説明

巻取り式連続成膜装置

【課題】巻取り式連続成膜装置において、高生産性を図るに際して長大化させた成膜源、成膜ロール、ガイドロール群、及び成膜マスクなどに対するメンテナンスや段取り作業を容易化すると共に、幅を拡大させた基材において幅方向で品質的に均一な被膜を形成させることができるようにする。
【解決手段】本発明の巻取り式連続成膜装置1は、真空チャンバ2と、真空チャンバ2内に配備された成膜ロール3,3と、成膜ロール3,3に亘って巻き掛けられる基材Wの表面に被膜を形成する成膜源4,4とを有し、真空チャンバ2は、前後壁6,7及び上下壁8,9からなるチャンバ本体10と、チャンバ本体10に対して開閉自在とされた左右の側壁11,12とを備え、チャンバ本体10の前後壁6,7及び/又は上下壁8,9には、成膜ロール3,3で挟まれたロール間領域への作業者の出入りを可能にする出入口部30が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックや無機質材料などで形成された長尺のシート状基材を搬送しつつ、その表面に被膜を連続的に形成する巻取り式連続成膜装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シート状の基材を真空チャンバ内で成膜ロールの周囲に巻き掛け、連続的に走行搬送させながら、成膜ロールに向けて配置した成膜源により基材の表面に種々の被膜を形成させる巻取り式連続成膜装置は公知である。
例えば、特許文献1〜特許文献4には巻取り式連続成膜装置が開示されており、これら巻取り式連続成膜装置は1つの成膜ロールを備えるものとなっている。また、これら巻取り式連続成膜装置に備えられた成膜源には、スパッタ蒸発源をはじめとして真空アーク蒸発源、プラズマCVD成膜源などが適用されている。
【0003】
ところで、このような巻取り式連続成膜装置では、生産性を高める目的で、基材の幅を1m以上に拡大させることが既に行われている。なお、成膜源の長さは、基材の幅より0.3m程度長くするのが一般的とされるが、基材の幅を拡大する場合には当然に成膜源の長さも長くする必要がある。
高い生産性を実現させるための他の方法としては、成膜源の数を増やすことも行われている。すなわち、成膜源の増加によって基材の搬送速度を高速化することができる。とはいえ、成膜源は成膜ロールの周囲に配置するので、成膜源を増やす場合には成膜ロールの周長(即ち、直径)を大きくする必要が生じるが、成膜ロールの径大化には自ずと限界がある。このようなことから、複数の成膜ロールを有した設備装置が必要とされ、提案されることとなった。例えば、特許文献5には、2つの成膜ロールを備える巻取り式連続成膜装置が開示されている。
【0004】
また、非特許文献1には、大型・長尺となっている2つの成膜ロールと各成膜ロールごとに6台の成膜源が配備された高生産性を実現できる成膜装置が開示されている。
非特許文献2にも、3つの成膜ロールと各成膜ロールに分散配備された合計5台の成膜源とを具備した高生産性を実現できる成膜装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−220434号公報
【特許文献2】特開平10−36967号公報
【特許文献3】特開2006−77284号公報
【特許文献4】特開2010−53382号公報
【特許文献5】特表2010−519417号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】フレキシブルエレクトロニクス向けウェブコーティング装置「Applied SmartWeb」、Reiner Kukia、電子材料、(株)工業調査会、2010年3月号、p.65−68
【非特許文献2】New multi-drum Web Coater for Sputtering Deposition,E.Yadin,Proceedings of 15th International Vacuum Web Coating Conference
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、巻取り式連続成膜装置においては、定期的に、成膜源における蒸発材料の交換や清掃、成膜ロールの周りに取り付けた成膜マスクの交換や清掃、成膜ロールやガイドロール等のロール類の清掃といったメンテナンス作業と、基材の交換や巻き掛けといった段取り作業とを行う必要がある。
斯かるメンテナンス作業や段取り作業のために、非特許文献1の巻取り式連続成膜装置では、真空チャンバの一つの側壁がガイドロール群のロール軸方向に移動可能とされ、この側壁に配備された成膜ロールや成膜源をチャンバ外へ取り出すようにしている。しかしながら、非特許文献1の巻取り式連続成膜装置は、側壁をロール軸方向に移動させるため、真空チャンバのまわりに広いスペースを確保する必要がある。またチャンバ内に残る部材のメンテナンスは、チャンバ内が軸方向に長いことから作業性が悪い(作業者の手が届かない)という問題が存在する。
【0008】
