説明

帯状部材の成形方法

【課題】成形帯状部材のスプライスラップ量を適正にし、作業者による帯状部材の切断長さ調整の削減を図る帯状部材の成形方法を提案する。
【解決手段】成形ドラム26に巻き付けた帯状部材21のスプライスラップ量をスプライスセンサにより測定し、この測定値をフィードバックして次の帯状部材21の切断長さを決定し、帯状部材21が搭載されたコンベアベルト24を適量移動させて、ベルトコンベア24上に設置された切断機23で帯状部材21を切断する。切断帯状部材25はベルトコンベア24から成形ドラム26に巻き付けられる。実測したスプライスラップ量は平均化されて、その平均値が補正規格内か否かの判定を行い、補正規格内であれば、補正せずに直前の帯状部材21と同じ長さで帯状部材21が切断され、補正規格外であれば、平均化されたスプライス量により帯状部材21の長さを補正して次の帯状部材21の切断長さを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のタイヤの製造における帯状部材を成形ドラムに巻き付けて作製する成形帯状部材の成形方法、特に帯状部材スプライスセンサによる帯状部材長さフィードバック制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車用のラジアルタイヤとして用いられる空気入りタイヤの製造において、インナーライナーやカーカス部材等の帯状のベルト部材(以下、帯状部材)を成形ドラムに巻き付け、未加硫タイヤの一部を成形する工程がある。この工程において、帯状部材をベルトコンベアによって搬送し、ベルトコンベア上で所定長さ(たとえば、成形ドラムの円周長さ+α)に切断した帯状部材(以下、切断帯状部材)を成形ドラムに巻きつけて、切断帯状部材を貼着する。ベルトコンベアと成形ドラム表面との距離の変動、成形ドラム回転速度とベルトコンベアの送り速度との比率の変動などから、切断成形部材を巻き付ける際にオフセンター(中心ずれ)、蛇行やスプライスずれが発生する。この結果、成形スプライスラップ量が良品適正値から外れるという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために幾つかの方法が提案されている。たとえば、成形ドラムに巻き付けた切断帯状部材の両端部接合状態を変位センサにより検出し、成形ドラムの回転速度と供給ベルトコンベアの送り量をそれぞれ制御して、次の切断帯状部材の先端部および後端部を矯正ガイド装置により位置補正するという方法(特許文献1)や、成形ドラムに巻き付けられた切断帯状部材の厚さを測定し、測定した切断帯状部材の厚さ、成形ドラムの外径および所定のスプライス量に基づいて次に成形ドラムに巻き付ける帯状部材の長さを算出して、その算出した長さになるように次の帯状部材を切断するという方法(特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−084849
【特許文献2】特開2005−288941
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1における方法では、切断帯状部材を引張りながら貼るかまたは弛ませながら貼る状態となるので、材料を変形させないで補正できる範囲に限界がある。また切断帯状部材を引張たり弛ませたりする機構を備えた矯正ガイド装置を別途設置する必要があるので、装置が大きくなり装置費用もかなり大きくなるという問題もある。特許文献2における方法では、切断する帯状部材の長さの算出にあらかじめ設定されたスプライス量基準値を用いるだけで、実際のスプライス量測定値は適正なスプライス量か否かの判定に使用するのみでその測定値をもとにして切断長さを修正する機能は含まれていないので、スプライス量の補正が確実に行われるかの保証がないという問題がある。そこで、現在実際に現場で用いられている成形スプライスラップ量を補正する方法は、成形ドラムに巻き付いた帯状部材の成形スプライスラップ量を測定して、その測定値が適正かどうかを判定して、良品適正値から外れた場合は、警報アラームを発信して成形ドラムを一時停止させて、作業者がスプライスの手直しを行うとともに、帯状部材の切断長さについて設定値の微調整を行っている。この結果、良品適正値から外れた場合は作業効率が悪くなり、装置稼働率も低い。さらにランニングコストが高くなり製品コストを下げることができないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、帯状部材の適正な切断長さを自動的に調整し良品適正値から外れることがない切断帯状部材を得ることである。ベルトコンベアにより移送された切断帯状部材を成形ドラムに巻き付けた状態で、成形ドラム上に巻かれた切断帯状部材のスプライスラップ量をスプライス量検出センサ(ベルトスプライスセンサ)により測定する。このスプライスラップ量について直前の複数の測定データに基づき、次に切断する帯状部材の長さを補正する。
