延性複数層シリコーン樹脂フィルム
本発明は、延性複数層シリコーン樹脂フィルムを形成するための方法を提供する。この方法は、少なくとも2つのポリマー層を含み、これらの少なくとも1つがシリコーン樹脂層であるシリコーン樹脂フィルムを形成する工程を含んでもよい。シリコーン樹脂層の厚さは、相当する延性遷移厚さ未満である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、薄膜、更に具体的に言えば、その他のポリマーを伴う又は伴わないシリコーン樹脂の延性複数層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン樹脂フィルムは、種々の異なる技術分野で使用することができる。例えば、シリコーン樹脂フィルムは、電子装置又は太陽電池のための基体として、装置をカプセルに包むため、バリヤー層と等して使用され得る。然しながら、シリコーン樹脂は、バルク状態では一般的に脆く、従って、シリコーン樹脂フィルムは脆弱で取り扱うのが難しい。従って、シリコーン樹脂フィルムの適用は、シリコーン樹脂フィルムの脆弱性がフィルムの使用を妨げない又は阻害しない範囲に制限され得る。
【0003】
シリコーン樹脂フィルムを更に延性にするための方法が存在する。例えば、ゴム粒子が、シリコーン樹脂層を形成する前、途中、又は後にシリコーン樹脂中へ導入されてもよい。その他の例では、ゴムセグメントが、シリコーン樹脂層を形成する前、途中、又は後にシリコーン樹脂中へ導入されてもよい。然しながら、これらの方法は多数の欠点を有している。例えば、シリコーン樹脂フィルムを更に延性にするための従来方法は、低弾性率、増加した熱膨張係数、及び低いガラス転移温度をもたらす傾向にある。シリコーン樹脂フィルムを更に延性にするための従来方法は、又、シリコーン樹脂フィルムの熱安定性及び/又は剛性を減少させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上で示された問題の1つ又は複数の結果に対処するためのものである。以下で、本発明の幾つかの態様の基本的理解を与えるために本発明の簡単な要旨を示す。この要旨は、本発明の網羅的概要ではない。それは、本発明の鍵又は重要な要素を特定しようとするものでもなければ、本発明の範囲の輪郭を描こうとするものでもない。その唯一の目的は、後に検討される更に詳細な説明の前置きとして簡単な形で幾つかの概念を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施形態では、延性複数層シリコーン樹脂フィルムを形成するための方法が提供される。この方法は、少なくとも2つのポリマー層を含むシリコーン樹脂フィルムを形成する工程を含んでもよい。ポリマー層の少なくとも1つはシリコーン樹脂層であり、シリコーン樹脂層の厚さは、相当する延性遷移厚さ未満である。
【0006】
本発明のその他の実施形態では、延性複数層シリコーン樹脂フィルムは、少なくとも2つのポリマー層を層状化することにより形成される。ポリマー層の少なくとも1つはシリコーン樹脂層であり、シリコーン樹脂層の厚さは、相当する延性遷移厚さ未満である。
【0007】
本発明のなおその他の実施形態では、延性複数層シリコーン樹脂フィルムが提供される。このシリコーン樹脂フィルムは、少なくとも2つのポリマー層を含む。ポリマー層の少なくとも1つはシリコーン樹脂層であり、シリコーン樹脂層の厚さは、相当する延性遷移厚さ未満である。
【0008】
本発明は、同じ参照番号が同じ要素を特定する添付の図面と関連させた以下の説明への参照により理解され得る。
【0009】
本発明は、種々の変更及び選択的形態が可能であるが、この特定の実施形態は図面での例により示されており、本明細書で詳細に説明される。然しながら、特定の実施形態の本明細書での説明は、開示された特定の形態に本発明を限定しようとするものではなく、逆に、本発明が、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の精神及び範囲内に入る全ての変更、均等物、及び選択肢を網羅するためである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法の第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図1B】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法の第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図1C】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法の第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図1D】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法の第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図2A】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法の第2の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図2B】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法の第2の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図2C】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法の第2の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図3】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成するために使用されるシステムの第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図4】本発明による、ダイアセンブリーで実施される、分割−積み重ね処理を受けるポリマー流を概念的に例示する図である。
【図5】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成するために使用されるシステムの第2の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図6】本発明による、複数層ダイアセンブリーの1つの例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図7】本発明による、ハウジングの1つの実施形態の、正面を表す図である。
【図8】本発明による、ハウジングの1つの実施形態の、断面を表す図である。
【図9】本発明による、異なる方向からの図7及び8で示されたハウジングの実施形態の、正面を表す図である。
【図10】本発明による、異なる方向からの図7及び8で示されたハウジングの実施形態の、断面を表す図である。
【図11】本発明による、端部ハウジングの1つの実施形態の、正面を表す図である。
【図12】本発明による、端部ハウジングの1つの実施形態の、断面を表す図である。
【図13】本発明による、複数のダイアセンブリー及び端部ダイアセンブリーを含む複数層ダイアセンブリーの部分を表す図である。
【図14A】本発明による、ダイインサートの部分の1つの例示的実施形態を表す図である。
【図14B】本発明による、ダイインサートの部分の1つの例示的実施形態を表す図である。
【図14C】本発明による、ダイインサートの部分の1つの例示的実施形態を表す図である。
【図15】本発明による、単一ダイインサートを形成するために使用される2つの部分を表す図である。
【図16】本発明による、完成したダイインサートの1つの例示的実施形態を表す図である。
【図17】本発明による、ハウジングの部分へ挿入された場合の、完成したダイインサートの例示的実施形態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の例示的実施形態は以下で説明される。はっきり言って、実際の実行の全ての特徴が本明細書で説明されるものではない。勿論、任意のそのような実際の実施形態の開発では、多数の実行−特別の決定が、開発者の特定の目標、例えば、1つの実行から別の実行へと変動するシステム関連及びビジネス関連の制約の遵守等を達成するために為されるべきであることが認識される。更に、そのような開発努力は複雑で時間が掛かるが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとっては日常の仕事であることが理解される。
【0012】
本発明は、ここで、添付の図を参照して説明される。種々の構造、システム及び装置は、説明だけの目的のために、そして当業者には良く知られた詳細で本発明を分かりにくくしないために、図面で概略的に表される。それにもかかわらず、添付の図面は、本発明の例示的実施例を記載し説明するために含まれる。本明細書で使用される用語及び句は、当業者によるそれらの用語及び句の理解と一致する意味を有するために理解され且つ解釈されるべきである。用語又は句の特別の定義、即ち、当業者により理解されるような通常の及び普通の意味とは異なる定義は、本明細書の用語又は句の一貫した用法によって意味されることが意図されない。用語又は句が特別の意味を持つことが意図される範囲、即ち、当業者により理解されるもの以外の意味、例えば、特別の定義は、用語又は句に特別の定義を直接に及び明白に与える定義方法で明細書で明示的に示される。
【0013】
図1A、1B、1C及び1Dは、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成するための方法100の第1の例示的実施形態を概念的に例示する。例示された実施形態では、シリコーン樹脂層105は、図1Aで示されるように、基体110上に形成される。シリコーン樹脂層105は、種々の方法を使用して形成されてもよい。1つの実施形態では、シリコーン樹脂層105は、基体110上に硬化性シリコーン樹脂組成物を堆積することにより形成される。例えば、硬化性シリコーン樹脂組成物のフィルムは、従来のコーティング方法、例えば、インクジェットによる堆積、スピンコーティング、浸漬、噴霧、刷毛塗り、スクリーン印刷等による堆積を使用して堆積されてもよい。硬化性シリコーン樹脂組成物は、次いで、硬化して(又は部分的に硬化して)、シリコーン樹脂層105を形成する。種々の選択的実施形態では、硬化方法は、1つ又は複数の触媒を添加する工程及び硬化性シリコーン樹脂組成物を高温に暴露する工程を含んでもよい。
【0014】
例えば、トルエン中のPhSiCl3、MeSiCl3、PhMeSiCl2、及びPh2SiCl2の混合物を水で同時加水分解し、加水分解物を脱イオン水で洗浄し、加水分解物を加熱増粘し、この樹脂(樹脂−1)を乾燥することにより形成されるシリコーン樹脂は、メチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解することができる。この樹脂のMIBK溶液は0.2重量%のオクタン酸亜鉛と混合され、浸漬、スピンコーティング、ドローダウンコーティング、押出しコーティング、可逆グラビアコーティング、又は任意のその他のコーティング方法によりステンレススチールフォイル上へ被覆される。被覆されたステンレススチールフォイルは、オーブン中の空気中で硬化することができる。硬化温度は177℃〜350℃の範囲である。硬化時間は、30分〜2時間である。その他の例はTMe/SiO2樹脂である。この樹脂は、直径15nmのナノシリカ粒子のイソプロパノールアルコール分散体中のMeSi(OMe)3の加水分解物の部分縮合樹脂分散体である。この樹脂は、基体、例えば、ステンレススチール等の上に同様に被覆され、オーブン中の空気中で125℃で1時間硬化される。
【0015】
(硬化した又は部分硬化した)シリコーン樹脂層105は、シリコーン樹脂層105を形成するために使用される硬化した又は部分硬化したシリコーン樹脂の延性遷移厚さ(Td)未満である厚さ(T)を持たせるために形成される。本明細書で使用され、当該技術分野での普通の用法による「延性遷移厚さ」という用語は、シリコーン樹脂で形成された層が脆性状態から更に延性状態へ遷移する場合の厚さを意味するために使用される。本明細書で使用され、当該技術分野での普通の用法による「脆性」という用語は、材料が、分解、破壊、又はひび割れを始める場合の臨界点までの引張り強度テスト中に適用される力及び変位との間でほぼ直線的相関関係を示す材料を意味する。反対に、「延性」という用語は、引張り強度テスト中に適用される力に応答して、破壊及び/又は剪断降伏前に顕著な伸びを示す材料を意味するために、当該技術分野での普通の用法により本明細書で使用される。
【0016】
延性遷移厚さの実際の値は、シリコーン樹脂の組成物及びシリコーン樹脂層を形成するために使用される硬化方法に依存する。例えば、約250℃の温度で硬化した場合、樹脂−1で形成されるシリコーン樹脂層105は、約10μmの延性遷移厚さより大きい厚さで脆性であり得るし、約10μmの延性遷移厚さ未満の厚さで延性であり得る。反対に、200℃の温度で硬化した場合、樹脂−1の延性遷移厚さは約2〜3μmまで減少し得る。延性遷移厚さは樹脂のタイプで又変動する。例えば、上述のTMe/SiO2樹脂は、言及されている条件で硬化した場合、約200nmの延性遷移厚さを有する。
【0017】
上述の硬化性シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂層105を形成するために使用され得る組成物の唯一の例である。選択的実施形態では、硬化性シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂を含む任意のヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物であることのできるヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物であってもよい。そのような組成物は、一般的に、ケイ素−結合アルケニル基又はケイ素−結合水素原子を有するシリコーン樹脂、樹脂中のケイ素−結合アルケニル基又はケイ素−結合水素原子と反応することのできるケイ素−結合水素原子又はケイ素−結合アルケニル基を有する架橋剤、及びヒドロシリル化触媒を含む。シリコーン樹脂は、一般的に、M及び/又はDシロキサン単位との組合せでT及び/又はQシロキサン単位を含むコポリマーである。更に、シリコーン樹脂は、シリコーン組成物の第5及び第6の実施形態に対して以下で説明されるゴム変性シリコーン樹脂であることができる。上で検討されたように、以下で説明される硬化性シリコーン樹脂組成物を使用して形成される層の延性遷移厚さの値は、シリコーン樹脂の組成物及び層を形成するために使用される硬化方法に依存し得る。
【0018】
第1の実施形態によれば、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、(A)式(R1R22SiO1/2)w(R22SiO2/2)x(R1SiO3/2)y(SiO4/2)z(I)を有するシリコーン樹脂(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、前記シリコーン樹脂は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有する);(B)
シリコーン樹脂を硬化するのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する有機ケイ素化合物;及び(C)触媒量のヒドロシリル化触媒を含む。
【0019】
成分(A)は、式(R1R22SiO1/2)w(R22SiO2/2)x(R1SiO3/2)y(SiO4/2)z(I)を有する少なくとも1つのシリコーン樹脂である(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、前記シリコーン樹脂は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有する)。
【0020】
R1で表示されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は脂肪族不飽和を持たず、一般的に、1〜10個の炭素原子、又は1〜6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含む非環式ヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、分枝又は非分枝構造を有することができる。R1で表示されるヒドロカルビル基の例としては、アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル等;シクロアルキル、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びメチルシクロヘキシル等;アリール、例えば、フェニル及びナフチル等;アルカリール、例えば、トリル及びキシリル等;及びアラルキル、例えば、ベンジル及びフェネチル等が挙げられるがこれらに限定されない。R1で表示されるハロゲン置換ヒドロカルビル基の例としては、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、及び2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0021】
R2で表示されるアルケニル基は、同じか異なっていてもよく、一般的に、2〜約10個の炭素原子、又は2〜6個の炭素原子を有し、例として、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、及びオクテニルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0022】
シリコーン樹脂の式(I)では、添字のw、x、y、及びzはモル分率である。添字wは、一般的に、0〜0.8、又は0.02〜0.75、又は0.05〜0.3の値を有し;添字xは、一般的に、0〜0.6、又は0〜0.45、又は0〜0.25の値を有し;添字yは、一般的に、0〜0.99、又は0.25〜0.8、又は0.5〜0.8の値を有し;添字zは、一般的に、0〜0.75、又は0〜0.55、又は0〜0.25の値を有する。又、y+z/(w+x+y+z)の比は、一般的に、0.2〜0.99、又は、0.5〜0.95、又は0.65〜0.9である。更に、w+x/(w+x+y+z)の比は、一般的に、0.01〜0.80、又は0.05〜0.5、又は0.1〜0.35である。
【0023】
一般的に、R2基の少なくとも50モル%、又は少なくとも65モル%、又は少なくとも80モル%はアルケニルである。
【0024】
シリコーン樹脂は、一般的に、低角レーザー光散乱検出器、又は屈折率検出器及びシリコーン樹脂(MQ)標準を使用して、ゲル透過クロマトグラフィーで決定される、500〜50,000、又は500〜10,000、又は1,000〜3,000の数平均分子量(Mn)を有する。
【0025】
25℃でのシリコーン樹脂の粘度は、一般的に、0.01〜100,000Pa・s、又は0.1〜10,000Pa・s、又は1〜100Pa・sである。
【0026】
シリコーン樹脂は、一般的に、29Si NMRで決定される、10%(w/w)未満、又は5%(w/w)未満、又は2%(w/w)未満のケイ素−結合ヒドロキシ基を含む。
【0027】
シリコーン樹脂は、R1R22SiO1/2単位(即ち、M単位)及び/又はR22SiO2/2単位(即ち、D単位)(ここで、R1及びR2は、上で記載され且つ例示された通りである)との組合せでR1SiO3/2単位(即ち、T単位)及び/又はSiO4/2単位(即ち、Q単位)を含む。例えば、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、及びMTQ樹脂、並びにMDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であることができる。
【0028】
シリコーン樹脂の例としては、次式:
(Vi2MeSiO1/2)0.25(PhSiO3/2)0.75、(ViMe2SiO1/2)0.25(PhSiO3/2)0.75、(ViMe2SiO1/2)0.25(MeSiO3/2)0.25(PhSiO3/2)0.50、(ViMe2SiO1/2)0.15(PhSiO3/2)0.75(SiO4/2)0.1、及び(Vi2MeSiO1/2)0.15(ViMe2SiO1/2)0.1(PhSiO3/2)0.75(ここで、Meはメチルであり、Viはビニルであり、Phはフェニルであり、括弧の外の数字の添字はモル分率を表す)を有する樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。又、先の式で、単位の順序は特に指定されない。
【0029】
成分(A)は、それぞれが上述のような、単一シリコーン樹脂又は2つ以上の異なるシリコーン樹脂を含む混合物であることができる。
【0030】
シリコーン樹脂の調製方法は当該技術分野では良く知られており、多数のこれらの樹脂が市販されている。シリコーン樹脂は、一般的に、クロロシラン前駆体の適当な混合物を、有機溶剤、例えば、トルエン等の中で同時加水分解することにより調製される。例えば、R1R22SiO1/2単位及びR1SiO3/2単位から本質的に成るシリコーン樹脂は、式R1R22SiClを有する化合物及び式R1SiCl3を有する化合物(ここで、R1及びR2は、上で定義され且つ例示された通りである)をトルエン中で同時加水分解することにより調製することができる。水性塩酸及びシリコーン加水分解物が分離され、加水分解物は残留酸を除去するために水で洗浄され、穏やかな縮合触媒の存在下で、樹脂を必要粘度まで「増粘」するために加熱される。必要に応じて、樹脂は、ケイ素−結合ヒドロキシ基の含有量を減少させるために有機溶剤中で縮合触媒で更に処理することができる。或いは又、クロロ以外の加水分解可能な基、例えば、−Br、−I、−OCH3、−OC(O)CH3、−N(CH3)2、NHCOCH3、及び−SCH3を含むシランが、同時加水分解反応で出発物質として利用することもできる。樹脂生成物の性質は、シランのタイプ、シランのモル比、縮合の程度、及び処理条件に依存する。
【0031】
成分(B)は、成分(A)のシリコーン樹脂を硬化するのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する少なくとも1つの有機ケイ素化合物である。
【0032】
有機ケイ素化合物は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子、又は、分子当たり平均少なくとも3つのケイ素−結合水素原子を有する。一般的に、架橋は、成分(A)での分子当たりのアルケニル基の平均数及び成分(B)での分子当たりのケイ素−結合水素原子の平均数の合計が4を超える場合に生起することが理解される。
【0033】
有機ケイ素化合物は、有機水素シラン又は有機水素シロキサンであることができる。有機水素シランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、又はポリシランであることができる。同様に、有機水素シロキサンは、ジシロキサン、トリシロキサン、又はポリシロキサンであることができる。有機ケイ素化合物の構造は、線状、分枝、環状、又は樹脂状であることができる。環状シラン及び環状シロキサンは、一般的に、3〜12個のケイ素原子、又は3〜10個のケイ素原子、又は3〜4個のケイ素原子を有する。非環式ポリシラン及びポリシロキサンでは、ケイ素−結合水素原子は、末端で、ペンダントで、又は末端及びペンダントの両方の位置で配置され得る。
【0034】
有機水素シランの例としては、ジフェニルシラン、2−クロロエチルシラン、ビス[(p−ジメチルシリル)フェニル]エーテル、1,4−ジメチルジシリルエタン、1,3,5−トリス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラン、ポリ(メチルシリレン)フェニレン、及びポリ(メチルシリレン)メチレンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0035】
有機水素シランは、又、式HR12Si−R3−SiR12H(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R3は、
【化1】
(ここで、gは1〜6である)から選択される式を有する脂肪族不飽和のないヒドロカルビレン基である)を有することもできる。R1で表示されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、成分(A)のシリコーン樹脂に対して上で定義され且つ例示された通りである。
【0036】
式HR12Si−R3−SiR12H(ここで、R1及びR3は、上で記載され且つ例示された通りである)を有する有機水素シランの例としては、次式:
【化2】
を有するシランが挙げられるがこれらに限定されない。
【0037】
有機水素シロキサンの例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、フェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、トリメチルシロキシ−末端化ポリ(メチル水素シロキサン)、トリメチルシロキシ−末端化ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)、ジメチル水素シロキシ−末端化ポリ(メチル水素シロキサン)、並びにHMe2SiO1/2単位、Me3SiO1/2単位、及びSiO4/2単位(ここで、Meはメチルである)から本質的に成る樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。
【0038】
有機水素シロキサンは、又、式(R1R42SiO1/2)w(R42SiO2/2)x(R1SiO3/2)y(SiO4/2)z(II)(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R4はR1又は、少なくとも1つのケイ素−結合水素原子を有する有機シリルアルキル基であり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、R4基の少なくとも50モル%は、有機シリルアルキルである)を有する有機水素ポリシロキサン樹脂であることもできる。
【0039】
R1で表示されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、成分(A)のシリコーン樹脂に対して上で記載され且つ例示された通りである。R4で表示される有機シリルアルキル基の例としては、次式:
【化3】
−CH2CH2SiMe2H、
−CH2CH2SiMe2CnH2nSiMe2H、
−CH2CH2SiMe2CnH2nSiMePhH、
−CH2CH2SiMePhH、
−CH2CH2SiPh2H、
−CH2CH2SiMePhCnH2nSiPh2H、
−CH2CH2SiMePhCnH2nSiMe2H、
−CH2CH2SiMePhOSiMePhH、及び
−CH2CH2SiMePhOSiPh(OSiMePhH)2(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、添字nは、2〜10の値を有する)
を有する基が挙げられるがこれらに限定されない。
【0040】
有機水素ポリシロキサン樹脂の式(II)で、添字w、x、y、及びzはモル分率である。添字wは、一般的に、0〜0.8、又は0.02〜0.75、又は0.05〜0.3の値を有し;添字xは、一般的に、0〜0.6、又は0〜0.45、又は0〜0.25の値を有し;添字yは、一般的に、0〜0.99、又は0.25〜0.8、又は0.5〜0.8の値を有し;添字zは、一般的に、0〜0.75、又は0〜0.55、又は0〜0.25の値を有する。又、y+z/(w+x+y+z)の比は、一般的に、0.2〜0.99、又は、0.5〜0.95、又は0.65〜0.9である。更に、w+x/(w+x+y+z)の比は、一般的に、0.01〜0.80、又は0.05〜0.5、又は0.1〜0.35である。
【0041】
一般的に、有機水素ポリシロキサン樹脂でのR4基の少なくとも50モル%、又は少なくとも65モル%、又は少なくとも80モル%は、少なくとも1つのケイ素−結合水素原子を有する有機シリルアルキル基である。
【0042】
有機水素ポリシロキサン樹脂は、一般的に、低角レーザー光散乱検出器、又は屈折率検出器及びシリコーン樹脂(MQ)標準を使用して、ゲル透過クロマトグラフィーで決定される、500〜50,000、又は500〜10,000、又は1,000〜3,000の数平均分子量(Mn)を有する。
【0043】
有機水素ポリシロキサン樹脂は、一般的に、29Si NMRで決定される、10%(w/w)未満、又は5%(w/w)未満、又は2%(w/w)未満のケイ素−結合ヒドロキシ基を含む。
【0044】
有機水素ポリシロキサン樹脂は、R1R42SiO1/2単位(即ち、M単位)及び/又はR42SiO2/2単位(即ち、D単位)(ここで、R1及びR4は、上で記載され且つ例示された通りである)との組合せでR1SiO3/2単位(即ち、T単位)及び/又はSiO4/2単位(即ち、Q単位)を含む。例えば、有機水素ポリシロキサン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、及びMTQ樹脂、並びにMDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であることができる。
【0045】
有機水素ポリシロキサン樹脂の例としては、次式:
((HMe2SiC6H4SiMe2CH2CH2)2MeSiO1/2)0.12(PhSiO3/2)0.88、
((HMe2SiC6H4SiMe2CH2CH2)2MeSiO1/2)0.17(PhSiO3/2)0.83、
((HMe2SiC6H4SiMe2CH2CH2)2MeSiO1/2)0.17(MeSiO3/2)0.17(PhSiO3/2)0.66、
((HMe2SiC6H4SiMe2CH2CH2)2MeSiO1/2)0.15(PhSiO3/2)0.75(SiO4/2)0.10、及び
((HMe2SiC6H4SiMe2CH2CH2)2MeSiO1/2)0.08((HMe2SiC6H4SiMe2CH2CH2)Me2SiO1/2)0.06(PhSiO3/2)0.86(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、C6H4はパラ−フェニレン基を表し、括弧の外の数字の添字はモル分率を表す)を有する樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。又、先の式で、単位の順序は特に指定されない。
【0046】
成分(B)は、それぞれが上述のような、単一有機ケイ素化合物又は2つ以上の異なる有機ケイ素化合物を含む混合物であることができる。例えば、成分(B)は、単一有機水素シラン、2つの異なる有機水素シランの混合物、単一有機水素シロキサン、2つの異なる有機水素シロキサンの混合物、又は有機水素シラン及び有機水素シロキサンの混合物であることができる。特に、成分(B)は、式(II)を有する有機水素ポリシロキサン樹脂の、成分(B)の合計重量を基準にして、少なくとも0.5(w/w)、又は少なくとも50%(w/w)、又は少なくとも75%(w/w)並びに有機水素シラン及び/又は有機水素シロキサン(これは、有機水素ポリシロキサン樹脂とは異なる)を含む混合物であることができる。
【0047】
成分(B)の濃度は、成分(A)のシリコーン樹脂を硬化(架橋)するために十分なものである。成分(B)の正確な量は硬化の所望の範囲に依存し、一般的に、成分(B)のケイ素−結合水素原子のモル数対成分(A)のアルケニル基のモル数の比が増加するにつれて増加する。成分(B)の濃度は、一般的に、成分(A)のアルケニル基の1モル当たり、0.4〜2モルのケイ素−結合水素原子、又は0.8〜1.5モルのケイ素−結合水素原子、又は0.9〜1.1モルのケイ素−結合水素原子を与えるのに十分なものである。
【0048】
ケイ素−結合水素原子を含む有機ケイ素化合物を調製する方法は当該技術分野では良く知られている。例えば、有機水素シランは、グリニャール試薬とハロゲン化アルキル又はハロゲン化アリールとの反応により調製することができる。特に、式HR12Si−R3−SiR12Hを有する有機水素シランは、相当するグリニャール試薬を生成するためにエーテル中で、式R3X2を有するジハロゲン化アリールをマグネシウムで処理し、次いで、式HR12SiClを有するクロロシランでグリニャール試薬を処理することにより調製することができる(ここで、R1及びR3は、上で記載され且つ例示された通りである)。
【0049】
有機水素シロキサンを調製する方法、例えば、有機ハロシランの加水分解及び縮合は、当該技術分野では又良く知られている。
【0050】
更に、式(II)を有する有機水素シロキサン樹脂は、(a)式(R1R22SiO1/2)w(R22SiO2/2)x(R1SiO3/2)y(SiO4/2)z(I)を有するシリコーン樹脂と(b)分子当たり平均2〜4個のケイ素−結合水素原子及び1000未満の分子量を有する有機ケイ素化合物とを、(c)ヒドロシリル化触媒、場合により、(d)有機溶剤の存在下で反応させることにより調製することができる(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、前記シリコーン樹脂(a)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有し、(b)におけるケイ素−結合水素原子対(a)におけるアルケニル基のモル比は、1.5〜5である)。
【0051】
シリコーン樹脂(a)は、シリコーン組成物の成分(A)に対して上で記載され且つ例示された通りである。シリコーン樹脂(a)は、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物で成分(A)として使用されるシリコーン樹脂と同じであることもできれば異なることもできる。
【0052】
有機ケイ素化合物(b)は、分子当たり平均2〜4個のケイ素−結合水素原子を有する少なくとも1つの有機ケイ素化合物である。或いは又、有機ケイ素化合物は、分子当たり平均2〜3個のケイ素−結合水素原子を有する。有機ケイ素化合物は、一般的に、1,000未満、又は750未満、又は500未満の分子量を有する。有機ケイ素化合物でのケイ素−結合有機基は、成分(A)のシリコーン樹脂の式でR1に対して上で記載され且つ例示された、ヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基で、共に脂肪族不飽和を持たない基から選択される。
【0053】
有機ケイ素化合物(b)は、有機水素シラン又は有機水素シロキサンであることができる。有機水素シランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、又はポリシランであることができる。同様に、有機水素シロキサンは、ジシロキサン、トリシロキサン、又はポリシロキサンであることができる。有機ケイ素化合物の構造は、線状、分枝、又は環状であることができる。環状シラン及び環状シロキサンは、一般的に、3〜12個のケイ素原子、又は3〜10個のケイ素原子、又は3〜4個のケイ素原子を有する。非環式ポリシラン及びポリシロキサンでは、ケイ素−結合水素原子は、末端で、ペンダントで、又は末端及びペンダントの両方の位置で配置され得る。
【0054】
有機水素シランの例としては、ジフェニルシラン、2−クロロエチルシラン、ビス[(p−ジメチルシリル)フェニル]エーテル、1,4−ジメチルジシリルエタン、1,3,5−トリス(ジメチルシリル)ベンゼン、及び1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシランが挙げられるがこれらに限定されない。有機水素シランは、又、式HR12Si−R3−SiR12H(ここで、R1及びR3は、上で記載され且つ例示された通りである)を有することもできる。
【0055】
有機水素シロキサンの例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、フェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、及び1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0056】
有機ケイ素化合物(b)は、それぞれが上述のような、単一有機ケイ素化合物又は2つ以上の異なる有機ケイ素化合物を含む混合物であることができる。例えば、成分(B)は、単一有機水素シラン、2つの異なる有機水素シランの混合物、単一有機水素シロキサン、2つの異なる有機水素シロキサンの混合物、又は有機水素シラン及び有機水素シロキサンの混合物であることができる。
【0057】
