説明

小型マンモグラフィ装置、及び関連するマンモグラフィ方法

【課題】患者の頭部を保護しつつ、画像のはみ出しを防ぐと共に患者の不快感を軽減するように、検出器と線源との間の距離を狭めてマンモグラフィ装置を小型化する。
【解決手段】X線源(2)と、X線検出器(3)とを備えたマンモグラフィ装置(1)に関し、線源(2)は、患者(12)のマンモグラフィを実行するために、検出器(3)へ少なくとも1本のX線ビーム(fi,j)を放出することが可能であり、このマンモグラフィ装置(1)は、線源(2)によって検出器(3)へ放出されるX線の方向を、線源(2)によって検出器(3)へ放出される当該各X線が互いに対して実質的に平行になるようにして制御するように構成されているX線の方向の光学式制御装置(10)を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンモグラフィ装置(mammograph)及びマンモグラフィ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マンモグラフィは、臨床検査及び/又は侵襲治療の目的のために患者の乳房を検査する放射線撮影手法である。
【0003】
マンモグラフィは特に、患者の早期乳ガンを検出し、且つ/又は外科的侵襲治療によって病変を治療することができる。
【0004】
図1は、従来技術による公知の一実施形態でのマンモグラフィ装置50を概略図示する。
【0005】
マンモグラフィ装置50はX線源51を含んでおり、X線源51は、患者の乳房56を載置するための下部ブロック54と、上板55所謂圧迫板とを含むフレーム53へX線ビーム52を放出することが可能である。上板55は、患者の乳房56を下部ブロック54に圧迫するように鉛直に平行移動するように移動可能である。
【0006】
下部ブロック54はまた検出器57を含んでおり、検出器57の検出面58が乳房56の直下でビーム52に面する。
【0007】
線源51によって放出されるX線ビーム52が患者の乳房56に達すると、検出器57は乳房56によって透過されたX線を捕えてマンモグラフィ画像を取得する。
【0008】
認められるように、X線ビーム52は、断面が全体的に矩形である実質的にコーン状の形態を有し、コーンの頂点が放出焦点スポットであって線源51の高さに位置する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
明らかなように、患者の乳房56の全体からの画像を取得するためには、検出器57と線源51との間の距離を一定値よりも大きくして、乳房の各部が画像からはみ出ないようにする必要がある。
【0010】
しかしながら、小型マンモグラフィ装置50は特に、線源51と検出器57との間の距離によって特徴付けられる。結果として、従来技術の装置は極めて小型であるとは言えない。
【0011】
従来技術のマンモグラフィ装置において線源51を検出器57に接近させると、乳房56の一部が画像からはみ出すという影響が出る。
【0012】
また、X線は一般的には、陰極によって放出される電子ビームが金属陽極の放出焦点スポットに衝突することにより放出される。
【0013】
放出焦点スポットの寸法を増大させると、検出器へのX線曝射時を通じてX線放出量が増強される。このことは、検出器に達する所与のX線量について取得時間の短縮と言い換えられ、従って画像取得時に乳房が移動する虞が小さくなり、最終的には医師にとって関心のある最終的な画像の品質が向上することと言い換えられる。
【0014】
しかしながら、放出焦点スポットの寸法を拡大すると共に検出器と線源との間の距離を狭めると、従来技術のマンモグラフィ装置では前述の画像における乳房のはみ出しばかりでなくボケの出現によって画質の劣化を招く。具体的には、微小石灰化のような幾つかの関心領域の視認性が画像において劣化する。
【0015】
従って、従来技術のマンモグラフィ装置は、小型化と画質とを同時に両立させることができない。
【0016】
また、図2に示すように、従来技術のマンモグラフィ装置は、患者の頭部を線源と検出器との間の撮影領域から退避させるために保護カバー59の利用を必要とする。
【0017】
実際に、これらのマンモグラフィ装置では、線源は、鉛直軸に沿って患者の頭部の高さよりも上又は同高に配置される。
【0018】
圧迫されている患者の姿勢のため、又は保護カバーによって患者に加わる圧力のため、患者の乳房はまた撮影領域から押し戻される傾向にあり、このことの欠点は、マンモグラフィ装置の視野内の乳房の部分が減少すること、及び患者の不快感の原因を生成することである。
【0019】
本発明は、以上の欠点を解消することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的のために、本発明は、X線源と、X線検出器とを含むマンモグラフィ装置を提案し、線源は、患者のマンモグラフィを完遂するために、検出器へ少なくとも1本のX線ビームを放出することが可能であり、このマンモグラフィ装置は、線源によって検出器へ放出されるX線の方向を、線源によって検出器へ放出される当該各X線が互いに対して実質的に平行になるようにして制御するように構成されているX線の方向を制御する光学装置を含んでいることを特徴とする。
【0021】
本発明は有利には、単独で採用される又は任意の技術的に可能な組み合わせとして採用される以下の特性によって完成される。
・線源はX線放出焦点スポットを含んでおり、検出器は検出面を含んでおり、放出焦点スポットと検出面との間の距離は、焦点が、検出面に直交する軸に沿って患者の頭部の下方に位置する領域に位置するように調節される。
・放出焦点スポットと検出面との間の距離は5cmと30cmとの間である。
・線源は、当該線源と検出器との間の距離を増減させるように第一の方向に沿って、且つ/又は線源と患者の胴体平面との間の距離を増減させるように第二の方向に沿って変移させられ得る。