【発明の効果】
【0007】
切断帯状部材の成形後のスプライスラップ量を直接次の帯状部材の切断長さにフィードバックしているので、スプライスラップ量を常に良品適正値に補正することができ、不良品を作製しないようにすることができる。しかも、直前の値だけでなく、直前の適当な数のスプライスラップ量の測定データを用いているので、突発的な異常データによる問題を防止できる。その結果、作業者によるスプライスの手直しやマニュアルで行っていた帯状部材の切断長さ調整の削減を図ることができるので、製品の大幅なコスト削減を実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、帯状部材の成形ドラムへの巻き付け動作を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の製造方法を示す模式図である。
【図3】図3は、成形帯状部材のスプライス部におけるスプライスラップ量の説明図である。
【図4】図4は、本発明の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、ベルトコンベアにより運ばれた切断帯状部材が成形ドラムで成形する様子を模式図で示したものである。図1(a)に示すように、ベルトコンベア12上で適当な長さに切断された切断帯状部材11が成形ドラム13に巻き付けられる。切断帯状部材11を成形ドラム13に巻き付けるときは、切断帯状部材11を搬送するベルトコンベア12を上昇させるなどして、切断帯状部材11の先端側を成形ドラム13の外周面に接触させて切断帯状部材11を成形ドラム13に巻き付ける。従って、ベルトコンベア12の切断帯状部材11の送り速度と成形ドラムの回転速度との関係により、切断帯状部材11の張り具合が異なってくるので、スプライスラップ量に影響を与える。切断帯状部材11が成形ドラム13に一周して巻き付けられた後、切断帯状部材11の両端が重ねられて貼着される。帯状部材11が重なって貼着された部分がスプライス部分であり、この長さSがスプライスラップ量(或いは、単にスプライス量とも言う)である。本発明においては、スプライスラップ量をスプライス量検出センサ14により測定する。(スプライス量検出センサを以下、スプライスセンサまたは単にセンサと呼ぶ。)
【0010】
スプライスセンサ14は成形ドラム13に巻き付けられた切断帯状部材11の重なり部分を測定してその重なり量を計測できるセンサ(検出器)であればどのようなものでも良い。たとえば、成形ドラム10の周面所定位置に対向するように配置されたレーザー変位計でも良く、このレーザー変位計はスプライス部分の段差を検知することにより、その周方向の長さをスプライス量として検出する。或いは、画像認識センサでも良く、この画像認識センサはカメラでスプライス部分を認識しその重なり部分であるスプライス量を画像処理により検出する。上記のレーザー変位計および画像認識センサは非接触であるが、接触式のセンサでも良い。たとえば、スプライス部の段差を接触針または接触ローラー等で測定してスプライス量を検出できるセンサでも良い。
【0011】
本発明は、成形ドラムに巻き付けた切断帯状部材のスプライスラップ量を測定して、その測定値を基にしてデータをフィードバックして次の帯状部材の切断長さを決定するものであり、図2および図3を用いて本発明を詳細に説明する。図2は、帯状部材を搬送するコンベアベルト装置および切断帯状部材を成形する成形ドラム装置へどのようにフィードバックを行うかを説明する模式図である。ベルトコンベア22に搭載される搬送用ベルト24は所定の長さLを有する切断帯状部材25を搬送して、成形ドラム26へ切断帯状部材25を移送していく。切断帯状部材25が成形ドラム26へ近付くとベルトコンベア22の先端部が成形ドラム26に接近して(或いは、成形ドラム26がベルトコンベア22の先端部へ近付いて)、ベルトコンベア22から成形ドラム26へ切断帯状部材25が移送される。
【0012】
切断帯状部材は成形ドラム26へ巻かれて成形され、図1において説明した様に、切断帯状部材の両端部がスプライスされ成形帯状部材27が作製される。このスプライスされた部分スプライス部の成形帯状部材27両端部の重なり量(スプライスラップ量)Sをセンサ28を用いて計測する。この計測データを成形機制御コンピュータ31へ送り、コンピュータ31でデータ処理をした後、適正な補正量を決定する。この補正量情報により、コンベアベルト24の適正送り移動量をコンピュータ31からサーボモータ32に指令を出す。(このようなコンピュータとしてPLC(プログラマブルコントローラ)などがある。)コンベアベルト24上には切断前の帯状部材21が待機しており、前記指令によりサーボボモータ32が回転しコンベアベルトが適度に移動し帯状部材を前方へ送り出す。コンピュータ31からの指令に基づいた移動量だけ移動した帯状部材21は、切断機23により裁断され、適正な長さの切断帯状部材25を得る。本発明においては、この繰り返しにより常に直前のスプライスラップ量がフィードバックされ、次の帯状部材の切断長さが決定される。
