説明

帯電防止特性を有する光学デバイス

第一光学部材と、第二光学部材と、第一光学部材と第二光学部材との間に配置される帯電防止層と、を有する光学デバイスであり、ここで、帯電防止層は、アニオンを有する少なくとも一種の重合性オニウム塩と少なくとも一種の非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーとを含む混合物の反応生成物を含有する、光学デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた帯電防止特性及び光学性能を呈する光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
光透過を管理及び変更するために構造化表面フィルム、微小球層又は多層光学構造体を採用する様々な光学デバイスが、既知である。
【0003】
このようなデバイスは、一般に、ディスプレイにより作製される画像の鮮明さを向上させるために、並びに、選択された輝度を生じさせるのに必要とされる電力消費を低減させるために、組立体として又は組立体の中で使用される。このような組立体は、一般に、コンピュータ、テレビ、ビデオレコーダ、移動通信デバイス及び車両機器ディスプレイなどのような装置の中で使用される。
【0004】
輝度上昇フィルム及びこのようなフィルムを含む光学組立体の代表例は、米国特許第5,161,041号(Abileah)、同第5,771,328号(Wortmanら)、同第5,828,488号(Ouderkirkら)、同第5,919,551号(Cobbら)、同第6,277,471号(Tang)、同第6,280,063号(Fong)、同第6,354,709号(Campbellら)、同第6,581,286号(Campbellら)、同第6,759,113号(Tang)、同第7,269,327号(Tang)及び同第7,269,328号(Tang)に開示されている。
【0005】
光学組立体は、典型的には、別々に得られた若しくは製造された2つ以上の層又はフィルムを所望の構成で、積層又は結合することにより、組み立てられる。例えば、一時的ライナーを除去する、包装する、所望の位置に配置するなどといった、このようなフィルムの取り扱い及び結合の過程で、静電荷が生成される恐れがある。このような電荷は、例えば、フィルムを望ましくない具合にべったりくっつきあったり、構造体に塵埃を引き寄せるなどして、フィルムの取り扱い特性に干渉する恐れがある。したがって、光学構造体での静電気の生成及び蓄積を防止するための工程を取ることが、典型的には好ましい。
【0006】
例えば、光学フィルム上に薄膜金属層を付着させることが知られている。しかしながら、複合体(例えば、凹凸機構から形成される表面を有する多くの光学フィルム構造体)表面上に必要な金属膜を提供すること、並びに、望ましくない具合に構造体の光学性能を損なうことなく及び望ましくない具合に組立体の光学特性に影響を与え得るようなフィルムなどの構造体に依存することなくそれを行うことは、困難である。米国特許第6,577,358号(Arakawaら)は、光学構造体内に導電性微粒子を含有する樹脂層の組み込みを開示している。このような構造体内の導電性粒子は、曇りを付与し、これにより、構造体の光学性能を損なう傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
優れた帯電防止特性及び光学性能を呈する改善された構造体が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、別格の帯電防止性能を呈する層を組み込む、新規光学デバイスを提供する。
【0009】
簡単に要約すると、本発明の典型的実施形態は、第一光学部材と、第二光学部材と、第一光学部材と第二光学部材との間に配置される帯電防止層と、を備える光学デバイスであり、ここで、帯電防止層は、少なくとも一種の重合性オニウム塩と少なくとも一種の非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーとを含む混合物の反応生成物を含む。帯電防止層は、デバイスの光路内の2つの光学部材の中間に配置される。一部の実施形態では、帯電防止層は、光学部材のいずれか又は両方に固定され得る。このような実施形態では、帯電防止層は、光学部材に直接固定されてもよく、あるいは、介在層を通して固定されてもよい。他の実施形態では、帯電防止層は、いずれの光学部材とも直接接触しない。
【0010】
本発明の光学デバイスは、例えば、光学利得が高いなどの優れた光学性能と、静電気減衰時間の短さにより証明される良好な帯電防止性能と、を含む、驚くべき性能の組み合わせを呈することができる。本発明は、様々な光学部材の選択及び使用を許容し、所望の光学性能のために構成された光学デバイスの便利で対費用効果に優れた組み立てを許容する、容易な組み立てを促進する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明について、図面を参照して更に説明することにする。
【図1】本発明の代表的実施形態の略図。
【図2】本発明の別の代表的実施形態の概略断面図。
【図3】本発明の更に別の代表的実施形態の概略断面図。
【0012】
これらの図は一定の縮尺ではなく、また、単に説明のためのものであって非限定的なものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特に記載のない限り、全ての量は、重量%で表される。本明細書で表現される全ての数量は、「約」又は「およそ」といった修飾句が付くものと理解される。本発明の光学デバイスは、静電気拡散性であり、5キロボルトの電圧を好ましくは5秒未満、より好ましくは2秒未満、更により好ましくは1秒未満、最も好ましくは0.1秒未満にわたって印加する条件下で、デバイスの前面に印加された静電荷の90%を10秒未満のうちに消散する。使用される試験は、試験方法の項目に記載される。
【0014】
「光路」は、デバイスの前面への入射光が反射、屈折、透過ないしは別の方法で光学デバイスの部材を通過する経路を指す。本明細書で使用するとき、「前」は、光学デバイス、あるいは、使用中、所望の光管理のためにそこに光を入射させるべく提示される光学デバイスの構成部材の表面を指す。
【0015】
帯電防止層のこの強い静電気拡散性能及び他の有利な特性の点で、本発明は、様々な光学デバイスを作製するために使用することができる。
【0016】
光学デバイス又は光学積層体の「光学利得」は、光学積層体を有さない同一の光学又はディスプレイシステムの軸方向の出力輝度に対する、光学積層体を有する光学又はディスプレイシステムの軸方向の出力輝度の比率として定義される。
【0017】
光学デバイス
本発明の光学構造体は、典型的には、第一光学部材と、第二光学部材と、デバイスの光路内の第一光学部材と第二光学部材との間に配置される帯電防止層と、を備え、ここで、帯電防止層は、有機フッ素アニオンを有する重合性オニウム塩を少なくとも一種と、非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーを少なくとも一種含む。
【0018】
実施形態に依存して、(1)第一光学部材、第二光学部材及び帯電防止層は、互いに直接(又は接着剤などのような介在接続層を伴って)接触して配置されてもよく、(2)帯電防止層は、第一光学部材又は第二光学部材のいずれかと直接(又は接着剤などのような介在接続層と伴って)接触し、互いからある程度の画定された距離で離間して配置されてもよく、あるいは(3)帯電防止層と第一光学部材の間及び帯電防止層と第二光学部材の間に画定された距離又は間隙が存在してもよい。
【0019】
本発明の代表的実施形態の概略は図1に示されており、光学デバイス10は、第一光学部材12と、第二光学部材14と、これらの間に帯電防止層16と、を備える。この実施形態では、帯電防止層16は、第一光学部材12と第二光学部材14の両方と直接接触している。意図されている用途では、光は光線18により示されているように前面20に入射し、入射するとすぐに光は光学デバイス10により所望されるように操作される。
【0020】
本発明の別の代表的実施形態の略図は図2に示され、ここで、光学デバイス210は、第一光学部材212と、第二光学部材214と、追加の接着層224により第一光学部材212の背面222に接着された帯電防止層216と、を備える。デバイス210は、所望の光学性能を達成するために所望される光学的に有効な配置で第一光学部材212と第二光学部材214とを支持する追加のフレーム226を更に含む。
【0021】
本発明の更に別の代表的実施形態の略図は図3に示されており、ここで、光学デバイス310は、第一光学部材312と、第二光学部材314と、これらの光学部材の間にどちらの光学部材にも接触せずに存在し、追加のフレーム326により所望の光学的に有効な配置で支持されている光学部材帯電防止層316と、を備える。
【0022】
当業者であれば、好適な接着剤、もしあればフレーム構成要素、並びにもしあれば本発明による光学デバイスの他の構成要素を容易に選択することができるであろう。
【0023】
本発明の光学デバイスで使用するための光学部材は、得られるデバイスの所望される光学性能に一部依存して、当業者により容易に選択することができる。本明細書で使用される光学フィルムは、例えば、ポリエステル系フィルムと称される場合もある、ポリエステルの実質的に平坦なシートなどの単層部材、あるいは、より特殊化した光学性能を提供する複雑に形成された構造特性を備える多層組立体であってもよい。例えば、第一光学部材及び第二光学部材は、独立して、光学ベースフィルム、多層光学フィルム、拡散反射偏光フィルム、プリズム状輝度上昇フィルム、プリズム状光学構造の配列、レンズ状光学構造の配列及びビーズ利得拡散フィルムからなる群から選択されてもよい。
【0024】
一部の実施形態では、光学部材の一方又は両方は、個別に、反射性偏光子(例えば、反射率を変える規則正しく繰り返す層を有するいわゆる多層光学フィルム又は「MOF」)、輝度上昇フィルム及び拡散反射偏光フィルム(様々な反射率の領域を持つ多層構造を有する「DRPF」と称される場合もある)からなる群から選択される。反応性偏光子の一代表例は、3M Company(St.Paul,MN)から市販され、米国特許第7,345,137号(Hebrinkら)に記載されているVIKUITI(商標)Dual Brightness Enhancement Film II(DBEF−II)である。好適なプリズム状輝度上昇フィルム(「BEF」と称される場合もある)も3Mから市販されており、例えば、米国特許第5,771,328号(Wortman et al.)、同第6,280,063号(Fong)及び同第6,354,709号(Campbellら)並びに米国特許出願公開第20090017256号(Huntら)に記載されている。光学部材として使用できる拡散反射偏光フィルムの代表例としては、米国特許第5,825,543号(Ouderkirkら)に開示されているものが挙げられる。本明細書での使用に好適な市販の光学フィルムの代表例としては、VIKUITI(商標)Dual Brightness Enhanced Film(DBEF)、VIKUITI(商標)Brightness Enhanced Film(BEF)、VIKUITI(商標)Diffuse Reflective Polarizer Film(DRPF)、VIKUITI(商標)Enhanced Specular Reflector(ESR)及びVIKUITI(商標)Advanced Polarizing Film(APF)が挙げられ、全て3M Companyから入手可能である。
【0025】