・X線の方向を制御する光学装置は複数の材料層を含んでおり、これらの層の少なくとも第一の部分集合が第一の値区間に属する屈折率を有し、層の少なくとも第二の部分集合が第二の値区間に属する屈折率を有し、第一の区間の値は第二の区間の値よりも大きい又は反対であり、光学装置は、第一の部分集合及び第二の部分集合に交互に属する一連の層を含んでおり、装置の層の少なくとも一部が当該層同士の間の境界面に内彎曲領域を呈する。
・線源は、複数のX線ビームを放出するように構成される。
・線源は、直線又は曲線又は表面に配置された複数の放出焦点から複数のビームを放出するように構成される。
・線源及び/若しくは検出器は、互いに対して相対的に平行移動するように変移することができ、且つ/又は線源及び/若しくは検出器は、トモシンセシスによって三次元マンモグラフィ画像を取得するために、互いに対して異なる相対角度位置に変移することができ、又は線源及び検出器は、患者の乳房を中心として回転するように変移することができる。
・検出器は、異なるX線放出エネルギにおいてマンモグラフィ画像を取得するために、線源によって検出器へ放出されるX線のエネルギ又はエネルギ範囲を検出することが可能である。
【0022】
本発明はまた、上述のマンモグラフィ装置におけるマンモグラフィ方法に関し、この方法は、線源から検出器へ少なくとも1本のX線ビームを放出することから成るステップを含んでおり、ビームの各X線は互いに対して実質的に平行であることを特徴とする。
【0023】
有利には、この方法は、線源によって放出されるビーム又は複数のビームの各X線が検出器の検出面の一部又は集合を走査するようにして線源と検出器との間に相対的変移を生じさせることから成るステップを含んでいる。
【0024】
有利には、線源は複数のX線ビームを放出することが可能であり、上述の方法は、検出器を線源に対して変移させること、及び線源の複数のX線ビームの中からのX線ビームの部分集合であって、移動した検出器に照射されるX線を提供するように選択されるX線ビームの部分集合を連続して放出することから成るステップを含んでいる。
【0025】
本発明は多数の利点を有する。
【0026】
本発明の一つの利点は、X線源と検出器との間の距離を縮小した小型マンモグラフィ装置を提案していることである。
【0027】
本発明のもう一つの利点は、患者のX線源との衝突の危険性を小さくしたマンモグラフィ装置を提案していることである。
【0028】
本発明のさらにもう一つの利点は、マンモグラフィ装置での患者の乳房の配置を容易にし、改善することである。
【0029】
本発明のさらにもう一つの利点は、良好な画質を保ちつつ小型マンモグラフィ装置を提供することである。
【0030】
本発明のさらにもう一つの利点は、高X線流による撮像法の実装を可能にすることである。
【0031】
本発明のもう一つの利点は、線源の熱出力の減少を可能にすることである。
【0032】
最後に、もう一つの利点は、本発明はまた、トモシンセシスを用いたマンモグラフィ装置にも、スキャナ形式のマンモグラフィ装置にも適用され得ることである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の他の特性、目的及び利点は以下の記載から明らかとなるが、記載は単に説明のためのものであって限定するものではなく、添付図面に関して考察されなければならない。
【図1】既述の従来技術によるマンモグラフィ装置の概略図である。
【図2】既述の従来技術によるマンモグラフィ装置の図である。
【図3】本発明によるマンモグラフィ装置の一実施形態の概略図である。
【図4】本発明によるX線源の各要素の実施形態の概略図である。
【図5(A)】X線の方向を制御する光学装置の一実施形態の概略図である。
【図5(B)】X線の方向を制御する光学装置の一実施形態の概略図である。
【図6】本発明によるマンモグラフィ装置の一実施形態の概略図である。
【図7】本発明によるマンモグラフィ装置のもう一つの実施形態の図である。
【図8】本発明による方法の一実施形態のステップの概略図である。
【図9(A)】本発明による線源及び検出器の概略図である。
【図9(B)】本発明による線源及び検出器の概略図である。
【図10(A)】本発明による線源及び検出器の概略図である。
【図10(B)】本発明による線源及び検出器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図3は、本発明によるマンモグラフィ装置1の一実施形態を概略図示する。
【0035】
マンモグラフィ装置1は、X線源2とX線検出器3とを含んでいる。
【0036】
X線源2は、患者12のマンモグラフィを実行するために、検出器3へ少なくとも1本のX線ビームfi,jを放出することが可能である。
【0037】
マンモグラフィ装置1は、上板22所謂圧迫板と下部ブロック23とを含んでいる。上板22は、患者12の乳房を下部ブロック23に圧迫するように鉛直に平行移動するように移動可能である。代替的には又は加えて、下部ブロックが乳房を圧迫するために移動可能である。
【0038】
検出器3は、患者12の乳房の下方でビームfi,jに面する検出面15を含んでいる。
【0039】
検出器3は例えば、アモルファス・シリコンのトランジスタ/フォトダイオードのマトリクスに設けられた例えばヨウ化セシウム燐光体(シンチレータ)を含む半導体による画像センサである。他の適当な検出器としては、特にCCDセンサがある。これらの形式の検出器は、非限定的な例として掲げられている。
【0040】
線源2によって放出されるX線ビームfi,jは患者12の乳房に入射し、検出器3は乳房によって透過されたX線を感知してマンモグラフィ画像を取得する。
【0041】
線源2と検出器3との間に、放射線に対して不透過性であって、患者12の乳房によって散乱された不要のX線を除去することを可能にする吸収板(「セプタム(隔壁)」)を含む散乱防止グリッドを設けることができる。代替的に又は加えて、線源2と検出器3との間のコリメーションを提供することができる。
