説明

導電性ロール

【課題】 本発明は、充分に低い抵抗値を維持しながら電気抵抗の環境依存性も低減され、構成成分のブリードやブルームによる他の部材の汚染が少なく、耐オゾン性や寸法安定性にも優れ、かつ連続通電時の抵抗上昇を抑えた導電性ロールを提供することを課題としている。
【解決手段】 芯金と該芯金の表面に導電性弾性層を備えた導電性ロールにおいて、導電性弾性層が連続相と1相または2相以上の非連続相とからなり、イオン導電剤をエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体から構成する前記非連続層のみに1〜20重量%の割合で予め混合して含有させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ロールに関し、詳しくは、通電時における抵抗上昇を抑制でき、抵抗値の変化を少なくすると共に環境変動を小さくできる導電性ロールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コピ−機、プリンタまたはファクシミリ等の電子写真装置においては、帯電ロール、現像ロール、トナー供給ロールまたは転写ロールとして導電性ゴムロールが用いられている。
これら導電性ゴムロールには適度に安定した電気抵抗値を持たせる必要がある。なかでも転写ロールは感光体に形成された静電潜像を紙へ転写するために用いる部材であり、機能上、電気抵抗値が重要なパラメーターとなる。
【0003】
従来、この種のゴムロールに導電性を付与する方法として、電子導電性ゴムを用いる方法と、イオン導電性ゴムを用いる方法がある。
前記電子導電性ゴムは、金属酸化物の粉末やカーボンブラック等の導電性充填剤をポリマーに配合することによって得られる。該電子導電性ゴムを用いた導電性ゴムロールは、電気抵抗値の制御が難しいという問題がある。特に、導電性充填剤としてカーボンブラックを使用した場合、カーボンブラックの添加量とポリマーの体積固有抵抗との間に安定した相関関係が見られず、かつ、カーボンブラックの添加量のわずかな変化により電気抵抗値が急激に変化する領域があるため、電気抵抗値の制御が非常に困難となる。さらに、電気抵抗値自体が印加電圧に依存しやすい問題もある。
【0004】
また、ポリマー、具体的にはエラストマー中で、導電性充填剤が均一に分散し難いことからゴムロールの周方向や幅方向で電気抵抗値にばらつきが発生しやすい。さらに、電気抵抗値の大きなばらつきが低減されたとしても、μmオーダーの微少な範囲での電気抵抗値のばらつきは依然として存在する。このことから、デジタル化・カラー化など高画質化の技術のめざましい近年においては、電子導電性ゴムでなくイオン導電性ゴムの方が特に好んで用いられる傾向にある。
【0005】
イオン導電性を得るために、アクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴムまたはエピクロルヒドリンゴム等のイオン導電性ゴムを単独でまたは組み合わせて、さらには他の材料とブレンドして用いるという手法が採用されている。
アクリロニトリルブタジエンゴムやウレタンゴムを用いる場合、ゴム材料の体積固有抵抗値としては109.6Ωcm以上、ロールの電気抵抗値としては108.2Ω以上の抵抗値しか得られず、カラー用の電子写真装置における転写ロールなど比較的低い電気抵抗値が要求される用途には対応できない。
また、アクリロニトリルブタジエンゴムのみでは耐オゾン性能も良くないという問題がある。
そこで、電気抵抗の高いアクリロニトリルブタジエンゴムに電気抵抗の低いエピクロルヒドリンゴムをブレンドすることが行われている。こうすればブレンド比を変化させるだけで電気抵抗を調節でき、電気抵抗の制御が容易になる。
【0006】
しかし、エピクロルヒドリンゴムを用いた場合、焼却時等に有毒な塩化水素ガスやダイオキシンが発生する恐れがあるという問題が生じる。特に、近年環境問題が非常に重要視され、導電性ロールにおいても環境汚染の可能性の少ない材料を用いることが求められており、併せてリサイクルを可能にすることも要望されている。
さらに、エピクロルヒドリンゴムは静電容量が大きいため、電圧を印可してから電流が流れるまでの時間差が大きいという問題もある。特に、電子写真機構の高速化に伴い、電圧印可から安定した電流が得られることが求められている。
【0007】
そこで、電気抵抗値が低く、かつエピクロルヒドリンゴムを用いない導電性ゴム組成物の開発が進められている。
例えば、特開2002−212413号公報(特許文献1)において、本出願人は、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体とアクリロニトリルブタジエンゴムとを混合した導電性ポリマー100重量%に対して、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を0.1重量%以上7.0重量%以下の割合で配合する導電性ゴム組成物を提供している。
しかし、特許文献1に記載の導電性ゴム組成物においては、電気抵抗値の環境依存性については考慮されておらず、かかる観点から改良を加える余地がある。
【0008】
