説明

常圧焼結中に粒子の結晶成長を阻止するための、セラミック膜中への阻止剤の添加

使用温度において酸化物イオン空孔を有する結晶格子の形態、より具体的には、立方相、ホタル石相、オーリビリウスタイプのペロブスカイト相、褐色針ニッケル鉱相またはパイロクロア相の形態にある、ドープされたセラミック酸化物から選ばれる複合電子/酸素O2−アニオン伝導性化合物(C)少なくとも75vol%、および
酸化物タイプのセラミック、非酸化物タイプのセラミック、金属、金属合金またはこれらタイプの物質の混合物から選ばれる、化合物(C)とは異なる化合物(C)0.01〜25vol%、および式:xFc1+yFc2→zFc3(式中、Fc1、Fc2およびFc3は、化合物C、CおよびCそれぞれの実験式を表し、x、yおよびzは、0以上の比の数値を表す)により表される少なくとも1の化学反応から生成する化合物(C)0vol%〜2.5vol%を含む複合物(M)。本発明は、複合物の製造方法、並びにメタンまたは天然ガスの接触酸化により合成ガスの合成のために使用することが意図された触媒膜反応器用の複合伝導性複合物としての、および/または空気から酸素を分離するために使用することが意図されたセラミック膜のための複合伝導性複合物としてのその使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明の主題は、複合電子/O2−アニオン伝導性複合物、その製造方法、および特にメタンまたは天然ガスの改質による合成ガスの製造のために意図された触媒膜反応器における固体電解質としてのその使用である。
【0002】
セラミックから作られた、以下CMRと呼ぶ触媒膜反応器は、イオンの形態にある酸素のセラミック中の拡散と、膜の表面に堆積された触媒サイト(Niまたは貴金属粒子)上での酸素と天然ガス(主にメタン)との化学反応により、空気から酸素を分離するために使用される。GTL(Gas To Liquid)プロセスによる合成ガスの液体燃料への変換は、H/COモル比2を要求する。この2という比は、CMRを含むプロセスにより直接得ることができる。
【0003】
しかしながら、セラミックは性質が脆く、ミクロ構造(粒子の形状およびサイズ、二次相、多孔度)に直接依存する機械的特性を有する。他の全てのものが同じであると、CMRとして使用されるセラミックの機械的強度は、セラミックを構成する粒子のサイズが減少すると、増加する。粒子のサイズは、温度下での操作中に増大し得、システムの寿命を制限させ得る。様々な刊行物が、この寿命を改善することを意図した解決策を開示している。
【0004】
米国特許US5306411およびUS5478444は、電子伝導性物質とイオン伝導性物質の混合物からなり、複合伝導性の固体電解質を構成する複合物を開示している。
【0005】
米国特許US5911860は、複合またはイオン伝導体と、複合伝導体と異なる化学的性質を有する成分、好ましくは0〜20wt%の含有率を有する金属とから本質的になる物質を開示している。この刊行物は、焼結中の該物質のクラック発生を制限し、かくして、その触媒効率を改善しながらその機械的特性を向上させるために、二次相の必要性を強調している。
【0006】
米国特許US6187157は、複合イオン/電子伝導性相またはイオン伝導性相だけと、当該物質の触媒特性を改善するための第2の電子伝導性相を含む多相システムを開示している。二次相は、一般に、金属系であり、物質の体積の13%を占めている。
【0007】
米国特許US6332964は、MCeO,MZrOタイプ(M:ランタニド族)のイオン伝導性の複合金属酸化物または複合伝導性の金属酸化物(LaSrGaMgO)を含む相と、電子伝導性を有する第2の相(金属、金属合金またはLaSrMO(ここで、M=遷移金属)タイプの複合酸化物)からなり、第2の相がマトリックスの1〜30vol%であるところの緻密膜または多孔質支持体を開示している。米国特許出願US2002/0022568は、高い複合伝導性、低い熱膨張係数および改善された機械的特性を有する、式Ln1−xSrCax−yMO3−δ(Ln:ランタニド族およびイットリウム、またはそれらの混合物;M:遷移金属または遷移金属の混合物)の物質を開示している。米国特許US6471921は、二次相が伝導に有意に関与しないが物質の機械的特性を増大させるところの複合伝導性多相物質を開示している。二次相は、複合伝導体を合成するために用いた前駆体の化学量論的混合からの離反により生じたものであり、従って、当該反応の副生成物である。二次相の含有率は、0.1〜20wt%である。主要物質は、構造AA’x’A”(2−x−x’)B’y’B”(2−y−y’)5+zの褐色針ニッケル鉱(brown-mullerite)相であり、二次相は、組成(A,A’)(B,B’)O、A’(B,B’)O、(A,A’)(B,B’) … 等を有する。これらの全ての二次相は、該物質を合成するための反応から生じる。これらは、該物質の生成前には添加されない。
【0008】
本出願人は、1ミクロンに近いサイズを持つ粒子を有し、それにより高くかつ永続的な機械的特性を保証する微細で均一な構造を有する複合物を開発しようと努めてきた。
【0009】
それゆえ、第1の側面によると、本発明の1つの主題は、使用温度において酸化物イオン空孔を有する結晶格子の形態、より具体的には、立方相、ホタル石相、オーリビリウス(aurivillius)タイプのペロブスカイト相、褐色針ニッケル鉱相またはパイロクロア相の形態にある、ドープされたセラミック酸化物から選ばれる複合電子/酸素O2−アニオン伝導性化合物(C)少なくとも75vol%、および
