説明

導波路基板および光学装置

【課題】光学素子との位置合わせを容易とした導波路基板を提供する。
【解決手段】光学素子200を装着するための導波路基板102であって、光学素子200は、対向する第1の透過面202および第2の透過面204、ならびに、第1の透過面202および第2の透過面204の間に配置された略平坦な装着面206および装着面206から光学素子200の一部が突出した突出部207を有し、装着面206にて導波路基板102の表面に光学素子200を装着する際に突出部207を収容可能な溝107が形成されている導波路基板102である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2007年5月2日に出願された米国仮出願番号第60/915,677号に基づき優先権を主張しており、この開示内容は、参照することによってあたかも本願に完全に記載されているように全体として組み込まれる。
【0002】
本発明の技術分野は、光学素子に関する。特に、光導波路及び他の光導波路、部品、装置間の自由空間光学伝播を可能にする光学素子が本願明細書において開示される。
【背景技術】
【0003】
平面光導波路は、通信および他の分野用の様々な光学装置に好適に実装される。本明細書の開示および添付の請求の範囲において、用語「平面光導波路」は、略平面基板上に被着またはその他の方法で形成された導波路構造を含むものとする。この種の平面導波路により定義または包含される光路は、2次元または3次元に配置されうる。平面導波路に加えて、平面導波路基板も多くの場合(製造および/または基板上への配置により)、基板上へ光学部品または装置を配置するための位置合わせまたは支持構造、すなわち基板上へ光ファイバおよび/もしくは光ファイバーテーパーを位置づけるためのV溝または他の位置合わせまたは支持構造、あるいは補正器、グレーティング、フィルタあるいは他の光学部品、要素、または装置、あるいは基板上の能動装置への電子アクセスを可能にするための電気的接触または配線、あるいは他の適切な部品を含んでいる。光導波路と他の光導波路、部品、装置間の自由空間光学伝播を可能にする1つ以上の平面光導波路とともに使用される反射または透過光学要素としては、限定されるものではないが、ミラー、ビームスプリッタ、ビーム結合器、フィルタ、レンズ、その他が挙げられ、それらは本願明細書に開示されている。
【0004】
本願明細書において記載されている光導波路(光ファイバおよび平面導波路を含む)の多くは、単一または幾つかの低次光学モードに対応するような寸法および設計パラメータを有している。可視波長および近赤外線波長(例えば、光通信用に一般的に使用される波長)において、生成する光学モードは、横幅で一般的に数マイクロメートル、最大でも約10または15マイクロメートルである。導波路の性質に応じて、導波光学モードは、略円筒状に対称形でもよく、または矩形で横方向の幅と縦方向の幅が異なってもよい。これらの波長およびサイズの光学モードは、支持導波路の端面から出射されて光線として伝播する場合には回折挙動を示し、(常にではないが)一般的に支持導波路の端面から十分に遠いところで実質的に発散する(多くの場合約0.1より大きいNA)。したがって、端部結合された導波路と他の光学部品または装置間において実施上許容できるレベルを上回る程度の光出力伝送を達成するためには、以下の調整が1つ以上必要となる場合がある。すなわち、導波路と他導波路、部品、装置間の自由空間の光路長を、特定の光学アッセンブリにて、実用範囲内で可能な限り小さく維持すること、導波路を超えた光線の回析挙動を緩和するように、導波路もしくは他導波路の末端部分、部品、または装置を調整すること、あるいは、導波路と他の部品、装置間の端部結合を強化するため、自由空間を伝播する光線を再焦点化、再結像化、またはその他の処理を行うように、導波路と他導波路、部品、装置間に1つ以上の付加的な光学素子を挿入することが必要である。
【0005】
導波路を主体とする光学システム、または導波路を主体とする多部品の光学的装置において、多くの場合、導波路中に容易には実装することができない光学機能が付与されることになっており、従ってかかる光学機能は、(反射光学要素で反射された、または透過光学要素を介して透過された)光線として光信号が伝播する光路において配置される反射または透過光学要素によって付与されなければならない。実用上許容できるレベル、若しくはそれ以上で光学システムを介した全体の透過を維持しつつ、このようにして光学機能を実現するため、前段落にて説明したように、光学システムまたは多部品の光学的装置を調整することが一般的に必要となる。
【0006】
本明細書の開示または添付の請求の範囲において、用語「光線」は光信号のいわゆる自由空間伝播を意味するものであり、電磁波の回析挙動により定められ、いかなる種類の屈折率の変化、勾配または導波路様の挙動をおこす構造体によっても実質的に制限されない。この種の自由空間光学伝播は、真空、空気または他のガス状媒体、液状媒体、あるいは固形媒体を介して生じることができる。
対照的に、屈折率の変化、勾配、または導波路として作用する構造体により、少なくとも1つの横寸法において制限または導波される光信号の伝播は、本明細書において「光学モード」または「導波モード」と称することとする。
【0007】
本願の主題は、米国特許番号第7,031,575号、米国特許番号第7,142,772号、米国特許番号第7,366,379号において開示または請求される主題に関連し、これらの開示内容は、参照することによってあたかも本願に完全に記載されているように全体として本願に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許番号第7,031,575号
【特許文献2】米国特許番号第7,142,772号
【特許文献3】米国特許番号第7,366,379号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