一方で、イオン導電性を得るために、ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル構造を含む導電性オリゴマーや導電性可塑剤(いずれもMnが10000以下)を配合するという手法もある。
導電性オリゴマーや導電性可塑剤は、電気抵抗調整のためにある程度の量を添加しなければならず、かつポリマー組成物中で固定されていないために、ブリードやブルームを起こしてしまうという問題がある。特に複写機やプリンタ用の導電性ロールとして用いた場合、導電性オリゴマーや導電性可塑剤が移行すると、感光体を汚染し、画像を汚し、最悪の場合には感光体の変質・破壊を招く場合もある。
【0009】
そこで、導電性オリゴマーや導電性可塑剤の代わりに、低分子量のイオン導電剤を配合するという手法もある。この手法として、本出願人は、特開2004−18788号公報(特許文献2)でフルオロ基あるいは/およびスルホニル基を含む有機金属塩を導電剤として用いることを提案している。
しかし、導電性オリゴマーや導電性可塑剤を用いる場合はもちろん、低分子量のイオン導電剤を用いた場合でも、連続通電したときに抵抗が上昇しやすいという問題がある。これは、イオン導電剤が分極により電気を流すため、連続して分極が起こると印可電圧に対して電荷の偏りが生じるためである。
【特許文献1】特開2002−212413号公報
【特許文献2】特開2004−18788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記した問題に鑑みてなされたもので、連続通電時においても抵抗値が上昇しにくく、低い抵抗値を維持しながら、電気抵抗の環境依存性も低減され、かつ構成成分のブリードやブルームによる他の部材の汚染が少ないと共に、耐オゾン性や寸法安定性にも優れた導電性ロールを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前記課題を解決するため、芯金と該芯金の表面に導電性弾性層を備えた導電性ロールであって、
前記導電性弾性層が連続相と1相または2相以上の非連続相とからなり、
イオン導電剤を、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体から構成する前記非連続層のみに1〜20重量%の割合で予め混合して含有させ、かつ、
前記連続相を構成するポリマーと非連続相を構成するポリマーの合計100質量部に対して、前記連続相を構成するポリマーの含有量を60質量部以上80質量部未満とすると共に、前記導電剤を1〜20重量%含有するエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体の含有量が1質量部以上25質量部以下としていることを特徴とする導電性ロールを提供している。
【0012】
本発明者は、連続通電時の抵抗上昇のメカニズムについて検討を重ね、イオン導電剤を連続相に導入するとイオンが移動しやすいためにイオンの偏りが起こりやすくなり、イオンの偏りが生じると電流が流れにくくなり、結果として抵抗値が上昇してしまうことを知見した。
かかる知見に基づき更に検討を加えた結果、抵抗調整剤として用いたEO−PO−AGE共重合体にのみに予めイオン導電剤を混合しておき、イオン導電剤を含有するEO−PO−AGE共重合体を非連続相として連続相とは独立させ、連続相にイオン導電剤が移動しにくくすることで、連続通電時の抵抗上昇を抑制できることを知見し本発明に至った。
また、前記のようにイオン導電剤を非連続相に包含しておくと、イオン導電剤のブリードやブルームによる他の部材の汚染を軽減できる。更には、イオン導電剤が非連続相中に存在するため温度や湿度等の環境の影響も受けにくく、電気抵抗値の環境依存性を低減することができる。
【0013】
EO−PO−AGE共重合体に含まれるイオン導電剤の含有量が1〜20重量%とは、EO−PO−AGE共重合体の量をX(重量%)、イオン導電剤の含有量をY(重量%)とすると、{Y/(X+Y)}×100の値が1〜20の範囲内に含まれることを指す。
前記イオン導電剤の含有量を1〜20重量%としているのは、1重量%よりも少ないと電気抵抗の環境依存性が大きくなり、一方、20重量%よりも多いと連続通電時の抵抗の上昇が大きくなることによる。
【0014】
また、前記連続相を構成するポリマーと非連続相を構成するポリマーの合計100質量部に対して、前記連続相を構成するポリマーの含有量を60質量部以上80質量部未満としているのは、連続相を構成するポリマーの配合比率が60質量部未満とすると、動的架橋等の手法を用いても連続相として存在させにくくなることによる。一方、80質量部以上とすると、非連続相の体積分率が低くなりすぎ、本発明の導電性ロールの抵抗値を十分に下げることができなくなることによる。
【0015】
さらに、前記導電剤を含有するEO−PO−AGE共重合体を1質量部以上25質量部以下としているのは、25質量部より多いと本発明の導電性ロールの圧縮永久ひずみ等が大きくなってしまう一方、1質量部より少ないと十分な量の導電剤を配合させることができなくなり、本発明の導電性ロールの抵抗値を十分に下げることができなくなることによる。
【0016】