酸化物タイプのセラミック、非酸化物タイプのセラミック、金属、金属合金またはこれらのタイプの物質の混合物から選ばれる、化合物(C)とは異なる化合物(C)0.01〜25vol%、および
式:
xFc1 + yFc2 → zFc3
(式中、Fc1、Fc2およびFc3は、化合物C、CおよびCそれぞれの実験式を表し、x、yおよびzは、0以上の比の数値を表す)により表される少なくとも1の化学反応から生成する化合物(C)0vol%〜2.5vol%
を含む複合物(m)である。
【0010】
以下の記述において、化合物(C)は、本発明による複合物中におけるその存在がその製造方法の1またはそれ以上の工程中における化合物(C)の粒子の結晶成長を阻止するという点で、しばしば阻止剤と称される。阻止剤の粒子は、粒子が等軸の形状であれ、5μm以下の長さを有する針状の粒子であれ、好ましくは、0.1μm〜5μmの範囲の、好ましくは1μm未満の直径を有する球の範囲内にあり得る形状を有する。
【0011】
「化合物(C)または(C)」という表現は、上に規定する組成物が、
− 単一種の化合物(C)と混合された1の化合物(C)、または
− 単一種の化合物(C)と混合された複数種の化合物((C)の組合せ、または
− 複数種の化合物(C)の組合せと混合された1の化合物(C)、または
− 複数種の化合物(C)の組合せと混合された複数種の化合物(C)の組合せ
のいずれかを含み得ることを意味する。
【0012】
本発明による組成物の定義において、「体積割合」とは、最終複合物における体積割合を意味するものと解釈される。
【0013】
本発明の第1の好ましい態様によると、複合物中の化合物(C)の体積割合は、1.5%を超えず、より特には、それは0.5体積%を超えない。
【0014】
この好ましい態様の1つの特定の側面によると、化合物(C)は、操作温度を含み室温〜焼結温度の温度範囲にわたって、化合物(C)に対し化学的に不活性であり、化合物(C)の体積割合は、0に至る。
【0015】
本発明の第2の好ましい側面によると、化合物(C)の体積割合は、0.1%以上であるが、10%を超えず、より特には、化合物(C)の体積割合は、5%を超えないが、1%以上である。
【0016】
上に規定する複合物において、化合物(C)は、主に、
− 例えば酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、複合ストロンチウム・アルミニウム酸化物SrAlまたはSrAl、例えばBaTiOもしくはCaTiOのようなペロブスカイト構造の複合酸化物、より特には、例えばLa0.5Sr0.5Fe0.9Ti0.13−δまたはLa0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δのような構造ABO3−δを有するもののような酸化物タイプのセラミックから、または
− 非酸化物(炭化物、窒化物、ホウ化物)タイプの物質、例えば、炭化ケイ素(SiC)または窒化ホウ素(BN)から、または
− 金属、例えばニッケル、白金、パラジウムまたはロジウムから
選ばれる。
【0017】
上に規定する組成物の第1の特定の側面によると、化合物(C)は、式(I):
(R1−x(R (I)
(ここで、
は、主としてビスマス(Bi)、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、トリウム(Th)、ガリウム(Ga)およびハフニウム(Hf)から選ばれる、少なくとも1の3価または4価の原子を表し、aおよびbは、構造Rが電気的に中性となるようなものであり、
は、主としてマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、ガドリニウム(Gd)、スカンジウム(Sc)、イッテルビウム(Yb)、イットリウム(Y)、サマリウム(Sm)、エルビウム(Er)、インジウム(In)、ニオブ(Nb)およびランタン(La)から選ばれる、少なくとも1の2価または3価の原子であり、cおよびdは、構造Rが電気的に中性となるようなものであり、
xは、一般的に、0.05〜0.30であり、より特には、0.075〜0.15である)で示される酸化物から選ばれる。
【0018】
式(I)の酸化物の例には、セリウム安定化酸化物、ガレート(gallate)およびジルコニアが含まれる。
【0019】
この第1の特定の側面によると、化合物(C)は、好ましくは、式(Ia):
(ZrO1−x(Y (Ia)
(ここで、xは、0.05〜0.15である)で示される安定化ジルコニアから選ばれる。
【0020】
上に規定する複合物の第2の特定の側面によると、化合物(C)は、式(II):
[Ma1−x−uMa’Ma”][Mb1−y−vMb’Mb”]O3−w (II)
(ここで、
Maは、スカンジウム、イットリウムから、またはランタニド、アクチニドまたはアルカリ土類金属の族から選ばれる原子を表し、
Ma’は、Maと異なり、スカンジウム、イットリウムから、またはランタニド、アクチニドまたはアルカリ土類金属の族から選ばれる原子を表し、
Ma”は、MaおよびMa’と異なり、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)から、またはアルカリ土類金属の族から選ばれる原子を表し、
Mbは、遷移金属から選ばれる原子を表し、