【0013】
以上のように本発明においては、連続した帯状部材を適度な長さに切断する切断機を搭載した帯状部材の搬送用ベルトコンベア装置は、成形ドラムに巻き付けつけた切断帯状部材のスプライスラップ量の測定値をフィードバックして帯状部材の切断長さを決定する機構を有している。この機構は、たとえば上述した様に、得られたスプライスラップ量データを処理する成形機制御コンピュータおよびこのコンピュータから指令を受けて決定された帯状部材の切断長さを用いて帯状部材が搭載されたコンベアベルトを一定量移動させるサーボモータである。このような機構を有することにより、目標とする情報がフィードバックされ適正長さの切断帯状部材を得ることができ、その結果、適正なスプライスラップ量を実現できる。
【0014】
スプライスラップ量を用いた補正方法について一例を示す。ある時点のスプライスラップ量の測定値をSiとする。サーボモータの送り出し量から算出した当該切断帯状部材25の長さをLiとする。その前のn個の計測データを用いて補正を行う。その時までのスプライスラップ量n個の平均値TnはΣSi/n(i=1〜n)であり、切断帯状部材の長さの平均値MnはΣLi/n(i=1〜n)である。次の(n+1番目)のデータSn+1を得てそれまでのn個の平均値を求めると、Tn+1はΣSi/n(i=2〜n+1)となる。このTn+1が正常な範囲内であれば、補正をしない。Tn+1が正常範囲から外れたら、補正を行う。スプライスラップ量のネライ値(基準値)をS0、下限をSg、上限をSuとする。Tn+1がSg〜Suの外側に出たら補正をかけてネライ値S0に戻す。すなわち、直前までの切断帯状部材25の長さの平均Mn+1(=ΣLi/n(i=2〜n+1)に対して次の切断帯状部材25の長さLn+2をMn+1+(S0−Tn+1)とする。
【0015】
或いは、切断帯状部材25の長さについては直前の長さLn+1を用いて次の切断帯状部材25の長さLn+2をLn+1+(S0−Tn+1)とする。このように直前のデータだけでなく、それ以前の連続したn個のデータの平均を取っているので、突発的な異常値の影響を避けることができる。特にスプライスラップ量の値だけではなく、(最初の方式においては)帯状部材の切断長さに関してもそれまでの平均を取っていることが重要である。尚、上記のスプライス量Siは切断帯状部材の重なり長さであり、その重なり長さが帯状部材の幅方向に一定であると仮定している。また、Tn+1が正常な範囲内であっても、次の帯状部材の切断長さLn+2をΣLi/n(i=2〜n+1)としてそれまでのn個の切断部材の長さの平均値で切断する方法もある。このように常に平均化された長さを用いて帯状部材を切断することにより、正常範囲から外れる確率が小さくなるとともに、突発異常も少なくなる。本発明においては、成形制御コンピュータ31により、サーボモータを通してベルトコンベア22上のコンベアベルト24の送り量を制御しているので、毎回送り量を変化させることが可能となっている。
【0016】
最初の切断帯状部材は目標長さとなるように帯状部材を切断するが、n個のスプライスラップ量のデータが蓄積するまでは、その都度データ処理を行ってフィードバックしていく。すなわち、2回目からp回目(p<n)までは、やはりp回目までのスプライスラップ量の平均Tp(=ΣSi/p(i=1〜p))がSg〜Suの範囲外なら補正を行う。補正後の帯状部材の切断長さは、Mp(=ΣLi/p(i=1〜p))として、Mp+(S0−Tp)とする。n個のデータを用いていないので、補正精度は悪くなるが、何も補正しないよりはかなり良い結果となる。データ量nの値は、帯状部材の材質、コンベアベルトの送り出し量のバラツキ、成形ドラムへ巻き付いた帯状部材の周囲長さのバラツキ、成形ドラムの回転速度のバラツキ、環境条件の変動やデータの蓄積度などによって決定される。
【0017】
