広帯域アンテナパターン
【課題】 広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムのアンテナパターンを制御するための改良された解決策を提供する。
【解決手段】 本発明は、広帯域アレイアンテナ及び変換手段を含む広帯域アレイアンテナユニットが得られるようにして広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御するための方法を提供する。本発明は、更に、アンテナシステムのアンテナパターンを制御するように構成された対応する広帯域アレイアンテナユニット及び変換手段も提供する。
アレイアンテナが瞬時広帯域波形で動作するように構成されたときに、広帯域アレイアンテナのアンテナ素子間の分離を、システム帯域巾内の最大周波数の半波長より上に増加することができる。
【解決手段】 本発明は、広帯域アレイアンテナ及び変換手段を含む広帯域アレイアンテナユニットが得られるようにして広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御するための方法を提供する。本発明は、更に、アンテナシステムのアンテナパターンを制御するように構成された対応する広帯域アレイアンテナユニット及び変換手段も提供する。
アレイアンテナが瞬時広帯域波形で動作するように構成されたときに、広帯域アレイアンテナのアンテナ素子間の分離を、システム帯域巾内の最大周波数の半波長より上に増加することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域アレイアンテナの分野に係る。
【背景技術】
【0002】
1つ又は多数のメインローブの方向及び形状、異なる方向におけるサイドローブレベル及びアレイアンテナの打ち消し方向を制御することがしばしば望まれる。これは、メインローブ、サイドローブレベルの狭帯域制御を許すと共に、アレイアンテナのアンテナパターンにおける多数の狭帯域打ち消し方向の位置も制御する位相シフターで行うことができる。打ち消し方向とは、アンテナ図において放射又は受信電力が最小となる方向である。今日では、真の時間遅延解決策も利用されている。これらの解決策では、各アンテナ素子が全ての周波数に対して固定の時間遅延を有する。この固定時間遅延は、異なるアンテナ素子で異なるものである。これらの解決策は、広帯域メインローブを制御できるようにするが、アンテナパターンにおいて狭帯域打ち消し方向を生成することしかできない。広い周波数範囲にわたって打ち消し方向を生成するためには、望ましい広帯域打ち消し方向の周りに多数の狭帯域打ち消し方向を指定しなければならない。これは、サイドローブのレベルが増加するという望ましからぬ副作用を招く。レーダーアンテナのような多くの用途では、サイドローブを低いレベルに保持しながら広帯域ローブ形成を達成することが望まれる。
【0003】
従って、従来の解決策では、少なくとも2つのアンテナ素子で構成されて電子システムに接続されたアレイアンテナのアンテナパターンを制御する方法が今日存在する。アンテナパターンの制御は、アンテナパターンにおける1つ又は多数のメインローブの方向及び/又は打ち消し方向を制御することを含む。この制御は、アンテナ素子ごとに位相シフト又は時間遅延を個々に行うようにしてアンテナ素子と電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成される。電子システムは、レーダー又は通信システムである。アレイアンテナと電子システムとの間の接続は、直接的に行うこともできるし、例えば、位相シフターを経て間接的に行うこともできる。しかしながら、アンテナパターンの制御は、メインローブ、サイドローブレベルの狭帯域制御しか行えないと共に、アンテナパターンにおいて狭帯域打ち消し方向しか生成できないという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、1つ又は多数のメインローブの形状、方向及び巾、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御することで広い帯域巾にわたりアンテナパターンを制御できるようにすると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成できるようにすることにより、広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムのアンテナパターンを制御するための改良された解決策が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、従来の解決策に伴う上述した不備を除去すると共に、前記問題を解決して、広い帯域巾にわたり広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムのアンテナパターンを制御する改良された解決策を達成するために、
・広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御する方法、
・広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御するように構成された広帯域アレイアンテナユニット、
・アンテナシステムのアンテナパターンを制御するように構成された変換手段、
・広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御するように構成された広帯域アレイアンテナ、
を提供することである。アンテナパターンの制御は、1つ又は多数のメインローブの形状、方向及び巾、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御すると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成できるようにすることを含む。
【0006】
この目的は、少なくとも2つのアンテナ素子を備え、電子システムに接続された広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御する方法を提供することにより達成される。アンテナパターンの制御は、1つ又は多数のメインローブの方向及び/又はアンテナパターンにおける打ち消し方向の制御を含む。この制御は、アンテナ素子ごとに位相シフト又は時間遅延を個々に行ってアンテナ素子と電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことによって達成され、更に、広帯域アレイアンテナ及び変換手段を備えていて、広帯域アレイアンテナがシステム帯域巾にわたって動作し且つ瞬時帯域巾Bで動作する広帯域アレイアンテナユニットが、次のようにして得られ、即ち、
・変換手段は、広帯域アレイアンテナの各アンテナ素子、又は少なくとも2つのアンテナ素子を含むサブアレイと、電子システム(303)との間に挿入されるか、或いは変換手段は、アンテナ素子/サブアレイ又は電子システムに一体化され、
・qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的方法を使用して、瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)が計算され、
・変換手段は、離散的角周波数ωqにおいて重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用することにより、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の連続的又はパルス状の波形に影響を及ぼし、
以上から、瞬時帯域巾Bにわたり広帯域アレイアンテナのアンテナパターンの拡張制御を達成することで得られる。
【0007】
前記目的は、更に、少なくとも2つのアンテナ素子を備え、電子システムに接続された広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御するように構成された広帯域アレイアンテナユニットを提供することによって達成される。アンテナパターンの制御は、1つ又は多数のメインローブの方向及び/又はアンテナパターンにおける打ち消し方向の制御を含む。このアンテナパターンの制御は、アンテナ素子ごとに位相シフト又は時間遅延を個々に行ってアンテナ素子と電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成されるように構成され、更に、広帯域アレイアンテナ及び変換手段を備えていて、広帯域アレイアンテナがシステム帯域巾にわたって動作し且つ瞬時帯域巾Bで動作するように構成された広帯域アレイアンテナユニットは、次のようにして得られ、即ち
・変換手段は、広帯域アレイアンテナの各アンテナ素子、又は少なくとも2つのアンテナ素子を含むサブアレイと、電子システムとの間に挿入されるように構成されるか、或いは変換手段は、アンテナ素子/サブアレイ又は電子システムに一体化され、
・qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)を計算するように構成され、そして
・変換手段は、離散的角周波数ωqにおける重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用することにより、各アンテナ素子又はサブアレイと電子システム(303)との間の連続的又はパルス状の波形に影響を及ぼすように構成され、
以上から、瞬時帯域巾Bにわたり広帯域アレイアンテナのアンテナパターンの拡張制御を達成することで得られる。
【0008】
前記目的は、更に、電子システムに接続されたアンテナシステムのアンテナパターンを制御するように構成された変換手段であって、アンテナシステムは、少なくとも2つのアンテナ素子を含み、アンテナパターンの制御は、1つ又は多数のメインローブの方向及び/又はアンテナパターンにおける打ち消し方向の制御を含み、この制御は、アンテナ素子ごとに位相シフト又は時間遅延を個々に行うようにしてアンテナ素子と電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成されるように構成され、瞬時帯域巾Bを占有するように構成されたアンテナパターンの拡張制御が、次のことで得られ、即ち、
・変換手段は、アンテナシステムのアンテナ素子、又は少なくとも2つのアンテナ素子を含むサブアレイ、の少なくとも1つを除く全部と、電子システムとの間に挿入されるように構成されるか、又は変換手段は、アンテナ素子/サブアレイ又は電子システムに一体化され、
・qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)を計算するように構成され、そして
・変換手段は、離散的角周波数ωqにおける重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用することにより、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)の少なくとも1つを除く全部と電子システムとの間の連続的又はパルス状の波形に影響を及ぼすように構成され、
以上から、瞬時帯域巾Bにわたってアンテナシステムのアンテナパターンの拡張制御を達成することで得られる。
【0009】
前記目的は、更に、少なくとも2つのアンテナ素子を含み、システム帯域巾にわたって動作するように構成された広帯域アレイアンテナを提供することにより達成される。この広帯域アレイアンテナは、該広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御するように構成され、電子システムに接続される。アンテナパターンの制御は、アンテナ素子ごとにパラメータが個々にあるようにして広帯域アレイアンテナと電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成されるように構成され、広帯域アレイアンテナは、該広帯域アレイアンテナが瞬時広帯域波形で動作するように構成されたときに、該広帯域アレイアンテナのアンテナ素子間の分離を、従来のアレイアンテナ設計に比して、システム帯域巾内の最大周波数の半波長より上に増加することにより、瞬時帯域巾Bを有する波形で動作するように構成される。その結果、アンテナパターンに格子ローブが現れることなく、アンテナ素子の数が実質的に減少される。
【発明の効果】
【0010】
詳細な説明に述べられる従属請求項の1つ又は多数の特徴を実施することにより更に別の効果が達成される。これら効果の幾つかは、次の通りである。
【0011】
・本発明は、1つ又は多数のメインローブの形状、方向及び巾、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御すると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成することを含むアンテナパターンの拡張制御を提供する。
【0012】
・本発明は、変換手段のアナログ実現化又はデジタル実現化のいずれでも実施することができる。
【0013】
・本発明は、連続波形及びパルス波形の両方に適用でき、更なる効果を与える。
【0014】
上述されていない1つ又は多数の従属請求項の特徴が実施される場合には付加的な効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1a】周波数ドメインにおいて変換手段を実現化するデジタル解決策を概略的に示す。
【図1b】周波数ドメインにおいて変換手段を実現化するアナログ解決策を概略的に示す。
【図2a】時間ドメインにおける変換手段の実現化を概略的に示す。
【図2b】優勢な非周波数従属の「真の時間遅延」も含む変換手段の実施形態として時間ドメインでの実現化を概略的に示す。
【図2c】減衰/増幅及び時間遅延を角周波数ω・(2・π・f)の関数として示すグラフである。
【図3a】本発明をいかに実施できるかの一実施形態を概略的に示すブロック図である。
【図3b】本発明をいかに実施できるかの一実施形態を概略的に示すブロック図である。
【図4】広帯域アンテナパターンを定義するのに使用される角度の定義を示す。
【図5】アンテナ素子数及び周波数の関数として電力を概略的に示す。
【図6a】アンテナ素子数及び周波数の関数として遅延を概略的に示す。
【図6b】メインローブ方向における入射波頭を概略的に示す。
【図7】周波数独立の真の時間遅延(デルタ遅延)からの偏差を、アンテナ素子数及び周波数の関数として概略的に示す。
【図8】本発明により得られる広帯域打ち消し方向及びメインローブでのアレイファクタを示す。
【図9】異なるFFT長さに対し20°における広帯域打ち消し方向のアンテナパターンを示す。
【図10】異なるFFT長さに対し30°におけるメインローブのアンテナパターンを示す。
【図11】異なるFFT長さに対し40°における広帯域打ち消し方向のアンテナパターンを示す。
【図12】異なるFFT長さに対し50°における広帯域打ち消し方向のアンテナパターンを示す。
【図13】固定巾の1つのメインローブで素子数及び周波数の関数として電力を概略的に示す。
【図14】固定巾の1つのメインローブで素子数及び周波数の関数として時間遅延を概略的に示す。
【図15】本発明により得られる周波数独立位置及び固定巾の1つのメインローブでのアレイファクタを示す。
【図16】異なるFFT長さに対し隣接する広帯域打ち消し方向と共に30°における1つのメインローブのアンテナパターンを示す。
【図17】パルス波形の一例を示す。
【図18】多数の角度において時間の関数としてパルス波形に対して得られる波形を示す。
【図19】本発明の方法のデジタル実現化を概略的に示すフローチャートである。
【図20】直線アレイのためのアンテナパターンを示す。
【図21】円形アレイのためのアンテナパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、添付図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、広い帯域巾にわたりアンテナパターンをどのように整形できるかについて多数の実施例を記述することにより説明される。これは、送信モードではアンテナ素子への波形に又は受信モードではアンテナ素子からの波形に、以下に述べるように、幾つかのパラメータで影響を及ぼすことにより達成される。
【0017】
広帯域打ち消し方向とは、以下の説明では、アンテナパターンにおいて放射電力/感度が、最大放射/感度を有する方向における放射電力/感度より実質的に低く、最小であるような方向として使用される。
【0018】
アンテナパターンは、アンテナが送信モードで動作されるときには放射電力が方向の関数であるとして定義され、又、アンテナが受信モードで動作されるときには感度が方向の関数であるとして定義される。
【0019】
図1aは、広帯域アレイアンテナに対する周波数従属の「真の時間遅延」解決策を実際に実現化する一実施例を概略的に示す。広帯域アレイアンテナは、帯域巾が瞬時動作帯域巾B以上のアレイアンテナとして定義される。瞬時帯域巾Bは、図3を参照して以下に説明する瞬時動作帯域巾である。この実施例では、時間遅延は、周波数に従属するパラメータとして使用される。広帯域アレイアンテナは、少なくとも2つのアンテナ素子を含む。又、その実現化は、任意の周波数従属の減衰/増幅も含み、即ち波形の振幅が減衰されるか又は増幅される。この任意の実施形態では、2つの周波数従属のパラメータ、即ち時間遅延及び減衰/増幅が使用される。アンテナの可逆原理のために、本発明の解決策は、特に指示のない限り、送信及び受信の両方に適用できる。以下の説明において、本発明は、特に指示のない限り、受信モードについて述べる。広帯域アレイアンテナのアンテナ素子nからの入力波形sin(t)は、例えば、高速フーリエ変換(FFT)を使用するフーリエ変換(FT)ユニット102へ供給されるが、スペクトルを計算する他の方法を使用することもできる。FTユニットは、入力波形sin(t)101の瞬時帯域巾Bを、Q個のスペクトルコンポーネント0からQ−1へ変換し、この実施例では、8個のスペクトルコンポーネント110−117へ変換し、各スペクトルコンポーネントは、中心周波数fqを有する。しかしながら、変換は、それより多数の又は少数のスペクトルコンポーネントへと行うことができる。時間遅延τq(120−127)及び任意の周波数従属の減衰/増幅αq(130−137)は、当業者に良く知られた適当な時間遅延及び/又は減衰/増幅手段を通して各スペクトルコンポーネントに影響を及ぼす。従って、スペクトルコンポーネント110は、時間遅延τ0120及び減衰/増幅α0130を有し、スペクトルコンポーネント111は、時間遅延τ1121及び減衰/増幅α1131を有し、等々となり、スペクトルコンポーネント117は、時間遅延τ7127及び減衰/増幅α7137を有する。全てのスペクトルコンポーネントが逆フーリエ変換(IFT)ユニット103へ供給され、これは、逆高速フーリエ変換(IFFT)又は他の方法、例えば、IDFT(逆離散的フーリエ変換)を使用して、周波数ドメインから時間ドメインへ変換し、従って、全てのスペクトルコンポーネントを時間ドメインへ戻すように変換し、そして出力波形sout(t)104を発生する。
【0020】
時間遅延τq及び減衰/増幅αqは、各スペクトルコンポーネントqに影響を及ぼすアンテナ素子nに対するパラメータの一例であり、但し、パラメータは、周波数従属である。これら周波数従属パラメータの一般的な呼称は、τn,q及びαn,qであり、但し、nは1からN、qは0からQ−1の範囲である。
【0021】
FTユニット、時間遅延及び減衰/増幅手段、並びにIFTユニットは、第1制御要素100の一部分である。
【0022】
本発明は、周波数従属の時間遅延τ(ω)のみを使用して実施することができる。この解決策は、周波数従属の減衰/増幅が要求されないので、実現化が簡単である。しかしながら、これは、メインローブの巾の制御性をかなり減少させる。
【0023】
図1aに基づき周波数従属の時間遅延及び減衰/増幅の両方で実施される機能について以下に説明する。
【0024】
周波数従属の重み付け関数W(ω)=A(ω)・e−j・ω・τ(ω)から計算されるパラメータは、各アンテナ素子nと電子システムとの間の波形に影響を及ぼし、但し、A(ω)は、減衰/増幅の周波数従属性を考慮し、τ(ω)は、時間遅延の周波数従属性を考慮するものである。或いは、重み付け関数は、W(ω)=A(ω)・e−j・φ(ω)として定義することもでき、この場合も、A(ω)は、減衰/増幅の周波数従属性を考慮するものであるが、φ(ω)は、位相シフトの周波数従属性を考慮するものである。各補助アンテナ素子は、1つの第1制御要素100に接続される。第1制御要素に入力する入力波形sin(t)101の関数として各第1制御要素100から放出される出力波形sout(t)104は、次の式(1)の助けで計算することができる。sin(t)は、アンテナが受信アンテナとして働くときには、各アンテナ素子からのビデオ、中間周波(IF)又は高周波(RF)波形であるが、広帯域アレイアンテナが送信アンテナとして働くときは電子システムの波形ジェネレータからのビデオ、中間周波(IF)又は高周波(RF)レベルの波形でもある。
【0025】
式(1)において、記号
は、コンボリューションを象徴するものである。コンボリューションの原理は、当業者に良く知られており、例えば、1965年にRonald N. Bracewellにより書かれたマグローヒル・ハイヤー・エジュケーション(McGraw-Hill HigherEducation)の“The Fourier Transform and its Applications”において更に検討することができる。
【0026】
前記及び以下の説明で使用する記号は、次の意味を有する。
ω=角周波数(2・π・f)
w(t)=時間ドメイン重み付け関数
w(t−τ)=時間遅延された時間ドメイン重み付け関数
W(ω)=w(t)のフーリエ変換である周波数ドメイン重み付け関数
A(ω)=W(ω)の絶対値
αq=アンテナ素子nに対するω=ωqにおけるW(ω)のA(ωq)絶対値で、一般的に、αn,qと呼称される
τ=時間遅延及び積分変数
τq=アンテナ素子nに対するω=ωqにおけるτ(ω)の時間遅延で、一般的に、τn,qと呼称され、τn,q=アンテナ素子nのスペクトルコンポーネントqの時間遅延
τ(ω)=ωの関数としての時間遅延
φ(ω)=ωの関数としての位相シフト
φq=アンテナ素子nに対するω=ωqにおけるφ(ω)の位相シフトで、一般に、φn,qと呼称され、φn,q=アンテナ素子nのスペクトルコンポーネントqの位相シフト
【0027】
上述したように、τn,q及びαn、qは、各スペクトルコンポーネントqに影響を及ぼすアンテナ素子nに対する周波数従属パラメータの一例である。位相シフトφn,qは、各スペクトルコンポーネントqに影響を及ぼすアンテナ素子nに対する周波数従属パラメータの別の例である。
【0028】
図1aは、第1制御要素のデジタル実現化を示す。図1bは、それに対応するアナログ実現化を示すもので、入力波形sin(t)101が第3制御要素150に入る。各アンテナ素子nから到来する入力波形101は、中心周波数fqを有するQ個のバンドパスフィルタFqに供給され、但し、qは、0からQ−1までの整数値をとる。従って、入力波形101は、Q個のスペクトルコンポーネントに分割されると共に、時間遅延τq、或いは位相シフトφq及び任意の周波数従属の減衰/増幅αqが、当業者に良く知られた適当な時間遅延又は位相シフト及び減衰/増幅手段を通して、各スペクトルコンポーネントに影響を及ぼす。全てのスペクトルコンポーネントは、加算ネットワーク151に接続されて出力波形sout(t)104を発生する。各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqは、等距離スペクトルコンポーネント分割の場合は、次の式に基づいて計算することができる。
但し、fcは、瞬時帯域巾Bをもつ周波数帯域の中心周波数である。瞬時帯域巾Bは、瞬時動作帯域巾である。第3制御要素150は、Q個のバンドパスフィルタFqと、時間遅延及び増幅/減衰のための手段と、加算ネットワーク151とを備えている。
【0029】
図2a及び2bを参照して更に別のデジタル実現化を以下に説明する。多くの状態では、時間的に個別のステップTを伴う時間個別実現化が好ましい。第2制御要素(200)から放出される出力波形sout(m・T)は、第2制御要素に入る入力波形sin(m・T)の関数として式(2)の助けで計算することができる。インデックスmは、時間の関数として直線的に増加する整数値である。W(ωq)は、スペクトルコンポーネントqの中心周波数における時間遅延及び減衰/増幅を表す。図1を参照されたい。両方ともQ・log2(Q)個の演算を要求する図1aを参照して述べたFFT及びIFFTは、両方ともQ2個の演算を要求するDFT(離散的フーリエ変換)及びIDFT(離散的逆フーリエ変換)を計算するための計算効率の良い方法である。Qは、上述したように、スペクトルコンポーネントの全数である。出力波形は、次のように計算される。
mod[x、y]=xをyで除算した後の余り
ωq=2・π・fq=離散的角周波数
Q=スペクトルコンポーネントの数
κ=DFT及びIDFTに使用される整数累乗変数
m=個別の時間ステップに対する整数累乗変数
q=スペクトルコンポーネントに対する整数累乗変数及びDFTに使用される整数累乗変数
【0030】
式(2)において明らかなように、時間個別実現化における望ましい機能は、Q個の演算で達成することができる。
【0031】
FFT及びDFTは、フーリエ変換(FT)のための異なる方法である。IFFT及びIDFTは、逆フーリエ変換(IFT)のための対応する方法である。上述したように、これらの方法は、異なる効果を有し、用途に最も適した方法が選択される。しかしながら、本発明の異なる実施形態においてFT及び/又はIFTが要求されるときには、いずれかの方法を使用することができる。
【0032】
図2aは、広帯域アレイアンテナのアンテナ素子から到来する入力波形sin(m・T)201を示す。この入力波形201は、Q−1個の時間ステップT203で次々に時間遅延され、1からQ−1まで番号付けされ、そして入力波形sin(m・T)の時間遅延されたコピーとなる。従って、この入力波形は、図2aの上部204に示したように、時間ステップTで次々に時間遅延される。アンテナ素子nに対する重み付け係数wn,0からwn,Q−1を含むQ個のパラメータは、2つのインデックスで識別され、第1のインデックスは、アンテナ素子番号を表し、そして第2のインデックスは、スペクトルコンポーネントを表す連続番号qで、0からQ−1の範囲である。重み付け係数は、q個のコンポーネントにおいて瞬時帯域巾Bを分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqに対して、W(ωq)のIDFTとして、或いはW(ωq)のIFFTとして計算され、この計算は、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、標準的な方法を使用し、且つ各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して遂行される。従って、重み付け係数wn,0からwn,Q−1がアンテナ素子nの重み付け係数となる。矢印211は、入力波形sin(m・T)が第1の重み付け係数wn,0で乗算され、そして入力波形の各時間遅延されたコピーが、図2aの中間部205に示すように、入力波形の時間遅延されたコピーに含まれた時間ステップ遅延Tの数と同じ第2インデックスを有する重み付け係数で次々に乗算されることを示している。各乗算の結果は、矢印212で示すように、図2aの下部206へ移動されるように概略的に示され、そこで、各乗算結果は、出力波形207、sout(m・T)へと加算される。
【0033】
図6及び7を参照して述べるように、時間遅延の優勢な部分は、周波数従属ではなく、アンテナ素子ごとに、一連の重み付け係数wn,0からwn,Q−1の始めと終わりに、ほぼゼロに等しい多数の非常に小さな連続的な重み付け係数が生じる。一連の重み付け係数wn,0からwn,Q−1における最初のx重み付け係数及び最後のy重み付け係数がほぼゼロに等しいと仮定する。従って、ハードウェアの実現化においては、最初のx重み付け係数及び最後のy重み付け係数をゼロにセットし、最初のx時間遅延Tを、図2bに示すx・Tに等しい時間遅延D202へ統合すると共に、最後のy乗算を除外して、必要な演算の数をQ個未満の演算へと減少させるのが適当である。図2bは、他の点では、図2aに対応している。時間遅延D202は、各アンテナ素子に対する非周波数従属時間遅延に対応し、これは、図6aに示されている。残りの周波数従属時間遅延は、以後、「デルタ時間遅延」と称され、これは、図7に示されている。図2bは、主としてメインローブ方向の制御に使用される周波数独立の時間遅延D202が前にあって、「デルタ時間遅延」を計算するための計算効率の良いコンボリューションの一例である。
