説明

帳票読取装置

【課題】読取る必要がない帳票が混在している場合であっても、その帳票を抜き取ることなく、読み取りが必要な帳票だけを読取るようにする。
【解決手段】読取り順位に対応させてそれぞれの帳票20のイメージデータの読取要否を示す帳票読取制御情報21を帳票20から読取るスキャナ部と、その帳票読取制御情報21を認識して記憶部14に記憶させる帳票読取制御情報認識手段と、それぞれの帳票の読取り順位を計測する帳票順位計測手段と、帳票20の読取り順位を記憶部14に記憶させた帳票読取制御情報21と照合して該帳票のイメージデータの読取要否を判定する帳票読取要否判定手段とを設けた。そして、その帳票読取要否判定手段が、読取要と判定した読取り順位の帳票20のイメージデータのみをスキャナ部で読取り、記憶部14に記憶させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の帳票を1枚ずつ読取る帳票読取装置に関し、特に読取りが必要な帳票だけを読取る帳票読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の帳票読取装置は、読取り対象の帳票を載置するためのホッパ等に載置された複数種類の定型帳票や非定型帳票を1枚ずつ読取り、定型帳票は読み取った帳票のイメージから認識した帳票IDに基づいて読取り、また非定型帳票や帳票IDが認識できなかった定型帳票は最大の帳票サイズで帳票全体画像を取得して登録するようにして混在した定型帳票および非定型帳票を読取るようにしている(例えば、特許文献1参照)。あるいは、一旦帳票を読み取った後に、イメージデータを認識して不要なイメージデータは削除し、必要なイメージデータのみを残すという処理も行われる。
【特許文献1】特開平10−320488号公報(段落「0020」〜段落「0022」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、載置された複数枚の帳票のすべてを読取るようにしているため、読取る必要がない帳票が混在している場合、その帳票を抜き取る必要があるという問題がある。
例えば、銀行等の金融機関で取扱う帳票には、一人の顧客につき帳票読取装置で読取る必要のある申込書、帳票読取装置で読取る必要のない暗証番号が記入された帳票等からなる帳票群を一括して処理するようにしているが、従来の技術においては、係員がその帳票群から帳票読取装置で読取る必要のない帳票を抜き取る作業が必要であり、係員に作業負担がかかるというという問題がある。あるいは、帳票を読み取った後にイメージを認識して、イメージを残す必要があるか否かを判断する必要があるので、読み取る必要のない帳票のイメージを取得しなければならないという問題がある。
【0004】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、帳票吸入部に載置された帳票を1枚ずつ分離して順次その帳票のイメージデータを読取るスキャナ部を備えた帳票読取装置において、読取り順位に対応させてそれぞれの帳票のイメージデータの読取要否を示す帳票読取制御情報を帳票から読取るスキャナ部と、前記スキャナ部で読取った帳票読取制御情報を認識して記憶部に記憶させる帳票読取制御情報認識手段と、前記スキャナ部が読取るそれぞれの帳票の読取り順位を計測する帳票順位計測手段と、前記帳票順位計測手段が計測した帳票の読取り順位を前記帳票読取制御情報認識手段が記憶部に記憶させた帳票読取制御情報と照合して該帳票のイメージデータの読取要否を判定する帳票読取要否判定手段とを設け、前記帳票読取要否判定手段が読取要と判定した読取り順位の帳票のイメージデータのみを前記スキャナ部で読取り、記憶部に記憶させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、読み取る必要がない帳票のイメージの取得を行わない動作が可能となり、読取りの効率が向上する。すなわち、読取る必要がない帳票が混在している場合であっても、その帳票を抜き取る作業が必要なく、操作者の作業負担を軽減することができるという効果が得られる。あるいは、読取る必要がない帳票を一旦読み取ってイメージデータを残すか否かを判断する必要がなく、読取りの処理効率を向上することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明による帳票読取装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は第1の実施例におけるデータエントリシステムの構成を示すブロック図、図2は第1の実施例における帳票読取装置の構成を示すブロック図である。