上述の、グリニャール試薬とハロゲン化アルキル又はハロゲン化アリールとの反応等の、有機水素シランの調製方法は当該技術分野では良く知られている。同様に、有機水素シランの加水分解及び縮合等の、有機水素シロキサンの調製方法も当該技術分野では良く知られている。
【0058】
ヒドロシリル化触媒(c)は、白金族金属(即ち、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウム)又は白金族金属を含む化合物を含む任意の良く知られたヒドロシリル化触媒であることができる。好ましくは、白金族金属は、ヒドロシリル化反応でのその高活性に基づく白金である。
【0059】
ヒドロシリル化触媒としては、参照として本明細書に組み込まれる米国特許第3419593号でウイリング(Willing)により開示された塩化白金酸及び或種のビニル含有有機シロキサンの錯体が挙げられる。このタイプの触媒は、塩化白金酸と1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとの反応生成物である。
【0060】
ヒドロシリル化触媒は、又、固体支持体の表面上に白金族金属を有する固体支持体を含む支持ヒドロシリル化触媒であることもできる。支持触媒は、有機水素ポリシロキサン樹脂生成物から、例えば、反応混合物を濾過することによって都合よく分離することができる。支持触媒の例としては、炭素上の白金、炭素上のパラジウム、炭素上のルテニウム、炭素上のロジウム、シリカ上の白金、シリカ上のパラジウム、アルミナ上の白金、アルミナ上のパラジウム、及びアルミナ上のルテニウムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0061】
有機溶剤(d)は、少なくとも1つの有機溶剤である。有機溶剤は、シリコーン樹脂(a)、有機ケイ素化合物(b)、又は有機水素ポリシロキサン樹脂と、本発明方法の条件下で反応しない、成分(a)、(b)、及び有機水素ポリシロキサン樹脂と相溶性である任意の非プロトン性又は双極性有機溶剤であることができる。
【0062】
有機溶剤の例としては、飽和脂肪族炭化水素、例えば、n−ペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン及びドデカン等;環状脂肪族炭化水素、例えば、シクロペンタン及びシクロヘキサン等;芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等;環状エーテル、例えば、テトラヒドロフラン(THF)及びジオキサン等;ケトン、例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK)等;ハロゲン化アルカン、例えば、トリクロロエタン等;並びにハロゲン化芳香族炭化水素、例えば、ブロモベンゼン及びクロロベンゼン等が挙げられるがこれらに限定されない。有機溶剤(d)は、それぞれが上で記載された通りの単一有機溶剤又は2つ以上の異なる有機溶剤を含む混合物であることができる。
【0063】
反応は、ヒドロシリル化反応に適した任意の標準的反応器で行うことができる。適当な反応器としては、ガラス及びTeflon内張りガラス反応器が挙げられる。好ましくは、反応器は、掻き混ぜ手段、例えば、撹拌手段を備えている。又、好ましくは、反応は、不活性雰囲気、例えば、窒素又はアルゴン下で、水分の不存在下で行われる。
【0064】
シリコーン樹脂、有機ケイ素化合物、ヒドロシリル化触媒、及び、場合によって、有機溶剤は、任意の順序で組み合わせることができる。一般的に、有機ケイ素化合物(b)及びヒドロシリル化触媒(c)は、シリコーン樹脂(a)及び、場合によって、有機溶剤(d)の導入前に組み合わされる。
【0065】
反応は、一般的に、0〜150℃、又は室温(〜23℃±2℃)〜115℃の温度で行われる。温度が0℃未満である場合は、反応速度が一般的に極めて遅い。
【0066】
反応時間は、幾つかの要因、例えば、シリコーン樹脂及び有機ケイ素化合物の構造、並びに温度等に依存する。反応時間は、一般的に、室温(〜23℃±2℃)〜150℃の温度で1〜24時間である。最適反応時間は日常の実験で決定することができる。
【0067】
有機ケイ素化合物(b)でのケイ素−結合水素原子対シリコーン樹脂(a)でのアルケニル基のモル比は、一般的に、1.5〜5、又は1.75〜3、又は2〜2.5である。
【0068】
ヒドロシリル化触媒(c)の濃度は、シリコーン樹脂(a)と有機ケイ素化合物(b)との付加反応を触媒するのに十分なものである。一般的に、ヒドロシリル化触媒(c)の濃度は、シリコーン樹脂(a)及び有機ケイ素化合物(b)の一緒にした重量を基準にして、白金族金属の0.1〜1000ppm、又は白金族金属の1〜500ppm、又は白金族金属の5〜150ppmを与えるのに十分なものである。反応速度は、白金族金属の0.1ppmより下では非常に遅い。白金族金属の1000ppmを超える使用は、反応速度で明らかな増加をもたらさず、従って、不経済である。
【0069】
有機溶剤(d)の濃度は、反応混合物の合計重量を基準にして、一般的に、0〜99%(w/w)、又は30〜80%(w/w)、又は45〜60%(w/w)である。
【0070】
有機水素ポリシロキサン樹脂は、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物の第1の実施形態で単離又は精製なしで使用することができ、又は樹脂は、通常の蒸発方法により殆どの溶剤から分離することができる。例えば、反応混合物は減圧下で加熱することができる。更に、有機水素ポリシロキサン樹脂を調製するために使用されるヒドロシリル化触媒が、上述の支持触媒である場合は、樹脂は、反応混合物を濾過することによりヒドロシリル化触媒から容易に分離することができる。然しながら、有機水素ポリシロキサン樹脂が、この樹脂を調製するために使用されたヒドロシリル化触媒から分離されない場合は、触媒は、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物の第1の実施形態の成分(C)として使用されてもよい。
【0071】
ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物の成分(C)は、成分(A)と成分(B)との付加反応を促進する、少なくとも1つのヒドロシリル化触媒である。ヒドロシリル化触媒は、白金族金属、白金族金属を含む化合物を含む任意の良く知られたヒドロシリル化触媒、又はマイクロカプセル化白金族金属含有触媒であることができる。白金族金属としては、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウムが挙げられる。好ましくは、白金族金属は、ヒドロシリル化反応でのその高活性に基づく白金である。
【0072】
好ましいヒドロシリル化触媒としては、参照として本明細書に組み込まれる米国特許第3419593号でウイリング(Willing)により開示された塩化白金酸及び或種のビニル含有有機シロキサンの錯体が挙げられる。このタイプの好ましい触媒は、塩化白金酸と1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとの反応生成物である。
【0073】
ヒドロシリル化触媒は、又、熱可塑性樹脂でカプセル化された白金族金属を含むマイクロカプセル化白金族金属含有触媒であることができる。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒を含む組成物は、長期間、一般的には、数ヶ月以上安定で、周囲温度下で、熱可塑性樹脂の溶融又は軟化点より上の温度でなお相対的に急速に硬化する。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒及びそれらを調製するための方法は、米国特許第4766176号及びそこで引用されている参考文献;並びに米国特許第5017654号で例示されているように良く知られている。
【0074】
成分(C)は、単一のヒドロシリル化触媒又は少なくとも1つの性質、例えば、構造、形態、白金族金属、錯体リガンド、及び熱可塑性樹脂等で異なる2つ以上の異なる触媒を含む混合物であることができる。
【0075】
成分(C)の濃度は、成分(A)と成分(B)との付加反応を触媒するのに十分なものである。一般的には、成分(C)の濃度は、成分(A)及び(B)の組み合わせた重量を基準にして、白金族金属の0.1〜1000ppm、好ましくは、白金族金属の1〜500ppm、更に好ましくは、白金族金属の5〜150ppmを与えるのに十分なものである。硬化速度は、白金族金属の0.1ppmより下では非常に遅い。白金族金属の1000ppmを超える使用は、硬化速度で明らかな増加をもたらさず、従って、不経済である。
【0076】
第2の実施形態によれば、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、(A’)式(R1R52SiO1/2)w(R52SiO2/2)x(R5SiO3/2)y(SiO4/2)z(III)を有するシリコーン樹脂(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R5はR1又は−Hであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、前記シリコーン樹脂は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する);(B’)シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つ以上のケイ素−結合アルケニル基を有する有機ケイ素化合物;及び(C)触媒量のヒドロシリル化触媒を含む。
【0077】
成分(A’)は、式(R1R52SiO1/2)w(R52SiO2/2)x(R5SiO3/2)y(SiO4/2)z(III)(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R5はR1又は−Hであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、前記シリコーン樹脂は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する)を有する、少なくとも1つのシリコーン樹脂である。式(III)で、R1、w、x、y、z、y+z/(w+x+y+z)、及びw+x/(w+x+y+z)は、式(I)を有するシリコーン樹脂に対して上で記載され且つ例示された通りである。
【0078】
一般的に、シリコーン樹脂におけるR5基の少なくとも50モル%、又は少なくとも65モル%、又は少なくとも80モル%は水素である。
【0079】
シリコーン樹脂は、一般的に、500〜50,000、又は500〜10,000、又は1,000〜3,000の数平均分子量(Mn)を有し、この分子量は、低角レーザー光散乱検出器、又は屈折率検出器及びシリコーン樹脂(MQ)標準を使用して、ゲル透過クロマトグラフィーで決定される。
【0080】
25℃でのシリコーン樹脂の粘度は、一般的に、0.01〜100,000Pa・s、又は0.1〜10,000Pa・s、又は1〜100Pa・sである。
【0081】
シリコーン樹脂は、一般的に、29Si NMRで決定される、10%(w/w)未満、又は5%(w/w)未満、又は2%(w/w)未満のケイ素−結合ヒドロキシ基を含む。
【0082】
シリコーン樹脂は、R1R52SiO1/2単位(即ち、M単位)及び/又はR52SiO2/2単位(即ち、D単位)との組合せでR5SiO3/2単位(即ち、T単位)及び/又はSiO4/2単位(即ち、Q単位)を含む。例えば、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、及びMTQ樹脂、並びにMDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であることができる。
【0083】
成分(A’)としての使用に適したシリコーン樹脂の例としては、次式:
(HMe2SiO1/2)0.25(PhSiO3/2)0.75、(HMeSiO2/2)0.3(PhSiO3/2)0.6(MeSiO3/2)0.1、及び(Me3SiO1/2)0.1(H2SiO2/2)0.1(MeSiO3/2)0.4(PhSiO3/2)0.4(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、括弧の外の数字の添字はモル分率を表す)を有する樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。又、先の式で、単位の順序は特に指定されない。
【0084】
成分(A’)は、それぞれが上で記載された通りの単一シリコーン樹脂又は2つ以上の異なるシリコーン樹脂を含む混合物であることができる。
【0085】
ケイ素−結合水素原子を含むシリコーン樹脂の調製方法は当該技術分野では良く知られており、多数のこれらの樹脂が市販されている。シリコーン樹脂は、一般的に、クロロシラン前駆体の適当な混合物を有機溶剤、例えば、トルエン等の中で同時加水分解することにより調製される。例えば、R1R52SiO1/2単位及びR5SiO2/2単位から本質的に成るシリコーン樹脂は、式R1R52SiClを有する化合物及び式R5SiCl3を有する化合物(ここで、R1及びR5は、上で記載され且つ例示された通りである)をトルエン中で同時加水分解することにより調製することができる。水性塩酸及びシリコーン加水分解物が分離され、加水分解物は残留酸を除去するために水で洗浄され、穏やかな非塩基性縮合触媒の存在下で、樹脂を必要粘度まで「増粘」するために加熱される。必要に応じて、樹脂は、ケイ素−結合ヒドロキシ基の含有量を減少させるために有機溶剤中で非塩基性縮合触媒で更に処理することができる。或いは又、クロロ以外の加水分解可能な基、例えば、−Br、−I、−OCH3、−OC(O)CH3、−N(CH3)2、NHCOCH3、及び−SCH3を含むシランが、同時加水分解反応で出発物質として利用することもできる。樹脂生成物の性質は、シランのタイプ、シランのモル比、縮合の程度、及び処理条件に依存する。
【0086】
成分(B’)は、成分(A’)のシリコーン樹脂を硬化するのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有する少なくとも1つの有機ケイ素化合物である。
【0087】
有機ケイ素化合物は、分子当たり平均、少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基、或いは又、分子当たり少なくとも3つのケイ素−結合アルケニル基を含む。一般的に、架橋は、成分(A’)での分子当たりのケイ素−結合水素原子の平均数及び成分(B’)での分子当たりのケイ素−結合アルケニル基の平均数の合計が4を超える場合に生起することが理解される。
【0088】
有機ケイ素化合物は、有機シラン又は有機シロキサンであることができる。有機シランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、又はポリシランであることができる。同様に、有機シロキサンは、ジシロキサン、トリシロキサン、又はポリシロキサンであることができる。有機ケイ素化合物の構造は、線状、分枝、環状、又は樹脂状であることができる。環状シラン及び環状シロキサンは、一般的に、3〜12個のケイ素原子、又は3〜10個のケイ素原子、又は3〜4個のケイ素原子を有する。非環式ポリシラン及びポリシロキサンでは、ケイ素−結合アルケニル基は、末端で、ペンダントで、又は末端及びペンダントの両方の位置で配置され得る。
【0089】
成分(B’)としての使用に適した有機シランの例としては、次式:
Vi4Si、PhSiVi3、MeSiVi3、PhMeSiVi2、Ph2SiVi2、及びPhSi(CH2CH=CH2)3(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Viはビニルである)を有するシランが挙げられるがこれらに限定されない。
【0090】
成分(B’)としての使用に適した有機シロキサンの例としては、次式:
PhSi(OSiMe2Vi)3、Si(OSiMe2Vi)4、MeSi(OSiMe2Vi)3、及びPh2Si(OSiMe2Vi)2(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルである)を有するシロキサンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0091】
成分(B’)は、それぞれが上で記載された通りの単一有機ケイ素化合物又は2つ以上の異なる有機ケイ素化合物を含む混合物であることができる。例えば、成分(B’)は、単一有機シラン、2つの異なる有機シランの混合物、単一有機シロキサン、2つの異なる有機シロキサンの混合物、又は有機シラン及び有機シロキサンの混合物であることができる。
【0092】
成分(B’)の濃度は、成分(A’)のシリコーン樹脂を硬化(架橋)するのに十分なものである。成分(B’)の正確な量は硬化の所望の範囲に依存し、一般的に、成分(B’)のケイ素−結合アルケニル基のモル数対成分(A’)のケイ素−結合水素原子のモル数の比が増加するにつれて増加する。成分(B’)の濃度は、一般的に、成分(A’)のケイ素−結合水素原子の1モル当たり、0.4〜2モルのケイ素−結合アルケニル基、又は0.8〜1.5モルのケイ素−結合アルケニル基、又は0.9〜1.1モルのケイ素−結合アルケニル基を与えるのに十分なものである。
【0093】
ケイ素−結合アルケニル基を含む有機シラン及び有機シロキサンを調製する方法は当該技術分野では良く知られており、多数のこれらの化合物が市販されている。
【0094】
シリコーン組成物の第2の実施形態の成分(C)は、第1の実施形態の成分(C)に対して上で記載され且つ例示された通りである。
【0095】
第3の実施形態によれば、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、(A)式(R1R22SiO1/2)w(R22SiO2/2)x(R1SiO3/2)y(SiO4/2)z(I)を有するシリコーン樹脂;(B)シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する有機ケイ素化合物;(C)触媒量のヒドロシリル化触媒;及び(D)(i)R1R22SiO(R22SiO)aSiR22R1(IV)及び(ii)R5R12SiO(R1R5SiO)bSiR12R5(V)から選択される式を有するシリコーンゴムを含む(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、R5はR1又は−Hであり、添字a及びbは、それぞれ1〜4の値を有し、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンゴム(D)(i)は、それぞれ、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有し、前記シリコーンゴム(D)(ii)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有し、シリコーンゴム(D)のケイ素−結合アルケニル基又はケイ素−結合水素原子対シリコーン樹脂(A)のケイ素−結合アルケニル基のモル比は0.01〜0.5である)。
【0096】
シリコーン組成物の第3の実施形態の成分(A)、(B)、及び(C)は、第1の実施形態に対して上で記載され且つ例示された通りである。
【0097】
成分(B)の濃度は、成分(A)のシリコーン樹脂を硬化(架橋)するのに十分なものである。成分(D)が(D)(i)である場合、成分(B)の濃度は、成分(B)のケイ素−結合水素原子のモル数対成分(A)及び成分(D)(i)のケイ素−結合アルケニル基のモル数の合計の比は、一般的に、0.4〜2、又は0.8〜1.5、又は0.9〜1.1であるようなものである。更に、成分(D)が(D)(ii)である場合、成分(B)の濃度は、成分(B)及び成分(D)(ii)のケイ素−結合水素原子のモル数の合計対成分(A)のケイ素−結合アルケニル基のモル数の比は、一般的に、0.4〜2、又は0.8〜1.5、又は0.9〜1.1であるようなものである。
【0098】
成分(D)は、(i)R1R22SiO(R22SiO)aSiR22R1(IV)及び(ii)R5R12SiO(R1R5SiO)bSiR12R5(V)(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、R5はR1又は−Hであり、添字a及びbは、それぞれ1〜4の値を有する、但し、シリコーンゴム(D)(i)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有し、シリコーンゴム(D)(ii)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する)から選択される式を有するシリコーンゴムである。
【0099】
成分(D)(i)は、式R1R22SiO(R22SiO)aSiR22R1(IV)(ここで、R1及びR2は、上で記載され且つ例示された通りであり、添字aは1〜4の値を有する、但し、シリコーンゴム(D)(i)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有する)を有する少なくとも1つのシリコーンゴムである。或いは又、添字aは2〜4又は2〜3の値を有する。
【0100】
成分(D)(i)としての使用に適するシリコーンゴムの例としては、次式:
ViMe2SiO(Me2SiO)aSiMe2Vi、ViMe2SiO(Ph2SiO)aSiMe2Vi、及びViMe2SiO(PhMeSiO)aSiMe2Vi(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Viはビニルであり、添字aは1〜4の値を有する)を有するシリコーンゴムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0101】
成分(D)(i)は、それぞれが式(IV)を有する、単一シリコーンゴム又は2つ以上の異なるシリコーンゴムを含む混合物であることができる。
【0102】
成分(D)(ii)は、式R5R12SiO(R1R5SiO)bSiR12R5(V)(ここで、R1及びR5は、上で記載され且つ例示された通りであり、添字bは1〜4の値を有する、但し、シリコーンゴム(D)(ii)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する)を有する少なくとも1つのシリコーンゴムである。或いは又、添字bは2〜4又は2〜3の値を有する。
【0103】
成分(D)(ii)としての使用に適するシリコーンゴムの例としては、次式:
HMe2SiO(Me2SiO)bSiMe2H、HMe2SiO(Ph2SiO)bSiMe2H、HMe2SiO(PhMeSiO)bSiMe2H、及びHMe2SiO(Ph2SiO)2(Me2SiO)2SiMe2H(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、添字bは1〜4の値を有する)を有するシリコーンゴムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0104】
成分(D)(ii)は、それぞれが式(V)を有する、単一シリコーンゴム又は2つ以上の異なるシリコーンゴムを含む混合物であることができる。
【0105】
シリコーンゴム(D)のケイ素−結合アルケニル基又はケイ素−結合水素原子対シリコーン樹脂(A)のケイ素−結合アルケニル基のモル比は、一般的に、0.01〜0.5、又は0.05〜0.4、又は0.1〜0.3である。
【0106】
ケイ素−結合アルケニル基又はケイ素−結合水素原子を含むシリコーンゴムの調製方法は当該技術分野では良く知られており、多数のこれらの化合物が市販されている。
【0107】
第4の実施形態によれば、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、(A’)式(R1R52SiO1/2)w(R52SiO2/2)x(R5SiO3/2)y(SiO4/2)z(III)を有するシリコーン樹脂;(B’)シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有する有機ケイ素化合物;(C)触媒量のヒドロシリル化触媒;及び(D)(i)R1R22SiO(R22SiO)aSiR22R1(IV)及び(ii)R5R12SiO(R1R5SiO)bSiR12R5(V)から選択される式を有するシリコーンゴムを含む(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、R5はR1又は−Hであり、添字a及びbは、それぞれ1〜4の値を有し、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、シリコーン樹脂及びシリコーンゴム(D)(ii)は、それぞれ、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有し、シリコーンゴム(D)(i)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有し、シリコーンゴム(D)のケイ素−結合アルケニル基又はケイ素−結合水素原子対シリコーン樹脂(A’)のケイ素−結合水素原子のモル比は0.01〜0.5である)。
【0108】
シリコーン組成物の第4の実施形態の成分(A’)、(B’)、及び(C)は、第2の実施形態に対して上で記載され且つ例示された通りであり、第4の実施形態の成分(D)は、第3の実施形態に対して上で記載され且つ例示された通りである。
【0109】
成分(B’)の濃度は、成分(A’)のシリコーン樹脂を硬化(架橋)するのに十分なものである。成分(D)が(D)(i)である場合、成分(B’)の濃度は、成分(B’)及び成分(D)(i)のケイ素−結合アルケニル基のモル数の合計対成分(A’)のケイ素−結合水素原子のモル数の比は、一般的に、0.4〜2、又は0.8〜1.5、又は0.9〜1.1であるようなものである。更に、成分(D)が(D)(ii)である場合、成分(B’)の濃度は、成分(B’)のケイ素−結合アルケニル基のモル数対成分(A’)及び成分(D)(ii)のケイ素−結合水素原子のモル数の合計の比は、一般的に、0.4〜2、又は0.8〜1.5、又は0.9〜1.1であるようなものである。
【0110】
シリコーンゴム(D)のケイ素−結合アルケニル基又はケイ素−結合水素原子対シリコーン樹脂(A’)のケイ素−結合水素原子のモル比は、一般的に、0.01〜0.5、又は0.05〜0.4、又は0.1〜0.3である。
【0111】
第5の実施形態によれば、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、(A”)式(R1R22SiO1/2)w(R22SiO2/2)x(R1SiO3/2)y(SiO4/2)z(I)を有するシリコーン樹脂と、式R5R12SiO(R1R5SiO)cSiR12R5(VI)を有するシリコーンゴムとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で、及び場合によっては、可溶性反応生成物を形成するために有機溶剤の存在下で反応させて調製されるゴム変性シリコーン樹脂(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、R5はR1又は−Hであり、cは4を超え1,000までの値を有し、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、シリコーン樹脂(I)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有し、シリコーンゴム(VI)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有し、シリコーンゴム(VI)のケイ素−結合水素原子対シリコーン樹脂(I)のケイ素−結合アルケニル基のモル比は0.01〜0.5である);(B)ゴム変性シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する有機ケイ素化合物;及び(C)触媒量のヒドロシリル化触媒を含む。
【0112】
シリコーン組成物の第5の実施形態の成分(B)及び(C)は、第1の実施形態に対して上で記載され且つ例示された通りである。
【0113】
成分(B)の濃度は、ゴム変性シリコーン樹脂を硬化(架橋)するのに十分なものである。成分(B)の濃度は、成分(B)及びシリコーンゴム(VI)のケイ素−結合水素原子のモル数の合計対シリコーン樹脂(I)のケイ素−結合アルケニル基のモル数の比が、一般的に、0.4〜2、又は0.8〜1.5、又は0.9〜1.1であるようなものである。
【0114】
成分(A”)は、式(R1R22SiO1/2)w(R22SiO2/2)x(R1SiO3/2)y(SiO4/2)z(I)を有する少なくとも1つのシリコーン樹脂と、式R5R12SiO(R1R5SiO)cSiR12R5(VI)を有する少なくとも1つのシリコーンゴムとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で、及び場合によっては、可溶性反応生成物を形成するために有機溶剤の存在下で反応させて調製されるゴム変性シリコーン樹脂である(ここで、R1、R2、R5、w、x、y、z、y+z/(w+x+y+z)、及びw+x/(w+x+y+z)は上で記載され且つ例示された通りであり、添字cは4を超え、1,000までの値を有する)。
【0115】
式(I)を有するシリコーン樹脂は、シリコーン組成物の第1の実施形態に対して上で記載され且つ例示された通りである。又、ヒドロシリル化触媒及び有機溶剤は、式(II)を有する有機水素ポリシロキサン樹脂の調製方法において上で記載され且つ例示された通りである。本明細書で使用される「可溶性反応生成物」という用語は、有機溶剤が存在する場合、成分(A”)を調製するための反応の生成物が有機溶剤に相溶性で、沈殿物又は懸濁液を形成しないことを意味する。
【0116】
シリコーンゴムの式(VI)で、R1及びR5は、上で記載され且つ例示された通りであり、添字cは、一般的に、4を超え、1,000まで、又は10〜500、又は10〜50の値を有する。
【0117】
式(VI)を有するシリコーンゴムの例としては、次式:
HMe2SiO(Me2SiO)50SiMe2H、HMe2SiO(Me2SiO)10SiMe2H、HMe2SiO(PhMeSiO)25SiMe2H、及びMe3SiO(MeHSiO)10SiMe3(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、数字の添字は、シロキサン単位の各タイプの数を示す)を有するシリコーンゴムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0118】
式(VI)を有するシリコーンゴムは、それぞれが式(VI)を有する、単一シリコーンゴム又は2つ以上の異なるシリコーンゴムを含む混合物であることができる。
【0119】
ケイ素−結合水素原子を含むシリコーンゴムの調製方法は当該技術分野では良く知られており、多数のこれらの化合物が市販されている。
【0120】
シリコーン樹脂(I)、シリコーンゴム(VI)、ヒドロシリル化触媒、及び有機溶剤は、任意の順序で組み合わせることができる。一般的に、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、及び有機溶剤は、ヒドロシリル化触媒の導入前に組み合わされる。
【0121】
反応は、一般的に、室温(〜23℃±2℃)〜150℃、又は室温〜100℃の温度で行われる。
【0122】
反応時間は、シリコーン樹脂及びシリコーンゴムの構造、並びに温度を含めた幾つかの要因に依存する。成分は、一般的に、ヒドロシリル化反応を完了するのに十分な期間で反応することが可能である。これは、成分が、一般的に、FTIR分光分析で決定されるように、ヒドロシリル化反応で消費された、シリコーンゴムに元々存在するケイ素−結合水素原子の少なくとも95モル%、又は少なくとも98モル%、又は少なくとも99モル%まで反応することが可能であることを意味する。反応時間は、一般的に、室温(〜23℃±2℃)〜100℃の温度で0.5〜24時間である。最適反応温度は、以下の実施例の部分で示される方法を使用して、日常の実験により決定することができる。
【0123】
シリコーンゴム(VI)のケイ素−結合水素原子対シリコーン樹脂(I)のケイ素−結合アルケニル基のモル比は、一般的に、0.01〜0.5、又は0.05〜0.4、又は0.1〜0.3である。
【0124】
ヒドロシリル化触媒の濃度は、シリコーン樹脂(I)とシリコーンゴム(VI)との付加反応を触媒するのに十分なものである。一般的に、ヒドロシリル化触媒の濃度は、樹脂及びゴムの合計重量を基準にして、0.1〜1000ppmの白金族金属を与えるのに十分なものである。
【0125】
有機溶剤の濃度は、反応混合物の全重量を基準にして、一般的に、0〜95%(w/w)、又は10〜75%(w/w)、又は40〜60%(w/w)である。
【0126】
ゴム変性シリコーン樹脂は、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物の第5の実施形態で単離又は精製なしで使用することができ、又は樹脂は通常の蒸発方法で殆どの溶剤から分離できる。例えば、反応混合物は、減圧下で加熱することができる。更に、ヒドロシリル化触媒が、上述のような支持触媒である場合は、ゴム変性シリコーン樹脂は、反応混合物を濾過することによりヒドロシリル化触媒から容易に分離できる。然しながら、ゴム変性シリコーン樹脂が、樹脂を調製するために使用されたヒドロシリル化触媒から分離されない場合、触媒は、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物の第5の実施形態の成分(C)として使用されてもよい。
【0127】
第6の実施形態によれば、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、(A’’’)式(R1R52SiO1/2)w(R52SiO2/2)x(R5SiO3/2)y(SiO4/2)z(III)を有するシリコーン樹脂と、式R1R22SiO(R22SiO)dSiR22R1(VII)を有するシリコーンゴムとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で、及び場合によっては、可溶性反応生成物を形成するために有機溶剤の存在下で反応させて調製されるゴム変性シリコーン樹脂(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、R5はR1又は−Hであり、添字dは4を超え、1,000までの値を有し、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、シリコーン樹脂(III)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有し、シリコーンゴム(VII)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有し、シリコーンゴム(VII)のケイ素−結合アルケニル基対シリコーン樹脂(III)のケイ素−結合水素原子のモル比は0.01〜0.5である);(B’)ゴム変性シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有する有機ケイ素化合物;及び(C)触媒量のヒドロシリル化触媒を含む。
【0128】
シリコーン組成物の第6の実施形態の成分(B’)及び(C)は、第2の実施形態に対して上で記載され且つ例示された通りである。
【0129】
成分(B’)の濃度は、ゴム変性シリコーン樹脂を硬化(架橋)するのに十分なものである。成分(B’)の濃度は、成分(B’)及びシリコーンゴム(VII)のケイ素−結合アルケニル基のモル数の合計対シリコーン樹脂(III)のケイ素−結合水素原子のモル数の比が、一般的に、0.4〜2、又は0.8〜1.5、又は0.9〜1.1であるようなものである。
【0130】
成分(A’’’)は、式(R1R52SiO1/2)w(R52SiO2/2)x(R5SiO3/2)y(SiO4/2)z(III)を有する少なくとも1つのシリコーン樹脂と、式R1R22SiO(R22SiO)dSiR22R1(VII)を有する少なくとも1つのシリコーンゴムとを、ヒドロシリル化触媒及び可溶性反応生成物を形成するために有機溶剤の存在下で反応させて調製されるゴム変性シリコーン樹脂である(ここで、R1、R2、R5、w、x、y、z、y+z/(w+x+y+z)、及びw+x/(w+x+y+z)は上で記載され且つ例示された通りであり、添字dは4を超え、1,000までの値を有する)。
【0131】
式(III)を有するシリコーン樹脂は、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物の第2の実施形態に対して上で記載され且つ例示された通りである。又、ヒドロシリル化触媒及び有機溶剤は、式(II)を有する有機水素ポリシロキサン樹脂の調製方法において上で記載され且つ例示された通りである。シリコーン組成物の前の実施形態で使用される「可溶性反応生成物」という用語は、有機溶剤が存在した場合、成分(A’’’)を調製するための反応の生成物が有機溶剤に相溶性で、沈殿物又は懸濁液を形成しないことを意味する。
