説明

射出成形機のノズルタッチ制御装置

【課題】射出ユニットの機構部に過大な負荷が加わることがない射出成形機のノズルタッチ制御装置の提供。
【解決手段】速度補償器106は、速度偏差に基づいて比例、積分などの速度ループ制御をおこなってトルク指令(電流指令)を求める。トルク制限値108は、トルク制限指令TlimCMDにより、該速度補償器から入力するトルク指令を制限し、減算器110に出力する。該減算器は、トルク指令(電流指令)から、サーボアンプ114の駆動電流を検出する電流検出器(図示せず)よりフィードバックされる電流フィードバックIfを減算し電流偏差を求める。電流補償器112は、電流偏差を基に該サーボアンプに出力される電圧指令が生成する。該サーボアンプは該電流補償器から入力する電圧指令に基づいてサーボモータ116を駆動制御する。該サーボモータにトルク制限値を超える過大な負荷が発生した場合には該サーボモータが負荷に負けて回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機において、射出シリンダ先端に取り付けられたノズルをサーボモータによって金型へノズルタッチさせ、さらに所定のノズルタッチ力を発生させる制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の射出ユニットの射出シリンダ先端に取り付けられたノズルは、射出成形機本体のベース上に固定されたノズル前後進用のサーボモータの回転運動を、ボールねじ等の伝達機構によって直線運動に変換することで前後進動作を行う。ノズル前進動作ではサーボモータによってノズルを前進させてノズルタッチさせた後も、さらにノズル前後進用モータを動作させ、前記伝達機構と射出ユニット間の弾性部材を圧縮して所定のノズルタッチ力を発生させる。そして、所定のノズルタッチ力が発生すると射出ユニット内のスクリュを前進させ金型内に溶融樹脂を射出する。
【0003】
連続成形運転が行われている間、ノズルタッチ力は金型とノズル部から溶融樹脂が漏れないよう一定に維持されることが望ましい。しかしながら、金型の構造によっては型締め動作が行われる際に、ノズルが後退方向に押し戻され、弾性部材が圧縮されてノズルタッチ力が上昇する場合がある。この際、圧縮量は弾性部材の最大圧縮量以下であれば問題ないが、最大圧縮量を超えてノズル後退方向に押し戻されると、前記射出ユニットの伝達機構やノズル前後進用サーボモータの固定部に過大な負荷が加わり破損する恐れがある。このため過大な負荷が発生しないように、ノズル前後進用のサーボモータを制御する必要がある。
【0004】
特許文献1には、弾性部材の変形量を制御することによって所定のノズルタッチ力が発生する技術が開示されている。
特許文献2には、ノズルタッチ力に対応する位置にサーボモータを位置決めする技術が開示されている。
特許文献3には、設定されたノズルタッチ力に基づいてモータのトルクを制御する技術が開示されている。
特許文献4には、弾性部材の圧縮量が所定量を超えたことが弾性部材の圧縮量を検出するエンコーダによって検出されると、金型からノズルが離れる方向にモータを回転させたり、モータの位置を保持するブレーキを解除する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−351133号公報
【特許文献2】特開平5−200784号公報
【特許文献3】特開昭63−154320号公報
【特許文献4】特開2006−27248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術の欄で説明した特許文献1や特許文献2に開示される技術は、弾性部材の変位量を検出することで、所定のノズルタッチ力を発生させたり、所定のノズルタッチ力で発生した位置でサーボモータの位置決めを行うものである。弾性部材の変形量でノズルタッチ力を制御する方法は、特許文献3のようにモータのトルクで制御する場合に比べて伝達機構の摩擦等の影響を受けないため、所定のノズルタッチ力を正確に発生させることができるという長所がある。しかしながら、これらの従来技術では型締動作によって過大な負荷が射出ユニットに加わることを想定した機構部の保護のための対策について、何ら開示されていなかった。
