説明

平版印刷版材料の製造方法及び平版印刷版材料

【課題】 本発明の目的は、連続生産が可能であって塗布性に優れ、印刷機上現像性に優れる平版印刷版材料を与える平版印刷版材料の製造方法及びそれにより製造された平版印刷版材料を提供することにある。
【解決手段】 プラスチック支持体上に、着色顔料粒子を含有する親水性層と印刷機上現像可能な画像形成層とを該プラスチック支持体に対してこの順に有する平版印刷版材料の製造方法において、該親水性層が連続搬送される帯状プラスチック支持体上に親水性層用塗布液を塗布装置に供給し、塗布、乾燥して設層された層であり、該親水性層用塗布液が内部剪断型メディアレス分散機を用い分散処理された後、該塗布装置に供給されることを特徴とする平版印刷版材料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平版印刷版材料の製造方法に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(CTP)システムにより画像形成が可能で、印刷機上現像可能な画像形成層を有する平版印刷版材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフセット印刷用の印刷版の作製技術において、画像のデジタルデータをレーザー光源で直接印刷版材料に記録するCTP(コンピューター・トゥー・プレート)システムが普及してきた。
【0003】
近年、CTPシステムに使用される印刷版材料として、特別な薬剤(例えばアルカリ、酸、溶媒など)を含む処理液による現像処理を必要とせず、従来の印刷機に適用可能である印刷版材料が求められており、例えば、全く現像処理を必要としない相変化タイプの印刷版材料、水もしくは水を主体とした実質的に中性の処理液で処理をする印刷版材料、印刷機上で印刷の初期段階で現像処理を行い特に現像工程を必要としない印刷版材料などの、ケミカルフリータイプ印刷版材料やプロセスレスタイプ印刷版材料と呼ばれる印刷版材料が知られている。
【0004】
これらのプロセスレスCTPとしては、印刷機上で湿し水やインクを用いて画像形成層の非画像部を除去する、機上現像タイプが多く知られており、この例として例えば、特許2938397号や特許2938398号に開示されているような、親水性層もしくはアルミ砂目上に熱可塑性微粒子、水溶性の結合剤、光熱変換素材を含有する画像形成層を設けた印刷版材料が挙げられる。
【0005】
上記の光熱変換素材を含有する画像形成層を設けた印刷版材料においては、プロセスレスCTP用の印刷版材料として用いることはできるものの、感度、耐刷力が不充分であり、印刷時に光熱変換素材による色濁りが発生する場合がある、汚れの回復性が不充分であるなどの問題点があった。
【0006】
このような問題点を改善するため、親水性層に光熱変換素材を含有させた印刷版材料が知られている。また、印刷適性を改良するために光熱変換素材として、金属酸化物などの顔料粒子を用いた印刷版材料が知られている(特許文献1参照)。
【0007】
これらの金属酸化物などの顔料粒子を含有した親水性層の設層は、顔料粒子を含有する親水性用の塗布液を予め分散処理を施してから塗布が行われている。このような場合には、経時で二次凝集の発生などがおこり、機上現像性の不均一、感度ムラが生じるため平版印刷版材料の連続製造は困難であった。
【0008】
平版印刷版材料の連続製造のために、例えば塗布液を供給するライン上でインライン超音波分散を行うなどの方法があるが、この場合は逆に粗大粒子が発生し塗布欠陥が発生することがあった。
【0009】
またインラインの分散方法としてメディア分散を用いた場合には、顔料粒子の微細化が起こり塗布液の分散安定性が低下して塗布ムラを生じ、印刷機上現像時の損紙が多い、印刷機上現像時に汚れを生ずる場合があるなどの問題があった。
【特許文献1】特開2003−231374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、連続生産が可能であって塗布性に優れ、印刷機上現像性に優れる平版印刷版材料を与える平版印刷版材料の製造方法及びそれにより製造された平版印刷版材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、下記手段により達成される。
【0012】
(請求項1)
プラスチック支持体上に、着色顔料粒子を含有する親水性層と印刷機上現像可能な画像形成層とを該プラスチック支持体に対してこの順に有する平版印刷版材料の製造方法において、該親水性層が連続搬送される帯状プラスチック支持体上に親水性層用塗布液を塗布装置に供給し、塗布、乾燥して設層された層であり、該親水性層用塗布液が内部剪断型メディアレス分散機を用い分散処理された後、該塗布装置に供給されることを特徴とする平版印刷版材料の製造方法。
【0013】
(請求項2)
前記分散処理から前記塗布までの時間が、0〜3分であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【0014】
(請求項3)
前記分散処理に用いられる内部剪断型メディアレス分散機の分散機構が、相対回転運動する二枚の対向するディスクを有し該対向するディスクの外縁部の相対運動速度が10m/秒以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【0015】
(請求項4)
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする平版印刷版材料。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記構成により、連続生産が可能であって塗布性に優れ、印刷機上現像時の損紙がすくなく、印刷機上現像時の汚れ発生の少ない平版印刷版材料を与える平版印刷版材料の製造方法及びそれにより製造された平版印刷版材料が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、プラスチック支持体上に、着色顔料粒子を含有する親水性層と印刷機上現像可能な画像形成層とを該プラスチック支持体に対してこの順に有する平版印刷版材料の製造方法において、該親水性層が連続搬送される帯状プラスチック支持体上に親水性層用塗布液を塗布装置に供給し、塗布、乾燥して設層された層であり、該親水性層用塗布液が内部剪断型メディアレス分散機を用い分散処理された後、該塗布装置に供給されることを特徴とする。
【0018】
本発明においては特に、着色顔料粒子を含有する親水性層用塗布液を塗布直前に内部剪断型メディアレス分散機を用い分散処理することで、連続生産が可能であって塗布性に優れ、印刷機上現像時の損紙がすくなく、印刷機上現像時の汚れ発生の少ない平版印刷版材料が得られる。
【0019】
(着色顔料粒子)
本発明に係る着色顔料粒子は、画像露光光を吸収して発熱し、画像形成層で画像を形成し得るものである。
【0020】
