説明

導電性パターンの形成方法およびこれによって製造された導電性パターンを有する基板

【課題】有機物を単独でまたは無機物を単独で用いて形成した導電性パターンを含む基板より低い焼成温度で焼成しても高い導電度を得ることができる導電性パターンを含む基板の製造方法およびこれによって製造された導電性パターンを含む基板を提供する。
【解決手段】基材上に導電性無機金属粒子を含む導電性無機組成物を吐出するステップと、前記導電性無機組成物上に導電性有機金属錯体を含む導電性有機組成物を吐出するステップ、および前記導電性無機組成物および導電性有機組成物を焼成するステップを含む基板の製造方法およびこの方法によって製造された導電性パターンを含む基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低い焼成温度においても高い導電度を得ることができる導電性パターンを含む基板の製造方法およびこれによって製造された導電性パターンを含む基板に関する。
【0002】
本出願は2009年2月5日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2009−0009355号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
最近用いられているディスプレイ用透明基板、電子部品用回路基板には導電性パターンの形成が必須である。導電性パターンは主に感光性ペースト法またはフォトエッチング(Photo etching)法によって形成される。
【0004】
前記感光性ペースト法は、基材上にスクリーン印刷機(screen printer)を利用して感光性ペーストを塗布するステップ、フォトマスク(Photomask)を利用してUV露光するステップ、およびアルカリ水溶液によってエッチングするステップを含む。前記フォトマスクによってUV露光がなされた部分は光架橋によってアルカリ水溶液にエッチングされず、露光がなされていない部分は光架橋が行われず、アルカリ水溶液によってエッチングされ、電極パターンが形成される。しかし、感光性電極ペーストを用いた電極パターンの形成はピッチの精密度と電極幅の制御が不利であるのが短所である。
【0005】
また、前記フォトリソグラフィ方法を用いた電極パターンの形成は、電極を基材に全面塗布または蒸着した後にエッチングする工程によって主に形成される。しかし、前記フォトリソグラフィ法は、電極を基材全面に蒸着する工程時間が長く、薄膜形成時に装置および材料の値段が高く、エッチング時の環境汚染の問題がある。
【0006】
このため、最近、前記スクリーン印刷方法またはフォトリソグラフィ方法と比較した時、微細パターンを形成するためのマスクが必要ではなく、印刷する基板の大きさに影響を受けず、印刷時間が短く、環境汚染の問題のないインクジェット印刷技術が提案されている。
【0007】
前記インクジェット印刷は微細ノズルを通して溶液や懸濁液を数〜数十PL(pico liter)の滴で噴射する非接触式パターニング技術であって、数十マイクロメーターの解像度で自由に印刷できる長所がある。
【0008】
したがって、前記インクジェット印刷を利用して基材上に導電性パターンを形成する技術が提案されている。前記基材上に形成された導電性パターンの導電度は導電性インク組成物に含まれた金属粒子の含量によって決定されるが、一般的に配線用として用いられるインクの場合、導電性インク組成物内の金属粒子の含量は50〜60重量%で用いられている。前記金属粒子の濃度が増加するほど、同一の噴射方法および焼成工程における導電度は増加するが、それによる分散性低下が発生するため、導電性インク組成物の安定性に問題が発生する。
【0009】
一般的に、無機金属粒子を含む導電性インク組成物を基材上にインクジェット印刷方法により吐出した後に焼成工程を進行すれば、1)溶媒と添加剤が除去され、2)無機金属粒子の表面で溶融が起こり、3)溶融した粒子表面同士が融着して無機金属粒子間ネッキング(necking)が発生する。このような一連の過程により、無機金属粒子を含む導電性パターンを形成することができる。前記導電性インク組成物に用いられる無機金属粒子の大きさが小さくなるほど焼成温度は急激に低くなり、約50nmの粒子を用いた場合、約200℃の焼成工程においても導電度を示すことができる。しかし、金属粒子の大きさを減らす方法として焼成温度を下げるのは限界があるため、一般的に無機金属粒子を用いた導電性インク組成物の焼成温度は200〜300℃程度に決定される。
【0010】
一方、有機金属粒子を含む導電性インク組成物の場合は、無機金属粒子を含む導電性インク組成物とは異なり、低温で還元過程を経て金属粒子化されるため、相対的に低い約150℃の焼成温度においても導電性を示すことができる。しかし、有機金属粒子を含む導電性インク組成物の場合は、金属の含量が無機インクを含む導電性インク組成物に比べて低いために導電性が低いという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を考慮し、低い焼成温度で製造しても高い導電度を有する導電性パターンを含む基板の製造方法およびこれによって製造された導電性パターンを含む基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明においては、基材上に導電性無機金属粒子を含む導電性無機組成物を吐出するステップと、前記導電性無機組成物上に導電性有機金属錯体を含む導電性有機組成物を吐出するステップ、および前記導電性無機組成物および導電性有機組成物を焼成するステップを含む導電性パターンを含む基板の製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、基材;前記基材上に備えられ、導電性無機金属粒子と少なくとも一部の導電性無機金属粒子間の導電性チャネル(Channel)を提供する有機金属錯体を含む導電性パターンを含む基板を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記導電性パターンを含む基板の製造方法によって製造された導電性パターンを含む基板を提供する。