米国特許第5,175,030号及び同第5,183,597号(どちらもLuら)に記載のように、微細構造保有物品(例えば輝度上昇フィルム)は、(a)重合性組成物を調製する工程と、(b)マスターのキャビティーを満たすのにかろうじて十分な量でマスターネガ微細構造化成形表面上に重合性組成物を付着させる工程と、(c)予備成形されたベース(PETフィルムなど)とマスター(少なくとも一方は可撓性である)との間で重合性組成物のビーズを移動させることによりキャビティーを満たす工程と、(d)組成物を硬化させる工程と、を含む方法により作製可能である。マスターは、ニッケル、ニッケルメッキした銅若しくは黄銅のような金属製であってもよく、又は重合条件下で安定であって、好ましくは重合した材料をマスターからきれいに取り出すことができる表面エネルギーを有する、熱可塑性材料であってもよい。
【0026】
有用なベース材料としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ナフタレンジカルボン酸系コポリマー又はブレンド、ポリシクロオレフィン、ポリイミド、及びガラスが挙げられる。所望により、ベース材料には、これらの材料の混合物又は組み合わせを含有させることができる。更に、ベースは多層であってもよいし、又は連続相の中に懸濁又は分散した分散成分を含有してもよい。
【0027】
輝度上昇フィルムなどの微細構造保有製品の場合、好ましいベース材料の例には、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリカーボネートが挙げられる。有用なPETフィルムの例としては、フォトグレードのポリエチレンテレフタレート及びMELINEX(商標)PET(DuPont Teijin Films(Hopewell,VA)から入手可能)が挙げられる。
【0028】
いくつかのベース材料は、光学的に活性であり得、偏光材料として機能することができる。フィルムを通る光の偏光は、例えば通過光を選択的に吸収する二色偏光子を、フィルム材料に包含させることにより実現され得る。光の偏光はまた、配列雲母チップのような無機材料を組み込むことによって、又は、不連続相を連続フィルム中に分散させることによって(連続フィルム中に光変調液晶の液滴を分散させるなど)実現させることができる。代替手段として、異なる材料の微細層から偏光フィルムを調製することができる。フィルム内の材料は、例えば、フィルムの延伸、電場又は磁場の印加、及びコーティング技術のような方法を用いることによって、偏光配向に揃えることができる。
【0029】
偏光フィルムの例としては、米国特許第5,825,543号及び同第5,783,120号(両方ともOuderkirkら)に記載のものが挙げられる。これらの偏光フィルムを輝度上昇フィルムと組み合わせて使用することが米国特許第6,111,696号(Allenら)に記載されている。ベースとして使用できる偏光フィルムの他の例は、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)に記載のフィルムである。
【0030】
有用な基材としては、全て3M Companyから入手可能なVIKUITI(商標)Dual Brightness Enhancement Film(DBEF)、VIKUITI(商標)Brightness Enhancement Film(BEF)、VIKUITI(商標)Diffuse Reflective Polarizer Film(DRPF)、VIKUITI(商標)Enhanced Specular Reflector(ESR)及びVIKUITI(商標)Advanced Polarizing Film(APF)として市場に出ている市販の光学フィルムが挙げられる。
【0031】
ベースへの光学部材の付着を促進するために、ベースフィルム材料の1つ以上の表面に、場合により下地処理又は他の処理を施すことができる。ポリエステルベースフィルム層に特に好適なプライマーとしては、米国特許第5,427,835号(Morrisonら)に記載されているようなスルホポリエステルプライマーが挙げられる。プライマー層の厚さは、典型的には少なくとも20nmであり、一般的には、300nm以下から400nm以下である。
【0032】
光学部材は、任意の多数の有用なパターンを有することができる。これらのパターンには、規則的又は不規則的なプリズムパターンを含む。そのようなプリズムパターンは環状プリズムパターン、キューブコーナーパターン又は任意のその他のレンズ状微細構造であり得る。有用な微細構造は、輝度上昇フィルムとして使用するための全内部反射フィルムとして機能し得る、規則的プリズムパターンである。別の有用な微細構造は、反射フィルムとして使用するための再帰反射フィルム又は素子として作用できるコーナーキューブプリズムパターンである。別の有用な微細構造は、光学ディスプレイに使用するための光学回転フィルム又は光学回転素子として機能し得るプリズムパターンである。
【0033】
重合化された微細構造化表面を有する1つの好ましい光学フィルムは、輝度上昇フィルムである。輝度上昇フィルムは、一般に、照明装置の軸上の輝き(本明細書で「輝度」と呼ばれる)を増強する。微細構造のトポグラフィーは、フィルム表面上に複数のプリズムがあるものであってよく、その結果、このフィルムの使用により、反射及び屈折を通じて光を転送することができる。プリズムの高さは1〜75マイクロメートルの範囲であるが、この範囲外の構造ももちろん使用することができる。ラップトップコンピュータ、時計などに見られるような光学ディスプレイ中で使用される場合、微細構造光学フィルムは、ディスプレイから散逸する光を、光学ディスプレイを貫通する垂直軸から所望の角度で配置される一対の平面内に制限することによって、光学ディスプレイの輝度を増大させることができる。結果として、許容範囲の外側に発散するはずだった光は、反射してディスプレイ内へ戻り、この光の一部は「再利用」され、ディスプレイから発散することのできる角度で微細構造フィルムに戻ることになる。この再利用は、ディスプレイに所望の輝度レベルを提供するために必要とされる電力消費量を低減することができることから、有用である。
【0034】
輝度上昇フィルムの微細構造化光学部材は、一般に、フィルムの長さ又は幅に沿って伸びる複数の平行な長手方向隆起部を含む。これらの隆起部は、複数個のプリズム先端から形成され得る。各プリズムは、第一ファセット及び第二ファセットを有する。プリズムは、プリズムが形成されている第一表面及び実質的に平ら又は平面でありかつ第一表面に対向する第二表面を有する、ベースの上に形成されている。直角プリズムとは、その頂角が、典型的には90°であることを意味する。しかしながら、この角度は、70°〜120°の範囲であってもよく、80°〜100°の範囲であってもよい。これらの先端は、先鋭形、丸形、又は平坦形若しくは切頭形とすることができる。例えば、隆起部は4〜7〜15マイクロメートルの範囲の半径に丸めることができる。プリズム頂点間の間隔(又はピッチ)は、5〜300マイクロメートルであることができる。プリズムは、米国特許第7,074,463号(Jonesら)に記載のもののように種々のパターンに調製することができる。
【0035】
輝度上昇フィルムの構造のピッチは、典型的には1ミリメートル以下、より好ましくは10マイクロメートル〜100マイクロメートル、更により好ましくは24マイクロメートル〜50マイクロメートルである。50マイクロメートルのピッチは、きわめて良好に機能することが判明している。好ましいピッチは、液晶ディスプレイのピクセルピッチ又はフィルムの一部の他の光学用途のパラメータに部分的に依存する。プリズムピッチは、モアレ干渉を最小化するのを補助するよう選択すべきである。
【0036】
薄い輝度上昇フィルムを使用する本発明の光学デバイスでは、ピッチは、好ましくは10〜36マイクロメートル、より好ましくは17〜24マイクロメートルである。これは、好ましくは5〜18マイクロメートル、より好ましくは9〜12マイクロメートルのプリズム高さに相当する。プリズムファセットは同一である必要はなく、プリズムは互いに関して傾斜していてもよい。光学物品の全厚とプリズム高さとの関係は、変化してもよい。しかし、典型的には、輪郭のはっきりしたプリズムファセットを備えた比較的薄い光学部材を使用することが望ましい。ほぼ1ミル(20〜35マイクロメートル)の厚さを有する基材上の薄い輝度上昇フィルムの場合、全厚に対するプリズム高さの典型的な比率は、一般に、0.2〜0.4である。他の実施形態では、より厚いBEF材が使用され、例えば、BEF材は50マイクロメートルピッチ及び25マイクロメートル厚さを有する。
【0037】
当業者であれば理解するように、本発明の光学デバイスは、上記代表例以外の他の種類の光学部材、あるいは、MOF、BEF又はDRPF材の他の実施形態を使用して作製してもよい。
【0038】
本明細書に記載の帯電防止構造体は、帯電防止剤を含む重合性樹脂組成物の重合反応生成物を含む。
【0039】
様々な帯電防止剤が(「実施例」に記載の試験方法に従って測定したとき)2〜10秒の静電気減衰時間を提供することができるが、特定の種類及び量の帯電防止剤のみが2秒未満の静電気減衰時間を提供できることが判明した。好ましい帯電防止剤は、2、1又は0.1秒以下の静電気減衰時間を提供する。
【0040】
微細構造又は微細構造化部材が帯電防止層上に配置され、帯電防止層が光透過性(例えば、ポリエステル)フィルム又は多層光学フィルムなどのベース層上に配置されている実施形態では、帯電防止層内の帯電防止剤の種類及び量も、重合性樹脂中のこれらの存在がベースフィルム層又は微細構造若しくは微細構造化部材との重合帯電防止層の接着を損なわないように選択される。このようにして得られる構造体全体は、(「実施例」に記載の試験方法に従って測定したとき)ベースフィルム層の少なくとも80%、85%又は90%に対してクロスハッチ引き剥がし粘着力を呈する。最も好ましい実施形態では、クロスハッチ粘着力は、95〜100%である。
【0041】
帯電防止層
帯電防止層は、アニオンを有する重合性オニウム塩を少なくとも一種と、非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーを少なくとも一種との、反応生成物を含む。
【0042】
好適なオニウム塩は、アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ピリジニウム塩及びイミダゾリウム塩からなる群から選択することができる。
【0043】
本発明での使用に好ましいオニウム塩は、下式を有する:
(Ra−b[(CHDR (I)
式中、
各Rは、独立して、アルキル、脂環式、アリール、アルカリ環式、アルカリール、脂環式アルキル、アラリサイクリック(aralicyclic)又は脂環式アリール部分を含み、ここで、このような部分は、例えば、窒素、酸素又はイオウなどのヘテロ原子を1個以上含んでもよく、あるいは、リン又はハロゲンを含んでもよく(それゆえに有機フッ素性であり得る)、Rは環式又は芳香族であってもよく、環内にGを含んでもよく、
Gは窒素、イオウ又はリンであり、
Gがイオウである場合にはaは3であり、Gが窒素又はリンである場合にはaは4であり、
Gがイオウである場合にはbは1〜3の整数であり、Gが窒素又はリンである場合にはbは1〜4の整数であり、
qは1〜4の整数であり、
Dは、酸素、イオウ又はNRであり、ここで、RはH又は炭素原子数1〜4個の低級アルキルであり、
は(メタ)アクリルであり、
は、アニオン、好ましくは有機アニオン、より好ましくは有機フッ素アニオンである。
【0044】
本開示を通して、「アクリル」の任意の誘導体の前での「(メタ)」の使用は、「アクリル又はメタアクリル」を意味するものとして理解される。
【0045】
一部の実施形態では、Gが環内に含まれる場合、オニウム塩は下式のうちの1つを有する:
【0046】
【化1】

