説明

建具

【課題】 縦枠に指挟み防止用のカバーを別途設けることなく、縦枠と障子間の指挟みによる怪我を防止でき、尚且つ枠のコーナー部からの雨水の浸入や光漏れを防止できる建具の提供。
【解決手段】 枠1と、枠に開閉自在に設けた障子2とを備え、枠は、縦枠3,3と横枠4,5とコーナー部品11,12とを有し、縦枠は、縦タイト材ホルダー6と、縦タイト材ホルダーに取付けた縦タイト材7を有し、横枠は、横タイト材ホルダー8,9と、横タイト材ホルダーに取付けた横タイト材10を有し、縦タイト材ホルダー6は横タイト材ホルダー8,9よりも障子2から離れた位置に位置しており、縦タイト材7は横タイト材10よりも見込み方向の幅が厚いものであり、縦タイト材7と横タイト材10が見込み方向の同一面で障子2に当接しており、コーナー部品11,12は、縦タイト材ホルダー6と横タイト材ホルダー8,9の間に設けてあり、縦タイト材7と横タイト材10をコーナー部品11,12により連続させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアや開き窓等の建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドアや開き窓では、図9,10に示すように、縦枠90と横枠91の見込み方向の同じ位置にタイト材ホルダー92,93が設けられ、障子96の室内側面に当接する縦横のタイト材94,95がこれらタイト材ホルダー92,93に保持して四周連続するように設けてある。従来、縦横のタイト材94,95は同じものを使用しており、そのタイト材は見込み方向の幅の薄いものであったため、障子96を閉める際に障子96の吊元側や戸先側の端部と縦枠90のタイト材ホルダー93との間に指を挟み、怪我をするおそれがあった。タイト材ホルダー92,93の位置を室内側にずらし、見込み方向が厚いタイト材94,95を取付けようとすると、横枠91にドアクローザー97や開き調整器等の金具を取付けるスペースがなくなってしまう。そこで従来は、図10に示すように、縦枠90に指挟み防止用のカバー98を別途取付けたりしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、縦枠に指挟み防止用のカバーを別途設けることなく、縦枠と障子間の指挟みによる怪我を防止でき、尚且つ枠のコーナー部からの雨水の浸入や光漏れを防止できる建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、枠と、枠に開閉自在に設けた障子とを備え、枠は、縦枠と横枠とコーナー部品とを有し、縦枠は、縦タイト材ホルダーと、縦タイト材ホルダーに取付けた縦タイト材を有し、横枠は、横タイト材ホルダーと、横タイト材ホルダーに取付けた横タイト材を有し、縦タイト材ホルダーは横タイト材ホルダーよりも障子から離れた位置に位置しており、縦タイト材は横タイト材よりも見込み方向の幅が厚いものであり、縦タイト材と横タイト材が見込み方向の同一面で障子に当接しており、コーナー部品は、縦タイト材ホルダーと横タイト材ホルダーの間に設けてあり、縦タイト材と横タイト材をコーナー部品により連続させていることを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明による建具は、請求項1記載の発明の構成に加え、コーナー部品は、縦タイト材の内周側見込み面と横タイト材ホルダーの端面間に介在するヒレ片を有することを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明による建具は、請求項1記載の発明の構成に加え、コーナー部品は、縦タイト材ホルダーの端面と横枠の内周側見込み面間に介在するシーラー部と、シーラー部から延出し横タイト材に接続するタイト材接続部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明による建具は、縦タイト材ホルダーを横タイト材ホルダーよりも障子から離れた位置に設け、縦タイト材を横タイト材よりも見込み方向の幅が厚いものとしたので、障子を閉めたときに縦タイト材ホルダーと障子間に指を挟んで怪我をするのを防止できる。横タイト材ホルダーは、障子に近付けて配置できるので、枠の見込み寸法が小さい場合でも、横枠にドアクローザー等の金具を設置するスペースを確保できる。縦タイト材ホルダーと横タイト材ホルダーの間にコーナー部品を設け、縦タイト材と横タイト材をコーナー部品により連続させているので、枠のコーナー部からの雨水の浸入や光漏れを防止できる。
【0008】
請求項2記載の発明による建具は、コーナー部品に、縦タイト材の内周側見込み面と横タイト材ホルダーの端面間に介在するヒレ片を有しているので、横タイト材が伸縮したとしても、縦横タイト材間に隙間が生じず、止水性・気密性を確保できる。
【0009】
請求項3記載の発明による建具は、コーナー部品に、縦タイト材ホルダーの端面と横枠の内周側見込み面間に介在するシーラー部と、シーラー部から延出して横タイト材に接続するタイト材接続部を有しているので、シーラー部により縦タイト材ホルダー端面と横枠の内周側見込み面間からの雨水の浸入や光漏れを防止でき、タイト材接続部により縦タイト材と横タイト材が連続するため、止水性・気密性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】上枠と縦枠との連結部を示す斜視図である。
