説明

小分け原料供給装置

【課題】安い価格で高速の原料供給動作を確保しつつ、不均一な粉粒体や粉末で構成された原料を予め指定した量だけ自動包装機に供給できる原料供給装置を提供する。
【解決手段】自動包装機の原料供給装置1は、不均一な粒子状原料30を貯留するホッパー3と、このホッパー3直下に配置されたスクリュー形状の搬送機構と、このスクリュー形状の搬送機構直下に配置された螺旋コイル状の搬送機構と、から成っており、スクリュー形状の搬送機構は、ホッパー3から落下してくる粒子状原料30を荒く解きほぐすように動作し、螺旋コイル状の搬送機構は、スクリュー形状の搬送機構から落下してくる粒子状原料30をかき回してより細かく解きほぐすように動作すると共に、螺旋コイル状の搬送機構内部を搬送されてくる粒子状原料30に対して摺り切り作用を施して一定の高さに揃えるように動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルム(包材)を用いて原料(内容物)を自動的に充填包装する自動包装機の技術分野に属するものであって、具体的には、不均一な粒子状原料を指定した量だけ自動包装機に送り込む原料供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、粒子状物質や粉末の原料(内容物)を自動的に充填包装する自動包装機では、原料を一旦自動包装機のホッパーに貯留させており、製袋動作に合わせてこの貯留させた原料を予め設定された充填量に計量した後、この原料を出来上がった包装袋の投入口を経由して内部に供給し、その後、投入口を封止並びに切り離して個別包装袋にしている。
【0003】
このような従来の自動包装機の原料供給装置では、均一な粉粒体や粉末で構成された原料を予め指定した量だけ自動包装機に供給する場合、スクリューコンベア等で構成されたオーガ供給機構を配備していた。
【0004】
しかし、このような均一な粉粒体や粉末で構成された原料ではない不均一な粒子状原料(例えば、お茶の葉や乾燥野菜等のかやく類)を指定した量だけ自動包装機に送り込む場合は、従来のオーガ供給機構では原料の間に不均一な隙間が発生して搬送量目値が大幅に変動し、正しい原料供給動作が実現できない。
【0005】
このため、不均一な粒子状原料の場合は、直線フィーダ若しくはパイプフィーダ等の搬送機構と、搬送された量を毎回計測する計量機構を組み合わせた供給装置を配備していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−8282号公報
【特許文献2】特開平08−226845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の原料供給装置は、以下のような問題点があった。
(1)計量タイプの供給装置では、正確な量目を毎回個々に計測するため原料供給速度が遅く、この結果、この供給装置の遅い動作速度に引きずられて全体の包装動作が遅くなるという重大な問題が発生することになる。
【0008】
(2)また、原料供給装置内に計量機構が組み入れられているため、機構が複雑になると共に原料供給装置全体の費用が大幅にアップすることになり、経済面での問題も発生する。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、安い価格で高速の原料供給動作を確保しつつ不均一な粉粒体や粉末で構成された原料を予め指定した量だけ自動包装機に供給できる原料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記の課題を解決するためになされた本発明の原料供給装置は、不均一な粒子状原料を貯留するホッパーと、このホッパー直下に配置されたスクリュー形状の搬送機構と、このスクリュー形状の搬送機構直下に配置された螺旋コイル状の搬送機構と、から成っている。
【0011】
