説明

強誘電体メモリ、多値データ記録方法、および多値データ読出し方法

【課題】 多値記録可能な強誘電体メモリ装置を提供する。
【解決手段】 第1導電型のチャネル領域を含む半導体基体と、前記半導体基体上に、前記半導体基体中のチャネル領域に対応して、強誘電体膜を介して形成されたゲート電極と、前記半導体基体中、前記チャネル領域の両側にそれぞれ形成された、第2導電型の第1および第2の拡散領域とを含む強誘電体メモリ装置において、前記強誘電体膜中は、前記第1の拡散領域の近傍に位置する第1の領域と、前記第2の拡散領域の近傍に位置する第2の領域と、前記第1および第2の領域の中間に位置する第3の領域を形成し、前記第1、第2および第3の領域に、独立に分極を誘起する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に強誘電体メモリに係り、特にチャネル領域上に強誘電体膜を有し、前記強誘電体膜上にゲート電極を設けた構成の、いわゆるMFS (metal-ferroelectric-semiconductor)型あるいはMFIS型 (metal-ferroelectric-insulation-semiconductor) の強誘電体メモリ、その製造方法、および駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話をはじめとする各種携帯電子機器では、バッテリー電源の容量不足に起因する連続使用時間の制限や、クロック周波数の制限、さらには搭載するメモリ容量の制限に起因して、更なる性能向上が難しくなっている。
【0003】
このため、燃料電池による電源容量の増大やパワーマネジメントアーキテクチャの導入による消費電力の低減が試みられているが、現状では、AC電源で動作する電子機器と比較して、携帯電子機器の性能は著しく劣っており、携帯電子機器の性能をAC電源で動作する電子機器と同等程度まで引き上げるのには、電源やパワーマネジメントだけでは不十分であると考えられる。
【0004】
一方、AC電源で動作する電子機器では、電源を切断するとデータが消失する問題があり、データをハードディスクやフラッシュメモリに格納しておく必要があるが、その結果、起動および停止に要する時間が増大し、操作性が低下するだけでなく、消費電力が増大する問題を有している。特に、このようなAC電源で動作する電子機器において不測の電源切断が生じるとデータが消失し、大きな損害が発生する。このような電源切断によるデータ消失の問題、あるいは電子装置の起動・停止に長時間を要する問題は、従来用いられているDRAM或いはSRAM等の半導体ランダムアクセスメモリが揮発性であることに起因して生じている。このため、かかる電子装置の主記憶メモリに半導体不揮発性メモリを用いて、待機時における消費電力の低減し、起動および終了時間の短縮、あるいはデータの消失に対する保護を実現する研究が進められている。
【0005】
このような半導体不揮発性メモリのうち、高速で読み書きが可能な強誘電体メモリ(FeRAM:Ferroelectric Random Access Memory)は現在、最も期待される素子であると考えられている。FeRAMは、既にICカードほか、各種の用途で用いられている。
【0006】
しかし、現状では強誘電体メモリは記憶容量が1Mビット以下であり、このため強誘電体メモリを携帯電子機器やパーソナルコンピュータの主記憶メモリとして用いることは実現できていない。強誘電体メモリ記憶容量の増大は、このように携帯型およびAC電源で動作する電子装置にとって、緊急の課題となっている。
【0007】
このような事情で、メモリ面積が小さく、大容量記憶が可能な1Tr型FeRAMの開発が進められている。1TrFeRAMは、MOSトランジスタのゲート電極中に強誘電体膜を形成し、情報をかかる強誘電体膜の分極の形で書き込む半導体素子である。読出し時には、かかる強誘電体膜の分極により変化したしきい値特性を利用する。
【0008】
図1は、MFIS構造を有する1Tr型FeRAM40の構成を示す。1Tr型FeRAMについては、例えば、特許文献1乃至特許文献3参照。
【0009】
図1を参照するに、FeRAM40は、素子間分離絶縁膜42により素子形成領域41Aが区画されたn型シリコン基板41上に形成されており、前記素子形成領域41A中には、p型ソース領域43及びp型ドレイン領域44により、チャネル領域が画成されている。さらにかかるチャネル領域上には、HfO2 等のバッファ絶縁膜45を介してPZT等の強誘電体膜46が形成され、その上に、例えばPtよりなるゲート電極47が形成されている。
【0010】
かかる強誘電体メモリ40においては、データが、前記ゲート電極47に正あるいは負の書き込み電圧を印加することにより、図2(A),(B)に示すように前記強誘電体膜46中に分極の形で書き込まれ、前記分極によって生じたチャネル領域の電荷が、図2(C)に示すようにドレイン電流の変化の形で読み出される。すなわち、強誘電体メモリ40においては、強誘電体膜46の分極を読みることでデータを読み出している。
