説明

導電性ゴムローラーの製造方法および電子写真装置用ローラー

【課題】発泡ゴム層のセル分布が均一で且つ、硬度、抵抗ムラの無い導電性ゴムローラーの製造方法およびこの方法で製造した導電性ゴムローラーを基層部材とする電子写真装置用ローラーを提供する。
【解決手段】導電性芯材上に発泡ゴム層を有する導電性ゴムローラーの製造方法において、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムまたはその混合物と、アゾジカルボンアミドを含むゴム組成物からゴム組成物チューブを成形する工程、および、昇温加熱手段により1.5分以上2.5分以下の時間に100℃以上250℃以下の温度に昇温し、この間のガス発生量が2.0〜20.0ml/gとなるように加熱昇温して該ゴム組成物チューブを発泡・加硫して発泡ゴムチューブを形成する工程を含むことを特徴とする導電性ゴムローラーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真複写装置、プリンター、静電記録装置等の画像形成装置において使用される導電性ゴムローラーの製造方法に関し、更には感光体(感光ドラム)等の像担持体に電子写真プロセス、静電記録プロセス等の作像手段で形成担持させたトナー像による可転写画像を紙等の被転写材に転写させる画像形成装置に搭載される転写ローラー等の電子写真装置用ローラーに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンターなど、電子写真方式の画像形成装置の多くに帯電ローラー、転写ローラー、現像ローラー等の導電性ゴムローラーが用いられている。従来これらの導電性ゴムローラーの製造方法としては、高圧蒸気による加硫缶により加硫する方法(例えば、特許文献1参照)、円筒金型等による金型加硫(例えば、特許文献3参照)、マイクロ波照射によるUHF加硫(例えば、特許文献2参照)が挙げられる。これらの方法は、例えば加硫缶により加硫する方法は、得られるローラの発泡体のセルが不均一で所望のセルを表面に出す為に多量の研磨を行わなくてはならず、金型加硫による加硫方法は、段取りに時間が掛かり且つ、金型洗浄を行う必要がある為、量を数多く作るのには不向きであった。またUHF加硫による方法は、段取りが良く、セルも均一となるが、ゴムが軟化した時にチューブが潰れ、チューブ内外径の縦横比が不均一となってしまう。更にこのチューブの不均一性が周方向の硬度、抵抗ムラの原因となっていた。
一方、複写機、プリンターに使用される導電性ゴムローラーでは発泡ゴム層のセルが均一で、周方向の硬度、抵抗ムラが無いことが要求され、このような導電性ゴムローラーの製造方法においては、製造工程における段取り性や生産性の良い製造方法が求められている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−114978号公報
【特許文献2】特開平11−201140号公報
【特許文献3】特開2002−221859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明は、転写ローラー、帯電ローラーまたは現像ローラー等の電子写真装置用の導電性ゴムローラーに関して、ゴム組成物チューブを短時間の加熱昇温で、加硫し、発泡させて内外径の縦横比が小さく、セル分布が均一な発泡ゴムチューブを形成する工程を含む、発泡ゴム層のセル分布が均一でかつ、硬度ムラ、抵抗ムラの無い導電性ゴムローラーの製造方法および電子写真装置用ローラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決した、本発明の導電性ゴムローラの製造方法は、導電性芯材上に発泡ゴム層を有する導電性ゴムローラーの製造方法において、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、またはその混合物と、アゾジカルボンアミドを含むゴム組成物からゴム組成物チューブを形成する工程、および、昇温加熱手段により1.5分以上2.5分以下の時間に100℃以上250℃以下の温度に昇温し、この間のガス発生量が2.0〜20.0ml/gとなるように加熱昇温して該ゴム組成物チューブを発泡・加硫して発泡ゴムチューブを形成する工程を含むことを特徴とする。
