説明

弁装置および充填装置

【課題】部材の摩耗あるいは破損等を伴うことなく流体の漏洩を防止することが可能な弁装置、およびこのような弁装置を具備する充填装置を提供する。
【解決手段】三方弁100に、収容孔111a、第一流体搬送経路112a、第二流体搬送経路113aおよび第三流体搬送経路114aが形成されるケース110と、収容孔111aに収容された状態で回動することにより流体連通経路146に第一流体搬送経路112aまたは第三流体搬送経路114aのいずれが連通するかを切り替える弁体140と、第一摺動穴147に収容される第一シールプレート150と、弾性変形により第一シールプレート150を外周面141から突出する方向に付勢する第一Oリング171と、第二摺動穴148に収容される第二シールプレート160と、弾性変形により第二シールプレート160を外周面141から突出する方向に付勢する第二Oリング172と、を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を搬送する経路の中途部に設けられ、当該経路を開閉する、あるいは当該経路を切り替える弁装置、およびこのような弁装置を具備する充填装置に関する。
より詳細には、弁装置からの流体の漏洩を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体を所定の容器等に充填する充填装置としては、流体を貯留するタンクと、流体を計量するとともに容器に圧送するシリンダと、液体を容器に注入するためのノズルと、上記タンク、シリンダおよびノズルを接続する搬送経路と、当該搬送経路の中途部に設けられた複数の逆止弁と、を具備するものが知られている。
このような充填装置は、シリンダ内のピストンがシリンダから突出する方向に摺動することにより搬送経路を通じて所定量の流体がタンクからシリンダに吸入され、次いでシリンダ内のピストンがシリンダに没入する方向に摺動することによりシリンダ内に吸入されていた流体を搬送経路およびノズルを通じて所定の容器に充填する。
【0003】
しかし、上記充填装置は、複数種類の比較的粘性が高い流体、あるいは固形分を含む流体を取り扱う場合には逆止弁において流体が詰まり易いため、これらの流体の充填作業に適用することが困難であるという問題を有する。
【0004】
上記問題を解消する充填装置としては、特許文献1および特許文献2に記載の装置が知られている。
【0005】
特許文献1および特許文献2に記載の装置は果物あるいは野菜の天然ジュースの如き繊維質を含む液体を所定の容器に充填する装置であり、実質的には三方弁と、繊維質を含む液体を貯留するタンクと、液体を計量するとともに容器に圧送するシリンダと、液体を容器に注入するためのノズルと、を具備する。
【0006】
特許文献1および特許文献2に記載の装置が具備する三方弁は本体および当該本体に収容された略円柱形状のロータリーバルブからなる。
三方弁の本体には吸入口、吐出口および連通口の三つの開口部が形成され、吸入口はタンクに接続され、吐出口はノズルに接続され、連通口はシリンダーに接続される。
ロータリーバルブには液体移動路が形成され、ロータリーバルブが本体の内部で回動することにより、液体移動路が吸入口と連通口とを連通する状態、または液体移動路が吐出口と連通口とを連通する状態、のいずれかに切り替わる。
特許文献1および特許文献2に記載の装置は、三方弁を液体移動路が吸入口と連通口とを連通する状態に切り替えるとともにシリンダ内のピストンをシリンダから突出する方向に摺動させることによりタンクからシリンダに所定量の液体を吸入し、次いで三方弁を液体移動路が吐出口と連通口とを連通する状態に切り替えるとともにシリンダ内のピストンをシリンダに没入する方向に摺動させることによりシリンダ内に吸入されていた所定量の液体をノズルを介して容器に充填する。
【0007】
特許文献1および特許文献2に記載の如き三方弁を具備する充填装置は、一般に取り扱う流体の粘性が比較的高い場合、あるいは流体に繊維質その他の固体が混入している場合に用いられる。そして、このような充填装置の多くは、流体を貯留するタンクを三方弁の上方に配置するとともに流体が充填される容器を三方弁の下方に配置することにより、流体の自重も利用して流体を圧送する。
【0008】
近年、製造現場において少量多品種生産が一般化し、流体を充填する充填装置においても粘性あるいは固形分の混入の有無が異なる複数種類の流体を同一の充填装置を用いて充填することが求められている。
このような場合、三方弁を具備する充填装置を用いて複数種類の流体を充填する作業が行われるのが一般的であるが、三方弁を具備する充填装置を用いて比較的粘性が低い流体を充填する際に三方弁の本体とロータリーバルブとの隙間に流体が入り込み、ひいては当該流体が外部に漏洩するという問題があった。
このような流体の漏洩は、容器に充填される流体の重量精度の低下、漏洩した流体による周囲の汚染、漏洩した流体を除去(清掃)するための工数(労力)の増大、といった問題を招来する。
【0009】
このような流体の漏洩を防止する装置としては、特許文献3から特許文献5に記載のプラグ弁が知られている。
【0010】
特許文献3から特許文献5に記載のプラグ弁は、いずれもバルブ本体と、プラグ本体と、を具備する。
バルブ本体には、第一の通路および第二の通路が形成されるとともにこれらの通路に交差する開口部が形成される。プラグ本体は略円柱形状の部材であり、バルブ本体に形成された開口部に回動可能に収容される。プラグ本体には連通孔が形成され、プラグ本体が回動することにより第一の通路および第二の通路が連通孔により連通された状態、または第一の通路および第二の通路がプラグ本体により遮断された状態(連通していない状態)、のいずれかに切り替わる。
【0011】
特許文献3および特許文献4に記載のプラグ弁は、第一の通路および第二の通路がプラグ本体により遮断された状態(連通していない状態)にあるときにプラグ弁の外周面において第一の通路および第二の通路に対向する部分にOリングを設けることにより、流体が第一の通路および第二の通路からバルブ本体とプラグ本体との隙間に漏洩することを防止する。
【0012】
特許文献5に記載のプラグ弁は、第一の通路および第二の通路がプラグ本体により遮断された状態(連通していない状態)にあるときにプラグ弁の外周面において第一の通路および第二の通路に対向する部分にシール受け入れ部を形成し、シール受け入れ部にシールリテーナを収容し、シールリテーナとシール受け入れ部との間かつプラグ弁の外周面および開口部の内周面に当接する位置にシール(Oリング)を配置することにより流体が第一の通路および第二の通路からバルブ本体とプラグ本体との隙間に漏洩することを防止する。
【0013】
しかし、特許文献3から特許文献5に記載のプラグ弁は、プラグ本体を回動したときにOリングがバルブ本体の開口部と第一の通路および第二の通路との接続部分のエッジに当接するため、長期間使用すると当該エッジによりOリングが損傷する場合がある。
そして、Oリングが損傷すると、流体の漏洩を防止することができなくなるとともに、Oリングの一部が切り離されて流体に混入するおそれもある。
【特許文献1】特公昭53−22512号公報
【特許文献2】特開昭58−216509号公報
【特許文献3】実開平5−17276号公報
【特許文献4】特開2004−132469号公報
【特許文献5】特開平5−215250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、部材の摩耗あるいは破損等を伴うことなく流体の漏洩を防止することが可能な弁装置、およびこのような弁装置を具備する充填装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0016】
すなわち、請求項1においては、
収容孔、および、一端が前記収容孔の内周面に開口する流体搬送経路が形成されるケース部材と、
少なくとも一端が外周面に開口する流体連通経路が形成され、前記ケース部材の収容孔に収容された状態で回動することにより、前記流体連通経路と前記流体搬送経路とが連通する状態、または、前記流体連通経路と前記流体搬送経路とが連通しない状態、のいずれかに切り替える回動部材と、
実質的に弾性変形しない材料で構成され、前記回動部材の外周面において前記流体連通経路と前記流体搬送経路とが連通しない状態にあるときに前記流体搬送経路に対向する部分に形成された摺動穴に摺動可能に収容されるシール部材と、
前記摺動穴の底面と前記シール部材との間に配置され、前記摺動穴の底面および前記シール部材に当接しつつ弾性変形することにより前記シール部材を前記回動部材の外周面から突出する方向に付勢する付勢部材と、
を具備するものである。
「流体」は流動性を有し、圧力の変化により実質的に体積が変化しない物質を指す。
流体には、液体、液体と固形分(固体状の物質)との混合物等が含まれる。
流体の具体例としては、種々の食品(例えば、果物あるいは野菜の繊維質が含まれるジュース、炭酸飲料、味噌、生クリーム、マーガリン、レトルト食品(カレールウ、シチュー、スープ)等)、化粧品(例えば、ハンドクリーム、リップクリーム、乳液、化粧水等)、医薬品(軟膏剤、クリーム剤等)が挙げられる。
【0017】
請求項2においては、
前記摺動穴は、
前記回動部材に穿設され、前記シール部材が摺動可能に当接する壁面および前記壁面に連なる平滑な底面を有するものである。
【0018】
請求項3においては、
前記付勢部材はOリングである。
「Oリング」は弾性変形し得る材料からなり(弾性変形し得る材料を含み)、リング状に成形される。Oリングを構成する材料の具体例としては、フッ素ゴム(例えば「バイトン(デュポン社の登録商標)」)、ニトリルゴム、スチロールゴム、シリコーンゴム等の樹脂材料が挙げられる。
【0019】
請求項4においては、
前記シール部材において前記摺動穴の底面に対向する部分には前記Oリングを係合する係合溝が形成されるものである。
【0020】
請求項5においては、
前記流体搬送経路における前記収容孔の内周面側の開口部の形状、および前記シール部材において前記流体搬送経路に対向する面の形状を前記収容孔に収容された回動部材の軸線方向に延びた長円形とするものである。
【0021】
請求項6においては、
前記シール部材において前記流体搬送経路に対向する面は、前記収容孔の内周面と同じ曲率を有するものである。
【0022】
請求項7においては、
流体を収容するタンクと、
前記タンクに収容された流体を吸入し、吸入した流体から所定量の流体を吐出する計量シリンダと、
前記計量シリンダにより吐出された流体を所定の容器に注入するノズルと、
前記タンクと前記計量シリンダとが連通するとともに前記ノズルと前記計量シリンダとが遮断された状態、または前記タンクと前記計量シリンダとが遮断されるとともに前記ノズルと前記計量シリンダとが連通する状態、のいずれかに切り替える弁装置と、
を具備し、
前記弁装置は、