【0011】
例えば図2(C)において実線で示すヒステリシス曲線は図2(A)の状態に対応し、ゲート電極47に読出しゲート電圧Vを印加すると、大きなドレイン電流が得られる。これに対し図2(C)中、破線で示すヒステリシス曲線は図2(B)の状態に対応し、ゲート電極47に読出し電圧Vを印加した場合、小さなドレイン電流が得られる。図2(C)中、低しきい値状態のヒステリシス曲線と高しきい値状態のヒステリシス曲線で囲まれた領域はメモリウィンドウとよばれ、これが大きいほど、安定した読出しが可能となる。また低しきい値状態でのドレイン電流と低しきい値状態でのドレイン電流の比はON/OFF比とよばれ、これが大きいほど安定した読出しが可能になる。
なお、このような1Tr型FeRAMの歴史は非常に古く、1957年まで遡ることができる(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2002−353420号公報
【特許文献2】特開2002−329847号公報
【特許文献3】特開2003−273333号公報
【特許文献4】米国特許第2,791,760号公報
【特許文献5】特開平8−181289号公報
【特許文献6】米国特許第6,608,339号公報
【特許文献7】特開2000−243090号公報
【特許文献8】特開2001−94065号公報
【特許文献9】特開2001−267515号公報
【特許文献10】特開2002−269973号公報
【特許文献11】特開2003−288783号公報
【特許文献12】特開2004−47593号公報
【特許文献13】特開平5−152578号公報
【特許文献14】特開平7−122661号公報
【特許文献15】特開平8−124378号公報
【特許文献16】WO95/26570国際公開公報
【特許文献17】特開平11−40759号公報
【特許文献18】特開平2000−40378号公報
【特許文献19】特開2000−243090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように1Tr型FeRAMは、大容量高速不揮発性半導体メモリとして期待されてきたが、データ保持時間は短く、最長でも1カ月程度であり、データ保持時間の増大が従来、最大の課題となっていた。また強誘電体膜は、結晶粒単位でしか分極できないため、強誘電体膜の分極を局所的に制御することはできないものと考えられてきた。このため、従来、強誘電体メモリの多値化については、全く検討されてきていない。
【0013】
一方、不揮発性メモリの応用が広がるに従って、必ずしも10年間のデータ保持が不可欠ではないことが認識されてきた。例えばパソコンやデジタル家電製品では、10年間も電源を入れないことはありえない。このように、強誘電体メモリにおいて、今後、データ保持時間の延長よりも、メモリ容量の増大が課題となってくるものと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一の側面によれば本発明は、第1導電型のチャネル領域を含む半導体基体と、前記半導体基体上に、前記半導体基体中のチャネル領域に対応して、強誘電体膜を介して形成されたゲート電極と、前記半導体基体中、前記チャネル領域の両側にそれぞれ形成された、第2導電型の第1および第2の拡散領域とを含み、前記強誘電体膜中には、前記第1の拡散領域の近傍に位置する第1の領域と、前記第2の拡散領域の近傍に位置する第2の領域と、前記第1および第2の領域の中間に位置する第3の領域が含まれ、前記第1、第2および第3の領域には、独立に分極が誘起されていることを特徴とする強誘電体メモリを提供する。
【0015】
他の側面によれば本発明は、強誘電体メモリへの多値データ記録方法であって、前記強誘電体メモリは、第1導電型のチャネル領域を含む半導体基体上に、前記半導体基体中のチャネル領域に対応して、強誘電体膜を介して形成されたゲート電極と、前記半導体基体中、前記チャネル領域の両側にそれぞれ形成された、第2導電型の第1および第2の拡散領域とを含み、前記強誘電体膜中には、前記第1の拡散領域の近傍に位置する第1の領域と、前記第2の拡散領域の近傍に位置する第2の領域と、前記第1および第2の領域の中間に位置する第3の領域が含まれ、前記記録方法は、前記第1〜第3の領域に、独立に分極を誘起する手順を含むことを特徴とする多値データ記録方法を提供する。
【0016】