【0132】
シリコーンゴムの式(VII)で、R1及びR2は、上で記載され且つ例示された通りであり、添字dは、一般的に、4を超え、1,000まで、又は10〜500、又は10〜50の値を有する。
【0133】
式(VII)を有するシリコーンゴムの例としては、次式:
ViMe2SiO(Me2SiO)50SiMe2Vi、ViMe2SiO(Me2SiO)10SiMe2Vi、ViMe2SiO(PhMeSiO)25SiMe2Vi、及びVi2MeSiO(PhMeSiO)25SiMe2Vi(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Viはビニルであり、数字の添字は、シロキサン単位の数又は各タイプを示す)を有するシリコーンゴムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0134】
式(VII)を有するシリコーンゴムは、それぞれが式(VII)を有する、単一シリコーンゴム又は2つ以上の異なるシリコーンゴムを含む混合物であることができる。
【0135】
ケイ素−結合アルケニル基を含むシリコーンゴムの調製方法は当該技術分野では良く知られており、多数のこれらの化合物が市販されている。
【0136】
成分(A’’’)を調製するための反応は、式(I)を有するシリコーン樹脂及び式(VI)を有するシリコーンゴムが、それぞれ、式(III)を有する樹脂及び式(VII)を有するゴムで置換えられる以外は、シリコーン組成物の第5の実施形態の成分(A”)を調製するために上で記載された方法で行うことができる。シリコーンゴム(VII)のケイ素−結合アルケニル基対シリコーン樹脂(III)のケイ素−結合水素原子のモル比は、0.01〜0.5、又は0.05〜0.4、又は0.1〜0.3である。更に、シリコーン樹脂及びシリコーンゴムは、一般的に、ヒドロシリル化反応を完了させるのに十分な期間で反応することが可能である。これは、成分が、一般的に、FTIR分光分析で決定されるように、ヒドロシリル化反応で消費された、シリコーンゴムに元々存在するケイ素−結合アルケニル基の少なくとも95モル%、又は少なくとも98モル%、又は少なくとも99モル%まで反応することが可能であることを意味する。
【0137】
本発明方法のヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、以下で説明されるように、低熱膨張係数、高い引張り強度、及び高い弾性率を有する硬化シリコーン樹脂を形成するために、シリコーン組成物の硬化を妨げない更なる成分を含むことができる。更なる成分の例としては、ヒドロシリル化触媒阻害剤、例えば、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、ビニルシクロシロキサン、及びトリフェニルホスフィン等;接着促進剤、例えば、米国特許第4087585号及び第5194649号で教示されている接着促進剤等;染料;顔料;耐酸化剤;熱安定剤;UV安定剤;難燃剤;流動制御添加剤;及び希釈剤、例えば、有機溶剤及び反応性希釈剤等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0138】
例えば、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、(E)(i)分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基及び25℃で0.001〜2Pa・sの粘度を有する有機シロキサン(ここで、(E)(i)の粘度は、シリコーン樹脂、例えば、シリコーン組成物の上記の成分(A)、(A’)、(A”)、又は(A’’’)の粘度の20%を超えず、有機シロキサンは、式(R1R22SiO1/2)m(R22SiO2/2)n(R1SiO3/2)p(SiO4/2)q(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、mは0〜0.8であり、n=0〜1、p=0〜0.25、q=0〜0.2、m+n+p+q=1、及びm+nは0ではない、但し、p+q=0の場合、nは0ではなく、アルケニル基は全て末端ではない)を有する)、及び(ii)分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子及び25℃で0.001〜2Pa・sの粘度を有する有機水素シロキサン(ここで、有機水素シロキサンは、式(HR12SiO1/2)s(R1SiO3/2)t(SiO4/2)v(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、sは0.25〜0.8であり、tは0〜0.5であり、vは0〜0.3であり、s+t+v=1、及びt+vは0ではない)を有する)を、(E)(i)のアルケニル基の1モル当たり0.5〜3モルの(E)(ii)のケイ素−結合水素原子を与えるのに十分な量で含む反応性希釈剤を含むことができる。
【0139】
成分(E)(i)は、分子当たり平均少なくとも2つのアルケニル基及び25℃で0.001〜2Pa・sの粘度を有する少なくとも1つの有機シロキサンである(ここで、(E)(i)の粘度は、シリコーン組成物のシリコーン樹脂の粘度の20%を超えず、有機シロキサンは、式(R1R22SiO1/2)m(R22SiO2/2)n(R1SiO3/2)p(SiO4/2)q(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、mは0〜0.8であり、n=0〜1、p=0〜0.25、q=0〜0.2、m+n+p+q=1、及びm+nは0ではない、但し、p+q=0の場合、nは0ではなく、アルケニル基は全て末端ではない(即ち、有機シロキサンの全てのアルケニル基は、R1R22SiO1/2単位には存在しない))を有する)。更に、有機シロキサン(E)(i)は、線状、分枝、又は環状構造を有することができる。例えば、有機シロキサン(E)(i)の式の添字m、p、及びqがそれぞれ0である場合、有機シロキサンは有機シクロシロキサンである。
【0140】
25℃での有機シロキサン(E)(i)の粘度は、一般的に、0.001〜2Pa・s、又は0.001〜0.1Pa・s、又は0.001〜0.05Pa・sである。更に、25℃での有機シロキサン(E)(i)の粘度は、一般的に、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物でのシリコーン樹脂の粘度の20%を超えず、又は10%を超えず、又は1%を超えない。
【0141】
有機シロキサン(E)(i)としての使用に適した有機シロキサンの例としては、次式;
(ViMeSiO)3、(ViMeSiO)4、(ViMeSiO)5、(ViMeSiO)6、(ViPhSiO)3、(ViPhSiO)4、(ViPhSiO)5、(ViPhSiO)6、ViMe2SiO(ViMeSiO)nSiMe2Vi、Me3SiO(ViMSiO)nSiMe3、及び(ViMe2SiO)4Si(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Viはビニルであり、添字nは、有機シロキサンが、25℃で0.001〜2Pa・sの粘度を有するような値を有する)を有する有機シロキサンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0142】
成分(E)(i)は、それぞれが上で記載された通りの単一有機シロキサン又は2つ以上の異なる有機シロキサンを含む混合物であることができる。アルケニル官能性有機シロキサンを製造する方法は当該技術分野では良く知られている。
【0143】
成分(E)(ii)は、(E)(i)のアルケニル基のモルに対して0.5〜3モルの(E)(ii)のケイ素−結合水素原子を与えるのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子及び25℃で0.001〜2Pa・sの粘度を有する少なくとも1つの有機水素シロキサンである(ここで、有機水素シロキサンは、式(HR12SiO1/2)s(R1SiO3/2)t(SiO4/2)v(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、sは0.25〜0.8であり、tは0〜0.5であり、vは0〜0.3であり、s+t+v=1、及びt+vは0ではない)を有する)。
【0144】
25℃での有機水素シロキサン(E)(ii)の粘度は、一般的に、0.001〜2Pa・s、又は0.001〜0.1Pa・s、又は0.001〜0.05Pa・sである。
【0145】
有機水素シロキサン(E)(ii)としての使用に適した有機水素シロキサンの例としては、次式;
PhSi(OSiMe2H)3、Si(OSiMe2H)4、MeSi(OSiMe2H)3、(HMe2SiO)3SiOSi(OSiMe2H)3、及び(HMe2SiO)3SiOSi(Ph)(OSiMe2H)2(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルである)を有する有機水素シロキサンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0146】
成分(E)(ii)は、それぞれが上で記載された通りの単一有機水素シロキサン又は2つ以上の異なる有機水素シロキサンを含む混合物であることができる。有機水素シロキサンを製造する方法は当該技術分野では良く知られている。
【0147】
成分(E)(ii)の濃度は、成分(E)(i)のアルケニル基の1モル当たり、0.5〜3モルのケイ素−結合水素原子、又は0.6〜2モルのケイ素−結合水素原子、又は0.9〜1.5モルのケイ素−結合水素原子を与えるのに十分なものである。
【0148】
ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物における反応性希釈剤(E)、成分(E)(i)及び(E)(ii)の一緒にした濃度は、上記実施形態における、シリコーン樹脂、成分(A)、(A’)、(A”)、又は(A’’’)、及び有機ケイ素化合物、成分(B)又は(B’)の合計重量を基準にして、一般的に、0〜90%(w/w)、又は0〜50%(w/w)、又は0〜20%(w/w)、又は0〜10%(w/w)である。
【0149】
シリコーン組成物は、単独部分中にシリコーン樹脂、有機ケイ素化合物、及びヒドロシリル化触媒を含む1つの部分の組成物であることができ、或いは又、2つ以上の部分でこれらの成分を含む複数部分組成物であることができる。例えば、複数部分シリコーン組成物は、シリコーン樹脂の一部及びヒドロシリル化触媒の全部を含む第1部分及びシリコーン樹脂の一部及び有機ケイ素化合物の全部を含む第2部分を含むことができる。
【0150】
1つの部分のシリコーン組成物は、一般的に、主成分及び任意の選択的成分を、言及されている割合で、周囲温度で、有機溶剤を伴い又は伴わずに組み合わせることにより調製される。種々の成分の添加順序は、シリコーン組成物が直ぐに使用されるものである場合は重要ではないが、ヒドロシリル化触媒は、好ましくは、組成物の早期硬化を防ぐために、約30℃よりも下の温度で最後に添加される。又、複数部分シリコーン組成物は、各部分の成分を組み合わせることにより調製することができる。
【0151】
混合は、当該技術分野で公知の任意の方法、例えば、摩砕、ブレンド、及び撹拌等で、バッチ又は連続方法で行うことができる。特定の装置は、成分の粘度及び最終のシリコーン組成物の粘度によって決定される。
【0152】
ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物の代替として、縮合−硬化性シリコーン組成物も又、本発明のシリコーン組成物として好適である。
【0153】
縮合−硬化性シリコーン組成物は、一般的に、ケイ素−結合ヒドロキシ又は加水分解性基を有するシリコーン樹脂(A’’’’)、場合により、ケイ素−結合加水分解性基を有する架橋剤(B”)及び/又は縮合触媒(C’)を含む。シリコーン樹脂(A’’’’)は、一般的に、M及び/又はDシロキサン単位との組合せでT及び/又はQシロキサン単位を含むコポリマーである。
【0154】
1つの実施形態によれば、シリコーン樹脂(A’’’’)は、式:
(R1R62SiO1/2)w’(R62SiO2/2)x’(R6SiO3/2)y’(SiO4/2)z’ (VIII)
(ここで、R1は上で記載され且つ例示された通りであり、R6は、R1、−H、−OH、又は加水分解性基であり、w’は0〜0.8、好ましくは、0.02〜0.75、更に好ましくは、0.05〜0.3であり、x’は0〜0.95、好ましくは、0.05〜0.8、更に好ましくは、0.1〜0.3であり、y’は0〜1、好ましくは、0.25〜0.8、更に好ましくは、0.5〜0.8であり、z’は0〜0.99、好ましくは、0.2〜0.8、更に好ましくは、0.4〜0.6であり、シリコーン樹脂(A’’’’)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子、ヒドロキシ基、又は加水分解性基を有する)を有する。本明細書で使用される「加水分解性基」という用語は、ケイ素−結合基が、数分以内、例えば、30分以内で、室温(〜23±2℃)〜100℃の任意の温度で触媒の不存在下で水と反応してシラノール(Si−OH)基を形成することを意味する。R6で表示される加水分解性基の例としては、−Cl、−Br、−OR7、−OCH2CH2OR7、CH3C(=O)O−、Et(Me)C=N−O−、CH3C(=O)N(CH3)−、及び−ONH2(ここで、R7は、C1〜C8ヒドロカルビル又はC1〜C8ハロゲン置換ヒドロカルビルである)を有する。
【0155】
R7で表示されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、一般的に、1〜8個の炭素原子、又は3〜6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含む非環式ヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、分枝又は非分枝構造を有することができる。R7で表示されるヒドロカルビル基の例としては、非分枝及び分枝アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メシルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチル等;環状アルキル、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びメチルシクロヘキシル等;フェニル;アルカリール、例えば、トリル及びキシリル等;アラルキル、例えば、ベンジル及びフェネチル等;アルケニル、例えば、ビニル、アリル、及びプロペニル等;アリールアルケニル、例えば、スチリル等;並びにアルキニル、例えば、エチニル及びプロピニル等が挙げられるがこれらに限定されない。R7で表示されるハロゲン置換ヒドロカルビル基の例としては、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、及びジクロロフェニルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0156】
一般的に、シリコーン樹脂のR6基の少なくとも5モル%、又は少なくとも15モル%、又は少なくとも30モル%は、水素、ヒドロキシ、又は加水分解性基である。本明細書で使用されるR6の基のモル%は、シリコーン樹脂(A’’’’)におけるケイ素−結合基のモル数対シリコーン樹脂(A’’’’)におけるR6基の合計モル数の比に100を乗じたものとして定義される。
【0157】
シリコーン樹脂(A’’’’)の特定の例としては、次式:
(MeSiO3/2)n、(PhSiO3/2)n、(Me3SiO1/2)0.8(SiO4/2)0.2、(MeSiO3/2)0.67(PhSiO3/2)0.33、(MeSiO3/2)0.45(PhSiO3/2)0.40(Ph2SiO2/2)0.1(PhMeSiO2/2)0.05、(PhSiO3/2)0.4(MeSiO3/2)0.45(PhSiO3/2)0.1(PhMeSiO2/2)0.05、及び(PhSiO3/2)0.4(MeSiO3/2)0.1(PhMeSiO2/2)0.5(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、括弧の外の数字の添字はモル分率を表し、添字nは、シリコーン樹脂が、500〜50,000の数平均分子量を有するような値を有する)を有するシリコーン樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。先の式における単位の順序は、本発明の範囲に対して限定するものとして決して見なされるべきではない。これらの式は樹脂の完全に縮合した形態を表示する。硬化する前は、これらは、上で特定された量で、−H、−OH、及び/又はその他の加水分解性基を有する。
【0158】
上で示した通り、式(VIII)で表示されるシリコーン樹脂(A’’’’)は、一般的に、500〜50,000の数平均分子量(Mn)を有する。或いは又、シリコーン樹脂(A’’’’)は、300〜測定不能まで、又は1,000〜3,000のMnを有し得る(ここで、分子量は、低角レーザー光散乱検出器、又は屈折率検出器及びシリコーン樹脂(MQ)標準を使用して、ゲル透過クロマトグラフィーで決定される)。
【0159】
25℃でのシリコーン樹脂(A’’’’)の粘度は、一般的に、0.01Pa・s〜固体まで、又は0.1〜100,000Pa・s、又は1〜1,000Pa・sである。
【0160】
式(VIII)で表示されるシリコーン樹脂(A’’’’)の調製方法は当該技術分野では良く知られており、多数のこれらの樹脂が市販されている。式(VIII)で表示されるシリコーン樹脂(A’’’’)は、一般的に、クロロシラン前駆体の適当な混合物を有機溶剤、例えば、トルエン等の中で同時加水分解することにより調製される。例えば、R1R62SiO1/2単位及びR6SiO3/2単位を含むシリコーン樹脂は、式R1R62SiClを有する第1化合物及び式R6SiCl3を有する第2化合物(ここで、R1及びR6は、上で定義され且つ例示された通りである)をトルエン中で同時加水分解することにより調製することができる。同時加水分解方法は、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物に関して上で説明されている。同時加水分解された反応体は、架橋性基の量及び粘度を調節するために所望の範囲まで更に「増粘」することができる。
【0161】
式(VIII)におけるQ単位及びM単位との任意の比でのこれらの組合せは、又、樹脂(A’’’’)において個々の粒子の形態で存在することができる。粒径は、一般的に、1μm〜20μmである。これらの粒子の例としては、直径15μmのシリカ(SiO4/2)粒子が挙げられるがこれに限定されない。縮合硬化性シリコーン樹脂は、更に、無機充填剤、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、及びマイカ等を含むことができる。
【0162】
その他の実施形態では、縮合−硬化性シリコーン組成物は、(i)式(R1R62SiO1/2)w(R62SiO2/2)x(R6SiO3/2)y(SiO4/2)zを有するシリコーン樹脂及び(ii)(i)の加水分解性前駆体から選択される有機ケイ素化合物、並びに(iii)式R83SiO(R1R8SiO)mSiR83を有するシリコーンゴムを、水、(iv)縮合触媒、及び(v)有機溶剤の存在下で反応させて調製されるゴム変性シリコーン樹脂(A’’’’)を含む(ここで、R1及びR6は、上で定義され且つ例示された通りであり、R8はR1又は加水分解性基であり、mは2〜1,000、又は4〜500、又は8〜400であり、w、x、y、及びzは、上で定義され且つ例示された通りであり、シリコーン樹脂(i)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合ヒドロキシ又は加水分解性基を有し、シリコーンゴム(iii)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合加水分解性基を有し、シリコーンゴム(iii)のケイ素−結合加水分解性基対シリコーン樹脂(i)のケイ素−結合ヒドロキシ又は加水分解性基のモル比は、0.01〜1.5、又は0.05〜0.8、又は0.2〜0.5である)。
【0163】
一般的に、シリコーン樹脂(i)のR6基の少なくとも5モル%、又は少なくとも15モル%、又は少なくとも30モル%はヒドロキシ又は加水分解性基である。
【0164】
シリコーン樹脂(i)は、一般的に、300〜測定不能まで、又は500〜10,000、又は1,000〜3,000の数平均分子量(Mn)を有する(ここで、分子量は、低角レーザー光散乱検出器、又は屈折率検出器及びシリコーン樹脂(MQ)標準を使用して、ゲル透過クロマトグラフィーで決定される)。
【0165】
シリコーン樹脂(i)としての使用に適したシリコーン樹脂の特定の例としては、次式:
(MeSiO3/2)n、(PhSiO3/2)n、(PhSiO3/2)0.4(MeSiO3/2)0.45(PhSiO3/2)0.1(PhMeSiO2/2)0.55、及び(PhSiO3/2)0.3(SiO4/2)0.1(Me2SiO2/2)0.2(Ph2SiO2/2)0.4(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、括弧の外の数字の添字はモル分率を表し、添字nは、シリコーン樹脂が、500〜50,000の数平均分子量を有するような値を有する)を有する樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。先の式における単位の順序は、本発明の範囲に対して限定するものとして決して見なされるべきではない。シリコーン樹脂(i)は、それぞれが特定の式を有する、単一シリコーン樹脂又は2つ以上の異なるシリコーン樹脂を含む混合物であることができる。
【0166】
これらの式は樹脂の完全に縮合した形態を表示する。硬化する前は、これらは、上で特定された量で、−H、−OH、及び/又はその他の加水分解性基を有する。
【0167】
本明細書で使用される「加水分解性前駆体」という用語は、シリコーン樹脂(i)の調製のための出発物質(前駆体)としての使用に適した加水分解性基を有するシランを意味する。加水分解性前駆体(ii)は、式R1R82SiX、R82SiX2、R8SiX3、及びSiX4(ここで、R1、R8、及びXは、上で定義され且つ例示された通りである)で表示することができる。
【0168】
加水分解性前駆体(ii)の特定の例としては、次式:
Me2ViSiCl、Me3SiCl、MeSi(OEt)3、PhSiCl3、MeSiCl3、Me2SiCl2、PhMeSiCl2、SiCl4、Ph2SiCl2、PhSi(OMe)3、MeSi(OMe)3、PhMeSi(OMe)2、及びSi(OEt)4(ここで、Meはメチルであり、Etはエチルであり、Phはフェニルである)を有するシランが挙げられるがこれらに限定されない。
【0169】
シリコーンゴム(iii)の特定の例としては、次式:
(EtO)3SiO(Me2SiO)55Si(OEt)3、(EtO)3SiO(Me2SiO)16Si(OEt)3、(EtO)3SiO(Me2SiO)386Si(OEt)3、及び(EtO)2MeSiO(PhMeSiO)10SiMe(OEt)2(ここで、Meはメチルであり、Etはエチルである)を有するシリコーンゴムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0170】
反応は、一般的に、室温(〜23±2℃)〜180℃、又は室温〜100℃の温度で行われる。
【0171】
反応時間は、シリコーン樹脂(i)及びシリコーンゴム(iii)の構造、並びに温度を含めた幾つかの要因に依存する。成分は、一般的に、縮合反応を完了させるのに十分な期間で反応することが可能である。これは、成分が、29Si NMR分光分析で決定されるように、縮合反応で消費された、シリコーンゴム(iii)に元々存在するケイ素−結合加水分解性基の少なくとも95モル%、又は少なくとも98モル%、又は少なくとも99モル%まで反応することが可能であることを意味する。反応時間は、一般的に、室温(〜23℃±2℃)〜100℃の温度で1〜30時間である。最適反応温度は日常の実験により決定することができる。
【0172】
適当な縮合触媒(iv)は以下で更に詳細に説明され、適当な有機溶剤(v)は、上記のゴム変性シリコーン樹脂(A’)との関連で上で説明される。縮合触媒(iv)の濃度は、シリコーン樹脂(i)とシリコーンゴム(iii)との縮合反応を触媒するのに十分なものである。一般的に、縮合触媒(iv)の濃度は、シリコーン樹脂(i)の重量を基準にして、0.01〜2%(w/w)、又は0.01〜1%(w/w)、又は0.05〜0.2%(w/w)である。有機溶剤(v)の濃度は、一般的に、反応混合物の全重量を基準にして、10〜95%(w/w)、又は20〜85%(w/w)、又は50〜80%(w/w)である。
【0173】
反応混合物における水の濃度は、有機ケイ素化合物におけるR8基の性質及びシリコーンゴムにおけるケイ素結合加水分解性基の性質に依存する。シリコーン樹脂(i)が加水分解性基を含む場合、水の濃度は、シリコーン樹脂(i)及びシリコーンゴム(iii)における加水分解性基の加水分解を行うのに十分なものである。例えば、水の濃度は、一般的に、一緒にしたシリコーン樹脂(i)及びシリコーンゴム(iii)における加水分解性基の1モル当たり、0.01〜3モル、又は0.05〜1モルである。シリコーン樹脂(i)が加水分解性基を含まない場合は、痕跡量の水だけ、例えば、100ppmの水が反応混合物で必要となる。痕跡量の水は、反応体及び/又は溶剤中に普通に存在する。
【0174】
上で示したように、縮合−硬化性シリコーン組成物は、架橋剤(B”)を更に含むことができる。架橋剤(B”)は、式R7qSiX4−q(ここで、R7は、C1〜C8ヒドロカルビル又はC1〜C8ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、Xは加水分解性基であり、qは0又は1である)を有することができる。R7で表示されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基、及びXで表示される加水分解性基は、上で記載され且つ例示された通りである。
【0175】
架橋剤(B”)の特定の例としては、アルコキシシラン、例えば、MeSi(OCH3)3、CH3Si(OCH2CH3)3、CH3Si(OCH2CH2CH3)3、CH3Si[O(CH2)3CH3]3、CH3CH2Si(OCH2CH3)3、C6H5Si(OCH3)3、C6H5CH2Si(OCH3)3、C6H5Si(OCH2CH3)3、CH2=CHSi(OCH3)3、CH2=CHCH2Si(OCH3)3、CF3CH2CH2Si(OCH3)3、CH3Si(OCH2CH2OCH3)3、CF3CH2CH2Si(OCH2CH2OCH3)3、CH2=CHSi(OCH2CH2OCH3)3、CH2=CHCH2Si(OCH2CH2OCH3)3、C6H5Si(OCH2CH2OCH3)3、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、及びSi(OC3H7)4等;有機アセトキシシラン、例えば、CH3Si(OCOCH3)3、CH3CH2Si(OCOCH3)3、及びCH2=CHSi(OCOCH3)3等;有機イミノオキシシラン、例えば、CH3Si[O−N=C(CH3)CH2CH3]3、Si[O−N=C(CH3)CH2CH3]4、及びCH2=CHSi[O−N=C(CH3)CH2CH3]3等;有機アセトアミドシラン、例えば、CH3Si[NHC(=O)CH3]3、及びC6H5Si[NHC(=O)CH3]3等;アミノシラン、例えば、CH3Si[NH(s−C4H9)]3及びCH3Si(NHC6H11)3等;並びに有機アミノオキシシランが挙げられるがこれらに限定されない。
【0176】
架橋剤(B”)は、それぞれが上で記載された通りの単一シラン又は2つ以上の異なるシランの混合物であることができる。又、3−及び4−官能シランを調製する方法は、当該技術分野では良く知られており、多数のこれらのシランが市販されている。
【0177】
存在する場合は、縮合−硬化性シリコーン組成物での架橋剤(B”)の濃度は、縮合−硬化性シリコーン樹脂を硬化(架橋)するのに十分なものである。架橋剤(B”)の正確な量は所望の硬化の範囲に依存し、一般的に、架橋剤(B”)におけるケイ素−結合加水分解性基のモル数対シリコーン樹脂(A’’’’)におけるケイ素−結合水素原子、ヒドロキシ基、又は加水分解性基のモル数の比が増加するにつれて増加する。一般的に、架橋剤(B”)の濃度は、シリコーン樹脂(A’’’’)におけるケイ素−結合水素原子、ヒドロキシ基、又は加水分解性基の1モル当たり、0.2〜4モルのケイ素−結合加水分解性基を与えるのに十分なものである。架橋剤(B”)の最適量は、日常の実験で容易に決定することができる。
【0178】
縮合触媒(C’)は、Si−O−Si結合を形成するために、ケイ素−結合ヒドロキシ(シラノール)基の縮合を促進するために一般的に使用される任意の縮合触媒であることができる。縮合触媒の例としては、アミン;並びに鉛、スズ、亜鉛、及び鉄とカルボン酸との錯体が挙げられるがこれらに限定されない。特に、縮合触媒(C’)は、スズ(II)及びスズ(IV)化合物、例えば、ジラウリン酸スズ、ジオクタン酸スズ、及びテトラブチルスズ等;並びにチタン化合物、例えば、チタンテトラブトキシド等から選択することができる。
【0179】
存在する場合は、縮合触媒(C’)の濃度は、一般的に、シリコーン樹脂(A’’’’)の全重量を基準にして、0.1〜10%(w/w)、又は0.5〜5%(w/w)、又は1〜3%(w/w)である。
【0180】
縮合−硬化性シリコーン組成物が縮合触媒(C’)を含む場合、縮合−硬化性シリコーン組成物は、一般的に、シリコーン樹脂(A’’’’)及び縮合触媒(C’)が別々の部分に存在する2つの部分の組成物である。
【0181】
本発明の縮合−硬化性シリコーン組成物は、当該技術分野で公知の、そしてヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物に対して上で記載された更なる成分を含むことができる。
【0182】
例示された実施形態では、シリコーン樹脂層105は、図1Bで矢印115で示されるように、シリコーン樹脂層105及びシリコーン樹脂層105の隣にその後形成される又は置かれる層との間の接着を増加させるために処理されてもよく又は変性されてもよい。例えば、シリコーン樹脂層105の1つの表面は、シリコーン樹脂層105及び表面に隣接してその後形成される又は配置される層との間の界面相互作用を増加させるために酸素プラズマ又は紫外線オゾンに暴露されてもよい。その他の例としては、シリコーン樹脂層105の表面に近い化学量論が、シリコーン樹脂層105及び表面に隣接してその後形成される又は配置される層との接着を改善し得る残留SiH基又はその他の残留官能性を生み出すためにヒドロシリル化を使用して変性されてもよい。1つの実施形態では、層間の接着は、層を一緒に保持するためには十分強力であるが、延性遷移厚さ未満の厚さを伴うシリコーン樹脂層105を形成することにより与えられる解除弾性拘束の利益を保持するために十分弱く設計されてもよい。然しながら、この開示の利益を有する当業者は、シリコーン樹脂層105を処理することは、本発明の全ての実施形態で行われなくてもよい任意選択的工程であることを理解するべきである。更に、その他の処理又は変性は、シリコーン樹脂層105及びその他の層との間の接着を増加させるために、又はその他の目的のために使用されてもよい。
【0183】
次いで、第2シリコーン樹脂層120が、図1Cで示されるように、シリコーン樹脂層105の隣に形成又は配置されてもよい。1つの実施形態では、シリコーン樹脂層120は、シリコーン樹脂層105の上に硬化性シリコーン樹脂組成物を堆積することにより形成される。例えば、硬化性シリコーン樹脂組成物のフィルムは、通常のコーティング方法、例えば、インクジェットによる堆積、スピンコーティング、浸漬、噴霧、刷毛塗り、スクリーン印刷等を使用して堆積されてもよい。次いで、硬化性シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂層120を形成するために硬化(又は部分的硬化)される。上で検討された通り、硬化方法は、1つ又は複数の触媒の添加工程並びに硬化性シリコーン樹脂組成物を高温に暴露する工程を含んでもよい。然しながら、この開示の利益を有する当業者は、本発明が、シリコーン樹脂層105の上でシリコーン樹脂組成物を堆積する工程及び/又は硬化する工程に限定されないことを理解するべきである。選択的実施形態では、シリコーン樹脂層120は別々に形成され、次いで、シリコーン樹脂層105の隣に配置されてもよい。
【0184】
(硬化した又は部分硬化した)シリコーン樹脂層120は、シリコーン樹脂層120を形成するために使用される、硬化又は部分硬化シリコーン樹脂の延性遷移厚さ(Td)未満の厚さ(T)を有するために形成される。1つの実施形態では、シリコーン樹脂層105、120は、同じ硬化性シリコーン樹脂組成物を使用して形成され、従って、同じ延性遷移厚さを有し得る。然しながら、シリコーン樹脂層105、120の実際の厚さは同じでなくてもよい。更に、選択的実施形態では、シリコーン樹脂層105、120は、異なる硬化性シリコーン樹脂組成物(又は異なる硬化方法)を使用して形成されてもよく、それ故、これらは異なる延性遷移厚さを有し得る。シリコーン樹脂層120は、又、シリコーン樹脂以外の組成物の層であることもできる。例えば、それは硬化性シリコーンゴムであることができる。或いは又、それは、溶剤キャスティングにより、又は任意のその他のコーティング方法により、又は予め形成したフィルムを積層することにより堆積された有機ポリマーであることができる。有機ポリマーフィルムは、性質が熱可塑性又は熱硬化性であることができる。これらの例としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド、シアネートエステル樹脂、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエーテルエーテルスルホン等が挙げられる。次いで、シリコーン樹脂層105、120で形成されるシリコーン樹脂フィルム125は、図1Dで示されるように、基体110から、例えば、シリコーン樹脂フィルム125を引き剥がすことにより除去される。
【0185】
シリコーン樹脂フィルム125の可撓性及び耐久性は、これらの相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する複数シリコーン樹脂層105、120のシリコーン樹脂フィルム125を形成することにより改善されてもよい。例えば、9層フィルム125を、MIBK中の前述の樹脂−1の50重量%をステンレススチール上にスピンコーティングすることによる樹脂−1のゴム強化品の5層、及びヒドロシリル化硬化シリコーンゴムの4層を層状化することにより構築した。樹脂及びゴム層は交互形式で配列される。強化樹脂−1は、触媒として、0.2重量%のTi(OBu)4を用いて、55の重合度の、10重量%のトリエトキシシロキシ末端化PDMSと未硬化樹脂−1とを反応させることにより調製することができる。各層は、それが置かれた後で、次の層が堆積される前に、1時間、200℃で硬化される。ゴム層は、次の層の強化樹脂−1の堆積前にO2プラズマで処理される。9層を硬化後、複数層フィルムはステンレススチールから引き剥がされる。フィルムの全厚は66マイクロメートルである。複数層フィルムの引張り破断点歪は9.4±3.9%であり、引張り弾性率は716.6±85.4MPaである。反対に、同じ強化4−3136の硬化単独層フィルムは、2.0%だけの破断点歪を有する。
【0186】
図1A、1B、1C、及び1Dで例示される複数層シリコーン樹脂フィルム125の実施形態は2つのシリコーン樹脂層105、120を含むが、本発明は、2つのシリコーン樹脂層105、120を含むだけの複数層シリコーン樹脂フィルム125に限定されない。1つの実施形態では、複数層シリコーン樹脂フィルム125は、これらの相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する多数のシリコーン樹脂層で形成されてもよい。例えば、約40〜50μmの厚さを有する複数層シリコーン樹脂フィルム125は、それぞれが、約2〜10μmのこれらの相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する幾つかのシリコーン樹脂層105、120を使用して形成されてもよい。事実、100μm以上の厚さを有する複数層シリコーン樹脂フィルム125は、目標厚さに到達するまで更にシリコーン樹脂層105、120を付加することにより形成されてもよい。更に、シリコーン樹脂層105、120ではないその他の層が、複数層シリコーン樹脂フィルム125を形成するために使用される層スタック中に含まれてもよい。