なお、本発明では、導電剤の配合量を固定したまま連続相と非連続相の比率を変えることによっても電気抵抗値の制御がある程度可能である。また、動的架橋を用いれば比較的分率の高い成分を非連続相にもってくることができ、非連続相を構成するポリマーの比率を高めることができる。
【0017】
本発明で用いる前記導電剤としては、フルオロ基またはスルホニル基を含有しているイオン導電剤が好ましい。具体的には、フルオロ基または/およびスルホニル基を含む有機金属塩がより好ましく、フルオロ基または/およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩がさらに好ましい。
このような塩は、フルオロ基またはスルホニル基等の官能基が電子吸引性を有するため陰イオンがより安定化されることから、より高い解離度を示す。これにより少量の添加で非常に低い電気抵抗値を得ることができる。さらに、このような導電率の高い塩を用いた場合には、本発明において採用する非連続相内に導電剤を包含させ独立させておくという構成が連続使用時の抵抗上昇の防止において特に顕著な効果を発揮する。すなわち、上記のような導電率の高い塩は系内で特に移動しやすいため、当該導電率の高い塩が連続相に導入されていればイオンの偏りが非常に大きくなり、連続使用時の抵抗上昇が導電率の低い塩に比べて著しく大きくなりやすい。
【0018】
本発明の導電性ロールにおいては、導電性弾性層が、
連続相と、導電剤を1〜20重量%含有するエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体で構成されている非連続相の2相からなる場合と、
連続相と、導電剤を1〜20重量%含有するエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体で構成されている第1非連続相と、エチレンプロピレンジエン共重合ゴム(以下、「EPDM」という。)で構成されている第2非連続相の3相からなる場合とがある。
【0019】
前記した3相とする場合は、導電剤を含有しない非連続相としてEPDMで構成されている非連続相が存在することにより、本発明の導電性ロールに耐オゾン性を付与することができるという利点がある。
また、第1非連続相、第2非連続相および連続相が各々2種以上のポリマーからなっていても良いし、各々が細かく複数の相に分かれていても、本発明の趣旨と効果が満たされていれば構わない。
【0020】
さらに、導電剤を含有するEO−PO−AGE共重合体で構成されている第1非連続相)と、EPDMで構成されている第2非連続相が存在する場合、第1非連続相で第2非連続相を取り囲むように存在させることが好ましい。
なお、本発明における連続相および非連続相の相構造は、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)式の走査型プローブ顕微鏡(SPM)の位相モード等で観察することができる。
【0021】
また、前記連続相と、第1、第2非連続相の3相とする場合は、これら3相のポリマーの合計100質量部に対して、前記イオン導電剤を含有させた第1非連続層のポリマーが1〜25質量部、エチレンプロピレンジエン共重合ゴムからなる第2非連続層のポリマーが5〜30質量部とすることが好ましい。
【0022】
前記構成とすることにより、導電性をあまり大きく損なうことなく、導電剤を含有する第1非連続相の割合を抑えることができる。その結果、導電剤の配合量を少なくしても本発明の導電性ロールにおいては低い電気抵抗値を維持することができる。
なお、各相のポリマーと導電剤との親和性は、各相のポリマーの後述する体積抵抗率や導電剤を含んだ状態での各相のポリマーの体積抵抗率から評価し、これらの体積抵抗率が低い程ポリマーと導電剤の親和性が高いと言える。
【0023】
前記EO−PO−AGE共重合体の体積抵抗率をR1、連続相を構成するポリマーの体積抵抗率をR2とすると、0.2≦log10R2−log10R1≦5であることが好ましい。より好ましくは0.5≦log10R2−log10R1≦4、さらに好ましくは1≦log10R2−log10R1≦3である。
上記式の値が0.2より小さいと連続相に導電剤が移行しやすくなるためである。一方、上記式の値が5より大きいと全体として低抵抗を実現しにくくなるためである。
【0024】
連続相を構成するポリマーとしては、上記のような条件を満たすポリマーのなかでも、アクリロニトリルブタジエンゴム(以下、NBRという。)が好ましく、なかでも低ニトリルNBRあるいは/および中高ニトリルNBRがより好ましい。連続相においてNBRを用いることにより、全体として極力低い抵抗値とすることができる上に、導電剤の移行や連続通電時の抵抗上昇を防ぐことができる。なお、連続相の材料としては低ニトリルNBRが特に好ましい。低ニトリルNBRはある程度電気抵抗値が低く、かつTgが低いため室温付近での粘弾性の温度依存性が小さく、それによって電気抵抗値の環境依存性を小さくすることのできるからである。また、連続相を構成するポリマーのTgとしては−40℃以下が好ましく、−50℃以下がより好ましい。
【0025】