ここで前記分極を誘起する手順は、例えば(1)前記ゲート電極に第1の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域、および前記半導体基体を接地する手順と、(2)前記ゲート電極に第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域、および前記半導体基体を接地する手順と、(3)前記手順(1)の後、前記ゲート電極および前記第1および第2の拡散領域に前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記半導体基体を接地する手順と、(4)前記手順(2)の後、前記ゲート電極に前記第1の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域を浮遊状態とし、前記半導体基体を接地する手順と、(5)前記手順(1)の後、前記ゲート電極および前記第1の拡散領域、および前記半導体基体に、前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第2の拡散領域を接地する手順と、(6)前記手順(1)の後、前記ゲート電極および前記第2の拡散領域、および前記半導体基体に、前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を接地する手順と、(7)前記手順(2)の後、前記ゲート電極におよび半導体基体に前記第1の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を接地し、前記第2の拡散領域を浮遊状態とする手順と、(8)前記手順(2)の後、前記ゲート電極および前記半導体基体に前記第1の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を浮遊状態とし、前記第2の拡散領域を接地する手順のいずれかより実行することができる。
【0017】
他の側面によれば、本発明は、強誘電体メモリからの多値データ読出し方法であって、前記強誘電体メモリは、第1導電型のチャネル領域を含む半導体基体上に、前記半導体基体中のチャネル領域に対応して、強誘電体膜を介して形成されたゲート電極と、前記半導体基体中、前記チャネル領域の両側にそれぞれ形成された、第2導電型の第1および第2の拡散領域とを含み、前記強誘電体膜中には、前記第1の拡散領域の近傍に位置する第1の領域と、前記第2の拡散領域の近傍に位置する第2の領域と、前記第1および第2の領域の中間に位置する第3の領域が含まれ、前記読出し方法は、前記ゲート電極に読出し電圧を印加し、前記第1の拡散領域に第1の読出しドレイン電圧を印加した状態で第1のドレイン電流を検出する第1の読み出し段階と、前記第1の読出し段階の後で実行され、前記ゲート電極に読出し電圧を印加し、前記第2の拡散領域に第2の読出しドレイン電圧を印加した状態で第2のドレイン電流を検出する第2の読出し段階と、前記第1および第2のドレイン電流の組み合わせから、前記第1、第2および第3の領域に誘起された分極の組み合わせを求める段階と、を含むことを特徴とする多値データ読出し方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、強誘電体メモリにおいて、強誘電体膜中の第1〜第3の領域に情報が独立した分極の形で記録されるため、情報の多値記録が可能となり、強誘電体メモリの記憶容量を飛躍的に増大させることが可能になる。
【0019】
またかかる強誘電体メモリでは、データ読出し時に所定の読出しドレイン電圧を、強誘電体メモリの一方の拡散領域に印加して読出しを行い、次に他方の拡散領域に印加して読出しを行うことにより、前記第1〜第3の領域に書き込まれた多値情報を読み出すことが可能になる。
【0020】
また本発明によれば、Siを主構成要素とする半導体基体上に、HfO2 、HfSiOx 、HfAlOx 、或いは、HfSiON等、HfO2 を主成分とする非晶質の絶縁膜を堆積し、さらに酸化性雰囲気中で熱酸化を行うことにより、非晶質の絶縁膜を多結晶膜に変換する際に、半導体基体との界面に酸化珪素を主成分とするSiO2 等の非晶質膜が同時に形成され、その結果、MFIS型のFeRAMにおいて、半導体基体と強誘電体膜との間に挿入される高誘電率膜の結晶性が向上する。その結果、低電圧で良好な分極特性を得ることができ、データ保持特性が安定化する。また、強誘電体膜の膜質が向上し、ゲート電極の一部にIrO2 、RuO2 、或いは、SrRuO3 等の導電性酸化物電極の導入することにより、強誘電体膜の分極特性(電圧や疲労)をさらに改善することが可能になる。
【0021】
また、強誘電体膜の膜質が向上していることにより、低電圧で安定な分極特性が得られ、絶縁膜の膜厚を多少増大しても問題は生じない。これにより、キャリア注入やリーク電流の発生が抑制され、メモリウィンドウのシフトの問題が低減される。その結果、本発明によれば、長期間のデータ保持が可能となり、またデータの読み出し、データ書き込みを、安定に実現することが可能となる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[第1の実施形態]
図3(A)は、本発明の第1の実施形態によるMFS型FeRAM10の一つのメモリセルの構成を示す。
【0023】
図3(A)を参照するに、シリコン基板11上にはSTI(シャロートレンチアイソレーション)型の素子分離構造12により素子領域が画成されており、前記素子領域に対応して、n型ウェル13が形成されている。
【0024】