収容孔、一端が前記収容孔の内周面に開口するとともに他端が前記タンクに連通する第一流体搬送経路、一端が前記収容孔の内周面に開口するとともに他端が前記計量シリンダに連通する第二流体搬送経路、および一端が前記収容孔の内周面に開口するとともに他端が前記ノズルに連通する第三流体搬送経路が形成されるケース部材と、
両端が外周面において互いに異なる位置に開口する流体連通経路が形成され、前記ケース部材の収容孔に収容された状態で回動することにより、前記流体連通経路を介して前記第一流体搬送経路と前記第二流体搬送経路とが連通するとともに前記第三流体搬送経路が閉塞される状態、または、前記流体連通経路を介して前記第二流体搬送経路と前記第三流体搬送経路とが連通するとともに前記第一流体搬送経路が閉塞される状態、のいずれかに切り替える回動部材と、
実質的に弾性変形しない材料で構成され、前記回動部材の外周面において前記流体連通経路を介して前記第一流体搬送経路と前記第二流体搬送経路とが連通するときに前記第三流体搬送経路に対向する部分に形成された第一摺動穴に摺動可能に収容される第一シール部材と、
実質的に弾性変形しない材料で構成され、前記回動部材の外周面において前記流体連通経路を介して前記第二流体搬送経路と前記第三流体搬送経路とが連通するときに前記第一流体搬送経路に対向する部分に形成された第二摺動穴に摺動可能に収容される第二シール部材と、
前記第一摺動穴の第一底面と前記第一シール部材との間に配置され、前記第一摺動穴の第一底面および前記第一シール部材に当接しつつ弾性変形することにより前記第一シール部材を前記回動部材の外周面から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
前記第二摺動穴の第二底面と前記第二シール部材との間に配置され、前記第二摺動穴の第二底面および前記第二シール部材に当接しつつ弾性変形することにより前記第二シール部材を前記回動部材の外周面から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備するものである。
「流体」は流動性を有し、圧力の変化により実質的に体積が変化しない物質を指す。
流体には、液体、液体と固形分(固体状の物質)との混合物等が含まれる。
流体の具体例としては、種々の食品(例えば、果物あるいは野菜の繊維質が含まれるジュース、炭酸飲料、味噌、生クリーム、マーガリン、レトルト食品(カレールウ、シチュー、スープ)等)、化粧品(例えば、ハンドクリーム、リップクリーム、乳液、化粧水等)、医薬品(軟膏剤、クリーム剤等)が挙げられる。
【0023】
請求項8においては、
前記第一摺動穴は、
前記回動部材に穿設され、前記第一シール部材が摺動可能に当接する第一壁面および前記第一壁面に連なる平滑な前記第一底面を有し、
前記第二摺動穴は、
前記回動部材に穿設され、前記第二シール部材が摺動可能に当接する第二壁面および前記第二壁面に連なる平滑な前記第二底面を有するものである。
【0024】
請求項9においては、
前記第一付勢部材および前記第二付勢部材はいずれもOリングである。
「Oリング」は弾性変形し得る材料からなり(弾性変形し得る材料を含み)、リング状に成形される。Oリングを構成する材料の具体例としては、フッ素ゴム(例えば「バイトン(デュポン社の登録商標)」)、ニトリルゴム、スチロールゴム、シリコーンゴム等の樹脂材料が挙げられる。
【0025】
請求項10においては、
前記第一シール部材において前記第一摺動穴の第一底面に対向する部分には前記Oリングを係合する第一係合溝が形成され、前記第二シール部材において前記第二摺動穴の第二底面に対向する部分には前記Oリングを係合する第二係合溝が形成されるものである。
【0026】
請求項11においては、
前記第一流体搬送経路における前記収容孔の内周面側の開口部の形状、前記第二流体搬送経路における前記収容孔の内周面側の開口部の形状、前記第三流体搬送経路における前記収容孔の内周面側の開口部の形状、前記第一シール部材において前記第三流体搬送経路に対向する面の形状、および前記第二シール部材において前記第一流体搬送経路に対向する面の形状をいずれも前記収容孔に収容された回動部材の軸線方向に延びた長円形とするものである。
【0027】
請求項12においては、
前記第一シール部材において前記第三流体搬送経路に対向する面、および前記第二シール部材において前記第一流体搬送経路に対向する面は、いずれも前記収容孔の内周面と同じ曲率を有するものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、部材の摩耗あるいは破損等を伴うことなく流体の漏洩を防止することが可能である、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下では、図1から図7を用いて本発明に係る弁装置の第一実施例である三方弁100を構成する各部材について説明する。
図1に示す如く、三方弁100は主としてケース110、カバー120、蝶ネジ131・132・133・134、弁体140、第一シールプレート150、第二シールプレート160、第一Oリング171、第二Oリング172、第三Oリング173、第四Oリング174を具備する。
なお、以下では、便宜上三方弁100の姿勢(向き)を固定し、重力が作用する方向を「下方」、重力が作用する方向の逆方向を「上方」として「上下方向」を定義し、上下方向に対して直交する方向として「前後方向」を定義し、上下方向および前後方向に対して直交する方向として「左右方向」を定義し、これらの方向を用いて説明を行う。
【0030】
ケース110は本発明に係るケース部材の実施の一形態であり、弁体140を収容する部材である。
図1、図6および図7に示す如く、ケース110は主としてケース本体部111、第一フランジ部112、第二フランジ部113および第三フランジ部114を具備する。
【0031】
ケース本体部111はケース110の主たる構造体を成す略円筒形状の部材である。
図6に示す如く、ケース本体部111には一方の端面から他方の端面まで貫通する収容孔111aが形成される。収容孔111aの長手方向は左右方向に一致する。
【0032】
第一フランジ部112、第二フランジ部113および第三フランジ部114は三方弁100を介して流体の搬送を行う他の部材(例えば、配管、タンク、シリンダ等)を着脱可能に連結する部材である。
図1および図6に示す如く、第一フランジ部112はケース本体部111の外周面における上部に固定され、第二フランジ部113はケース本体部111の外周面における後部に固定され、第三フランジ部114はケース本体部111の外周面における下部に固定される。
【0033】
第一フランジ部112は円筒形状の部材である。図6に示す如く、第一フランジ部112の基端部(下端部)はケース本体部111の外周面に固定される。第一フランジ部112の先端部(上端部)にはフランジが形成される。第一フランジ部112には第一フランジ部112の基端部から先端部まで貫通する第一流体搬送経路112aが形成される。
【0034】
第一流体搬送経路112aは本発明に係る流体搬送経路(第一流体搬送経路)の実施の一形態であり、三方弁100の内部において流体を搬送するための経路である。図6に示す如く、第一流体搬送経路112aの一端(第一フランジ部112の基端部側の端部)はケース本体部111に形成された収容孔111aの内周面に開口する。第一流体搬送経路112aの他端(第一フランジ部112の先端部側の端部)は、第一フランジ部112に他の部材が連結されていないときには外部に開口する。
【0035】
第二フランジ部113は円筒形状の部材である。図6に示す如く、第二フランジ部113の基端部(前端部)はケース本体部111の外周面に固定される。第二フランジ部113の先端部(後端部)にはフランジが形成される。第二フランジ部113には第二フランジ部113の基端部から先端部まで貫通する第二流体搬送経路113aが形成される。
【0036】
第二流体搬送経路113aは本発明に係る第二流体搬送経路の実施の一形態であり、三方弁100の内部において流体を搬送するための経路である。図6に示す如く、第二流体搬送経路113aの一端(第二フランジ部113の基端部側の端部)はケース本体部111に形成された収容孔111aの内周面に開口する。第二流体搬送経路113aの他端(第二フランジ部113の先端部側の端部)は、第二フランジ部113に他の部材が連結されていないときには外部に開口する。
【0037】
第三フランジ部114は円筒形状の部材である。図6に示す如く、第三フランジ部114の基端部(上端部)はケース本体部111の外周面に固定される。第三フランジ部114の先端部(下端部)にはフランジが形成される。第三フランジ部114には第三フランジ部114の基端部から先端部まで貫通する第三流体搬送経路114aが形成される。
【0038】
第三流体搬送経路114aは本発明に係る流体搬送経路(第三流体搬送経路)の実施の一形態であり、三方弁100の内部において流体を搬送するための経路である。図6に示す如く、第三流体搬送経路114aの一端(第三フランジ部114の基端部側の端部)はケース本体部111に形成された収容孔111aの内周面に開口する。第三流体搬送経路114aの他端(第三フランジ部114の先端部側の端部)は、第三フランジ部114に他の部材が連結されていないときには外部に開口する。
【0039】
図1に示す如く、カバー120は略円盤形状の部材であり、ケース110に形成された収容孔111aの一方の開口部(左端の開口部)を閉塞する。
【0040】
蝶ネジ131・132・133・134はカバー120をケース110に着脱可能に固定するための部材である。図1に示す如く、蝶ネジ131・132・133・134はカバー120に形成された貫通孔に貫装されるとともにケース110の一端(左端面)に形成されたネジ孔に螺装される。
【0041】
弁体140は本発明に係る回動部材の実施の一形態である。
本実施形態では、弁体140はポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketon)で構成される。ポリエーテルエーテルケトンはエンジニアリングプラスチックの一種であり、耐摩耗性に優れる樹脂材料である。弁体140を構成する材料としてポリエーテルエーテルケトンを用いた場合、三方弁100の使用環境下において弁体140が実質的に弾性変形することがない(使用環境下において弁体140に作用する外力による弾性変形量が十分小さく、弾性変形しないとみなすことが可能である)。
図1および図2に示す如く、弁体140は外周面141および一対の端面142・143を有する略円柱形状の部材であり、ケース110の収容孔111aに収容される。弁体140の外周面141は収容孔111aの内周面に当接し、弁体140はケース110の収容孔111aに収容された状態で回動することが可能である。
図2に示す如く、弁体140の外周面141の右端部(端面143寄りの端部)には弁体140の外周面141の周方向に沿ってリング状の溝144が形成される。図2および図4に示す如く、弁体140の端面143には嵌合穴145が形成される。
【0042】
