説明

導電接続部付き半導体素子用電極膜およびその製造方法、ならびに、この半導体素子用電極膜を具える発光素子

【課題】 金属ワイヤとの密着性が高く、かつ透明導電膜との界面における接触抵抗を低減させた、導電接続部としての金属複合膜を有する電極膜およびその製造方法、ならびに、この半導体素子用電極膜を具える発光素子を提供する。
【解決手段】 被成膜体上にチタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜を形成する工程と、該透明導電膜上に、外部との導電接続部としてNi含有膜およびAu含有膜を有する金属複合膜を形成する工程とを具えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発光素子等に用いられる導電接続部付き半導体素子用電極膜およびその製造方法、ならびに、この半導体素子用電極膜を具える発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード等の発光素子の電極には、可視光を透過し、かつ導電性の高い透明導電膜を用いるのが一般的である。この透明導電膜としては、ITO(スズドープ酸化インジウム)やZnO(酸化亜鉛)などが広く知られ、例えば、特許文献1には、半導体積層体上にITOからなる透明導電膜を形成した例が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平1−225178号公報
【0004】
このように、透明導電膜としてITOやZnOを用いた場合、可視領域(380nm〜780nm)の光は80%以上透過させることができるが、赤外領域(800〜900nm)の光透過率は75%程度と低く、例えば赤外通信の用途に使用する場合、赤外光の十分な強度を実現することができないという問題があった。
【0005】
この問題を解決すべく、特許文献2には、透明導電膜として、可視領域だけではなく赤外領域においても光透過性に優れ、かつ低抵抗値を有するチタンドープ酸化インジウムを用いる技術が開示されている。
【0006】
【特許文献2】特開2004−207221号公報
【0007】
ところで、上述したような透明導電膜を発光素子等に用いる場合、透明導電膜と所定の回路とをAuやAl等の金属ワイヤで導電接続する必要がある。ここで重要となるのが金属ワイヤと透明導電膜との密着性、および、金属ワイヤと透明導電膜との界面における接触抵抗である。金属ワイヤと透明導電膜との密着性が悪ければ、ワイヤボンディング時の歩留まりが低下し、信頼性が低下することとなる。また、金属ワイヤと透明導電膜との界面における接触抵抗が大きいと、発光素子等における消費電力の増加、発熱による発光効率の低下、および出力経時変化の特性に悪影響を与えることとなる。
【0008】
これら問題を解決するため、特許文献3には、ITO透明導電膜上にNi/Au金属複合膜を形成し、この金属膜に金属ワイヤを導電接続する技術が開示されている。また、この他にも、ITO透明導電膜上にTi/Au金属複合膜、そしてチタンドープ酸化インジウム透明導電膜上にTi/Au金属複合膜を形成する技術も知られているが、これら技術では、金属ワイヤと金属複合膜との密着性は高いものの、金属複合膜と透明導電膜との間の界面における接触抵抗が大きく、優れた発光素子特性を実現することができなかった。
【0009】
【特許文献3】特開2001−342100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、透明導電膜として、赤外領域の光透過率が高いチタンドープ酸化インジウムを使用した場合について、金属ワイヤとの密着性が高く、かつ透明導電膜との界面における接触抵抗を低減させた導電接続部付き半導体素子用電極膜およびその製造方法、ならびに、この半導体素子用電極膜を具える発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)被成膜体上にチタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜を形成する工程と、該透明導電膜上に、外部との導電接続部としてNi含有膜およびAu含有膜を有する金属複合膜を形成する工程とを具えることを特徴とする導電接続部付き半導体素子用電極膜の製造方法。
【0012】
(2)前記金属複合膜は、電子ビーム蒸着法により形成される上記(1)に記載の導電接続部付き半導体素子用電極膜の製造方法。
【0013】
(3)チタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜と、外部との導電接続部として前記透明導電膜上に形成されたNi含有膜および該Ni含有膜上に形成されたAu含有膜を有する金属複合膜とを具えることを特徴とする導電接続部付き半導体素子用電極膜。