【0047】
オニウム塩は、層中に、1〜99%、好ましくは10〜60%、より好ましくは30〜50%の重量百分率で存在し得る。アクリル官能性オニウムは、より速く強力な硬化を呈することからメタクリルオニウムよりも好ましい。
【0048】
本明細書で有用なアニオンの代表例としては、アルキル硫酸塩、メタンスルホン酸塩、トシル酸塩、有機フッ素化合物、無機フッ素化合物及びハロゲン化物が挙げられる。
【0049】
最も好ましくは、アニオンは、フッ素化学アニオンである。本明細書での使用に好適な有機フッ素アニオンとしては、米国特許第6,924,329号(Klunら)の8段2〜65行に記載のものが挙げられる。有機フッ素イオンは、非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーとのオニウム塩の、より大きな溶解度特性及び適合性を提供する。これは、良好な透明性、並びに、得られる層の多電防止性能を向上できる良好なイオン移動度を有する層を提供する上で重要である。一部の代表例としては、−C(SOCF、−OSCF、−OSC及び−N(SOCFが挙げられる。入手性及びコストに起因して、多くの場合以下のものが好ましい:−OSCF、−OSC及び−N(SOCF。典型的には、一部の代替物よりも広範囲の溶解度を提供し、これを含有する組成物の調製及び使用を容易にすることから、−N(SOCFが最も好ましい。
【0050】
非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーは、光学フィルムの性能の鍵である。これらは、オニウム塩と共に、フィルムの静電気減衰、その曇り及び透明度、その凝集強度並びにその層間接着などの帯電防止光学フィルムの鍵となる特性を制御する。
【0051】
オニウム塩、重合性シリコーン及び/又はペルフルオロポリエーテル内容物、並びにもしあれば他の構成要素は、これらが混合され重合して透明なフィルムを形成するという点で、相溶性であるべきである。
【0052】
一部の実施形態では、帯電防止層は、以下の方法により光学層上に形成される:(1)(a)上記に記載のような少なくとも一種の重合性オニウム塩と、(b)上記に記載のような少なくとも一種の非オニウム重合性シリコーン又はペルフルオロポリエーテル部分含有モノマー、オリゴマー又はポリマーと、(c)少なくとも一種の非シリコーン、非ペルフルオロエーテルモノマー、オリゴマー又はポリマーと、を含む液体コーティング組成物を提供すること、(2)光学層の表面に液体コーティング組成物を適用すること、並びに(3)液体コーティング組成物をその場で硬化させて、光学層の表面上に帯電防止層を形成すること。他の実施形態では、帯電防止層は、例えば、ポリエステルフィルムといった、基材フィルムの一方の側の上に形成され、その反対側は続いて光学フィルムの表面上に配置され、例えば、積層により又は接着剤で接着され、あるいは、機械的手段で適所に保持される。
【0053】
本明細書に開示される「実施例」は、帯電防止層のT及び本発明の光学デバイスにより呈される静電気減衰に関するデータを提供する。
【0054】
硬化した帯電防止層のTは、好ましくは50℃未満、より好ましくは40℃未満、更により好ましくは30℃未満、更により好ましくは20℃未満、更により好ましくは10℃未満、最も好ましくは0℃未満である。この理論に束縛されるものではないが、イオン移動度は所望の帯電防止性を提供するのに必要とされると考えられる。
【0055】
非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーは、加工及びコーティングに適合している透明で均質な溶液を提供すべく、オニウム塩と相溶性であるように注意深く選択されなければならない。意図されるコーティング配合物が有意に非相溶性である場合には、構成要素は2つの液相に階層化してしまうか、又は固体沈殿を形成して混合物をコーティングプロセスにおいて操作するのに不適切なものにしてしまうか、並びに/又は、曇り及び不均一な硬化済みコーティングを生じてしまうかする可能性がある。
【0056】
帯電防止層用の材料の選択は、層が密着している場合に、第一光学部材及び第二光学部材に対する帯電防止層の接着に影響する。この接着要件は、特に光学ディスプレイフィルムにおいて重大であり、この構造体は、光学部材と介在する帯電防止コーティングとの間に接着不良を生じることなくバックライト産業の耐久要件を持ちこたえる必要がある。
【0057】
非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーは、硬化した帯電防止層の十分な凝集強度を有する層を提供するために注意深く選択しなければならない。凝集強度は、上記のように仕上がった光学構造体の耐久性のために重要なだけでなく、帯電防止配合物のコーティング及び硬化の成功にとっても決定的である。例えば、選択される帯電防止配合物を、微細組織の造成のための成形型に対して流延して硬化させる場合には、複製表面からの硬化コーティングの有効で包括的な剥離は、コーティングの凝集強度に強く依存する。これは特に、電荷減衰の割増及び更なる帯電防止性能が必要とされる、Tがより低い(機械的に軟らかい)配合物に対しての課題である。
【0058】
有用な非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーとしては、例えば、以下からなる群から選択されるポリ(メタ)アクリルモノマーを挙げてもよい:
(a)モノ(メタ)アクリル含有化合物、例えば、フェノキシエチルアクリレート、エトキシル化フェノキシエチルアクリレート、2−エトキシエトキシエチルアクリレート、エトキシル化テトラヒドロフルフラールアクリレート及びカプロラクトンアクリレート;
(b)ジ(メタ)アクリル含有化合物、例えば、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレートモノメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、アルコキシル化脂肪族30ジアクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオール26ジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(3)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレート、ヒドロキシピバラルデヒド変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコール10ジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート;
(c)トリ(メタ)アクリル含有化合物、例えば、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化トリアクリレート(例えば、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート)、プロポキシル化トリアクリレート(例えば、プロポキシル化(3)グリセリル15トリアクリレート、プロポキシル化(5.5)グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート)、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート;
(d)高官能価の(メタ)アクリル含有化合物、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、カプロラクトン20変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;
(e)オリゴマーの(メタ)アクリル含有化合物、例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート;以上のポリアクリルアミド類似体;並びに
(f)これらの組み合わせ。
【0059】
このような化合物は、例えば、Sartomer Company(Exton,Pennsylvania)、UCB Chemicals Corporation(Smyrna,Georgia)、Cytec Corporation(Smyrna,Georgia)、Cognis Performance Chemicals UK(South Hampton,UK)及びAldrich Chemical Company(Milwaukee,Wisconsin)などの業者から広く入手可能である。追加の有用な(メタ)アクリレート材料には、例えば、米国特許第4,262,072号(Wendlingら)に記載されているようなヒダントイン部分含有ポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0060】
オニウム塩及び重合性非オニウム内容物は、これらが混合され及び重合して透明なフィルムを形成する点で、相溶性であるべきである。
【0061】
多くの用途では、得られる硬化コーティング層の少なくとも一表面が完全に滑らかではなく、むしろ微細組織化された表面及び/又は艶消し仕上げを有するように、本発明の帯電防止コーティングを適用することが有益であり得る。このように、帯電防止層はまた、例えば、引っかき傷などの物理的欠陥、並びに、モアレ及び色斑などの望ましくない光学効果を光学マスキング及び/又は除去するといった、追加的な目的を果たし得る。
【0062】
このような表面を製造する一方法は、微細構造化成形型に対合させて帯電防止層を成形することを伴う。代表例は、PCT出願番号第US2010/036018号(Aronsonら)及び第US2010/045118号(Yapelら)に開示されている。成形型の中に機械加工された微細構造は、成形型に対して流延された最終硬化コーティングの表面上に複製される。
【0063】
微細構造は、特定の用途において望ましい任意の種類の微細構造であってよい。特定の場合では、微細構造はくぼみ又は凹部であってもよい。特定の場合では、微細構造は突起部であってもよい。特定の場合では、微細構造は規則的なパターンを形成する。特定の場合では、微細構造は不規則なパターンを形成する。特定の場合では、微細構造は一見ランダムに見える疑似ランダムパターンを形成する。一般的に、微細構造は任意の高さ及び任意の高さの分布を有し得る。
【0064】
PCT公開番号第US2010/036018号及び第US2010/045118号に開示されているように、所与の用途に有用な特定の利点は、ある閾値寸法よりも大きな勾配規模を有する非平坦な表面の部分を制御することにより、及び/あるいは、微細構造が、ある閾値以下である半値半幅(HWHM)を有する勾配分布を有する又はその値がある好ましい範囲にあるように微細構造を制御することにより、得ることができる。
【0065】
このような表面を製造する別の方法は、PCT出願番号第WO2009/079275号(Aronsonら)に教示されているように、成形型上で微細構造を成形するために金属の電着にかける、成形型に対合させて帯電防止層を成形することを伴う。成形型は、電着前にその上に一部の既に機械加工された微細構造を有してもよく、有さなくてもよい。この付着プロセスは、成形型上に隆起領域を作製し、これが今度は、成形型に対して流延された硬化コーティングにおいてくぼみを作製する。
【0066】
くぼみの形状及び寸法は、ロール成形型上に電気メッキされた金属のタイプに依存して様々である。くぼみの形状及び寸法は、ロール上にメッキされた金属構造の形状及び寸法の逆である。このような形状としては、孔、半球、「輪郭がギザギザの」谷部分、「クレータ」及びカリフラワ表面に似たものが挙げられる。くぼみは互いの内側に重なり合ってもよく、あるいは互いに離れていてもよい。くぼみの寸法すなわち最大直径の範囲は、これらの最大直径にて0.5マイクロメートル〜125マイクロメートルであり得る。典型的な範囲は、0.5〜15マイクロメートルである。くぼみの面積の範囲は、0.01〜1100平方マイクロメートルであり得る。深さの範囲は、0.2〜20マイクロメートルであり得る。
【0067】
微細構造化表面上にくぼみを形成するために、一実施形態では、微細構造化ロールを電気メッキプロセスにかける。金属は、ロールの微細構造化表面上に不均一に融合し、突起を形成する。光学フィルムの微細構造化表面は、ロールの微細構造化表面に関して孔又は縦穴などを複製する。電気メッキプロセスを介して微細構造化ロール上に付着した金属構造の寸法及び密度は、電流密度、ロール面速度及びメッキ時間により決定される。電気メッキプロセスで使用される金属塩のタイプは、付着した金属構造の形状を決定し、これにより、微細構造化表面上のくぼみの形状を決定する。微細構造化ロール上に付着する金属構造の位置及び付着は、ランダムである。
【0068】
このような表面を製造する更に別の方法は、米国特許出願公開第2009/0029054号(Yapelら)に教示されているように模様がコーティング上に単純に押し付けられ、その場で硬化できるようなやり方で、円滑に適用された後、コーティングを硬化させるプロセスを取り扱うことを伴う。
【0069】
基材上に配置されたコーティング可能な材料を含むコーティングされた基材は、コーティングされた材料の粘度を初期粘度から第二粘度へ変化させ、次に、コーティングの表面を少なくとも一つの表面側のローラーに接触させ、艶消し仕上げを付与し、コーティング可能な材料を場合により更に硬化させて仕上げコーティングフィルムを提供するようなやり方で、処理される。
【0070】
コーティング可能な材料は、基材上に適用(例えば、コーティング)されて、コーティングされた表面を提供する。コーティング可能な材料は、基材上を運ばれ、処理されて、コーティング可能な材料の粘度を第一又は初期粘度から第二粘度に変化させる。一部の実施形態では、第一粘度は第二粘度よりも低く、そのため、コーティング可能な材料は、増粘又は部分的に硬化させることにより変化する。一部の実施形態では、コーティング可能な材料は、第二粘度よりも高い初期粘度を有してもよく、そのため、コーティング可能な材料の粘度を変化させることは、コーティング可能な材料の少なくともいくらかの軟化を必要とし得る。コーティング可能な材料の粘度が一度第二粘度になると、その後、材料は、表面側の圧力にかけられて、その上に艶消し仕上げを付与する。艶消し仕上げにより、コーティング可能な材料は、場合により、更に硬化、硬質化又は固体化し得、得られるフィルムは、例えば、切断ステーションなどの別の加工ステーション又は巻き上げロールに運ばれ得る。高価な成形型は、艶消し仕上げを付与するのに必要とされない。
【0071】
このような表面を製造する更に別の方法は、その基材に適用されるコーティング中にビーズを包含させることを伴う。多相コーティングは、表面のコーティング中に又はコーティングのバルク内に組み込まれた不混和性材料、例えば、コーティング中のポリメチルメタクリレートビーズなどの粒子の同伴から生じる艶消し表面構造を有することができる。一部の実施形態では、コーティングのバルクとは異なる屈折率を有する粒子を、艶消し表面の生成を必要とせずに所望の曇り特性を付与するために、使用することができる。有用な粒子は任意の形状を有してもよいが、典型的に好ましい粒子形状は、多くの場合、球形又は楕円形ビーズの形状である。好ましい粒径は、通常、0.1マイクロメートル〜20マイクロメートルの平均直径である。粒子は、コーティングと適合する任意の材料から製造することができる。粒子に好適な材料の一部の代表例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリシリコーン及びシリカが挙げられる。有用な粒子は、ガンツ化成株式会社、積水化成品工業株式会社及び綜研化学株式会社(全て日本)から入手することができる。
【0072】
帯電防止層に表面微細構造又は艶消し仕上げを提供するこれらの方法は、光学デバイス中で色斑又はカラーバンディングを低減するのに特に有効であり得る。これは、微細構造化表面又は艶消し仕上げを有する帯電防止層が続いて別の光学フィルム、特にマイクロプリズム層で上からコーティングされる場合に、特に当てはまる。
【0073】
米国特許出願公開第2007/0115407号(Richardら)は、カラーバンディングの問題、並びに、例えば、本発明の硬化した帯電防止層上の微細構造化表面又は艶消し仕上げにより提供されるカラーバンディングを除去する上での光拡散の役割について述べている。
【実施例】
【0074】
本発明は、以下の実施例を参照しながら更に説明されるが、ここで、特に示さない限り、量は重量部で表される。
【0075】
試験方法
実施例では以下の方法を使用した。
【0076】
帯電防止性能についての電荷減衰:平均静電荷減衰は、以下の方法を使用して、フィルムサンプルについて決定した。試験材料のシートを12cm×15cmサンプルに切り出し、23℃〜27℃の公称室温(「RT」)にて44%〜50%の相対湿度(「RH」)で少なくとも12時間にわたって状態調整した。ETS(商標)Model 406D Static Decay Test Unit(Electro−Tech Systems,Inc.(Glenside,PA)製)を用い、Federal Test Method Standard 10113,Method 4046,「Antistatic Properties of Materials」として以前は知られていたMIL−STD 3010,Method 4046に従う12時間の前条件付けで使用したものと同じ温度及び湿度条件下にて静電荷拡散時間を測定した。この装置を使用して、高圧(5000ボルト)を用い、平坦な試験材料の表面上に初期静電荷(平均誘導静電荷)を誘導し、電場計を使用して、電荷減衰を観察した。5000ボルト誘導の付加により誘導された実際の電荷を記録した。次に、電荷が初期誘導電荷の10パーセントに減衰するのに必要とされた時間を記録した。これが静電荷拡散時間である。静電荷拡散時間が短いほど、試験材料の帯電防止性能は良好である。本明細書内の静電荷拡散時間の全報告値は、少なくとも6個の別個の測定値の平均(平均電荷減衰)を取ることで決定した。これらの測定値のうちの少なくとも3個は正の+5kV印加電圧を用いて測定したものであり、これらの測定値のうちの少なくとも3個は負の−5kV印加電圧を用いて測定したものである。試験したサンプルが誘導された5kV電位の少なくとも80%(すなわち、4000ボルト)の電荷を受容しなかった場合、帯電防止性であるとはみなさず、表記「wnc」(荷電しない)を割り当てた。
【0077】
ガラス転移温度の示差走査熱量測定:帯電防止コーティング配合物の硬化した試料についてのガラス転移温度(T)を、モデルQ100 Differential Scanning Calorimeter(TA Instruments,Inc.(New Castle,DE)製)を用いて、測定した。20ミリグラムの硬化済みコーティング材料をスタンダードDSCサンプルパンの中に入れ、パンを圧着して閉じた。試料を圧着したパンの中に装填したままQ100装置の測定セルの中に移し、下記の調整温度スキャンプロトコルでサーモグラムを記録した:まず、試料を素早く−50℃に冷却し、等温条件下で5分にわたって保持して、熱流を安定化させた。次に、試料を0.5℃の重畳振幅変調及び60秒の振幅期間で2.5℃/分の全体発熱率にて最終温度100℃までスキャンした。熱流の可逆的構成要素を装置により記録し、TA Instrumentsにより供給されているソフトウェアを使用して、可逆的な熱流サーモグラムに見られるようなガラス転移に関連する特徴的な変曲の中点としてTを決定した。
【0078】
本明細書に詳細を記すような若干の修正を加えたASTM D3359−02を用いて、接着についてのクロスハッチ剥離(「CHP」)測定:ベースフィルムに対するBEFプリズムコート及び帯電防止アンダーコートの接着力を測定した。まず、選択された試験領域内の試料コーティングに、クロスハッチパターンで刻みをつけた。次に、接着テープを試験領域に接着させた。最後にテープを試験領域から指定された方法で剥離した。試料からのクロスハッチに刻まれたコーティングの除去範囲に基づいて、接着力を評価した。試料を刻むデバイスは、平行な配列で調整された6つの鋭利な刻み刃を有し、刃と刃はおよそ1mmの等間隔であった。1000グラムのおもりを適用した刻みデバイスを試験領域全体に引いた。2つの積層されたコーティングを貫通させるのに妥当なものとしてこの力を選択し、その結果、各刃は少なくともコーティングの下に位置するフィルムの表面まで貫通し、おそらくわずかにフィルムを超えて及びフィルムの中にまで貫通した。6つの刻み線を2〜3インチ(5〜7.5cm)の長さでBEFプリズム軸に対して45度の角度にて適用した。次に、同様の長さでの刻みを第一刻み方向とほぼ直交するように行って、第二刻みがBEFプリズム軸に対して(−)45度の角度になるように、クロスハッチを形成した。これにより、5×5列の刻まれた正方形が25mmの最終クロスハッチ面積で提供された。クロスハッチ正方形の1本の対角線は、BEFプリズム軸に平行に位置した。次に、一片の3M(商標)#610テープ(高粘着性、ゴム樹脂接着剤を有するセロハンテープ)を手で、テープの長軸がBEFプリズム軸と一致するように試験領域に適用した。軟らかいプラスチックスキージでしっかりと手で圧を加えて、テープを試験試料上にしっかりと押し付けた。次に、試験試料を3〜4分にわたって何もせずに放置して、接着が安定状態になるようにした。次に、テープを手により可能な限り素早くかつ力強く除去し、その結果、テープ末端は、コーティングされた表面に垂直な方向でまっすぐ引き上げられた。接着力の評価は、以下のランキングシステムに従って、テープ剥離後にクロスハッチ面積がどれだけ除去された(テープ接着に移動した)かに基づいた。
【0079】
【表1】