1は帳票読取装置であり、金融機関等の事務センタ等のセンタに設置されるものである。この帳票読取装置1は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の演算および制御手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、帳票を光学的に読取ってイメージデータを取得するスキャナやキーボード、マウス等の入力手段、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ等の表示手段および通信手段等を備えるものである。また、この帳票読取装置1は通信回線4を介して他の装置と相互に通信可能に接続されている。
【0009】
帳票読取装置1で読取る帳票は、例えば、各種届けを申し込む諸届け帳票、投資信託購入募集申込書等の投信帳票、および外貨預金申込書等であり、所定の形式を有するものとする。
なお、この帳票読取装置1の構成の詳細は後述する。
2は帳票識別装置であり、金融機関等の事務センタ等のセンタに設置され、帳票読取装置1で読取った帳票のイメージデータを帳票ID毎に分類するものである。この帳票識別装置2は、CPU、MPU等の演算および制御手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、キーボード、マウス等の入力手段、CRT、液晶ディスプレイ等の表示手段および通信手段等を備えるものである。また、この帳票識別装置2は通信回線4を介して帳票読取装置1等の他の装置と相互に通信可能に接続されている。
【0010】
3は帳票DB(データベース)サーバであり、金融機関等の事務センタ等のセンタに設置され、帳票識別装置2で分類された帳票のイメージデータを帳票の種類を識別するための情報である帳票IDと関連付けて記憶するサーバコンピュータである。この帳票DBサーバ3はCPU、MPU等の演算および制御手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段および通信手段等を備え、通信回線4を介して帳票読取装置1および帳票識別装置2等の他の装置と相互に通信可能に接続されている。
【0011】
5は帳票イメージ参照端末であり、金融機関等の営業店に設置され、通信回線4を介して接続されている帳票DBサーバ3に記憶された帳票のイメージデータを受信し、表示部に表示させることができるものである。この帳票イメージ参照端末5はCPU、MPU等の演算および制御手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段および通信手段等を備え、通信回線4を介して帳票読取装置1、帳票識別装置2、および帳票DBサーバ3等の他の装置と相互に通信可能に接続されている。
【0012】
6はPCであり、金融機関等の事務センタ等のセンタに設置された通常のパーソナルコンピュータである。このPC6は通信回線を介して帳票読取装置1と相互に通信可能に接続され、読取るべき帳票に記載された罫線や文字等の位置を識別するための識別パターン情報を帳票読取装置1へ送信することができるようになっている。帳票読取装置1は受信したその情報に基づいて帳票のイメージデータを読取るものとする。
【0013】
このようにデータエントリシステムは帳票読取装置1、帳票識別装置2、帳票DBサーバ3、通信回線4、帳票イメージ参照端末5、およびPC6等で構成されたものである。
図2は第1の実施例における帳票読取装置の構成を示すブロック図であり、図2にしたがって帳票読取装置1を説明する。
図2において、11は表示部であり、CRT、液晶ディスプレイ等の表示手段である。
【0014】
12は入力部であり、キーボード、マウス等の入力手段である。
13はスキャナ部であり、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等で構成され、帳票のイメージデータを読取るためのものである。このスキャナ部13は図示しない帳票吸入部に載置された帳票を図示しない帳票分離搬送手段により1枚ずつ分離して搬送し、その帳票のイメージデータを読取ることができるようになっている。すなわち、帳票吸入部に載置された複数の帳票を連続して読取ることができるようになっている。
【0015】
また、スキャナ部13は帳票の所定の位置に予め記載された帳票のイメージデータの読取り要否を制御するための帳票読取制御情報を読取ることができるようになっている。