【0042】
従来は、マンモグラフィ装置1は有利には、制御部24、記憶部25及び表示部26を含んでいる。
【0043】
制御部24は、線源2によるX線の幾つかの放出パラメータを確定することにより取得を制御する。制御部24はまた、線源2及び/又は検出器3の変位、並びに両者の相対位置を制御する。制御部24は典型的には、マイクロコンピュータ及び/又はプロセッサである。
【0044】
記憶部25は、制御部24に接続されてパラメータ及び取得画像を記録する。記憶部25が制御部24の内部又は外部に位置することを保証することが可能である。
【0045】
記憶部25は、ハード・ドライブ若しくはSSD、又は他の任意の着脱式で再書き込み可能な記憶手段(USBキー及びメモリ・カード等)によって形成され得る。記憶部25は特に、制御部24のROM/RAMメモリ、USBキー、メモリ・カード、及び中央サーバのメモリ等であってよい。
【0046】
表示部26は、制御部24に接続されて取得画像及び/又は取得制御パラメータについての情報を表示する。
【0047】
表示部26は、例えばコンピュータ・スクリーン、モニタ、フラット・スクリーン、プラズマ・スクリーン又は他の任意の形式の公知の形式の表示装置であってよい。
【0048】
かかる表示部26は、医師がマンモグラフィ装置による画像を観察したり画像の取得を制御したりすることを可能にする。マンモグラフィ装置はまた従来は、医師による相互作用(対話)のためのキーボード形式の手段を含んでいる。
【0049】
以上に述べた異なる制御部、表示部及び記憶部の作用の切り分けは、各実施形態に従って、また必要に応じて異なっていてよいことが理解される。
【0050】
マンモグラフィ装置1はまた、線源2によって検出器3へ放出されるX線の方向を、線源2によって検出器3へ放出される当該各X線が互いに対して実質的に平行になるようにして制御するように構成されているX線の方向の光学式制御装置10を含んでいる。
【0051】
図4は、X線源2及び光学装置10の一実施形態を概略図示している。
【0052】
一般的には、線源2は、陽極27と陰極28とを含む真空管を含んでおり、陰極28ではフィラメント29、典型的には螺旋状に巻回されたタングステン線が電流によって高温に加熱される。陰極28のフィラメントによって発生される電子ビーム30が、同図には示していない加速電圧によって加速されて陽極27に達する。電子ビーム30はX線放出焦点31において陽極27に衝突する。幾つかの実施形態では、陽極は、入射した電子ビームに対して所与の角度(非限定的な例として掲げると例えば45°)に傾斜している。
【0053】
入射した電子ビーム30と陽極を構成する材料との間の相互作用からX線が発生する。
【0054】
陽極27によってX線放出焦点31から発生されるX線ビームは無指向性である。
【0055】
次いで、このX線ビームの一部がX線の方向の光学式制御装置10に入射し、制御装置10は、当該装置10の出力においてビームfi,jの各X線が互いに対して実質的に平行になるようにX線の方向を制御するように構成されている。
【0056】
実質的に平行であるとは、当業者には容易に理解されるように、ビームの各射線が互いに対して平行であること、又は装置の光学的障害のため互いに対して殆ど平行であることを意味する。
【0057】
一般的には、線源2は、当該線源2を包囲する保護外被(図示されていない)を含んでおり、光学装置10はこの外被の内部に載置される。
【0058】
一般的には、光学装置10は陽極27の近くに、特にX線放出焦点31の近くに配置される。
【0059】
従って、光学装置10は、X線を放出する陽極27の出力に配置される。光学装置10は、陽極及び陰極を含む真空管の内外何れに配置されてもよい。
【0060】
もう一つの実施形態では、光学装置10は線源2の保護外被の外部に配置される。
【0061】
光学装置10の様々な実施形態が実現可能である。
【0062】
図5(A)及び図5(B)は、光学装置10の一実施形態を示す。
【0063】
本実施形態では、光学装置10は、複数の材料層21を含んでいる。
【0064】
具体的には、光学装置10はここでは、高屈折率及び低屈折率を交互に有する一連の材料層の利用に基づくものである。
【0065】
低屈折率を有する材料は、例えばオスミウム、白金又は金のような材料である(列挙は非網羅である)。
【0066】
高屈折率を有する材料は、例えばベリリウム、ハイブリッドリチウム、マグネシウムのような材料である(列挙は非網羅である)。
【0067】
このように、光学装置10は、第一の値区間に属する屈折率を呈する層の少なくとも一つの第一の部分集合32と、第二の値区間に属する屈折率を呈する層の少なくとも一つの第二の部分集合33とを含んでおり、第一の区間の値は第二の区間の値よりも大きい(又は反対である)。
【0068】
この場合には、光学装置10は、第一の部分集合32及び第二の部分集合33に交互に属する一連の層を含んでいる。
【0069】
特定の場合には、光学装置10は、連続して交互に構成されている第一の屈折率を有する第一の材料層と第二の屈折率を有する第二の材料層とを含んでおり、第一の屈折率は第二の屈折率よりも大きい(又は反対である)。
【0070】
光学装置10を構成する材料層の屈折率を交互に構成すると、全反射の物理的特性が引き出され、すなわちX線が臨界角よりも小さい(又は選択される慣例に応じて大きい)入射角を有する場合には2種の屈折率の材料の間の境界面に到達するX線が屈折なしに完全に反射される。
【0071】
かかる光学装置10は、非平行のX線ビーム、例えばコーン状の形態のX線ビームから当該装置の出口において平行なX線を発生する。
【0072】
特定の実施形態では、光学装置10は、第一の値区間に属する屈折率を呈する層の少なくとも一つの第一の部分集合32と、第二の値区間に属する屈折率を呈する層の少なくとも第二の部分集合33と、第三の値区間に属する屈折率を呈する層の少なくとも第三の部分集合とを含んでおり、第三の区間の値は第二の区間の値と第一の区間の値との間(又は反対)にあり、装置は第一の部分集合32、第三の部分集合及び第二の部分集合33に交互に属する一連の層を提供する。