【0080】
この試験プロトコルでは、クロスハッチ接着力を所与の材料について四回測定し、この四回の剥離試験の各々について決定したランキングの平均として性能を報告した。操作者による変異の可能性を取り除くために、同じ操作者が、本明細書に報告された全てのクロスハッチ接着試験を行った。
【0081】
材料
以下の市販製品及び材料を実施例及び比較例に使用した:
CD 9087(一官能性アクリレート):Sartomer Company,Inc.(Exton,PA)からのエトキシル化(3)フェノールアクリレート;
CD 9088(一官能性アクリレート):Sartomer Company,Inc.からのエトキシル化(6)フェノールアクリレート;
EBECRYL(商標)110(一官能性アクリレート):Cytec Surface Specialties Inc.(Smyrna,GA)からのエトキシル化(2)フェノールアクリレート;
EBECRYL(商標)8402(多官能性アクリレート):Cytec Surface Specialties Inc.からの脂肪族ウレタンジアクリレート;
現在はBASF Group(Florham Park,NJ)の一部であるCiba Specialty ChemicalsからのIRGACURE(商標)819光開始剤;
SR 339(一官能性アクリレート):Sartomer Company,Inc.からの2−フェノキシエチルアクリレート;
SR 494(多官能性アクリレート):Sartomer Company,Inc.からのエトキシル化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート;
SR 9035(多官能性アクリレート):Sartomer Company,Inc.からのエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート;
Ciba(Suffolk,VA)からのAGEFLEX(商標)FA1Q80MC500(N−アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、すなわち、(CHNCHCHOC(O)CH=CHCl)、水中80%固形分;
CibaからのAGEFLEX(商標)FM2PTZ(N−メタクリロイルオキシエチル−N,N,−ジエチルアミン、すなわち、(CHCHNCHCHOC(O)C(CH)=CH);
CibaからのAGEFLEX(商標)FA 1(ジメチルアミノエチルアクリレート)、CIBAから;
3M Companyからの3M(商標)FLUORAD(商標)HQ−115(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、Li+−N(SOCF);
3Mからのリチウムノナフルオロブタンスルホネート;
3Mからのリチウムトリフルオロメタンスルホネート;
DayChem Laboratories(Vandalia,OH)からからのトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン、HC(SOCF
J.T.Bakerからの水酸化リチウム一水和物;
Aldrichからの水酸化リチウム一水和物;
Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI)からの、BHT(すなわち、2,6−ジ−tert−ブチル−4メチルフェノール)、硫酸ジメチル、ヘキサデシルブロミド、N−(ヒドロキシエチル)−N,N,−ジエチルアミン(CHCHNCHCHOH)、N−(ヒドロキシエチル)−N,N,−ジブチルアミン(CHCHCHCHNCHCHOH)、フェノチアジン、メトキシヒドロキノン(MEHQ)及びアクリロイルクロリド;並びに
EMD Chemicals(Gibbstown,NJ)からのトリエチルアミン、メチルt−ブチルエーテル(「MTBE」)、アセトン、無水硫酸マグネシウム及びジクロロメタン。
【0082】
実施例で使用される様々な重合性オニウム材料は、以下のように調製した。
【0083】
(CHNCHCHOC(O)CH=CH+−N(SOCF、すなわち、アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(本明細書ではPOS−1と呼ぶ)の調製:オーバーヘッドスターラーを備えた秤量済み5L三口丸底フラスコに1486g(水中79.1%固形分、6.069mol)のAGEFLEX(商標)FA1Q80MC500を充填し、内容物を40℃に加熱した。フラスコに1分にわたって2177.33g(水中80%固形分、6.069mol)のHQ−115を加え、その後、597.6gの脱イオン水を加えた。1時間にわたって撹拌した後、反応物を分液漏斗に移し、下の有機層(2688.7g)を反応フラスコに戻し、40℃にて30分にわたって1486gの脱イオン水で洗浄した。下層(2656.5g)を再び水層から分離して、オーバーヘッドスターラー及びスチルヘッド及びエアバブラーを備えた乾燥5L三口丸底フラスコに配置した。フラスコに2000gのアセトンを加え、反応物をエアスパージしながら大気圧にて6時間にわたって蒸留して、生成物を共沸乾燥し、2591gの透明な液体を生じ、これをゆっくりと固体に結晶化させた。
【0084】
(CHCHN(CH)CHCHOC(O)CH=CH+−N(SOCF、すなわち、アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(本明細書ではPOS−2と呼ぶ)の調製:オーバーヘッドスターラーを備えた5L三口丸底フラスコに500g(4.24mol)のN−(ヒドロキシエチル)−N,N−ジエチルアミン、1329gのt−ブチルメチルエーテル及び0.046gのフェノチアジンを入れ、イソプロパノール−水−ドライアイス浴で−4℃に冷却した。次に、2つの滴下漏斗を介して、同時にほぼ等モル速度で422.23g(4.67mol)のアクリロイルクロリド及び407.12g(5.09mol)の水中50%固形分の水酸化ナトリウムを3時間にわたって加え、この時間の間に418gの追加のt−ブチルメチルエーテルを加えた。3時間後、反応物を1329gのt−ブチルメチルエーテルで希釈し、25.47g(0.424mol)の酢酸を含有する443gの水で洗浄した。層を分離し、上側の有機層を4443gの炭酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄した。層を分離し、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、中間体N−(アクリロイルオキシエチル)−N,N−ジエチルアミンを得た。空気雰囲気下でオーバーヘッドスターラー及び還流冷却器を備えた円筒形反応器に600g(3.49mol)のN−(アクリロイルオキシエチル)−N,N−ジエチルアミン、24.74g(0.21mol)の炭酸ナトリウム、0.15gのMEHQ及び0.03gのフェノチアジンを23℃にて入れた。次に、462.7g(3.67mol)の硫酸ジメチルを滴下漏斗を介して5時間にわたって加えた。反応物は加熱しなくても60.4℃の最高温度に到達した。中間体(CHCHN(CH)CHCHOC(O)CH=CH+−SOCHを512.3gの脱イオン水に溶解させ、反応器から取り出し、更に100gの脱イオン水ですすいだ。この溶液をチーズクロスで6Lの三角フラスコ中に濾過して粒子を除去した。オーバーヘッドスターラーで1分にわたって撹拌しながら三角フラスコに1218g(水中82.3%固形分、3.49mol)のHQ−115を加えた。10分の撹拌後、下の有機層を分離し、612gの脱イオン水で洗浄し、700gのアセトンで希釈し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、0.32gのMEHQ及び0.08gのフェノチアジンで処理し、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、黄色油として1394gのPOS−2を得た。
【0085】
(CHCHN(CH)CHCHOC(O)C(CH)=CH+−N(SOCF、すなわち、メタクリロイルオキシエチル)−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(本明細書ではPOS−3と呼ぶ)の調製:空気雰囲気下でオーバーヘッドスターラー及び還流冷却器を備えた円筒形反応器に500g(2.69mol)のAGEFLEX(商標)FM2PTZ、19.06g(0.16mol)の炭酸ナトリウム、0.10gのMEHQ及び0.02gのフェノチアジンを入れ、39.5℃に加熱した。次に、356.5g(2.83mol)の硫酸ジメチルを滴下漏斗を介して2.25時間にわたって加えた。反応物は加熱しなくても76.3℃の最高温度に到達した。3.25時間後、サンプルを1H NMR分析用に採取し、4.25時間の時点で反応物を50℃に加熱した。中間体(CHCHN(CH)CHCHOC(O)C(CH)=CH+−SOCHを504gの脱イオン水で洗浄して、溶液を生成した。50℃にて反応物に987.94g(水中79.8%固形分、2.75mol)のHQ−115を1分にわたって加えた。30分後、下の有機層を分離し、50℃にて504gの脱イオン水で洗浄し、水層から分離し、600gのアセトンで希釈し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーションにより濃縮して、黄色油として1269gのPOS−3生成物を得た。
【0086】
(CHCHCHCHN(CH)CHCHOC(O)CH=CH+−N(SOCF、すなわち、アクリロイルオキシエチル−N,N−ジブチル−N−メチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(POS−4と呼ぶ)の調製:(CH5)N(CH)CHCHOC(O)CH=CH+−N(SOCF)の調製と同様の調製を用いて、1064gのMTBE中の500g(2.89mol)のN−(ヒドロキシエチル)−N,N,−ジブチルアミン(CNCHCHOHを0.0394gのフェノチアジンと共に、287.25g(3.174mol)のアクリロイルクロリド及び276.98g(3.46mol)の50%水性水酸化ナトリウムと反応させて、17.33gの酢酸水溶液で処理し、続いて354.7gの脱イオン水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、0.10gのMEHQ及び0.025gのフェノチアジンで処理した後、わずかに黄色の生成物として441.2gの(CNCHCHOC(O)CH=CHを生成した。525g(2.31mol)の(CNCHCHOC(O)CH=CHの組み合わせ調製物を16.35g(0.139mol)の炭酸ナトリウムの存在下にて305.85g(2.425mol)の硫酸ジメチルと反応させて、中間体(CN(CH)CHCHOC(O)CH=CH+−SOCH(本明細書でPOS−5と呼ぶ)を生成した。これは70℃超で融解する固体である。この中間体(濾過なし)(816.3g(2.31mol))を612.2gの脱イオン水に溶解させ、804.3g(水中82.3%固形分、2.31mol)のHQ−115と反応させて、下側に有機層を生成し、これを更に612gの脱イオン水で洗浄し、分離し、600gのアセトンで希釈し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、褐色油として1164.6gのPOS−4を得た。
【0087】
(CN(CH)CHCHOC(O)CH=CH+−SCF、すなわち、アクリロイルオキシエチル−N,N−ジブチル−N−メチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート(本明細書ではPOS−6と呼ぶ)の調製:オーバーヘッドスターラーを備えた500mL丸底フラスコに100.0g(0.269mol)の(CN(CH)CHCHOC(O)CH=CH+−SOCH、100gの脱イオン水、0.0923gのMEHQ及び0.023gのフェノチアジンを入れた。次に、111.37g(水中72%固形分、0.269mol)のリチウムトリフルオロメタンスルホネートを加えた。15分の撹拌後、150gのジクロロメタンを反応物に加え、5分の撹拌後、下のジクロロメタン層を分離した。水層を別の150gのジクロロメタンで再抽出した。2つのジクロロメタン抽出物を、ジクロロメタン層を含有するガラス容器の洗浄のために使用された30gの追加のジクロロメタンと共に組み合わせ、100gの脱イオン水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、淡褐色固体として97.59gのPOS−6を生じた。
【0088】