光学素子は、対向する第1および第2の透過面とそれらの間にある装着面とを有する1つの略透明材料、位置合わせ指標、ならびに第1または第2の透過面上に光学的被膜を有する。光学素子は、基板の係合位置に装着面を位置合わせした状態で、基板に自立装着されることができる。位置合わせ指標を基板上の対応指標に合わせた状態で、基板上の導波路は第1の透過面よりの反射によって端部結合することができる。基板表面に略平行に伝播し光学素子に第1の透過面を介して入射する光線が、装着面上の光学素子内を光線として伝播し第2の透過面を介して出射するように、第1の透過面、第2の透過面および装着面は、基板表面に対するそれぞれの方向に第1および第2の透過面を位置づけるように構成される。光学素子は、レンズまたは開口を備えることもできる。
【0010】
光学素子および光導波路に関する目的および利点は、図面に示され、また以下の説明および/または請求項において開示される例示的な実施形態を参照することにより、明らかとなりうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、例示的な光学素子が間に設けられた光導波路および光学部品の側面図を概略的に示している。
【図2A】図2Aは、例示的な光学要素が間に設けられた光導波路および光学部品の平面図を概略的に示している。
【図2B】図2Bは、例示的な光学要素が間に設けられた光導波路および光学部品の平面図を概略的に示している。
【図2C】図2Cは、例示的な光学要素が間に設けられた光導波路の平面図を概略的に示している。
【図2D】図2Dは、例示的な光学要素が間に設けられた光導波路の平面図を概略的に示している。
【図3】図3は、単一の基板ウエハからの複数の例示的な光学素子の製作の平面図を概略的に示している。
【図4】図4は、基板からの例示的な光学素子の製作の平面図を概略的に示している。
【図5】図5は、基板からの例示的な光学素子の製作の断面図を概略的に示している。
【図6】図6は、基板からの例示的な光学素子の製作の断面図を概略的に示している。
【図7】図7は、基板からの例示的な光学素子の製作の後方平面図を概略的に示している。
【図8】図8は、基板からの例示的な光学素子の製作の断面図を概略的に示している。
【図9】図9は、基板からの例示的な光学素子の製作の断面図を概略的に示している。
【図10】図10は、単一の基板ウエハからの複数の例示的な光学素子の製作の上面図を概略的に示している。
【図11】図11Aから11Dは、例示的な光学素子の正面図、側面図、後面図および底面図のそれぞれを概略的に示している。
【図12A】図12Aは、例示的な光学素子が間に設けられた光導波路および光学部品の上面図を概略的に示している。
【図12B】図12Bは、例示的な光学素子が間に設けられた光導波路および光学部品の上面図を概略的に示している。
【図13】図13は、単一の基板ウエハからの複数の例示的な光学素子の製作の平面図を概略的に示している。
【図14】図14は、基板からの例示的な光学素子の製作の後方平面図を概略的に示している。
【図15】図15は、基板からの例示的な光学素子の製作の断面図を概略的に示している。
【図16】図16は、基板からの例示的な光学素子の製作の平面図を概略的に示している。
【図17】図17は、基板からの例示的な光学素子の製作の断面図を概略的に示している。
【図18】図18は、基板からの例示的な光学素子の製作の断面図を概略的に示している。
【図19】図19は、単一の基板ウエハからの複数の例示的な光学素子の製作の上面図を概略的に示している。
【図20】図20Aから20Dは、例示的な光学要素の正面図、側面図、後面図および底面図のそれぞれを概略的に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を装着するための導波路基板であって、
前記光学素子は、対向する第1の透過面および第2の透過面、ならびに、前記第1の透過面および前記第2の透過面の間に配置された略平坦な装着面および前記装着面から前記光学素子の一部が突出した突出部を有し、
前記装着面にて導波路基板の表面に光学素子を装着する際に前記突出部を収容可能な溝が形成されている、導波路基板。
【請求項2】
前記光学素子はウエハから得られるものであり、
前記第1の透過面および前記第2の透過面は、各々、ウエハにおいて対向する第1のウエハ表面および第2のウエハ表面により形成されており、
前記装着面は、前記第1のウエハ表面および前記第2のウエハ表面のうちのいずれかに対して空間選択的な材料加工技術によって形成された凹部の側壁により形成されており、
前記突出部は、前記凹部の底壁を含む部分である、請求項1に記載の導波路基板。
【請求項3】
前記凹部が形成されたウエハ表面に対抗する側のウエハ表面において、光線が前記光学素子に入射する部分は、ウエハ表面に形成された溝によって囲まれており、前記凹部と当該溝との間の部分が前記光学素子における前記突出部となる、請求項2に記載の導波路基板。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の導波路基板に前記光学素子が装着された光学装置。

【図20】図20Aおよび20Bは、それぞれ基板からの例示的な光学要素の製作の平面図および断面図である。図20Cおよび20Dは、それぞれ基板からの例示的な光学要素の製作の平面図および断面図である。図20Eおよび20Fは、それぞれ基板からの例示的な光学要素の製作の平面図および断面図である。
【0012】
図に示される様々な構造の相対的比率は、本発明をより明確に示すため変えられることがあることに留意する必要がある。様々な光学装置、光導波路、光ファイバ、光学部品、光学モード、位置合わせ部材または支持部材、溝、その他、ならびにそれらの部分の相対的な寸法は、各々に関して、またそれら自身の相対的比率において変えられることがある。図の多くにおいて、光学素子の横寸法は、明確にするため縦寸法に対して拡大されており、それによって、縦位置に対して横寸法が誇張されたバリエーションが生じる場合がある。
【0013】
