説明

布材の製造方法

【課題】より簡単な接続作業によって、接続部材と導電線材20を接続性良く電気的につなげることにある。
【解決手段】布材10の一部を複数の導電線材20で構成するとともに、一部とは異なる布材10の他部を、導電線材20よりも脆弱な他の線材にて構成して、分割手段によって他の線材を布材10から除去して、布材本体10bと布材片10fに分割することにより、布材本体10bと布材片10fの間の分割部(22a)から複数の導電線材20を露出させる第1工程と、布材本体10bと布材片10fによって、複数の導電線材20の相対位置関係を維持しつつ、分割部(22a)から露出した複数の導電線材20に接続部材30を電気的につなげる第2工程を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電線材と接続部材を有する布材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の布材として特許文献1の織物が公知である。この織物は、ヒータとして使用可能であり、主構成としての他の線材(絶縁繊維などの非導電糸)と、導電線材と、導電線材に電力を供給可能な接続部材を有する。導電線材は、通電により発熱可能な導電糸であり、金属、合金、導電性プラスチック又は炭素繊維にて構成される。
そして公知技術では、経糸又は緯糸の大部分に非導電糸を用いるとともに、これら糸の一部に導電線材を用いて織物を織製する。つぎに接続部材を織物に熱溶着又は貼着する(接続作業を行う)ことで、導電線材と接続部材を電気的につなげることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−227384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし公知技術では、織物の主構成である非導電糸が、導電線材と接続部材の接触の邪魔となるなどして、両者の接続性が悪化することがあった。
もっとも他の線材を除去すればよいが、そうすると支えを失った導電糸が湾曲などして、他の導電糸と混線しやすくなる(接続作業に手間取る構成となる)。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、より簡単な接続作業によって、接続部材と導電線材を接続性良く電気的につなげることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の布材の製造方法は、通電可能な導電線材と、導電線材に電力を供給可能な接続部材とを備える布材の製造方法である。
そしてこの種の布材では、より簡単な接続作業によって、接続部材と導電線材を接続性良く電気的につなげられることが望ましい。
そこで本発明では、布材の一部を導電線材で構成するとともに、一部とは異なる布材の他部を、導電線材よりも脆弱な他の線材(強度の低い線材、溶融しやすい線材、燃焼しやすい線材、耐薬品性に劣る線材等)にて構成する。
【0006】
そして下記の2工程によって、導電線材と接続部材を電気的につなげることとした。
第1工程:分割手段によって他の線材を布材から除去して、布材本体と布材片に分割することにより、両者の間の分割部(分断部や分割孔部)から導電線材を露出させる。
第2工程:布材本体と布材片によって、複数の導電線材の相対位置関係を維持しつつ、分割部から露出した複数の導電線材に接続部材を電気的につなげる。
本発明では、上述の布材片を、露出した導電線材(被接続部分)を固定するための冶具として使用する構成(比較的シンプルな構成)である。そしてこの構成によって、複数の導電線材の相対位置関係を維持することにより、各導電線材を極力混線させることなく接続部材と電気的につなげることができる。
【0007】
第2発明の布材の製造方法は、第1発明に記載の布材の製造方法であって、第3工程において、上述の布材片で接続部材を覆う(保護する)こととした。
本発明では、接続部材を布材片で保護することにより、運搬時や使用時における接続部材の破損等を防止又は低減して、布材の耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る第1発明によれば、より簡単な接続作業によって、接続部材と導電線材を接続性良く電気的につなげることができる。そして第2発明によれば、布材の構成要素を有効利用して、布材の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】車両用シートの斜視図である。
【図2】(a)は、表皮材の正面図であり、(b)は分割後の表皮材の正面図である。