着色顔料粒子は特に700〜1100nmの波長の光を吸収して発熱、画像形成するものが好ましく用いられる。
【0021】
着色顔料粒子の大きさとしては、その1次粒子径が100nm以下であるものが画像形成する上で好ましく用いられる。即ち、本発明に係る着色顔料粒子としてはその1次粒子径が100nm以下であり、かつ700〜1100nmの波長の光を吸収する着色顔料粒子が特に好ましく用いられる。
【0022】
着色顔料粒子としては、例えばカーボンブラック、グラファイト、金属粒子、金属化合物粒子素を挙げることができる。
【0023】
カーボンブラックとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
【0024】
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の粒子を使用することができる。
【0025】
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。
【0026】
形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属粒子(Ag、Au等)が好ましい。
【0027】
金属化合物物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。
【0028】
前者としては、黒色酸化鉄(Fe34)や、前述の二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。
【0029】
後者としては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。
【0030】
又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
【0031】
光熱変換効率を考慮した場合に、黒色酸化鉄および二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
【0032】
黒色酸化鉄粒子としては、針状比(長軸径/短軸径)が1〜1.5の範囲の粒子であることが好ましく、実質的に球状(針状比1)であるか、もしくは、八面体形状(針状比約1.4)を有していることが好ましい。
【0033】
このような黒色酸化鉄粒子としては、例えば、チタン工業社製のTAROXシリーズが挙げられる。球状粒子としては、BL−100(粒子径0.2〜0.6μm)、BL−500(粒子径0.3〜1.0μm)等を好ましく用いることができる。また、八面体形状粒子としては、ABL−203(粒子径0.4〜0.5μm)、ABL−204(粒子径0.3〜0.4μm)、ABL−205(粒子径0.2〜0.3μm)、ABL−207(粒子径0.2μm)等を好ましく用いることができる。
【0034】
さらに、これらの粒子表面をSiO2等の無機物でコーティングした粒子も好ましく用いることができ、そのような粒子としては、SiO2でコーティングされた球状粒子:BL−200(粒子径0.2〜0.3μm)、八面体形状粒子:ABL−207A(粒子径0.2μm)が挙げられる。
【0035】
二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物は、具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
【0036】
本発明においては、上記金属酸化物のなかでも特に、真比重4.5以上である粒子を含有する親水性層の場合に特に有効である。
【0037】
(親水性層)
本発明に係る親水性層は親水性素材を含有する。
【0038】
親水性素材としては、前記顔料以外の金属酸化物、親水性有機樹脂が好ましく用いることができる。
【0039】
金属酸化物としては、金属酸化物粒子の状態で用いるのが好ましい。
【0040】
例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。
【0041】
この金属酸化物粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良い。平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
【0042】
上記金属酸化物粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
【0043】
本発明には、上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、炭素原子を含まない素材が91質量%以上というような層においても良好な強度を得ることができる。
上記コロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、さらに、コロイダルシリカはコロイド溶液とした場合アルカリ性を呈するものが好ましい。
【0044】
ネックレス状コロイダルシリカとは1次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称である。本発明に用いることができるネックレス状コロイダルシリカとは1次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。
【0045】
パールネックレス状(即ち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが真珠ネックレスの様な形状をしていることを意味している。
【0046】
ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業(株)製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられる。
【0047】
製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」があり、これらにそれぞれ対応する酸性の製品が「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」である。
【0048】
ネックレス状コロイダルシリカを添加することにより、層の多孔性を確保しつつ、強度を維持することが可能となり、層の多孔質化材として好ましく使用できる。
【0049】
これらの中でも、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いると、親水性層の強度が向上し、また、印刷枚数が多い場合でも地汚れの発生が抑制され、特に好ましい。
【0050】
また、コロイダルシリカは粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明には平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、3〜15nmであることが更に好ましい。
【0051】