(CN(CH)CHCHOC(O)CH=CH+−C(SOCF、すなわち、アクリロイルオキシエチル−N,N−ジブチル−N−メチルアンモニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(本明細書ではPOS−7と呼ぶ)の調製:トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン、HC(SOCF、75.0g(水中60%固形分、0.10mol)を4.55g(0.10mol)の水酸化リチウム一水和物でpH0に中和した。更に1.2gの水酸化リチウム一水和物を加えると(合計5.75g)、pHは2に上昇した。更に0.81gの水酸化リチウム一水和物を加えると(合計6.56g)、pHは14に上昇した。7.08gのトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンを加えても、溶液のpHはpH 14のままであった。溶液は全ての酸が中和されたものとみなされ、51.37%固形分のリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド水溶液を生成するように調製されたものとして使用した。オーバーヘッドスターラーを備えた250mL丸底フラスコに20.0g(0.538mol)の(CN(CH)CHCHOC(O)CH=CH+−SOCH、30gの脱イオン水、0.0295gのMEHQ及び0.007gのフェノチアジンを入れ、これに87.59g(51.37%固形分、0.0538mol)のリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドを加えた。数分の撹拌後、30gのMTBEを添加し、30分にわたって撹拌を続け、その時間に反応物を上側の水層と下側の有機層との間で分離させた。有機層を30gの脱イオン水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、茶色液体として34gのPOS−7を生成した。
【0089】
17N(CHCHCHOC(O)CH=CH+−N(SOCF、すなわち、アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチル−N−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(本明細書ではPOS−8と呼ぶ)の調製:C17N(CHCHCHOH+−N(SOCFを米国特許第6,372,829号の実施例1に記載のように調製した。オーバーヘッドスターラーを備えた500mL三口丸底フラスコに125g(0.259mol)のC17N(CHCHCHOH+−N(SOCF、35.39g(0.350mol)のトリエチルアミン及び190.87gのMTBEを入れた。フラスコを氷浴中で冷却し、30.48g(0.337mol)のアクリロイルクロリドを30分にわたって加えた。1時間後、125mLの約0.02MのHClをフラスコに加え、5分にわたって撹拌した。層を分離し、上の有機層を130gの炭酸ナトリウム飽和水溶液で30分にわたって洗浄した。上の有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、黄色油として131.3gのPOS−8を生成した。
【0090】
1633N(CHCHCHOC(O)CH=CH+−N(SOCF、すなわち、アクリロイルオキシエチル)−N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(本明細書ではPOS−9と呼ぶ)の調製:スターラー、凝縮器及び温度プローブを備えた3L三口丸底反応フラスコに234重量部のAGEFLEX(商標)FA 1、617部のアセトン、500部の1−ブロムヘキサデカン及び0.5部のBHT(ブチルヒドロキシトルエン、時期尚早な重合を防止するための阻害物質として添加された酸化防止剤)を入れた。2個のIRランプを用いることにより混合物を35℃に加熱し、150rpmで撹拌した。24時間の加熱後、反応混合物を室温に冷却した。透明な反応溶液を丸底フラスコへ移し、アセトンを真空下40℃でのロータリーエバポレーションにより、除去した。得られた固体残留物を1Lの冷たい酢酸エチルと混合し、10分にわたって混合した。大部分を濾過し、固体生成物を500mLの冷たい酢酸エチルで洗浄した。固体生成物を皿に移し、一晩真空オーブン内で40℃にて乾燥させて、アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチル−n−ヘキサデシルアンモニウムブロミドを生成した。オーバーヘッドスターラーを備えた二口500mL丸底フラスコに25.0g(0.558mol)のアクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチル−n−ヘキサデシルアンモニウムブロミド及び80gの脱イオン水を入れ、65℃油浴中で加熱した。次に、39.56g(水中80.97%固形分、0.0558mol)のHQ−115を不均質混合物に一度に加え、1時間にわたって65℃にて撹拌し、2つの液相を得た。反応混合物を40℃に放冷し、49.89gのMTBEを撹拌しながら反応混合物に加えた。5分後、反応混合物は、下側の水層と上側の有機層とに分離した。水層を25gのMTBEで2回抽出した。組み合わせたMTBE層を50gの脱イオン水で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、黄色液体として39.2gのPOS−9を生成した。
【0091】
(CHNCHCHOC(O)CH=CH+−OSOCF、すなわち、アクリルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート(本明細書ではPOS−10と呼ぶ)の調製:オーバーヘッドスターラーを備えた250mL三口丸底フラスコに50.00g(水中79.9%固形分、0.2063mol)のAGEFLEX(商標)FA1Q80MC500及び15.00gの脱イオン水を入れた。この溶液を油浴中で45℃に加熱した。溶液に素早く10秒にわたって42.91g(水中75%固形分、0.2063mol)のリチウムトリフルオロメタンスルホネート(Li+−OSOCF)を加え、1.5時間後、75gのジクロロメタンを加えて、相分離を開始させた。得られた二相系を分液漏斗に移し、下側の(有機)層を50gの脱イオン水で洗浄した。得られた水相を第一水相と組み合わせ、エアバブラー及びアスピレータによる弱い吸引を用いて80℃で蒸留して、粘性の白色液体として53gのPOS−10を生成し、これを薄片状の白色蝋に凝固させた。
【0092】
(CHNCHCHOC(O)CH=CH+−OSO、すなわち、アクリルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウム(1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロ)ブタンスルホネート(本明細書ではPOS−11と呼ぶ)の調製:オーバーヘッドスターラーを備えた250mL三口丸底フラスコに50.00g(水中79.9%固形分、0.2063mol)のAGEFLEX(商標)FA1Q80MC500及び20.11gの脱イオン水を入れた。この溶液を油浴中で45℃に加熱した。溶液に素早く10秒にわたって140.28g(水中40%固形分、0.2063mol)のリチウム(1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロ)ブタンスルホネート(Li+−OSO)を加え、1.5時間後、二相系を分液漏斗に移し、下側の(有機)層を50gの脱イオン水で洗浄した。得られた有機相をエアバブラー及びアスピレータによる弱い吸引を用いて80℃で蒸留して、粘性白色液体として73gのPOS−11を生成し、これを壊れやすい白色固体に凝固させた。
【0093】
(CHCHCHCHN(CH)CHCHOC(O)CH=CH+−OSO、すなわち、アクリルオキシエチル−N,N−ジブチル−N−メチルアンモニウム(1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロ)ブタンスルホネート(本明細書ではPOS−12と呼ぶ)の調製:オーバーヘッドスターラーを備えた1L三口丸底フラスコに100.00g(100%固形分、0.4390mol)のアクリルオキシエチル−N,N−ジブチルアミンを入れた。この溶液をセットして45℃にて撹拌し、56.46g(1.02当量、0.4477mol)の硫酸ジメチルを空気下にて1時間にわたって滴加した。およそ25%のDMSを加えた後、123gのアセトンを加えて褐色固体の生成物を可溶化した。温度は40℃に低下した。反応は合計4時間にわたって進行し、このとき、アセトンは56℃にて大気圧で1時間にわたって留去され、その後、ウォーターアスピレーターによる真空引きを行いながら1時間にわたって留去した。最終生成物は褐色〜黄色の固体であり、これは直接分離されなかった。この固体を156gの脱イオン水中に溶解させ、45℃にて撹拌するよう設定した。1分の過程にわたって、335.84g(水中40%固形分、0.4390mol)のリチウム(1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロ)ブタンスルホネート(Li+−OSO)を加えた。100gの脱イオン水を加えて、溶液の粘度を下げるのを助けた。温度を50℃に上昇させ、アリコートを取り、濾紙を取り付けたセラミックフィルターで濾過した。得られた白色固体は、本発明者らの製品調和性の仮定に合致するものであり、次に反応物全体を同じ方法で濾過した。濾滓を100gの脱イオン水で四回洗浄し、固体を手で破砕して微細な粉末にし、50℃のオーブンで一晩乾燥させた。POS−12の単離収率は、白色/褐色固体203.9gであった。
【0094】
(CHNCHCHOC(O)CH=CH+−SOCH、すなわち、アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチルサルフェート(本明細書ではPOS−13と呼ぶ)の調製:オーバーヘッドスターラーを備え、還流冷却器を取り付けた250mL丸底フラスコに50g(0.349mol)のジメチルアミノエチルアクリレートを入れた。フラスコを乾燥空気下で室温にて油浴中に配置し、44.03g(0.349mol)の硫酸ジメチルを、これを入れた均圧添加漏斗で5.5時間にわたって加えた。油浴温度を2時間の時点で30℃に上げ、50%の硫酸ジメチル添加を完了させた。浴温度を3時間の時点で40℃に上げ、75%の硫酸ジメチル添加を完了させた。浴温度を3.5時間の時点で60℃に上げ、80%の硫酸ジメチル添加を完了させた。6.75時間の時点で、浴を80℃に加熱し、POS−13を茶色〜黄色の液体として単離した。
【0095】
1225N(CH)(CHCHOC(O)CH=CH+−N(SOCF、すなわち、ビス−(アクロイルオキシエチル)−N−メチル−N−ドデシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(本明細書ではPOS−14と呼ぶ)の調製:POS−14を米国特許出願公開第2007141329号の帯電防止剤Cの調製に記載のように調製した。オーバーヘッドスターラーを備えた250mL三口丸底フラスコに40g(0.0706mol)のC1225N(CH)(CHCHOH)+−N(SOCF、17.14g(0.1694mol)のトリエチルアミン及び71.84gのジクロロメタンを入れた。フラスコを氷浴中で冷却し、14.70g(0.1624mol)のアクリロイルクロリドを45分にわたって添加した。更に2.25時間後、71.84mLの水をフラスコに加え、10分にわたって撹拌した。層を分離し、数百ppmの4−メトキシフェノール(MEHQ,Sigma−Aldrich)を上の有機層に加え、これを濃縮して、橙色油として50gのPOS−14を生じた。
【0096】
(実施例1〜12)
帯電防止コーティング組成物
例1〜12のために、40重量部の重合性オニウム塩POS−1を35部の一官能性アクリレート、25部の多官能性アクリレート及び光開始剤としての0.5部のIRGACURE(商標)819と混合することにより、様々な液体紫外線硬化性帯電防止コーティング組成物を調製した。使用された一官能性アクリレートは、以下のものから示されているように選択された:SR 339(2−フェノキシエチルアクリレート)、EBECRYL(商標)110(エトキシル化フェノールアクリレート)、CD 9087(エトキシル化フェノールアクリレート)及びCD 9088(エトキシル化フェノールアクリレート)。使用された多官能性アクリレートは、以下のものから示されているように選択された:EBECRYL(商標)8402(脂肪族ウレタンジアクリレート)、SR 494(エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)及びSR 9035(エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート)。具体的な帯電防止コーティング配合は、下表1に示されている。各混合物は封止サンプルボトル中で30分にわたって60℃に加熱され、激しく手により振盪して混合し、次に周囲条件下にて放冷した。室温にて全ての溶液は均質、透明であり、光開始剤に起因してわずかに黄色であり、中程度の粘性を有していた。
【0097】
【表2】

