説明

導電性部材及びそれを有するプロセスカートリッジ、並びに、そのプロセスカートリッジを有する画像形成装置

【課題】環境条件において長期間にわたって使用しても、像担持体と導電性部材との間に安定した空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることができると共に、耐久性を向上させた導電性部材を提供する。
【解決手段】導電性支持体1と、該導電性支持体1上に形成された高分子型イオン導電剤を含有する電気抵抗調整層2と、該電気抵抗調整層2の両端部に形成された段差形成部材5,5と、を有する導電性部材10において、JIS Z 0208で測定した透湿度が50g/m2 ・d以下である少なくとも1層の防湿層3が前記電気抵抗調整層2の表面に設けられているものとする。このような防湿層3が前記電気抵抗調整層2の表面に設けられていると、高温高湿時であっても、水による防湿層3への透過を低下させることができるので、水が前記電気抵抗調整層2における高分子型イオン導電剤に吸収されて、該電気抵抗調整層2が寸法変動を起こすということがなく、そのために、像担持体と導電性部材(帯電ローラ)との間に形成された空隙が変動するのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において用いられる導電性部材及びそれを有するプロセスカートリッジ、並びに、そのプロセスカートリッジを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体(感光体ドラム)に対して帯電処理を行う帯電部材、及び、感光体上のトナーに対して転写処理を行う転写部材として、導電性部材が用いられている。図5は、従来の帯電ローラを有する電子写真方式の画像形成装置の説明図である。
【0003】
図5において、120は、従来の電子写真方式の画像形成装置である。従来の電子写真方式の画像形成装置120は、静電潜像が形成される像担持体101、像担持体101に接触して帯電処理を行う帯電ローラ102、レーザ光等の露光手段103、像担持体101の静電潜像にトナーを付着させる現像ローラ104、帯電ローラ102にDC電圧を印加するためのパワーパック105、像担持体101上のトナー像を記録紙107に転写処理する転写ローラ106、転写処理後の像担持体101をクリーニングするためのクリーニング装置108、及び、像担持体101の表面電位を測定する表面電位計109から構成されている。
【0004】
また、従来の電子写真方式の画像形成装置120は、プロセスカートリッジ着脱方式の装置となっている。即ち、従来の電子写真方式の画像形成装置120は、像担持体101、帯電ローラ102、現像ローラ104、及び、クリーニング装置108を含むプロセス機器を一括して画像形成装置本体に対して着脱自在のプロセスカートリッジ110としている。このプロセスカートリッジ110は、少なくとも、像担持体101及び帯電ローラ102を備えていればよい。このプロセスカートリッジ110は、画像形成装置に対して所定の箇所に装着されることにより、画像形成装置本体側の駆動系及び電気系と接続状態となる。なお、図5では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、本明細書において必要としないので、省略してある。
【0005】
次に、従来の電子写真方式の画像形成装置120の基本的な作像動作について説明する。
【0006】
像担持体101に接触された帯電ローラ102に対してDC電圧をパワーパック105から給電すると、像担持体101の表面は、一様に高電位に帯電する。その直後に、画像光が像担持体101の表面に露光手段103により照射されると、像担持体101の照射された部分は、その電位が低下する。このような帯電ローラ102による像担持体101の表面への帯電メカニズムは、帯電ローラ102と像担持体101との間の微少空間におけるパッシェンの法則に従った放電であることが知られている。
【0007】
画像光は、画像の白/黒に応じた光量の分布であるので、かかる画像光が照射されると、画像光の照射によって像担持体101の面に記録画像に対応する電位分布、即ち、静電潜像が形成される。このように静電潜像が形成された像担持体101の部分が現像ローラ104を通過すると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電画像を可視像化したトナー像が形成される。かかるトナー像が形成された像担持体101の部分に、記録紙107が所定のタイミングでレジストローラ(図示せず)により搬送され、前記トナー像に重なる。そして、このトナー像が転写ローラ106によって記録紙に転写された後、該記録紙107は、像担持体101から分離される。分離された記録紙107は、搬送経路を通って搬送され、定着ユニット(図示せず)によって、加熱定着された後、機外へ排出される。このようにして転写が終了すると、像担持体101は、その表面がクリーニング装置108によりクリーニング処理され、さらに、クエンチングランプ(図示せず)により、残留電荷が除去されて、次回の作像処理に備えられる。
【0008】
従来の帯電ローラを用いた帯電方式には、像担持体に帯電ローラを接触させる接触帯電方式のものがある(特許文献1,2を参照。)が、このような従来の接触帯電方式には、
(1)帯電ローラを構成している物質が帯電ローラから染み出し、これが被帯電体の表面に付着移行して帯電ローラ跡を残すこと、
(2)帯電ローラに交流電圧を印加したときに、被帯電体に接触している帯電ローラが振動するので、帯電音が発生すること、
(3)像担持体上のトナーが帯電ローラに付着する(特に、上述の染み出しによって、よりトナー付着がおこりやすくなる。)ので、帯電ローラの帯電性能が低下すること、
(4)帯電ローラを構成している物質が像担持体へ付着すること、及び、
(5)像担持体を長期停止したときに、帯電ローラが永久変形すること、
といった問題があった。
【0009】
このような問題を解決する技術として、帯電ローラを像担持体に近接させるようにした近接帯電方式による帯電装置(特許文献3,4を参照。)が提案されている。この近接帯電方式による帯電装置は、帯電ローラを像担持体に最近接距離(50〜300μm)になるように対向させて、帯電ローラに電圧を印加することにより、像担持体の帯電を行うようにしたものである。この近接帯電方式による帯電装置では、ローラと像担持体とが接触していないので、従来の接触帯電方式による帯電装置において問題となっていた、帯電ローラを構成している物質が像担持体へ付着すること、及び、像担持体が長期停止したときに永久変形すること、といった問題はない。また、この近接帯電方式による帯電装置では、帯電ローラに付着するトナーが少なくなるので、像担持体上のトナー等が帯電ローラに付着することが少ない。したがって、近接帯電方式による帯電装置は、優れた帯電装置といえる。
【0010】
前記特許文献3,4に記載された近接帯電方式による帯電装置では、帯電ローラと像担持体との間に空隙を保持するために、スペーサリング層が帯電ローラの両端部に設けられている。しかしながら、これらの近接帯電方式による帯電装置では、空隙を精密に設定する工夫がなされていないので、帯電ローラ及びスペーサリングの寸法精度がばらつくことによって空隙が変動し、そのために、像担持体の帯電電位が変動し、よって、画像形成時に白地にトナーが付着して画像不良が発生する、という問題があった。
【0011】
