記3つのシールリップの摺動面にそれぞれ前記凹凸が付与されるとともに前記3つのシールリップ間の空間にそれぞれ前記低基油粘度グリースが充填されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3による密封装置は、上記した請求項1または2記載の密封装置において、前記凹凸は、1.0〜3.0μmRaの大きさであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4による密封装置は、上記した請求項1または2記載の密封装置において、前記凹凸は、1.5〜3.0μmRaの大きさであることを特徴とする。
【0013】
更にまた、本発明の請求項5による密封装置は、上記した請求項1、2、3または4記載の密封装置において、前記低基油粘度グリースは、40℃での基油動粘度が10〜40mm/sのグリースであることを特徴とする。
【0014】
上記構成を備える本発明の密封装置においては、シールリップの摺動面に凹凸が付与されるとともに、シールリップの摺動面に低基油粘度グリースが供給される構成とされている。ここに凹凸が付与されるとは、凹凸が予め形成されることを云い、グリースが供給されるとは、その結果としてグリースがリップ摺動作動時に潤滑作用を行なうことを云う。凹凸は、微細な凹凸である。
【0015】
シールリップの摺動面に凹凸が付与されると、シールリップの相手部材に対する接触面積が縮小するとともに凹凸によってグリースが介在しやすくなるために、摩擦力が低減され、しかもグリースとして低基油粘度グリースが供給されるために、摩擦力が一層低減される。また本発明によれば、凹凸はシールリップの摺動面に付与されるものであって相手部材の表面には付与されないため、相手部材の表面は通常の表面粗さを備える平滑面として成形されている。したがってゴム状弾性体製のシールリップが摺動するのが凹凸面ではなく平滑面であるため、シールリップが摺動摩耗しにくいものとなる。
【0016】
尚、ゴム状弾性体製のシールリップに凹凸を付与するには、ショットブラスト加工、放電加工、シボ加工またはレーザ加工等により表面を凹凸処理した金型を用いてシールリップを成形することが望ましく、これによれば、金型の寿命管理を適切に実施することにより、常に安定した成形品を提供することが可能となる。
【0017】
また本発明の密封装置において、シールリップが摺動自在に密接する相手部材としては例えば、筒状部の軸方向一端から径方向外方へ向けてフランジ部を一体成形した半裁断面ほぼL字形のスリンガーである。またシールリップとしては例えば、前記スリンガーのフランジ部の端面に摺動自在に密接する第1シールリップと、筒状部の外周面に摺動自在に密接する第2シールリップと、第2シールリップの内側で同じく筒状部の外周面に摺動自在に密接する第3シールリップとを備えるものである。そしてこれらの場合、前記3つのシールリップの摺動面にそれぞれ凹凸が付与されるとともに第1シールリップおよび第2シールリップ間の空間ならびに第2シールリップおよび第3シールリップ間の空間にそれぞれ低基油粘度グリースが充填されることになる。
【0018】
上記特許文献1に記載された発明において、相手部材の表面に付与される凹凸は、その表面粗さが0.5〜1.5μmRaの範囲で最適とされているが、本発明のように相手部材の表面ではなくシールリップの摺動面に凹凸を付与する場合には、シールリップが弾性変形しやすいものであるために、その表面粗さの大きさを変更する必要がある。このため本願発明者らが鋭意検討した結果として、シールリップの摺動面に付与される凹凸について、シール性を維持しつつ、顕著な摩擦力の低減効果を得るためには、表面粗さは上記の場合よりも大きく、すなわち1.0〜3.0μmRa、より実用面を考慮すれば1.5〜3.0μmRa(10〜20μmRz相当)の範囲とするのが望ましいことが判明した。
【0019】
一方、グリースについては、特に基油動粘度が低いものについては、摺動によってグリースが離散し、摩擦抵抗の増加を引き起こす可能性があるため、40℃での基油動粘度が10mm/sより大きなものを用いることが望ましい。一般的なベアリング用として用いられるグリース(40℃での基油動粘度が60〜100mm/s)でも、リップ部の粗さによる低摩擦化は期待できるが、より顕著な低摩擦効果を得るためには、40℃での基油動粘度が10〜40mm/sのグリースを用いることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0021】
