説明

干渉合成開口レーダシステム、処理方法、指向角度補正装置、指向角度補正方法及びプログラム

【課題】2回の観測間における合成開口レーダの軌道が平行でない場合における観測データ間の相関度を改善する。
【解決手段】地上の解析装置において、合成開口レーダ衛星100の1回目の観測における軌道及び2回目の観測における軌道を算出し、1回目の観測における軌道と2回目の観測における軌道とが成す軌道交差角を算出する。解析装置は合成開口レーダ衛星100に軌道交差角の情報を送信し、合成開口レーダ衛星100は、軌道交差角に基づいてアンテナの指向性の角度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成開口レーダによって観測対象物の観測を行う飛行体が生成した2つの観測データを用いて干渉合成開口レーダ処理を行う干渉合成開口レーダシステム、処理方法、指向角度補正装置、指向角度補正方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機や人工衛星等の飛行体から地球や惑星等の天体の遠隔観測を行うシステムにおいて、観測装置を飛行体に搭載し、観測装置により観測されたデータが別途設置された解析装置において解析される方式が採用されている。
飛行体に搭載される観測装置は様々なものがあるが、その中でも広い用途に用いられるものとして、合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Rader)がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
合成開口レーダは、飛行体の移動に伴う複数の観測位置で、小さい開口面を有するレーダを用いて観測対象に電波を放射し、順次観測対象からの反射波を観測することで小さい開口面のレーダを複数並べたのと同じ効果を得る。これにより、仮想的に大きい開口面のレーダを実現する手法である。合成開口レーダは、搭載される飛行体の進行方向に直交する方向の地上に電波を放射し、地上からの反射波を受信することにより地上の映像を再生する観測データを得る。観測データは、例えば地上からの反射波の位相情報や強度情報である。
【0004】
合成開口レーダを用いて観測されるものとして、地形の標高データがある。標高データは、予め定められた範囲内の位置から観測した2つの観測データを干渉させ、位相情報の差を解析することで算出する。なお、このように2つの観測データを干渉させて位相情報の差を解析する手法を干渉(Interferometric、インターフェロメトリ)合成開口レーダと呼ぶ。また、標高データの算出だけでなく、2回の時間差で観測したデータにより地殻変動等の地表の変動を検出することにも使用できる。
【0005】
近年、干渉合成開口レーダとして、人工衛星に搭載された合成開口レーダを用いたものが利用されている。回帰軌道を周回する人工衛星に合成開口レーダを搭載し、合成開口レーダが同一の観測対象物を2度観測することで2つの観測データを取得する。解析装置が2つの観測データの処理を行うことにより、干渉合成開口レーダが実現されている。
【特許文献1】特開2004−191053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、回帰軌道観測による干渉合成開口レーダでは、回帰軌道の進行角度に差がある場合、2回の観測でドップラー帯域のスペクトルが異なる。これにより、観測データ間の相関が低下し、それに伴い干渉合成開口レーダの精度が低下してしまう。また、観測データ間の相関が0となると、干渉合成開口レーダが実現できなくなってしまう。
図8は、回帰軌道の進行角度に差が有る場合の例を示す図である。
図8(a)は、合成開口レーダ衛星による1回目の観測における軌道と2回目の観測における軌道との間に軌道交差角がある場合を示す。軌道交差角が生じると、合成開口レーダ衛星が放射する電波の指向角度に軌道交差角と同じ角度のずれが生じる。
図8(b)は、図8(a)に示した1回目の観測と2回目の観測におけるドップラー帯域のずれを示す。1回目の観測と2回目の観測におけるドップラー帯域にずれが生じ、生じたずれの分だけ相関度が低下してしまう。
【0007】
また、異なる軌道に投入された合成開口レーダ衛星を2つ用いる干渉合成開口レーダでは、両衛星の軌道間の軌道交差角が平行でない場合も、回帰軌道観測による干渉合成開口レーダと同様に、観測データ間の相関が低下し、それに伴い干渉合成開口レーダの精度が低下してしまう。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、2回の観測間における合成開口レーダの軌道が平行でない場合における観測データ間の相関度を改善する干渉合成開口レーダシステム、処理方法、指向角度補正装置、指向角度補正方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、観測対象物の観測を行う飛行体と解析装置とを備える干渉合成開口レーダシステムであって、前記飛行体は、前記解析装置から前記飛行体の制御情報を受信する制御情報受信部と、前記制御情報に基づいてアンテナの指向性の角度を制御する制御部と、前記アンテナを介して前記観測対象物に対して電波を放射し、当該観測対象物で反射した電波を受信する電波送受信部と、前記受信した電波から観測データを生成する観測データ生成部と、前記解析装置に前記観測データを送信する観測データ送信部と、を備え、前記解析装置は、前記飛行体による1回目の観測における軌道及び前記飛行体による2回目の観測における軌道を算出する軌道算出部と、前記算出した1回目の観測における軌道のベクトルと前記算出した2回目の観測における軌道のベクトルとが成す軌道交差角を算出する