説明

希薄燃焼エンジンのためのHC−SCRシステム

排気流中のNOx排出量を削減するためのシステムおよび方法が提供される。スリップ流中の部分酸化触媒および炭化水素選択的触媒還元触媒上での炭化水素変換を備えるシステムが、説明される。本排出処理システムは、ディーゼルエンジン、希薄燃焼ガソリンエンジン、および機関車エンジンを含む希薄燃焼エンジンからの排気流の処置に対して、有利に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許の相互参照
本出願は、35USC§119(e)の下で、2009年4月2日に出願された米国仮出願第61/166,047号、2009年4月2日に出願された米国仮出願第61/166,603号、および2009年4月16日に出願された米国仮出願第61/169,932号の優先権の利益を主張し、それらは参照によって、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、排気ガス流中の汚染物質を減少させるのに有用な、排出処理システムおよび方法に関する。具体的に、本発明の実施形態は、NOxを還元するための排出処理システム、および使用の方法を対象とし、本システムは、水素と排気ガス流との分割を生成する部分酸化触媒上での炭化水素変換を含む。
【背景技術】
【0003】
希薄燃焼エンジン、例えば、ディーゼルエンジン、希薄燃焼ガソリンエンジン、および機関車エンジンの動作は、優れた燃費を提供し、燃料希薄条件の下、高い空燃比でのそれらの動作のため、気相炭化水素および一酸化炭素の排出量が非常に低い。また、ディーゼルエンジンは特に、それらの耐久性、および低速で高いトルクを生成するそれらの能力の観点から、ガソリンエンジンに勝る大きな利点を提供する。希薄燃焼エンジンからの効果的なNOxの削減は、燃料希薄条件下でのNOx変換率が非常に低いため、達成することが困難である。したがって、無害な成分への排気流のNOx成分の変換は、一般的に、燃料希薄条件下での動作に対する、特殊なNOx削減戦略を必要とする。
【0004】
希薄燃焼エンジンからの排気流中のNOxの削減に対する、1つのかかる戦略は、当技術分野において「希薄NOxトラップ(LNT)」としても知られている、NOx吸蔵還元(NSR)触媒を使用することである。LNT触媒は、希薄条件下で、窒素の酸化物を吸収または「トラッピング」することができる。LNT触媒は、希薄条件下で、窒素の酸化物を吸収または「トラッピング」することができるNOx収着剤、および酸化および還元機能を有する触媒を提供する白金族金属成分を含有する。動作において、LNT触媒は、等式1〜5において、以下で説明される一連の素過程を促進する。酸化環境において、NOは、NO2(等式1)に酸化され、それは、NOx吸蔵の重要な過程である。低温で、この反応は、典型的に、白金族金属成分、例えば、白金成分によって触媒される。酸化プロセスは、ここで停止しない。また、原子酸素の取り込みによる、NO2の硝酸へのさらなる酸化も、触媒反応(等式2)である。白金族金属成分の不在において、NO2がNOx源として使用される時でも、わずかな硝酸形成が存在する。白金族金属成分は、酸化および還元の二重の機能を有する。その還元の役割のために、白金族金属成分は、第1に、還元の導入の際、NOxの放出を触媒する、例えば、CO(一酸化炭素)、H2(水素)、またはHC(炭化水素)を排気(等式3)に触媒する。この過程は、幾つかのNOx吸蔵サイトを回復し得るが、NOx種の限られた還元に寄与し得る。放出されたNOxは、次いで、濃密環境(等式4および5)の気体N2にさらに還元される。NOx放出は、正味酸化環境においても、燃料注入によって誘発され得る。しかしながら、H2、CO、またはHCによって放出されたNOxの効率的な還元は、全体の正味濃密条件を必要とする。また、温度の急上昇は、高温で、金属硝酸の安定性が低いため、NOx放出の引き金と成り得る。NOxトラップ触媒は、循環作業である。金属化合物は、希薄/濃密動作の間、主要な経路として、炭酸/硝酸変換することが考えられる。

NOからNO2への酸化
NO+122→NO2 (1)

硝酸としてのNOx吸蔵
2NO2+MCO3124O2→M(NO32+CO2 (2)

NOx放出
M(NO32+2CO→MCO3+NO2+NO+CO2 (3)

2へのNOx還元
NO2+CO→NO+CO2 (4)
2NO+2CO→N2+2CO2 (5)
【0005】
等式2および3において、Mは二価金属カチオンを示し、また、Mは、一価または三価金属化合物でもあり、その場合、等式は再平衡される必要がある。
【0006】
NOおよびNO2からN2への還元が、濃密期間の間、NSR触媒の存在下で発生すると同時に、アンモニア(NH3)は、NSR触媒の濃密パルス再生の副生成物としても形成し得ることが観察されている。例えば、NOの還元は、等式6および7で進行し得る。

NOからNH3への還元
CO+H2O→H2+CO2 (6)
2NO+5H2→2NH3+2H2O (7)
【0007】
NSR触媒のこの性質は、それ自体は有害な成分であるNH3が、排気物が大気中に放出される前に、直ちに無害の種に変換されなければならないことも命じる。
【0008】
自動車用途(希薄燃焼エンジンからの排気の処置を含む)の発展下で、NOxの削減の代替的戦略は、選択的触媒還元(SCR)触媒技術を使用する。戦略、例えば、燃焼排ガスの処置は、固定汚染源に適用される時、効果的であることが証明されている。この戦略において、NOxは、典型的に卑金属から成るSCR触媒上で、還元体、例えば、NH3を用いて、窒素(N2)に還元される。この技術は、90%を超えるNOx還元が可能であり、よって、挑戦的なNOx還元目標を達成する最良の手法のうちの1つであることを示す。
【0009】
アンモニアは、SCR技術を使用する希薄条件で、NOxに対して最も効果的な還元体のうちの1つである。ディーゼルエンジン(主に大型ディーゼル車)中のNOxの削減に対して調査されている手法のうちの1つは、尿素を還元体として利用することである。加水分解がアンモニアを産生する際、尿素は、200〜600℃範囲の温度において、SCR触媒の前で、排気物中に注入される。この技術の主な不利な点のうちの1つは、自動車に搭載される尿素を収容するための超大型リザーバの必要性である。別の重大な懸念は、必要に応じてリザーバに尿素を補充することへのこれらの自動車の操縦者の関与、および操縦者に尿素を供給する設備の必要条件である。したがって、排気ガスのNOx処置のために、還元体として搭載燃料を利用する、負担の軽く、代替的技術が所望される。
【0010】
炭化水素を使用するNOxの選択的触媒還元(HC−SCR)は、酸素濃密条件下でのNOxの除去のための潜在的な代替的方法として、広く研究されている。典型的に、イオン交換基金属ゼオライト触媒(例えば、Cu−ZSM5)は、典型的な自動車操縦条件下において、十分に活発ではなく、二酸化硫黄および浸水による分解に影響を受けやすい。白金族金属(例えば、Pt/Al23)を用いる触媒は、180℃〜220℃の狭い温度ウィンドウで効果的に作動し、N2O産生に対して非常に選択的である。
【0011】
アルミナ担持銀(Ag/Al23)を使用した触媒装置は、多岐にわたる炭化水素種と共に、希薄排気条件下で、NOxを選択的に還元する能力のため、注目を受けている。Ag/Al23上での炭化水素、およびアルコール、アルデヒド、ならびに機能性有機化合物の使用は、450℃以下の温度で、NOxの還元を可能にする。上で列挙される分子に加えて、また、ディーゼル燃料は、還元体としても使用され得る。ディーゼル燃料は、ディーゼル式自動車に対して、追加のタンクを必要としない。ディーゼル燃料は、エンジン管理を変化することによって、またはディーゼル燃料の追加の注入器を排気トレインに供給することによって、排出量システムに供給され得る。しかしながら、現在のHC−SCR触媒システムは、不十分な耐久性を示す。燃料分解に起因する触媒のコーキング、および堆積上の燃料および石油に由来する触媒および硫黄被毒は、比較的短い動作時間で、触媒性能低下を引き起こす。触媒は、所望の性能を維持するために、頻繁かつ費用のかかる再生を経なければならない。