更に、本発明の導電性弾性層には、前記連続相と非連続相のポリマー100質量部に対して、加硫剤を0.5〜5質量部、カーボンを1〜10質量部、発泡剤を3〜12質量部、炭酸カルシウム等の無機充填剤を10〜60質量部を配合することが好ましい。
【0026】
本発明の導電性ロールは、前記構成としていることにより、連続通電時の抵抗の上昇を防止することができる。その指標として、23℃、相対湿度55%の環境下でのロール抵抗値R[Ω]と、1000Vの定電圧を100時間連続印加したときの同環境下でのロール抵抗値R100[Ω]とが、log10R100−log10R≦0.5の関係を有していることが好ましい。前記式の値が0.5を超えると、連続通電時の抵抗の上昇が大きくなり、実用に支障をきたす恐れが生じるためである。
【0027】
本発明の導電性ロールは電気抵抗値が低くいため、カラー用電子写真装置の転写ベルトや転写ロールなど比較的低い電気抵抗値が要求される用途にも対応できる。
具体的には、23℃、相対湿度55%の環境下でのロール抵抗値R[Ω]がlog10
R<0.9であることが好ましい。ロール抵抗値が前記範囲より大きいと、導電性部材等とした際に良好な導電性が得られず、実用に適さなくなるためである。
【0028】
本発明の導電性ロールは電気抵抗の環境依存性が低い。その指標として、10℃相対湿度20%の環境下でのロール抵抗値RLL[Ω]と、32℃相対湿度80%の条件下でのロール抵抗値RHH[Ω]とが、Δlog10R=log10RLL−log10RHH≦1.5の関係を有していることが好ましい。
これは、ロール抵抗値の環境依存性の指標値が1.5より大きいと、環境の変化による抵抗値の変化が大きいためにより大きな電源を必要とし、かかる導電性ロールを用いた電子写真装置の消費電力や製品コストが上昇してしまうためである。
【0029】
さらに、本発明の導電性ロールは、JIS K 6262に記載の加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの永久ひずみ試験法に従い、測定温度70℃、測定時間22時間、圧縮率25%の条件で測定した圧縮永久ひずみが30%以下であることが好ましい。
これは圧縮永久ひずみが30%より大きいと、寸法変化が大きくなりすぎて実用に適さないためである。なお、より好ましくは25%以下であり、小さければ小さいほど良い。
【0030】
本発明の導電性ロールの用途は特に限定されないが、複写機、プリンタまたはファクシミリなどの画像形成装置における中間転写ロールとして好適に用いられる。本発明の導電性ロールは、その他、感光ドラムを一様に帯電させるための帯電ロール、トナーを感光体に付着させるための現像ロール、トナーを搬送させるためのトナー供給ロール、転写ベルトを内側から駆動するための駆動ロール等として用いることもできる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る導電性ロールの導電弾性層は、連続相と1相または2相以上の非連続相を備えている。このようにモルフォルジーを制御すると共に、イオン導電剤をEO−PO−AGE共重合体からなる非連続相に偏在させ、連続相とは独立させているため、イオンの偏りが生じにくなり、連続通電時の抵抗上昇を防ぎながら実用に必要な低電気抵抗値を得ることができる。そして、連続通電時の抵抗上昇が少ないことが耐久性の向上、製品寿命の延長という効果をもたらす。
【0032】
本発明に係る導電性ロールにおいては電気抵抗の環境依存性も低く抑えられており、安定した作動性が得られるなど品質の向上が図られている。
本発明に係る導電性ロールにおいては導電剤の製品外への移行を抑えることができ、本発明に係る導電性ロールが接触する部材の汚染、変質、破壊を防ぐことができる。
以上のような効果を有する本発明の導電性ロールを電子写真装置の現像ロール、帯電ロールまたは転写ロール等に用いることにより安定して良好な画像を形成することができる。ゆえに、本発明の導電性ロールは高画質を要求されるカラー複写機あるいはカラープリンタ用の導電性ロールとして特に適している。
【0033】
なかでも、導電弾性層においてはイオン導電剤を含有していない第2非連続相を設け、イオン導電剤を偏在させた第1非連続相で第2非連続相を取り囲むような構造にすることにより、導電性をあまり大きく損なうことなく導電剤を偏在させた第1非連続相の体積分率を抑えることができる。すなわち、イオン導電剤を包含する第1非連続相のポリマーの添加量を少なくしても、全体として低い電気抵抗値を得ることができる。本発明において好適に用いられる導電剤であるフルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は高価であるため、この塩の添加量を少なくすることでコスト上昇を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の導電性ロールについて詳述する。
図1に示すように、導電性ロール10は、円筒状の導電弾性層11の中空部に芯金12を圧入して取り付けている。芯金12としてはアルミニウム、アルミニウム合金、SUSもしくは鉄等の金属製またはセラミック製等の芯金が挙げられる。
【0035】