(2)また本発明の原料供給装置のスクリュー形状の搬送機構は、ホッパーからの粒子状原料を受け取る投入口とこのスクリュー形状の搬送機構から粒子状原料を送り出す落下口を設けた円筒部材と、この円筒部材内に嵌め込まれた回転するスクリューコンベア部材と、このスクリューコンベア部材を回転させるモータ部材と、原料供給量に応じてこのモータ部材の回転量を制御するモータ制御回路で構成されており、
本発明の原料供給装置の螺旋コイル状の搬送機構は、スクリュー形状の搬送機構から落下してくる粒子状原料を受け取る投入口と自動包装機に粒子状原料を送り出す落下口を設けたU字状送り筒部材と、このU字状送り筒部材内に嵌め込まれた回転する螺旋コイル部材と、この螺旋コイル部材の中央付近内部に隙間を設けて配備された円柱部材と、この螺旋コイル部材と円柱部材を回転させるモータ部材と、原料供給量に応じてこのモータ部材の回転量を制御するモータ制御回路で構成されている。
【0012】
(3)また本発明のスクリュー形状の搬送機構のスクリューコンベア部材は、ホッパーから落下してくる粒子状原料を荒く解きほぐすように動作し、
螺旋コイル状搬送機構の螺旋コイル部材は、スクリュー形状の搬送機構から落下してくる粒子状原料をかき回してより細かく解きほぐすように動作し、
螺旋コイル状搬送機構の円柱部材は、螺旋コイル状搬送機構のU字状送り筒部材内部を搬送されてくる粒子状原料に対して摺り切り作用を施して一定の高さに揃えるように動作する。
【0013】
上記(1)、(2)、(3)で述べた原料供給装置において、スクリュー形状搬送機構のスクリューコンベア部材と螺旋コイル状搬送機構の螺旋コイル部材とによる二段階の粒子状原料解きほぐし手段と、螺旋コイル状搬送機構の円柱部材による摺り切り手段を配備した結果、螺旋コイル状搬送機構内を搬送されて直下に配備された自動包装機のシュートに落下する不均一な粒子状原料は、充分に解きほぐされつつ一定の搬送量になるように調節されるようになった。
【0014】
(4)また本発明のU字状送り筒部材の落下口が、斜め形状に成っている。
【0015】
(5)また本発明の落下口の斜め形状は、螺旋コイル部材の複数の下方弦巻線に交差する方向に形成している。
【0016】
上記(4)、(5)で述べた原料供給装置のU字状送り筒部材において、螺旋コイル部材の複数の下方弦巻線を斜めに横断するように落下口を設けた結果、シュート内に落下する粒子状原料が途切れる事態を防止でき、原料供給装置における供給量精度が向上するようになった。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、以下の顕著な効果を奏する。
(1)不均一な粒子状原料を充分に解きほぐしつつ一定の搬送量になるように調節することにより、この粒子状原料を予め指定した量だけ自動包装機に供給する原料供給装置を提供できる。
【0018】
(2)また、構造が簡単で個別に計量する機構がないため、高速供給動作が実現できると共に原料供給装置の費用が安くなり、全体の包装システムのコストダウンが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を実施した原料供給装置1の正面図である。
【図2】本発明を実施した原料供給装置1の上面図である。
【図3】本発明を実施した原料供給装置1の右側面図である。
【図4】本発明を実施した原料供給装置1の螺旋コイル状搬送機構における動作概念図である。
【図5】本発明を実施した他の原料供給装置101の正面図である。
【図6】本発明を実施した他の原料供給装置101の上面図である。
【図7】本発明を実施した他の原料供給装置101のU字状送り筒部材70に関する動作概念図である。
【図8】本発明を実施した原料供給装置1と他の原料供給装置101におけるスクリューコンベア部材の回転量と粒子状原料の落下量の関係を表した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明に係る自動包装機における原料供給装置の実施の形態を図面と共に説明する。図1は本発明を実施した原料供給装置1の正面図であり、図2は本発明を実施した原料供給装置1の上面図であり、図3は本発明を実施した原料供給装置1の右側面図である。ここで、図2では原料供給装置1の内部を見えるようにするため、原料が入っていない状態で表現しており、動作説明において参照する際には図1のように原料が貯留しているものとする。また、図3は原料供給装置1の内部を判り易くするために一部を断面として表現している。