軌道交差角算出部と、前記算出した軌道交差角に基づいて、前記飛行体による1回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度と一致する前記飛行体による2回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度により、前記飛行体のアンテナの指向性を制御する制御情報生成部と、前記飛行体に前記制御情報を送信する制御情報送信部と、前記飛行体から前記1回目の観測における観測データと前記2回目の観測における観測データを受信する観測データ受信部と、前記算出した1回目の観測における軌道と、前記算出した2回目の観測における軌道と、前記受信した1回目の観測における観測データと前記受信した2回目の観測における観測データとに基づいて干渉合成開口レーダ処理を行う干渉処理部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、観測対象物の観測を行う飛行体と解析装置とを備える干渉合成開口レーダシステムを用いた処理方法であって、前記飛行体の制御情報受信部は、前記解析装置から前記飛行体の制御情報を受信し、前記飛行体の制御部は、前記制御情報に基づいてアンテナの指向性の角度を制御し、前記飛行体の電波送受信部は、前記アンテナを介して前記観測対象物に対して電波を放射し、当該観測対象物で反射した電波を受信し、前記飛行体の観測データ生成部は、前記受信した電波から観測データを生成し、前記飛行体の観測データ送信部は、前記解析装置に前記観測データを送信し、前記解析装置の軌道算出部は、前記飛行体による1回目の観測における軌道及び前記飛行体による2回目の観測における軌道を算出し、前記解析装置の軌道交差角算出部は、前記算出した1回目の観測における軌道と、前記算出した2回目の観測における軌道とが成す軌道交差角を算出し、前記解析装置の制御情報生成部は、前記算出した軌道交差角に基づいて、前記飛行体による1回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度と一致する前記飛行体による2回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度により、前記飛行体のアンテナの指向性を制御示す前記制御情報を生成し、前記解析装置の制御情報送信部は、前記飛行体に前記制御情報を送信し、前記解析装置の観測データ受信部は、前記飛行体から前記1回目の観測における観測データと前記2回目の観測における観測データを受信し、前記解析装置の干渉処理部は、前記算出した1回目の観測における軌道と、前記算出した2回目の観測における軌道と、前記受信した1回目の観測における観測データと前記受信した2回目の観測における観測データとに基づいて干渉合成開口レーダ処理を行う、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、合成開口レーダによって観測対象物の観測を行う飛行体のアンテナの指向性の制御を行う指向角度補正装置であって、前記飛行体による1回目の観測における軌道及び前記飛行体による2回目の観測における軌道を算出する軌道算出部と、前記算出した1回目の観測における軌道とのベクトルと前記算出した2回目の観測における軌道のベクトルとが成す軌道交差角を算出する軌道交差角算出部と、前記算出した軌道交差角に基づいて、前記飛行体による1回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度と一致する前記飛行体による2回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度により、前記飛行体のアンテナの指向性を制御することを示す前記制御情報を生成する制御情報生成部と、前記飛行体に前記制御情報を送信する制御情報送信部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、合成開口レーダによって観測対象物の観測を行う飛行体のアンテナの指向性の制御を行う指向角度補正装置を用いた指向角度補正方法であって、前記飛行体による1回目の観測における軌道及び前記飛行体による2回目の観測における軌道を算出する軌道算出部と、前記算出した1回目の観測における軌道と、前記算出した2回目の観測における軌道とが成す軌道交差角を算出する軌道交差角算出部と、前記算出した軌道交差角に基づいて、前記飛行体による1回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度と一致する前記飛行体による2回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度により、前記飛行体のアンテナの指向性を制御することを示す前記制御情報を生成する制御情報生成部と、前記飛行体に前記制御情報を送信する制御情報送信部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、合成開口レーダによって観測対象物の観測を行う飛行体のアンテナの指向性の制御を行う指向角度補正装置を、前記飛行体による1回目の観測における軌道及び前記飛行体による2回目の観測における軌道を算出する軌道算出部、前記算出した1回目の観測における軌道と、前記算出した2回目の観測における軌道とが成す軌道交差角を算出する軌道交差角算出部、前記算出した軌道交差角に基づいて、前記飛行体による1回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度と一致する前記飛行体による2回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度により、前記飛行体のアンテナの指向性を制御することを示す前記制御情報を生成する制御情報生成部、前記飛行体に前記制御情報を送信する制御情報送信部、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、1回目の観測と2回目の観測における軌道とが成す軌道交差角を算出し、算出した軌道交差角に基づいて1回目の観測における観測対象物に対する指向角度と2回目の観測における観測対象物に対する指向角度とが一致するように飛行体のアンテナの指向性を制御する。