【0034】
周波数独立の時間遅延Dを実現する手段、並びに周波数従属の時間遅延及び各時間遅延Tに対する減衰/増幅のための手段は、第2制御要素200の一部分である。
【0035】
図2cは、垂直軸215における時間遅延τ及び減衰A(ω)の周波数従属性を、水平軸216におけるωの関数(即ち、2・π・f)として示す。重み付け関数は、各アンテナ素子n及び多数のω値、ω0、ω1、ω2、・・ωQ−1に対して、良く知られた方法、例えば、シェルクノフ(Schelkunoff)の方法を使用した各周波数における古典的な実現化を通して計算される。これは、各アンテナ素子nに対して多数の値Wn,0、Wn,1、Wn,2・・・を生じる。従って、ωの関数としての時間遅延は、曲線217を形成し、減衰/増幅は、曲線218を形成する。重み付け係数wn,0、wn,1、wn,2・・・は、各アンテナ素子nに対して、Wn,0、Wn,1、Wn,2・・・のIDFT又はIFFTとして計算される。
【0036】
従って、図2a及び2bは、時間ドメインにおける周波数従属時間遅延及び減衰/増幅の実現化を示し、図1a及び1bは、周波数ドメインにおける対応する実現化を示す。時間ドメインにおける実現化に伴う効果は、Q個の演算しか必要でないことであり、一方、周波数ドメインにおける実現化では、上述したように、Q・log2(Q)個の演算が要求される。
【0037】
送信モードに適用できる第4の制御要素は、各アンテナ素子/サブアレイに対し、且つqを0からQ−1の範囲とすれば、各スペクトルコンポーネントqに対して、意図された波形と、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム303との間の波形に影響を及ぼすための重み付け関数W(ω)とを使用して、波形を前もって計算することにより、実現することができる。その結果は、DDS(直接デジタル合成)ユニットにおいて、アナログ波形へ変換され、この波形は、各アンテナ素子/サブアレイへ供給される。波形を計算するための手段、及びDDSユニットは、第4の制御要素の一部分である。
【0038】
4つ全部の制御要素は、先に述べたように、ビデオレベル、中間周波(IF)レベル、又は直接的に高周波(RF)レベルで挿入することができる。制御要素を低い周波数で実現するのは容易であるが、制御要素とアンテナ素子/サブアレイとの間に必要な全てのハードウェアは、アンテナ素子/サブアレイの数で乗算する必要がある。この説明では、本発明は、RFレベルで実現されるものとして述べる。
【0039】
4つの制御要素は、入力波形を出力波形に変換する変換手段の一例である。変換手段は、全て、入力波形を受け取る入力端と、出力波形を発生する出力端との、2つの端を有している。
【0040】
図3は、本発明をどのように実施するかの一実施形態を概略的に示すブロック図である。図3aは、広帯域アレイアンテナ301が受信モードで機能する状態を示す。広帯域アレイアンテナは、帯域巾が瞬時動作帯域巾B以上であるアレイアンテナとして定義される。広帯域アレイアンテナのこの帯域巾は、広帯域アレイアンテナを使用する電子システムES303のシステム帯域巾と称される。瞬時帯域巾Bは、電子システムの瞬時動作帯域巾である。広帯域アレイアンテナは、任意であるが、1つ又は多数のサブアレイを含むことができ、各サブアレイは、2つ以上のアンテナ素子を含む。合計N個のアンテナ素子、又はアンテナ素子及びサブアレイE1−ENの組み合わせと、それに対応する数の変換手段Tr1−TrNとが存在する。各アンテナ素子又はサブアレイと、例えば、レーダーシステム又は通信システムである電子システムES303との間に、1つの変換手段が挿入される。Tr1は、E1と電子システムとの間に挿入され、Tr2は、E2と電子システムとの間に挿入され、等々となって、TrNは、ENと電子システムESとの間に挿入され、即ちTrnは、対応するアンテナ素子又はサブアレイEnと、電子システムESとの間に挿入される。広帯域アレイアンテナユニットは、広帯域アレイアンテナ及び変換ユニットとして定義される。図3a及び3bでは、E2は、3つのアンテナ素子eを含むサブアレイである。図3aの入力波形sin(t)又はsin(m・T)306は、各アンテナ素子又はサブアレイから放出され、そしてそれに対応する変換手段へ供給される。出力波形sout(t)又はsout(m・T)307は、電子システム303へ供給される。波形306及び307は、各アンテナ素子又はサブアレイに対して個々に存在する。
【0041】
図3bは、広帯域アレイアンテナ301が送信モードで機能するとき時の対応するブロック図である。図3aとの相違は、入力波形sin(t)又はsin(m・T)306が、今度は、電子システムの波形ジェネレータから放射されて変換手段Tr1−TrNへ供給され、そして出力波形sout(t)又はsout(m・T)307がアンテナ素子又はサブアレイE1−ENへ供給されることである。
【0042】
上述したように、変換手段は、各アンテナ素子又はサブアレイと電子システムESとの間に挿入される。変換手段は、その一端ではアンテナ素子又はサブアレイに直接的又は間接的に接続され、そして他端では電子システムに直接的又は間接的に接続される。一実施形態において、変換手段がビデオレベルで挿入されるときには、変換手段の一端を電子システムに直接的に接続することができ、そしてその他端を、ミクサのような電子ハードウェアを経てアンテナ素子又はサブアレイに間接的に接続することができる。別の実施形態において、変換手段がRFレベルで挿入されるときには、変換手段の一端をアンテナ素子又はサブアレイに直接的に接続することができ、そしてその他端を、電子システムに直接的に接続することができる。この実施形態では、必要なミクサハードウェアは、電子システムに含まれる。更に別の実施形態において、変換手段がIFレベルで挿入されるときには、変換手段の一端を、ミクサのような電子ハードウェアを経てアンテナ素子又はサブアレイに間接的に接続することができ、そしてその他端を、ミクサのような電子ハードウェアを経て電子システムに間接的に接続することができる。
【0043】
変換手段は、個別のユニットでもよいし、アンテナ素子又はサブアレイ或いは電子システムに一体化することもできる。
【0044】
変換手段は、広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムのアンテナパターンの拡張制御を達成するように構成できる。アンテナシステムは、電子システム303に接続され、少なくとも2つのアンテナ素子を含む。達成される拡張アンテナパターン制御は、1つ又は多数のメインローブの形状、方向及び巾、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御すると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成できるようにすることを含む。アンテナシステムは、少なくとも2つのアンテナ素子を伴うアレイアンテナで構成することもできるし、或いは少なくとも1つのアンテナ素子を各々含むメインアンテナ及び補助アンテナで構成することもできる。アンテナシステムのメインアンテナは、1つ又は多数のアンテナ素子を含む任意の形式のアンテナ、例えば、レーダーアンテナでよい。アンテナシステムの補助アンテナは、単一のアンテナ素子でもよいし、又はアンテナ素子のアレイでもよい。又、各アンテナ素子は、少なくとも2つのアンテナ素子を含むサブアレイでもよい。瞬時帯域巾Bを占有するアンテナパターンの拡張広帯域制御は、アンテナシステムのアンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)の少なくとも1つを除く全部と、電子システム(303)との間に変換手段100、200、150、Tr1−TrNを挿入するよう構成するか、或いはアンテナ素子/サブアレイ又は電子システムに変換手段を一体化することによって、達成される。これは、変換手段がアンテナシステムにおいて実施されるとき、アンテナ素子又はサブアレイからの全ての波形、又は1つを除く全ての波形を、変換手段に通さねばならないことを意味する。重み付け関数W(ω)=A(ω)・e−j・ω・τ(ω)又はW(ω)=A(ω)・e−j・φ(ω)は、qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについて計算されるように構成される。変換手段、100、200、150、Tr1−TrNは、離散的角周波数ωqにおいて重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用することにより、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)の少なくとも1つを除く全部と電子システム303との間の波形に影響を及ぼすように構成され、従って、瞬時帯域巾Bにわたりアンテナシステムのアンテナパターンの制御を達成する。波形は、連続的でもよいし又はパルス状でもよい。
【0045】
アンテナシステムが、1つのアンテナ素子又はサブアレイを伴うメインアンテナと、少なくとも1つのアンテナ素子を伴う補助アンテナとを備える状況においては、変換手段が補助アンテナのアンテナ素子のみに接続され、且つ変換手段からの出力波形が、変換手段を接続していないメインアンテナの波形に追加されれば、充分である。重要なことは、全ての波形、又は1つを除く全ての波形が変換手段を通して送信された場合に、少なくとも2つの波形が相互作用することである。1つの波形が変換手段によって影響されない場合には、この波形が基準として働き、他の波形に影響する変換手段のパラメータがこの基準に対して適応される。
【0046】
以下の説明において、本発明は、図1a及び1bを参照して述べたように、周波数ドメインにおいて実現されるものとして説明する。しかしながら、本発明は、図2a及び2bを参照して述べたように、時間ドメインにおいて実現することもできる。
【0047】
以下の説明において、高帯域アンテナパターン
は、正規アンテナパターン角度座標
の関数としての波形電力
の予想値として定義される。アンテナ素子/サブアレイnに対するアンテナ素子/サブアレイパターン
は、対応する仕方で定義される。式(3)において、アンテナパターンの正規化は、
を与えるように選択される。
【0048】
角度
は、図4に示すように定義される。X軸401、Y軸402及びZ軸403を伴うカルテシアン座標系では、空間内のポイント404に対する方向が角度θ405及び角度
により定義される。角度
は、原点408からポイント404への線407とZ軸との間の角度である。角度θは、線407のX−Y平面への垂直投影409とX軸との間の角度である。
【0049】
は、方向
にアンテナを形成する全ての素子/サブアレイからの波形振幅の和である。式(4)を参照されたい。
【0050】
以下の記号が使用される。
波形sがtの関数であるとすれば、方向
におけるアンテナ素子/サブアレイnの素子パターン、
波形sがtの関数であるとすれば、方向
におけるアンテナ素子/サブアレイmの素子パターン、
sn(t): 時間の関数としてのアンテナ素子/サブアレイ又は電子システムからの波形で、アンテナ素子又はサブアレイnのsin(t)に対応し、
sm(t): 時間の関数としてのアンテナ素子/サブアレイからの又は電子システムからの波形で、アンテナ素子又はサブアレイmのsin(t)に対応し、
R: 探査ポイントまでの距離、
c0: 光の速度、
τn: アンテナ素子/サブアレイnからの/への波形時間遅延、
τm: アンテナ素子/サブアレイmからの/への波形時間遅延、
θs: θ方向におけるアンテナスキャン角度、
方向におけるアンテナスキャン角度、
rn,m: アンテナ素子/サブアレイnからの/への波形と、アンテナ素子/サブアレイmからの/への波形と波形との間のクロス相関関数、
m: 1からNの範囲のアンテナ素子/サブアレイインデックス、
n: 1からNの範囲のアンテナ素子/サブアレイインデックス、
gm*: gmの複素共役、
sm*: smの複素共役。
【0051】
は、定数であり、アンテナパターンのピークを1に正規化する定数
を導入することに注意されたい。式(3)と式(4)とで、式(5)が与えられる。
【0052】
式(5)における二乗絶対値を拡張すると、式(6)が生じる。
【0053】
定常確率プロセスに関する基本的知識は、次のものを与える。
E[c・Y]=c・E[Y]
E[X+Y]=E[X]+E[Y]
cは、定数であり、X及びYは、2つの定常確率プロセスである。これら2つの基本的ルールの助けにより、式(6)は、式(7)へ変換することができる。
代入を導入する。
【0054】
であることに注意されたい。式(7)における予想値は、波形snと波形smとの間のクロス相関関数rn,mとして認識される。従って、式(7)は、式(8)のように書き直すことができる。
式(8)を使用して、広帯域アンテナパターンを記述することができる。広帯域アンテナパターンのこの定義は、波形snと波形smとの間のクロス相関関数rn,m、及びn=mの場合のその自己相関関数に基づく。反復性自己相関関数を伴う同一波形が使用されたときに格子ローブが生じる。波状の波形は、反復性自己相関関数を伴う波形の一例で、従って、回避されねばならない。
【0055】
瞬時広帯域波形は、各瞬間に、広い帯域巾を有する。これは、例えば、異なる狭周波数帯域へスイッチすることによって広い帯域巾をカバーすることのできるステップ型周波数波形と対照的である。狭帯域の瞬時帯域巾Bを有する瞬時狭帯域波形は、B・L<<c0として定義され、ここで、Lは、アンテナ、この場合は広帯域アレイアンテナの最長寸法であり、そしてc0は、光の速度である。この定義による瞬時狭帯域でない波形及び帯域巾は、瞬時広帯域の波形、又は瞬時広帯域の帯域巾であると考えられる。この説明では、瞬時広帯域の波形、又は瞬時広帯域の帯域巾のこの定義が使用される。従って、本発明の効果は、瞬時広帯域の波形で動作できることである。瞬時広帯域の波形は、広い帯域巾を占有する波形である。
【0056】
本発明の一部分である広帯域アレイアンテナ及びアンテナシステムは、瞬時広帯域波形で動作されねばならない「アレイ希薄化(array thin out)」特徴を含む実施形態を除き、瞬時狭帯域又は広帯域の帯域巾内の瞬時広帯域又は狭帯域の波形である任意の形式の波形で動作することができる。この「アレイ希薄化」実施形態は、以下で詳細に述べる。波形は、以下の個別の見出しのもとで説明するように、連続的又はパルス状でよい。
【0057】
アンテナアパーチャーをサブアレイで分割するときには、各サブアレイは、不等式B・Lsub<<c0を満足するに充分なほど小さくなければならず、ここで、Lsubは、サブアレイの最長寸法である。
【0058】
先に述べたように、本発明は、1つ又は多数のメインローブの形状、巾及び方向、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御することで瞬時帯域巾Bにわたってアンテナパターンの拡張制御を行えると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成できるようにすることにより、広帯域アレイアンテナユニット及びそれに対応する方法を提供する。以下、本発明は、広帯域打ち消し方向、並びにアンテナパターンにおけるメインローブの周波数独立位置及び巾をどのようにして得ることができるかを示す2つの実施例について説明する。アンテナパターンの拡張制御を与えるための手段は、離散的角周波数ωqにおいて重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用する変換手段を含む。広帯域アンテナパターンは、前記式(8)により定義することができるが、本発明の範囲内で他の定義も考えられる。
【0059】
広帯域打ち消し方向
広帯域打ち消し方向を含む広帯域アレイアンテナユニットに含まれる広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムのアンテナパターンの拡張制御を生成する方法を、一例として以下に説明する。
【0060】
この方法は、6.0GHzから18.0GHzの周波数範囲のホワイト帯域巾制限ノイズが供給される64個のアンテナ素子より成る2.0m長さのリニアアレイアンテナを備えた広帯域アレイアンテナについて説明する。1つのメインローブを30°までスキャンし、そして20°、40°及び50°に3つの帯域巾打ち消し方向を生成することが意図される。以下の呼称が使用される。
【0061】
仮定される値
L(L=2.0m) アンテナ長さ
N(N=64) アンテナ素子数
fc(fc=12GHz) 中心周波数Hz
fmin(fmin=6.0GHz) 最小周波数
fmax(fmax=18.0GHz) 最大周波数
θmax(θmax=[30.0°]) メインローブ方向
θmin(θmin=[20.0°,40.0°,50.0°]) 打ち消し方向
B(B=12GHz) 帯域巾Hz
τp(τp=1ns) パルス長さs
【0062】
変数
f 周波数Hz
n アンテナ素子数
【0063】
物理的定数
c0 光速≒2.997925・108m/s
【0064】
以下の参照文献に基づき且つ式(9)に基づいて(N−1)個の均一に分布されたゼロ点(z)を単位円上に配置することにより開始する。テーパリング、即ちゼロ点の均一な分布のこの簡単な選択の理由は、計算を簡素化するためである。テーパリングの選択は、結論に影響しない。というのは、テーパリングは、主としてサイドローブレベルに影響を及ぼすもので、広帯域打ち消し方向の位置には影響しないからである。
【0065】
シェルクノフの単位円が当業者に良く知られており、以下の書籍において更に検討することができる。
S.A.シェルクノフ、“A Mathematical Theory ofLinear Arrays”、Bell System Tech. J. 22 (1943)、80 107、
W.L.ウィークス、“Antenna Engineering”、マグローヒル・エレクトロニック・サイエンス・シリーズ、1968年、
ロバートS.エリオット、“Antenna Theory and design”、プレンティス・ホール・インク、1981年、
サムエルシルバー、“Microwave Antenna Theory andDesign”、マグローヒル・ブック・カンパニー・インク、1949年。
【0066】
式(10)及び式(11)に基づいて、単位円上のメインローブ及びゼロ点に対応する「角度」(Ψmax、Ψmin)を計算する。ゼロ点は、メインローブの各側に位置されている。
【0067】
「角度」(Ψmax、Ψmin)は、周波数従属であることに注意されたい。メインローブを正しい方向に操向するために、式(12)に基づいて全てのゼロ点(z)を新たな位置(zrot(f))へ回転する。
【0068】
これらの新たなゼロ点と、アンテナパターンに希望の打ち消し方向を生成するのに必要な点との間の距離(dn(f))は、式(13)で計算することができる。
【0069】
距離(dn(f))は、周波数従属であることを観察する。距離(dn(f))を最小にするセット[zrot n]内のゼロ点を、アンテナパターンにおいて要求される各周波数及び各打ち消し方向に対してej・Ψmin(f)に対応する位置へ移動する。それにより得られるゼロのセットは、全て周波数従属であるが、セット[zfinal n(f)]により表わされる。但し、nは、0からN−2までの値と仮定し、従って、全部でN−1個のゼロ点を形成する。ここで、式(14)に基づいてアレイファクタ(AF(θ、f))を、その積の形態の式とすることができる。
【0070】
各アンテナ素子の励起(En(f))に伴う方程式の系を形成して未知のものとして解くことにより、アレイの励起が計算される。ここで、アレイファクタ(AF(θ、f))は、式(15)に基づいてその和の形態の式にすることができる。
【0071】
アレイファクタは、各アンテナ素子が等方性放射器であると仮定してアンテナアレイ構造体の利得を示すものである。素子の励起(En(f))は、各アンテナ素子nの周波数に対する振幅及び位相の両従属性を示す。位相は、その後、周波数従属の時間遅延τn,q=φn,q/2・π・fqへ変換することができる。変換に生じるあいまいさは、各周波数に対し各素子のメインローブ方向を与える時間遅延に対応する時間遅延に最も近い時間遅延を選択することにより解決される。図5(電力)及び図6(時間遅延)は、その結果を示す。
【0072】
図5は、送信モードにあるアレイアンテナに対してスペクトルコンポーネントq及びアンテナ素子nの関数として電力|An(ωq) |2を三次元的に示している。電力は、垂直軸501にdBで示され、0dBは、減衰なしに対応する。軸502は、6−18GHzの周波数を示し、そして軸503は、アンテナ素子番号を示す。この実施例では、64個のアンテナ素子が使用される。エリア504は、高い電力を表し、エリア505は、中間の高い電力を表し、エリア506は、中間の低い電力を表し、そしてエリア507は、低い電力を表す。この実施例における電力変化は比較的小さく、約2dB以内である。
【0073】
図6aは、アレイアンテナにおける周波数及びアンテナ素子の関数として周波数従属の時間遅延を三次元的に示している。時間遅延は、垂直軸601に秒で示されている。軸602は、6-18GHzの周波数を示し、そして軸603は、アンテナ素子番号を示す。この実施例では、メインローブの方向が30°に設計されている。これは、端部アンテナ素子605及び606を伴うアレイアンテナ604を示す図6bに示されている。従って、入射平面の波頭609は、波が距離608を進行してアンテナ素子605に到達するために要する時間に対応する時間遅延をアンテナ素子606に有していなければならない。アンテナアレイの長さが2mで且つメインローブの方向が30°の状態では、距離608が1mとなり、光がこの距離を進行するための時間が約3.3nsである。従って、素子606における時間遅延は、3.3nsでなければならず、そしてアンテナ素子605の時間遅延は、各素子の波形が同相であるためにはゼロでなければならない。次いで、時間遅延は、図6aに示すように、アレイアンテナに沿って0から3.3nsの間に直線的に変化する。時間遅延は、周波数と共に一定であると思われるが、図7に示すように、周波数の関数としてある程度の小さな時間遅延変化がある。
【0074】
図5及び図6において明らかなように、メインローブ方向を与える時間遅延に対応する時間遅延に対する時間遅延及び電力の両方の偏差は僅かなものである。図6a及び6bにおいて、約3.3nsの最大時間遅延がメインローブの方向30°を与える。図6aから、アンテナ素子番号及び周波数の関数としての時間遅延は、フラットな平面を表すかのように思われる。しかしながら、時間遅延目盛が1000のファクタで拡張された図7に示すフラットな平面から時間遅延に僅かな偏差がある。しかし、図7に示すメインローブ方向を与える時間遅延からのこれらの僅かな偏差は、「デルタ時間遅延」と称されるが、希望の打ち消し方向を生成するために重要なものである。これらの「デルタ時間遅延」は、ここに述べるように、重み付け関数W(ω)を考慮している。この実施例では、電力及び時間遅延の両方を各素子の周波数の関数として制御することができる。帯域巾が8個のスペクトルコンポーネントで分割されるハードウェア実現化が、図1に示されている。時間ドメインでの別の実現化が図2a及び2bに示されている。
【0075】
図7は、周波数及びアンテナ素子の関数として「デルタ時間遅延」を三次元的に示している。この「デルタ時間遅延」は、垂直軸701に秒で示されている。軸702は、6-18GHzの周波数を示し、そして軸703は、アンテナ素子番号を示す。明らかなように、時間遅延の変化は、周波数の上昇と共に減少する。エリア704は、高い「デルタ時間遅延」を表し、エリア705は、中間の高い「デルタ時間遅延」を表し、エリア706は、中間の低い「デルタ時間遅延」を表し、そしてエリア707は、低い「デルタ時間遅延」を表す。
【0076】
ここで、式(8)における前記定義に基づいてアレイファクタを計算することができる。その結果が図8に示され、ここでは、水平軸801に方向θが示され、垂直軸802に放射電力/感度が示されている。明らかなように、メインローブは、30°であり、打ち消し方向は、予想されるように、20°、40°及び50°である。図8-12及び15-16に示されるアレイファクタは、全方向素子パターンを仮定すれば、前記アンテナパターンの定義に基づくアンテナパターンと同一である。従って、垂直軸は、送信モードでの放射電力及び受信モードでの感度を方向の関数として示す。
【0077】
ほとんどのハードウェア実現化においては、(En(f))の振幅も、(En(f))の位相も、周波数の関数として連続的に変化することはできない。瞬時帯域巾Bは、通常、Q個のスペクトルコンポーネントにおいて分割されねばならない。実際に、周波数分割は、図1を参照して述べたように、FFTの助けで行うことができる。個別の減衰/増幅αn,q(q=スペクトルコンポーネント番号及びn=アンテナ素子番号)、及び個別の時間遅延τn,q、或いは個別の位相シフトφn,qは、各スペクトルコンポーネントの中心周波数において、振幅及び時間遅延、或いは位相シフトとして選択される。これは、αn,q=|En(f)|、及びτn,q=arctan{Im[En(fq)]/Re[En(fq)]}/(2・π・fq)、或いはφn,q=arctan{Im[En(fq)]/Re[En(fq)]}として書くことができ、但し、fqは、各スペクトルコンポーネントq(q∈0・・(Q−1))の中心周波数を表す。Imは、式の虚数部分を表し、Reは、実数部分を表す。アレイファクタは、ここで、各スペクトルコンポーネントにおける中心周波数に基づき(式(16)を参照)、又は隣接スペクトルコンポーネントを接合する周波数に基づき(式(17)を参照)、平均値として計算することができる。
【0078】
正しいアレイファクタは、AFcentreとAFjointとの間になければならない。AFjointは、打ち消し方向及びメインローブの両方に対して2つのアレイファクタの低い方の性能を与えるものと仮定する。
【0079】
図9−12では、FFT計算において異なる数のスペクトルコンポーネントに対し打ち消し方向及びメインローブの周りの拡張された角度目盛でAFjointがプロットされる。従って、これらのグラフは、広帯域打ち消し方向を生成する方法を説明するときに広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムの一例として使用されるアレイアンテナに対して各ケースの性能下限を示す。
【0080】
図9は、水平軸901に角度θを示すと共に、垂直軸902に放射電力を示す。FFTの長さを増加するために20°の打ち消し方向がより鮮明になる。曲線904は、32点のFFTでの放射電力/感度を示し、そして曲線903は、1024点でのものを示す。
【0081】
図10は、水平軸1001に角度θを示すと共に、垂直軸1002に放射電力/感度を示す。FFT長さを増加するために30°の最大放射/感度方向がより鮮明になる。曲線1004は、32点FFTでの放射電力/感度を示し、そして曲線1003は、1024点でのものを示す。
【0082】
図11は、水平軸1101に角度θを示すと共に、垂直軸1102に放射電力/感度を示す。FFT長さを増加するために40°の打ち消し方向がより鮮明になる。曲線1104は、32点FFTでの放射電力/感度を示し、そして曲線1103は、1024点でのものを示す。
【0083】
図12は、水平軸1201に角度θを示すと共に、垂直軸1202に放射電力/感度を示す。FFT長さを増加するために50°の打ち消し方向がより鮮明になる。曲線1204は、32点FFTでの放射電力/感度を示し、そして曲線1203は、1024点でのものを示す。
【0084】
周波数独立位置及びメインローブの巾
広帯域アレイアンテナユニット又はアンテナシステムに含まれる広帯域アレイアンテナのアンテナパターンの拡張制御の可能性は、周波数独立位置及び1つのメインローブの固定巾を得るために本発明をどのように使用できるかを示す更に別の実施例について以下に説明する。
【0085】