一方、特許文献4では、弾性部材の変形量を検出してモータを回転させたりブレーキを解除することは開示されているが、負荷を検出して回転動作やブレーキ解除等の過負荷回避動作を行うため、型締め動作のように瞬間的に急激に負荷が増大するような場合では、回避動作が間に合わないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、ノズル前後進用モータにトルク制限値を超える過大な負荷が発生した場合には、モータが負荷に負けて回転するため射出ユニットの機構部に過大な負荷が加わることがない射出成形機のノズルタッチ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明は、金型にノズルタッチするためのノズルを前進させるサーボモータと、前記サーボモータの回転運動を直線運動に変換する伝達機構と、前記伝達機構に接続されノズルタッチ力を発生させるための弾性部材と、あらかじめ設定したノズルタッチ力に対応させて前記弾性部材が圧縮した位置で前記サーボモータを位置決めする位置決め制御部と、前記サーボモータを位置決めしている間、前記設定されたノズルタッチ力より大きく、かつ前記弾性部材の最大圧縮量に対応するノズルタッチ力より小さなトルク制限値で前記サーボモータのトルク制限を行うトルク制限部と、を有することを特徴とする射出成形機のノズルタッチ制御装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、トルク制限値を超える過大な負荷が発生した場合には、モータが負荷に負けて回転するため射出ユニットの機構部に過大な負荷が加わることがない。また、トルク制限手段は、位置・速度・電流などのモータ制御ループの中で内側の電流ループに直接作用するため、瞬間的に過大な負荷が加わった場合でも応答の遅れを最小にできるため確実に機構部を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用する射出成形機のノズルタッチ制御装置を説明するブロック図である。
【図2】ノズルタッチ状態での位置・トルク制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明を適用する射出成形機のノズルタッチ制御装置を説明するブロック図である。射出成形機Mは、機台Mb上に型締部Mcおよび射出部Miを備える。射出部Miは樹脂材料(ペレット)を加熱溶融し、当該溶融樹脂を金型31のキャビティ内に射出するものである。型締部Mcは主に金型31(可動側金型31a,固定側金型31b)の開閉を行うものである。
射出部Miを説明する。射出シリンダ1の先端にはノズル2が取り付けられている。射出シリンダ1内には、スクリュ3が挿通されている。スクリュ3には、スクリュ3に掛る圧力により樹脂圧力を検出するロードセル等を用いた樹脂圧力センサ5が設けられている。樹脂圧力センサ5から出力される樹脂圧力センサ出力信号は、A/D変換器16によりデジタル信号に変換されサーボCPU15に入力する。
【0011】
スクリュ3は、スクリュ回転用サーボモータM2により、プーリ,ベルト等で構成される伝動機構6を介して回転させられる。また、スクリュ3は、スクリュ前後進用サーボモータM1によって、プーリ,ベルト,ボールネジ/ナット機構などの回転運動を直線運動に変換する機構を含む伝動機構7を介して駆動され、スクリュ3の軸方向に移動させられる。なお、符号P1はスクリュ前後進用サーボモータM1の位置,速度を検出することによって、スクリュ3の軸方向の位置,速度を検出する位置・速度検出器であり、符号P2はサーボモータM2の位置,速度を検出することによって、スクリュ3の軸周りの回転位置,速度を検出する位置・速度検出器である。符号4は射出シリンダ1内に樹脂を供給するホッパである。
【0012】
射出成形機Mは、固定側金型31bを取り付けた固定プラテン32にノズル2を圧接(ノズルタッチ)するために、射出部Miを型締部Mc側に前進させるためのノズルタッチ駆動装置を備えている。ノズルタッチ駆動装置は、機台Mbに取り付けられたノズル前後進用サーボモータM3、一端をノズル前後進用サーボモータM3の負荷軸に連結され,他端を固定プラテン32に回転自在に支持されたボールネジ34、該ボールネジ34に螺合されたナット33、射出部Miの射出ユニット39に固定された第1の受圧板36、該ナットに取り付けられた第2の受圧板37、第1の受圧板36と第2の受圧板37の間に挿入されたバネ35、第1の受圧板36と第2の受圧板37の間隔を測定しバネの長さを検出するセンサ38からなる。ノズル前後進用サーボモータM3には位置・速度検出器P3が取り付けられている。位置・速度検出器P3の出力信号はサーボCPU15にフィードバックされ、ノズル前後進用サーボモータM3の制御に用いられる。
