説明

強制風冷式ヒートシンク

【課題】鉄道車両用制御装置に内蔵される強制風冷式ヒートシンクにおいて、車輛限界などの制約で制御装置を大きく出来ない場合、入気口スペースを大きくする事が困難である。入気口スペースが小さいと、風量が充分確保されず、鉄道車両用制御装置としての性能を損ねる。
【解決手段】鉄道車両車体の床下に設置され、半導体素子を実装する冷却ブロックと、該冷却ブロックの半導体素子実装面の対面に冷却フィンを有する強制風冷式ヒートシンクを内蔵する車両用制御装置において、該冷却フィンの上部より通風させる入気口を配置し、前記冷却フィンの上部通風部を該入気口に向かってその一角を面取りすることで入気口スペースを大きくすることでき、風量を充分に確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道車両の推進用や補助電源用の電力用半導体モジュール素子を用いたインバータ装置等の電力変換装置に用いられる強制風冷式ヒートシンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インバータ装置等で使用される電力用半導体素子は、電流を流しスイッチング動作を行って電力変換する際、理想的なスイッチ動作ではないため発熱を伴い、その温度が上昇する。そのため、半導体素子を冷却用のヒートシンクに取付け放熱し、温度上昇を抑制する必要がある。ここで、車両用の電力変換装置においては、その設置スペースが限られるため、このヒートシンクは極力小型にする必要があり、冷却ファン等を用いて強制的にヒートシンクに風をあてることによって冷却効果を上げて小型化した強制風冷式ヒートシンクが用いられることが多い。
【0003】
図2は一般的な強制風冷式ヒートシンクの構造例である。直方体に開放された対面方向の2面に冷却風が流れる構造になっている。
【0004】
図4は図2の強制風冷式ヒートシンクを鉄道車両用制御装置内に設置した例である。大型のヒートシンクをスペースの限られた装置内に配置しているが、強制風冷式ヒートシンクの冷却フィン上部と装置天井部との間隔が少なく風路が直角になっている為、入気口のスペースが小さくなってしまう。図4の例では、冷却フィンの積層高さよりも風路が狭くなり、入気風による圧力損失が増大し、冷却風量低下の要因となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】意匠登録第1380064号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車輛限界などの制約で、図4のように入気口及び制御装置を大きく出来ない場合、強制風冷式ヒートシンクの冷却フィン用風路が直角になっていると、風量が充分確保されず鉄道車両用制御装置としての性能を損ねてしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明によれば、鉄道車両車体の床下に設置され、半導体素子を実装する冷却ブロックと、該冷却ブロックの半導体素子実装面の対面に冷却フィンを有する強制風冷式ヒートシンクを内蔵する車両用制御装置において、該冷却フィンの上部より通風させる入気口を配置し、前記冷却フィンの上部通風部を該入気口に向かってその一角を面取りすることで入気口スペースを大きくすることを特徴とする。
【0008】
すなわち、本発明においては半導体素子を実装する冷却ブロックと、当該冷却ブロックの半導体素子実装面の対面に冷却フィン構造を有する強制風冷式ヒートシンクにおいて、前記冷却フィン構造の冷却風入気側の一角を面取構造とすることを行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鉄道車両用制御装置の外形を大きくせずに、入気口を大きくする事が可能で、入気風による圧力損失を低減し冷却風量を大きくすることが出来る。また業界の動向として求められている制御装置の小型軽量化の効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明が適用された強制風冷式ヒートシンクの説明図である。
【図2】一般的な強制風冷式ヒートシンクの説明図である。
【図3】本発明が適用された強制風冷式ヒートシンクを内蔵した鉄道車両用制御装置 の断面図である。
【図4】一般的な強制風冷式ヒートシンクを内蔵した鉄道車両用制御装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
強制風冷式ヒートシンクにおいて、前記冷却フィン構造の冷却風入気側の一角を面取構造とする。
【実施例1】
【0012】
図1から図4において、1を半導体素子、2を半導体素子1が実装される冷却ブロック、3を冷却ブロック2の半導体素子実装面の対面に具備された冷却フィン、4を冷却ブロック2が内蔵され、鉄道車両車体床下部に収納される車両用制御装置、5を車体とする。
【0013】
図1は、本発明が適用された強制風冷式ヒートシンクの説明図であって、図3は本発明が適用された強制風冷式ヒートシンクを内蔵した鉄道車両用制御装置の断面図である。
制御装置の外形を大きくせずに、入気口スペースが図4よりも約50%増加出来る構成となっている。

【0014】
また本発明においては、強制風冷式ヒートシンクの入気口を例に説明したが、冷却風向を反対とし、排気口として使用する場合も風路確保による有利点は自明のものである。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、強制風冷式ヒートシンクを内蔵する(鉄道車両に限らず)装置の外形を大きくすることなく装置の小型軽量化が出来る。
【符号の説明】
【0016】
1 半導体素子
2 冷却ブロック
3 冷却フィン
4 車両用制御装置
5 車体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両車体の床下に設置され、半導体素子を実装する冷却ブロックと、該冷却ブロックの半導体素子実装面の対面に冷却フィンを有する強制風冷式ヒートシンクを内蔵する車両用制御装置において、該冷却フィンの上部より通風させる入気口を配置し、前記冷却フィンの上部通風部を該入気口に向かってその一角を面取りすることで入気口スペースを大きくすることを特徴とする強制風冷式ヒートシンク。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−178444(P2012−178444A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40386(P2011−40386)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000003115)東洋電機製造株式会社 (380)
【Fターム(参考)】