【0098】
帯電防止配合物のコーティング及び硬化
実験室規模のコーティングデバイスを使用して、コーティングされたフィルムサンプルを作製した。コーティング装置並びに以下のコーティング手順は、米国特許第6,899,922号に詳細に記載されている。この装置を使用して、液体紫外線硬化性帯電防止コーティング組成物の連続した、空隙のない、均質コーティングを矩形片のVIKUITI(商標)DBEF IIフィルム(3M)上に精確に適用した。コーティング用フィルム試料で、装置の取り付けロールの周りを、フィルムの末端が間隙を生じずにかつ最小限の重なりでほぼぴったり重なるように包んだ。次に、取り付けロールを第一及び第二ピック&プレースロール上に、フィルムが取り付けロールとこれらの2本の支持補助ロールの各々との間に挟まるように、配置した。モデルFUSION(商標)200(Chemyx,Inc.(Stafford,TX))のシリンジポンプにより既知の体積のコーティング配合物を精確に分注することにより、コーティング厚さを制御した。振動分配システムを使用して、装置の3本のロールが駆動して回転するのにつれて、1/16インチ(1.6mm)ID片の可撓性TYGON(商標)チューブを介して主移送ロールの操作幅を横断して、計量されたコーティング体積を分配した。これは、主移送ロールの操作幅に左右勝手違いの螺旋パターンで、複数のビーズとしてのコーティングを有効に送達し、これにより、横方向のコーティング均質性をもたらした。ロールの回転は、コーティング体積の全てが完全に主ロール上に分注された後も維持され、その結果、主ロール及び第二ロールの濡れた表面は、取り付けロール上のフィルム表面に連続して接触した。それゆえ、コーティング配合物は、補助ロールによりランダムかつ繰り返しフィルム基材から取り上げられ、フィルム基材に戻された。コーティングデバイスのロールは、コーティングがロール回転方向に均一に配分されるまで、複数の旋回で回転した。このように、VIKUITI(商標)DBEF IIフィルム片上の試験コーティング面積にわたって均一な被覆を達成したが、この面積は、主移送ロール及び第二移送ロールの操作幅並びに取り付けロールの周囲径により定義される。注射器送達体積は、表1の配合の各々について、1、2、3及び4マイクロメートルのコーティング厚さを達成するために設定された。全ての帯電防止コーティングは、室温にて遂行された。この装置を以降では実験室規模マルチロールコーターと呼ぶ。
【0099】
上記のように適用されたコーティング配合物は、FUSION(商標)UV Dバルブ(FUSION UV Systems Inc.(Gaithersburg,MD))を外付けした紫外線処理装置を用いて硬化させた。コーティング済み試料は、各試料をそのコーティングされた側を上向きにして30秒にわたって140°F(60℃)に温度が制御された加熱圧盤上に配置することにより、まず予加熱された。次に、試料を直ちに紫外線処理装置のコンベヤ上に配置し、次にこれに試料を30ft/分(9.1m/分)で硬化チャンバを通して運ばせたが、Dバルブ出力設定は100%に設定した。コーティングされた側を紫外線源に面するように配向した。本質的に酸素がない条件下で硬化を作用させるように、硬化チャンバを窒素でパージした。紫外線処理装置から戻ってきた際、コーティングの性質は、室温にて、硬化済みコーティングを触り、擦ることにより証明されたように、透明で、滑らかで固体であった。
【0100】
帯電防止コーティングの特徴付け
上記手順のように、VIKUITI(商標)DBEF II上の各配合コーティングについて電荷減衰を測定した。VIKUITI(商標)DBEF IIフィルム上に送達された各コーティング厚さ(1、2、3及び4マイクロメートル)での各配合物について6個の測定値の平均を報告し、これらは表2の「帯電防止コーティングを有するDBEF II」と表記された欄に示されている。
【0101】
プリズムオーバーコート手順
表2の各VIKUITI(商標)DBEF II試料上に適用されたような帯電防止コーティングを次に、米国特許出願公開第2009/0017256号(Hunt et al.)、表1の樹脂R8に引用されているものと同様(ただし、光開始剤が0.3%ではなく1.0%で使用されていることを除く)の光学等級アクリレート樹脂を使用して、90度、50ピッチのBEFプリズムでオーバーコーティングした。50マイクロメートルのピッチで90°の夾角プリズム形状を有し、米国特許第5,771,328号(Wortmanら)に記載のもののように、基準面よりも上に第一距離にて配置された突起を有する複数のプリズム素子を有する第一領域と、基準面からより短い距離にて配置された突起を有する複数のプリズム素子を有する第二領域と、を含むプリズム領域の繰り返しパターンを有する、14インチ×18インチ(36cm×46cm)の平坦な成形型を、機械的支持及び熱保持特性のための3/16インチ(4.8mm)のアルミニウム板上に取り付けた。この成形型を調整して、プリズムの軸を成形型の長軸に平行にした(18インチ;46cm)。この組立品を140°F(60℃)に設定した熱制御ホットプレート上でこの温度に予加熱した。光学アクリレート樹脂の充填サイズのビーズを成形型の上部14インチ(36cm)端に適用した。次に、帯電防止コーティング済みVIKUITI(商標)DBEF IIを、硬化した帯電防止コーティング済み表面が成形型に面するように、成形型に積層した。次に、実験室ロール積層機(General Binding Corporation(Northbrook,IL)から入手可能なモデルCatena 35)をBEFプリズムコーティング手順のために使用した。実験室規模積層機を3/16インチ(4.8mm)の間隙設定、140°F(60℃)のロール温度及び3の速度設定にて作動させた。先端として光学アクリレート樹脂のビーズを有する端部により試料が積層機のニップロールを通って進むにつれて、光学等級アクリレートのビーズは、未硬化光学アクリレート樹脂が均一に帯電防止コーティングを濡らし、同時に成形型のプリズム形状を充填するように、成形型の長軸の下の薄層に広がった。積層直後、FUSION UV Systems Inc.からのFUSION(商標)UV D bulbを外付けした実験室規模紫外線処理装置を用いて、試料を成形型上で硬化させた。挟まれた光学樹脂が、DBEF IIフィルムを通過して成形型に対している樹脂を通って進んだ紫外線光により硬化するように、積層体を、VIKUITI(商標)DBEF IIフィルムを紫外線源に向けて処理した。紫外線処理装置のライン速度は30ft/分(9.1m/分)であり、紫外線出力は100%に設定された。窒素パージは、硬化中には使用しなかった。仕上げプロトタイプ試料を特徴付けのための硬化直後に成形型から取り外した。これにより、帯電防止コーティング上に連続的な硬化済みBEFプリズムコートがもたらされ、連続的プリズム構造の全厚は26〜28マイクロメートルであった。
【0102】
プリズムオーバーコーティングされた帯電防止サンプルの特徴付け
BEFプリズムオーバーコートに先立って試料を特徴付けするために使用されたのと同じ試験手順を用いて、プリズムコーティング済み試料を必要な前条件付けサイクル(公称50% RH及びRTにて12時間)後に電荷減衰に関し再び特徴付けした。これらの結果は表2の「帯電防止コーティング及びプリズムオーバーコートを有するDBEF II」と表記された欄に報告されている。
【0103】
帯電防止コーティングのガラス転移温度の測定
下塗りされていない5ミル(127マイクロメートル)のPETフィルム上に、表1に示したものと同じ配合物の各々を塗布した。コーティングバーを使用したところ、均一性には劣るものの、10〜20マイクロメートルのはるかに厚いコーティングが得られた。これらの試料を次に、VIKUITI(商標)DBEF II上の帯電防止コーティングの効果に関して上記したものと同じ予加熱レジメン及び紫外線処理条件下で、硬化させた。各硬化した試料は、下塗りされていないPETフィルムから容易に取り外され、上記に概略を示した試験手順を用いたガラス転移温度のDSC特徴付けのために戻された。DSC加熱スキャンからのTは、表2の「DSCからのガラス転移温度」と表記された欄に報告されている。
【0104】
電荷減衰及びガラス転移温度
表2に要約されたコーティングされたフィルム実施例のほとんどは、これらのより低い電荷減衰値により示されるように、優れた帯電防止特性を示す。これらの配合物は各々、帯電防止性能のための活性剤と考えられているアクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(POS−1)を40%含むが、それでも、VIKUITI(商標)DBEF IIフィルム上の硬化コーティングの比較可能な厚さにおいても測定された電荷減衰に有意な差異が存在した。DSCデータの見地からこれらの電荷減衰の差異を精査することにより、より低いガラス転移温度はより良好な電荷減衰を助けることが示唆される。−10℃以下のT値について、VIKUITI(商標)DBEF II上にコーティング及び硬化させた配合物の電荷減衰値は、多くの場合、0.1秒よりもはるかに低く、時には0.01秒に達した。他方の極端な例では、硬化した配合物のガラス転移温度が高過ぎる場合、コーティングされたフィルムの電荷減衰の程度はより高くなり、一部の使用については帯電防止構造体として有用であるには高過ぎる恐れがある。この具体例は実施例5に見られ、ここで、硬化した配合物のTは36.6℃であり、コーティングされたVIKUITI(商標)DBEF IIの関連する電荷減衰は、1〜4マイクロメートルのコーティング厚さに対して17秒を超過した。
【0105】
驚くべきことに、帯電防止性能は、BEFプリズムでのオーバーコーティングから損害を受けず、多くの場合、BEFプリズムでのオーバーコーティング後に実際には改善した(電荷減衰が減少した)。例えば、VIKUITI(商標)DBEF II上にコーティングし硬化したおよそ1マイクロメートルの最終厚さに達した実施例7の配合物は、1.98秒の電荷減衰を有した。BEFプリズムでのオーバーコーティング後、最終構造体は、0.59秒の電荷減衰を有した。この電荷減衰時間は、バックライト組立体に輝度上昇フィルムを組み込む際の欠陥を防止するための有意な時間尺において電荷を拡散させることに関して、十分に低い。
【0106】
【表3−1】