【0013】
ノズルタッチ駆動装置は、ノズル前後進用サーボモータM3を回転させボールネジ34を回転させることによって、ナット33を固定プラテン32に対して前後進させる。ナット33の前後進によって第1の受圧板36と第2の受圧板37との間隔を調整し、バネ35の弾性力を調節する。図1に示されるバネ35のような弾性体を収縮させることによりノズル押し付け力を発生させる機構の場合では、弾性体の長さを測定することによりノズル2のノズル押し付け力を検出することができる。弾性体としてはバネの他にゴムを使用することができる。これにより、所望のノズル2の固定側金型31bへのノズル押し付け力(ノズルタッチ力)を発生させることができる。
【0014】
バネ35の長さを検出したセンサ38からの出力信号はインタフェース27を介してノズル2のノズル押し付け力としてRAM22に格納される。センサ38によるノズル2のノズル押し付け力の検出は所定の時間間隔毎(サンプリング間隔毎)に行う。
型締部Mcは、図示しない可動プラテン前後進モータによって可動プラテン30が固定プラテン32方向に前進し型閉じが行われ、可動側金型31aと固定側金型31bが接触した後もさらに可動プラテン30を固定プラテン32方向に前進させて所定の型締力を発生させる。そして、可動プラテン30が後退することによって型開きが行われる。なお、図1において型締部Mcは可動プラテン30、金型31a,31b、固定プラテン32のみを記載している。
【0015】
射出成形機Mの制御装置は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNCCPU20、プログラマブルマシンコントローラ用のマイクロプロセッサであるPMCCPU17、及びサーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU15を有し、バス26を介して相互の入出力を選択することにより各マイクロプロセッサ間で情報伝達が行えるように構成されている。
サーボCPU15には、位置ループ,速度ループ,電流ループの処理を行うサーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM13およびデータの一時記憶に用いられるRAM14が接続されている。また、サーボCPU15は、A/D(アナログ/デジタル)変換器16を介して射出成形機Mに設けられた樹脂圧力センサ5から出力される圧力信号を検出できるように接続されている。
【0016】
サーボCPU15には、サーボCPU15からの指令に基づいて、射出軸に接続された射出用サーボモータM1,スクリュ回転軸に接続されたスクリュ回転用サーボモータM2,ノズル前後進用サーボモータM3を駆動するサーボアンプ11,12,10が接続されている。また、各サーボモータM1,M2,M3に取り付けられた位置・速度検出器P1,P2,P3からの出力信号がサーボCPU15に帰還されるようになっている。各サーボモータM1,M2,M3の回転位置は、位置・速度検出器P1,P2,P3からの位置のフィードバック信号に基づいてサーボCPU15により算出され、各現在位置レジスタに更新記憶される。
【0017】
PMCCPU17には射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶したROM18および演算データの一時記憶等に用いられるRAM19が接続され、CNCCPU20には、射出成形機を全体的に制御する自動運転プログラムなどの各種プログラムを記憶したROM21および演算データの一時記憶に用いられるRAM22が接続されている。
成形データ保存用RAM23は、不揮発性のメモリであって、射出成形作業に関する成形条件と各種設定値,パラメータ,マクロ変数等を記憶する成形データ保存用のメモリである。表示装置/MDI(手動データ入力装置)25はインタフェース(I/F)24を介してバス26に接続され、機能メニューの選択および各種データの入力操作等が行えるようになっている。また、数値データ入力用のテンキーおよび各種のファンクションキー等が設けられている。表示装置/MDIユニット25を用いて予め設定するノズルタッチ力を射出成形機Mに入力することができる。なお、表示装置としては、LCD(液晶表示装置)、CRT、その他の表示装置を用いたものでもよい。