前記広帯域打ち消し方向を生成する方法を説明するときに広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムの一例として使用された2m長さのアレイアンテナを伴う同じ条件を仮定する。このケースでは、メインローブの各側にあってメインローブの巾を制御する広帯域打ち消し方向を除いて、広帯域打ち消し方向を生成しなくてもよい。実施例を簡単化し、メインローブの各側の打ち消し方向のみに周波数独立性を導入する。例えば、3dBローブ巾の周波数独立性を導入することは非常に厳しい問題である。この簡単化は、メインローブが主として最も接近した最小値に基づくものであるから、結論に影響を及ぼすことはない。メインローブ巾内の使用波形の周波数フィルタリングを最小にして、そのメインローブ巾内の受信/送信波形を歪ませないために、周波数独立で且つ固定のメインローブ巾が望まれる。全ての残りのゼロ点が単位円上に均一に分布されているときにfminにおける対応するゼロ点に一致する第1のゼロ点をメインローブの各側で選択する。式(9)に関連して上述した参考文献を参照されたい。
【0086】
メインローブの中心から第1のゼロ点(θ0)への角度を計算することにより開始する。前記条件では、この角度は、式(18)に基づいて計算することができる。
【0087】
単位円上のメインローブの左側Ψ0lの第1ゼロ点及び右側Ψ0rの第1ゼロ点に対応する「角度」(Ψ0l、Ψ0r)を各々式(19)及び式(20)の助けで計算することにより続ける。
【0088】
全ての残りのゼロ点zn(f)を、式(21)に基づき、Ψ0lとΨ0rとの間で単位円上に角度的に均一に分散させる。均一に分布されたゼロ点のこの簡単な選択は、結論に影響を及ぼすことなく、計算の続行を簡単にする。
【0089】
式(10)に基づいてΨmax(f)を計算し、式(22)に基づいて全てのゼロ点を回転する。
【0090】
アレイファクタ(AF(θ、f))は、ここで、式(14)と同様に積の形態で書き表すことができる。各アンテナ素子の励起En(f)で方程式の系を形成して未知のものとして解くことにより、アレイ励起を計算することができる。その後に、アレイファクタ(AF(θ、f))を、式(15)に基づいてその加算形態の式に形成することができる。
【0091】
素子の励起En(f)は、上述したように各アンテナ素子の周波数に対する振幅及び位相の従属性の両方を表す。変換に生じるあいまいさは、各周波数に対し各アンテナ素子のメインローブ方向を与える時間遅延に対応する時間遅延に最も近い時間遅延を選択することにより解決される。その結果が図13(電力)及び図14(時間遅延)に示されている。これらのグラフは、打ち消し方向を計算するときの状態と矛盾する著しい電力変化と、図6aに示したメインローブ方向を与える時間遅延に対応する時間遅延から僅かに外れるだけである図14の時間遅延とを明らかにしている。このことは、広帯域打ち消し方向及びメインローブの周波数独立巾の両方を制御しなければならないときに、2つの周波数従属パラメータ、即ち減衰/増幅及び時間遅延又は位相シフトを、各アンテナ素子の周波数の関数として調整できねばならないという結論を導く。広い周波数帯域にわたりメインローブの巾の制御しか要求されないときには、減衰/増幅を使用し、即ち1つの周波数従属パラメータのみを周波数独立の時間遅延に関連して使用して、メインローブ方向を制御するだけで充分である。しかしながら、広帯域打ち消し方向及び/又はメインローブの周波数独立方向しか要求されない場合には、時間遅延を使用し、即ち1つの周波数従属のパラメータのみを使用するだけで充分である。8個のスペクトルコンポーネントを伴う実現化の実施例が図1に示されている。
【0092】
図13は、1つのメインローブの周波数独立の位置及び固定巾をどのように得るか説明するときに広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムの一例として使用されるアレイアンテナのアンテナ素子及び周波数の関数として放射電力/感度を三次元的に示している。放射電力/感度は、垂直軸1301にdBで示されている。軸1302は、6−18GHzの周波数を示し、又、軸1303は、アンテナ素子番号を示す。エリア1304は、高い電力を示し、エリア1305は、中間の高い電力を示し、エリア1306は、中間の低い電力を示し、そしてエリア1307は、低い電力を示す。図13に示すように、メインローブの各側の第1ゼロ点に対して前記のように角度を選択すると、fminにおいて「方形」のアパーチャー分布が生じる。周波数を上昇するためには、アパーチャーの益々小さな部分が使用され、縁素子に対してfmaxにおいて非常に低い電力/感度レベルを招く。図示されたように、電力/感度変化は、実質的に0から78dBである。
【0093】
図14は、1つのメインローブの周波数独立の位置及び固定巾をどのように得るか説明するときに広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムの一例として使用されるアレイアンテナのアンテナ素子及び周波数の関数として周波数従属の時間遅延を三次元的に示している。時間遅延は、垂直軸1401に秒で示されている。軸1402は、6−18GHzの周波数を示し、又、軸1403は、アンテナ素子番号を示す。
【0094】
ここで、1つのメインローブの周波数独立の位置及び固定巾をどのように得るか説明するときに広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムの一例として使用されるアレイアンテナに対して式(8)に基づいてアレイファクタを計算することができる。その結果が図15に示され、その水平軸1501には方向θが示され、そしてその垂直軸1502には放射電力/感度が示されている。メインローブは、30°であることが明らかである。
【0095】
上述したように、打ち消し方向の生成に関連してアレイファクタを計算するときには、振幅|En(fq)|も、時間遅延arctan{Im[En(fq)]/Re[En(fq)]}/(2・π・fq)、或いは位相シフトarctan{Im[En(fq)]/Re[En(fq)]}も、実際のハードウェア実現化において周波数の関数として連続的に変化することができない。それ故、当該帯域巾は、広帯域打ち消し方向を生成することに関連してアレイファクタを計算するときに説明したのと同様に、スペクトルコンポーネントで分割されねばならない。AFcentre及びAFjointは、その後、各々、式(16)及び(17)に基づいて計算することができる。又、上述した広帯域打ち消し方向の計算と同様に、AFjointに対して低い性能が予想される。図16は、1つのメインローブの周波数独立の位置及び固定巾をどのように得るか説明するときに広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムの一例として使用されるアレイアンテナに対し、FFT計算における異なる数のスペクトルコンポーネントについてメインローブの周りの拡張された角度目盛でAFjointを示している。図16は、水平軸1601に角度θを示し、又、垂直軸1602に放射電力/感度を示す。FFT長さを増加するために30°の最大放射/感度方向がより鮮明になる。曲線1604は、32点FFTでの放射電力/感度を示し、そして曲線1603は、1024点でのものを示す。
【0096】
上述した実施例「広帯域打ち消し方向」及び「メインローブの周波数独立の位置及び巾」からの結論は、次の通りである。
・周波数独立のメインローブ巾を生成することができる。
・周波数従属の「真の時間遅延」又は位相シフトは、周波数独立のメインローブを広帯域打ち消し方向と結合できるようにすることが望ましい。
・周波数従属の減衰は、周波数帯域巾Bにわたり固定のメインローブ巾を得るのが効果的である。
・各アンテナ素子に対して比較的大きなFFTが要求される。6GHzから18GHzの非常に広い周波数範囲で動作する前記実施形態でメインローブの形状を適度に固定状態に維持するためには、128点の最小FFT長さが要求される。しかしながら、この実施例より狭い帯域巾を有する多くの用途では、より短い、又は相当に短いFFT長さで充分である。
【0097】
パルス状の波形
上述した実施例は、連続的波形に基づくものであった。しかしながら、本発明は、以下の実施形態により説明するパルス状の波形にも使用することができる。打ち消し方向を生成する方法を説明する広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムの一例として2m長さのアレイアンテナをもつ前記実施例と同じ条件を仮定し、そしてその実施例で計算された重み付け係数を使用する。
【0098】
帯域巾制限パルスのフーリエ変換Uin(ω)は、式(23)に基づいて書き表すことができる。
但し、ωc=スペクトルドメインにおいてピーク振幅をもつ角周波数に等しい帯域制限パルスのキャリアの角周波数。
【0099】
各アンテナ素子への波形(Uelm(ω、n))のフーリエ変換は、式(24)により与えられる。
【0100】
最終的に、得られる波形のフーリエ変換は、式(25)に基づいて書き表すことができる。
【0101】
式(26)に基づく逆変換は、時間(t)及び方位角(θ)の関数としての波形を与える。
【0102】
本発明がパルスにも適用できることを示すための実施例として、巾τp=1nsをもつ帯域巾制限パルス(6GHz−18GHz)が選択される。時間の関数としての包絡線が図17に示されている。図17は、垂直軸1701にパルス電力を示し、水平軸1702にパルス巾nsを示す。
【0103】
フーリエ変換は、式(23)の助けで計算することができる。得られる波形のフーリエ変換を角度及び周波数の関数として計算するために、N=64で式(25)を使用する。式(26)に基づく逆フーリエ変換は、波形を角度及び時間の関数として計算するのに使用される。その結果が図18に示されている。可逆定理によれば、その結果は、テスト波形がアンテナポートに接続され、それにより生じる放射波形が全ての角度に対して時間の関数として測定されるかのように解釈することもできるし、或いは得られる波形が全ての角度から送信され、選択されたテスト波形がアンテナポートで受信されて、時間の関数として測定されるかのように解釈することもできる。この解釈とは独立して、図18から、3つの打ち消し方向が20°、40°及び50°に常時存在することが明らかであろう。
【0104】
図18は、送信モードで得られる波形を、多数の角度に対し、水平軸1801では時間の関数として、そして垂直軸1802では電力の関数として示す。曲線1803は、30°での放射電力を示し、曲線1804は、40°での放射電力を示し、曲線1805は、50°での放射電力を示し、そして曲線1806は、20°での放射電力を示す。曲線1807は、60°での放射電力を示し、この場合、メインローブも打ち消し方向も生成されない。
【0105】
パルス状の波形が使用されたときの実施例から、次の結論を得ることができる。
・パルス状の波形に対して広帯域打ち消し方向を生成することができる。
・周波数従属の「真の時間遅延」が効果的である。
・周波数従属の減衰が効果的である。
【0106】
フローチャート
本発明をデジタルで実現化する方法を、ステップ1901−1910を含む図19に示すフローチャートにおいて説明する。中心周波数fc及び瞬時帯域巾Bのような波形データが1901において指定される。ステップ1902では、スペクトルコンポーネントの数を表す連続整数qが0にセットされる。ステップ1903では、qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的方法を使用して、瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについて重み付け関数W(ω)=A(ω)・e−j・ω・τ(ω)又はW(ω)=A(ω)・e−j・φ(ω)が計算される。各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqは、等距離スペクトルコンポーネント分割の場合は、次のように計算される。
重み付け関数の計算に使用される標準的な方法は、シェルクノフの方法のような古典的なアンテナ合成方法である。設計要求は、例えば、次のものを含むことができる。
・1つ又は多数のメインローブの形状
・1つ又は多数のメインローブの方向
・1つ又は多数のメインローブの巾
・異なる方向におけるサイドローブレベル
・打ち消し方向
【0107】
前記説明において、本発明は、1つのメインローブの広帯域方向と組み合わせて広帯域打ち消し方向をどのように得るか、及びこのメインローブの巾及び方向を瞬時帯域巾Bにわたってどのように一定に保持できるかについて例示された。シェルクノフの方法のようなアンテナ合成方法を適用するときには、設計要求の他の組合せを使用することができ、例えば、広帯域打ち消し方向を、瞬時帯域巾Bの全体又は一部分にわたる1つ又は多数のメインローブの固定巾及び方向と組み合わせて使用することができる。
【0108】
ステップ1903が遂行された後に、整数qの値がステップ1905においてチェックされ、それがQ−1より低い場合には、ステップ1906において1だけ増加され、そしてステップ1903の計算が次のスペクトルコンポーネントに対して遂行される。1905でのチェックがq=Q−1であるときには、全てのスペクトルコンポーネントが計算され、実現化方法の選択が1907において行われる。
【0109】
周波数ドメインでの実現化1908が行われる場合には、図1aを参照して述べたように、アンテナ素子/サブアレイn及び周波数fqに対してW(ω)が使用される。
【0110】
時間ドメインでの実現化1909が行われる場合には、図2a及び2bを参照して述べたように、スペクトルコンポーネントqごとに、アンテナ素子/サブアレイnに対して重み付け係数wn,qが使用される。このwn,qは、W(ω)の逆フーリエ変換として計算される。式(2)を参照されたい。
【0111】
DDSでの実現化1910が行われる場合は、それにより得られる波形が、各アンテナ素子及びサブアレイに対して前もってデジタルで計算され、その結果が、各アンテナ素子及びサブアレイに対してDDSへ供給される。計算は、時間ドメイン又は周波数ドメインのいずれかで行うことができる。式(2)を参照されたい。
【0112】
重み付け関数W(ω)=A(ω)・e−j・ω・τ(ω)又はW(ω)=A(ω)・e−j・φ(ω)からのパラメータの計算は、任意の便利な位置、例えば、アレイアンテナに一体化された計算ユニット、変換手段、電子システム又は個別の計算ユニットで行われ、次いで、変換手段へ転送することができる。
【0113】
アレイ希薄化
又、本発明は、広帯域アレイアンテナの場合に、瞬時広帯域動作に要求されるアンテナ素子の数を減少できるという付加的な効果も有する。本発明のこの「アレイ希薄化(array thin out)」特徴について以下に説明する。瞬時帯域巾Bを有する瞬時広帯域波形で動作するアンテナにおける素子分離は、例えば、レーダーシステムのシステム帯域巾内の最大周波数に対応する波長をλとすれば、格子ローブが現れることなく、λ/2より上に増加することができる。システム帯域巾は、瞬時帯域巾B以上である。これは、半波長の素子分離を使用する従来のアレイアンテナ設計に比して、必要なアンテナ素子の数を減少させる。
【0114】
広帯域アレイアンテナのアンテナ素子減少特徴又は「アレイ希薄化」特徴は、直線アレイについてと、円形アレイについての、2つの実施例で説明する。
【0115】
次の実施例では、式(27)に基づく簡単なアンテナ素子図及び全アンテナ素子における同一の波形を仮定する。
【0116】
一次元の直線アレイの場合には、素子nからの/への波形の時間遅延を、式(28)に基づいて計算することができる。
L=アンテナ長さ
N=アンテナ素子の数
【0117】
ホワイト帯域巾制限ガウスノイズを伴う実施例が、送信モードにおいて、式(8)に基づいて計算されて、図20に示されている。図20は、垂直軸2001における放射電力を、水平軸2002における角度θの関数として示している。曲線2003は、64個の素子を伴うケースを視覚化するもので、最大周波数における第1の格子ローブの角度は、矢印2010でマークされた角度±31.6°において明確に見ることができる。曲線2004は、32個の素子を伴うケースを視覚化するもので、最大周波数における2つの第1格子ローブの角度は、各々、矢印2011でマークされた角度±15.0°及び矢印2012でマークされた±31.1°において明確に見ることができる。これら狭帯域格子ローブの角度は、当業者に良く知られた従来の方法により計算される。曲線2005は、16個の素子を伴うケースを視覚化するもので、多数の格子ローブ角度を明確に見ることができる。素子が4個又は4個未満である場合、曲線2006及び2007は、その結果を示す。素子が128以上ある場合、曲線2008を参照、ボアサイトメインローブを伴うケースでは格子ローブ角度が見えない。ボアサイトメインローブは、アンテナアパーチャーの表面に対して垂直な方向を有する。
【0118】
円形アレイの場合には、素子nからの/への波形の時間遅延は、式(29)に基づいて計算することができる。
D=アンテナ直径
N=アンテナ素子の数
【0119】
ホワイト帯域巾制限ガウスノイズを伴う実施例が、送信モードにおいて、式(8)に基づいて計算されて、図21に示されている。図21は、垂直軸2101における放射電力を、水平軸2102における角度θの関数として示している。曲線2103は、4個のアンテナ素子を含み、曲線2104は、16個のアンテナ素子を含み、曲線2105は、64個のアンテナ素子を含み、曲線2106は、128個のアンテナ素子を含み、曲線2107は、256個のアンテナ素子を含み、そして曲線2108は、2048個のアンテナ素子を含む。
【0120】
図20及び21では、格子ローブが生成されない。というのは、それらは、使用するスペクトルの異なる部分に対して異なる角度で位置されるからである。等しい電力分布を伴う固定周波数又は狭帯域アンテナに対するサイドローブレベルは、当業者に良く知られたように、−13dBである。上述した広帯域アレイアンテナに対する同じレベルは、図20において明らかなように、直線アレイに対する約32個の素子に対応する。これは、アンテナ素子間の分離が約65mmであることを意味する。アレイアンテナの電子制御を達成するために、アンテナ素子は、通常、この実施例では瞬時帯域巾Bに等しいシステム帯域巾内の最大周波数の半波長だけ分離される。最大周波数が18GHzのこの実施例では、これは、8.3mmの分離を意味する。従って、アンテナ素子の数は、240となる。この「アレイ希薄化」特徴は、広帯域アレイアンテナが瞬時広帯域波形で動作されたときだけ有効である。
【0121】
従って、システム帯域巾にわたって動作し、少なくとも2つのアンテナ素子(E1−EN)を備えた従来技術による広帯域アレイアンテナ301は、電子システム303に接続されたときに広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御するように構成することができる。このアンテナパターンの制御は、アンテナ素子ごとに個々のものであるパラメータでアレイアンテナと電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成されるように構成される。これらパラメータは、一実施形態では、次の通りである。
・非周波数従属の減衰及び/又は位相シフト
・非周波数従属の減衰及び/又は時間遅延
【0122】
別の実施形態では、これらパラメータは、次の通りである。
・周波数従属の減衰及び/又は位相シフト
・周波数従属の減衰及び/又は時間遅延
【0123】
本発明のこの「アレイ希薄化」実施形態によれば、瞬時帯域巾Bを瞬時に占有する広帯域アレイアンテナは、その広帯域アレイアンテナが瞬時広帯域波形で動作するように構成されたときにそのアレイアンテナのアンテナ素子間の分離をシステム帯域巾内の最大周波数の半波長より上に増加することによって達成され、従って、アンテナパターンに格子ローブが現れることなく、従来のアレイアンテナ設計に比して、必要なアンテナ素子(E1−EN)の数を実質的に減少する。
【0124】
「アレイ希薄化」実施形態を除く本発明の全ての実施形態において、瞬時帯域巾Bは、広いものでも狭いものでもよい。「アレイ希薄化」実施形態は、広い瞬時帯域巾を要求する。
【0125】
瞬時広帯域波形で動作するように構成された広帯域アレイアンテナでは、アレイアンテナのアンテナ素子間の分離は、上述したように、この実施例では瞬時帯域巾Bに等しいシステム帯域巾内の最大周波数の半波長より上に増加することができる。ここに述べる実施例では、固定周波数又は狭帯域アンテナ解決策に比して、アンテナ素子の13%しか要求されない。二次元又は三次元広帯域アレイアンテナでは、アンテナ素子の必要数を更に大きく減少することができる。従って、瞬時帯域巾Bを瞬時に占有する広帯域アレイアンテナは、高い瞬時帯域巾の波形で動作するときに広帯域アレイアンテナのアンテナ素子数を著しく減少した状態で得ることができる。これは、広帯域アレイアンテナのコストを減少するという明確な効果を有する。電子システムへの広帯域アレイアンテナの接続は、直接的に行うこともできるし、或いは変換手段又は他の電子コンポーネントを経て間接的に行うこともできる。
【0126】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で自由に変更することができる。その一例は、図1aに示す実施形態の変形例である。
【0127】
図1aに示す実施形態において、変換ユニットは、各アンテナ素子と電子システムとの間に挿入される。本発明の範囲内でのこの解決策の変形例は、全てのアンテナ素子/サブアレイに対して共通のIFTユニットが使用され、即ち各アンテナ素子/サブアレイからの波形は、各アンテナ素子/サブアレイの離散的FTユニットで処理されるが、各アンテナ素子/サブアレイからのスペクトルコンポーネントqの和は、適当な時間遅延又は位相シフト及び/又は減衰/増幅の後に、共通のIFTユニットで処理されるというものである。
【符号の説明】
【0128】
100・・・第1制御要素、101・・・入力波形、102・・・フーリエ変換(FT)ユニット、110−117・・・スペクトルコンポーネント、120−127・・・時間遅延、130−137・・・減衰/増幅、200・・・第2制御ユニット、201・・・入力波形、202・・・時間遅延、203・・・時間ステップ、215・・・垂直軸、216・・・水平軸、217、218・・・曲線、301・・・広帯域アレイアンテナ、303・・・電子システム、306・・・入力波形、307・・・出力波形、601・・・垂直軸、602、603・・・軸、604・・・アレイアンテナ、605、606・・・端部アンテナ素子、607・・・メインローブ方向、608…距離
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域アレイアンテナの分野に係る。
【背景技術】
【0002】
1つ又は多数のメインローブの方向及び形状、異なる方向におけるサイドローブレベル及びアレイアンテナの打ち消し方向を制御することがしばしば望まれる。これは、メインローブ、サイドローブレベルの狭帯域制御を許すと共に、アレイアンテナのアンテナパターンにおける多数の狭帯域打ち消し方向の位置も制御する位相シフターで行うことができる。打ち消し方向とは、アンテナ図において放射又は受信電力が最小となる方向である。今日では、真の時間遅延解決策も利用されている。これらの解決策では、各アンテナ素子が全ての周波数に対して固定の時間遅延を有する。この固定時間遅延は、異なるアンテナ素子で異なるものである。これらの解決策は、広帯域メインローブを制御できるようにするが、アンテナパターンにおいて狭帯域打ち消し方向を生成することしかできない。広い周波数範囲にわたって打ち消し方向を生成するためには、望ましい広帯域打ち消し方向の周りに多数の狭帯域打ち消し方向を指定しなければならない。これは、サイドローブのレベルが増加するという望ましからぬ副作用を招く。レーダーアンテナのような多くの用途では、サイドローブを低いレベルに保持しながら広帯域ローブ形成を達成することが望まれる。
【0003】
従って、従来の解決策では、少なくとも2つのアンテナ素子で構成されて電子システムに接続されたアレイアンテナのアンテナパターンを制御する方法が今日存在する。アンテナパターンの制御は、アンテナパターンにおける1つ又は多数のメインローブの方向及び/又は打ち消し方向を制御することを含む。この制御は、アンテナ素子ごとに位相シフト又は時間遅延を個々に行うようにしてアンテナ素子と電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成される。電子システムは、レーダー又は通信システムである。アレイアンテナと電子システムとの間の接続は、直接的に行うこともできるし、例えば、位相シフターを経て間接的に行うこともできる。しかしながら、アンテナパターンの制御は、メインローブ、サイドローブレベルの狭帯域制御しか行えないと共に、アンテナパターンにおいて狭帯域打ち消し方向しか生成できないという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、1つ又は多数のメインローブの形状、方向及び巾、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御することで広い帯域巾にわたりアンテナパターンを制御できるようにすると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成できるようにすることにより、広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムのアンテナパターンを制御するための改良された解決策が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、従来の解決策に伴う上述した不備を除去すると共に、前記問題を解決して、広い帯域巾にわたり広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムのアンテナパターンを制御する改良された解決策を達成するために、
・広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御する方法、
・広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御するように構成された広帯域アレイアンテナユニット、
・アンテナシステムのアンテナパターンを制御するように構成された変換手段、
・広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御するように構成された広帯域アレイアンテナ、
を提供することである。アンテナパターンの制御は、1つ又は多数のメインローブの形状、方向及び巾、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御すると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成できるようにすることを含む。
【0006】
この目的は、少なくとも2つのアンテナ素子を備え、電子システムに接続された広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御する方法を提供することにより達成される。アンテナパターンの制御は、1つ又は多数のメインローブの方向及び/又はアンテナパターンにおける打ち消し方向の制御を含む。この制御は、アンテナ素子ごとに位相シフト又は時間遅延を個々に行ってアンテナ素子と電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことによって達成され、更に、広帯域アレイアンテナ及び変換手段を備えていて、広帯域アレイアンテナがシステム帯域巾にわたって動作し且つ瞬時帯域巾Bで動作する広帯域アレイアンテナユニットが、次のようにして得られ、即ち、
・変換手段は、広帯域アレイアンテナの各アンテナ素子、又は少なくとも2つのアンテナ素子を含むサブアレイと、電子システム(303)との間に挿入されるか、或いは変換手段は、アンテナ素子/サブアレイ又は電子システムに一体化され、
・qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的方法を使用して、瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)が計算され、