前記導電性ロール10の第1実施形態の導電弾性層11の構造を図2の模式図に示す。
該導電弾性層11は連続相1と、第1非連続相2、第2非連続相3とからなり、3つの相は海−島構造を呈している。第1非連続相2および第2非連続相3は連続相1中にほぼ均一に存在し、かつ、第1非連続層2は第2非連続相3を取り囲むように存在している。体積分率は連続相1>第2非連続相3>第1非連続相2となっている。
【0036】
図3は、第2実施形態の導電弾性層11を示し、該導電弾性層11は1相の連続相1’と1相の第1非連続相2’とからなり、連続相1’と第1非連続相2’とは海−島構造を呈している。体積分率は連続相1’>第1非連続相2’となっている。
【0037】
図2および図3に示されたいずれの態様においても、第1非連続相2,2’はイオン導電剤を1〜20重量%含有するEO−PO−AGE共重合体で構成している。EO−PO−AGE共重合体としてはEO:PO:AGE=90:4:6である共重合体を用いることが好ましい。
一方、連続相1,1’および第2非連続相3にはイオン導電剤が添加しておらず、連続相1、1’を構成するポリマーとして低ニトリルNBRを用い、第2非連続相3を構成するポリマーとして低極性の耐オゾン性ゴムであるEPDMを用いている。
【0038】
図2に示す第1実施態様において、低ニトリルNBRからなる連続相1は60〜80質量部(好ましくは70質量部)、導電剤を1〜20重量量%含有するEO−PO−AGE共重合体からなる第1非連続相2は1〜25質量部(好ましくは10質量部) EPDMからなる第2非連続相3は5〜30質量部(好ましくは20質量部)としている。
図3に示す第2実施形態においては、第1非連続相2は20〜40質量部、連続相1は60〜80質量部としている。
【0039】
前記第1非連続相2に1〜20重量%配合するイオン導電剤としては、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩であるリチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウム−トリフルオロメタンスルホネートまたはリチウム−トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンを用いている。これら陰イオンを備えた塩を用いることにより電気抵抗値の環境依存性を良好とすることができ、さらに解離度が非常に大きい点や非連続相を構成するEO−PO−AGE共重合体との相容性が高い点からも好ましい。
【0040】
前記第1非連続相2で用いるEO−PO−AGE共重合体は、導電性ロールの物性(圧縮永久ひずみや硬度)を維持しながら電気抵抗値を低減できるように共重合比率を設定しており、前記共重合体中、エチレンオキサイド比率は55モル%以上95モル%以下としている。イオン導電性が発揮されるのは、ポリマー中のオキソニウムイオンや金属陽イオン等(例えば導電剤中のリチウムイオン等)がエチレンオキサイドユニットやプロピレンオキサイドユニットで安定化され、その部分の分子鎖のセグメント運動により運搬されることによる。なお、一般にはエチレンオキサイドユニットの方がプロピレンオキサイドユニットよりもイオン安定化力が高い。よって、エチレンオキサイドユニットの比率が55モル%以上95モル%以下と高い方が多くのイオンを安定化でき、より低抵抗化することができる。
【0041】
前記導電剤はEO−PO−AGE共重合体に予め混合しており、混合方法は公知の手法を用いることができる。例えば、ヘンシェルミキサーまたはタンブラー等でドライブレンドを行った後、導電剤とEO−PO−AGE共重合体を含むブレンド物を、単軸もしくは二軸押出機、バンバリーミキサーまたはニーダー等で溶融混合を行う等の方法を用いることができる。ポリマーの劣化を防ぐ等の目的で必要に応じて窒素などの不活性ガス雰囲気下で混合を行ってもよい。
【0042】
本発明では導電剤として塩を用いた場合、添加する塩から生じるイオンの一部を陰イオン吸着剤等を用いてシングルイオン化し、導電性の安定や少量添加時の導電性向上を図ることができる。前記陰イオン吸着剤としては、MgとAlを主成分とする合成ハイドロタルサイト、Mg−Al系,Sb系もしくはCa系等の無機イオン交換体やアニオンを連鎖中に固定するイオン席を有する(共)重合体等の公知の化合物が有用である。
【0043】
さらに、本発明の導電性弾性層では加硫剤、発泡剤、無機充填剤、カーボン等を配合している。
添加する前記加硫剤としては、特に低電気抵抗を実現できるため硫黄が好ましい。また、加硫とともに発泡を行う場合には加硫速度と発泡速度のバランスが良くなる点からも硫黄を用いるのが好ましい。
その他、加硫剤としては有機含硫黄化合物や過酸化物なども使用可能であり、これらを併用することも、これらと硫黄を併用することもできる。特にEPDMを上記第2非連続相を構成するポリマーとして用いた場合、過酸化物によればこれらのゴムからなる相を効果的に加硫することができる。有機含硫黄化合物としては、例えばテトラエチルチウラムジスルフィドまたはN,N−ジチオビスモルホリンなどが挙げられる。過酸化物としてはジクミルペルオキシドまたはベンゾイルペルオキシド等を挙げることができる。