かかる問題を解決するために、所定の厚みを持ったテープ状の空隙保持手段を備えた帯電装置(特許文献5を参照。)が提案されたが、このテープ状の空隙保持手段を備えた帯電装置では、これを長期間にわたって使用すると、テープ状の空隙保持手段が磨耗し、また、帯電ローラとテープ状の空隙保持手段との間にトナーが進入し固着するので、像担持体の表面と帯電ローラの表面との間に空隙を保持できないという問題があった。また、このテープ状の空隙保持手段を備えた帯電装置では、テープ状の空隙保持手段の厚みがばらつくので、像担持体の表面と帯電ローラの表面との間の空隙を高精度に形成することができないという問題もあった。
【0012】
図6は、このような問題を解決するために、本発明者らが提案した導電性部材(特許文献6を参照。)である。図6に示すように、本発明者らが提案した導電性部材(帯電部材)210は、導電性支持体201と、該導電性支持体201上に形成された電気抵抗調整層202と、該電気抵抗調整層202の両端に形成された段差形成部材(スペース部材)203と、を有している。そして、前記段差形成部材は、(イ)デュロメータ硬さ:HDD30〜HDD70、及び、(ロ)テーバー式磨耗試験機の磨耗質量:10mg/1000サイクル以下、を満たす熱可塑性樹脂で構成されている。また、かかる段差形成部材(空隙保持部材)と電気抵抗調整層とを同時除去加工を行うことにより、像担持体の表面と帯電ローラの表面との間の空隙を精密に制御する技術(特許文献7を参照。)も提案された。
【0013】
このような導電性部材210においては、段差形成部材(スペース部材)203を構成する樹脂として、分子量100万以上のポリオレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂が用いられて、また、電気抵抗調整層202を構成する樹脂組成物として、ポリエーテルエステルアミドのような電気抵抗調整剤として作用する高分子型イオン導電剤を含有する熱可塑性樹脂組成物が用いられているが、この電気抵抗調整層202は、吸水性の高い高分子型イオン導電剤を含有しているので、高温高湿時に吸湿して、寸法変動を起こすのに対して、段差形成部材203は、分子量100万以上のポリオレフィン系樹脂のような低給水性の熱可塑性樹脂で構成されているので、電気抵抗調整層202に比べ、高温高湿時に吸湿して起こす寸法変動の量は極めて小さい。したがって、従来の導電性部材210においては、電気抵抗調整層202と段差形成部材203との間に吸水性の違いによる寸法変動の差が生じ、そのために、像担持体(図3における6を参照。)と導電性部材(帯電部材)210との間に形成された空隙(図3におけるGを参照。)が環境変動によって変動するといった問題があった。
【特許文献1】特開昭63−149668号公報
【特許文献2】特開平1−267667号公報
【特許文献3】特開平3−240076号公報
【特許文献4】特開平4−358175号公報
【特許文献5】特開2001−296723号公報
【特許文献6】特開2004−354477号公報
【特許文献7】特開2005−91818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0015】
即ち、本発明は、環境条件において長期間にわたって使用しても、像担持体と導電性部材との間に安定した空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることができると共に、耐久性を向上させた導電性部材及びそれを有するプロセスカートリッジ、並びに、そのプロセスカートリッジを有する画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された高分子型イオン導電剤を含有する電気抵抗調整層と、該電気抵抗調整層の両端部に形成された段差形成部材と、を有する導電性部材において、JIS Z 0208で測定した透湿度が50g/m2 ・d以下である少なくとも1層の防湿層が、前記電気抵抗調整層の表面に設けられていることを特徴とする導電性部材である。
【0017】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記電気抵抗調整層が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)、及び、ポリスチレン共重合体(AS、ABS)から選ばれる熱可塑性樹脂、或いは、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール、ポリウレタン、及び、フッ素樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂で構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記高分子型イオン導電剤が、ポリエーテルエステルアミドを主成分とする樹脂であることを特徴とするものである。
【0019】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載された発明において、前記電気抵抗調整層の体積固有抵抗が、106 〜109 Ωcmであることを特徴とするものである。
【0020】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された発明において、前記防湿層が、アクリル系エマルジョン、塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデン系共重合体エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、及び、SBR系エマルジョンから選ばれる合成樹脂エマルジョンの塗布膜で構成されていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載された発明において、前記防湿層の体積固有抵抗が、前記電気抵抗調整層の体積固有抵抗より大きいことを特徴とするものである。
【0022】
請求項7に記載された発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載された発明において、非トナー付着性の樹脂材料で構成される表面層が、前記防湿層の表面に設けられていることを特徴とするものである。
【0023】
請求項8に記載された発明は、請求項7に記載された発明において、前記表面層を構成する非トナー付着性の樹脂材料が、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド樹脂、及び、ポリエステルから選ばれる樹脂材料であることを特徴とするものである。
【0024】
請求項9に記載された発明は、請求項7又は8に記載された発明において、前記防湿層の厚さが、前記表面層の厚さよりも薄いことを特徴とするものである。
【0025】
請求項10に記載された発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載された発明において、前記段差形成部材の少なくとも像担持体と当接する部分が、電気絶縁性樹脂材料で構成されていることを特徴とするものである。
【0026】
請求項11に記載された発明は、請求項10に記載された発明において、前記段差形成部材の体積固有抵抗が、1013Ω・cm以上であることを特徴とするものである。
【0027】
請求項12に記載された発明は、請求項1〜11のいずれか1項に記載された発明において、前記段差形成部材の外周面が像担持体と当接したときに、該像担持体の外周面と前記導電性部材の外周面との間に一定間隔の空隙が形成されるように、該電気抵抗調整層の外周面に対する前記段差形成部材の外周面の高低差が設けられていることを特徴とするものである。
【0028】