【0187】
図2A、2B、及び2Cは、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法200の第2の例示的実施形態を概念的に例示する。例示された実施形態では、シリコーン樹脂層205は、図2Aで示されるように、基体210の上に形成される。シリコーン樹脂層205は、種々の方法を使用して形成されてもよい。1つの実施形態では、シリコーン樹脂層205は、基体205上に硬化性シリコーン樹脂組成物を堆積することにより形成される。例えば、硬化性シリコーン樹脂組成物のフィルムは、通常のコーティング方法、例えば、インクジェットによる堆積、スピンコーティング、浸漬、噴霧、刷毛塗り、スクリーン印刷等を使用して堆積されてもよい。次いで、硬化性シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂層205を形成するために硬化(又は部分硬化)される。種々の選択的実施形態では、硬化方法は、1つ又は複数の触媒を添加する工程並びに硬化性シリコーン樹脂組成物を高温に暴露する工程を含んでもよい。
【0188】
(硬化又は部分硬化)シリコーン樹脂層205は、シリコーン樹脂層205を形成するために使用される、硬化又は部分硬化シリコーン樹脂の延性遷移厚さ(Td)未満の厚さ(T)を有するために形成される。1つの実施形態では、シリコーン樹脂層205は、シリコーン樹脂層205及びシリコーン樹脂層205の隣にその後形成される又は配置される任意の層との間の接着を改善するために処理されてもよく又は変性されてもよい。然しながら、上で検討されたように、シリコーン樹脂層205を処理するか変性するかどうか、並びにそのような処理又は変性が行われる場合には、シリコーン樹脂層205を処理又は変性するために使用されてもよい方法は、本発明にとって設計上の選択の問題であって重要ではない。
【0189】
1つ又は複数の更なる層215は、図2Bで示されるように、シリコーン樹脂層205の隣に形成され又は配置されてもよい。例えば、更なる層215は、シリコーン樹脂層205の上で硬化性組成物を堆積及び硬化することにより形成されてもよい。或いは又、更なる層215は別の場所で形成され、次いで、シリコーン樹脂層205の隣に配置されてもよい。種々の選択的実施形態では、更なる層(単数又は複数)215は、種々の異なる材料で形成されてもよく又はそれを含んでもよい。例えば、更なる層(単数又は複数)215は、ゴム粒子、共重合ゴムセグメント、シリコーンゴム、有機ポリマー等を含む材料で形成されてもよい。層215の数は、本発明にとって設計上の選択の問題であって重要ではない。更に、層215は、シリコーン樹脂層205の真下、シリコーン樹脂層205とその後に形成されるシリコーン樹脂層との中間、又は層スタックにおけるシリコーン樹脂層の全ての上の位置を含む層スタックの任意の位置で形成されてもよい。
【0190】
次いで、第2シリコーン樹脂層220は、図2Cで示されるように、シリコーン樹脂層105の隣に形成され又は配置されてもよい。1つの実施形態では、シリコーン樹脂層220は、シリコーン樹脂層205上に硬化性シリコーン樹脂組成物を堆積することにより形成される。例えば、硬化性シリコーン樹脂組成物のフィルムは、通常のコーティング方法、例えば、インクジェットによる堆積、スピンコーティング、浸漬、噴霧、刷毛塗り、スクリーン印刷等を使用して堆積されてもよい。次いで、硬化性シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂層220を形成するために硬化(又は部分硬化)される。上で検討されたように、硬化方法は、1つ又は複数の触媒を添加する工程並びに硬化性シリコーン樹脂組成物を高温に暴露する工程を含んでもよい。然しながら、この開示の利益を有する当業者は、本発明が、シリコーン樹脂層205上でシリコーン樹脂組成物を堆積する工程及び/又は硬化する工程に限定されないことを理解するべきである。選択的実施形態では、シリコーン樹脂層220は別々に形成され、次いで、シリコーン樹脂層205の隣に配置されてもよい。
【0191】
(硬化又は部分硬化)シリコーン樹脂層220は、シリコーン樹脂層220を形成するために使用される、硬化又は部分硬化シリコーン樹脂の延性遷移厚さ(Td)未満の厚さ(T)を有する。1つの実施形態では、シリコーン樹脂層205、220は、同じ硬化性シリコーン樹脂組成物を使用して形成され、従って、同じ延性遷移厚さを有し得る。然しながら、シリコーン樹脂層205、220の実際の厚さは異なってもよい。更に、選択的実施形態では、シリコーン樹脂層205、220は、異なる硬化性シリコーン樹脂組成物(又は異なる硬化方法)を使用して形成されてもよく、それ故、これらは異なる延性遷移厚さを有し得る。
【0192】
図2A、2B、及び2Cで例示される複数層シリコーン樹脂フィルムの実施形態は、更なる層215で分離された2つのシリコーン樹脂層205、220を含むが、本発明は、更なる層215で分離された205、220を含むだけの複数層シリコーン樹脂フィルムに限定されない。1つの実施形態では、複数層シリコーン樹脂フィルムは、これらの相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する多数のシリコーン樹脂層で形成され、任意の順序で配列されてもよい。シリコーン樹脂層は、又、1つ又は複数の更なる層で分離されてもよい。然しながら、この開示の利益を有する当業者は、シリコーン樹脂層205、220及び、若し存在すれば更なる層215の特定の順序は、本発明にとって設計上の選択の問題であって重要ではないことを理解するべきである。
【0193】
図3は、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成するために使用されるシステム300の第1の例示的実施形態を概念的に例示する。例示された実施形態では、一対の単軸スクリュー押出機305(1〜2)が、2つの溶融ケイ素含有ポリマーを、複数層(又はマイクロ層)ダイアセンブリー310中へ、複数層ダイアセンブリー310中のアダプター315を介して押し出すために使用される。単軸スクリュー押出機305(1〜2)で押し出され得る例示的なケイ素含有材料は本明細書で詳細に説明されており、明確化のためのこれらの説明はここでは繰返さない。2つのケイ素含有ポリマー流は、複数層ダイアセンブリー310の複数段階(又はダイアセンブリー)320(図3では数字で示されている唯一のもの)を通る。熱電対325は、複数層ダイアセンブリー310の温度を維持するために使用されてもよい。ダイアセンブリー320のそれぞれは、同時のケイ素含有ポリマー流を分割し、次いで、それらを、スタックが2つのケイ素含有ポリマーの交互層を含むようにスタックに再度組み合わせるために機能する。従って、ダイアセンブリー320に入るポリマー流が、2つのケイ素含有ポリマーのn個の交互層のスタックに形成される場合、ダイアセンブリー320を出るポリマー流は、2つのケイ素含有ポリマーの2n個の交互層のスタックを含む。
【0194】
図4は、ダイアセンブリーで実施される分割−積み重ね処理を受けるポリマー流400を概念的に例示する。例示された実施形態では、ポリマー流400は、初めに、第2ポリマー410上に第1ポリマー405を有するスタックを含む。ポリマー流400がダイアセンブリーを通過する際に、スタックは、水平面に沿って分割され、スタックの1つの部分は下方へ向かい、一方スタックのもう1つの部分は上方へ向かう。スタックの下方部分及びスタックの上方部分は、これらの元の厚さの約半分まで共に圧縮され、次いで、ポリマー流400の2つの部分は、第1ポリマー405及び第2ポリマー410の4つの交互層を含む出力ポリマー流400を形成するために互いの最上層で積み重ねられる。
【0195】
図3に戻って参照すると、例示された実施形態で示される複数層ダイアセンブリー310は、複数層ダイアセンブリー310からの出力ポリマー流が、ケイ素含有ポリマーの210=1024の交互層を含むように10個のダイアセンブリー320を含む。然しながら、この開示の利益を有する当業者は、本発明が、10個のダイアセンブリー320を含む複数層ダイアセンブリー310に限定されないことを理解するべきである。選択的実施形態では、任意の数のダイアセンブリー320は、2つのケイ素含有ポリマーの交互層の選ばれた数を有する出力ポリマー流を形成するために複数層ダイアセンブリー310中へ導入されてもよい。例示された実施形態では、ダイアセンブリー320内の流動経路は0.356(0.904cm)平方インチであり、出力ポリマー流は、それぞれが約10μの厚さを有する1024の層を含む。出力ポリマー流は、ポリマー流が複数層ダイアセンブリー310を出た後に冷却浴330に掛けられ、冷却した複数層ポリマーは、冷却した複数層ポリマーを延伸するためにストランドプラー335に掛けられる。次いで、得られた複数層フィルムは、アウトプット340に貯蔵されてもよい。
【0196】
図5は、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成するために使用されるシステム500の第2の例示的実施形態を概念的に例示する。システム500の第2の例示的実施形態は、第1の単軸スクリュー押出機305(1)がシリコーンガムポット505で置換えられた以外はシステム300の第1の例示的実施形態と同じである。例示された実施形態では、シリコーンガムポットは、窒素を窒素源515からジャケット510へ供給することにより冷却されてもよい。次いで、ギアポンプ520は、複数層ダイアセンブリー310中のアダプター315中へシリコーンガムを計量するために使用され、単軸スクリュー押出機305(2)は、溶融ケイ素含有ポリマーを複数層ダイアセンブリー310へ押し出すために使用される。前に検討された通り、シリコーンガム及び押し出されるケイ素ポリマーは、10個のダイアセンブリー320を含む複数層ダイアセンブリー310を通過して、シリコーンガム及びケイ素含有ポリマーの210=1024の交互層を有する複数層ポリマーを形成する。出力ポリマー流は、ポリマー流が複数層ダイアセンブリー310を出た後に、冷却浴330に掛けられ、冷却した複数層ポリマーは、冷却した複数層ポリマーを延伸するためにストランドプラー335に掛けられる。次いで、得られた複数層フィルムは、アウトプット340に貯蔵されてもよい。ケイ素含有ポリマーが例示目的で本明細書では言及されているが、その他のポリマーも、この設定を使用して複数層化材料へ加工処理することができる。
【0197】
図6は、複数層ダイアセンブリー600の1つの例示的実施形態を概念的に例示する。例示された実施形態では、複数層ダイアセンブリー600は複数のハウジング605(図6で数字で示されている唯一のもの)を含む。複数層ダイアセンブリー600は、又、アダプター610及び端部シハウジング615を含む。アダプター610は、2つのケイ素含有ポリマー及び/又はシリコーンガムを受け取るためのポート620、625を含む。ケイ素含有ポリマー流は、出口ポート630で複数層ダイアセンブリー600を出る前に、点線で示される経路に沿って複数層ダイアセンブリー600を通って移動する。例示された実施形態では、ハウジング605及び端部ハウジング615は、それぞれ、本明細書で説明された分割−積み重ね処理を行うダイインサート(図6では示されない)を含む。
【0198】
図7及び8は、ハウジング700の1つの実施形態の、それぞれ、正面及び断面図を表す。例示された実施形態では、ハウジング700は、ダイインサートを受入れるために構成されているチャンネル705を含む。チャンネル705は、0.356(0.904cm)平方インチであってもよい。ハウジング700は、又、ハウジング700を別のハウジング及び/又はアダプターに結合するために使用されるボルトを受けるために構成されている複数のボルト穴710(図7及び8で数字で示されている唯一のもの)を含む。ハウジング700はステンレススチールで構成されてもよい。
【0199】
図9及び10は、異なる方向での図7及び8で示されたハウジング700の、それぞれ、正面及び断面図を表す。例示された実施形態では、ハウジング700は、又、ハウジング700を別のハウジング及び/又はアダプターに結合するために使用されるボルトを受け且つ固定するためにネジ切りされている複数のボルト穴715(図9及び10で数字で示されている唯一のもの)を含む。
【0200】
図11及び12は、端部ハウジング1100の1つの実施形態の、それぞれ、正面及び断面図を表す。例示された実施形態では、端部ハウジング1100は、ダイインサートを受入れるために構成されているチャンネル1105を含む。チャンネル1105は、0.356(0.904cm)平方インチであってもよい。ハウジング1100は、又、端部ハウジング1100を別のハウジング及び/又はアダプターに結合するために使用されるボルトを受けるために構成されている複数のボルト穴1110(図11及び12で数字で示されている唯一のもの)を含む。端部ハウジング1100は、又、出口ポート1115を含む。端部ハウジング1100はステンレススチールで構成されてもよい。
【0201】
図13は、複数のダイアセンブリー1305及び端部ダイアセンブリー1310を含む複数層ダイアセンブリー1300の部分を表す。複数のダイアセンブリー1305及び端部ダイアセンブリー1310は、1つ又は複数のボルト1315を使用して一緒に固定される。組立てられた場合、ダイアセンブリー1305、1310のチャンネルは、複数層ダイアセンブリー1300を通過する単独チャンネル1320を形成するために並べられる。
【0202】
図14A、14B、及び14Cは、ダイインサート1400の部分の1つの例示的実施形態を表す。図14Aは、ダイインサート1400がダイアセンブリーに装着される場合に、複数層ダイアセンブリーを通るチャンネルの軸に相当する軸に沿って透視的に見たダイインサート1400の部分を表す。図14Bは、ダイインサート1400がダイアセンブリーに装着される場合に、複数層ダイアセンブリーを通るチャンネルの軸に相当する軸に対して垂直な1つの側から透視的に見たダイインサート1400の部分を表す。図14Cは、ダイインサート1400がダイアセンブリーに装着される場合に、図14Bで使用した側とは反対の、複数層ダイアセンブリーを通るチャンネルの軸に相当する軸に対して垂直な側から透視的に見たダイインサート1400の部分を表す。それぞれのダイインサートは、2つの部分1400を含む。
【0203】
図15は、単一ダイインサートを形成するために使用される2つの部分、1500、1505を表す。例示された実施形態では、部分1500、1505のそれぞれは、第1及び第2L−形シート1510、1515,1520、1525を含む。各L−形シート1510、1515は、L−形シート1510、1515、1520、1525の内側コーナー及びL−形シート1510、1515、1520、1525の外側コーナーを形成するためにほぼ直角に交差する2つの脚を有するために形作られる。次いで、一対のL−形シート1510、1515、1520、1525は、これらが、これらのそれぞれの内側コーナーで合致するように互いに垂直に配置される。各L−形シート1510、1515、1520、1525の1つの脚は、脚の先端縁部が別のL−形シートの外側コーナーに隣接するように曲げられ又は角度が付けられる。
【0204】
次いで、ダイインサートは、第1ダイインサート構成部品1500のL−形シート1515の1つの(曲げられていない)脚が、第2ダイインサート構成部品1505のL−形シート1525の1つの(曲げられていない)脚に対して平行に且つ隣接するように、第1及び第2ダイインサート構成部品1500、1505を結合することにより、2つの部分1500、1505から形成されてもよい。第1ダイインサート構成部品1500のL−形シート1510の1つの(曲げられていない)脚は、又、第2ダイインサート構成部品1505のL−形シート1520の1つの(曲げられていない)脚に対して平行に且つ隣接している。図16は、完成したダイインサート1600の1つの例示的実施形態を表す。図17は、ハウジング1700の部分へ挿入された場合の完成したダイインサート1600の例示的実施形態を表す。
【0205】
上で開示された特定の実施形態は例示に過ぎず、従って、本発明は、異なる方法であって、本明細書の教示の利益を有する当業者によっては明らかな均等方法で変更され且つ実施され得る。更に、以下の特許請求の範囲に記載されている以外の、本明細書で示された構成又は設計の詳細に限定をするつもりはない。従って、上で開示された特定の実施形態は変化又は変更されてもよく、全てのそのような変化は本発明の範囲及び精神の内にあるものと見なされることは明白である。従って、本明細書で求められる保護は以下の特許請求の範囲で示される通りである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、薄膜、更に具体的に言えば、その他のポリマーを伴う又は伴わないシリコーン樹脂の延性複数層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン樹脂フィルムは、種々の異なる技術分野で使用することができる。例えば、シリコーン樹脂フィルムは、電子装置又は太陽電池のための基体として、装置をカプセルに包むため、バリヤー層と等して使用され得る。然しながら、シリコーン樹脂は、バルク状態では一般的に脆く、従って、シリコーン樹脂フィルムは脆弱で取り扱うのが難しい。従って、シリコーン樹脂フィルムの適用は、シリコーン樹脂フィルムの脆弱性がフィルムの使用を妨げない又は阻害しない範囲に制限され得る。
【0003】
シリコーン樹脂フィルムを更に延性にするための方法が存在する。例えば、ゴム粒子が、シリコーン樹脂層を形成する前、途中、又は後にシリコーン樹脂中へ導入されてもよい。その他の例では、ゴムセグメントが、シリコーン樹脂層を形成する前、途中、又は後にシリコーン樹脂中へ導入されてもよい。然しながら、これらの方法は多数の欠点を有している。例えば、シリコーン樹脂フィルムを更に延性にするための従来方法は、低弾性率、増加した熱膨張係数、及び低いガラス転移温度をもたらす傾向にある。シリコーン樹脂フィルムを更に延性にするための従来方法は、又、シリコーン樹脂フィルムの熱安定性及び/又は剛性を減少させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上で示された問題の1つ又は複数の結果に対処するためのものである。以下で、本発明の幾つかの態様の基本的理解を与えるために本発明の簡単な要旨を示す。この要旨は、本発明の網羅的概要ではない。それは、本発明の鍵又は重要な要素を特定しようとするものでもなければ、本発明の範囲の輪郭を描こうとするものでもない。その唯一の目的は、後に検討される更に詳細な説明の前置きとして簡単な形で幾つかの概念を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施形態では、延性複数層シリコーン樹脂フィルムを形成するための方法が提供される。この方法は、少なくとも2つのポリマー層を含むシリコーン樹脂フィルムを形成する工程を含んでもよい。ポリマー層の少なくとも1つはシリコーン樹脂層であり、シリコーン樹脂層の厚さは、相当する延性遷移厚さ未満である。
【0006】
本発明のその他の実施形態では、延性複数層シリコーン樹脂フィルムは、少なくとも2つのポリマー層を層状化することにより形成される。ポリマー層の少なくとも1つはシリコーン樹脂層であり、シリコーン樹脂層の厚さは、相当する延性遷移厚さ未満である。
【0007】
本発明のなおその他の実施形態では、延性複数層シリコーン樹脂フィルムが提供される。このシリコーン樹脂フィルムは、少なくとも2つのポリマー層を含む。ポリマー層の少なくとも1つはシリコーン樹脂層であり、シリコーン樹脂層の厚さは、相当する延性遷移厚さ未満である。
【0008】
本発明は、同じ参照番号が同じ要素を特定する添付の図面と関連させた以下の説明への参照により理解され得る。
【0009】
本発明は、種々の変更及び選択的形態が可能であるが、この特定の実施形態は図面での例により示されており、本明細書で詳細に説明される。然しながら、特定の実施形態の本明細書での説明は、開示された特定の形態に本発明を限定しようとするものではなく、逆に、本発明が、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の精神及び範囲内に入る全ての変更、均等物、及び選択肢を網羅するためである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法の第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図1B】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法の第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図1C】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法の第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図1D】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法の第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図2A】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法の第2の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図2B】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法の第2の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図2C】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法の第2の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図3】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成するために使用されるシステムの第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図4】本発明による、ダイアセンブリーで実施される、分割−積み重ね処理を受けるポリマー流を概念的に例示する図である。
【図5】本発明による、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成するために使用されるシステムの第2の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図6】本発明による、複数層ダイアセンブリーの1つの例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図7】本発明による、ハウジングの1つの実施形態の、正面を表す図である。
【図8】本発明による、ハウジングの1つの実施形態の、断面を表す図である。
【図9】本発明による、異なる方向からの図7及び8で示されたハウジングの実施形態の、正面を表す図である。
【図10】本発明による、異なる方向からの図7及び8で示されたハウジングの実施形態の、断面を表す図である。
【図11】本発明による、端部ハウジングの1つの実施形態の、正面を表す図である。
【図12】本発明による、端部ハウジングの1つの実施形態の、断面を表す図である。
【図13】本発明による、複数のダイアセンブリー及び端部ダイアセンブリーを含む複数層ダイアセンブリーの部分を表す図である。
【図14A】本発明による、ダイインサートの部分の1つの例示的実施形態を表す図である。
【図14B】本発明による、ダイインサートの部分の1つの例示的実施形態を表す図である。
【図14C】本発明による、ダイインサートの部分の1つの例示的実施形態を表す図である。
【図15】本発明による、単一ダイインサートを形成するために使用される2つの部分を表す図である。
【図16】本発明による、完成したダイインサートの1つの例示的実施形態を表す図である。
【図17】本発明による、ハウジングの部分へ挿入された場合の、完成したダイインサートの例示的実施形態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の例示的実施形態は以下で説明される。はっきり言って、実際の実行の全ての特徴が本明細書で説明されるものではない。勿論、任意のそのような実際の実施形態の開発では、多数の実行−特別の決定が、開発者の特定の目標、例えば、1つの実行から別の実行へと変動するシステム関連及びビジネス関連の制約の遵守等を達成するために為されるべきであることが認識される。更に、そのような開発努力は複雑で時間が掛かるが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとっては日常の仕事であることが理解される。
【0012】
本発明は、ここで、添付の図を参照して説明される。種々の構造、システム及び装置は、説明だけの目的のために、そして当業者には良く知られた詳細で本発明を分かりにくくしないために、図面で概略的に表される。それにもかかわらず、添付の図面は、本発明の例示的実施例を記載し説明するために含まれる。本明細書で使用される用語及び句は、当業者によるそれらの用語及び句の理解と一致する意味を有するために理解され且つ解釈されるべきである。用語又は句の特別の定義、即ち、当業者により理解されるような通常の及び普通の意味とは異なる定義は、本明細書の用語又は句の一貫した用法によって意味されることが意図されない。用語又は句が特別の意味を持つことが意図される範囲、即ち、当業者により理解されるもの以外の意味、例えば、特別の定義は、用語又は句に特別の定義を直接に及び明白に与える定義方法で明細書で明示的に示される。
【0013】
図1A、1B、1C及び1Dは、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成するための方法100の第1の例示的実施形態を概念的に例示する。例示された実施形態では、シリコーン樹脂層105は、図1Aで示されるように、基体110上に形成される。シリコーン樹脂層105は、種々の方法を使用して形成されてもよい。1つの実施形態では、シリコーン樹脂層105は、基体110上に硬化性シリコーン樹脂組成物を堆積することにより形成される。例えば、硬化性シリコーン樹脂組成物のフィルムは、従来のコーティング方法、例えば、インクジェットによる堆積、スピンコーティング、浸漬、噴霧、刷毛塗り、スクリーン印刷等による堆積を使用して堆積されてもよい。硬化性シリコーン樹脂組成物は、次いで、硬化して(又は部分的に硬化して)、シリコーン樹脂層105を形成する。種々の選択的実施形態では、硬化方法は、1つ又は複数の触媒を添加する工程及び硬化性シリコーン樹脂組成物を高温に暴露する工程を含んでもよい。
【0014】
例えば、トルエン中のPhSiCl3、MeSiCl3、PhMeSiCl2、及びPh2SiCl2の混合物を水で同時加水分解し、加水分解物を脱イオン水で洗浄し、加水分解物を加熱増粘し、この樹脂(樹脂−1)を乾燥することにより形成されるシリコーン樹脂は、メチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解することができる。この樹脂のMIBK溶液は0.2重量%のオクタン酸亜鉛と混合され、浸漬、スピンコーティング、ドローダウンコーティング、押出しコーティング、可逆グラビアコーティング、又は任意のその他のコーティング方法によりステンレススチールフォイル上へ被覆される。被覆されたステンレススチールフォイルは、オーブン中の空気中で硬化することができる。硬化温度は177℃〜350℃の範囲である。硬化時間は、30分〜2時間である。その他の例はTMe/SiO2樹脂である。この樹脂は、直径15nmのナノシリカ粒子のイソプロパノールアルコール分散体中のMeSi(OMe)3の加水分解物の部分縮合樹脂分散体である。この樹脂は、基体、例えば、ステンレススチール等の上に同様に被覆され、オーブン中の空気中で125℃で1時間硬化される。
【0015】
(硬化した又は部分硬化した)シリコーン樹脂層105は、シリコーン樹脂層105を形成するために使用される硬化した又は部分硬化したシリコーン樹脂の延性遷移厚さ(Td)未満である厚さ(T)を持たせるために形成される。本明細書で使用され、当該技術分野での普通の用法による「延性遷移厚さ」という用語は、シリコーン樹脂で形成された層が脆性状態から更に延性状態へ遷移する場合の厚さを意味するために使用される。本明細書で使用され、当該技術分野での普通の用法による「脆性」という用語は、材料が、分解、破壊、又はひび割れを始める場合の臨界点までの引張り強度テスト中に適用される力及び変位との間でほぼ直線的相関関係を示す材料を意味する。反対に、「延性」という用語は、引張り強度テスト中に適用される力に応答して、破壊及び/又は剪断降伏前に顕著な伸びを示す材料を意味するために、当該技術分野での普通の用法により本明細書で使用される。
【0016】
延性遷移厚さの実際の値は、シリコーン樹脂の組成物及びシリコーン樹脂層を形成するために使用される硬化方法に依存する。例えば、約250℃の温度で硬化した場合、樹脂−1で形成されるシリコーン樹脂層105は、約10μmの延性遷移厚さより大きい厚さで脆性であり得るし、約10μmの延性遷移厚さ未満の厚さで延性であり得る。反対に、200℃の温度で硬化した場合、樹脂−1の延性遷移厚さは約2〜3μmまで減少し得る。延性遷移厚さは樹脂のタイプで又変動する。例えば、上述のTMe/SiO2樹脂は、言及されている条件で硬化した場合、約200nmの延性遷移厚さを有する。
【0017】
上述の硬化性シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂層105を形成するために使用され得る組成物の唯一の例である。選択的実施形態では、硬化性シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂を含む任意のヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物であることのできるヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物であってもよい。そのような組成物は、一般的に、ケイ素−結合アルケニル基又はケイ素−結合水素原子を有するシリコーン樹脂、樹脂中のケイ素−結合アルケニル基又はケイ素−結合水素原子と反応することのできるケイ素−結合水素原子又はケイ素−結合アルケニル基を有する架橋剤、及びヒドロシリル化触媒を含む。シリコーン樹脂は、一般的に、M及び/又はDシロキサン単位との組合せでT及び/又はQシロキサン単位を含むコポリマーである。更に、シリコーン樹脂は、シリコーン組成物の第5及び第6の実施形態に対して以下で説明されるゴム変性シリコーン樹脂であることができる。上で検討されたように、以下で説明される硬化性シリコーン樹脂組成物を使用して形成される層の延性遷移厚さの値は、シリコーン樹脂の組成物及び層を形成するために使用される硬化方法に依存し得る。
【0018】
第1の実施形態によれば、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、(A)式(R1R22SiO1/2)w(R22SiO2/2)x(R1SiO3/2)y(SiO4/2)z(I)を有するシリコーン樹脂(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、前記シリコーン樹脂は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有する);(B)
シリコーン樹脂を硬化するのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する有機ケイ素化合物;及び(C)触媒量のヒドロシリル化触媒を含む。
【0019】
成分(A)は、式(R1R22SiO1/2)w(R22SiO2/2)x(R1SiO3/2)y(SiO4/2)z(I)を有する少なくとも1つのシリコーン樹脂である(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、前記シリコーン樹脂は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有する)。
【0020】
R1で表示されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は脂肪族不飽和を持たず、一般的に、1〜10個の炭素原子、又は1〜6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含む非環式ヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、分枝又は非分枝構造を有することができる。R1で表示されるヒドロカルビル基の例としては、アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル等;シクロアルキル、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びメチルシクロヘキシル等;アリール、例えば、フェニル及びナフチル等;アルカリール、例えば、トリル及びキシリル等;及びアラルキル、例えば、ベンジル及びフェネチル等が挙げられるがこれらに限定されない。R1で表示されるハロゲン置換ヒドロカルビル基の例としては、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、及び2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0021】
R2で表示されるアルケニル基は、同じか異なっていてもよく、一般的に、2〜約10個の炭素原子、又は2〜6個の炭素原子を有し、例として、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、及びオクテニルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0022】
シリコーン樹脂の式(I)では、添字のw、x、y、及びzはモル分率である。添字wは、一般的に、0〜0.8、又は0.02〜0.75、又は0.05〜0.3の値を有し;添字xは、一般的に、0〜0.6、又は0〜0.45、又は0〜0.25の値を有し;添字yは、一般的に、0〜0.99、又は0.25〜0.8、又は0.5〜0.8の値を有し;添字zは、一般的に、0〜0.75、又は0〜0.55、又は0〜0.25の値を有する。又、y+z/(w+x+y+z)の比は、一般的に、0.2〜0.99、又は、0.5〜0.95、又は0.65〜0.9である。更に、w+x/(w+x+y+z)の比は、一般的に、0.01〜0.80、又は0.05〜0.5、又は0.1〜0.35である。
【0023】
一般的に、R2基の少なくとも50モル%、又は少なくとも65モル%、又は少なくとも80モル%はアルケニルである。
【0024】
シリコーン樹脂は、一般的に、低角レーザー光散乱検出器、又は屈折率検出器及びシリコーン樹脂(MQ)標準を使用して、ゲル透過クロマトグラフィーで決定される、500〜50,000、又は500〜10,000、又は1,000〜3,000の数平均分子量(Mn)を有する。
【0025】
25℃でのシリコーン樹脂の粘度は、一般的に、0.01〜100,000Pa・s、又は0.1〜10,000Pa・s、又は1〜100Pa・sである。
【0026】
シリコーン樹脂は、一般的に、29Si NMRで決定される、10%(w/w)未満、又は5%(w/w)未満、又は2%(w/w)未満のケイ素−結合ヒドロキシ基を含む。
【0027】
シリコーン樹脂は、R1R22SiO1/2単位(即ち、M単位)及び/又はR22SiO2/2単位(即ち、D単位)(ここで、R1及びR2は、上で記載され且つ例示された通りである)との組合せでR1SiO3/2単位(即ち、T単位)及び/又はSiO4/2単位(即ち、Q単位)を含む。例えば、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、及びMTQ樹脂、並びにMDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であることができる。
【0028】
シリコーン樹脂の例としては、次式:
(Vi2MeSiO1/2)0.25(PhSiO3/2)0.75、(ViMe2SiO1/2)0.25(PhSiO3/2)0.75、(ViMe2SiO1/2)0.25(MeSiO3/2)0.25(PhSiO3/2)0.50、(ViMe2SiO1/2)0.15(PhSiO3/2)0.75(SiO4/2)0.1、及び(Vi2MeSiO1/2)0.15(ViMe2SiO1/2)0.1(PhSiO3/2)0.75(ここで、Meはメチルであり、Viはビニルであり、Phはフェニルであり、括弧の外の数字の添字はモル分率を表す)を有する樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。又、先の式で、単位の順序は特に指定されない。