又、前述のようにコロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが地汚れ発生を抑制する効果が高いため、アルカリ性のコロイダルシリカを使用することが特に好ましい。
【0052】
平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
【0053】
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、層の多孔質性を維持しながら、強度をさらに向上させることが可能となり、特に好ましい。
【0054】
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95が好ましく、70/30〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。
【0055】
親水性層は、金属酸化物として多孔質金属酸化物粒子を含むことが好ましい。
【0056】
多孔質金属酸化物粒子としては、後述する多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
【0057】
多孔質シリカ多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子多孔質シリカ粒子は一般に湿式法又は乾式法により製造される。
【0058】
湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。
【0059】
乾式法では四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
【0060】
多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
【0061】
多孔質アルミノシリケート粒子は例えば特開平10−71764号に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
【0062】
粒子の多孔性としては、分散前の状態で細孔容積で1.0ml/g以上であることが好ましく、1.2ml/g以上であることがより好ましく、1.8〜2.5ml/g以下であることが更に好ましい。
【0063】
細孔容積は塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。細孔容積が1.0ml/g未満の場合には、印刷時の汚れにくさ、水量ラチチュードの広さが不充分となる。
【0064】
粒径としては、親水性層に含有されている状態で(例えば分散時に破砕された場合も含めて)、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。不必要に粗大な粒子が存在すると親水性層表面に多孔質で急峻な突起が形成され、突起周囲にインクが残りやすくなって非画線部汚れやブランケット汚れが劣化する場合がある。
【0065】
ゼオライトは結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体でありる。
【0066】
多孔質金属酸化物粒子の粒径としては、親水性層に含有されている状態で、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。
【0067】
また、親水性層は金属酸化物として、層状鉱物粒子を含んでもよい。
【0068】
層状鉱物粒子としては、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。
【0069】
中でも、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
【0070】
又、上記の層状鉱物粒子のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
【0071】
層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、引っかきによるキズ抑制効果の面から平均粒径(粒子の最大長)が20μm以下であり、又平均アスペクト比(粒子の最大長/粒子の厚さ)が20以上の薄層状であることが好ましく、平均粒径が5μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましく、平均粒径が1μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましい。
【0072】
粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。
【0073】
また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。
【0074】
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
【0075】
特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを作成した後、塗布液に添加することが好ましい。
【0076】
親水性層はその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
【0077】
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
【0078】
親水性有機樹脂としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂、糖類が挙げられる。
【0079】
又、カチオン性樹脂を含有しても良く、カチオン性樹脂としては、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は微粒子状の形態で添加しても良い。これは、例えば特開平6−161101号に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
【0080】
上記の糖類としては、オリゴ糖を用いることもできるが、特に多糖類を用いることが好ましい。
【0081】
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
【0082】
これは、多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
【0083】
又、親水性層は、顔料粒子以外の、例えば赤外線吸収色素などの光熱変換素材を含んでもよい。
【0084】
赤外線吸収色素としてはシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。
【0085】
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜50μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。
【0086】