【0012】
これらの様々な代替物をよそに、還元体としてディーゼル燃料を使用する、商業的に利用可能な実用的な炭化水素SCR触媒は存在しない。したがって、HC−SCR技術を用いた耐久性のあるNOx還元活性を提供するシステムおよび方法の必要性が、当技術分野において存在する。
【発明の概要】
【0013】
本発明の1つ以上の実施形態は、希薄燃焼エンジンからの排気流中のNOx削減のための排出処理システムを対象とする。システムの一実施形態は、エンジン排気流と流体連通している主排気管と、主排気管と流体連通している炭化水素選択的触媒還元触媒(HC−SCR)と、を備える。
スリップ排気流管は、スリップ排気流管と流体連通している触媒部分酸化(CPO)触媒を流過する、スリップ排気流を提供するために、主排気管からの一部の排気流を、スリップ排気流管中に迂回させるための第1の接合部によって、主排気管から分岐し、主排気管に接続される。炭化水素注入器は、スリップ流中のCPO触媒の上流に設置される。第1の接合部から下流の第2の接合部は、スリップ排気流をHC−SCRの上流で主排気管に再導入する。CPOは、一部の炭化水素を一酸化炭素および水素に変換するのに効果的である。
【0014】
1つ以上の実施形態において、CPOは、下流のHC−SCR触媒に対して、十分な水素および適切な量の炭化水素を提供するように設計される。1つ以上の実施形態において、炭化水素注入装置は、スリップ排気流管中に注入された炭化水素の量を調節するように適合された、計量装置を含む。1つ以上の実施形態に従って、炭化水素は燃料である。
【0015】
1つ以上の実施形態において、スリップ排気流管中に迂回される排気ガスの一部は、最大約10%の総排気流量である。1つ以上の実施形態は、スリップ排気流管に迂回された排気ガスのパーセンテージを制限するために、スリップ排気流管の第1の接合部で、計量装置をさらに備える。1つ以上の実施形態において、CPO触媒は白金族金属を含有する。CPO触媒の白金族金属の例は、白金、パラジウム、ロジウム、およびそれらの組み合わせを含む。
【0016】
1つ以上の実施形態において、CPO触媒およびHC−SCRのうちの1つ、またはそれらの双方は、フロースルーモノリス上に配置される。1つ以上の実施形態において、本システムは、HC−SCR触媒の下流にディーゼル微粒子フィルタ(DPF)を含む。1つ以上の実施形態において、本システムは、HC−SCR触媒の上流にディーゼル微粒子フィルタ(DPF)を含む。1つ以上の実施形態において、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)は、主排気管の流体連通における、第1の接合部と第2の接合部との間に設置される。1つ以上の実施形態において、本システムは、DPFおよびHC−SCR触媒の上流にディーゼル酸化触媒(DOC)を含む。1つ以上の実施形態において、本システムは、DPFおよびHC−SCR触媒の上流にディーゼル酸化触媒(DOC)を含む。1つ以上の実施形態において、本システムは、DPFおよびHC−SCR触媒の上流にディーゼル酸化触媒(DOC)を含む。1つ以上の実施形態において、本システムは、ディーゼル酸化触媒(DOC)が、主排気管と流体連通している第1の接合部の下流に設置されることを含む。1つ以上の実施形態において、本システムは、ディーゼル酸化触媒(DOC)が、主排気管と流体連通している第1の接合部の下流に設置されることを含む。1つ以上の実施形態において、本システムは、ディーゼル酸化触媒(DOC)が、主排気管と流体連通している第1の接合部の下流に設置されることを含む。
【0017】
1つ以上の実施形態において、本システムは、ディーゼル酸化触媒(DOC)が、第1の接合部の下流およびDPFの上流に設置され、主排気管と流体連通していることを含む。1つ以上の実施形態において、本システムは、DOCおよびDPFが、単一の構成要素に統合されることを含む。1つ以上の実施形態において、本システムは、HC−SCR触媒の下流にNH3−SCR触媒を含む。1つ以上の実施形態において、本システムは、HC−SCR触媒の下流に酸化触媒を含む。
【0018】
本発明の別の態様は、排気流を処置する方法に関連する。方法の一実施形態において、排気流は主排気管を通過し、その排気流の一部はスリップ排気流管を通過する。主排気管は炭化水素選択的触媒還元触媒(HC−SCR)を含み、スリップ排気流管は、スリップ流管と流体連通している触媒部分酸化(CPO)触媒およびCPOの上流に炭化水素注入器を含む。スリップ排気流管は、第1の接合部で主排気管から分岐し、CPOと流体連通している。スリップ排気流管は、HC−SCRの上流の第2の接合部で、主排気管に再接合する。CPOは、スリップ排気流管中の一部の炭化水素を一酸化炭素および水素に変換するために、適合されている。
【0019】
方法の1つ以上の実施形態において、スリップ排気流管中への炭化水素注入器の量は、計量装置によって調節される。1つ以上の実施形態において、炭化水素は搭載燃料である。1つ以上の実施形態において、排気流の第1のパーセンテージは主排気管を通過し、排気流の第2のパーセンテージはスリップ排気流管を通過し、第1のパーセンテージは第2のパーセンテージよりも大きい。1つ以上の実施形態において、排気流の第2のパーセンテージは、第1の接合部に近いスリップ排気流管内に設置された、計量装置によって調節される。方法の1つ以上の実施形態は、排気流を、HC−SCR触媒の上流に設置されたディーゼル微粒子フィルタを通して、主排気管中に通過させることをさらに含む。
【0020】
方法の1つ以上の実施形態は、排気流を、HC−SCR触媒の下流に設置されたディーゼル微粒子フィルタを通して、主排気管中に通過させることを含み得る。方法の1つ以上の実施形態は、排気流を、第1の接合部の下流および第2の接合部の上流に設置された、ディーゼル微粒子フィルタを通して、主排気管中に通過させることを含み得る。方法の1つ以上の実施形態は、排気流を、ディーゼル微粒子フィルタの上流に設置されたディーゼル酸化触媒を通して、主排気管中に通過させることを含み得る。方法の1つ以上の実施形態は、排気流を、ディーゼル微粒子フィルタの上流に設置されたディーゼル酸化触媒を通して、主排気管中に通過させることを含み得る。方法の1つ以上の実施形態は、排気流を、ディーゼル微粒子フィルタの上流に設置されたディーゼル酸化触媒を通して、主排気管中に通過させることを含み得る。方法の1つ以上の実施形態は、排気流を、第1の接合部の下流に設置されたディーゼル酸化触媒を通して、主排気管中に通過させることを含み得る。方法の1つ以上の実施形態は、排気流を、第1の接合部の下流に設置されたディーゼル酸化触媒を通して、主排気管中に通過させることを含み得る。
【0021】
方法の1つ以上の実施形態は、排気流を、第1の接合部の下流に設置されたディーゼル酸化触媒を通して、主排気管中に通過させることを含み得る。方法の1つ以上の実施形態は、排気流を、第1の接合部の下流およびディーゼル微粒子フィルタの上流に設置されたディーゼル酸化触媒を通して、主排気管中に通過させることを含み得る。方法の1つ以上の実施形態は、排気流を、第1の接合部の下流およびディーゼル微粒子フィルタの上流に設置されたディーゼル酸化触媒を通して、主排気管中に通過させることを含み得る。方法の1つ以上の実施形態は、排気流を、第1の接合部の下流およびディーゼル微粒子フィルタの上流に設置されたディーゼル酸化触媒を通して、主排気管中に通過させることを含み得る。
【0022】
方法の1つ以上の実施形態において、ディーゼル酸化触媒およびディーゼル微粒子フィルタは統合される。方法の1つ以上の実施形態において、ディーゼル酸化触媒およびディーゼル微粒子フィルタは統合される。方法は、1つ以上の実施形態に従って、排気流を、HC−SCR触媒の下流に設置されたNH3−SCR触媒を通して、主排気管中に通過させることを含むことができる。方法の1つ以上の実施形態は、排気流を、HC−SCR触媒の下流に設置された酸化触媒を通して、主排気管中に含む。
【0023】