【0073】
このことは中間的な屈折率の材料を高屈折率の材料と低屈折率の材料との間に介設させるという問題である。
【0074】
有利な一実施形態では、屈折率の交互構成に加えて、材料層の少なくとも一つの部分集合が、入射X線の方向を平行X線に転換するために上述の層の間の境界面において内彎曲領域42を有しているような光学装置10が用いられる。このことを図5(B)に示す。かかる領域の利用は、装置10の出口での平行なX線のビームの強度を増大させる。
【0075】
有利には、各々の内彎曲領域42が、層から層にわたり異なる曲率及び/又は曲率中心を有する。
【0076】
有利には、各々の内彎曲領域42は、各々が一つの曲率半径を呈する複数の接合区画によって構成される。有利には、各々の区画が一定の曲率半径を有する。
【0077】
直線的区画の場合には、曲率半径は無限大である。
【0078】
一つの区画の曲率半径は、内彎曲領域42の他の区画の曲率半径と異なっていても同一であってもよい。
【0079】
一実施形態では、内彎曲領域42は光学装置10のX線入口面44の側に載置され、層と層との間の境界面は光学装置10の出口面45の側では平坦である。境界面が実際に平坦であるような層の領域はコリメータの役割を果たす。
【0080】
もう一つの実施形態では、内彎曲領域42は、装置10の入口面44から出口面45まで層と層との間の境界面の全体にわたり延在する。
【0081】
特定の実施形態では、内彎曲領域42は、所与の曲率半径を有して装置10の入口面から出口面45まで所与の長さにわたり延在する。領域42の長さは、装置10の出口面45のレベルにおいて、水平である領域によって画定される曲線に対して接線を生成する長さとして定義される(水平であるとは、陽極によって放出される中心線であって非発散性の線に対応する線の軸を意味する)。
【0082】
材料の選択、厚み及び曲率半径によって装置の出口でのX線の平行性を調節する(例えば許容差が「水平」軸に対して0.02°)。
【0083】
特定の実施形態では、内彎曲領域42は、装置10の入口面から出口面45まで所与の長さにわたり延在する。ここでは、領域42の長さは、水平である領域によって画定される曲線に対して接線を生成する長さを超えて延在する。この実施形態は、平行性が高まった線を発生する。
【0084】
光学装置10は、必要に応じて幾つかの形態を有し得る。装置10は、円筒形の層又は多角形の層(例えば平行六面体)の積層体である。
【0085】
有利には、装置10の層は互いに隣接し、間隙真空又は間隙物質の存在はない。
【0086】
有利には、これらの層は相似堆積によって形成される。
【0087】
図5(B)に示すように、光学装置10は、陽極27の出口において全体的にコーン状の形態を有するX線ビームを、各X線が互いに対して実質的に平行なX線ビームfi,jへ変換する。
【0088】
具体的には、コーンの周辺に位置しており中心X線に対して発散する傾向にあるX線は反射されて、光学装置10の材料層21、具体的には内彎曲領域42によってビームの中心に方向転換される。
【0089】
このことはX線の方向の受動式制御であることを特記しておく。
【0090】
装置10の他の実施形態も可能である。放物線のように彎曲した多層光学装置10を用いることが公知である。この技術はこのときには全反射ではなく回折に基づいており、平行なX線を発生する(例えば米国特許出願第2006/0018429号を参照されたい)。
【0091】
図6は、本発明によるマンモグラフィ装置1の一実施形態を概略図示する。
【0092】
線源2及び/又は検出器3は有利には移動可能である。
【0093】
有利には、線源2を、当該線源2と検出器3との間の距離を増減させるように第一の方向に沿って変移させることができる。この形式の変位を図6の上下方向の矢印34に概略図示する。検出器3に対する線源2の相対位置によって、この変位は必ずしも鉛直でないことは明らかである。
【0094】
この変位は、例えばレールによって又は他の任意の当業者に公知の適応構成された変位システムを介して行なわれる。
【0095】
この変位は、例えばマンモグラフィ装置の制御部及びキーボード形式の対話手段を介して医師によって制御される。代替的には、この変位は、マンモグラフィ装置の制御部によって誘導される自動変位である。
【0096】
有利には、線源2を、当該線源2と患者12の胴体平面との間の距離を増減させるように第二の方向に沿って変移させることができる。この変位を図6の矢印35によって表わす。この変位は必ずしも水平面でなくてもよいことは理解される。
【0097】
この変位は、例えば線源2の平行移動、又は線源2のフラップ・システム等のような様々な方法で行なわれ得る。
【0098】
有利には、線源2を、検出器3及び圧迫板として作用する上板22によって形成される組とは独立に変移させることができる。
【0099】
この変位は、レール又はころ系等のように当業者に公知の任意の変位システムによって行なわれ得る。
【0100】
有利には、この変位は、例えばマンモグラフィ装置の制御部及びキーボード形式の対話手段を介して医師によって制御される。代替的には、この変位は、マンモグラフィ装置の制御部によって誘導される自動変位である。
【0101】
一実施形態では、線源2及び検出器3を、互いに対して相対的に平行移動するように変移させることができる。有利には、この平行移動は、検出器3の平面に属する1又は複数の軸に沿って実現可能である。次いで、線源2及び/又は検出器3を移動させることができる。
【0102】
このようにして、X線によって検出器3の検出面15を走査し、従って検出器3に載置される乳房全体の画像を取得する。
【0103】
これらの相対的変位は、当業者に公知の任意の変位システムを介して実行され、場合に応じて線源2及び/又は検出器3に適用可能である。