【0107】
【表3−2】

【0108】
比較例C13及びC14
比較のため、帯電防止コーティングなしのVIKUITI(商標)DBEF IIフィルム及び介在する帯電防止コーティングなしに直接フィルム上にコーティングされた90度で50ピッチのプリズムを有するDBEF IIフィルムの電荷減衰を測定した。これらの試料の各々は、少なくとも4000ボルトの最小電荷を受け入れることができず、それ自体は、帯電防止性であるとは考えられなかった。
【0109】
比較例C15〜C20
比較例C15〜C20のためのコーティング組成物は、それぞれ、実施例1〜5及び実施例12に類似であるように設計されたが、重合性オニウム塩は有さなかった。配合物は、表3に示されている。
【0110】
【表4】

【0111】
実施例1〜12について述べたものと同じ手順を用いて、表3の混合物を封止したサンプルボトルの中で各々60℃に30分にわたって加熱し、激しく手により振盪して混合し、最後に周囲条件下にて放冷した。室温では比較例C15〜C20の溶液はこれらの対応物(実施例1〜5及び12)と同様であり、均質、透明であり、光開始剤に起因してわずかに黄色であることが判明した。
【0112】
これらの比較コーティング例を4マイクロメートルの単一コーティング厚さのみで調製したことを除き、上記に概略を示したものと同じ手順及び装置を用いて、VIKUITI(商標)DBEF II上への比較例C15〜C20の配合物のコーティングを達成した。90°、50ピッチのBEFプリズムを有する4マイクロメートルのコーティングのオーバーコーティングを既に記載したように達成した。表4は、それぞれの硬化済み配合物のガラス転移温度、VIKUITI(商標)DBEF II上の4マイクロメートルコーティングの電荷減衰、並びに、最後にBEFプリズムでのオーバーコート後のVIKUITI(商標)DBEF II上の4マイクロメートルコーティングの試料の電荷減衰を報告している。これらのデータは、表2に示されている実施例1〜5及び実施例12の結果と直接比較することができる。
【0113】
【表5】

【0114】
概して、表4のプリズムオーバーコートを有する全サンプルの電荷減衰は、サンプルが帯電防止性ではない(wncと表記)か又はこれらが帯電防止光学フィルム構造体として実用的に有用であるとはみなされない長さの電荷減衰時間しか有さないかのいずれかであることを示す。
【0115】
(実施例21〜33)
表5は、重合性オニウムアクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの様々な電荷を用いて調製された一連の帯電防止コーティング配合物を報告している。これらの配合物中の重合性オニウム塩の量の範囲は0.5重量%〜90重量%であり、組成は、帯電したアクリレート全体の重量パーセントとして決定した。同じ多官能性アクリレートと一官能性アクリレートの対をこれらの配合物のそれぞれの中の重合性オニウム塩と共に使用した。使用した多官能性アクリレートは、EBECRYL(商標)8402であった。使用した一官能性アクリレートは、SR 339であった。SR 339に対するEBECRYL(商標)8402の比率が0.714で一定であるように、組成物を配合した。使用した光開始剤は、IRGACURE(商標)819であった。実施例21〜33についての具体的な帯電防止コーティング配合は、表5に示している。先の実施例におけるように、これらの混合物を封止したサンプルボトルの中で各々60℃に30分にわたって加熱し、激しく手により振盪して混合し、最後に周囲条件下にて放冷した。室温にて全ての溶液は均質、透明であり、光開始剤に起因してわずかに黄色であり、中程度の粘性を有していた。
【0116】
【表6】

【0117】
これらの実施例が3マイクロメートルの単一帯電防止コーティング厚さに限定されたことを除き、上記に概略を示したものと同じ手順及び装置を用いて、実施例21〜33の配合物をVIKUITI(商標)DBEF II上にコーティングし、硬化させた。90°、50ピッチのBEFプリズムを有する3マイクロメートルの帯電防止コーティングのオーバーコートもまた同様に達成した。表6は、先の実施例のように行われた、それぞれの硬化済み帯電防止配合物のガラス転移温度、VIKUITI(商標)DBEF II上の3マイクロメートルコーティング配合物の電荷減衰、並びに、BEFプリズム構造でのオーバーコーティング後のVIKUITI(商標)DBEF II上の3マイクロメートルコーティングの試料の電荷減衰を報告している。加えて、プリズムオーバーコーティングされた構造体のクロスハッチ剥離接着力をそれぞれ四回測定し、平均剥離接着力評価も表6に報告する。
【0118】
【表7】

【0119】
注目されることに、電荷減衰時間の短さは驚くほど低濃度の重合性オニウム塩でさえ存続し、特に有用な静電気減衰時間(5秒)は2重量%程度の低濃度の重合性オニウム塩で実現した。この効果は、部分的には、このより低い範囲の組成物において見られるより低いTに起因するものであり得る。より高濃度の重合性オニウム塩では、例えば、50重量%超の重合性オニウム塩は接着力を損なうことから、プリズム及び帯電防止コーティングは不利を被る。コーティング/プリズム接着の耐性と帯電防止性能のバランスを効果的に取るこのタイプの光学フィルム構造体における帯電防止コーティングに最適な組成物は、重合性オニウム塩のこの特定の選択について2重量%〜50重量%であり得、コーティング配合物中でコアクリレートについてのこれらの選択と組み合わされてもよい。
【0120】
実施例34〜39及び41、並びに、比較例C40及びC42〜C47
実施例34〜39及び41、並びに、比較例C40及びC42〜C47では、多数の重合性オニウム塩候補を、代表的なもののみであるが、具体的なアクリレートコーティング配合物との相溶性について試験した。この試験プロトコルにおけるアクリレートコーティング混合物は全て、35重量部のSR 339、25重量部のEBECRYL(商標)8402及び0.5重量部の光開始剤IRGACURE(商標)819からなるアクリレート混合物を組み合わされた40重量部の重合性オニウム塩に基づく。試験された様々な重合性オニウム塩化学物質は、表7に列挙されている。
【0121】
先の実施例に記載の混合プロセスと一致して、表7に記載の各重合性オニウム塩をアクリレート配合物と組み合わせてサンプルボトルの中に入れ、スクリューキャップで封止し、次に対流式オーブンの中で30分にわたって60℃に加熱した。30分の加熱サイクルの過程中、各サンプルを断続的に激しく手により振盪した。加熱及び振盪後、各サンプルを周囲条件下で放冷した。サンプルをRT条件下で最大2日にわたって静止保持し、次に均質性について視覚的に評価した。
【0122】
実施例34〜39及び41の溶液はそれぞれ、均質、透明であり、光開始剤に起因してわずかに黄色であった。比較例C40及びC42〜C47は、液層への層化、固体沈殿物の形成又は一部の場合には不透明な高粘性ペーストの形成により立証されるように、著しく不均質である混合物を生じた。
【0123】
先述の実験プロトコルを使用して、VIKUITI(商標)DBEF II上での本調査の各配合物のコーティング及び硬化を試みた。比較例C40及びC42〜C47の混合物の非均質性に起因して、これらは、均質なコーティングをもたらすよう効果的に処理できなかった。しかしながら、実施例34〜39及び41の配合物は、VIKUITI(商標)DBEF II上にうまくコーティングされ、硬化しておよそ3マイクロメートルの仕上げ厚さになった。実施例34〜38は、表7で一覧されるような非常に適当な電荷減衰を有すると共に、非常に透明で滑らかであり、均一な硬化コーティングをもたらした。実施例39及び41からのコーティングは、非常にわずかな縞模様の仕上げを呈した。しかしながら、これらの配合物は、光学フィルム構造体への適用にかろうじて許容可能であると考えられ、良好な電荷減衰を示した。
【0124】
【表8−1】

