平面導波路素子
【課題】入射光の入射位置を調整することができ、分波特性のばらつきを抑制することができる、平面導波路素子を提供する。
【解決手段】矩形状の基板と、基板上に積層される第1積層部と、第1積層部上に積層され、第1積層部より高い屈折率を有する第2積層部とを備える。この第2積層部は、複数の細線導波路5、スポットサイズ変換導波路6および反射部7,8を備える。さらに、基板の一方の側面にヒータ11を、他方の側面にヒートシンク12を備える。
【解決手段】矩形状の基板と、基板上に積層される第1積層部と、第1積層部上に積層され、第1積層部より高い屈折率を有する第2積層部とを備える。この第2積層部は、複数の細線導波路5、スポットサイズ変換導波路6および反射部7,8を備える。さらに、基板の一方の側面にヒータ11を、他方の側面にヒートシンク12を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的ブロッホ振動を利用して、多重化された信号波を分波し、分波された信号波のそれぞれを所望のポートから出力する平面導波路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォトニックネットワークでは、シングルモードファイバから光信号を細線導波路へ送り、その光を光制御デバイスで制御する方法がある。しかしこの方法には、シングルモードファイバから細線導波路への光の入射において、入射損失が発生するという問題があった。シングルモードファイバから伝送される光は、レンズによって細線導波路の入射面へ集光される。その集光された光のスポット直径は5μm以上である。これに対し、細線導波路の幅は、一般的に5μm未満で形成される。このため、シングルモードファイバから伝送される光の一部は、細線導波路の入射面から外れ、出射面から有効に取出されない。このような入射損失を低減するスポットサイズ変換導波路を開示した先行文献として、特許文献1がある。
【0003】
図19は、特許文献1に記載されているスポットサイズ変換導波路の斜視図である。図19に示すように、スポットサイズ変換導波路101は、基板102の上面に断面が矩形状の導波路コア103が形成され、導波路コア103の周囲を取囲むように横断面が凸字状のリッジ部104が形成されている。入射側端面106にシングルモードファイバが接続され、出射側端面107に細線導波路105が接続されている。導波路コア103、リッジ部104および基板102が、図示しない上部クラッドで覆われ、スポットサイズ変換導波路101として機能する。スポットサイズ変換導波路101は、高Δの導波路である。Δは、導波路コア103と上部クラッドとの比屈折率差であり、導波路コア103の屈折率をnCR,上部クラッドの屈折率をnCLとすると、(nCR−nCL)/nCRで表される。
【0004】
スポットサイズ変換導波路101の作製方法を説明する。基板上に形成された導波路コア膜上にフォトリソグラフィなどによって、レジストパターンを形成する。レジストパターンが形成された基板に反応性イオンエッチングなどによって、エッチング処理を施す。エッチング処理により導波路コア103に対応するパターンが形成された後、レジストパターンを除去する。導波路コア103が形成された基板の上方に、基板と所定の間隔を開けた状態でマスクを配置する。マスクは、入射側端面から所定の長さにわたって基板102及び導波路コア103が露出するように配置される。このマスクを介して、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などによってガラスを堆積させることにより成膜を行なう。この方法によると、導波路コア103の周囲に形成されるガラスの膜厚を、光の伝搬方向にわたって連続的に変化させることが可能である。そのため、光の伝搬方向にわたって連続的に高さおよび幅が変化するリッジ部104を形成することができる。
【0005】
スポットサイズ変換導波路101は、次のように作用する。図19に示すように、スポットサイズ変換導波路101の高さおよび幅は、入射側端面106から出射側端面107へ向かうに従って、小さくなるように形成されている。スポットサイズ変換導波路101の入射側端面106の高さおよび幅は、シングルモードファイバと同等であり、出射側端面107の高さおよび幅は、細線導波路105と一致している。このような構造にすることにより、シングルモードファイバから伝送される光が、スポットサイズ変換導波路101の入射側端面106から外れることなく細線導波路105へ伝送されるため、入射損失の低減が図れる。
【0006】
フォトニックネットワークでの光制御デバイスにおいて、波長多重光の分光器またはスイッチング素子として、光学的ブロッホ振動(Optical Bloch Oscillations:以下、「OBO」という。)を利用する平面導波路素子(以下、「OBO平面導波路素子」という。)を開示した先行文献として、特許文献2がある。図20は、特許文献2に記載されているOBO平面導波路素子の平面図であり、図21は、図20のXXI−XXI断面図である。
【0007】
図20,21に示すように、OBO平面導波路素子111は、厚さ100μm程度のシリコン(Si)基板112上に厚さ1μm程度の酸化珪素(SiO2)層113とSi層とが順に積層される、SOI(Silicon On Insulator)基板を用いて形成されている。SOI基板の最上層のSi層に、光が伝搬するための平行に並ぶ複数の細線導波路114が形成されている。細線導波路114には、一方の端面に入射ポート115が、他方の端面に出射ポート116が設けられている。細線導波路114が並ぶ方向における、Si基板112上の温度分布の勾配を制御するため、Si基板112の一方の端面にヒータ117が、他方の端面にヒートシンク118が備えられている。
【0008】
図20,21に示すように、細線導波路114が並ぶ方向をX軸方向、各細線導波路114が延在する方向をY軸方向、X軸方向およびY軸方向の両方向に垂直な方向をZ軸方向とする。図20には、OBOによりX軸方向に振動しながら細線導波路114を伝搬する光の道筋119が描かれている。OBO平面導波路素子111では、ヒータ117によって、Si基板112上のX軸方向の温度分布に勾配(単位長さあたりの温度差)が形成される。Si材料で構成される細線導波路114を有するOBO平面導波路素子111においては、高温側のSi基板112上の細線導波路114の等価屈折率は、低温側のSi基板112上の細線導波路114の等価屈折率よりも高くなる。このためX軸方向において、細線導波路114の単位長さあたりの等価屈折率に、基板温度分布の勾配に応じた差が形成される。
【0009】
以下、OBO平面導波路素子およびスポットサイズ変換導波路の作用について説明する。光の強度ピーク120が所定の入射ポート115に位置するように、OBO平面導波路素子111中へ光が照射される。照射された光は、進行する細線導波路114から漏れ出し、隣接する細線導波路114に結合する。その結果、光はY軸方向へ進行しながら、X軸方向に振動する。この振動現象をOBOと呼ぶ。このように光は、OBOを発現することにより、OBO平面導波路素子111上において、光の道筋119に示されるように分波される。
【0010】
OBO平面導波路素子111において、入射ポート115を形成する細線導波路114の幅は0.5μm程度である。このため、OBO平面導波路素子111の入射ポート115にスポットサイズ変換導波路を連結することにより、細線導波路114に入射する光のスポットサイズを細線導波路114と一致させている。このような構成にすることにより、OBO平面導波路素子111のような光制御デバイスにおいて、入射損失の低減を図りつつ、多重化された信号波を分波することができる。
【特許文献1】特開2007−93743号公報
【特許文献2】特開2007−41142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2に記載されたOBO平面導波路素子は、細線導波路の入射面における光の入射位置や入射角度が異なる場合、細線導波路を進行する光の挙動が変化する。このため、OBO平面導波路素子の入射ポートにスポットサイズ変換導波路を連結した場合、スポットサイズ変換導波路の入射面へ入射する光の入射位置が一定でなければ、OBO平面導波路素子の分波特性にばらつきが生じる。
【0012】
具体的には、光の入射位置がスポットサイズ変換導波路の入射面から一部が外れている場合、その外れている光は入射ポート以外の細線導波路の端面から入射し、細線導波路を進行して、本来の出射ポートとは異なる出射ポートから不要光として出射される。この不要光により、平面導波路素子の分波特性にばらつきが生じる。
【0013】
上記のように、光の入射位置がスポットサイズ変換導波路の入射面に位置している場合も位置していない場合もともに、出射ポートから光が検出される。光の検出は、出射ポートから出射された光をレンズによりフォトダイオードに集光して行なうため、不要光も検出してしまう。そのため、検出される光強度を確認するだけでは、光の入射位置がスポットサイズ変換導波路の入射面から外れているか否かの判断をくだすことができなかった。光の入射位置が把握できなければ、入射位置の調整を図ることもできない。特許文献1に記載されたスポットサイズ変換導波路にも、入射光の入射位置を調整するための構造は備えられていない。
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、入射光の入射位置を調整することができ、分波特性のばらつきを抑制することができる、平面導波路素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る平面導波路素子は、矩形状の基板と、基板上に積層される第1積層部と、第1積層部上に積層され、第1積層部より高い屈折率を有する第2積層部とを備える。第2積層部は、略平行に並ぶように形成される複数の細線導波路と、少なくとも1本以上の細線導波路の一方の端面に入射ポートが設けられ、この入射ポートに連結されるスポットサイズ変換導波路とを含む。さらに、平面導波路素子は、細線導波路と平行な、基板の一方の側面に設けられるヒータと、基板の他方の側面に設けられるヒートシンクとを備える。スポットサイズ変換導波路の幅は、入射側端面においては入射光のスポットサイズと同等であり、出射側端面においては細線導波路の入射ポートの幅と一致するように、光の伝搬方向へ向かって小さくなり、スポットサイズ変換導波路の高さは、出射側端面において細線導波路の入射ポートの高さと一致する。また、第2積層部は、スポットサイズ変換導波路の幅方向の両側に、スポットサイズ変換導波路に非接触な状態で設けられ、入射光の入射方向に対向する面に反射領域を有する反射部を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、スポットサイズ変換導波路の幅方向の両側に反射部を設けることにより、入射位置がスポットサイズ変換導波路の入射側端面から外れている光は反射されて、細線導波路の出射ポートから出射されないようにすることができる。このようにすることによって、光の入射位置が把握でき、スポットサイズ変換導波路の入射側端面に対する光の入射位置を調整して、平面導波路素子の分波特性のばらつきを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明に基づいた実施の形態における平面導波路素子について、図を参照しながら説明する。