【0104】
以下、線源2及び/又は検出器3の他の変位について説明する。
【0105】
本発明によるマンモグラフィ装置は1又は複数のX線ビームを発生し、このX線ビームの各X線は互いに平行である。
【0106】
結果的に、従来技術のコーン型X線ビームの場合に見受けられた乳房の画像のはみ出しなしに線源2及び検出器3の相対的な接近を行なうことが可能である。
【0107】
これにより、線源2と検出器3との間の距離を縮小した小型マンモグラフィ装置が得られる。有利には、検出器3の検出面15とX線が放出される起点となる線源2の放出焦点スポットとの間の距離は、70cm、又は60cm、又は50cm、又は40cm、又は30cm、又は20cm、又は10cm未満である。他の値も当然実現可能である。明らかに、線源2の各X線の放出焦点スポットと検出器3の検出面との間の距離は、患者が下部ブロック23と圧迫板22との間に自分の乳房を配置し得るように、患者の乳房の厚みを上回っていなければならず(この厚みに圧迫板の厚みを加えなければならないが、圧迫板の厚みは数ミリメートル程度であるので無視してよい)、少なくとも圧迫位置において上回っていなければならない。
【0108】
具体的には、従来技術の装置とは対照的に、検出器3の検出面と放出焦点スポットとの間の距離を、線源2のX線放出焦点スポットが、検出器の表面に直交する全体的に鉛直な軸に沿って患者12の頭部13の下方に位置する領域に配置されるように調節することが可能である。本発明によれば、この配置が乳房の画像のはみ出しなしに実行され得る。このことを図6に示しており、患者の寸法及び大きさを問わず適用可能である。
【0109】
有利には、多様な患者の形態をカバーするために、検出器3の検出面と線源2の放出焦点スポットとの間の距離を5cmと30cmとの間としてX線放出焦点スポットを患者の頭部の下方に形成し、この距離は一般的には、検出器の検出面に直交する全体的に鉛直な軸に沿って評価される。この区間に含まれる任意のさらに小さい距離区間も本発明に含まれることは理解される。
【0110】
実際に、最も厚みのない乳房は一般的には、厚みが圧迫位置において2cm程度であり、最も厚みのある乳房は厚みが数十cm程度である。
【0111】
また、乳房の下面と、患者の顎の高さにおいて測定される患者の頭部との間の距離は、女性の略総数について20cmと30cmとの間とされる。
【0112】
従って、所載の値によれば、X線放出焦点スポットは、患者の頭部の下方に位置する領域に位置する。
【0113】
検出面と放出焦点スポットとの間の距離は一般的には、検出器3の検出面に直交する軸に沿って評価される。
【0114】
この距離は特に、患者の乳房の下面と、顎の高さにおいて患者の頭部の下方に位置する領域との間の実効距離の関数としてさらに正確に調節され得る。
【0115】
本発明によれば、これにより、線源と検出器との間の撮影領域から外へ患者の頭部を退避させるのに役立つ保護カバーを用いる必要がなくなる。
【0116】
有利な一実施形態では、線源は複数のX線ビームfi,jを放出するように構成されている(後述する図9から図10を参照されたい)。
【0117】
このことは、各々が電子ビームを1又は複数の陽極へ放出することが可能である複数の陰極を用いることにより行なわれ得る。
【0118】
これにより複数のX線放出焦点が形成され、従って複数のX線ビームfi,jが形成されて、互いに対して平行なX線を提供する。
【0119】
有利には、線源2は、陽極のレベルでのビームの放出焦点スポットが小径となり、例えば1ミクロン程度となるように調節される。
【0120】
複数のビームfi,jの放出の場合には、線源2の1又は複数の陽極の出口に位置する複数の光学装置10、又は代替的には単一の光学装置10を用いることが可能であり、線源2によって検出器3へ放出される各X線が互いに対して実質的に平行になるようにしてX線の方向を制御する。
【0121】
有利には、線源2は、直線として構成される複数の放出焦点31から複数のX線ビームfi,jを放出するように構成される。従って、この場合には、これにより一次元形式の線源が得られる(図9(A)及び図9(B)を参照されたい)。
【0122】
代替的には、放出焦点31は曲線に構成される(図示されていない)。
【0123】
代替的には、放出焦点31は表面に構成され(図10(A)及び図10(B)を参照されたい)、従ってこの場合には、二次元線源2を形成する。
【0124】
一実施形態では、線源2及び/又は検出器3を、トモシンセシスによって三次元マンモグラフィ画像を取得するために、互いに対して異なる相対角度位置に変移させることができる。相対角度変位は、例えば円の弧若しくは線、又は必要に応じて他の任意の軌跡における線源2の変位から成っていてよい。これにより、様々な角度に沿った乳房の一連の投影に対応する乳房の一連の画像が形成される。一般的には、相対角度変位は限定された振幅を有する(±7°と±60°との間であるが、これらの値は非限定的な方法で掲げられている)。
【0125】
この画像集合を用いて、当業者に公知の画像処理アルゴリズムを用いることにより乳房の容積を記述した画像集合を再構成することができる。トモシンセシスのための画像処理アルゴリズムは特に、非繰り返し式アルゴリズムと繰り返し式アルゴリズムという二つの大範疇を含んでいる(当業者に公知のアルゴリズムの実例は「フィルタ補正逆投影(FBP)」、「同時式代数再構成手法(SART)」である)。
【0126】
本発明はまた、乳房撮像専用のスキャナにも適用可能である。
【0127】
図7は、かかるマンモグラフィ装置の一例を概略図示する。
【0128】
本実施形態では、線源2及び検出器3は、スキャナの場合のように、三次元マンモグラフィ画像を取得するために一般に0°と360°との間若しくは0°と180°との間の角度に沿って、又は0°と360°との間の相対的に小さい角度区間において患者12の乳房を中心として回転するように設定されることが可能である。乳房は図7では断面で示され、従って円によって表わされている。線源及び検出器を含む組の回転軸は一般的には、乳頭を通過する乳房の対称軸である。