さらに前記シリコン基板11上には前記素子領域13中に形成されるチャネル領域に対応してゲート構造24が形成されており、前記素子領域13中には、前記ゲート構造24の両側に、p型拡散領域16,17がそれぞれ形成されている。すなわち、前記メモリセルには、pチャネルMOSトランジスタが、メモリセルトランジスタとして形成される。
【0025】
前記ゲート構造24は、前記シリコン基板11上に形成されたシリコン酸化膜20とHfO2膜19を積層した絶縁膜を含み、前記絶縁膜上には、BNT((Bi,Nd)4Ti312)膜21が、強誘電体膜として形成されている。さらに前記BNT膜21上には、SRO(SrRuO3)よりなる導電性酸化膜22を介してPtよりなるゲート電極23が形成されている。本発明では前記強誘電体膜21の下にHfO2膜19を形成することにより、強誘電体膜21の結晶性が向上し、またその強誘電性が向上する。また前記強誘電体膜21とゲート電極23との間に前記SRO膜22を介在させることにより、強誘電体膜21から金属ゲート電極23へ酸素の脱離が抑制され、また強誘電体膜21から金属ゲート電極23への金属元素の拡散が抑制される。その結果、FeRAM10は低電圧駆動が可能となり、また強誘電体膜21の疲労が軽減される。
【0026】
さらに前記HfO2膜19とシリコン基板11との間に非晶質のシリコン酸化膜20を、好ましくは2〜5nmの膜厚で介在させることにより、シリコン酸化膜20およびHfO膜19よりなるゲート絶縁膜中へのキャリアのトラップが軽減され、メモリウィンドウのシフトなど、FeRAMを構成するMOSトランジスタの不規則なしきい値の変動が回避される。またシリコン基板11と多結晶HfO2膜19の間にこのように粒界を有さないアモルファス膜を介在させることにより、ゲートリーク電流が抑制される。
【0027】
なお本発明においては、前記強誘電体膜21はBNTに限定されるものではなく、PZT(Pb(Zr,Ti)O3),SBT(SrBi2 Ta2 9),BLT((Bi,La)4Ti312),PGO(Pb5 Ge3 11)などを使うことも可能である。また前記多結晶絶縁膜19は化学量論組成を有するHfO2に限定されるものではなく、非化学量論組成を有するHfO、HfSiOx 、HfAlOx などの金属酸化物、或いは、HfSiONなどの金属酸窒化物を使うことも可能である。さらに前記導電性酸化膜22はSROに限定されるものではなく、IrO2 、RuO2 などを使うことも可能である。
【0028】
さて、図3(A)のFeRAM10では、情報は強誘電体膜21中に分極の形で保持されるが、本実施形態では、膜前記強誘電体膜21中、前記拡散領域16の近傍の第1の領域21Aと、前記拡散領域17の近傍の第2の領域21Bと、前記領域21A,21Bの間の領域21Cとが形成されており、これらの領域において、分極が独立に誘起される。
【0029】
図4(A)〜(H)は、このような前記強誘電体膜21A〜21C中に誘起された分極の例を示す。
【0030】
ここで図4(A)の状態では、前記領域21A〜21Cの全てに、データ「0」に対応した下向きの分極が誘起されており、したがってこれを(000)と表記する。また図4(B)の状態では、前記領域21A〜21Cの全てにデータ「1」に対応した上向きの分極が誘起されており、これを(111)と表記する。同様に図4(C)の状態では、領域21Aと21Bには下向きの分極が、領域21Cには上向きの分極が誘起されており、これを(010)と表記する。図4(D)の状態では、領域21Aと21Bには上向きの分極が、領域21Cには下向きの分極が誘起されており、これを(101)と表記する。図4(E)の状態では、領域21Aと21Cには下向きの分極が、領域21Bには上向きの分極が誘起されており、これを(001)と表記する。図4(F)の状態では、領域21Aには上向きの分極が、領域21Bと21Cには下向きの分極が誘起されており、これを(100)と表記する。図4(G)の状態では、領域21Aと21Cには上向きの分極が、領域21Bには下向きの分極が誘起されており、これを(110)と表記する。さらに
図4(H)の状態では、領域21Aには下向きの分極が、領域21Bと21Cには上向きの分極が誘起されており、これを(011)と表記する。
【0031】
このように、図3(A)の構成のFeRAM10では、3ビット8値の情報を一つのメモリセルに保持することが可能である。
【0032】
このような多値記録の結果、前記メモリセルを構成するpチャネルMOSトランジスタのしきい値特性は、前記強誘電体膜21に書き込まれた多値データに対応して、図3(B)のように変化し、このようなしきい値の変化を検出することにより、後で説明するように、前記多値データを読み出すことが可能である。
【0033】
次に、図3(A)のReRAM10への多値データの書き込みについて説明する。
【0034】
図5(A)は、データ(000)を書き込む場合を示す。
【0035】
図5(A)を参照するに、ゲート電極23には正の書き込み電圧+Vgが印加され、同時に前記p型拡散領域16,17、さらにシリコン基板11が接地される。これにより、前記強誘電体膜21のうち、前記領域21A〜21Cの全てに、前記図4(A)の状態に対応して、下向きの分極が誘起される。