非特許文献2の成膜装置は、開示された写真から看取するに、真空チャンバの一つの側壁がガイドロール群のロール軸方向に移動可能とされ、この側壁にガイドロール群が配備されている。しかし、ガイドロール群が側壁と共に移動してチャンバ外へ出されても、成膜源はチャンバ内に残るものと推察される。それ故、非特許文献2に開示の成膜装置でも、成膜源の蒸発材料を交換するには、狭い真空チャンバ内で作業を行なわなければならない。加えて、成膜ロールと巻出ロールとの間及び巻取りロールとの間にガイドロールが配置されているため、基材の幅が拡大し、成膜ロールや成膜源などが長大化されると、蒸発材料の交換作業だけでなく基材の巻き掛け作業も、極めて困難又は不可能となる場合がある。
【0009】
なお、特許文献1〜特許文献4に開示された巻取り式連続成膜装置は、いずれも成膜ロールが1つの場合であって、従来から用いられている比較的小型の成膜装置と考えられる。従って当然に、特許文献1〜特許文献4は、高生産性を図るべく成膜ロールや成膜源などの長大化させた成膜装置におけるメンテナンス作業や段取り作業の効率化を提案するものとはなっていない。なお、特許文献5に開示の巻取り式連続成膜装置は、2つの成膜ロールを具備しているものの、成膜ロールや成膜源などを長大化させた構成を採用することで生じるメンテナンス作業や段取り作業等の困難性について、どのように対策するかを開示していない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高生産性を図るに際して長大化させた成膜源、成膜ロール、ガイドロール、及び成膜マスクなどに対するメンテナンスや段取り作業(基材の巻き掛け)を容易化すると共に、幅を拡大させた基材において幅方向で品質的に均一な被膜を形成させることができる巻取り式連続成膜装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は次の技術的手段を講じた。
即ち、本発明に係る巻取り式連続成膜装置は、真空チャンバと、前記真空チャンバの前後方向に軸心が(前後壁に直結されなくてもよい)配備された複数の成膜ロールと、前記成膜ロールに亘って巻き掛けられるシート状基材の表面に被膜を形成する成膜源と、を有する巻取り式連続成膜装置であって、前記真空チャンバは、前後の壁部及び上下の壁部からなるチャンバ本体と、該チャンバ本体を閉塞する左右の側壁とを備え、前記左右の側壁が前記チャンバ本体に対して開閉自在となっており、チャンバ本体の前後の壁部及び/又は上下の壁部には、前記一対の成膜ロールで挟まれたロール間領域への作業者の出入りを可能にする出入口部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
このような構成であると、真空チャンバを構成しているうち、左右の側壁がチャンバ本体に対して開閉自在であるので、これら左右の側壁を開くことで、作業者は真空チャンバ内(チャンバ本体内)の成膜ロールに対し、軸方向全長にわたってアクセスすることができるようになる。
また、真空チャンバを構成しているうち、前後の壁部又は上下の壁部の少なくとも一つに出入口部が設けられているので、作業者はこの出入口部を介して真空チャンバ内のロール間領域(一対の成膜ロールの相互間)に出入りすることができる。
【0013】
これらのことから、高生産性を図るに際して長大化させた成膜源、成膜ロール、ガイドロール群、及び成膜マスクなどに対し、メンテナンスが容易に行え、また基材の巻き掛けなどの段取り作業も容易に行えるものとなっている。
前記ロール間領域には、基材の搬送をガイドするガイドロールが成膜ロールの周りに複数配備されており、前記真空チャンバの出入口部は、前記ガイドロール同士で挟まれた内側の領域に配設されているものとするのが好適である。
【0014】
このように配置することにより、複数のガイドロールに対して、作業者が中央側から整備することができ、メンテナンスが一層容易になる。
前記真空チャンバの左右の側壁が、前記チャンバ本体に対して離反方向又は近接方向に移動自在とされているものとするのが好適である。
前記真空チャンバの左右の側壁には、前記成膜ロールに向く配置で成膜源が設けられているものとするのが好適である。
【0015】
このように側壁や成膜源を配置することにより、成膜源の交換作業や成膜ロールに対するメンテナンス作業が一層容易になる。
前記真空チャンバの左右の側壁には、真空チャンバ内を真空排気するための排気口が均等配備されているものとするのが好適である。
更に詳しくは、前記排気口は、成膜ロールの軸心方向に並んで均等配備されているものとするのが好適である。
【0016】
このようにすることで、幅を拡大させた基材において幅方向全部の成膜領域にわたり均一な排気を行なうことができ、品質的に均一な被膜を形成させることができる。
前記真空チャンバ内には、水平方向に並んで対を成す成膜ロールが上下複数段に設けられている。
このようにすることで、高生産性に一層、好適となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る巻取り式連続成膜装置によれば、高生産性を図るに際して長大化させた成膜源、成膜ロール、ガイドロール、及び成膜マスクなどに対するメンテナンスや段取り作業(基材の巻き掛け)が容易に行え、また、幅を拡大させた基材において幅方向で品質的に均一な被膜を形成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る巻取り式連続成膜装置の第1実施形態を示した正面断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】図1のC−C線矢視図である。
