説明

建設機械の駆動装置

【課題】遊星歯車式でかつプラネタリギヤをスパイダで片持ち支持する構造を前提として、稼動中、プラネタリギヤが潤滑油を掻き分けることによる攪拌抵抗を小さくしてエネルギーロスを低減する。
【解決手段】遊星歯車機構22のスパイダ26のギヤ取付面におけるプラネタリギヤ28…に挟まれるギヤ間部分を、ギヤ取付部分に対して相対的に軸方向に突出にさせることによって凸部34を形成する。この凸部34は、外周面がスパイダ本体35の外周面と一致する円弧状で、プラネタリギヤ28…の軸方向寸法とほぼ同等の高さをもって軸方向に突出し、プラネタリギヤ28…及びサンギヤ24に対向する面がギヤ外周に沿う円弧状であって、かつ、ギヤ外周との間にギヤ回転の妨げとならない隙間βが形成される状態で設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧ショベル等の建設機械において、駆動源としての油圧または電動のモータの回転力を遊星歯車式の減速ユニットで減速して上部旋回体等の被駆動部に伝達する駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ショベルの旋回駆動装置を例にとって背景技術を説明する。
【0003】
ショベルは、クローラ式の下部走行体上に上部旋回体が地面に対して鉛直となる軸のまわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体に作業アタッチメントが取付けられて構成される。
【0004】
このショベルにおいて、上部旋回体を旋回させる旋回駆動装置は、駆動源としての油圧または電動のモータと、このモータの回転力を歯車減速機構により減速して被駆動部である上部旋回体に伝達する減速ユニットとによって構成される。
【0005】
モータと減速ユニットとは、互いの中心軸(モータ軸と減速出力軸)が一致する状態で装置軸方向に並んで設けられ、モータが上となる縦置き姿勢でアッパーフレームに取付けられる。
【0006】
減速ユニットは、サンギヤと複数のプラネタリギヤとリングギヤとを備えた一〜複数段の遊星歯車機構から成り、この減速ユニットの出力が、出力軸に設けられたピニオン、及び下部走行体のロワフレームに設けられた旋回ギヤを介して上部旋回体に伝えられる。
【0007】
また、減速ユニットのケーシング内には潤滑油が注入され、遊星歯車機構等の歯車機構の潤滑と冷却が行われる。
【0008】
このような旋回駆動装置は特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−39990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図8は従来の旋回駆動装置における減速ユニット(遊星歯車機構)の構成を模式的に示したものである。
【0011】
図示しないモータで駆動されるサンギヤ1のまわりに複数(図例では三つ)のプラネタリギヤ2…が配置され、このプラネタリギヤ2…が、サンギヤ1と噛み合ってプラネタリギヤ軸3…を中心に自転回転しつつ、ケーシング内周に形成されたリングギヤ4と噛み合ってモータ軸(サンギヤ軸)5まわりの公転回転を行うことによって減速作用が行われる。
【0012】
各プラネタリギヤ2…は、プラネタリギヤ軸3…の一端側のみが支持される片持ち状態で円板状のスパイダ(キャリアともいう。分かり易くするために斜線を付している)6に取付けられ、このスパイダ6と一体に公転回転を行う。
【0013】
いいかえればプラネタリギヤ2…の公転回転がスパイダ6に伝えられ、このスパイダ6の回転が次段遊星歯車機構または減速出力軸に伝達される。
【0014】
ケーシング内に潤滑油が注入された減速ユニットにおいては、二点鎖線で丸囲いして示す、プラネタリギヤ2…に挟まれたギヤ間部分(空間)に潤滑油が溜まり、プラネタリギヤ2…がこの溜まり油を掻き分けながら回転(公転)するため、稼動中、この掻き分けによる攪拌抵抗が働く。
【0015】
とくに、モータと減速ユニットが上下に並ぶ縦型の駆動装置では、遊星歯車機構が常に潤滑油中に没しているため、この攪拌抵抗が大きく、それによるエネルギーロスが問題となる。
【0016】