加硫剤の添加量は、ポリマー成分100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下、好ましくは1質量部以上3質量部以下である。
【0044】
さらに、加硫促進剤を配合してもよく、加硫促進剤としては、消石灰、マグネシア(MgO)もしくはリサージ(PbO)等の無機促進剤や以下に記す有機促進剤を用いることができる。有機促進剤としては、2−メルカプト・ベンゾチアゾールもしくはジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドもしくはジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系;チオウレア系等が挙げられ、これらを単独でまたは適宜組み合わせて用いることができる。
加硫促進剤の添加量は、ポリマー成分100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下、好ましくは1質量部以上4質量部以下である。
【0045】
さらに、加硫促進助剤を配合しても良く、加硫促進助剤としては、亜鉛華等の金属酸化物;ステアリン酸、オレイン酸もしくは綿実脂肪酸等の脂肪酸;その他従来公知の加硫促進助剤が挙げられる。
【0046】
さらに、前記したように、柔軟性等の付与のため化学発泡剤を配合しており、該発泡剤の添加量はポリマー成分100質量部に対して3質量部以上12質量部以下としている。
また、機械的強度を向上させる等の目的のため、電気特性や他の物性を損なわない範囲で必要に応じて無機充填剤を配合している。該充填剤としては、シリカ、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムまたは水酸化アルミニウム等の粉体を挙げることができる。充填剤の添加量はポリマー100質量部に対し60質量部以下としている。
その他、オイル等の軟化剤、老化防止剤等を配合することもできる。
【0047】
本実施形態では、カーボンブラックを5質量部、軽質炭酸カルシウムを20質量部、加硫剤として粉末硫黄を1.5質量部、2種の加硫促進剤を各々1.5質量部、0.5質量部、発泡剤を6質量部、発泡助剤を6質量部配合している。
【0048】
なお、本発明の導電性ロールの導電弾性層は、塩素または臭素を有する成分を用いないで非塩素系および非臭素系とすることがより好ましい。具体的には、ポリマーとして塩素・臭素を含まない材料を用いると共に、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウムあるいは過塩素酸第4級アンモニウム塩等の塩素・臭素を含む塩を用いず、組成物全体として非塩素、非臭素系の組成物とすることで、導電性ロールの芯金等の金属表面を腐食したり、発錆させたり、あるいは汚染したりするおそれがなくなる。さらに、使用後の焼却処理等も非常に行いやすく、環境に優しい製品とすることができる。
しかし、塩素等のハロゲンを含むポリマーを使用する場合もある。この場合、その添加量を極力抑え、ポリマーの脱塩化水素反応による劣化や混練機が錆びるのを防ぐためハイドロタルサイト等の受酸剤を配合することが好ましい。
【0049】
以下に、導電性ロール10は製造方法を説明する。
まず、イオン導電剤とEO−PO−AGE共重合体とを混練機を用いて60℃の温度下で3分間混練する。得られた混練物に低ニトリルNBR、EPDM、その他各種配合剤を配合し、再度60℃の温度下で4分間オープンロールまたは密閉式混練機等で混練し導電性ポリマー組成物を作製する。
【0050】
この導電性ポリマー組成物をφ60mmの単軸押出機に投入し60℃で中空チューブ状に押し出して予備成形し、この生ゴムチューブを所定寸法に裁断して予備成形体を得る。この予備成形体を加圧水蒸気式加硫缶に投入し、発泡させる場合は化学発泡剤がガス化して発泡すると共にゴム成分が架橋する温度(160℃)で15〜70分間加硫して加硫ゴムチューブを得る。加硫条件はキュラストメーター等により測定し、95%トルク上昇時間t95[分]程度を目安に適宜調整する。
なお、感光体などの他の部材の汚染を防ぎかつ圧縮永久ひずみを低減させるため、なるべく充分な加硫量を得られるように条件を設定することが望ましい。
【0051】
また、発泡倍率は100%以上500%以下、好ましくは150%以上300%以下であり、JIS K 6253に記載のタイプEデュロメータで測定した硬度が60度以下、好ましくは40度以下の発泡層を有する発泡ロールとすることが好ましい。
芯金12を用意し、その外周面にホットメルト接着剤を塗布した後、先に得られた加硫ゴムチューブに芯金を挿入し、加熱し接着した後、表面を研磨して導電弾性層11を目標寸法に仕上げる。
【0052】
「実施例」
以下、本発明の導電性ロールについて実施例および比較例を示して説明する。
(実施例1〜5、比較例1〜6)
EO:PO:AGE=90:4:6であるEO−PO−AGE共重合体とイオン導電剤とを混練機を用いて60℃の温度下3分間混練した。このとき、導電剤の配合量が0.5重量%、1.0重量%、10重量%、20重量%、25重量%である5種の混練物を作製した。