【図5】本発明に係る巻取り式連続成膜装置の第2実施形態を示した正面断面図である。
【図6】本発明に係る巻取り式連続成膜装置の第3実施形態を示した正面断面図である。
【図7】本発明に係る巻取り式連続成膜装置の第4実施形態を示した正面断面図である。
【図8】本発明に係る巻取り式連続成膜装置の第5実施形態を示した正面断面図である。
【図9】本発明に係る巻取り式連続成膜装置の第6実施形態を示した正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1〜図4は、本発明に係る巻取り式連続成膜装置1の第1実施形態を示している。
なお、以下では説明の便宜上、図1の左右方向を巻取り式連続成膜装置1の左右方向と呼び、図1の紙面貫通方向を巻取り式連続成膜装置1の前後方向と呼ぶ。また図1〜図4の各上下方向を巻取り式連続成膜装置1の上下方向と呼ぶものとする。
【0020】
この巻取り式連続成膜装置1は、真空チャンバ2内に2つの成膜ロール3,3が設けられ、これら両成膜ロール3,3に亘って基材Wが巻き掛けられるようになっている。また、これら各成膜ロール3,3に対応させてそれぞれ各別に成膜源4,4が配備されている。
すなわち、この巻取り式連続成膜装置1において基材Wは、成膜ロール3と成膜源4との間を複数回通過することになり、その結果、同種又は異種の成膜が施されるものである。なお、基材Wとしては、プラスチックのフィルムやシート、紙、金属箔など、ロール状に巻き取り可能な材料が採用される。また、基材Wは、幅方向寸法が1mを超えるサイズに拡大されているものとする。ただし、1mを超えないものにも本発明が適用できることはいうまでもない。
【0021】
真空チャンバ2は、前後の壁部6,7(前壁6、後壁7)及び上下の壁部8,9(上壁8、下壁9)を有して、左右方向の両側が開放する箱形(角筒状)に形成されたチャンバ本体10と、このチャンバ本体10の左方及び右方の開放部分を閉塞する左右の側壁11,12(左壁11、右壁12)とを備えている。
チャンバ本体10において、下壁9から上壁8までの高さは、チャンバ本体10内に作業者が立って入ることのできる寸法とされている。具体的な寸法が限定されるものではない。また、前後の壁部6,7の相互間隔(前後方向の内法)は、1mを超えて形成される成膜ロール3や成膜源4などをその長手方向が前後方向に向くようにして収納できる大きさとされている。
【0022】
左壁11は、チャンバ本体10に対して左方へ向けて離反したり、離反後に右方(チャンバ本体10)へ向けて近接したりできるように、移動自在とされている。また右壁12についても同様に、チャンバ本体10に対して右方へ向けて離反したり、離反後に左方(チャンバ本体10)へ向けて近接したりできるように、移動自在とされている。このように、左右の側壁11,12は、それらの左右移動に伴ってチャンバ本体10における左右の開放部を開閉する構成となっている。
【0023】
チャンバ本体10に対して左右の側壁11,12を共に近接させ、チャンバ本体10の左右両端側にそれぞれ接合させたとき(即ち、真空チャンバ2を構成させたとき)、チャンバ本体10と左右の側壁11,12との各接合部分には、真空チャンバ2内を真空にさせ且つ保持させることができるように、シール手段(図示略)が採用されている。
左右の側壁11,12の移動は、例えば側壁下方で長手方向を左右方向に向けてレール軌道を設けると共に、このレール軌道に沿って移動自在となる台車を左右の側壁11,12に各別に対応させて設けておき、各台車上に左右の側壁11,12を設ける構造などを採用することで実現できる。なお、左右の側壁11,12の移動を作業者による手動で行う構成とするか、又は電動モータや油圧システムなどを利用して機械化させる構成とするかは、適宜選択すればよい。また、左右の側壁11,12をヒンジにより支持し、開閉しても良い。
【0024】
チャンバ本体10内には、成膜ロール3の他、上下の隔壁15、成膜マスク20、巻出ロール23、巻取ロール24、ガイドロール25などが設けられている。加えて、このチャンバ本体10には出入口部30が設けられている。これに対して左右の側壁11,12には、それぞれ成膜源4及び排気口35が設けられている。
まず、チャンバ本体10内に設けられる各部構成に関して説明する。
【0025】
チャンバ本体10内には、前後の壁部6,7間に軸心が架け渡されるようにして、前記した成膜ロール3,3が設けられる。これら成膜ロール3,3は、チャンバ本体10内の左方側及び右方側にそれぞれ振り分けられるようにして配置されている。なお、成膜ロール3,3は、必ずしも前後の壁部6,7に直接取り付けられる必要はなく、壁面とは別個の取付板を設けて、その取付板との間に架設してもよい。
【0026】
これら成膜ロール3,3は、チャンバ本体10内において、前後方向に水平且つ平行となるように配備されている。図では2本の成膜ロール3,3は同じ径であるが、異なる径であってもよい。これら成膜ロール3,3は、それらの各軸心を中心として略同じ周速で回転駆動可能とされている。また、これら成膜ロール3,3は、真空チャンバ2と電気的に接続し同一電位であってもよいし、あるいは絶縁された状態であったり、さらには直流電圧、中・高周波の交流電圧、又は両極の極性が反転可能なパルス状の電圧を発生させる電源と接続しても良い。