【図3】(a)は、表皮材の縦断面図であり、(b)は、表皮材と接続部材の縦断面図であり、(c)は、表皮材と接続部材の別の縦断面図であり、(d)は、表皮材と接続部材の更に別の縦断面図である。
【図4】シートクッション一部の縦断面図である。
【図5】実施形態2に係る表皮材の縦断面図である。
【図6】実施形態2に係るシートクッション一部の縦断面図である。
【図7】実施形態3に係る表皮材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図7を参照して説明する。各図では、便宜上、一部の導電線材にのみ符号を付すことがある。
そして各図には、適宜、車両用シート前方に符号F、車両用シート後方に符号B、車両用シート上方に符号UP、車両用シート下方に符号DWを付す。
【0011】
図1の車両用シート2は、シートクッション4とシートバック6とヘッドレスト8を有する。これら部材は、各々、シート外形をなすクッション材(4P,6P,8P)と、表皮材(4S,6S,8S)を有する(図4を参照)。
そして各実施形態では、シートクッション4の表皮材4Sが、複数の導電線材20を備える布材10(詳細後述)にて構成されている(図2を参照)。この布材10は、複数の導電線材20に接続部材30を電気的につなげることで、静電容量式センサの電極又はヒータとして機能するのであるが、このとき導電線材20と接続部材30を接続性良くつなげることが望まれる(図3を参照)。
そこで各実施形態では、後述する各工程(簡単な接続作業)によって、接続部材30と導電線材20を接続性良く電気的につなげることとした。
【0012】
<実施形態1>
本実施形態では、表皮材4Sとしての布材10を作製(前工程)したのち、下記の2工程によって接続部材30と導電線材20を電気的につなげる(図2及び図3を参照)。
第1工程:分割手段によって他の線材を布材10から除去して、布材本体10bと布材片10fに分割する。そして布材本体10bと布材片10fの間の分断部22a(分割部の一例)から導電線材20を露出させる。
第2工程:布材本体10bと布材片10fによって、複数の導電線材20の相対位置関係を維持しつつ、分断部22aから露出した複数の導電線材20に接続部材30を電気的につなげる。
【0013】
[前工程]
前工程では、導電線材20と他の線材を用いて布材10を作製する。この布材10は、織物、編物及び不織布のいずれでもよい。
また後述するように、表皮材4Sとして布材10を用いる場合には、適宜パッド材12や裏基布を用いることができる(図4を参照)。以下、各構成について詳述する。
【0014】
(他の線材)
他の線材は、導電線材20(後述)よりも脆弱な線材であり、布材10の主構成として使用することができる(図2を参照)。例えば他の線材は、導電線材20と比較して、強度の低い線材、溶融しやすい線材、燃焼しやすい線材又は耐薬品性に劣る線材であることが望ましい。
上記他の線材(材質)として、植物系及び動物系の天然繊維、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる化学繊維及びこれらの混紡繊維を例示できる。そして絶縁繊維の線材(フィラメントや紡績糸等)を布材10の構成として使用することができる。
【0015】
上述の絶縁繊維の多くは、導電線材20よりも脆弱である(例えば強度に劣る)。
また一般的な天然繊維は、導電線材20よりも燃焼しやすい。そして天然繊維の主成分であるタンパク質は、タンパク質分解酵素や変性剤(酸や塩基)などの薬剤によって比較的簡単に分解又は脆弱化することができる。
そして一般的な化学繊維は、導電線材20よりも低融点であるか又は燃焼しやすい傾向にある。また化学繊維は、有機溶剤などの薬剤によって比較的簡単に溶解又は脆弱化することができる。
【0016】
(導電線材)
導電線材20は、通電可能な導電性の線材である(図2を参照)。この導電線材20を布材10に取付けることで、布材10自体を、静電容量式センサの電極やヒータとして用いることができる。
上述の導電線材20として、金属や合金などの導電糸、炭素繊維のフィラメント及びメッキされた非導電糸(メッキ線材)を例示できる。
ここで炭素繊維とは、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(PAN系炭素繊維)やピッチ系炭素繊維である。なかでも焼成温度1000℃以上の炭素繊維(炭素化繊維、黒鉛化繊維、黒鉛繊維)は良好な電気伝導性を有するため、本実施形態の導電線材20として好適に使用できる。
【0017】
そして導電線材20は、他の線材よりも高強度の線材、高融点の線材、燃焼しにくい線材又は耐薬品性の高い線材であることが好ましい。例えば金属、合金又は炭素繊維の導電線材20はいずれも剛性に優れ、上述の絶縁繊維よりも高強度であることが多い。