Mb’は、Mbと異なり、遷移金属、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、鉛(Pb)およびチタン(Ti)から選ばれる原子を表し、
Mb”は、MbおよびMb’と異なり、遷移金属、アルカリ土類金属、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、鉛(Pb)およびチタン(Ti)から選ばれる原子を表し、
0<x≦0.5であり、
0≦u≦0.5であり、
(x+u)≦0.5であり、
0≦y≦0.9であり、
0≦v≦0.9であり、
0≦(y+v)≦0.9であり、
wは、当該構造が電気的に中性となるようなものである)で示されるペロブスカイトから選ばれる。
【0021】
この第2の特定の側面によると、化合物(C)は、より特には、uがゼロに等しい式(II)の化合物、あるいはuがゼロと異なる式(II)の化合物、あるいは合計(y+v)がゼロに等しい式(II)の化合物、あるいは合計(y+v)の合計がゼロと異なる式(II)の化合物から選ばれる。
【0022】
上に規定する式(II)において、Maは、より特には、La、Ce、Y、Gd、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる。この場合、化合物(C)は、好ましくは、Maがランタン原子を表すところの式(II)に相当する式(IIa):
La(1−x−u)Ma’Ma”Mb(1−y−v)Mb’Mb”3−δ (IIa)
で示される化合物である。
【0023】
上に規定する式(II)において、Ma’は、より特には、La、Ce、Y、Gd、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる。この場合、化合物(C)は、好ましくは、Ma’がストロンチウム原子を表すところの式(II)に相当する式(IIb):
Ma(1−x−u)SrMa”Mb(1−y−v)Mb’Mb”3−δ (IIb)
で示される化合物である。
【0024】
上に規定する式(II)において、Mbは、より特には、Fe、Cr、Mn、Co、NiおよびTiから選ばれる。この場合、化合物(C)は、好ましくは、Mbが鉄原子を表すところの式(II)に相当する式(IIc):
Ma(1−x−u)Ma’Ma”Fe(1−y−v)Mb’Mb”3−δ (IIc)
で示される化合物である。
【0025】
上に規定する式(II)において、Mb’は、より特には、Co、Ni、TiおよびGaから選ばれ、他方Mb”は、より特には、TiおよびGaから選ばれる。
【0026】
この場合、化合物(C)は、好ましくは、u=0、y=0であり、Mbが鉄原子を表し、Maがランタン原子を表し、Ma’がストロンチウム原子を表すところの式(II)に相当する式(IId):
La(1−x)SrFe(1−v)Mb”3−δ (IId)
で示される化合物である。上に規定する式(II)において、Ma”は、より特には、Ba、Ca、AlおよびGaから選ばれる。本発明による複合物において、化合物(C)は、より特には、式:
La(1−x−u)SrAlFe(1−v)Ti3−δ
La(1−x−u)SrAlFe(1−v)Ga3−δ
La(1−x)SrFe(1−v)Ti3−δ
La(1−x)SrTi(1−v)Fe3−δ
La(1−x)SrFe(1−v)Ga3−δ、または
La(1−x)SrFeO3−δ
で示される化合物であり、より特には、次の化合物:
La0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δ、または
La0.5Sr0.5Fe0.9Ti0.13−δ
である。
【0027】
本発明による複合物において用いて好ましい式(II)のペロブスカイトタイプの結晶構造を有する化合物の中には、式(II’):
Ma(a)(1−x−u)Ma’(a−1)Ma”(a”)Mb(b)(1−s−y−v)Mb(b+1)Mb’(b+β)Mb”(b”)3−δ (II’)
(式(II’)において、
a、a−1、a”、b、(b+1)、(b+β)およびb”は、それぞれ、Ma、Ma’、Ma”、Mb、Mb’およびMb”原子の原子価を表す数値であり、a、a”、b、b”、β、x、y、s、u、vおよびδは、結晶格子の電気的中性が保存されるようなものであり、
a>1であり、
a”、bおよびb”は、ゼロよりも大きく、
−2≦β≦2であり、
a+b=6であり、
0<s<xであり、
0<x≦0.5であり、
0≦u≦0.5であり、
(x+u)≦0.5であり、
0≦y≦0.9であり、
0≦v≦0.9であり、
0≦(y+v+s)≦0.9であり、
[u(a”−a)+v(b”−b)−x+s+βy+2δ]=0であり、
δmin<δ<δmax
(ここで、
δmin=[u(a−a”)+v(b−b”)−βy]/2であり、
δmax=[u(a−a”)+v(b−b”)−βy+x]/2である)であり、
Ma、Ma’、Ma”、Mb、Mb’およびMb”は、上記定義のとおりであり、Mbは、2つ以上の原子価で存在し得る遷移金属から選ばれる原子を表す)で示されるものがある。
【0028】
上に規定する物質の第3の特定の側面によると、化合物(C)は、式(III):
[Mc2−xMc’][Md2−yMd’]O6−w (III)
(ここで、
Mcは、スカンジウム、イットリウムから、またはランタニド、アクチニドおよびアルカリ土類金属の族から選ばれる原子を表し、
Mc’は、Mcと異なり、スカンジウム、イットリウムから、またはランタニド、アクチニドおよびアルカリ土類金属の族から選ばれる原子を表し、
Mdは、遷移金属から選ばれる原子を表し、