14は記憶部であり、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段である。この記憶部14には帳票読取装置1全体の動作を制御する制御プログラム(ソフトウェア)やスキャナ部13で読取った帳票の枚数、読取ったそれぞれの帳票のイメージデータ等を記憶する。
【0016】
15は制御部であり、CPU等の演算および制御手段等で構成されたものである。この制御部15は表示部11、入力部12、スキャナ部13、記憶部14および通信回線4を介してその装置との間の通信を制御する図示しない通信部を含めて帳票読取装置1全体の動作を記憶部14に格納された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて制御する。
また、制御部15はスキャナ部13で読取る帳票の順位を計測する機能である帳票順位計測手段を有し、またそれぞれの帳票に記載された後述する帳票読取制御情報を文字として認識する文字認識機能である帳票読取制御情報認識手段も有している。ここで、帳票の順位とは、ある帳票がそのセット中の帳票群の何番目に読み取られたものかを示す情報である。
【0017】
上述した構成の作用について説明する。
なお、以下に説明する各実施例における各部の動作は、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶手段に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない中央処理装置等の制御手段により制御される。
まず、データエントリシステムの帳票読取り処理を図3の第1の実施例における帳票読取り処理の流れを示す説明図に基づいて説明する。
【0018】
図3において、帳票読取装置1は操作者の操作を受け付けて帳票20のイメージデータを読取る。ここで、帳票20は、例えば顧客1、顧客2、顧客3のように顧客毎に所定の枚数の帳票群を形成するように帳票読取装置1の帳票吸入部にまとめて載置され、帳票読取装置1の制御部15の指示によりスキャナ部13は1枚ずつ帳票20のイメージデータを読取るものとする。
【0019】
また、帳票読取装置1の記憶部14には、予めPC6により送信された識別パターン情報が記憶されているものとし、制御部15はこの識別パターン情報に基づいて帳票20のイメージデータをスキャナ部13に読取らせるものとする。
帳票20のイメージデータを読取ると帳票読取装置1の制御部15は通信回線4および通信部を介して帳票識別装置2へ読取った帳票20のイメージデータを送信する。
【0020】
帳票識別装置2は記憶手段である記憶部に予め記憶された帳票IDパターン情報に基づいて受信した帳票20のイメージデータを帳票ID毎に分類し、帳票DBサーバ3へ送信する。例えば、読取った帳票20の帳票IDが01〜09のイメージデータを帳票DBサーバ3a、帳票IDが11〜19のイメージデータを帳票DBサーバ3bへ送信するものとする。したがって、帳票IDが01の帳票20のイメージデータは帳票DBサーバ3aへ、帳票IDが12の帳票20のイメージデータは帳票DBサーバ3bへ送信される。
【0021】
帳票DBサーバ3は受信した帳票20のイメージデータを帳票IDに関連付けて記憶手段に記憶させる。
帳票20のイメージデータを帳票IDに関連付けて記憶手段に記憶させた帳票DBサーバ3は営業店の帳票イメージ参照端末5からの要求に応じて受信した帳票IDに基づいて記憶手段を検索して帳票20のイメージデータを抽出してその帳票イメージ参照端末5へ送信する。
【0022】
なお、帳票DBサーバ3は上述したように複数台設けることなく、1台の構成としてもよい。
このようにしてデータエントリシステムは帳票20のイメージデータを読取り、帳票DBサーバ3の記憶手段にそのイメージデータを記憶させる。
次に、帳票読取装置1が帳票20を読取る処理を図4の第1の実施例における帳票読取装置の帳票読取り処理の説明図、図5の第1の実施例における帳票読取制御情報の構成を示す説明図、および図6の第1の実施例における帳票読取り順序を示す説明図に基づいて説明する。
【0023】
図4において、帳票読取装置1が読取る帳票20には帳票読取制御情報21が予め所定の位置に印刷等されているものとする。
ここで、帳票読取制御情報21を説明する。
帳票読取制御情報21は図5(a)に示すように自己の帳票を識別するための帳票ID211(自己帳票ID)、顧客毎の帳票群の枚数を示す1セットの枚数212、およびイメージデータを読取る必要がある帳票IDならびに読取る必要がない帳票IDを示す読取要否213で構成されている。
【0024】