このような凹凸構造は、親水性層に適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷性能を有する構造を得ることができ、好ましい。
【0087】
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さなど)はアルカリ性コロイダルシリカの種類及び添加量、水溶性多糖類の種類及び添加量、その他添加材の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。
【0088】
凹凸構造のピッチとしては0.2〜30μmであることがより好ましく、0.5〜20μmであることが更に好ましい。又、ピッチの大きな凹凸構造の上に、それよりもピッチの小さい凹凸構造が形成されているような多重構造の凹凸構造が形成されていてもよい。
表面粗さとしては、Raで100〜1000nmが好ましく、150〜600nmがより好ましい。
【0089】
本発明に係る親水性層の膜厚としては、0.01〜50μmであり、好ましくは0.2〜10μmであり、更に好ましくは0.5〜3μmである。
【0090】
本発明に係る親水性層は複数層あってもよく、この場合の他の親水性層も上記と同様の素材を含む。
【0091】
(親水性用塗布液)
親水性層用塗布液は、上記の親水性層に用いられ素材と塗布溶媒からなる。
【0092】
塗布溶媒としては、水、アルコール類、多価アルコール類が挙げられる。
【0093】
また、本発明に係る親水性層用塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができる。
【0094】
界面活性剤としてSi系やF系やアセチレングリコール系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。
【0095】
界面活性剤の含有量は親水性層(塗布液中の固形分(溶媒以外の部分))の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
【0096】
また、本発明に係る親水性層はリン酸塩を含むことができる。本発明では親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
【0097】
(塗布)
本発明に係る塗布に用いられる塗布装置としては、ワイヤーバー型タイプ、カーテン塗布型タイプ、スライド型コータータイプ等種々の塗布方法に用いられる塗布装置を用いることができるが、本発明においてはスライド型コータータイプ、ワイヤーバー型タイプの場合に特に有効である。
【0098】
また親水性層が複数ある場合などでは、重層塗布用のスライドコーターが有用であり、このような場合にも本発明は特に有効である。
【0099】
重層塗布用スライド型コーターとしては、特開2002−153803、特開2002−153808、特開2002−166210、特開2002−166219、特開2002−192045、特開2002−182333、特開2002−233804、特開2002−248397、特開2002−292326、特開2002−254006、特開2002−273229、特開2002−361146、特開2003−024853、特開2003−062517、特開2003−112111、特開2003−114500、特開2003−117463の各公報に記載されているか、各公報が参照している公報、文献に記載されている公知のコーターを用いることができる。
【0100】
また、重層塗布用スライド型コーターとしては、公知のスライドビード塗布やスライドカーテン塗布による重層塗布に用いるスライド型コーターがある。
【0101】
本発明においては、着色顔料粒子を含む親水性層は、親水性層用塗布液を用いて塗布、乾燥して設層されるが、その際、親水性層用塗布液を内部剪断型メディアレス分散機を用い分散処理する。
【0102】
内部剪断型メディアレス分散機とは、高速回転するローターとステーターを有し、これらの間の狭小なクリアランスで塗布液内部に剪断を与え分散する装置である。
【0103】
この分散機の例として、例えばエムテクニック株式会社製のクレアミックス、浅田鉄鋼株式会社製トルネード、ニロソアビ社製の高圧ホモジナイザーやパーティクルサイザーが上げられる。
【0104】
内部剪断型メディアレス分散機を用いて分散処理を行う際、その分散機構が相対回転運動する二枚の対向するディスクを有し該対向するディスクの外縁部の相対運動速度が10m/秒以上である場合が本願の効果が大きく好ましく、特に50m/秒以上が好ましく、50〜500m/秒が好ましい。
【0105】
また、分散処理から塗布するまでの時間は、印刷機上現像性の面から0〜3分の間であることが好ましい。
【0106】
本発明における分散処理は、塗布液を調製の段階で分散した後の再分散に相当し、塗布送液配管途中もしくは後述する塗布送液循環配管途中に分散機を設置して行なうことが好ましい態様のひとつである。
【0107】
送液循環配管のどの位置に分散機を配置しても目的の効果が得られるが、分散機からコーターまでの配管長をより短く(再分散から塗布までの時間を短縮)した方が好ましい。
【0108】
また分散機を複数連結して処理効果を高めることもできる。
【0109】
コーターに分散機を設置する態様としては、例えば特開平5−50001に記載されているコーターチャンバー内に攪拌ローターを内蔵する押し出しコーターの機構をスライドコーターに応用して用いる態様などがある。
【0110】
このような塗布液の再分散は、塗布液を送液循環しながら行なうこともできる。塗布液の送液循環は、具体的には、例えば塗布液をスライドコーターのダイスチャンバーに塗布必要量よりも過剰に供給し、過剰の塗布液をコーターダイスチャンバーから引き抜き、引き抜いた塗布液を塗布液供給タンク、もしくは、塗布液供給タンクからコーターまでの送液配管に戻すことで行なうことができる。
【0111】
(乾燥)
親水性層用塗布液が上記のように塗布された後に、乾燥することにより親水性層が設層される。
【0112】
乾燥温度としては、70℃以上であることが好ましい。基材が樹脂である場合には、80〜150℃の範囲であることがより好ましい。また、基材が金属である場合には、80℃〜300℃の範囲であることがより好ましい。
【0113】
乾燥時間としては1秒間〜5分間の範囲が好ましく、5〜2分間の範囲がより好ましい。また、乾燥温度と乾燥時間との組み合わせによっては、基材に熱ダメージを与える可能性があるため、基材が熱ダメージを受けない条件とすることが好ましい。
【0114】
(画像形成層)
本発明に係る画像形成層は、印刷機上現像可能な画像形成である。印刷機上現像可能とは、印刷版材料を画像露光した後、特に現像処理を経ることなく、印刷機上で平版印刷の湿し水、または湿し水と印刷インキにより現像可能でそのまま印刷工程へと移行可能であることをいう。
【0115】