図2および図3に示す如く、弁体140には流体連通経路146が形成される。流体連通経路146は本発明に係る流体連通経路の実施の一形態である。
流体連通経路146はケース110に形成された第一流体搬送経路112aと第二流体搬送経路113aとを連通する経路としての機能と、ケース110に形成された第二流体搬送経路113aと第三流体搬送経路114aとを連通する経路としての機能と、を兼ねる。
流体連通経路146の一端は弁体140の外周面141に開口して第一開口部146aを成し、流体連通経路146の他端は弁体140の外周面141において第一開口部146aと異なる位置に開口して第二開口部146bを成す。図2に示す如く、第一開口部146aおよび第二開口部146bの形状はいずれも弁体140の軸線方向(弁体140が回動するときの回転軸の長手方向を指し、本実施形態では左右方向に一致する)に延びた長円形(長方形の対向する辺にそれぞれ半円を繋いだ形状)であり、その形状および断面積が同じである。
図3に示す如く、流体連通経路146は左側面視で略L字型に屈曲しており、第二開口部146bは弁体140の外周面141において第一開口部146aが形成される位置に対して左側面視で時計回りに90°位相がずれた位置に形成される。
【0043】
図2および図3に示す如く、弁体140には第一摺動穴147が穿設される(機械加工(切削加工)を施すことにより形成される)。第一摺動穴147は本発明に係る摺動穴(第一摺動穴)の実施の一形態である。
第一摺動穴147は第一壁面147aおよび第一底面147bを有する。言い換えれば、弁体140に形成された第一壁面147aおよび第一底面147bにより囲まれる窪みとして第一摺動穴147が形成される。
第一壁面147aはその一端が外周面141に連なり、外周面141に対して切り立った角度を成す面である。
第一底面147bは第一壁面147aの他端(外周面141に連なる端部の反対側の端部)に連なり、第一摺動穴147の底を成す面である。
図3に示す如く、第一摺動穴147は弁体140の外周面141において第二開口部146bが形成される位置に対して左側面視で時計回りに90°位相がずれた位置(第一開口部146aが形成される位置に対して左側面視で時計回りに180°位相がずれた位置)に形成される。
【0044】
図2および図3に示す如く、弁体140には第二摺動穴148が穿設される(機械加工(切削加工)を施すことにより形成される)。第二摺動穴148は本発明に係る摺動穴(第二摺動穴)の実施の一形態である。
第二摺動穴148は第二壁面148aおよび第二底面148bを有する。言い換えれば、弁体140に形成された第二壁面148aおよび第二底面148bにより囲まれる窪みとして第二摺動穴148が形成される。
第二壁面148aはその一端が外周面141に連なり、外周面141に対して切り立った角度を成す面である。
第二底面148bは第二壁面148aの他端(外周面141に連なる端部の反対側の端部)に連なり、第二摺動穴148の底を成す面である。
図3に示す如く、第二摺動穴148は弁体140の外周面141において第二開口部146bが形成される位置に対して左側面視で時計回りに180°位相がずれた位置(第一開口部146aが形成される位置に対して左側面視で時計回りに270°位相がずれた位置、言い換えれば第一摺動穴147が形成される位置に対して左側面視で時計回りに90°位相がずれた位置)に形成される。
【0045】
第一シールプレート150は本発明に係るシール部材(第一シール部材)の実施の一形態である。
第一シールプレート150はポリエーテルエーテルケトンで構成され、三方弁100の使用環境下において実質的に弾性変形しない。
図5に示す如く、第一シールプレート150はシール面151、端面152、底面153を有する板状の部材である。シール面151および底面153の形状は長円形である。
第一シールプレート150の底面153には第一係合溝154が形成される。第一係合溝154は本発明に係る係合溝(第一係合溝)の実施の一形態である。第一係合溝154の形状は底面153の形状に沿った長円形である。
【0046】
第二シールプレート160は本発明に係るシール部材(第二シール部材)の実施の一形態である。本実施形態では、第二シールプレート160の材質および形状は、それぞれ第一シールプレート150の材質および形状と同じである。
すなわち、第二シールプレート160はポリエーテルエーテルケトンで構成され、三方弁100の使用環境下において実質的に弾性変形しない。
図5に示す如く、第二シールプレート160はシール面161、端面162、底面163を有する板状の部材である。シール面161および底面163の形状は長円形である。
第二シールプレート160の底面163には第二係合溝164が形成される。第二係合溝164は本発明に係る係合溝(第二係合溝)の実施の一形態である。第二係合溝164の形状は底面163の形状に沿った長円形である。
【0047】
第一Oリング171は本発明に係る付勢部材(第一付勢部材)の実施の一形態である。
第一Oリング171はフッ素ゴムからなるリング状の部材であり、弾性変形することが可能である。第一Oリング171は第一シールプレート150の第一係合溝154に係合する(図6参照)。
【0048】
第二Oリング172は本発明に係る付勢部材(第一付勢部材)の実施の一形態である。本実施形態では、第二Oリング172の材質および形状は、それぞれ第一Oリング171の材質および形状と同じである。
すなわち、第二Oリング172はフッ素ゴムからなるリング状の部材であり、弾性変形することが可能である。第二Oリング172は第二シールプレート160の第二係合溝164に係合する(図6参照)。
【0049】
第三Oリング173および第四Oリング174はフッ素ゴムからなるリング状の部材であり、弾性変形することが可能である。
【0050】
以下では、図1、図2、図5および図6を用いて三方弁100の組み立て手順について説明する。三方弁100は以下の(1)〜(7)の手順で組み立てられる。
【0051】
(1)第三Oリング173が弁体140の溝144に係合される。
図2に示す如く、溝144の深さは第三Oリング173の断面の直径よりも小さいので、弾性変形していない状態における第三Oリング173は弁体140の外周面141から外部に向かって(弁体140の軸線方向に対して垂直な方向、すなわち弁体140の半径方向に)突出する。
【0052】
(2)第一Oリング171が第一シールプレート150の第一係合溝154に係合される。
図5に示す如く、第一係合溝154の深さは第一Oリング171の断面の直径よりも小さいので、弾性変形していない状態における第一Oリング171は底面153から外部に向かって(底面153に垂直な方向に)突出する。
【0053】
(3)第二Oリング172が第二シールプレート160の第二係合溝164に係合される。
図5に示す如く、第二係合溝164の深さは第二Oリング172の断面の直径よりも小さいので、弾性変形していない状態における第二Oリング172は底面163から外部に向かって(底面163に垂直な方向に)突出する。
【0054】
(4)第一シールプレート150が弁体140の第一摺動穴147に収容される。
図2に示す如く、第一摺動穴147の形状は第一シールプレート150のシール面151および底面153の形状と略同じ形状(長円形)である。
従って、第一シールプレート150の端面152が第一摺動穴147の第一壁面147aに当接した状態を保持しつつ、第一シールプレート150が弁体140の半径方向(第一摺動穴147から突出する方向および第一摺動穴147に没入する方向)に摺動することが可能である。
また、第一シールプレート150が弁体140の第一摺動穴147に収容されたとき、第一シールプレート150の第一係合溝154に係合された第一Oリング171は、第一摺動穴147の第一底面147bと第一シールプレート150との間に配置されるとともに第一摺動穴147の第一底面147bおよび第一シールプレート150に当接する(図6参照)。
【0055】
(5)第二シールプレート160が弁体140の第二摺動穴148に収容される。
第二摺動穴148の形状は第一摺動穴147の形状と同じであり、第二シールプレート160のシール面161および底面163の形状と略同じ形状(長円形)である。
従って、第二シールプレート160の端面122が第二摺動穴148の第二壁面148aに当接した状態を保持しつつ、第二シールプレート160が弁体140の半径方向(第二摺動穴148から突出する方向および第二摺動穴148に没入する方向)に摺動することが可能である。
また、第二シールプレート160が弁体140の第二摺動穴148に収容されたとき、第二シールプレート160の第二係合溝164に係合された第二Oリング172は、第二摺動穴148の第二底面148bと第二シールプレート160との間に配置されるとともに第二摺動穴148の第二底面148bおよび第二シールプレート160に当接する(図6参照)。
【0056】
(6)弁体140、第一シールプレート150、第二シールプレート160、第一Oリング171、第二Oリング172および第三Oリング173を合わせたものがケース110の収容孔111aに収容される。
このとき、弁体140の溝144に係合された第三Oリング173は弾性変形した状態で収容孔111aの内周面に当接する。その結果、収容孔111aの右端部から流体が漏洩することが防止される。
また、第一シールプレート150のシール面151は収容孔111aの内周面に当接し、第一シールプレート150は弁体140(第一摺動穴147)に没入する方向に摺動し、第一摺動穴147の第一底面147bと第一シールプレート150との間に配置される第一Oリング171は弾性変形する。
その結果、第一シールプレート150は、第一Oリング171の弾性力(第一Oリング171が弾性変形した形状から元の形状に戻ろうとする力)により、収容孔111aの内周面に向かって(弁体140の外周面141から突出する方向に)付勢されることとなる。
なお、シール面151は弁体140の外周面141と同じ曲率を有する曲面であり、弁体140の外周面141の曲率と収容孔111aの内周面の曲率とは同じであることから、シール面151は全面にわたって収容孔111aの内周面に当接する。
同様に、第二シールプレート160のシール面161は収容孔111aの内周面に当接し、第二シールプレート160は弁体140(第二摺動穴148)に没入する方向に摺動し、第二摺動穴148の第二底面148bと第二シールプレート160との間に配置される第二Oリング172は弾性変形する。
その結果、第二シールプレート160は、第二Oリング172の弾性力(第二Oリング172が弾性変形した形状から元の形状に戻ろうとする力)により、収容孔111aの内周面に向かって(弁体140の外周面141から突出する方向に)付勢されることとなる。
なお、シール面161は弁体140の外周面141と同じ曲率を有する曲面であり、弁体140の外周面141の曲率と収容孔111aの内周面の曲率とは同じであることから、シール面161は全面にわたって収容孔111aの内周面に当接する。
【0057】