本発明の様々な実施形態は、多数の立体配置において、ディーゼル酸化触媒、触媒煤煙フィルタ、HC選択的触媒還元触媒、NH3選択的触媒還元触媒、および酸化触媒を含むが、それらに限定されない、様々な構成要素を含み得る。排気ガスは、様々な配列で、これらの任意の構成要素を通過し得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】詳細な実施形態に従った、エンジン排出処理システムを示す概略図である。
【図2】別の実施形態に従った、エンジン排出処理システムを示す概略図である。
【図3】一実施形態に従った、統合されたエンジン排出処理システムを示す概略図である。
【図4】1つ以上の本発明の実施形態に従った、代替的排出処理システムである。
【図5】1つ以上の本発明の実施形態に従った、代替的排出処理システムである。
【図6】1つ以上の本発明の実施形態に従った、代替的排出処理システムである。
【図7】1つ以上の本発明の実施形態に従った、代替的排出処理システムである。
【図8】1つ以上の本発明の実施形態に従った、代替的排出処理システムである。
【図9】1つ以上の本発明の実施形態に従った、代替的排出処理システムである。
【図10】1つ以上の本発明の実施形態に従った、代替的排出処理システムである。
【図11】1つ以上の本発明の実施形態に従った、代替的排出処理システムである。
【図12】1つ以上の本発明の実施形態に従った、代替的排出処理システムである。
【図13】ウォールフローフィルタ基材の透視図である。
【図14】ウォールフローフィルタ基材の一片の断面図である。
【図15】様々な動作条件下で、HC−SCRの触媒入口温度の機能として、パーセントNOx変換のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
提供されるものは、希薄燃焼エンジンからの排気ガスを処置するために使用され得る排出処理システム、およびエンジン排気を処置するために、これらのシステムを使用する方法である。希薄燃焼エンジンは、ディーゼルエンジン、希薄燃焼ガソリンエンジン、および機関エンジンを含むが、それらに限定されない。
【0026】
希薄排気に存在する少量の水素(典型的に<2000ppm)は、HC−SCR触媒の性能を優位に向上させることができ、通常の動作を介して、触媒に与えられた損傷を逆転させる。本発明の実施形態は、HC−SCR触媒に燃料還元体および水素を提供できる、システムおよび方法を対象とする。本システムは、搭載燃料を用いて水素を生成するために、主要な排気からのスリップ流、および正味還元条件で、触媒部分酸化触媒(CPO)を含む。スリップ流は変換されていない燃料種を含有し、水素は、好ましいHC−SCR反応条件を提供するために、主要な排気と組み合わせられる。水素は、供給口の一部が、燃料濃密条件下において、スリップ流中で酸素と反応する部分酸化プロセスによって、炭化水素供給口から生成され得る。
【0027】
図1は本発明の一態様の図表説明を示し、以下で詳細にわたって説明される。簡潔に述べると、スリップ流(エンジンから放出される典型的に1〜10%の総排気流量)は、エンジンから下流に設置されたHC−SCR触媒の上流をバイパスされる。十分な量の燃料は、燃料濃密条件を産生するために、スリップ流中に導入される。触媒部分酸化触媒は、さらに以下で説明されるように、燃料導入点の下流のスリップ流に設置される。スリップ流は変換されていない燃料種を含有し、水素は、主要な排気と組み合わされ、HC−SCR触媒に導入される。本発明の一実施形態において、HC−SCRは、HC−SCRが、DOCおよびDPF装置の再生と同時に再生成され得るように、ディーゼル酸化触媒およびディーゼル微粒子フィルタ装置の下流に配置され得る。本システムは、システムの燃料ペナルティを最小化するために、バイパス形流量調整弁および燃料調節送達装置を用いて、任意で最適化され得る。
【0028】
以下の用語は、本明細書の目的のために、以下で説明されるそれぞれの意味を有する。
【0029】
「希薄NOx触媒」、「LNC」、「炭化水素選択的触媒還元触媒」、および「HC−SCR」は、本明細書内で互換的に使用され得る。これらは、NOx吸蔵および放出機能を有する希薄NOxトラップ(LNT)とは異なる。
【0030】
希薄排気流を含む「希薄ガス状流」は、λ>1.0を有するガス流を意味する。
【0031】
「希薄期間」は、排気ガス組成物が希薄である、すなわち、λ>1.0を有する排気処置の期間を指す。
【0032】
「白金族金属成分」は、白金族金属またはそれらの酸化物のうちの1つを指す。
【0033】
「希土類元素金属成分」は、ランタン、セリウム、プラセオジム、およびネオジムを含む元素記号表に定義されるランタン系列のうちの1つ以上の酸化物を指す。
【0034】
濃密排気流を含む「濃密ガス状流」は、λ<1.0を有するガス流を意味する。
【0035】
「濃密期間」は、排気ガス組成物が濃密である、すなわち、λ<1.0を有する排気処置の期間を指す。
【0036】
「ウォッシュコート」は、ハニカムフロースルーモノリス基材またはフィルタ基材等の耐火材に適用される触媒または他の物質から成る薄い接着性被膜の、当技術分野における通常の意味を有し、それは、処置されるガス流を介した通過を可能にするために十分多孔性である
【0037】
「流体連通」は、排気ガスまたは他の流体が、構成要素および/または管間を流れることができるように、構成要素および/または管が隣接していることを意味する。
【0038】
「下流」は、1つの構成要素の前のある構成要素よりもエンジンからさらに離れている、経路内の排気ガス流中の構成要素の位置を指す。例えば、ディーゼル微粒子フィルタが、ディーゼル酸化触媒から下流であると言及される時、排気管中で、エンジンから放出される排気ガスは、ディーゼル微粒子フィルタを流過する前に、ディーゼル酸化触媒を流過する。したがって、「上流」は、別の構成要素に対してエンジンのより近くに設置される構成要素を指す。
【0039】
「アンモニア生成構成要素」への参照は、エンジンアウト排出量、およびエンジン管理また排気中への注入を介した還元体(H2、COおよび/またはHC)の投与によって決定される、その設計および立体配置の結果として、アンモニア(NH3)を供給する排気システムの一部を意味する。そのような構成要素は、ガス投与またはNH3の他の外的供給源を除外する。アンモニア生成構成要素の例は、NOx吸蔵還元(NSR)触媒および希薄NOxトラップ(LNT)を含む。
【0040】
図1は、一実施形態に従って、希薄燃焼エンジン4からの排気流中のNOx削減のための排出処理システム2を示す。ガス状汚染物質(例えば、未燃焼炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物)および粒子状物質を含有する排気ガス流は、希薄燃焼エンジン4と流体連通している主排気管6を介して、伝達される。主排気管6中の排気ガス流は、管6と流体連通している炭化水素選択的触媒還元触媒(HC−SCR)8を通過する。スリップ排気流管10は、主排気管6から分岐する。スリップ排気流管10は、スリップ排気流を提供するために、主排気管6から一部の排気流をスリップ排気流管10中に迂回し、第1の接合部12によって主排気管6に接続される。スリップ排気流は、スリップ排気流管10と流体連通している触媒部分酸化(CPO)触媒14を、流過する。第1の接合部12から下流の第2の接合部16は、スリップ排気流管10からのスリップ排気流を、HC−SCR8の上流の主排気管6に再導入する。線20は、尾管へと導き、かつシステムの外へと導く。
【0041】
炭化水素供給口は、CPO触媒14の上流のスリップ流中の管18に導入され得る。CPO14は、炭化水素の一部を一酸化炭素および水素に変換するのに効果的である。CPO14は、1つ以上の実施形態に従って、HC−SCR8の性能を向上するために、十分な水素を提供するように設計される。
【0042】