Md’は、Mdと異なり、遷移金属、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、鉛(Pb)およびチタン(Ti)から選ばれる原子を表し、
xおよびyは、0以上、2以下であり、wは、当該構造が電気的に中性となるようなものである)で示される褐色針ニッケル鉱族の物質から選ばれる。
【0029】
本発明による物質のこの第3の特定的側面によると、化合物(C)は、より特には、式(IIIa):
[Mc2−xLa][Md2−yFe]O6−w (IIIa)
で示される化合物、
式(IIIb):
[Sr2−xLa][Ga2−yMd’]O6−w (IIIb)
で示される化合物、および
より特には、式(IIIc):
[Sr2−xLa][Ga2−yFe]O6−w (IIIc)
で示される化合物であり、例えば、式:
Sr1.4La0.6GaFeO5.3
Sr1.6La0.4Ga1.2Fe0.85.3
Sr1.6La0.4GaFeO5.2
Sr1.6La0.4Ga0.8Fe1.25.2
Sr1.6La0.4Ga0.6Fe1.45.2
Sr1.6La0.4Ga0.4Fe1.65.2
Sr1.6La0.4Ga0.2Fe1.85.2
Sr1.6La0.4Fe5.2
Sr1.7La0.3GaFeO5.15
Sr1.7La0.3Ga0.8Fe1.25.15
Sr1.7La0.3Ga0.6Fe1.45.15
Sr1.7La0.3Ga0.4Fe1.65.15
Sr1.7La0.3Ga0.2Fe1.85.15
Sr1.8La0.2GaFeO5.1
Sr1.8La0.2Ga0.4Fe1.65.1、または
Sr1.8La0.2Ga0.2Fe1.85.1
の化合物である。
【0030】
本発明の1つのより特定的な側面によると、その主題は、化合物(C)が式:
La0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δ、または
La0.5Sr0.5Fe0.9Ti0.13−δ
の化合物から選ばれ、化合物(C)が、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al)、複合ストロンチウム・アルミニウム酸化物SrAlおよび複合バリウム・チタン酸化物(BaTiO)から選ばれるところの、上に規定する複合物である。
【0031】
後者の特定的側面によると、2〜10vol%の酸化マグネシウム(MgO)、および90〜98vol%のLa0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δを含む複合物が好ましい。
【0032】
第2の側面によると、本発明の他の主題は、反応混合物を取り囲むガス雰囲気の酸素分圧(pO)を制御しながら、化合物(C)および化合物(C)の粉末混合物を焼結する少なくとも1つの工程を含むことを特徴とする上に定義する複合物を製造する方法である。
【0033】
上に規定する方法において、複合物の焼結温度は、800℃〜1500℃、好ましくは1000℃〜1350℃である。
【0034】
焼結は、一般に競合関係にある2つの同時の現象、すなわち、多孔の除去による物質の緻密化と、粒子成長を含む。複合伝導体としての使用のために、物質の緻密化を最大化させなければならない場合、粒子成長は、その機械的特性にとって有害であり得る。従って、焼結工程は、粒子成長を最小限に抑えながら部品の緻密化をもたらすように適合させねばならない。しかしながら、使用する物質の性質または課された焼結条件に依存して、これら2つの条件を満足することは困難である。複合伝導体中の適切な量の化合物(C)の存在は、伝導体(C)の結晶成長を制限または防止さえしながら、満足できる緻密化を確実にする。
【0035】
上に規定する方法は、より具体的には、焼結工程が0.1Pa以下の酸素分圧を有するガス雰囲気中で行われるように用いられる。
【0036】
他の特定の側面によると、上に規定する方法は、化合物(C)および化合物(C)の粉末混合物が、焼結工程前に、成形工程およびその後のバインダー除去工程に供されることを特徴とする。
【0037】
他の側面によると、本発明の他の主題は、上に規定する複合物を、メタンまたは天然ガスの接触酸化により合成ガスの合成のために使用することが意図された、触媒膜反応器用の複合伝導性複合物として、および/または空気から酸素を分離するために使用することが意図されたセラミック膜のための複合伝導性複合物として用いることである。
【0038】
本発明の最後の主題は、触媒膜反応器の製造における焼結工程中に複合電子/酸化物イオン伝導性化合物の粒子の結晶成長を阻害および/または制御するための方法であって、75〜99.99vol%の複合伝導体(C)を、0.01〜25vol%の化合物(C)と混合する事前工程を含むことを特徴とする方法である。
【0039】
上に規定する方法の好ましい側面によると、該方法は、90〜98vol%のLa0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δを2〜10vol%の酸化マグネシウム(MgO)と混合する事前工程を含む。
【0040】
実験の部
多相複合物の製造