これにより、2回の観測のドップラー帯域のスペクトルを一致させることができるため、観測データ間の相関を改善し、干渉合成開口レーダ処理を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による干渉合成開口レーダシステムの構成を示す概略ブロック図である。
干渉合成開口レーダシステムは、合成開口レーダ衛星100(飛行体)と、解析装置200とを備える。合成開口レーダ衛星100は、回帰軌道を周回している。
【0016】
合成開口レーダ衛星100は、対陸上アンテナ101と、制御情報受信部102と、制御部103と、指向性アンテナ104(アンテナ)と、電波送受信部105と、観測データ生成部106と、観測データ送信部107とを備える。
制御情報受信部102は、対陸上アンテナ101を介して解析装置200から観測の制御に関する制御情報を受信する。
制御部103は、制御情報受信部102が受信した制御情報に基づいて電波送受信部105の制御や指向性アンテナ104の指向性の角度の制御を行う。
指向性アンテナ104は、電気的に指向性の角度を制御することができる。指向性アンテナ104には、例えばフェーズドアレイアンテナ等を用いる。
電波送受信部105は、制御部103の制御に基づいて指向性アンテナ104を介して観測対象物に対して電波を放射し、反射した電波を受信する。
観測データ生成部106は、電波送受信部105が受信した電波から観測データを生成する。
観測データ送信部107は、対陸上アンテナ101を介して解析装置200に観測データを送信する。
【0017】
解析装置200(指向角度補正装置)は、対衛星アンテナ201と、軌道予測部202(軌道算出部)と、軌道決定部203(軌道算出部)と、軌道交差角算出部204と、制御情報生成部205と、制御情報送信部206と、観測データ受信部207と、観測データ記憶部208と、干渉処理部209とを備える。
軌道予測部202は、合成開口レーダ100が観測を行う前に、合成開口レーダ100が観測を行う予測軌道を算出する。
軌道決定部203は、合成開口レーダ100が観測を行った後に、合成開口レーダ100が観測を行った軌道を決定する。
軌道交差角算出部204は、軌道決定部203が決定した1回目の観測における軌道と、軌道予測部202が算出した2回目の観測における予測軌道とが成す軌道交差角を算出する。
制御情報生成部205は、軌道予測部202が算出した予測軌道に基づいて合成開口レーダ衛星100の制御情報を生成する。
制御情報送信部206は、対衛星アンテナ201を介して合成開口レーダ衛星100に制御情報を送信する。
観測データ受信部207は、対衛星アンテナ201を介して合成開口レーダ衛星100から観測データを受信し、観測データ記憶部208に登録する。
干渉処理部209は、軌道決定部が決定した1回目の観測における軌道及び2回目の観測における軌道と、観測データ記憶部208が記憶する1回目の観測における観測データ及び2回目の観測における観測データとに基づいて干渉合成開口レーダ処理を行う。
これにより、干渉合成開口レーダシステムは2回の観測間における合成開口レーダの軌道が平行でない場合における観測データ間の相関度を改善する処理を行う。
【0018】
次に、干渉合成開口レーダシステムの動作を説明する。
まず、1回目の観測を行う際の干渉合成開口レーダシステムの動作を説明する。
図2は、1回目の観測を行う際の干渉合成開口レーダシステムの動作を示すシーケンス図である。
まず、1回目の観測を行う前に、解析装置200の軌道予測部202は、予め得られている合成開口レーダ衛星100の現時点までの軌道に基づいて、合成開口レーダ衛星100の将来の軌道の計算を行い、1回目の観測における合成開口レーダ衛星100の予測軌道を算出する(ステップS101)。1回目の観測の予測軌道を算出すると、制御情報生成部205は、観測対象物の位置と、現在の合成開口レーダ衛星の位置と、予測した軌道とに基づいて、1回目の観測の制御情報を生成する(ステップS102)。制御情報には、観測開始時刻、観測時間等が含まれる。制御情報を生成すると、制御情報送信部206は、対衛星アンテナ201を介して合成開口レーダ衛星100に制御情報を送信する(ステップS103)。
【0019】
解析装置200が制御情報を送信すると、合成開口レーダ衛星100の制御情報受信部102は、対陸上アンテナ101を介して制御信号を受信する(ステップS104)。制御信号を受信すると、制御部103は受信した制御情報に基づいて電波送受信部105の制御を行う。制御部103は、制御情報が示す観測開始時刻になると、電波送受信部105から指向性アンテナ104を介して電波の放射を実行する(ステップS105)。電波の放射を実行すると、電波送受信部105は、指向性アンテナ104を介して放射し、観測対象物に反射した電波を、指向性アンテナ104を介して受信する(ステップS106)。複数回の送受信を繰り返して、複数の観測位置で放射した電波を受信すると、観測データ生成部106は、受信した複数の電波に基づいて観測データを生成する(ステップS107)。観測データを生成すると、観測データ送信部107は、対陸上アンテナを介して生成した観測データを解析装置200に送信する(ステップS108)。