本発明に係る画像形成層のなかでも、親水性層の画像露光での発熱により画像形成可能な層であり、露光部の画像形成層が熱によって除去されにくくなる方向へと変化する、いわゆるネガ型感熱画像形成層が好ましい。
【0116】
このような、露光部が熱によって親水性層上から除去されにくくなる方向へと変化する画像形成層としては、例えば、露光前は親水性の層であり、熱により親水性の層から疎水性の層へと変化させ得る疎水化前駆体と水溶性もしくは水分散性素材とを含有する画像形成層を挙げることができる。
【0117】
疎水化前駆体としては、例えば熱によって親水性(水溶性または水膨潤性)から疎水性へと変化するポリマー、具体的には、例えば、特開2000−56449に開示されている、アリールジアゾスルホネート単位を含有するポリマーを挙げることができる。
【0118】
本発明に係る画像形成層には、疎水化前駆体として、熱溶融性粒子または熱融着性粒子等の熱可塑性疎水性粒子、もしくは、疎水性物質を内包するマイクロカプセル、特定のブロック化イソシアネート化合物などを好ましく用いることができる。
【0119】
熱可塑性粒子としては、後述する熱溶融性粒子および熱融着性粒子を挙げることができる。
【0120】
熱溶融性粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
【0121】
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
【0122】
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行なうことができる。
【0123】
又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
【0124】
又、熱溶融性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性粒子の平均粒子径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
【0125】
又、熱溶融性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
【0126】
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
【0127】
層中の熱溶融性粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
【0128】
熱融着性粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体粒子が挙げられ、高分子重合体粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
【0129】
高分子重合体粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
【0130】
又、熱融着性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は機上現像性、感度などの面から0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
【0131】
又、熱融着性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
【0132】
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
【0133】
層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
【0134】
マイクロカプセルとしては、例えば特開2002−2135号や特開2002−19317号に記載されている疎水性素材を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。
マイクロカプセルは平均径で0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることがさらに好ましい。
【0135】
[ブロック化イソシアネート化合物]
ブロック化イソシアネート化合物は、イソシアネート化合物に下記に記載のブロック化剤を反応付加させたものである。
【0136】
画像形成層に用いることができるブロック化イソシアネート化合物は後述するような化合物の水分散物であることが好ましい。
【0137】
水分散物から塗布形成することで、良好な機上現像性を得ることができる。
【0138】
[イソシアネート化合物]
イソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート[ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗製MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)など];脂肪族ポリイソシアネート[1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート(LDI)など];脂環式ポリイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネートなど];芳香脂肪族ポリイソシアネート[キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)など];これらの変性物(ビューレット基、イソシアヌレート基、カルボジイミド基、オキサゾリジン基含有変性物など);およびこれらのポリイソシアネートと分子量50〜5、000の活性水素含有化合物からなる末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーが挙げられる。
【0139】
また、特開平10−72520に記載のポリイソシアネート化合物も好ましく用いることができる。
【0140】
上記の中では特にトリレンジイソシアネートが、反応性が速く好ましい。
【0141】
[ブロック化剤]
イソシアネート基のブロック剤としては、公知のものを使用することができる。例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール系ブロック剤、フェノール、クレゾールなどのフェノール系ブロック剤、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシムなどのオキシム系ブロック剤、アセトアニリド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどの酸アミド系ブロック剤、マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチルなどの活性メチレン系ブロック剤、ブチルメルカプタンなどのメルカプタン系ブロック剤、コハン酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系ブロック剤、イミダゾール、2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール系ブロック剤、尿素、チオ尿素などの尿素系ブロック剤、N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸系ブロック剤、ジフェニルアミン、アニリン等のアミン系ブロック剤、エチレンイミン、ポリエチレンイミンなどのイミン系ブロック剤などが挙げられる。これらの中では特にオキシム系ブロック剤を用いることが好ましい。