阻止剤は、一般に、高純度の市販の粉末から、または粉末混合物から得られる。これは、また、適切な方法で混合し、均質化された酸化物および/または硝酸塩および/または炭酸塩前駆体から合成することができる。次に、所望の複合物を反応させ、生成させるために(これはX線回折によりチェックされる)、この前駆体混合物を800℃〜1400℃の高温でか焼する。必要なら、粒子サイズ分布を狭め、粒子サイズを、例えば0.5μmまで、減少させるために、前駆体粉末を、好ましくはアトリションミリングによる、ミリング処理に供する。マトリックス(C)中の粒子(C)の均一な混合物からなる複合物を成形する工程、およびバインダーの除去工程は、複合(C)伝導体のみについてのものと同じである。
【0041】
上記高温熱処理は、一般に、焼結を促進する阻止剤の存在に適合される。
【0042】
例1:MgO(5vol%)/La0.5Sr0.5Fe0.9Ti0.13−δ(95vol%)セラミック膜
提示する本例は、5vol%のマグネシア(MgO)(化合物C)と95vol%のセラミックLa0.5Sr0.5Fe0.9Ti0.13−δ(化合物C)からなる、上記プロトコールによるブレンドである。焼結は、窒素中、1150℃で1.5時間行った。
【0043】
図1は、操作型電子顕微鏡により得られた、2つの異なる倍率(図1a:×8000、図1b:×10000)の2つの画像を示す。これらの画像は、MgO粒子がマトリックス内に均一に分布し、1μm未満のサイズを有することを示している。La0.5Sr0.5Fe0.9Ti0.13−δ粒子は全て2μmよりも小さい。
【0044】
MgOを含まず、同一条件(窒素中、1150℃で1.5時間)で焼結したLa0.5Sr0.5Fe0.9Ti0.13−δ膜は、2〜3μmの粒子サイズを有していた。
【0045】
図2は、EDS分析により得られた、該膜の構成元素のマップを示す。全ての元素が均一に分布していることがわかる。これらのマップは、La0.5Sr0.5Fe0.9Ti0.13−δに対するMgO阻止剤の化学的非反応性を明らかに立証している。
【0046】
例2:MgO(5vol%)/La0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δ(95vol%)セラミック膜
提示する本例は、5vol%のマグネシア(MgO)(化合物C)と95vol%のセラミックLa0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δ(図において、LSFGと略す;化合物C)からなる、上記プロトコールによるブレンドである。焼結は、窒素中、1235℃で2時間行った。
【0047】
図3は、窒素中、1200℃で2,3時間か焼した後、いずれの新化合物においても、MgO(40vol%)/La0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δ(60vol%)ブレンドが生じなかったことを示している。このX線回折図は、MgO阻止剤とLa0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δセラミックマトリックスとの間に化学的反応がないことをX線回折により立証している。
【0048】
図4は、窒素中、1200℃で2,3時間か焼した後、いずれの新化合物においても、BaTiO(40vol%)/La0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δ(60vol%)ブレンドが生じなかったことを示している。このX線回折図は、BaTiO阻止剤とLa0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δセラミックマトリックスとの間に化学的反応がないことをX線回折により立証している。
【0049】
図5は、阻止剤を含まない複合物の二次電子SEM写真(倍率:×3000;粒子サイズ2〜10μm)である。焼結工程は、窒素中、1235℃で2時間行った(先行技術の複合物)。
【0050】
図6は、阻止剤として5vol%の酸化マグネシウムを含有するLa0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δ複合物の二次電子SEM写真(倍率:×20000;粒子サイズ0.1〜1μm)である。焼結工程は、窒素中、1235℃で2時間行った。
【0051】
図7は、阻止剤として5vol%の酸化マグネシウムを含有するLa0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δ複合物の二次電子SEM写真(倍率:×50000;粒子サイズ0.2〜1.6μm)である。焼結工程は、窒素中、1300℃で2時間行った。
【0052】
例3:膜の酸素透過性に対する、La0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δ中の酸化マグネシウム(MgO)の存在の影響
a)試料の調製
LSFGおよびMgO粉末を秤量し、(100−x)vol%のLSFGおよびxvol%のMgO(x=0、2、5)を含む組成物を得るために、異なる体積割合で混合した。
【0053】
T.カルチエ(Chartier)によるジ・エンサイクロペディア・オブ・アドバンスト・マテリアルズ(The Encyclopedia of Advanced Materials),4巻、パーマゴン(Pergamon)1994、ケンブリッジ、2763−2767に記載されているテープキャスト方を用い、これらの組成物(LSFG(x=0);LSFG/2M(x=2);LSFG/5M(x=5))から、約1mmの厚さおよび3.1cmの面積を有する緻密な膜を調製した。ここで、バインダーの除去工程は、遅い加熱速度を用いて行い、焼結工程は、90%窒素/10%酸素雰囲気中、1250℃〜1350℃で2時間行った。透過率の測定は、チューブ炉およびガス供給並びに分析器(ガスクロマトグラフィー−YSZ系酸素プローブ)からなる図8に示す装置を用いて行った。