【0021】
最初に、本発明を実施した原料供給装置1の構成に関する説明を行う。図1乃至図3に示すように、2は原料供給装置1の筺体、3は不均一な粒子状原料30が貯留されているホッパー、6はホッパー2の直下に配備したスクリュー形状搬送機構の円筒部材、8はこの円筒部材6の内部に嵌め込まれた回転するスクリューコンベア部材、4はこのスクリューコンベア部材8を回転させるモータ部材、14はこのモータ部材4の駆動軸に取り付けられた平歯車、13はスクリューコンベア部材の回転軸11に取り付けられた平歯車で、この平歯車14と平歯車13は互いに噛み合ってモータ部材4の駆動力をスクリューコンベア部材8に伝えている。
【0022】
7はスクリュー形状搬送機構の円筒部材6の直下に配備した螺旋コイル状搬送機構のU字状送り筒部材、9はこのU字状送り筒部材7の内部に嵌め込まれた回転する螺旋コイル部材、5はこの螺旋コイル部材9を回転させるモータ部材、15はこのモータ部材5の駆動軸と螺旋コイル部材9の回転軸12を接続してモータ部材5の駆動力を螺旋コイル部材9に伝えているカップリング部材、10は螺旋コイル部材9の中央付近内部に隙間を設けて配備された円柱部材、20は螺旋コイル状搬送機構のU字状送り筒部材7の直下に配備した自動包装機のシュートである。
【0023】
なお、40はモータ部材4とモータ部材5の回転量を制御して自動包装機のシュート20に落下する原料供給量を調節するモータ制御回路である。
【0024】
次に、図1乃至図3に示す本発明を実施した原料供給装置1の動作について、以下に説明する。
(1)ホッパー3の内部には不均一な粒子状原料30が貯留されており、このホッパー3内部の粒子状原料30は、重力を受けてホッパー3の内底口からスクリュー形状搬送機構の円筒部材6に送り込まれる。
【0025】
(2)円筒部材6に送り込まれた粒子状原料30は、モータ部材4の駆動力を受けて回転するスクリューコンベア部材8によって図1に示す左方向に搬送されると共に、ホッパー内から送り出された大きな塊から最初に荒く解きほぐすことになる。なお、このスクリューコンベア部材8と円筒部材6の隙間は、スクリューコンベア部材8の回転運動を円滑にするだけのごくわずかな値であり、ここでは粒子状原料30をスクリューコンベア部材8によってざっくりと切り崩す共に、確実に左方向に搬送するように動作する。
【0026】
(3)スクリュー形状搬送機構の円筒部材6の左端には、直下に配備した螺旋コイル状搬送機構のU字状送り筒部材7の内部と連通している落下口が設けてあり、粒子状原料30は、この落下口から徐々にU字状送り筒部材7内部に送り込まれる。
【0027】
(4)U字状送り筒部材7に送り込まれた粒子状原料30は、モータ部材5の駆動力を受けて回転する螺旋コイル部材9によって図1に示す右方向に搬送されると共に、螺旋コイル部材9によって充分に撹拌される。なお、この螺旋コイル部材9とU字状送り筒部材7の隙間は、図3に示すように所定の値になるように開いており、ここでは粒子状原料30に対して螺旋コイル部材9によってかき回してより細かく解きほぐす動作と搬送動作の二つを行っている。
【0028】
(5)U字状送り筒部材7内部を搬送される解きほぐされた粒子状原料30は、U字状送り筒部材7の中央付近内部に隙間を設けて配備された円柱部材10によって摺り切り作用を受け、一定の高さに揃えられて螺旋コイル部材9によって更に右方向に搬送される。なお、この螺旋コイル部材9と円柱部材10の隙間は、図1に示すように所定の値になるように開いており、ここでは粒子状原料30に対して円柱部材10による摺り切り動作と螺旋コイル部材9による搬送動作の二つを行っている。
【0029】