すなわち、本発明の密封装置においては上記したように、シールリップの摺動面に凹凸が付与されるために、シールリップの相手部材に対する接触面積が縮小するとともに凹凸によってグリースが介在しやすくなり、よって摩擦力が低減され、しかもグリースとして低基油粘度グリースが供給されるため、摩擦力が一層低減される。また、凹凸はシールリップの摺動面に付与され相手部材の表面に付与されないため、相手部材の表面は通常の表面粗さを備える平滑面として成形されている。したがってゴム状弾性体製のシールリップが摺動するのが凹凸面でなく平滑面であるため、シールリップが摺動摩耗しにくくなる。したがって本発明所期の目的どおり、相手部材に摺動自在に密接するシールリップを有する密封装置において、摺動に伴う低摩擦化を実現することができ、しかもリップ摩耗を抑制することもできる密封装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例に係る密封装置の要部断面図
【図2】リップ部の表面粗さRaと摩擦力(相対値)の関係を示す表図
【図3】リップ部の凹凸付与と泥水シール時間の関係を示す表図
【図4】リップ部の凹凸付与と低基油粘度グリースによる摩擦力(相対値)の関係を示す表図
【図5】従来例に係る密封装置の要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明には、以下の実施形態が含まれる。
(1)本発明は、図1に示すように、シールのリップ部に凹凸を付与し、低基油粘度グリースが充填されていることを特徴とする。
(2)本発明は、ベアリンググリースシールの低トルク化方法に関わり、スリンガに摺接するシールリップ部表面の粗さをRa=1.0〜3.0μm、より実用面を考慮すれば1.5〜3.0μmに調節とする点に特徴を有する。さらに低基油粘度のグリースを併用することで、トルクは一層低下する。
(3)本発明は、ゴム側の表面粗さを調整する点で、先行技術文献記載の発明とは手法が異なる。ゴムリップ側の表面粗さを大きくすることで低トルク化が達成されるが、これと摺接する金属部材側の表面粗さは通常の仕上げ面であるためリップが摩耗しないという利点がある。また、リップの粗さは金型表面を所定の表面粗さに仕上げることでこれを転写して成形されるので、粗さ品質が一定に確保できる利点もある。尚、相手金属部材との摺接によりゴムリップ表面は大きく弾性変形するので、これまで行なわれてきた金属部材側に形成する表面の粗さとは異なる数値範囲がゴムの場合の最適範囲になる。本発明の実施例から明らかなように、この最適範囲は先行技術文献記載の発明から容易に想到できるものではない。
【実施例】
【0024】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施例に係る密封装置の要部断面を示している。
【0026】
図1の密封装置は、自動車関連分野においてベアリンググリースシールとして用いられるものであって、ベアリング内輪(図示せず)に装着されてベアリング内輪とともに回転するスリンガー11と、ベアリング外輪(図示せず)に装着されてスリンガー11に摺動自在に密接するシールリップ部材21との組み合わせにより構成されている。尚、発明として、ベアリング内輪はこれに代えて回転機器の軸やスリーブなどであっても良く、ベアリング外輪はこれに代えて回転機器のハウジングなどであっても良い。
【0027】
スリンガー11は、金属材よりなり、筒状部11aの軸方向一方の端部に径方向外方へ向けてフランジ部(外向きフランジ部)11bを一体成形することにより半裁断面ほぼL字形に成形されたものであって、筒状部11aの内周面をもってベアリング内輪の外周面に嵌合される。フランジ部11bの外側端面11cには、磁気エンコーダが被着される場合もある。
【0028】
シールリップ部材21は、取付環22と、この取付環22に被着されたゴム状弾性体23との組み合わせにより構成されている。取付環22は、金属材よりなり、筒状部22aの軸方向他方の端部に径方向内方へ向けてフランジ部(内向きフランジ部)22bを一体成形したものであって、筒状部22aの外周面をもってベアリング外輪の内周面に嵌合される。ゴム状弾性体23は、取付環22に被着された被着ゴム部24と、この被着ゴム部24に支持されてスリンガー11のフランジ部11bの内側端面11dに摺動自在に密接する第1シールリップ(サイドリップ)25と、同じく被着ゴム部24に支持されてスリンガー11の筒状部11aの外周面に摺動自在に密接する第2シールリップ(ラジアルリップ)26と、第2シールリップ26の内側(機内側)で同じく被着ゴム部24に支持されてスリンガー11の筒状部11aの外周面に摺動自在に密接する第3シールリップ(グリースリップ)27とを一体に有している。尚、図1では、これらシールリップ25,26,27の自由状態を描いているため、これらシールリップ25,26,27が摺動する相手部材であるスリンガー11はこれを仮想の鎖線で描いている。
