説明

廃棄物処理プラントにおける潜在的汚染物質のレベルを制御するシステム

本発明は、廃棄物処理プラントの入口で、特定の化学物質(廃棄物中に検出された塩素)のレベルに従って、稼働状態で廃棄物を選別する装置及び方法である。装置は、好ましくは事前設定された限度に達するまで、廃棄物を秤量モジュールに提供する廃棄物入口を有する。次に、この廃棄物のコントロールボリュームが、コントロールボリューム中の特定の化学物質の含有量を決定するように最適化されたパルス中性子材料分析器に導入される。次に、コンピュータ等の制御手段が、廃棄物コントロールボリューム中の化学物質のレベルが事前設定されたしきい値より高いか低いかを判断し、その判断に従って廃棄物を2つのチャネルの何れかに導く。これらのチャネルの一方は、廃棄物処理チャンバに導入するために所定の化学物質の含有量が少ない廃棄物を受け入れる。他方のチャネルは廃棄物を貯蔵し、例えば、その廃棄物を含有量が十分に低い他の廃棄物と混合し、化学物質の全体量がしきい値より少なくなるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物をその化学成分により選別する装置に関する。詳細には、本発明は、廃棄物を変換(処理、処置又は廃棄処分を含む)するプラント又は装置に導入される塩素含有成分の量が所定値を超えないようにするシステム(装置を含む)を提供しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマトーチ式廃棄物処理プラントによる都市廃棄物、医療廃棄物、有毒廃棄物、及び放射性廃棄物などの廃棄物の処理は周知である。
【0003】
一般にそのようなプラントの操業において遭遇する1つの問題は、廃棄物のプラズマ処理から生じる塩素含有化合物の生成と排出を最小限にすることである。廃棄物、特に都市ゴミ(MSW:municipal solid waste)は、一般に、例えばPVCパイプやプラスチック容器等の予測できないレベルの塩素含有物質をしばしば含む固形廃棄物の混合物である。処理プラントで同時に処理されるそのような物質の量が多すぎると、塩素を含む汚染物質の排出レベルが、安全値及び/又は法定限界値を超え、プラントの一時的な停止やガス浄化システムの改良が必要になり、そのためプレントの操業コスト及び/又は投資コストが増える。更にまた、高レベルの塩素含有物質は、プラントの機器を傷めることがあり、それにより頻繁な保守作業が必要になり、また処理過程で起こる化学的プロセスを妨げることがある。
【0004】
従って、そのようなプラントにおいて、廃棄物をプラントに送り込む前に廃棄物の組成を監視し、塩素含有率が高すぎる廃棄物のバッチを、少なくとも一時的に処理から外すことが有利になる。
【0005】
米国特許第3,794,843号は、バルク材料に含まれる水分の重量パーセントを決定する計器に関するものである。米国特許第4,028,267号は、鉄鉱石中の鉄の濃度をその物質を中性子源にさらすことによって測定する装置及び方法を対象としている。特開平10−258428号、特開2002−137224号、特開2000−126649号、及び特開平06−210632号は、他の物質からプラスチックを分離又は選別する様々な手段について述べているが、何れにおいても中性子発生装置を利用していない。米国特許第4,702,379号と米国特許第4,830,193号は、特に金鉱石片を選別するプラントに関するものであるが、連続プロセスにおいて回転するシリンダ内を降下している間に金鉱石片に放射線を照射する。
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,794,843号
【特許文献2】米国特許第4,028,267号
【特許文献3】特開平10−258428号
【特許文献4】特開2002−137224号
【特許文献5】特開2000−126649号
【特許文献6】特開平06−210632号
【特許文献7】米国特許第4,702,379号
【特許文献8】米国特許第4,830,193号
【0007】
しかしながら、これらの文献はいずれも、特に塩素量が所定値を超えた場合に廃棄物をプラズマトーチ式処理プラントにおけるその後の処理から外すために、廃棄物中の塩素含有物質の含有量を決定することに関連する問題の解決策を提供しておらずまた実際にその問題にも言及していない。
【0008】
従って、本発明の目的は、廃棄物のバッチをプラズマ廃棄物変換プラントに送り込む前にそのバッチ中の塩素含有物質レベルを決定する装置と、所定のしきい値を超える量の塩素含有物質を含む廃棄物を分離し処理するシステムとを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、都市ゴミ処理装置に組み込むことができるそのような装置及びシステムを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、機械的に比較的単純で、従って処理プラント設計に安価に組み込むことができるそのような装置及びシステムを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、プラズマトーチ型廃棄物変換装置の一体部分として組み込まれるそのような装置及びシステムを提供することである。
【0012】
本発明の目的は、少なくとも幾つかの既存のプラズマトーチ式廃棄物変換装置や廃棄物を熱処理する焼却炉等の他のシステムに容易に後付けすることができる、そのような装置及びシステムを提供することである。
【0013】