・変換手段は、離散的角周波数ωqにおいて重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用することにより、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の連続的又はパルス状の波形に影響を及ぼし、
以上から、瞬時帯域巾Bにわたり広帯域アレイアンテナのアンテナパターンの拡張制御を達成することで得られる。
【0007】
前記目的は、更に、少なくとも2つのアンテナ素子を備え、電子システムに接続された広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御するように構成された広帯域アレイアンテナユニットを提供することによって達成される。アンテナパターンの制御は、1つ又は多数のメインローブの方向及び/又はアンテナパターンにおける打ち消し方向の制御を含む。このアンテナパターンの制御は、アンテナ素子ごとに位相シフト又は時間遅延を個々に行ってアンテナ素子と電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成されるように構成され、更に、広帯域アレイアンテナ及び変換手段を備えていて、広帯域アレイアンテナがシステム帯域巾にわたって動作し且つ瞬時帯域巾Bで動作するように構成された広帯域アレイアンテナユニットは、次のようにして得られ、即ち
・変換手段は、広帯域アレイアンテナの各アンテナ素子、又は少なくとも2つのアンテナ素子を含むサブアレイと、電子システムとの間に挿入されるように構成されるか、或いは変換手段は、アンテナ素子/サブアレイ又は電子システムに一体化され、
・qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)を計算するように構成され、そして
・変換手段は、離散的角周波数ωqにおける重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用することにより、各アンテナ素子又はサブアレイと電子システム(303)との間の連続的又はパルス状の波形に影響を及ぼすように構成され、
以上から、瞬時帯域巾Bにわたり広帯域アレイアンテナのアンテナパターンの拡張制御を達成することで得られる。
【0008】
前記目的は、更に、電子システムに接続されたアンテナシステムのアンテナパターンを制御するように構成された変換手段であって、アンテナシステムは、少なくとも2つのアンテナ素子を含み、アンテナパターンの制御は、1つ又は多数のメインローブの方向及び/又はアンテナパターンにおける打ち消し方向の制御を含み、この制御は、アンテナ素子ごとに位相シフト又は時間遅延を個々に行うようにしてアンテナ素子と電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成されるように構成され、瞬時帯域巾Bを占有するように構成されたアンテナパターンの拡張制御が、次のことで得られ、即ち、
・変換手段は、アンテナシステムのアンテナ素子、又は少なくとも2つのアンテナ素子を含むサブアレイ、の少なくとも1つを除く全部と、電子システムとの間に挿入されるように構成されるか、又は変換手段は、アンテナ素子/サブアレイ又は電子システムに一体化され、
・qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)を計算するように構成され、そして
・変換手段は、離散的角周波数ωqにおける重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用することにより、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)の少なくとも1つを除く全部と電子システムとの間の連続的又はパルス状の波形に影響を及ぼすように構成され、
以上から、瞬時帯域巾Bにわたってアンテナシステムのアンテナパターンの拡張制御を達成することで得られる。
【0009】
前記目的は、更に、少なくとも2つのアンテナ素子を含み、システム帯域巾にわたって動作するように構成された広帯域アレイアンテナを提供することにより達成される。この広帯域アレイアンテナは、該広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御するように構成され、電子システムに接続される。アンテナパターンの制御は、アンテナ素子ごとにパラメータが個々にあるようにして広帯域アレイアンテナと電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成されるように構成され、広帯域アレイアンテナは、該広帯域アレイアンテナが瞬時広帯域波形で動作するように構成されたときに、該広帯域アレイアンテナのアンテナ素子間の分離を、従来のアレイアンテナ設計に比して、システム帯域巾内の最大周波数の半波長より上に増加することにより、瞬時帯域巾Bを有する波形で動作するように構成される。その結果、アンテナパターンに格子ローブが現れることなく、アンテナ素子の数が実質的に減少される。
【発明の効果】
【0010】
詳細な説明に述べられる従属請求項の1つ又は多数の特徴を実施することにより更に別の効果が達成される。これら効果の幾つかは、次の通りである。
【0011】
・本発明は、1つ又は多数のメインローブの形状、方向及び巾、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御すると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成することを含むアンテナパターンの拡張制御を提供する。
【0012】
・本発明は、変換手段のアナログ実現化又はデジタル実現化のいずれでも実施することができる。
【0013】
・本発明は、連続波形及びパルス波形の両方に適用でき、更なる効果を与える。
【0014】
上述されていない1つ又は多数の従属請求項の特徴が実施される場合には付加的な効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1a】周波数ドメインにおいて変換手段を実現化するデジタル解決策を概略的に示す。
【図1b】周波数ドメインにおいて変換手段を実現化するアナログ解決策を概略的に示す。
【図2a】時間ドメインにおける変換手段の実現化を概略的に示す。
【図2b】優勢な非周波数従属の「真の時間遅延」も含む変換手段の実施形態として時間ドメインでの実現化を概略的に示す。
【図2c】減衰/増幅及び時間遅延を角周波数ω・(2・π・f)の関数として示すグラフである。
【図3a】本発明をいかに実施できるかの一実施形態を概略的に示すブロック図である。
【図3b】本発明をいかに実施できるかの一実施形態を概略的に示すブロック図である。
【図4】広帯域アンテナパターンを定義するのに使用される角度の定義を示す。
【図5】アンテナ素子数及び周波数の関数として電力を概略的に示す。
【図6a】アンテナ素子数及び周波数の関数として遅延を概略的に示す。
【図6b】メインローブ方向における入射波頭を概略的に示す。
【図7】周波数独立の真の時間遅延(デルタ遅延)からの偏差を、アンテナ素子数及び周波数の関数として概略的に示す。
【図8】本発明により得られる広帯域打ち消し方向及びメインローブでのアレイファクタを示す。
【図9】異なるFFT長さに対し20°における広帯域打ち消し方向のアンテナパターンを示す。
【図10】異なるFFT長さに対し30°におけるメインローブのアンテナパターンを示す。
【図11】異なるFFT長さに対し40°における広帯域打ち消し方向のアンテナパターンを示す。
【図12】異なるFFT長さに対し50°における広帯域打ち消し方向のアンテナパターンを示す。
【図13】固定巾の1つのメインローブで素子数及び周波数の関数として電力を概略的に示す。
【図14】固定巾の1つのメインローブで素子数及び周波数の関数として時間遅延を概略的に示す。
【図15】本発明により得られる周波数独立位置及び固定巾の1つのメインローブでのアレイファクタを示す。
【図16】異なるFFT長さに対し隣接する広帯域打ち消し方向と共に30°における1つのメインローブのアンテナパターンを示す。
【図17】パルス波形の一例を示す。
【図18】多数の角度において時間の関数としてパルス波形に対して得られる波形を示す。
【図19】本発明の方法のデジタル実現化を概略的に示すフローチャートである。
【図20】直線アレイのためのアンテナパターンを示す。
【図21】円形アレイのためのアンテナパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、添付図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、広い帯域巾にわたりアンテナパターンをどのように整形できるかについて多数の実施例を記述することにより説明される。これは、送信モードではアンテナ素子への波形に又は受信モードではアンテナ素子からの波形に、以下に述べるように、幾つかのパラメータで影響を及ぼすことにより達成される。
【0017】
広帯域打ち消し方向とは、以下の説明では、アンテナパターンにおいて放射電力/感度が、最大放射/感度を有する方向における放射電力/感度より実質的に低く、最小であるような方向として使用される。
【0018】
アンテナパターンは、アンテナが送信モードで動作されるときには放射電力が方向の関数であるとして定義され、又、アンテナが受信モードで動作されるときには感度が方向の関数であるとして定義される。
【0019】
図1aは、広帯域アレイアンテナに対する周波数従属の「真の時間遅延」解決策を実際に実現化する一実施例を概略的に示す。広帯域アレイアンテナは、帯域巾が瞬時動作帯域巾B以上のアレイアンテナとして定義される。瞬時帯域巾Bは、図3を参照して以下に説明する瞬時動作帯域巾である。この実施例では、時間遅延は、周波数に従属するパラメータとして使用される。広帯域アレイアンテナは、少なくとも2つのアンテナ素子を含む。又、その実現化は、任意の周波数従属の減衰/増幅も含み、即ち波形の振幅が減衰されるか又は増幅される。この任意の実施形態では、2つの周波数従属のパラメータ、即ち時間遅延及び減衰/増幅が使用される。アンテナの可逆原理のために、本発明の解決策は、特に指示のない限り、送信及び受信の両方に適用できる。以下の説明において、本発明は、特に指示のない限り、受信モードについて述べる。広帯域アレイアンテナのアンテナ素子nからの入力波形sin(t)は、例えば、高速フーリエ変換(FFT)を使用するフーリエ変換(FT)ユニット102へ供給されるが、スペクトルを計算する他の方法を使用することもできる。FTユニットは、入力波形sin(t)101の瞬時帯域巾Bを、Q個のスペクトルコンポーネント0からQ−1へ変換し、この実施例では、8個のスペクトルコンポーネント110−117へ変換し、各スペクトルコンポーネントは、中心周波数fqを有する。しかしながら、変換は、それより多数の又は少数のスペクトルコンポーネントへと行うことができる。時間遅延τq(120−127)及び任意の周波数従属の減衰/増幅αq(130−137)は、当業者に良く知られた適当な時間遅延及び/又は減衰/増幅手段を通して各スペクトルコンポーネントに影響を及ぼす。従って、スペクトルコンポーネント110は、時間遅延τ0120及び減衰/増幅α0130を有し、スペクトルコンポーネント111は、時間遅延τ1121及び減衰/増幅α1131を有し、等々となり、スペクトルコンポーネント117は、時間遅延τ7127及び減衰/増幅α7137を有する。全てのスペクトルコンポーネントが逆フーリエ変換(IFT)ユニット103へ供給され、これは、逆高速フーリエ変換(IFFT)又は他の方法、例えば、IDFT(逆離散的フーリエ変換)を使用して、周波数ドメインから時間ドメインへ変換し、従って、全てのスペクトルコンポーネントを時間ドメインへ戻すように変換し、そして出力波形sout(t)104を発生する。
【0020】
時間遅延τq及び減衰/増幅αqは、各スペクトルコンポーネントqに影響を及ぼすアンテナ素子nに対するパラメータの一例であり、但し、パラメータは、周波数従属である。これら周波数従属パラメータの一般的な呼称は、τn,q及びαn,qであり、但し、nは1からN、qは0からQ−1の範囲である。
【0021】
FTユニット、時間遅延及び減衰/増幅手段、並びにIFTユニットは、第1制御要素100の一部分である。
【0022】
本発明は、周波数従属の時間遅延τ(ω)のみを使用して実施することができる。この解決策は、周波数従属の減衰/増幅が要求されないので、実現化が簡単である。しかしながら、これは、メインローブの巾の制御性をかなり減少させる。
【0023】
図1aに基づき周波数従属の時間遅延及び減衰/増幅の両方で実施される機能について以下に説明する。
【0024】
周波数従属の重み付け関数W(ω)=A(ω)・e−j・ω・τ(ω)から計算されるパラメータは、各アンテナ素子nと電子システムとの間の波形に影響を及ぼし、但し、A(ω)は、減衰/増幅の周波数従属性を考慮し、τ(ω)は、時間遅延の周波数従属性を考慮するものである。或いは、重み付け関数は、W(ω)=A(ω)・e−j・φ(ω)として定義することもでき、この場合も、A(ω)は、減衰/増幅の周波数従属性を考慮するものであるが、φ(ω)は、位相シフトの周波数従属性を考慮するものである。各補助アンテナ素子は、1つの第1制御要素100に接続される。第1制御要素に入力する入力波形sin(t)101の関数として各第1制御要素100から放出される出力波形sout(t)104は、次の式(1)の助けで計算することができる。sin(t)は、アンテナが受信アンテナとして働くときには、各アンテナ素子からのビデオ、中間周波(IF)又は高周波(RF)波形であるが、広帯域アレイアンテナが送信アンテナとして働くときは電子システムの波形ジェネレータからのビデオ、中間周波(IF)又は高周波(RF)レベルの波形でもある。
【0025】
式(1)において、記号
は、コンボリューションを象徴するものである。コンボリューションの原理は、当業者に良く知られており、例えば、1965年にRonald N. Bracewellにより書かれたマグローヒル・ハイヤー・エジュケーション(McGraw-Hill HigherEducation)の“The Fourier Transform and its Applications”において更に検討することができる。
【0026】
前記及び以下の説明で使用する記号は、次の意味を有する。
ω=角周波数(2・π・f)
w(t)=時間ドメイン重み付け関数
w(t−τ)=時間遅延された時間ドメイン重み付け関数
W(ω)=w(t)のフーリエ変換である周波数ドメイン重み付け関数
A(ω)=W(ω)の絶対値
αq=アンテナ素子nに対するω=ωqにおけるW(ω)のA(ωq)絶対値で、一般的に、αn,qと呼称される
τ=時間遅延及び積分変数
τq=アンテナ素子nに対するω=ωqにおけるτ(ω)の時間遅延で、一般的に、τn,qと呼称され、τn,q=アンテナ素子nのスペクトルコンポーネントqの時間遅延
τ(ω)=ωの関数としての時間遅延
φ(ω)=ωの関数としての位相シフト
φq=アンテナ素子nに対するω=ωqにおけるφ(ω)の位相シフトで、一般に、φn,qと呼称され、φn,q=アンテナ素子nのスペクトルコンポーネントqの位相シフト
【0027】
上述したように、τn,q及びαn、qは、各スペクトルコンポーネントqに影響を及ぼすアンテナ素子nに対する周波数従属パラメータの一例である。位相シフトφn,qは、各スペクトルコンポーネントqに影響を及ぼすアンテナ素子nに対する周波数従属パラメータの別の例である。
【0028】
図1aは、第1制御要素のデジタル実現化を示す。図1bは、それに対応するアナログ実現化を示すもので、入力波形sin(t)101が第3制御要素150に入る。各アンテナ素子nから到来する入力波形101は、中心周波数fqを有するQ個のバンドパスフィルタFqに供給され、但し、qは、0からQ−1までの整数値をとる。従って、入力波形101は、Q個のスペクトルコンポーネントに分割されると共に、時間遅延τq、或いは位相シフトφq及び任意の周波数従属の減衰/増幅αqが、当業者に良く知られた適当な時間遅延又は位相シフト及び減衰/増幅手段を通して、各スペクトルコンポーネントに影響を及ぼす。全てのスペクトルコンポーネントは、加算ネットワーク151に接続されて出力波形sout(t)104を発生する。各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqは、等距離スペクトルコンポーネント分割の場合は、次の式に基づいて計算することができる。
但し、fcは、瞬時帯域巾Bをもつ周波数帯域の中心周波数である。瞬時帯域巾Bは、瞬時動作帯域巾である。第3制御要素150は、Q個のバンドパスフィルタFqと、時間遅延及び増幅/減衰のための手段と、加算ネットワーク151とを備えている。
【0029】
図2a及び2bを参照して更に別のデジタル実現化を以下に説明する。多くの状態では、時間的に個別のステップTを伴う時間個別実現化が好ましい。第2制御要素(200)から放出される出力波形sout(m・T)は、第2制御要素に入る入力波形sin(m・T)の関数として式(2)の助けで計算することができる。インデックスmは、時間の関数として直線的に増加する整数値である。W(ωq)は、スペクトルコンポーネントqの中心周波数における時間遅延及び減衰/増幅を表す。図1を参照されたい。両方ともQ・log2(Q)個の演算を要求する図1aを参照して述べたFFT及びIFFTは、両方ともQ2個の演算を要求するDFT(離散的フーリエ変換)及びIDFT(離散的逆フーリエ変換)を計算するための計算効率の良い方法である。Qは、上述したように、スペクトルコンポーネントの全数である。出力波形は、次のように計算される。
mod[x、y]=xをyで除算した後の余り
ωq=2・π・fq=離散的角周波数
Q=スペクトルコンポーネントの数
κ=DFT及びIDFTに使用される整数累乗変数
m=個別の時間ステップに対する整数累乗変数
q=スペクトルコンポーネントに対する整数累乗変数及びDFTに使用される整数累乗変数
【0030】
式(2)において明らかなように、時間個別実現化における望ましい機能は、Q個の演算で達成することができる。
【0031】
FFT及びDFTは、フーリエ変換(FT)のための異なる方法である。IFFT及びIDFTは、逆フーリエ変換(IFT)のための対応する方法である。上述したように、これらの方法は、異なる効果を有し、用途に最も適した方法が選択される。しかしながら、本発明の異なる実施形態においてFT及び/又はIFTが要求されるときには、いずれかの方法を使用することができる。
【0032】
図2aは、広帯域アレイアンテナのアンテナ素子から到来する入力波形sin(m・T)201を示す。この入力波形201は、Q−1個の時間ステップT203で次々に時間遅延され、1からQ−1まで番号付けされ、そして入力波形sin(m・T)の時間遅延されたコピーとなる。従って、この入力波形は、図2aの上部204に示したように、時間ステップTで次々に時間遅延される。アンテナ素子nに対する重み付け係数wn,0からwn,Q−1を含むQ個のパラメータは、2つのインデックスで識別され、第1のインデックスは、アンテナ素子番号を表し、そして第2のインデックスは、スペクトルコンポーネントを表す連続番号qで、0からQ−1の範囲である。重み付け係数は、q個のコンポーネントにおいて瞬時帯域巾Bを分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqに対して、W(ωq)のIDFTとして、或いはW(ωq)のIFFTとして計算され、この計算は、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、標準的な方法を使用し、且つ各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して遂行される。従って、重み付け係数wn,0からwn,Q−1がアンテナ素子nの重み付け係数となる。矢印211は、入力波形sin(m・T)が第1の重み付け係数wn,0で乗算され、そして入力波形の各時間遅延されたコピーが、図2aの中間部205に示すように、入力波形の時間遅延されたコピーに含まれた時間ステップ遅延Tの数と同じ第2インデックスを有する重み付け係数で次々に乗算されることを示している。各乗算の結果は、矢印212で示すように、図2aの下部206へ移動されるように概略的に示され、そこで、各乗算結果は、出力波形207、sout(m・T)へと加算される。
【0033】
図6及び7を参照して述べるように、時間遅延の優勢な部分は、周波数従属ではなく、アンテナ素子ごとに、一連の重み付け係数wn,0からwn,Q−1の始めと終わりに、ほぼゼロに等しい多数の非常に小さな連続的な重み付け係数が生じる。一連の重み付け係数wn,0からwn,Q−1における最初のx重み付け係数及び最後のy重み付け係数がほぼゼロに等しいと仮定する。従って、ハードウェアの実現化においては、最初のx重み付け係数及び最後のy重み付け係数をゼロにセットし、最初のx時間遅延Tを、図2bに示すx・Tに等しい時間遅延D202へ統合すると共に、最後のy乗算を除外して、必要な演算の数をQ個未満の演算へと減少させるのが適当である。図2bは、他の点では、図2aに対応している。時間遅延D202は、各アンテナ素子に対する非周波数従属時間遅延に対応し、これは、図6aに示されている。残りの周波数従属時間遅延は、以後、「デルタ時間遅延」と称され、これは、図7に示されている。図2bは、主としてメインローブ方向の制御に使用される周波数独立の時間遅延D202が前にあって、「デルタ時間遅延」を計算するための計算効率の良いコンボリューションの一例である。
【0034】
周波数独立の時間遅延Dを実現する手段、並びに周波数従属の時間遅延及び各時間遅延Tに対する減衰/増幅のための手段は、第2制御要素200の一部分である。
【0035】
図2cは、垂直軸215における時間遅延τ及び減衰A(ω)の周波数従属性を、水平軸216におけるωの関数(即ち、2・π・f)として示す。重み付け関数は、各アンテナ素子n及び多数のω値、ω0、ω1、ω2、・・ωQ−1に対して、良く知られた方法、例えば、シェルクノフ(Schelkunoff)の方法を使用した各周波数における古典的な実現化を通して計算される。これは、各アンテナ素子nに対して多数の値Wn,0、Wn,1、Wn,2・・・を生じる。従って、ωの関数としての時間遅延は、曲線217を形成し、減衰/増幅は、曲線218を形成する。重み付け係数wn,0、wn,1、wn,2・・・は、各アンテナ素子nに対して、Wn,0、Wn,1、Wn,2・・・のIDFT又はIFFTとして計算される。
【0036】
従って、図2a及び2bは、時間ドメインにおける周波数従属時間遅延及び減衰/増幅の実現化を示し、図1a及び1bは、周波数ドメインにおける対応する実現化を示す。時間ドメインにおける実現化に伴う効果は、Q個の演算しか必要でないことであり、一方、周波数ドメインにおける実現化では、上述したように、Q・log2(Q)個の演算が要求される。
【0037】
送信モードに適用できる第4の制御要素は、各アンテナ素子/サブアレイに対し、且つqを0からQ−1の範囲とすれば、各スペクトルコンポーネントqに対して、意図された波形と、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム303との間の波形に影響を及ぼすための重み付け関数W(ω)とを使用して、波形を前もって計算することにより、実現することができる。その結果は、DDS(直接デジタル合成)ユニットにおいて、アナログ波形へ変換され、この波形は、各アンテナ素子/サブアレイへ供給される。波形を計算するための手段、及びDDSユニットは、第4の制御要素の一部分である。
【0038】
4つ全部の制御要素は、先に述べたように、ビデオレベル、中間周波(IF)レベル、又は直接的に高周波(RF)レベルで挿入することができる。制御要素を低い周波数で実現するのは容易であるが、制御要素とアンテナ素子/サブアレイとの間に必要な全てのハードウェアは、アンテナ素子/サブアレイの数で乗算する必要がある。この説明では、本発明は、RFレベルで実現されるものとして述べる。
【0039】
4つの制御要素は、入力波形を出力波形に変換する変換手段の一例である。変換手段は、全て、入力波形を受け取る入力端と、出力波形を発生する出力端との、2つの端を有している。
【0040】
図3は、本発明をどのように実施するかの一実施形態を概略的に示すブロック図である。図3aは、広帯域アレイアンテナ301が受信モードで機能する状態を示す。広帯域アレイアンテナは、帯域巾が瞬時動作帯域巾B以上であるアレイアンテナとして定義される。広帯域アレイアンテナのこの帯域巾は、広帯域アレイアンテナを使用する電子システムES303のシステム帯域巾と称される。瞬時帯域巾Bは、電子システムの瞬時動作帯域巾である。広帯域アレイアンテナは、任意であるが、1つ又は多数のサブアレイを含むことができ、各サブアレイは、2つ以上のアンテナ素子を含む。合計N個のアンテナ素子、又はアンテナ素子及びサブアレイE1−ENの組み合わせと、それに対応する数の変換手段Tr1−TrNとが存在する。各アンテナ素子又はサブアレイと、例えば、レーダーシステム又は通信システムである電子システムES303との間に、1つの変換手段が挿入される。Tr1は、E1と電子システムとの間に挿入され、Tr2は、E2と電子システムとの間に挿入され、等々となって、TrNは、ENと電子システムESとの間に挿入され、即ちTrnは、対応するアンテナ素子又はサブアレイEnと、電子システムESとの間に挿入される。広帯域アレイアンテナユニットは、広帯域アレイアンテナ及び変換ユニットとして定義される。図3a及び3bでは、E2は、3つのアンテナ素子eを含むサブアレイである。図3aの入力波形sin(t)又はsin(m・T)306は、各アンテナ素子又はサブアレイから放出され、そしてそれに対応する変換手段へ供給される。出力波形sout(t)又はsout(m・T)307は、電子システム303へ供給される。波形306及び307は、各アンテナ素子又はサブアレイに対して個々に存在する。
【0041】
図3bは、広帯域アレイアンテナ301が送信モードで機能するとき時の対応するブロック図である。図3aとの相違は、入力波形sin(t)又はsin(m・T)306が、今度は、電子システムの波形ジェネレータから放射されて変換手段Tr1−TrNへ供給され、そして出力波形sout(t)又はsout(m・T)307がアンテナ素子又はサブアレイE1−ENへ供給されることである。
【0042】
上述したように、変換手段は、各アンテナ素子又はサブアレイと電子システムESとの間に挿入される。変換手段は、その一端ではアンテナ素子又はサブアレイに直接的又は間接的に接続され、そして他端では電子システムに直接的又は間接的に接続される。一実施形態において、変換手段がビデオレベルで挿入されるときには、変換手段の一端を電子システムに直接的に接続することができ、そしてその他端を、ミクサのような電子ハードウェアを経てアンテナ素子又はサブアレイに間接的に接続することができる。別の実施形態において、変換手段がRFレベルで挿入されるときには、変換手段の一端をアンテナ素子又はサブアレイに直接的に接続することができ、そしてその他端を、電子システムに直接的に接続することができる。この実施形態では、必要なミクサハードウェアは、電子システムに含まれる。更に別の実施形態において、変換手段がIFレベルで挿入されるときには、変換手段の一端を、ミクサのような電子ハードウェアを経てアンテナ素子又はサブアレイに間接的に接続することができ、そしてその他端を、ミクサのような電子ハードウェアを経て電子システムに間接的に接続することができる。
【0043】
変換手段は、個別のユニットでもよいし、アンテナ素子又はサブアレイ或いは電子システムに一体化することもできる。
【0044】