【0054】
純(LSFG)相および複合(LSFG/2M;LSFG/5M)相の緻密な膜をアルミナチューブの頂部に取り付け、チューブの内側と外側の間のシールは、支持チューブと巻くとの間に配置されたガラスリングと、膜を所定の場所に保持し、上から圧力をかけるためのアルミナキャップとにより行った。
【0055】
装置全体をチューブ炉に挿入し、これをガラスリングのガラス転移温度まで加熱した。
【0056】
シール前に、膜を、その外側表面に対しはアルゴン流に、その内側面に対しては200ml(STP)/分の流量で再結合空気(79%N/21%O)流に供した。装置を出たガスを、酸素に対する100%選択性を実証するためにクロマトグラフを用いて、各複合物を通る酸素透過フラックスを測定するために酸素プローブを用いて、分析した。
【0057】
b)結果
図9は、各膜についての、温度の関数としての酸素フラックスの変動曲線を示す。この図は、阻止剤の存在により酸素フラックスにより生じた倍数因子(MF)を示している(950℃で、LSFGと比較してLSFG/2Mの場合MF=4、およびLSFGと比較してLSFG/2Mの場合MF=6)。
【0058】
図10は、酸素透過フラックスの活性化エネルギーに及ぼす膜ミクロ構造の影響を示し、このエネルギーは、酸化マグネシウムの割合が増加すると、減少する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】記載なし
【図2】記載なし
【図3】記載なし
【図4】記載なし
【図5】記載なし
【図6】記載なし
【図7】記載なし
【図8】記載なし
【図9】記載なし
【図10】記載なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用温度において酸化物イオン空孔を有する結晶格子の形態、より具体的には、立方相、ホタル石相、オーリビリウスタイプのペロブスカイト相、褐色針ニッケル鉱相またはパイロクロア相の形態にある、ドープされたセラミック酸化物から選ばれる複合電子/酸素O2−アニオン伝導性化合物(C)少なくとも75vol%、および
酸化物タイプのセラミック、非酸化物タイプのセラミック、金属、金属合金またはこれらのタイプの物質の混合物から選ばれる、化合物(C)とは異なる化合物(C)0.01〜25vol%、および
式:
xFc1 + yFc2 → zFc3
(式中、Fc1、Fc2およびFc3は、化合物C、CおよびCそれぞれの実験式を表し、x、yおよびzは、0以上の比の数値を表す)により表される少なくとも1の化学反応から生成する化合物(C)0vol%〜2.5vol%
を含む複合物(M)。
【請求項2】
化合物(C)の粒子が、0.1μm〜5μmの範囲の、好ましくは1μm未満の、直径を有する等軸形状を有する請求項1に記載の複合物。
【請求項3】
化合物(C)の体積割合が、1.5%を超えず、より特には、0.5体積%を超えない請求項1または2に記載の複合物。
【請求項4】
複合物中の化合物(C)の体積割合が、0に至る請求項3に記載の複合物。
【請求項5】
化合物(C)の体積割合が、0.1%以上であるが、10%を超えない請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合物。
【請求項6】
化合物(C)の体積割合が、5%を超えない請求項5に記載の複合物。
【請求項7】
化合物(C)が、酸化物タイプの物質から、好ましくは酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、複合ストロンチウム・アルミニウム酸化物SrAlまたはSrAl、複合バリウム・チタン酸化物(BaTiO)、複合カルシウム・チタン酸化物(CaTiO)、La0.5Sr0.5Fe0.9Ti0.13−δまたはLa0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δから選ばれる請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合物。
【請求項8】
化合物(C)が、非酸化物タイプの物質から、好ましくは炭化ケイ素(SiC)、窒化ホウ素(BN)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)およびロジウム(Rh)から選ばれる請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合物。
【請求項9】
化合物(C)が、式(I):
(R1−x(R (I)
(ここで、
は、主としてビスマス(Bi)、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、トリウム(Th)、ガリウム(Ga)およびハフニウム(Hf)から選ばれる、少なくとも1の3価または4価の原子を表し、aおよびbは、構造Rが電気的に中性となるようなものであり、
は、主としてマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、ガドリニウム(Gd)、スカンジウム(Sc)、イッテルビウム(Yb)、イットリウム(Y)、サマリウム(Sm)、エルビウム(Er)、インジウム(In)、ニオブ(Nb)およびランタン(La)から選ばれる、少なくとも1の2価または3価の原子であり、cおよびdは、構造Rが電気的に中性となるようなものであり、