幾つかの実施形態において、主排気管6は、第1の接合部12の下流に任意の追加の排気システム構成要素22を含む。追加の排気システム構成要素22は、例えば、主排気管と流体連通であるディーゼル酸化触媒、ディーゼル微粒子フィルタ、還元体注入器、および空気注入器の1つ以上であり得る。一具体的な実施形態において、任意の追加の排気システム構成要素22は、例えば、1つ以上のディーゼル酸化触媒であり得、ディーゼル微粒子フィルタは、主排気管6の第1の接合部12の上流に設置され得る。
【0043】
図2の実施形態に示されるように、炭化水素注入器18は、スリップ排気流管中10に注入された炭化水素の量を調節するように適合された計量装置24を含む。具体的な実施形態において、注入された炭化水素は搭載燃料である。
【0044】
本発明の詳細な実施形態は、スリップ排気流管10に迂回される排気ガスのパーセンテージを制限するために、スリップ排気流管10の第1の接合部12で計量装置26を含む。本発明の幾つかの実施形態において、主排気管6からスリップ排気流管10中に迂回される一部の排気ガスは、最大約10%の総排気流量である。他の詳細な実施形態において、排気ガスの一部は、約0.5%〜約15%の範囲、または約1%〜約10%の範囲で、主排気管6から迂回される。他の詳細な実施形態において、主排気管6から迂回される排気ガスの一部は、総排気流量.の最大約15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、または2%である。
【0045】
具体的な実施形態において、CPO触媒およびHC−SCRの1つ以上は、フロースルーモノリス上に配置される。
【0046】
図2に示されるように、様々な実施形態の排出処理システムは、主排気管6と流体連通している、第1の接合部12と第2の接合部16との間に設置される、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)28をさらに備える。他の実施形態において、ディーゼル酸化触媒(DOC)30は、主排気管6と流体連通している、第1の接合部12の下流と、DPF28の上流に設置される。
【0047】
代替的実施形態において、図3および4に示される、DOC30およびDPF28は、単一の構成要素または基材32に統合される。例えば、DOC30およびDPF28は、同一基材32の別の区域に配置され得、そこで、DOC30は基材32の上流セグメントに配置され、CSF28は基材32の下流セグメント上に配置される。
【0048】
本発明の追加の実施形態は、希薄燃焼エンジンからの排気流を処置する方法を対象とする。図1、2、および4を参照すると、排気流は主排気管6を通過し、排気流の一部はスリップ排気流管10を通過する。主排気管6は、炭化水素選択的触媒還元触媒(HC−SCR)8を備える。スリップ排気流管10は、触媒部分酸化(CPO)触媒14を含、炭化水素が炭化水素注入器18を使用して、CPO14の上流でスリップ排気流管10中に注入され得る。スリップ排気流管10は、第1の接合部12で、主排気管6から分岐し、CPO14と流体連通している。スリップ排気流管10は、第2の接合部16で、主排気管6に再接合する。第2の接合部16は、HC−SCR8の上流に設置される。CPO14は、スリップ排気流管10中で、炭化水素を一酸化炭素および水素に変換するように適合される。
【0049】
スリップ排気流管10中に注入される炭化水素の量は、計量装置24によって調節され得る。詳細な実施形態において、炭化水素は搭載燃料である。
【0050】
本発明の1つ以上の実施形態に従って、排気流の第1のパーセンテージは主排気管6を通過し、排気流の第2のパーセンテージはスリップ排気流管10を通過し、第1のパーセンテージは、第2のパーセンテージよりも大きい。幾つかの実施形態において、排気流の第2のパーセンテージは、第1の接合部12に近いスリップ排気流管10内に設置される、計量装置26によって調節される。
【0051】
本発明の様々な実施形態は、主排気管6中の排気流を、第1の接合部12の下流および第2の接合部16の上流に設置されるディーゼル微粒子フィルタ28に通過させることをさらに含む。他の実施形態において、主排気管6中の排気流を、第1の接合部12の下流およびディーゼル微粒子フィルタ28の上流に設置されるディーゼル酸化触媒30に通過させる。詳細な実施形態において、図4に示されるように、ディーゼル酸化触媒30およびディーゼル微粒子フィルタ28は、単一の構成要素32中に統合される。
【0052】
CPO14、DOC30、DPF28、ならびに任意の構成要素22は、当技術分野においてよく知られている組成物から作成されることができ、触媒剤として卑金属(例えば、セリア)および/または白金族金属を含み得る。上流の位置において、DOCおよび/または微粒子フィルタは幾つかの有利な機能を提供する。触媒は、未燃焼ガス状および不揮発性炭化水素(すなわち、ディーゼル粒子状物質の溶性有機成分)を酸化し、一酸化炭素を二酸化炭素および水にする役割を果たす。SOFの大部分の除去は、特に、HC−SCR8上の粒子状物質の巨大な堆積を防ぐ手助けをする。具体的な実施形態において、白金族金属は、白金、パラジウム、ロジウム、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0053】
本発明のある実施形態において、DOC30、DPF28、および任意の構成要素22のうちの1つ以上は、排気流中の粒子材料の除去、特に粒子材料の煤煙部分(または炭素部分)の除去を手助けするために、煤煙フィルタ、例えば、ウォールフローフィルタ上を被膜する。DOCは、上述の他の酸化機能に加えて、煤煙部分がCO2およびH2Oに酸化する温度まで低下する。フィルタ上に煤煙が蓄積するため、触媒被膜はフィルタの再生を手助けする。図5に示されるように、DPF28は、COおよび変換されていない燃料種を変換するために、HC−SCR8の下流に設置され得る。図6は、DPF28が、粒子材料を用いて下流のHC−SCRの汚れを最小化するまたは防ぐために、第1の接合部12の上流に設置される別の代替的実施形態ことを示し、図7は、DOC30が第1の接合部12の上流に設置され、かつHC−SCR8およびDPF28が第2の接合部の下流に設置される、代替的実施形態を示す。図8は、DOC30およびDPF28が第1の接合部の上流に設置される代替的実施形態を示す。別の代替的実施形態において、図9に示されるように、本システムは、本システム中で生成されるいずれのNH3排出量も変換するために、HC−SCRの下流のNH3−SCR触媒をさらに備える。図10に示される別の具体的実施形態において、本システムは、COおよびいずれの変換されていない燃料種も酸化するために、HC−SCRの下流の酸化触媒をさらに備える。図11は、HC−SCR8触媒の下流に設置されるアンモニア酸化(AMOX)触媒36を備える、排出処理システムの代替的実施形態を示す。アンモニア酸化触媒36は、本システムを通して、スリップアンモニアと称され得る残留アンモニアを除去する、または削減するのに有用であり得る。
【0054】
図12は、水素源38が、CPO触媒以外のオフライン源または構成要素である代替的実施形態を示す。本明細書で示されるように、水素源38は、主排気管6中に注入される水素の量を調節できる計量装置40を含み得る。オフラインH2源(およびHC還元体)は、先で説明されたように、CPO反応(酸素を用いた燃料の部分酸化)からの出力を含むことができる。
【0055】
様々な任意の構成要素22は、排気管6中に含まれ得る。これらの任意の構成要素22は、水素注入器38の上流、水素注入器38の下流、またはHC−SCR触媒8の下流に設置され得る。任意の構成要素が、主排気管6の接合部前で、水素注入器38内に設置され得ることは想像可能である。示される代替的実施形態は、本発明が実践され得る様々な手段を示しているにすぎず、限定するものとして解釈されるべきではない。構成要素は、他の立体配置に配列されることができ、本発明の範囲内に残存する。
【0056】
当業者によって理解されるように、また、様々な計量装置は、調節器にも接続され得る。調節器は、他の構成要素、センサ、および処理装置を含み得る。センサは、ガス状組成物の構成要素を測定するのに好適であり得、排気管内の様々な位置に設置され得る。処理装置はセンサからのデータを評価することができ、様々な触媒構成要素の機能を最適化するために、計量装置を適合させる。