図に示された実施例は例示的であり、本明細書の開示または添付の請求の範囲を制限するものとして解釈してはならない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1および図2Aから2Dにおいて、例示的な光学素子200は、基板102に装着されており、1つ以上の光導波路とともに概略的に示されている。光学素子200は、対向する第1の透過面202および第2の透過面204ならびに装着面206を有する1つの略透明材料を有している。装着面206は、光学素子200の下面において、透過面202と204の間に配置され、基板102上の導波路および透過面202によって定められる光学素子200内の光路の下にある。これは、装着面が光学素子内の光路から横方向に変位している先行する光学素子(米国特許番号第7,031,575号、第7,142,772号、および第7,366,379号にて開示)とは対照的である。所望の方向にて適所にある状態を保つため、基板上にスロットまたは突出状の支持構造を必要とする光学素子とは対照的に、光学素子200は、装着面206が基板表面の係合位置106に合わせられた状態にて、自立するように配置される。該光学素子は、第1の透過面202または第2の透過面204に付与される光学機能を有する。記号表示「第1」および「第2」は、説明の便宜の目的にのみ使用されており、もし明確に定められていない場合には機能的な重要性を必ずしも有しているわけではない。第1の透過面202、第2の透過面204および装着面206は、装着面206が基板表面の係合位置106に合わせられた状態で、基板102の表面に対してそれぞれの所望の方向に第1および第2の透過面202および204を位置づけるように配置されている。典型的には、装着面206および基板表面の係合位置106は略平坦であり、また一般的に基板102と平行であるが、これは必ずしも必要ではない。勾配が付けられた、傾斜した、湾曲した、段階状の、またはそれ以外の非平面表面を、代わりに使用することができる。透過面202および204がそれぞれ所望の方向にある状態で、基板表面106に略平行に伝播し、光学素子200に第1の透過面202を介して入射する光線10が、光学素子200中で内部反射しない状態で、光学素子200内を伝播して、第2の透過面204を介して出射する。
【0015】
透過面202または204に、以下に挙げるがこれに限定されない光学機能を、任意の適切な方法により付与することができる。すなわち、(i)一方または両方の透過面上に形成される1以上の光学的被膜、例えば、反射または反射防止光学的被膜、スペクトル選択性フィルタ・コーティング、あるいは2色性光学的被膜、(ii)一方または両方の透過面上に形成される湾曲面、例えば、レンズとして作用する湾曲面、(iii)一方または両方の透過面上に形成され、空間的に変化する表面形状、例えば、フレネルレンズ、(iv)少なくとも1つの透過面における少なくとも1つの空間的に変化する光学特性、例えば、屈折率勾配型レンズ(index-gradient lens)、(v)少なくとも1つの透過面における少なくとも1つの異方性光学特性、例えば、波長板または偏光回転子、あるいは、(vi)少なくとも1つの透過面における少なくとも1つのスペクトル変化光学特性である。本明細書の開示または添付の請求の範囲の範囲内で、一方または両方の透過面202または204において光学機能を付与するように他の調整を使用することができる。
【0016】
光学素子200は、基板102上に形成された光導波路104を伴う基板102に、装着することができる。この基板102は導波路基板と称されることもある。光学素子200は、基板表面の略平坦部106上に装着面206を介して、導波路基板102に装着される。光導波路104の端面から光線10として出射する光信号の一部分は、第1の透過面202を介して光学素子200に入射し、光学素子200内を光線として伝播し、そして第2の透過面204を介して光線として光学素子200から出射するように、光学素子200が位置づけられる。光線10は、その装着面206の真上の光学素子200内を伝播する。(図1、2Aおよび2Bのように)光検出器300は、基板102に装着し、光学素子200内を透過する光線10として伝播するその光信号の一部分を直接受信するように、配置することができる。基板102上に装着するのに適した、例えば、PINフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード(APD)、または特許番号6,992,276および7,148,465(これらの開示内容の各々は、参照することによってあたかも本願に完全に記載されているように全体として本願に組み込まれる)において開示される光検出器等の、任意の光検出器を使用することが可能である。あるいは透過光線10は、(図2Cおよび2Dのように)透過面204を経て、基板102上の導波路301に伝播することができる。
【0017】
透過面204の湾曲部208は、レンズとして作用するように構成され、また配置されることができる。この種のレンズは、光検出器300の活性領域上に達する信号光10を、レンズ208のない光検出器によって受信されたものと比較して、より多くするように作用し(図1、2Aおよび2B)、または、該レンズは、導波路301に達する信号光10を、レンズ無しで導波路に結合されたものと比較して、より多く結合するように作用する。透過面204の湾曲部208の代わりに、透過面204に、フレネルレンズ、屈折率勾配型レンズあるいは他のレンズ状構造またはアダプタを含むレンズを、他の任意の適切な方法により実装することができる。光学素子200の光学的な効率を向上させるため、必要または要求に応じて、反射防止膜を、第2の透過面204またはその部分(存在する場合、レンズ208を含む)に被覆することができる。不必要な光信号を抑制するため、必要または要求に応じて、通過する開口部を有する略不透明被膜205を、開口として作用する第2の透過面上に形成することができる。この種の開口(存在する場合)は、少なくとも一部のレンズ208(存在する場合)を露出させるために配置されることができる。
【0018】
