説明

平均車速算出装置およびカーナビゲーション装置

【課題】
カーナビゲーション装置において、車両が渋滞している地点或は区間を走行しても、平均車速が異常に遅く算出されることを解消し、目的地までの走行所要時間の予想をより正確に行うことができるようにする。
【解決手段】
位置検出器2により車両の現在位置を取得すると共に、VICS受信機9により道路交通情報を受信し、現在位置が道路交通情報により渋滞地点或は渋滞区間にあるときには、たとえ低速で走行していても、その間の車速は、平均車速の計算に入れないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の平均時速を算出する平均車速算出装置および算出された平均車速を用いて目的地までの所要時間或いは到着時刻を予想するカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、経路探索機能および経路案内機能を有したカーナビゲーション装置では、現在地から目的地までの最適な経路を探索して表示装置の地図上に表示することにあわせて、目的地に到着する時刻を予想して表示装置に表示するようにしたものがある。この到着時刻を予想するには、現在地から目的地までの距離を平均車速で除して所要時間を求めることが必要となる。
【0003】
この平均時速を求めるために、特許文献1では、車両が一定距離移動するたびに、その間の平均車速を車速瞬時値として求め、そして、この車速瞬時値を用いて平均車速を算出するようにしている。この場合、車両が停止している間を含めて車速瞬時値を算出すると、実際の車速との乖離が発生するので、車両停止中の時間は車速瞬時値の算出に含めないようにしている。
【特許文献1】特開2001−330443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
渋滞している道路では、完全に停止はせず、いわゆるノロノロ運転が続くという状態になる場合がある。このような場合、車両は低速ではあるが走行しているため、その間も車速瞬時値が算出され、その低速の車速瞬時値を用いて平均車速が算出される。このため、その後に渋滞を抜け出ても、その渋滞道路での低速の車速瞬時値の影響で、算出される平均車速が遅くなり、目的地までの走行所要時間の予測が大きく狂うという問題を生ずる。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、車両が渋滞している地点或は区間を走行しても、平均車速を異常に遅く算出してしまうという不具合を解消できる平均車速算出装置を提供することにあり、第2の目的は、渋滞している地点或は区間を走行しても、目的地までの走行所要時間或いは到着時刻の予想をより正確に行うことができるカーナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の平均車速算出装置では、車両が渋滞中の地点或は区間にあるとき、平均車速を算出する動作を中止するので、渋滞で低速走行しても、平均車速を異常に遅く算出してしまうという不具合を解消できる。
【0007】
請求項2の平均車速算出装置は、車両が所定の判定用距離だけ移動する都度、その判定用距離での平均車速を車速瞬時値として求め、この車速瞬時値を用いて車両の平均車速を算出することを前提とする。そして、車両が渋滞中の地点或は区間にあるとき、渋滞程度に応じて車速瞬時値を用いる重みを設定し、平均車速を算出する際に車速瞬時値を用いる程度を、算出動作制御手段により設定された重みに応じて変えるので、請求項1の発明と同様に、渋滞で低速走行しても、平均車速を異常に遅く算出してしまうという不具合を解消できる。
【0008】
請求項3の平均車速算出装置は、平均車速を算出する際に車速瞬時値を用いる程度を、渋滞程度の他、走行中の道路の種別によっても変えるので、同じ程度の渋滞でも、高速道路での渋滞と一般道路での渋滞とでは、走行できる車速が異なるという事情を平均車速の算出に反映することができる。
【0009】
請求項4の平均車速算出装置では、車速が所定の低速値以下であるとき、平均車速を算出する動作を中止するので、信号待ちで停車している場合や、重度の渋滞で車両が前に進まない場合など、車速瞬時値に入れるべきでない停止時の時間を平均車速の算出に用いないようにすることができる。
【0010】