【0029】
上記3つのシールリップ25,26,27のうち、第1シールリップ25および第2シールリップ26はそれぞれ、ベアリング外部の泥水等の異物がベアリング内部へ侵入しないようにこれをシールするものであって、その対泥水の機能からして外向きのリップ構造(リップ端がベアリング外部へ向けられた構造)とされ、特に第1シールリップ25はその基端から先端へかけて径寸法が徐々に拡大するように形成されている。また第3シールリップ27は、ベアリング内部のグリースがベアリング外部へ漏洩しないようにこれをシールするものであって、その対グリースの機能からして内向きのリップ構造(リップ端がベアリング内部へ向けられた構造)とされている。
【0030】
上記3つのシールリップ25,26,27の摺動面25a,26a,27aにはそれぞれ、凹凸(図示せず)が付与されている。凹凸としては、1.0〜3.0μmRaの大きさに設定されたものが付与されている。凹凸は微細な形状であって図1に図示できないことから、図1では、この凹凸が付与される領域をそれぞれ実線A、B、Cをもって示している。
【0031】
また、上記3つのシールリップ25,26,27がそれぞれスリンガー11に密接すると、第1シールリップ25および第2シールリップ26間に密閉状の空間31が形成され、第2シールリップ26および第3シールリップ27間にも密閉状の空間32が形成されることになるが、当該密封装置ではその使用時に、これら空間31,32にそれぞれ低基油粘度グリース(図示せず)が充填されるものとされている。低基油粘度グリースとしては特に、40℃での基油動粘度が10〜40mm/sのグリースが用いられる。
【0032】
また、当該密封装置では、スリンガー11の表面に凹凸の類は付与されておらず、すなわちスリンガー11の表面は、通常の表面粗さを備える平滑面として仕上げられている。
【0033】
上記構成の密封装置においては、各シールリップ25,26,27の摺動面25a,26a,27aに凹凸が付与されるとともに、各シールリップ25,26,27間の空間31,32に低基油粘度グリースが充填される結果として各シールリップ25,26,27の摺動面25a,26a,27aに低基油粘度グリースが供給される構成とされている。シールリップ25,26,27の摺動面25a,26a,27aに凹凸が付与されると、シールリップ25,26,27のスリンガー11に対する接触面積が縮小するとともに凹凸によってグリースが介在しやすくなるために、摩擦力を低減させることが可能となり、しかもグリースとして低基油粘度グリースが供給されるために、摩擦力を一層低減させることが可能となる。
【0034】
また、上記構成の密封装置によると、凹凸はシールリップ25,26,27の摺動面25a,26a,27aに付与されスリンガー11の表面に付与されないため、スリンガー11の表面は通常の表面粗さを備える平滑面として仕上げられている。したがってゴム状弾性体製のシールリップ25,26,27が摺動するのが凹凸面でなく平滑面であるため、シールリップ25,26,27が摺動摩耗するのを抑制することが可能となる。
【0035】
したがって以上により、本発明所期の目的どおり、相手部材に摺動自在に密接するシールリップを有する密封装置において、摺動に伴う低摩擦化を実現することができ、しかもリップ摩耗を抑制することもできる密封装置を提供することができる。
【0036】
つぎに、上記各数値の特定について説明する。
【0037】