【0014】
(4)前記透明導電膜と前記Ni含有膜との間の接触抵抗が、2×10−4Ω/cm以下である上記(3)に記載の導電接続部付き半導体素子用電極膜。
【0015】
(5)前記Ni含有膜の厚さは、10〜100nmである上記(3)または(4)に記載の導電接続部付き半導体素子用電極膜。
【0016】
(6)前記Ni含有膜中のNi含有量は、10質量%以上である上記(3)、(4)または(5)に記載の導電接続部付き半導体素子用電極膜。
【0017】
(7)前記Au含有膜の厚さは、100nm〜5μmである上記(3)〜(6)のいずれか一に記載の導電接続部付き半導体素子用電極膜。
【0018】
(8)前記Au含有膜中のAu含有量は、99質量%以上である上記(3)〜(7)のいずれか一に記載の導電接続部付き半導体素子用電極膜。
【0019】
(9)上記(3)〜(8)のいずれか一に記載の導電接続部付き半導体素子用電極膜を具える発光素子。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、チタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜上に、外部との導電接続部として所定の金属複合膜を形成することにより、金属ワイヤと電極膜との密着性を向上させ、かつ透明導電膜と金属複合膜との界面における接触抵抗を低減させた導電接続部付き半導体素子用電極膜およびその製造方法、ならびに、この半導体素子用電極膜を具える発光素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の導電接続部付き半導体素子用電極膜の製造方法の実施形態について、図面を参照しながら以下で説明する。なお、図中のハッチングは便宜上施したものである。
図1は、本発明に従う導電接続部付き半導体素子用電極膜を示し、図1(a)は導電接続部付き半導体素子用電極膜の模式的な断面図であり、図1(b)は導電接続部付き半導体素子用電極膜の模式的な正面図である。
【0022】
図1(a)に示すように、本発明に従う導電接続部付き半導体素子用電極膜1の製造方法は、被成膜体2上にチタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜3を形成する工程と、この透明導電膜3上に、外部との導電接続部としてNi含有膜4およびAu含有膜5を有する金属複合膜6を形成する工程とを具え、かかる構成を有することにより、金属ワイヤと電極膜1との密着性を向上させ、かつ透明導電膜3とNi含有膜4との界面における接触抵抗を低減させた導電接続部付き半導体素子用電極膜を製造することができるものである。
【0023】
前記被成膜体2は、その上に電極膜1を形成することにより、例えば発光素子、太陽電池、または光検出素子等を構成するような任意の積層体とすることができる。
【0024】
前記チタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜3は、スパッタリング法により形成するのが好ましい。この場合、ターゲットとしてはチタン含有割合が0.01〜10質量%のチタンドープ酸化インジウムを用い、スパッタリング電力は1〜100Wとする。また、成膜雰囲気は、例えば、成膜前の圧力を1×10−4〜1×10−7Paまで減圧後、酸素含有割合が0.001〜10%になるようにArガスとOガスを混合した雰囲気を形成し、成膜圧力を1×10−2〜1×10Paに調整する。また、成膜前の被成膜体2の温度は室温(15〜40℃)とする。
【0025】
本発明の導電接続部付き半導体素子用電極膜の製造方法は、透明導電膜3上に、外部との導電接続部としてNi含有膜4およびAu含有膜5を有する金属複合膜6を形成する工程を具える。これらNi含有膜4およびAu含有膜5は、前記チタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜3上に、リソグラフィ法により所定のリフトオフパターンを形成した後に設けられ、その後、前記リフトオフパターンを除去することにより透明導電膜3の一部を発光面として露出させるのが好ましい。図1に一例が示されているが、透明導電膜3上に残るNi含有膜4およびAu含有膜5の形状及びサイズは、製造する発光素子の内容に合わせたものとすることができる。なお、このリフトオフパターンは、例えば、15〜50℃のリムーバ中に0.1〜5分間含浸後、超音波処理または遥動を施すことにより除去することができる。
【0026】