【0142】
ブロック化剤の含有量としては、ブロック剤中の活性水素基がイソシアネート化合物のイソシアネート基に対して1.0〜1.1当量となるように含有させることが好ましいが、後述するポリオール等の活性水素基を有する添加剤と併用する場合は、ブロック剤と活性水素基を有するその他の添加剤とを合計した活性水素基が、イソシアネート基に対して1.0〜1.1当量となるように含有させることが好ましい。1.0未満では未反応のイソシアネート基が残存し、また、1.1を超えるとブロック剤等が過剰となるため好ましくない。
【0143】
ブロック剤の解離温度としては、80〜200℃であることが好ましく、80〜160℃であることがより好ましく、80〜130℃であることがより好ましい。
【0144】
[ポリオール]
ブロック化イソシアネート化合物は、さらにポリオールが付加したポリオール付加物であることが好ましい。
【0145】
ポリオールを含有させることにより、ブロック化イソシアネート化合物の保存安定性を向上させることができる。また、加熱して画像を形成した際の画像強度が向上し、耐刷性が向上する。
【0146】
ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、キシリレングリコール、ソルビトール、しょ糖などの多価アルコール、これらの多価アルコールあるいはポリアミンにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを、あるいは両者を付加重合して得られるポリエーテルポリオール類、ポリテトラメチレンエーテルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリカプロラクトンポリオール類、さらに上記多価アルコールとたとえばアジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、アゼライン酸などの多塩基酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、アクリルポリオール類、ヒマシ油、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールにビニルモノマーをグラフトして得られるポリマーポリオール類、エポキシ変性ポリオール類などが挙げられる。これらの中では、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、キシリレングリコール、ソルビトールなど分子量50〜5000のポリオールを好ましく使用することができ、特に分子量50〜500程度の低分子量ポリオールをより好ましく使用できる。
【0147】
ポリオールの好ましい含有量としては、ポリオール中の水酸基がイソシアネート化合物のイソシアネート基に対して0.1〜0.9当量となるような範囲であり、この範囲において特にブロック化イソシアネート化合物の保存安定性が向上する。
【0148】
[ブロック化方法]
イソシアネート化合物のブロック化方法としては、例えば、イソシアネート化合物を無水の条件下、不活性ガス雰囲気下で40〜120℃程度に加温し、攪拌しながらブロック剤を所定量滴下して混合し、攪拌を続けながら数時間かけて反応させるという方法が挙げられる。この際、何らかの溶媒を用いることもできる。また、公知の触媒、例えば、有機金属化合物、第3級アミン、金属塩等を用いることもできる。
【0149】
有機金属触媒としては、たとえば、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレートなどのスズ系触媒、2−エチルヘキサン酸鉛などの鉛系触媒などが、第3級アミンとしては、たとえばトリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、N,N′−ジメチルピペラジン、ジアザビシクロ(2,2,2)−オクタンなどが、金属塩触媒としては、たとえば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸鉛酸化リチウムなどが挙げられる。これらの触媒の使用量は、ポリイソシアネート組成物100質量部に対し、通常0.001〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部である。
【0150】
ブロック化イソシアネート化合物において、ポリオールとの化合物でもある態様の場合は、ブロック剤およびポリオールをイソシアネート化合物と反応させるが、先にイソシアネート化合物とポリオールとを反応させた後に、残ったイソシアネート基とブロック剤とを反応させてもよく、また、先にイソシアネート化合物とブロック剤とを反応させた後に、残ったイソシアネート基とポリオールとを反応させてもよい。
【0151】
ブロック化イソシアネート化合物の好ましい平均分子量としては、重量平均分子量で500〜2000であることが好ましく、600〜1000であることがより好ましい。この範囲で反応性と保存安定性とのバランスが良好となる。
【0152】
[水分散物の製造]
上述のようにして得られたブロック化イソシアネート化合物は、例えば、界面活性剤と水とを加えて、ホモジナイザ等を用いて強力に混合攪拌することで水分散物とすることができる。
【0153】
界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等のノニオン系界面活性剤、あるいはラウリルベタイン、ステアリルベタインの塩などのアルキルベタイン型の塩、ラウリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシンなどのアミノ酸型の両界面活性剤などを挙げることができる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中ではノニオン界面活性剤が好ましい。
【0154】
ブロック化イソシアネート化合物水分散物の固形分としては、10〜80質量%であることが好ましい。界面活性剤の添加量としては、水分散物の固形分中の0.01〜20質量%であることが好ましい。
【0155】
イソシアネート化合物のブロック化反応等に有機溶媒を用いた場合には、水分散物としてから有機溶媒を除去することもできる。
【0156】
画像形成層は水溶性素材を含んでもよく水溶性素材としては下記のような素材を挙げることができる。
【0157】