【0015】
また、本発明は、前記導電性パターンを含む基板を含む透明基板、印刷回路基板または軟性印刷回路基板を提供する。
【発明の効果】
【0016】
前記本発明に係る導電性パターンを含む基板は、有機物を単独でまたは無機物を単独で用いた導電性パターンを含む基板より低い焼成温度で製造しても高い導電度を示すことができ、工程の単純化により費用節減を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る導電性パターンを含む基板の製造方法を示す概略図である。
【図2】本発明に係る導電性無機組成物をインクジェット印刷方法により吐出するステップを示す図である。
【図3】本発明に係る吐出された導電性無機組成物を乾燥するステップを示す図である。
【図4】本発明に係る導電性有機組成物をインクジェット印刷方法により吐出するステップを示す図である。
【図5】無機パターンおよび前記無機パターン上に吐出された導電性有機組成物を焼成するステップを示す図である。
【図6】本発明の低温焼成においても高い導電度を示す作用原理を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をより具体的に説明する。
【0019】
本発明は、
1)基材上に導電性無機金属粒子を含む導電性無機組成物を吐出するステップ、
2)前記導電性無機組成物上に導電性有機金属錯体を含む導電性有機組成物を吐出するステップ、および
3)前記導電性無機組成物および導電性有機組成物を焼成するステップ
を含む導電性パターンを含む基板の製造方法を提供する。
【0020】
前記本発明に係る導電性パターンを含む基板の製造方法を概略的に示す図を図1に図示した。前記図1には、本発明に係る前記(1)〜(3)ステップを含む導電性パターンを含む基板の製造方法の他に乾燥などの追加可能な工程ステップを含んで図示した。
【0021】
前記基材としてはガラス基材、透明高分子基材またはフレキシブル基材などを用いることができ、導電性基板として用いられることで当業界に知られているものであれば特に制限されない。
【0022】
前記1)ステップは、基材上に導電性無機金属粒子を含む導電性無機組成物を吐出するステップであって、前記導電性無機組成物の吐出はインクジェット方法によって行われることが好ましい。前記無機組成物を吐出するステップに対する概略図は図2に図示した。
【0023】
前記導電性無機金属粒子を含む導電性無機組成物は導電性無機金属粒子および溶媒を含むことが好ましい。
【0024】
前記導電性無機金属粒子としてはAg、Au、Pt、Ni、PdおよびCuからなる群から選択された1種以上を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
前記導電性無機金属粒子は粒径1000nm以下のナノサイズの球形粒子であることが好ましく、その粒径は0超過100nm以下であることがより好ましい。前記導電性無機粒子の粒径が1000nmを超過する場合、焼成温度が急激に上昇し得る。また、粒子の縦横比が大きい針状の導電性無機金属粒子を用いる場合、分散性が低下し、ノズルが詰まる問題が発生し得る。
【0026】
前記導電性無機金属粒子は導電性無機組成物の総重量に対して10〜90重量%で含まれることが好ましく、より好ましくは30〜70重量%である。前記無機金属粒子の含量が10重量%未満である場合には、十分な導電性を示すことができず、90重量%を超過する場合には、インクの粘度が高くなってノズルが詰まるなどのジェッティング性に問題が発生し得る。
【0027】
前記溶媒としては当技術分野に知られたものなどを制限されずに用いることができる。具体的な例としては、プロピレングリコールプロピルエーテル(Propylene Glycol Propyl Ether)、エチレングリコール(Ethylene Glycol)およびグリセロール(Glycerol)からなる群から選択された1種以上が挙げられるが、これらの例だけに限定されるものではない。
【0028】
前記溶媒は無機金属粒子を含む導電性無機組成物の総重量に対して10〜90重量%で含まれることが好ましい。前記溶媒の含量が10重量%未満である場合には、粘度が高くなってノズルが詰まるなどのジェッティング性に問題が発生し、90重量%を超過する場合には、組成物内の粒子含量が減って導電度が低下するか、配線が断線する問題が発生し得る。
【0029】
前記無機金属インク組成物は分散剤または界面活性剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0030】