【0057】
本発明の様々な実施形態での使用に対して、任意の構成要素22は、例えば、ディーゼル酸化触媒、ディーゼル微粒子フィルタ、還元体注入、または空気注入、もしくは主排気管と流体連通しているアンモニア酸化触媒、アンモニア選択的触媒還元触媒のうちの1つであり得る。さらに、任意の構成要素22は、図3示されるものを含むが、それらに限定されない統合された構成要素の組み合わせであり得る。
【0058】
基材
詳細な実施形態において、HC−SCR8、CPO14、およびDOC30を含む触媒のうちのいずれかまたは全てが、基材上に配置される。基材は、触媒を調製するために典型的に使用される材料のうちのいずれであってもよく、典型的にセラミックまたは金属ハニカム構造、例えば、フロースルーモノリスを含む。微細で、平行なガスフロー流路を有するタイプのモノリス基材等の、いずれの好適な基材も用いられることができ、流路は、そこを通した流体流動に対して開くように(基材を通したハニカムフローと称される)、基材の入口または出口面からそこを通して延在する。それらの流体入口からそれらの流体出口までが本質的に直線的な経路である流路は、流路を流過するガスが触媒材料と接触するように、触媒材料がウォッシュコートとして被膜される壁によって画定される。モノリス基材の流路は、台形、長方形の、正方形、正弦、六角形、楕円形、円形等のいずれの好適な断面形状および大きさであり得る薄い壁のチャネルである。かかる構造は、断面の平方インチ当たり約60〜約600またはそれ以上のガス入口開口部(すなわち、セル)を含有し得る。
【0059】
図13および14は、複数の代替的に窒塞チャネル52を有し、微粒子フィルタとしての役割を果たすことができるウォールフローフィルタ基材50を説明する。流路は、フィルタ基材の内壁53によって管状に囲まれている。基材は、入口末端部54および出口末端部56を有する。代替的流路は、入口54および出口56で反対の市松模様を形成するために、入口末端部54で入口栓58を用いて塞がれ、出口末端部56で出口栓を用いて塞がれる。ガス流は、塞がれていないチャネル入口60を通って入り、出口栓によって阻止され、チャネル壁53(多孔性である)を通って出口側に拡散する。ガスは、入口栓58のため、壁の入口側に戻ることはできない。かかる基材が利用される場合、結果として生じるシステムは、ガス状汚染物質と共に粒子状物質を除去できる。
【0060】
ウォールフローフィルタ基材は、コージライト、αアルミナ、炭化ケイ素、チタン酸アルミニウム、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、スポジュメン、アルミニウムケイ素マグネシウム、またはケイ酸ジルコニウム、もしくは多孔性耐火金属等のセラミックの様な材料から成り得る。また、ウォールフロー基材は、セラミック繊維複合材料からも形成され得る。具体的なウォールフロー基材は、コージライト、炭化ケイ素、およびチタン酸アルミニウムから形成される。かかる材料は、排気流の処置で経験される環境、特に、高温に耐えることができる。
【0061】
本発明のシステムにおける使用に対してウォールフロー基材は、背面圧力または物品全域の圧力を大いに増加すること無く、流体流が通過する薄い多孔性壁ハニカム(モノリス)を含むことができる。本システムにおいて使用されるセラミックウォールフロー基材は、少なくとも10ミクロン(例えば、10〜30ミクロン)の平均孔経を有する、少なくとも40%(例えば、40〜75%)の多孔度を有する材料から形成され得る。
【0062】
追加の機能性がフィルタ(DOC30、DPF28、および任意の構成要素22)に適用される具体的な実施形態において、基材は、少なくとも59%の多孔度を有することができ、10〜20ミクロンの平均孔経を有することができる。これらの多孔度およびこれらの平均孔経を有する基材が、以下で説明される技術を用いて被膜される時、適切なレベルの所望の触媒組成物が基材上に充填される。これらの基材は、触媒充填にもかかわらず、適切な排気流量特性、すなわち、受容可能な背面圧力をさらに維持することができる。米国特許第4,329,162号は、好適なウォールフロー基材の開示に関して参照することにより、本明細書に組み込まれる。
【0063】
商業的使用において典型的なウォールフローフィルタは、例えば、約42%〜50%の低い壁多孔度から典型的に形成される。一般的に、商業用ウォールフローフィルタの孔経分布は、25ミクロンよりも小さい平均孔経を有し、典型的に非常に広範である。
【0064】
多孔性ウォールフローフィルタは、要素の壁が、その上に1つ以上の触媒材料を有するように、または1つ以上の触媒材料を壁に含有するように、触媒され得る。触媒材料は、単独で要素壁の入口側上、単独で出口側、入口および出口側の双方に存在し得、または壁自体は、全てがまたは部分的に、触媒材料から成る本発明は、要素の入口および/または出口壁上で、触媒材料の1つ以上のウォッシュコートの使用および触媒材料の1つ以上のウォッシュコートの組み合わせを含む。フィルタは、当技術分野ではよく知られているいずれの様々な手段によって、被膜され得る。
【0065】
また、本発明の触媒に有用である基材は本質的に金属であり得、1つ以上の金属または金属合金から成ることができる。金属基材は、波形板またはモノリシック型等の様々な形状で用いることができる。好適な金属支持体は、チタンおよびステンレス鋼ならびに他の合金等の、鉄が実質的な、または主要な構成要素である耐熱金属および金属合金を含む。かかる合金は、ニッケル、クロム、および/またはアルミニウムの1つ以上を含有し得、これらの金属の総量は、合金の少なくとも15重量%、例えば、クロムの10〜25重量%、アルミニウムの3〜8重量%、およびニッケルの最大で20重量%を有利に含み得る。また、合金は、少量または微量のマンガン、銅、バナジウム、チタン等の1つ以上の他の金属も含有し得る。表面または金属基材は、表面、基材上に酸化物層を形成することによって、合金の腐食に対する抵抗を改善するために、高温、例えば、1000℃以上で酸化し得る。かかる高温誘発酸化は、耐火性金属酸化物支持体の接着性を強化し得、基材に対して金属成分を触媒的に促進する。
【0066】
代替的実施形態において、HC−SCR8、CPO14、DOC30、DPF28、および任意の構成要素22のうちの1つ、または全てが、オープンセルフォーム基材上に置かれてもよい。かかる基材は当技術分野においてよく知られており、セラミック耐火材または金属材料から典型的に形成される。
【0067】
CPO触媒
CPO触媒の原則は、等式8に従った、一酸化炭素および水素をもたらす、酸素を用いた燃料の反応である。

nm+(n/2)O2→nCO+(m/2)H2 (8)
【0068】
反応性ガスの十分に高い温度および限られた接触時間が、触媒(高い空間速度)を用いて提供される時、触媒部分酸化反応が広がる。詳細な実施形態において、CPO14触媒は白金およびパラジウムを含有する。具体的な実施形態において、白金族金属充填は約20g/ft3〜約200g/ft3の範囲である。より具体的な実施形態において、CPO中の白金とパラジウム金属との比率は、約1:9〜約9:1の範囲である。1つ以上の実施形態において、CPOは、100,000hr-1空間速度(時に、>250,000hr-1)を超過して、600℃〜700℃で作動する。詳細な実施形態の白金とパラジウムとの金属比率は、約1:5〜約5:1、または約1:4〜約4:1、または約1:3〜約3:1、または約1:2〜約2:1、もしくは約1:1の範囲であり得る。
【0069】