本発明の更なる目的及び利点は、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、特定の化学物質(典型的には廃棄物中に検出された塩素)のレベルに従って廃棄物を選別する物質選別機を対象とする。この選別機は、廃棄物を秤量モジュールに、好ましくは事前設定された限度に達するまで提供する廃棄物入口を備える。次に、この廃棄物のコントロールボリュームは、コントロールボリューム中の塩素含有率を決定するように最適化されたパルス中性子材料分析器に導入される。次に、コンピュータ等の制御手段が、廃棄物コントロールボリューム中の塩素のレベルが事前設定されたしきい値より高いか低いかを判定し、それに応じて廃棄物を2つのチャネルの何れかに導く。これらのチャネルの一方は、廃棄物処理チャンバに導入するために塩素含有率の少ない廃棄物を受け入れる。他方のチャネルは、廃棄物を貯蔵し、この廃棄物は、例えば塩素含有率が十分に低いレベルの他の廃棄物と混合されて全体的な塩素比率がしきい値より低くなるようにされる。塩素分は、一般に、塩化物、特にPVCの形である。
【0015】
第1の様相において、本発明は、バルク材料をその化学組成に従って選別し、前記バルク材料を所定の基準に従って2以上のチャネルの内の何れかに導く装置を提供する。この装置は、
−バルク材料を一以上の外部供給源から受け入れるように適応された装填ユニットと、
−装填ユニットからバルク材料をバッチで受け入れ、各バッチの重量を決定するように適応された秤量ユニットと、
−秤量ユニットからバルク材料のバッチを受け入れ、バッチ中の一種以上の特定の化学元素の存在と量を決定するように適応された検出器モジュールと、
−前記検出器モジュールから材料のバッチを受け入れ、そのバッチを2以上のチャネルの内の何れかに導くように適応されたダイバータゲートと、
−装置の要素の作動及び作動タイミングを制御し、計算を実行して装置の動作に必要なデータを記憶するように適応された制御装置とを含む。
【0016】
本発明の装置の検出器モジュールは、中性子放射化分析法を実行してバッチ中の一種以上の特定の化学元素の存在と量とを決定する要素を有する。この決定の結果は、バッチをどのチャネルに導くかを決定するために使用される。
【0017】
本発明の装置の好ましい実施形態において、バルク材料は、廃棄物処理プラント又は装置に導入される廃棄物である。
【0018】
好ましくは、所定の基準は、特定の化学物質の量が所定のしきい値よりも少ないか多いかである。好ましい実施形態において、特定の化学元素は塩素である。
【0019】
本発明の装置の好ましい実施形態において、検出器モジュールは、
−例えばホウ酸ポリエチレン等の適切な含水素物質(hydrogenous material)で作成された中性子減速材ケーシングと、
−扉によって選択的に開閉することができるケーシングの上側開口部と下側開口部と、
−形状と寸法がケーシングの内壁、上側開口部、及び下側開口部によって画定された内部チャンバと、
−内部チャンバ内のバルク材料のバッチに照射する中性子を放射する適切な中性子発生装置と、
−ガンマ線量子を検出する適切な分光分析ガンマ線検出器とを含む。
【0020】
放射された中性子は、物質中の様々な原子核と相互作用し、励起核を作成する。励起核は崩壊し、その原子核の特徴を示す異なるエネルギーのガンマ線量子を放出し、検出器は、原子核から放射されたガンマ線量子を検出し、その強度をそのエネルギーの関数として測定する。
【0021】
本発明の装置の好ましい実施形態において、上側扉は、他端に漏斗が取り付けられたアームの一端に枢動可能に取り付けられ、それにより、アームが回転するときに、交互に、上側扉が上開口部を閉じるか、或いはバルク材料のバッチが秤量ユニットから内部チャンバ内に通過するのを助ける位置に漏斗が動かされる。
【0022】
本発明の装置の好ましい実施形態において、中性子発生装置は、携帯型D−Tパルス中性子発生装置であり、放射中性子のエネルギーは、2.5Mev又は14.0Mevであり、パルスの時間期間は約数秒(order of several seconds)(好ましくは約10秒(order of 10 seconds))であり、分光分析ガンマ線検出器は、NaI(T1)及びCsI(T1)シンチレーション検出器を含むグループから選択される。
【0023】
別の様相において、本発明は、廃棄物を処理するシステムを提供する。システムは、本発明の選別装置を含み、更に、
−廃棄物処理プラント又は装置と、
−複数の供給源からの廃棄物を最初に投入する廃棄物受入容器であって、廃棄物が、選別装置への搬送と廃棄物処理プラント又は装置による最終的な処理とを待つ廃棄物受入容器と、
−廃棄物を容器から選別装置まで搬送し、また選別装置から廃棄物処理プラント又は装置、或いは他の場所に搬送する適切な搬送システムとを含む。
【0024】
選別装置は、3つの機能を有し、第1の機能は、廃棄物を実質的に等しい体積のバッチに分割することであり、第2の機能は、各バッチ中にある塩素量を測定することであり、第3の機能は、測定した塩素量に従って各廃棄物のバッチを2つのチャネルの何れかに送ることである。本発明のシステムを使用することにより、廃棄物を変換するプラント又は装置に導入される塩素含有化合物の量が所定値を超えないことが保証される。
【0025】
本発明のシステムの好ましい実施形態において、バッチ中の塩素量が所定のしきい値より少ない場合は、バッチは受け入れられ、2つのチャネルの内の第1のチャネルに向けられ、廃棄物のバッチは処理プラントに搬送されて通常の方法で処理される。塩素量が所定のしきい値を超えた場合、バッチは拒否され、2つのチャネルの内の第2のチャネルに向けられ、以下の選択肢を含むグループから選択された方法で処分される。
−選択肢1:第2のチャネル内の廃棄物の拒否されたバッチを貯蔵し、廃棄物処理プラント又は装置に入れずに最終的に破棄する。
−選択肢2:第2のチャネル内の廃棄物の拒否されたバッチを一時的貯蔵場所に貯蔵し、後で処理する。
−選択肢3:第2のチャネル内の廃棄物の拒否されたバッチを前記受入容器に戻し、他の廃棄物と再び混ぜ、もう1度選別装置に通す。
【0026】