(7)カバー120がケース110の左端部に固定される。
このとき、第四Oリング174がカバー120とケース110との間に介装され、蝶ネジ131・132・133・134により締め付けられる。
その結果、第四Oリング174は弾性変形した状態でカバー120およびケース110に当接するので、収容孔111aの左端部から流体が漏洩することが防止される。
このようにして、三方弁100が組み立てられる。
【0058】
以下では、図6および図7を用いて三方弁100の動作について説明する。
三方弁100は、ケース110の収容孔111aに収容された弁体140が回動することにより、(α)流体連通経路146を介して第一流体搬送経路112aと第二流体搬送経路113aとが連通するとともに第三流体搬送経路114aが閉塞される状態(図6参照)、または、(β)流体連通経路146を介して第二流体搬送経路113aと第三流体搬送経路114aとが連通するとともに第一流体搬送経路112aが閉塞される状態(図7参照)、のいずれかに切り替わる。
【0059】
図6に示す如く、(α)流体連通経路146を介して第一流体搬送経路112aと第二流体搬送経路113aとが連通するとともに第三流体搬送経路114aが閉塞される状態にあるとき、第一摺動穴147および第一摺動穴147に収容された第一シールプレート150は、第三流体搬送経路114a、より厳密には第三流体搬送経路114aにおける収容孔111aの内周面側の開口部に対向する。
【0060】
ここで、第一流体搬送経路112a、第二流体搬送経路113aおよび第三流体搬送経路114aの形状は、弁体140に形成された流体連通経路146の第一開口部146aおよび第二開口部146bと同じ形状(長円形)であり、かつ同じ断面積である。
また、第一シールプレート150のシール面151および第二シールプレート160のシール面161は、その形状がいずれも長円形であり、その面積が第一流体搬送経路112a、第二流体搬送経路113aおよび第三流体搬送経路114aの断面積よりも大きい。
【0061】
第一シールプレート150が第三流体搬送経路114aにおける収容孔111aの内周面側の開口部に対向するとき、第三流体搬送経路114aにおける収容孔111aの内周面側の開口部は全面にわたって第一シールプレート150のシール面151に覆われ、かつ、シール面151の周縁部が「収容孔111aの内周面のうち、第三流体搬送経路114aにおける収容孔111aの内周面側の開口部の周縁を成す部分」に密着する(第一Oリング171により所定の大きさの力で押しつけられた状態で当接する)。
その結果、仮に第一流体搬送経路112aから流体連通経路146を経て第二流体搬送経路113aに搬送される(あるいは第二流体搬送経路113aから流体連通経路146を経て第一流体搬送経路112aに搬送される)流体の一部が弁体140の外周面141とケース110の収容孔111aの内周面との隙間に浸入したとしても、当該液体が第三流体搬送経路114aを通って三方弁100の外部、あるいは第三流体搬送経路114aに連結される他の部材等に向かって漏洩することは無い。
【0062】
図7に示す如く、(β)流体連通経路146を介して第二流体搬送経路113aと第三流体搬送経路114aとが連通するとともに第一流体搬送経路112aが閉塞される状態にあるとき、第二摺動穴148および第二摺動穴148に収容された第二シールプレート160は、第一流体搬送経路112a、より厳密には第一流体搬送経路112aにおける収容孔111aの内周面側の開口部に対向する。
【0063】
第二シールプレート160が第一流体搬送経路112aにおける収容孔111aの内周面側の開口部に対向するとき、第一流体搬送経路112aにおける収容孔111aの内周面側の開口部は全面にわたって第二シールプレート160のシール面161に覆われ、かつ、シール面161の周縁部が「収容孔111aの内周面のうち、第一流体搬送経路112aにおける収容孔111aの内周面側の開口部の周縁を成す部分」に密着する(第二Oリング172により所定の大きさの力で押しつけられた状態で当接する)。
その結果、仮に第二流体搬送経路113aから流体連通経路146を経て第三流体搬送経路114aに搬送される(あるいは第三流体搬送経路114aから流体連通経路146を経て第二流体搬送経路113aに搬送される)流体の一部が弁体140の外周面141とケース110の収容孔111aの内周面との隙間に浸入したとしても、当該液体が第一流体搬送経路112aを通って三方弁100の外部、あるいは第一流体搬送経路112aに連結される他の部材等に向かって漏洩することは無い。
【0064】
以上の如く、三方弁100は、
収容孔111a、一端が外周面141に開口する第一流体搬送経路112a、一端が外周面141に開口する第二流体搬送経路113a、および一端が外周面141に開口する第三流体搬送経路114aが形成されるケース110と、
両端がそれぞれ外周面141に開口する流体連通経路146が形成され、ケース110の収容孔111aに収容された状態で回動することにより、流体連通経路146と第一流体搬送経路112aとが連通する状態(流体連通経路146と第三流体搬送経路114aとが連通しない状態)、または、流体連通経路146と第一流体搬送経路112aとが連通しない状態(流体連通経路146と第三流体搬送経路114aとが連通する状態)、のいずれかに切り替える弁体140と、
実質的に弾性変形しない材料で構成され、弁体140の外周面141において流体連通経路146と第三流体搬送経路114aとが連通しない状態にあるときに第三流体搬送経路114aに対向する部分に形成された第一摺動穴147に摺動可能に収容される第一シールプレート150と、
第一摺動穴147の第一底面147bと第一シールプレート150との間に配置され、第一摺動穴147の第一底面147bおよび第一シールプレート150に当接しつつ弾性変形することにより第一シールプレート150を弁体140の外周面141から突出する方向に付勢する第一Oリング171と、
実質的に弾性変形しない材料で構成され、弁体140の外周面141において流体連通経路146と第一流体搬送経路112aとが連通しない状態にあるときに第一流体搬送経路112aに対向する部分に形成された第二摺動穴148に摺動可能に収容される第二シールプレート160と、
第二摺動穴148の第二底面148bと第二シールプレート160との間に配置され、第二摺動穴148の第二底面148bおよび第二シールプレート160に当接しつつ弾性変形することにより第二シールプレート160を弁体140の外周面141から突出する方向に付勢する第二Oリング172と、
を具備する。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、三方弁100は、流体連通経路146を介して第一流体搬送経路112aと第二流体搬送経路113aとが連通するときには第一シールプレート150により第三流体搬送経路114aを確実に閉塞することが可能であり、かつ、流体連通経路146を介して第三流体搬送経路114aと第二流体搬送経路113aとが連通するときには第二シールプレート160により第一流体搬送経路112aを確実に閉塞することが可能である。
従って、三方弁100の内部を通って流体が搬送されるときに流体が弁体140の外周面141とケース110の収容孔111aの内周面との間に浸入しても、当該隙間に浸入した流体は第一シールプレート150あるいは第二シールプレート160により閉塞された経路を通じて漏洩することが無い。
特に、流体の粘性が比較的低い場合には弁体140の外周面141とケース110の収容孔111aの内周面との間に流体が浸入し易いが、このような場合でも流体の漏洩を効果的に防止することが可能である。
また、三方弁100は、第一シールプレート150および第二シールプレート160が実質的に弾性変形しない材料(本実施形態では、ポリエーテルエーテルケトン)で構成され、従来の弾性変形することによりシールするシール材(Oリング等)に比べて摩耗、破損が起こりにくいので、第一シールプレート150および第二シールプレート160の一部が摩耗あるいは破損し、これが流体に混入するといった事態を防止することが可能である。
【0065】
また、三方弁100の弁体140に形成される第一摺動穴147は、
弁体140に穿設され、第一シールプレート150(の端面152)が摺動可能に当接する第一壁面147aおよび第一壁面147aに連なる平滑な第一底面147bを有し、
三方弁100の弁体140に形成される第二摺動穴148は、
弁体140に穿設され、第二シールプレート160(の端面162)が摺動可能に当接する第二壁面148aおよび第二壁面148aに連なる平滑な第二底面148bを有する。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、第一摺動穴147を囲む面である第一壁面147aおよび第一底面147bは単純な形状であるため、弁体140に第一摺動穴147を穿設することは容易である。
同様に、第二摺動穴148を囲む面である第二壁面148aおよび第二底面148bは単純な形状であるため、弁体140に第二摺動穴148を穿設することは容易である。
結果として、弁体140の製造コスト、ひいては三方弁100の製造コストの削減に寄与する。
【0066】
また、三方弁100において第一シールプレート150を付勢する部材が第一Oリング171であり、第二シールプレート160を付勢する部材が第二Oリング172である。
このように構成することにより、第一シールプレート150と第一Oリング171とを合わせたもの、および第二シールプレート160と第二Oリング172とを合わせたものの外形を薄くすることが可能であり、ひいてはこれらを弁体140における限られたスペースに(流体連通経路146に干渉することなく)配置することが可能である。
また、Oリングは一般に安価かつ市販品の調達が容易である。従って、Oリングを新品に交換することは容易であり、メンテナンス性に優れる。
【0067】
また、本実施形態では、第一シールプレート150において第一摺動穴147の第一底面147bに対向する部分(本実施形態では、底面153)には第一Oリング171を係合する第一係合溝154が形成され、第二シールプレート160において第二摺動穴148の第二底面148bに対向する部分(本実施形態では、底面163)には第二Oリング172を係合する第二係合溝164が形成される。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、仮に第一シールプレート150の底面153に第一係合溝154を形成せずに第一シールプレート150の底面153と第一摺動穴147の第一底面147aとで挟まれる空間に第一Oリング171を配置した場合、第一Oリング171が第一シールプレート150の底面153と第一摺動穴147の第一底面147aとの間で挟まれる空間内で偏った位置に移動し、その結果、弁体140に対する第一シールプレート150の摺動が滑らかに行われず、第一シールプレート150のシール面151が収容孔111aの内周面に均一に当接しない場合が起こり得る。