用いられる製造方法に応じて、光学素子200は、装着面206の付近またはそれに隣接して突出部分207を設けることができる。例えば、光学素子がウエハ状態で作成され、その後個々の光学素子がウエハを切断または劈開により分割される際に装着面が形成される場合(更に下記にて説明)には、この種の突出部を設けることができる。光学素子200にこの種の突出部207が存在する場合、突出部207を収容し、装着面206と基板表面の平坦部分106間の接触を可能にするため、対応する溝107を、基板102の平坦部分106の付近またはそれに隣接して形成することができる。
【0019】
図2Aから2Dに概略的に示されるように、他の光導波路108は導波路基板102上に形成されることができる。図2Aおよび2Cにおいて、第2の光導波路108の端面から出射される光信号の一部分は、光学素子200の第1の透過面202で反射し、そしてその端面を介して第1の光導波路104に入射する(すなわち、導波路104および108は、第1の透過面202からの反射によって端部結合する)ように、第2の導波路108が配置される。第2の導波路108からの光信号を第1の導波路104に反射するため、反射光学機能が第1の透過面202に付与される。この種の反射機能は、一般的に反射光学的被膜、例えば金属被膜や多層誘電体被膜によって付与される。多くの場合、反射被膜は、2色性光学的被膜、すなわち、第1の波長範囲を透過させるのと同時に第2の波長範囲を反射する被膜である。上記配置においては、第1の透過面202からの反射と、導波路の端部結合により、導波路104の端面から出射された光信号を導波路108に誘導している(図2Bおよび2D)。
【0020】
第1の透過面202上に2色性光学的被膜があり、レンズが第2の透過面204上に形成され、図2Aまたは2Cに従って配置された状態の光学素子200は、双方向性光学的装置、例えば双方向性送受信装置において使用されることができる。2色性光学的被膜の透過波長範囲内の入射光信号12は、導波路104に沿って伝播し、そして導波路104の端面から光線10として出射される。(光線10として伝播する)該入射信号12は、2色性光学的被膜を介して第1の透過面202を透過し、光学素子200内を伝播し、そして第2の透過面204上のレンズ208から出射する。この透過光線10は、光検出器300または導波路301によって直接受信されることとなり、レンズ208は、光検出器または導波路によって受信される透過光線の割合を増大させるのに役立つことができる。例えばレーザーまたは他の光源からの、2色性光学的被膜の反射波長範囲内の出射光信号14は、第2の光導波路108に沿って伝播し、そして導波路108の端面から光線として出射される。該出射信号14は、2色性光学的被膜を介して第1の透過面202で反射され、導波路104の端面に入射し、そして導波路104に沿って伝播する。図2Cの配置においては、信号12および14の方向(および入射・出射信号としてのそれぞれの役割)は、逆転することもありうる。
【0021】
第1の透過面202上に2色性光学的被膜があり、レンズが第2の透過面204上に形成され、図2Bまたは2Dに従って配置された状態の光学素子200は、デマルチプレクサとして使用されることができる。波長分割多重化光信号部16aおよび16bからなる多重チャネル入射光信号16は、導波路104に沿って伝播し、導波路104の端面から光線10として出射される。(2色性光学的被膜の透過波長範囲内の)第1の光信号部16aは、光線10として伝播し、また2色性光学的被膜により第1の透過面202を介して透過し、光学素子200内を伝播し、そして第2の透過面204上のレンズ208から出射する。(光線10として透過する)第1の光信号部16aは、光検出器300または導波路301によって直接受信され、また、レンズ208は、光検出器または導波路によって受信される透過光線の割合を増大させるのに役立つ。(2色性光学的被膜の反射波長範囲内の)第2の光信号部16bは、導波路104の端面から光線として出射され、また2色性光学的被膜により第1の透過面202で反射され、導波路108の端面に入射し、そして導波路108に沿って伝播する。図2Dの配置においては、その結果の配置がマルチプレクサとして機能して、信号16aおよび16bの方向が逆転することもありうる。
【0022】
一方または両方の透過面202,204において、光線を透過させるための開口部を設けた略不透明の層または被膜を付与することができる。この種の不透明被膜中の開口部は、透過面を出射する迷光の量を減らすことにより、開口または粗い空間フィルタとして役立つことができる。例えば、上記の双方向性装置において、表面202で反射される出射光信号の一部分は、反射被膜を透過し、光学素子200に入射する可能性がありうる。この種のリーク信号は、入射信号が検出される際の好ましくないバックグラウンド信号の典型である。開口部または開口が最適に配置された状態の表面204上の略不透明被膜205は、少なくとも一部のリーク信号を阻止しつつ、表面204に到達した入射光信号を選択的に透過させることができる。表面204上にレンズ208を含む光学素子200において、少なくともレンズ208の部分が不透明被膜を介して開口部により露出するように、不透明被膜205中に開口部が位置づけられる。適切な被膜としては、限定されるものではないが、様々な反射性、散乱性、または吸収性の金属または誘電体被膜が挙げられ、任意の適切な被膜材料または形態を使用することができる。吸収性被膜が使用される場合、それは反射または散乱を抑制するように適応させることもできる。適切な吸収性および反射抑制被膜のいくつかの例は、米国特許公開番号US 2006/0251849 A1において開示されており、そしてこの開示内容は、参照することによってあたかも本願に完全に記載されているように全体として本願に組み込まれるものとする。それらの実施例は概して、入射光信号の反射を抑制して吸収するよう配置された金属および誘電体層を含んでいる。
【0023】