また、高速回転する遊星歯車機構、とくに高速段(とりわけ一段目)ほどこのエネルギーロスが大きくなり、これが解決すべき課題となっていた。
【0017】
一方、図9は、各プラネタリギヤ軸3…の両側をスパイダで支持する公知の両持ち構造を示す。
【0018】
この両持ち構造では、間隔を置いて平行に配置した二枚のスパイダベース(片側のみ図示)7を、上記各ギヤ間部分で柱状体8…によって一体に結合してスパイダ9を構成し、このスパイダ9の中空部にサンギヤ1及びプラネタリギヤ2…を収容する。
【0019】
この両持ち構造によると、プラネタリギヤ2…間に柱状体8…があることで、押しのけるべき潤滑油量が少なくなるため、片持ち構造と比較して攪拌抵抗が小さくなる。
【0020】
しかし、この両持ち構造では、スパイダ9が片持ち構造のスパイダ6と比較して格段に重くなり、回転慣性モーメント及び加減速の負荷が増える等の不利点がある。
【0021】
また、プラネタリギヤ2…をスパイダ外周側から挿入して組立てることから、柱状体8,8間にプラネタリギヤ2…の直径以上の間隔αを確保しなければならないため、ギヤ間部分の溜まり油量がなお多くなり、攪拌抵抗の減少には限度がある。
【0022】
これらの点で、攪拌抵抗を小さくするために両持ち構造とするのはエネルギーロス低減の点で得策ではない。
【0023】
そこで本発明は、遊星歯車式の減速ユニットを用い、プラネタリギヤをスパイダで片持ち支持する構造を前提として、稼動中、プラネタリギヤが潤滑油を掻き分けることによる攪拌抵抗を小さくしてエネルギーロスを低減することができる建設機械の駆動装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決する手段として、本発明においては、駆動源としての油圧または電動のモータと、このモータの回転力を減速して被駆動部に伝達する減速ユニットを、互いのモータ軸と減速出力軸の中心が一致する状態で装置軸方向に並んで設け、上記減速ユニットは、サンギヤと複数のプラネタリギヤとリングギヤから成る一乃至複数段の遊星歯車機構によって構成し、上記各プラネタリギヤを、プラネタリギヤ軸の一端側のみが支持される片持ち状態でスパイダに取付け、かつ、上記減速ユニットのケーシング内に潤滑油を注入した建設機械の駆動装置において、上記スパイダを円板状とするとともに、このスパイダのギヤ取付面におけるプラネタリギヤに挟まれるギヤ間部分を、プラネタリギヤが取付けられるギヤ取付部分に対して相対的に軸方向に突出させることによって凸部を設けたものである。
【0025】
この構成によれば、スパイダのギヤ間部分に凸部があることでギヤ間部分の溜まり油量を減少させることができるため、稼動中、プラネタリギヤがこの溜まり油を掻き分けることによる攪拌抵抗を従来の片持ち構造よりも小さくし、エネルギーロスを低減することができる。
【0026】
しかも、スパイダのギヤ取付面のギヤ間部分だけに凸部を設けた構成であるため、両持ち構造のように回転慣性モーメントや加減速の負荷が著しく増加する弊害が生じない。
【0027】
また、プラネタリギヤをスパイダ外周側から組み込む両持ち構造と異なり、プラネタリギヤを軸方向に挿入して組立てることができるため、余分な組立隙間が不要となり、この点でも攪拌抵抗を抑えることができる。
【0028】
本発明において、上記凸部を次の条件下で形成するのが望ましい(請求項2)。
【0029】
(i) 外周面がスパイダ外周面と一致する円弧状であること。
【0030】
(ii) プラネタリギヤの軸方向寸法とほぼ同等の高さをもって軸方向に突出していること。
【0031】
(iii) プラネタリギヤ及びサンギヤに対向する面が両ギヤの外周に沿う円弧状であって、かつ、ギヤ外周との間にギヤ回転の妨げとならない隙間が形成されること。
【0032】
この構成によれば、上記(i)(ii)により凸部がスパイダ本体の外周及びプラネタリギヤの片面からはみ出さず、(iii)によってギヤの回転に必要な隙間を除いた、ギヤ間部分の大部分を凸部で埋めることができるため、攪拌抵抗を減少させる点の効果がとくに顕著となる。
【0033】