得られた混練物に低ニトリルNBR、EPDM、その他各種配合剤を表1に示す量で配合し、再度60℃の温度下で4分間オープンロールまたは密閉式混練機を用いて混練し、導電性ポリマー組成物を作製した。ただし、比較例5においては導電剤とEO−PO−AGE共重合体の混練物を配合しなかった。
【0053】
この導電性ポリマー組成物をφ60mmの単軸押出機に投入し60℃で中空チューブ状に押し出して予備成形し、この生ゴムチューブを所定寸法に裁断して予備成形体を得た。この予備成形体を加圧水蒸気式加硫缶に投入し、発泡剤をガス化させ発泡させると共に、ゴム成分が架橋する温度(160℃)で30分間加硫して加硫ゴムチューブを得た。
芯金を用意し、その外周面にホットメルト接着剤を塗布した後、先に得られた加硫ゴムチューブに芯金を挿入し、加熱し接着した後、表面を研磨して導電弾性層を目標寸法に仕上げた。導電性ロールの導電弾性層の寸法は、内径6mm、外径14mm、長さ230mmとした。
得られた導電性ロールにおいては、低ニトリルNBRが連続相を、導電剤を含有しているEO−PO−AGE共重合体が第1非連続相を、EPDMが第2非連続相を形成していた。
【0054】
【表1】

【0055】
表中の各成分については下記製品を用いた。
・NBR;日本ゼオン(株)製「ニッポール401LL」(ガラス転位温度−52℃)
・EPDM;三井化学(株)製「EPT4045」
・EO−PO−AGE共重合体;日本ゼオン(株)製「ZSN8030」(ガラス転位温度−63℃)
・導電剤;リチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドまたはリチウム−トリフルオロメタンスルホネート
・充填剤1;HAFカーボン(東海カーボン(株)製「シースト3」)
・充填剤2;軽質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製)
・発泡剤;永和化成工業(株)製「ビニホールAC#3」
・発泡助剤;永和化成工業(株)製「セルペースト101」
・加硫剤;粉末硫黄(鶴見化学工業(株)製)
・加硫助剤1;大内新興化学工業(株)製「ノクセラ−DM」
・加硫助剤2;大内新興化学工業(株)製「ノクセラ−TS」
【0056】
(ロール抵抗値)
温度23℃、相対湿度55%雰囲気下で、図4に示すように芯金42を通した導電弾性層41をφ30のアルミドラム43上に当接搭載し、電源44の+側に接続した内部抵抗r(100Ω〜10kΩ)の導線の先端をアルミドラム43の一端面に接続すると共に電源44の−側に接続した導線の先端を導電弾性層41の他端面に接続して通電を行った。芯金42の両端部に500gずつの荷重Fをかけ、芯金42とアルミドラム43間に1000Vの電圧をかけながらアルミドラム43を回転させることで間接的に導電性ロール40を回転させた。このとき周方向に36回抵抗測定を行い、その平均値を求めた。内部抵抗の値はロールの抵抗値のレベルにあわせて測定値の有効数字が極力大きくなるように調節した。この図4の装置で、印加電圧をEとするとロール抵抗値RはR=r×E/V−rとなるが、今回−rの項は微小とみなしR=r×E/Vとし、内部抵抗rにかかる検出電圧Vよりロール抵抗値Rを算出した。表中には、そのロール抵抗値の平均値の常用対数値を用いて示している。本発明においては、ロール抵抗値の平均値の常用対数値log10Rが9.0未満であることが好ましい
【0057】
(ロール抵抗値環境依存性)
実施例および比較例で作製した導電性ロールについて、10℃相対湿度20%(LL環境)と32℃相対湿度80%(HH環境)の環境下において上記と同様にしてロール抵抗値を測定した。そして、10℃相対湿度20%の環境下でのロール抵抗値RLL[Ω]と32℃相対湿度80%の条件下でのロール抵抗値RHH[Ω]とから、Δlog10R=log10RLL−log10RHHの式に従い環境依存性の数値を算出した。この値が1.5以下であることが好ましい。
【0058】
(連続通電時の抵抗上昇)
23℃、相対湿度55%の環境下でロール抵抗値の測定時と同様の状態でロールに1000Vの定電圧を100時間連続印加した。初期のロール抵抗値Rと100時間印加後のロール抵抗値R100の値を上記と同様にして測定し、これらの値を用いて連続通電時の抵抗上昇量:log10R100−log10Rを計算した。この値が0.5以下であることが好ましい。なお、アルミドラムの回転数が30rpm、径が30mmφのため、回転時の線速度は94mm/分となる。
【0059】
(圧縮永久ひずみ)
実施例および比較例で作製した導電性ロールを10mm幅で端面に平行にカットした円柱状の試験片を用いて、JIS K 6262に記載の加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの永久ひずみ試験方法に従い、測定温度70℃、測定時間22時間、圧縮率25%の条件で圧縮永久ひずみを測定した。この圧縮永久ひずみの値が30%を越える場合は、ロールになったときの寸法変化が大きくなりすぎて実用に適さなくなる可能性が高い。
【0060】
(オゾン劣化)