選択肢1による拒否された廃棄物バッチは、都市ゴミ埋め立て地等の特別に指定された場所に破棄することができる。システムの好ましい実施形態において、選択肢2による拒否された廃棄物バッチはそれぞれ、制御装置によって番号が付けられた識別が割り当てられ、この制御装置、また、各バッチ中の塩素量と、処理プラント内の廃棄物の流量に関するデータを含む。従って、所定の時間において、処理プラントが処理している廃棄物中の塩素量が分かる。更に、プラントのガス出口にある適切なセンサが、プラントから放出されるガス状の塩素化合物を監視し、そのデータを実時間で制御装置に提供する。これにより、制御装置は、所定の時間に塩素含有排気ガスのレベルが第2のチャネル内の一以上の拒否されたバッチをプラントに導入できるほど十分に低いかを判定することができる。幾つかの実施形態において、選択肢2による拒否された廃棄物バッチは、ターンテーブル型の装置上において選別されるか配列され、それにより、制御装置は、所定の時間にプラントを通過する塩素を最大流量に維持するのに最も適した特定のバッチを選択し、取り出し、処理プラントに送ることができる。選択肢1〜3の何れか又は全ては、所定の時間に動作可能であり、制御装置は、必要に応じて選択肢を切り替えることができる。
【0027】
本発明のシステムの好ましい実施形態において、廃棄物処理プラント又は装置は、熱処理プロセスを使って廃棄物を処理する。熱処理プロセスは、一個以上のプラズマトーチの使用を含むことができる。
【0028】
更に他の様相において、本発明のシステムを動作させる方法が提供される。この方法は、
−複数のソースからの廃棄物を廃棄物受入容器に投入する段階と、
−廃棄物の少なくとも一部分を廃棄物受入容器から選別装置の装填ユニットまで搬送する段階と、
−搬送された廃棄物の少なくとも一部分を装填ユニットに装填する段階と、
−装填ユニット内の廃棄物の少なくとも一部分を秤量ユニットに搬送する段階と、
−所定量の廃棄物(廃棄物の「バッチ」と呼ぶ)が秤量ユニットに入ったときに秤量ユニットへの廃棄物の搬送を止める段階と、
−廃棄物のバッチを検出器モジュールに搬送する段階と、
−検出器モジュールの扉を閉じる段階と、
−中性子発生装置を作動させて、検出器モジュール内の廃棄物のバッチに照射し、それにより廃棄物のバッチを構成する物質の分子の少なくとも一部に励起核を作成する段階と、
−ガンマ線検出器を作動させて励起核から放射されたガンマ線量子の量とエネルギーを測定する段階と、
−バッチをダイバータゲートを介して2以上のチャネルの何れかに導く段階と、
−受入容器内に廃棄物がなくなるか、他の何らかの理由で廃棄物の処理を中止しなければならなくなるまで、上記のすべての段階を繰り返す段階とを含む。
【0029】
2以上のチャネルの内のどのチャネルにバッチを導くかの選択は、ガンマ線量子の量とエネルギーの測定の結果による。チャネルの内の1つのチャネルは、廃棄物処理プラント又は装置の廃棄物処理チャンバに直接通じている。2以上のチャネルの内の第2のチャネルは、一時貯蔵領域に通じているか、廃棄物受入容器に戻るか、廃棄物処理プラント又は装置の一部でない廃棄処分領域に通じている。
【0030】
本発明の方法の好ましい実施形態において、システムの要素の作動及び作動タイミングを制御し、計算を実行し、システムの動作に必要なデータを記憶するために、制御装置が使用される。
【0031】
本発明の上記及びその他の特徴及び利点は全て、添付図面を参照することにより、本発明の実施形態についての以下の例示的且つ非限定的な記載によって更に良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本明細書において、用語「廃棄物変換装置」は、特にプラズマ処理によって、都市ゴミ(MSW)、産業廃棄物[IW]、医療廃棄物[MW]、放射性廃棄物[RW]、排水処理汚泥(ETS)や他の種類の廃棄物等の廃棄物を、熱処理、加工または廃棄するように適応された任意の装置を含む。
【0033】
本発明は、プラズマトーチ式処理プラントにおいて処理される廃棄物の化学物質の含有量を決定する装置に関する。この装置は、特に、プラントによって処理されている塩素(一般に塩素含有物質の形態)の量が所定の時間に所定のしきい値より少なくなるように適応された選別システムの主構成要素である。
【0034】
図1を参照すると、数字(100)で示した典型的なプラズマ廃棄物処理変換装置又はプラントは、直立炉又は処理チャンバ(10)を有する。一般に、固体廃棄物及び/又は混合廃棄物供給システム(20)は、廃棄物を、エアロック機構(30)を備えた廃棄物入口手段を介してチャンバ(10)の上端に導入する。廃棄物供給システム(20)は、任意の適切なコンベア手段などを備えてもよく、更に、廃棄物をより小さい小片に細分するシュレッダを備えてもよい。エアロック機構(30)は、上側バルブ(32)と下側バルブ(34)を備え、それらの間に装填チャンバ(36)を画定する。バルブ(32)と(34)は、必要に応じて独立して開閉するように、電気、空気又は油圧で操作されるゲートバルブであることが好ましい。一般に、閉鎖可能なホッパ機構(39)が、一般に上側バルブ(32)が開位置にあり下側バルブ(34)が閉位置にあるときに、固形及び/又は混合廃棄物を供給システム(20)から装填チャンバ(36)に投入する。廃棄物の装填チャンバ(36)内への投入は、廃棄物が上側バルブ(32)の閉鎖を妨げる可能性を最小にするために、装填チャンバ(36)内の廃棄物の高さが満杯よりも低い所定の位置に達するまで続く。次に、上側バルブ(32)が閉じられる。閉じた位置で、それぞれのバルブ(32)と(34)がエアシールを実現する。必要に応じて、下側バルブ(34)を開き、空気を処理チャンバにほとんど引き込むことなく廃棄物を処理チャンバ(10)に投入することができる。バルブ(32)と(34)の開閉と供給装置(20)からの廃棄物の供給は、供給装置(20)やプラント(100)の他の構成要素に作動的に接続された、人間による制御装置及び/又は適切なコンピュータ制御システムを含む任意の適切な制御装置によって制御することができる。必要に応じて、ホッパ機構(39)は、特に医療廃棄物がプラント(100)によって処理されているときに消毒薬を定期的又は連続的に吹きかける消毒薬噴霧システム(31)を備えてもよい。
【0035】