また導電糸やメッキ線材は、典型的に絶縁繊維よりも高融点であるか、または絶縁繊維よりも燃焼しにくい傾向にある。そして導電糸やメッキ線材は、典型的なタンパク質分解酵素や樹脂の溶解薬剤に耐性を有する。
そして炭素繊維(PAN系炭素繊維及びピッチ系炭素繊維)は、非溶融性であるとともに、典型的に天然繊維や合成繊維よりも燃焼しにくい。また炭素繊維は、典型的なタンパク質分解酵素や樹脂の溶解薬剤に耐性を有する。
【0018】
(布材の作製)
本実施形態では、布材10の一部を複数の導電線材20で構成する。そして布材10の他部を、導電線材20よりも脆弱な他の線材にて構成する。ここで複数の導電線材20を、布材10上に並列して配置させることが好ましい。例えば導電線材20は、直線状又は波状として布材10に配置する。
なお導電線材20同士の間隔寸法(W1)は特に限定しないが、典型的には5mm〜50mmに設定することができる。ここで間隔寸法(W1)を5mm未満としてもよいが、導電線材20の数が必要以上に増加してコスト高となる。また間隔寸法(W1)を50mmよりも長く設定すると、布材10中の導電線材20がまばら(疎ら)となり、センサ機能やヒータ機能の悪化を招きやすい。
【0019】
例えば布材10としての織物を作製する場合、緯糸と経糸の一部に導電線材20を用いるとともに、一部以外の他部に他の線材(絶縁繊維)を用いる。
また布材10としての編物を作製する場合、ウェール方向の糸又はコース方向の糸の一部に導電線材20を用いるとともに、一部以外の他部に他の線材(絶縁繊維)を用いる。
そして布材10としての不織布を作製する場合、例えば導電線材20と他の線材(典型的にいずれも短繊維)を混合してウェブを形成したのち交絡して不織布とする。
【0020】
ここで布材10を表皮材4Sに用いる場合、シートの着座性を考慮して、布材10の裏面にバッキングを施したのち(樹脂層を形成したのち)、パッド材12や裏基布(図示省略)を配設することができる(図4を参照)。パッド材12は、柔軟性を備える多孔性の部材であり、例えばウレタンパッドや軟質ウレタンフォームを用いることができる。また裏基布は、例えば織編物や不織布(他の線材)にて構成できる。
そして布材10とパッド材12等をこの順で積層して接合手段により一体化したのち、所定の形状にカットする。接合手段として、ラミネート加工(溶着)、縫着、接着などの手法を例示できる。
【0021】
[第1工程]
第1工程では、分割手段(後述)によって他の線材を布材10から除去して、布材10の側部に切れ目を形成する(図2を参照)。このとき他の線材は、分割手段によって切断されるが、導電線材20は切断されることなくそのままの状態で残存する。
なおパッド材12(樹脂層又は裏基布)を布材10に設けた場合には、このパッド材12等も同時に切断することが好ましい(図4を参照)。
【0022】
そして布材本体10bから布材片10fを剥き取るように引離して、布材本体10bと布材片10fに分割する。そして分断部22aから複数の導電線材20を露出させる。
このとき各導電線材20の一端は布材本体10bに固定されており、各導電線材20の他端は布材片10fに固定されている。すなわち布材片10fが、露出した導電線材20(被接続部分)を固定するための冶具となる。このため複数の導電線材20の相対配置位置(並列状)が、布材本体10bと布材片10fによって維持されることとなる。
【0023】
(分割手段)
ここで分割手段とは、導電線材20を残しつつ、極力他の線材だけを除去する手段である。この分割手段は、導電線材20と他の線材の特性差を考慮して適宜選択される。
例えば両線材の強度差を考慮して、分割手段として、布材10を物理的に分割する装置(カッターやハサミ等)を使用できる。また両線材の融点や燃焼度合いを考慮して、分割手段としてレーザなどの光学装置を使用できる。また両線材の耐薬品性を考慮して、分割手段として各種の薬剤を使用できる。
なおこれら分割手段を適宜組み合わせて使用することもできる。
【0024】
[第2工程]
第2工程では、布材本体10bと布材片10fによって、複数の導電線材20の相対位置関係を維持しつつ、分断部22aから露出した複数の導電線材20に接続部材30を電気的につなげる(図3を参照)。
本実施形態の接続部材30は、導電線材20の配置方向と直交する向きに長尺な部材であり、複数の導電線材20に跨ることのできる長さ寸法を有することが好ましい。
【0025】
(接続部材)
接続部材30として、例えば導線(電線)や導電糸などの接続部材30(線状)や、導電テープやメッキ体などの接続部材30(帯状)を用いることができる。メッキ体とは、布帛やゴム製の基材(帯状)にメッキ処理を施した部材であり、湾曲又は屈曲可能な柔軟性を有することが好ましい。