基板102上の光学素子200の適当な位置決めを容易にするために、光学素子は、1つ以上の位置合わせ指標を備えることができる。この種の指標は概して、一方または両方の透過面202,204と関連して、または一方の透過面に設けられたレンズ208または他の機能と関連して、光学素子200に配置される。この種の位置合わせ指標は概して、光学的装置のアッセンブルの時に、基板102に設けられた係合指標または機能に対して、(人、被補助者、またはマシンビジョンによって)視覚的に合わせされる。適切な位置合わせ指標としての一例は、光学素子200上の金属層の露出端210である。この種の金属層は、光学素子の製造工程中(あるいはより一般的には、単一の基板ウエハ上の複数の光学素子200の同時製作の間に;更に下記にて説明)に堆積させることができ、その後該層の端は、製造工程後半において、例えば、ウエハから個々の光学素子を分離する(「個別化」とも称される)間に、露出させることができる。一般的な空間選択的な材料加工(例えば、エッチングまたはリソグラフィ)の固有の精度と同等の精度で、透過および配置表面として位置合わせ指標が配置される。
【0024】
位置合わせ指標の代わりに、またはそれに加えて、機械的位置合わせ構造を、光学素子200の上に形成し、そして基板表面上の係合位置合わせ構造に係合するように配置することができる。例えば、位置合わせ縁部、突起、表面または他の構造を、光学素子上に形成することができ、基板102に形成された係合位置合わせ縁部、突起、表面または他の構造に対して位置づけることができる。
【0025】
光学素子200は、任意の所望の波長範囲において十分に透明な任意の材料から製造することができる。光通信への適用のため、可視から近赤外線(最高約1.7マイクロメートル)の範囲の波長が使用される。適切な材料として、限定されるものではないが、誘電体材料または半導体材料が挙げられる。使用される材料は、アモルファス、あるいは結晶性材料であってもよい。結晶性材料である場合、透過面202,204または装着面206は、結晶性材料のそれぞれの結晶面と略平行となるように光学素子200を製造する上で、有利となりうる。場合によっては、これによって、表面を形成するように、劈開または異方性ウェット・エッチングを使用することができる。結晶面の使用はまた、光学素子の透過および装着面の相対配向の精度または正確さを増大させることができる。
【0026】
光学素子200を形成するために、任意の適切な製作技術を使用することができる。空間選択的な材料加工技術、例えば、エッチングまたはリソグラフィを使用している一般のウエハ上に、同時に多数の光学素子を製造することは、有利となりうる。
【0027】
複数の光学素子を形成する例示的な方法は、図3から10に概略的に示されている。ウエハ400は一般的に、結晶性半導体材料の結晶面と平行となる平行な第1および第2の表面400aおよび400bを有する単一の結晶性半導体ウエハを備えている。記号表示「第1」および「第2」は、説明の便宜の目的にのみ使用されており、もし明確に定められていない場合には機能的な重要性を必ずしも有しているわけではない。当該方法は、(順不同で)(i)複数の位置合わせ機能を有する部分を定めるためにウエハの第1の表面を空間選択的に加工すること、(ii)複数のレンズおよび複数の装着面を定めるためにウエハの第2の表面を空間選択的に加工すること、(iii)第1のウエハ表面上に光学的被膜を形成すること、および(iv)ウエハを個々の光学素子に分割する(すなわち、単一化する)ことを含んでいる。これら諸工程の各々の具体的な実施例の詳細は、後述される。この例示的な製作工程においては、光学的被膜および位置合わせ指標は、ウエハの第1表面上に形成され、またレンズおよび装着面は、ウエハの第2表面上に形成される。(それらの各々の透過面の間の)光学素子の長さが、(処理工程のいずれかで減少された)ウエハの厚み、例えばシリコンウエハとして一般的に数百マイクロメートルにほぼ等しい状態で、ウエハ表面は、最終的に形成される光学素子の透過面に対応することになる。任意の適切なウエハ材料または厚みは、必要または要求に応じて使用されることができる。
【0028】
図3(第1のウエハ表面400aの平面図)は、ウエハ400の第1の表面400aでエッチングされた複数の凹部領域414の位置を概略的に示している。該凹部領域は、一般的にマスクされたエッチング工程によって形成されるが、任意の適切な空間選択的な材料加工技術によっても形成されることができる。エッチングされた凹部領域414の底面または側面(すなわち、端)は、位置合わせ機能を有する部分の最終的な位置を定める(この実施例では位置合わせ指標;あるいは、位置合わせ縁部または表面あるいは他の構造を使用することができる)。複数の溝422も、示されるように、ウエハ400の第1の表面400aにエッチングされており、また各々は、(更に後述するように)最終的に対応する光学素子の第1の透過面になる領域を囲っている。図4および5(それぞれウエハ400の平面図および断面図)は、凹部領域414の底部および端部を覆うように、ウエハ表面400aに空間選択的に堆積した金属被膜412を概略的に示している。金属層412は、直接半導体上に堆積させる、またはウエハ表面400a上に堆積、成長、または形成された酸化物または他の誘電体層411上に堆積させることができる。金属層412またはそれに引き続いて堆積される層は、介在している誘電体層の存在に関わらず、いまだウエハ表面400a「上」にあると見なされうる。金属層412の空間選択的な堆積は、金属層へのマスクされた堆積によって、または非選択的な堆積後の金属層の空間選択的な除去によって(例えば、「リフトオフ」工程を介して)達成することができる。金属層412の端は、次の製作工程にて露出され、そして、このようにして露出した端は、エッチングされた凹部414の底部または端部によって定められる位置を有する可視位置合わせ指標を備えることになる。
【0029】
限定されるものではないが上述したものを含む光学機能を、任意の適切な方法にて第1のウエハ表面400aに付与することができる。図6は、溝422の底部および端部を含むウエハ表面400aに堆積した光学的被膜424を概略的に示している。堆積される光学的被膜は、任意の必要、要求、または適切とされる種類からなることができ、これは限定されるものではないが、反射防止被膜、高反射または部分反射被膜、2色性光学的被膜、あるいはスペクトル選択的フィルタ・コーティングなどが挙げられる。一般的に溝422の底部にある堆積被膜の継ぎ目は、(ダイサー切断、劈開、または他の適当手段によって;更に下記に記載される)ウエハ400が個々の光学素子に分割されるときに概して発生する被膜のクラックを制限するのに役立つ。被膜内に広がるクラックは、一般的に溝422の継ぎ目で終結し、対応する溝422によって囲まれる被膜424のそれらの部分上の被膜を実質的にそのままの状態にすることになる。