変換手段は、広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムのアンテナパターンの拡張制御を達成するように構成できる。アンテナシステムは、電子システム303に接続され、少なくとも2つのアンテナ素子を含む。達成される拡張アンテナパターン制御は、1つ又は多数のメインローブの形状、方向及び巾、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御すると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成できるようにすることを含む。アンテナシステムは、少なくとも2つのアンテナ素子を伴うアレイアンテナで構成することもできるし、或いは少なくとも1つのアンテナ素子を各々含むメインアンテナ及び補助アンテナで構成することもできる。アンテナシステムのメインアンテナは、1つ又は多数のアンテナ素子を含む任意の形式のアンテナ、例えば、レーダーアンテナでよい。アンテナシステムの補助アンテナは、単一のアンテナ素子でもよいし、又はアンテナ素子のアレイでもよい。又、各アンテナ素子は、少なくとも2つのアンテナ素子を含むサブアレイでもよい。瞬時帯域巾Bを占有するアンテナパターンの拡張広帯域制御は、アンテナシステムのアンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)の少なくとも1つを除く全部と、電子システム(303)との間に変換手段100、200、150、Tr1−TrNを挿入するよう構成するか、或いはアンテナ素子/サブアレイ又は電子システムに変換手段を一体化することによって、達成される。これは、変換手段がアンテナシステムにおいて実施されるとき、アンテナ素子又はサブアレイからの全ての波形、又は1つを除く全ての波形を、変換手段に通さねばならないことを意味する。重み付け関数W(ω)=A(ω)・e−j・ω・τ(ω)又はW(ω)=A(ω)・e−j・φ(ω)は、qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについて計算されるように構成される。変換手段、100、200、150、Tr1−TrNは、離散的角周波数ωqにおいて重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用することにより、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)の少なくとも1つを除く全部と電子システム303との間の波形に影響を及ぼすように構成され、従って、瞬時帯域巾Bにわたりアンテナシステムのアンテナパターンの制御を達成する。波形は、連続的でもよいし又はパルス状でもよい。
【0045】
アンテナシステムが、1つのアンテナ素子又はサブアレイを伴うメインアンテナと、少なくとも1つのアンテナ素子を伴う補助アンテナとを備える状況においては、変換手段が補助アンテナのアンテナ素子のみに接続され、且つ変換手段からの出力波形が、変換手段を接続していないメインアンテナの波形に追加されれば、充分である。重要なことは、全ての波形、又は1つを除く全ての波形が変換手段を通して送信された場合に、少なくとも2つの波形が相互作用することである。1つの波形が変換手段によって影響されない場合には、この波形が基準として働き、他の波形に影響する変換手段のパラメータがこの基準に対して適応される。
【0046】
以下の説明において、本発明は、図1a及び1bを参照して述べたように、周波数ドメインにおいて実現されるものとして説明する。しかしながら、本発明は、図2a及び2bを参照して述べたように、時間ドメインにおいて実現することもできる。
【0047】
以下の説明において、高帯域アンテナパターン
は、正規アンテナパターン角度座標
の関数としての波形電力
の予想値として定義される。アンテナ素子/サブアレイnに対するアンテナ素子/サブアレイパターン
は、対応する仕方で定義される。式(3)において、アンテナパターンの正規化は、
を与えるように選択される。
【0048】
角度
は、図4に示すように定義される。X軸401、Y軸402及びZ軸403を伴うカルテシアン座標系では、空間内のポイント404に対する方向が角度θ405及び角度
により定義される。角度
は、原点408からポイント404への線407とZ軸との間の角度である。角度θは、線407のX−Y平面への垂直投影409とX軸との間の角度である。
【0049】
は、方向
にアンテナを形成する全ての素子/サブアレイからの波形振幅の和である。式(4)を参照されたい。
【0050】
以下の記号が使用される。
波形sがtの関数であるとすれば、方向
におけるアンテナ素子/サブアレイnの素子パターン、
波形sがtの関数であるとすれば、方向
におけるアンテナ素子/サブアレイmの素子パターン、
sn(t): 時間の関数としてのアンテナ素子/サブアレイ又は電子システムからの波形で、アンテナ素子又はサブアレイnのsin(t)に対応し、
sm(t): 時間の関数としてのアンテナ素子/サブアレイからの又は電子システムからの波形で、アンテナ素子又はサブアレイmのsin(t)に対応し、
R: 探査ポイントまでの距離、
c0: 光の速度、
τn: アンテナ素子/サブアレイnからの/への波形時間遅延、
τm: アンテナ素子/サブアレイmからの/への波形時間遅延、
θs: θ方向におけるアンテナスキャン角度、
方向におけるアンテナスキャン角度、
rn,m: アンテナ素子/サブアレイnからの/への波形と、アンテナ素子/サブアレイmからの/への波形と波形との間のクロス相関関数、
m: 1からNの範囲のアンテナ素子/サブアレイインデックス、
n: 1からNの範囲のアンテナ素子/サブアレイインデックス、
gm*: gmの複素共役、
sm*: smの複素共役。
【0051】
は、定数であり、アンテナパターンのピークを1に正規化する定数
を導入することに注意されたい。式(3)と式(4)とで、式(5)が与えられる。
【0052】
式(5)における二乗絶対値を拡張すると、式(6)が生じる。
【0053】
定常確率プロセスに関する基本的知識は、次のものを与える。
E[c・Y]=c・E[Y]
E[X+Y]=E[X]+E[Y]
cは、定数であり、X及びYは、2つの定常確率プロセスである。これら2つの基本的ルールの助けにより、式(6)は、式(7)へ変換することができる。
代入を導入する。
【0054】
であることに注意されたい。式(7)における予想値は、波形snと波形smとの間のクロス相関関数rn,mとして認識される。従って、式(7)は、式(8)のように書き直すことができる。
式(8)を使用して、広帯域アンテナパターンを記述することができる。広帯域アンテナパターンのこの定義は、波形snと波形smとの間のクロス相関関数rn,m、及びn=mの場合のその自己相関関数に基づく。反復性自己相関関数を伴う同一波形が使用されたときに格子ローブが生じる。波状の波形は、反復性自己相関関数を伴う波形の一例で、従って、回避されねばならない。
【0055】
瞬時広帯域波形は、各瞬間に、広い帯域巾を有する。これは、例えば、異なる狭周波数帯域へスイッチすることによって広い帯域巾をカバーすることのできるステップ型周波数波形と対照的である。狭帯域の瞬時帯域巾Bを有する瞬時狭帯域波形は、B・L<<c0として定義され、ここで、Lは、アンテナ、この場合は広帯域アレイアンテナの最長寸法であり、そしてc0は、光の速度である。この定義による瞬時狭帯域でない波形及び帯域巾は、瞬時広帯域の波形、又は瞬時広帯域の帯域巾であると考えられる。この説明では、瞬時広帯域の波形、又は瞬時広帯域の帯域巾のこの定義が使用される。従って、本発明の効果は、瞬時広帯域の波形で動作できることである。瞬時広帯域の波形は、広い帯域巾を占有する波形である。
【0056】
本発明の一部分である広帯域アレイアンテナ及びアンテナシステムは、瞬時広帯域波形で動作されねばならない「アレイ希薄化(array thin out)」特徴を含む実施形態を除き、瞬時狭帯域又は広帯域の帯域巾内の瞬時広帯域又は狭帯域の波形である任意の形式の波形で動作することができる。この「アレイ希薄化」実施形態は、以下で詳細に述べる。波形は、以下の個別の見出しのもとで説明するように、連続的又はパルス状でよい。
【0057】
アンテナアパーチャーをサブアレイで分割するときには、各サブアレイは、不等式B・Lsub<<c0を満足するに充分なほど小さくなければならず、ここで、Lsubは、サブアレイの最長寸法である。
【0058】
先に述べたように、本発明は、1つ又は多数のメインローブの形状、巾及び方向、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御することで瞬時帯域巾Bにわたってアンテナパターンの拡張制御を行えると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成できるようにすることにより、広帯域アレイアンテナユニット及びそれに対応する方法を提供する。以下、本発明は、広帯域打ち消し方向、並びにアンテナパターンにおけるメインローブの周波数独立位置及び巾をどのようにして得ることができるかを示す2つの実施例について説明する。アンテナパターンの拡張制御を与えるための手段は、離散的角周波数ωqにおいて重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用する変換手段を含む。広帯域アンテナパターンは、前記式(8)により定義することができるが、本発明の範囲内で他の定義も考えられる。
【0059】
広帯域打ち消し方向
広帯域打ち消し方向を含む広帯域アレイアンテナユニットに含まれる広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムのアンテナパターンの拡張制御を生成する方法を、一例として以下に説明する。
【0060】
この方法は、6.0GHzから18.0GHzの周波数範囲のホワイト帯域巾制限ノイズが供給される64個のアンテナ素子より成る2.0m長さのリニアアレイアンテナを備えた広帯域アレイアンテナについて説明する。1つのメインローブを30°までスキャンし、そして20°、40°及び50°に3つの帯域巾打ち消し方向を生成することが意図される。以下の呼称が使用される。
【0061】
仮定される値
L(L=2.0m) アンテナ長さ
N(N=64) アンテナ素子数
fc(fc=12GHz) 中心周波数Hz
fmin(fmin=6.0GHz) 最小周波数
fmax(fmax=18.0GHz) 最大周波数
θmax(θmax=[30.0°]) メインローブ方向
θmin(θmin=[20.0°,40.0°,50.0°]) 打ち消し方向
B(B=12GHz) 帯域巾Hz
τp(τp=1ns) パルス長さs
【0062】
変数
f 周波数Hz
n アンテナ素子数
【0063】
物理的定数
c0 光速≒2.997925・108m/s
【0064】
以下の参照文献に基づき且つ式(9)に基づいて(N−1)個の均一に分布されたゼロ点(z)を単位円上に配置することにより開始する。テーパリング、即ちゼロ点の均一な分布のこの簡単な選択の理由は、計算を簡素化するためである。テーパリングの選択は、結論に影響しない。というのは、テーパリングは、主としてサイドローブレベルに影響を及ぼすもので、広帯域打ち消し方向の位置には影響しないからである。
【0065】
シェルクノフの単位円が当業者に良く知られており、以下の書籍において更に検討することができる。
S.A.シェルクノフ、“A Mathematical Theory ofLinear Arrays”、Bell System Tech. J. 22 (1943)、80 107、
W.L.ウィークス、“Antenna Engineering”、マグローヒル・エレクトロニック・サイエンス・シリーズ、1968年、
ロバートS.エリオット、“Antenna Theory and design”、プレンティス・ホール・インク、1981年、
サムエルシルバー、“Microwave Antenna Theory andDesign”、マグローヒル・ブック・カンパニー・インク、1949年。
【0066】
式(10)及び式(11)に基づいて、単位円上のメインローブ及びゼロ点に対応する「角度」(Ψmax、Ψmin)を計算する。ゼロ点は、メインローブの各側に位置されている。
【0067】
「角度」(Ψmax、Ψmin)は、周波数従属であることに注意されたい。メインローブを正しい方向に操向するために、式(12)に基づいて全てのゼロ点(z)を新たな位置(zrot(f))へ回転する。
【0068】
これらの新たなゼロ点と、アンテナパターンに希望の打ち消し方向を生成するのに必要な点との間の距離(dn(f))は、式(13)で計算することができる。
【0069】
距離(dn(f))は、周波数従属であることを観察する。距離(dn(f))を最小にするセット[zrot n]内のゼロ点を、アンテナパターンにおいて要求される各周波数及び各打ち消し方向に対してej・Ψmin(f)に対応する位置へ移動する。それにより得られるゼロのセットは、全て周波数従属であるが、セット[zfinal n(f)]により表わされる。但し、nは、0からN−2までの値と仮定し、従って、全部でN−1個のゼロ点を形成する。ここで、式(14)に基づいてアレイファクタ(AF(θ、f))を、その積の形態の式とすることができる。
【0070】
各アンテナ素子の励起(En(f))に伴う方程式の系を形成して未知のものとして解くことにより、アレイの励起が計算される。ここで、アレイファクタ(AF(θ、f))は、式(15)に基づいてその和の形態の式にすることができる。
【0071】
アレイファクタは、各アンテナ素子が等方性放射器であると仮定してアンテナアレイ構造体の利得を示すものである。素子の励起(En(f))は、各アンテナ素子nの周波数に対する振幅及び位相の両従属性を示す。位相は、その後、周波数従属の時間遅延τn,q=φn,q/2・π・fqへ変換することができる。変換に生じるあいまいさは、各周波数に対し各素子のメインローブ方向を与える時間遅延に対応する時間遅延に最も近い時間遅延を選択することにより解決される。図5(電力)及び図6(時間遅延)は、その結果を示す。
【0072】
図5は、送信モードにあるアレイアンテナに対してスペクトルコンポーネントq及びアンテナ素子nの関数として電力|An(ωq) |2を三次元的に示している。電力は、垂直軸501にdBで示され、0dBは、減衰なしに対応する。軸502は、6−18GHzの周波数を示し、そして軸503は、アンテナ素子番号を示す。この実施例では、64個のアンテナ素子が使用される。エリア504は、高い電力を表し、エリア505は、中間の高い電力を表し、エリア506は、中間の低い電力を表し、そしてエリア507は、低い電力を表す。この実施例における電力変化は比較的小さく、約2dB以内である。
【0073】
図6aは、アレイアンテナにおける周波数及びアンテナ素子の関数として周波数従属の時間遅延を三次元的に示している。時間遅延は、垂直軸601に秒で示されている。軸602は、6-18GHzの周波数を示し、そして軸603は、アンテナ素子番号を示す。この実施例では、メインローブの方向が30°に設計されている。これは、端部アンテナ素子605及び606を伴うアレイアンテナ604を示す図6bに示されている。従って、入射平面の波頭609は、波が距離608を進行してアンテナ素子605に到達するために要する時間に対応する時間遅延をアンテナ素子606に有していなければならない。アンテナアレイの長さが2mで且つメインローブの方向が30°の状態では、距離608が1mとなり、光がこの距離を進行するための時間が約3.3nsである。従って、素子606における時間遅延は、3.3nsでなければならず、そしてアンテナ素子605の時間遅延は、各素子の波形が同相であるためにはゼロでなければならない。次いで、時間遅延は、図6aに示すように、アレイアンテナに沿って0から3.3nsの間に直線的に変化する。時間遅延は、周波数と共に一定であると思われるが、図7に示すように、周波数の関数としてある程度の小さな時間遅延変化がある。
【0074】
図5及び図6において明らかなように、メインローブ方向を与える時間遅延に対応する時間遅延に対する時間遅延及び電力の両方の偏差は僅かなものである。図6a及び6bにおいて、約3.3nsの最大時間遅延がメインローブの方向30°を与える。図6aから、アンテナ素子番号及び周波数の関数としての時間遅延は、フラットな平面を表すかのように思われる。しかしながら、時間遅延目盛が1000のファクタで拡張された図7に示すフラットな平面から時間遅延に僅かな偏差がある。しかし、図7に示すメインローブ方向を与える時間遅延からのこれらの僅かな偏差は、「デルタ時間遅延」と称されるが、希望の打ち消し方向を生成するために重要なものである。これらの「デルタ時間遅延」は、ここに述べるように、重み付け関数W(ω)を考慮している。この実施例では、電力及び時間遅延の両方を各素子の周波数の関数として制御することができる。帯域巾が8個のスペクトルコンポーネントで分割されるハードウェア実現化が、図1に示されている。時間ドメインでの別の実現化が図2a及び2bに示されている。
【0075】
図7は、周波数及びアンテナ素子の関数として「デルタ時間遅延」を三次元的に示している。この「デルタ時間遅延」は、垂直軸701に秒で示されている。軸702は、6-18GHzの周波数を示し、そして軸703は、アンテナ素子番号を示す。明らかなように、時間遅延の変化は、周波数の上昇と共に減少する。エリア704は、高い「デルタ時間遅延」を表し、エリア705は、中間の高い「デルタ時間遅延」を表し、エリア706は、中間の低い「デルタ時間遅延」を表し、そしてエリア707は、低い「デルタ時間遅延」を表す。
【0076】
ここで、式(8)における前記定義に基づいてアレイファクタを計算することができる。その結果が図8に示され、ここでは、水平軸801に方向θが示され、垂直軸802に放射電力/感度が示されている。明らかなように、メインローブは、30°であり、打ち消し方向は、予想されるように、20°、40°及び50°である。図8-12及び15-16に示されるアレイファクタは、全方向素子パターンを仮定すれば、前記アンテナパターンの定義に基づくアンテナパターンと同一である。従って、垂直軸は、送信モードでの放射電力及び受信モードでの感度を方向の関数として示す。
【0077】
ほとんどのハードウェア実現化においては、(En(f))の振幅も、(En(f))の位相も、周波数の関数として連続的に変化することはできない。瞬時帯域巾Bは、通常、Q個のスペクトルコンポーネントにおいて分割されねばならない。実際に、周波数分割は、図1を参照して述べたように、FFTの助けで行うことができる。個別の減衰/増幅αn,q(q=スペクトルコンポーネント番号及びn=アンテナ素子番号)、及び個別の時間遅延τn,q、或いは個別の位相シフトφn,qは、各スペクトルコンポーネントの中心周波数において、振幅及び時間遅延、或いは位相シフトとして選択される。これは、αn,q=|En(f)|、及びτn,q=arctan{Im[En(fq)]/Re[En(fq)]}/(2・π・fq)、或いはφn,q=arctan{Im[En(fq)]/Re[En(fq)]}として書くことができ、但し、fqは、各スペクトルコンポーネントq(q∈0・・(Q−1))の中心周波数を表す。Imは、式の虚数部分を表し、Reは、実数部分を表す。アレイファクタは、ここで、各スペクトルコンポーネントにおける中心周波数に基づき(式(16)を参照)、又は隣接スペクトルコンポーネントを接合する周波数に基づき(式(17)を参照)、平均値として計算することができる。
【0078】
正しいアレイファクタは、AFcentreとAFjointとの間になければならない。AFjointは、打ち消し方向及びメインローブの両方に対して2つのアレイファクタの低い方の性能を与えるものと仮定する。
【0079】
図9−12では、FFT計算において異なる数のスペクトルコンポーネントに対し打ち消し方向及びメインローブの周りの拡張された角度目盛でAFjointがプロットされる。従って、これらのグラフは、広帯域打ち消し方向を生成する方法を説明するときに広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムの一例として使用されるアレイアンテナに対して各ケースの性能下限を示す。
【0080】
図9は、水平軸901に角度θを示すと共に、垂直軸902に放射電力を示す。FFTの長さを増加するために20°の打ち消し方向がより鮮明になる。曲線904は、32点のFFTでの放射電力/感度を示し、そして曲線903は、1024点でのものを示す。
【0081】
図10は、水平軸1001に角度θを示すと共に、垂直軸1002に放射電力/感度を示す。FFT長さを増加するために30°の最大放射/感度方向がより鮮明になる。曲線1004は、32点FFTでの放射電力/感度を示し、そして曲線1003は、1024点でのものを示す。
【0082】
図11は、水平軸1101に角度θを示すと共に、垂直軸1102に放射電力/感度を示す。FFT長さを増加するために40°の打ち消し方向がより鮮明になる。曲線1104は、32点FFTでの放射電力/感度を示し、そして曲線1103は、1024点でのものを示す。
【0083】
図12は、水平軸1201に角度θを示すと共に、垂直軸1202に放射電力/感度を示す。FFT長さを増加するために50°の打ち消し方向がより鮮明になる。曲線1204は、32点FFTでの放射電力/感度を示し、そして曲線1203は、1024点でのものを示す。
【0084】
周波数独立位置及びメインローブの巾
広帯域アレイアンテナユニット又はアンテナシステムに含まれる広帯域アレイアンテナのアンテナパターンの拡張制御の可能性は、周波数独立位置及び1つのメインローブの固定巾を得るために本発明をどのように使用できるかを示す更に別の実施例について以下に説明する。
【0085】
前記広帯域打ち消し方向を生成する方法を説明するときに広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムの一例として使用された2m長さのアレイアンテナを伴う同じ条件を仮定する。このケースでは、メインローブの各側にあってメインローブの巾を制御する広帯域打ち消し方向を除いて、広帯域打ち消し方向を生成しなくてもよい。実施例を簡単化し、メインローブの各側の打ち消し方向のみに周波数独立性を導入する。例えば、3dBローブ巾の周波数独立性を導入することは非常に厳しい問題である。この簡単化は、メインローブが主として最も接近した最小値に基づくものであるから、結論に影響を及ぼすことはない。メインローブ巾内の使用波形の周波数フィルタリングを最小にして、そのメインローブ巾内の受信/送信波形を歪ませないために、周波数独立で且つ固定のメインローブ巾が望まれる。全ての残りのゼロ点が単位円上に均一に分布されているときにfminにおける対応するゼロ点に一致する第1のゼロ点をメインローブの各側で選択する。式(9)に関連して上述した参考文献を参照されたい。
【0086】
メインローブの中心から第1のゼロ点(θ0)への角度を計算することにより開始する。前記条件では、この角度は、式(18)に基づいて計算することができる。
【0087】
単位円上のメインローブの左側Ψ0lの第1ゼロ点及び右側Ψ0rの第1ゼロ点に対応する「角度」(Ψ0l、Ψ0r)を各々式(19)及び式(20)の助けで計算することにより続ける。
【0088】
全ての残りのゼロ点zn(f)を、式(21)に基づき、Ψ0lとΨ0rとの間で単位円上に角度的に均一に分散させる。均一に分布されたゼロ点のこの簡単な選択は、結論に影響を及ぼすことなく、計算の続行を簡単にする。
【0089】
式(10)に基づいてΨmax(f)を計算し、式(22)に基づいて全てのゼロ点を回転する。
【0090】
アレイファクタ(AF(θ、f))は、ここで、式(14)と同様に積の形態で書き表すことができる。各アンテナ素子の励起En(f)で方程式の系を形成して未知のものとして解くことにより、アレイ励起を計算することができる。その後に、アレイファクタ(AF(θ、f))を、式(15)に基づいてその加算形態の式に形成することができる。
【0091】
素子の励起En(f)は、上述したように各アンテナ素子の周波数に対する振幅及び位相の従属性の両方を表す。変換に生じるあいまいさは、各周波数に対し各アンテナ素子のメインローブ方向を与える時間遅延に対応する時間遅延に最も近い時間遅延を選択することにより解決される。その結果が図13(電力)及び図14(時間遅延)に示されている。これらのグラフは、打ち消し方向を計算するときの状態と矛盾する著しい電力変化と、図6aに示したメインローブ方向を与える時間遅延に対応する時間遅延から僅かに外れるだけである図14の時間遅延とを明らかにしている。このことは、広帯域打ち消し方向及びメインローブの周波数独立巾の両方を制御しなければならないときに、2つの周波数従属パラメータ、即ち減衰/増幅及び時間遅延又は位相シフトを、各アンテナ素子の周波数の関数として調整できねばならないという結論を導く。広い周波数帯域にわたりメインローブの巾の制御しか要求されないときには、減衰/増幅を使用し、即ち1つの周波数従属パラメータのみを周波数独立の時間遅延に関連して使用して、メインローブ方向を制御するだけで充分である。しかしながら、広帯域打ち消し方向及び/又はメインローブの周波数独立方向しか要求されない場合には、時間遅延を使用し、即ち1つの周波数従属のパラメータのみを使用するだけで充分である。8個のスペクトルコンポーネントを伴う実現化の実施例が図1に示されている。
【0092】
図13は、1つのメインローブの周波数独立の位置及び固定巾をどのように得るか説明するときに広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムの一例として使用されるアレイアンテナのアンテナ素子及び周波数の関数として放射電力/感度を三次元的に示している。放射電力/感度は、垂直軸1301にdBで示されている。軸1302は、6−18GHzの周波数を示し、又、軸1303は、アンテナ素子番号を示す。エリア1304は、高い電力を示し、エリア1305は、中間の高い電力を示し、エリア1306は、中間の低い電力を示し、そしてエリア1307は、低い電力を示す。図13に示すように、メインローブの各側の第1ゼロ点に対して前記のように角度を選択すると、fminにおいて「方形」のアパーチャー分布が生じる。周波数を上昇するためには、アパーチャーの益々小さな部分が使用され、縁素子に対してfmaxにおいて非常に低い電力/感度レベルを招く。図示されたように、電力/感度変化は、実質的に0から78dBである。
【0093】
図14は、1つのメインローブの周波数独立の位置及び固定巾をどのように得るか説明するときに広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムの一例として使用されるアレイアンテナのアンテナ素子及び周波数の関数として周波数従属の時間遅延を三次元的に示している。時間遅延は、垂直軸1401に秒で示されている。軸1402は、6−18GHzの周波数を示し、又、軸1403は、アンテナ素子番号を示す。
【0094】
ここで、1つのメインローブの周波数独立の位置及び固定巾をどのように得るか説明するときに広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムの一例として使用されるアレイアンテナに対して式(8)に基づいてアレイファクタを計算することができる。その結果が図15に示され、その水平軸1501には方向θが示され、そしてその垂直軸1502には放射電力/感度が示されている。メインローブは、30°であることが明らかである。
【0095】
上述したように、打ち消し方向の生成に関連してアレイファクタを計算するときには、振幅|En(fq)|も、時間遅延arctan{Im[En(fq)]/Re[En(fq)]}/(2・π・fq)、或いは位相シフトarctan{Im[En(fq)]/Re[En(fq)]}も、実際のハードウェア実現化において周波数の関数として連続的に変化することができない。それ故、当該帯域巾は、広帯域打ち消し方向を生成することに関連してアレイファクタを計算するときに説明したのと同様に、スペクトルコンポーネントで分割されねばならない。AFcentre及びAFjointは、その後、各々、式(16)及び(17)に基づいて計算することができる。又、上述した広帯域打ち消し方向の計算と同様に、AFjointに対して低い性能が予想される。図16は、1つのメインローブの周波数独立の位置及び固定巾をどのように得るか説明するときに広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムの一例として使用されるアレイアンテナに対し、FFT計算における異なる数のスペクトルコンポーネントについてメインローブの周りの拡張された角度目盛でAFjointを示している。図16は、水平軸1601に角度θを示し、又、垂直軸1602に放射電力/感度を示す。FFT長さを増加するために30°の最大放射/感度方向がより鮮明になる。曲線1604は、32点FFTでの放射電力/感度を示し、そして曲線1603は、1024点でのものを示す。