(6)この結果、U字状送り筒部材7の右端まで搬送されて直下に配備された自動包装機のシュート20の内部に落下する粒子状原料30は、螺旋コイル部材9の回転量に比例するようになる。即ち、本発明の原料供給装置1は、自動包装機が製造している包装袋内に粒子状原料30を充填する際に、必要としている量の粒子状原料30をシュート20の内部に落下させるようにモータ部材5を回転制御し、自動包装機が充填動作していない時は、モータ部材5の回転を停止して粒子状原料30がシュート20の内部に落下しないようにしている。
【0030】
(7)そして、スクリューコンベア部材8を回転駆動しているモータ部材4も自動包装機の充填動作に合わせて回転駆動され、自動包装機が充填動作していない時は、回転を停止するように制御されている。即ち、スクリューコンベア部材8を回転駆動しているモータ部材4は、U字状送り筒部材7の内部を搬送している粒子状原料30が溢れることなく、且つ途切れることがないように確実な搬送状態を維持できるように回転制御されており、このモータ部材4とモータ部材5の回転制御によって、自動包装機に供給される原料の量目調整が正確に実行されることになる。
【0031】
図4は、本発明を実施した原料供給装置1の螺旋コイル状搬送機構における動作概念図である。図4に示すように、ここでは螺旋コイル状搬送機構のU字状送り筒部材7と、U字状送り筒部材7の内部に嵌め込まれた回転する螺旋コイル部材9と、螺旋コイル部材9の中央付近内部に隙間を設けて配備された円柱部材10と、螺旋コイル部材9の回転軸12と、U字状送り筒部材7の内部を搬送されている不均一な粒子状原料30と、を拡大して図示している。
【0032】
(1)U字状送り筒部材7内部に送り込まれた不均一な粒子状原料30は、螺旋コイル部材9の回転動作によってより細かく解きほぐされつつ図面左方向から右方向に搬送されている。そして、この搬送途中において、不均一な粒子状原料30は、螺旋コイル部材9と同じ回転軸12に配備された円柱部材10の回転運動による摺り切り作用を受けて、一定の高さに揃えられている。
【0033】
(2)即ち、この円柱部材10に到達する前の不均一な粒子状原料30は、螺旋コイル部材9による解きほぐし作用を受けてばらばらの高さ状態になり、このばらばら高さ状態のままで図面左方向から右方向に搬送されている。
【0034】
(3)そして、この搬送中の不均一な粒子状原料30が回転している円柱部材10の場所に差し掛かると、図示のように円柱部材10が配備されている高さ以上の原料を弾き飛ばすように削除して摺り切り動作を行う。
【0035】
(4)即ち、円柱部材10が配備されている場所を通り過ぎた不均一な粒子状原料30は、U字状送り筒部材7の底部分から円柱部材10までの隙間距離の高さに揃うことになり、この結果、U字状送り筒部材7の右端まで搬送されて直下に配備された自動包装機のシュート20の内部に落下する粒子状原料30は、螺旋コイル部材9の回転量に比例するようになる。
【0036】
そして、本発明を実施した原料供給装置1は、不均一な粒子状原料30の粒子自体の大きさや不均一な状態の分布幅、粒子状原料が持っている性質(粘度や硬さ、吸湿性、壊れやすさ等)などによって、ホッパーやスクリュー形状の搬送機構、螺旋コイル状の搬送機構における構成部材の大きさや形状等の諸元を選択している。
【0037】
特に、本発明を実施した原料供給装置1から自動包装機に送り込まれる原料の供給量やこの供給量の変動幅に直接影響を与えるのは、螺旋コイル状搬送機構の構成部材が採用する各種諸元の値である。即ち、螺旋コイル状搬送機構のU字状送り筒部材7内を移動する粒子状原料30の搬送量は、螺旋コイル部材9と円柱部材10を回転させるモータ部材5の回転量に比例するが、この他にU字状送り筒部材7内を移動する際の螺旋コイル部材9による撹拌と搬送の割合状態、螺旋コイル状搬送機構の円柱部材10による摺り切り状態等によっても影響される。
【0038】
そこで、今まで説明してきた螺旋コイル状搬送機構が発揮する以下の三つの動作、即ち、解きほぐし動作と搬送動作、摺り切り動作に沿って構成部材が及ぼす影響状況を説明する。
【0039】