xは、一般的に、0.05〜0.30であり、より特には、0.075〜0.15である)で示される酸化物から選ばれる請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合物。
【請求項10】
化合物(C)が、式(Ia):
(ZrO1−x(Y (Ia)
(ここで、xは、0.05〜0.15である)で示される安定化ジルコニアから選ばれる請求項9に記載の複合物。
【請求項11】
化合物(C)が、式(II):
[Ma1−x−uMa’Ma”][Mb1−y−vMb’Mb”]O3−w (II)
(ここで、
Maは、スカンジウム、イットリウムから、またはランタニド、アクチニドまたはアルカリ土類金属の族から選ばれる原子を表し、
Ma’は、Maと異なり、スカンジウム、イットリウムから、またはランタニド、アクチニドまたはアルカリ土類金属の族から選ばれる原子を表し、
Ma”は、MaおよびMa’と異なり、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)から、またはアルカリ土類金属の族から選ばれる原子を表し、
Mbは、遷移金属から選ばれる原子を表し、
Mb’は、Mbと異なり、遷移金属、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、鉛(Pb)およびチタン(Ti)から選ばれる原子を表し、
Mb”は、MbおよびMb’と異なり、遷移金属、アルカリ土類金属、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、鉛(Pb)およびチタン(Ti)から選ばれる原子を表し、
0<x≦0.5であり、
0≦u≦0.5であり、
(x+u)≦0.5であり、
0≦y≦0.9であり、
0≦v≦0.9であり、
0≦(y+v)≦0.9であり、
wは、当該構造が電気的に中性となるようなものである)で示されるペロブスカイト酸化物から選ばれる請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合物。
【請求項12】
化合物(C)が、Maがランタン原子を表すところの式(II)に相当する式(IIa):
La(1−x−u)Ma’Ma”Mb(1−y−v)Mb’Mb”3−δ (IIa)
で示される化合物から選ばれる請求項11に記載の複合物。
【請求項13】
化合物(C)が、Ma’がストロンチウム原子を表すところの式(II)に相当する式(IIb):
Ma(1−x−u)SrMa”Mb(1−y−v)Mb’Mb”3−δ (IIb)
で示される化合物から選ばれる請求項11または12に記載の複合物。
【請求項14】
化合物(C)が、Mbが鉄原子を表すところの式(II)に相当する式(IIc):
Ma(1−x−u)Ma’Ma”Fe(1−y−v)Mb’Mb”3−δ (IIc)
で示される化合物から選ばれる請求項11〜13のいずれか1項に記載の複合物。
【請求項15】
化合物(C)が、u=0、y=0であり、Mbが鉄原子を表し、Maがランタン原子を表し、Ma’がストロンチウム原子を表すところの式(II)に相当する式(IId):
La(1−x)SrFe(1−v)Mb”3−δ (IId)
で示される化合物から選ばれる請求項11〜14のいずれか1項に記載の複合物。
【請求項16】
化合物(C)が、式:
La(1−x−u)SrAlFe(1−v)Ti3−δ
La(1−x−u)SrAlFe(1−v)Ga3−δ
La(1−x)SrFe(1−v)Ti3−δ
La(1−x)SrTi(1−v)Fe3−δ
La(1−x)SrFe(1−v)Ga3−δ、または
La(1−x)SrFeO3−δ
で示される化合物である請求項11〜15のいずれか1項に記載の複合物。
【請求項17】
式:
La0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δ、または
La0.5Sr0.5Fe0.9Ti0.13−δ
で示される請求項16に記載の複合物。
【請求項18】
化合物(C)が、式(II’):
Ma(a)(1−x−u)Ma’(a−1)Ma”(a”)Mb(b)(1−s−y−v)Mb(b+1)Mb’(b+β)Mb”(b”)3−δ (II’)
(式(II’)において、
a、a−1、a”、b、(b+1)、(b+β)およびb”は、それぞれ、Ma、Ma’、Ma”、Mb、Mb’およびMb”原子の原子価を表す数値であり、a、a”、b、b”、β、x、y、s、u、vおよびδは、結晶格子の電気的中性が保存されるようなものであり、
a>1であり、
a”、bおよびb”は、ゼロよりも大きく、
−2≦β≦2であり、
a+b=6であり、
0<s<xであり、
0<x≦0.5であり、
0≦u≦0.5であり、
(x+u)≦0.5であり、
0≦y≦0.9であり、
0≦v≦0.9であり、
0≦(y+v+s)≦0.9であり、
[u(a”−a)+v(b”−b)−x+s+βy+2δ]=0」であり、
δmin<δ<δmax
(ここで、
δmin=[u(a−a”)+v(b−b”)−βy]/2であり、
δmax=[u(a−a”)+v(b−b”)−βy+x]/2である)であり、
Ma、Ma’、Ma”、Mb、Mb’およびMb”は、上記定義のとおりであり、Mbは、2つ以上の原子価で存在し得る遷移金属から選ばれる原子を表す)で示される化合物から選ばれる請求項11〜17に記載の複合物。