[水溶性高分子化合物]
画像形成層に含有される水溶性素材としては、pH4からpH10の水溶液に溶解する公知の水溶性高分子化合物が挙げられる。
【0158】
具体的には、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
【0159】
これらのなかでは、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンが好ましい。
【0160】
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルラン、キトサン、またはこれらの誘導体などが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
【0161】
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミドとしては、分子量3000〜100万であることが好ましく、5000〜50万であることがより好ましい。
【0162】
これらの中では、ポリアクリル酸Naといったポリアクリル酸塩が最も好ましい。ポリアクリル酸塩は親水性層の親水化処理剤としての効果が高く、画像形成層が機上現像されて現れる親水性層の表面の親水性を向上させることができる。
【0163】
[オリゴ糖]
水溶性素材としては、上述の水溶性高分子化合物以外にオリゴ糖を含有させることができる。
【0164】
オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
【0165】
[画像形成層に含有可能なその他の素材]
また、画像形成層には光熱変換素材として、赤外線吸収色素を含有させることができる
赤外線吸収色素の含有量としては、色素の可視光での着色の程度によって、機上現像時の印刷機汚染との兼ね合いを考慮する必要があるが、一般的に印刷版材料の単位面積あたりとして、0.001g/m2以上、0.2g/m2未満であることが好ましく、0.05g/m2未満であることがより好ましい。また、可視光での着色が少ない色素を用いることが好ましいことは言うまでもない。
【0166】
また、画像形成層には、界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
【0167】
さらに、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していても良い。
【0168】
本発明に係る画像形成層は、上記のような熱により画像を形成する感熱画像形成層であることが好ましく、近赤外線レーザーによる画像露光で画像形成可能な印刷機上現像可能な画像形成層であることが好ましい。
【0169】
即ち、前記請求項1〜3の製造方法により製造された平版印刷版材料であって、近赤外線レーザーによる画像露光で画像形成可能な印刷機上現像可能な平版印刷版材料も本発明
の好ましい態様である。
【0170】
(プラスチック支持体)
本発明に係るプラスチック支持体は、親水性層及び画像形成層を担持しうるプラスチックフィルム体であり、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類を挙げることができる。特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムが好ましく用いられる。
【0171】
本発明に係る基材としては、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
【0172】
これらプラスチックフィルムは塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行なうことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。また、下塗り層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等が挙げられる。下塗り層に、有機または無機の公知の導電性素材を含有させることもできる。
【0173】
また、裏面のすべり性を制御するために粗面を有する裏面コート層を設けた基材や公知の導電性素材を含有する裏面コート層を設けた基材も好ましく使用することができる。
【実施例】
【0174】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例中「部」は特に断りのないかぎり「質量部」を表す。
【0175】
(支持体の作製)
厚み175μmのポリエチレンフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製テトロンHS−175)の両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後、コロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。
【0176】
また、反対側の面に、下記下引き塗布液c乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後、コロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)
《下引き塗布液a》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の
3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) (固形分基準)6.3部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40
の3元系共重合ラテックス 1.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 92.0
《下引き塗布液b》
ゼラチン 1部
アニオン系界面活性剤S−1 0.05部
硬膜剤H−1 0.02部
マット剤(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.02部
防黴剤F−1 0.01部
水 98.9
【0177】
【化1】

【0178】
《下引き塗布液c》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40
の3元系共重合ラテックス (固形分基準)0.4部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス 7.6部
ポリ塩化ビニリデン樹脂 0.5部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 91.4部
《下引き塗布液d》
成分d−11/成分d−12/成分d−13=66/31/1の導電性組成物
6.4部
硬膜剤H−2 0.7部
アニオン系界面活性剤S−1 0.07部