【0129】
以下、本発明によるマンモグラフィ方法の様々な実施形態について、以上に述べたマンモグラフィ装置の各実施形態の一つ又は他のものを用いて説明する。
【0130】
第一の例では、患者12の乳房は検出器3を含む下部ブロック23に配置され、次いで圧迫板22によって圧迫される。
【0131】
有利には、線源2は、前述のように線源2と患者12の胴体平面との間の距離を増大させるように第二の方向に沿って離隔するように事前に移動させられて、患者がマンモグラフィ装置に自由に接近し得るようにする。従って、これにより線源2を患者12から引き離す。
【0132】
一旦、患者の乳房12が所定の位置に配置されたら、線源を例えば平行移動によって再び患者12の胴体平面まで移動させて、検出器3に対向するように配置する。
【0133】
また、線源2を、前述のように線源2と検出器3との間の距離を増減するように第一の方向に沿って検出器3に対して変移させることができる。
【0134】
線源2は、鉛直軸に沿って患者12の頭部13の下方に位置する領域に全体的に位置しており、このことは本発明による装置及び方法によって可能となっている。
【0135】
一旦、患者が所定の位置に配置されたら、マンモグラフィ画像を取得する方法が開始し得る。
【0136】
この方法は、線源2から検出器3へ少なくとも1本のX線ビームを放出することから成るステップE1を含んでおり、このビームfi,jの各X線は前述の光学装置10のため互いに対して実質的に平行となる。
【0137】
X線ビームfi,jは患者の乳房12を通過して検出器3によって収集され、マンモグラフィ画像を取得する。
【0138】
有利には、この方法は、線源2によって放出されるX線ビームfi,jが検出器3の検出面15の一部又は全体を走査するようにして線源2と検出器3との間に相対的変位を生じさせることから成るステップE2を含んでいる。
【0139】
一般的には、検出面15は一組の検出素子を含んでいる。X線ビームfi,jは、例えば検出面の検出素子から成る各々の線を走査するように移動することができる(所謂ビデオ走査)。
【0140】
一実施形態では、線源2は複数のX線ビームfi,jを放出し、この方法は、複数のビームfi,jのX線によって検出面15の一部又は全てを走査するように線源2と検出器3との間に相対的変位を生じさせることから成るステップE2を含んでいる。
【0141】
図9(A)では、線源2は複数のビームfi,jを放出しており、これらのビームの放出焦点31は直線に位置している(一次元線源)。線源2は検出器3に対して平行移動するように移動させられて、検出器3の検出面15を走査する。
【0142】
図9(B)では、線源は複数のビームfi,jを放出しており、これらのビームの放出焦点31は直線に位置している(一次元線源)。
【0143】
同様に、検出器3は一次元検出面を有し、すなわち検出素子は主に1本の軸に沿って分配されている。
【0144】
患者の乳房の完全な画像を取得するために、線源2及び検出器3は連動して、特に平行移動するように連動して、移動させられる。
【0145】
一般的には、線源2の複数のX線ビームfi,jの中からのX線ビームの部分集合を連続して放出することから成るステップE3を実装すると有利である。
【0146】
ステップE3は、
・検出器3を線源2に対して移動させること、及び
・線源2の複数のX線ビームfi,jの中からのX線ビームの部分集合であって、変位した検出器2(すなわち検出器2の検出面15)に照射されるX線を提供するように選択されるX線ビームの部分集合を連続して放出すること
から成っている。
【0147】
ビームの各々の部分集合が、移動した検出器3の検出面15にビームの当該部分集合の各X線が到達し得る瞬間tに対応して瞬間tにおいて放出される。
【0148】
この実施形態の利点は、全てのX線ビームfi,jが永続的に放出される訳ではないので線源2及び線源2の構成要素(陰極、陰極フィラメント及び陽極等)の温度上昇を限定することである。これにより、線源2の熱均衡を改善し、従って寿命が延びる。
【0149】
図10(A)は、表面22に配列されている複数の放出焦点31から複数のビームfi,jを放出するように構成されている線源2の場合を示す(二次元線源)。
【0150】
ここでの場合は、一次元検出面を有する検出器3すなわちピクセルが主に1本の軸に沿って分配されているような検出面を有する検出器3について既に考察されている。
【0151】
この場合には、前述のステップE3を実装すると有利である。
【0152】
この場合には、検出器3は線源2に対して平行移動するように移動させられて乳房全体の画像を形成し、異なるX線ビームが、変位した検出器3へ連続して、特に線逐次で放出される。
【0153】
図10(B)は、一つの表面22に配置されている複数の放出焦点31から複数のビームfi,jを放出するように構成されている線源2の場合を示す(二次元線源)。
【0154】
この場合も、二次元検出面15を有する検出器3すなわちピクセルが一組の連続した線にわたって分配されているような検出面を有する検出器3について既に考察されている。
【0155】
この場合には、放出焦点31の間の間隔とX線ビームの密度との関数として、検出面15の幾つかの検出素子にX線が到達し得ない場合があることは明らかである。従って、上述の表面の全ての検出素子が線源によって放出されて乳房によって透過されたX線を吸収し得るように、線源2によって放出されるX線ビームfi,jが検出器3の検出面15の一部又は全てを走査するようにして線源2と検出器3との間に相対的変位を生じさせることから成るステップを実行すると有利である。
【0156】
他の実施形態が、X線ビームの配置、X線ビームの密度、X線ビームの本数、検出面の形式、及び検出面の形態等に応じて実行可能である。当業者には、以上に述べた実施形態をマンモグラフィ装置の必要及び応用に合わせて如何に適応構成するかが認められよう。