請求項5のカーナビゲーション装置では、上述の請求項1ないし4の平均車速算出装置を備え、その平均車速算出装置が算出した平均時速を用いて目的地までの所要時間或いは到着時刻を算出するので、目的地までの走行所要時間或いは到着時刻の予想をより正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施例につき、図1〜図5を参照しながら説明する。
図1は平均車速算出装置を兼ねるカーナビゲーション装置1の全体構成を示すブロック図である。このカーナビゲーション装置1は、自車両の現在位置を取得する現在位置取得手段としての位置検出器2、地図データ取得手段としての地図データ入力装置3、操作手段としての操作スイッチ群4、リモコンセンサ5、表示手段としての表示装置6、外部メモリ7、音声制御装置8、道路交通情報取得手段としての道路交通情報受信機を構成する例えばVICS受信機9、時計手段としての時計装置10、これらが接続された制御手段としての制御装置11、音声制御装置8に接続されたスピーカ(音声出力手段)12、リモコンセンサ5と対をなすリモコン13を備えている。
【0012】
そのうち位置検出器2は、GPS用の人工衛星からの送信電波に基づいて自車両の位置を検出(測位)するGPSのためのGPS受信機14、自車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ15、自車両の走行速度(以下、車速という。)を検出する車速検出手段としての車速センサ16、自車両の進行方位を検出するための地磁気センサ17を有している。制御装置11は、これらセンサ14〜17からの出力信号により自車両の現在位置を検出する。なお、GPSは、Global Positioning Systemの略である。
【0013】
この場合、制御装置11は、車速センサ16の出力信号から走行距離を算出し、この走行距離と、ジャイロスコープ15および地磁気センサ17から求めた自車両の進行方位とにより、現在位置を算出する。また、制御装置11は、GPS受信機14により受信した電波信号に基づいて自車両の現在位置を算出する。そして、位置検出のための各種センサ14〜17は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、制御装置11は、走行距離と進行方位とから求めた現在位置と、GPS受信機14の受信電波から求めた現在位置とを各々補完しながら最適な現在位置を取得するように構成されている。
【0014】
地図データ入力装置3は、地図データ記録媒体としての例えばCD−ROMやDVD−ROMに記録されたデータを読み取るためのもので、CDプレーヤやDVDプレーヤからなる。操作スイッチ群4は、使用者が、目的地の設定や、表示装置6に表示される道路地図の選択等の各種のコマンドを入力するためのもので、各種のメカニカルスイッチ、表示装置6の画面上に設けられたタッチパネルから構成されている。
【0015】
表示装置6は、例えばフルカラー表示可能な液晶ディスプレイからなるもので、その画面には、各種縮尺の道路地図が表示されると共に、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置および進行方向を示すポインタが表示されるようになっている。また、使用者が目的地などを入力するための各種の入力用画面や、各種のメッセージやインフォメーションなども表示されるようになっている。更には、目的地までの案内を行なう経路案内機能の実行時には、道路地図に重ね合わせて進むべき経路(案内経路)などが表示されるようになっている。
【0016】
VICS受信機9は、外部の道路交通情報源であるVICSから送信される道路交通情報を受信して制御装置11に入力する。この道路交通情報の中には、渋滞情報が含まれ、その渋滞情報は、渋滞発生の時刻、渋滞の地点或は区間、渋滞の程度を含む。渋滞の程度は、例えば渋滞距離、或は渋滞距離を「軽」、「中」、「重」に置き換えたものとして表される。制御装置11は、VICS受信機9から入力された道路交通情報により、交通規制地点、渋滞している道路とその渋滞地点或は区間、渋滞の程度などを検出する。なお、VICSは、Vehicle Information Communication Systemの略である。時計装置10は、図示しない発振器のクロックパルスに基づいて計時動作を実行し、現在時刻を計測する。
【0017】