前記Ni含有膜4および前記Au含有膜5は、例えば、抵抗加熱型蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法等により形成することができ、特に、電子ビーム蒸着法により形成するのが好ましい。この電子ビーム蒸着法は、所定の電子ビーム蒸着装置を用いて行われ、抵抗加熱型蒸着法と比較すると、蒸着原料の温度制御性がよく、膜の結晶性が良いという利点を有する。また、スパッタ法と比較しても、高真空で成膜できるため膜質(純度)が良く、プラズマが不要であり表面平滑性が高くなるという利点を有する。さらに、イオンプレーティング法は、原料と蒸着先(基板)の間に電圧を印加するが、電子ビーム蒸着法は、その必要がない分、コストを安くすることができる。
【0027】
この場合、Ni含有膜4の成膜温度は室温(15〜40℃)とし、成膜雰囲気は、例えば、成膜前の圧力を5×10−5Pa未満まで減圧後、高純度のNiを蒸発させ、圧力を1×10−4Pa未満に調整することにより形成する。
【0028】
また、Au含有膜5は、前記Ni含有膜4形成後連続して形成し、成膜雰囲気は、例えば、高純度のAuを蒸発させ、圧力を1×10−4Pa未満に調整する。
このようにして、図1に示されるような電極膜1を製造することができる。
【0029】
次に、本発明の導電接続部付き半導体素子用電極膜の実施形態について、図面を参照しながら以下で説明する。
図1(a)および図1(b)に示されるように、本発明の導電接続部付き半導体素子用電極膜1は、チタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜3と、外部との導電接続部としてこの透明導電膜3上に形成されたNi含有膜4およびこのNi含有膜4上に形成されたAu含有膜5を有する金属複合膜6と具え、かかる構成を有することにより、金属ワイヤと電極膜1との密着性を向上させ、かつ透明導電膜3とNi含有膜4との界面における接触抵抗を低減させた導電接続部付き半導体素子用電極膜1を提供することができるものである。
【0030】
前記透明導電膜3と前記Ni含有膜4との間の接触抵抗は、2×10−4Ω/cm以下であるのが好ましい。接触抵抗が2×10−4Ω/cmを超えると、消費電力の増加や発熱によりこの電極膜を用いるデバイスに悪影響を与えるおそれがあるためである。
【0031】
前記Ni含有膜4の厚さは、10〜100nmであるのが好ましい。厚さが10nm未満だと、Niが膜構造を形成せずに抵抗が大きくなるおそれがあり、また、100nmを超えても、単に工程時間を増大させるだけで何ら意味がないためである。
【0032】
前記Ni含有膜4のNi含有量は、10質量%以上であるのが好ましい。含有量が10質量%未満だと、密着性不良となるおそれがあるためである。残部は、Ga、AsまたはAlとすることができる。
【0033】
前記Au含有膜5の厚さは、100nm〜5μmであるのが好ましい。厚さが100nm未満だと、金属ワイヤ接続の際、接触不良等の不具合が生じるおそれがあり、また、5μmを超えた場合、コストの増加を招くおそれがあるためである。
【0034】
前記Au含有膜5のAu含有量は、99質量%以上であるのが好ましい。含有量が99質量%未満だと、金属ワイヤ接続の際、接触不良等の不具合が生じるおそれがあるためである。
【0035】
また、本発明に従う導電接続部付き半導体素子用電極膜1は、上述した本発明に従う導電接続部付き半導体素子用電極膜の製造方法を用いて製造するのが好ましい。
【0036】
次に、本発明の発光素子の実施形態について、図面を参照しながら以下で説明する。
図2は、本発明に従う発光素子を示し、図2(a)は発光素子の模式的な断面図であり、図2(b)は発光素子の模式的な正面図である。
【0037】
図2(a)に示すように、本発明に従う発光素子100は、上述した本発明に従う導電接続部付き半導体素子用電極膜1と、例えば、裏側電極101、基板102、下側クラッド層103、発光層104、上側クラッド層105とを具え、かかる構成を有することにより、金属ワイヤと電極膜1との密着性を向上させ、かつ透明導電膜3とNi含有膜4との界面における接触抵抗を低減することにより、発光素子における消費電力の増加、発熱による発光効率の低下、および出力経時変化の特性を向上させることができるものである。
【0038】
上述したところは、本発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【実施例】
【0039】
(実施例1)
石英基板上に、スパッタリング法を用いてチタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜(膜厚:550nm)を形成した。ターゲットとしてチタン含有割合が1質量%のチタンドープ酸化インジウムを用い、スパッタリング電力は20Wとした。また、成膜雰囲気は、成膜前の圧力を8×10−5Paまで減圧後、酸素含有割合が0.03%となるようにArガスとOガスを混合した雰囲気を形成し、雰囲気を導入して成膜圧力を1Paに調整した。なお、成膜前の石英基板の温度は室温(23℃)とした。