また、上記問題を解決した本発明の電子写真装置用ローラーは、上記本発明の導電性ゴムローラの製造方法により製造した導電性ゴムローラーを基層部材として用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上に示したように、導電性芯材上に発泡ゴム層を有する導電性ゴムローラーの製造方法において、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、またはその混合物と、アゾジカルボンアミドを含むゴム組成物からゴム組成物チューブを形成する工程、および、マイクロ波照射等による昇温加熱手段により1.5分以上2.5分以下の時間に100℃以上250℃以下の温度に昇温し、この間のガス発生量が2.0〜20.0ml/gとなるように加熱昇温して該ゴム組成物チューブを発泡・加硫して内外径の縦横比が小さく、セル分布が均一な発泡ゴムチューブを形成する工程を含むことで、硬度ムラ、抵抗ムラの無い導電性ゴムローラーを提供することが可能となる。
また、上記導電性ゴムローラーを基層部材として用いて製造したローラは電子写真装置用ローラーとして、特に転写ローラーとして、好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、導電性芯材上に発泡ゴム層を有する導電性ゴムローラーの製造方法において、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、またはその混合物と、アゾジカルボンアミドを含むゴム組成物からゴム組成物チューブを成形する工程、および、昇温加熱手段により1.5分以上2.5分以下の時間で100℃以上250℃以下の温度に昇温し、この間のガス発生量が2.0〜20.0ml/gとなるように加熱昇温して該ゴム組成物チューブを発泡・加硫して発泡ゴムチューブを形成する工程を含むことことを特徴とする導電性ゴムローラーの製造方法である。
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施形態の導電性ゴムローラーの見取図を示す。
本発明の導電性ゴムローラーは、導電性芯材61上に発泡ゴム層62を有する。導電性芯材61としては、鉄、銅、ステンレス等の金属材料の丸棒を用いることができる。さらにこれらの表面に防錆や耐傷性付与を目的としてメッキ処理を施しても構わない。
【0009】
本発明における発泡ゴム層62を形成するための原料であるゴム組成物は、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、またはその混合物を主成分とし、アゾジカルボンアミド系の発泡剤、硫黄、有機過酸化物、トリアジン、ポリアミン等の加硫剤を含む。所望の場合には、チウラム系、チアゾール系、グアニジン系、スルフェンアミド系、ジチオカルバミン酸塩系、チオウレア系の加硫促進剤、カーボンブラック等の導電剤、炭酸カルシウム等の充填材、その他の助剤を含む。エピクロルヒドリンゴムとしては、例えば、日本ゼオン(株)社製のゼクロン3106(商品名)を、アクリロニトリルブタジエンゴムとしては、例えば、日本ゼオン(株)社製のDN401(商品名)を、アゾジカルボンアミド系の発泡剤としては、例えば、永和化成工業(株)社製のビニホールAC(商品名)を好ましく用いることができる。
【0010】
上記各成分からゴム組成物を調製する方法は、特に限定されず、例えば、使用する原料、目的に応じて、公知の方法のなかから適したものを選択すればよい。具体的には、例えば、ゴム成分、発泡剤、導電剤、加硫剤、加硫促進剤等の所定の成分を、例えば、バンバリーミキサーまたはニーダー等の密閉式混練機を用いて混練しゴム組成物を調製すればよい。
【0011】
図3に、本発明において使用することのできる加硫成形装置の一例を示す。本装置は、押出機11、昇温加熱手段としてのマイクロ波加硫装置(UHF加硫装置と表すことがある)12、所望の場合には熱風加熱手段である熱風加硫装置(HAV加硫装置と表すことがある)13、巻引取機14および定尺切断機15で構成される。
【0012】