【0020】
合成開口レーダ100が観測データを送信すると、解析装置200の観測データ受信部207は、対衛星アンテナ201を介して観測データを受信し、観測データ記憶部208に登録する(ステップS109)。このとき、合成開口レーダ100が観測を行った軌道は、必ずしも軌道予測部202が算出した予測軌道と一致しているとは限らない。従って、正確な干渉合成開口レーダ処理を行うためには合成開口レーダ100の実際の軌道を再度算出する必要がある。そこで、観測データ受信部207が観測データを受信すると、軌道決定部203は、1回目の観測における合成開口レーダ衛星100の軌道を決定する(ステップS109)。軌道決定の手段としては、例えば合成開口レーダ衛星100にGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)の受信機を搭載し、衛星測位によって合成開口レーダ衛星100の位置を決定する手段や、地上においてレーザーレンジを行うことで合成開口レーダ衛星100の位置を決定する手段等が挙げられる。
以上が1回目の観測を行う際の干渉合成開口レーダシステムの動作である。
【0021】
次に、2回目の観測を行う際の干渉合成開口レーダシステムの動作を説明する。
図3は、2回目の観測を行う際の干渉合成開口レーダシステムの動作を示すシーケンス図である。
1回目の観測が終了すると、解析装置200の軌道予測部202は、予め得られている合成開口レーダ衛星100の現時点までの軌道に基づいて、合成開口レーダ衛星100の将来の軌道の計算を行い、2回目の観測における合成開口レーダ衛星100の予測軌道を算出する(ステップS201)。2回目の観測の予測軌道を算出すると、軌道交差角算出部204は、上述したステップS109で決定した1回目の観測における合成開口レーダ衛星100の軌道のベクトルと、ステップS201で予測した2回目の観測における合成開口レーダ衛星100の軌道のベクトルとが成す軌道交差角を算出する(ステップS202)。軌道交差角を算出すると、制御情報生成部205は、算出した軌道交差角と、観測対象物の位置と、現在の合成開口レーダ衛星の位置と、予測した軌道とに基づいて、2回目の観測の制御情報を生成する(ステップS203)。制御情報には、指向性アンテナ104の指向性の制御情報、観測開始時刻、観測時間等が含まれる。このとき、2回目の観測が1回目の観測を実施した位置に対して予め近距離であると定められた範囲内の位置からの観測となるように観測開始時刻と観測時間を設定する。
【0022】
図4は、制御情報による指向性アンテナの指向性を示す図である。
2回目の観測の制御情報に含まれる指向性アンテナ104の指向性の制御情報は、指向性アンテナ104の指向性を、合成開口レーダ衛星100の進行方向に対して、1回目の観測における軌道のベクトルが2回目の観測における軌道のベクトルに回転した方向の反対方向に、軌道交差角と同じ角度だけ傾けることを示す。すなわち、図4で示すような指向性となるように指向性アンテナ104の制御を行うことを示す。
制御情報を生成すると、制御情報送信部206は、対衛星アンテナ201を介して合成開口レーダ衛星100に制御情報を送信する(ステップS204)。
【0023】
解析装置200が制御情報を送信すると、合成開口レーダ衛星100の制御情報受信部102は、対陸上アンテナ101を介して制御信号を受信する(ステップS205)。制御信号を受信すると、制御部103は受信した制御情報に基づいて電波送受信部105及び指向性アンテナ104の制御を行う。制御部103は、制御情報が示す指向性の制御情報に基づいて、指向性アンテナ104の指向性を制御する(ステップS206)。これにより、1回目の観測と2回目の観測における観測対象物に対する指向角度を一致させることができる。制御部103は、制御情報が示す観測開始時刻になると、電波送受信部105から指向性アンテナ104を介して電波の放射を実行する(ステップS207)。電波の放射を実行すると、電波送受信部105は、指向性アンテナ104を介して放射し、観測対象物に反射した電波を、指向性アンテナ104を介して受信する(ステップS208)。複数回の送受信を繰り返して、複数の観測位置で放射した電波を受信すると、観測データ生成部106は、受信した複数の電波に基づいて観測データを生成する(ステップS209)。観測データを生成すると、観測データ送信部107は、対陸上アンテナを介して生成した観測データを解析装置200に送信する(ステップS210)。
【0024】
合成開口レーダ100が観測データを送信すると、解析装置200の観測データ受信部207は、対衛星アンテナ201を介して観測データを受信し、観測データ記憶部208に登録する(ステップS211)。このとき、合成開口レーダ100が観測を行った軌道は、必ずしも軌道予測部202が算出した予測軌道と一致しているとは限らない。従って、正確な干渉合成開口レーダ処理を行うためには合成開口レーダ100の実際の軌道を再度算出する必要がある。そこで、観測データ受信部207が観測データを受信すると、軌道決定部203は、2回目の観測における合成開口レーダ衛星100の軌道を決定する(ステップS212)。
以上が2回目の観測を行う際の干渉合成開口レーダシステムの動作である。
【0025】
上述した手順で1回目の観測及び2回目の観測を終了すると、干渉処理部209は、観測データ記憶部208が記憶する1回目の観測における観測データに基づいて1回目の観測による合成開口レーダ画像を生成する。同様に、干渉処理部209は、観測データ記憶部208が記憶する2回目の観測における観測データに基づいて2回目の観測による合成開口レーダ画像を生成する。