【0018】
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1に係る平面導波路素子の平面図である。図2は、図1のII−II断面図である。図1,2に示すように、平面導波路素子1においては、矩形状のSi基板2の上面に、Siより低い屈折率を有するSiO2層から構成される、厚さが約1μmの第1積層部3が形成されている。第1積層部3の上面に、第1積層部3より高い屈折率を有するSi層を含む、厚さが約200nmの第2積層部4が形成されている。
【0019】
このように本実施の形態に係る平面導波路素子1は、Si基板上にSiO2層とSi層とが順に積層されるSOI基板を用いて構成されている。なお、第1積層部3としてAl2O3,InP,AlGaAsなどを用いてもよい。第2積層部4のSi層の代わりに、第1積層部3よりも高い屈折率を有し、光が伝播可能である、InGaAsP,GaAs,AlGaAs,InPなどを用いてもよい。
【0020】
第2積層部4は、細線導波路5、スポットサイズ変換導波路6および反射部7,8を含む。複数の細線導波路5は、略平行に並ぶように形成されている。少なくとも1本以上の細線導波路5の一方の端面に、光が入射する入射ポート9が設けられている。全ての細線導波路5の他方の端面に、光が出射する出射ポート10が設けられている。この入射ポート9に連結される出射側端面14を有するスポットサイズ変換導波路6が、第2積層部4に形成されている。
【0021】
スポットサイズ変換導波路6の幅は、入射側端面13においては入射光のスポットサイズと同等であり、出射側端面14においては細線導波路5の入射ポート9の幅と一致するように、光の伝播方向へ向かって小さくなっている。スポットサイズ変換導波路6の高さは、出射側端面14において細線導波路5の入射ポート9の高さと一致している。
【0022】
本実施の形態においては、たとえば、入射光のスポットサイズを5μm、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13の幅を6μmとした。また、細線導波路5の幅を0.5μm、SiO2層の上面からの高さを0.25μm、スポットサイズ変換導波路6の出射側端面14の幅を0.5μm、SiO2層の上面からの高さを0.25μmとした。スポットサイズ変換導波路6の長さは、700μmとした。スポットサイズ変換導波路6の幅は、光の伝播方向へ向かって線形的に変化するようにしてもよい。
【0023】
スポットサイズ変換導波路6の幅方向の両側に、スポットサイズ変換導波路6に非接触な状態で反射部7,8が設けられている。スポットサイズ変換導波路6と反射部7,8とを非接触にすることで、スポットサイズ変換導波路6に入射した光が反射部7,8に漏れることを防ぐことができる。
【0024】
反射部7,8は、入射光の入射方向に対向する面に反射領域を有している。本実施の形態においては、反射部7,8の反射領域に鏡を設けた。細線導波路5と平行な、SOI基板の一方の側面に、基板の温度勾配を制御するヒータ11が設けられている。また、SOI基板の他方の側面にヒートシンク12が設けられている。本実施の形態においては、SOI基板の側面にヒータ11およびヒートシンク12を設けたが、Si基板2の側面のみにヒータ11およびヒートシンク12を設けるようにしてもよい。
【0025】
本発明の実施の形態に係る平面導波路素子1の製造方法について、図3〜6を用いて説明する。図3は、導波路を形成する前のSOI基板の上面にレジストを塗布した状態を示す平面図である。図4は、図3のIV−IV断面図である。図5は、導波路を形成した後のSOI基板の上面にレジストを塗布した状態を示す平面図である。図6は、図5のVI−VI断面図である。
【0026】
まず、SOI基板上に導波路を形成するために、図3,4に示すように、Si層で構成される第2積層部4の上面にレジスト膜を塗布する。そのレジスト膜を電子線直接描画法またはフォトリソグラフィ法などによりパターニングし、所望の細線導波路5およびスポットサイズ変換導波路6の形状に対応したレジストパターン15を形成する。たとえば、電子線直接描画法では、電子線の照射電流が0.1nA、1ドット当りの電子線のドーズ時間が4μsecである照射条件によりパターニングを行なってもよい。フォトリソグラフィ法では、300msec程度の転写時間により、レジストパターン15を形成してもよい。
【0027】
次に、レジストパターン15をマスクとして、ICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング、反応性イオンエッチングおよび反応性イオンビームエッチングなどのエッチング方法を用いてSOI基板をエッチングする。第2積層部4の表面側の一部をエッチングした後、レジストパターン15を剥離する。このようにして、基板上に細線導波路5およびスポットサイズ変換導波路6を形成することができる。本実施の形態においては、たとえば、エッチングガスとして塩素ガス25sccmと窒素ガス10sccmとの混合ガスを使用し、エッチング圧力が0.1Pa、RF(Radio Frequency)パワーが200Wで行なわれる反応性イオンエッチングを用いてもよい。
【0028】
導波路が形成されたSOI基板に反射部の入射面に鏡を形成するために、図5,6に示すように、細線導波路5およびスポットサイズ変換導波路6が形成された第2積層部4の上面にレジスト膜を塗布する。そのレジスト膜を電子線直接描画法またはフォトリソグラフィ法などによりパターニングし、所望の反射部7,8の形状および配置に対応した開口7a,8aを有するレジストパターン16を形成する。図5においては、レジストパターン16に覆われた細線導波路5およびスポットサイズ変換導波路6を破線で示している。
【0029】
レジストパターン16の上面から、スパッタリング法または蒸着法などにより、反射部7,8を構成する材料を蒸着する。その後、レジストパターン16を基板上から剥離することにより、反射部7,8が形成される。なお、反射部7,8を構成する材料は、入射する光を反射する材料であればよい。たとえば、波長1.55μmの光が入射する場合には、Al,Zn,Cu,Au,Pt,Pd,Ag,Rhなどの材料を用いてもよい。
【0030】
また、反射部7,8の別の形成方法として、第2積層部のSi層を形成する際に、反射領域以外の反射部7,8をSi層に形成する。その後、反射領域にスパッタリング法または蒸着法などにより、上記材料を蒸着するようにしてもよい。次に、SOI基板の細線導波路5と平行な一方の側面に、スパッタリング法または蒸着法などを用いて、ヒータ11となる窒化タンタル膜を形成する。さらに、Si基板2の他方の側面に、スパッタリング法または蒸着法などを用いて、ヒートシンク12となる窒化アルミ膜を形成する。
【0031】
本実施の形態に係る平面導波路素子1において、スポットサイズ変換導波路6を伝播して細線導波路5を進行する光のOBOについて、図1及び図2を用いて説明する。なお、図1,2に示すように、細線導波路5が並ぶ方向をX軸方向として、ヒートシンク12からヒータ11への方向を+X軸方向、+X軸方向とは逆方向を−X軸方向とする。細線導波路5の延在する方向をY軸方向とし、入射ポート9から出射ポート10への方向を+Y軸方向、+Y軸方向とは逆方向を−Y軸方向とする。さらに、X軸方向およびY軸方向の両方に垂直な方向をZ軸方向とする。
【0032】
平面導波路素子1においては、ヒータ11により、+X軸方向へ向かうにしたがって高温になるように、Si基板2における温度分布に勾配が形成される。Si材料で構成される細線導波路5を有する平面導波路素子1において、高温のSi基板2の上方に位置する細線導波路5の等価屈折率は、低温のSi基板2の上方に位置する細線導波路5の等価屈折率よりも高い。このため、X軸方向において、Si基板2の温度分布に応じた、細線導波路5の等価屈折率分布が生じる。
【0033】
次に、光の強度分布17のピークがスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13に位置するように、平面導波路素子1へ光が照射される。照射された光は、スポットサイズ変換導波路6を伝播して入射ポート9へ進行し、進行する細線導波路5から漏れ出し、隣接する細線導波路5に結合する。その結果、光は細線導波路5中を+Y軸方向に進行しながら、X軸方向に振動する。このように光は、OBOを発現することにより、平面導波路素子1上において、光の道筋18に示されるように分波される。
【0034】
OBOは、光の波長が長くなるにつれて、振動する振幅が大きくなる。したがって、入射光の波長が異なるとOBOの振幅が異なるため、光は波長ごとに異なる細線導波路5に結合して光の道筋18に示されるように分波される。分波された光は、それぞれ異なる出射ポート10から出射する。よって、平面導波路素子1に複数の波長の光で構成される波長多重光が入射する場合、平面導波路素子1は分光器としての機能を有する。
【0035】
本発明の実施の形態に係る平面導波路素子における反射部の機能について、図1および図7〜10を用いて説明する。図7は、本実施の形態に係る平面導波路素子における反射部近傍の拡大図を示したものである。図7に示すように、スポットサイズ変換導波路6の−X軸方向側の近傍に入射光を反射する反射部7が設けられ、+X軸方向側の近傍に入射光を反射する反射部8が設けられている。反射部7,8とスポットサイズ変換導波路6とは、非接触な状態で配置されている。
【0036】
本実施の形態においては、反射部7,8の材料としてAlが用いられ、Y軸方向において反射部7,8の反射領域が、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13と出射側端面14との間に形成されているが、本発明の実施の形態はこのような構成に限られない。たとえば、Y軸方向において、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13と同列または−Y軸方向側に反射部7,8の反射領域を形成してもよい。この場合にも、平面導波路素子1に照射される光のうち、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13以外の領域に照射される光を細線導波路5に入射しないように反射することができる。
【0037】
以下、機能を良好に発揮することができる、反射部7,8について説明する。スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13における、最も−X軸方向にあるX座標をS1、最も+X軸方向にあるX座標をS2と定義する。スポットサイズ変換導波路6の−X軸方向側に設けられる反射部7の反射領域における、最も+X軸方向にあるX座標をM1と定義する。スポットサイズ変換導波路6の+X軸方向側に設けられる反射部8の反射領域における、最も−X軸方向にあるX座標をM2と定義する。この場合に、S1≦M1、かつ、M2≦S2が満たされるように、反射部7,8の反射領域を配置する。