具体的な実施形態において、CPOは、上述のように、微細に分散した触媒金属が膨張し得る支持体としての役割を果たすために、好適な高表面積耐火金属酸化物支持体層が基材上に置かれることを含む。特定の実施形態において、高表面積耐火金属酸化物支持体、例えば、「ガンマアルミナ」または「活性アルミナ」とも称されるアルミナ支持材が使用され得、典型的に、グラム当たり60平方メートルを超過する(「m2/g」)、大抵約200m2/g以上であるBET表面積を示す。かかる活性アルミナは、通常アルミナのガンマおよびデルタ相の混合物であるが、また、相当量のイータ、カッパ、およびシータアルミナ相も含有する。活性アルミナ以外の耐火金属酸化物は、所与の触媒において、少なくとも幾つかの触媒構成要素に対する支持体として使用され得る。例えば、バルクセリア、ジルコニア、アルファアルミナ、および他の材料は、かかる使用のために知られている。多くのこれらの材料が、活性アルミナよりも相当に低いBET表面積を有するという不利点を有しているが、その不利な点は、得られた触媒の優れた耐久性または性能強化によって、相殺される傾向にある。「BET表面積」は、N2吸収によって表面積を画定するためのブルナウアー、エメッと、テラー方法に関する、その通常の意味を有する。また、細孔径および細孔容積は、BETタイプN2吸収または脱離実験を使用しても判定され得る。
【0070】
具体的な支持被膜はアルミナである、例えば、安定した、高表面積遷移アルミナである。本明細書および特許請求項で使用されるように、「遷移アルミナ」は、ガンマ、カイ、イータ、カッパ、シータ、およびデルタ形成、およびそれらの組み合わせを含む。比較的低い表面積であるアルファアルミナへの一般的に望まれない高温相遷移に対して、安定化するために、例えば、1つ以上の希土類元素金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物等のある添加物は、遷移アルミナ中に含まれ得る(安定化被膜の2〜10重量パーセントの量を通常含む)ことが知られている。例えば、1つ以上のランタン、セリウム、プラセオジム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、およびマグネシウムの酸化物は、安定剤として使用され得る。
【0071】
触媒部分酸化触媒の白金族金属触媒構成要素は、パラジウムおよび白金、ならびに任意で、1つ以上の他の白金族金属を含む。本明細書および特許請求項で使用されるように、「白金族金属」は、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、およびルテニウムを意味する。好適な白金族金属成分は、パラジウムおよび白金、ならびに任意でロジウムである。部分酸化のために所望される触媒は、少なくとも以下の性質の1つ以上を有するべきである。また、それらは、入口での酸化から出口での還元へと変化する条件下においても、効果的に作動可能であるべきである;それらは、効果的に、約427℃〜1315℃の温度範囲での有意な温度分解無しで、作動するべきである);それらは、一酸化炭素、オレフィン、および硫黄化合物の存在下において効果的に作動するべきである;それらは、H2Oとの炭素の反応を優先的に触媒すること等によって、低いレベルのコーキングを提供するべきであり、一酸化炭素および水素を形成し、それによって、触媒表面上に低いレベルの炭素のみを許容する;それらは、硫黄およびハロゲン化合物等のかかる一般的な毒物からの中毒に抵抗するべきである。例えば、幾つかのさもなければ好適な触媒において、一酸化炭素は、低温で触媒金属によって維持され得、それによってその活性を低下または修正する。白金およびパラジウムの組み合わせは、本発明の目的に対して、非常に効率的な酸化触媒である。一般的に、白金パラジウム組み合わせ触媒の触媒活性は、単にそれらのそれぞれの触媒活性の算術的組み合わせではない;白金およびパラジウムの割合の開示される範囲は、高温動作および触媒毒に対する優れた抵抗性を有する炭化水素供給口のかなりの広範囲を処置することにおいて、効率的かつ効果的な触媒活性を提供することが発見されている。
【0072】
ロジウムは、白金およびパラジウムと共に任意で含まれ得る。ある条件下で、ロジウムは、特に軽質オレフィンに対して、効果的酸化ならびに水蒸気改質触媒である。組み合わせられた白金族金属触媒は、触媒上で有意な炭素堆積無しで、H2O対炭素(供給口中の炭素の原子)および酸素対炭素のかなり低い比率で、自己熱反応を触媒することができる。この特性は、加工されるために、入口流中のH2O対CおよびO2対Cの比率の選択における可撓性を提供する。
【0073】
本発明の実施形態の触媒で用いられる白金族金属は、存在する他の白金族金属または金属、もしくは白金族金属の酸化物等の化合物等と共に、元素金属、合金、または金属間化合物等、いずれの好適な形成でも触媒組成物中に存在し得る。請求項で使用されるように、パラジウム、白金、および/またはロジウム「触媒構成要素」もしくは「触媒構成要素」という用語は、指定白金族金属またはいずれの好適な形成で存在する金属を包含することを意図する。一般的に、特許請求項および本明細書での白金族金属または金属触媒構成要素あるいは構成要素への言及は、いずれの好適な触媒形成で1つ以上の白金族金属を包含する。好適なCPO触媒は米国特許第4,522,894号で説明され、参照によって、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0074】
HC−SCR触媒
アルミナ支持体上に銀を備えるHC−SCR触媒は、一般的に本発明の排出処理システムに対して有用である。詳細な実施形態において、触媒は、アルミナの表面上で、「よく分散した」銀種を含有する。具体的な実施形態において、触媒は、実質的に金属銀および/または銀アルミンを含まない。
【0075】
触媒は、イオン銀とアルミナ支持体との含浸によって調製され得る。アルミナ支持体は、ベーマイト擬ベーマイト、ダイアスポア、ノードストランド石、バイエライト、ギブサイト、水酸化アルミナ、焼成アルミナ、およびそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されないいずれの好適なアルミナであり得る。例示的な銀アルミナ触媒は、アルミナ上で支持されたAg2Oベース上で、約3〜4重量パーセント(wt%)の銀を含む。一実施形態において、触媒は、高く水酸化されたアルミナ上で、イオン銀を置くことによって調製される。本明細書で使用されるように、用語「水酸化」は、それが得られる状態で、アルミナの表面が、アルミナにおいて高濃度の表面ヒドロキシル基を有することを意味する、例えば、表面に追加されるヒドロキシル基を有するベーマイト、擬ベーマイト、またはゼラチン状ベーマイト、ダイアスポア、ノードストランド石、バイエライト、ギブサイト、アルミナ、およびそれらの組み合わせである。擬ベーマイトおよびゼラチン状ベーマイトは、ダイアスポア、ノードストランド石、バイエライト、ギブサイト、およびベーマイトが一般的に結晶性として分類されるにもかかわらず、一般的に非晶質またはゼラチン状材料として分類される。本発明の1つ以上の実施形態に従って、水酸化アルミナは、式Al(OH)xyによって示され、式中、x=3−2yおよびy=0〜1またはその比である。それらの調製において、かかるアルミナは高温焼成の対象ではなく、多くの、または大抵の表面ヒドロキシル基を排除し得る。代替的実施形態において、アルミナは、ガンマ、デルタ、シータ、およびアルファアルミナ、ならびにそれらの組み合わせを提供する、高温焼成の対象であるタイプであり得る。
【0076】
アルミナと、酢酸銀、銀硝酸等の銀の水溶性、イオン形との含浸し、次いで、イオン銀浸透性アルミナを、銀を固定し、アニオンを分解(可能であれば)するのに十分に低い温度で、乾燥し焼成する。硝酸塩に対して典型的に、これは、直径約20nmより大きい銀粒子を実質的に有さないアルミナを提供するために、約450〜550セルシウス度である。ある実施形態において、銀の直径は10nmより小さく、他の実施形態において、銀は直径約2nmよりも小さい。1つ以上の実施形態において、加工は、銀が実質的にイオン形で存在し、紫外分光法によって、実質的に金属銀が存在しないと判定されるように、行われる。1つ以上の実施形態において、実質的に銀アルミンは存在しない。金属銀および銀アルミンの不在は、X線回折分析によって確認され得る。少量の水素および適切な炭化水素燃料種の存在において、触媒は、炭素質および硫黄種と共に置かれる時、まだ機能し得る。