次に、干渉処理部209は、決定した1回目の観測における軌道と決定した2回目の観測における軌道とに基づいて、1回目の観測と2回目の観測の合成開口レーダ衛星100の軌道間距離を算出する。軌道間距離は、例えば1回目の観測における軌道の中心座標と1回目の観測における軌道の中心座標との距離を計算することで算出する。
1回目及び2回目の観測による合成開口レーダ画像を生成し、軌道間距離を算出すると、干渉処理部209は、1回目及び2回目の観測による合成開口レーダ画像の干渉を行い、干渉画像から軌道間距離による誤差を除去することで、干渉合成開口レーダ処理を行う。
【0026】
次に、指向性アンテナ104の指向性を制御することで得られる効果を説明する。
まず、合成開口レーダ衛星100の1回目の観測によるドップラー周波数Bdpは、式(1)のように示される。
【0027】
【数1】

【0028】
但し、Vは合成開口レーダ衛星の速度を示す。また、λは送信電波の波長を示す。また、βは合成開口レーダ衛星100の進行方向に対する指向性アンテナ104のビーム幅を示す。
一方、1回目と2回目の観測のドップラー帯域の差は、指向性の制御を行わない場合に式(2)のように示され、指向性の制御を行う場合に式(3)のように示される。
【0029】
【数2】

【0030】
【数3】

【0031】
但し、Δfdpは指向性の制御を行わない場合のドップラー帯域の差を示す。また、Δfdpは指向性の制御を行う場合のドップラー帯域の差を示す。また、αは軌道交差角を示す。また、δは合成開口レーダ衛星100の進行方向に対する指向性アンテナ104の指向角度を示す。
したがって、2回の観測における観測データ間の相関度は、それぞれ式(4)及び式(5)で示される。
【0032】
【数4】

【0033】
【数5】

【0034】
但し、γAzは指向性の制御を行わない場合の相関度を示す。また、γAzは指向性の制御を行う場合の相関度を示す。
【0035】
式(4)に示されるように、指向性の制御を行わない場合は、軌道交差角αが大きいほど相関度が低下する。これにより、軌道交差角αが大きいほど干渉合成開口レーダの精度が低下することとなる。特に、軌道交差角αが合成開口レーダ衛星100の進行方向に対する指向性アンテナ104のビーム幅βより大きくなると、相関度が0となり、干渉合成開口レーダが成立しなくなってしまう。
【0036】
一方、式(5)に示されるように、指向性の制御を行う場合は、軌道交差角αを合成開口レーダ衛星100の進行方向に対する指向性アンテナ104の指向角度δで相殺することで、相関度の低下を防ぐことができる。特に、軌道交差角αと合成開口レーダ衛星100の進行方向に対する指向性アンテナ104の指向角度δとを完全に一致させることができれば、相関度を最大値の1とすることができる。なお、完全に一致させることができなくても、軌道予測部202による軌道予測と制御部103による指向性アンテナ104の指向性制御の性能が十分にあれば、相関度を改善させることができる。
【0037】
このように、本実施形態によれば、まず、軌道交差角算出部204が1回目の観測と2回目の観測における軌道のベクトル同士が成す軌道交差角を算出する。次に、制御情報生成部205が、指向性アンテナ104の指向性を、合成開口レーダ衛星100の進行方向に対して、1回目の観測における軌道のベクトルが2回目の観測における軌道のベクトルに回転した方向の反対方向に軌道交差角と同じ角度だけ傾けることを示す制御情報を生成するので、1回目の観測と2回目の観測における観測対象物に対する指向角度を一致させることができる。これにより、2回の観測のドップラー帯域のスペクトルを一致させることができるため、観測データ間の相関を改善し、干渉合成開口レーダ処理を実行することができる。
【0038】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、合成開口レーダ衛星100が回帰軌道を周回する場合を説明したが、これに限られず、合成開口レーダ衛星100は準回帰軌道を周回しても良い。
【0039】
なお、本実施形態では、軌道交差角の算出及び指向性アンテナ104の指向性の制御情報の生成を解析装置200が算出する場合を説明したが、これに限られず、合成開口レーダ衛星100に軌道算出部と軌道交差角算出部を備え、合成開口レーダ衛星100が軌道交差角を算出し、制御部103は算出した軌道交差角に基づいて指向性アンテナ104の指向性の制御を行っても良い。この場合、1回目の軌道情報は、1回目の観測時の情報を合成開口レーダ衛星の内部メモリに登録しておくか、地上で決定した1回目の観測における軌道の情報を解析装置200からアップロードすることで得ることができる。また、2回目の軌道情報は、合成開口レーダ衛星100の軌道・姿勢決定系で決定することで得ることができる。
【0040】
また、本実施形態では、解析装置200が制御情報の生成と観測データの受信を行う場合を説明したが、これに限られず、制御情報の生成を行う装置と観測データの受信を行う装置を別の装置としても良い。
【0041】
また、本実施形態では、対陸上アンテナ101及び対衛星アンテナ201がそれぞれ1つである場合を説明したが、これに限られず、それぞれに送信アンテナと受信アンテナを備える構成としても良い。
【0042】
また、本実施形態では、制御部103が指向性アンテナ104の指向性の角度を電気的に制御する場合を示したが、これに限られず、例えば指向性アンテナ104を固定ビームのアンテナとし、制御部103が指向性アンテナ104を物理的に駆動させることで指向性の角度を制御しても良い。
図5は、制御部が指向性アンテナを物理的に駆動させる合成開口レーダ衛星の構成を示す概略ブロック図である。