【0038】
さらに、反射部7の反射領域のX軸方向の長さをL1、反射部8の反射領域の長さをL2、スポットサイズ変換導波路6に入射する光がスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13を通過する際のスポット直径をQとする。この場合、L1−(M1−S1)≧Q、かつ、L2−(S2−M2)≧Qを満たす、反射部7,8の反射領域を設ける。本実施の形態においては、反射部7,8の反射領域の長さL1,L2は15μmとした。反射部7,8の反射領域で光は全反射されるため、スポットサイズ変換導波路6に入射する光がスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13の領域から外れている場合には、入射光は反射部7,8の反射領域によって反射される。
【0039】
図1に示すように、光をスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13から入射させるために、レンズ19の光軸およびファイバ20の中心軸をY軸方向の直線上に配置する。レンズ19は、光を集光するためのレンズであり、ファイバ20から照射された光のスポット直径は、平面導波路素子1に入射する光のスポット直径Qよりも大きい。入射光のスポット直径Qは、ファイバ20とレンズ19の焦点距離などの光学特性との関係により決まる。
【0040】
スポットサイズ変換導波路6を伝播した光は、細線導波路5に入射し、X軸方向のOBOを生じながら+Y軸方向へ進行する。細線導波路5を進行した光は、出射ポート10から出射される。したがって、入射光がスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13から入射される場合、出射ポート10から光が出射される。出射された光の検出は、図示しないレンズおよびフォトダイオードで構成された検出装置により行なう。
【0041】
図8,9は、本実施の形態に係る平面導波路素子に対し、光の照射位置を相対的にずらした状態を示す平面図である。図8に示すように、レンズ19およびファイバ20の位置をスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13に対して−X軸方向へ移動させる。このときの光の強度分布17のピークの位置のX座標をF1とすると、F1=S1を境にF1<S1となると、スポットサイズ変換導波路6に入射する光の光強度は減少する。この場合、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13の領域から外れて入射する光は、反射部7の反射領域により反射される。さらにF1<S1となると、細線導波路5に光が入射せず、細線導波路5の出射ポート10から光は検出されなくなる。
【0042】
また、図9に示すように、レンズ19およびファイバ20の位置をスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13に対して+X軸方向へ移動させる。このときの光の強度分布17のピークの位置のX座標をF2とすると、F2=S2を境にF2>S2となると、スポットサイズ変換導波路6に入射する光の光強度は減少する。この場合、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13の領域から外れて入射する光は、反射部8の反射領域により反射される。さらにF2>S2となると、細線導波路5に光が入射しないため、細線導波路5の出射ポート10から光は検出されなくなる。
【0043】
このように、反射部7,8の反射領域を設けて、入射光の入射位置を−X軸方向から+X軸方向へ連続的に移動させることにより、細線導波路5の出射ポート10から検出される光強度が0となる照射位置が確認できる。それにより、所定の出射ポート10以外から出射される不要光の影響を排除して、光強度が最大となり、かつ、スポットサイズ変換導波路6のX軸方向の中心となる照射位置を確認することができる。
【0044】
図10は、光の強度分布のピークが入射する位置と細線導波路の出射ポートで検出される光強度との関係を示した図である。図10では、細線導波路5の出射ポート10で検出される光強度が、検出された光強度の最大値の1/e2倍となる入射位置をS3,S4として示した。この入射位置S3,S4のX座標を把握することにより、その中間点となるX座標が(S3+S4)/2において、光強度が最大となり、かつ、スポットサイズ変換導波路6の中心となることを確認することができる。
【0045】
このように確認した光強度が最大となる照射位置に光が照射されるように、レンズ19およびファイバ20が配置されるように調整することにより、平面導波路素子1の分波特性のばらつきを抑制することが可能となる。また、光の入射位置をスポットサイズ変換導波路6のX軸方向の中心にすることにより、スポットサイズ変換導波路6の側壁での反射が抑制され、スポットサイズ変換導波路6から細線導波路5への光の進入が円滑になり、細線導波路5の入射ポート9において反射して逆行する戻り光が低減される。
【0046】
なお、反射部7,8は、上記の構成に限られるものではなく、入射光のうち、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13以外の領域に照射される光が、細線導波路5に入射しないように反射されるものであればよい。反射部7,8を設けることにより、入射位置がスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13から外れている光は反射されて、出射ポート10から出射されないようにすることができる。このようにすることによって、光の入射位置を把握でき、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13に対する入射位置を調整して、平面導波路素子1の分波特性のばらつきを抑制することができる。
【0047】
実施の形態2
本発明の実施の形態2に係る平面導波路素子について、図を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態2に係る平面導波路素子の平面図である。図12は、図11のXII−XII断面図である。図11,12に示すように、本実施の形態に係る平面導波路素子21の反射部27,28は、第2積層部24を構成するSi層に、Si層と空気層とがY軸方向に順番に並べられた多層膜で形成されたフォトニック結晶で構成されている。
【0048】
スポットサイズ変換導波路26の−X軸方向側の近傍に入射光を反射する反射部27が設けられ、+X軸方向側の近傍に入射光を反射する反射部28が設けられている。反射部27,28とスポットサイズ変換導波路26とは、非接触な状態で配置されている。反射部27,28を構成するフォトニック結晶は、フォトニックバンドギャップの中に入射光の波長が位置するように設計されている。
【0049】
本実施の形態においては、入射光の波長は1.55μmとし、フォトニック結晶は、0.3μmの厚さのSi層と、0.4μmの厚さの空気層とを、0.7μmピッチで30層並べた多層膜で形成した。また、反射部27,28は、Y軸方向において、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13と出射側端面14との間に形成されているが、この構成に限られるものではない。反射部27,28以外の構成については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0050】
本実施の形態に係る平面導波路素子21の製造方法について説明する。図13は、導波路を形成する前のSOI基板の上面にレジストを塗布した状態を示す平面図である。図14は、図13のXIV−XIV断面図である。図15は、エッチングにより導波路を形成したSOI基板の断面図である。
【0051】
まず、SOI基板上に導波路を形成するために、図13,14に示すように、Si層で構成される第2積層部24の上面にレジスト膜を塗布する。そのレジスト膜を電子線直接描画法またはフォトリソグラフィ法などによりパターニングし、所望の細線導波路25、スポットサイズ変換導波路26および反射部27,28の形状に対応したレジストパターン35を形成する。
【0052】
たとえば、電子線直接描画法では、電子線の照射電流が0.1nA、1ドット当りの電子線のドーズ時間が4μsecである照射条件によりパターニングを行なってもよい。フォトリソグラフィ法では、300msec程度の転写時間により、レジストパターン15を形成してもよい。
【0053】
このレジストパターン35をマスクとして、ICPエッチング、反応性イオンエッチングおよび反応性イオンビームエッチングなどのエッチング方法を用いてSOI基板をエッチングする。第2積層部24の表面側の一部をエッチングした後、レジストパターン35を剥離する。このようにして、基板上に細線導波路25、スポットサイズ変換導波路26および反射部27,28を形成することができる。本実施の形態においては、たとえば、エッチングガスとして塩素ガス25sccmと窒素ガス10sccmとの混合ガスを使用し、エッチング圧力が0.1Pa、RFパワーが200Wで行なわれる反応性イオンエッチングを用いてもよい。
【0054】
次に、SOI基板の細線導波路25と平行な一方の側面に、スパッタリング法または蒸着法などを用いて、ヒータ31となる窒化タンタル膜を形成する。さらに、Si基板22の他方の側面に、スパッタリング法または蒸着法などを用いて、ヒートシンク32となる窒化アルミ膜を形成する。本実施の形態においては、実施の形態1と異なり、1回の露光とエッチングにより第2積層部24のパターンを形成することができる。そのため、実施の形態1に比べて、短い製造時間で平面導波路素子21を製造することができる。
【0055】
本発明の実施の形態に係る平面導波路素子における反射部の機能について、図11および図16〜18を用いて説明する。図16は、本実施の形態に係る平面導波路素子における反射部近傍の拡大図を示したものである。
【0056】
図16に示すように、スポットサイズ変換導波路26の−X軸方向側の近傍に入射光を反射する反射部27が設けられ、+X軸方向側の近傍に入射光を反射する反射部28が設けられている。反射部27,28とスポットサイズ変換導波路26とは、非接触な状態で配置されている。
【0057】
本実施の形態においては、反射部27,28の反射領域は、Y軸方向において、スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33と出射側端面34との間に形成されているが、本発明はこのような構成に限られない。たとえば、Y軸方向において、スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33と同列または−Y軸方向側に反射部27,28の反射領域を形成してもよい。この場合にも、平面導波路素子21に照射される光のうち、スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33以外の領域に照射される光を細線導波路25に入射しないように反射することができる。