帯状部材の切断部分は、図2に示すように帯状部材の幅方向に対して一定角度で傾いている。この斜めになった部分が重なりスプライスされる。この重なり部分の長さをここではスプライス量Sと呼ぶが、このスプライス量Sは、幅方向(切断方向)に対して理想的には一定の長さが望ましいが、実際には同じ長さとはならない。図3は、切断帯状部材のスプライス部分の平面的な模式図で、本発明におけるスプライス量Sの算出方法について説明する図である。図3(a)において、切断帯状部材31の一端31−a(外形を実線で示す)および他端31−b(外形を破線で示す)が重なって接合している。センサを用いてスプライス部分の外側の重なり長さa、cおよびスプライス部分の中心部の重なり長さbを測定できる。ここでSを切断帯状部分の中心部の重なり長さで代表させた場合は、S=bとなる。重なり部分の両側の長さから、S=(a+b)/2とすることもできる。重なり部分が必ずしも台形状にはならないので、さらに、S=(a+b+c)/3とすれば、かなり精度良くスプライスラップ量(長さ)を定義できる。図3(b)は、センサにより重なり部分の面積Kを求め、これよりスプライス量(長さ)をS=K/d(dは切断帯状部分の幅)と定義することもできる。本発明においては、種々のセンサを用いてスプライス量を選択できる。
【0018】
別の補正方法の一例を以下に示す。変位センサ等によるスプライス量の測定値は連続値として計測されるものであるから、上記においては連続的な値として補正される例を示した。しかし、タイヤに用いられる帯状部材はそれほど細かく補正せず、離散的に補正しても良い。たとえば、スプライスラップ量をワイヤラップの本数で考える。ワイヤラップ0本=0mm、0.5本=5mm、1本=10mm、・・・のスプライスラップ量とする。また帯状材料がオープンして(開いて)いる方も規定できる。オープン0.5本=−5mm、1本=10mm、・・・のオープン量とする。ワイヤラップ量0〜0.5本=0〜5mm=A、0.5本〜1.0本=5mm〜10mm=B、1.0本〜1.5本=10mm〜15mm=C、1.5本〜2.0本=15mm〜20mm=D、2.0本〜2.5本=20mm〜25mm=E、・・・とする。また、オープン側について、オープン量0〜0.5本=0〜−5mm=a、0.5本〜1.0本=−5mm〜−10mm=b、・・・とする。センサによって得られるスプライスラップ量データは連続数値であるから、このセンサによる測定データをA、B、・・・またはa、b、・・・として離散的(或いはデジタル的)に分類して平均化する。その平均値が適正値かどうか判定して(たとえば、平均値がDならネライ値通りであり、平均値がCまたはEなら規格内として、それ以外は補正対象とする)適正値から外れたら補正する。補正も離散的に行い、1本分ずれていれば、次の切断長さにおいて1本分(10mm)補正する。たとえば、平均値がBであれば、BとDとの差は1.0本分であるから、1本分(10mm)の補正を行う。このように離散的(或いは、デジタル的)に補正しても、種々の要因による(材質、コンベアベルトの送り出し量のバラツキ、成形ドラムの周囲長さのバラツキ、成形ドラムの回転速度のバラツキや環境条件の変動などによる)バラツキを考えれば、大きな問題はない。変位センサや画像認識センサでは連続的な値が得られても、特にコンベアベルトの送り量はデジタル式の方が制御しやすいので、離散的方法の方がメリット大である場合も多い。本発明においては、成形機制御コンピュータを用いているので、得られたデータに対して種々の処理が可能である。
【0019】
補正の方法は他にも種々の方法があり、規格値からはずれなくても毎回補正をかける方法もある。その補正値もそれまでのデータの平均値や或いは偏差値を含んで補正する方法もある。成形帯状部材が正常に作製されているかどうかを確認する重要な手段は、スプライスラップ量が正常な値を有しているかどうかを知ることである。本発明の重要な点は、常に計測された成形帯状部材のスプライス量を常に計測するとともに、そのスプライス量をフィードバックして、そのスプライスラップ量が正常値になるように帯状部材の切断長さをコントロールしていることである。
【0020】
図4は、本発明のスプライスラップ量のフィードバック制御方式に関するフローチャートである。成形ドラムに切断帯状部材を巻き付ける。(<1>)巻き付けられた切断帯状部材のスプライス部の重なり量(ラップ量)を変位センサ等のセンサ(ラップ量計測装置)により測定する。(<2>)このラップ量情報をコンピュータに取り込む。(<3>)n個のデータを取りこんでその平均値を計算し、そのデータを用いて帯状部材の切断長さを適正にするためにコンベアベルト(検尺コンベアベルト)における帯状部材の送り量の補正値を設定する。(<4>)コンベアベルトにおけるこの補正値により補正した帯状部材の送り量情報をベルトコンベア装置に送り、コンベアベルトを用いて指令された送り量だけ帯状部材を送り、切断装置により補正された長さで帯状部材を切断する。(<5>)この切断された切断帯状部材を成形ドラムに送る。(<1>)以上のフローにより、スプライス量の実測値を反映した適切な長さを有する切断帯状部材により精度のよいスプライスラップ量を持つ成形帯状部材が作製される。