【0027】
そして、チャンバ本体10には、左右の成膜ロール3,3の周囲には図示のように成膜ロール3,3の左右で雰囲気を区画する隔壁15,15が設けられている。
これら隔壁15,15は、ロールの周囲と上下の壁部8,9および前後の壁部6,7の間を亘るように連続して(切れ目なく)設けられている。また、隔壁15,15と成膜ロール3,3の外周面との間は、成膜ロール3,3に基材Wが巻き付けられた状態で回転しても決して接触干渉することが無く、そのうえで各隔壁15,15を隔てた左右両側間でガスの流通を可及的に抑えることができるような、微小な隙間として形成されている。すなわち、この仕切壁(隔壁15、成膜ロール3)を境とする左右両側でガス雰囲気を区画できる構造となっている。
【0028】
更に言えば、このチャンバ本体10内には、左側の成膜ロール3に対して隔壁15が設けられる位置よりも左側に、この成膜ロール3の約左半周を露出させた左側の成膜領域Lsを形成可能となっていると共に、右側の成膜ロール3に対して隔壁15が設けられる位置よりも右側に、この成膜ロール3の約右半周を露出させた右側の成膜領域Rsを形成可能となっている。
【0029】
そして、図1,図3に示す如く、これら左右の成膜領域Ls,Rsには、各成膜ロール3,3の外周面に沿うような円弧状凹部を形成させた成膜マスク(遮蔽板)20,20が設けられている。これら成膜マスク20,20には、成膜ロール3,3の周方向に沿って一カ所又は複数箇所の開口21が形成されており、この開口21からのぞく基材W表面を成膜源4からの蒸気に曝させるようにしてある。
【0030】
図1,図2に示す如く、チャンバ本体10内には、更に、未成膜状態の基材Wを巻き出す巻出ロール23と、成膜後の基材Wを巻き取る巻取ロール24と、各成膜ロール3,3に対して基材Wを巻き掛けるのをガイドするためのガイドロール25とが設けられている。
これら巻出ロール23、巻取ロール24及びガイドロール25は、左右の成膜領域Ls,Rsの相互間であって、左側の成膜ロール3に対する隔壁15と、右側の成膜ロール3に対する隔壁15とで挟まれた中央領域Ms、即ち、両成膜ロール3,3のロール間領域に、すべてが収容されるように配備されている。
【0031】
また、巻出ロール23及び巻取ロール24は、前後の壁部6,7間に軸心が略水平に架け渡されるようにして設けられており、成膜ロール3,3の軸心よりも高い位置(上壁8に近い位置)に保持されている。
なお、チャンバ本体10内外間での巻出ロール23及び巻取ロール24の交換を容易にするため、チャンバ本体10の上壁8には、ロール交換口部27が設けられている。言うまでもなく、上壁8には、このロール交換口部27を開閉するための閉鎖部材28が設けられている。
【0032】
この閉鎖部材28は、上下方向に揺動開閉する構造や、前後方向又は左右方向にスライドする構造、又は着脱する構造を採用することで、ロール交換口部27を開閉できるものとなっている。なお、チャンバ本体10に対して左右の側壁11,12を接合させ、真空チャンバ2を構成させたときであって、この閉鎖部材28を閉鎖したとき、閉鎖部材28と上壁8(ロール交換口部27の開口周部)との間には、真空チャンバ2内を真空にさせ且つ保持させることができるように、シール手段(図示略)が採用されている。
【0033】
ガイドロール25についても、その回転軸心は前後の壁部6,7間に軸心が略水平に架け渡されるようにして設けられている。第1実施形態において、左側の成膜ロール3に対して設けられるガイドロール25には、巻出ロール23から巻き出される基材Wを左側の成膜ロール3における上半周右側に巻き付ける第1ガイドロールと、成膜ロール3の下半周右側から巻き出される基材Wを下方へ誘導する第2ガイドロールと、この第2ガイドロールから下壁9に沿わせて基材Wを右側の成膜ロール3へ送り出す第3ガイドロールとの計3本が存在するものとしてある。
【0034】
また、右側の成膜ロール3に対して設けられるガイドロール25には、第3ガイドロールから巻き出される基材Wを上方へ誘導する第4ガイドロールと、この第4ガイドロールにより誘導された基材Wを右側の成膜ロール3における下半周左側に巻き付ける第5ガイドロールと、成膜ロール3の上半周左側から巻き出される基材Wを巻取ロール24へ誘導する第6ガイドロールとの計3本が存在するものとしてある。
【0035】
なお、左右の成膜ロール3,3間において生じる回転速度差を吸収し、巻き掛けられた基材Wに対して一定の張力を保持させるために、ガイドロール25のうちいづれかをダンサーロールとしてもよい。あるいは、ガイドロール25のうち何れかに圧力検出器を取り付け、基材Wの張力を検出するロールとすることも出来る。
チャンバ本体10における前後の壁部6,7のいずれか一方、又は両方(第1実施形態では後壁7のみとした)には、出入口部30が設けられている。この出入口部30は、一対の成膜ロール3,3で挟まれたロール間領域(前記した中央領域Ms)に対して作業者の出入りを可能にするためのものである。
【0036】
この出入口部30は、左右の成膜ロール3,3に各配備されたガイドロール25間で挟まれた、更に内側の領域(成膜ロール3,3の軸心間における中心位置)に配置されている。これにより、この出入口部30及びこの出入口部30を出入りする作業者は、左右の成膜ロール3,3にも、また左右の成膜ロール3,3に配備されたガイドロール25、更には巻出ロール23及び巻取ロール24のいずれにも、接触干渉することが無いものとされている。