また、本発明において、上記凸部を、スパイダ母材からの削り出し等によってスパイダ本体と一体に形成してもよいし(請求項3)、円板状のスパイダ本体のギヤ取付面におけるプラネタリギヤに挟まれるギヤ間部分に、スパイダ本体よりも軽い材料によってスパイダ本体と別体に成形されたブロック材を取付けることによって上記凸部を形成してもよい(請求項4)。
【0034】
前者の構成によれば、凸部がスパイダ本体と一体であるため、遠心力等によって損傷するおそれがない。
【0035】
後者の構成によれば、スパイダ本体とは別体の軽量ブロック材によって凸部を形成するため、回転慣性モーメントや加減速の負荷をさらに小さくし、エネルギーロスの低減効果が高くなる。
【0036】
また、凸部が軽量であるため、高速回転時の遠心力等による損傷を防止する点の効果も高くなる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によると、稼動中の攪拌抵抗によるエネルギーロスを低減し、潤滑油及び歯車の余分な発熱を抑えることができるとともに省エネとなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる旋回駆動装置の一部断面側面図である。
【図2】図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】第1実施形態におけるスパイダと各ギヤの分解斜視図である。
【図4】同、組立斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示す図2相当図である。
【図6】第2実施形態におけるスパイダと各ギヤの分解斜視図である。
【図7】同、組立斜視図である。
【図8】従来の旋回駆動装置における遊星歯車機構の構成を模式的に示す図である。
【図9】従来の両持ち構造によるスパイダとサンギヤ及びプラネタリギヤの取付構造を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
実施形態はショベルの旋回駆動装置を適用対象としている。
【0040】
但し、本発明は下部走行体の走行駆動装置やウィンチの駆動装置等、旋回駆動装置と同様にモータと減速ユニットが、互いのモータ軸と減速出力軸の中心が一致する状態で装置軸方向に並んで設けられ、かつ、減速ユニットのケーシング内に潤滑油が注入される他の駆動装置にも、またショベル以外の建設機械において上記構成を備えた駆動装置にも以下同様に適用することができる。
【0041】
また、以下には本発明の効果がとくに顕著に現れる縦置き型の駆動装置に適用した場合を例にとっているが、本発明はモータと減速ユニットが左右に位置する横置き型の駆動装置にも適用することができる。
【0042】
この旋回駆動装置は、図1に示すように駆動源としての油圧または電動のモータ11と、このモータ11の回転力を減速して被駆動部である上部旋回体に伝達する減速ユニット12とが装置軸方向に並設されて構成される。
【0043】
モータ11はモータハウジング13、減速ユニット12は筒状のケーシング14をそれぞれ備え、モータ11を上にして、互いのモータ軸15と減速出力軸16の中心が装置軸方向(上下方向)に一致する縦置き状態で、モータハウジング13の下端に設けられたフランジ13aとケーシング14とが複数本の連結ボルト17で連結される。
【0044】
減速ユニット12の下端には、減速出力軸16を回転自在に支持する軸受を内部に備えたシャフト支持部18が設けられ、このシャフト支持部18の下部外周に設けられた取付フランジ19が上部旋回体のアッパーフレーム20に取付ボルト21によって取付けられる。
【0045】
減速ユニット12は、ケーシング14内で一〜複数段の遊星歯車機構(図例では二段、以下、この場合で説明する)22,23が同軸上に並設されて構成され、ケーシング14内のほぼ全長範囲に亘って潤滑油が注入される。
【0046】
両遊星歯車機構22,23は、それぞれサンギヤ24,25と、スパイダ26,27を介してこのサンギヤ24,25の周りに設けられた複数のプラネタリギヤ28,29と、ケーシング14の内周に形成されたリングギヤ30から成り、前記のようにプラネタリギヤ28,29がプラネタリギヤ軸31,32まわりに自転しながらモータ軸15を中心とする公転回転を行うことによってモータ回転を減速し、その出力が、減速出力軸16の下端に設けられたピニオン33及びこれと噛み合う旋回歯車(リングギヤ。図示省略)を介して被駆動部であるアッパーフレーム20(上部旋回体)に伝達される。