前記制御装置11は、CPU17、ROM18、RAM19などからなるマイクロコンピュータを主体として構成されている。そして、制御装置11は、経路探索手段および経路案内手段として機能し、使用者による目的地の入力に基づいて、自動経路探索および経路案内の機能を実行するようになっている。自動経路探索の機能は、出発地(通常は現在位置)から使用者により入力された目的地まで、或は経由地が入力された場合には、出発地から経由地を経て目的地までの最適な経路を自動的に算出するものであり、経路案内の機能は、上述のように、表示装置6に表示された道路地図上にその経路を重ねて表示して目的地まで案内すると共に、音声制御装置8の音声合成機能を用いて、例えば「200m先の交差点を左です。」といった案内音声を前記スピーカ12から出力させるものである。
【0018】
経路探索機能により目的地までの経路が探索された場合、および探索された経路に沿って目的地までの案内を実行中、制御装置11は、自車両の平均車速を算出し、その平均車速を基にして目的地までの予想所要時間を算出し、その予想所要時間と現在時刻とから目的地への到着予想時間を算出する。従って、制御装置11は、平均車速を算出する平均車速算出装置の要部を構成する平均車速算出手段として機能する。
【0019】
平均車速を演算する場合、車両が所定の判定用距離(例えば、1km移動する都度、その判定用距離を移動するに要した時間で除すことによって車速瞬時値Vaを算出する。そして、判定距離を移動して車速瞬時値Vaを算出すると、その都度、次に示す(1)式によって平均車速Vを算出する。
【0020】
V←V´+K(Va−V´) …… (1)
なお、(1)式において、V´は前回算出の平均車速である。
経路が探索されても、車両が出発地に留まる限り、車速瞬時値Vaは算出されない。また、車両が走行を開始して上記(1)式で平均車速を算出する場合、当初のV´は0(ゼロ)であるので、平均車速Vが実際の車両の平均速度に合わなくなる。そこで、平均車速初期値を設定し、この平均車速初期値を、経路探索を終了した時点で当該経路の所要時間を算出する場合の平均車速とすると共に、走行開始第1回目の平均車速Vの算出は、この平均車速初期値Vaを用いる。
【0021】
この実施例では、道路を例えば第1クラスを市街地一般道路(国道を除く)、第2クラスを国道および市外道路、第3クラスを高速道路および有料道路の3クラスに分け、それぞれのクラスに図3に示す平均車速初期値を与えておく。この各クラスの平均車速初期値は、記憶手段としての地図データ記憶媒体であるCD−ROM或はDVD−ROMに記憶されている。また、各道路を上記の3つのクラスに分けるための道路種別(国道、市街道路、市街地一般道路(国道を除く)、高速道路、有料道路などの道路種別は、地図データ中に予め記録されている。
【0022】
次に、平均車速を算出して目的地までの予想所要時間および到着予想時刻を算出する場合の制御装置11の動作内容を図2および図3のフローチャートをも参照しながら説明する。
入力された目的地までの経路探索が終了し、制御装置11が図3に示す予想所要時間および到着予想時刻表示ルーチンに入ると、制御装置11は、まず、案内経路が存在しているか否かを判断する(ステップS1)。案内経路が存在していない場合には、制御装置11は、ステップS1で「NO」と判断し、図3のルーチンを終了する。
【0023】
案内経路が存在している場合(ステップS1で「YES」)、制御装置11は、次に目的地までの残り距離を算出する。この場合の残り距離は、前述の第1〜第3の道路クラス別に算出される。そして、制御装置11は、案内経路上における第1〜第3の道路クラスの距離を、各道路クラス毎に予め定められた図4の平均車速初期値で除して各クラスの道路を走行するに要する時間を求め、これら各クラスの道路の走行所要時間を合計して現在地から目的地までの予想所要時間を算出する(ステップS3)。
【0024】
次いで、制御装置11は、時計装置10から現在時刻を読み出し、現在時刻に上記の予想所要時間を加えることによって目的地への到着予想時刻を算出する(ステップS4)。その後、制御装置11は、図5に示すように、表示装置6に表示されている地図に探索した経路を重ねて表示すると共に、予想所要時間および到着予想時刻を表示し(ステップS5)、図3のルーチンを終了する。
【0025】
車両が探索された経路の出発地を出発し、その後、制御装置11が図2の平均車速算出ルーチンの実行に入ったとする。すると、制御装置11は、まず、案内経路が存在しているか否かを判断し(ステップA1)。案内経路が存在していない場合には、「NO」となって図2のルーチンを終了する。案内経路が存在している場合には、制御装置11は、次に車速センサ16から車速検出信号を入力して車速を算出し(ステップA2)、続いて現在走行中の道路クラス(種別)を取り込む(ステップA3;道路種別検出手段)。なお、道路クラスの取り込みは、現在位置を位置検出器2から取得し、この現在位置から現在走行中の道路を地図データから検索してその走行中道路のデータから道路クラスを抽出するものである。