【0037】
なお、この出入口部30を通って作業者がチャンバ本体10内に入ったとき、下壁9に近い高さで左右の成膜ロール3,3間を亘るように巻き掛けられた基材Wに対して作業者が接触干渉することがないように、出入口部30の下部に合わせて搭乗板31が設けられている。この搭乗板31は、前後の壁部6,7間を亘るように架け渡されたものとすればよく、この搭乗板31の下部を基材Wが通過するようになっている。言い換えれば、左右の成膜ロール3,3間を亘るように架け渡される基材Wの上方に、搭乗板31が設けられている。
【0038】
搭乗板31は、その下部を通過する基材Wに対してその上方を跨ぐように、当該基材Wの前部側や後部側に支持脚を設けて、下壁9上に固定するようにしてもよい。
言うまでもなく、この出入口部30が設けられる壁部(第1実施形態では後壁7)には、この出入口部30を開閉するための扉部材(図示略)が設けられている。この扉部材は、前後方向に揺動開閉する構造や、左右方向又は上下方向にスライドする構造、又は着脱する構造を採用することで、出入口部30を開閉できるものとなっている。なお、チャンバ本体10に対して左右の側壁11,12を接合させ、真空チャンバ2を構成させたときであって、この扉部材を閉鎖したとき、扉部材と壁部(出入口部30の開口周部)との間には、真空チャンバ2内を真空にさせ且つ保持させることができるように、シール手段(図示略)が採用されている。
【0039】
次に、左右の側壁11,12に設けられる構成について説明する。
左右の側壁11,12には、チャンバ本体10の内部に向く方の面(左壁11の右面、右壁12の左面)に、それぞれ成膜源4,4が設けられている。これら成膜源4,4は、チャンバ本体10に対して左右の側壁11,12を接合させ、真空チャンバ2を構成させたときに、成膜ロール3,3の外周面に対面するような配置とされている。
【0040】
更に詳しくは、左側の成膜ロール3には、その左側に成膜マスク20が設けられ、この成膜マスク20の上下2箇所に開口21が形成されているので、左壁11に設けられる成膜源4は、成膜マスク20の各開口21を介して成膜ロール3と正対する(成膜ロール3の軸心に向かう)ように、右方を向いて上下に2つ設けられている。
同様に、右側の成膜ロール3には、その右側に成膜マスク20が設けられ、この成膜マスク20の上下2箇所に開口21が形成されているので、右壁12に設けられる成膜源4は、成膜マスク20の各開口21を介して成膜ロール3と正対する(成膜ロール3の軸心に向かう)ように、左方を向いて上下に2つ設けられている。
【0041】
これら成膜源4,4は、例えばスパッタ蒸発前後の壁部6,7源である。スパッタ蒸発源の他、真空アーク蒸発源、CVD成膜源などでもよい。成膜源4,4は、基材Wの幅と同等以上の長さで形成されており、各成膜ロール3,3に対してそれらの軸心に平行する状態で、且つ各成膜ロール3,3の外周面との間に所定の間隙を保持して配備されている。なお、比較的小型の(成膜ロール3の軸方向で短い)蒸発源を成膜ロール3の軸方向に複数並べて配置し、長い成膜源4と等価的に使用することも可能である。
【0042】
図1,図4に示す如く、左右の側壁11,12には、当該壁を貫通するようにしてそれぞれ排気口35,35が設けられている。
これら排気口35は、チャンバ本体10に対して左右の側壁11,12を接合させ、真空チャンバ2を構成させたときに、この真空チャンバ2内を真空排気するためのものである。排気口35は、それ自体が排気装置を構成するものであってもよいし、左右の側壁11,12とは別場所に設置された排気装置(図示略)に排気ダクトを介して接続される接続部材であってもよい。
【0043】
左右の側壁11,12に対し、排気口35は、対応する成膜ロール3の軸心を境として上下方向で均等配備されている(図例では軸心位置に一致させて横1列としているが上下に複数列としてもよい)。また、排気口35は、成膜ロール3の軸心方向に並んで複数設けられ、これら複数の排気口は並び間隔が互いに均等になるように配備されている(図例では3つとしているが、2つでもよいし、4つ以上でもよい)。排気口35をこのような配置とすることで、幅を拡大させた基材Wにおいて、幅方向全部の成膜領域にわたり均一な排気を行なうことができ、品質的に均一な被膜を形成させることができる。ただし、排気口35の配置は上記の望ましい配置にとらわれる必要はなく、例えば小型の装置では幅方向に1箇所の配置でも良い。
【0044】
以上、詳説した構成の巻取り式連続成膜装置1により、基材Wに成膜を行うには、チャンバ本体10のロール交換口部27から巻出ロール23の装填、及び巻取ロール24の巻取りコアの装填を行う。勿論、出入口部30からチャンバ本体10内へ作業者が入り、これらの装填作業を行ってもよい。
そして、出入口部30からチャンバ本体10内へ入り込んだ作業者と、チャンバ本体10の左右の開放部分(左右の側壁11,12を開かせた部分)で待機する作業者との協同作業で、基材Wを各ガイドロール25から成膜ロール3へ巻き掛けたり、左右の成膜ロール3,3間で架け渡したりして、巻出ロール23から巻取ロール24(コア)間での基材Wの架け渡しを完了させる。
【0045】