【0058】
以下、機能を良好に発揮することができる、反射部27,28について説明する。スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33におけるX軸方向の座標において、最も−X軸方向にあるX座標をS1、最も+X軸方向にあるX座標をS2と定義する。スポットサイズ変換導波路6の−X軸方向側に設けられる反射部27の反射領域におけるX軸方向の座標において、最も+X軸方向にあるX座標をN1と定義する。スポットサイズ変換導波路26の+X軸方向側に設けられる反射部28の反射領域におけるX軸方向の座標において、最も−X軸方向にあるX座標をN2と定義する。この場合に、S1≦N1、かつ、N2≦S2が満たされるように、反射部27,28の反射領域を配置する。
【0059】
さらに、反射部27の反射領域のX軸方向の長さをP1、反射部28の反射領域の長さをP2、スポットサイズ変換導波路26に入射する光がスポットサイズ変換導波路26の入射側端面33を通過する際のスポット直径をQとする。この場合、P1−(N1−S1)≧Q、かつ、P2−(S2−N2)≧Qを満たす、反射部27,28の反射領域を設ける。本実施の形態においては、反射部27,28の反射領域の長さP1,P2は20μmとした。
【0060】
図11に示すように、光をスポットサイズ変換導波路26の入射側端面33から入射させるために、レンズ38の光軸およびファイバ39の中心軸をY軸方向の直線上に配置する。レンズ38は、光を集光するためのレンズであり、ファイバ39から照射された光のスポット直径は、平面導波路素子21に入射する光のスポット直径Qよりも大きい。入射光のスポット直径Qは、ファイバ39とレンズ38の焦点距離などの光学特性との関係により決まる。
【0061】
スポットサイズ変換導波路26を伝播した光は、細線導波路25に入射し、X軸方向のOBOを生じながら+Y軸方向へ進行する。細線導波路5を進行した光は、出射ポート30から出射される。したがって、入射光がスポットサイズ変換導波路26の入射側端面33から入射される場合、出射ポート30から光が出射される。出射された光の検出は、図示しないレンズおよびフォトダイオードで構成された検出装置により行なう。
【0062】
図17,18は、本実施の形態に係る平面導波路素子に対し、光の照射位置を相対的にずらした状態を示す平面図である。図17に示すように、レンズ38およびファイバ39の位置をスポットサイズ変換導波路26の入射側端面33に対して−X軸方向へ移動させる。このときの光の強度のピーク36の位置のX座標をF3とすると、F3=S1を境にF3<S1となると、スポットサイズ変換導波路26に入射する光の光強度は減少する。この場合、スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33の領域から外れて入射する光は、反射部27の反射領域により反射される。さらにF3<S1となると、細線導波路25に光が入射せず、細線導波路25の出射ポート30から光は検出されなくなる。
【0063】
また、図18に示すように、レンズ38およびファイバ39の位置をスポットサイズ変換導波路26の入射側端面33に対して+X軸方向へ移動させる。このときの光の強度のピーク36の位置のX座標をF4とすると、F4=S2を境にF4>S2となると、スポットサイズ変換導波路26に入射する光の光強度は減少する。この場合、スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33の領域から外れて入射する光は、反射部28の反射領域により反射される。さらにF4>S2となると、細線導波路25に光が入射しないため、細線導波路25の出射ポート30から光は検出されなくなる。
【0064】
このように、反射部27,28の反射領域を設けて、入射光の入射位置を−X軸方向から+X軸方向へ連続的に移動させることにより、細線導波路25の出射ポート30から検出される光強度が0となる照射位置が確認できる。それにより、所定の出射ポート30以外から検出される不要光の影響を排除して、光強度が最大となり、かつ、スポットサイズ変換導波路26のX軸方向の中心となる照射位置を確認することができる。
【0065】
このように確認した光強度が最大となる照射位置に光が照射されるように、レンズ38およびファイバ39が配置されるように調整することにより、平面導波路素子21の分波特性のばらつきを抑制することが可能となる。また、光の入射位置をスポットサイズ変換導波路26のX軸方向の中心にすることにより、スポットサイズ変換導波路26の側壁での反射が抑制され、スポットサイズ変換導波路26から細線導波路25への光の進入が円滑になり、細線導波路25の入射ポート29において反射して逆行する戻り光が低減される。
【0066】
なお、反射部27,28は、上記の構成に限られるものではなく、入射光のうち、スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33以外の領域に照射される光が細線導波路25に入射しないように反射されるものであればよい。反射部27,28を設けることにより、入射位置がスポットサイズ変換導波路26の入射側端面33から外れている光は反射されて、出射ポート30から出射されないようにすることができる。このようにすることによって、光の入射位置が把握でき、スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33に対する入射位置を調整して、平面導波路素子21の分波特性のばらつきを抑制することができる。
【0067】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態1に係る平面導波路素子の平面図である。
【図2】図2は、図1のII−II断面図である。
【図3】導波路を形成する前のSOI基板の上面にレジストを塗布した状態を示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV断面図である。
【図5】導波路を形成した後のSOI基板の上面にレジストを塗布した状態を示す平面図である。
【図6】図5のVI−VI断面図である。
【図7】同実施の形態に係る平面導波路素子における反射部近傍の拡大図を示したものである。
【図8】同実施の形態に係る平面導波路素子に対し、光の照射位置を相対的にずらした状態を示す平面図である。
【図9】同実施の形態に係る平面導波路素子に対し、光の照射位置を相対的にずらした状態を示す平面図である。
【図10】光の入射位置と細線導波路の出射ポートで検出される光強度との関係を示した図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る平面導波路素子の平面図である。
【図12】図11のXII−XII断面図である。
【図13】導波路を形成する前のSOI基板の上面にレジストを塗布した状態を示す平面図である。
【図14】図13のXIV−XIV断面図である。
【図15】エッチングにより導波路を形成したSOI基板の断面図である。
【図16】同実施の形態に係る平面導波路素子における反射部近傍の拡大図を示したものである。
【図17】同実施の形態に係る平面導波路素子に対し、光の照射位置を相対的にずらした状態を示す平面図である。
【図18】同実施の形態に係る平面導波路素子に対し、光の照射位置を相対的にずらした状態を示す平面図である。
【図19】特許文献1に記載されているスポットサイズ変換導波路の斜視図である。
【図20】特許文献2に記載されているOBO平面導波路素子の平面図である。
【図21】図20のXXI−XXI断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1,21,111 平面導波路素子、2,22,102,112 基板、3,23,113 第1積層部、4,24 第2積層部、5,25,105,114 細線導波路、6,26,101 スポットサイズ変換導波路、7,8,27,28 反射部、9,29,115 入射ポート、10,30,116 出射ポート、11,31,117 ヒータ、12,32,118 ヒートシンク、13,33,106 入射側端面、14,34,107 出射側端面、15,16,35 レジストパターン、17,36,120 光の強度ピーク、18,119 光の道筋、19,38 レンズ、20,39 ファイバ、103 導波路コア、104 リッジ部、7a,8a 開口。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的ブロッホ振動を利用して、多重化された信号波を分波し、分波された信号波のそれぞれを所望のポートから出力する平面導波路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォトニックネットワークでは、シングルモードファイバから光信号を細線導波路へ送り、その光を光制御デバイスで制御する方法がある。しかしこの方法には、シングルモードファイバから細線導波路への光の入射において、入射損失が発生するという問題があった。シングルモードファイバから伝送される光は、レンズによって細線導波路の入射面へ集光される。その集光された光のスポット直径は5μm以上である。これに対し、細線導波路の幅は、一般的に5μm未満で形成される。このため、シングルモードファイバから伝送される光の一部は、細線導波路の入射面から外れ、出射面から有効に取出されない。このような入射損失を低減するスポットサイズ変換導波路を開示した先行文献として、特許文献1がある。
【0003】
図19は、特許文献1に記載されているスポットサイズ変換導波路の斜視図である。図19に示すように、スポットサイズ変換導波路101は、基板102の上面に断面が矩形状の導波路コア103が形成され、導波路コア103の周囲を取囲むように横断面が凸字状のリッジ部104が形成されている。入射側端面106にシングルモードファイバが接続され、出射側端面107に細線導波路105が接続されている。導波路コア103、リッジ部104および基板102が、図示しない上部クラッドで覆われ、スポットサイズ変換導波路101として機能する。スポットサイズ変換導波路101は、高Δの導波路である。Δは、導波路コア103と上部クラッドとの比屈折率差であり、導波路コア103の屈折率をnCR,上部クラッドの屈折率をnCLとすると、(nCR−nCL)/nCRで表される。
【0004】
スポットサイズ変換導波路101の作製方法を説明する。基板上に形成された導波路コア膜上にフォトリソグラフィなどによって、レジストパターンを形成する。レジストパターンが形成された基板に反応性イオンエッチングなどによって、エッチング処理を施す。エッチング処理により導波路コア103に対応するパターンが形成された後、レジストパターンを除去する。導波路コア103が形成された基板の上方に、基板と所定の間隔を開けた状態でマスクを配置する。マスクは、入射側端面から所定の長さにわたって基板102及び導波路コア103が露出するように配置される。このマスクを介して、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などによってガラスを堆積させることにより成膜を行なう。この方法によると、導波路コア103の周囲に形成されるガラスの膜厚を、光の伝搬方向にわたって連続的に変化させることが可能である。そのため、光の伝搬方向にわたって連続的に高さおよび幅が変化するリッジ部104を形成することができる。