合成開口レーダ衛星100は、さらに駆動機構108を備える。制御部103は、制御情報が示す指向性の制御情報に基づいて、駆動機構108に制御命令を送信する。制御命令を受信すると、駆動機構108は、指向性アンテナを物理的に駆動させ、指向性アンテナ104の指向性の角度を制御する。
【0043】
また、本実施形態では、制御部103が指向性アンテナ104の指向性の角度を電気的に制御する場合を示したが、これに限られず、例えば指向性アンテナ104を固定ビームのアンテナとし、合成開口レーダ衛星の姿勢を制御することで指向性の角度を制御しても良い。
図6は、合成開口レーダ衛星の姿勢を制御することで指向性の角度を制御する合成開口レーダ衛星の構成を示す概略ブロック図である。
合成開口レーダ衛星100は、さらに衛星姿勢制御部109を備える。制御部103は、制御情報が示す指向性の制御情報に基づいて、衛星姿勢制御部109に制御命令を送信する。制御命令を受信すると、衛星姿勢制御部109は、合成開口レーダ衛星100の姿勢を制御し、指向性アンテナ104から放射される電波の角度を制御する。
【0044】
また、本実施形態では、合成開口レーダ衛星100が回帰軌道に乗り、2回目の観測を、1回目の観測を実施した位置に対して予め定められた範囲内の位置から行う場合を示したが、これに限られず、例えばディセンディングパス(南行軌道)とアセンディングパス(北行軌道)との間で干渉合成開口レーダを実現しても良い。
合成開口レーダ衛星100の軌道は通常、軌道傾斜角(衛星の軌道と観測対象天体の基準面とが成す角)を有するため、1つの軌道の中でもディセンディングパスとアセンディングパスでの観測では、観測対象物に対する進行方向の指向角度が異なる。従って、ディセンディングパスとアセンディングパスとが成す軌道交差角だけ補正を行うことで、指向角度を合わせ、干渉合成開口レーダを実現する。
図7は、ディセンディングパス観測とアセンディングパス観測を行う例を示す図である。
図7に示す例では、ディセンディングパスとアセンディングパスとが成す軌道交差角が90度を越えるため、2回目の観測において観測を行う方向が1回目の観測を行った方向の反対側となる。これにより、ディセンディングパスとアセンディングパスにおける観測の方向及び指向角度を一致させることができる。
このとき、観測を行う方向の切り替えと指向性の角度の制御は別の手段で行っても良い。例えば、観測を行う方向の切り替えは衛星の姿勢制御で実施し、指向性の角度の制御は制御部103が180度から軌道傾斜角を減じた角度だけ制御する。
また、図7は、1回目の観測がディセンディングパスで、2回目の観測がアセンディングパスの場合を示したが、これに限られず、1回目の観測がアセンディングパスで、2回目の観測がディセンディングパスとしても良い。また、図7では、1回目の観測において観測を行う方向が進行方向に対して左側とする場合を示したが、これに限られず、1回目の観測において観測を行う方向を進行方向に対して右側としても良い。
【0045】
また、本実施形態では、2回目の観測において、指向性アンテナ104の指向性の角度を制御する場合を説明したが、これに限られず、1回目の観測において2回目の観測との軌道交差角を算出することができる場合、1回目の観測において指向性アンテナ104の指向性の角度を制御することで、2回目の観測との指向角度を一致させても良い。
この場合、制御情報生成部205は、指向性アンテナ104の指向性を、合成開口レーダ衛星100の進行方向に対して、2回目の観測における軌道を基準としたときの、1回目の観測における軌道の回転方向の反対方向に、軌道交差角と同じ角度だけ傾けることを示す観測の制御情報を生成する。制御部103は、1回目の観測時に、当該制御情報に基づいて指向性アンテナ104の指向性を制御する。
【0046】
また、本実施形態では、1機の合成開口レーダ衛星100によって2回観測を行う場合を説明したが、これに限られず、軌道が異なる2機の合成開口レーダ衛星100で実施しても良い。制御情報生成部205は、2機の合成開口レーダ衛星100の軌道間の軌道交差角から制御情報を生成し、一方の合成開口レーダ衛星100に当該制御情報を送信する。制御情報を受信した合成開口レーダ衛星100は、当該制御情報に基づいて指向性アンテナ104の指向性を制御し、観測を行う。他方の合成開口レーダ衛星100は特別な制御を行わずに観測を行う。これにより、2機の合成開口レーダ衛星100の指向角度を一致させることができ、干渉合成開口レーダを実現することができる。
【0047】
また、本実施形態では、合成開口レーダ衛星100による観測を行う場合を説明したが、これに限られず、例えば航空機が合成開口レーダを備えることで干渉合成開口レーダを実現しても良い。この場合、同一の航空機または異なる航空機による2回の観測において、1回目の観測における軌跡と2回目の観測における軌跡が成す角度に応じて、指向性アンテナ104の指向性を制御することで、2回の観測による干渉合成開口レーダの精度及び実現性を向上することができる。
また、合成開口レーダ衛星100と合成開口レーダを備える航空機との間の干渉合成開口レーダ観測を行っても良い。合成開口レーダ衛星100による観測の軌跡と航空機による観測の軌跡が成す角度に応じて、指向性アンテナ104の指向性を制御する。この場合、合成開口レーダ衛星100と航空機のどちらが指向性の制御を行っても良い。
【0048】
上述の解析装置200は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0049】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態による干渉合成開口レーダシステムの構成を示す概略ブロック図である。
【図2】1回目の観測を行う際の干渉合成開口レーダシステムの動作を示すシーケンス図である。