これに対して、本実施形態では、第一シールプレート150の底面153に第一係合溝154を形成し、第一係合溝154に第一Oリング171を係合することにより、第一シールプレート150の底面153と第一摺動穴147の第一底面147bとで挟まれる空間における第一Oリング171の配置の偏りを防止することが可能であり、ひいては第一シールプレート150のシール面151を収容孔111aの内周面(収容孔111aの内周面のうち、第三流体搬送経路114aにおける収容孔111aの内周面側の開口部の周縁を成す部分)に均等に当接させることが可能である。
同様に、第二シールプレート160の底面163に第二係合溝164を形成し、第二係合溝164に第二Oリング172を係合することにより、第二シールプレート160の底面163と第二摺動穴148の第二底面148bとで挟まれる空間における第二Oリング172の配置の偏りを防止することが可能であり、ひいては第二シールプレート160のシール面161を収容孔111aの内周面(収容孔111aの内周面のうち、第三流体搬送経路114aにおける収容孔111aの内周面側の開口部の周縁を成す部分)に均等に当接させることが可能である。
従って、流体の漏洩をより効果的に防止することが可能である。
【0068】
また、三方弁100は、
第一流体搬送経路112a、第二流体搬送経路113aおよび第三流体搬送経路114aにおける収容孔111aの内周面側の開口部の形状、並びに第一シールプレート150において第三流体搬送経路114aに対向する面(本実施形態では、シール面151)および第二シールプレート160において第一流体搬送経路112aに対向する面(本実施形態では、シール面161)の形状を収容孔111aに収容された弁体140の軸線方向に延びた長円形とする。
このように構成することにより、第一流体搬送経路112a、第二流体搬送経路113aおよび第三流体搬送経路114aの断面積を(単なる円形とした場合よりも軸線方向に延びた分だけ)大きく設定することが可能であり、特に流体の粘性が比較的高い場合にその搬送が容易となる(圧損が小さい)。
また、弁体140が収容孔111aに収容された状態で回動すると、第一シールプレート150および第二シールプレート160が第一流体搬送経路112a、第二流体搬送経路113aおよび第三流体搬送経路114aにおける収容孔111aの内周面側の開口部のエッジに当接しつつ摺動することとなるが、第一シールプレート150および第二シールプレート160の形状を長円形とすることにより、第一シールプレート150および第二シールプレート160の摩耗あるいは破損等を抑えることが可能である。
【0069】
また、三方弁100は、
第一シールプレート150において第三流体搬送経路114aに対向する面(シール面151)および第二シールプレート160において第一流体搬送経路112aに対向する面(シール面161)は、弁体140の外周面141、ひいては収容孔111aの内周面と同じ曲率を有する。
このように構成することにより、シール面151を「収容孔111aの内周面のうち、第三流体搬送経路114aにおける収容孔111aの内周面側の開口部の周縁を成す部分」に密着させることが可能であり、流体の漏洩を効果的に防止することが可能である。
同様に、シール面161を「収容孔111aの内周面のうち、第一流体搬送経路112aにおける収容孔111aの内周面側の開口部の周縁を成す部分」に密着させることが可能であり、流体の漏洩を効果的に防止することが可能である。
【0070】
本実施形態では弁体140には一つの流体連通経路146が形成されるが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係る弁装置は、流体搬送経路および流体連通経路の数あるいは組み合わせによっては、一つの回動部材に複数の流体連通経路が形成されても良い。
【0071】
本実施形態の三方弁100は二つのシール部材(第一シールプレート150および第二シールプレート160)を具備するが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係る弁装置は、流体搬送経路および流体連通経路の数あるいは組み合わせによっては、一つのシール部材を具備しても良く、三つ以上のシール部材を具備しても良い。
【0072】
本実施形態では流体連通経路146の両端(第一開口部146aおよび第二開口部146b)がいずれも弁体140の外周面141に開口するが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、流体連通経路の一端が回動部材の外周面に開口し、他端が回動部材の一対の端面のいずれかに開口しても良い(流体連通経路の少なくとも一端が回動部材の外周面に開口すれば良い)。
【0073】
本実施形態の三方弁100は計三つの流体搬送経路(第一流体搬送経路112a、第二流体搬送経路113aおよび第三流体搬送経路114a)を有するが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係る弁装置は、二つの流体搬送経路を有する弁装置(例えば、開閉弁)でも良く、四つ以上の流体搬送経路を有する弁装置であっても良い。
【0074】
以下では、図8から図11を用いて本発明に係る充填装置の実施の一形態である充填装置1について説明する。
充填装置1は流体を所定の容器に充填する装置である。
図8から図11に示す如く、充填装置1は主としてフレーム10、タンク20、三方弁100、三方弁駆動機構30、計量シリンダ40、シリンダ駆動機構50、ノズル60および制御ユニット70を具備する。
【0075】
充填装置1が具備する三方弁100は先に図1から図7を用いて説明したものである。
以下の説明では図8から図11における三方弁100に対する上下方向、前後方向および左右方向と、図1から図7における三方弁100に対する上下方向、前後方向および左右方向と、を一致させて説明する。
【0076】
フレーム10は充填装置1の主たる構造体を成す部材であり、充填装置1を構成する他の部材がフレーム10に取り付けられる。
図8から図10に示す如く、フレーム10は上部フレーム11、下部フレーム12およびベースプレート13を具備する。
【0077】
上部フレーム11はフレーム10の上半部を成す箱状の部材である。上部フレーム11の前面には後述する操作パネル72が固定される。
【0078】
下部フレーム12はフレーム10の下半部を成す箱状の部材であり、上部フレーム11の下部に固定される。下部フレーム12には後述する制御装置71、および充填装置1を構成する各部材のうち電力を要するものに電力を供給する電源盤(不図示)が収容される。
【0079】
ベースプレート13はフレーム10の最下部を成す略長方形の板状の部材であり、下部フレーム12の下部に固定される。図9に示す如く、ベースプレート13の四隅には貫通孔が形成される。ベースプレート13の四隅に形成された貫通孔にボルトを貫装し、当該ボルトを締結することにより、ベースプレート13、ひいては充填装置1を地面、床面、他の構造物等に固定することが可能である。
【0080】
タンク20は本発明に係るタンクの実施の一形態であり、充填装置1が取り扱う流体を収容する容器である。タンク20はタンク本体21および蓋22を具備する。
【0081】
タンク本体21はその外形が頂点が下方を向いた略円錐の上に円柱を積層した形状の部材である。タンク本体21の上面にはタンク本体21の内部に流体を収容するための開口部が形成され、タンク本体21の下端部にはタンク本体21の内部に収容された流体を取り出すための開口部が形成される。
【0082】
蓋22はタンク本体21の上面の開口部を閉じる部材であり、タンク本体21の上部にヒンジを介して回動可能に固定される。
【0083】
三方弁100は、(a)タンク20と計量シリンダ40とが連通するとともにノズル60と計量シリンダ40とが遮断された(ノズル60と計量シリンダ40とが連通しない)状態、または、(b)タンク20と計量シリンダ40とが遮断される(タンク20と計量シリンダ40とが連通しない)とともにノズル60と計量シリンダ40とが連通する状態、のいずれかの状態に切り替える。
三方弁100は上部フレーム11の左側面前部に固定される。三方弁100の上方にはタンク20が配置され、三方弁100の後方には計量シリンダ40が配置され、三方弁100の下方にはノズル60が配置される。
三方弁100の第一フランジ部112にはタンク20が着脱可能に連結され、第一流体搬送経路112aの他端(第一フランジ部112の先端部側の端部)はタンク20(の内部空間)に連通する。
【0084】
三方弁駆動機構30は三方弁100を駆動する(三方弁100を上記(a)または(b)の状態に切り替える)ものである。三方弁駆動機構30は上部フレーム11に収容される。
図11に示す如く、三方弁駆動機構30は主として回動軸31、回動アーム32、三方弁駆動シリンダ33および切替弁34を具備する。
【0085】
回動軸31は円柱形状の部材であり、上部フレーム11に回動可能に軸支される。上部フレーム11に回動可能に軸支された回動軸31の軸線方向は左右方向に一致する。回動軸31の一端が三方弁100の弁体140に形成された嵌合穴145(図2、図4参照)に嵌装されることにより、回動軸31は相対回動不能に固定される。
【0086】
回動アーム32は棒状の部材であり、その一端は回動軸31の他端に固定される。回動軸31の他端に固定された回動アーム32の長手方向は回動軸31の軸線方向に直交する。
【0087】
三方弁駆動シリンダ33は三方弁100を駆動するための空圧式アクチュエータである。
図11に示す如く、三方弁駆動シリンダ33はシリンダ本体33aおよびシリンダロッド33bを具備する。
【0088】
シリンダ本体33aは略円筒形状の部材であり、シリンダ本体33aの基端部は上部フレーム11に回動可能に枢着される。
【0089】
シリンダロッド33bは一端にピストンが形成された棒状の部材であり、シリンダロッド33bの一端はシリンダ本体33aに挿入され、シリンダロッド33bの他端はシリンダ本体33aの先端部から突出する。シリンダロッド33bの一端に形成されたピストンはシリンダ本体33aの内周面に気密的かつ摺動可能に当接する。シリンダロッド33bの他端は回動アーム32の他端に回動可能に枢着される。
三方弁駆動シリンダ33は上部フレーム11の内部において、その長手方向(伸長・収縮方向)が略前後方向となるように配置される。
【0090】
切替弁34は三方弁駆動シリンダ33の動作を切り替えるための電磁弁である。
切替弁34は(A)シリンダ本体33aの内部空間において基端部寄りとなる部分に圧縮空気を供給する状態、または(B)シリンダ本体33aの内部空間において先端部寄りとなる部分に圧縮空気を供給する状態、のいずれかに切り替える。
【0091】
切替弁34が(A)シリンダ本体33aの内部空間において基端部寄りとなる部分に圧縮空気を供給する状態に切り替わると、三方弁駆動シリンダ33は伸長する。