なお接続部材30と導電線材20の取付け手法は特に限定しないが、接着、溶着及びカシメ等の手法を例示することができる。
【0026】
そして図3を参照して、分断部22aの導電線材20上に接続部材30(帯状)を配置したのち、導電線材20と接続部材30を縫着する。そして導電線材20を接続部材30で包み込みつつ、布材本体10bに対して布材片10fを下方向(一方向)に内折りする。つぎに布材本体10bの表裏面に接続部材30を縫着することで、導電線材20と接続部材30を電気的につなげる。
このとき本実施形態では、上述の接続作業後において、布材本体10bから布材片10fを剥き取るなどして、導電線材20の端部20eを露出させることができる。この端部20e(本数など)を確認することにより、全ての導電線材20が接続部材30と電気的につながっているかどうかを確認することができる。
【0027】
そして接続部材30に電源ケーブルの端子(図示省略)をつなげて、複数の導電線材20の電気回路を布材10(表皮材4S)に形成する。最後に所定形状の布材10と、他の布材11を縫合して表皮材4Sを形成する(図4を参照)。
この表皮材4Sでクッション材4Pを被覆したのち、複数の導電線材20に通電することで、静電容量式センサの電極やヒータとして表皮材4Sを使用することができる。
【0028】
以上説明したとおり、本実施形態では、上述の布材片10fを、露出した導電線材20(被接続部分)を固定するための冶具として使用する構成(比較的シンプルな構成)である。この構成によって、複数の導電線材20の相対位置関係を維持することにより、複数の導電線材20を極力混線させることなく接続部材30と電気的につなげることができる。このため本実施形態によれば、より簡単な接続作業によって、接続部材30と導電線材20を接続性良く電気的につなげることができる。
また本実施形態では、接続後の端部20eを確認することにより、全ての導電線材20が接続部材30とつながっているかどうかを容易に確認することができる。
【0029】
<実施形態2>
本実施形態の布材は、実施形態1の布材とほぼ同一の基本構成を備えるため、共通の構造等は対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態では、布材10に対して、第1工程と第2工程を行ったのち、下記の第3工程を行うことで、布材10の耐久性を向上させる。
【0030】
[第3工程]
第3工程では、接続後の布材片10fを保護部材として有効利用する(図5を参照)。すなわち本工程では、布材本体10bに対して布材片10fを上方向に内折りして(前記一方向とは異なる他方向に重折りして)、接続部材30を布材片10fで包み込む。
そして布材本体10bの表裏面に布材片10fを縫着することで、布材片10fで接続部材30を覆う(保護する)。
そして所定形状の布材10と、他の布材11を縫合して表皮材4Sを形成する(図5を参照)。このとき各布材の端部を中表状に縫着して、袋状の表皮材4Sを形成する。布材10の端部には、接続部材30が配置されて、表皮材4S裏面から突出する。
【0031】
次に図6を参照して、表皮材4Sとしての布材10でクッション材4Pを被覆する。そしてクッション材4Pの凹部に布材端部(接続部材30)を配置するのであるが、この構成では、乗員の着座動作などによって接続部材30とクッション材4Pが接触(摩擦)することが懸念される。
そこで本実施形態では、接続部材30を布材片10fで保護することにより、上記構成において接続部材30の摩耗や破損を防止又は低減することができる。
また表皮材4S(布材10)の搬送時においても、接続部材30が他部材に接触することがある。このときにも布材片10fの保護により、接続部材30の摩耗や破損を防止又は低減することができる。
本実施形態によれば、上述の通り、運搬時や使用時における接続部材30の破損等を防止又は低減して、表皮材4S(布材10)の耐久性を向上させることができる。
【0032】
<実施形態3>
本実施形態の布材は、実施形態1又は実施形態2の布材とほぼ同一の基本構成を備えるため、共通の構造等は対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態の第1工程では、分割手段によって他の線材を布材10から除去して、布材本体10bと布材片10fの間に分割孔部22b(分割部の他例)を形成する(図7を参照)。分割孔部22bは、布材本体10bと、布材片10fと、これら部材を連結する一対の連結部位22cによって形成される。