上述した、例えば、バンバリーミキサーまたはニーダー等の密閉式混練機で混練して調製したゴム組成物は、オープンロールとリボン成形分出し機(不図示)によりリボン状に成形された後に、押出機11に投入される。UHF加硫装置12は、テフロンでコーティングされたメッシュのベルト、またはテフロン樹脂を被服したコロを備えており、押出機11で押出成形された未加硫のゴム組成物チューブはこの上を搬送されてゆき、搬送される間にマイクロ波が照射され昇温加熱されて発泡され、加硫され(「発泡・加硫され」と表すことがある)て発泡ゴムチューブが形成される。これが所望の場合には、HAV加硫装置13に搬送される。UHF加硫装置12とHAV加硫装置13の間は、テフロン樹脂を被服したコロで連結されている。HAV加硫装置13は、テフロン樹脂を被服したコロを備えており、発泡ゴムチューブはこの上を搬送されてゆき、搬送される間熱風に曝されて加熱されてさらに加硫される。発泡ゴムチューブは、巻引取機14で引き取られ、巻引取機14より排出された直後に、定尺切断機15により所望の寸法に切断され、導電性を有する発泡ゴムチューブ成形物が調製される。
【0013】
UHF加硫装置12、HAV加硫装置13および巻引取機14の長さは、本実施形態では、順に、4m、6m、1mとなっている。UHF加硫装置12とHAV加硫装置13間およびHAV加硫装置13と巻引取機14間は0.1〜1.0mとなるように設定されている。
【0014】
上記加硫成形装置において、ゴム組成物を押出機11でチューブ状に押出して成形した未加硫のゴム組成物チューブは、該押出機11より押し出された直後にUHF加硫装置12内に搬送され、該装置内を搬送される際に1.5分以上2.5分以下の間に100℃以上250℃以下の温度に昇温加熱され、この間のガス発生量が2.0〜20.0ml/gとなるように加熱昇温され、発泡し、加硫される。加熱昇温する時間は1.5分以上2.5分以下とするのが好ましく、2.0分以上2.5分以下とするのがより好ましい。加熱昇温する時間を1.5分以上とするとより安定した加硫状態が得られ、2.5分以下とするとより安定した発泡状態が得られる。また、加熱昇温する温度は、100℃以上250℃以下とするのが好ましく、150℃以上200℃以下とするのがより好ましい。加熱昇温する温度を100℃以上とするとより安定した加硫状態が得られ、250℃以下とするとより安定した発泡状態が得られる。
【0015】
UHF加硫装置12によって加熱昇温する間のガス発生量は、2.0〜20.0ml/gとなるように加熱昇温され、これにより発泡・加硫されて発泡ゴムチューブを得ることができる。なお、発生ガス量は2.0〜20.0ml/gとなるように加熱昇温するのが好ましく、5.0〜20.0ml/gとなるように加熱昇温するのがより好ましい。
UHF加硫装置12におけるマイクロ波照射強度は、0.5〜2.5KWとするのが好ましく、0.5〜1.5KWとするのがより好ましい。マイクロ波照射強度を、0.5KW以上とすると、より安定した加硫状態が得られ、2.5KW以下とするとより安定した発泡状態が得られる。
【0016】
所望の場合には、続いて、発泡ゴムチューブをHAV加硫装置13に搬送し、発泡ゴムチューブを搬送しながらHAV加硫装置13の熱風炉中で加熱して加硫を完了させる。HAV加硫装置13の熱風炉における加熱条件は、特に限定されないが、通常、150〜300℃で4分以上10分以下熱風加熱するのが好ましい。なお、HAV加硫装置13の熱風炉は、ガス炉を熱源とする熱風炉とするのが好ましい。ガス炉を熱源とする熱風炉とするとガス燃焼時に微量に発生する水蒸気により均一な加熱状態が得られる。
【0017】
加硫を完了させて得られた上記発泡ゴムチューブは巻引取機14で引き取り、巻引取機14より排出された直後に、定尺切断機15により所望の寸法に切断し、導電性を有する発泡ゴムチューブ成形物を調製する。
【0018】
次いでホットメルト接着剤、または加硫接着剤等の接着剤を所望の領域に塗布した導電性芯材を前記発泡ゴムチューブ成形物の内径部に圧入し、導電性芯材上に発泡ゴムチューブ成形物を接着して発泡ゴム層としたローラー状の成形体を得る。このローラー状成形体を、研磨機(不図示)にセットし、所定の研磨条件で研磨し所定の外径を有する導電性ゴムローラーを作製する。
【0019】
さらに、得られた導電性ゴムローラーを基層部材とし、帯電ローラー、現像ローラー、転写ローラー等の電子写真装置用ローラーを得ることができる。
【0020】