実施例および比較例で作製した導電性ロールを10mm幅で端面に平行にカットした円柱状の試験片を25%圧縮させ、40℃で濃度5ppmのオゾン雰囲気下に96時間放置した後、亀裂の有無を目視で確認した。亀裂が見られなかったものを「○」、亀裂の見られたものを「×」と評価した。
【0061】
表1から明らかなように、本発明の導電性ロールは、ロール抵抗値が低く、ロール抵抗値の環境依存性も低減されており、圧縮永久ひずみも小さく、耐オゾン性に優れ、かつ連続通電時の抵抗上昇も少ないことがわかる。
しかし、比較例1の導電性ロールはロール抵抗値の環境依存性が大きく、比較例2の導電性ロールは連続通電時の抵抗上昇が大きく、比較例3および6の導電性ロールは圧縮永久ひずみが大きく、比較例4の導電性ロールは耐オゾン性において劣っており、比較例5の導電性ロールはロール抵抗値が十分に低くなく、かつロール抵抗値の環境依存性も大きい。このように比較例で作成した導電性ロールは実用上何らかの問題を有している。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の導電性ロールの概略図である。
【図2】本発明の導電性ロールの導電弾性層の第1実施形態を示す模式図である。
【図3】本発明の導電性ロールの導電弾性層の第2実施形態を示す模式図である。
【図4】ロール抵抗値の測定装置の概略図である。
【符号の説明】
【0063】
1、1’ 連続相
2,2’ 第1非連続相
3 第2非連続層
10 導電性ロール
11 導電弾性層
12 芯金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金と該芯金の表面に導電性弾性層を備えた導電性ロールであって、
前記導電性弾性層が連続相と1相または2相以上の非連続相とからなり、
イオン導電剤を、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体から構成する前記非連続層のみに1〜20重量%の割合で予め混合して含有させ、かつ、
前記連続相を構成するポリマーと非連続相を構成するポリマーの合計100質量部に対して、前記連続相を構成するポリマーの含有量を60質量部以上80質量部未満とすると共に、前記導電剤を1〜20重量%含有するエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体の含有量が1質量部以上25質量部以下としていることを特徴とする導電性ロール。
【請求項2】
前記エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体に含有される前記導電剤が、フルオロ基またはスルホニル基を含有しているイオン導電剤である請求項1に記載の導電性ロール。
【請求項3】
前記導電性弾性層が、前記連続相と、前記導電剤を1〜20重量%含有するエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体から構成される非連続相の2相からなる請求項1または請求項2に記載の導電性ロール。
【請求項4】
前記導電性弾性層が、前記連続相と、前記導電剤を1〜20重量%含有するエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体から構成される第1非連続相と、エチレンプロピレンジエン共重合ゴムから構成させる第2非連続相の3相からなり、
前記連続相を構成するポリマーと前記第1、第2非連続相を構成するポリマーの合計100質量部に対して、前記第1非連続層のポリマーが1〜25質量部であり、エチレンプロピレンジエン共重合ゴムからなる第2非連続層のポリマーが5〜30質量部である請求項1または請求項2に記載の導電性ロール。
【請求項5】
連続相を構成するポリマーがアクリロニトリルブタジエンゴムである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の導電性ロール。
【請求項6】
23℃、相対湿度55%の環境下でのロール抵抗値R[Ω]と、1000Vの定電圧を100時間連続印加したときの同環境下でのロール抵抗値R100[Ω]とが、log10R100−log10
R≦0.5の関係を有している請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の導電性ロール。
【請求項7】
70℃、25%圧縮時の圧縮永久ひずみが30%以下である請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の導電性ロール。
【請求項8】
画像形成装置における帯電ロール、現像ロール、トナー供給ロール、転写ロールとして用いられる請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の導電性ロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−105374(P2006−105374A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296947(P2004−296947)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】