【0077】
DOC触媒
酸化触媒は、未燃焼ガス状および不揮発性炭化水素(すなわち、VOF)、ならびに一酸化炭素の効果的な燃焼を提供するいずれの組成物からも形成され得る。加えて、酸化触媒は、NOx構成要素のかなりの割合のNOを、NO2に変換するのに効果的であるべきである。本明細書で使用されるように、用語「NOx構成要素のNOのNO2への実質的な変換」は、少なくとも20%を意味し、具体的に30〜60%である。これらの性質を有する触媒組成物は当技術分野では知られており、白金族金属および卑金属ベースの組成物を含む。触媒組成物は、耐火金属またはセラミック(例えば、コージライト)材料から形成されるハニカムフロースルーモノリス基材上に被膜され得る。代替的には、酸化触媒は、当技術分野ではよく知られている金属またはセラミックフォーム基材上に形成され得る。これらの酸化触媒は、それらが被膜される基材の特性により(例えば、オープンセルフォーム)、および/またはそれらの固有の酸化触媒活性の特性により、ある程度の粒子除去を提供する。酸化触媒は、強制再生の前に、フィルタ上の粒子質量の還元が潜在的に時間を延長するため、ウォールフローフィルタの上流の排気流から、幾つかの粒子状物質を除去し得る。
【0078】
排出処理システム中で使用され得る一具体的な酸化触媒組成物は、高表面積、ゼオライト構成要素(例えば、ベータゼオライト)と組み合される耐火酸化物支持体(例えば、γアルミナ)上に分散した白金族構成要素(例えば、白金、パラジウム、またはロジウム構成要素)を含有する。具体的な白金族金属成分は、白金およびパラジウムを含む。組成物が耐火酸化物基材、例えば、フロースルーハニカム基材上に配置される時、白金族金属の濃度は、典型的に約10〜150g/ft3である。具体的実施形態において、白金族金属は、典型的に約20g/ft3〜約130g/ft3、または約30g/ft3〜約120g/ft3、または約40g/ft3〜約110g/ft3、あるいは約50g/ft3〜約100g/ft3の範囲である。
他の詳細な実施形態において、白金族金属は、約10g/ft3、約20g/ft3、約30g/ft3、約40g/ft3、約50g/ft3、約60g/ft3、約70g/ft3、約80g/ft3、約90g/ft3、約100g/ft3、約110g/ft3or約120g/ft3より大きい濃度で存在する。さらに他の詳細な実施形態において、白金族金属は、約120g/ft3、約110g/ft3、約100g/ft3、約90g/ft3、約80g/ft3、約70g/ft3、約60g/ft3、約50g/ft3、約40g/ft3、または約30g/ft3より小さい濃度で存在する。さらに詳細な実施形態において、白金族金属濃度の範囲は、先で列挙された最小および最高濃度のいずれの組み合わせの間である。
【0079】
また、酸化触媒の形成における使用に対して好適である白金族金属ベースの組成物は、米国特許第5、100、632号(’632特許)にも記載され、参照によって本明細書に組み込まれる。’632特許は、白金族金属とアルカリ土類金属との原子比率は約1:250〜約1:1であり、具体的に約1:60〜約1:6であるマグネシウム酸化物、カルシウム酸化物、ストロンチウム酸化物、またはバリウム酸化物等の白金、パラジウム、ロジウム、およびルテニウム、ならびにアルカリ土類金属酸化物の金銅仏を有する組成物を説明する。
【0080】
また、酸化触媒に好適な触媒組成物は、卑金属を触媒剤として使用しても形成され得る。例えば、米国特許第5、491、120号(その開示は、参照によって本明細書に組み込まれる)は、少なくとも約10m2/gのBET表面積を有する触媒材料を含み、本質的に1つ以上のチタニア、ジルコニア、セリアジルコニア、シリカ、アルミナシリカ、およびα−アルミナであり得るバルク第2の金属酸化物から成る酸化触媒組成物を開示する。
【0081】
また、有用なものとして、米国特許第5,462,907号(’907特許、その開示は、参照によって本明細書に組み込まれる)で開示される触媒組成物である。’907特許は、少なくとも約10m2/gの表面積をそれぞれが有するセリアおよびアルミナ、例えば、約1.5:1〜1:1.5の重量比で、セリアおよび活性アルミナを含有する触媒材料を含む、組成物を教示する。任意で、白金は、COおよび未燃焼炭化水素の気相酸化を促進するのに効果的であるが、SO3へのSO2の過剰酸化を防ぐことを制限されている量において、’907特許で説明される組成物に含まれ得る。代替的には、いずれの所望の量のパラジウムも触媒材料に含まれ得る。
【0082】
NH3−SCR触媒
本発明の一実施形態において、本システムは、HC−SCR触媒の下流で、NH3−SCR触媒をさらに含み得る。NH3−SCR触媒は、本システム中で生成されるいずれのNH3を、環境に放出されることから防ぐこともできる。好適なNH3−SCR触媒は、尿素SCR適用において有用である、知られているSCR触媒のいずれでもあり得る。CHAX線結晶構造(例えば、Cu−CHA、Cu−SAPO)を有するモレキュラーシーブを含む、NH3−SCR触媒が用いられることは利点である。優れた水熱安定性および耐久性を示すCHA構造を有するこれらのモレキュラーシーブは、本発明において特に有用である。
【0083】
ガソリン希薄燃焼エンジン
上述の実施形態は、ディーゼルエンジンの下流にDOCおよびDPFを有するディーゼルエンジンに関するものであるが、本発明の1つ以上の実施形態に従うシステムが、ガソリン希薄燃焼エンジンにおいて使用され得ることが理解されよう。したがって、例示的システムは、図1に示されるタイプのシステムを含み、構成要素22と流体連通している希薄燃焼エンジンからし、それは、一酸化炭素および炭化水素を酸化するのに好適な触媒な触媒であり得る。ガソリンエンジンに対して好適な触媒の例は、三元触媒(TWC)である。優れた活性および長い寿命を示すTWC触媒は、高表面積、耐火酸化物支持体、例えば、高表面積アルミナ被膜上に設置される、1つ以上の白金族金属(例えば、白金またはパラジウム、ロジウム、ルテニウム、およびイリジウム)を含む。
【0084】
水素源
幾つかの代替的実施形態において、水素は、外部源または水素生成によって生成され得る。好適な水素源は、電解槽、プラズマ改質、熱分解装置、水蒸気改質器、圧縮ガス容器、および液化ガス容器を含むが、それらに限定されない。
【0085】
プロトン交換膜(PEM)等の電解槽は、自動車に搭載される水素を産生するために使用され得る。PEMは、水を水素および酸素分子に分裂し、それらは、次いで排気中に圧縮され、注入され得る。PEMシステムは、わずかな量の水がシステム中で維持されることを必要とする。
【0086】
プラズマ改質は、ガス状炭化水素を、ガソリン、ディーゼル燃料、メタン、エタン等の様に、水素に変換する。反応チャンバは、十分な燃料および空気で飽和され、プラズマが発火する。プラズマベースの反応は、水素放出をもたらす。水素放出は、触媒構成要素を用いて最適化され得る。
【0087】
熱分解装置は、燃料を分解、または熱分解し、水素および炭素酸化物種をもたらす。熱分解は、一般的に、効率的な変換に対して高温を必要とする。
【0088】
水蒸気改質器は、燃料を水と反応させることによって、水素を生成することができる。反応は発熱性であり、反応率の増加をもたらす。電気分解と同様、このタイプの水素注入器には、小型の搭載水源が必要とされる。
【実施例】
【0089】
排気中に存在する水素の降下を説明するために、別々の実験を、実験室規模反応器中で、エンジン熟成HC−SCR触媒試料を用いて行った。450ppmの炭素C1(ディーゼルとして)、150ppmのNO、5%のCO2、5%のH2O、10%のO2バランスN2を含有する模擬ディーゼル排気を、30,000hr-1で、エンジン熟成HC−SCR触媒試料の入口部分から採取されるコア試料に導入した。評価を、500℃〜260℃の触媒入口温度の下方斜面を用いて行った。HC−SCR触媒試料は、モノリス触媒を含有する銀であった。銀硝酸の1M溶液を、脱イオン水を使用して調製した。得られた溶液を、光源から離れた暗色のボトル中に貯蔵した。様々な支持体の利用可能な細孔容積を、初期の湿気が達成されるまで混合すると同時に、裸支持体を水で滴定することによって判定した。これは、支持体のグラム当たりの液体容積をもたらした。最終標的Ag2Oレベルおよび利用可能である支持体のグラム当たりの容積を使用して、必要とされるIM AgNO3溶液の量を算出した。必要である場合、液体の総容積が、支持体試料を初期の湿気まで含浸するために必要とされる量と等しいように、DI水を銀溶液に添加した。必要とされるAgNO3溶液の量が支持体の細孔容積を超過する場合、次いで、複数の含浸を行った。