本実施形態では、三方弁駆動シリンダ33が伸長すると、回動アーム32が回動軸31を中心に左側面視で反時計回りに回動し(図8参照)、三方弁100は(a)タンク20と計量シリンダ40とが連通するとともにノズル60と計量シリンダ40とが遮断された状態(図6に示す(α)流体連通経路146を介して第一流体搬送経路112aと第二流体搬送経路113aとが連通するとともに第三流体搬送経路114aが閉塞される状態)に切り替わる。
【0092】
切替弁34が(B)シリンダ本体33aの内部空間において先端部寄りとなる部分に圧縮空気を供給する状態に切り替わると、三方弁駆動シリンダ33は収縮する。
本実施形態では、三方弁駆動シリンダ33が収縮すると、回動アーム32が回動軸31を中心に左側面視で時計回りに回動し、三方弁100は(b)タンク20と計量シリンダ40とが遮断されるとともにノズル60と計量シリンダ40とが連通する状態(図7に示す(β)流体連通経路146を介して第二流体搬送経路113aと第三流体搬送経路114aとが連通するとともに第一流体搬送経路112aが閉塞される状態)に切り替わる。
【0093】
計量シリンダ40は本発明に係る計量シリンダの実施の一形態であり、タンク20に収容された流体を吸入し、吸入した流体から所定量(所定体積、ひいては所定重量)の流体を(計量して)吐出するものである。計量シリンダ40はシリンダ本体41およびシリンダロッド42を具備する。
【0094】
シリンダ本体41は略円筒形状の部材であり、ステー14(図9参照)を介して上部フレーム11に固定される。また、シリンダ本体41の基端部(前端部)は三方弁100の後部(第二フランジ部113)に着脱可能に連結され、第二流体搬送経路113aの他端(第二フランジ部113の先端部側の端部)は計量シリンダ40(シリンダ本体41の内部空間)に連通する。上部フレーム11に固定されたシリンダ本体41の長手方向は前後方向に一致する。
【0095】
シリンダロッド42は一端(前端部)にピストンが形成された棒状の部材であり、シリンダロッド42の一端はシリンダ本体41に挿入され、シリンダロッド42の他端(後端部)はシリンダ本体41の先端部(後端部)から突出する。シリンダロッド42の一端に形成されたピストンは、シリンダ本体41の内周面に液密的かつ摺動可能に当接する。
【0096】
シリンダ駆動機構50は計量シリンダ40を駆動するものである。シリンダ駆動機構50は上部フレーム11に収容される。シリンダ駆動機構50はシリンダ駆動モータ51、ボールネジ52およびスライドブロック53を具備する。
【0097】
シリンダ駆動モータ51は計量シリンダ40を動作させる(シリンダロッド42を摺動させる)ための駆動源である。シリンダ駆動モータ51はその回転量(回転角度)を制御することが可能な電気式のモータ(本実施形態では、サーボモータ)である。シリンダ駆動モータ51は上部フレーム11の内部における後端部に固定され、シリンダ駆動モータ51の駆動軸は前方に突出する。
【0098】
ボールネジ52は外周面に雄ネジ(右ネジ)が形成された棒状の部材である。ボールネジ52の両端は上部フレーム11に回転可能に軸支される。上部フレーム11に回転可能に軸支されたボールネジ52の軸線方向(長手方向)は前後方向に一致する。ボールネジ52の一端(後端部)にはシリンダ駆動モータ51の駆動軸が相対回転不能に固定される。
【0099】
スライドブロック53は直方体形状の部材である。スライドブロック53の一端(右端部)には貫通孔が形成され、当該貫通孔の内周面には雌ネジ(右ネジ)が形成される。ボールネジ52がスライドブロック53の一端に形成された貫通孔に貫装されることにより、スライドブロック53はボールネジ52に螺合する。
スライドブロック53の他端(左端部)は上部フレーム11の左側面に形成された溝11a(図8参照)を通じて上部フレーム11の外部に突出する。スライドブロック53の他端はシリンダロッド42の他端(後端部)に回動可能に枢着される。
【0100】
ノズル60は本発明に係るノズルの実施の一形態であり、計量シリンダ40により吐出された流体を所定の容器(不図示)に注入するものである。
本実施形態のノズル60は細長い筒状の部材であり、ノズル60の一端(基端部)は三方弁100の第三フランジ部114に着脱可能に連結され、第三流体搬送経路114aの他端(第三フランジ部114の先端部側の端部)はノズル60(の内部空間)に連通する。ノズル60の他端(先端部)は下方を向いている。
【0101】
以下では、制御ユニット70について説明する。
図11に示す如く、制御ユニット70は制御装置71および操作パネル72を具備する。
【0102】
制御装置71は充填装置1の動作を制御する装置である。
図8および図10に示す如く、制御装置71は下部フレーム12の内部に収容される。
【0103】
制御装置71は充填装置1の動作を制御するためのプログラム等を格納することができ、これらのプログラム等を展開することができ、これらのプログラム等に従って所定の演算を行うことができ、当該演算の結果等を記憶することができる。
【0104】
制御装置71は、実体的には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read−Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等がバスで相互に接続される構成であっても良く、あるいはワンチップのLSI(Large Scale Integration;大規模集積回路)等からなる構成であっても良い。
本実施形態における制御装置71は専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム等を格納したもので達成することも可能である。
【0105】
図11に示す如く、制御装置71は三方弁駆動機構30の切替弁34に接続される。
制御装置71は、切替弁34に信号を送信することにより三方弁駆動シリンダ33の動作(伸長または収縮)を切り替え、ひいては三方弁100を(a)タンク20と計量シリンダ40とが連通するとともにノズル60と計量シリンダ40とが遮断された状態、または、(b)タンク20と計量シリンダ40とが遮断されるとともにノズル60と計量シリンダ40とが連通する状態、のいずれかの状態に切り替えることが可能である。
【0106】
図11に示す如く、制御装置71はシリンダ駆動モータ51に接続される。
制御装置71は、シリンダ駆動モータ51に信号を送信することにより、計量シリンダ40のシリンダロッド42の摺動方向および摺動量、ひいては、タンク20から計量シリンダ40に吸入される流体の体積(重量)、および計量シリンダ40からノズル60を経て吐出される流体の体積(重量)を制御することが可能である。
【0107】
操作パネル72は、制御装置71に充填装置1の動作に係る種々の情報あるいは指示等を入力する「入力装置」としての機能と、制御装置71への入力内容あるいは充填装置1の動作状況等を表示する「表示装置」としての機能と、を兼ねるものである。
図10に示す如く、操作パネル72は上部フレーム11の前面に取り付けられる。
操作パネル72には入力ボタン72a・72a・・・、吸入ボタン72b、吐出ボタン72c、および液晶パネル72dが設けられる。
【0108】
入力ボタン72a・72a・・・は作業者が種々の情報、設定等を入力するために操作する(押す)ボタンである。
吸入ボタン72bは作業者が制御装置71に「吸入作業」を行う旨の指令を入力するために操作する(押す)ボタンである。「吸入作業」の詳細は後述する。
吐出ボタン72cは作業者が制御装置71に「吐出作業」を行う旨の指令を入力するために操作する(押す)ボタンである。「吐出作業」の詳細は後述する。
液晶パネル72dは制御装置71への入力内容、充填装置1の動作状況等を表示するものである。
【0109】
図11に示す如く、操作パネル72は制御装置71に接続され、作業者が操作パネル72(入力ボタン72a・72a・・・)を操作することにより入力した情報、設定等を制御装置71に送信することが可能である。また、操作パネル72(液晶パネル72d)は制御装置71が生成した充填装置1の動作状況に係る情報を受信(取得)して表示することが可能である。
【0110】
本実施形態の充填装置1は操作パネル72を用いて制御装置71への情報等の入力および情報等の表示を行う構成としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、操作パネルに代えてタッチパネルを用いても良い。また、市販のキーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、スイッチ等を用いて制御装置に情報等の入力を行い、市販の液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)やCRTディスプレイ(Cathode Ray Tube Display)等を用いて情報等の表示を行う構成としても良い。
また、本実施形態は一つの制御装置71により充填装置1の動作全般を制御するが、本発明はこれに限定されず、例えば動作するアクチュエータごとに当該アクチュエータの動作を制御するための制御装置を設け、これら複数の制御装置が連携することにより充填装置の動作を制御しても良い。
【0111】
以下では、制御装置71による充填装置1の動作制御について説明する。
制御装置71による充填装置1の動作制御には、詳細には「吸入作業」を行うための動作制御および「吐出作業」を行うための動作制御が含まれる。
【0112】
以下では、「吸入作業」について説明する。「吸入作業」はタンク20に収容されている流体の一部を計量シリンダ40に吸入する作業を指す。
作業者が操作パネル72の吸入ボタン72bを押すことにより、吸入ボタン72bが押されたことを示す信号が生成され、当該信号が制御装置71に送信される。
制御装置71は、吸入ボタン72bが押されたことを示す信号を受信した場合には、「吸入作業」を開始する。
【0113】
まず、制御装置71は切替弁34に(A)シリンダ本体33aの内部空間において基端部寄りとなる部分に圧縮空気を供給する状態に切り替える旨の信号を送信する(図11参照)。
その結果、切替弁34は(A)シリンダ本体33aの内部空間において基端部寄りとなる部分に圧縮空気を供給する状態に切り替わり、三方弁駆動シリンダ33は伸長し、三方弁100は(a)タンク20と計量シリンダ40とが連通するとともにノズル60と計量シリンダ40とが遮断された状態に切り替わる。
【0114】
次に、制御装置71はシリンダ駆動モータ51にシリンダ駆動モータ51の駆動軸を正面視で反時計回りに回転させる旨の信号を送信する。
制御装置71からの信号を受信したシリンダ駆動モータ51は、シリンダ駆動モータ51の駆動軸を正面視で反時計回りに回転させる。