請求項13に記載された発明は、請求項12に記載された発明において、前記電気抵抗調整層の外周面に対する前記段差形成部材の外周面の高低差が、前記導電性支持体上に設置された該段差形成部材の外周面と前記導電性支持体上に設置された該電気抵抗調整層の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されていることを特徴とするものである。
【0029】
請求項14に記載された発明は、請求項1〜13のいずれか1項に記載された発明において、前記導電性部材が円筒形状であることを特徴とするものである。
【0030】
請求項15に記載された発明は、請求項1〜14のいずれか1項に記載された発明において、前記導電性部材を帯電部材としたことを特徴とするものである。
【0031】
請求項16に記載された発明は、請求項15に記載の帯電部材が被帯電体上に近接配置されるように設けられていることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0032】
請求項17に記載された発明は、請求項16に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0033】
請求項1,2に記載された発明によれば、JIS Z 0208で測定した透湿度が50g/m2 ・d以下である少なくとも1層の防湿層が、前記電気抵抗調整層の表面に設けられているので、電気抵抗調整層の吸湿による寸法変化を防止することができ、そのために、環境条件において長期間にわたって使用しても、像担持体と導電性部材との間に安定した空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることができると共に、耐久性を向上させた導電性部材を提供することができる。
【0034】
請求項3に記載された発明によれば、前記高分子型イオン導電剤がポリエーテルエステルアミドを主成分とする樹脂であるので、像担持体(感光体)へのリークが生じないし、また、表面へのブリードアウトが生じにくく、しかも、カーボンブラック等の電子伝導系導電剤を分散した組成物に見られるような分散不良に伴う電気抵抗値のばらつきが生じない。
【0035】
請求項4に記載された発明によれば、前記電気抵抗調整層の体積固有抵抗が106 〜109 Ωcmであるので、十分な帯電能力及び転写能力を確保することができると共に、像担持体への電力集中による異常放電の発生を防止することができ、それらのために、均一画像が得られる。
【0036】
請求項5に記載された発明によれば、前記防湿層が、アクリル系エマルジョン、塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデン系共重合体エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、及び、SBR系エマルジョンから選ばれる合成樹脂エマルジョンの塗布膜で構成されているので、その成膜性が良好となり、そのために、均一な厚みの防湿膜となる。
【0037】
請求項6に記載された発明によれば、前記防湿層の体積固有抵抗が前記電気抵抗調整層の体積固有抵抗より大きいので、像担持体欠陥部への電圧集中及び異常放電電流の発生を防止することができ、それらのために、均一画像が得られる。
【0038】
請求項7,8に記載された発明によれば、非トナー付着性の樹脂材料で構成される表面層が前記防湿層の表面に設けられているので、経時において、トナー及びトナー添加剤等が導電性部材の表面に付着することを防止して、導電性部材の表面の電気特性が変化することを防止することができる。
【0039】
請求項9に記載された発明によれば、前記防湿層の厚さが前記表面層の厚さよりも薄いので、導電性部材の電気抵抗値を適正化することが可能となる。
【0040】
請求項10,11に記載された発明によれば、前記段差形成部材の少なくとも像担持体と当接する部分が電気絶縁性樹脂材料で構成されているので、段差形成部材と像担持体の基層との間に異常放電電流が発生することを防止することができる。
【0041】
請求項12に記載された発明によれば、前記段差形成部材の外周面が像担持体と当接したときに、該像担持体の外周面と前記導電性部材の外周面との間に一定間隔の空隙が形成されるように、該電気抵抗調整層の外周面に対する前記段差形成部材の外周面の高低差が設けられているので、該像担持体との間の空隙を精度良く一定に保つことができ、しかも、段差形成部材が配置されている電気抵抗調整層が環境変動で寸法変化しても、電気抵抗調整層の変化に追従することができ、そのために、空隙変動を抑えることができる。
【0042】
請求項13に記載された発明によれば、前記電気抵抗調整層の外周面に対する前記段差形成部材の外周面の高低差が、前記導電性支持体上に設置された該段差形成部材の外周面と前記導電性支持体上に設置された該電気抵抗調整層の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されているので、該段差形成部材と該電気抵抗調整層との高低差の形成を一体加工で行うことができ、そのために、像担持体の外周面と導電性部材の外周面との間に形成される空隙の変動(振れ)を小さくして空隙の精度をより高めることができる。
【0043】
請求項14に記載された発明によれば、前記導電性部材が円筒形状であるので、導電性部材を回転させることができ、そのために、同一箇所からの連続放電を防止して長寿命化を図ることができる。
【0044】
請求項15に記載された発明によれば、請求項1〜14のいずれか1項に記載の導電性部材を帯電部材としたので、この帯電部材は、像担持体表面を非接触で帯電させることができ、そのために、帯電部材の汚れ等を防止すると共に、帯電部材を硬い材質で形成することにより高精度にすることができ、よって、帯電ムラを防止することができる。
【0045】
請求項16に記載された発明によれば、請求項15に記載の帯電部材が被帯電体上に近接配置されるように設けられたプロセスカートリッジとするので、長期にわたって安定した画質を得ることでき、且つ、交換もユーザメンテナンスが可能であり簡素化される。
【0046】
請求項17に記載された発明によれば、請求項16に記載のプロセスカートリッジを有する画像形成装置とするので、信頼性が高く、かつ、高画質な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0048】
図1は、本発明の一実施の形態を示す導電性部材(帯電ローラ)の断面図であって、(a)は、縦断面図であり、そして、(b)は、(a)のA−A線横断面図である。図2は、本発明の一実施の形態を示す導電性部材(帯電ローラ)を形成する方法を示す説明図である。図3は、導電性部材(帯電ローラ)を像担持体上に配置した状態を示す模式図である。図4は、本発明の一実施の形態を示す画像形成装置の説明図である。
【0049】
図1において、10は、導電性部材(帯電ローラ)である。導電性部材(帯電ローラ)10は、導電性支持体1と、該導電性支持体1上に形成された高分子型イオン導電剤を含有する電気抵抗調整層2と、該電気抵抗調整層2の両端部に形成された段差形成部材5,5と、を有している。そして、本発明の導電性部材(帯電ローラ)10においては、JIS Z 0208で測定した透湿度が50g/m2 ・d以下である少なくとも1層の防湿層3が、前記電気抵抗調整層2の表面に設けられている。前記「JIS Z 0208で測定した透湿度」は、40℃、90%RH、30μm膜厚で測定したものである。
【0050】