前記分散剤の具体的な例としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリメチルビニルエーテル(poly methyl vinyl ether、PMVE)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(polyoxyethylene alkyl phenyl ether)、ポリエチレンソルビタンモノステアレート(polyoxyethylene sorbitan monostearate)およそれらの誘導体からなる群から選択された1種以上の高分子物質などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
前記界面活性剤の具体的な例としてはフッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
前記添加剤は無機金属粒子を含む導電性有機組成物の総重量に対して0.1〜5重量%で含まれることが好ましい。
【0033】
前記2)ステップは、前記1)ステップの導電性無機組成物上に導電性有機組成物を吐出するステップであって、前記導電性有機組成物の吐出はインクジェット印刷方法によって行われることが好ましい。前記導電性無機組成物上に導電性有機組成物を吐出するステップに対する概略図は図4に図示した。
【0034】
前記導電性有機組成物は有機金属錯体および溶媒を含むことが好ましい。
【0035】
前記有機金属錯体としてはAgネオデカノエート、AgネオテトラデカノエートまたはAgネオヘキサデカノエートなどのAgアルカノエート系を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
前記有機金属錯体は導電性有機組成物の総重量に対して10〜90重量%で含まれることが好ましい。
【0037】
前記有機金属錯体の含量が10重量%未満である場合には、十分な導電性を示すことができず、90重量%を超過する場合には、分散性が低下し、導電性有機組成物内で前記有機金属錯体の沈殿が発生し得る。
【0038】
前記有機溶媒は特に限定されないが、キシレン(Xylene)、トルエン(toluene)、ベンゼン(benzene)などの炭化水素系溶媒からなる群から選択された1種以上を用いることができきる。
【0039】
前記導電性有機組成物は界面活性剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0040】
前記界面活性剤の具体的な例としてはフッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
前記添加剤は有機金属錯体を含む導電性有機組成物の総重量に対して0.1〜5重量%で含まれることが好ましい。
【0042】
前記3)ステップは、前記1)ステップおよび2)ステップで吐出された導電性無機組成物および導電性有機組成物を焼成するステップである。前記導電性無機組成物および導電性有機組成物を焼成するステップに対する概略図は図5に図示した。
【0043】
前記焼成は250℃以下で1〜120分間行うことが好ましく、100〜200℃で5〜60分間行うことがより好ましい。前記焼成温度が250℃を超過する場合には導電性有機組成物が熱分解され得る。
【0044】
前記3)ステップの焼成前、有機パターン内の揮発性溶媒を除去するために乾燥ステップをさらに行うことができる。前記乾燥は25〜100℃で5〜30分間行うことが好ましい。
【0045】
本発明に係る導電性パターンを含む基板の製造方法において、前記2)ステップの導電性有機組成物を吐出する前に前記導電性無機組成物内の溶媒を除去するために、前記1)ステップで吐出された導電性無機組成物を乾燥するステップをさらに含むことができる。
【0046】
前記1)ステップで吐出された導電性無機組成物の乾燥は100〜150℃で10〜60分間行うことが好ましい。前記吐出された導電性無機組成物を乾燥するステップに対する概略図は図3に図示した。
【0047】
また、本発明に係る導電性パターンを含む基板の製造方法において、前記3)ステップの基板上に吐出された導電性無機組成物および導電性有機組成物を焼成する前に導電性有機組成物内の溶媒を除去するために、前記2)ステップで吐出された導電性有機組成物を乾燥するステップをさらに含むことができる。
【0048】
前記2)ステップで吐出された導電性有機組成物の乾燥は25〜100℃で5〜30分間行うことが好ましい。
【0049】
また、本発明は、複数のインクジェットヘッドを使う場合には、前記1)ステップおよび2)ステップの導電性無機組成物および導電性有機組成物を同時に吐出可能である。
【0050】
また、本発明は、基材;前記基材上に備えられ、導電性無機金属粒子と少なくとも一部の導電性無機金属粒子間の導電性チャネルを提供する有機金属錯体を含む導電性パターンを含む基板を提供する。
【0051】
前記導電性パターンを含む基板は、有機金属錯体を含む導電性有機組成物の吐出量に応じて前記導電性無機金属粒子と少なくとも一部の導電性無機金属粒子間の導電性チャネルを提供する有機金属錯体を含む導電性パターン上に導電性有機金属錯体を含むパターン層をさらに含むことができる。
【0052】
また、本発明は、前記導電性パターンを含む基板の製造方法によって製造された導電性パターンを含む基板を提供する。
【0053】