処理チャンバ(10)は、また、適切な電気、ガス及び冷却水の供給源(45)に作動的に接続された一個又は複数のプラズマトーチ(40)と、酸化剤入口(70)とを備えた下側部分を有する。処理チャンバの下側部分で熱分解とガス化が行われ、この下側部分は、また、一個以上の収集リザーバ(60)に連結された少なくとも1個の出口(65)を有する液体生成物収集ゾーン(41)を有する。更に、処理チャンバ(10)は、上側端に、主に生成ガスを排出するための少なくとも1個のガス出口(50)を有する。
【0036】
処理チャンバ(10)の内側面(少なくともその下側部分)は、一般に、例えばアルミナ、アルミナシリカ、マグネサイト、クロムマグネサイト、シャモット、耐火レンガなどの一種以上の適切な耐火材で作成される。一般に、処理チャンバ(10)と一般にはプラント(100)全体は、機械的完全性を高め処理チャンバを外部環境に対して気密に封止できるように、金属層又はケーシングによって覆われている。
【0037】
本発明は、特に、廃棄物がそのようなプラントに導入される前に、廃棄物の化学組成を判別して廃棄物を選別するのに適している。図2を参照すると、全体を数字(300)で示した好ましい実施形態による選別システムは、廃棄物受入容器(320)を有し、廃棄物受入容器(320)には、最初に複数の供給源から廃棄物が投入され、廃棄物は、廃棄物処理プラント(100)による選別と最終処理を待つ。適切な搬送システム(325)(例えば、コンベヤベルトやクレーン)が、廃棄物を容器(320)から選別機(200)まで搬送する。選別機(200)については以下で詳しく説明する。選別機(200)には3つの機能がある。第1の機能は、廃棄物を実質的に等しい体積のバッチに分割することであり、第2の機能は、各バッチ中に存在する塩素量を測定することであり、第3の機能は、各廃棄物のバッチを、選別機(200)を通した後で、測定した塩素量に従って2つのチャネルの何れかに送り込むことである。一般に、バッチ中の塩素量が所定のしきい値より少ない場合、バッチは、受け入れられて第1のチャネル(362)に向けられ、この廃棄物のバッチは、処理プラント(100)に運ばれて、通常の方法で処理される。一方、塩素量が所定のしきい値よりも多い場合、バッチは、拒否されて第2のチャネル(364)に向けられる。この廃棄物のバッチを処理する方法には幾つかの選択肢がある。
【0038】
第1の選択肢(370)では、第2のチャネルの拒否された廃棄物は貯蔵され(371)、廃棄物処理プラント又は装置に入れられず、最終的に破棄され、その結果、有害な塩素含有生成物は作成されない。例えば、そのような廃棄物のバッチは、都市ゴミ埋め立て地等の特別に指定された場所に破棄される。
【0039】
第2の選択肢(372)では、廃棄物の拒否されたバッチは、一時的貯蔵場所に入れられ、幾つかの異なる方法の何れかの方法で処理される。好ましい実施形態において、例えば、各バッチは、対応する各バッチ中の塩素量に関するデータも含む制御装置(500)によって識別される。塩素量に関するデータは、通信リンク(550)を介して制御装置(500)に作動的に接続された選別機(200)によって提供される。処理プラント(100)が処理している廃棄物中の塩素量は、制御装置が利用可能な過去のデータからいつでも分かる。制御装置(500)は、また、処理チャンバ(10)に作動的に接続されており、例えばバルブ32又は34の連続する開放期間の時間間隔を測定することによって、チャンバ(10)を通る廃棄物の流量を決定する。制御装置(500)は、選別機(200)によって提供される、プラント(100)に提供される廃棄物のバッチ数、各バッチ中の塩素量、及び所定のバッチが選別機から第1のチャネルを介してチャンバ(10)に導入される時間間隔に関するデータと共に、プラントが処理している塩素量を所定の時間に決定することができる。プラント(100)のガス出口にある適切なセンサは、プラント(100)から放出されるガス状塩素化合物を監視し、そのデータを制御装置(500)に実時間で提供する。そして、制御装置(500)は、第2のチャネル内の拒否されたバッチの内の一以上のバッチをプラント(100)に導入できるほど塩素排出レベルが低いかどうかを所定の時間に判断することができる。例えば、これは、第1のチャネルを介して最も最近提供された廃棄物のバッチが、しきい値より大幅に低い塩素量を含むときに起きる。この選択肢では、第2のチャネル(364)に貯蔵された拒否されたバッチは、更にターンテーブル型機構上で選別又は配列され、その結果、制御装置は、所定の時間にプラント内の塩素の最大流量を維持するのに最も適した特定のバッチ(含む塩素量が分かっている)を選択し、取り出し、処理プラント(100)に送ることができる。いずれの場合も、最初に拒否されたバッチをプラント(100)に送った後、制御装置(500)は、プラント(100)に提供される追加の塩素に注目する。
【0040】
第3の選択肢(374)は、第2のチャネル(364)内の廃棄物の拒否されたバッチを容器(320)に戻し、他の廃棄物と再び混ぜ、もう一度選別機(200)を通して送ることである。
【0041】
以上の選択肢の何れか又は全ては、所定の時間に操作可能であり、制御装置(500)は、必要により選択肢を切り換えることができる。例えば、制御装置(500)は、第2の選択肢(372)をできるだけ優先的に使用するが、拒否されたバッチの数が無理なく貯蔵し処理できる最大量に達した場合は、過剰分に対処するために、第1の選択肢(370)又は第3の選択肢(374)が選択される。単純な選別システムでは、第2の選択肢と更に第3の選択肢を利用できないことがあり、従って、所定のバッチ中の塩素のレベルがしきい値より高いときは、そのバッチは拒否され、廃棄物処理プラントの外部に破棄される。
【0042】
所定のしきい値は一定でもよく時間と共に変化してもよい。例えば、処理している廃棄物が実質的に均一な性質のものである場合は、プラント(100)が処理する塩素レベルがあまり高くならないように平均的しきい値を決定することができる。これと同じことは、廃棄物中の塩素量が特に低いことが分かっている特定のタイプの廃棄物にも適用できる。
【0043】