【0005】
スポットサイズ変換導波路101は、次のように作用する。図19に示すように、スポットサイズ変換導波路101の高さおよび幅は、入射側端面106から出射側端面107へ向かうに従って、小さくなるように形成されている。スポットサイズ変換導波路101の入射側端面106の高さおよび幅は、シングルモードファイバと同等であり、出射側端面107の高さおよび幅は、細線導波路105と一致している。このような構造にすることにより、シングルモードファイバから伝送される光が、スポットサイズ変換導波路101の入射側端面106から外れることなく細線導波路105へ伝送されるため、入射損失の低減が図れる。
【0006】
フォトニックネットワークでの光制御デバイスにおいて、波長多重光の分光器またはスイッチング素子として、光学的ブロッホ振動(Optical Bloch Oscillations:以下、「OBO」という。)を利用する平面導波路素子(以下、「OBO平面導波路素子」という。)を開示した先行文献として、特許文献2がある。図20は、特許文献2に記載されているOBO平面導波路素子の平面図であり、図21は、図20のXXI−XXI断面図である。
【0007】
図20,21に示すように、OBO平面導波路素子111は、厚さ100μm程度のシリコン(Si)基板112上に厚さ1μm程度の酸化珪素(SiO2)層113とSi層とが順に積層される、SOI(Silicon On Insulator)基板を用いて形成されている。SOI基板の最上層のSi層に、光が伝搬するための平行に並ぶ複数の細線導波路114が形成されている。細線導波路114には、一方の端面に入射ポート115が、他方の端面に出射ポート116が設けられている。細線導波路114が並ぶ方向における、Si基板112上の温度分布の勾配を制御するため、Si基板112の一方の端面にヒータ117が、他方の端面にヒートシンク118が備えられている。
【0008】
図20,21に示すように、細線導波路114が並ぶ方向をX軸方向、各細線導波路114が延在する方向をY軸方向、X軸方向およびY軸方向の両方向に垂直な方向をZ軸方向とする。図20には、OBOによりX軸方向に振動しながら細線導波路114を伝搬する光の道筋119が描かれている。OBO平面導波路素子111では、ヒータ117によって、Si基板112上のX軸方向の温度分布に勾配(単位長さあたりの温度差)が形成される。Si材料で構成される細線導波路114を有するOBO平面導波路素子111においては、高温側のSi基板112上の細線導波路114の等価屈折率は、低温側のSi基板112上の細線導波路114の等価屈折率よりも高くなる。このためX軸方向において、細線導波路114の単位長さあたりの等価屈折率に、基板温度分布の勾配に応じた差が形成される。
【0009】
以下、OBO平面導波路素子およびスポットサイズ変換導波路の作用について説明する。光の強度ピーク120が所定の入射ポート115に位置するように、OBO平面導波路素子111中へ光が照射される。照射された光は、進行する細線導波路114から漏れ出し、隣接する細線導波路114に結合する。その結果、光はY軸方向へ進行しながら、X軸方向に振動する。この振動現象をOBOと呼ぶ。このように光は、OBOを発現することにより、OBO平面導波路素子111上において、光の道筋119に示されるように分波される。
【0010】
OBO平面導波路素子111において、入射ポート115を形成する細線導波路114の幅は0.5μm程度である。このため、OBO平面導波路素子111の入射ポート115にスポットサイズ変換導波路を連結することにより、細線導波路114に入射する光のスポットサイズを細線導波路114と一致させている。このような構成にすることにより、OBO平面導波路素子111のような光制御デバイスにおいて、入射損失の低減を図りつつ、多重化された信号波を分波することができる。
【特許文献1】特開2007−93743号公報
【特許文献2】特開2007−41142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2に記載されたOBO平面導波路素子は、細線導波路の入射面における光の入射位置や入射角度が異なる場合、細線導波路を進行する光の挙動が変化する。このため、OBO平面導波路素子の入射ポートにスポットサイズ変換導波路を連結した場合、スポットサイズ変換導波路の入射面へ入射する光の入射位置が一定でなければ、OBO平面導波路素子の分波特性にばらつきが生じる。
【0012】
具体的には、光の入射位置がスポットサイズ変換導波路の入射面から一部が外れている場合、その外れている光は入射ポート以外の細線導波路の端面から入射し、細線導波路を進行して、本来の出射ポートとは異なる出射ポートから不要光として出射される。この不要光により、平面導波路素子の分波特性にばらつきが生じる。
【0013】
上記のように、光の入射位置がスポットサイズ変換導波路の入射面に位置している場合も位置していない場合もともに、出射ポートから光が検出される。光の検出は、出射ポートから出射された光をレンズによりフォトダイオードに集光して行なうため、不要光も検出してしまう。そのため、検出される光強度を確認するだけでは、光の入射位置がスポットサイズ変換導波路の入射面から外れているか否かの判断をくだすことができなかった。光の入射位置が把握できなければ、入射位置の調整を図ることもできない。特許文献1に記載されたスポットサイズ変換導波路にも、入射光の入射位置を調整するための構造は備えられていない。
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、入射光の入射位置を調整することができ、分波特性のばらつきを抑制することができる、平面導波路素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る平面導波路素子は、矩形状の基板と、基板上に積層される第1積層部と、第1積層部上に積層され、第1積層部より高い屈折率を有する第2積層部とを備える。第2積層部は、略平行に並ぶように形成される複数の細線導波路と、少なくとも1本以上の細線導波路の一方の端面に入射ポートが設けられ、この入射ポートに連結されるスポットサイズ変換導波路とを含む。さらに、平面導波路素子は、細線導波路と平行な、基板の一方の側面に設けられるヒータと、基板の他方の側面に設けられるヒートシンクとを備える。スポットサイズ変換導波路の幅は、入射側端面においては入射光のスポットサイズと同等であり、出射側端面においては細線導波路の入射ポートの幅と一致するように、光の伝搬方向へ向かって小さくなり、スポットサイズ変換導波路の高さは、出射側端面において細線導波路の入射ポートの高さと一致する。また、第2積層部は、スポットサイズ変換導波路の幅方向の両側に、スポットサイズ変換導波路に非接触な状態で設けられ、入射光の入射方向に対向する面に反射領域を有する反射部を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、スポットサイズ変換導波路の幅方向の両側に反射部を設けることにより、入射位置がスポットサイズ変換導波路の入射側端面から外れている光は反射されて、細線導波路の出射ポートから出射されないようにすることができる。このようにすることによって、光の入射位置が把握でき、スポットサイズ変換導波路の入射側端面に対する光の入射位置を調整して、平面導波路素子の分波特性のばらつきを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明に基づいた実施の形態における平面導波路素子について、図を参照しながら説明する。
【0018】
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1に係る平面導波路素子の平面図である。図2は、図1のII−II断面図である。図1,2に示すように、平面導波路素子1においては、矩形状のSi基板2の上面に、Siより低い屈折率を有するSiO2層から構成される、厚さが約1μmの第1積層部3が形成されている。第1積層部3の上面に、第1積層部3より高い屈折率を有するSi層を含む、厚さが約200nmの第2積層部4が形成されている。
【0019】
このように本実施の形態に係る平面導波路素子1は、Si基板上にSiO2層とSi層とが順に積層されるSOI基板を用いて構成されている。なお、第1積層部3としてAl2O3,InP,AlGaAsなどを用いてもよい。第2積層部4のSi層の代わりに、第1積層部3よりも高い屈折率を有し、光が伝播可能である、InGaAsP,GaAs,AlGaAs,InPなどを用いてもよい。
【0020】
第2積層部4は、細線導波路5、スポットサイズ変換導波路6および反射部7,8を含む。複数の細線導波路5は、略平行に並ぶように形成されている。少なくとも1本以上の細線導波路5の一方の端面に、光が入射する入射ポート9が設けられている。全ての細線導波路5の他方の端面に、光が出射する出射ポート10が設けられている。この入射ポート9に連結される出射側端面14を有するスポットサイズ変換導波路6が、第2積層部4に形成されている。
【0021】
スポットサイズ変換導波路6の幅は、入射側端面13においては入射光のスポットサイズと同等であり、出射側端面14においては細線導波路5の入射ポート9の幅と一致するように、光の伝播方向へ向かって小さくなっている。スポットサイズ変換導波路6の高さは、出射側端面14において細線導波路5の入射ポート9の高さと一致している。
【0022】
本実施の形態においては、たとえば、入射光のスポットサイズを5μm、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13の幅を6μmとした。また、細線導波路5の幅を0.5μm、SiO2層の上面からの高さを0.25μm、スポットサイズ変換導波路6の出射側端面14の幅を0.5μm、SiO2層の上面からの高さを0.25μmとした。スポットサイズ変換導波路6の長さは、700μmとした。スポットサイズ変換導波路6の幅は、光の伝播方向へ向かって線形的に変化するようにしてもよい。
【0023】
スポットサイズ変換導波路6の幅方向の両側に、スポットサイズ変換導波路6に非接触な状態で反射部7,8が設けられている。スポットサイズ変換導波路6と反射部7,8とを非接触にすることで、スポットサイズ変換導波路6に入射した光が反射部7,8に漏れることを防ぐことができる。
【0024】
反射部7,8は、入射光の入射方向に対向する面に反射領域を有している。本実施の形態においては、反射部7,8の反射領域に鏡を設けた。細線導波路5と平行な、SOI基板の一方の側面に、基板の温度勾配を制御するヒータ11が設けられている。また、SOI基板の他方の側面にヒートシンク12が設けられている。本実施の形態においては、SOI基板の側面にヒータ11およびヒートシンク12を設けたが、Si基板2の側面のみにヒータ11およびヒートシンク12を設けるようにしてもよい。