【図3】2回目の観測を行う際の干渉合成開口レーダシステムの動作を示すシーケンス図である。
【図4】制御情報による指向性アンテナの指向性を示す図である。
【図5】制御部が指向性アンテナを物理的に駆動させる合成開口レーダ衛星の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】合成開口レーダ衛星の姿勢を制御することで指向性の角度を制御する合成開口レーダ衛星の構成を示す概略ブロック図である。
【図7】ディセンディングパス観測とアセンディングパス観測を行う例を示す図である。
【図8】回帰軌道の進行角度に差が有る場合の例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
100…合成開口レーダ衛星 101…対陸上アンテナ 102…制御情報受信部 103…制御部 104…指向性アンテナ 105…電波送受信部 106…観測データ生成部 107…観測データ送信部 200…解析装置 201…対衛星アンテナ 202…軌道予測部 203…軌道決定部 204…軌道交差角算出部 205…制御情報生成部 206…制御情報送信部 207…観測データ受信部 208…観測データ記憶部 209…干渉処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測対象物の観測を行う飛行体と解析装置とを備える干渉合成開口レーダシステムであって、
前記飛行体は、
前記解析装置から前記飛行体の制御情報を受信する制御情報受信部と、
前記制御情報に基づいてアンテナの指向性の角度を制御する制御部と、
前記アンテナを介して前記観測対象物に対して電波を放射し、当該観測対象物で反射した電波を受信する電波送受信部と、
前記受信した電波から観測データを生成する観測データ生成部と、
前記解析装置に前記観測データを送信する観測データ送信部と、
を備え、
前記解析装置は、
前記飛行体による1回目の観測における軌道及び前記飛行体による2回目の観測における軌道を算出する軌道算出部と、
前記算出した1回目の観測における軌道のベクトルと前記算出した2回目の観測における軌道のベクトルとが成す軌道交差角を算出する軌道交差角算出部と、
前記算出した軌道交差角に基づいて、前記飛行体による1回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度と一致する前記飛行体による2回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度により、前記飛行体のアンテナの指向性を制御する制御情報生成部と、
前記飛行体に前記制御情報を送信する制御情報送信部と、
前記飛行体から前記1回目の観測における観測データと前記2回目の観測における観測データを受信する観測データ受信部と、
前記算出した1回目の観測における軌道と、前記算出した2回目の観測における軌道と、前記受信した1回目の観測における観測データと前記受信した2回目の観測における観測データとに基づいて干渉合成開口レーダ処理を行う干渉処理部と、
を備えることを特徴とする干渉合成開口レーダシステム。
【請求項2】
前記飛行体は、
回帰軌道または準回帰軌道を周回し、
前記1回目の観測後に前記1回目の観測を実施した位置に対して予め定められた範囲内の位置から前記2回目の観測を行い、
前記解析装置の制御情報生成部は、前記飛行体のアンテナの指向性を、前記飛行体の進行方向に対して、前記算出した1回目の観測における軌道のベクトルが前記算出した2回目の観測における軌道のベクトルに回転した方向の反対方向に、前記算出した軌道交差角と同じ角度だけ傾けることを示す制御情報を生成し、
前記解析装置の制御情報送信部は、前記2回目の観測に用いる前記制御情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の干渉合成開口レーダシステム。
【請求項3】
前記飛行体は、
回帰軌道または準回帰軌道を周回し、
前記1回目の観測後に前記1回目の観測を実施した位置に対して予め定められた範囲内の位置から前記2回目の観測を行い、
前記解析装置の制御情報生成部は、前記飛行体のアンテナの指向性を、前記飛行体の進行方向に対して、前記算出した2回目の観測における軌道のベクトルが前記算出した1回目の観測における軌道のベクトルに回転した方向の反対方向に、前記算出した軌道交差角と同じ角度だけ傾けることを示す制御情報を生成し、
前記解析装置の制御情報送信部は、前記1回目の観測に用いる前記制御情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の干渉合成開口レーダシステム。
【請求項4】
前記2回目の観測は、前記1回目の観測を実施した前記飛行体と異なる前記飛行体により前記1回目の観測を実施した位置に対して予め定められた範囲内の位置から実施され、
前記解析装置の制御情報生成部は、前記2回目の観測を実施する飛行体のアンテナの指向性を、前記2回目の観測を実施する飛行体の進行方向に対して、前記算出した1回目の観測における軌道のベクトルが前記算出した2回目の観測における軌道のベクトルに回転した方向の反対方向に、前記算出した軌道交差角と同じ角度だけ傾けることを示す制御情報を生成し、
前記解析装置の制御情報送信部は、前記2回目の観測を実施する飛行体に前記制御情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の干渉合成開口レーダシステム。
【請求項5】
前記2回目の観測は、前記1回目の観測を実施した前記飛行体と異なる前記飛行体により前記1回目の観測を実施した位置に対して予め定められた範囲内の位置から実施され、