【請求項19】
化合物(C)が、式(III):
[Mc2−xMc’][Md2−yMd’]O6−w (III)
(ここで、
Mcは、スカンジウム、イットリウムから、またはランタニド、アクチニドおよびアルカリ土類金属の族から選ばれる原子を表し、
Mc’は、Mcと異なり、スカンジウム、イットリウムから、またはランタニド、アクチニドおよびアルカリ土類金属の族から選ばれる原子を表し、
Mdは、遷移金属から選ばれる原子を表し、
Md’は、Mdと異なり、遷移金属、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、鉛(Pb)およびチタン(Ti)から選ばれる原子を表し、
xおよびyは、0以上、2以下であり、wは、当該構造が電気的に中性となるようなものである)で示される酸化物から選ばれる請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合物。
【請求項20】
化合物(C)が、式(IIIa):
[Mc2−xLa][Md2−yFe]O6−w (IIIa)
で示される化合物、
式(IIIb):
[Sr2−xLa][Ga2−yMd’]O6−w (IIIb)
で示される化合物、および
より特には、式(IIIc):
[Sr2−xLa][Ga2−yFe]O6−w (IIIc)
で示される化合物である請求項19に記載の複合物。
【請求項21】
化合物(C)が、式:
Sr1.4La0.6GaFeO5.3
Sr1.6La0.4Ga1.2Fe0.85.3
Sr1.6La0.4GaFeO5.2
Sr1.6La0.4Ga0.8Fe1.25.2
Sr1.6La0.4Ga0.6Fe1.45.2
Sr1.6La0.4Ga0.4Fe1.65.2
Sr1.6La0.4Ga0.2Fe1.85.2
Sr1.6La0.4Fe5.2
Sr1.7La0.3GaFeO5.15
Sr1.7La0.3Ga0.8Fe1.25.15
Sr1.7La0.3Ga0.6Fe1.45.15
Sr1.7La0.3Ga0.4Fe1.65.15
Sr1.7La0.3Ga0.2Fe1.85.15
Sr1.8La0.2GaFeO5.1
Sr1.8La0.2Ga0.4Fe1.65.1、または
Sr1.8La0.2Ga0.2Fe1.85.1
で示される化合物である請求項20に記載の複合物。
【請求項22】
化合物(C)が、式:
La0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δ、または
La0.5Sr0.5Fe0.9Ti0.13−δ
で示される化合物から選ばれ、化合物(C)が、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al)、複合ストロンチウム・アルミニウム酸化物SrAlおよび複合バリウム・チタン酸化物(BaTiO)から選ばれる請求項7または17に記載の複合物。
【請求項23】
2〜10vol%の酸化マグネシウム(MgO)、および90〜98vol%のLa0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δを含む請求項22に記載の複合物。
【請求項24】
反応混合物を取り囲むガス雰囲気の酸素分圧(pO)を制御しながら、化合物(C)および化合物(C)の粉末混合物を焼結する少なくとも1つの工程を含むことを特徴とする請求項1〜23のいずれか1項に記載の複合物を製造する方法。
【請求項25】
前記焼結工程を、0.1Pa以下の酸素分圧を有するガス雰囲気中で行う請求項24に記載の方法。
【請求項26】
化合物(C)および化合物(C)の粉末混合物を、前記焼結工程前に、成形工程およびその後のバインダー除去工程に供する請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の複合物の、メタンまたは天然ガスの接触酸化による合成ガスの合成のために使用することが意図された触媒膜反応器用の複合伝導性複合物としての、および/または空気から酸素を分離するために使用することが意図されたセラミック膜のための複合伝導性複合物としての使用。
【請求項28】
触媒膜反応器の製造における焼結工程中に複合電子/酸化物イオン伝導性化合物の粒子の結晶成長を阻害および/または制御するための方法であって、75〜99.99vol%の複合伝導体(C)を、0.01〜25vol%の化合物(C)と混合する事前工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
2〜10vol%の酸化マグネシウム(MgO)および90〜98vol%のLa0.6Sr0.4Fe0.9Ga0.13−δを含む請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−512214(P2007−512214A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537374(P2006−537374)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002851
【国際公開番号】WO2005/046850
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・ア・ディレクトワール・エ・コンセイユ・ドゥ・スールベイランス・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】