例えば、図5(b)に示すように帳票IDが“1”の帳票を示す帳票ID211は「1」、顧客毎の帳票群が5枚で構成されていることを示す1セットの枚数212は「5」、1枚目、3枚目、5枚目の帳票20を読取る必要があり、2枚目、4枚目の帳票20を読取る必要がないことを示す読取要否213は「R1N8R7N6R9」となる。
読取要否213のRは読取る必要があることを示し、Nは読取る必要がないことを示す。また、RまたはNの次の数字は帳票IDを示し、RまたはNの文字および帳票IDを示す数字を1組として読取る帳票の順序を示している。
【0025】
したがって、読取要否213が「R1N8R7N6R9」の場合、先頭2文字の「R1」で1枚目の帳票は読取る必要がありまたその帳票IDは1、次の2文字の「N8」で2枚目の帳票は読取る必要がなくまたその帳票IDは8、次の2文字の「R7」で3枚目の帳票は読取る必要がありまたその帳票IDは7、次の2文字の「N6」で4枚目の帳票は読取る必要がなくまたその帳票IDは6、次の2文字の「R9」で5枚目の帳票は読取る必要がありまたその帳票IDは9を示している。
【0026】
なお、帳票読取制御情報21はすべての帳票20に印刷等されているものとする。
図4に戻り、帳票読取装置1は1枚目の帳票20に記載された帳票読取制御情報21を読取り、読取った帳票読取制御情報21の1セットの枚数212および読取要否213にしたがって顧客毎の帳票群を読取る。
例えば、図6に示す帳票読取制御情報21が記載された10枚の帳票20を読取る動作は以下のようになる。
【0027】
まず、帳票読取装置1の制御部15の指示によりスキャナ部13は最初の帳票20である1枚目の帳票20に記載された帳票読取制御情報21を読取る。制御部15は読取った帳票読取制御情報21の帳票ID211から当該帳票IDは「1」、1セットの枚数212から帳票群は「5枚」、読取要否213から「1枚目、3枚目、5枚目の帳票20を読取る必要があり、2枚目、4枚目の帳票20は読取る必要がないこと」を認識して記憶部14に記憶させる。
【0028】
読取要否213から「1枚目、3枚目、5枚目の帳票20を読取る必要があり、2枚目、4枚目の帳票20は読取る必要がない」と判定する帳票読取装置1の帳票読取要否判定手段としての制御部15の指示によりスキャナ部13は帳票順位計測手段で1枚目と計測された帳票20のイメージデータを読取る。
次に、帳票読取装置1の制御部15の指示によりスキャナ部13は2枚目の帳票20に記載された帳票読取制御情報21を読取るが、制御部15(帳票読取要否判定手段)は既に読取った1枚目の帳票20に記載された帳票読取制御情報21にしたがい2枚目の帳票20のイメージデータをスキャナ部13で読取らない。
【0029】
次に、帳票読取装置1の制御部15の指示によりスキャナ部13は3枚目の帳票20に記載された帳票読取制御情報21を読取り、制御部15(帳票読取要否判定手段)は既に読取った1枚目の帳票20に記載された帳票読取制御情報21にしたがい3枚目の帳票20のイメージデータをスキャナ部13で読取る。
次に、帳票読取装置1の制御部15の指示によりスキャナ部13は4枚目の帳票20に記載された帳票読取制御情報21を読取るが、制御部15(帳票読取要否判定手段)は既に読取った1枚目の帳票20に記載された帳票読取制御情報21にしたがい4枚目の帳票20のイメージデータをスキャナ部13で読取らない。
【0030】
次に、帳票読取装置1の制御部15の指示によりスキャナ部13は5枚目の帳票20に記載された帳票読取制御情報21を読取り、制御部15(帳票読取要否判定手段)は既に読取った1枚目の帳票20に記載された帳票読取制御情報21にしたがい5枚目の帳票20のイメージデータをスキャナ部13で読取る。
このようにして顧客毎の5枚の帳票群を処理する。
【0031】
以降、6枚目、7枚目、8枚目、9枚目、10枚目の帳票20を上述した1枚目、2枚目、3枚目、4枚目、5枚目の帳票20と同様に処理し、6,8,10枚目を読取り、7,9枚目は読取らないようにする。
また、異常処理手段としての制御部15は帳票20を読取る動作において帳票詰まり等の異常に発生を検知した場合は、その異常の原因が除去され、異常の復旧が検知された後、帳票読取装置1は異常が発生した帳票20、すなわち異常の復旧が検知された後、最初の帳票20の帳票読取制御情報21を読取り、以降その帳票読取制御情報21にしたがって帳票20を読取るものとする。
【0032】
例えば、9枚目(1帳票群の中では4枚目)の帳票20を読取る動作で帳票詰まり等の異常が発生した場合、帳票読取装置1は再度9枚目の帳票読取制御情報21を読取り、9枚目の帳票20は読取る必要がないことを認識し、以降その帳票読取制御情報21にしたがって帳票群の中では5枚目である10枚目の帳票20を読取るものとする。