規制限界が、処理プラントから大気中に放出される塩素含有汚染物質の濃度について言及していることに注意されたい。従って、処理チャンバ(10)に入れられる廃棄物中の塩素しきい値は、ガス出口(50)の後に取り付けられる大気汚染防止システム(APC)の効率にも依存する。プラズマ廃棄物処理プラントの一部を構成する典型的なAPCは、適切に設計され維持され、排出ガス中の塩素含有汚染物質の濃度があまり高くない場合には、塩素含有汚染物質の大部分を除去することができる。換言すると、APCの効率が高いほど処理チャンバの入口で使用できるしきい値が高くなる。
【0044】
或いは、制御装置(500)は、プラント(100)が現在処理している塩素の量を絶えず更新し、次のバッチ中の可能な最大塩素量を決定し、それにより、そのバッチがプラント(100)に導入されるときまでには、処理する塩素の量が受け入れ可能レベルよりも低くなっているようにすることが好ましい。そして、新しい一時的なしきい値を計算し、塩素レベルがこのしきい値より低い場合には現在のバッチが許可される。そうでない場合は、そのバッチは拒否され、制御装置は、前述の第2の選択肢に従って以前に拒否され貯蔵されているバッチの中から適切なバッチを探す。いずれの場合も、プラントに新しいバッチを導入した後、或いは適切なバッチが見つからない場合に所定の期間待った後で、制御装置は、プラント(100)に存在する塩素の量を再計算し、この計算に基づいて次のバッチについての要求しきい値を決定する。従って、しきい値は、プラント(100)内の平均塩素量を許容範囲内に維持し同時に塩素含有廃棄物の処理速度を最高にできるように絶えず更新される。
【0045】
本発明によるシステムの他の実施形態においては、選別機(200)は、所定の基準に従って廃棄物を複数のチャネルに選別する。一般に、所定の基準は、対応する複数の塩素含有率の範囲を含み、それにより、廃棄物は、特定の範囲に対応するチャネルに選別される。そのような実施形態は、特に、一台以上のそのような選別機から複数の処理チャンバ(10)に供給が行われる場合に有効であり、各選別機は、特定の廃棄物のバッチを最適なチャンバに送って、各チャンバが処理する塩素の量を最適化することができる。
【0046】
本発明は選別機も対象としており、選別機自体は、塩素レベルに従って廃棄物を少なくとも2つのチャネルの何れかに選別するための新規なものである。好ましい実施形態において、選別機(200)は、所定量の廃棄物(本明細書では「バッチ」と呼ぶ)を計り、所定量の廃棄物中の塩素量を決定し、その塩素量を所定の基準と比較した結果に応じて、一般には塩素量が所定のしきい値よりも少ないか多いかによって、廃棄物のバッチを第1のチャネル(362)又は第2のチャネル(364)にそれぞれ向かわせる。本発明の他の実施形態において、選別機は、廃棄物を、各塩素濃度範囲に対応する複数のチャネルのどれに選別するように構成されてもよい。
【0047】
従って、図3を参照すると、選別機(200)の好ましい実施形態は、装填ユニット(220)、秤量ユニット(240)、検出器モジュール(260)、及びダイバータゲート(280)を備える。
【0048】
装填ユニット(220)は、搬送システム(325)から廃棄物を受け取りその廃棄物を振動台(202)に流すホッパ(201)や他の機構を備える。振動台(202)は、ホッパ(201)から離れる方向に傾けられ、ばねに取り付けられ、適切な振動機(203)に接続されている。振動台(202)が振動機(203)の働きで振動するとき、ホッパ(201)に最も近い高い方の端にある廃棄物が、振動台の低い方の開いた端の方に向かって移動し、最終的に振動台(202)から秤量ユニット(240)の中に落ちる。振動台(202)の傾きは、廃棄物が、振動台(202)が振動しているときだけ振動台から落下し、その他の状況ではほとんど落下しないようなものである。振動機(203)は、制御装置(典型的にはシステム(300)の制御装置(500))に作動的に接続されているが、代わりに独立した制御装置でもよい。制御装置は、本明細書で更に詳しく説明するように、振動機(203)の動作を制御するように適応されている。
【0049】
秤量ユニット(240)は、装填ユニット(220)から、本明細書で「バッチ」と呼ぶ所定量の廃棄物を受け取り、この廃棄物バッチの重量を計り、次にこのバッチを検出器モジュール(260)に送るように適応されている。秤量ユニット(240)は、装填ユニット(220)から廃棄物を受け取るように適応された開いた上端と、扉(208)によって選択的に開閉することができる下端とを備えた容器(204)を有する。容器(204)は、容器(204)内の廃棄物が所定の高さに達したこと、従って所定の体積に達したことを判定する適切なレベル検出器(206)(例えばマイクロ波レベルインジケータ)を有する。検出器(206)は、制御装置(500)に作動的に接続され、容器(204)に入る廃棄物が所定の高さに達したときに適切な信号を送る。次に、制御装置(500)は、振動機(203)に適切な信号を送って振動を止め、従って廃棄物はそれ以上容器(204)に導入されない。次に、秤量ユニット(240)は、容器(204)内の廃棄物の量を秤量する。
【0050】
秤量は、多くの方法で行うことができる。例えば、図3に示したように、容器(204)がレバー機構(221)に枢動可能に取り付けられ、レバー機構(221)の一端が、アンカーポイント(222)に対して枢動され、容器(204)の重量に従って予測可能に伸縮するばね(205)などによって釣り合わされる。レバー機構(221)及び/又はばね(205)は、レバー機構(221)の変位又はばね(205)の変形に基づいて容器(204)の内容物の重量を決定する適切な重量決定手段(207)に接続されている。重量決定手段(207)は、制御装置(500)に作動的に接続され、容器(204)の内容物の重量と関連した信号を制御装置(500)に送る。代替として、容器(204)は、容器の重量を測定し容器の重量を表す適切な信号を制御装置(500)に送る適切な歪みゲージに接続されてもよい。各バッチの体積とその重量が分かった後で、各バッチの密度が決定され、後で使用するために制御装置に記憶される。この時点で、制御装置(500)は、扉(208)に信号を送って一般に動力式アクチュエータ(209)によって扉(208)を開けさせ、これにより廃棄物のバッチが検出器モジュール(260)に入ることを許容する。容器(204)が空になったとき、制御装置(500)は、扉(208)を閉じる信号を送り、次に別の信号を装填ユニットに送り、容器(204)が再び一杯になるまで廃棄物を提供し続けさせる。