【0018】
以上の射出成形機Mの構成により、PMCCPU17が射出成形機全体のシーケンスを制御し、CNCCPU20がROM21の運転プログラムや成形データ保存用RAM23に格納された成形条件等に基づいて各軸のサーボモータに対して移動指令の分配を行い、サーボCPU15は各軸に対して分配された移動指令と位置・速度検出器P1,P2,P3で検出された位置および速度のフィードバック信号等に基づいて、ディジタルサーボ処理を実行し、サーボモータM1,M2,M3を駆動制御する。
【0019】
上記射出成形機Mを用いた成形動作を説明する。
背景技術の欄で説明したように、連続成形運転が行われている間、ノズルタッチ力(ノズル押し付け力)は金型とノズル部から溶融樹脂が漏れないよう一定に維持されることが望ましい。ところが、金型の構造によっては型締め動作が行われる際に、ノズルが後退方向に押し戻され、弾性部材が圧縮されてノズルタッチ力が上昇する場合がある。この際、圧縮量は弾性部材の最大圧縮量以下であれば問題ないが、最大圧縮量を超えてノズル後退方向に押し戻されると、前記射出ユニットの伝達機構やノズル前後進用サーボモータの固定部に過大な負荷が加わり破損する恐れがある。そこで本発明では過大な負荷が発生しないように、ノズル前後進用サーボモータが制御される。
【0020】
ノズル前進動作では、設定されたノズルタッチ力によってノズル2を固定側金型31bに押しあてるため、サーボCPU15は、インタフェース27を介して取得されるセンサ38の検出信号を基にバネ35の長さを計測し、ノズル2の検出ノズルタッチ力を求め、検出ノズルタッチ力が設定したノズルタッチ力となるようにサーボアンプ10を介してノズル前後進用サーボモータM3を駆動制御する。
より詳細に説明すると、射出ユニット39を前進させ設定されたノズルタッチ力が得られるように、CUNCPU20よりサーボCPU15にノズル前後進用サーボモータM3を所定位置まで移動するための移動指令が所定周期毎に出力される。サーボCPU15は、CNCCPU20から入力した移動指令をさらにサンプリング周期(位置、速度、電流ループ処理周期)の位置指令PCMDに分割し、図2に示される位置・トルク制御を行う。そして、連続成形運転中、検出ノズルタッチ力が設定したノズルタッチ力に維持されるように、位置指令PCMD(図2参照)がサンプリング周期毎にサーボCPU15へ出力される。予め設定されたノズルタッチ力が得られる位置に射出ユニット39が位置決めされると、位置指令PCMDは0の指令となる。サーボCPU15で行われる位置・トルク制御については図を用いて後述する。
【0021】
次に、型閉・型締・型開を説明する。型締部Mcの図示しない可動プラテン前後進モータを正方向に回転させると、ボールねじ軸が正方向に回転させられ、ボールねじ軸に螺合したクロスヘッドが前進させられ、トグル機構が作動させられると、可動プラテン30が固定プラテン32方向へ前進させられる。可動プラテン30に取り付けられた可動側金型31aが固定側金型31bと接触すると(型閉状態)、型締工程に移行する。型締工程では、可動プラテン前後進モータを更に正方向に駆動することで、トグル機構が伸長することによって金型31に型締力が発生する。
【0022】
そして、射出部Miに設けられたスクリュ前後進用サーボモータM1が駆動されてスクリュ3の軸方向に前進することにより、金型31内に形成されたキャビティ空間に溶融樹脂が充填される。計量工程の後、型開きを行う場合、可動プラテン前後進モータを逆方向に駆動すると、ボールねじ軸が逆方向に回転させられる。それに伴って、クロスヘッドが後退し、トグル機構が屈曲する方向に作動し、可動プラテン30が図示しないリアプラテンの方向に後退する。
【0023】
図2は、ノズルタッチ力が発生している状態でのノズル前後進用サーボモータM3の位置・トルク制御を説明する図である。なお、図2ではサーボモータ116はノズル前後進用サーボモータM3に対応し、位置・速度検出器118は位置・速度検出器P3に対応する。