【0090】
適切なAgNO3溶液を、混合しながら、支持体に徐々に添加した。初期の湿気が達成された後、得られた固体を、90℃で16時間乾燥し、次いで540℃で2時間焼成した。また、触媒を、任意で、少なくとも典型的に約650℃で約16時間にわたって、空気中約10%の流れの流れる流れにさらした。
【0091】
触媒を、上述のように、商業的に利用可能な擬ベーマイト(Sasolによって産生されるCatapal.RTM.C1、270m2/g、0.41cc/gの細孔容積、6.1nmの平均細孔径、北米)およびベーマイト(P200(Sasolから)、100m2/g、0.47cc/gの細孔容積、17.9nmの平均細孔径)アルミナ支持体を使用して、調製した。各アルミナを、終了した触媒の銀含有量が、Ag2Oベースで約3重量%であるまで加工した。平方インチ当たり約300セルを有するモノリスを、アルミナを用いてウォッシュコートを施し、約2g/in3の充填をもたらす。HC−SCR触媒を、エンジン排気システム中に立体配置で、DOC/DPFの前に設置し、50時間にわたってエンジンで熟成した。熟成の間、数々の燃料燃焼サイクルを、DOC/DPFの再生を模擬実験するために用いた。
【0092】
NOx変換の結果は図13に示される。いずれの処置も行うことなく、受容したままの状態のエンジン熟成試料は、評価された全ての温度範囲において、約20%のNOx変換を示す。触媒は、1000ppmのH2が模擬排気中に導入される時、500℃で10%より優れたNOx変換、400℃で20%より優れたNOx変換、および300℃で50%より優れたNOx変換を示す。排気中の水素の存在は、非常に非活性化触媒のNOx性能を大幅に強化する。
【0093】
本発明は、好ましい実施形態に重点を置いて説明したが、好ましい装置および方法の変形形態が使用されてもよく、本発明が、本明細書で具体的に説明されるものとは別の方法でも実践され得ることが意図されることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明は、以下の特許請求項の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に包含される全ての修正を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希薄燃焼エンジンからの排気流中のNOx削減のための排出処理システムであって、
前記エンジン排気流と流体連通している主排気管と、前記主排気管と流体連通している炭化水素選択的触媒還元触媒(HC−SCR)と、
前記主排気管に接続されたスリップ排気流管であって、前記スリップ排気流管と流体連通している触媒部分酸化(CPO)触媒を流過するスリップ排気流を提供するために、前記主排気管からの前記排気流の一部を前記スリップ排気流管中に迂回させるための第1の接合部と、前記スリップ排気流を前記HC−SCRの上流で前記主排気管に再導入するための、前記第1の接合部の下流の第2の接合部と、によって、前記主排気管から分岐したスリップ排気流管と、
前記CPO触媒の上流の炭化水素注入器であって、前記CPO触媒は、炭化水素の一部を一酸化炭素および水素に変換するのに有効な炭化水素注入器と、を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記CPO触媒は、前記下流のHC−SCR触媒に対して、十分な水素および適切な量の炭化水素を提供するように設計される、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項3】
前記炭化水素注入装置は、前記スリップ排気流管中に注入された炭化水素の量を制御するように適合された計量装置を含む、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項4】
前記スリップ排気流管の前記第1の接合部で、前記スリップ排気流管に迂回する排気ガスのパーセンテージを調節するための、計量装置をさらに含む、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項5】
前記CPO触媒は、白金、パラジウム、ロジウム、およびそれらの混合物から選択される白金族金属を含有する、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項6】
前記HC−SCR触媒の上流または下流にディーゼル微粒子フィルタ(DPF)をさらに備えている請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項7】
前記ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)は、前記主排気管と流体連通している前記第1の接合部と第2の接合部との間に設置されている、請求項6に記載の排出処理システム。
【請求項8】
前記DPFおよびHC−SCR触媒の上流にディーゼル酸化触媒(DOC)をさらに備えている、請求項6または7に記載の排出処理システム。
【請求項9】
前記ディーゼル酸化触媒(DOC)が、前記主排気管と流体連通している前記第1の接合部の下流に設置されている、請求項8に記載の排出処理システム。
【請求項10】
前記DOCおよびDPFは、単一の構成要素中に統合されている、請求項9に記載の排出処理システム。
【請求項11】
前記HC−SCR触媒の下流にNH3−SCR触媒をさらに備えている、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項12】
前記HC−SCR触媒の下流に酸化触媒をさらに備えている、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項13】
排気流を処置する方法であって、
前記排気流を主排気管に通過させ、前記排気流の一部をスリップ排気流管に通過させる工程を含み、前記主排気管は、炭化水素選択的触媒還元触媒(HC−SCR)を備え、前記スリップ排気流管は、触媒部分酸化(CPO)触媒を備え、前記スリップ排気流管は、第1の接合部で前記主排気管から分岐し、かつ前記CPO触媒と流体連通しており、前記スリップ排気流管は、前記HC−SCRの上流の第2の接合部で、前記主排気管と再接合し、炭化水素注入器が前記CPO触媒の上流にあり、前記CPO触媒は、前記炭化水素の一部を一酸化炭素および水素に変換するように適合されていることを特徴とする方法。
【請求項14】
排気流を処置する方法であって、前記排気流を、請求項2〜12のいずれかに記載のシステムに通過させることを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−522930(P2012−522930A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503647(P2012−503647)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/029334
【国際公開番号】WO2010/114876
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(507276151)ビーエーエスエフ コーポレーション (47)
【住所又は居所原語表記】100 Campus Drive, Florham Park, NJ 07932, USA
【Fターム(参考)】