例えば、現像ローラーや帯電ローラーは、上記導電性ゴムローラーの発泡ゴム層の外周面に、発泡ゴム層からブリードアウトすることを防止するしみ出し防止層、電極層や電気特性を制御する抵抗制御層、および感光ドラム等に傷や汚染を与えないために設けられる被覆層等の所望の機能を付与するための層を必要に応じて設けて作製すればよい。前記しみ出し防止層、電極層や抵抗制御層、および被覆層等を設ける方法としては、公知の方法、例えば、ディップコート法またはロールコート法等の塗工液を用いる方法や、同時成形多層シームレスチューブを被覆する方法等を挙げることができる。
【0021】
また、例えば、転写ローラーは、上記導電性ゴムローラーの発泡ゴム層の外周面に、発泡ゴム層からブリードアウトすることを防止するしみ出し防止層、電気特性を制御する抵抗制御層、被転写材の搬送性を改良するため表面性状を制御する表面性状制御層等の所望の機能を付与するための層を必要に応じて設けて作製すればよい。これらの層は、上記現像ローラーや帯電ローラーの場合と同様の方法で形成することができる。また、所望の性能を有する場合は、上記導電性ゴムローラーは、そのままで、転写ローラーとして用いてもよい。
【0022】
図2に、本発明に係る導電性ゴムローラーまたは電子写真装置用ローラーを備えた画像形成装置の一例を示す。同図に示す画像形成装置は、電子写真方式の、プロセスカートリッジを使用したレーザプリンタであり、同図はその概略構成を示す縦断面図である。また、同図に示す画像形成装置には、本発明の導電性ゴムローラーまたは電子写真装置用ローラーが帯電ローラ2、転写ローラー6または現像ローラー30として装着されている。
【0023】
同図に示す画像形成装置は、像担持体として、ドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)1を備えている。感光ドラム1は、接地された円筒アルミニウム基体の外周面に、有機光導電体(OPCと表すことがある)からなる感光層を設けたものである。この感光ドラム1は、駆動手段(不図示)により、矢印R1方向に所定のプロセススピード(周速度)、例えば50mm/sで回転駆動される。
【0024】
感光ドラム1表面は、接触帯電部材としての帯電ローラー2によって均一に帯電される。帯電ローラー2は、感光ドラム1表面に接触配置されており、感光ドラム1の矢印R1方向の回転に伴って矢印R2方向に従動回転する。帯電ローラー2には、帯電バイアス印加電源(高圧電源)により振動電圧(交流電圧VAC+直流電圧VDC)が印加され、これにより感光ドラム1表面は、−600V(暗部電位Vd )に一様に帯電処理される。帯電後の感光ドラム1表面は、レーザスキャナから出力されてミラーによって反射されたレーザ光3、すなわち、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して変調されたレーザ光により走査露光を受ける。これにより、感光ドラム1表面には、目的の画像情報に対応した静電潜像(明電部位Vl =−150V)が形成される。
【0025】
その静電潜像は、現像装置4の現像ローラー30に印加された現像バイアスによって、負に帯電されたトナーが付着され、トナー像として反転現像される。
【0026】
一方、給紙部(不図示)から給搬送された紙等の被転写材7が、転写ガイドにガイドされて、感光ドラム1と転写ローラー6との間の転写部(転写ニップ部)Tに、感光ドラム1上のトナー像とタイミングを合わせるようにして供給される。転写部Tに供給された被転写材7は、転写バイアス印加電源(不図示)により転写ローラー6に印加された転写バイアスによって、表面に感光ドラム1上のトナー像が転写される。このとき、被転写材7に転写されないで感光ドラム1表面に残ったトナー(残留トナー)は、クリーニング装置9によって除去される。
【0027】
転写部Tを通った被転写材7は、感光ドラム1から分離されて定着装置10へ導入され、ここでトナー像の定着処理を受け、画像形成物(プリント)として画像形成装置本体外部に排出される。
【実施例】
【0028】
次に、本発明を実施例に基づいて詳しく説明する。
【0029】
(実施例1〜5、比較例1〜8)
アクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン(株)社製、DN401;商品名)75質量部、エピクロルヒドリンゴム(日本ゼオン(株)社製、ゼクロン3106;商品名)25質量部、アゾジカルボンアミド(永和化成工業(株)社製、ビニホールAC;商品名)4質量部、ステアリン酸(花王(株)社製、ルナックS20;商品名)1質量部、酸化亜鉛(白水化学(株)社製、亜鉛華1号;商品名)5質量部、カーボン(旭カーボン(株)社製、旭35;商品名)10質量部をバンバリーミキサーで混練し、オープンロールとリボン成形分出し機により任意の成形条件の下でリボン状に成形したゴム組成物を図3記載の加硫成形装置の押出機11(ミクロ電子(株)社製)に投入し、任意の条件で未加硫ゴム組成物チューブを押出した。