【0036】
図5(B)は、データ(111)を書き込む場合を示す。
【0037】
図5(B)を参照するに、ゲート電極23には負の書き込み電圧−Vgが印加され、同時に前記p型拡散領域16,17、さらにシリコン基板11が接地される。これにより、前記強誘電体膜21のうち、前記領域21A〜21Cの全てに、前記図4(B)の状態に対応して、上向きの分極が誘起される。
【0038】
図6(A)は、データ(010)を書き込む場合を示す。
【0039】
図6(A)を参照するに、最初に図5(A)と同様にしてデータ(000)を書き込み、次に前記ゲート電極23、および拡散領域16,17に、負の書き込み電圧−Vgを印加し、シリコン基板11を接地する。これにより、前記強誘電体膜21のうち、領域21Cが分極の反転を生じ、その結果、図4(C)の(010)の状態が実現される。
【0040】
図6(B)は、データ(101)を書き込む場合を示す。
【0041】
図6(B)を参照するに、最初に図5(B)と同様にしてデータ(111)を書き込み、引き続き、次に前記ゲート電極23に、正の書き込み電圧+Vgを印加し、前記シリコン基板11を接地し、拡散領域16,17を開放する。これにより、前記強誘電体膜21のうち、領域21Cが分極の反転を生じ、その結果、図4(D)の(101)の状態が実現される。
【0042】
図7(A)は、データ(001)を書き込む場合を示す。
【0043】
図7(A)を参照するに、最初に図5(A)と同様にしてデータ(000)を書き込み、次に前記拡散領域17を接地し、さらに前記ゲート電極23および拡散領域16、およびさらに前記シリコン基板11に負の書き込み電圧を印加する。これにより、領域21Bにおいて分極方向が反転し、先の図4(E)の(001)の状態が実現される。
【0044】
図7(B)は、データ(100)を書き込む場合を示す。
【0045】
図7(B)を参照するに、最初に図5(A)と同様にしてデータ(000)を書き込み、次に前記拡散領域16を接地し、さらに前記ゲート電極23および拡散領域17、および前記シリコン基板11に負の書き込み電圧を印加する。これにより、領域21Aにおいて分極方向が反転し、先の図4(E)の(001)の状態が実現される。
【0046】
表1は、上記図5(A),(B)、図6(A),(B)、図7(A),(B)の書き込み動作をまとめて示す。
【0047】
【表1】

表1中、Vは前記ゲート電極23に印加されるゲート電圧、Vは前記拡散領域16に印加されるソース電圧、Vは前記拡散領域17に印加されるドレイン電圧、Vsubは前記シリコン基板11に印加される基板電圧を示す。
【0048】
上記の動作はメモリセルトランジスタがpチャネルMOSトランジスタであった場合のものであるが、nチャネルMOSトランジスタの場合には、書き込み動作は以下の表2にしたがって行われる。この書き込み動作は、上記の説明より明らかであり、説明をしょう略する。
【0049】
【表2】

図9は、前記FeRAM10への前記表1あるいは表2による書き込み動作を行う回路構成の概略を示す。
【0050】
図9を参照するに、書き込みデータは最初にデータ判別回路101より、それが前記3ビットデータのいずれであるかが判別され、判別結果が駆動回路102に提供される。
【0051】
前記駆動回路102は、前記FeRAM10がpチャネルMOSトランジスタにより構成されている場合には前記表1を、また前記FeRAM10がnチャネルMOSトランジスタにより構成されている場合には前記表2を格納したROM103を参照し、前記FeRAM10にゲート電圧V、ソース電圧V,ドレイン電圧V、基板電圧Vsubを、前記表1あるいは表2に従って印加する。
【0052】
次に、前記FeRAM10からの多値データの読出しについて、図10(A),(B)を参照しながら説明する。
【0053】
本発明ではデータ読出し時にゲート電極23に読出し電圧Vgを印加し、ドレイン電流Vdを測定することで強誘電体膜21中に書き込まれた分極情報を読み出すが、その際、多値情報を読み出すために、図10(A),(B)に示す二段階の読出し手順を行う。
【0054】
図10(A)を参照するに、第1の手順においては前記ゲート電極23に読出し電圧Vgが印加され、さらに拡散領域16を接地し拡散領域17に読出しドレイン電圧Vdを印加することで、FeRAM10の第1のドレイン電流を検出する。
【0055】
次いで図10(B)に示す第2の手順において、前記ゲート電極23に読出し電圧Vgを印加し、さらに拡散領域17を接地し拡散領域16に前記読出しドレイン電圧Vdを印加して、FeRAM10の第2のドレイン電流を検出する。
【0056】
さらに前記第1および第2のドレイン電流の組み合わせから、表3に従って書き込まれている多値データを読み出す。
【0057】
【表3】

そこで、前記強誘電体膜21中にデータ(000)が書き込まれていた場合には、第1のドレイン電流および第2のドレイン電流とも、大きな値(大)を示し、このことから、書き込まれているデータが(000)であることが示される。
【0058】