【0096】
上述した実施例「広帯域打ち消し方向」及び「メインローブの周波数独立の位置及び巾」からの結論は、次の通りである。
・周波数独立のメインローブ巾を生成することができる。
・周波数従属の「真の時間遅延」又は位相シフトは、周波数独立のメインローブを広帯域打ち消し方向と結合できるようにすることが望ましい。
・周波数従属の減衰は、周波数帯域巾Bにわたり固定のメインローブ巾を得るのが効果的である。
・各アンテナ素子に対して比較的大きなFFTが要求される。6GHzから18GHzの非常に広い周波数範囲で動作する前記実施形態でメインローブの形状を適度に固定状態に維持するためには、128点の最小FFT長さが要求される。しかしながら、この実施例より狭い帯域巾を有する多くの用途では、より短い、又は相当に短いFFT長さで充分である。
【0097】
パルス状の波形
上述した実施例は、連続的波形に基づくものであった。しかしながら、本発明は、以下の実施形態により説明するパルス状の波形にも使用することができる。打ち消し方向を生成する方法を説明する広帯域アレイアンテナ又はアンテナシステムの一例として2m長さのアレイアンテナをもつ前記実施例と同じ条件を仮定し、そしてその実施例で計算された重み付け係数を使用する。
【0098】
帯域巾制限パルスのフーリエ変換Uin(ω)は、式(23)に基づいて書き表すことができる。
但し、ωc=スペクトルドメインにおいてピーク振幅をもつ角周波数に等しい帯域制限パルスのキャリアの角周波数。
【0099】
各アンテナ素子への波形(Uelm(ω、n))のフーリエ変換は、式(24)により与えられる。
【0100】
最終的に、得られる波形のフーリエ変換は、式(25)に基づいて書き表すことができる。
【0101】
式(26)に基づく逆変換は、時間(t)及び方位角(θ)の関数としての波形を与える。
【0102】
本発明がパルスにも適用できることを示すための実施例として、巾τp=1nsをもつ帯域巾制限パルス(6GHz−18GHz)が選択される。時間の関数としての包絡線が図17に示されている。図17は、垂直軸1701にパルス電力を示し、水平軸1702にパルス巾nsを示す。
【0103】
フーリエ変換は、式(23)の助けで計算することができる。得られる波形のフーリエ変換を角度及び周波数の関数として計算するために、N=64で式(25)を使用する。式(26)に基づく逆フーリエ変換は、波形を角度及び時間の関数として計算するのに使用される。その結果が図18に示されている。可逆定理によれば、その結果は、テスト波形がアンテナポートに接続され、それにより生じる放射波形が全ての角度に対して時間の関数として測定されるかのように解釈することもできるし、或いは得られる波形が全ての角度から送信され、選択されたテスト波形がアンテナポートで受信されて、時間の関数として測定されるかのように解釈することもできる。この解釈とは独立して、図18から、3つの打ち消し方向が20°、40°及び50°に常時存在することが明らかであろう。
【0104】
図18は、送信モードで得られる波形を、多数の角度に対し、水平軸1801では時間の関数として、そして垂直軸1802では電力の関数として示す。曲線1803は、30°での放射電力を示し、曲線1804は、40°での放射電力を示し、曲線1805は、50°での放射電力を示し、そして曲線1806は、20°での放射電力を示す。曲線1807は、60°での放射電力を示し、この場合、メインローブも打ち消し方向も生成されない。
【0105】
パルス状の波形が使用されたときの実施例から、次の結論を得ることができる。
・パルス状の波形に対して広帯域打ち消し方向を生成することができる。
・周波数従属の「真の時間遅延」が効果的である。
・周波数従属の減衰が効果的である。
【0106】
フローチャート
本発明をデジタルで実現化する方法を、ステップ1901−1910を含む図19に示すフローチャートにおいて説明する。中心周波数fc及び瞬時帯域巾Bのような波形データが1901において指定される。ステップ1902では、スペクトルコンポーネントの数を表す連続整数qが0にセットされる。ステップ1903では、qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的方法を使用して、瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについて重み付け関数W(ω)=A(ω)・e−j・ω・τ(ω)又はW(ω)=A(ω)・e−j・φ(ω)が計算される。各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqは、等距離スペクトルコンポーネント分割の場合は、次のように計算される。
重み付け関数の計算に使用される標準的な方法は、シェルクノフの方法のような古典的なアンテナ合成方法である。設計要求は、例えば、次のものを含むことができる。
・1つ又は多数のメインローブの形状
・1つ又は多数のメインローブの方向
・1つ又は多数のメインローブの巾
・異なる方向におけるサイドローブレベル
・打ち消し方向
【0107】
前記説明において、本発明は、1つのメインローブの広帯域方向と組み合わせて広帯域打ち消し方向をどのように得るか、及びこのメインローブの巾及び方向を瞬時帯域巾Bにわたってどのように一定に保持できるかについて例示された。シェルクノフの方法のようなアンテナ合成方法を適用するときには、設計要求の他の組合せを使用することができ、例えば、広帯域打ち消し方向を、瞬時帯域巾Bの全体又は一部分にわたる1つ又は多数のメインローブの固定巾及び方向と組み合わせて使用することができる。
【0108】
ステップ1903が遂行された後に、整数qの値がステップ1905においてチェックされ、それがQ−1より低い場合には、ステップ1906において1だけ増加され、そしてステップ1903の計算が次のスペクトルコンポーネントに対して遂行される。1905でのチェックがq=Q−1であるときには、全てのスペクトルコンポーネントが計算され、実現化方法の選択が1907において行われる。
【0109】
周波数ドメインでの実現化1908が行われる場合には、図1aを参照して述べたように、アンテナ素子/サブアレイn及び周波数fqに対してW(ω)が使用される。
【0110】
時間ドメインでの実現化1909が行われる場合には、図2a及び2bを参照して述べたように、スペクトルコンポーネントqごとに、アンテナ素子/サブアレイnに対して重み付け係数wn,qが使用される。このwn,qは、W(ω)の逆フーリエ変換として計算される。式(2)を参照されたい。
【0111】
DDSでの実現化1910が行われる場合は、それにより得られる波形が、各アンテナ素子及びサブアレイに対して前もってデジタルで計算され、その結果が、各アンテナ素子及びサブアレイに対してDDSへ供給される。計算は、時間ドメイン又は周波数ドメインのいずれかで行うことができる。式(2)を参照されたい。
【0112】
重み付け関数W(ω)=A(ω)・e−j・ω・τ(ω)又はW(ω)=A(ω)・e−j・φ(ω)からのパラメータの計算は、任意の便利な位置、例えば、アレイアンテナに一体化された計算ユニット、変換手段、電子システム又は個別の計算ユニットで行われ、次いで、変換手段へ転送することができる。
【0113】
アレイ希薄化
又、本発明は、広帯域アレイアンテナの場合に、瞬時広帯域動作に要求されるアンテナ素子の数を減少できるという付加的な効果も有する。本発明のこの「アレイ希薄化(array thin out)」特徴について以下に説明する。瞬時帯域巾Bを有する瞬時広帯域波形で動作するアンテナにおける素子分離は、例えば、レーダーシステムのシステム帯域巾内の最大周波数に対応する波長をλとすれば、格子ローブが現れることなく、λ/2より上に増加することができる。システム帯域巾は、瞬時帯域巾B以上である。これは、半波長の素子分離を使用する従来のアレイアンテナ設計に比して、必要なアンテナ素子の数を減少させる。
【0114】
広帯域アレイアンテナのアンテナ素子減少特徴又は「アレイ希薄化」特徴は、直線アレイについてと、円形アレイについての、2つの実施例で説明する。
【0115】
次の実施例では、式(27)に基づく簡単なアンテナ素子図及び全アンテナ素子における同一の波形を仮定する。
【0116】
一次元の直線アレイの場合には、素子nからの/への波形の時間遅延を、式(28)に基づいて計算することができる。
L=アンテナ長さ
N=アンテナ素子の数
【0117】
ホワイト帯域巾制限ガウスノイズを伴う実施例が、送信モードにおいて、式(8)に基づいて計算されて、図20に示されている。図20は、垂直軸2001における放射電力を、水平軸2002における角度θの関数として示している。曲線2003は、64個の素子を伴うケースを視覚化するもので、最大周波数における第1の格子ローブの角度は、矢印2010でマークされた角度±31.6°において明確に見ることができる。曲線2004は、32個の素子を伴うケースを視覚化するもので、最大周波数における2つの第1格子ローブの角度は、各々、矢印2011でマークされた角度±15.0°及び矢印2012でマークされた±31.1°において明確に見ることができる。これら狭帯域格子ローブの角度は、当業者に良く知られた従来の方法により計算される。曲線2005は、16個の素子を伴うケースを視覚化するもので、多数の格子ローブ角度を明確に見ることができる。素子が4個又は4個未満である場合、曲線2006及び2007は、その結果を示す。素子が128以上ある場合、曲線2008を参照、ボアサイトメインローブを伴うケースでは格子ローブ角度が見えない。ボアサイトメインローブは、アンテナアパーチャーの表面に対して垂直な方向を有する。
【0118】
円形アレイの場合には、素子nからの/への波形の時間遅延は、式(29)に基づいて計算することができる。
D=アンテナ直径
N=アンテナ素子の数
【0119】
ホワイト帯域巾制限ガウスノイズを伴う実施例が、送信モードにおいて、式(8)に基づいて計算されて、図21に示されている。図21は、垂直軸2101における放射電力を、水平軸2102における角度θの関数として示している。曲線2103は、4個のアンテナ素子を含み、曲線2104は、16個のアンテナ素子を含み、曲線2105は、64個のアンテナ素子を含み、曲線2106は、128個のアンテナ素子を含み、曲線2107は、256個のアンテナ素子を含み、そして曲線2108は、2048個のアンテナ素子を含む。
【0120】
図20及び21では、格子ローブが生成されない。というのは、それらは、使用するスペクトルの異なる部分に対して異なる角度で位置されるからである。等しい電力分布を伴う固定周波数又は狭帯域アンテナに対するサイドローブレベルは、当業者に良く知られたように、−13dBである。上述した広帯域アレイアンテナに対する同じレベルは、図20において明らかなように、直線アレイに対する約32個の素子に対応する。これは、アンテナ素子間の分離が約65mmであることを意味する。アレイアンテナの電子制御を達成するために、アンテナ素子は、通常、この実施例では瞬時帯域巾Bに等しいシステム帯域巾内の最大周波数の半波長だけ分離される。最大周波数が18GHzのこの実施例では、これは、8.3mmの分離を意味する。従って、アンテナ素子の数は、240となる。この「アレイ希薄化」特徴は、広帯域アレイアンテナが瞬時広帯域波形で動作されたときだけ有効である。
【0121】
従って、システム帯域巾にわたって動作し、少なくとも2つのアンテナ素子(E1−EN)を備えた従来技術による広帯域アレイアンテナ301は、電子システム303に接続されたときに広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御するように構成することができる。このアンテナパターンの制御は、アンテナ素子ごとに個々のものであるパラメータでアレイアンテナと電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成されるように構成される。これらパラメータは、一実施形態では、次の通りである。
・非周波数従属の減衰及び/又は位相シフト
・非周波数従属の減衰及び/又は時間遅延
【0122】
別の実施形態では、これらパラメータは、次の通りである。
・周波数従属の減衰及び/又は位相シフト
・周波数従属の減衰及び/又は時間遅延
【0123】
本発明のこの「アレイ希薄化」実施形態によれば、瞬時帯域巾Bを瞬時に占有する広帯域アレイアンテナは、その広帯域アレイアンテナが瞬時広帯域波形で動作するように構成されたときにそのアレイアンテナのアンテナ素子間の分離をシステム帯域巾内の最大周波数の半波長より上に増加することによって達成され、従って、アンテナパターンに格子ローブが現れることなく、従来のアレイアンテナ設計に比して、必要なアンテナ素子(E1−EN)の数を実質的に減少する。
【0124】
「アレイ希薄化」実施形態を除く本発明の全ての実施形態において、瞬時帯域巾Bは、広いものでも狭いものでもよい。「アレイ希薄化」実施形態は、広い瞬時帯域巾を要求する。
【0125】
瞬時広帯域波形で動作するように構成された広帯域アレイアンテナでは、アレイアンテナのアンテナ素子間の分離は、上述したように、この実施例では瞬時帯域巾Bに等しいシステム帯域巾内の最大周波数の半波長より上に増加することができる。ここに述べる実施例では、固定周波数又は狭帯域アンテナ解決策に比して、アンテナ素子の13%しか要求されない。二次元又は三次元広帯域アレイアンテナでは、アンテナ素子の必要数を更に大きく減少することができる。従って、瞬時帯域巾Bを瞬時に占有する広帯域アレイアンテナは、高い瞬時帯域巾の波形で動作するときに広帯域アレイアンテナのアンテナ素子数を著しく減少した状態で得ることができる。これは、広帯域アレイアンテナのコストを減少するという明確な効果を有する。電子システムへの広帯域アレイアンテナの接続は、直接的に行うこともできるし、或いは変換手段又は他の電子コンポーネントを経て間接的に行うこともできる。
【0126】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で自由に変更することができる。その一例は、図1aに示す実施形態の変形例である。
【0127】
図1aに示す実施形態において、変換ユニットは、各アンテナ素子と電子システムとの間に挿入される。本発明の範囲内でのこの解決策の変形例は、全てのアンテナ素子/サブアレイに対して共通のIFTユニットが使用され、即ち各アンテナ素子/サブアレイからの波形は、各アンテナ素子/サブアレイの離散的FTユニットで処理されるが、各アンテナ素子/サブアレイからのスペクトルコンポーネントqの和は、適当な時間遅延又は位相シフト及び/又は減衰/増幅の後に、共通のIFTユニットで処理されるというものである。
【符号の説明】
【0128】
100・・・第1制御要素、101・・・入力波形、102・・・フーリエ変換(FT)ユニット、110−117・・・スペクトルコンポーネント、120−127・・・時間遅延、130−137・・・減衰/増幅、200・・・第2制御ユニット、201・・・入力波形、202・・・時間遅延、203・・・時間ステップ、215・・・垂直軸、216・・・水平軸、217、218・・・曲線、301・・・広帯域アレイアンテナ、303・・・電子システム、306・・・入力波形、307・・・出力波形、601・・・垂直軸、602、603・・・軸、604・・・アレイアンテナ、605、606・・・端部アンテナ素子、607・・・メインローブ方向、608…距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのアンテナ素子を備え、電子システム(303)に接続された広帯域アレイアンテナ(301)のアンテナパターンを制御する方法であって、該アンテナパターンの制御は、1つ又は多数のメインローブの方向及び/又はアンテナパターンにおける打ち消し方向の制御を含み、該制御は、アンテナ素子ごとに位相シフト又は時間遅延を個々に行ってアンテナ素子と電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成される方法において、
広帯域アレイアンテナ及び変換手段を備えており、
広帯域アレイアンテナがシステム帯域巾にわたって動作し且つ瞬時帯域巾Bで動作する広帯域アレイアンテナユニットが、次のようにして得られることを特徴とする、即ち、前記広帯域アレイアンテナユニットは、
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、前記広帯域アレイアンテナの各アンテナ素子、又は少なくとも2つのアンテナ素子を含むサブアレイ(E1−EN)と、前記電子システム(303)との間に挿入されるか、或いは前記変換手段は、前記アンテナ素子/サブアレイ又は前記電子システムに一体化され、
qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、前記瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)が計算され、そして
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、離散的角周波数ωqにおける前記重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用することにより、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と前記電子システム(303)との間の連続的又はパルス状の波形に影響を及ぼし、
もって、前記瞬時帯域巾Bにわたり前記広帯域アレイアンテナのアンテナパターンの拡張制御を達成することで得られることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記アンテナパターンの拡張制御が、1つ又は多数のメインローブの形状、方向及び巾、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御すると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、周波数従属であって且つ周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)を含む1つのパラメータで、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼす、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)に対する前記時間遅延τ(ω)又は位相シフトφ(ω)の周波数従属性が、スペクトルコンポーネントqごとに標準的な方法に基づいて計算され、これにより、1つ又は多数のメインローブの方向を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定できると共に、1つ又は多数の打ち消し方向を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定できることが達成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、周波数従属であって且つ周波数従属減衰/増幅A(ω)を含む1つのパラメータで、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼす、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)に対する前記減衰/増幅A(ω)の周波数従属性が、スペクトルコンポーネントqごとに標準的な方法に基づいて計算され、これにより、メインローブの巾を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定できることが達成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、周波数従属であって且つ周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)及び周波数従属減衰/増幅A(ω)を含む2つのパラメータで、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼす、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)及び周波数従属減衰/増幅A(ω)を使用することにより各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼし、これらパラメータは、各アンテナ素子又はサブアレイに対して個々にあり、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システムとの間の各波形は、周波数従属重み付け関数W(ω)に応答して周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)及び周波数従属減衰A(ω)によって影響される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記時間遅延τ(ω)の周波数従属性又は位相シフトφ(ω)の周波数従属性及び減衰/増幅A(ω)の周波数従属性が、スペクトルコンポーネントqごとに標準的な方法に基づいて計算され、これにより、メインローブの方向及び巾を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定できると共に、1つ又は多数の打ち消し方向を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定できることが達成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、フーリエ変換(FT)ユニット(102)を備え、該FTユニットは、各変換ユニットへの入力波形sin(t)(101)をQ個のスペクトルコンポーネント0ないしQ−1(110-117)へ分割することを行い、各スペクトルコンポーネントは、中心周波数fqを有し、前記周波数従属パラメータ、時間遅延τq及び/又は減衰/増幅αqは、時間遅延及び/又は減衰/増幅手段を通して各スペクトルコンポーネントqに影響を及ぼし、全てのスペクトルコンポーネントは、逆フーリエ変換(IFT)ユニット(103)へ供給され、該ユニットは、全てのスペクトルコンポーネントを時間ドメインへ戻すように変換して、各変換手段から出力波形sout(t)(104)を発生する、請求項3〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記入力波形sin(t)が、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)から受け取られ、前記出力波形sout(t)は、電子システム(303)へ供給され、前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)に変換するために第1又は第3の制御要素(100,150)が変換手段として使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記入力波形sin(t)は、前記電子システム(303)の波形ジェネレータから受け取られ、前記出力波形sout(t)は、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)へ供給され、そして前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)に変換するために第1、第3又は第4の制御要素(100,150)が変換手段として使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記変換手段(200)が、入力波形sin(m・T)(201)を受け取り、
この入力波形は、Q−1個の時間ステップT(203)で次々に時間遅延され、1からQ−1まで番号付けされ、そして入力波形sin(m・T)の時間遅延されたコピーとなり、
アンテナ素子nに対する重み付け係数wn,0からwn,Q−1を含むQ個のパラメータであって、アンテナ素子番号を表す第1のインデックスと、スペクトルコンポーネントを表す連続番号qで、0からQ−1の範囲の第2のインデックスとの2つのインデックスで識別されるQ個のパラメータは、q個のコンポーネントにおいて瞬時帯域巾Bを分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqに対してW(ωq)の逆フーリエ変換(IFT)として計算され、この計算は、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、標準的な方法を使用し、且つ各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して遂行され、
前記入力波形sin(m・T)は、第1の重み付け係数wn,0で乗算され、且つ前記入力波形の各時間遅延されたコピーは、その入力波形の時間遅延されたコピーに含まれた時間ステップ遅延Tの数と同じ第2インデックスを有する重み付け係数で次々に乗算され、各乗算の結果は、出力波形(207)sout(m・T)へと加算される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
一連の重み付け係数wn,0からwn,Q−1における最初のx重み付け係数及び最後のy重み付け係数をゼロにセットし、最初のx時間遅延Tを、x・Tに等しい時間遅延D202へ統合すると共に、最後のy乗算を除外して、必要な演算の数をQ個未満の演算へと減少させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
1つの入力信号sin(m・T)が各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)から放出され、出力波形sout(m・T)が前記電子システム(303)へと供給され、更に、前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)へ変換するために第2の制御要素(200)が変換手段として使用される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)に対する1つの入力波形sin(m・T)が前記電子システム(303)の波形ジェネレータから放出され、各出力波形sout(m・T)がアンテナ素子又はサブアレイに供給され、更に、前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)へ変換するために第2の制御要素(200)又は第4の制御要素が変換手段として使用される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項17】
当該方法は、
波形データを指定するステップ(1901)と、
qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、前記瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)を計算するステップ(1903)と、
第1又は第3の制御要素(100,150)を使用して周波数ドメイン(1908)でアレイアンテナを実現化し、又は第2の制御要素(200)を使用して時間ドメイン(1909)でアレイアンテナを実現化し、又は直接デジタル合成(DDS)ユニット(1910)を含む第4の制御要素を使用してアレイアンテナを実現化するステップ(1907)と、
を備える請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の前記波形は、パルス状の波形又は連続的な波形である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記広帯域アレイアンテナユニットは、アナログ変換手段(150)を使用して実現化される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも2つのアンテナ素子(E1−EN)を備え、電子システム(303)に接続された広帯域アレイアンテナ(301)のアンテナパターンを制御するように構成された広帯域アレイアンテナユニットであって、前記アンテナパターンの制御は、1つ又は多数のメインローブの方向及び/又はアンテナパターンにおける打ち消し方向の制御を含み、このアンテナパターンの制御は、アンテナ素子ごとに位相シフト又は時間遅延を個々に行ってアンテナ素子と電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成されるように構成された広帯域アレイアンテナユニットにおいて、