このようにして帳票読取装置1は読取る必要のない帳票20は読取ることなく、読取る必要のある帳票20だけを読取るようにすることができる。
【0033】
なお、本実施例では帳票20の読取順位に基づいて帳票20の読取要否を判定するようにしたが、帳票IDに基づいて読取要否を判定するようにしてもよい。
以上説明したように、第1の実施例では、帳票読取装置1は読取る必要のない帳票は読取ることなく、読取る必要のある帳票だけを読取るようにしたことにより、読取る必要がない帳票が混在している場合であっても、その帳票を抜き取る必要がなく、操作者の作業負担を軽減することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0034】
第2の実施例では読取る帳票20の順序の誤りがあった場合の帳票読取り処理を説明するが、第2の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同様なので同一の符号を付してその説明を省略する。
第2の実施例の構成の作用について、図7の第2の実施例における帳票読取り処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。
【0035】
まず、帳票読取装置1の記憶部14には、帳票20の帳票読取制御情報21に関わらず強制的に帳票20のイメージデータを読取る「強制読取モード」を記憶する領域が設けられているものとし、その「強制読取モード」は解除されるように初期化されているものとする。
S1:帳票読取装置1の制御部15の指示によりスキャナ部13は1枚の帳票20の帳票読取制御情報21を読取る。読取った帳票読取制御情報21は、例えば図8に示すように1枚目の帳票20であれば帳票ID211が「1」、1セットの枚数212が「5」、および読取要否213が「R1N8R7N6R9」となっている。
【0036】
S2:制御部15は記憶部14に記憶した「強制読取モード」を読取り、強制読取モードであるか否かを判定する。その結果、強制読取モードであると判定されると処理をS9へ移行し、強制読取モードでないと判定されると処理をS3へ移行する。
S3:帳票順位誤り判定手段としての制御部15は読取った帳票読取制御情報21から読取る帳票20の順序に誤りがあるか否かを判定する。
【0037】
ここで、制御部15は読取る帳票20の順序を読取った帳票読取制御情報21の読取要否213から認識する。例えば、図8に示すように読取要否213が「R1N8R7N6R9」の場合、1枚目の帳票IDは「1」、2枚目の帳票IDは「8」、3枚目の帳票IDは「7」、4枚目の帳票IDは「6」、5枚目の帳票IDは「9」であると認識する。
一方、読取った帳票20の帳票IDは帳票読取制御情報21の帳票ID211で認識することができる。
【0038】
したがって、制御部15(帳票順位誤り判定手段)は読取った帳票20の帳票ID211が読取要否213の順序になっているか否かを判定する。
図8に示すように、制御部15は8枚目に読取った帳票20の帳票読取制御情報21の帳票ID211から帳票IDが「6」であると認識し、また読取要否213から8枚目(1帳票群の中では3枚目)に読取るべき帳票IDは「7」であると認識する。しかし、読取った帳票IDが「6」であるため、読取るべき帳票IDは「7」と異なることから制御部15は読取る順序に誤りがあると判定する。
【0039】
読取った帳票20の順序に誤りがあると判定すると処理をS4へ移行し、誤りがないと判定すると処理をS5へ移行する。
S4:読取った帳票20の順序に誤りがあると判定すると制御部15は記憶部14に「強制読取モード」を記憶させて強制読取モードを設定し、処理をS9へ移行する。
S5:一方、読取った帳票20の順序に誤りがないと判定すると制御部15は読取要否213から当該帳票20のイメージデータを読取る必要があるか否かを判定する。その結果、読取る必要があると判定すると処理をS6へ移行し、読取る必要がないと判定すると処理をS7へ移行する。
【0040】
S6:次に、制御部15の指示によりスキャナ部13は帳票20のイメージデータを読取る。
S7:制御部15は帳票読取制御情報21を読取った帳票20の枚数が1セットの枚数212に達したか否か、すなわち1セットの帳票20を処理したか否かを判定する。その結果、終了していないと判定すると処理をS1へ移行して次の帳票20を処理し、終了していると判定すると処理をS8へ移行する。