前記防湿層3の透湿度が50g/m2 ・dを超えると、高温高湿時に前記防湿層3を透過した水が前記電気抵抗調整層2に吸収されて、該電気抵抗調整層2の寸法変動が大きくなるので、像担持体(図3における6を参照。)と導電性部材(帯電ローラ)10との間に形成された空隙(図3におけるGを参照。)が変動するが、前記防湿層3の透湿度が50g/m2 ・d以下であると、高温高湿時であっても、水による防湿層3への透過を低下させることができるので、水が前記電気抵抗調整層2における高分子型イオン導電剤に吸収される際の該電気抵抗調整層2の寸法変動が小さくなり、そのために、像担持体(図3における6を参照。)と導電性部材(帯電ローラ)10との間に形成された空隙(図3におけるGを参照。)の変動を防止することができる。
【0051】
したがって、本発明のように、JIS Z 0208で測定した透湿度が50g/m2 ・d以下である少なくとも1層の防湿層3が前記電気抵抗調整層2の表面に設けられていると、電気抵抗調整層2の吸湿による寸法変化を防止することができ、そのために、環境条件において長期間にわたって使用しても、像担持体(図3における6を参照。)と導電性部材10との間に安定した空隙(図3におけるGを参照。)を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることができると共に、耐久性を向上させた導電性部材10を提供することができる。
【0052】
本発明における電気抵抗調整層2は、高分子型イオン導電材料を含む熱可塑性樹脂組成物により形成されている。前記熱可塑性樹脂は、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)、及び、ポリスチレン共重合体(AS、ABS)から選ばれる熱可塑性樹脂、或いは、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール、ポリウレタン、及び、フッ素樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂である。そして、前記高分子型イオン導電材料は、好ましくは、ポリエーテルエステルアミドを主成分とする樹脂である。
【0053】
このように、前記高分子型イオン導電材料がポリエーテルエステルアミドを主成分とする樹脂であると、ポリエーテルエステルアミドを主成分とする樹脂が前記熱可塑性樹脂中に均一にブレンドされるので、像担持体(感光体)へのリークが生じないし、また、表面へのブリードアウトが生じにくく、しかも、カーボンブラック等の電子伝導系導電剤を分散した組成物に見られるような分散不良に伴う電気抵抗値のばらつきが生じない。一般的にカーボンブラックのような電子導電系の導電剤を用いた場合には、電荷がカーボンブラックを通して像担持体へ放電するので、カーボンブラックの分散状態に起因した微小な放電ムラが生じやすく、高画質化の妨げとなる。特に、高電圧印加時はこの現象が顕著となる。
【0054】
本発明においては、前記電気抵抗調整層2の体積固有抵抗は、好ましくは、106 〜109 Ωcmである。前記電気抵抗調整層2の体積固有抵抗が109 Ωcmを越えると、帯電量の不足により、均一画像を得る為の十分な帯電電位を得ることができなくなる。また、前記電気抵抗調整層2の体積固有抵抗が106 Ωcmより低いと、像担持体欠陥部への電圧集中(リーク)が起こって、異常放電が生じてしまう。したがって、前記電気抵抗調整層2の体積固有抵抗が106 〜109 Ωcmであると、十分な帯電能力及び転写能力を確保することができると共に、像担持体への電力集中による異常放電の発生を防止することができ、それらのために、均一画像が得られる。
【0055】
本発明においては、前記熱可塑性樹脂0〜70重量%と前記高分子型イオン導電剤30〜100重量%とをブレンドして106 〜109 Ωcmの所望の体積抵抗率を得ることができる。電気抵抗調整層2の厚みは、薄すぎるとリークによる異常放電が発生しやすくなるので、好ましくは、100μm以上である。電気抵抗調整層2の厚みは、電気抵抗値の仕様等に応じて変えることができる。
【0056】
前記電気抵抗調整層2の厚みは、薄すぎるとリークによる異常放電が発生しやすくなるので、好ましくは、100μm以上である。電気抵抗調整層2の厚みは電気抵抗値の仕様等に応じて変えることができる。
【0057】
本発明における防湿層3は、電気抵抗調整層2の含水率変化を抑止するための水の透過を少なくする機能を有しているので、電気抵抗調整層2の含水率変化による形状変化を抑止することができる。防湿層3の体積抵抗率は、電気抵抗調整層2のそれよりも大きくなるように形成されている。このように、防湿層3の体積抵抗率が電気抵抗調整層2のそれよりも大きくなるように形成されていると、像担持体欠陥部への電圧集中、異常放電(リーク)を回避することができる。防湿層3の厚みは、厚すぎると帯電能力が不足してしまうので、好ましくは、20μm以下、さらに好ましくは、10μm以下である。
【0058】
本発明においては、前記防湿層3は、好ましくは、アクリル系エマルジョン、塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデン系共重合体エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、及び、SBR系エマルジョンから選ばれる合成樹脂エマルジョンの塗布膜で構成されているが、本発明の目的に反しない限り、これら以外の合成樹脂エマルジョンであってもかまわない。これらの合成樹脂エマルジョンは、いずれも、斯界でよく知られているものである。このように、前記防湿層3が、アクリル系エマルジョン、塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデン系共重合体エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、及び、SBR系エマルジョンから選ばれる合成樹脂エマルジョンの塗布膜で構成されていると、その成膜性が良好となり、そのために、均一な厚みの防湿膜となる。
【0059】
前記アクリル系エマルジョンは、例えば、エチレン性不飽和ジカルボン酸単量体(a)と、これと共重合可能なその他のビニル系単量体(b)と、との共重合体のエマルジョンである。
【0060】
前記ビニル系単量体(b)は、例えば、(イ)芳香族ビニル単量体、(ロ)(メタ)アクリル酸エステル単量体、(ハ)アミド基含有ビニル単量体、(ニ)ヒドロキシル基含有ビニル単量体、(ホ)エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体、(ヘ)エポキシ基含有ビニル単量体、(ト)メチロール基含有ビニル単量体、(チ)アルコキシメチル基含有ビニル単量体、(リ)シアノ基含有ビニル単量体、及び、(ヌ)ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているビニル系単量体、から選ばれるものである。
【0061】
前記(イ)芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどが挙げられる、好ましくは、スチレンであり、
前記(ロ)(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート等が挙げられるが、好ましくは、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートであり、
前記(ハ)アミド基含有ビニル単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等を挙げることができるが、好ましくは、アクリルアミド、メタクリルアミドであり、
前記(ニ)ヒドロキシル基含有ビニル単量体としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等が挙げられるが、好ましくは、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートであり、