前記導電性パターンを含む基板は、インクジェット印刷方法を利用して低い抵抗を有する導電性無機組成物を吐出し、低温で導電性を示す導電性有機組成物を吐出することにより、低温でネッキング(Necking)を形成することができない導電性無機組成物の金属粒子の間を導電性有機組成物の有機粒子が充填されて孔隙抵抗を最小化し、導電性チャネル(Channel)を形成することにより、導電性有機または無機組成物を単独で用いた時より低い焼成温度で高い導電度を提供することができる。前記本発明の低い焼成温度においても高い導電度を示すことができる作用原理に対する概略図は図6に図示した。
【0054】
また、本発明は、前記導電性パターンを含む基板を含む透明基板、印刷回路基板または軟性印刷回路基板を提供する。
【0055】
上記のように、本発明に係る導電性パターンは、低い焼成温度で製造しても高い導電度を示すことができるため、ガラスだけでなく、プラスチックのような多様な材質の基板を用いることができる。
【0056】
以下、本発明を下記実施例および比較例によってより詳細に説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するだけのものであって、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0057】
実施例1
無機金属粒子として30nmの粒径を有するAg NP(nanoparticle)5gと、溶媒としてプロピレングリコールプロピルエーテル3.5g、エチレングリコール1.25gおよびグリセロール0.25gを含む導電性無機組成物を製造した後、インクジェット方法によりガラス基材上に吐出した。前記吐出された導電性無機組成物を100℃で10分間乾燥して無機パターンを製造した。その次、有機金属錯体としてAgナノデカノエート4g、および溶媒としてキシレン6gを含む導電性有機組成物を製造した後、インクジェット方法により前記形成された無機パターン上に吐出した。その次、175℃で1時間焼成し、導電性無機物質および導電性有機物質を含む導電性パターンを含む基板を製造した。
【0058】
前記製造された導電性パターンを含む基板を4−ポイントプローブ(4−point probe)を通じて抵抗を測定した結果、176Ωとして測定された。
【0059】
比較例1
無機金属粒子として30nmの粒径を有するAg NP 5gと、溶媒としてプロピレングリコールプロピルエーテル3.5g、エチレングリコール1.25g、およびグリセロール0.25gを含む導電性無機組成物を製造した後、インクジェット方法によりガラス基材上に吐出した。前記吐出された導電性無機組成物を乾燥した後、形成された無機パターン上に前記製造された導電性無機組成物を1回さらに吐出した後、175℃で1時間焼成して導電性パターンを含む基板を製造した。
【0060】
前記製造された導電性パターンを含む基板を4−ポイントプローブ(4−point probe)を通じて抵抗を測定した結果、前記実施例1で製造された導電性パターンを含む基板の抵抗より約2倍程度高い343Ωとして測定された。
【0061】
比較例2
有機金属錯体としてAgネオデカノエート4g、および溶媒としてキシレン6gを含む導電性有機組成物を製造した後、インクジェット方法によりガラス基材上に吐出した。前記吐出された導電性有機組成物を乾燥した後、形成された有機パターン上に前記製造された導電性有機組成物を1回さらに吐出した後、175℃で1時間焼成して導電性パターンを含む基板を製造した。
【0062】
前記製造された導電性パターンを含む基板を4−ポイントプローブ(4−point probe)を通じて抵抗を測定した結果、前記実施例1で製造された導電性パターンを含む基板の抵抗より約2倍程度高い349Ωとして測定された。
【0063】
比較例3
有機金属錯体としてAgネオデカノエート4g、および溶媒としてキシレン6gを含む導電性有機組成物を製造した後、インクジェット方法によりガラス基材上に吐出した。 無機金属粒子として30nmの粒径を有するAg NP(nanoparticle)5gと、溶媒としてプロピレングリコールプロピルエーテル3.5g、エチレングリコール1.25gおよびグリセロール0.25gを含む導電性無機組成物を製造した後、インクジェット方法により導電性有機パターン上に吐出した。その次、175℃で1時間焼成し、導電性有機パターン上に形成された導電性無機パターンを含む導電性パターンを含む基板を製造した。
【0064】
前記製造された導電性パターンを含む基板を4−ポイントプローブ(4−point probe)を通じて抵抗を測定した結果、前記実施例1で製造された導電性パターンを含む基板の抵抗より約2倍程度高い345Ωとして測定された。
【0065】
前記比較例3で製造された導電性パターンを含む基板は導電性有機金属錯体による導電性無機金属粒子間の導電性チャネル(Channel)を提供する ことができないため、前記実施例1で製造された導電性パターンを含む基板より高い抵抗を現わした。
【0066】
比較例4
有機金属錯体としてAgネオデカノエート4g、および溶媒としてキシレン6gを含む導電性有機組成物と 無機金属粒子として30nmの粒径を有するAg NP(nanoparticle)5gと、溶媒としてプロピレングリコールプロピルエーテル3.5g、エチレングリコール1.25gおよびグリセロール0.25gを含む導電性無機組成物を製造した後、前記導電性有機組成物と導電性無機組成物を混合した。