【0041】
S8:制御部15は帳票吸入部に載置された帳票20が存在するか否か、すなわちすべての帳票20の処理が終了したか否かを判定する。すべての帳票20の処理が終了したと判定すると帳票読取処理を終了し、すべての帳票20の処理が終了していないと判定すると処理をS1へ移行して次の帳票20を処理するようにする。
S9:強制読取モードが設定されている場合、帳票20の帳票読取制御情報21に関わらず制御部15の指示によりスキャナ部13は帳票20のイメージデータを読取る。制御部15は読取った帳票20のイメージデータを帳票IDと関連付けて記憶部14に記憶させる。
【0042】
S10:帳票20のイメージデータを読取ると帳票順位復旧検知手段としての制御部15は読取った帳票読取制御情報21の帳票ID211および読取要否213から次に読取るべき帳票IDか否かを判定する。
例えば、図8に示すように8枚目の帳票20で読取順序の誤りを検出した場合、制御部15は8枚目(1帳票群の中では3枚目)に読取るべき帳票IDは読取要否213から「7」であると認識し、読取った帳票読取制御情報21の帳票ID211が「7」であるか否かを判定する。図8においては9枚目に読取った帳票読取制御情報21の帳票ID211が「7」であるため、次に読取るべき帳票IDである(すなわち8枚目で読み取るべきであった帳票IDである)と判定する。
【0043】
その結果、次に読取るべき帳票IDであると判定すると処理をS11へ移行し、次に読取るべき帳票IDでないと判定すると処理をS14へ移行する。
S11:次に読取るべき帳票IDであると判定すると制御部15は記憶部14に記憶した「強制読取モード」を初期化して強制読取モードを解除する。
S12:強制読取モードを解除すると制御部15は読取った帳票読取制御情報21の読取要否213から記憶部14に帳票IDと関連付けて記憶させた帳票20のイメージデータを消去する必要があるか否かを判定する。
【0044】
読取要否213から読取る必要のない帳票ID(すなわち当該セットの読取要否213においてNの後に示されたID)のイメージデータが記憶部14に記憶されている場合、消去する必要があると判断する。
帳票20のイメージデータを消去する必要があると判定すると処理をS13へ移行し、必要がないと判定すると処理をS7へ移行する。
【0045】
S13:帳票20のイメージデータを消去する必要があると判定すると制御部15は帳票読取制御情報21の読取要否213にしたがって記憶部14に記憶させた帳票20のイメージデータのうち読取不要な帳票IDのイメージデータを消去して処理をS7へ移行する。
S14:S10において次に読取るべき帳票IDでないと判定すると制御部15は読取った帳票読取制御情報21の帳票ID211および読取要否213から読取った帳票IDが読取要否213に存在するか否か、すなわち読取り対象外の帳票IDであるか否かを判定する。
【0046】
その結果、対象外であると判定されると規定外の帳票を読取ったとして処理をS16へ移行し、対象外でないと判定されると処理をS15へ移行する。
S15:制御部15は帳票読取制御情報21を読取った帳票20の枚数が1セットの枚数212に達したか否か、すなわち1セットの帳票20を処理したか否かを判定する。その結果、終了していないと判定すると処理をS7へ移行し、終了していると判定すると読取るべき帳票IDが現れなかったとして処理をS16へ移行する。
【0047】
S16:制御部15は異常を検知したとしてその旨を表示部11に表示させるとともに動作を停止し、帳票読取り処理を異常終了させる。
このように帳票読取装置1は読取る帳票の順序の誤りを検知した場合、帳票の読取り順序で帳票のイメージデータの読取要否を判定することが不可能になるため、帳票IDで帳票のイメージデータの読取要否を判定する処理を行い、読取る帳票の順序が誤った状態で帳票吸入部に載置された場合であっても、読取る必要のない帳票は読取ることなく、読取る必要のある帳票だけを読取ることができる。
【0048】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、読取る帳票の順序が誤った状態で帳票吸入部に載置された場合であっても、帳票読取装置1は読取る必要のない帳票は読取ることなく、読取る必要のある帳票だけを読取るようにすることができ、さらに操作者の作業負担を軽減することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の実施例におけるデータエントリシステムの構成を示すブロック図
【図2】第1の実施例における帳票読取装置の構成を示すブロック図