【0051】
以上に説明したように、廃棄物は、実質的に等しい体積のバッチに分けられ、それらのバッチは、適切な秤量ユニットによって秤量され、秤量ユニットは秤量したバッチを検出器モジュール(260)に送る。或いは、廃棄物は、実質的に等しい重量のバッチに分類されてもよい。秤量プロセスは、処理すべき廃棄物がある限りバッチ毎に次々と繰り返される。
【0052】
検出器モジュール(260)は、投入された廃棄物バッチ中の塩素比率(重量)を決定するために中性子放射化分析技術を使用する。検出器モジュール(260)は、適切な含水素物質で作成された中性子減速材ケーシング(216)を有する。適切な含水素物質は、高エネルギーのガンマ線量子を放射することなく高い断面確率(cross section-probability)で熱中性子を捕捉できるような化学元素を多く含む物質である。そのような物質の例は、ホウ酸ポリエチレンである。ケーシング(216)には上側開口部(232)と下側開口部(234)があり、物質が内部チャンバ(236)を介してケーシング(216)を通ることができる。一般にケーシング(216)と類似の材料で作成された扉(210)と(212)は、上側開口部(232)と下側開口部(234)をそれぞれ選択的に開閉することを可能にする。扉は、制御装置(500)にそれぞれ作動的に接続された適切な動力式アクチュエータ(211)および(213)によって作動する。一実施形態において、扉(210)は、他端に漏斗(233)が取り付けられたアーム(235)の一端に取り付けられることが好ましい。
【0053】
この構成により、アクチュエータ(211)によってアーム(235)が回転されると、交互に、開口部(232)が閉じられるか、或いは漏斗(233)が廃棄物のバッチを秤量ユニット(240)から内部チャンバ(236)に通過するのを助ける位置になる。
【0054】
ケーシング(216)内には、適切な中性子発生装置、例えば携帯型D−Tパルス中性子発生装置(214)が設置される。検出器モジュール(260)の典型的な動作条件下で、パルス中性子発生装置は、チャンバ(236)内の廃棄物のバッチに2.5Mev又は14.0Mevのエネルギーを有する中性子を約数秒(order of several seconds)間照射する。放射された中性子は、廃棄物中の様々な原子核と相互作用して励起核を生成し、この核が崩壊し、これにより原子核の特徴を表す様々なエネルギーの放射ガンマ線量子を放出する。廃棄物中の原子核によって放射されたガンマ線量子を検出し、その強度をそのエネルギーの関数として測定するために、例えばNaI(T1)又はCsI(T1)シンチレーション検出器などの適切な分光分析ガンマ線検出器(215)が設けられている。得られたスペクトルにおける特定のエネルギーが、中性子の塩素原子核との相互作用と関連付けられる。既知の技術を使用して、そのようなエネルギーにおけるエネルギースペクトルの強度から、廃棄物のバッチ中の相対的な塩素量(重量)を決定することができる。
【0055】
図4は、1%の塩素を含む廃棄物のガンマ線応答を示す代表的なスペクトルを示す。縦軸は、検出器のガンマ線カウントで測定した放射の強度を示し、横軸は、Kev(キロ電子ボルト)で測定したガンマ粒子のエネルギーを表わす。スペクトル上には顕著なピークをもたらす原子核が示されており、本発明の目的に適した塩素原子核と関連したいくつかのピークがあることが分かる。
【0056】
チャンバ(236)は、廃棄物の通過を容易にするために実質的に円筒状で滑らかであることが好ましい。必要に応じて、チャンバ(236)内の廃棄物を付勢するために、ピストン又はその種のもの(図示せず)、コンベア手段、或いは、重力を含むか含まない任意の適切な手段(例えば、空気圧)を使用することができる。他の実施形態において、検出器モジュール(260)は、廃棄物のバッチを垂直の向きではなく水平又は傾斜した向きで受け取り分配するように適応されてもよく、検出器モジュールへの廃棄物の搬入及び検出器モジュールからの廃棄物の搬出のために任意の適切な搬送システムを使用することができる。例えば、水平管チェーンコンベヤを使用して、検出器モジュール(260)を通して廃棄物のバッチを搬送することができる。また、そのようなコンベアも、必要に応じて傾斜構造で設計することができる。
【0057】
検出器モジュール(240)の動作は、以下の通りである。秤量ユニットが、検出器モジュール(260)に廃棄物のバッチを提供する準備ができたとき、制御装置(500)は、チャンバ(236)内に前の内容物が残っていないことを確認し(恐らく、事前設定した時間だけ下側扉(212)を開き次に扉を閉じることにより。追加又は代替として、適切なセンサ(例えば、レベルセンサ)を設けてもよい)、次に下側扉(212)が閉まっていることを確認する。次に、上側扉(232)を開いた後で扉(208)を作動させて、廃棄物が秤量ユニット(240)から検出器モジュール(260)のチャンバ(236)に通ることができるようにする。適切な場合には、廃棄物を秤量ユニット(240)から検出器モジュール(260)に搬送するために、ピストン、コンベヤベルト、又は他の手段を使用してもよい。次に、上側扉(232)を閉じ、制御装置(500)は、中性子源に適切なコマンドを送って必要な中性子放射を所定の時間期間(典型的には約10秒)生成し、ガンマ線検出器(215)によって検出されたエネルギースペクトルが、制御装置(500)に中継される。各バッチの重量とその体積が分かっているので、制御装置(500)は、廃棄物の密度を算出することができる。密度とガンマ線放射の強度から、バッチ中の塩素量(重量)が決定される。