【0029】
成分(A)は、それぞれが上述のような、単一シリコーン樹脂又は2つ以上の異なるシリコーン樹脂を含む混合物であることができる。
【0030】
シリコーン樹脂の調製方法は当該技術分野では良く知られており、多数のこれらの樹脂が市販されている。シリコーン樹脂は、一般的に、クロロシラン前駆体の適当な混合物を、有機溶剤、例えば、トルエン等の中で同時加水分解することにより調製される。例えば、R1R22SiO1/2単位及びR1SiO3/2単位から本質的に成るシリコーン樹脂は、式R1R22SiClを有する化合物及び式R1SiCl3を有する化合物(ここで、R1及びR2は、上で定義され且つ例示された通りである)をトルエン中で同時加水分解することにより調製することができる。水性塩酸及びシリコーン加水分解物が分離され、加水分解物は残留酸を除去するために水で洗浄され、穏やかな縮合触媒の存在下で、樹脂を必要粘度まで「増粘」するために加熱される。必要に応じて、樹脂は、ケイ素−結合ヒドロキシ基の含有量を減少させるために有機溶剤中で縮合触媒で更に処理することができる。或いは又、クロロ以外の加水分解可能な基、例えば、−Br、−I、−OCH3、−OC(O)CH3、−N(CH3)2、NHCOCH3、及び−SCH3を含むシランが、同時加水分解反応で出発物質として利用することもできる。樹脂生成物の性質は、シランのタイプ、シランのモル比、縮合の程度、及び処理条件に依存する。
【0031】
成分(B)は、成分(A)のシリコーン樹脂を硬化するのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する少なくとも1つの有機ケイ素化合物である。
【0032】
有機ケイ素化合物は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子、又は、分子当たり平均少なくとも3つのケイ素−結合水素原子を有する。一般的に、架橋は、成分(A)での分子当たりのアルケニル基の平均数及び成分(B)での分子当たりのケイ素−結合水素原子の平均数の合計が4を超える場合に生起することが理解される。
【0033】
有機ケイ素化合物は、有機水素シラン又は有機水素シロキサンであることができる。有機水素シランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、又はポリシランであることができる。同様に、有機水素シロキサンは、ジシロキサン、トリシロキサン、又はポリシロキサンであることができる。有機ケイ素化合物の構造は、線状、分枝、環状、又は樹脂状であることができる。環状シラン及び環状シロキサンは、一般的に、3〜12個のケイ素原子、又は3〜10個のケイ素原子、又は3〜4個のケイ素原子を有する。非環式ポリシラン及びポリシロキサンでは、ケイ素−結合水素原子は、末端で、ペンダントで、又は末端及びペンダントの両方の位置で配置され得る。
【0034】
有機水素シランの例としては、ジフェニルシラン、2−クロロエチルシラン、ビス[(p−ジメチルシリル)フェニル]エーテル、1,4−ジメチルジシリルエタン、1,3,5−トリス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラン、ポリ(メチルシリレン)フェニレン、及びポリ(メチルシリレン)メチレンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0035】
有機水素シランは、又、式HR12Si−R3−SiR12H(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R3は、
【化1】
(ここで、gは1〜6である)から選択される式を有する脂肪族不飽和のないヒドロカルビレン基である)を有することもできる。R1で表示されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、成分(A)のシリコーン樹脂に対して上で定義され且つ例示された通りである。
【0036】
式HR12Si−R3−SiR12H(ここで、R1及びR3は、上で記載され且つ例示された通りである)を有する有機水素シランの例としては、次式:
【化2】
を有するシランが挙げられるがこれらに限定されない。
【0037】
有機水素シロキサンの例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、フェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、トリメチルシロキシ−末端化ポリ(メチル水素シロキサン)、トリメチルシロキシ−末端化ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)、ジメチル水素シロキシ−末端化ポリ(メチル水素シロキサン)、並びにHMe2SiO1/2単位、Me3SiO1/2単位、及びSiO4/2単位(ここで、Meはメチルである)から本質的に成る樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。
【0038】
有機水素シロキサンは、又、式(R1R42SiO1/2)w(R42SiO2/2)x(R1SiO3/2)y(SiO4/2)z(II)(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R4はR1又は、少なくとも1つのケイ素−結合水素原子を有する有機シリルアルキル基であり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、R4基の少なくとも50モル%は、有機シリルアルキルである)を有する有機水素ポリシロキサン樹脂であることもできる。
【0039】
R1で表示されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、成分(A)のシリコーン樹脂に対して上で記載され且つ例示された通りである。R4で表示される有機シリルアルキル基の例としては、次式:
【化3】
−CH2CH2SiMe2H、
−CH2CH2SiMe2CnH2nSiMe2H、
−CH2CH2SiMe2CnH2nSiMePhH、
−CH2CH2SiMePhH、
−CH2CH2SiPh2H、
−CH2CH2SiMePhCnH2nSiPh2H、
−CH2CH2SiMePhCnH2nSiMe2H、
−CH2CH2SiMePhOSiMePhH、及び
−CH2CH2SiMePhOSiPh(OSiMePhH)2(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、添字nは、2〜10の値を有する)
を有する基が挙げられるがこれらに限定されない。
【0040】
有機水素ポリシロキサン樹脂の式(II)で、添字w、x、y、及びzはモル分率である。添字wは、一般的に、0〜0.8、又は0.02〜0.75、又は0.05〜0.3の値を有し;添字xは、一般的に、0〜0.6、又は0〜0.45、又は0〜0.25の値を有し;添字yは、一般的に、0〜0.99、又は0.25〜0.8、又は0.5〜0.8の値を有し;添字zは、一般的に、0〜0.75、又は0〜0.55、又は0〜0.25の値を有する。又、y+z/(w+x+y+z)の比は、一般的に、0.2〜0.99、又は、0.5〜0.95、又は0.65〜0.9である。更に、w+x/(w+x+y+z)の比は、一般的に、0.01〜0.80、又は0.05〜0.5、又は0.1〜0.35である。
【0041】
一般的に、有機水素ポリシロキサン樹脂でのR4基の少なくとも50モル%、又は少なくとも65モル%、又は少なくとも80モル%は、少なくとも1つのケイ素−結合水素原子を有する有機シリルアルキル基である。
【0042】
有機水素ポリシロキサン樹脂は、一般的に、低角レーザー光散乱検出器、又は屈折率検出器及びシリコーン樹脂(MQ)標準を使用して、ゲル透過クロマトグラフィーで決定される、500〜50,000、又は500〜10,000、又は1,000〜3,000の数平均分子量(Mn)を有する。
【0043】
有機水素ポリシロキサン樹脂は、一般的に、29Si NMRで決定される、10%(w/w)未満、又は5%(w/w)未満、又は2%(w/w)未満のケイ素−結合ヒドロキシ基を含む。
【0044】
有機水素ポリシロキサン樹脂は、R1R42SiO1/2単位(即ち、M単位)及び/又はR42SiO2/2単位(即ち、D単位)(ここで、R1及びR4は、上で記載され且つ例示された通りである)との組合せでR1SiO3/2単位(即ち、T単位)及び/又はSiO4/2単位(即ち、Q単位)を含む。例えば、有機水素ポリシロキサン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、及びMTQ樹脂、並びにMDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であることができる。
【0045】
有機水素ポリシロキサン樹脂の例としては、次式:
((HMe2SiC6H4SiMe2CH2CH2)2MeSiO1/2)0.12(PhSiO3/2)0.88、
((HMe2SiC6H4SiMe2CH2CH2)2MeSiO1/2)0.17(PhSiO3/2)0.83、
((HMe2SiC6H4SiMe2CH2CH2)2MeSiO1/2)0.17(MeSiO3/2)0.17(PhSiO3/2)0.66、
((HMe2SiC6H4SiMe2CH2CH2)2MeSiO1/2)0.15(PhSiO3/2)0.75(SiO4/2)0.10、及び
((HMe2SiC6H4SiMe2CH2CH2)2MeSiO1/2)0.08((HMe2SiC6H4SiMe2CH2CH2)Me2SiO1/2)0.06(PhSiO3/2)0.86(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、C6H4はパラ−フェニレン基を表し、括弧の外の数字の添字はモル分率を表す)を有する樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。又、先の式で、単位の順序は特に指定されない。
【0046】
成分(B)は、それぞれが上述のような、単一有機ケイ素化合物又は2つ以上の異なる有機ケイ素化合物を含む混合物であることができる。例えば、成分(B)は、単一有機水素シラン、2つの異なる有機水素シランの混合物、単一有機水素シロキサン、2つの異なる有機水素シロキサンの混合物、又は有機水素シラン及び有機水素シロキサンの混合物であることができる。特に、成分(B)は、式(II)を有する有機水素ポリシロキサン樹脂の、成分(B)の合計重量を基準にして、少なくとも0.5(w/w)、又は少なくとも50%(w/w)、又は少なくとも75%(w/w)並びに有機水素シラン及び/又は有機水素シロキサン(これは、有機水素ポリシロキサン樹脂とは異なる)を含む混合物であることができる。
【0047】
成分(B)の濃度は、成分(A)のシリコーン樹脂を硬化(架橋)するために十分なものである。成分(B)の正確な量は硬化の所望の範囲に依存し、一般的に、成分(B)のケイ素−結合水素原子のモル数対成分(A)のアルケニル基のモル数の比が増加するにつれて増加する。成分(B)の濃度は、一般的に、成分(A)のアルケニル基の1モル当たり、0.4〜2モルのケイ素−結合水素原子、又は0.8〜1.5モルのケイ素−結合水素原子、又は0.9〜1.1モルのケイ素−結合水素原子を与えるのに十分なものである。
【0048】
ケイ素−結合水素原子を含む有機ケイ素化合物を調製する方法は当該技術分野では良く知られている。例えば、有機水素シランは、グリニャール試薬とハロゲン化アルキル又はハロゲン化アリールとの反応により調製することができる。特に、式HR12Si−R3−SiR12Hを有する有機水素シランは、相当するグリニャール試薬を生成するためにエーテル中で、式R3X2を有するジハロゲン化アリールをマグネシウムで処理し、次いで、式HR12SiClを有するクロロシランでグリニャール試薬を処理することにより調製することができる(ここで、R1及びR3は、上で記載され且つ例示された通りである)。
【0049】
有機水素シロキサンを調製する方法、例えば、有機ハロシランの加水分解及び縮合は、当該技術分野では又良く知られている。
【0050】
更に、式(II)を有する有機水素シロキサン樹脂は、(a)式(R1R22SiO1/2)w(R22SiO2/2)x(R1SiO3/2)y(SiO4/2)z(I)を有するシリコーン樹脂と(b)分子当たり平均2〜4個のケイ素−結合水素原子及び1000未満の分子量を有する有機ケイ素化合物とを、(c)ヒドロシリル化触媒、場合により、(d)有機溶剤の存在下で反応させることにより調製することができる(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、前記シリコーン樹脂(a)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有し、(b)におけるケイ素−結合水素原子対(a)におけるアルケニル基のモル比は、1.5〜5である)。
【0051】
シリコーン樹脂(a)は、シリコーン組成物の成分(A)に対して上で記載され且つ例示された通りである。シリコーン樹脂(a)は、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物で成分(A)として使用されるシリコーン樹脂と同じであることもできれば異なることもできる。
【0052】
有機ケイ素化合物(b)は、分子当たり平均2〜4個のケイ素−結合水素原子を有する少なくとも1つの有機ケイ素化合物である。或いは又、有機ケイ素化合物は、分子当たり平均2〜3個のケイ素−結合水素原子を有する。有機ケイ素化合物は、一般的に、1,000未満、又は750未満、又は500未満の分子量を有する。有機ケイ素化合物でのケイ素−結合有機基は、成分(A)のシリコーン樹脂の式でR1に対して上で記載され且つ例示された、ヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基で、共に脂肪族不飽和を持たない基から選択される。
【0053】
有機ケイ素化合物(b)は、有機水素シラン又は有機水素シロキサンであることができる。有機水素シランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、又はポリシランであることができる。同様に、有機水素シロキサンは、ジシロキサン、トリシロキサン、又はポリシロキサンであることができる。有機ケイ素化合物の構造は、線状、分枝、又は環状であることができる。環状シラン及び環状シロキサンは、一般的に、3〜12個のケイ素原子、又は3〜10個のケイ素原子、又は3〜4個のケイ素原子を有する。非環式ポリシラン及びポリシロキサンでは、ケイ素−結合水素原子は、末端で、ペンダントで、又は末端及びペンダントの両方の位置で配置され得る。
【0054】
有機水素シランの例としては、ジフェニルシラン、2−クロロエチルシラン、ビス[(p−ジメチルシリル)フェニル]エーテル、1,4−ジメチルジシリルエタン、1,3,5−トリス(ジメチルシリル)ベンゼン、及び1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシランが挙げられるがこれらに限定されない。有機水素シランは、又、式HR12Si−R3−SiR12H(ここで、R1及びR3は、上で記載され且つ例示された通りである)を有することもできる。
【0055】
有機水素シロキサンの例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、フェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、及び1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0056】
有機ケイ素化合物(b)は、それぞれが上述のような、単一有機ケイ素化合物又は2つ以上の異なる有機ケイ素化合物を含む混合物であることができる。例えば、成分(B)は、単一有機水素シラン、2つの異なる有機水素シランの混合物、単一有機水素シロキサン、2つの異なる有機水素シロキサンの混合物、又は有機水素シラン及び有機水素シロキサンの混合物であることができる。
【0057】
上述の、グリニャール試薬とハロゲン化アルキル又はハロゲン化アリールとの反応等の、有機水素シランの調製方法は当該技術分野では良く知られている。同様に、有機水素シランの加水分解及び縮合等の、有機水素シロキサンの調製方法も当該技術分野では良く知られている。
【0058】
ヒドロシリル化触媒(c)は、白金族金属(即ち、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウム)又は白金族金属を含む化合物を含む任意の良く知られたヒドロシリル化触媒であることができる。好ましくは、白金族金属は、ヒドロシリル化反応でのその高活性に基づく白金である。
【0059】
ヒドロシリル化触媒としては、参照として本明細書に組み込まれる米国特許第3419593号でウイリング(Willing)により開示された塩化白金酸及び或種のビニル含有有機シロキサンの錯体が挙げられる。このタイプの触媒は、塩化白金酸と1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとの反応生成物である。
【0060】
ヒドロシリル化触媒は、又、固体支持体の表面上に白金族金属を有する固体支持体を含む支持ヒドロシリル化触媒であることもできる。支持触媒は、有機水素ポリシロキサン樹脂生成物から、例えば、反応混合物を濾過することによって都合よく分離することができる。支持触媒の例としては、炭素上の白金、炭素上のパラジウム、炭素上のルテニウム、炭素上のロジウム、シリカ上の白金、シリカ上のパラジウム、アルミナ上の白金、アルミナ上のパラジウム、及びアルミナ上のルテニウムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0061】
有機溶剤(d)は、少なくとも1つの有機溶剤である。有機溶剤は、シリコーン樹脂(a)、有機ケイ素化合物(b)、又は有機水素ポリシロキサン樹脂と、本発明方法の条件下で反応しない、成分(a)、(b)、及び有機水素ポリシロキサン樹脂と相溶性である任意の非プロトン性又は双極性有機溶剤であることができる。
【0062】
有機溶剤の例としては、飽和脂肪族炭化水素、例えば、n−ペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン及びドデカン等;環状脂肪族炭化水素、例えば、シクロペンタン及びシクロヘキサン等;芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等;環状エーテル、例えば、テトラヒドロフラン(THF)及びジオキサン等;ケトン、例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK)等;ハロゲン化アルカン、例えば、トリクロロエタン等;並びにハロゲン化芳香族炭化水素、例えば、ブロモベンゼン及びクロロベンゼン等が挙げられるがこれらに限定されない。有機溶剤(d)は、それぞれが上で記載された通りの単一有機溶剤又は2つ以上の異なる有機溶剤を含む混合物であることができる。
【0063】
反応は、ヒドロシリル化反応に適した任意の標準的反応器で行うことができる。適当な反応器としては、ガラス及びTeflon内張りガラス反応器が挙げられる。好ましくは、反応器は、掻き混ぜ手段、例えば、撹拌手段を備えている。又、好ましくは、反応は、不活性雰囲気、例えば、窒素又はアルゴン下で、水分の不存在下で行われる。
【0064】
シリコーン樹脂、有機ケイ素化合物、ヒドロシリル化触媒、及び、場合によって、有機溶剤は、任意の順序で組み合わせることができる。一般的に、有機ケイ素化合物(b)及びヒドロシリル化触媒(c)は、シリコーン樹脂(a)及び、場合によって、有機溶剤(d)の導入前に組み合わされる。
【0065】
反応は、一般的に、0〜150℃、又は室温(〜23℃±2℃)〜115℃の温度で行われる。温度が0℃未満である場合は、反応速度が一般的に極めて遅い。
【0066】
反応時間は、幾つかの要因、例えば、シリコーン樹脂及び有機ケイ素化合物の構造、並びに温度等に依存する。反応時間は、一般的に、室温(〜23℃±2℃)〜150℃の温度で1〜24時間である。最適反応時間は日常の実験で決定することができる。
【0067】
有機ケイ素化合物(b)でのケイ素−結合水素原子対シリコーン樹脂(a)でのアルケニル基のモル比は、一般的に、1.5〜5、又は1.75〜3、又は2〜2.5である。
【0068】
ヒドロシリル化触媒(c)の濃度は、シリコーン樹脂(a)と有機ケイ素化合物(b)との付加反応を触媒するのに十分なものである。一般的に、ヒドロシリル化触媒(c)の濃度は、シリコーン樹脂(a)及び有機ケイ素化合物(b)の一緒にした重量を基準にして、白金族金属の0.1〜1000ppm、又は白金族金属の1〜500ppm、又は白金族金属の5〜150ppmを与えるのに十分なものである。反応速度は、白金族金属の0.1ppmより下では非常に遅い。白金族金属の1000ppmを超える使用は、反応速度で明らかな増加をもたらさず、従って、不経済である。
【0069】
有機溶剤(d)の濃度は、反応混合物の合計重量を基準にして、一般的に、0〜99%(w/w)、又は30〜80%(w/w)、又は45〜60%(w/w)である。
【0070】
有機水素ポリシロキサン樹脂は、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物の第1の実施形態で単離又は精製なしで使用することができ、又は樹脂は、通常の蒸発方法により殆どの溶剤から分離することができる。例えば、反応混合物は減圧下で加熱することができる。更に、有機水素ポリシロキサン樹脂を調製するために使用されるヒドロシリル化触媒が、上述の支持触媒である場合は、樹脂は、反応混合物を濾過することによりヒドロシリル化触媒から容易に分離することができる。然しながら、有機水素ポリシロキサン樹脂が、この樹脂を調製するために使用されたヒドロシリル化触媒から分離されない場合は、触媒は、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物の第1の実施形態の成分(C)として使用されてもよい。
【0071】
ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物の成分(C)は、成分(A)と成分(B)との付加反応を促進する、少なくとも1つのヒドロシリル化触媒である。ヒドロシリル化触媒は、白金族金属、白金族金属を含む化合物を含む任意の良く知られたヒドロシリル化触媒、又はマイクロカプセル化白金族金属含有触媒であることができる。白金族金属としては、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウムが挙げられる。好ましくは、白金族金属は、ヒドロシリル化反応でのその高活性に基づく白金である。
【0072】
好ましいヒドロシリル化触媒としては、参照として本明細書に組み込まれる米国特許第3419593号でウイリング(Willing)により開示された塩化白金酸及び或種のビニル含有有機シロキサンの錯体が挙げられる。このタイプの好ましい触媒は、塩化白金酸と1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとの反応生成物である。
【0073】
ヒドロシリル化触媒は、又、熱可塑性樹脂でカプセル化された白金族金属を含むマイクロカプセル化白金族金属含有触媒であることができる。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒を含む組成物は、長期間、一般的には、数ヶ月以上安定で、周囲温度下で、熱可塑性樹脂の溶融又は軟化点より上の温度でなお相対的に急速に硬化する。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒及びそれらを調製するための方法は、米国特許第4766176号及びそこで引用されている参考文献;並びに米国特許第5017654号で例示されているように良く知られている。
【0074】
成分(C)は、単一のヒドロシリル化触媒又は少なくとも1つの性質、例えば、構造、形態、白金族金属、錯体リガンド、及び熱可塑性樹脂等で異なる2つ以上の異なる触媒を含む混合物であることができる。
【0075】
成分(C)の濃度は、成分(A)と成分(B)との付加反応を触媒するのに十分なものである。一般的には、成分(C)の濃度は、成分(A)及び(B)の組み合わせた重量を基準にして、白金族金属の0.1〜1000ppm、好ましくは、白金族金属の1〜500ppm、更に好ましくは、白金族金属の5〜150ppmを与えるのに十分なものである。硬化速度は、白金族金属の0.1ppmより下では非常に遅い。白金族金属の1000ppmを超える使用は、硬化速度で明らかな増加をもたらさず、従って、不経済である。
【0076】
第2の実施形態によれば、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、(A’)式(R1R52SiO1/2)w(R52SiO2/2)x(R5SiO3/2)y(SiO4/2)z(III)を有するシリコーン樹脂(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R5はR1又は−Hであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、前記シリコーン樹脂は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する);(B’)シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つ以上のケイ素−結合アルケニル基を有する有機ケイ素化合物;及び(C)触媒量のヒドロシリル化触媒を含む。
【0077】
成分(A’)は、式(R1R52SiO1/2)w(R52SiO2/2)x(R5SiO3/2)y(SiO4/2)z(III)(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R5はR1又は−Hであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、前記シリコーン樹脂は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する)を有する、少なくとも1つのシリコーン樹脂である。式(III)で、R1、w、x、y、z、y+z/(w+x+y+z)、及びw+x/(w+x+y+z)は、式(I)を有するシリコーン樹脂に対して上で記載され且つ例示された通りである。
【0078】
一般的に、シリコーン樹脂におけるR5基の少なくとも50モル%、又は少なくとも65モル%、又は少なくとも80モル%は水素である。
【0079】
シリコーン樹脂は、一般的に、500〜50,000、又は500〜10,000、又は1,000〜3,000の数平均分子量(Mn)を有し、この分子量は、低角レーザー光散乱検出器、又は屈折率検出器及びシリコーン樹脂(MQ)標準を使用して、ゲル透過クロマトグラフィーで決定される。
【0080】
25℃でのシリコーン樹脂の粘度は、一般的に、0.01〜100,000Pa・s、又は0.1〜10,000Pa・s、又は1〜100Pa・sである。
【0081】
シリコーン樹脂は、一般的に、29Si NMRで決定される、10%(w/w)未満、又は5%(w/w)未満、又は2%(w/w)未満のケイ素−結合ヒドロキシ基を含む。
【0082】
シリコーン樹脂は、R1R52SiO1/2単位(即ち、M単位)及び/又はR52SiO2/2単位(即ち、D単位)との組合せでR5SiO3/2単位(即ち、T単位)及び/又はSiO4/2単位(即ち、Q単位)を含む。例えば、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、及びMTQ樹脂、並びにMDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であることができる。
【0083】
成分(A’)としての使用に適したシリコーン樹脂の例としては、次式:
(HMe2SiO1/2)0.25(PhSiO3/2)0.75、(HMeSiO2/2)0.3(PhSiO3/2)0.6(MeSiO3/2)0.1、及び(Me3SiO1/2)0.1(H2SiO2/2)0.1(MeSiO3/2)0.4(PhSiO3/2)0.4(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、括弧の外の数字の添字はモル分率を表す)を有する樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。又、先の式で、単位の順序は特に指定されない。
【0084】
成分(A’)は、それぞれが上で記載された通りの単一シリコーン樹脂又は2つ以上の異なるシリコーン樹脂を含む混合物であることができる。
【0085】
ケイ素−結合水素原子を含むシリコーン樹脂の調製方法は当該技術分野では良く知られており、多数のこれらの樹脂が市販されている。シリコーン樹脂は、一般的に、クロロシラン前駆体の適当な混合物を有機溶剤、例えば、トルエン等の中で同時加水分解することにより調製される。例えば、R1R52SiO1/2単位及びR5SiO2/2単位から本質的に成るシリコーン樹脂は、式R1R52SiClを有する化合物及び式R5SiCl3を有する化合物(ここで、R1及びR5は、上で記載され且つ例示された通りである)をトルエン中で同時加水分解することにより調製することができる。水性塩酸及びシリコーン加水分解物が分離され、加水分解物は残留酸を除去するために水で洗浄され、穏やかな非塩基性縮合触媒の存在下で、樹脂を必要粘度まで「増粘」するために加熱される。必要に応じて、樹脂は、ケイ素−結合ヒドロキシ基の含有量を減少させるために有機溶剤中で非塩基性縮合触媒で更に処理することができる。或いは又、クロロ以外の加水分解可能な基、例えば、−Br、−I、−OCH3、−OC(O)CH3、−N(CH3)2、NHCOCH3、及び−SCH3を含むシランが、同時加水分解反応で出発物質として利用することもできる。樹脂生成物の性質は、シランのタイプ、シランのモル比、縮合の程度、及び処理条件に依存する。
【0086】
成分(B’)は、成分(A’)のシリコーン樹脂を硬化するのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有する少なくとも1つの有機ケイ素化合物である。
【0087】
有機ケイ素化合物は、分子当たり平均、少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基、或いは又、分子当たり少なくとも3つのケイ素−結合アルケニル基を含む。一般的に、架橋は、成分(A’)での分子当たりのケイ素−結合水素原子の平均数及び成分(B’)での分子当たりのケイ素−結合アルケニル基の平均数の合計が4を超える場合に生起することが理解される。
【0088】
有機ケイ素化合物は、有機シラン又は有機シロキサンであることができる。有機シランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、又はポリシランであることができる。同様に、有機シロキサンは、ジシロキサン、トリシロキサン、又はポリシロキサンであることができる。有機ケイ素化合物の構造は、線状、分枝、環状、又は樹脂状であることができる。環状シラン及び環状シロキサンは、一般的に、3〜12個のケイ素原子、又は3〜10個のケイ素原子、又は3〜4個のケイ素原子を有する。非環式ポリシラン及びポリシロキサンでは、ケイ素−結合アルケニル基は、末端で、ペンダントで、又は末端及びペンダントの両方の位置で配置され得る。
【0089】
成分(B’)としての使用に適した有機シランの例としては、次式:
Vi4Si、PhSiVi3、MeSiVi3、PhMeSiVi2、Ph2SiVi2、及びPhSi(CH2CH=CH2)3(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Viはビニルである)を有するシランが挙げられるがこれらに限定されない。
【0090】
成分(B’)としての使用に適した有機シロキサンの例としては、次式:
PhSi(OSiMe2Vi)3、Si(OSiMe2Vi)4、MeSi(OSiMe2Vi)3、及びPh2Si(OSiMe2Vi)2(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルである)を有するシロキサンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0091】
成分(B’)は、それぞれが上で記載された通りの単一有機ケイ素化合物又は2つ以上の異なる有機ケイ素化合物を含む混合物であることができる。例えば、成分(B’)は、単一有機シラン、2つの異なる有機シランの混合物、単一有機シロキサン、2つの異なる有機シロキサンの混合物、又は有機シラン及び有機シロキサンの混合物であることができる。
【0092】
成分(B’)の濃度は、成分(A’)のシリコーン樹脂を硬化(架橋)するのに十分なものである。成分(B’)の正確な量は硬化の所望の範囲に依存し、一般的に、成分(B’)のケイ素−結合アルケニル基のモル数対成分(A’)のケイ素−結合水素原子のモル数の比が増加するにつれて増加する。成分(B’)の濃度は、一般的に、成分(A’)のケイ素−結合水素原子の1モル当たり、0.4〜2モルのケイ素−結合アルケニル基、又は0.8〜1.5モルのケイ素−結合アルケニル基、又は0.9〜1.1モルのケイ素−結合アルケニル基を与えるのに十分なものである。
【0093】
ケイ素−結合アルケニル基を含む有機シラン及び有機シロキサンを調製する方法は当該技術分野では良く知られており、多数のこれらの化合物が市販されている。
【0094】
シリコーン組成物の第2の実施形態の成分(C)は、第1の実施形態の成分(C)に対して上で記載され且つ例示された通りである。
【0095】
第3の実施形態によれば、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、(A)式(R1R22SiO1/2)w(R22SiO2/2)x(R1SiO3/2)y(SiO4/2)z(I)を有するシリコーン樹脂;(B)シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する有機ケイ素化合物;(C)触媒量のヒドロシリル化触媒;及び(D)(i)R1R22SiO(R22SiO)aSiR22R1(IV)及び(ii)R5R12SiO(R1R5SiO)bSiR12R5(V)から選択される式を有するシリコーンゴムを含む(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、R5はR1又は−Hであり、添字a及びbは、それぞれ1〜4の値を有し、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンゴム(D)(i)は、それぞれ、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有し、前記シリコーンゴム(D)(ii)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有し、シリコーンゴム(D)のケイ素−結合アルケニル基又はケイ素−結合水素原子対シリコーン樹脂(A)のケイ素−結合アルケニル基のモル比は0.01〜0.5である)。
【0096】
シリコーン組成物の第3の実施形態の成分(A)、(B)、及び(C)は、第1の実施形態に対して上で記載され且つ例示された通りである。
【0097】
成分(B)の濃度は、成分(A)のシリコーン樹脂を硬化(架橋)するのに十分なものである。成分(D)が(D)(i)である場合、成分(B)の濃度は、成分(B)のケイ素−結合水素原子のモル数対成分(A)及び成分(D)(i)のケイ素−結合アルケニル基のモル数の合計の比は、一般的に、0.4〜2、又は0.8〜1.5、又は0.9〜1.1であるようなものである。更に、成分(D)が(D)(ii)である場合、成分(B)の濃度は、成分(B)及び成分(D)(ii)のケイ素−結合水素原子のモル数の合計対成分(A)のケイ素−結合アルケニル基のモル数の比は、一般的に、0.4〜2、又は0.8〜1.5、又は0.9〜1.1であるようなものである。
【0098】
成分(D)は、(i)R1R22SiO(R22SiO)aSiR22R1(IV)及び(ii)R5R12SiO(R1R5SiO)bSiR12R5(V)(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、R5はR1又は−Hであり、添字a及びbは、それぞれ1〜4の値を有する、但し、シリコーンゴム(D)(i)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有し、シリコーンゴム(D)(ii)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する)から選択される式を有するシリコーンゴムである。