広帯域アレイアンテナ及び変換手段を備えており、
前記広帯域アレイアンテナがシステム帯域巾にわたって動作し且つ瞬時帯域巾Bで動作するように構成された当該広帯域アレイアンテナユニットが、次のようにして得られることを特徴とする、即ち、当該広帯域アレイアンテナユニットは、
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、前記広帯域アレイアンテナの各アンテナ素子、又は少なくとも2つのアンテナ素子を含むサブアレイ(E1−EN)と、前記電子システム(303)との間に挿入されるように構成されるか、或いは前記変換手段は、前記アンテナ素子/サブアレイ又は前記電子システムに一体化され、
qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、前記瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)を計算するように構成され、そして
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、離散的角周波数ωqにおける前記重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用することにより、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と前記電子システム(303)との間の連続的又はパルス状の波形に影響を及ぼすように構成され、
もって、前記瞬時帯域巾Bにわたり前記広帯域アレイアンテナのアンテナパターンの拡張制御を達成することで得られることを特徴とする、広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項21】
前記アンテナパターンの拡張制御は、1つ又は多数のメインローブの形状、方向及び巾、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御すると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成するための手段を含む、請求項20に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項22】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)は、周波数従属であって且つ周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)を含む1つのパラメータで、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼすように構成される、請求項20又は21に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項23】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)に対する前記時間遅延τ(ω)又は位相シフトφ(ω)の周波数従属性は、スペクトルコンポーネントqごとに標準的な方法に基づいて計算されるように構成され、これにより、1つ又は多数のメインローブの方向を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定するように構成できると共に、1つ又は多数の打ち消し方向を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定するように構成できることが達成される、請求項22に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項24】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)は、周波数従属であって且つ周波数従属減衰/増幅A(ω)を含む1つのパラメータで、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼすように構成される、請求項20又は21に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項25】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)に対する前記減衰/増幅A(ω)の周波数従属性は、スペクトルコンポーネントqごとに標準的な方法に基づいて計算されるよう構成され、これにより、メインローブの巾を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定するよう構成できることが達成される、請求項24に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項26】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)は、周波数従属であって且つ周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)及び周波数従属減衰/増幅A(ω)を含む2つのパラメータで、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼすように構成される、請求項20又は21に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項27】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)は、周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)及び周波数従属減衰/増幅A(ω)を使用することにより、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼすように構成され、これらパラメータは、各アンテナ素子又はサブアレイに対して個々にあり、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システムとの間の各波形は、周波数従属の重み付け関数W(ω)に応答して、周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)及び周波数従属減衰A(ω)によって影響される、請求項26に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項28】
前記時間遅延τ(ω)の周波数従属性又は位相シフトφ(ω)の周波数従属性及び減衰/増幅A(ω)の周波数従属性は、スペクトルコンポーネントqごとに標準的な方法に基づいて計算されるように構成され、これにより、メインローブの方向及び巾を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定するように構成できると共に、1つ又は多数の打ち消し方向を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定するように構成できることが達成される、請求項27に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項29】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)は、フーリエ変換(FT)ユニット(102)を備え、該FTユニットは、各変換ユニットへの入力波形sin(t)(101)をQ個のスペクトルコンポーネント0ないしQ−1(110-117)へ分割することを行い、各スペクトルコンポーネントは、中心周波数fqを有し、前記周波数従属パラメータ、時間遅延τq及び/又は減衰/増幅αqは、時間遅延及び/又は減衰/増幅手段を通して各スペクトルコンポーネントqに影響を及ぼすように構成され、全てのスペクトルコンポーネントは、逆フーリエ変換(IFT)ユニット(103)へ供給され、該ユニットは、全てのスペクトルコンポーネントを時間ドメインへ戻すように変換して、各変換手段から出力波形sout(t)(104)を発生するように構成される、請求項22〜28のいずれか一項に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項30】
前記入力波形sin(t)は、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)から受け取られるように構成され、前記出力波形sout(t)は、電子システム(303)へ供給され、前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)に変換するために第1又は第3の制御要素(100,150)が変換手段として使用されるように構成される、請求項29に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項31】
前記入力波形sin(t)は、前記電子システム(303)の波形ジェネレータから受け取られるように構成され、前記出力波形sout(t)は、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)へ供給され、そして前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)に変換するために第1、第3又は第4の制御要素(100,150)が変換手段として使用されるように構成される、請求項29に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項32】
前記変換手段(200)は、入力波形sin(m・T)(201)を受け取るように構成され、
前記入力波形は、Q−1個の時間ステップT(203)で次々に時間遅延され、1からQ−1まで番号付けされ、そして前記入力波形sin(m・T)の時間遅延されたコピーとなるように構成され、
アンテナ素子nに対する重み付け係数wn,0からwn,Q−1を含むQ個のパラメータであって、アンテナ素子番号を表す第1のインデックスと、スペクトルコンポーネントを表す連続番号qで、0からQ−1の範囲の第2のインデックスとの2つのインデックスで識別されるQ個のパラメータは、q個のコンポーネントにおいて瞬時帯域巾Bを分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqに対してW(ωq)の逆フーリエ変換(IFT)として計算されるように構成され、この計算は、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、標準的な方法を使用し、且つ各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して遂行され、
前記入力波形sin(m・T)は、第1の重み付け係数wn,0で乗算されるように構成され、且つ前記入力波形の各時間遅延されたコピーは、その入力波形の時間遅延されたコピーに含まれた時間ステップ遅延Tの数と同じ第2インデックスを有する重み付け係数で次々に乗算されるように構成され、各乗算の結果は、出力波形(207)sout(m・T)へと加算されるように構成される、請求項20又は21に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項33】
一連の重み付け係数wn,0からwn,Q−1における最初のx重み付け係数及び最後のy重み付け係数をゼロにセットするように構成され、最初のx時間遅延Tを、x・Tに等しい時間遅延D202へ統合するように構成されると共に、最後のy乗算を除外して、必要な演算の数をQ個未満の演算へと減少させる、請求項32に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項34】
1つの入力波形sin(m・T)が各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)から放出されるように構成され、出力波形sout(m・T)が前記電子システム(303)へと供給され、更に、前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)へ変換するために第2の制御要素(200)が変換手段として使用されるように構成される、請求項32又は33に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項35】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)に対する1つの入力波形sin(m・T)が前記電子システム(303)の波形ジェネレータから放出されるように構成され、各出力波形sout(m・T)がアンテナ素子又はサブアレイに供給され、更に、前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)へ変換するために第2の制御要素(200)又は第4の制御要素が変換手段として使用されるように構成される、請求項32又は33に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項36】
前記広帯域アレイアンテナユニットは、
波形データを指定し(1901)、
qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、前記瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)を計算し(1903)、
第1又は第3の制御要素(100,150)を使用して周波数ドメイン(1908)でアレイアンテナを実現化し(1907)、又は第2の制御要素(200)を使用して時間ドメイン(1909)でアレイアンテナを実現化し、又は直接デジタル合成(DDS)ユニット(1910)を含む第4の制御要素を使用してアレイアンテナを実現化する、
ための手段を備えた、請求項20〜35のいずれか一項に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項37】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の前記波形は、パルス状の波形又は連続的な波形であるように構成される、請求項20〜36のいずれか一項に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項38】
当該広帯域アレイアンテナユニットは、アナログ変換手段(150)を使用して実現化される、請求項20〜29のいずれか一項に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項39】
電子システム(303)に接続されたアンテナシステムのアンテナパターンを制御するように構成された変換手段であって、アンテナシステムは、少なくとも2つのアンテナ素子を含み、前記アンテナパターンの制御は、1つ又は多数のメインローブの方向及び/又はアンテナパターンにおける打ち消し方向の制御を含み、この制御は、アンテナ素子ごとに位相シフト又は時間遅延を個々に行ってアンテナ素子と電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成されるように構成された変換手段において、
瞬時帯域巾Bを占有するように構成されたアンテナパターンの拡張制御が、次のようにして得られることを特徴とする、即ち、前記アンテナパターンの拡張制御は、
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、前記アンテナシステムのアンテナ素子、又は少なくとも2つのアンテナ素子を含むサブアレイ(E1−EN)、の少なくとも1つを除く全部と、前記電子システム(303)との間に挿入されるように構成されるか、又は前記変換手段は、前記アンテナ素子/サブアレイ又は前記電子システムに一体化され、
qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、前記瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)を計算するように構成され、そして
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、離散的角周波数ωqにおける前記重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用することにより、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)の少なくとも1つを除く全部と前記電子システム(303)との間の連続的又はパルス状の波形に影響を及ぼすように構成され、
もって、前記瞬時帯域巾Bにわたり前記アンテナシステムのアンテナパターンの拡張制御を達成することで得られることを特徴とする、変換手段。
【請求項40】
前記アンテナパターンの拡張制御は、1つ又は多数のメインローブの形状、方向及び巾、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御すると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成するための手段を含む、請求項39に記載の変換手段。
【請求項41】
前記アンテナシステムは、少なくとも2つのアンテナ素子を伴うアレイアンテナ、又はメインアンテナと、少なくとも1つのアンテナ素子又はサブアレイを各々含む補助アンテナとを備える、請求項39に記載の変換手段。
【請求項42】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、フーリエ変換(FT)ユニット(102)を備え、該FTユニットは、各変換ユニットへの入力波形sin(t)(101)をQ個のスペクトルコンポーネント0ないしQ−1(110-117)へ分割することを行うよう構成され、各スペクトルコンポーネントは、中心周波数fqを有し、前記周波数従属パラメータ、時間遅延τq及び/又は減衰/増幅αqは、時間遅延及び/又は減衰/増幅手段を通して各スペクトルコンポーネントqに影響を及ぼすよう構成され、全てのスペクトルコンポーネントは、逆フーリエ変換(IFT)ユニット(103)に接続され、該ユニットは、全てのスペクトルコンポーネントを時間ドメインへ戻すように変換し、各変換手段から出力波形sout(t)(104)を発生するよう構成される、請求項40又は41に記載の変換手段。
【請求項43】
前記変換手段(200)が、入力波形sin(m・T)(201)を受け取るように構成され、
前記入力波形は、Q−1個の時間ステップT(203)で次々に時間遅延され、1からQ−1まで番号付けされ、そして前記入力波形sin(m・T)の時間遅延されたコピーとなるように構成され、
アンテナ素子nに対する重み付け係数wn,0からwn,Q−1を含むQ個のパラメータであって、アンテナ素子番号を表す第1のインデックスと、スペクトルコンポーネントを表す連続番号qで、0からQ−1の範囲の第2のインデックスとの2つのインデックスで識別されるQ個のパラメータは、q個のコンポーネントにおいて瞬時帯域巾Bを分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqに対してW(ωq)の逆フーリエ変換(IFT)として計算されるように構成され、この計算は、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、標準的な方法を使用し、且つ各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して遂行され、
前記入力波形sin(m・T)は、第1の重み付け係数wn,0で乗算されるように構成され、且つ前記入力波形の各時間遅延されたコピーは、その入力波形の時間遅延されたコピーに含まれた時間ステップ遅延Tの数と同じ第2インデックスを有する重み付け係数で次々に乗算されるように構成され、各乗算の結果は、出力波形(207)sout(m・T)へと加算されるように構成される、請求項40又は41に記載の変換手段。
【請求項44】
少なくとも2つのアンテナ素子(E1−EN)を含み、システム帯域巾にわたって動作するように構成された広帯域アレイアンテナ(301)であって、該広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御するように構成され、更に、電子システムに接続され、前記アンテナパターンの制御は、アンテナ素子ごとにパラメータが個々にあるようにして広帯域アレイアンテナと電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成されるように構成された広帯域アレイアンテナにおいて、
該広帯域アレイアンテナが瞬時広帯域波形で動作するように構成されたときに、該広帯域アレイアンテナのアンテナ素子間の分離を、従来のアレイアンテナ設計に比して、システム帯域巾内の最大周波数の半波長より上に増加することにより、該広帯域アレイアンテナが瞬時帯域巾Bを有する波形で動作するように構成され、これにより、アンテナパターンに格子ローブが現れることなく、アンテナ素子(E1−EN)の数が実質的に減少されることを特徴とする、広帯域アレイアンテナ。
【請求項45】
前記パラメータは、非周波数従属である、請求項44に記載の広帯域アレイアンテナ。
【請求項46】
前記パラメータは、周波数従属である、請求項44に記載の広帯域アレイアンテナ。
【請求項1】
少なくとも2つのアンテナ素子を備え、電子システム(303)に接続された広帯域アレイアンテナ(301)のアンテナパターンを制御する方法であって、該アンテナパターンの制御は、1つ又は多数のメインローブの方向及び/又はアンテナパターンにおける打ち消し方向の制御を含み、該制御は、アンテナ素子ごとに位相シフト又は時間遅延を個々に行ってアンテナ素子と電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成される方法において、
広帯域アレイアンテナ及び変換手段を備えており、
広帯域アレイアンテナがシステム帯域巾にわたって動作し且つ瞬時帯域巾Bで動作する広帯域アレイアンテナユニットが、次のようにして得られることを特徴とする、即ち、前記広帯域アレイアンテナユニットは、
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、前記広帯域アレイアンテナの各アンテナ素子、又は少なくとも2つのアンテナ素子を含むサブアレイ(E1−EN)と、前記電子システム(303)との間に挿入されるか、或いは前記変換手段は、前記アンテナ素子/サブアレイ又は前記電子システムに一体化され、
qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、前記瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)が計算され、そして
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、離散的角周波数ωqにおける前記重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用することにより、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と前記電子システム(303)との間の連続的又はパルス状の波形に影響を及ぼし、
もって、前記瞬時帯域巾Bにわたり前記広帯域アレイアンテナのアンテナパターンの拡張制御を達成することで得られることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記アンテナパターンの拡張制御が、1つ又は多数のメインローブの形状、方向及び巾、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御すると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、周波数従属であって且つ周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)を含む1つのパラメータで、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼす、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)に対する前記時間遅延τ(ω)又は位相シフトφ(ω)の周波数従属性が、スペクトルコンポーネントqごとに標準的な方法に基づいて計算され、これにより、1つ又は多数のメインローブの方向を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定できると共に、1つ又は多数の打ち消し方向を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定できることが達成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、周波数従属であって且つ周波数従属減衰/増幅A(ω)を含む1つのパラメータで、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼす、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)に対する前記減衰/増幅A(ω)の周波数従属性が、スペクトルコンポーネントqごとに標準的な方法に基づいて計算され、これにより、メインローブの巾を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定できることが達成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、周波数従属であって且つ周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)及び周波数従属減衰/増幅A(ω)を含む2つのパラメータで、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼす、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)及び周波数従属減衰/増幅A(ω)を使用することにより各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼし、これらパラメータは、各アンテナ素子又はサブアレイに対して個々にあり、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システムとの間の各波形は、周波数従属重み付け関数W(ω)に応答して周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)及び周波数従属減衰A(ω)によって影響される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記時間遅延τ(ω)の周波数従属性又は位相シフトφ(ω)の周波数従属性及び減衰/増幅A(ω)の周波数従属性が、スペクトルコンポーネントqごとに標準的な方法に基づいて計算され、これにより、メインローブの方向及び巾を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定できると共に、1つ又は多数の打ち消し方向を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定できることが達成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、フーリエ変換(FT)ユニット(102)を備え、該FTユニットは、各変換ユニットへの入力波形sin(t)(101)をQ個のスペクトルコンポーネント0ないしQ−1(110-117)へ分割することを行い、各スペクトルコンポーネントは、中心周波数fqを有し、前記周波数従属パラメータ、時間遅延τq及び/又は減衰/増幅αqは、時間遅延及び/又は減衰/増幅手段を通して各スペクトルコンポーネントqに影響を及ぼし、全てのスペクトルコンポーネントは、逆フーリエ変換(IFT)ユニット(103)へ供給され、該ユニットは、全てのスペクトルコンポーネントを時間ドメインへ戻すように変換して、各変換手段から出力波形sout(t)(104)を発生する、請求項3〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記入力波形sin(t)が、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)から受け取られ、前記出力波形sout(t)は、電子システム(303)へ供給され、前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)に変換するために第1又は第3の制御要素(100,150)が変換手段として使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記入力波形sin(t)は、前記電子システム(303)の波形ジェネレータから受け取られ、前記出力波形sout(t)は、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)へ供給され、そして前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)に変換するために第1、第3又は第4の制御要素(100,150)が変換手段として使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記変換手段(200)が、入力波形sin(m・T)(201)を受け取り、