【0026】
その後、制御装置11は、車速が現在走行中の道路クラスに応じて定められた所定速度以下であるか否かを判断する(ステップA4)。ここで、このステップA4での判断基準である所定速度は、第3クラスの高速道路および有料道路が例えば40km、それ以外のクラスの道路は0kmに設定されている。この道路クラスに応じた所定速度は、予め記憶手段としての地図データ記憶媒体であるCD−ROM或はDVD−ROMに記憶されている。制御装置11は、現在の車速が道路クラスに応じて定められた所定速度以下であった場合(ステップA4で「YES」)、平均車速の算出を行うことなくリターンとなる。
【0027】
現在の車速が道路クラスに応じて定められた所定速度を超えていた場合(ステップA4で「NO」)、制御装置11は、VICS受信機9が受信した道路交通情報を取り込み(ステップA5)、その道路交通情報中に現在位置が渋滞地点或は渋滞区間内にあるか否かを判断する(ステップA6)。現在位置が渋滞地点或は渋滞区間内にあるとき(ステップA6で「YES」)、制御装置11は、平均車速の算出を行うことなくリターンとなる。このように、車両が停止(高速道路および有料道路では40km以下)していたり、走行していても渋滞に巻き込まれていたりしたときに、平均車速を算出する動作を中止する制御装置11は、算出動作制御手段として機能する。
【0028】
現在位置が渋滞地点或は渋滞区間内にいない場合(ステップA6で「NO」)、制御装置11は、車両が判定用距離である1km移動するまでの間、上述のステップA2〜ステップA6を繰り返し実行する。そして、車両が判定距離だけ走行すると(ステップA7で「YES」)、制御装置11は、判定距離をその距離移動するに要した時間で除して車速瞬時値を算出する(ステップA8;車速瞬時値算出手段)。
【0029】
次に、制御装置11は、現在走行している道路のクラスを判別し(ステップA9)、前回の平均車速V´を用いて前述の(1)式にて平均車速Vを算出する。この場合、今回の平均車速算出は、出発地からの走行開始後の第1回目の算出であって、前回の平均車速V´が一次記憶手段である制御装置11のRAMに記憶されていないとすると、図4の道路クラス別の平均車速初期値を前回の平均車速V´として平均車速Vを算出する。即ち、現在走行中の道路が第1クラスのときには、V´に30km/hを用い(ステップA10)、第2クラスのときには、V´に40km/hを用い(ステップA11)、第3クラスのときには、V´に90km/hを用いる(ステップA12)。以上のようにして平均車速を算出すると、制御装置11は、図2のルーチンを終了し、リターンとなる。
【0030】
平均車速の算出を終了した後、図3のルーチンに入ると、制御装置11は、経路の全行程距離からそれまで走行した距離を減算し、目的地までの残り距離を算出する(ステップS1で「YES」、ステップS2)。そして、図2のルーチンで算出した平均車速Vを用いて、予想残り所要時間を算出する(ステップS3)。この場合の予想残り所要時間の算出を更に詳細に説明する。
【0031】
即ち、制御装置11は、位置検出器2の検出データから現在位置を検出する。現在位置を検出すると、残り行程の道路クラスと、各道路クラスの残り距離とが分かるので、現在走行している道路と同じクラスの道路については、同クラスの全道路の残り距離を図2のルーチンで算出した平均車速Vで除して当該クラスの道路の残り所要時間を算出する。また、現在走行しているクラスと異なるクラスの道路については、そのクラスの残り距離を図4のクラス別平均車速初期値で除して各クラスの道路の残り距離の所要時間を算出する。そして、現在走行中の道路と同じクラスの道路の所要時間と、他のクラスの道路の所要時間とを加算し、これを予想残り所要時間とする。
【0032】
以上のようにして予想残り所要時間を算出すると、制御装置11は、次に現在時刻を取り込み、現在時刻に予想所要時間を加算して到着予想時刻を算出する(ステップS4)。その後、制御装置11は、通知手段としての表示装置6に予想残り所要時間および到着予想時刻を表示する(ステップS5)。
【0033】