【図2】上枠と縦枠との連結部の分解斜視図である。
【図3】(a)は上枠と縦枠との連結部を示す縦断面図であり、(b)は同連結部を室外側から見た図であり、(c)は同連結部を下から見た図である。
【図4】下枠と縦枠との連結部を示す斜視図である。
【図5】下枠と縦枠との連結部の分解斜視図である。
【図6】(a)は下枠と縦枠との連結部を示す縦断面図であり、(b)は同連結部を上から見た図であり、(c)は同連結部を室外側から見た図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るドアの縦断面図である。
【図8】同ドアの横断面図である。
【図9】従来のドアの縦断面図である。
【図10】従来のドアの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図7,8は、本発明の建具の一実施形態であって、建物の出入口に設置されるドアを示している。本ドアは、躯体開口部に取付けられるドア枠1と、ドア枠1に開閉自在に取付けた障子2とを備える。
ドア枠1は、上枠4と下枠5と左右の縦枠3,3を四周枠組みして構成してある。障子2は、上框16と下框17と吊元框18と戸先框19とを四周框組みし、その内側にガラスパネル20(複層ガラス)を納めて構成してある。障子2は、図8に示すように、吊元框18を室外側から見て右側の縦枠3に蝶番21により取付けてあり、室外側に回動して開くようになっている。戸先框19には、ハンドル22と錠(図示省略)が設けてある。上枠4と上框16間には、図7に示すように、ドアクローザー23が設けてある。ドア枠1の見込み寸法は70mmである。
【0012】
上枠4は、図7に示すように、障子2の室内側面から約5mm程度離れた位置に、横タイト材ホルダー8が内周側に突出して設けてあり、横タイト材ホルダー8の先端部に室外側に向けて横タイト材10が取付けてある。横タイト材10は、見込み方向の幅が薄いものとなっており、閉鎖した障子2に押されて若干潰れた状態で障子2の室内側面に当接している。上枠4の、横タイト材ホルダー8よりも室内側の内周側見込み面4aには、ドアクローザー23のアームが連結されるプレート24がネジで取付けてある。
【0013】
縦枠3は、図8に示すように、障子2の室内側面から約15mm程度離れた位置に、縦タイト材ホルダー6が内周側に突出して設けてあり、縦タイト材ホルダー6の先端部に室外側に向けて縦タイト材7が取付けてある。縦タイト材7は、中空部7aを有する見込み方向の幅が厚いものとなっており、閉鎖した障子2に押されて若干潰れた状態で障子2の室内側面に当接している。なお、横タイト材10と縦タイト材7は、見込み方向の同一面で障子2に当接している。
このように縦タイト材ホルダー6を障子2の室内側面から室内側に大きく離間して配置し、見込み方向の幅の厚い縦タイト材7を設置したことで、障子2を閉める際に障子2の吊元側や戸先側の端部と縦タイト材ホルダー6の間に指を挟むのを縦タイト材7により防止でき、仮にその間に指を挟んだとしても、縦タイト材7が大きく潰れて指が圧迫されないため、怪我を防止できる。
【0014】
上述のように、縦枠3の縦タイト材ホルダー6の位置を上枠4の横タイト材ホルダー8よりも室内側にずらしたことで、そのままでは横タイト材ホルダー8と縦タイト材ホルダー6の間には隙間ができることになるが、本ドア枠1では図1〜3に示すように、上枠4と縦枠3とのコーナー部内周側にコーナー部品11を設置することによりその隙間を塞ぎ、且つ横タイト材10と縦タイト材7を連続させている。
コーナー部品11は、ゴム製であって、図2に示すように、略ブロック状の基部25と、基部25から内周側に離間して垂下するヒレ片13と、基部25とヒレ片13間に設けた溝部26を有し、溝部26に縦タイト材7の上端部を嵌め込み、且つ縦タイト材7と縦枠3の内周側見込み面3a間に基部25を嵌め込む形で縦枠3に取付けられる。基部25は、縦タイト材ホルダー6の室外側面6aに両面テープで接着され、ヒレ片13は縦タイト材7の内周側見込み面7bに両面テープで接着されている。
上枠4は、横タイト材ホルダー8が長手方向端部から縦タイト材ホルダー6の内周側への突出長さ分だけ切り欠かれており、図1と図3(b)に示すように、横タイト材ホルダー8及び横タイト材10の端面がヒレ片13に当接している。すなわちヒレ片13は、縦タイト材7の内周側見込み面7bと横タイト材ホルダー8の端面間に圧縮された状態で介在しており、これにより横タイト材10が気温の変化に伴って伸縮したとしても、縦横のタイト材7,10間に隙間が生じず、止水性・気密性を確保できる。またコーナー部品11の基部25は、上枠4の内周側見込み面4aと縦枠3の内周側見込み面3aとに密着し、内周側コーナー部からの雨水の浸入や光漏れを防止する。上枠4の端面は、シーラー27を挟んで縦枠3の内周側見込み面3aに突き当てられている。
【0015】