【0047】
スパイダ26,27は円盤状に形成され、このスパイダ26,27の上面(ギヤ取付面)に各プラネタリギヤ軸31,32が周方向に等間隔置きに取付けられている。
【0048】
すなわち、各プラネタリギヤ28,29はスパイダ26,27によって下側から片持ち支持されている。
【0049】
この旋回駆動装置においては、高速段である第1段(上段)の遊星歯車機構22のスパイダ26の上面におけるプラネタリギヤ28…に挟まれる各ギヤ間部分を、プラネタリギヤ28…が取付けられるギヤ取付部分に対して相対的に軸方向に突出させることによって凸部34…が設けられている。
【0050】
この点を図2〜図4によって詳述する。なお、図1の複雑化を避けるために、凸部34以外のスパイダ構造に関する符号は図2〜図4のみに付している。
【0051】
スパイダ26の母材は従来の片持ち構造におけるスパイダよりも厚肉とされ、このスパイダ母材の片面を切削加工することにより、削り込まれた部分である円板状のスパイダ本体35と、削り出された部分である凸部34…とが一体に形成されている。
【0052】
この凸部34…は次の条件下で形成されている。
【0053】
(I) 外周面がスパイダ本体35の外周面と一致する円弧状であること。つまり、スパイダ外周側にはみ出さないこと。
【0054】
(II) プラネタリギヤ28…の軸方向寸法とほぼ同等の高さをもって軸方向に突出すること。つまり、プラネタリギヤ28…よりも上方に突出しないこと。
【0055】
(III) プラネタリギヤ28…及びサンギヤ24に対向する面が両ギヤの外周に沿う円弧状であって、かつ、ギヤ外周との間にギヤ回転の妨げとならない隙間β(図5参照)が形成されること。いいかえれば、隙間βを除いたギヤ間部分の空間をすべて塞ぐこと。
【0056】
この構成によると、凸部34…を設けることによってギヤ間部分の溜まり油量を著しく減少させることができるため、稼動中、プラネタリギヤ28…がこの溜まり油を掻き分けることによる攪拌抵抗を従来の片持ち構造よりも小さくし、エネルギーロスを低減することができる。
【0057】
この場合、上記(I)(II)により、凸部34…がスパイダ本体35の外周及びプラネタリギヤ28…の片面からはみ出さず、(III)によって各ギヤの回転に必要な隙間βを除いてギヤ間部分の空間を凸部34…で埋める(溜まり油量をごく僅かにできる)ため、攪拌抵抗を減少させる点の効果がとくに顕著となる。
【0058】
しかも、この凸部34…は、スパイダ26のギヤ取付面のギヤ間部分だけに設けているため、両持ち構造のように回転慣性モーメントや加減速の負荷が著しく増加する弊害が生じない。
【0059】
また、プラネタリギヤ28…をスパイダ外周側から組み込む両持ち構造と異なり、図3,4に示すようにプラネタリギヤ28…を軸方向に挿入して組立てることができるため、余分な組立隙間が不要となり、この点でも攪拌抵抗を抑えることができる。
【0060】
さらに、凸部34…を、スパイダ母材からの削り出しによってスパイダ本体35と一体に形成しているため、遠心力等によって凸部34…が損傷するおそれがない。
【0061】
なお、この第1実施形態の変形形態として、スパイダ本体35と凸部34…とを鋳型成形してもよい。
【0062】
第2実施形態(図5〜図7参照)
第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0063】
第2実施形態においては、円板状のスパイダ本体36のギヤ取付面におけるギヤ間部分に、スパイダ本体36よりも軽い材料(たとえばアルミニウムやアルミニウム合金、あるいはプラスチック)によってスパイダ本体36と別体に成形されたブロック材37´(図6のみに符号を付している)を取付けることによって凸部37…が形成されている。
【0064】
この凸部37…に関する取付条件は第1実施形態の(I)〜(III)と同じである。
【0065】
図5,7中、38…はブロック材37´を取付ける複数本(図例では三本)の取付ねじである。