(1)まず、螺旋コイル部材9のコイル線径とピッチ間隔について、説明する。この螺旋コイル部材9のコイル線径が細くなる程、また、コイル線のピッチ間隔が広くなる程解きほぐし動作の割合が高くなり、螺旋コイル部材9のコイル線径が太くなる程、また、コイル線のピッチ間隔が狭くなる程搬送動作の割合が高くなる。従って、不均一な状態が大きくなっている粒子状原料30の場合は、撹拌動作の割合を多くし、より均一に近い粒子状原料30の場合は、撹拌動作を少なくして搬送動作の割合を多くした螺旋コイル部材9のコイル線径とピッチ間隔を採用する。
【0040】
(2)次に、円柱部材10の直径が大きくなる程この円柱部材10とU字状送り筒部材7との隙間が狭くなり、より多くの摺り切り動作を行うことになるが、ここでの円柱部材10の直径寸法が大きくなり過ぎると、U字状送り筒部材7内を移動する粒子状原料30の搬送動作に影響を与えてしまうため、採用する円柱部材10の直径寸法は、粒子状原料30の粒の大きさを考慮して決定される。即ち、粒子状原料30の粒の大きさが大きい程円柱部材10とU字状送り筒部材7との隙間を大きくするため、円柱部材10の直径寸法を小さくする。
【0041】
(3)次に、円柱部材10の横方向の筒寸法が長い程摺り切り動作を行う時間が長くなり、より安定した摺り切り動作を行うことができる。このため、より多くの摺り切り動作を与えて正確な供給量とする必要がある充填動作の場合は、円柱部材10の横方向の筒寸法が長い部材を採用する。
【0042】
以上、図1乃至図4によって説明された本発明の原料供給装置は、不均一な粒子状原料を貯留するホッパーと、このホッパー直下に配置されたスクリュー形状の搬送機構と、このスクリュー形状の搬送機構直下に配置された螺旋コイル状の搬送機構と、から成っており、スクリュー形状の搬送機構は、ホッパーから落下してくる粒子状原料を荒く解きほぐすように動作し、螺旋コイル状の搬送機構は、スクリュー形状の搬送機構から落下してくる粒子状原料をかき回してより細かく解きほぐすように動作すると共に、螺旋コイル状の搬送機構内部を搬送される粒子状原料に対して摺り切り作用を施して一定の高さに揃えるように動作する。
【0043】
このため、本発明の原料供給装置から自動包装機に投入される粒子状原料は、螺旋コイル状搬送機構の螺旋コイル部材の回転量に比例するようになり、この螺旋コイル部材を回転させているモータ部材の回転制御によって、自動包装機に供給される原料の量目調整が正確に実行できる。
【0044】
図5は、本発明を実施した他の原料供給装置101の正面図であり、図6は、本発明を実施した他の原料供給装置101の上面図である。最初に、本発明を実施した他の原料供給装置101の構成に関する説明を行う。
【0045】
図5と図6に示すように、2は原料供給装置101の筺体、3は不均一な粒子状原料30が貯留されているホッパー、6はホッパー2の直下に配備したスクリュー形状搬送機構の円筒部材、8はこの円筒部材6の内部に嵌め込まれた回転するスクリューコンベア部材、4はこのスクリューコンベア部材8を回転させるモータ部材、14はこのモータ部材4の駆動軸に取り付けられた平歯車、13はスクリューコンベア部材の回転軸11に取り付けられた平歯車で、この平歯車14と平歯車13は互いに噛み合ってモータ部材4の駆動力をスクリューコンベア部材8に伝えている。
【0046】
70はスクリュー形状搬送機構の円筒部材6の直下に配備した螺旋コイル状搬送機構のU字状送り筒部材、9はこのU字状送り筒部材70の内部に嵌め込まれた回転する螺旋コイル部材、5はこの螺旋コイル部材9を回転させるモータ部材、15はこのモータ部材5の駆動軸と螺旋コイル部材9の回転軸12を接続してモータ部材5の駆動力を螺旋コイル部材9に伝えているカップリング部材、10は螺旋コイル部材9の中央付近内部に隙間を設けて配備された円柱部材、21は螺旋コイル状搬送機構のU字状送り筒部材70の直下に配備した自動包装機のシュートである。なお、40はモータ部材4とモータ部材5の回転量を制御して自動包装機のシュート21に落下する原料供給量を調節するモータ制御回路である。
【0047】
即ち、図1乃至図3に示した原料供給装置1の構成と比べて、他の原料供給装置101の構成において異なる点は、以下の二点である。
(1)螺旋コイル状搬送機構のU字状送り筒部材70における図示右端の落下口が、上面視斜め形状になっている。