【0030】
光学素子を互いに分割する際の光学的被膜のクラックを制限するため、ウエハ600の表面600aに形成される不連続面として(完成した光学素子内に光信号を透過させることを目的とする)囲まれた透過領域624を残りのウエハ表面600aから分離するような、任意の適切な配置を使用することができる(図21Aから21F)。図21Aおよび21Bにおいて示されるように、溝622は、(図3〜20に示される例示的な配置と同様に)光信号を透過させることを目的として領域624を囲んでおり、また残りのウエハ表面600aから領域624を分離している。図21Cおよび21Dにおいて、領域624は、周囲のウエハ領域600aから突出している凸部を備えている。図21Eおよび21Fにおいて、領域624は、周囲のウエハ領域600aに対して凹部となっている。これらの全ての実施例において、溝、凸部または凹部領域の端において一般的に現れる継ぎ目は、光学素子が互いに分割されるときに生じうる堆積した光学的被膜にクラックが広がることを制限するのに役立っている。しかしながら、この種の特徴が欠如している光学素子(すなわち、光信号を透過させることを目的とする領域が、周囲のウエハ表面に隣接している場合)も、本明細書の開示または添付の請求の範囲内にあるものとする。
【0031】
図7(第2のウエハ表面400bの図)および図8(ウエハ断面図)は、ウエハ400の第2の表面400bを加工したことによる、複数の装着面406および複数のレンズ408の形成を概略的に示している。装着面406およびレンズ408は、エッチングされた溝422(存在する場合)およびエッチングされた凹部414に対して適切に位置づけられている。装着面406は、ウエハ表面400bの溝または凹部を形成するための任意の適切な空間選択的な材料加工技術によって形成することができ、また一般的にこの種の溝または凹部の略平坦な側壁を備えている。例えば、結果として生じる装着面406がウエハ400の結晶面と平行となるように、マスクされた異方性ウェット・エッチング処理を使用することができる。他の例では、基板表面400bに対して所望の角度で装着面406を形成するために、任意の適切な種類のビームエッチング(例えば、イオンビーム・エッチング)を使用することができる。装着面406は多くの場合、基板表面400bに対して略垂直に方向づけられているが(結果として、完成した光学素子の装着面に対して透過面が略垂直になる)、異なる相対配向が必要または要求される場合には、このようにする必要はない。レンズ408を形成する第2のウエハ表面400bの湾曲部は、任意の適切な方法によって形成することができ、これは限定されるものではないが、第2のウエハ表面400b上への空間選択的な堆積およびこれに続く材料のリフロー、リフロー有りまたは無しのグレイスケール・リソグラフィ方法、リフロー有りまたは無しの多段階または多層リソグラフィ・エッチング工程、または、その後に等方性エッチングまたは他の平滑化工程が続く平坦な凸部を形成するエッチング工程などが挙げられる。一例においては、レンズ様形状を形成するために、堆積フォトレジストの囲まれた場所をリフローすることができる。続くウエハのその領域のドライエッチングは、リフローされたフォトレジストの表面形状をエッチングされたウエハ表面に移す。他の任意の適切な方法も、使用することができる。レンズ408は、第2の基板表面400bの、平坦部、凹部、または凸部に形成することができる。(図15のように)ウエハ表面の凹部内に凸面レンズ面を形成することは、続くウエハまたは完成した光学素子を処理するまたは取り扱う間に、レンズ面を保護するのに役立つことができる。
【0032】
(上述した)金属被膜または他の略不透明被膜430は、第2の基板表面400bに堆積されることができる(図9)。開口部は、少なくとも部分的にレンズ408を露出した状態のままにする不透明被膜430内に形成される。開口部は、不透明被膜430の堆積の前にレンズを空間選択的にマスクすることによって、またはその堆積の後にレンズ408から不透明被膜430の部分を空間選択的に除去することによって、形成することができる。上述したように、不透明被膜430は、完成した光学素子内を透過する迷光の量を減少させるのに役立つ。金属不透明被膜が使用される場合、例えば、導波路基板の金属部材上にはんだ付けまたは取り付けを行うことにより、導波路基板上への光学素子の装着を容易にするため、金属不透明被膜を装着面406上に広げることができる。1つの実施例においては、不透明被膜430は、吸収および反射抑制のために設計されたチタンまたはクロミウム層を含むシリコン層であってもよく(以前に含まれた特許公開番号US 2006/0251849 A1にて開示)、更に金層によってこれらの各層を覆うことにより、光学素子をハンダ付けするのを容易にすることができる。不透明被膜は、表面400bおよび406上で略均一となることができ、あるいは、それらの表面またはその異なる領域の中で変化させることができる。例えば、略等方的な堆積工程においては、表面400bおよび406上に略均一の層を形成することができる。対照的に、異方的な堆積工程では一般的に、表面400bと406の間で被膜の厚さまたは形態が異なることになる。異方的な堆積工程が使用され、傾斜した基板に堆積された場合、ウエハのある領域は陰になり、したがってコーティングされていない状態のままになることもありうる(例えば、表面406の反対側の溝の壁部)。不透明被膜430におけるこれらのバリエーションのいずれも、本明細書の開示または添付の請求の範囲内にあるものとする。
【0033】