下枠5は、図7に示すように、上枠4の横タイト材ホルダー8と同じ寸法だけ障子2の室内側面から離れた位置に横タイト材ホルダー9が設けてあり、上枠4の横タイト材10と同一の横タイト材10が取付けてある。横タイト材10は、縦枠3の内周側見込み面3aまでのびている。下枠5の室内側の内周側見込み面(上面)5aには室外側に突出した突片28が設けてあり、横タイト材ホルダー9は突片28より5mm程度下に下がった位置に設けてある。そのため、室内側からは横タイト材10が見えず、横タイト材10がカビで汚れても室内側にいる人に不快感を与えず、また下枠上面5aを足で踏んでも横タイト材10に触れないため、横タイト材10の損傷を防止できる。
【0016】
図4〜6に示すように、下枠5と縦枠3とのコーナー部内周側にもコーナー部品12が設置してあり、コーナー部品12により縦タイト材7と横タイト材10を連続させている。コーナー部品12はゴム製で、板状のシーラー部14と、シーラー部14から室外側に延出すると共に下方に垂下したタイト材接続部15を有している。コーナー部品12は、図5に示すように、下枠5の突片28を長手方向の端部から所定の幅だけ切り欠いた上で、シーラー部14の下面を下枠の内周側見込み面5aに両面テープで接着し、タイト材接続部15の室内側面を下枠5の見付け面5bに両面テープで接着して取付けてある。
縦枠3は、縦タイト材ホルダー6を縦枠下端から所定の長さだけ切り欠き、下枠5の端面を縦枠3の内周側見込み面3aにシーラー27を挟んで突き当てている。そうして下枠5と縦枠3を連結すると、図4,6に示すように、縦タイト材ホルダー6及び縦タイト材7の下端面がコーナー部品12の上面に密着し、コーナー部品12のタイト材接続部15の下面が横タイト材10の内周側見込み面10aに当接し、縦タイト材7と横タイト材10が連続する。縦タイト材7と横タイト材10とタイト材接続部15は、見込み方向の同一面で閉鎖した障子2に当接し、雨水の浸入や風の吹き込み等を防止する。また、コーナー部品12のシーラー部14により、縦枠3の縦タイト材ホルダー6の下端面と下枠内周側面5aとのメタルタッチを回避し、両者の突合せ部からの雨水の浸入や光漏れを防止できる。
【0017】
以上に述べたように本ドアは、縦枠3の縦タイト材ホルダー6を障子2から室内側に離して設け、見込み方向の幅の厚い縦タイト材7を取付けたことにより、障子2を閉めたときに障子2の吊元側や戸先側の端部と縦タイト材ホルダー6間に指を挟んで怪我をするのを防止できる。横タイト材ホルダー8,9は障子2に近付けて配置し、横タイト材10は見込み方向の幅の薄いものを用いているので、ドア枠1の見込み寸法が小さい場合でも、上枠4と下枠5の室内側にドアクローザー等の金具(プレート24等)のための水平な取付け面を確保できる。また、上枠4の横タイト材ホルダー8と縦枠3の縦タイト材ホルダー6間、及び下枠5の横タイト材ホルダー9と縦枠3の縦タイト材ホルダー6間にゴム製のコーナー部品11,12を配置し、縦横のタイト材7,10をコーナー部品11,12により連続させたので、コーナー部からの雨水の浸入や光漏れを確実に防止できる。
【0018】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。本発明の建具は、ドアに限らず、開き窓や縦すべり出し窓にも適用できる。障子が室内側に開くようにすることもできる。障子の構成は任意であり、実施形態のような框ドアに限らず、フラッシュドアであってもよい。タイト材とコーナー部品の材質や形状は、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 ドア枠(枠)
2 障子
3 縦枠
4 上枠(横枠)
5 下枠(横枠)
6 縦タイト材ホルダー
7 縦タイト材
7b 縦タイト材の内周側見込み面
8 横タイト材ホルダー(上枠)
9 横タイト材ホルダー(下枠)
10 横タイト材
11,12 コーナー部品
13 ヒレ片
14 シーラー部
15 タイト材接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠と、枠に開閉自在に設けた障子とを備え、枠は、縦枠と横枠とコーナー部品とを有し、縦枠は、縦タイト材ホルダーと、縦タイト材ホルダーに取付けた縦タイト材を有し、横枠は、横タイト材ホルダーと、横タイト材ホルダーに取付けた横タイト材を有し、縦タイト材ホルダーは横タイト材ホルダーよりも障子から離れた位置に位置しており、縦タイト材は横タイト材よりも見込み方向の幅が厚いものであり、縦タイト材と横タイト材が見込み方向の同一面で障子に当接しており、コーナー部品は、縦タイト材ホルダーと横タイト材ホルダーの間に設けてあり、縦タイト材と横タイト材をコーナー部品により連続させていることを特徴とする建具。
【請求項2】
コーナー部品は、縦タイト材の内周側見込み面と横タイト材ホルダーの端面間に介在するヒレ片を有することを特徴とする請求項1記載の建具。
【請求項3】
コーナー部品は、縦タイト材ホルダーの端面と横枠の内周側見込み面間に介在するシーラー部と、シーラー部から延出し横タイト材に接続するタイト材接続部を有することを特徴とする請求項1記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−154147(P2012−154147A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16481(P2011−16481)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】