その後、制御装置11は、図2のルーチンを実行して平均車速を算出し、そして、この平均車速を用いて図3のルーチンにて残り所要時間と到着予想時刻とを算出して表示装置6に表示するという動作を繰り返し実行する。この際、車両がクラスの異なる道路に入ると、制御装置11は、その進入した道路での第1回目の平均車速の算出時には、図4の平均車速初期値を前回の平均車速V´に用いて平均車速を算出するようになっている。
【0034】
このように本実施例によれば、渋滞地点或は渋滞区間に車両がある場合には、平均車速の算出を行わないので、予想残り所要時間の算出に用いる平均車速に、停止してはいないが、通常よりも低速度でしか走行できないような状況にあるときの車速を平均車速に算入しないで済む。このため、その渋滞道路での低速の車速瞬時値の影響で、算出される平均車速が遅くなり、目的地までの走行所要時間の予測が大きく狂うという問題を効果的に解消することができる。
【0035】
図6および図7は本発明の第2の実施例を示す。この実施例が前述の第1の実施例と異なるところは、渋滞しているときには、平均車速の算出を停止するのではなく、前記式(1)の係数Kを渋滞の程度に応じて変えて平均車速を算出するようにしたところにある。
つまり、式(1)は車速瞬時値Vaを用いて平均車速を算出する式であるが、車速瞬時値Vaを用いる重みは、前回求めた平均車速V´との差に係数Kを乗じたものとなっている。この係数Kは、平均車速の計算において、車速瞬時値を用いる重みを定めるものであって、上述の第1の実施例では、渋滞の程度とは関係なく、一律に0.1に設定してある。
【0036】
これに対し、本実施例では、図7に示すように、渋滞の程度を「重」、「中」、「軽」の3段階に分け、「重」のときのKを0.01、「中」のときKを0.04とし、「軽」のときKを0.08とする。この場合、渋滞の程度は、渋滞距離により、或は、渋滞中道路での走行速度により分けることが考えられる。この渋滞程度に応じた係数は、記憶手段としての地図データ用のCD−ROM或はDVD−ROMに記憶させてある。
【0037】
そして、図6に示す平均車速算出ルーチンにおいて、道路交通情報中に車両の現在位置が渋滞地点或は渋滞区間内にあるとき(ステップA6で「YES」)、算出動作制御手段としての制御装置11は、道路交通情報から渋滞の程度を検出し、その渋滞の程度に応じた係数Kを設定する(ステップA6−1)。その後、制御装置11は、車両が判定用距離移動したところで、車速瞬時値を算出し、そして、第1回目の平均車速算出の場合には、現在走行中の道路クラスに応じた平均車速初期値と渋滞程度に応じた係数Kを用いて平均車速Vを算出し、第2回目以降の平均車速の算出の場合には、前回算出した平均車速V´と渋滞程度に応じた係数Kを用いて平均車速Vを算出する。
【0038】
このように、本実施例では、渋滞の程度に応じて係数を変えて、平均車速の計算に用いる車速瞬時値の重みを変えるようにしたので、渋滞であっても、停止していなければ車速瞬時値を平均車速の算出に用いるようにしながらも、平均車速を著しく低下させることなく、低速でも走行していることによる平均速度の低下を予想所要時間に反映することができる。
【0039】
図8は本発明の第3の実施例を示すもので、この実施例が上述の第2の実施例と異なるところは、平均車速の算出に用いる車速瞬時値の重みを渋滞の程度に応じて変えることに加え、道路クラスによってもその重みを変えるようにしたところにある。
即ち、図8に示すように、渋滞程度と道路クラスとに応じて係数Kを異ならせる。そして、この図8に示す渋滞程度と道路クラスとに応じた係数Kは、記憶手段としてのCD−ROM或はDVD−ROMに記憶させてある。
【0040】
この実施例によれば、渋滞の場合、車速瞬時値を道路クラスに見合った重み付けをして平均車速の算出に用いることができる。例をあげて説明すると、高速道路と市街地道路とでは、同じ渋滞の程度であっても走行できる速度が異なる。例えば、高速道路では、30km/h、50km/h或は70km/hで走行できても、市街地道路では、5km/hとか10km/h程度でしか走行できないというように、両道路には渋滞時走行速度に差がある。このような場合、道路クラスと渋滞程度に応じて車速瞬時値を用いる重みを違えておくことにより、実際の走行速度を平均車速に対して、渋滞の程度や道路に応じて反映でき、より実情にあった予想所要時間および到着予想時刻を算出することができる。
【0041】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような拡張或は変更が可能である。