【0157】
マンモグラフィ方法の一実施形態では、線源2は、各々が他のスペクトルと異なる所定のエネルギ・スペクトル(従って周波数)にある数本のX線ビームを放出する。フィルタが線源2の出口に配置されて、エネルギ又は好ましいエネルギ範囲を選択して濾波する。
【0158】
これにより、異なるエネルギのX線によって得られる一連の画像が形成される。これらの画像の数学的な処理は特に、異なる組織が入射X線のエネルギに従って異なる減弱係数を有するため、乳房の組成(脂肪及び乳腺組織等)についての情報を提供する。
【0159】
代替的に又は加えて、検出器3自体がX線のエネルギ・フィルタの役割を果たす。
【0160】
この場合には、検出器3は、異なるX線放出エネルギでのマンモグラフィ画像を取得するために、線源2によって検出器3へ放出されるX線のエネルギ又はエネルギ範囲を検出することが可能である。
【0161】
この形式の検出器は一般的には、フォトンのエネルギ同士の間を識別する能力、及びこれらのフォトンのエネルギに相関する電気信号の生成を含むフォトン計数技術に基づくものである。
【0162】
前述のように、本発明はトモシンセシスによるマンモグラフィに適用可能である。この場合には、線源2及び/又は検出器3は、トモシンセシスによって三次元マンモグラフィ画像を取得するために、互いに対して異なる相対角度位置に移動させられる。
【0163】
相対角度変位は、例えば円の弧若しくは線、又は必要に応じて他の任意の軌跡における線源2の変位から成っていてよい。これにより、様々な角度に沿った乳房の一連の投影に対応する乳房の一連の画像が形成される。一般的には、相対角度変位は限定された振幅を有する(±7°と±60°との間であるが、これらの値は非限定的な方法で掲げられている)。
【0164】
この画像集合を用いて、当業者に公知の画像処理アルゴリズムを用いることにより乳房の容積を記述した画像集合を再構成することができる。トモシンセシスのための画像処理アルゴリズムは特に、非繰り返し式アルゴリズムと繰り返し式アルゴリズムという二つの大範疇を含んでいる(アルゴリズムの実例は「フィルタ補正逆投影(FBP)」、「同時式代数再構成手法(SART)」である)。
【0165】
本発明はまた、スキャナ形式のマンモグラフィ装置にも適用可能であり、この場合には線源及び検出器は、一般に0°と360°との間の角度において乳房に対して回転するように設定される。
【0166】
明らかなように、本発明は多数のの利点を有する。
【0167】
本発明に従って得られるマンモグラフィ装置は、平行X線を用いるため線源と検出器との間の距離を縮小することができ、小型である。
【0168】
このように小型であることは、特に縮小された容積の領域にマンモグラフィ装置を配置するためには有利である。例えば、マンモグラフィ検査を受けるために移動することができない又は移動することを望まない患者集団に接触するために、本発明によるマンモグラフィ装置を例えばトラック形式、バス形式、又は他の形式の車輛に搭載すると有利である。
【0169】
従って、本発明はまた、所載のマンモグラフィ装置を含む車輛を提案する。有利には、このマンモグラフィ装置は、放射線科医が異なる拠点に位置している場合にも遠隔放射線読影を実行するために遠隔伝送装置に結合される。
【0170】
加えて、本発明は、乳房の画像がはみ出さない状態で線源が患者の頭部の下方に位置し得るので、患者のX線源との衝突の危険性を小さくしたマンモグラフィ装置を提案する。
【0171】
また、本発明は、保護カバーを用いる必要がなく、配置時に患者の胴体平面から離隔するように検出器を移動させることができるので、マンモグラフィ装置での患者の乳房の配置を容易にし、改善することが特記される。
【0172】
小型であるにも拘わらず、このマンモグラフィ装置は精細な画質を保持し、線源と検出器との間の距離を縮小してもX線が検出器に照射されるように制御されるため、高X線流を提供する。
【0173】
本発明のもう一つの利点は、特に前述のようにX線ビームの部分集合が連続して放出されるような場合に線源の熱出力の減少を可能にすることである。
【0174】
最後に、もう一つの利点は、本発明は、トモシンセシスを行なうためのマンモグラフィ装置にも、スキャナ形式のマンモグラフィ装置にも適用され得ることである。
【0175】
従って、本発明は多数の応用及び多数の利点を有する。
【符号の説明】
【0176】
1:マンモグラフィ装置
2:X線源
3:X線検出器
10:光学式制御装置
12:患者
13:頭部の下方
15:検出面
21:材料層
22:上板
23:下部ブロック
24:制御部
25:記憶部
26:表示部
27:陽極
28:陰極
29:フィラメント
30:電子ビーム
31:X線放出焦点
32、33:層の部分集合
34:第一の変位方向
35:第二の変位方向
42:内彎曲領域
44:入口面
45:出口面
50:マンモグラフィ装置
51:X線源
52:X線ビーム
53:フレーム
54:下部ブロック
55:上板
56:乳房
57:検出器
58:検出面
59:保護カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線源(2)と、
X線検出器(3)と
を備えたマンモグラフィ装置(1)であって、
前記線源(2)は、患者(12)のマンモグラフィを実行するために、前記検出器(3)へ少なくとも1本のX線ビーム(fi,j)を放出することが可能であり、当該マンモグラフィ装置(1)は、
前記線源(2)により前記検出器(3)へ放出されるX線の方向を、前記線源(2)により前記検出器(3)へ放出される当該各X線が互いに対して実質的に平行になるようにして制御するように構成されているX線の方向の光学式制御装置(10)を含むことを特徴とするマンモグラフィ装置(1)。
【請求項2】
前記線源(2)はX線放出焦点スポットを含んでおり、