【0030】
このゴム組成物チューブをUHF加硫装置12(ミクロ電子(株)社製)で表1および表2に示す条件で加熱昇温して、発泡・加硫し、得られた発泡チューブを巻引取機14で引き取り、定尺切断機14で切断して外径φ16.0mm、内径φ5.0mm、長さ250mmの発泡ゴムチューブ成形物を得た。次いで接着剤E3315(スリ―ボンド(株)社製)を所望の領域に塗布した外径φ6.0mmの導電性芯材を発泡ゴムチューブ成形物の内径部に圧入し、ローラー状の成形体を得た。このローラー状の成形体を、研磨砥石GC80を取り付けた研磨機(不図示)にセットし、研磨条件として回転速度2000rpm、送り速度500m/分で外径がφ17mmになるように研磨し、導電性ゴムローラーを作製した。
【0031】
上記実施例および比較例におけるマイクロ波照射時のゴム組成物チューブの温度測定、ガス発生量の測定、発泡ゴムチューブ成形物の内外径縦横比測定、発泡ゴムチューブ成形物のセル径分布の評価、導電性ゴムローラーの硬度ムラの測定、導電性ゴムローラーの電気抵抗ムラ測定は次のようにして行った。得られた結果は表1および表2に示した。
【0032】
(マイクロ波照射時のゴム組成物チューブの温度の測定方法)
蛍光温度計(アンリツ(株)社製、蛍光式光ファイバー温度計FL−2000;商品名)を用い、押出機11より押し出されたゴム組成物チューブ内部に蛍光温度計の検知部を差し込み、UHF加硫装置12内に未加硫のゴム組成物チューブと共に搬送し、マイクロ波照射により昇温加熱しゴム組成物チューブを発泡・加硫して発泡ゴムチューブを形成する時の温度(マイクロ波照射時温度と表すことがある)を測定する。
【0033】
(ガス発生量の測定方法)
ガストレーサー(永和化成工業(株)社製、ガストレーサー250;商品名)を用いて下記方法でガス発生量を測定した。
使用する未加硫ゴム5gと流動パラフィン10mlを試験管に入れる。予め本実施例および比較例におけるマイクロ波照射により加熱昇温した温度(マイクロ波照射時温度)と同一温度に設定したオイルバス中に試験管を30分浸漬し、浸漬後10秒毎にガス発生量を測定する。ガスの発生量が平衡に達したときの発生量を用いた未加硫ゴムの質量で除することでガス発生量を求めた。
【0034】
(発泡ゴムチューブ成形物の内外径縦横比の測定方法)
発泡ゴムチューブ成形物を任意の場所で任意の条件下で切断し、その断面を投影機(株式会社ニコン製、プロファイルプロジェクターV−12B;商品名)にて、内外径各々の最大部(b)と最小部(a)を測定し、その比(b/a)を求める。このとき比(b/a)がより1に近いことが好ましい。
【0035】
(導電性ゴムローラーの硬度ムラの測定方法)
硬度計(アスカーC型、4.9N荷重)を使い、導電性ゴムローラーの発泡ゴム層の任意の場所を周方向に90°毎4箇所測定し、その最大値と最小値の差を求め硬度ムラとした。硬度ムラは0が好ましい。
【0036】
(導電性ゴムローラーの電気抵抗ムラの測定方法)
23℃×55%RHの環境下において48時間放置後、導電性ゴムローラーの軸体の両端に、各々に4.9Nの荷重を負荷して外径30mmのアルミニウム製のドラムに圧着し、回転させた状態で、導電性ゴムローラーの軸体とアルミドラム製のドラムとの間に2kVの電圧を印加して測定した。この時の抵抗値の最大値Rmaxと最小値Rminの差(Rmax−Rmin)を桁で表した。電気抵抗ムラは1.2桁未満が好ましい。
【0037】
(発泡ゴムチューブ成形物のセル径分布の評価方法)
発泡ゴムチューブ成形物を任意の場所で切断し、その断面をビデオマイクロ(キーエンス社製、デジタルマイクロスコープVH−8000;商品名)にて記録し、外径側のセル径と内径側のセル径の大きさの違いをメジャーにて計測し確認した。このとき外径側のセル径(Dou)と内径側のセル径(Din)に差が無いことが好ましく、得られた結果に基づき下記基準でセル径分布を評価した。
○ 差がない〔│Dou−Din│/Dou ≦1.5又は│Dou−Din│/Din ≦1.5)〕