前記(ホ)エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸のハーフエステル、マレイン酸のハーフエステル、フマール酸のハーフエステルなどが挙げられるが、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸であり、
前記(ヘ)エポキシ基含有ビニル単量体としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレートなどが挙げられるが、好ましくは、グリシジルメタクリレートであり、
前記(ト)メチロール基含有ビニル単量体としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジメチロールアクリルアミド、ジメチロールメタクリルアミドなどが挙げられ、
前記(チ)アルコキシメチル基含有ビニル単量体としては、例えば、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどが挙げられ、
前記(リ)シアノ基含有ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、そして、
前記(ヌ)ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているビニル系単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ポリオキシエチレンジアクリレート、ポリオキシエチレンジメタクリレート、ポリオキシプロピレンジアクリレート、ポリオキシプロピレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレートなどが挙げられる。
【0062】
また、上記単量体に加えて、本発明のエマルジョンに要求される様々な品質・物性を改良するために、上記以外の単量体成分を使用することもできる。それらの単量体としては、上記の単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体(ル)が使用できる。例えば、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基などの官能基を有する各種のビニル系単量体、さらには、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、ブタジエン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなども所望に応じて使用できる。
【0063】
前記塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデン系共重合体エマルジョンは、塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデンと、これらと共重合可能なその他のビニル系単量体、例えば、OH基、COOH基又はCONH基を含むラジカル重合単量体と、を共重合して得た共重合体のエマルジョンである。
【0064】
前記酢酸ビニル系エマルジョンは、酢酸ビニルモノマー単独を重合して得た重合体のエマルジョン、又は、酢酸ビニルモノマーと共重合可能なモノマー、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン及びブタジエン、とを共重合して得た重合体のエマルジョンである。
【0065】
本発明においては、非トナー付着性の樹脂材料で構成される表面層4が前記防湿層3の表面に設けられている。この非トナー付着性の樹脂材料は、好ましくは、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド樹脂、及び、ポリエステルから選ばれる樹脂材料である。このように、非トナー付着性の樹脂材料で構成される表面層4が防湿層3の表面に設けられていると、経時において、トナー及びトナー添加剤等が導電性部材10の表面に付着することを防止して、導電性部材10の表面の電気特性が変化することを防止することができる。また、前記樹脂は、電気的に絶縁性であるので、前記樹脂に対して各種導電材料を分散することによって、表面層4の電気抵抗を調整することができる。
【0066】
本発明においては、前記防湿層3の厚さは、前記表面層4の厚さよりも薄い。このように、前記防湿層3の厚さが前記表面層4の厚さよりも薄いと、導電性部材10の電気抵抗値を適正化することが可能となる。
【0067】
前記表面層4の電気抵抗値は、前記電気抵抗調整層2のそれよりも大きくなるように形成されている。このように、前記表面層4の電気抵抗値が前記電気抵抗調整層2のそれよりも大きくなるように形成されていると、像担持体欠陥部への電圧集中、異常放電を回避することができる。ただし、前記表面層4の電気抵抗値を高くしすぎると、帯電能力や転写能力が不足してしまうので、前記表面層4と電気抵抗調整層2との体積固有抵抗値の差を103 Ωcm以下にすることが好ましい。
【0068】
前記表面層4の電気抵抗調整層2上への形成は、前記樹脂材料を有機溶媒に溶解して塗料を作製し、これをスプレー塗装、ディッピング、ロールコート等の種々の塗膜形成手段で行うことができる。前記表面層4の膜厚は、好ましくは、5〜30μmである。
【0069】
本発明においては、段差形成部材5,5は、好ましくは、リング状である。このように、段差形成部材5,5がリング状であると、導電性部材10及び像担持体(図3における6を参照。)を回転駆動させて使用することができ、そのために、導電性部材10及び像担持体の耐久性を高めることができる。
【0070】
前記段差形成部材5,5の少なくとも像担持体(図3における6を参照。)と当接する部分は、電気絶縁性樹脂材料で構成されている。その段差形成部材5,5の体積固有抵抗は、1013Ω・cm以上である。このように、前記段差形成部材5,5の少なくとも像担持体と当接する部分が電気絶縁性樹脂材料で構成されていると、段差形成部材5,5と像担持体の基層との間に異常放電電流が発生することを防止することができる。
【0071】
本発明においては、段差形成部材5,5は、それらの全部が絶縁性材料である必要はなく、少なくとも、像担持体との当接部分が絶縁性を備えているものであるならば、異常放電電流が発生することを防止することができる。段差形成部材5,5を構成する樹脂材料は、絶縁性材料である他は特に限定するものではないが、像担持体を傷つけない程度に軟らかいこと、トナーが固着しにくいこと等の理由から、吸湿性及び耐摩耗性の小さい材料が好ましい。このような段差形成部材5,5を構成する樹脂材料は、種々の条件に応じて適宜選択されるが、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリスチレン共重合体(AS、ABS)、PC、ポリウレタン、及び、フッ素樹脂から選ばれた樹脂材料であり、さらに好ましくは、高密度ポリエチレン及び高分子量ポリエチレンから選ばれた樹脂材料である。
【0072】
図3に示されているように、本発明の導電性部材(帯電ローラ)10には、段差形成部材5,5の外周面が像担持体6と当接したときに、該像担持体6の外周面と導電性部材10の外周面との間に一定間隔の空隙Gが形成されるように、該電気抵抗調整層2の外周面に対する前記段差形成部材5,5の外周面の高低差が設けられている。
【0073】