マット剤(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.03部
水 93.4部
成分d−11;
スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−12;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−13;
スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20からなる高分子活性剤
【0179】
【化2】

【0180】
《印刷版材料の作製》
親水性層1:
以下に示す親水性層塗布液1を、上記下引き済み支持体の各々のA面上に乾燥付き量が3.1g/m2になるようにワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で1分加熱乾燥した。
【0181】
塗布液は、表中に記載の素材を全て混合し、塗布開始24時間前に特殊機化工業株式会社製TKホモミクサーMARKIIを使用し、回転数20,000rpmで60分分散処理を施したものを使用した。
【0182】
塗布時にはコーター部供給前に下表1に示す条件でインライン分散処理した。
【0183】
(親水性塗布液1)
スノーテックス−XS(日産化学社製コロイダルシリカ、20質量%) 56部
スノーテックス−ZL(日産化学社製コロイダルシリカ、40質量%) 2部
STM−6500(日産化学社製マット剤、20質量%に純水で分散) 17部
TM−3550ブラック粉体(大日精化工業社製Cu−Fe−Mn系黒色顔料、40質量%) 12部
ミネラルコロイドMO(Southern Clay Product社製層状鉱物粒子、5質量%の水膨潤ゲル) 5部
カルボキシメチルセルロース水溶液(4質量%) 3部
リン酸3ナトリウム水溶液(10質量%) 1部
シルトンJC−40(水澤化学社製多孔質金属酸化物粒子) 3部
FZ−2161(日本ユニカー製界面活性剤、20質量%) 5部
【0184】
【表1】

【0185】
親水性層2:
下記に記載の各素材を、特殊機化工業株式会社製TKホモミクサーMARKIIを使用し、回転数20,000rpmで30分分散処理を施したものを、親水性層1上に乾燥付き量が、0.6g/m2になるようにワイヤーバーを用いて積層塗設して120℃で1分加熱乾燥した。さらに下記の画像形成層用塗布液を用い乾燥付き量が0.5g/m2になるように画像形成層を形成し、裏面に下記のバックコート層用塗布液を用い乾燥付き量が1.6g/m2になるようにバックコート層を形成した。
【0186】
(親水性層塗布液2)
スノーテックス−S(日産化学社製コロイダルシリカ、30質量%) 9部
スノーテックス−PSM 20.5部
(日産化学社製ネックレス状コロイダルシリカ、20質量%)MP4540M(日産化学工業社製マット剤、40質量%) 8部
TM−3550ブラック粉体(大日精化工業社製Cu−Fe−Mn系黒色顔料、40質量%) 5部
ミネラルコロイドMO(Southern Clay Product社製層状鉱物粒子、5質量%の水膨潤ゲル) 8.5部
カルボキシメチルセルロース水溶液(5質量%) 5部
リン酸3ナトリウム水溶液(10質量%) 1部
シルトンAMT08(水澤化学社製多孔質金属酸化物粒子、20質量%) 32部
シルトンJC−20(水澤化学社製多孔質金属酸化物粒子) 2部
純水 9部
画像形成層:
下記に記載の各素材を、ディゾルバーを用いて十分に攪拌混合した。
【0187】
(画像形成層用塗布液)
カルナバワックスエマルジョンA118(岐阜セラック社製、5質量%に純水で希釈した分散液) 31部
Hi−disperA206( ) 11部
アクアリックDL522(日本触媒製ポリアクリル酸ナトリウム水溶液、35質量%)
47部
純水 4部
(バックコート層用塗布液)
シルトンJC−50(水澤化学社製多孔質金属酸化物粒子) 20部
ラックスター3307B(大日本インキ化学工業(株)製SBRラテックス)
20部
純水 60部
《露光》
上記によって得られた平版印刷板材料を、露光サイズに合わせて断裁した後に、露光ドラムに巻き付け固定した。露光には、波長808nm、スポット経約18μmのレーザービームを用い、300mJ/cm2のエネルギーで全面に175線相当の70%網点画像を露光した。
【0188】
《評価1》
塗布品質:親水性層1を塗布した状態で塗布性を10m2目視評価
1m2当たりに発生する0.5mm以上の塗布欠陥(顔料凝集、白抜け故障)数を測定し、塗布性の指標とした。
【0189】
《評価2》
印刷機を三菱重工業社製DAIYAF−1、湿し水をアストロマーク3(日研化学研究所)の2質量%溶液、インクを東洋インク社製のトーヨーハイエコーM、用紙を上質紙、印刷開始のシークエンスを、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を5回回転として、10,000枚印刷して以下の評価を行った。
1)機上現像性:印刷開始から紙面全体が所定濃度に達するまでの印刷枚数を測定し、機上現像性の指標の一つとした(数字の小さい方が良好である)。
2)微点汚れ:5000枚印刷後の印刷物を20倍のルーペで目視観察し観測される汚れの有無及び非画線部のマゼンタ濃度を測定(数字の小さい方が良)し、機上現像性の指標の一つとした。
【0190】
結果を表2に示す。表2から本発明の製造方法は、塗布性に優れ、機上現像時の損紙が少なく、汚れの発生がなく機上現像性に優れていることが分かる。
【0191】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック支持体上に、着色顔料粒子を含有する親水性層と印刷機上現像可能な画像形成層とを該プラスチック支持体に対してこの順に有する平版印刷版材料の製造方法において、該親水性層が連続搬送される帯状プラスチック支持体上に親水性層用塗布液を塗布装置に供給し、塗布、乾燥して設層された層であり、該親水性層用塗布液が内部剪断型メディアレス分散機を用い分散処理された後、該塗布装置に供給されることを特徴とする平版印刷版材料の製造方法。
【請求項2】
前記分散処理から前記塗布までの時間が、0〜3分であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【請求項3】
前記分散処理に用いられる内部剪断型メディアレス分散機の分散機構が、相対回転運動する二枚の対向するディスクを有し該対向するディスクの外縁部の相対運動速度が10m/秒以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする平版印刷版材料。

【公開番号】特開2006−82320(P2006−82320A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268072(P2004−268072)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】