△ やや差がある〔1.5<│Dou−Din│/Dou≦2.0又は1.5<│Dou−Din│/Din ≦2.0〕
× 差がある〔│Dou−Din│/Dou >2.0又は│Dou−Din│/Din >2.0〕
【0038】
表1に示したように、実施例1〜5においては、発泡ゴムチューブ成形物の内外径の縦横比が1.11以内であり、また内径側外径側のセル径に差がなく、厚み方向におけるセル径分布が均一であることがわかる。更に得られた導電性ゴムローラーの周方向の硬度ムラは1以下で小さく、周方向の抵抗ムラも1.1桁以下であった。
【0039】
これに対して、比較例1〜8においては、表2に示したように、発泡ゴムチューブ成形物の内外径の縦横比が加硫及び発泡しなかったため測定不能となったり、測定可能であった場合においても1.3〜3.1と大きく、内径側外径側のセル径に差があった。また、得られた導電性ゴムローラーの周方向の硬度ムラ、周方向の抵抗ムラが加硫及び発泡しなかったため測定不能となったり、測定可能であった場合においても抵抗ムラは2.4〜3.0桁と大きく、硬度ムラは5〜7と大きかった。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の製造方法により得られる導電性ゴムローラーおよび電子写真装置用ローラーは、電子写真複写装置、プリンター、静電記録装置等の画像形成装置に転写ローラー等として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態の導電性ゴムローラーの見取図である。
【図2】本発明に係る導電性ゴムローラーを備えた画像形成装置の一例の断面概略図である。
【図3】本発明における加硫成形装置の一例の断面概略図である。
【符号の説明】
【0044】
1 感光ドラム
2 帯電ローラー
3 レーザー光
4 現像装置
5 トナー
6 転写ローラー
7 被転写材
8 クリーニングブレード
9 クリーニング装置
10 定着装置
30 現像ローラー
61 導電性芯材
62 発泡ゴム層
11 押出機
12 マイクロ波加硫装置(UHF加硫装置)
13 熱風加硫装置(HAV加硫装置)
14 巻引取機
15 定尺切断機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性芯材上に発泡ゴム層を有する導電性ゴムローラーの製造方法において、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムまたはその混合物と、アゾジカルボンアミドを含むゴム組成物からゴム組成物チューブを成形する工程、および、昇温加熱手段により1.5分以上2.5分以下の時間に100℃以上250℃以下の温度に昇温し、この間のガス発生量が2.0〜20.0ml/gとなるように加熱昇温して該ゴム組成物チューブを発泡・加硫して発泡ゴムチューブを形成する工程を含むことを特徴とする導電性ゴムローラーの製造方法。
【請求項2】
前記昇温加熱手段が、強度0.5〜2.5KWのマイクロ波照射による昇温加熱手段であることを特徴とする請求項1記載の導電性ゴムローラーの製造方法。
【請求項3】
前記発泡ゴムチューブを、150〜300℃の温度で4分以上10分以下熱風加熱手段で加熱してさらに加硫する工程を含むことを特徴とする請求項1または2記載の導電性ゴムローラーの製造方法。
【請求項4】
前記熱風加熱手段が、ガス炉を熱源とする熱風炉であることを特徴とする請求項3記載の導電性ゴムローラーの製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の導電性ゴムローラーの製造方法により製造した導電性ゴムローラーを基層部材として用いたことを特徴とする電子写真装置用ローラー。
【請求項6】
電子写真装置用ローラーが、転写ローラーであることを特徴とする請求項5記載の電子写真装置用ローラー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−175738(P2006−175738A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371726(P2004−371726)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】