【0058】
バッチ中の塩素量が決定された後で、ダイバータゲート(280)が、制御装置(500)からのコマンドに従って作動し、廃棄物のバッチを第1チャネル(362)か第2のチャネル(364)の何れかに分流する。図3に示した実施形態において、ダイバータゲートは、2つの角度位置の間で枢動する中央支持体(281)のまわりに配置された2つの落し口(217)の組立体を有する。第1の角度位置において、落し口(217)の一方が、下側扉(212)のすぐ下にあり、廃棄物を検出器モジュール(260)から第1のチャネル(362)に向かわせることができ、第2の角度位置において、他方の落し口(217)が、扉(212)の下に位置決めされ、従って廃棄物を第2のチャネル(364)に向かわせることができる。動力式作動手段(219)は、制御装置(500)に作動的に接続され、廃棄物のバッチを第1のチャネル(362)と第2のチャネル(364)のどちらに向かわせるかについての制御装置による決定に従って、ダイバータゲート(280)を両角度位置の間で揺動させる。所定の時間に一以上の廃棄物のバッチを貯蔵して取り扱うために、第1チャネル(362)又は第2のチャネル(364)に、適切な容器(218)等が設けられてもよい。
【0059】
以上の説明は、本発明のわずかな数の特定の実施形態を詳細に示しているが、当業者であれば、本発明は、これらの実施形態に限定されず、本明細書に開示した発明の範囲から逸脱することなく形態と詳細について他の変更が可能であることが分かるであろう。例えば、本発明の方法及び装置は、廃棄物中の他の潜在的な汚染元素の量を決定するために使用することができ、また石炭等の他のバルク材料中の特定元素の存在を定性的及び定量的に決定するために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】先行技術の典型的な廃棄物プラズマ処理装置の全体的な配置と主な要素を概略的に示す図である。
【図2】典型的な廃棄物プラズマ処理装置と連結した本発明のシステムの好ましい実施形態の全体的な配置を概略的に示す図である。
【図3】本発明の装置の好ましい実施形態を概略的に示す図である。
【図4】1%の塩素を含む廃棄物のガンマ線応答を示す典型的なスペクトルを示す図である。
【符号の説明】
【0061】
200 装填ユニット
240 秤量ユニット
260 検出器モジュール
280 ダイバータゲート
362,364 チャネル
500 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物をその化学組成に従ってオンラインで選別し、前記廃棄物が廃棄物処理プラント又は装置に導入される前に、前記廃棄物を所定の基準に従って2以上のチャネルの内の何れかに導く装置であって、この装置は、
−前記廃棄物を一以上の外部供給源から受け入れるように適応された装填ユニットと、
−前記装填ユニットから前記廃棄物をバッチで受け入れ、各バッチの重量を決定するように適応された秤量ユニットと、
−前記秤量ユニットから前記バッチの一つを受け入れ、そのバッチ中の一種以上の特定の化学元素の存在と量を決定するように適応された検出器モジュールと、
−前記検出器モジュールから前記材料のバッチを受け入れ、そのバッチを前記2以上のチャネルの内の何れかに導くように適応されたダイバータゲートと、
−前記装置の要素の作動及び作動タイミングを制御し、計算を実行して前記装置の動作に必要なデータを記憶するように適応された制御装置とを含み、
前記廃棄物は前記装填ユニットに入る前に事前に選別されておらず、前記検出器モジュールは、中性子放射化分析法を実行して前記バッチ中の前記一種以上の特定の化学元素の存在と量を決定する要素を有し、この決定の結果は、前記バッチを前記チャネルの内の何れに導くかを決定するために使用され、前記所定の基準は、前記特定の化学材料の量が所定のしきい値よりも少ないか多いかであることを特徴とする装置。
【請求項2】
特定の化学元素は塩素である、請求項1の装置。
【請求項3】
検出器モジュールは、
−適切な含水素材料で作成された中性子減速材ケーシングであって、扉によって選択的に開閉することができる上側開口部と下側開口部を備えたケーシングと、
−形状と寸法が前記ケーシングの内壁、前記上側開口部、及び前記下側開口部によって画定された内部チャンバと、
−前記内部チャンバ内の廃棄物のバッチに照射する中性子を放射する適切な中性子発生装置と、
−ガンマ線量子を検出する適切な分光分析ガンマ線検出器とを含み、
前記放射された中性子は、前記材料中の様々な原子核と相互作用して励起核を生ぜしめ、この励起核は崩壊して、その原子核の特徴を示す異なるエネルギーのガンマ線量子を放出し、前記検出器は、前記原子核から放射されたガンマ線量子を検出し、その強度をそのエネルギーの関数として測定する、請求項1の装置。
【請求項4】
適切な含水素材料はホウ酸ポリエチレンである、請求項3の装置。
【請求項5】
上側扉は、他端に漏斗が取り付けられたアームの一端に枢動可能に取り付けられ、それにより、アームが回転するときに、交互に、前記上側扉が上側開口部を閉じるか、或いは廃棄物のバッチが秤量ユニットから前記内部チャンバ内に通過するのを助ける位置に漏斗が動かされる、請求項3の装置。
【請求項6】
中性子発生装置は携帯型D−Tパルス中性子発生装置である、請求項3の装置。
【請求項7】
放射中性子のエネルギーは2.5Mevである、請求項3の装置。
【請求項8】
放射中性子のエネルギーは14.0Mevである、請求項3の装置。
【請求項9】
パルスは約数秒の期間放射される、請求項6の装置。
【請求項10】
パルスは約10秒の期間放射される、請求項9の装置。
【請求項11】
分光分析ガンマ線検出器は、NaI(T1)及びCsI(T1)シンチレーション検出器を含むグループから選択される、請求項3の装置。
【請求項12】
廃棄物を処理するシステムであって、請求項1の選別装置を含み、更に、
−廃棄物処理プラント又は装置と、