そしてこの分割孔部22bから複数の導電線材20を露出させる。このとき分割孔部22bから全ての導電線材20を露出させてもよく、大部分の導電線材20を露出させることもできる(一部の導電線材20を非露出状態としてもよい)。
【0033】
そして本実施形態では、布材本体10bと布材片10fが、一対の連結部位22cによって連結状態とされる。
この連結部位22cによって、布材本体10bと布材片10fの相対位置関係が維持されるため、第2工程における両部材のズレを防止又は低減することができる。このため第2工程において、接続部材30を導電線材20に作業性良く縫着することができる。
また第3工程においても、布材本体10bと布材片10fが連結されていることから、両部材を、比較的手軽に位置決めして縫着することができる。
【0034】
本実施形態の布材とその製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施形態では、布材10の端部に分割部(20a,20b)を設ける例を説明したが、分割部の位置を限定する趣旨ではない。すなわち分割部は、布材10の中央に設けてもよい。
また布材10を電極として用いる場合には、単数の分割部(20a,20b)を布材10に設けることができる。そして布材10をヒータとして用いる場合には、複数の分割部(20a,20b)を布材10に設けることができる。例えば布材10の両端に一対の分割部を設ける。そして一対の接続部材を、複数の導電線材の両端に取付けることで、導電線材を通電により発熱させることができる。
【0035】
(2)また実施形態1では、布材片10fを除去する例を説明した。この布材片10fは廃棄することもできるが、実施形態2のように保護部材として使用することもできる。すなわち布材本体から布材片を一旦除去したのち、布材本体に布材片を再度取付けて接続部材を保護することもできる。
(3)また実施形態3では、一対の連結部位32cを形成する例を説明したが、連結部位の数等を限定する趣旨ではない。例えば分割部の形状を適宜変更するなどして、単数の連結部位を形成してもよく、3以上の複数の連結部位を形成してもよい。例えば、布材中央に連結部位(単数)を形成するように、布材部材の両端を切欠いて一対の分割溝部(分割部の別の他例)を形成することもできる。
(4)また布材と導電線材と接続部材の取付け手段は、縫着のほか、接着や融着等の各種手法を例示できる。
【0036】
(5)また本実施形態では、シートクッション4の表皮材4Sに布材10を使用する例を説明した。本実施形態の布材は、天板メイン部、天板サイド部、かまち部、背裏部、及びヘッドレスト8などの車両用シートの各種構成の表皮材(例えば4S,6S,8S)として使用することができる。また車両用シートのほか、天井部、ドア部、ハンドルなどの車両の各種構成の表皮材として使用することができる。
また本実施形態では、表皮材4Sの着座側に布材10を用いた。これとは異なり、裏基布として布材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0037】
2 車両用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
10 布材
12 パッド材
10b 布材本体
10f 布材片
20 導電線材
22a 分断部(分割部の一例)
22b 分割孔部(分割部の他例)
22c 連結部位
30 接続部材
S 表皮材
P クッション材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電可能な複数の導電線材と、前記導電線材に電力を供給可能な接続部材とを備える布材の製造方法において、
前記布材の一部を前記複数の導電線材で構成するとともに、前記一部とは異なる前記布材の他部を、前記導電線材よりも脆弱な他の線材にて構成して、
分割手段によって他の線材を前記布材から除去して、布材本体と布材片に分割することにより、前記布材本体と前記布材片の間の分割部から前記複数の導電線材を露出させる第1工程と、
前記布材本体と前記布材片によって、複数の導電線材の相対位置関係を維持しつつ、前記分割部から露出した前記複数の導電線材に前記接続部材を電気的につなげる第2工程を備える布材の製造方法。
【請求項2】
前記布材片で、前記接続部材を被覆する第3工程を備える請求項1に記載の布材の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−245006(P2010−245006A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95652(P2009−95652)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】