ノズル前後進用モータM3はノズルタッチ力が発生した位置で位置決めされ、位置指令PCMDは、0の指令を出力する。トルク制限指令TlimCMDは、設定されたノズルタッチ力より大きく、弾性部材の最大圧縮量に対応するノズルタッチ力より小さいトルク制限指令である。
【0024】
位置指令PCMDから位置・速度検出器118よりフィードバックされた位置フィードバックIfが減算器100で減算され、減算器100から位置偏差が出力される。減算器100から出力される位置偏差は位置補償器102に入力し、位置補償器102では位置偏差にポジションゲインを乗じて速度指令が求められる(位置ループ制御)。
位置補償器102から出力された速度指令から位置・速度検出器118よりフィードバックされた速度フィードバックVfが減算器104で減算され速度偏差として出力される。減算器104から出力された速度偏差は速度補償器106に入力する。速度補償器106では速度偏差に基づいて、比例、積分などをおこなってトルク指令(電流指令)を求める(速度ループ制御)。
【0025】
速度補償器106から出力されるトルク指令はトルク制限器108に入力する。トルク制限値108は、トルク制限指令TlimCMDにより、速度補償器106から入力するトルク指令を制限し、減算器110に出力する。
トルク制限器108から出力されるトルク指令(電流指令)から、サーボアンプ114の駆動電流を検出する電流検出器(図示せず)よりフィードバックされる電流フィードバックIfが減算器110で減算され、減算器110から電流偏差が電流補償器112に出力される。電流補償器112では、減算器110から入力する電流偏差を基にサーボアンプ114に出力されるPWM信号が生成される(電流ループ制御)。サーボアンプ114は電流補償器112から入力するPWM信号に基づいてサーボモータ116を駆動制御する。
【0026】
電流ループへ出力されるトルク指令はトルク制限指令TlimCMDにより制限されているため、サーボモータ116にトルク制限指令TlimCMDを超える過大な負荷が発生した場合にはサーボモータ116が負荷に負けて回転する。つまり、図1のノズル前後進用サーボモータM3が負荷に負けて回転するため、射出部Miの機構部に過大な負荷が加わることがない。また、トルク制限器108は、位置・速度・電流などのモータ制御ループの中で内側の電流ループに直接作用するため、瞬間的に過大な負荷が加わった場合でも応答の遅れを最小にできるため確実に保護することができる。つまり、ノズル前後進用サーボモータM3は、瞬間的に過大な負荷が加わった場合でも、応答の遅れを最小にできるため、確実に射出部Miの機構部を保護できる。
なお、負荷が加わることによって制御ループ内には位置偏差が溜まり次の動作を行う際の支障になるので、溜まった位置偏差量が所定値を超えた場合には、位置偏差が無くなる方向に位置指令を出力すればよい。
【符号の説明】
【0027】
100 減算器
102 位置補償器
104 減算器
106 速度補償器
108 トルク制限器
110 減算器
112 電流補償器
114 サーボアンプ
116 サーボモータ
118 位置・速度検出器

CMD 位置指令
TlimCMD トルク制限指令
Pf 位置フィードバック
Vf 速度フィードバック
If 電流フィードバック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型にノズルタッチするためのノズルを前進させるサーボモータと、
前記サーボモータの回転運動を直線運動に変換する伝達機構と、
前記伝達機構に接続されノズルタッチ力を発生させるための弾性部材と、
あらかじめ設定したノズルタッチ力に対応させて前記弾性部材が圧縮した位置で前記サーボモータを位置決めする位置決め制御部と、
前記サーボモータを位置決めしている間、前記設定されたノズルタッチ力より大きく、かつ前記弾性部材の最大圧縮量に対応するノズルタッチ力より小さなトルク制限値で前記サーボモータのトルク制限を行うトルク制限部と、
を有することを特徴とする射出成形機のノズルタッチ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−1052(P2013−1052A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137072(P2011−137072)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】