【0099】
成分(D)(i)は、式R1R22SiO(R22SiO)aSiR22R1(IV)(ここで、R1及びR2は、上で記載され且つ例示された通りであり、添字aは1〜4の値を有する、但し、シリコーンゴム(D)(i)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有する)を有する少なくとも1つのシリコーンゴムである。或いは又、添字aは2〜4又は2〜3の値を有する。
【0100】
成分(D)(i)としての使用に適するシリコーンゴムの例としては、次式:
ViMe2SiO(Me2SiO)aSiMe2Vi、ViMe2SiO(Ph2SiO)aSiMe2Vi、及びViMe2SiO(PhMeSiO)aSiMe2Vi(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Viはビニルであり、添字aは1〜4の値を有する)を有するシリコーンゴムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0101】
成分(D)(i)は、それぞれが式(IV)を有する、単一シリコーンゴム又は2つ以上の異なるシリコーンゴムを含む混合物であることができる。
【0102】
成分(D)(ii)は、式R5R12SiO(R1R5SiO)bSiR12R5(V)(ここで、R1及びR5は、上で記載され且つ例示された通りであり、添字bは1〜4の値を有する、但し、シリコーンゴム(D)(ii)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する)を有する少なくとも1つのシリコーンゴムである。或いは又、添字bは2〜4又は2〜3の値を有する。
【0103】
成分(D)(ii)としての使用に適するシリコーンゴムの例としては、次式:
HMe2SiO(Me2SiO)bSiMe2H、HMe2SiO(Ph2SiO)bSiMe2H、HMe2SiO(PhMeSiO)bSiMe2H、及びHMe2SiO(Ph2SiO)2(Me2SiO)2SiMe2H(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、添字bは1〜4の値を有する)を有するシリコーンゴムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0104】
成分(D)(ii)は、それぞれが式(V)を有する、単一シリコーンゴム又は2つ以上の異なるシリコーンゴムを含む混合物であることができる。
【0105】
シリコーンゴム(D)のケイ素−結合アルケニル基又はケイ素−結合水素原子対シリコーン樹脂(A)のケイ素−結合アルケニル基のモル比は、一般的に、0.01〜0.5、又は0.05〜0.4、又は0.1〜0.3である。
【0106】
ケイ素−結合アルケニル基又はケイ素−結合水素原子を含むシリコーンゴムの調製方法は当該技術分野では良く知られており、多数のこれらの化合物が市販されている。
【0107】
第4の実施形態によれば、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、(A’)式(R1R52SiO1/2)w(R52SiO2/2)x(R5SiO3/2)y(SiO4/2)z(III)を有するシリコーン樹脂;(B’)シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有する有機ケイ素化合物;(C)触媒量のヒドロシリル化触媒;及び(D)(i)R1R22SiO(R22SiO)aSiR22R1(IV)及び(ii)R5R12SiO(R1R5SiO)bSiR12R5(V)から選択される式を有するシリコーンゴムを含む(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、R5はR1又は−Hであり、添字a及びbは、それぞれ1〜4の値を有し、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、シリコーン樹脂及びシリコーンゴム(D)(ii)は、それぞれ、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有し、シリコーンゴム(D)(i)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有し、シリコーンゴム(D)のケイ素−結合アルケニル基又はケイ素−結合水素原子対シリコーン樹脂(A’)のケイ素−結合水素原子のモル比は0.01〜0.5である)。
【0108】
シリコーン組成物の第4の実施形態の成分(A’)、(B’)、及び(C)は、第2の実施形態に対して上で記載され且つ例示された通りであり、第4の実施形態の成分(D)は、第3の実施形態に対して上で記載され且つ例示された通りである。
【0109】
成分(B’)の濃度は、成分(A’)のシリコーン樹脂を硬化(架橋)するのに十分なものである。成分(D)が(D)(i)である場合、成分(B’)の濃度は、成分(B’)及び成分(D)(i)のケイ素−結合アルケニル基のモル数の合計対成分(A’)のケイ素−結合水素原子のモル数の比は、一般的に、0.4〜2、又は0.8〜1.5、又は0.9〜1.1であるようなものである。更に、成分(D)が(D)(ii)である場合、成分(B’)の濃度は、成分(B’)のケイ素−結合アルケニル基のモル数対成分(A’)及び成分(D)(ii)のケイ素−結合水素原子のモル数の合計の比は、一般的に、0.4〜2、又は0.8〜1.5、又は0.9〜1.1であるようなものである。
【0110】
シリコーンゴム(D)のケイ素−結合アルケニル基又はケイ素−結合水素原子対シリコーン樹脂(A’)のケイ素−結合水素原子のモル比は、一般的に、0.01〜0.5、又は0.05〜0.4、又は0.1〜0.3である。
【0111】
第5の実施形態によれば、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、(A”)式(R1R22SiO1/2)w(R22SiO2/2)x(R1SiO3/2)y(SiO4/2)z(I)を有するシリコーン樹脂と、式R5R12SiO(R1R5SiO)cSiR12R5(VI)を有するシリコーンゴムとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で、及び場合によっては、可溶性反応生成物を形成するために有機溶剤の存在下で反応させて調製されるゴム変性シリコーン樹脂(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、R5はR1又は−Hであり、cは4を超え1,000までの値を有し、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、シリコーン樹脂(I)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有し、シリコーンゴム(VI)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有し、シリコーンゴム(VI)のケイ素−結合水素原子対シリコーン樹脂(I)のケイ素−結合アルケニル基のモル比は0.01〜0.5である);(B)ゴム変性シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有する有機ケイ素化合物;及び(C)触媒量のヒドロシリル化触媒を含む。
【0112】
シリコーン組成物の第5の実施形態の成分(B)及び(C)は、第1の実施形態に対して上で記載され且つ例示された通りである。
【0113】
成分(B)の濃度は、ゴム変性シリコーン樹脂を硬化(架橋)するのに十分なものである。成分(B)の濃度は、成分(B)及びシリコーンゴム(VI)のケイ素−結合水素原子のモル数の合計対シリコーン樹脂(I)のケイ素−結合アルケニル基のモル数の比が、一般的に、0.4〜2、又は0.8〜1.5、又は0.9〜1.1であるようなものである。
【0114】
成分(A”)は、式(R1R22SiO1/2)w(R22SiO2/2)x(R1SiO3/2)y(SiO4/2)z(I)を有する少なくとも1つのシリコーン樹脂と、式R5R12SiO(R1R5SiO)cSiR12R5(VI)を有する少なくとも1つのシリコーンゴムとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で、及び場合によっては、可溶性反応生成物を形成するために有機溶剤の存在下で反応させて調製されるゴム変性シリコーン樹脂である(ここで、R1、R2、R5、w、x、y、z、y+z/(w+x+y+z)、及びw+x/(w+x+y+z)は上で記載され且つ例示された通りであり、添字cは4を超え、1,000までの値を有する)。
【0115】
式(I)を有するシリコーン樹脂は、シリコーン組成物の第1の実施形態に対して上で記載され且つ例示された通りである。又、ヒドロシリル化触媒及び有機溶剤は、式(II)を有する有機水素ポリシロキサン樹脂の調製方法において上で記載され且つ例示された通りである。本明細書で使用される「可溶性反応生成物」という用語は、有機溶剤が存在する場合、成分(A”)を調製するための反応の生成物が有機溶剤に相溶性で、沈殿物又は懸濁液を形成しないことを意味する。
【0116】
シリコーンゴムの式(VI)で、R1及びR5は、上で記載され且つ例示された通りであり、添字cは、一般的に、4を超え、1,000まで、又は10〜500、又は10〜50の値を有する。
【0117】
式(VI)を有するシリコーンゴムの例としては、次式:
HMe2SiO(Me2SiO)50SiMe2H、HMe2SiO(Me2SiO)10SiMe2H、HMe2SiO(PhMeSiO)25SiMe2H、及びMe3SiO(MeHSiO)10SiMe3(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、数字の添字は、シロキサン単位の各タイプの数を示す)を有するシリコーンゴムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0118】
式(VI)を有するシリコーンゴムは、それぞれが式(VI)を有する、単一シリコーンゴム又は2つ以上の異なるシリコーンゴムを含む混合物であることができる。
【0119】
ケイ素−結合水素原子を含むシリコーンゴムの調製方法は当該技術分野では良く知られており、多数のこれらの化合物が市販されている。
【0120】
シリコーン樹脂(I)、シリコーンゴム(VI)、ヒドロシリル化触媒、及び有機溶剤は、任意の順序で組み合わせることができる。一般的に、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、及び有機溶剤は、ヒドロシリル化触媒の導入前に組み合わされる。
【0121】
反応は、一般的に、室温(〜23℃±2℃)〜150℃、又は室温〜100℃の温度で行われる。
【0122】
反応時間は、シリコーン樹脂及びシリコーンゴムの構造、並びに温度を含めた幾つかの要因に依存する。成分は、一般的に、ヒドロシリル化反応を完了するのに十分な期間で反応することが可能である。これは、成分が、一般的に、FTIR分光分析で決定されるように、ヒドロシリル化反応で消費された、シリコーンゴムに元々存在するケイ素−結合水素原子の少なくとも95モル%、又は少なくとも98モル%、又は少なくとも99モル%まで反応することが可能であることを意味する。反応時間は、一般的に、室温(〜23℃±2℃)〜100℃の温度で0.5〜24時間である。最適反応温度は、以下の実施例の部分で示される方法を使用して、日常の実験により決定することができる。
【0123】
シリコーンゴム(VI)のケイ素−結合水素原子対シリコーン樹脂(I)のケイ素−結合アルケニル基のモル比は、一般的に、0.01〜0.5、又は0.05〜0.4、又は0.1〜0.3である。
【0124】
ヒドロシリル化触媒の濃度は、シリコーン樹脂(I)とシリコーンゴム(VI)との付加反応を触媒するのに十分なものである。一般的に、ヒドロシリル化触媒の濃度は、樹脂及びゴムの合計重量を基準にして、0.1〜1000ppmの白金族金属を与えるのに十分なものである。
【0125】
有機溶剤の濃度は、反応混合物の全重量を基準にして、一般的に、0〜95%(w/w)、又は10〜75%(w/w)、又は40〜60%(w/w)である。
【0126】
ゴム変性シリコーン樹脂は、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物の第5の実施形態で単離又は精製なしで使用することができ、又は樹脂は通常の蒸発方法で殆どの溶剤から分離できる。例えば、反応混合物は、減圧下で加熱することができる。更に、ヒドロシリル化触媒が、上述のような支持触媒である場合は、ゴム変性シリコーン樹脂は、反応混合物を濾過することによりヒドロシリル化触媒から容易に分離できる。然しながら、ゴム変性シリコーン樹脂が、樹脂を調製するために使用されたヒドロシリル化触媒から分離されない場合、触媒は、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物の第5の実施形態の成分(C)として使用されてもよい。
【0127】
第6の実施形態によれば、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、(A’’’)式(R1R52SiO1/2)w(R52SiO2/2)x(R5SiO3/2)y(SiO4/2)z(III)を有するシリコーン樹脂と、式R1R22SiO(R22SiO)dSiR22R1(VII)を有するシリコーンゴムとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で、及び場合によっては、可溶性反応生成物を形成するために有機溶剤の存在下で反応させて調製されるゴム変性シリコーン樹脂(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、R5はR1又は−Hであり、添字dは4を超え、1,000までの値を有し、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である、但し、シリコーン樹脂(III)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子を有し、シリコーンゴム(VII)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有し、シリコーンゴム(VII)のケイ素−結合アルケニル基対シリコーン樹脂(III)のケイ素−結合水素原子のモル比は0.01〜0.5である);(B’)ゴム変性シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基を有する有機ケイ素化合物;及び(C)触媒量のヒドロシリル化触媒を含む。
【0128】
シリコーン組成物の第6の実施形態の成分(B’)及び(C)は、第2の実施形態に対して上で記載され且つ例示された通りである。
【0129】
成分(B’)の濃度は、ゴム変性シリコーン樹脂を硬化(架橋)するのに十分なものである。成分(B’)の濃度は、成分(B’)及びシリコーンゴム(VII)のケイ素−結合アルケニル基のモル数の合計対シリコーン樹脂(III)のケイ素−結合水素原子のモル数の比が、一般的に、0.4〜2、又は0.8〜1.5、又は0.9〜1.1であるようなものである。
【0130】
成分(A’’’)は、式(R1R52SiO1/2)w(R52SiO2/2)x(R5SiO3/2)y(SiO4/2)z(III)を有する少なくとも1つのシリコーン樹脂と、式R1R22SiO(R22SiO)dSiR22R1(VII)を有する少なくとも1つのシリコーンゴムとを、ヒドロシリル化触媒及び可溶性反応生成物を形成するために有機溶剤の存在下で反応させて調製されるゴム変性シリコーン樹脂である(ここで、R1、R2、R5、w、x、y、z、y+z/(w+x+y+z)、及びw+x/(w+x+y+z)は上で記載され且つ例示された通りであり、添字dは4を超え、1,000までの値を有する)。
【0131】
式(III)を有するシリコーン樹脂は、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物の第2の実施形態に対して上で記載され且つ例示された通りである。又、ヒドロシリル化触媒及び有機溶剤は、式(II)を有する有機水素ポリシロキサン樹脂の調製方法において上で記載され且つ例示された通りである。シリコーン組成物の前の実施形態で使用される「可溶性反応生成物」という用語は、有機溶剤が存在した場合、成分(A’’’)を調製するための反応の生成物が有機溶剤に相溶性で、沈殿物又は懸濁液を形成しないことを意味する。
【0132】
シリコーンゴムの式(VII)で、R1及びR2は、上で記載され且つ例示された通りであり、添字dは、一般的に、4を超え、1,000まで、又は10〜500、又は10〜50の値を有する。
【0133】
式(VII)を有するシリコーンゴムの例としては、次式:
ViMe2SiO(Me2SiO)50SiMe2Vi、ViMe2SiO(Me2SiO)10SiMe2Vi、ViMe2SiO(PhMeSiO)25SiMe2Vi、及びVi2MeSiO(PhMeSiO)25SiMe2Vi(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Viはビニルであり、数字の添字は、シロキサン単位の数又は各タイプを示す)を有するシリコーンゴムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0134】
式(VII)を有するシリコーンゴムは、それぞれが式(VII)を有する、単一シリコーンゴム又は2つ以上の異なるシリコーンゴムを含む混合物であることができる。
【0135】
ケイ素−結合アルケニル基を含むシリコーンゴムの調製方法は当該技術分野では良く知られており、多数のこれらの化合物が市販されている。
【0136】
成分(A’’’)を調製するための反応は、式(I)を有するシリコーン樹脂及び式(VI)を有するシリコーンゴムが、それぞれ、式(III)を有する樹脂及び式(VII)を有するゴムで置換えられる以外は、シリコーン組成物の第5の実施形態の成分(A”)を調製するために上で記載された方法で行うことができる。シリコーンゴム(VII)のケイ素−結合アルケニル基対シリコーン樹脂(III)のケイ素−結合水素原子のモル比は、0.01〜0.5、又は0.05〜0.4、又は0.1〜0.3である。更に、シリコーン樹脂及びシリコーンゴムは、一般的に、ヒドロシリル化反応を完了させるのに十分な期間で反応することが可能である。これは、成分が、一般的に、FTIR分光分析で決定されるように、ヒドロシリル化反応で消費された、シリコーンゴムに元々存在するケイ素−結合アルケニル基の少なくとも95モル%、又は少なくとも98モル%、又は少なくとも99モル%まで反応することが可能であることを意味する。
【0137】
本発明方法のヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、以下で説明されるように、低熱膨張係数、高い引張り強度、及び高い弾性率を有する硬化シリコーン樹脂を形成するために、シリコーン組成物の硬化を妨げない更なる成分を含むことができる。更なる成分の例としては、ヒドロシリル化触媒阻害剤、例えば、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、ビニルシクロシロキサン、及びトリフェニルホスフィン等;接着促進剤、例えば、米国特許第4087585号及び第5194649号で教示されている接着促進剤等;染料;顔料;耐酸化剤;熱安定剤;UV安定剤;難燃剤;流動制御添加剤;及び希釈剤、例えば、有機溶剤及び反応性希釈剤等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0138】
例えば、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物は、(E)(i)分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合アルケニル基及び25℃で0.001〜2Pa・sの粘度を有する有機シロキサン(ここで、(E)(i)の粘度は、シリコーン樹脂、例えば、シリコーン組成物の上記の成分(A)、(A’)、(A”)、又は(A’’’)の粘度の20%を超えず、有機シロキサンは、式(R1R22SiO1/2)m(R22SiO2/2)n(R1SiO3/2)p(SiO4/2)q(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、mは0〜0.8であり、n=0〜1、p=0〜0.25、q=0〜0.2、m+n+p+q=1、及びm+nは0ではない、但し、p+q=0の場合、nは0ではなく、アルケニル基は全て末端ではない)を有する)、及び(ii)分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子及び25℃で0.001〜2Pa・sの粘度を有する有機水素シロキサン(ここで、有機水素シロキサンは、式(HR12SiO1/2)s(R1SiO3/2)t(SiO4/2)v(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、sは0.25〜0.8であり、tは0〜0.5であり、vは0〜0.3であり、s+t+v=1、及びt+vは0ではない)を有する)を、(E)(i)のアルケニル基の1モル当たり0.5〜3モルの(E)(ii)のケイ素−結合水素原子を与えるのに十分な量で含む反応性希釈剤を含むことができる。
【0139】
成分(E)(i)は、分子当たり平均少なくとも2つのアルケニル基及び25℃で0.001〜2Pa・sの粘度を有する少なくとも1つの有機シロキサンである(ここで、(E)(i)の粘度は、シリコーン組成物のシリコーン樹脂の粘度の20%を超えず、有機シロキサンは、式(R1R22SiO1/2)m(R22SiO2/2)n(R1SiO3/2)p(SiO4/2)q(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、R2はR1又はアルケニルであり、mは0〜0.8であり、n=0〜1、p=0〜0.25、q=0〜0.2、m+n+p+q=1、及びm+nは0ではない、但し、p+q=0の場合、nは0ではなく、アルケニル基は全て末端ではない(即ち、有機シロキサンの全てのアルケニル基は、R1R22SiO1/2単位には存在しない))を有する)。更に、有機シロキサン(E)(i)は、線状、分枝、又は環状構造を有することができる。例えば、有機シロキサン(E)(i)の式の添字m、p、及びqがそれぞれ0である場合、有機シロキサンは有機シクロシロキサンである。
【0140】
25℃での有機シロキサン(E)(i)の粘度は、一般的に、0.001〜2Pa・s、又は0.001〜0.1Pa・s、又は0.001〜0.05Pa・sである。更に、25℃での有機シロキサン(E)(i)の粘度は、一般的に、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物でのシリコーン樹脂の粘度の20%を超えず、又は10%を超えず、又は1%を超えない。
【0141】
有機シロキサン(E)(i)としての使用に適した有機シロキサンの例としては、次式;
(ViMeSiO)3、(ViMeSiO)4、(ViMeSiO)5、(ViMeSiO)6、(ViPhSiO)3、(ViPhSiO)4、(ViPhSiO)5、(ViPhSiO)6、ViMe2SiO(ViMeSiO)nSiMe2Vi、Me3SiO(ViMSiO)nSiMe3、及び(ViMe2SiO)4Si(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Viはビニルであり、添字nは、有機シロキサンが、25℃で0.001〜2Pa・sの粘度を有するような値を有する)を有する有機シロキサンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0142】
成分(E)(i)は、それぞれが上で記載された通りの単一有機シロキサン又は2つ以上の異なる有機シロキサンを含む混合物であることができる。アルケニル官能性有機シロキサンを製造する方法は当該技術分野では良く知られている。
【0143】
成分(E)(ii)は、(E)(i)のアルケニル基のモルに対して0.5〜3モルの(E)(ii)のケイ素−結合水素原子を与えるのに十分な量の、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子及び25℃で0.001〜2Pa・sの粘度を有する少なくとも1つの有機水素シロキサンである(ここで、有機水素シロキサンは、式(HR12SiO1/2)s(R1SiO3/2)t(SiO4/2)v(ここで、R1は、C1〜C10ヒドロカルビル又はC1〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、共に脂肪族不飽和を持たず、sは0.25〜0.8であり、tは0〜0.5であり、vは0〜0.3であり、s+t+v=1、及びt+vは0ではない)を有する)。
【0144】
25℃での有機水素シロキサン(E)(ii)の粘度は、一般的に、0.001〜2Pa・s、又は0.001〜0.1Pa・s、又は0.001〜0.05Pa・sである。
【0145】
有機水素シロキサン(E)(ii)としての使用に適した有機水素シロキサンの例としては、次式;
PhSi(OSiMe2H)3、Si(OSiMe2H)4、MeSi(OSiMe2H)3、(HMe2SiO)3SiOSi(OSiMe2H)3、及び(HMe2SiO)3SiOSi(Ph)(OSiMe2H)2(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルである)を有する有機水素シロキサンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0146】
成分(E)(ii)は、それぞれが上で記載された通りの単一有機水素シロキサン又は2つ以上の異なる有機水素シロキサンを含む混合物であることができる。有機水素シロキサンを製造する方法は当該技術分野では良く知られている。
【0147】
成分(E)(ii)の濃度は、成分(E)(i)のアルケニル基の1モル当たり、0.5〜3モルのケイ素−結合水素原子、又は0.6〜2モルのケイ素−結合水素原子、又は0.9〜1.5モルのケイ素−結合水素原子を与えるのに十分なものである。
【0148】
ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物における反応性希釈剤(E)、成分(E)(i)及び(E)(ii)の一緒にした濃度は、上記実施形態における、シリコーン樹脂、成分(A)、(A’)、(A”)、又は(A’’’)、及び有機ケイ素化合物、成分(B)又は(B’)の合計重量を基準にして、一般的に、0〜90%(w/w)、又は0〜50%(w/w)、又は0〜20%(w/w)、又は0〜10%(w/w)である。
【0149】
シリコーン組成物は、単独部分中にシリコーン樹脂、有機ケイ素化合物、及びヒドロシリル化触媒を含む1つの部分の組成物であることができ、或いは又、2つ以上の部分でこれらの成分を含む複数部分組成物であることができる。例えば、複数部分シリコーン組成物は、シリコーン樹脂の一部及びヒドロシリル化触媒の全部を含む第1部分及びシリコーン樹脂の一部及び有機ケイ素化合物の全部を含む第2部分を含むことができる。
【0150】
1つの部分のシリコーン組成物は、一般的に、主成分及び任意の選択的成分を、言及されている割合で、周囲温度で、有機溶剤を伴い又は伴わずに組み合わせることにより調製される。種々の成分の添加順序は、シリコーン組成物が直ぐに使用されるものである場合は重要ではないが、ヒドロシリル化触媒は、好ましくは、組成物の早期硬化を防ぐために、約30℃よりも下の温度で最後に添加される。又、複数部分シリコーン組成物は、各部分の成分を組み合わせることにより調製することができる。
【0151】
混合は、当該技術分野で公知の任意の方法、例えば、摩砕、ブレンド、及び撹拌等で、バッチ又は連続方法で行うことができる。特定の装置は、成分の粘度及び最終のシリコーン組成物の粘度によって決定される。
【0152】
ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物の代替として、縮合−硬化性シリコーン組成物も又、本発明のシリコーン組成物として好適である。
【0153】
縮合−硬化性シリコーン組成物は、一般的に、ケイ素−結合ヒドロキシ又は加水分解性基を有するシリコーン樹脂(A’’’’)、場合により、ケイ素−結合加水分解性基を有する架橋剤(B”)及び/又は縮合触媒(C’)を含む。シリコーン樹脂(A’’’’)は、一般的に、M及び/又はDシロキサン単位との組合せでT及び/又はQシロキサン単位を含むコポリマーである。
【0154】
1つの実施形態によれば、シリコーン樹脂(A’’’’)は、式:
(R1R62SiO1/2)w’(R62SiO2/2)x’(R6SiO3/2)y’(SiO4/2)z’ (VIII)
(ここで、R1は上で記載され且つ例示された通りであり、R6は、R1、−H、−OH、又は加水分解性基であり、w’は0〜0.8、好ましくは、0.02〜0.75、更に好ましくは、0.05〜0.3であり、x’は0〜0.95、好ましくは、0.05〜0.8、更に好ましくは、0.1〜0.3であり、y’は0〜1、好ましくは、0.25〜0.8、更に好ましくは、0.5〜0.8であり、z’は0〜0.99、好ましくは、0.2〜0.8、更に好ましくは、0.4〜0.6であり、シリコーン樹脂(A’’’’)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合水素原子、ヒドロキシ基、又は加水分解性基を有する)を有する。本明細書で使用される「加水分解性基」という用語は、ケイ素−結合基が、数分以内、例えば、30分以内で、室温(〜23±2℃)〜100℃の任意の温度で触媒の不存在下で水と反応してシラノール(Si−OH)基を形成することを意味する。R6で表示される加水分解性基の例としては、−Cl、−Br、−OR7、−OCH2CH2OR7、CH3C(=O)O−、Et(Me)C=N−O−、CH3C(=O)N(CH3)−、及び−ONH2(ここで、R7は、C1〜C8ヒドロカルビル又はC1〜C8ハロゲン置換ヒドロカルビルである)を有する。
【0155】
R7で表示されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、一般的に、1〜8個の炭素原子、又は3〜6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含む非環式ヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、分枝又は非分枝構造を有することができる。R7で表示されるヒドロカルビル基の例としては、非分枝及び分枝アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メシルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチル等;環状アルキル、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びメチルシクロヘキシル等;フェニル;アルカリール、例えば、トリル及びキシリル等;アラルキル、例えば、ベンジル及びフェネチル等;アルケニル、例えば、ビニル、アリル、及びプロペニル等;アリールアルケニル、例えば、スチリル等;並びにアルキニル、例えば、エチニル及びプロピニル等が挙げられるがこれらに限定されない。R7で表示されるハロゲン置換ヒドロカルビル基の例としては、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、及びジクロロフェニルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0156】
一般的に、シリコーン樹脂のR6基の少なくとも5モル%、又は少なくとも15モル%、又は少なくとも30モル%は、水素、ヒドロキシ、又は加水分解性基である。本明細書で使用されるR6の基のモル%は、シリコーン樹脂(A’’’’)におけるケイ素−結合基のモル数対シリコーン樹脂(A’’’’)におけるR6基の合計モル数の比に100を乗じたものとして定義される。
【0157】
シリコーン樹脂(A’’’’)の特定の例としては、次式:
(MeSiO3/2)n、(PhSiO3/2)n、(Me3SiO1/2)0.8(SiO4/2)0.2、(MeSiO3/2)0.67(PhSiO3/2)0.33、(MeSiO3/2)0.45(PhSiO3/2)0.40(Ph2SiO2/2)0.1(PhMeSiO2/2)0.05、(PhSiO3/2)0.4(MeSiO3/2)0.45(PhSiO3/2)0.1(PhMeSiO2/2)0.05、及び(PhSiO3/2)0.4(MeSiO3/2)0.1(PhMeSiO2/2)0.5(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、括弧の外の数字の添字はモル分率を表し、添字nは、シリコーン樹脂が、500〜50,000の数平均分子量を有するような値を有する)を有するシリコーン樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。先の式における単位の順序は、本発明の範囲に対して限定するものとして決して見なされるべきではない。これらの式は樹脂の完全に縮合した形態を表示する。硬化する前は、これらは、上で特定された量で、−H、−OH、及び/又はその他の加水分解性基を有する。
【0158】
上で示した通り、式(VIII)で表示されるシリコーン樹脂(A’’’’)は、一般的に、500〜50,000の数平均分子量(Mn)を有する。或いは又、シリコーン樹脂(A’’’’)は、300〜測定不能まで、又は1,000〜3,000のMnを有し得る(ここで、分子量は、低角レーザー光散乱検出器、又は屈折率検出器及びシリコーン樹脂(MQ)標準を使用して、ゲル透過クロマトグラフィーで決定される)。
【0159】
25℃でのシリコーン樹脂(A’’’’)の粘度は、一般的に、0.01Pa・s〜固体まで、又は0.1〜100,000Pa・s、又は1〜1,000Pa・sである。
【0160】
式(VIII)で表示されるシリコーン樹脂(A’’’’)の調製方法は当該技術分野では良く知られており、多数のこれらの樹脂が市販されている。式(VIII)で表示されるシリコーン樹脂(A’’’’)は、一般的に、クロロシラン前駆体の適当な混合物を有機溶剤、例えば、トルエン等の中で同時加水分解することにより調製される。例えば、R1R62SiO1/2単位及びR6SiO3/2単位を含むシリコーン樹脂は、式R1R62SiClを有する第1化合物及び式R6SiCl3を有する第2化合物(ここで、R1及びR6は、上で定義され且つ例示された通りである)をトルエン中で同時加水分解することにより調製することができる。同時加水分解方法は、ヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物に関して上で説明されている。同時加水分解された反応体は、架橋性基の量及び粘度を調節するために所望の範囲まで更に「増粘」することができる。
【0161】
式(VIII)におけるQ単位及びM単位との任意の比でのこれらの組合せは、又、樹脂(A’’’’)において個々の粒子の形態で存在することができる。粒径は、一般的に、1μm〜20μmである。これらの粒子の例としては、直径15μmのシリカ(SiO4/2)粒子が挙げられるがこれに限定されない。縮合硬化性シリコーン樹脂は、更に、無機充填剤、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、及びマイカ等を含むことができる。
【0162】
その他の実施形態では、縮合−硬化性シリコーン組成物は、(i)式(R1R62SiO1/2)w(R62SiO2/2)x(R6SiO3/2)y(SiO4/2)zを有するシリコーン樹脂及び(ii)(i)の加水分解性前駆体から選択される有機ケイ素化合物、並びに(iii)式R83SiO(R1R8SiO)mSiR83を有するシリコーンゴムを、水、(iv)縮合触媒、及び(v)有機溶剤の存在下で反応させて調製されるゴム変性シリコーン樹脂(A’’’’)を含む(ここで、R1及びR6は、上で定義され且つ例示された通りであり、R8はR1又は加水分解性基であり、mは2〜1,000、又は4〜500、又は8〜400であり、w、x、y、及びzは、上で定義され且つ例示された通りであり、シリコーン樹脂(i)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合ヒドロキシ又は加水分解性基を有し、シリコーンゴム(iii)は、分子当たり平均少なくとも2つのケイ素−結合加水分解性基を有し、シリコーンゴム(iii)のケイ素−結合加水分解性基対シリコーン樹脂(i)のケイ素−結合ヒドロキシ又は加水分解性基のモル比は、0.01〜1.5、又は0.05〜0.8、又は0.2〜0.5である)。