その結果、シリンダ駆動モータ51の駆動軸に相対回転不能に固定されたボールネジ52はシリンダ駆動モータ51の駆動軸と一体的に正面視で反時計回りに回転し、ボールネジ52に螺合しているスライドブロック53は後方に移動し、スライドブロック53に固定されたシリンダロッド42はスライドブロック53と一体的に後方に移動し、タンク20に収容されていた流体の一部が三方弁100を通って計量シリンダ40(より厳密には、シリンダ本体41の内部空間)に吸入される。
【0115】
以下では、「吐出作業」について説明する。「吐出作業」は計量シリンダ40に吸入された流体の一部を所定重量だけ(計量して)吐出する作業を指す。
作業者が操作パネル72の吐出ボタン72cを押すことにより、吐出ボタン72cが押されたことを示す信号が生成され、当該信号が制御装置71に送信される。
制御装置71は、吐出ボタン72cが押されたことを示す信号を受信した場合には、「吐出作業」を開始する。
【0116】
まず、制御装置71は切替弁34に(B)シリンダ本体33aの内部空間において先端部寄りとなる部分に圧縮空気を供給する状態に切り替える旨の信号を送信する(図11参照)。
その結果、切替弁34は(B)シリンダ本体33aの内部空間において先端部寄りとなる部分に圧縮空気を供給する状態に切り替わり、三方弁駆動シリンダ33は収縮し、三方弁100は(b)タンク20と計量シリンダ40とが遮断されるとともにノズル60と計量シリンダ40とが連通する状態に切り替わる。
【0117】
次に、制御装置71はシリンダ駆動モータ51にシリンダ駆動モータ51の駆動軸を正面視で時計回りに所定の回転量(回転角度)だけ回転させる旨の信号を送信する。
制御装置71からの信号を受信したシリンダ駆動モータ51は、シリンダ駆動モータ51の駆動軸を正面視で時計回りに所定の回転量(回転角度)だけ回転させる。
その結果、シリンダ駆動モータ51の駆動軸に相対回転不能に固定されたボールネジ52はシリンダ駆動モータ51の駆動軸と一体的に正面視で時計回りに所定の回転量(回転角度)だけ回転し、ボールネジ52に螺合しているスライドブロック53は所定距離だけ前方に移動し、スライドブロック53に固定されたシリンダロッド42はスライドブロック53と一体的に所定距離だけ前方に移動し、タンク20に収容されていた流体の一部が計量シリンダ40(より厳密には、シリンダ本体41の内部空間)から所定体積だけ、ひいては所定重量だけ吐出され、三方弁100およびノズル60を通って所定の容器に注入される。
【0118】
以上の如く、充填装置1は、
流体を収容するタンク20と、
タンク20に収容された流体を吸入し、吸入した流体から所定重量の流体を吐出する計量シリンダ40と、
計量シリンダ40により吐出された流体を所定の容器に注入するノズル60と、
タンク20と計量シリンダ40とが連通するとともにノズル60と計量シリンダ40とが遮断された状態、またはタンク20と計量シリンダ40とが遮断されるとともにノズル60と計量シリンダ40とが連通する状態、のいずれかに切り替える三方弁100と、
を具備し、
三方弁100は、
収容孔111a、一端が収容孔111aの内周面に開口するとともに他端がタンク20に連通する第一流体搬送経路112a、一端が収容孔111aの内周面に開口するとともに他端が計量シリンダ40に連通する第二流体搬送経路113a、および一端が収容孔111aの内周面に開口するとともに他端がノズル60に連通する第三流体搬送経路114aが形成されるケース110と、
両端が外周面141において互いに異なる位置に開口する流体連通経路146が形成され、ケース110の収容孔111aに収容された状態で回動することにより、流体連通経路146を介して第一流体搬送経路112aと第二流体搬送経路113aとが連通するとともに第三流体搬送経路114aが閉塞される状態、または、流体連通経路146を介して第二流体搬送経路113aと第三流体搬送経路114aとが連通するとともに第一流体搬送経路112aが閉塞される状態、のいずれかに切り替える弁体140と、
実質的に弾性変形しない材料で構成され、弁体140の外周面141において流体連通経路146を介して第一流体搬送経路112aと第二流体搬送経路113aとが連通するときに第三流体搬送経路114aに対向する部分に形成された第一摺動穴147に摺動可能に収容される第一シールプレート150と、
実質的に弾性変形しない材料で構成され、弁体140の外周面141において流体連通経路146を介して第二流体搬送経路113aと第三流体搬送経路114aとが連通するときに第一流体搬送経路112aに対向する部分に形成された第二摺動穴148に摺動可能に収容される第二シールプレート160と、
第一摺動穴147の第一底面147bと第一シールプレート150との間に配置され、第一摺動穴147の第一底面147bおよび第一シールプレート150に当接しつつ弾性変形することにより第一シールプレート150を弁体140の外周面141から突出する方向に付勢する第一Oリング171と、
第二摺動穴148の第二底面148bと第二シールプレート160との間に配置され、第二摺動穴148の第二底面148bおよび第二シールプレート160に当接しつつ弾性変形することにより第二シールプレート160を弁体140の外周面141から突出する方向に付勢する第二Oリング172と、
を具備する。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、充填装置1が具備する三方弁100は、流体連通経路146を介して第一流体搬送経路112aと第二流体搬送経路113aとが連通するときには第一シールプレート150により第三流体搬送経路114aを確実に閉塞することが可能であり、かつ、流体連通経路146を介して第三流体搬送経路114aと第二流体搬送経路113aとが連通するときには第二シールプレート160により第一流体搬送経路112aを確実に閉塞することが可能である。
従って、三方弁100の内部を通って流体が搬送されるときに流体が弁体140の外周面141とケース110の収容孔111aの内周面との間に浸入しても、当該隙間に浸入した流体は第一シールプレート150あるいは第二シールプレート160により閉塞された経路を通じて漏洩することが無い。
特に、流体の粘性が比較的低い場合には弁体140の外周面141とケース110の収容孔111aの内周面との間に流体が浸入し易いが、このような場合でも流体の漏洩を効果的に防止することが可能である。
結果として、充填装置1により所定の容器に充填される流体の重量精度が向上する。
また、三方弁100は、第一シールプレート150および第二シールプレート160が実質的に弾性変形しない材料(本実施形態では、ポリエーテルエーテルケトン)で構成され、従来の弾性変形することによりシールするシール材(Oリング等)に比べて摩耗、破損が起こりにくいので、第一シールプレート150および第二シールプレート160の一部が摩耗あるいは破損し、これが流体に混入するといった事態を防止することが可能である。
結果として、充填装置1により所定の容器に充填される流体に第一シールプレート150および第二シールプレート160の一部が混入するといった事態を防止することが可能である。
【0119】
また、充填装置1が具備する三方弁100の弁体140に形成される第一摺動穴147は、
弁体140に穿設され、第一シールプレート150(の端面152)が摺動可能に当接する第一壁面147aおよび第一壁面147aに連なる平滑な第一底面147bを有し、
充填装置1が具備する三方弁100の弁体140に形成される第二摺動穴148は、
弁体140に穿設され、第二シールプレート160(の端面162)が摺動可能に当接する第二壁面148aおよび第二壁面148aに連なる平滑な第二底面148bを有する。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、第一摺動穴147を囲む面である第一壁面147aおよび第一底面147bは単純な形状であるため、弁体140に第一摺動穴147を穿設することは容易である。
同様に、第二摺動穴148を囲む面である第二壁面148aおよび第二底面148bは単純な形状であるため、弁体140に第二摺動穴148を穿設することは容易である。
結果として、弁体140の製造コスト、ひいては充填装置1の製造コストの削減に寄与する。
【0120】
また、充填装置1の三方弁100において第一シールプレート150を付勢する部材が第一Oリング171であり、第二シールプレート160を付勢する部材が第二Oリング172である。
このように構成することにより、第一シールプレート150と第一Oリング171とを合わせたもの、および第二シールプレート160と第二Oリング172とを合わせたものの外形を薄くすることが可能であり、ひいてはこれらを弁体140における限られたスペースに(流体連通経路146に干渉することなく)配置することが可能である。
また、Oリングは一般に安価かつ市販品の調達が容易である。従って、Oリングを新品に交換することは容易であり、メンテナンス性に優れる。
【0121】
また、充填装置1の第一シールプレート150において第一摺動穴147の第一底面147bに対向する部分(本実施形態では、底面153)には第一Oリング171を係合する第一係合溝154が形成され、
第二シールプレート160において第二摺動穴148の第二底面148bに対向する部分(本実施形態では、底面163)には第二Oリング172を係合する第二係合溝164が形成される。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、仮に第一シールプレート150の底面153に第一係合溝154を形成せずに第一シールプレート150の底面153と第一摺動穴147の第一底面147aとで挟まれる空間に第一Oリング171を配置した場合、第一Oリング171が第一シールプレート150の底面153と第一摺動穴147の第一底面147aとの間で挟まれる空間内で偏った位置に移動し、その結果、弁体140に対する第一シールプレート150の摺動が滑らかに行われず、第一シールプレート150のシール面151が収容孔111aの内周面に均一に当接しない場合が起こり得る。
これに対して、本実施形態では、第一シールプレート150の底面153に第一係合溝154を形成し、第一係合溝154に第一Oリング171を係合することにより、第一シールプレート150の底面153と第一摺動穴147の第一底面147bとで挟まれる空間における第一Oリング171の配置の偏りを防止することが可能であり、ひいては第一シールプレート150のシール面151を収容孔111aの内周面(収容孔111aの内周面のうち、第三流体搬送経路114aにおける収容孔111aの内周面側の開口部の周縁を成す部分)に均等に当接させることが可能である。
同様に、第二シールプレート160の底面163に第二係合溝164を形成し、第二係合溝164に第二Oリング172を係合することにより、第二シールプレート160の底面163と第二摺動穴148の第二底面148bとで挟まれる空間における第二Oリング172の配置の偏りを防止することが可能であり、ひいては第二シールプレート160のシール面161を収容孔111aの内周面(収容孔111aの内周面のうち、第三流体搬送経路114aにおける収容孔111aの内周面側の開口部の周縁を成す部分)に均等に当接させることが可能である。