【0048】
(2)上記U字状送り筒部材70の落下口が斜めになっていることに伴い、このU字状送り筒部材70の直下に配備されている自動包装機のシュート21の横幅寸法が広くなっている。
【0049】
このため、上記二点を除く本発明を実施した他の原料供給装置101の動作については、図1乃至図3に示す本発明を実施した原料供給装置1の動作と同じになるため、ここでは省略し、上記で示した他の原料供給装置101の異なる部分に関する動作説明を行う。
【0050】
図7は、本発明を実施した他の原料供給装置101のU字状送り筒部材70に関する動作概念図である。図7に示すように、これは螺旋コイル状搬送機構のU字状送り筒部材70の右端部分と、U字状送り筒部材70の内部に嵌め込まれた回転する螺旋コイル部材9の下方弦巻線部分と、螺旋コイル部材9の下方弦巻線部分によって搬送されている不均一な粒子状原料を拡大して図示している。
【0051】
図8は、本発明を実施した原料供給装置1と他の原料供給装置101におけるスクリューコンベア部材の回転量と粒子状原料の落下量の関係を表した概略図である。
【0052】
(1)U字状送り筒部材70内部に送り込まれた不均一な粒子状原料は、螺旋コイル部材9の回転動作によってより細かく解きほぐされつつ図面左方向から右方向に搬送されている。例えば、螺旋コイル部材の下方弦巻線94によって搬送されているのは粒子状原料54であり、下方弦巻線93によって搬送されているのは粒子状原料53であり、下方弦巻線92によって搬送されているのは粒子状原料52であり、下方弦巻線91によって搬送されているのは粒子状原料51である。
【0053】
(2)ここで、U字状送り筒部材70の斜め形状になった落下口を通り過ぎた粒子状原料は、当然自動包装機のシュート21内に落ちて包装袋に充填される原料になるが、図7に示すように、螺旋コイル部材9の回転量に比例してシュート21内に落下する粒子状原料は、下方弦巻線93によって搬送されている粒子状原料と、下方弦巻線92によって搬送されている粒子状原料と、下方弦巻線91によって搬送されている粒子状原料の合計である。
【0054】
(3)即ち、螺旋コイル部材9の回転に応じて、既にシュート21内に落下した粒子状原料は、下方弦巻線93によって搬送された粒子状原料33と、下方弦巻線92によって搬送された粒子状原料32と、下方弦巻線91によって搬送された粒子状原料31であり、この三つの下方弦巻線が搬送する粒子状原料を途切れることなくシュート21内に落下させている。
【0055】
(4)一方、図1乃至図3に示す原料供給装置1のU字状送り筒部材7は、矩形形状の落下口を採用しており、この場合のU字状送り筒部材7からシュート20内に落下する粒子状原料は、下方弦巻線が搬送する分量毎に落下することになり、下方弦巻線間に発生する搬送していない空白期間は落下しないことになる。即ち、図1乃至図3に示す原料供給装置1では、U字状送り筒部材7からシュート20内に落下する粒子状原料の量が一部途切れる、若しくは、落下量が変動する事態が発生することになる。この結果、図8に示すように、スクリューコンベア部材の回転量(螺旋コイル部材9の回転量)と粒子状原料の落下量(シュート20内に落下する量)は、階段状に変化し、原料供給装置1における供給量精度が低下することになる。
【0056】
(5)そして、上記(1)から(3)で説明したように、図5乃至図7に示す原料供給装置101のU字状送り筒部材70は、斜め形状の落下口を採用しており、この場合のU字状送り筒部材70からシュート21内に落下する粒子状原料は、三つの下方弦巻線が搬送する粒子状原料を途切れることなくシュート21内に落下させているため、図8に示すように、スクリューコンベア部材の回転量(螺旋コイル部材9の回転量)と粒子状原料の落下量(シュート21内に落下する量)は、比例した状態を維持することが可能になり、原料供給装置101における供給量精度が向上することになる。
【0057】