【0021】
上記のフローにおける<3>および<4>のプロセスがフィードバック制御プロセスであり、このフィードバック制御プロセスにより、常に新鮮なスプライスラップ量のデータが処理され帯状部材の切断長さに反映されるので、スプライスラップ量が規格(装置を一時ストップして手直しするかどうかの規格で、前述の自動的に補正をするかどうかの補正範囲とは異なる。この手直し規格は当然補正範囲より広い。)を外れることを殆どなくすことができる。仮に規格から外れた場合には、図4のフローチャートに示されているように、スプライスラップ量の手直しを行うので、この切断帯状部材が不良品になることはない。また、手直しした成形製品は再びスプライス部のラップ量測定を行い、データとしてフィードバックシステムへ送られる。尚、判定における規格は上述したスプライスラップ量の補正値範囲Sg(下限値)およびSu(上限値)より広くなっているので、手直しが入ることは殆どなく、自動的に上記のフローが繰り返されていき。従って、人件費も大幅に削減でき、装置稼働率も大幅に向上する。この結果、製品の大幅なコストダウンが可能となる。
【0022】
尚、本発明のセンサは、インナーライナーやカーカス等のタイヤ用ゴムシート等の帯状部材に限定されず、導電体を埋設した絶縁シートやシート状部材などにおいても適用することができる。本発明のセンサは大きさの制限はないので、測定対象の帯状部材によって大きさを変更して製造することも容易である。また、上述の説明において、1つの実施例において記載した内容であって他の実施例において記載しなかった内容であっても、お互いに矛盾なく適用できるものに関しても、当該実施例において適用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、タイヤ用ゴムシート等の帯状部材の製造に適用できる。
【符号の説明】
【0024】
11 切断帯状部材、12 ベルトコンベア、13 成形ドラム、
14 スプライスセンサ、21 帯状部材、22 ベルトコンベア、23 切断機、
24 コンベアベルト、25 切断帯状部材、26 成形ドラム、27 成形帯状部材、28 センサ、31 コンピュータ、32 サーボモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの製造に用いられる帯状部材を成形ドラムに巻き付ける工程、
巻き付けた帯状部材のスプライス部をセンサにより計測しスプライスラップ量を測定する工程、
前記スプライスラップ量のデータを用いて次の帯状部材の切断長さを調整する工程、
前記調整された長さで次の帯状部材を切断する工程、および
前記切断された帯状部材を成形ドラムに送る工程、
を含むことを特徴とする帯状部材の成形方法。
【請求項2】
帯状部材の切断長さを調整する工程において、複数のスプライスラップ量データの平均値を用いて次の帯状部材の切断長さを調整することを特徴とする、請求項1に記載の帯状部材の成形方法。
【請求項3】
前記スプライスラップ量のデータを用いて次の帯状部材の切断長さを調整する工程の後に、前記調整した帯状部材の切断長さに応じて帯状部材を搬送するコンベアベルトを移動する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の帯状部材の成形方法。
【請求項4】
コンベアベルトの移動は、サーボモータ駆動によって前記調整した帯状部材の切断長さに応じたコンベアベルト送り量にて行うことを特徴とする、請求項3に記載の帯状部材の成形方法。
【請求項5】
スプライスラップ量実測値の平均値(Tn)が規格値から外れたときに、「切断帯状部材長さの平均値+(スプライスラップ量ネライ値−Tn)」を次の帯状部材の切断長さとしてフィードバックして補正することを特徴とする、請求項1〜4に記載の帯状部材の成形方法。
【請求項6】
成形ドラムに巻き付けつけた切断帯状部材のスプライスラップ量の測定値をフィードバックして帯状部材の切断長さを決定する機構を有する切断機を搭載した帯状部材の搬送用ベルトコンベア装置。
【請求項7】
決定された帯状部材の切断長さを用いてサーボモータによりコンベアベルトを一定量移動させて帯状部材を切断する請求項6に記載の搬送用ベルトコンベア装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−213024(P2011−213024A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84669(P2010−84669)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】