一方、前記強誘電体膜21中にデータ(111)が書き込まれていた場合には、第1のドレイン電流および第2のドレイン電流とも、小さな値(小)を示し、このことから、書き込まれているデータが(000)であることが示される。
【0059】
また、前記強誘電体膜21中にデータ(010)が書き込まれていた場合には、第1のドレイン電流および第2のドレイン電流とも、前記大きな値と小さな値の中間よりも小さな値(中小)を示し、このことから、書き込まれているデータが(010)であることが示される。
【0060】
さらに、前記強誘電体膜21中にデータ(101)が書き込まれていた場合には、第1のドレイン電流および第2のドレイン電流とも、前記大きな値と小さな値の中間よりも大きな(中大)を示し、このことから、書き込まれているデータが(101)であることが示される。
【0061】
前記強誘電体膜21中にデータ(001)が書き込まれていた場合には、第1のドレイン電流は、前記「中大」の値を示し、一方第2のドレイン電流は、前記「中小」の値を示す。このことから、書き込まれているデータが(001)であることが示される。
【0062】
前記強誘電体膜21中にデータ(110)が書き込まれていた場合には、第1のドレイン電流は、前記「小」の値を示し、一方第2のドレイン電流は、前記「中小」の値を示す。このことから、書き込まれているデータが(110)であることが示される。
【0063】
さらに前記強誘電体膜21中にデータ(011)が書き込まれていた場合には、第1のドレイン電流は、前記「中小」の値を示し、一方第2のドレイン電流は、前記「小」の値を示す。このことから、書き込まれているデータが(011)であることが示される。
【0064】
図11は、前記FeRAM10から、前記表3にしたがって多値データを読み出す読出し回路の概要を示す。
【0065】
図11参照するに、前記FeRAM10のゲート電極23にはワード線選択回路111から前記読出しゲート電圧Vgが供給され、さらにビット線選択回路112から、最初拡散領域16に読出しドレイン電圧Vdが、次に拡散領域17に読出し前記ドレイン電圧Vdが印加され、そのつどドレイン電流がセンスアンプ113により検出される。
【0066】
さらに前記センスアンプ113の検出結果は、データ判別回路114に供給され、前記データ判別回路114は、前記表3を格納したROM115を参照して、読み出された多値データを判定し、判定結果を出力端子に出力する。
【0067】
図12は、このようにしてFeRAMから読み出された多値データの例を示す。
【0068】
図12の例では、読み出された多値データは、2値2ビットデータであるが、強誘電体膜21中に書き込まれたデータ(11),(10),(01),(00)に対応して、ドレイン電流が明確に変化しており、このような多値データの書き込みおよび読出しが実際に可能であることを実証している。なお、図11の実験では、書き込み電圧Vは8Vに設定し、読み出しゲート電圧Vgは0.3Vに、また読み出しドレイン電圧Vdは0.1Vに設定している。
【0069】
図12の書き込み/読み出し実験では、非対称分極は1つのみであるため、前記表3で説明した、ソース/ドレインを交換してドレイン電流を比較し、分極場所を判定して判定する読み出し方法は必要なく、従来と同じく、ドレイン電流を1回測定する方法でデータを判別している。複数の非対称分極によるデータ書き込みを行った場合には、ソース/ドレインを交換してドレイン電流を比較する方法を用いればよい。なお、実験で使われたFeRAM10の製造工程の詳細は、他の実施形態において説明する。
【0070】
このように、本発明により、1Tr型FeRAMを多値化することができ、従来のFeRAMでは困難であった大容量不揮発性メモリが実現できる見込みが得られた。
【0071】
現状では、データ保持時間は1ヶ月未満であるが、実際の用途では問題がないことが多いため、パーソナルコンピュータほかの電子機器の主記憶メモリとして活用することが可能になる。
【0072】
傾向外挿することにより必ずしも正確な結果が得られるものではないが、この結果を傾向外挿してみると、108 秒(≒3年)以上のデータ保持時間は実現できるものと考えられ、更なる絶縁膜19,20等の最適化により、データ保持時間を10年まで延長することは不可能ではない。
【0073】
本発明では、FeRAM10のデータ保持時間が延長されたため、データ保持のための消費電力が大幅に低減され、携帯電子機器のクロック速度の増大や容量の増大、さらに長時間運用が可能となる。またAC電源で動作する電子機器では、クイックスタートが可能になり、使いやすさを大幅に向上させることが可能になる。
【0074】
また、本実施形態においては、シリコン基板11を半導体基板として用いているが、前記シリコン基板11は、バルクシリコン基板、エピタキシャル基板、或いは、いわゆるSOI基板であってもよい。さらに、前記基体はシリコン基板に限られるものではなく、SiGe等の他のIV族元素との混晶を用いてもよい。この場合には、前記半導体基板の表面に形成される非晶質絶縁膜は、Ge等の他のIV族元素を含んだ酸化硅素膜となる。