シールリップへの凹凸付与による摩擦力の低減効果を表1(図2)に示す。一般的なベアリング用グリース(40℃での基油動粘度が65mm/s)をリップ間の空間に封入し、ハウジングにリップ部材を固定した状態で、スリンガーを回転数500rpmで回転させたときの摩擦力を測定した。尚、凹凸を付与していないシールでの摩擦力を100として、相対比較している。結果としては表1に示すとおり、摩擦力は、リップの表面粗さが大きくなるほど低下しており、表面粗さが3.0μmRa(20μmRz相当)よりも大きな範囲では摩擦力の低減効果は同等となっている。リップ面の過大な粗さ付与はシール性の低下につながるため、シール性を維持しつつ、顕著な摩擦力の低減効果を得るためには、リップ部の表面粗さを1.0〜3.0μmRa、より実用面を考慮すれば1.5〜3.0μmRa(10〜20μmRz相当)とすることが望ましい。
【0038】
また、シールリップへの凹凸付与によるシール性(シールの使用環境の点から、特に外部からの泥水侵入に対するシール性)への影響を確認するため、表面粗さ3.0μmRaの凹凸処理を施したシールによる評価を実施した。試験は、シールの軸中心まで泥水(水+関東ローム粉JIS8種)が浸漬した状態で、一般的なベアリング用グリース(40℃での基油動粘度が65mm/s)をリップ間の空間に封入し、スリンガーを1000rpmで回転させ、泥水が侵入するまでの時間で評価した。凹凸を付与していないシールの泥水シール時間を100として、相対比較した結果を表2(図3)に示す。表面粗さ3.0μmRaの凹凸を付与したシールでも、泥水に対するシール性は、凹凸を付与していないシールと同等であり、粗さ3.0μmRa以下であれば、シール性を維持しつつ低摩擦効果を得られるといえる。
【0039】
続いて、シールリップへの凹凸付与と低基油粘度グリース使用による摩擦力の低減効果を表3(図4)に示す。試験条件は表1で示したものと同様であり、40℃での基油動粘度が65mm/sのグリースで凹凸を付与していないシールの摩擦力を100としている。これにより、リップへの凹凸付与に加え、低基油粘度グリースを用いることで、より大幅な摩擦低減効果を見込むことができる。この低摩擦化により、摩擦損失低減による燃費向上、摩耗の抑制によるシール寿命の向上を期待することができる。
【符号の説明】
【0040】
11 スリンガー(相手部材)
11a,22a 筒状部
11b,22b フランジ部
11c,11d 端面
21 シールリップ部材
22 取付環
23 ゴム状弾性体
24 被着ゴム部
25,26,27 シールリップ
25a,26a,27a 摺動面
31,32 空間
A,B,C 凹凸付与領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手部材に摺動自在に密接するシールリップを有する密封装置において、
前記摺動における摩擦力の低減およびリップ摩耗の抑制を同時に実現すべく前記シールリップの摺動面に凹凸を付与するとともに前記シールリップの摺動面に低基油粘度グリースを供給することを特徴とする密封装置。
【請求項2】
請求項1記載の密封装置において、
前記相手部材は、筒状部の軸方向一端から径方向外方へ向けてフランジ部を一体成形した半裁断面ほぼL字形のスリンガーであり、
前記シールリップは、前記フランジ部の端面に摺動自在に密接する第1シールリップと、前記筒状部の外周面に摺動自在に密接する第2シールリップと、前記第2シールリップの内側で同じく前記筒状部の外周面に摺動自在に密接する第3シールリップと、を備え、
前記3つのシールリップの摺動面にそれぞれ前記凹凸が付与されるとともに前記3つのシールリップ間の空間にそれぞれ前記低基油粘度グリースが充填されることを特徴とする密封装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の密封装置において、
前記凹凸は、1.0〜3.0μmRaの大きさであることを特徴とする密封装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の密封装置において、
前記凹凸は、1.5〜3.0μmRaの大きさであることを特徴とする密封装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の密封装置において、
前記低基油粘度グリースは、40℃での基油動粘度が10〜40mm/sのグリースであることを特徴とする密封装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−193835(P2012−193835A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60410(P2011−60410)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】