【0040】
次に、リソグラフィ法を用いて、チタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜上に、同心円状のリフトオフパターンを形成した。このリフトオフパターンは、図3に一例として示されたように、その後形成されるNi含有膜およびAu含有膜が同心円状の隙間dを有するよう形成した。
【0041】
その後、電子ビーム蒸着法を用いて、チタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜上にNi含有膜(膜厚:10nm)を形成した。Ni含有膜の成膜温度は室温(23℃)とし、成膜雰囲気は、成膜前の圧力を5×10−5Pa未満まで減圧後、Ni(99.95%)を蒸発させ、圧力を1×10−4Pa未満に調整した。
【0042】
次に、電子ビーム蒸着法を用いて、Ni含有膜上にAu含有膜(膜厚:350nm)を形成した。Au含有膜は、前記Ni含有膜と同じ電子ビーム蒸着装置内で連続して形成し、成膜雰囲気は、高純度のAu(99.99%)を蒸発させ、圧力を1×10−4Pa未満に調整した。なお、上記Ni含有膜およびAu含有膜の膜厚は水晶振動子型膜厚計により測定したものである。
【0043】
最後に、前記リフトオフパターンを30℃のリムーバ中に5分間含浸後、超音波処理を施すことにより除去し、本発明に従う電極膜を製造した。
【0044】
(実施例2)
前記Ni含有層の膜厚を30nmに形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により本発明に従う電極膜を製造した。
【0045】
(実施例3)
前記Ni含有層の膜厚を50nmに形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により本発明に従う電極膜を製造した。
【0046】
(実施例4)
前記Ni含有層の膜厚を70nmに形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により本発明に従う電極膜を製造した。
【0047】
(実施例5)
前記Ni含有層の膜厚を100nmに形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により本発明に従う電極膜を製造した。
【0048】
(比較例1)
前記Ni含有層の代わりに、電子ビーム蒸着法を用いて、Ti(99%以上)を蒸発させてTi含有膜(膜厚:50nm)を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により本発明に従う電極膜を製造した。
【0049】
(比較例2)
前記チタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜の代わりに、スパッタリング法を用いて、スズドープ酸化インジウムからなる透明導電膜(膜厚:550nm、ターゲット:スズ含有割合が10質量%のスズドープ酸化インジウム)を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により本発明に従う電極膜を製造した。
【0050】
(評価1)
上記実施例1〜5および比較例1〜2について、CTLM(Circuit Transmission Line Model)法を用いて、透明導電膜とその直上の下側金属膜との間の接触抵抗を測定した。この測定は、各実施例につき、図3の間隔dを5,10,15,20,25,30,45,60,75μmとなるように形成して同心円の内側部分と外側部分との間の電気抵抗を測定し、間隔dを横軸、測定した電気抵抗を縦軸としたときの電気抵抗値の近似的な一次直線の、縦軸との切片を2Rc、横軸との切片をLt、電極幅W(W=2μm)として、下記計算式を用いて接触抵抗ρcの値を計算したものである。

ρc=Rc×Lt×W
【0051】
また、上記実施例1〜5および比較例1〜2について、赤外光(850nm)の透過率を測定した。この測定は、UV-3100PC(島津製作所製)により測定したものである。
【0052】
表1に、実施例1〜5および比較例1〜2の接触抵抗の値および赤外光透過率を示し、図4に、横軸を下側金属膜の膜厚、縦軸を接触抵抗としたときの各接触抵抗の値をプロットしたグラフを示す。
【0053】
【表1】

【0054】
図4から明らかなように、本発明に従う実施例1〜5における透明導電膜とNi含有膜との間の接触抵抗は、比較例1〜2における透明導電膜とその直上の下側金属膜との間の接触抵抗よりも大幅に低減できていることが分かる。
【0055】
(評価2)