【0025】
本発明の実施の形態に係る平面導波路素子1の製造方法について、図3〜6を用いて説明する。図3は、導波路を形成する前のSOI基板の上面にレジストを塗布した状態を示す平面図である。図4は、図3のIV−IV断面図である。図5は、導波路を形成した後のSOI基板の上面にレジストを塗布した状態を示す平面図である。図6は、図5のVI−VI断面図である。
【0026】
まず、SOI基板上に導波路を形成するために、図3,4に示すように、Si層で構成される第2積層部4の上面にレジスト膜を塗布する。そのレジスト膜を電子線直接描画法またはフォトリソグラフィ法などによりパターニングし、所望の細線導波路5およびスポットサイズ変換導波路6の形状に対応したレジストパターン15を形成する。たとえば、電子線直接描画法では、電子線の照射電流が0.1nA、1ドット当りの電子線のドーズ時間が4μsecである照射条件によりパターニングを行なってもよい。フォトリソグラフィ法では、300msec程度の転写時間により、レジストパターン15を形成してもよい。
【0027】
次に、レジストパターン15をマスクとして、ICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング、反応性イオンエッチングおよび反応性イオンビームエッチングなどのエッチング方法を用いてSOI基板をエッチングする。第2積層部4の表面側の一部をエッチングした後、レジストパターン15を剥離する。このようにして、基板上に細線導波路5およびスポットサイズ変換導波路6を形成することができる。本実施の形態においては、たとえば、エッチングガスとして塩素ガス25sccmと窒素ガス10sccmとの混合ガスを使用し、エッチング圧力が0.1Pa、RF(Radio Frequency)パワーが200Wで行なわれる反応性イオンエッチングを用いてもよい。
【0028】
導波路が形成されたSOI基板に反射部の入射面に鏡を形成するために、図5,6に示すように、細線導波路5およびスポットサイズ変換導波路6が形成された第2積層部4の上面にレジスト膜を塗布する。そのレジスト膜を電子線直接描画法またはフォトリソグラフィ法などによりパターニングし、所望の反射部7,8の形状および配置に対応した開口7a,8aを有するレジストパターン16を形成する。図5においては、レジストパターン16に覆われた細線導波路5およびスポットサイズ変換導波路6を破線で示している。
【0029】
レジストパターン16の上面から、スパッタリング法または蒸着法などにより、反射部7,8を構成する材料を蒸着する。その後、レジストパターン16を基板上から剥離することにより、反射部7,8が形成される。なお、反射部7,8を構成する材料は、入射する光を反射する材料であればよい。たとえば、波長1.55μmの光が入射する場合には、Al,Zn,Cu,Au,Pt,Pd,Ag,Rhなどの材料を用いてもよい。
【0030】
また、反射部7,8の別の形成方法として、第2積層部のSi層を形成する際に、反射領域以外の反射部7,8をSi層に形成する。その後、反射領域にスパッタリング法または蒸着法などにより、上記材料を蒸着するようにしてもよい。次に、SOI基板の細線導波路5と平行な一方の側面に、スパッタリング法または蒸着法などを用いて、ヒータ11となる窒化タンタル膜を形成する。さらに、Si基板2の他方の側面に、スパッタリング法または蒸着法などを用いて、ヒートシンク12となる窒化アルミ膜を形成する。
【0031】
本実施の形態に係る平面導波路素子1において、スポットサイズ変換導波路6を伝播して細線導波路5を進行する光のOBOについて、図1及び図2を用いて説明する。なお、図1,2に示すように、細線導波路5が並ぶ方向をX軸方向として、ヒートシンク12からヒータ11への方向を+X軸方向、+X軸方向とは逆方向を−X軸方向とする。細線導波路5の延在する方向をY軸方向とし、入射ポート9から出射ポート10への方向を+Y軸方向、+Y軸方向とは逆方向を−Y軸方向とする。さらに、X軸方向およびY軸方向の両方に垂直な方向をZ軸方向とする。
【0032】
平面導波路素子1においては、ヒータ11により、+X軸方向へ向かうにしたがって高温になるように、Si基板2における温度分布に勾配が形成される。Si材料で構成される細線導波路5を有する平面導波路素子1において、高温のSi基板2の上方に位置する細線導波路5の等価屈折率は、低温のSi基板2の上方に位置する細線導波路5の等価屈折率よりも高い。このため、X軸方向において、Si基板2の温度分布に応じた、細線導波路5の等価屈折率分布が生じる。
【0033】
次に、光の強度分布17のピークがスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13に位置するように、平面導波路素子1へ光が照射される。照射された光は、スポットサイズ変換導波路6を伝播して入射ポート9へ進行し、進行する細線導波路5から漏れ出し、隣接する細線導波路5に結合する。その結果、光は細線導波路5中を+Y軸方向に進行しながら、X軸方向に振動する。このように光は、OBOを発現することにより、平面導波路素子1上において、光の道筋18に示されるように分波される。
【0034】
OBOは、光の波長が長くなるにつれて、振動する振幅が大きくなる。したがって、入射光の波長が異なるとOBOの振幅が異なるため、光は波長ごとに異なる細線導波路5に結合して光の道筋18に示されるように分波される。分波された光は、それぞれ異なる出射ポート10から出射する。よって、平面導波路素子1に複数の波長の光で構成される波長多重光が入射する場合、平面導波路素子1は分光器としての機能を有する。
【0035】
本発明の実施の形態に係る平面導波路素子における反射部の機能について、図1および図7〜10を用いて説明する。図7は、本実施の形態に係る平面導波路素子における反射部近傍の拡大図を示したものである。図7に示すように、スポットサイズ変換導波路6の−X軸方向側の近傍に入射光を反射する反射部7が設けられ、+X軸方向側の近傍に入射光を反射する反射部8が設けられている。反射部7,8とスポットサイズ変換導波路6とは、非接触な状態で配置されている。
【0036】
本実施の形態においては、反射部7,8の材料としてAlが用いられ、Y軸方向において反射部7,8の反射領域が、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13と出射側端面14との間に形成されているが、本発明の実施の形態はこのような構成に限られない。たとえば、Y軸方向において、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13と同列または−Y軸方向側に反射部7,8の反射領域を形成してもよい。この場合にも、平面導波路素子1に照射される光のうち、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13以外の領域に照射される光を細線導波路5に入射しないように反射することができる。
【0037】
以下、機能を良好に発揮することができる、反射部7,8について説明する。スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13における、最も−X軸方向にあるX座標をS1、最も+X軸方向にあるX座標をS2と定義する。スポットサイズ変換導波路6の−X軸方向側に設けられる反射部7の反射領域における、最も+X軸方向にあるX座標をM1と定義する。スポットサイズ変換導波路6の+X軸方向側に設けられる反射部8の反射領域における、最も−X軸方向にあるX座標をM2と定義する。この場合に、S1≦M1、かつ、M2≦S2が満たされるように、反射部7,8の反射領域を配置する。
【0038】
さらに、反射部7の反射領域のX軸方向の長さをL1、反射部8の反射領域の長さをL2、スポットサイズ変換導波路6に入射する光がスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13を通過する際のスポット直径をQとする。この場合、L1−(M1−S1)≧Q、かつ、L2−(S2−M2)≧Qを満たす、反射部7,8の反射領域を設ける。本実施の形態においては、反射部7,8の反射領域の長さL1,L2は15μmとした。反射部7,8の反射領域で光は全反射されるため、スポットサイズ変換導波路6に入射する光がスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13の領域から外れている場合には、入射光は反射部7,8の反射領域によって反射される。
【0039】
図1に示すように、光をスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13から入射させるために、レンズ19の光軸およびファイバ20の中心軸をY軸方向の直線上に配置する。レンズ19は、光を集光するためのレンズであり、ファイバ20から照射された光のスポット直径は、平面導波路素子1に入射する光のスポット直径Qよりも大きい。入射光のスポット直径Qは、ファイバ20とレンズ19の焦点距離などの光学特性との関係により決まる。
【0040】
スポットサイズ変換導波路6を伝播した光は、細線導波路5に入射し、X軸方向のOBOを生じながら+Y軸方向へ進行する。細線導波路5を進行した光は、出射ポート10から出射される。したがって、入射光がスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13から入射される場合、出射ポート10から光が出射される。出射された光の検出は、図示しないレンズおよびフォトダイオードで構成された検出装置により行なう。
【0041】
図8,9は、本実施の形態に係る平面導波路素子に対し、光の照射位置を相対的にずらした状態を示す平面図である。図8に示すように、レンズ19およびファイバ20の位置をスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13に対して−X軸方向へ移動させる。このときの光の強度分布17のピークの位置のX座標をF1とすると、F1=S1を境にF1<S1となると、スポットサイズ変換導波路6に入射する光の光強度は減少する。この場合、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13の領域から外れて入射する光は、反射部7の反射領域により反射される。さらにF1<S1となると、細線導波路5に光が入射せず、細線導波路5の出射ポート10から光は検出されなくなる。
【0042】
また、図9に示すように、レンズ19およびファイバ20の位置をスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13に対して+X軸方向へ移動させる。このときの光の強度分布17のピークの位置のX座標をF2とすると、F2=S2を境にF2>S2となると、スポットサイズ変換導波路6に入射する光の光強度は減少する。この場合、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13の領域から外れて入射する光は、反射部8の反射領域により反射される。さらにF2>S2となると、細線導波路5に光が入射しないため、細線導波路5の出射ポート10から光は検出されなくなる。