この入力波形は、Q−1個の時間ステップT(203)で次々に時間遅延され、1からQ−1まで番号付けされ、そして入力波形sin(m・T)の時間遅延されたコピーとなり、
アンテナ素子nに対する重み付け係数wn,0からwn,Q−1を含むQ個のパラメータであって、アンテナ素子番号を表す第1のインデックスと、スペクトルコンポーネントを表す連続番号qで、0からQ−1の範囲の第2のインデックスとの2つのインデックスで識別されるQ個のパラメータは、q個のコンポーネントにおいて瞬時帯域巾Bを分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqに対してW(ωq)の逆フーリエ変換(IFT)として計算され、この計算は、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、標準的な方法を使用し、且つ各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して遂行され、
前記入力波形sin(m・T)は、第1の重み付け係数wn,0で乗算され、且つ前記入力波形の各時間遅延されたコピーは、その入力波形の時間遅延されたコピーに含まれた時間ステップ遅延Tの数と同じ第2インデックスを有する重み付け係数で次々に乗算され、各乗算の結果は、出力波形(207)sout(m・T)へと加算される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
一連の重み付け係数wn,0からwn,Q−1における最初のx重み付け係数及び最後のy重み付け係数をゼロにセットし、最初のx時間遅延Tを、x・Tに等しい時間遅延D202へ統合すると共に、最後のy乗算を除外して、必要な演算の数をQ個未満の演算へと減少させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
1つの入力信号sin(m・T)が各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)から放出され、出力波形sout(m・T)が前記電子システム(303)へと供給され、更に、前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)へ変換するために第2の制御要素(200)が変換手段として使用される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)に対する1つの入力波形sin(m・T)が前記電子システム(303)の波形ジェネレータから放出され、各出力波形sout(m・T)がアンテナ素子又はサブアレイに供給され、更に、前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)へ変換するために第2の制御要素(200)又は第4の制御要素が変換手段として使用される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項17】
当該方法は、
波形データを指定するステップ(1901)と、
qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、前記瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)を計算するステップ(1903)と、
第1又は第3の制御要素(100,150)を使用して周波数ドメイン(1908)でアレイアンテナを実現化し、又は第2の制御要素(200)を使用して時間ドメイン(1909)でアレイアンテナを実現化し、又は直接デジタル合成(DDS)ユニット(1910)を含む第4の制御要素を使用してアレイアンテナを実現化するステップ(1907)と、
を備える請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の前記波形は、パルス状の波形又は連続的な波形である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記広帯域アレイアンテナユニットは、アナログ変換手段(150)を使用して実現化される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも2つのアンテナ素子(E1−EN)を備え、電子システム(303)に接続された広帯域アレイアンテナ(301)のアンテナパターンを制御するように構成された広帯域アレイアンテナユニットであって、前記アンテナパターンの制御は、1つ又は多数のメインローブの方向及び/又はアンテナパターンにおける打ち消し方向の制御を含み、このアンテナパターンの制御は、アンテナ素子ごとに位相シフト又は時間遅延を個々に行ってアンテナ素子と電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成されるように構成された広帯域アレイアンテナユニットにおいて、
広帯域アレイアンテナ及び変換手段を備えており、
前記広帯域アレイアンテナがシステム帯域巾にわたって動作し且つ瞬時帯域巾Bで動作するように構成された当該広帯域アレイアンテナユニットが、次のようにして得られることを特徴とする、即ち、当該広帯域アレイアンテナユニットは、
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、前記広帯域アレイアンテナの各アンテナ素子、又は少なくとも2つのアンテナ素子を含むサブアレイ(E1−EN)と、前記電子システム(303)との間に挿入されるように構成されるか、或いは前記変換手段は、前記アンテナ素子/サブアレイ又は前記電子システムに一体化され、
qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、前記瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)を計算するように構成され、そして
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、離散的角周波数ωqにおける前記重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用することにより、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と前記電子システム(303)との間の連続的又はパルス状の波形に影響を及ぼすように構成され、
もって、前記瞬時帯域巾Bにわたり前記広帯域アレイアンテナのアンテナパターンの拡張制御を達成することで得られることを特徴とする、広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項21】
前記アンテナパターンの拡張制御は、1つ又は多数のメインローブの形状、方向及び巾、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御すると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成するための手段を含む、請求項20に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項22】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)は、周波数従属であって且つ周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)を含む1つのパラメータで、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼすように構成される、請求項20又は21に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項23】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)に対する前記時間遅延τ(ω)又は位相シフトφ(ω)の周波数従属性は、スペクトルコンポーネントqごとに標準的な方法に基づいて計算されるように構成され、これにより、1つ又は多数のメインローブの方向を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定するように構成できると共に、1つ又は多数の打ち消し方向を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定するように構成できることが達成される、請求項22に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項24】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)は、周波数従属であって且つ周波数従属減衰/増幅A(ω)を含む1つのパラメータで、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼすように構成される、請求項20又は21に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項25】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)に対する前記減衰/増幅A(ω)の周波数従属性は、スペクトルコンポーネントqごとに標準的な方法に基づいて計算されるよう構成され、これにより、メインローブの巾を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定するよう構成できることが達成される、請求項24に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項26】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)は、周波数従属であって且つ周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)及び周波数従属減衰/増幅A(ω)を含む2つのパラメータで、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼすように構成される、請求項20又は21に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項27】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)は、周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)及び周波数従属減衰/増幅A(ω)を使用することにより、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の波形に影響を及ぼすように構成され、これらパラメータは、各アンテナ素子又はサブアレイに対して個々にあり、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システムとの間の各波形は、周波数従属の重み付け関数W(ω)に応答して、周波数従属時間遅延τ(ω)又は周波数従属位相シフトφ(ω)及び周波数従属減衰A(ω)によって影響される、請求項26に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項28】
前記時間遅延τ(ω)の周波数従属性又は位相シフトφ(ω)の周波数従属性及び減衰/増幅A(ω)の周波数従属性は、スペクトルコンポーネントqごとに標準的な方法に基づいて計算されるように構成され、これにより、メインローブの方向及び巾を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定するように構成できると共に、1つ又は多数の打ち消し方向を瞬時帯域巾Bにわたって制御し且つ固定するように構成できることが達成される、請求項27に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項29】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)は、フーリエ変換(FT)ユニット(102)を備え、該FTユニットは、各変換ユニットへの入力波形sin(t)(101)をQ個のスペクトルコンポーネント0ないしQ−1(110-117)へ分割することを行い、各スペクトルコンポーネントは、中心周波数fqを有し、前記周波数従属パラメータ、時間遅延τq及び/又は減衰/増幅αqは、時間遅延及び/又は減衰/増幅手段を通して各スペクトルコンポーネントqに影響を及ぼすように構成され、全てのスペクトルコンポーネントは、逆フーリエ変換(IFT)ユニット(103)へ供給され、該ユニットは、全てのスペクトルコンポーネントを時間ドメインへ戻すように変換して、各変換手段から出力波形sout(t)(104)を発生するように構成される、請求項22〜28のいずれか一項に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項30】
前記入力波形sin(t)は、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)から受け取られるように構成され、前記出力波形sout(t)は、電子システム(303)へ供給され、前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)に変換するために第1又は第3の制御要素(100,150)が変換手段として使用されるように構成される、請求項29に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項31】
前記入力波形sin(t)は、前記電子システム(303)の波形ジェネレータから受け取られるように構成され、前記出力波形sout(t)は、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)へ供給され、そして前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)に変換するために第1、第3又は第4の制御要素(100,150)が変換手段として使用されるように構成される、請求項29に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項32】
前記変換手段(200)は、入力波形sin(m・T)(201)を受け取るように構成され、
前記入力波形は、Q−1個の時間ステップT(203)で次々に時間遅延され、1からQ−1まで番号付けされ、そして前記入力波形sin(m・T)の時間遅延されたコピーとなるように構成され、
アンテナ素子nに対する重み付け係数wn,0からwn,Q−1を含むQ個のパラメータであって、アンテナ素子番号を表す第1のインデックスと、スペクトルコンポーネントを表す連続番号qで、0からQ−1の範囲の第2のインデックスとの2つのインデックスで識別されるQ個のパラメータは、q個のコンポーネントにおいて瞬時帯域巾Bを分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqに対してW(ωq)の逆フーリエ変換(IFT)として計算されるように構成され、この計算は、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、標準的な方法を使用し、且つ各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して遂行され、
前記入力波形sin(m・T)は、第1の重み付け係数wn,0で乗算されるように構成され、且つ前記入力波形の各時間遅延されたコピーは、その入力波形の時間遅延されたコピーに含まれた時間ステップ遅延Tの数と同じ第2インデックスを有する重み付け係数で次々に乗算されるように構成され、各乗算の結果は、出力波形(207)sout(m・T)へと加算されるように構成される、請求項20又は21に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項33】
一連の重み付け係数wn,0からwn,Q−1における最初のx重み付け係数及び最後のy重み付け係数をゼロにセットするように構成され、最初のx時間遅延Tを、x・Tに等しい時間遅延D202へ統合するように構成されると共に、最後のy乗算を除外して、必要な演算の数をQ個未満の演算へと減少させる、請求項32に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項34】
1つの入力波形sin(m・T)が各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)から放出されるように構成され、出力波形sout(m・T)が前記電子システム(303)へと供給され、更に、前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)へ変換するために第2の制御要素(200)が変換手段として使用されるように構成される、請求項32又は33に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項35】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)に対する1つの入力波形sin(m・T)が前記電子システム(303)の波形ジェネレータから放出されるように構成され、各出力波形sout(m・T)がアンテナ素子又はサブアレイに供給され、更に、前記入力波形sin(t)を前記出力波形sout(t)へ変換するために第2の制御要素(200)又は第4の制御要素が変換手段として使用されるように構成される、請求項32又は33に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項36】
前記広帯域アレイアンテナユニットは、
波形データを指定し(1901)、
qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、前記瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)を計算し(1903)、
第1又は第3の制御要素(100,150)を使用して周波数ドメイン(1908)でアレイアンテナを実現化し(1907)、又は第2の制御要素(200)を使用して時間ドメイン(1909)でアレイアンテナを実現化し、又は直接デジタル合成(DDS)ユニット(1910)を含む第4の制御要素を使用してアレイアンテナを実現化する、
ための手段を備えた、請求項20〜35のいずれか一項に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項37】
各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)と電子システム(303)との間の前記波形は、パルス状の波形又は連続的な波形であるように構成される、請求項20〜36のいずれか一項に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項38】
当該広帯域アレイアンテナユニットは、アナログ変換手段(150)を使用して実現化される、請求項20〜29のいずれか一項に記載の広帯域アレイアンテナユニット。
【請求項39】
電子システム(303)に接続されたアンテナシステムのアンテナパターンを制御するように構成された変換手段であって、アンテナシステムは、少なくとも2つのアンテナ素子を含み、前記アンテナパターンの制御は、1つ又は多数のメインローブの方向及び/又はアンテナパターンにおける打ち消し方向の制御を含み、この制御は、アンテナ素子ごとに位相シフト又は時間遅延を個々に行ってアンテナ素子と電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成されるように構成された変換手段において、
瞬時帯域巾Bを占有するように構成されたアンテナパターンの拡張制御が、次のようにして得られることを特徴とする、即ち、前記アンテナパターンの拡張制御は、
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、前記アンテナシステムのアンテナ素子、又は少なくとも2つのアンテナ素子を含むサブアレイ(E1−EN)、の少なくとも1つを除く全部と、前記電子システム(303)との間に挿入されるように構成されるか、又は前記変換手段は、前記アンテナ素子/サブアレイ又は前記電子システムに一体化され、
qを0からQ−1の範囲の整数インデックスとすれば、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して標準的な方法を使用して、前記瞬時帯域巾Bをq個のコンポーネントにおいて分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqについての重み付け関数W(ω)を計算するように構成され、そして
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、離散的角周波数ωqにおける前記重み付け関数W(ω)から計算された1つ又は多数のパラメータを使用することにより、各アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)の少なくとも1つを除く全部と前記電子システム(303)との間の連続的又はパルス状の波形に影響を及ぼすように構成され、
もって、前記瞬時帯域巾Bにわたり前記アンテナシステムのアンテナパターンの拡張制御を達成することで得られることを特徴とする、変換手段。
【請求項40】
前記アンテナパターンの拡張制御は、1つ又は多数のメインローブの形状、方向及び巾、並びに異なる方向におけるサイドローブレベルのような特性を制御すると共に、アンテナパターンにおいて多数の広帯域打ち消し方向を生成するための手段を含む、請求項39に記載の変換手段。
【請求項41】
前記アンテナシステムは、少なくとも2つのアンテナ素子を伴うアレイアンテナ、又はメインアンテナと、少なくとも1つのアンテナ素子又はサブアレイを各々含む補助アンテナとを備える、請求項39に記載の変換手段。
【請求項42】
前記変換手段(100,200,150,Tr1−TrN)が、フーリエ変換(FT)ユニット(102)を備え、該FTユニットは、各変換ユニットへの入力波形sin(t)(101)をQ個のスペクトルコンポーネント0ないしQ−1(110-117)へ分割することを行うよう構成され、各スペクトルコンポーネントは、中心周波数fqを有し、前記周波数従属パラメータ、時間遅延τq及び/又は減衰/増幅αqは、時間遅延及び/又は減衰/増幅手段を通して各スペクトルコンポーネントqに影響を及ぼすよう構成され、全てのスペクトルコンポーネントは、逆フーリエ変換(IFT)ユニット(103)に接続され、該ユニットは、全てのスペクトルコンポーネントを時間ドメインへ戻すように変換し、各変換手段から出力波形sout(t)(104)を発生するよう構成される、請求項40又は41に記載の変換手段。
【請求項43】
前記変換手段(200)が、入力波形sin(m・T)(201)を受け取るように構成され、
前記入力波形は、Q−1個の時間ステップT(203)で次々に時間遅延され、1からQ−1まで番号付けされ、そして前記入力波形sin(m・T)の時間遅延されたコピーとなるように構成され、
アンテナ素子nに対する重み付け係数wn,0からwn,Q−1を含むQ個のパラメータであって、アンテナ素子番号を表す第1のインデックスと、スペクトルコンポーネントを表す連続番号qで、0からQ−1の範囲の第2のインデックスとの2つのインデックスで識別されるQ個のパラメータは、q個のコンポーネントにおいて瞬時帯域巾Bを分割することから生じるQ個のスペクトルコンポーネントqに対してW(ωq)の逆フーリエ変換(IFT)として計算されるように構成され、この計算は、アンテナ素子又はサブアレイ(E1−EN)ごとに、標準的な方法を使用し、且つ各スペクトルコンポーネントの中心周波数fqに対して有効な設計要求を考慮して遂行され、
前記入力波形sin(m・T)は、第1の重み付け係数wn,0で乗算されるように構成され、且つ前記入力波形の各時間遅延されたコピーは、その入力波形の時間遅延されたコピーに含まれた時間ステップ遅延Tの数と同じ第2インデックスを有する重み付け係数で次々に乗算されるように構成され、各乗算の結果は、出力波形(207)sout(m・T)へと加算されるように構成される、請求項40又は41に記載の変換手段。
【請求項44】
少なくとも2つのアンテナ素子(E1−EN)を含み、システム帯域巾にわたって動作するように構成された広帯域アレイアンテナ(301)であって、該広帯域アレイアンテナのアンテナパターンを制御するように構成され、更に、電子システムに接続され、前記アンテナパターンの制御は、アンテナ素子ごとにパラメータが個々にあるようにして広帯域アレイアンテナと電子システムとの間の波形に影響を及ぼすことにより達成されるように構成された広帯域アレイアンテナにおいて、
該広帯域アレイアンテナが瞬時広帯域波形で動作するように構成されたときに、該広帯域アレイアンテナのアンテナ素子間の分離を、従来のアレイアンテナ設計に比して、システム帯域巾内の最大周波数の半波長より上に増加することにより、該広帯域アレイアンテナが瞬時帯域巾Bを有する波形で動作するように構成され、これにより、アンテナパターンに格子ローブが現れることなく、アンテナ素子(E1−EN)の数が実質的に減少されることを特徴とする、広帯域アレイアンテナ。
【請求項45】
前記パラメータは、非周波数従属である、請求項44に記載の広帯域アレイアンテナ。
【請求項46】
前記パラメータは、周波数従属である、請求項44に記載の広帯域アレイアンテナ。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−188999(P2009−188999A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−10945(P2009−10945)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(500387249)サーブ アクティエボラーグ (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10945(P2009−10945)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(500387249)サーブ アクティエボラーグ (8)
【Fターム(参考)】
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