【0163】
一般的に、シリコーン樹脂(i)のR6基の少なくとも5モル%、又は少なくとも15モル%、又は少なくとも30モル%はヒドロキシ又は加水分解性基である。
【0164】
シリコーン樹脂(i)は、一般的に、300〜測定不能まで、又は500〜10,000、又は1,000〜3,000の数平均分子量(Mn)を有する(ここで、分子量は、低角レーザー光散乱検出器、又は屈折率検出器及びシリコーン樹脂(MQ)標準を使用して、ゲル透過クロマトグラフィーで決定される)。
【0165】
シリコーン樹脂(i)としての使用に適したシリコーン樹脂の特定の例としては、次式:
(MeSiO3/2)n、(PhSiO3/2)n、(PhSiO3/2)0.4(MeSiO3/2)0.45(PhSiO3/2)0.1(PhMeSiO2/2)0.55、及び(PhSiO3/2)0.3(SiO4/2)0.1(Me2SiO2/2)0.2(Ph2SiO2/2)0.4(ここで、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、括弧の外の数字の添字はモル分率を表し、添字nは、シリコーン樹脂が、500〜50,000の数平均分子量を有するような値を有する)を有する樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。先の式における単位の順序は、本発明の範囲に対して限定するものとして決して見なされるべきではない。シリコーン樹脂(i)は、それぞれが特定の式を有する、単一シリコーン樹脂又は2つ以上の異なるシリコーン樹脂を含む混合物であることができる。
【0166】
これらの式は樹脂の完全に縮合した形態を表示する。硬化する前は、これらは、上で特定された量で、−H、−OH、及び/又はその他の加水分解性基を有する。
【0167】
本明細書で使用される「加水分解性前駆体」という用語は、シリコーン樹脂(i)の調製のための出発物質(前駆体)としての使用に適した加水分解性基を有するシランを意味する。加水分解性前駆体(ii)は、式R1R82SiX、R82SiX2、R8SiX3、及びSiX4(ここで、R1、R8、及びXは、上で定義され且つ例示された通りである)で表示することができる。
【0168】
加水分解性前駆体(ii)の特定の例としては、次式:
Me2ViSiCl、Me3SiCl、MeSi(OEt)3、PhSiCl3、MeSiCl3、Me2SiCl2、PhMeSiCl2、SiCl4、Ph2SiCl2、PhSi(OMe)3、MeSi(OMe)3、PhMeSi(OMe)2、及びSi(OEt)4(ここで、Meはメチルであり、Etはエチルであり、Phはフェニルである)を有するシランが挙げられるがこれらに限定されない。
【0169】
シリコーンゴム(iii)の特定の例としては、次式:
(EtO)3SiO(Me2SiO)55Si(OEt)3、(EtO)3SiO(Me2SiO)16Si(OEt)3、(EtO)3SiO(Me2SiO)386Si(OEt)3、及び(EtO)2MeSiO(PhMeSiO)10SiMe(OEt)2(ここで、Meはメチルであり、Etはエチルである)を有するシリコーンゴムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0170】
反応は、一般的に、室温(〜23±2℃)〜180℃、又は室温〜100℃の温度で行われる。
【0171】
反応時間は、シリコーン樹脂(i)及びシリコーンゴム(iii)の構造、並びに温度を含めた幾つかの要因に依存する。成分は、一般的に、縮合反応を完了させるのに十分な期間で反応することが可能である。これは、成分が、29Si NMR分光分析で決定されるように、縮合反応で消費された、シリコーンゴム(iii)に元々存在するケイ素−結合加水分解性基の少なくとも95モル%、又は少なくとも98モル%、又は少なくとも99モル%まで反応することが可能であることを意味する。反応時間は、一般的に、室温(〜23℃±2℃)〜100℃の温度で1〜30時間である。最適反応温度は日常の実験により決定することができる。
【0172】
適当な縮合触媒(iv)は以下で更に詳細に説明され、適当な有機溶剤(v)は、上記のゴム変性シリコーン樹脂(A’)との関連で上で説明される。縮合触媒(iv)の濃度は、シリコーン樹脂(i)とシリコーンゴム(iii)との縮合反応を触媒するのに十分なものである。一般的に、縮合触媒(iv)の濃度は、シリコーン樹脂(i)の重量を基準にして、0.01〜2%(w/w)、又は0.01〜1%(w/w)、又は0.05〜0.2%(w/w)である。有機溶剤(v)の濃度は、一般的に、反応混合物の全重量を基準にして、10〜95%(w/w)、又は20〜85%(w/w)、又は50〜80%(w/w)である。
【0173】
反応混合物における水の濃度は、有機ケイ素化合物におけるR8基の性質及びシリコーンゴムにおけるケイ素結合加水分解性基の性質に依存する。シリコーン樹脂(i)が加水分解性基を含む場合、水の濃度は、シリコーン樹脂(i)及びシリコーンゴム(iii)における加水分解性基の加水分解を行うのに十分なものである。例えば、水の濃度は、一般的に、一緒にしたシリコーン樹脂(i)及びシリコーンゴム(iii)における加水分解性基の1モル当たり、0.01〜3モル、又は0.05〜1モルである。シリコーン樹脂(i)が加水分解性基を含まない場合は、痕跡量の水だけ、例えば、100ppmの水が反応混合物で必要となる。痕跡量の水は、反応体及び/又は溶剤中に普通に存在する。
【0174】
上で示したように、縮合−硬化性シリコーン組成物は、架橋剤(B”)を更に含むことができる。架橋剤(B”)は、式R7qSiX4−q(ここで、R7は、C1〜C8ヒドロカルビル又はC1〜C8ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、Xは加水分解性基であり、qは0又は1である)を有することができる。R7で表示されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基、及びXで表示される加水分解性基は、上で記載され且つ例示された通りである。
【0175】
架橋剤(B”)の特定の例としては、アルコキシシラン、例えば、MeSi(OCH3)3、CH3Si(OCH2CH3)3、CH3Si(OCH2CH2CH3)3、CH3Si[O(CH2)3CH3]3、CH3CH2Si(OCH2CH3)3、C6H5Si(OCH3)3、C6H5CH2Si(OCH3)3、C6H5Si(OCH2CH3)3、CH2=CHSi(OCH3)3、CH2=CHCH2Si(OCH3)3、CF3CH2CH2Si(OCH3)3、CH3Si(OCH2CH2OCH3)3、CF3CH2CH2Si(OCH2CH2OCH3)3、CH2=CHSi(OCH2CH2OCH3)3、CH2=CHCH2Si(OCH2CH2OCH3)3、C6H5Si(OCH2CH2OCH3)3、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、及びSi(OC3H7)4等;有機アセトキシシラン、例えば、CH3Si(OCOCH3)3、CH3CH2Si(OCOCH3)3、及びCH2=CHSi(OCOCH3)3等;有機イミノオキシシラン、例えば、CH3Si[O−N=C(CH3)CH2CH3]3、Si[O−N=C(CH3)CH2CH3]4、及びCH2=CHSi[O−N=C(CH3)CH2CH3]3等;有機アセトアミドシラン、例えば、CH3Si[NHC(=O)CH3]3、及びC6H5Si[NHC(=O)CH3]3等;アミノシラン、例えば、CH3Si[NH(s−C4H9)]3及びCH3Si(NHC6H11)3等;並びに有機アミノオキシシランが挙げられるがこれらに限定されない。
【0176】
架橋剤(B”)は、それぞれが上で記載された通りの単一シラン又は2つ以上の異なるシランの混合物であることができる。又、3−及び4−官能シランを調製する方法は、当該技術分野では良く知られており、多数のこれらのシランが市販されている。
【0177】
存在する場合は、縮合−硬化性シリコーン組成物での架橋剤(B”)の濃度は、縮合−硬化性シリコーン樹脂を硬化(架橋)するのに十分なものである。架橋剤(B”)の正確な量は所望の硬化の範囲に依存し、一般的に、架橋剤(B”)におけるケイ素−結合加水分解性基のモル数対シリコーン樹脂(A’’’’)におけるケイ素−結合水素原子、ヒドロキシ基、又は加水分解性基のモル数の比が増加するにつれて増加する。一般的に、架橋剤(B”)の濃度は、シリコーン樹脂(A’’’’)におけるケイ素−結合水素原子、ヒドロキシ基、又は加水分解性基の1モル当たり、0.2〜4モルのケイ素−結合加水分解性基を与えるのに十分なものである。架橋剤(B”)の最適量は、日常の実験で容易に決定することができる。
【0178】
縮合触媒(C’)は、Si−O−Si結合を形成するために、ケイ素−結合ヒドロキシ(シラノール)基の縮合を促進するために一般的に使用される任意の縮合触媒であることができる。縮合触媒の例としては、アミン;並びに鉛、スズ、亜鉛、及び鉄とカルボン酸との錯体が挙げられるがこれらに限定されない。特に、縮合触媒(C’)は、スズ(II)及びスズ(IV)化合物、例えば、ジラウリン酸スズ、ジオクタン酸スズ、及びテトラブチルスズ等;並びにチタン化合物、例えば、チタンテトラブトキシド等から選択することができる。
【0179】
存在する場合は、縮合触媒(C’)の濃度は、一般的に、シリコーン樹脂(A’’’’)の全重量を基準にして、0.1〜10%(w/w)、又は0.5〜5%(w/w)、又は1〜3%(w/w)である。
【0180】
縮合−硬化性シリコーン組成物が縮合触媒(C’)を含む場合、縮合−硬化性シリコーン組成物は、一般的に、シリコーン樹脂(A’’’’)及び縮合触媒(C’)が別々の部分に存在する2つの部分の組成物である。
【0181】
本発明の縮合−硬化性シリコーン組成物は、当該技術分野で公知の、そしてヒドロシリル化−硬化性シリコーン組成物に対して上で記載された更なる成分を含むことができる。
【0182】
例示された実施形態では、シリコーン樹脂層105は、図1Bで矢印115で示されるように、シリコーン樹脂層105及びシリコーン樹脂層105の隣にその後形成される又は置かれる層との間の接着を増加させるために処理されてもよく又は変性されてもよい。例えば、シリコーン樹脂層105の1つの表面は、シリコーン樹脂層105及び表面に隣接してその後形成される又は配置される層との間の界面相互作用を増加させるために酸素プラズマ又は紫外線オゾンに暴露されてもよい。その他の例としては、シリコーン樹脂層105の表面に近い化学量論が、シリコーン樹脂層105及び表面に隣接してその後形成される又は配置される層との接着を改善し得る残留SiH基又はその他の残留官能性を生み出すためにヒドロシリル化を使用して変性されてもよい。1つの実施形態では、層間の接着は、層を一緒に保持するためには十分強力であるが、延性遷移厚さ未満の厚さを伴うシリコーン樹脂層105を形成することにより与えられる解除弾性拘束の利益を保持するために十分弱く設計されてもよい。然しながら、この開示の利益を有する当業者は、シリコーン樹脂層105を処理することは、本発明の全ての実施形態で行われなくてもよい任意選択的工程であることを理解するべきである。更に、その他の処理又は変性は、シリコーン樹脂層105及びその他の層との間の接着を増加させるために、又はその他の目的のために使用されてもよい。
【0183】
次いで、第2シリコーン樹脂層120が、図1Cで示されるように、シリコーン樹脂層105の隣に形成又は配置されてもよい。1つの実施形態では、シリコーン樹脂層120は、シリコーン樹脂層105の上に硬化性シリコーン樹脂組成物を堆積することにより形成される。例えば、硬化性シリコーン樹脂組成物のフィルムは、通常のコーティング方法、例えば、インクジェットによる堆積、スピンコーティング、浸漬、噴霧、刷毛塗り、スクリーン印刷等を使用して堆積されてもよい。次いで、硬化性シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂層120を形成するために硬化(又は部分的硬化)される。上で検討された通り、硬化方法は、1つ又は複数の触媒の添加工程並びに硬化性シリコーン樹脂組成物を高温に暴露する工程を含んでもよい。然しながら、この開示の利益を有する当業者は、本発明が、シリコーン樹脂層105の上でシリコーン樹脂組成物を堆積する工程及び/又は硬化する工程に限定されないことを理解するべきである。選択的実施形態では、シリコーン樹脂層120は別々に形成され、次いで、シリコーン樹脂層105の隣に配置されてもよい。
【0184】
(硬化した又は部分硬化した)シリコーン樹脂層120は、シリコーン樹脂層120を形成するために使用される、硬化又は部分硬化シリコーン樹脂の延性遷移厚さ(Td)未満の厚さ(T)を有するために形成される。1つの実施形態では、シリコーン樹脂層105、120は、同じ硬化性シリコーン樹脂組成物を使用して形成され、従って、同じ延性遷移厚さを有し得る。然しながら、シリコーン樹脂層105、120の実際の厚さは同じでなくてもよい。更に、選択的実施形態では、シリコーン樹脂層105、120は、異なる硬化性シリコーン樹脂組成物(又は異なる硬化方法)を使用して形成されてもよく、それ故、これらは異なる延性遷移厚さを有し得る。シリコーン樹脂層120は、又、シリコーン樹脂以外の組成物の層であることもできる。例えば、それは硬化性シリコーンゴムであることができる。或いは又、それは、溶剤キャスティングにより、又は任意のその他のコーティング方法により、又は予め形成したフィルムを積層することにより堆積された有機ポリマーであることができる。有機ポリマーフィルムは、性質が熱可塑性又は熱硬化性であることができる。これらの例としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド、シアネートエステル樹脂、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエーテルエーテルスルホン等が挙げられる。次いで、シリコーン樹脂層105、120で形成されるシリコーン樹脂フィルム125は、図1Dで示されるように、基体110から、例えば、シリコーン樹脂フィルム125を引き剥がすことにより除去される。
【0185】
シリコーン樹脂フィルム125の可撓性及び耐久性は、これらの相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する複数シリコーン樹脂層105、120のシリコーン樹脂フィルム125を形成することにより改善されてもよい。例えば、9層フィルム125を、MIBK中の前述の樹脂−1の50重量%をステンレススチール上にスピンコーティングすることによる樹脂−1のゴム強化品の5層、及びヒドロシリル化硬化シリコーンゴムの4層を層状化することにより構築した。樹脂及びゴム層は交互形式で配列される。強化樹脂−1は、触媒として、0.2重量%のTi(OBu)4を用いて、55の重合度の、10重量%のトリエトキシシロキシ末端化PDMSと未硬化樹脂−1とを反応させることにより調製することができる。各層は、それが置かれた後で、次の層が堆積される前に、1時間、200℃で硬化される。ゴム層は、次の層の強化樹脂−1の堆積前にO2プラズマで処理される。9層を硬化後、複数層フィルムはステンレススチールから引き剥がされる。フィルムの全厚は66マイクロメートルである。複数層フィルムの引張り破断点歪は9.4±3.9%であり、引張り弾性率は716.6±85.4MPaである。反対に、同じ強化4−3136の硬化単独層フィルムは、2.0%だけの破断点歪を有する。
【0186】
図1A、1B、1C、及び1Dで例示される複数層シリコーン樹脂フィルム125の実施形態は2つのシリコーン樹脂層105、120を含むが、本発明は、2つのシリコーン樹脂層105、120を含むだけの複数層シリコーン樹脂フィルム125に限定されない。1つの実施形態では、複数層シリコーン樹脂フィルム125は、これらの相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する多数のシリコーン樹脂層で形成されてもよい。例えば、約40〜50μmの厚さを有する複数層シリコーン樹脂フィルム125は、それぞれが、約2〜10μmのこれらの相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する幾つかのシリコーン樹脂層105、120を使用して形成されてもよい。事実、100μm以上の厚さを有する複数層シリコーン樹脂フィルム125は、目標厚さに到達するまで更にシリコーン樹脂層105、120を付加することにより形成されてもよい。更に、シリコーン樹脂層105、120ではないその他の層が、複数層シリコーン樹脂フィルム125を形成するために使用される層スタック中に含まれてもよい。
【0187】
図2A、2B、及び2Cは、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成する方法200の第2の例示的実施形態を概念的に例示する。例示された実施形態では、シリコーン樹脂層205は、図2Aで示されるように、基体210の上に形成される。シリコーン樹脂層205は、種々の方法を使用して形成されてもよい。1つの実施形態では、シリコーン樹脂層205は、基体205上に硬化性シリコーン樹脂組成物を堆積することにより形成される。例えば、硬化性シリコーン樹脂組成物のフィルムは、通常のコーティング方法、例えば、インクジェットによる堆積、スピンコーティング、浸漬、噴霧、刷毛塗り、スクリーン印刷等を使用して堆積されてもよい。次いで、硬化性シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂層205を形成するために硬化(又は部分硬化)される。種々の選択的実施形態では、硬化方法は、1つ又は複数の触媒を添加する工程並びに硬化性シリコーン樹脂組成物を高温に暴露する工程を含んでもよい。
【0188】
(硬化又は部分硬化)シリコーン樹脂層205は、シリコーン樹脂層205を形成するために使用される、硬化又は部分硬化シリコーン樹脂の延性遷移厚さ(Td)未満の厚さ(T)を有するために形成される。1つの実施形態では、シリコーン樹脂層205は、シリコーン樹脂層205及びシリコーン樹脂層205の隣にその後形成される又は配置される任意の層との間の接着を改善するために処理されてもよく又は変性されてもよい。然しながら、上で検討されたように、シリコーン樹脂層205を処理するか変性するかどうか、並びにそのような処理又は変性が行われる場合には、シリコーン樹脂層205を処理又は変性するために使用されてもよい方法は、本発明にとって設計上の選択の問題であって重要ではない。
【0189】
1つ又は複数の更なる層215は、図2Bで示されるように、シリコーン樹脂層205の隣に形成され又は配置されてもよい。例えば、更なる層215は、シリコーン樹脂層205の上で硬化性組成物を堆積及び硬化することにより形成されてもよい。或いは又、更なる層215は別の場所で形成され、次いで、シリコーン樹脂層205の隣に配置されてもよい。種々の選択的実施形態では、更なる層(単数又は複数)215は、種々の異なる材料で形成されてもよく又はそれを含んでもよい。例えば、更なる層(単数又は複数)215は、ゴム粒子、共重合ゴムセグメント、シリコーンゴム、有機ポリマー等を含む材料で形成されてもよい。層215の数は、本発明にとって設計上の選択の問題であって重要ではない。更に、層215は、シリコーン樹脂層205の真下、シリコーン樹脂層205とその後に形成されるシリコーン樹脂層との中間、又は層スタックにおけるシリコーン樹脂層の全ての上の位置を含む層スタックの任意の位置で形成されてもよい。
【0190】
次いで、第2シリコーン樹脂層220は、図2Cで示されるように、シリコーン樹脂層105の隣に形成され又は配置されてもよい。1つの実施形態では、シリコーン樹脂層220は、シリコーン樹脂層205上に硬化性シリコーン樹脂組成物を堆積することにより形成される。例えば、硬化性シリコーン樹脂組成物のフィルムは、通常のコーティング方法、例えば、インクジェットによる堆積、スピンコーティング、浸漬、噴霧、刷毛塗り、スクリーン印刷等を使用して堆積されてもよい。次いで、硬化性シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂層220を形成するために硬化(又は部分硬化)される。上で検討されたように、硬化方法は、1つ又は複数の触媒を添加する工程並びに硬化性シリコーン樹脂組成物を高温に暴露する工程を含んでもよい。然しながら、この開示の利益を有する当業者は、本発明が、シリコーン樹脂層205上でシリコーン樹脂組成物を堆積する工程及び/又は硬化する工程に限定されないことを理解するべきである。選択的実施形態では、シリコーン樹脂層220は別々に形成され、次いで、シリコーン樹脂層205の隣に配置されてもよい。
【0191】
(硬化又は部分硬化)シリコーン樹脂層220は、シリコーン樹脂層220を形成するために使用される、硬化又は部分硬化シリコーン樹脂の延性遷移厚さ(Td)未満の厚さ(T)を有する。1つの実施形態では、シリコーン樹脂層205、220は、同じ硬化性シリコーン樹脂組成物を使用して形成され、従って、同じ延性遷移厚さを有し得る。然しながら、シリコーン樹脂層205、220の実際の厚さは異なってもよい。更に、選択的実施形態では、シリコーン樹脂層205、220は、異なる硬化性シリコーン樹脂組成物(又は異なる硬化方法)を使用して形成されてもよく、それ故、これらは異なる延性遷移厚さを有し得る。
【0192】
図2A、2B、及び2Cで例示される複数層シリコーン樹脂フィルムの実施形態は、更なる層215で分離された2つのシリコーン樹脂層205、220を含むが、本発明は、更なる層215で分離された205、220を含むだけの複数層シリコーン樹脂フィルムに限定されない。1つの実施形態では、複数層シリコーン樹脂フィルムは、これらの相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する多数のシリコーン樹脂層で形成され、任意の順序で配列されてもよい。シリコーン樹脂層は、又、1つ又は複数の更なる層で分離されてもよい。然しながら、この開示の利益を有する当業者は、シリコーン樹脂層205、220及び、若し存在すれば更なる層215の特定の順序は、本発明にとって設計上の選択の問題であって重要ではないことを理解するべきである。
【0193】
図3は、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成するために使用されるシステム300の第1の例示的実施形態を概念的に例示する。例示された実施形態では、一対の単軸スクリュー押出機305(1〜2)が、2つの溶融ケイ素含有ポリマーを、複数層(又はマイクロ層)ダイアセンブリー310中へ、複数層ダイアセンブリー310中のアダプター315を介して押し出すために使用される。単軸スクリュー押出機305(1〜2)で押し出され得る例示的なケイ素含有材料は本明細書で詳細に説明されており、明確化のためのこれらの説明はここでは繰返さない。2つのケイ素含有ポリマー流は、複数層ダイアセンブリー310の複数段階(又はダイアセンブリー)320(図3では数字で示されている唯一のもの)を通る。熱電対325は、複数層ダイアセンブリー310の温度を維持するために使用されてもよい。ダイアセンブリー320のそれぞれは、同時のケイ素含有ポリマー流を分割し、次いで、それらを、スタックが2つのケイ素含有ポリマーの交互層を含むようにスタックに再度組み合わせるために機能する。従って、ダイアセンブリー320に入るポリマー流が、2つのケイ素含有ポリマーのn個の交互層のスタックに形成される場合、ダイアセンブリー320を出るポリマー流は、2つのケイ素含有ポリマーの2n個の交互層のスタックを含む。
【0194】
図4は、ダイアセンブリーで実施される分割−積み重ね処理を受けるポリマー流400を概念的に例示する。例示された実施形態では、ポリマー流400は、初めに、第2ポリマー410上に第1ポリマー405を有するスタックを含む。ポリマー流400がダイアセンブリーを通過する際に、スタックは、水平面に沿って分割され、スタックの1つの部分は下方へ向かい、一方スタックのもう1つの部分は上方へ向かう。スタックの下方部分及びスタックの上方部分は、これらの元の厚さの約半分まで共に圧縮され、次いで、ポリマー流400の2つの部分は、第1ポリマー405及び第2ポリマー410の4つの交互層を含む出力ポリマー流400を形成するために互いの最上層で積み重ねられる。
【0195】
図3に戻って参照すると、例示された実施形態で示される複数層ダイアセンブリー310は、複数層ダイアセンブリー310からの出力ポリマー流が、ケイ素含有ポリマーの210=1024の交互層を含むように10個のダイアセンブリー320を含む。然しながら、この開示の利益を有する当業者は、本発明が、10個のダイアセンブリー320を含む複数層ダイアセンブリー310に限定されないことを理解するべきである。選択的実施形態では、任意の数のダイアセンブリー320は、2つのケイ素含有ポリマーの交互層の選ばれた数を有する出力ポリマー流を形成するために複数層ダイアセンブリー310中へ導入されてもよい。例示された実施形態では、ダイアセンブリー320内の流動経路は0.356(0.904cm)平方インチであり、出力ポリマー流は、それぞれが約10μの厚さを有する1024の層を含む。出力ポリマー流は、ポリマー流が複数層ダイアセンブリー310を出た後に冷却浴330に掛けられ、冷却した複数層ポリマーは、冷却した複数層ポリマーを延伸するためにストランドプラー335に掛けられる。次いで、得られた複数層フィルムは、アウトプット340に貯蔵されてもよい。
【0196】
図5は、複数層シリコーン樹脂フィルムを形成するために使用されるシステム500の第2の例示的実施形態を概念的に例示する。システム500の第2の例示的実施形態は、第1の単軸スクリュー押出機305(1)がシリコーンガムポット505で置換えられた以外はシステム300の第1の例示的実施形態と同じである。例示された実施形態では、シリコーンガムポットは、窒素を窒素源515からジャケット510へ供給することにより冷却されてもよい。次いで、ギアポンプ520は、複数層ダイアセンブリー310中のアダプター315中へシリコーンガムを計量するために使用され、単軸スクリュー押出機305(2)は、溶融ケイ素含有ポリマーを複数層ダイアセンブリー310へ押し出すために使用される。前に検討された通り、シリコーンガム及び押し出されるケイ素ポリマーは、10個のダイアセンブリー320を含む複数層ダイアセンブリー310を通過して、シリコーンガム及びケイ素含有ポリマーの210=1024の交互層を有する複数層ポリマーを形成する。出力ポリマー流は、ポリマー流が複数層ダイアセンブリー310を出た後に、冷却浴330に掛けられ、冷却した複数層ポリマーは、冷却した複数層ポリマーを延伸するためにストランドプラー335に掛けられる。次いで、得られた複数層フィルムは、アウトプット340に貯蔵されてもよい。ケイ素含有ポリマーが例示目的で本明細書では言及されているが、その他のポリマーも、この設定を使用して複数層化材料へ加工処理することができる。
【0197】
図6は、複数層ダイアセンブリー600の1つの例示的実施形態を概念的に例示する。例示された実施形態では、複数層ダイアセンブリー600は複数のハウジング605(図6で数字で示されている唯一のもの)を含む。複数層ダイアセンブリー600は、又、アダプター610及び端部シハウジング615を含む。アダプター610は、2つのケイ素含有ポリマー及び/又はシリコーンガムを受け取るためのポート620、625を含む。ケイ素含有ポリマー流は、出口ポート630で複数層ダイアセンブリー600を出る前に、点線で示される経路に沿って複数層ダイアセンブリー600を通って移動する。例示された実施形態では、ハウジング605及び端部ハウジング615は、それぞれ、本明細書で説明された分割−積み重ね処理を行うダイインサート(図6では示されない)を含む。
【0198】
図7及び8は、ハウジング700の1つの実施形態の、それぞれ、正面及び断面図を表す。例示された実施形態では、ハウジング700は、ダイインサートを受入れるために構成されているチャンネル705を含む。チャンネル705は、0.356(0.904cm)平方インチであってもよい。ハウジング700は、又、ハウジング700を別のハウジング及び/又はアダプターに結合するために使用されるボルトを受けるために構成されている複数のボルト穴710(図7及び8で数字で示されている唯一のもの)を含む。ハウジング700はステンレススチールで構成されてもよい。
【0199】
図9及び10は、異なる方向での図7及び8で示されたハウジング700の、それぞれ、正面及び断面図を表す。例示された実施形態では、ハウジング700は、又、ハウジング700を別のハウジング及び/又はアダプターに結合するために使用されるボルトを受け且つ固定するためにネジ切りされている複数のボルト穴715(図9及び10で数字で示されている唯一のもの)を含む。
【0200】
図11及び12は、端部ハウジング1100の1つの実施形態の、それぞれ、正面及び断面図を表す。例示された実施形態では、端部ハウジング1100は、ダイインサートを受入れるために構成されているチャンネル1105を含む。チャンネル1105は、0.356(0.904cm)平方インチであってもよい。ハウジング1100は、又、端部ハウジング1100を別のハウジング及び/又はアダプターに結合するために使用されるボルトを受けるために構成されている複数のボルト穴1110(図11及び12で数字で示されている唯一のもの)を含む。端部ハウジング1100は、又、出口ポート1115を含む。端部ハウジング1100はステンレススチールで構成されてもよい。
【0201】
図13は、複数のダイアセンブリー1305及び端部ダイアセンブリー1310を含む複数層ダイアセンブリー1300の部分を表す。複数のダイアセンブリー1305及び端部ダイアセンブリー1310は、1つ又は複数のボルト1315を使用して一緒に固定される。組立てられた場合、ダイアセンブリー1305、1310のチャンネルは、複数層ダイアセンブリー1300を通過する単独チャンネル1320を形成するために並べられる。
【0202】
図14A、14B、及び14Cは、ダイインサート1400の部分の1つの例示的実施形態を表す。図14Aは、ダイインサート1400がダイアセンブリーに装着される場合に、複数層ダイアセンブリーを通るチャンネルの軸に相当する軸に沿って透視的に見たダイインサート1400の部分を表す。図14Bは、ダイインサート1400がダイアセンブリーに装着される場合に、複数層ダイアセンブリーを通るチャンネルの軸に相当する軸に対して垂直な1つの側から透視的に見たダイインサート1400の部分を表す。図14Cは、ダイインサート1400がダイアセンブリーに装着される場合に、図14Bで使用した側とは反対の、複数層ダイアセンブリーを通るチャンネルの軸に相当する軸に対して垂直な側から透視的に見たダイインサート1400の部分を表す。それぞれのダイインサートは、2つの部分1400を含む。
【0203】
図15は、単一ダイインサートを形成するために使用される2つの部分、1500、1505を表す。例示された実施形態では、部分1500、1505のそれぞれは、第1及び第2L−形シート1510、1515,1520、1525を含む。各L−形シート1510、1515は、L−形シート1510、1515、1520、1525の内側コーナー及びL−形シート1510、1515、1520、1525の外側コーナーを形成するためにほぼ直角に交差する2つの脚を有するために形作られる。次いで、一対のL−形シート1510、1515、1520、1525は、これらが、これらのそれぞれの内側コーナーで合致するように互いに垂直に配置される。各L−形シート1510、1515、1520、1525の1つの脚は、脚の先端縁部が別のL−形シートの外側コーナーに隣接するように曲げられ又は角度が付けられる。
【0204】
次いで、ダイインサートは、第1ダイインサート構成部品1500のL−形シート1515の1つの(曲げられていない)脚が、第2ダイインサート構成部品1505のL−形シート1525の1つの(曲げられていない)脚に対して平行に且つ隣接するように、第1及び第2ダイインサート構成部品1500、1505を結合することにより、2つの部分1500、1505から形成されてもよい。第1ダイインサート構成部品1500のL−形シート1510の1つの(曲げられていない)脚は、又、第2ダイインサート構成部品1505のL−形シート1520の1つの(曲げられていない)脚に対して平行に且つ隣接している。図16は、完成したダイインサート1600の1つの例示的実施形態を表す。図17は、ハウジング1700の部分へ挿入された場合の完成したダイインサート1600の例示的実施形態を表す。
【0205】
上で開示された特定の実施形態は例示に過ぎず、従って、本発明は、異なる方法であって、本明細書の教示の利益を有する当業者によっては明らかな均等方法で変更され且つ実施され得る。更に、以下の特許請求の範囲に記載されている以外の、本明細書で示された構成又は設計の詳細に限定をするつもりはない。従って、上で開示された特定の実施形態は変化又は変更されてもよく、全てのそのような変化は本発明の範囲及び精神の内にあるものと見なされることは明白である。従って、本明細書で求められる保護は以下の特許請求の範囲で示される通りである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのポリマー層を含み、これらの少なくとも1つがシリコーン樹脂層であり、前記少なくとも1つのシリコーン樹脂層の厚さが、相当する延性遷移厚さ未満であるシリコーン樹脂フィルムを形成する工程を含む、方法。
【請求項2】
シリコーン樹脂フィルムを形成する工程が、相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する第1シリコーン樹脂層を形成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シリコーン樹脂フィルムを形成する工程が、少なくとも、相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する第2シリコーン樹脂層を形成する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
シリコーン樹脂フィルムを形成する工程が、前記少なくとも2つのシリコーン樹脂層が隣接するようにシリコーン樹脂フィルムを形成する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
シリコーン樹脂フィルムを形成する工程が、第2シリコーン樹脂層への接着を増加させるために前記第1シリコーン樹脂層の少なくとも1つの表面を処理する工程を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第1シリコーン樹脂層の前記少なくとも1つの表面を処理する工程が、前記少なくとも1つの表面を酸素プラズマへ暴露する工程、前記少なくとも1つの表面を紫外線オゾンへ暴露する工程、及び前記少なくとも1つの表面の化学量論を変更する工程の少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
シリコーン樹脂フィルムを形成する工程が、前記2つのシリコーン樹脂層の少なくとも1つに隣接する少なくとも1つの第3層を形成する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第3層を形成する工程が、前記少なくとも1つの第3層が、ゴム粒子、共重合したゴムセグメント、及びシリコーンゴムの少なくとも1つを含むように前記少なくとも1つの第3層を形成する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つのポリマー層の少なくとも1つの層がシリコーンゴムである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つのポリマー層の少なくとも1つの層が有機ポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも2つのポリマー層を層状化することにより形成されるシリコーン樹脂フィルムであって、これらの少なくとも1つがシリコーン樹脂層であり、前記少なくとも1つのシリコーン樹脂層の厚さが、相当する延性遷移厚さ未満である、前記シリコーン樹脂フィルム。
【請求項12】
相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する第1シリコーン樹脂層を形成することにより形成される、請求項11に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項13】
少なくとも、相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する第2シリコーン樹脂層を形成することにより形成される、請求項12に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項14】
互いに隣接する前記少なくとも2つのシリコーン樹脂層を層状化することにより形成される、請求項11に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項15】