【0075】
また、本実施形態においては、メモリセルトランジスタがpチャネル型MOSトランジスタである場合を主として説明しているが、本発明はpチャネル型FeRAMに限られるものではなく、nチャネル型FeRAMにも適用されることはいうまでもない。
【0076】
また、前記第1の実施形態においては、1個のトランジスタで1メモリセルを構成する1Tr型FeRAMを説明しているが、本発明のゲート構造及び駆動方法は、複数個、例えば、2個のトランジスタにより一つのメモリセルを構成するFeRAMにも適用することができる。
【0077】
なお、本発明は、図3(A)に示したMFIS型のFeRAM10に限定されるものではなく、絶縁膜19,20を省略したMFS型のFeRAMにおいても有効である。

[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0078】
本実施形態では、前記第1の実施形態によるFeRAM10にデータを書き込む際に、書き込み時のパルス電圧の幅を、前記多結晶HfO2膜19とSiO2膜20の界面に顕著なキャリア注入が発生し、メモリウィンドウが書き込み動作に伴って正電圧側あるいは負電圧側にシフトすることが無いように、1μ秒以下、例えば100n秒に設定するものである。
【0079】
また本実施形態では、このようなFeRAM10へのデータの書き込みの際、予め書き込み前のデータを読み出し、書き込もうとするデータが同一の場合には書き込みを行わず、これにより、前記界面へのキャリア注入を最小化する。また書き込もうとするデータが、予め書き込まれたデータと異なる場合には、書き込み後に再度読み出しを行って、正常に書き込みが行われているか否かを判別し、正常でない場合は繰り返し読み出し及び書き込み動作を繰り返すように構成する。
【0080】
また本実施形態では、データ書き込みの際、まず書き込むデータと逆の逆データの書き込みパルスを先行させ、そのあとで本来のデータ書き込みパルスをゲート電極に印加する。その際、本実施形態では、負電圧を印加する場合と正電圧を印加する場合とでメモリウィンドウのシフト量が異なるので、データ書き込みパルスにおいて、逆データ書き込みパルスとデータ書き込みパルスの電圧或いはパルス幅の少なくとも一方を変化させ、メモリウィンドウのシフトを抑制する。
【0081】
すなわち、前記pチャネル型FeRAM10に負の書き込みパルスでデータの書き込みを行う場合、メモリウィンドウのシフト量が、正の書き込みパルスに比べて大きくなり、このため、本実施形態では、正パルスの電圧を負パルスの電圧よりも増大させる。例えば、正電圧パルスの電圧を10Vとすると、負電圧パルスの電圧は−7Vとする。
【0082】
或いは、前記正および負のパルス電圧値の絶対値は同じにして、パルス幅を変化させてもよい。例えば、パルス電圧値を±8Vとし、正パルス幅を600ns、負パルス幅を80nsとすれば、このようなデータの書き込みに伴うメモリウィンドウのシフトを補償することができる。
【0083】
さらに、このパルス電圧値とパルス幅の両方を変化させても良い。

[第3の実施形態]
次に、図3(A)のFERAM10の製造工程を、本発明の第3の実施形態として説明する。図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0084】
図13を参照するに、本実施例ではp型シリコン基板を前記シリコン基板12として使い、まず従来のMOSFETの製造工程と同様に、前記シリコン基板11中にSTI素子分離構造12を形成する。さらに前記素子分離構造12が画成する素子領域に対応してn型ウェル13を形成し、さらにダミーゲート酸化膜14およびダミーポリシリコンからなるゲート電極15を形成し、前記ダミーゲート電極15をマスクにp型不純物をイオン注入し、前記p型拡散領域16および17を形成する。
【0085】
次に図14の工程において、前記ダミーゲート電極15およびダミーゲート14酸化膜を除去し、さらに前記シリコン基板11の全面に、HfO2 をターゲットとする電子ビーム蒸着法により、厚さが3〜15nm、好ましくは5nmの非晶質HfO2 18膜を形成する。
【0086】
次いで図15の工程において、前記図14のシリコン基板11を酸化性雰囲気中、RTA(Rapid Thermal Anneal)法により、750〜850℃で、1〜10分間の熱処理を行い、前記非晶質HfO2 膜18を多結晶HfO2 膜19に変換するとともに、前記多結晶HfO2 膜19とp型シリコン基板11との界面に2〜5nmのSiO2 膜20を形成する。
【0087】
なお、前記多結晶HfO2 膜19には、p型シリコン基板11からのSiが若干混ざっていても問題はなく、また、前記SiO2 膜20は当然に非晶質である。その際、HfO膜の組成比は厳密に化学量論比に沿った組成比でなくても良い。さらに、HfO2 膜の多結晶化は必ずしも必要でなく、上記RTAの条件次第で非晶質のままであっても良い。
【0088】