【0066】
この構成によると、凸部37…を軽量にできるため、回転慣性モーメントや加減速の負荷をさらに小さくし、エネルギーロスの低減効果が高くなる。
【0067】
また、凸部37…が軽量であるため、高速回転時の遠心力等による損傷を防止する点の効果も高くなる。
【0068】
なお、凸部37…(ブロック材37´…)は、スパイダ本体36に取付可能であればよく、取外し不能であってもよいため、ねじ止め以外の取付手段を用いてもよい。
【0069】
但し、着脱可能に取付ければ、凸部37…の交換や撤去が可能である等の有利点がある。
【0070】
ところで、上記のスパイダ構造は、第2段遊星歯車機構23にも採用することができる。
【0071】
また、本発明は、減速ユニット12が一段、または三段以上の遊星歯車機構によって構成される場合、及び遊星歯車機構が四つ以上のプラネタリギヤを有する場合(4軸式)にも適用することができる。
【0072】
4軸式の場合、スパイダのギヤ間部分が四個所となるため四つの凸部を設けることになる。
【0073】
さらに、プラネタリギヤがスパイダの下面側に取付けられる場合は、凸部も下面側に設けられる。
【符号の説明】
【0074】
11 モータ
12 減速ユニット
14 減速ユニットのケーシング
15 モータ軸
16 減速出力軸
20 被駆動部としてのアッパーフレーム
22 第1段遊星歯車機構
23 第2段遊星歯車機構
24 第1段遊星歯車機構のサンギヤ
26 同、スパイダ
28 同、プラネタリギヤ
30 同、リングギヤ
31 プラネタリギヤ軸
34 スパイダの凸部
35 スパイダ本体
β 凸部とギヤとの間の隙間
36 スパイダ本体
37 凸部
37´ 凸部を形成するブロック材
38 取付ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源としての油圧または電動のモータと、このモータの回転力を減速して被駆動部に伝達する減速ユニットを、互いのモータ軸と減速出力軸の中心が一致する状態で装置軸方向に並んで設け、上記減速ユニットは、サンギヤと複数のプラネタリギヤとリングギヤから成る一乃至複数段の遊星歯車機構によって構成し、上記各プラネタリギヤを、プラネタリギヤ軸の一端側のみが支持される片持ち状態でスパイダに取付け、かつ、上記減速ユニットのケーシング内に潤滑油を注入した建設機械の駆動装置において、上記スパイダを円板状とするとともに、このスパイダのギヤ取付面におけるプラネタリギヤに挟まれるギヤ間部分を、プラネタリギヤが取付けられるギヤ取付部分に対して相対的に軸方向に突出させることによって凸部を設けたことを特徴とする建設機械の駆動装置。
【請求項2】
上記凸部を次の条件下で形成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の駆動装置。
(i) 外周面がスパイダ外周面と一致する円弧状であること。
(ii) プラネタリギヤの軸方向寸法とほぼ同等の高さをもって軸方向に突出していること。
(iii) プラネタリギヤ及びサンギヤに対向する面が両ギヤの外周に沿う円弧状であって、かつ、ギヤ外周との間にギヤ回転の妨げとならない隙間が形成されること。
【請求項3】
上記凸部を、スパイダ母材からの削り出し等によってスパイダ本体と一体に形成したことを特徴とする請求項1または2記載の建設機械の駆動装置。
【請求項4】
円板状のスパイダ本体のギヤ取付面におけるプラネタリギヤに挟まれるギヤ間部分に、スパイダ本体よりも軽い材料によってスパイダ本体と別体に成形されたブロック材を取付けることによって上記凸部を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の建設機械の駆動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−207693(P2012−207693A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72114(P2011−72114)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】