このように、段差形成部材5,5の外周面が像担持体6と当接したときに、該像担持体6の外周面と導電性部材10の外周面との間に一定間隔の空隙Gが形成されるように、該電気抵抗調整層2の外周面に対する前記段差形成部材5,5の外周面の高低差が設けられていると、像担持体6との間の空隙Gを精度良く一定に保つことができ、しかも、段差形成部材5,5が配置されている電気抵抗調整層2が環境変動で寸法変化しても、電気抵抗調整層2の変化に追従することができ、そのために、空隙変動を抑えることができる。
【0074】
前記電気抵抗調整層2の外周面に対する前記段差形成部材5,5の外周面の高低差は、図2に示されているような、前記導電性部材10上に設置された該段差形成部材5,5の外周面と前記導電性支持体1上に設置された該電気抵抗調整層2の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成される。このように、前記電気抵抗調整層2の外周面に対する前記段差形成部材5,5の外周面の高低差が、前記導電性部材10上に設置された該段差形成部材5,5の外周面と前記導電性支持体1上に設置された該電気抵抗調整層2の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されると、像担持体6の外周面と導電性部材10の外周面との間に形成される空隙Gの変動(振れ)を小さくして空隙Gの精度をより高めることができる。
【0075】
図3に示すように、段差形成部材5,5は、それらの一部が電気抵抗調整層2と高低差を有している。導電性部材10と像担持体6との空隙Gを所定の値に保つことが好ましいので、像担持体6の画像領域と段差形成部材5,5の当接面が同一高さである場合は、
段差形成部材の一部の高さ>電気抵抗調整層の高さ
である必要があり、その高低差は、100μm以下であることが好ましい。また、段差形成部材5,5の電気抵抗調整層(2)と隣接する部分の高さを、電気抵抗調整層(2)の高さと同一、又は、低く形成することで、段差形成部材5,5と像担持体6との接触幅が低減され、導電性部材10と像担持体6との空隙を高精度にすることができる。
【0076】
図3に示されているように、本発明における導電性部材(帯電部材)10は、像担持体6に任意の圧力で当接されて配置される。段差形成部材5,5は、画像形成領域を外した非画像形成領域に設けられている。この状態で導電性部材10に電圧を印加することにより、像担持体6の帯電を行うことができる。導電性部材10をトナー担持体及び転写部材として使用する場合も、同様の形態で行うことができる。
【0077】
本発明においては、導電性部材10及び像担持体6の形状は特に限定されず、また、像担持体6は、ベルト状、円筒状いずれの形式もとることができる。導電性部材10は、断面円形状(円筒形状)、断面楕円形状、円筒形状を扁平にしたブレード形状等の種々の形状をとることができるが、ともに円筒形状であることが好ましい。両者が常に同一面で対向していると、通電ストレスによる表面の化学的劣化が生じてしまうが、両者を円筒形状として回転駆動させると、同一箇所からの連続放電を防止することができ、そのために、通電ストレスによる表面の化学的劣化を低減させることができる。例えば、図3に示すように、導電性部材10の回転方向は、像担持体6と同方向、逆方向どちらも選択することができる。また、像担持体6との周速差をつける(像担持体6より速く回転させる、遅く回転させる)ことも可能である。また、像担持体6の回転に対して、間欠回転させることも機能を損なわない範囲において可能である。導電性部材10と像担持体6と間の空隙Gは、所定の値に保つ必要があり、好ましくは、100μm以下である。空隙Gが大きくなると導電性部材10への電圧印加条件を高くする必要があり、像担持体6の電気的劣化や異常放電が発生しやすいためである。
【0078】
本発明における導電性部材10は、例えば、導電性支持体1上に前記したような電気抵抗調整層2を構成する樹脂を射出成形によって形成した後、その両端部の導電性支持体1上に接着剤を塗布し、そこに段差形成部材5,5を圧入して接着固定する。そして、段差形成部材5,5と電気抵抗調整層2との段差のばらつきを小さくするために、段差形成部材5,5と電気抵抗調整層2とが一体となった状態において、図2に示すように、切削、研削等の除去加工によって、外径を仕上げる。次に、段差形成部材5,5を保護した状態で電気抵抗調整層2上に防湿層3及び表面層4を順次形成して導電性部材10とする。
【0079】
請求項1〜14のいずれか1項に記載された導電性部材は、好ましくは、帯電部材とされる。このように、請求項1〜14のいずれか1項に記載の導電性部材を帯電部材とすると、この帯電部材は、像担持体表面を非接触で帯電させることができ、そのために、帯電部材の汚れ等を防止すると共に、帯電部材を硬い材質で形成することにより高精度にすることができ、よって、帯電ムラを防止することができる。
【0080】
請求項15に記載の導電性部材(帯電部材)10は、被帯電体上に近接配置されるように設けらた着脱可能なプロセスカートリッジ(図5における110を参照。)とする。このように、請求項15に記載の導電性部材(帯電部材)10が被帯電体上に近接配置されるように設けられたプロセスカートリッジとすると、長期にわたって安定した画質を得ることでき、且つ、交換もユーザメンテナンスが可能であり簡素化される。
【0081】
本発明においては、請求項16に記載のプロセスカートリッジ(図5における110を参照。)を有する画像形成装置とする。このように、請求項16に記載のプロセスカートリッジを有する画像形成装置とすると、信頼性が高く、かつ、高画質な画像を得ることができる。
【0082】
図4に示すように、本発明の画像形成装置においては、装置本体内の下部に給紙部22、その上方に像担持体6を有する作像部、及び、さらにその上方に排紙部となる対の排紙ローラ26,27をそれぞれ設けて、給紙部22から給紙した転写紙Pの左側の面に対応する作像部で画像を形成し、そして、その転写紙Pを排紙ローラ26,27によりビントレイ20あるいは排紙トレイ21に排出するようにしている。給紙部22には、上下2段にトレイ28,29が設けられていて、その各給紙段には給紙ローラ30がそれぞれ配設されている。23は書込みユニットであり、そこから像担持体6の一様に帯電された表面に光を照射して、そこに画像を書き込む。また、その像担持体6に対して転写紙搬送方向上流側には、転写紙のスキューを補正すると共に、像担持体6上の画像と転写紙の搬送タイミングを合わせるためのレジストローラ対13を設けている。
【0083】
さらに、像担持体6に対して転写紙搬送方向下流側には、定着ユニット25を設けている。作像部には、図4に示すように、前述した像担持体6が矢示A方向に回転可能に設けられており、その周囲には帯電装置(図5における102を参照。)と、その帯電装置により帯電された面に書込みユニット23により書込まれた像担持体6上の静電潜像を顕像化してトナー像とする現像装置(図5における104を参照。)と、そのトナー像を転写紙Pに転写する転写搬送ベルト7と、そのトナー像の転写後に像担持体6上に残った残留トナーを除去するクリーニング装置(図5における108を参照。)と、像担持体6上の不要な電荷を除電する除電ランプ(図示せず)とを、それぞれ配設している。この画像形成装置は、画像形成動作を開始させると、図4に示した像担持体6が矢印A方向に回転し、その表面が除電ランプにより除電されて基準電位に平均化される。次に、その像担持体6の表面は、帯電ローラ(図5における102を参照。)により一様に帯電され、その帯電面は、書込みユニット23から画像情報に応じた光の照射を受け、そこに静電潜像が形成される。その潜像は、像担持体6が矢示A方向に回転することにより現像装置(図5における104を参照。)の位置まで移動されると、そこで現像スリーブ(図示せず)によりトナーが付着されてトナー像(顕像)となる。
【0084】