−複数の供給源からの廃棄物を最初に投入する廃棄物受入容器であって、廃棄物が、前記選別装置への搬送と廃棄物処理プラント又は装置による最終的な処理とを待つ廃棄物受入容器と、
−廃棄物を前記容器から前記選別装置まで搬送し、また前記選別装置から前記廃棄物処理プラント又は装置、或いは他の場所に搬送する適切な搬送システムとを含み、
前記選別装置は、3つの機能、即ち、前記廃棄物を実質的に等しい体積のバッチに分割する第1の機能、前記バッチの各々に存在する塩素の量を測定する第2の機能、及び測定した塩素量に従って前記廃棄物のバッチの各々を2つのチャネルの何れかに送る第3の機能を備え、前記システムを使用することにより、廃棄物を変換する前記プラント又は装置に導入される塩素含有化合物の量が所定値を超えないことが保証されるようにしたシステム。
【請求項13】
バッチ中の塩素量が所定のしきい値より少ない場合は、バッチは受け入れられ、2つのチャネルの内の第1のチャネルに向けられ、前記廃棄物のバッチは処理プラントに搬送されて通常の方法で処理される、請求項12のシステム。
【請求項14】
塩素量が所定のしきい値を超えた場合、バッチは拒否され、2つのチャネルの内の第2のチャネルに向けられ、
−選択肢1:前記第2のチャネル内の廃棄物の拒否されたバッチを貯蔵し、廃棄物処理プラント又は装置に入れずに最終的に破棄する、
−選択肢2:前記第2のチャネル内の廃棄物の拒否されたバッチを一時的貯蔵場所に貯蔵し、後で処理する、
−選択肢3:前記第2のチャネル内の拒否された廃棄物バッチを容器に戻し、他の廃棄物と再び混ぜ、もう1度選別装置に通す
という選択肢を含むグループから選択された方法で処分される、請求項12のシステム。
【請求項15】
選択肢1による拒否された廃棄物バッチは、都市ゴミ埋め立て地等の特別に指定された場所に破棄される、請求項14のシステム。
【請求項16】
選択肢2による拒否された廃棄物バッチはそれぞれ、制御装置によって番号が付けられた識別が割り当てられ、この制御装置は、前記バッチの各々の塩素量と、処理プラントを通過する廃棄物の流量に関するデータを含み、これにより、所定の時間において、前記処理プラントにより処理されている廃棄物に存在する塩素の量が分かり、更に、前記プラントのガス出口にある適切なセンサが、前記プラントから放出されるガス状の塩素化合物を監視し、そのデータを実時間で前記制御装置に提供し、これにより、前記制御装置は、所定の時間に塩素含有排気ガスのレベルが第2のチャネル内の一以上の前記拒否されたバッチを前記プラントに導入できるほど十分に低いかを判定することができる、請求項14のシステム。
【請求項17】
選択肢2による拒否された廃棄物バッチは、ターンテーブル型の装置上において選別されるか配列され、それにより、制御装置は、所定の時間に前記プラントを通過する塩素を最大流量に維持するのに最も適した特定のバッチを選択し、取り出し、処理プラントに送ることができる、請求項16のシステム。
【請求項18】
選択肢1〜3の何れか又は全ては、所定の時間に動作可能であり、制御装置は、必要に応じて選択肢を切り替える、請求項14のシステム。
【請求項19】
廃棄物処理プラント又は装置は、熱処理プロセスを使って廃棄物を処理する、請求項12のシステム。
【請求項20】
熱処理プロセスは、一個以上のプラズマトーチの使用を含む、請求項19のシステム。
【請求項21】
請求項12のシステムを動作させる方法であって、
−複数のソースからの廃棄物を廃棄物受入容器に投入する段階と、
−前記廃棄物の少なくとも一部分を前記廃棄物受入容器から選別装置の装填ユニットまで搬送する段階と、
−前記搬送された廃棄物の少なくとも一部分を前記装填ユニットに装填する段階と、
−前記装填ユニット内の前記廃棄物の少なくとも一部分を秤量ユニットに搬送する段階と、
−廃棄物のバッチを形成する所定量の廃棄物が前記秤量ユニットに入ったときに前記秤量ユニットへの廃棄物の搬送を止める段階と、
−前記廃棄物のバッチを検出器モジュールに搬送する段階と、
−前記検出器モジュールの扉を閉じる段階と、
−中性子発生装置を作動させて、前記検出器モジュール内の前記廃棄物のバッチに照射し、それにより前記廃棄物のバッチを構成する物資の分子の少なくとも一部に励起核を生じさせる段階と、
−ガンマ線検出器を作動させて前記励起核から放射されたガンマ線量子の量とエネルギーを測定する段階と、
−前記バッチをダイバータゲートを介して2以上のチャネルの何れかに導く段階と、
−前記受入容器内の廃棄物がなくなるか、他の何らかの理由で前記廃棄物の処理を中止しなければならなくなるまで、上記のすべての段階を繰り返す段階とを含み、
前記2以上のチャネルの内の何れのチャネルに前記バッチを導くかの選択は、前記ガンマ線量子の量とエネルギーの測定の結果に基づいて行われ、前記チャネルの内の1つのチャネルは、廃棄物処理プラント又は装置の廃棄物処理チャンバに直接通じており、前記2以上のチャネルの内の第2のチャネルは、一時貯蔵領域に通じているか、前記廃棄物受入容器に戻るか、或いは前記廃棄物処理プラント又は装置の一部でない廃棄処分領域に通じている方法。
【請求項22】
システムの要素の作動及び作動タイミングを制御し、計算を実行し、システムの動作に必要なデータを記憶するために制御装置が使用される、請求項21の方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−530937(P2007−530937A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504559(P2007−504559)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000310
【国際公開番号】WO2005/090040
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(503121136)イー.イー.アール. エンバイロメンタル エナジー リソースィズ (イスラエル) リミテッド (2)
【Fターム(参考)】