【0125】
【表8−2】

【0126】
(実施例48)
40重量部の重合性オニウム塩アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(POS−1)、35重量部のSR 339、25重量部のEBECRYL(商標)8402及び0.5重量部のIRGACURE(商標)819光開始剤を混合することにより、帯電防止コーティング配合物を調製した。この配合物を従来の5ミル(127マイクロメートル)二軸配向接着剤を下塗りしたPETフィルム(DuPont Teijin Films(Hopewell,VA)からのMELINEX(商標)618)上にコーティングし、硬化させた。1、2、3及び4マイクロメートルの4つのコート厚さの各々について1つの試料を調製した。実施例1〜12で記載したような装置及び実験プロトコルを用いて、配合物の混合、並びに、5ミル(127マイクロメートル)PETの下塗り済み表面上への配合物のコーティング及び硬化を達成した。実施例1〜12で記載したような手順及び材料を用いて、サンプルも90/50のBEFプリズムでコーティングした。BEFプリズムでのオーバーコーティング前後の電荷減衰、並びに、プリズムコーティングされた構造体の平均クロスハッチ剥離を表8に示す。
【0127】
【表9】

【0128】
(実施例49〜54)
40部の重合性オニウムアクロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを60部の選択された多官能性アクリレートと混合することにより、一連の帯電防止コーティング配合物を調製した。各配合物は、表9に列挙されている単一多官能性アクリレート及び0.5部のIRGACURE(商標)819光開始剤(非オニウム一官能性アクリレートは全く使用されなかった)を特徴とした。先の実施例に記載の手順のように、これらの混合物を封止したサンプルボトルの中でそれぞれ60℃にておよそ30分にわたって加熱し、激しく手により振盪して混合し、最後に周囲条件下にて放冷した。室温にて全ての溶液は均質、透明であり、光開始剤に起因してわずかに黄色であった。
【0129】
粘度を低下させ、室温でのコーティングを促進するために、実施例49の配合物を20重量部のイソプロピルアルコール(IPA)で希釈したことを除き、上記で概略を述べたものと同じ手順及び装置を用いて、実施例49〜54の配合物をVIKUITI(商標)DBEF II上にコーティングし、硬化させた。硬化直前の140°F(60℃)圧盤上での標準的な30秒予加熱中に、IPAを実施例49のコーティング済み試料から乾燥させた。実施例49〜54の各配合物についてのコーティング厚さは、3マイクロメートルであった。先述のものと同じ実験プロトコルの下、90度で50ピッチのBEFプリズムを有する硬化済み3マイクロメートルコーティングを完了させた。
【0130】
表9は、硬化した帯電防止配合物のガラス転移温度を報告している。実施例50及び51の配合物のガラス転移温度は、転移が試料サーモグラムから識別するには過度に広範で拡散していたため、先述のスタンダードDSC技術で測定できなかった。比較目的のために、製造者により公開されている市販のアクリレート構成要素のガラス転移温度も表9に報告している。VIKUITI(商標)DBEF II上の3マイクロメートルコーティング配合物の電荷減衰、並びに、BEFプリズム構造を有するオーバーコーティング後の試料の電荷減衰を測定し、報告した。加えて、プリズムオーバーコーティングされた構造体の剥離接着力評価をそれぞれ四回測定し、平均剥離接着力評価も表9に報告した。
【0131】
【表10】

【0132】
これらの結果は、帯電性能が、単一多官能性アクリレートと重合性オニウム塩のより単純な組み合わせに基づいた有効アクリレートコーティングにより示されたことを明確に示す。更に、電荷減衰は依然として硬化済みコーティングのガラス転移に非常に大きな度合で相関していた。実際の値は実施例50及び51からは入手できなかったが、これら3つの高いTは、多官能性アクリレート構成要素の公表Tから推論することができる。更に、実施例50及び51のコーティングは、実施例52、53及び54の対応物よりも明らかに高い弾性(触るとより硬い)を有し、それからこれらが高いTを有することが示唆される。
【0133】
(実施例55〜58)
上記標準的混合プロトコルを用いて、40部の重合性オニウム塩アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、35部のSR 339、25部のEBECRYL(商標)8402及び0.5部のIRGACURE(商標)819光開始剤を混合することにより、帯電防止コーティング配合物を調製した。次に、この配合物を等部のイソプロパノール(IPA)で希釈して、コーティングのための50%固形分溶液を作った。次に、上記のような実験室規模マルチロールコーターを用いて、この配合物をVIKUITI(商標)DBEF II上にコーティングした。コーティング直後に試料を直ちに140°F(60℃)対流式オーブン内で2分間にわたって加熱して、コーティングからIPAを乾燥させた。この工程は、紫外線硬化直前の予加熱100%固形分コーティング済みサンプルに対して使用した圧盤加熱工程の代替として、提供した。次に、紫外線処理装置を用いる標準プロトコルを介して、DBEF II上の乾燥したアクリレートコーティングの硬化を達成した。マルチロールコーターに送達されるコーティング溶液の量を介してコーティング厚さを調整して、それぞれ0.25、0.50、1.0及び2.0マイクロメートルの乾燥及び硬化コーティング厚さで実施例55〜58の試料を得た。サンプルの各々をまた、BEFプリズムでオーバーコーティングした。BEFプリズムでのオーバーコーティング前後の電荷減衰、並びに、プリズムコーティングされた構造体の平均クロスハッチ剥離を表10に示す。
【0134】
【表11】

【0135】
本発明を添付図面を参照しながら好ましい実施形態について詳細に説明したが、様々な変更及び修正が当業者に明らかであることに留意されたい。そのような変更及び修正は、添付された「特許請求の範囲」によって定められるような本発明の範囲から逸脱しない限り、これに含まれるものと理解すべきである。
【0136】
多数の特許及び特許出願が本明細書で参照されているが、これらの各々はその全体が参照により組み込まれているものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一光学部材と、第二光学部材と、前記第一光学部材と前記第二光学部材との間に配置される帯電防止層と、を備える光学デバイスであって、ここで、前記帯電防止層は、アニオンを有する少なくとも一種の重合性オニウム塩と少なくとも一種の非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーとを含む混合物の反応生成物を含む、光学デバイス。
【請求項2】
前記オニウム塩が第四級アンモニウム塩である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記アニオンが有機フッ素アニオンである、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記有機フッ素アニオンがイミドである、請求項3に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記有機フッ素アニオンがメチドである、請求項3に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記オニウム塩が、アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ピリジニウム塩及びイミダゾリウム塩からなる群から選択される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記オニウム塩が式:
(Ra−b[(CHDR
を有し、式中、
各Rは、独立して、アルキル、脂環式、アリール、アルカリ環式、アルカリール、脂環式アルキル、アラリサイクリック又は脂環式アリール部分を含み、ここで、このような部分は、例えば、窒素、酸素又はイオウなどのヘテロ原子を1個以上含んでもよく、あるいは、リン又はハロゲンを含んでもよく;Rは環式又は芳香族であってもよく、環内にGを含んでもよく、
Gは窒素、イオウ又はリンであり、
Gがイオウである場合にはaは3であり、Gが窒素又はリンである場合にはaは4であり、
Gがイオウである場合にはbは1〜3の整数であり、Gが窒素又はリンである場合にはbは1〜4の整数であり、
qは1〜4の整数であり、
Dは、酸素、イオウ又はNRであり、ここで、RはH又は炭素原子数1〜4個の低級アルキルであり、
は(メタ)アクリルであり、
はアニオンである、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーが、独立して、エチレンオキシ部分を有するモノ−(メタ)アクリレートモノマー、及びポリウレタンマルチアクリレートからなる群から選択される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記アクリレート又はメタクリレートがアルコキシル化されている、請求項8に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記アクリレート又はメタクリレートがエトキシル化されている、請求項8に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも一種の非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーが少なくとも二種の重合性化合物の混合物を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも一種の非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーがアクリレート又はメタクリレートを含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも一種の非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーが単官能性の重合性モノマー又はオリゴマーを含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも一種の非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーが二官能性又は多官能性の、重合性モノマー又はオリゴマーを含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも一種の非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーが、単官能性の重合性モノマー又はオリゴマーと、二官能性又は多官能性の、重合性モノマー又はオリゴマーと、を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも一種の非オニウム重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーが脂肪族ウレタンジアクリレート及びエトキシル化フェノキシエチルアクリレートを含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記少なくとも一種の重合性オニウム塩が前記混合物の2〜50重量%を構成する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項18】
前記混合物が光開始剤を更に含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項19】
前記帯電防止層のガラス転移温度が40℃未満である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項20】
前記帯電防止層が前記第一光学部材及び前記第二光学部材のうちの少なくとも一方に固定される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項21】
前記帯電防止層が前記第一光学部材及び前記第二光学部材の両方に固定される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項22】
前記帯電防止層が、介在層を介して前記第一光学部材及び前記第二光学部材のうちの少なくとも一方に固定される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項23】
前記帯電防止層が、介在層を介して前記第一光学部材及び介在層を介して前記第二光学部材の両方に固定される、請求項22に記載の光学デバイス。
【請求項24】
前記帯電防止層が前記第一光学部材又は前記第二光学部材のいずれかに固定され、介在層を介してもう一方の光学部材にも固定される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項25】
10秒未満の電荷減衰時間を呈する、請求項1〜24のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項26】
5秒未満の電荷減衰時間を呈する、請求項1〜25のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項27】
2秒未満の電荷減衰時間を呈する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項28】
前記第一光学部材及び前記第二光学部材が、独立して、光学ベースフィルム、多層光学フィルム、拡散反射偏光フィルム、プリズム状輝度上昇フィルム、プリズム状光学構造の配列、レンズ状光学構造の配列及びビーズ利得拡散フィルムからなる群から選択される、請求項1〜27のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項29】
前記第一光学部材が光学ベースフィルムを備え、前記第二光学部材がプリズム状輝度上昇フィルムを備える、請求項1〜28のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項30】
1.6を超える光学利得を有する、請求項29に記載の光学デバイス。
【請求項31】
前記第一光学部材が光学ベースフィルムを備え、前記第二光学部材がプリズム状光学構造の配列を備える、請求項28に記載の光学デバイス。
【請求項32】
前記第一光学部材が多層光学フィルムを備え、前記第二光学部材がプリズム状輝度上昇フィルムを備える、請求項28に記載の光学デバイス。
【請求項33】
前記多層光学フィルムが偏光子である、請求項28に記載の光学デバイス。
【請求項34】
前記第一光学部材が多層光学フィルムを備え、前記第二光学部材がプリズム状光学構造の配列を備える、請求項28に記載の光学デバイス。
【請求項35】
2.0を超える光学利得を有する、請求項34に記載の光学デバイス。
【請求項36】
前記帯電防止層が片面又は両面に表面模様を有することができる、請求項1〜35のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項37】
前記帯電防止層が0.25マイクロメートル超の厚さである、請求項1〜36のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項38】
前記帯電防止層が0.5マイクロメートル超の厚さである、請求項1〜37のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項39】
前記帯電防止層が1マイクロメートル超の厚さである、請求項1〜38のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項40】
前記電荷減衰時間が、前記第二光学部材を欠くがそれ以外の全ての点で同一である光学デバイスについての電荷減衰時間よりも短い、請求項1〜39のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項41】
前記電荷減衰時間が、前記帯電防止層を欠くがそれ以外の全ての点で同一である光学デバイスについての電荷減衰時間よりも短い、請求項1〜40のいずれか一項に記載の光学デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2013−509619(P2013−509619A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537067(P2012−537067)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054509
【国際公開番号】WO2011/053709
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】