一方、図4に示した給紙部22のトレイ28,29の何れかから給紙ローラ30により転写紙Pが給紙され、それがレジストローラ対13で一旦停止されて、その転写紙Pの先端と像担持体6上の画像の先端とが一致する正確なタイミングで搬送され、その転写紙Pに転写搬送ベルト7により像担持体6上のトナー像が転写される。その転写紙Pは、転写搬送ベルト7により搬送され、駆動ローラ部7aで転写紙Pの腰による曲率分離で、その転写搬送ベルト7から分離されて、定着ユニット25へ搬送され、そこで熱と圧力が加えられることによりトナーが転写紙Pに融着され、それが指定された排紙場所、すなわち排紙トレイ21あるいはビントレイ20の何れかに排出される。その後、像担持体6上に残った残留トナーは、次工程であるクリーニング位置まで回転移動し、クリーニング装置のクリーニングブレード(図5における108を参照。)により掻き取られ、再び次の作像工程に移る。
【0085】
本実施の形態においては、導電性部材10を具体化した帯電ローラについて主として説明したが、本発明における導電性部材10は、本発明の目的に反しない限り、帯電ローラ以外の帯電部材、例えば、ブレードのようなものであってもかまわない。また、本発明の導電性部材10は、トナー担持体又は転写部材としてもかまわない。
【0086】
(実施例1)
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合して樹脂組成物とし、この樹脂組成物100重量部にポリカーボネート−グリシジルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(モデイパーCL440−G、日本油脂社製)5重量部を配合した後、これらを溶融混練して溶融混練樹脂組成物とし、この溶融混練組成物をニッケルメッキされた硫黄快削鋼(SUM)からなる外径10mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、電気抵抗調整層(体積固有抵抗:2.1×108 Ωcm)を形成した。そして、この電気電気抵抗調整層の両端部に高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の段差形成部材を挿入接着した後、切削によって前記段差形成部材の外径(最大径)を12.17mmとすると共に、前記電気抵抗調整層の外径を12.60mmとした。次いで、この電気抵抗調整層の表面にJIS Z 0208(40℃、90%RH、膜厚30μm)で測定した透湿度:3g/m2 ・dの塩化ビニリデン系共重合体ラテックス(サランテックスL551B、旭化成ケミカルズ社製、固形分49%)をスプレイコーテイングして約5μm厚の防湿層(体積固有抵抗:5.1×1013Ωcm)を形成した後、この防湿層の表面にアクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物をスプレイコーテイングして約10μm厚の表面層を形成することにより導電性部材を得た(図1を参照。)。
【0087】
(実施例2)
実施例1と同様に電気抵抗調整層及び段差形成部材を形成し、そして、前記電気抵抗調整層の表面にJIS Z 0208で測定した透湿度:22g/m2 ・dのエチレン−ビニルアルコール共重合体ラテックス(エバールE105、クラレ社製、DMFに溶解した固形分20%溶液)をスプレイコーテイングして約5μm厚の防湿層(体積固有抵抗:1.3×1013Ωcm)を形成した後、この防湿層の表面にアクリルシリコーン樹脂(ネオポリナール800s、大橋化学社製)、硬化剤(硬化剤E、大橋化学製)、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物をスプレイコーテイングして約10μm厚の表面層を形成することにより導電性部材を得た(図1を参照。)。
【0088】
(実施例3)
実施例1と同様に電気抵抗調整層及び段差形成部材を形成し、そして、前記電気抵抗調整層の表面にJIS Z 0208で測定した透湿度:43g/m2 ・dのエチレン−ビニルアルコール共重合体ラテックス(エバールE101、クラレ社製、DMFに溶解した固形分20%溶液)をスプレイコーテイングして約5μm厚の防湿層(体積固有抵抗:2.2×1013Ωcm)を形成した後、この防湿層の表面にシリコーン系樹脂(スリップコーテイング剤HS−3、東芝シリコーン社製)、硬化剤(XC9603、東芝シリコーン社製)、触媒(YC6831、東芝シリコーン社製)、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物をスプレイコーテイングして約10μm厚の表面層を形成することにより導電性部材を得た(図1を参照。)。
【0089】
(比較例1)
ABS樹脂(テクノABS 300、テクノポリマー社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合して樹脂組成物とし、この樹脂組成物100重量部にポリカーボネート−グリシジルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(モデイパーCL440−G、日本油脂社製)5重量部を配合した後、これらを溶融混練して溶融混練樹脂組成物とし、この溶融混練組成物をニッケルメッキされた硫黄快削鋼(SUM)からなる外径10mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、電気抵抗調整層(体積固有抵抗:5.7×109 Ωcm)を形成した。そして、この電気電気抵抗調整層の両端部に高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の段差形成部材を挿入接着した。次いで、この電気抵抗調整層の表面にJIS Z 0208で測定した透湿度:130g/m2 ・dのPC(ポリカーボネート)樹脂(AZ1900、出光石油社製、THF溶液に溶解した固形分25%溶液)をスプレイコーテイングして約5μm厚の防湿層(体積固有抵抗:9.2×1013Ωcm)を形成した後、この防湿層の表面にフッソ素系樹脂(ルミフロン601C、旭硝子社製)、硬化剤(601C硬化剤、旭硝子社製)、及び、ITO(全固形分に対して55重量%)からなる樹脂組成物をスプレイコーテイングして約10μm厚の表面層を形成することにより導電性部材を得た。
【0090】
(比較例2)
比較例1と同様に電気抵抗調整層及び段差形成部材を形成し、そして、前記電気抵抗調整層の表面にウレタン樹脂(アデカボンタイターAm6、旭電化社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる樹脂組成物をスプレイコーテイングして約10μm厚の表面層を形成することにより導電性部材を得た。
【0091】
(比較例3)
エピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG、ダイソー社製)100重量部及び過塩素酸アンモニウム3重量部を配合してゴム組成物とし、このゴム組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に押出成形により被覆してゴム被覆層を形成した後、このゴム被覆層に加硫処理を処理を施し、続いて、この加硫処理を施したゴム被覆層を研削により外径12mmに仕上げて電気抵抗調整層(体積固有抵抗:4.0×108 Ωcm)を形成した。この電気抵抗調整層の表面に、ポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000−K、電気化学工業社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、酸化スズ(全固形分に対して25重量%)からなる樹脂組成物により、膜厚10μmの表面層を形成した。そして、この両端周囲に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)で構成されるテープ状部材(ダイタックPF025−H、大日本インキ社製)を貼り付けて導電性部材を得た。