【0043】
このように、反射部7,8の反射領域を設けて、入射光の入射位置を−X軸方向から+X軸方向へ連続的に移動させることにより、細線導波路5の出射ポート10から検出される光強度が0となる照射位置が確認できる。それにより、所定の出射ポート10以外から出射される不要光の影響を排除して、光強度が最大となり、かつ、スポットサイズ変換導波路6のX軸方向の中心となる照射位置を確認することができる。
【0044】
図10は、光の強度分布のピークが入射する位置と細線導波路の出射ポートで検出される光強度との関係を示した図である。図10では、細線導波路5の出射ポート10で検出される光強度が、検出された光強度の最大値の1/e2倍となる入射位置をS3,S4として示した。この入射位置S3,S4のX座標を把握することにより、その中間点となるX座標が(S3+S4)/2において、光強度が最大となり、かつ、スポットサイズ変換導波路6の中心となることを確認することができる。
【0045】
このように確認した光強度が最大となる照射位置に光が照射されるように、レンズ19およびファイバ20が配置されるように調整することにより、平面導波路素子1の分波特性のばらつきを抑制することが可能となる。また、光の入射位置をスポットサイズ変換導波路6のX軸方向の中心にすることにより、スポットサイズ変換導波路6の側壁での反射が抑制され、スポットサイズ変換導波路6から細線導波路5への光の進入が円滑になり、細線導波路5の入射ポート9において反射して逆行する戻り光が低減される。
【0046】
なお、反射部7,8は、上記の構成に限られるものではなく、入射光のうち、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13以外の領域に照射される光が、細線導波路5に入射しないように反射されるものであればよい。反射部7,8を設けることにより、入射位置がスポットサイズ変換導波路6の入射側端面13から外れている光は反射されて、出射ポート10から出射されないようにすることができる。このようにすることによって、光の入射位置を把握でき、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13に対する入射位置を調整して、平面導波路素子1の分波特性のばらつきを抑制することができる。
【0047】
実施の形態2
本発明の実施の形態2に係る平面導波路素子について、図を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態2に係る平面導波路素子の平面図である。図12は、図11のXII−XII断面図である。図11,12に示すように、本実施の形態に係る平面導波路素子21の反射部27,28は、第2積層部24を構成するSi層に、Si層と空気層とがY軸方向に順番に並べられた多層膜で形成されたフォトニック結晶で構成されている。
【0048】
スポットサイズ変換導波路26の−X軸方向側の近傍に入射光を反射する反射部27が設けられ、+X軸方向側の近傍に入射光を反射する反射部28が設けられている。反射部27,28とスポットサイズ変換導波路26とは、非接触な状態で配置されている。反射部27,28を構成するフォトニック結晶は、フォトニックバンドギャップの中に入射光の波長が位置するように設計されている。
【0049】
本実施の形態においては、入射光の波長は1.55μmとし、フォトニック結晶は、0.3μmの厚さのSi層と、0.4μmの厚さの空気層とを、0.7μmピッチで30層並べた多層膜で形成した。また、反射部27,28は、Y軸方向において、スポットサイズ変換導波路6の入射側端面13と出射側端面14との間に形成されているが、この構成に限られるものではない。反射部27,28以外の構成については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0050】
本実施の形態に係る平面導波路素子21の製造方法について説明する。図13は、導波路を形成する前のSOI基板の上面にレジストを塗布した状態を示す平面図である。図14は、図13のXIV−XIV断面図である。図15は、エッチングにより導波路を形成したSOI基板の断面図である。
【0051】
まず、SOI基板上に導波路を形成するために、図13,14に示すように、Si層で構成される第2積層部24の上面にレジスト膜を塗布する。そのレジスト膜を電子線直接描画法またはフォトリソグラフィ法などによりパターニングし、所望の細線導波路25、スポットサイズ変換導波路26および反射部27,28の形状に対応したレジストパターン35を形成する。
【0052】
たとえば、電子線直接描画法では、電子線の照射電流が0.1nA、1ドット当りの電子線のドーズ時間が4μsecである照射条件によりパターニングを行なってもよい。フォトリソグラフィ法では、300msec程度の転写時間により、レジストパターン15を形成してもよい。
【0053】
このレジストパターン35をマスクとして、ICPエッチング、反応性イオンエッチングおよび反応性イオンビームエッチングなどのエッチング方法を用いてSOI基板をエッチングする。第2積層部24の表面側の一部をエッチングした後、レジストパターン35を剥離する。このようにして、基板上に細線導波路25、スポットサイズ変換導波路26および反射部27,28を形成することができる。本実施の形態においては、たとえば、エッチングガスとして塩素ガス25sccmと窒素ガス10sccmとの混合ガスを使用し、エッチング圧力が0.1Pa、RFパワーが200Wで行なわれる反応性イオンエッチングを用いてもよい。
【0054】
次に、SOI基板の細線導波路25と平行な一方の側面に、スパッタリング法または蒸着法などを用いて、ヒータ31となる窒化タンタル膜を形成する。さらに、Si基板22の他方の側面に、スパッタリング法または蒸着法などを用いて、ヒートシンク32となる窒化アルミ膜を形成する。本実施の形態においては、実施の形態1と異なり、1回の露光とエッチングにより第2積層部24のパターンを形成することができる。そのため、実施の形態1に比べて、短い製造時間で平面導波路素子21を製造することができる。
【0055】
本発明の実施の形態に係る平面導波路素子における反射部の機能について、図11および図16〜18を用いて説明する。図16は、本実施の形態に係る平面導波路素子における反射部近傍の拡大図を示したものである。
【0056】
図16に示すように、スポットサイズ変換導波路26の−X軸方向側の近傍に入射光を反射する反射部27が設けられ、+X軸方向側の近傍に入射光を反射する反射部28が設けられている。反射部27,28とスポットサイズ変換導波路26とは、非接触な状態で配置されている。
【0057】
本実施の形態においては、反射部27,28の反射領域は、Y軸方向において、スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33と出射側端面34との間に形成されているが、本発明はこのような構成に限られない。たとえば、Y軸方向において、スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33と同列または−Y軸方向側に反射部27,28の反射領域を形成してもよい。この場合にも、平面導波路素子21に照射される光のうち、スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33以外の領域に照射される光を細線導波路25に入射しないように反射することができる。
【0058】
以下、機能を良好に発揮することができる、反射部27,28について説明する。スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33におけるX軸方向の座標において、最も−X軸方向にあるX座標をS1、最も+X軸方向にあるX座標をS2と定義する。スポットサイズ変換導波路6の−X軸方向側に設けられる反射部27の反射領域におけるX軸方向の座標において、最も+X軸方向にあるX座標をN1と定義する。スポットサイズ変換導波路26の+X軸方向側に設けられる反射部28の反射領域におけるX軸方向の座標において、最も−X軸方向にあるX座標をN2と定義する。この場合に、S1≦N1、かつ、N2≦S2が満たされるように、反射部27,28の反射領域を配置する。
【0059】
さらに、反射部27の反射領域のX軸方向の長さをP1、反射部28の反射領域の長さをP2、スポットサイズ変換導波路26に入射する光がスポットサイズ変換導波路26の入射側端面33を通過する際のスポット直径をQとする。この場合、P1−(N1−S1)≧Q、かつ、P2−(S2−N2)≧Qを満たす、反射部27,28の反射領域を設ける。本実施の形態においては、反射部27,28の反射領域の長さP1,P2は20μmとした。
【0060】
図11に示すように、光をスポットサイズ変換導波路26の入射側端面33から入射させるために、レンズ38の光軸およびファイバ39の中心軸をY軸方向の直線上に配置する。レンズ38は、光を集光するためのレンズであり、ファイバ39から照射された光のスポット直径は、平面導波路素子21に入射する光のスポット直径Qよりも大きい。入射光のスポット直径Qは、ファイバ39とレンズ38の焦点距離などの光学特性との関係により決まる。
【0061】
スポットサイズ変換導波路26を伝播した光は、細線導波路25に入射し、X軸方向のOBOを生じながら+Y軸方向へ進行する。細線導波路5を進行した光は、出射ポート30から出射される。したがって、入射光がスポットサイズ変換導波路26の入射側端面33から入射される場合、出射ポート30から光が出射される。出射された光の検出は、図示しないレンズおよびフォトダイオードで構成された検出装置により行なう。
【0062】
図17,18は、本実施の形態に係る平面導波路素子に対し、光の照射位置を相対的にずらした状態を示す平面図である。図17に示すように、レンズ38およびファイバ39の位置をスポットサイズ変換導波路26の入射側端面33に対して−X軸方向へ移動させる。このときの光の強度のピーク36の位置のX座標をF3とすると、F3=S1を境にF3<S1となると、スポットサイズ変換導波路26に入射する光の光強度は減少する。この場合、スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33の領域から外れて入射する光は、反射部27の反射領域により反射される。さらにF3<S1となると、細線導波路25に光が入射せず、細線導波路25の出射ポート30から光は検出されなくなる。
【0063】
また、図18に示すように、レンズ38およびファイバ39の位置をスポットサイズ変換導波路26の入射側端面33に対して+X軸方向へ移動させる。このときの光の強度のピーク36の位置のX座標をF4とすると、F4=S2を境にF4>S2となると、スポットサイズ変換導波路26に入射する光の光強度は減少する。この場合、スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33の領域から外れて入射する光は、反射部28の反射領域により反射される。さらにF4>S2となると、細線導波路25に光が入射しないため、細線導波路25の出射ポート30から光は検出されなくなる。