第1および第2のウエハ表面を処理した後に、ウエハ400は、個々の光学素子401に分割され(すなわち、単一化される;例えば、図10のようなダイサー切断490によって)、各々は、コーティングされた透過面領域424、装着面406、レンズ408および位置合わせ指標410を有している(図11Aから11D)。個々の光学素子401は、これに限定されるものではないが、(ダイサー、レーザーまたは他の切断工具を使用して)ウエハを劈開、切断することを含む任意の適切な方法によって分離される(すなわち、単一化される)ことができる。凹部領域414は、1つの光学素子を他の光学素子から分離させる切断部490(または劈開面)と交差するように配置され、これにより、先に堆積した金属層412の端を露出させることになる。その露出した端は、導波路基板または他の基板表面上の光学素子の適当な位置決めを容易にするための位置合わせ指標410を、光学素子401上に形成することになる。個々の光学素子を切り離すための任意の技法が使用され、突出部または突起407は、一般的に装着面406に隣接した状態のままになる。突起407が存在することにより、平坦な装着面、例えば導波路基板上への光学素子401の適切な位置決めを阻害することになるところであるが、溝、スロットまたはポケットは、一般的に、突起407を収容して装着面406と略平坦な基板とが適当に係合できるように、導波路基板上のその平坦な装着部に隣接して形成される。
【0034】
光学素子501の他の例示的な実施形態は、図12Aから12Bに示されており、また、複数のこの種の光学素子を形成するための例示的な方法は、図13から19に概略的に示されている。図12Aおよび12Bの例示的な配置は、図2A(双方向性)および図2B(デマルチプレクサ)の配置に類似しており、また光検出器300を含んでいる。付加的な導波路(図示せず)を含む図2Cおよび2Dに類似した配置もまた使用することができる。ウエハ500は、一般的に、結晶性半導体材料の結晶面と平行する、平行な第1および第2の表面500aおよび500bを有する単一の結晶性半導体ウエハを含んでいる。記号表示「第1」および「第2」は、説明の便宜の目的にのみ使用されており、もし明確に定められていない場合には機能的な重要性を必ずしも有しているわけではない。当該方法は、(順不同で)(i)複数の位置合わせ機能を有する部分および複数のレンズを定めるためにウエハの第1の表面を空間選択的に加工すること、(ii)複数の装着面を定めるためにウエハの第1の表面を空間選択的に加工すること、(iii)光学的被膜を第2のウエハ表面上に形成すること、ならびに、(iv)ウエハを個々の光学素子に分割することを含んでいる。この例示的な製作工程において、レンズ、位置合わせ指標および装着面は、ウエハの第1表面上に形成され、そして、光学的被膜は、ウエハの第2表面上に形成される。これらウエハ表面は光学素子の透過面に相当し、(それらのそれぞれの透過面の間の)光学素子の長さが、例えばシリコンウエハに対して、(いずれかの処理工程までに減少されて)一般的に数百マイクロメートルのウエハ厚にほぼ等しい状態になるように最終的に形成される。任意の適切な厚さのウエハ材料が、必要または要求に応じて使用されることができる。
【0035】
図13(ウエハ表面500aの平面図)は、ウエハ500の表面500aにエッチングされる複数の凹部領域514の位置、およびウエハ500の表層500aの上に形成される複数のレンズ508の位置を概略的に示している。凹部領域514は、一般的にマスクされたエッチング工程によって形成されるが、任意の適切な空間選択的な材料加工技術によっても形成されることができる。エッチングされた凹部領域514の底面または側面(すなわち、端)は、位置合わせ機能を有する部分の最終的な位置を定める(本例では位置合わせ端;代わりに、位置合わせ指標または表面または他の構造を使用するこができる)。上述したレンズを含むレンズ508は、任意の適切な方法によって形成されることができる。
【0036】
図14(第2のウエハ表面500bの図)および図15(ウエハ断面)は、(任意の所望のまたは適切な種類の)溝522によって囲まれ、光学的被膜524によって被覆されている複数の領域の形成を概略的に示している。溝522は、反対側のウエハ表面500a上に形成される領域514およびレンズ508に対して適切に位置づけられている。光学的被膜524は、ウエハ表面500b上の所望の光学機能を付与する任意の適切な種類(例えば、反射、反射防止、スペクトル選択的、または2色性)でありえる。上述したように、溝522は、被膜524にクラックが生じるのを制限するのに役立ち、図21A〜21Fにおける他の配置を使用することができる。図16および17において示されるように、溝は、装着面506を形成する表層500aに、レンズ508および凹部領域514に対して適切に位置づけて、(上述した、ドライまたはウェット・エッチングまたは他の適切な空間選択的な材料加工によって)形成することができる。例えば、結果として生じる装着面506がウエハ500の結晶面と平行となるように、マスクされた異方性ウェット・エッチング工程を使用することができる。他の例においては、任意の適切な種類のビームエッチング(例えば、イオンビーム・エッチング)も、基板表面500aに対して所望の角度で装着面506を形成するために使用することができる。装着面506は多くの場合、(完成した光学素子の装着面に対して略垂直な透過面となるよう)基板表面500aに対して略垂直に方向づけられるが、異なる相対配向が必要または要求される場合には、このようにする必要はない。
【0037】
図18(ウエハ500の断面図)は、略不透明被膜530が、凹部領域514の底部および端部ならびに装着面506を覆うように、空間選択的にウエハ表面500aに堆積していることを概略的に示している。被膜530は、直接半導体上に堆積される、または、ウエハ表面500a上に堆積、成長、または形成された酸化物層または他の誘電体層上に堆積され、また、上述した任意の適切な被膜を含むことができる。上述したように、少なくとも部分的にレンズ508を露出した状態に維持した被膜530においては、開口部が形成される。上述したように、被膜530は、完成した光学素子内を透過する迷光の量を減少させるのに役立つことができる。例えば、導波路上の金属部材または被膜上にはんだ付けまたは取り付けを行うことにより、導波路基板上へ光学素子を装着するのを容易にするため、被膜530の部分は装着面506を被っている。金属層530の端は、エッチングされた凹部514の底部または端部にて規定される位置を有し、可視的な位置合わせ指標510として作用する。