チャンバ本体10に対して左右の側壁11,12を接合させ、ロール交換口部27及び出入口部30を閉鎖して、完全に密閉した真空チャンバ2を構成させる。そして、各排気口35から排気を開始させて真空チャンバ2内を減圧し、そのうえで左右の成膜領域Ls,Rsに原料ガスや加圧放電ガスを供給する。
その後、左右の成膜ロール3,3を所定の回転速度で回転させ、巻出ロール23から巻取ロール24へ向けて基材Wが走行する状態にする。同時に、成膜源4,4を動作させて蒸気を生成すると、基板W上に被膜が形成される。
【0046】
巻出ロール23から巻取ロール24へ向けた基材Wの走行が終了し、成膜工程を終了した後は、真空チャンバ2内のガス回収や減圧解除(大気開放)などを行ったうえで、チャンバ本体10から左右の側壁11,12を離反させて左右両側を開放する。また、ロール交換口部27及び出入口部30を開いて、次の成膜工程に向けた清掃やメンテナンス、段取り作業を行う。
【0047】
この場合、左右の成膜ロール3,3に配備された成膜マスク20,20は、左右の側壁11,12が開かれていることによって左右方向の外方へ露出されている。従って、チャンバ本体10の左右開放部分から、作業者は成膜マスク20,20の前後方向全面にアクセスできるものであり、これら成膜マスク20,20の清掃や交換はもとより、左右の成膜領域Ls,Rsに対する全般のメンテナンスが極めて容易且つ迅速、確実に行えるものとなっている。
【0048】
また、出入口部30から作業者がチャンバ本体10内に入ることで、左右の成膜ロール3,3や各ガイドロール25の軸方向(前後方向)全部にアクセスできるものであり、これら成膜ロール3,3や各ガイドロール25はもとより、中央領域Ms(ロール間領域)に対する全般のメンテナンスが極めて容易且つ迅速、確実に行えるものとなっている。更にまた、成膜ロール3,3や各ガイドロール25に対する基材Wの架け渡し、といった段取り作業についても、容易且つ迅速、確実に行えるものとなっている。
【0049】
一方、左右の側壁11,12と一緒に成膜源4,4がチャンバ本体10から外部へ露出される状態になるため、作業者は成膜源4のメンテナンスや蒸発材料の交換を極めて容易且つ迅速、確実に行えるものとなっている。例えば、成膜源4がスパッタ蒸発源である場合、スパッタ蒸発源のターゲット(蒸発材料)交換や清掃作業が、成膜源4の長さ方向(前後方向)全域で簡単に行えるものである。
【0050】
このように、本発明に係る巻取り式連続成膜装置1では、成膜させた基材Wの高生産性を図るに際して成膜源4、成膜ロール3、ガイドロール25、及び成膜マスク20などを長大化させたとしても、これらに対し、すべてのメンテナンスが容易に行え、また段取り作業(基材Wの巻き掛け)も容易且つ迅速、確実に行えるものである。
[第2実施形態]
図5は、本発明に係る巻取り式連続成膜装置1の第2実施形態を示している。
【0051】
第2実施形態が第1実施形態と最も異なるところは、第一に、左右の側壁11,12に対して、成膜ロール3へ向けて突出する横隔壁40を設けた点にある。また、その第二は、チャンバ本体10の上部に上壁8を介して基材ロールチャンバ41を設けた点にある。
左右の側壁11,12に設けた横隔壁40,40はステンレス材等で形成されており、成膜ロール3,3の軸心に一致する高さで、水平方向に沿って突出するものとしてある。なお、この横隔壁40,40を設けるにあたり、左右の側壁11,12には、成膜源4,4の前後及び上下を取り囲むように周壁43,43を設けてある。
【0052】
そして、この周壁43,43の前後に架け渡されるように切れ目なく、前記した横隔壁40,40が設けられているものとしてある。横隔壁40は図示はされないが、隔壁15とも成膜ロール3の側面又は表面で結合されており、横隔壁40,40の先端と成膜ロール3,3の外周面と側面の間は、成膜ロール3,3に基材Wが巻き付けられた状態でも決して接触干渉することが無く、そのうえで横隔壁40,40を隔てた上下両側間でガスの流通を可及的に抑えることができるような、微小な隙間として形成されている。
【0053】
横隔壁40,40は、成膜ロール3,3に最も近接する先端部分40a,40aを隔壁本体40b,40bから分離する構造とされており、先端部分40a,40aは成膜マスク20,20に連結されている。
それ故、左右の側壁11,12をチャンバ本体10から離反させたときには、横隔壁40,40は、先端部分40a,40aと隔壁本体40b,40bとが分離するが、左右の側壁11,12をチャンバ本体10の左右両端側へ接合させ、真空チャンバ2を構成させたたときには、これら先端部分40a,40aと隔壁本体40b,40bとが一体的に連結されて横隔壁40,40を形成する。そのため、真空チャンバ2内に形成される左右の成膜領域Ls,Rsは、更に上下の二領域LUs,LDs及びRUs,RDsに区画されるものとなる。
【0054】
このような構成を採用することで、第2実施形態の巻取り式連続成膜装置1では、左側の成膜領域Lsにおいて上下二領域LUs,LDsにて異なったガス雰囲気を形成させることができ、また右側の成膜領域Rsにおいても、上下二領域RUs,RDsにて異なったガス雰囲気を形成させることができる。
なお、左右の成膜領域Ls,Rsを上下の二領域LUs,LDs及びRUs,RDsに区画する関係で、左右の側壁11,12には、横隔壁40,40の上下両位置にそれぞれ対応させて排気口35を設けるものとする。