前記解析装置の制御情報生成部は、前記1回目の観測を実施する飛行体のアンテナの指向性を、前記1回目の観測を実施する飛行体の進行方向に対して、前記算出した2回目の観測における軌道のベクトルが前記算出した1回目の観測における軌道のベクトルに回転した方向の反対方向に、前記算出した軌道交差角と同じ角度だけ傾けることを示す制御情報を生成し、
前記解析装置の制御情報送信部は、前記1回目の観測を実施する飛行体に前記制御情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の干渉合成開口レーダシステム。
【請求項6】
観測対象物の観測を行う飛行体と解析装置とを備える干渉合成開口レーダシステムを用いた処理方法であって、
前記飛行体の制御情報受信部は、前記解析装置から前記飛行体の制御情報を受信し、
前記飛行体の制御部は、前記制御情報に基づいてアンテナの指向性の角度を制御し、
前記飛行体の電波送受信部は、前記アンテナを介して前記観測対象物に対して電波を放射し、当該観測対象物で反射した電波を受信し、
前記飛行体の観測データ生成部は、前記受信した電波から観測データを生成し、
前記飛行体の観測データ送信部は、前記解析装置に前記観測データを送信し、
前記解析装置の軌道算出部は、前記飛行体による1回目の観測における軌道及び前記飛行体による2回目の観測における軌道を算出し、
前記解析装置の軌道交差角算出部は、前記算出した1回目の観測における軌道と、前記算出した2回目の観測における軌道とが成す軌道交差角を算出し、
前記解析装置の制御情報生成部は、前記算出した軌道交差角に基づいて、前記飛行体による1回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度と一致する前記飛行体による2回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度により、前記飛行体のアンテナの指向性を制御示す前記制御情報を生成し、
前記解析装置の制御情報送信部は、前記飛行体に前記制御情報を送信し、
前記解析装置の観測データ受信部は、前記飛行体から前記1回目の観測における観測データと前記2回目の観測における観測データを受信し、
前記解析装置の干渉処理部は、前記算出した1回目の観測における軌道と、前記算出した2回目の観測における軌道と、前記受信した1回目の観測における観測データと前記受信した2回目の観測における観測データとに基づいて干渉合成開口レーダ処理を行う、
ことを特徴とする処理方法。
【請求項7】
合成開口レーダによって観測対象物の観測を行う飛行体のアンテナの指向性の制御を行う指向角度補正装置であって、
前記飛行体による1回目の観測における軌道及び前記飛行体による2回目の観測における軌道を算出する軌道算出部と、
前記算出した1回目の観測における軌道とのベクトルと前記算出した2回目の観測における軌道のベクトルとが成す軌道交差角を算出する軌道交差角算出部と、
前記算出した軌道交差角に基づいて、前記飛行体による1回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度と一致する前記飛行体による2回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度により、前記飛行体のアンテナの指向性を制御することを示す前記制御情報を生成する制御情報生成部と、
前記飛行体に前記制御情報を送信する制御情報送信部と、
を備えることを特徴とする指向角度補正装置。
【請求項8】
合成開口レーダによって観測対象物の観測を行う飛行体のアンテナの指向性の制御を行う指向角度補正装置を用いた指向角度補正方法であって、
前記飛行体による1回目の観測における軌道及び前記飛行体による2回目の観測における軌道を算出する軌道算出部と、
前記算出した1回目の観測における軌道と、前記算出した2回目の観測における軌道とが成す軌道交差角を算出する軌道交差角算出部と、
前記算出した軌道交差角に基づいて、前記飛行体による1回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度と一致する前記飛行体による2回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度により、前記飛行体のアンテナの指向性を制御することを示す前記制御情報を生成する制御情報生成部と、
前記飛行体に前記制御情報を送信する制御情報送信部と、
を備えることを特徴とする指向角度補正方法。
【請求項9】
合成開口レーダによって観測対象物の観測を行う飛行体のアンテナの指向性の制御を行う指向角度補正装置を、
前記飛行体による1回目の観測における軌道及び前記飛行体による2回目の観測における軌道を算出する軌道算出部、
前記算出した1回目の観測における軌道と、前記算出した2回目の観測における軌道とが成す軌道交差角を算出する軌道交差角算出部、
前記算出した軌道交差角に基づいて、前記飛行体による1回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度と一致する前記飛行体による2回目の観測における前記観測対象物に対する指向角度により、前記飛行体のアンテナの指向性を制御することを示す前記制御情報を生成する制御情報生成部、
前記飛行体に前記制御情報を送信する制御情報送信部、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−78395(P2010−78395A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245509(P2008−245509)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】