【0092】
以上、実施例1〜3及び比較例1〜3で得た導電性部材の電気抵抗調整層を常温常湿(23℃、50%RH)で24時間放置した後、高温高湿(30℃、90%RHに24時間放置して、その後の導電性部材の外径を測定することにより、導電性部材の外径の環境変動量(=高温高湿における導電性部材の外径−常温常湿における導電性部材の外径)として評価した。次に、実施例1〜3及び比較例1〜3で得た導電性部材を、帯電部材として、画像形成装置(図5を参照。)に搭載し、印加する電圧をDC=−800V、AC=2.400kVpp(周波数=2KHz)に設定して、300k枚(A4横)を画像出力することにより、導電性部材表面へのトナー固着性を評価した。評価環境は、23℃、60%RHとした。評価結果は、次の表1に示される。
【0093】
【表1】

【0094】
表1におけるトナー固着性の評価基準は、
○;画像にトナー固着による濃度ムラが発生しないもの、
△;画像にトナー固着による僅かに濃度ムラが認められるもの、
×;画像にトナー固着による許容できない濃度ムラが発生するもの、
とし、そして、総合判定は、
○;実用上問題がないもの、
×;実用上問題があるもの、
とした。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施の形態を示す導電性部材(帯電ローラ)の断面図であって、(a)は、縦断面図であり、そして、(b)は、(a)のA−A線横断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す導電性部材(帯電ローラ)を形成する方法を示す説明図である。
【図3】導電性部材(帯電ローラ)を像担持体上に配置した状態を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施の形態を示す画像形成装置の説明図である。
【図5】従来の帯電ローラを用いた画像形成装置の説明図である。
【図6】本発明者らが提案した導電性部材(帯電ローラ)である。
【符号の説明】
【0096】
1 導電性支持体
2 電気抵抗調整層
3 防湿層
4 表面層
5 段差形成部材
6 像担持体
G 空隙
10 導電性部材(帯電ローラ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された高分子型イオン導電剤を含有する電気抵抗調整層と、該電気抵抗調整層の両端部に形成された段差形成部材と、を有する導電性部材において、JIS Z 0208で測定した透湿度が50g/m2 ・d以下である少なくとも1層の防湿層が、前記電気抵抗調整層の表面に設けられていることを特徴とする導電性部材。
【請求項2】
前記電気抵抗調整層が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)、及び、ポリスチレン共重合体(AS、ABS)から選ばれる熱可塑性樹脂、或いは、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール、ポリウレタン、及び、フッ素樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の導電性部材。
【請求項3】
前記高分子型イオン導電剤が、ポリエーテルエステルアミドを主成分とする樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性部材。
【請求項4】
前記電気抵抗調整層の体積固有抵抗が、106 〜109 Ωcmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性部材。
【請求項5】
前記防湿層が、アクリル系エマルジョン、塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデン系共重合体エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、及び、SBR系エマルジョンから選ばれる合成樹脂エマルジョンの塗布膜で構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性部材。
【請求項6】
前記防湿層の体積固有抵抗が、前記電気抵抗調整層の体積固有抵抗より大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性部材。
【請求項7】
非トナー付着性の樹脂材料で構成される表面層が、前記防湿層の表面に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性部材。
【請求項8】
前記表面層を構成する非トナー付着性の樹脂材料が、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド樹脂、及び、ポリエステルから選ばれる樹脂材料であることを特徴とする請求項7に記載の導電性部材。
【請求項9】
前記防湿層の厚さが、前記表面層の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項7又は8に記載の導電性部材。
【請求項10】
前記段差形成部材の少なくとも像担持体と当接する部分が、電気絶縁性樹脂材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性部材。
【請求項11】
前記段差形成部材の体積固有抵抗が、1013Ω・cm以上であることを特徴とする請求項10に記載の導電性部材。
【請求項12】
前記段差形成部材の外周面が像担持体と当接したときに、該像担持体の外周面と前記導電性部材の外周面との間に一定間隔の空隙が形成されるように、該電気抵抗調整層の外周面に対する前記段差形成部材の外周面の高低差が設けられていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の導電性部材。
【請求項13】
前記電気抵抗調整層の外周面に対する前記段差形成部材の外周面の高低差が、前記導電性支持体上に設置された該段差形成部材の外周面と前記導電性支持体上に設置された該電気抵抗調整層の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されていることを特徴とする請求項12に記載の導電性部材。
【請求項14】
前記導電性部材が円筒形状であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の導電性部材。
【請求項15】
前記導電性部材を帯電部材としたことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の導電性部材。
【請求項16】
請求項15に記載の帯電部材が被帯電体上に近接配置されるように設けられていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項17】
請求項16に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−1222(P2007−1222A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186019(P2005−186019)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】