【0067】
しかし、有機金属錯体と無機金属粒子の分散性が不良であったため、インクジェット用インクの製造が不可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)基材上に導電性無機金属粒子を含む導電性無機組成物を吐出するステップ、
2)前記導電性無機組成物上に導電性有機金属錯体を含む導電性有機組成物を吐出するステップ、および
3)前記導電性無機組成物および導電性有機組成物を焼成するステップ
を含む導電性パターンを含む基板の製造方法。
【請求項2】
前記基材は、ガラス基材、透明高分子基材またはフレキシブル基材であることを特徴とする、請求項1に記載の導電性パターンを含む基板の製造方法。
【請求項3】
前記導電性無機金属粒子は、Ag、Au、Pt、Ni、PdおよびCuからなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の導電性パターンを含む基板の製造方法。
【請求項4】
前記導電性無機金属粒子は1,000nm以下の粒径を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性パターンを含む基板の製造方法。
【請求項5】
前記導電性無機金属粒子の含量は、導電性無機組成物の総重量に対して10〜90重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性パターンを含む基板の製造方法。
【請求項6】
前記導電性有機金属錯体は、Agネオデカノエート、AgネオテトラデカノエートおよびAgネオヘキサデカノエートからなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性パターンを含む基板の製造方法。
【請求項7】
前記導電性有機金属錯体の含量は、導電性有機組成物の総重量に対して10〜90重量%であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電性パターンを含む基板の製造方法。
【請求項8】
前記導電性無機組成物および導電性有機組成物の吐出はインクジェット方法によって行われることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電性パターンを含む基板の製造方法。
【請求項9】
前記3)ステップの焼成は、250℃以下で1〜120分間行われることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電性パターンを含む基板の製造方法。
【請求項10】
前記2)ステップの導電性有機組成物を吐出する前、前記1)ステップで吐出された導電性無機組成物を乾燥するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の導電性パターンを含む基板の製造方法。
【請求項11】
前記乾燥は、100〜150℃で10〜60分間行われることを特徴とする、請求項10に記載の導電性パターンを含む基板の製造方法。
【請求項12】
前記3)ステップの焼成前、前記2)ステップで吐出された導電性有機組成物を乾燥するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の導電性パターンを含む基板の製造方法。
【請求項13】
前記乾燥は25〜100℃で5〜30分間行われることを特徴とする、請求項12に記載の導電性パターンを含む基板の製造方法。
【請求項14】
基材と、前記基材上に備えられ、導電性無機金属粒子と少なくとも一部の導電性無機金属粒子間の導電性チャネルを提供する有機金属錯体を含む導電性パターンとを含む基板。
【請求項15】
前記基材は、ガラス基材、透明高分子基材またはフレキシブル基材であることを特徴とする、請求項14に記載の導電性パターンを含む基板。
【請求項16】
前記導電性無機粒子は、Ag、Au、Pt、Ni、PdおよびCuからなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項14または15に記載の導電性パターンを含む基板。
【請求項17】
前記導電性有機錯体は、Agネオデカノエート、AgネオテトラデカノエートまたはAgネオヘキサデカノエートからなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項14〜16のいずれか一項に記載の導電性パターンを含む基板。
【請求項18】
請求項14〜17のうちのいずれか一項の導電性パターンを含む基板を含むことを特徴とする透明基板。
【請求項19】
請求項14〜17のうちのいずれか一項の導電性パターンを含む基板を含むことを特徴とする印刷回路基板または軟性印刷回路基板。
【請求項20】
請求項1〜13のうちのいずれか一項の導電性パターンを含む基板の製造方法によって製造されることを特徴とする導電性パターンを含む基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−183082(P2010−183082A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24122(P2010−24122)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】