【0038】
第1および第2のウエハ表面を処理した後に、ウエハ500は、個々の光学素子501に分割され(すなわち、単一化され;例えば、図19のようなダイサー切断590によって)、各々は、透過表面領域524、装着面506、レンズ508および位置合わせ指標510を有する(図20Aから20D)。個々の光学素子501は、これに限定されるものではないが、(ダイサー、レーザーまたは他の切断工具を使用して)ウエハを劈開、切断することを含む任意の適切な方法によっても切り離す(すなわち、単一化する)ことができる。凹部領域514は、1つの光学素子を他の光学素子から分離させる切断部590(または劈開面)に交差するように配置され、これにより、先に堆積した金属層530の端を露出させることになる。露出した端部は、導波路基板または他の基板表面上の光学素子の適切な位置決めを容易にするために、光学素子501上に位置合わせ端510を形成する。上述したように、個々の光学素子を切り離すために使用される任意の方法によって、突出部または突起507は、一般的に装着面506に隣接して残される。突起507が存在することにより、平坦な装着面上、例えば導波路基板上への光学素子501の適切な位置決めを阻害することとなるところであるが、溝、スロットまたはポケットは、突起507を収容し、装着面506の略平坦な基板との適当な係合をさせるように、一般的にその平坦な取付け部分に隣接して、導波路基板の上に形成される。
【0039】
図3から10または図13から19の方法によって形成されるそれぞれの実施例は、被膜表面424/524またはレンズ408/508に対する、位置合わせ機能を有する部分410または510の配置において異なる。位置合わせ機能を有する部分410は、光学的被膜424を有する透過面と同じ側の光学素子401上にあり、また、装着面406およびレンズ408と反対側の要素410上にある。位置合わせ機能を有する部分510は、装着面506およびレンズ508と同じ側の光学素子501にあり、また、光学的被膜524を有する透過面とは反対側の要素510にある。ある状況においてそれらの配置うちいずれが好ましいかは、製作の容易さまたは費用、完成した光学素子の位置合わせ機能を有する部分の可視性、レンズに対する被膜表面の導波路基板上への配置の要求精度などを含む、様々な要因によって決定されうる。ウエハの同一面上に形成される構造物の相対的な配置は、ウエハの厚みに影響されない。導波路に対する被膜表面の配置がより厳しい精度を有する例においては、利用可能、実行可能、あるいは充分に容易にまたは経済的に製造可能である場合(同等の全ての他の要因の場合)、光学要素410を配置することが好ましいこととなる。導波路に対するレンズの配置がより厳しい精度を有する例においては、(同等の全ての他の要因の場合において)光学要素510を配置することが好ましいことになる。
【0040】
図3から10または13から19の例示的な方法における諸工程の特定の順番は、変えることができ、そして、異なる順番で実行されるそれら諸工程を有する方法は、本明細書の開示または添付の請求の範囲内にあるものとする。
【0041】
両方の例示的な方法(図3から10、図13から19)は、単一の製作手順の間に、単一のウエハ上にある複数の光学素子を同時にウエハ規模で製造することを可能にする。ウエハおよび完成した光学素子の相対寸法に応じて、何百、何千または何万もの光学素子を、同時に製造することができる。複数の光学素子のウエハ規模でのコーティングにより、かなりの経済的利益を実現することができる。それらが互いから分離される前に、ウエハ―スケール・テストまたはキャラクタリゼーションが、(例えば、図9および10の間に、または図18および19の間に)光学素子において実行することもできる。
【0042】
開示された例示的な実施形態および方法の同等物は、本明細書の開示および/または添付の請求の範囲内にあるものとする。開示された例示的な実施形態および方法ならびにそれらの同等物は、本明細書の開示または添付の請求の範囲の範囲内に留まりつつ、改変されることができるものとする。
【0043】
本明細書の開示または添付の請求の範囲において、接続詞「または/あるいは(or)」は、包括的に解釈されるものとする(例えば、「イヌまたはネコ」は、「イヌまたはネコ、あるいは両方とも」と解釈される;例えば、「イヌ、ネコまたはマウス」は、「イヌ、またはネコ、またはマウスあるいは任意の2つまたは全ての3つ」と解釈される)。そうでない場合は、(i)それは、「・・・のうちのいずれか」、「・・・のうちの1つのみ」、または類似の語法を用いて明確に述べられ、あるいは、(ii)記載された選択肢のうちの2つ以上は、「または/あるいは(or)」が非排他的な選択肢を含むそれらの組合せのみを包含している特定の文脈のなかでは、排他的である。本明細書の開示または添付の請求の範囲において、用語の「備える/含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」は、句の「少なくとも(at least)」がその各例の後に追加されるのと同じ意味を有する、制限の無い用語として解釈されるものとする。



【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−84005(P2013−84005A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−454(P2013−454)
【出願日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【分割の表示】特願2010−506699(P2010−506699)の分割
【原出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(592228756)ホーヤ コーポレイション ユーエスエイ (12)
【氏名又は名称原語表記】HOYA CORPORATION USA
【Fターム(参考)】