従って、流体の漏洩をより効果的に防止することが可能である。
【0122】
また、充填装置1は、
第一流体搬送経路112aにおける収容孔111aの内周面側の開口部の形状、第二流体搬送経路113aにおける収容孔111aの内周面側の開口部の形状、第三流体搬送経路114aにおける収容孔111aの内周面側の開口部の形状、第一シールプレート150において第三流体搬送経路114aに対向する面(本実施形態では、シール面151)の形状、および第二シールプレート160において第一流体搬送経路112aに対向する面(本実施形態では、シール面161)の形状をいずれも収容孔111aに収容された弁体140の軸線方向に延びた長円形とする。
このように構成することにより、第一流体搬送経路112a、第二流体搬送経路113aおよび第三流体搬送経路114aの断面積を(単なる円形とした場合よりも軸線方向に延びた分だけ)大きく設定することが可能であり、特に流体の粘性が比較的高い場合にその搬送が容易となる(圧損が小さい)。
また、弁体140が収容孔111aに収容された状態で回動すると、第一シールプレート150および第二シールプレート160が第一流体搬送経路112a、第二流体搬送経路113aおよび第三流体搬送経路114aにおける収容孔111aの内周面側の開口部のエッジに当接しつつ摺動することとなるが、第一シールプレート150および第二シールプレート160の形状を長円形とすることにより、第一シールプレート150および第二シールプレート160の摩耗あるいは破損等を抑えることが可能である。
【0123】
また、充填装置1の第一シールプレート150において第三流体搬送経路114aに対向する面(本実施形態では、シール面151)、第二シールプレート160において第一流体搬送経路112aに対向する面(本実施形態では、シール面161)は、いずれも弁体140の外周面141、ひいては収容孔111aの内周面と同じ曲率を有する。
このように構成することにより、シール面151を「収容孔111aの内周面のうち、第三流体搬送経路114aにおける収容孔111aの内周面側の開口部の周縁を成す部分」に密着させることが可能であり、流体の漏洩を効果的に防止することが可能である。同様に、シール面161を「収容孔111aの内周面のうち、第一流体搬送経路112aにおける収容孔111aの内周面側の開口部の周縁を成す部分」に密着させることが可能であり、流体の漏洩を効果的に防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明に係る弁装置の実施の一形態を示す分解斜視図。
【図2】本発明に係る弁装置の実施の一形態における弁体を示す正面図。
【図3】本発明に係る弁装置の実施の一形態における弁体を示すA−A左側面断面図。
【図4】本発明に係る弁装置の実施の一形態における弁体を示す右側面図。
【図5】本発明に係る弁装置の実施の一形態における第一シールプレートおよび第二シールプレートを示す図。
【図6】流体連通経路を介して第一流体搬送経路と第二流体搬送経路とが連通するとともに第三流体搬送経路が閉塞される状態にあるときの本発明に係る弁装置を示す左側面断面図。
【図7】流体連通経路を介して第二流体搬送経路と第三流体搬送経路とが連通するとともに第一流体搬送経路が閉塞される状態にあるときの本発明に係る弁装置を示す左側面断面図。
【図8】本発明に係る充填装置の実施の一形態を示す左側面図。
【図9】本発明に係る充填装置の実施の一形態を示す平面図。
【図10】本発明に係る充填装置の実施の一形態を示す正面図。
【図11】本発明に係る充填装置の実施の一形態を示すブロック図。
【符号の説明】
【0125】
100 三方弁(弁装置)
110 ケース(ケース部材)
111a 収容孔
112a 第一流体搬送経路
113a 第二流体搬送経路
114a 第三流体搬送経路
140 弁体(回動部材)
141 外周面
146 流体連通経路
147 第一摺動穴(摺動穴)
148 第二摺動穴(摺動穴)
150 第一シールプレート(第一シール部材)
160 第二シールプレート(第二シール部材)
171 第一Oリング(第一付勢部材)
172 第二Oリング(第二付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容孔、および、一端が前記収容孔の内周面に開口する流体搬送経路が形成されるケース部材と、
少なくとも一端が外周面に開口する流体連通経路が形成され、前記ケース部材の収容孔に収容された状態で回動することにより、前記流体連通経路と前記流体搬送経路とが連通する状態、または、前記流体連通経路と前記流体搬送経路とが連通しない状態、のいずれかに切り替える回動部材と、
実質的に弾性変形しない材料で構成され、前記回動部材の外周面において前記流体連通経路と前記流体搬送経路とが連通しない状態にあるときに前記流体搬送経路に対向する部分に形成された摺動穴に摺動可能に収容されるシール部材と、
前記摺動穴の底面と前記シール部材との間に配置され、前記摺動穴の底面および前記シール部材に当接しつつ弾性変形することにより前記シール部材を前記回動部材の外周面から突出する方向に付勢する付勢部材と、
を具備する弁装置。
【請求項2】
前記摺動穴は、
前記回動部材に穿設され、前記シール部材が摺動可能に当接する壁面および前記壁面に連なる平滑な底面を有する請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記付勢部材はOリングである請求項1または請求項2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記シール部材において前記摺動穴の底面に対向する部分には前記Oリングを係合する係合溝が形成される請求項3に記載の弁装置。
【請求項5】
前記流体搬送経路における前記収容孔の内周面側の開口部の形状、および前記シール部材において前記流体搬送経路に対向する面の形状を前記収容孔に収容された回動部材の軸線方向に延びた長円形とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項6】
前記シール部材において前記流体搬送経路に対向する面は、前記収容孔の内周面と同じ曲率を有する請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項7】
流体を収容するタンクと、
前記タンクに収容された流体を吸入し、吸入した流体から所定量の流体を吐出する計量シリンダと、
前記計量シリンダにより吐出された流体を所定の容器に注入するノズルと、
前記タンクと前記計量シリンダとが連通するとともに前記ノズルと前記計量シリンダとが遮断された状態、または前記タンクと前記計量シリンダとが遮断されるとともに前記ノズルと前記計量シリンダとが連通する状態、のいずれかに切り替える弁装置と、
を具備し、
前記弁装置は、
収容孔、一端が前記収容孔の内周面に開口するとともに他端が前記タンクに連通する第一流体搬送経路、一端が前記収容孔の内周面に開口するとともに他端が前記計量シリンダに連通する第二流体搬送経路、および一端が前記収容孔の内周面に開口するとともに他端が前記ノズルに連通する第三流体搬送経路が形成されるケース部材と、
両端が外周面において互いに異なる位置に開口する流体連通経路が形成され、前記ケース部材の収容孔に収容された状態で回動することにより、前記流体連通経路を介して前記第一流体搬送経路と前記第二流体搬送経路とが連通するとともに前記第三流体搬送経路が閉塞される状態、または、前記流体連通経路を介して前記第二流体搬送経路と前記第三流体搬送経路とが連通するとともに前記第一流体搬送経路が閉塞される状態、のいずれかに切り替える回動部材と、
実質的に弾性変形しない材料で構成され、前記回動部材の外周面において前記流体連通経路を介して前記第一流体搬送経路と前記第二流体搬送経路とが連通するときに前記第三流体搬送経路に対向する部分に形成された第一摺動穴に摺動可能に収容される第一シール部材と、
実質的に弾性変形しない材料で構成され、前記回動部材の外周面において前記流体連通経路を介して前記第二流体搬送経路と前記第三流体搬送経路とが連通するときに前記第一流体搬送経路に対向する部分に形成された第二摺動穴に摺動可能に収容される第二シール部材と、
前記第一摺動穴の第一底面と前記第一シール部材との間に配置され、前記第一摺動穴の第一底面および前記第一シール部材に当接しつつ弾性変形することにより前記第一シール部材を前記回動部材の外周面から突出する方向に付勢する第一付勢部材と、
前記第二摺動穴の第二底面と前記第二シール部材との間に配置され、前記第二摺動穴の第二底面および前記第二シール部材に当接しつつ弾性変形することにより前記第二シール部材を前記回動部材の外周面から突出する方向に付勢する第二付勢部材と、
を具備する充填装置。
【請求項8】
前記第一摺動穴は、
前記回動部材に穿設され、前記第一シール部材が摺動可能に当接する第一壁面および前記第一壁面に連なる平滑な前記第一底面を有し、
前記第二摺動穴は、
前記回動部材に穿設され、前記第二シール部材が摺動可能に当接する第二壁面および前記第二壁面に連なる平滑な前記第二底面を有する請求項7に記載の充填装置。
【請求項9】
前記第一付勢部材および前記第二付勢部材はいずれもOリングである請求項7または請求項8に記載の充填装置。
【請求項10】
前記第一シール部材において前記第一摺動穴の第一底面に対向する部分には前記Oリングを係合する第一係合溝が形成され、
前記第二シール部材において前記第二摺動穴の第二底面に対向する部分には前記Oリングを係合する第二係合溝が形成される請求項9に記載の充填装置。
【請求項11】
前記第一流体搬送経路における前記収容孔の内周面側の開口部の形状、前記第二流体搬送経路における前記収容孔の内周面側の開口部の形状、前記第三流体搬送経路における前記収容孔の内周面側の開口部の形状、前記第一シール部材において前記第三流体搬送経路に対向する面の形状、および前記第二シール部材において前記第一流体搬送経路に対向する面の形状をいずれも前記収容孔に収容された回動部材の軸線方向に延びた長円形とする請求項7から請求項10までのいずれか一項に記載の充填装置。
【請求項12】
前記第一シール部材において前記第三流体搬送経路に対向する面、および前記第二シール部材において前記第一流体搬送経路に対向する面は、いずれも前記収容孔の内周面と同じ曲率を有する請求項7から請求項11までのいずれか一項に記載の充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−48404(P2010−48404A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215845(P2008−215845)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(599060847)株式会社ウイスト (5)
【Fターム(参考)】