【0055】
一方、第2実施形態の巻取り式連続成膜装置1では、チャンバ本体10の上部に基材ロールチャンバ41を設けているので、巻出ロール23や巻取ロール24をチャンバ本体10内(中央領域Ms)から外部へ出した配備とさせることができる。そのため、これら巻出ロール23及び巻取ロール24を成膜処理環境から確実に区画することができるものであり、また巻出ロール23及び巻取ロール24の交換などが一層容易に行えるものとなっている。
【0056】
なお、この基材ロールチャンバ41に対し、巻出ロール23及び巻取ロール24の上方を含む配置(それぞれの真上)で、ロール交換口部27が設けられ、またこのロール交換口部27を開閉するための閉鎖部材28が設けられたものとしてある。
第2実施形態におけるその他の構成は、第1実施形態と略同様であり、作用効果も略同様であるので、同一作用を奏するための構成に同一符号を付することで、ここでの詳説は省略する。
[第3実施形態],[第4実施形態]
図6は、本発明に係る巻取り式連続成膜装置1の第3実施形態を示しており、また図7は、本発明に係る巻取り式連続成膜装置1の第4実施形態を示している。
【0057】
これら第3実施形態及び第4実施形態は、第2実施形態の真空チャンバ2をそのまま上下方向に拡大し、水平方向に並んだ左右の成膜ロール3,3、及び各成膜ロール3,3に配備する成膜源4,4などを上下二段にするように構成させたものである。
これら第3実施形態及び第4実施形態では、上下方向に並んだ成膜ロール3,3の相互間を仕切るための中仕切隔壁42を設けておくのが好適となる。これにより、上下の成膜ロール3,3に対して、それぞれ個別に左右の成膜領域Ls,Rsが形成されるようにする。
【0058】
また、これら第3及び第4実施形態では、真空チャンバ2が上下方向に拡大され、且つ成膜ロール3,3や成膜源4,4などが上下二段にされていることから、図7に示すように、左右の側壁11,12をチャンバ本体10から離反させたとき、左右の側壁11,12とチャンバ本体10との相互間に昇降作業台45を配備できるようにすることが好適とされる。
【0059】
この昇降作業台45は、パンタグラフ式の昇降機構46を具備したものとすることにより、下降時には、左右の側壁11,12が左右移動する高さよりも低い位置に収納される構成とされている。そのため、左右の側壁11,12を左右移動させる際に(チャンバ本体10を開閉させるたびに)、いちいち、昇降作業台45を出し入れのため移動させる必要がなく、作業時間の短縮化が図れるものとなっている。
【0060】
なお、第3実施形態では、チャンバ本体10内に巻出ロール23及び巻取ロール24を設けてあり、基材ロールチャンバ41を省略している点で第2実施形態とは異なる。しかし第4実施形態では、基材ロールチャンバ41を具備したものとしてあるように、これらの相違点は適宜取捨選択できるものとなっている。
これら第3及び第4実施形態におけるその他の構成は、第2実施形態と略同様であり、作用効果も略同様であるので、同一作用を奏するための構成に同一符号を付することで、ここでの詳説は省略する。
[第5実施形態]
図8は、本発明に係る巻取り式連続成膜装置1の第5実施形態を示している。
【0061】
第5実施形態は、第1実施形態を基本として、その上下を逆にするように構成させたものである。すなわち、チャンバ本体10内において、巻出ロール23及び巻取ロール24は、成膜ロール3,3の軸心よりも低い位置(下壁9に近い位置)に保持されており、成膜ロール3,3の相互間では、それらの上周部同士間(上壁8に近い位置)で基材Wの架け渡しが行われるようになっている。
【0062】
このような構成を採用することで、チャンバ本体10に対して、下壁9に対して出入口部30を設けることができるようになっている。また巻出ロール23及び巻取ロール24が下壁9に近い配置であって、この下壁9に出入口部30を設けるので、出入口部30は、ロール交換口部27として兼用することができる。
下壁9の下方には、出入口部30に向かって昇降可能であって、上昇時に出入口部30を閉鎖できるようになった扉部材50が設けられている。この扉部材50は、作業者をチャンバ本体10内へ出入りさせるための搭乗板31を兼ねるものとなっている。
【0063】
なお、この扉部材50は、出入口部30を閉鎖する位置(下壁9に当接する位置)とその下方との間を上下揺動する構造や、左右方向又は前後方向にスライドする構造、又は着脱する構造を採用してもよい。
第5実施形態におけるその他の構成は、第1実施形態と略同様であり、作用効果も略同様であるので、同一作用を奏するための構成に同一符号を付することで、ここでの詳説は省略する。
[第6実施形態]
図9は、本発明に係る巻取り式連続成膜装置1の第6実施形態を示している。
【0064】
第6実施形態は、第1実施形態を基本として、成膜ロール3,3に対する基材Wの架け渡し経路を異ならせることで、基材Wの両面に成膜できるように構成させたものである。
すなわち、左側の成膜ロール3に巻き掛けた基材Wを、当該成膜ロール3の軸心より高い位置で巻き出し、この巻き出し高さを維持させたまま、右側の成膜ロール3の軸心より高い位置で当該成膜ロール3に巻き掛けるが、右側の成膜ロール3に対しては左側の成膜ロール3とは逆回りとなるようにして巻き付けるようにする。