予想所要時間、到着予想時間は、スピーカ(通知手段)12から出力しても良い。
道路交通情報は、ラジオチューナにより取得しても良い。
平均車速の計算は、(1)式によるものに限られない。
車速瞬時値は、移動距離を移動に要した時間で除すものに限られず、一定時間毎に取得した車速を平均して求めても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施例を示すカーナビゲーション装置のブロック図
【図2】平均車速算出のフローチャート
【図3】予想所要時間および到着予想時刻表示のフローチャート
【図4】道路種類に応じた平均車速初期値を示す図
【図5】地図上に案内経路と予想所要時間、到着予想時間を表示した図
【図6】本発明の第2の実施例を示す図2相当図
【図7】渋滞程度に応じた係数を示す図
【図8】本発明の第3の実施例を示し、道路種別と渋滞程度とに応じた係数を示す図
【符号の説明】
【0043】
図中、1はカーナビゲーション装置(平均車速算出装置)、2は位置検出器(現在位置取得手段)、3は地図データ入力装置、6は表示装置(通知手段)、9はVICS受信機(道路交通情報取得手段)、10は時計装置、11は制御装置(道路種別検出手段、算出動作制御手段)、16は車速センサ(車速検出手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の平均車速を算出する平均車速算出装置において、
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
少なくとも渋滞地点或は渋滞区間を含む道路交通情報を取得する道路交通情報取得手段と、
前記現在位置取得手段により取得された車両の現在位置が前記道路交通情報取得手段により渋滞中とされた地点或は区間にあるとき、平均車速を算出する動作を中止する算出動作制御手段と、
を具備してなる平均車速算出装置。
【請求項2】
車両が所定の判定用距離だけ移動する都度、その判定用距離での平均車速を車速瞬時値として求め、この車速瞬時値を用いて車両の平均車速を算出するようにした平均車速算出装置において、
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
少なくとも渋滞地点或は渋滞区間および渋滞程度を含む道路交通情報を取得する道路交通情報取得手段と、
前記現在位置取得手段により取得された車両の現在位置が前記道路交通情報取得手段により渋滞中とされた地点或は区間にあるとき、前記車速瞬時値を平均車速の算出に用いる重みを渋滞程度に応じて設定する算出動作制御手段と、
を備え、車両の現在位置が前記渋滞中とされた地点或は区間にあるときは、平均車速を算出する際に前記車速瞬時値を用いる程度を、前記算出動作制御手段により設定された重みに応じて変えることを特徴とする平均車速算出装置。
【請求項3】
車両の現在位置から車両の走行中の道路の種別を検出する道路種別検出手段を備え、
前記算出動作制御手段は、渋滞程度の他、前記道路種別検出手段により検出された走行中の道路の種別によっても前記車速瞬時値を用いる重みを変えることを特徴とする請求項2記載の平均車速算出装置。
【請求項4】
車速を検出する車速検出手段を備え、
前記車速検出手段の検出する車速が所定の低速値以下であるとき、平均車速を算出する動作を中止することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の平均車速算出装置。
【請求項5】
経路探索機能および経路案内機能を有したカーナビゲーション装置において、
請求項1ないし4のいずれかに記載の平均車速算出装置と、
経路案内時に現在地から目的地までの残り距離を算出する残り距離算出手段と、
前記残り距離算出手段により求められた残り距離と前記平均車速算出装置により算出された平均車速とから目的地に到着するまでの予想所要時間を算出する所要時間算出手段と、
前記所要時間算出手段により算出された予想所要時間および/またはこの予想所要時間から求められる目的地到着予想時刻を通知する通知手段と、
を備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−184232(P2006−184232A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380672(P2004−380672)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】