【0064】
このように、反射部27,28の反射領域を設けて、入射光の入射位置を−X軸方向から+X軸方向へ連続的に移動させることにより、細線導波路25の出射ポート30から検出される光強度が0となる照射位置が確認できる。それにより、所定の出射ポート30以外から検出される不要光の影響を排除して、光強度が最大となり、かつ、スポットサイズ変換導波路26のX軸方向の中心となる照射位置を確認することができる。
【0065】
このように確認した光強度が最大となる照射位置に光が照射されるように、レンズ38およびファイバ39が配置されるように調整することにより、平面導波路素子21の分波特性のばらつきを抑制することが可能となる。また、光の入射位置をスポットサイズ変換導波路26のX軸方向の中心にすることにより、スポットサイズ変換導波路26の側壁での反射が抑制され、スポットサイズ変換導波路26から細線導波路25への光の進入が円滑になり、細線導波路25の入射ポート29において反射して逆行する戻り光が低減される。
【0066】
なお、反射部27,28は、上記の構成に限られるものではなく、入射光のうち、スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33以外の領域に照射される光が細線導波路25に入射しないように反射されるものであればよい。反射部27,28を設けることにより、入射位置がスポットサイズ変換導波路26の入射側端面33から外れている光は反射されて、出射ポート30から出射されないようにすることができる。このようにすることによって、光の入射位置が把握でき、スポットサイズ変換導波路26の入射側端面33に対する入射位置を調整して、平面導波路素子21の分波特性のばらつきを抑制することができる。
【0067】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態1に係る平面導波路素子の平面図である。
【図2】図2は、図1のII−II断面図である。
【図3】導波路を形成する前のSOI基板の上面にレジストを塗布した状態を示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV断面図である。
【図5】導波路を形成した後のSOI基板の上面にレジストを塗布した状態を示す平面図である。
【図6】図5のVI−VI断面図である。
【図7】同実施の形態に係る平面導波路素子における反射部近傍の拡大図を示したものである。
【図8】同実施の形態に係る平面導波路素子に対し、光の照射位置を相対的にずらした状態を示す平面図である。
【図9】同実施の形態に係る平面導波路素子に対し、光の照射位置を相対的にずらした状態を示す平面図である。
【図10】光の入射位置と細線導波路の出射ポートで検出される光強度との関係を示した図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る平面導波路素子の平面図である。
【図12】図11のXII−XII断面図である。
【図13】導波路を形成する前のSOI基板の上面にレジストを塗布した状態を示す平面図である。
【図14】図13のXIV−XIV断面図である。
【図15】エッチングにより導波路を形成したSOI基板の断面図である。
【図16】同実施の形態に係る平面導波路素子における反射部近傍の拡大図を示したものである。
【図17】同実施の形態に係る平面導波路素子に対し、光の照射位置を相対的にずらした状態を示す平面図である。
【図18】同実施の形態に係る平面導波路素子に対し、光の照射位置を相対的にずらした状態を示す平面図である。
【図19】特許文献1に記載されているスポットサイズ変換導波路の斜視図である。
【図20】特許文献2に記載されているOBO平面導波路素子の平面図である。
【図21】図20のXXI−XXI断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1,21,111 平面導波路素子、2,22,102,112 基板、3,23,113 第1積層部、4,24 第2積層部、5,25,105,114 細線導波路、6,26,101 スポットサイズ変換導波路、7,8,27,28 反射部、9,29,115 入射ポート、10,30,116 出射ポート、11,31,117 ヒータ、12,32,118 ヒートシンク、13,33,106 入射側端面、14,34,107 出射側端面、15,16,35 レジストパターン、17,36,120 光の強度ピーク、18,119 光の道筋、19,38 レンズ、20,39 ファイバ、103 導波路コア、104 リッジ部、7a,8a 開口。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の基板と、
前記基板上に積層される第1積層部と、
前記第1積層部上に積層され、前記第1積層部より高い屈折率を有する第2積層部と、
前記第2積層部は、略平行に並ぶように形成される複数の細線導波路と、少なくとも1本以上の該細線導波路の一方の端面に入射ポートが設けられ、該入射ポートに連結されるスポットサイズ変換導波路とを含み、
前記細線導波路と平行な、前記基板の一方の側面に設けられるヒータと、
前記基板の他方の側面に設けられるヒートシンクと
を備え、
前記スポットサイズ変換導波路の幅は、入射側端面においては入射光のスポットサイズと同等であり、出射側端面においては前記細線導波路の前記入射ポートの幅と一致するように、光の伝搬方向へ向かって小さくなり、
前記スポットサイズ変換導波路の高さは、出射側端面において前記細線導波路の前記入射ポートの高さと一致し、
前記第2積層部は、前記スポットサイズ変換導波路の幅方向の両側に、前記スポットサイズ変換導波路に非接触な状態で設けられ、前記入射光の入射方向に対向する面に反射領域を有する反射部を含む、平面導波路素子。
【請求項2】
前記反射部は、前記入射光のうち、前記スポットサイズ変換導波路の入射側端面以外の領域に照射される光を前記細線導波路に入射しないように反射する、請求項1に記載の平面導波路素子。
【請求項3】
前記細線導波路の延在する方向において、前記反射部が前記スポットサイズ変換導波路の前記入射側端面と前記出射側端面との間に形成され、
前記細線導波路と平行な、前記ヒートシンクから前記ヒータへの方向を+X軸方向、+X軸方向とは逆方向を−X軸方向とし、前記スポットサイズ変換導波路の入射側端面におけるX軸方向の座標において最も−X軸方向にあるX座標をS1、最も+X軸方向にあるX座標をS2、前記スポットサイズ変換導波路の−X軸方向側に設けられる前記反射部の前記反射領域におけるX軸方向の座標において最も+X軸方向にあるX座標をM1、前記スポットサイズ変換導波路の+X軸方向側に設けられる前記反射部の前記反射領域におけるX軸方向の座標において最も−X軸方向にあるX座標をM2と定義した場合に、
S1≦M1、かつ、M2≦S2であり、
前記スポットサイズ変換導波路の−X軸方向側に設けられる前記反射部の前記反射領域のX軸方向の長さをL1、前記スポットサイズ変換導波路の+X軸方向側に設けられる前記反射部の前記反射領域のX軸方向の長さをL2、前記スポットサイズ変換導波路に入射する光が前記スポットサイズ変換導波路の入射側端面を通過する際のスポット直径をQとすると、
L1−(M1−S1)≧Q、かつ、L2−(S2−M2)≧Qである、
請求項1または2に記載の平面導波路素子。
【請求項4】
前記反射部が鏡を含む、請求項1に記載の平面導波路素子。
【請求項5】
前記反射部がフォトニック結晶を含む、請求項1に記載の平面導波路素子。
【請求項1】
矩形状の基板と、
前記基板上に積層される第1積層部と、
前記第1積層部上に積層され、前記第1積層部より高い屈折率を有する第2積層部と、
前記第2積層部は、略平行に並ぶように形成される複数の細線導波路と、少なくとも1本以上の該細線導波路の一方の端面に入射ポートが設けられ、該入射ポートに連結されるスポットサイズ変換導波路とを含み、
前記細線導波路と平行な、前記基板の一方の側面に設けられるヒータと、
前記基板の他方の側面に設けられるヒートシンクと
を備え、
前記スポットサイズ変換導波路の幅は、入射側端面においては入射光のスポットサイズと同等であり、出射側端面においては前記細線導波路の前記入射ポートの幅と一致するように、光の伝搬方向へ向かって小さくなり、
前記スポットサイズ変換導波路の高さは、出射側端面において前記細線導波路の前記入射ポートの高さと一致し、
前記第2積層部は、前記スポットサイズ変換導波路の幅方向の両側に、前記スポットサイズ変換導波路に非接触な状態で設けられ、前記入射光の入射方向に対向する面に反射領域を有する反射部を含む、平面導波路素子。
【請求項2】
前記反射部は、前記入射光のうち、前記スポットサイズ変換導波路の入射側端面以外の領域に照射される光を前記細線導波路に入射しないように反射する、請求項1に記載の平面導波路素子。
【請求項3】
前記細線導波路の延在する方向において、前記反射部が前記スポットサイズ変換導波路の前記入射側端面と前記出射側端面との間に形成され、
前記細線導波路と平行な、前記ヒートシンクから前記ヒータへの方向を+X軸方向、+X軸方向とは逆方向を−X軸方向とし、前記スポットサイズ変換導波路の入射側端面におけるX軸方向の座標において最も−X軸方向にあるX座標をS1、最も+X軸方向にあるX座標をS2、前記スポットサイズ変換導波路の−X軸方向側に設けられる前記反射部の前記反射領域におけるX軸方向の座標において最も+X軸方向にあるX座標をM1、前記スポットサイズ変換導波路の+X軸方向側に設けられる前記反射部の前記反射領域におけるX軸方向の座標において最も−X軸方向にあるX座標をM2と定義した場合に、
S1≦M1、かつ、M2≦S2であり、
前記スポットサイズ変換導波路の−X軸方向側に設けられる前記反射部の前記反射領域のX軸方向の長さをL1、前記スポットサイズ変換導波路の+X軸方向側に設けられる前記反射部の前記反射領域のX軸方向の長さをL2、前記スポットサイズ変換導波路に入射する光が前記スポットサイズ変換導波路の入射側端面を通過する際のスポット直径をQとすると、
L1−(M1−S1)≧Q、かつ、L2−(S2−M2)≧Qである、
請求項1または2に記載の平面導波路素子。
【請求項4】
前記反射部が鏡を含む、請求項1に記載の平面導波路素子。
【請求項5】
前記反射部がフォトニック結晶を含む、請求項1に記載の平面導波路素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−127999(P2010−127999A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299802(P2008−299802)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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