【0065】
その結果、基材Wは、左側の成膜ロール3に巻掛けられたときに成膜源4へ向けられる面と、右側の成膜ロール3に巻き掛けられたときに成膜源4へ向けられる面とが、相対逆の関係となり、両面に成膜が行われることになる。
このような基材Wの架け渡しを可能にするため、巻出ロール23は、左側の成膜ロール3に対してその軸心より高い位置に設けるようにし、巻取ロール24は、右側の成膜ロール3に対してその軸心より低い位置に設けるようにしてある。そのため、巻出ロール23の交換作業は、チャンバ本体10の上壁8に設けられたロール交換口部27を介して行い、巻取ロール24の交換作業は、出入口部30からチャンバ本体10内に入り込んで行うようにするとよい。
【0066】
第6実施形態におけるその他の構成は、第1実施形態と略同様であり、作用効果も略同様であるので、同一作用を奏するための構成に同一符号を付することで、ここでの詳説は省略する。
ところで、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0067】
例えば、チャンバ本体10において、上壁8に出入口部30を設けるようにしてもよい。
左右の側壁11,12は、チャンバ本体10に対して左右方向に揺動することによって、当該チャンバ本体10の左右の開放部分を開閉する構造としてもよい。また、左右の側壁11,12は、前後方向又は上下方向にスライドすることによって、当該チャンバ本体10の左右の開放部分を開閉する構造としてもよい。
【0068】
成膜ロール3,3は、水平方向に並んで配置されていることを説明したが、各成膜ロール3の軸心を結んだラインは必ずしも完全な水平でなくともよい。また、左右の成膜ロール3の数も必ずしも同じである必要はなく、各成膜ロール3の径が異なっても良い。
【符号の説明】
【0069】
1 巻取り式連続成膜装置
2 真空チャンバ
3 成膜ロール
4 成膜源
5 昇降作業台
6 前壁
7 後壁
8 上壁
9 下壁
10 チャンバ本体
11 左壁
12 右壁
15 隔壁
20 成膜マスク
21 開口
23 巻出ロール
24 巻取ロール
25 ガイドロール
27 ロール交換口部
28 閉鎖部材
30 出入口部
31 搭乗板
35 排気口
40 横隔壁
40a 先端部分
40b 隔壁本体
41 基材ロールチャンバ
42 中仕切隔壁
43 周壁
45 昇降作業台
46 昇降機構
50 扉部材
Ls 左側の成膜領域
Rs 右側の成膜領域
Ms 中央領域(ロール間領域)
LUs,LDs 上下二領域
RUs,RDs 上下二領域
W 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバと、前記真空チャンバの前後方向に軸心が配備された複数の成膜ロールと、前記一対の成膜ロールに亘って巻き掛けられるシート状基材の表面に被膜を形成する成膜源と、を有する巻取り式連続成膜装置であって、
前記真空チャンバは、前後の壁部及び上下の壁部からなるチャンバ本体と、該チャンバ本体を閉塞する左右の側壁とを備え、
前記左右の側壁が前記チャンバ本体に対して開閉自在となっており、
前記チャンバ本体の前後の壁部及び/又は上下の壁部には、前記一対の成膜ロールで挟まれたロール間領域への作業者の出入りを可能にする出入口部が設けられていることを特徴とする巻取り式連続成膜装置。
【請求項2】
前記ロール間領域には、基材の搬送をガイドするガイドロールが成膜ロールの周りに複数配備されており、
前記真空チャンバの出入口部は、前記ガイドロール同士で挟まれた内側の領域に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の巻取り式連続成膜装置。
【請求項3】
前記真空チャンバの左右の側壁が、前記チャンバ本体に対して離反方向又は近接方向に移動自在とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の巻取り式連続成膜装置。
【請求項4】
前記真空チャンバの左右の側壁には、前記成膜ロールに向く配置で成膜源が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の巻取り式連続成膜装置。
【請求項5】
前記真空チャンバの左右の側壁には、真空チャンバ内を真空排気するための排気口が均等配備されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の巻取り式連続成膜装置。
【請求項6】
前記排気口は、成膜ロールの軸心方向に並んで均等配備されていることを特徴とする請求項5に記載の巻取り式連続成膜装置。
【請求項7】
前記真空チャンバ内には、水平方向に並んで対を成す成膜ロールが上下複数段に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の巻取り式連続成膜装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−136724(P2012−136724A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288251(P2010−288251)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】