前記第2シリコーン樹脂層への接着を増加させるために、前記第1シリコーン樹脂層の少なくとも1つの表面を処理することにより形成される、請求項14に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの表面を酸素プラズマへ暴露すること、前記少なくとも1つの表面を紫外線オゾンへ暴露すること、及び前記少なくとも1つの表面の化学量論を変更することの少なくとも1つにより形成される、請求項15に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項17】
前記少なくとも2つのポリマー層の少なくとも1つに隣接する少なくとも1つの第3層を形成することにより形成される、請求項11に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの第3層が、ゴム粒子、共重合したゴムセメント、及びシリコーンゴムの少なくとも1つを含むように前記少なくとも1つの第3層を形成することにより形成される、請求項17に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項19】
前記少なくとも2つのポリマー層の少なくとも1つの層がシリコーンゴムである、請求項11に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項20】
前記少なくとも2つのポリマー層の少なくとも1つの層が有機ポリマーである、請求項11に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項21】
少なくとも2つのポリマー層を含み、これらの少なくとも1つがシリコーン樹脂層であり、前記少なくとも1つのシリコーン樹脂層の厚さが、相当する延性遷移厚さ未満である、シリコーン樹脂フィルム。
【請求項22】
相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する第1シリコーン樹脂層を含む、請求項21に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項23】
相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する第2シリコーン樹脂層を少なくとも含む、請求項22に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項24】
前記少なくとも2つのシリコーン樹脂層が互いに隣接する、請求項23に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項25】
前記第1シリコーン樹脂層の少なくとも1つの表面が、前記第2シリコーン樹脂層への接着を増加させるために処理されている、請求項24に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項26】
第1シリコーン樹脂層の前記少なくとも1つの表面が、前記少なくとも1つの表面を酸素プラズマへ暴露すること、前記少なくとも1つの表面を紫外線オゾンへ暴露すること、及び前記少なくとも1つの表面の化学量論を変更することの少なくとも1つにより処理されている、請求項25に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項27】
前記少なくとも2つのシリコーン樹脂層の少なくとも1つに隣接する少なくとも1つの第3層を含む、請求項21に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項28】
前記少なくとも1つの第3層が、ゴム粒子、共重合したゴムセメント、及びシリコーンゴムの少なくとも1つを含む、請求項27に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項29】
前記少なくとも2つのポリマー層の少なくとも1つの層がシリコーンゴムである、請求項21に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項30】
前記少なくとも2つのポリマー層の少なくとも1つの層が有機ポリマーである、請求項21に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項31】
第1及び第2L−形シートを含み、各L−形シートが、L−形シートの内側コーナー及びL−形シートの外側コーナーを形成するためにほぼ直角に交差する2つの脚を有し、2つのL−形シートが互いに垂直に配置され、これらのそれぞれの内側コーナーで合致し、各L−形シートの1つの脚が、脚の先端縁部がその他のL−形シートの外側コーナーに隣接するように曲げられている、ダイインサート構成部品。
【請求項32】
第1及び第2ダイインサート構成部品を含み、各ダイインサート構成部品が第1及び第2L−形シートで形成され、各L−形シートが、L−形シートの内側コーナー及びL−形シートの外側コーナーを形成するためにほぼ直角に交差する第1及び第2の脚を有し、第1及び第2L−形シートが互いに垂直に配置され、これらのそれぞれの内側コーナーで合致し、各L−形シートの第1の脚が、脚の先端縁部がその他のL−形シートの外側コーナーに隣接するように曲げられており、
第1及び第2ダイインサート構成部品が、第1ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚が、第2ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚に平行に且つ隣接するように結合されている、ダイインサート。
【請求項33】
互いに隣接して配置された複数のダイインサートを含み、各ダイインサートが、第1及び第2ダイインサート構成部品を含み、各ダイインサート構成部品が、第1及び第2L−形シートで形成され、各L−形シートが、L−形シートの内側コーナー及びL−形シートの外側コーナーを形成するためにほぼ直角に交差する第1及び第2の脚を有し、第1及び第2L−形シートが互いに垂直に配置され、これらのそれぞれの内側コーナーで合致し、各L−形シートの第1の脚が、脚の先端縁部がその他のL−形シートの外側コーナーに隣接するように曲げられており、
第1及び第2ダイインサート構成部品が、第1ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚が、第2ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚に平行に且つ隣接するように結合され、
複数のダイインサートのそれぞれが、第1及び第2ダイインサート構成部品の第1L−形シートの隣接する第2の脚で定義される第1の面に在る軸に沿って配列され、前記軸が、又、第1及び第2ダイインサート構成部品の第2L−形シートの隣接する第2の脚で定義される第2の面に在り、第2の面が第1の面に垂直である、マイクロ層ダイアセンブリー。
【請求項34】
複数のハウジングを含み、各ハウジングが、複数のダイインサートの1つを包含し、ハウジングが、複数のダイインサートが軸に沿って配列されるように互いに隣接して配置されている、請求項33に記載のマイクロ層ダイアセンブリー。
【請求項35】
複数のハウジングの1つに隣接して配置されたアダプターを含み、前記アダプターが、第1及び第2押出しポリマーを受け取り、前記複数のハウジングの1つのダイインサートへ第1及び第2ポリマー層を供給するために構成され、第1及び第2ポリマー層が互いに隣接して、それぞれ、第1及び第2押出しポリマーを含む、請求項33に記載のマイクロ層ダイアセンブリー。
【請求項36】
複数のダイインサートが、第1及び第2押出しポリマーの第1の複数の交互層を含む第1ポリマースタックを受け取り、第1及び第2押出しポリマーの第2の複数の交互層を含む第2ポリマースタックを供給するために軸に沿って配置され、第2の複数の交互層の数が第1の複数の交互層の数の2倍である、請求項35に記載のマイクロ層ダイアセンブリー。
【請求項37】
第1ケイ素含有材料の第1供給源、
第2ケイ素含有材料の第2供給源、及び
それぞれ、第1及び第2供給源から第1及び第2ケイ素含有材料を受け取り、それぞれ、第1及び第2ケイ素含有材料で形成される複数の交互第1及び第2層を含む複数層ポリマースタックを形成するために構成されている複数層ダイアセンブリーを含み、複数層ダイアセンブリーが複数のダイインサートを含み、各ダイインサートが、第1及び第2ケイ素含有材料の第1の複数の交互層を含む第1ポリマースタックを受け取り、第1及び第2ケイ素含有材料の第2の複数の交互層を含む第2ポリマースタックを供給するために構成され、第2の複数の交互層の数が第1の複数の交互層の数の2倍である、システム。
【請求項38】
第1供給源が、第1シリコーン樹脂を供給するための第1単軸スクリュー押出機を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
第2供給源が、第2シリコーン樹脂を供給するための第2単軸スクリュー押出機を含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
第2供給源が、ポリジメチルシロキサンを供給するためのガムポット及びギアポンプを含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
複数層ダイアセンブリーが、互いに隣接して配置された複数のダイインサートを含み、各ダイインサートが第1及び第2ダイインサート構成部品を含み、各ダイインサート構成部品が、第1及び第2L−形シートで形成され、各L−形シートが、L−形シートの内側コーナー及びL−形シートの外側コーナーを形成するためにほぼ直角に交差する第1及び第2の脚を有し、第1及び第2L−形シートが互いに垂直に配置され、これらのそれぞれの内側コーナーで合致し、各L−形シートの第1の脚が、脚の先端縁部がその他のL−形シートの外側コーナーに隣接するように曲げられており、
第1及び第2ダイインサート構成部品が、第1ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚が、第2ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚に平行に且つ隣接するように結合され、
複数のダイインサートのそれぞれが、第1及び第2ダイインサート構成部品の第1L−形シートの隣接する第2の脚で定義される第1の面に在る軸に沿って配列され、前記軸が、又、第1及び第2ダイインサート構成部品の第2L−形シートの隣接する第2の脚で定義される第2の面に在り、第2の面が第1の面に垂直である、請求項37に記載のシステム。
【請求項42】
複数層ダイアセンブリーが、それぞれ、第1及び第2供給源から第1及び第2押出しケイ素含有材料を受け取り、複数のダイインサートの1つへ、第1及び第2ポリマー層を含むポリマースタックを供給するために構成されたアダプターを含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
複数層ダイアセンブリーから複数層ポリマースタックを受け取り、複数層ポリマースタックを冷却するための冷却浴を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項44】
冷却浴から複数層ポリマースタックを受け取り、複数の交互層に対して平行な少なくとも1つの方向で、複数層ポリマースタックの少なくとも1つの寸法を増加させるために複数層ポリマースタックを延伸するためのストランドプラーを含む、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
第1ケイ素含有ポリマー及び第2ポリマーで形成される交互層を含む、複数層化ポリマー材料であって、
前記複数層化ポリマー材料がシステムを使用して形成され、前記システムが、
第1ケイ素含有ポリマーの第1供給源、
第2ポリマーの第2供給源、及び
それぞれ、第1及び第2供給源から第1ケイ素含有ポリマー及び第2ポリマーを受け取り、それぞれ、第1ケイ素含有ポリマー及び第2ポリマーで形成される複数の交互第1及び第2層を含む複数層ポリマースタックを形成するために構成されている複数層ダイアセンブリーを含み、前記複数層ダイアセンブリーが複数のダイインサートを含み、各ダイインサートが、第1ケイ素含有ポリマー及び第2ポリマーの第1の複数の交互層を含む第1ポリマースタックを受け取り、第1ケイ素含有ポリマー及び第2ポリマーの第2の複数の交互層を含む第2ポリマースタックを供給するために構成され、前記第2の複数の交互層の数が前記第1の複数の交互層の数の2倍である、前記複数層化ポリマー材料。
【請求項46】
第1供給源が、第1シリコーン樹脂を供給するための第1単軸スクリュー押出機を含む、請求項45に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項47】
第2供給源が、第2シリコーン樹脂を供給するための第2単軸スクリュー押出機を含む、請求項46に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項48】
第1供給源が、第1シリコーンゴムを供給するための第1単軸スクリュー押出機を含む、請求項45に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項49】
第2供給源が、有機ポリマーを供給するためのガムポット及びギアポンプを含む、請求項48に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項50】
複数層ダイアセンブリーが、互いに隣接して配置された複数のダイインサートを含み、各ダイインサートが第1及び第2ダイインサート構成部品を含み、各ダイインサート構成部品が、第1及び第2L−形シートで形成され、各L−形シートが、L−形シートの内側コーナー及びL−形シートの外側コーナーを形成するためにほぼ直角に交差する第1及び第2の脚を有し、第1及び第2L−形シートが互いに垂直に配置され、これらのそれぞれの内側コーナーで合致し、各L−形シートの第1の脚が、脚の先端縁部がその他のL−形シートの外側コーナーに隣接するように曲げられており、
第1及び第2ダイインサート構成部品が、第1ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚が、第2ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚に平行に且つ隣接するように結合され、
複数のダイインサートのそれぞれが、第1及び第2ダイインサート構成部品の第1L−形シートの隣接する第2の脚で定義される第1の面に在る軸に沿って配列され、前記軸が、又、第1及び第2ダイインサート構成部品の第2L−形シートの隣接する第2の脚で定義される第2の面に在り、第2の面が第1の面に垂直である、請求項45に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項51】
複数層ダイアセンブリーが、それぞれ、第1及び第2供給源から押し出される第1ケイ素含有ポリマー及び第2ポリマーを受け取り、複数のダイインサートの1つへ、第1及び第2ポリマー層を含むポリマースタックを供給するために構成されたアダプターを含む、請求項50に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項52】
システムが、複数層ダイアセンブリーから複数層ポリマースタックを受け取り、複数層ポリマースタックを冷却するための冷却浴を含む、請求項45に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項53】
システムが、冷却浴から複数層ポリマースタックを受け取り、複数の交互層に対して平行な少なくとも1つの方向で、複数層ポリマースタックの少なくとも1つの寸法を増加させるために複数層ポリマースタックを延伸するためのストランドプラーを含む、請求項52に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項1】
少なくとも2つのポリマー層を含み、これらの少なくとも1つがシリコーン樹脂層であり、前記少なくとも1つのシリコーン樹脂層の厚さが、相当する延性遷移厚さ未満であるシリコーン樹脂フィルムを形成する工程を含む、方法。
【請求項2】
シリコーン樹脂フィルムを形成する工程が、相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する第1シリコーン樹脂層を形成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シリコーン樹脂フィルムを形成する工程が、少なくとも、相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する第2シリコーン樹脂層を形成する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
シリコーン樹脂フィルムを形成する工程が、前記少なくとも2つのシリコーン樹脂層が隣接するようにシリコーン樹脂フィルムを形成する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
シリコーン樹脂フィルムを形成する工程が、第2シリコーン樹脂層への接着を増加させるために前記第1シリコーン樹脂層の少なくとも1つの表面を処理する工程を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第1シリコーン樹脂層の前記少なくとも1つの表面を処理する工程が、前記少なくとも1つの表面を酸素プラズマへ暴露する工程、前記少なくとも1つの表面を紫外線オゾンへ暴露する工程、及び前記少なくとも1つの表面の化学量論を変更する工程の少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
シリコーン樹脂フィルムを形成する工程が、前記2つのシリコーン樹脂層の少なくとも1つに隣接する少なくとも1つの第3層を形成する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第3層を形成する工程が、前記少なくとも1つの第3層が、ゴム粒子、共重合したゴムセグメント、及びシリコーンゴムの少なくとも1つを含むように前記少なくとも1つの第3層を形成する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つのポリマー層の少なくとも1つの層がシリコーンゴムである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つのポリマー層の少なくとも1つの層が有機ポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも2つのポリマー層を層状化することにより形成されるシリコーン樹脂フィルムであって、これらの少なくとも1つがシリコーン樹脂層であり、前記少なくとも1つのシリコーン樹脂層の厚さが、相当する延性遷移厚さ未満である、前記シリコーン樹脂フィルム。
【請求項12】
相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する第1シリコーン樹脂層を形成することにより形成される、請求項11に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項13】
少なくとも、相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する第2シリコーン樹脂層を形成することにより形成される、請求項12に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項14】
互いに隣接する前記少なくとも2つのシリコーン樹脂層を層状化することにより形成される、請求項11に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項15】
前記第2シリコーン樹脂層への接着を増加させるために、前記第1シリコーン樹脂層の少なくとも1つの表面を処理することにより形成される、請求項14に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの表面を酸素プラズマへ暴露すること、前記少なくとも1つの表面を紫外線オゾンへ暴露すること、及び前記少なくとも1つの表面の化学量論を変更することの少なくとも1つにより形成される、請求項15に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項17】
前記少なくとも2つのポリマー層の少なくとも1つに隣接する少なくとも1つの第3層を形成することにより形成される、請求項11に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの第3層が、ゴム粒子、共重合したゴムセメント、及びシリコーンゴムの少なくとも1つを含むように前記少なくとも1つの第3層を形成することにより形成される、請求項17に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項19】
前記少なくとも2つのポリマー層の少なくとも1つの層がシリコーンゴムである、請求項11に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項20】
前記少なくとも2つのポリマー層の少なくとも1つの層が有機ポリマーである、請求項11に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項21】
少なくとも2つのポリマー層を含み、これらの少なくとも1つがシリコーン樹脂層であり、前記少なくとも1つのシリコーン樹脂層の厚さが、相当する延性遷移厚さ未満である、シリコーン樹脂フィルム。
【請求項22】
相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する第1シリコーン樹脂層を含む、請求項21に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項23】
相当する延性遷移厚さ未満の厚さを有する第2シリコーン樹脂層を少なくとも含む、請求項22に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項24】
前記少なくとも2つのシリコーン樹脂層が互いに隣接する、請求項23に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項25】
前記第1シリコーン樹脂層の少なくとも1つの表面が、前記第2シリコーン樹脂層への接着を増加させるために処理されている、請求項24に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項26】
第1シリコーン樹脂層の前記少なくとも1つの表面が、前記少なくとも1つの表面を酸素プラズマへ暴露すること、前記少なくとも1つの表面を紫外線オゾンへ暴露すること、及び前記少なくとも1つの表面の化学量論を変更することの少なくとも1つにより処理されている、請求項25に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項27】
前記少なくとも2つのシリコーン樹脂層の少なくとも1つに隣接する少なくとも1つの第3層を含む、請求項21に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項28】
前記少なくとも1つの第3層が、ゴム粒子、共重合したゴムセメント、及びシリコーンゴムの少なくとも1つを含む、請求項27に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項29】
前記少なくとも2つのポリマー層の少なくとも1つの層がシリコーンゴムである、請求項21に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項30】
前記少なくとも2つのポリマー層の少なくとも1つの層が有機ポリマーである、請求項21に記載のシリコーン樹脂フィルム。
【請求項31】
第1及び第2L−形シートを含み、各L−形シートが、L−形シートの内側コーナー及びL−形シートの外側コーナーを形成するためにほぼ直角に交差する2つの脚を有し、2つのL−形シートが互いに垂直に配置され、これらのそれぞれの内側コーナーで合致し、各L−形シートの1つの脚が、脚の先端縁部がその他のL−形シートの外側コーナーに隣接するように曲げられている、ダイインサート構成部品。
【請求項32】
第1及び第2ダイインサート構成部品を含み、各ダイインサート構成部品が第1及び第2L−形シートで形成され、各L−形シートが、L−形シートの内側コーナー及びL−形シートの外側コーナーを形成するためにほぼ直角に交差する第1及び第2の脚を有し、第1及び第2L−形シートが互いに垂直に配置され、これらのそれぞれの内側コーナーで合致し、各L−形シートの第1の脚が、脚の先端縁部がその他のL−形シートの外側コーナーに隣接するように曲げられており、
第1及び第2ダイインサート構成部品が、第1ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚が、第2ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚に平行に且つ隣接するように結合されている、ダイインサート。
【請求項33】
互いに隣接して配置された複数のダイインサートを含み、各ダイインサートが、第1及び第2ダイインサート構成部品を含み、各ダイインサート構成部品が、第1及び第2L−形シートで形成され、各L−形シートが、L−形シートの内側コーナー及びL−形シートの外側コーナーを形成するためにほぼ直角に交差する第1及び第2の脚を有し、第1及び第2L−形シートが互いに垂直に配置され、これらのそれぞれの内側コーナーで合致し、各L−形シートの第1の脚が、脚の先端縁部がその他のL−形シートの外側コーナーに隣接するように曲げられており、
第1及び第2ダイインサート構成部品が、第1ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚が、第2ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚に平行に且つ隣接するように結合され、
複数のダイインサートのそれぞれが、第1及び第2ダイインサート構成部品の第1L−形シートの隣接する第2の脚で定義される第1の面に在る軸に沿って配列され、前記軸が、又、第1及び第2ダイインサート構成部品の第2L−形シートの隣接する第2の脚で定義される第2の面に在り、第2の面が第1の面に垂直である、マイクロ層ダイアセンブリー。
【請求項34】
複数のハウジングを含み、各ハウジングが、複数のダイインサートの1つを包含し、ハウジングが、複数のダイインサートが軸に沿って配列されるように互いに隣接して配置されている、請求項33に記載のマイクロ層ダイアセンブリー。
【請求項35】
複数のハウジングの1つに隣接して配置されたアダプターを含み、前記アダプターが、第1及び第2押出しポリマーを受け取り、前記複数のハウジングの1つのダイインサートへ第1及び第2ポリマー層を供給するために構成され、第1及び第2ポリマー層が互いに隣接して、それぞれ、第1及び第2押出しポリマーを含む、請求項33に記載のマイクロ層ダイアセンブリー。
【請求項36】
複数のダイインサートが、第1及び第2押出しポリマーの第1の複数の交互層を含む第1ポリマースタックを受け取り、第1及び第2押出しポリマーの第2の複数の交互層を含む第2ポリマースタックを供給するために軸に沿って配置され、第2の複数の交互層の数が第1の複数の交互層の数の2倍である、請求項35に記載のマイクロ層ダイアセンブリー。
【請求項37】
第1ケイ素含有材料の第1供給源、
第2ケイ素含有材料の第2供給源、及び
それぞれ、第1及び第2供給源から第1及び第2ケイ素含有材料を受け取り、それぞれ、第1及び第2ケイ素含有材料で形成される複数の交互第1及び第2層を含む複数層ポリマースタックを形成するために構成されている複数層ダイアセンブリーを含み、複数層ダイアセンブリーが複数のダイインサートを含み、各ダイインサートが、第1及び第2ケイ素含有材料の第1の複数の交互層を含む第1ポリマースタックを受け取り、第1及び第2ケイ素含有材料の第2の複数の交互層を含む第2ポリマースタックを供給するために構成され、第2の複数の交互層の数が第1の複数の交互層の数の2倍である、システム。
【請求項38】
第1供給源が、第1シリコーン樹脂を供給するための第1単軸スクリュー押出機を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
第2供給源が、第2シリコーン樹脂を供給するための第2単軸スクリュー押出機を含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
第2供給源が、ポリジメチルシロキサンを供給するためのガムポット及びギアポンプを含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
複数層ダイアセンブリーが、互いに隣接して配置された複数のダイインサートを含み、各ダイインサートが第1及び第2ダイインサート構成部品を含み、各ダイインサート構成部品が、第1及び第2L−形シートで形成され、各L−形シートが、L−形シートの内側コーナー及びL−形シートの外側コーナーを形成するためにほぼ直角に交差する第1及び第2の脚を有し、第1及び第2L−形シートが互いに垂直に配置され、これらのそれぞれの内側コーナーで合致し、各L−形シートの第1の脚が、脚の先端縁部がその他のL−形シートの外側コーナーに隣接するように曲げられており、
第1及び第2ダイインサート構成部品が、第1ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚が、第2ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚に平行に且つ隣接するように結合され、
複数のダイインサートのそれぞれが、第1及び第2ダイインサート構成部品の第1L−形シートの隣接する第2の脚で定義される第1の面に在る軸に沿って配列され、前記軸が、又、第1及び第2ダイインサート構成部品の第2L−形シートの隣接する第2の脚で定義される第2の面に在り、第2の面が第1の面に垂直である、請求項37に記載のシステム。
【請求項42】
複数層ダイアセンブリーが、それぞれ、第1及び第2供給源から第1及び第2押出しケイ素含有材料を受け取り、複数のダイインサートの1つへ、第1及び第2ポリマー層を含むポリマースタックを供給するために構成されたアダプターを含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
複数層ダイアセンブリーから複数層ポリマースタックを受け取り、複数層ポリマースタックを冷却するための冷却浴を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項44】
冷却浴から複数層ポリマースタックを受け取り、複数の交互層に対して平行な少なくとも1つの方向で、複数層ポリマースタックの少なくとも1つの寸法を増加させるために複数層ポリマースタックを延伸するためのストランドプラーを含む、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
第1ケイ素含有ポリマー及び第2ポリマーで形成される交互層を含む、複数層化ポリマー材料であって、
前記複数層化ポリマー材料がシステムを使用して形成され、前記システムが、
第1ケイ素含有ポリマーの第1供給源、
第2ポリマーの第2供給源、及び
それぞれ、第1及び第2供給源から第1ケイ素含有ポリマー及び第2ポリマーを受け取り、それぞれ、第1ケイ素含有ポリマー及び第2ポリマーで形成される複数の交互第1及び第2層を含む複数層ポリマースタックを形成するために構成されている複数層ダイアセンブリーを含み、前記複数層ダイアセンブリーが複数のダイインサートを含み、各ダイインサートが、第1ケイ素含有ポリマー及び第2ポリマーの第1の複数の交互層を含む第1ポリマースタックを受け取り、第1ケイ素含有ポリマー及び第2ポリマーの第2の複数の交互層を含む第2ポリマースタックを供給するために構成され、前記第2の複数の交互層の数が前記第1の複数の交互層の数の2倍である、前記複数層化ポリマー材料。
【請求項46】
第1供給源が、第1シリコーン樹脂を供給するための第1単軸スクリュー押出機を含む、請求項45に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項47】
第2供給源が、第2シリコーン樹脂を供給するための第2単軸スクリュー押出機を含む、請求項46に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項48】
第1供給源が、第1シリコーンゴムを供給するための第1単軸スクリュー押出機を含む、請求項45に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項49】
第2供給源が、有機ポリマーを供給するためのガムポット及びギアポンプを含む、請求項48に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項50】
複数層ダイアセンブリーが、互いに隣接して配置された複数のダイインサートを含み、各ダイインサートが第1及び第2ダイインサート構成部品を含み、各ダイインサート構成部品が、第1及び第2L−形シートで形成され、各L−形シートが、L−形シートの内側コーナー及びL−形シートの外側コーナーを形成するためにほぼ直角に交差する第1及び第2の脚を有し、第1及び第2L−形シートが互いに垂直に配置され、これらのそれぞれの内側コーナーで合致し、各L−形シートの第1の脚が、脚の先端縁部がその他のL−形シートの外側コーナーに隣接するように曲げられており、
第1及び第2ダイインサート構成部品が、第1ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚が、第2ダイインサート構成部品の第1L−形シートの第2の脚に平行に且つ隣接するように結合され、
複数のダイインサートのそれぞれが、第1及び第2ダイインサート構成部品の第1L−形シートの隣接する第2の脚で定義される第1の面に在る軸に沿って配列され、前記軸が、又、第1及び第2ダイインサート構成部品の第2L−形シートの隣接する第2の脚で定義される第2の面に在り、第2の面が第1の面に垂直である、請求項45に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項51】
複数層ダイアセンブリーが、それぞれ、第1及び第2供給源から押し出される第1ケイ素含有ポリマー及び第2ポリマーを受け取り、複数のダイインサートの1つへ、第1及び第2ポリマー層を含むポリマースタックを供給するために構成されたアダプターを含む、請求項50に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項52】
システムが、複数層ダイアセンブリーから複数層ポリマースタックを受け取り、複数層ポリマースタックを冷却するための冷却浴を含む、請求項45に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【請求項53】
システムが、冷却浴から複数層ポリマースタックを受け取り、複数の交互層に対して平行な少なくとも1つの方向で、複数層ポリマースタックの少なくとも1つの寸法を増加させるために複数層ポリマースタックを延伸するためのストランドプラーを含む、請求項52に記載のシステムを使用して形成される複数層化ポリマー材料。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17】
【図1B】
【図1C】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2009−543711(P2009−543711A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514325(P2009−514325)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/013135
【国際公開番号】WO2007/145885
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(505425317)ダウ コーニング コーポレイシヨン (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/013135
【国際公開番号】WO2007/145885
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(505425317)ダウ コーニング コーポレイシヨン (9)
【Fターム(参考)】
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