(6)ここで、図5乃至図7で示したU字状送り筒部材70の落下口の斜め形状は、螺旋コイル部材9の三つの下方弦巻線に交差する方向に形成しており、この交差角は、90度前後の値を採用すると良い。即ち、一定の螺旋角を持つ三つの下方弦巻線91、92、93を斜めに横断するように、U字状送り筒部材70の落下口を設けることにより、シュート21内に落下する粒子状原料が途切れる事態を防止することができる。
【0058】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【0059】
即ち、図5乃至図7で示したU字状送り筒部材70の落下口は、三つの下方弦巻線91、92、93を斜めに横断するように設けているが、これに限定されるものではなく複数の下方弦巻線を斜めに横断するように設けている。
【符号の説明】
【0060】
1、101 原料供給装置
2 筺体
3 ホッパー
4、5 モータ部材
6 円筒部材
7、70 U字状送り筒部材
8 スクリューコンベア部材
9 螺旋コイル部材
10 円柱部材
11 スクリューコンベア部材8の回転軸
12 螺旋コイル部材9の回転軸
13、14 平歯車
15 カップリング部材
20、21 自動包装機のシュート
30 不均一な粒子状原料
40 モータ制御回路
91、92、93、94 下方弦巻線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不均一な粒子状原料を貯留するホッパーと、このホッパー直下に配置されたスクリュー形状の搬送機構と、このスクリュー形状の搬送機構直下に配置された螺旋コイル状の搬送機構と、から成ることを特徴とする原料供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の原料供給装置において、
前記スクリュー形状の搬送機構は、ホッパーからの粒子状原料を受け取る投入口とこのスクリュー形状の搬送機構から粒子状原料を送り出す落下口を設けた円筒部材と、この円筒部材内に嵌め込まれた回転するスクリューコンベア部材と、このスクリューコンベア部材を回転させるモータ部材と、原料供給量に応じてこのモータ部材の回転量を制御するモータ制御回路で構成されており、
前記螺旋コイル状の搬送機構は、スクリュー形状の搬送機構から落下してくる粒子状原料を受け取る投入口と自動包装機に粒子状原料を送り出す落下口を設けたU字状送り筒部材と、このU字状送り筒部材内に嵌め込まれた回転する螺旋コイル部材と、この螺旋コイル部材の中央付近内部に隙間を設けて配備された円柱部材と、この螺旋コイル部材と円柱部材を回転させるモータ部材と、原料供給量に応じてこのモータ部材の回転量を制御するモータ制御回路で構成されていることを特徴とする原料供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の原料供給装置において、
前記スクリュー形状の搬送機構のスクリューコンベア部材は、ホッパーから落下してくる粒子状原料を荒く解きほぐすように動作し、
前記螺旋コイル状搬送機構の螺旋コイル部材は、スクリュー形状の搬送機構から落下してくる粒子状原料をかき回してより細かく解きほぐすように動作し、
前記螺旋コイル状搬送機構の円柱部材は、螺旋コイル状搬送機構のU字状送り筒部材内部を搬送されてくる粒子状原料に対して摺り切り作用を施して一定の高さに揃えるように動作することを特徴とする原料供給装置。
【請求項4】
請求項2と請求項3のいずれかに記載の原料供給装置において、
前記U字状送り筒部材の落下口が、斜め形状に成っていることを特徴とする原料供給装置。
【請求項5】
請求項4に記載の原料供給装置において、
前記落下口の斜め形状は、螺旋コイル部材の複数の下方弦巻線に交差する方向に形成することを特徴とする原料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−190104(P2011−190104A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129585(P2010−129585)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】