【図3】第1の実施例における帳票読取り処理の流れを示す説明図
【図4】第1の実施例における帳票読取装置の帳票読取り処理の説明図
【図5】第1の実施例における帳票読取制御情報の構成を示す説明図
【図6】第1の実施例における帳票読取り順序を示す説明図
【図7】第2の実施例における帳票読取り処理を示すフローチャート
【図8】第2の実施例における帳票読取り順序を示す説明図
【符号の説明】
【0050】
1 帳票読取装置
2 帳票識別装置
3 帳票DBサーバ
4 通信回線
5 帳票イメージ参照端末
6 PC
11 表示部
12 入力部
13 スキャナ部
14 記憶部
15 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帳票吸入部に載置された帳票を1枚ずつ分離して順次その帳票のイメージデータを読取るスキャナ部を備えた帳票読取装置において、
読取り順位に対応させてそれぞれの帳票のイメージデータの読取要否を示す帳票読取制御情報を帳票から読取るスキャナ部と、
前記スキャナ部で読取った帳票読取制御情報を認識して記憶部に記憶させる帳票読取制御情報認識手段と、
前記スキャナ部が読取るそれぞれの帳票の読取り順位を計測する帳票順位計測手段と、
前記帳票順位計測手段が計測した帳票の読取り順位を前記帳票読取制御情報認識手段が記憶部に記憶させた帳票読取制御情報と照合して該帳票のイメージデータの読取要否を判定する帳票読取要否判定手段とを設け、
前記帳票読取要否判定手段が読取要と判定した読取り順位の帳票のイメージデータのみを前記スキャナ部で読取り、記憶部に記憶させるようにしたことを特徴とする帳票読取装置。
【請求項2】
請求項1の帳票読取装置において、
前記帳票読取制御情報認識手段は、前記スキャナ部で最初の帳票から読取った帳票読取制御情報を記憶部に記憶させるようにしたことを特徴とする帳票読取装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の帳票読取装置において、
帳票の詰まり等の異常が発生したことおよびその異常が復旧したことを検知する異常処理手段を設け、
前記異常処理手段が発生した異常の復旧を検知したとき、前記帳票読取制御情報認識手段は、前記異常処理手段で異常の復旧を検知した帳票から読取った帳票読取制御情報を記憶部に記憶させるようにしたことを特徴とする帳票読取装置。
【請求項4】
請求項1の帳票読取装置において、
自帳票を識別するための自己帳票IDと、読取り順位に対応させてそれぞれの帳票を識別するための帳票IDと、その読取り順位ならびに該帳票IDに対応させてそれぞれの帳票のイメージデータの読取要否とを示す帳票読取制御情報を帳票から読取るスキャナ部と、
前記帳票読取制御情報認識手段が記憶部に記憶させた帳票読取制御情報の自己帳票IDを前記帳票順位計測手段が計測した帳票の読取り順位に対応した前記帳票読取制御情報の帳票IDと照合して帳票読取順位の誤りを検知する帳票順位誤り検知手段とを設け、
前記帳票順位誤り検知手段で帳票読取順位の誤りを検知したとき、前記帳票読取要否判定手段が、帳票の読取り順位にかかわらず前記帳票読取制御情報の帳票IDに基づいて帳票の読取要否を判定するようにしたことを特徴とする帳票読取装置。
【請求項5】
請求項4の帳票読取装置において、
前記帳票順位誤り検知手段で帳票読取順位の誤りを検知した後、前記スキャナ部がそれぞれの帳票のイメージデータを強制的に読取り記憶部に記憶させるようにしたことを特徴とする帳票読取装置。
【請求項6】
請求項5の帳票読取装置において、
前記帳票読取制御情報認識手段が記憶部に記憶させた帳票読取制御情報の自己帳票IDを前記帳票順位計測手段が計測した帳票の読取り順位に対応した前記帳票読取制御情報の帳票IDと照合して帳票読取順位の復旧を検知する帳票順位復旧検知手段とを設け、
前記帳票順位復旧検知手段で帳票読取順位の復旧を検知した後、前記スキャナ部が強制的に読取り記憶部に記憶させたそれぞれの帳票のイメージデータから前記帳票読取制御情報の帳票IDに基づいて帳票の読取が不要と判定された帳票IDのイメージデータを消去するようにしたことを特徴とする帳票読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−64227(P2009−64227A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231369(P2007−231369)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】