前記検出器(3)は検出面(15)を含んでおり、
前記放出焦点スポットと前記検出面(15)との間の距離は、前記焦点が、前記検出面に直交する軸に沿って前記患者(12)の頭部(13)の下方に位置する領域に配置されるように調節される、請求項1に記載のマンモグラフィ装置(1)。
【請求項3】
前記線源(2)はX線放出焦点スポットを含んでおり、
前記検出器(3)は検出面(15)を含んでおり、
前記放出焦点スポットと前記検出面(15)との間の前記距離は5cmと30cmとの間である、請求項1又は請求項2に記載のマンモグラフィ装置(1)。
【請求項4】
前記線源(2)は、
当該線源(2)と前記検出器(3)との間の距離を増減させるように第一の方向に沿って、且つ/又は
当該線源(2)と前記患者(12)の胴体平面との間の距離を増減させるように第二の方向に沿って、
変移させられ得る、請求項1から請求項3の何れか1項に記載のマンモグラフィ装置(1)。
【請求項5】
前記X線の方向の光学式制御装置(10)は複数の材料層(21)を含んでおり、
・前記層の少なくとも一つの第一の部分集合(32)が第一の値区間に属する屈折率を有し、前記層の少なくとも一つの第二の部分集合(33)が第二の値区間に属する屈折率を有し、前記第一の区間の前記値は前記第二の区間の前記値よりも大きい又は反対であり、前記光学装置(10)は、前記第一の部分集合(32)及び前記第二の部分集合(33)に交互に属する一連の層を含んでおり、
・前記装置の前記層(21)の少なくとも一部が、当該層同士の間の境界面に内彎曲領域(42)を有する、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のマンモグラフィ装置(1)。
【請求項6】
前記線源は複数のX線ビーム(fi,j)を放出するように構成されている、請求項1から請求項5の何れか1項に記載のマンモグラフィ装置(1)。
【請求項7】
前記線源(2)は、
・直線、又は
・曲線、又は
・表面
に配置された複数の放出焦点(17)から複数のビーム(fi,j)を放出するように構成されている、請求項1から請求項6の何れか1項に記載のマンモグラフィ装置(1)。
【請求項8】
・前記線源(2)及び/若しくは前記検出器(3)は、互いに対して相対的に平行移動するように変移することができ、且つ/又は
・前記線源(2)及び/若しくは前記検出器(3)は、トモシンセシスにより三次元マンモグラフィ画像を取得するために、互いに対して異なる相対角度位置に変移することができ、又は
・前記線源(2)及び前記検出器(3)は、前記患者(12)の乳房を中心として回転するように変移することができる、
請求項1から請求項7の何れか1項に記載のマンモグラフィ装置(1)。
【請求項9】
前記検出器(3)は、異なるX線放出エネルギでのマンモグラフィ画像を取得するために、前記線源(2)により前記検出器(3)へ放出されるX線のエネルギ又はエネルギ範囲を検出することが可能である、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載のマンモグラフィ装置。
【請求項10】
X線源(2)と、
検出面(15)を含むX線検出器(3)と、
前記線源(2)により前記検出器(3)へ放出されるX線の方向を、当該各X線が互いに対して実質的に平行になるようにして制御するように構成されているX線の方向の光学式制御装置(10)と
を備えたことを特徴とするマンモグラフィ装置(1)におけるマンモグラフィ方法であって、当該方法は、
前記線源(2)から前記検出器(3)へ少なくとも1本のX線ビームを放出すること(E1)から成るステップを含んでおり、前記ビーム(fi,j)の前記各X線は互いに対して実質的に平行であることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記線源(2)により放出される前記ビーム(fi,j)又は複数のビーム(fi,j)の各X線が前記検出器(3)の前記検出面(15)の一部又は全体を走査するようにして前記線源(2)と前記検出器(3)との間に相対的変位を生じさせること(E2)から成る請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記線源(2)は複数のX線ビーム(fi,j)を放出することが可能であり、
・前記検出器(3)を前記線源(2)に対して変移させること、及び
・前記線源(2)の前記複数のX線ビーム(fi,j)の中からのX線ビームの部分集合であって、変位した前記検出器(2)に照射されるX線を提供するように選択されるX線ビームの部分集合を連続して放出すること
から成る前記ステップ(E3)を含んでいる請求項10又は請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(A)】
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【図5(B)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(A)】
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【図9(B)】
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【図10(A)】
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【図10(B)】
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【公開番号】特開2012−110719(P2012−110719A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−255658(P2011−255658)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】