上記実施例1〜5および比較例1〜2で作成した金属膜について、EIAJ ED-4703 K-113に規定された方法でボールシェア強度(ワイヤボンディング強度)を測定し、金属膜の密着性を評価した。測定装置は、2400PC(DAGE社製)を使用した。評価方法は以下の通りである。
○ ボールシェア強度が70gf以上
× ボールシェア強度が70gf未満
一般に、ボールシェア強度が70gf以上あれば、実用的に十分な密着強度があり、70gf未満の場合には、密着強度不足である。
【0056】
表1に、ボールシェア強度の測定結果を示す。
【0057】
表1から明らかなように、本発明に従う実施例1〜5における金属ワイヤと電極膜との間の密着性は良好であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、チタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜上に、導電接続部として所定の金属複合膜を形成することにより、金属ワイヤと電極膜との密着性を向上させ、かつ透明導電膜と金属複合膜との界面における接触抵抗を低減させた導電接続部付き半導体素子用電極膜およびその製造方法、ならびに、この半導体素子用電極膜を具える発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1(a)は半導体素子用電極膜の模式的な断面図であり、図1(b)は半導体素子用電極膜の模式的な正面図である。
【図2】図2(a)は発光素子の模式的な断面図であり、図2(b)は発光素子の模式的な正面図である。
【図3】図3(a)は、接触抵抗を測定するための本発明に従う導電接続部付き電極膜の断面図であり、図3(b)は、接触抵抗を測定するための本発明に従う導電接続部付き電極膜の正面図である。
【図4】図4は下側金属膜の膜厚と接触抵抗値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0060】
1 導電接続部付き半導体素子用電極膜
2 被成膜体
3 チタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜
4 Ni含有膜
5 Au含有膜
6 金属複合膜
d 隙間
100 発光素子
101 裏側電極
102 基板
103 下側クラッド
104 発光層
105 上側クラッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被成膜体上にチタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜を形成する工程と、
該透明導電膜上に、外部との導電接続部としてNi含有膜およびAu含有膜を有する金属複合膜を形成する工程と
を具えることを特徴とする導電接続部付き半導体素子用電極膜の製造方法。
【請求項2】
前記金属複合膜は、電子ビーム蒸着法により形成される請求項1に記載の導電接続部付き半導体素子用電極膜の製造方法。
【請求項3】
チタンドープ酸化インジウムからなる透明導電膜と、
外部との導電接続部として前記透明導電膜上に形成されたNi含有膜および該Ni含有膜上に形成されたAu含有膜を有する金属複合膜と
を具えることを特徴とする導電接続部付き半導体素子用電極膜。
【請求項4】
前記透明導電膜と前記Ni含有膜との間の接触抵抗が、2×10−4Ω/cm以下である請求項3に記載の導電接続部付き半導体素子用電極膜。
【請求項5】
前記Ni含有膜の厚さは、10〜100nmである請求項3または4に記載の導電接続部付き半導体素子用電極膜。
【請求項6】
前記Ni含有膜中のNi含有量は、10質量%以上である請求項3、4または5に記載の導電接続部付き半導体素子用電極膜。
【請求項7】
前記Au含有膜の厚さは、100nm〜5μmである請求項3〜6のいずれか一項に記載の導電接続部付き半導体素子用電極膜。
【請求項8】
前記Au含有膜中のAu含有量は、99質量%以上である請求項3〜7のいずれか一項に記載の導電接続部付き半導体素子用電極膜。
【請求項9】
請求項3〜8のいずれか一項に記載の導電接続部付き半導体素子用電極膜を具える発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−73820(P2010−73820A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238428(P2008−238428)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(506334182)DOWAエレクトロニクス株式会社 (336)
【出願人】(501045021)株式会社ナノテコ (9)
【Fターム(参考)】