次いで、図16の工程において前記多結晶HfO2 膜19上に、ゾル・ゲル法を用いて厚さが200〜400nmのBNTからなる強誘電体膜を形成し、さらに酸素雰囲気下、700〜800℃の温度で例えば、30分間熱処理を行う。これにより、前記BNT膜は結晶化し、ペロブスカイト構造の多結晶強誘電体膜21が形成される。
【0089】
次に図17の工程において前記強誘電体膜21上に、SrRuO3 よりなる導電性酸化物膜22を、例えば、100nmの厚さに堆積し、さらにその上にPt膜21を例えば150nmの厚さに堆積する。また、必要に応じてこのような構造に対し、さらに酸化雰囲気中で、700〜800℃の温度で例えば、30分間の熱処理を行う。
【0090】
次に、図18の工程において、これらの積層膜をパターンニングして前記ゲート構造24を形成する。
【0091】
さらに図示は省略するが、このようにして得られた図18の構造上に層間絶縁膜を形成し、p型ソース領域、p型ドレイン領域、及び、Pt膜に対するコンタクトホールを形成し、さらにコンタクトホールをビアプラグで充填する。さらに必要に応じてかかる層間絶縁膜上に多層配線構造を形成することにより、先に図3(A)で示したMFIS構造の1T型メモリセル10の基本構造が完成する。
【0092】
図19は、本実施形態により製造されたFeRAM10のデータ保持時間を示す。
【0093】
図19を参照するに、データ「1」を書き込んだメモリセルにおけるドレイン電流ID は、30日(≒2.6×106 秒)経過した時点で10-7A以上であるのに対し、データ「0」を書き込んだメモリセルでは、ドレイン電流ID は、30日経過した時点で10-11A以下を保っているのがわかる。このように、本実施形態により製造されたFeRAMでは、データ「1」とデータ「0」の差を、30日経過した後でも、充分判別することが可能である。
【0094】
本実施形態においては、図16の工程で前記HfO2 膜18を電子ビーム蒸着法によって成膜しているが、有機金属気相成長(MOCVD)法等の他の成膜方法を用いることも可能である。前記HfO2膜18をMOCVD法により形成する場合には、原料ガスとしてテトラ・ターシャリー・ブトキシ・ハフニウムを用いることができる。
【0095】
また本実施形態においては、前記多結晶絶縁膜19をHfO2 膜としているが、前記多結晶絶縁膜19はHfO2 に限られるものではなく、HfO2 を主成分とする高誘電率膜であれば良く、例えば、HfSiOx 、HfAlOx 、或いは、HfSiON等を用いることもできる。
【0096】
また、本実施形態においては、前記強誘電体膜21をゾル・ゲル法によって成膜しているが、ゾル・ゲル法に限られるものではなく、スパッタ法、MOCVD法、或いは、有機金属分解(MOD)法を用いても良い。
【0097】
さらに本実施形態においては、強誘電体膜21をBNTで構成しているが、本発明では強誘電体膜21はBNTに限られるものではなく、PZT、BLT、SBT、BTO、或いは、PGOを用いることもできる。また、このような強誘電体膜に、Nd,La等の元素を微量ドープすることも可能である。
【0098】
また本実施形態では、前記強誘電体膜21上にSROからなる導電性酸化物膜22を設けているが、前記導電性酸化物膜22はSROに限られるものではなく、SROと同様に酸化物でも導電性を有するRuO2 或いはIrO2 を用いることも可能である。
【0099】
また本実施形態では、半導体基板11としてシリコン基板を用いているが、前記シリコン基板はバルクシリコン基板、エピタキシャル基板、或いは、所謂SOI基板であっても良い。さらに、本発明では半導体基板11はシリコン基板に限られるものではなく、SiGe等の他のIV族元素との混晶を用いても良い。このような混晶を用いる場合には、半導体基板の表面に形成される非晶質絶縁膜は、Ge等の他のIV族元素を含んだ酸化硅素膜となる。

[第4の実施形態]
図20は、本発明の第4の実施形態によるFeRAM10Aの構成を示す。ただし図20中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0100】
図20を参照するに、本実施形態では、前記図16のパターニング工程の際に、前記p型ソース領域16およびp型ドレイン領域17上に多結晶HfO2 膜19およびシリコン酸化膜20を残存させている。
【0101】
本実施形態によれば、精度良くパターニングするのが困難なHfO2膜を残存させることにより、ゲート構造25のパターニング工程が容易になる。

[第5の実施形態]
図21は、本発明の第5の実施形態によるFeRAM10Bの構成を示す。ただし図21中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0102】
図21を参照するに、本実施形態では、前記拡散領域16および17をイオン注入により形成する際に、前記イオン注入工程を前記図12の工程で行うかわりに、前記ゲート構造24を形成した後で、前記ゲート構造24を自己整合マスクに使って実行する。
【0103】
本実施形態によれば、前記拡散領域16,17とゲート電極とのオーバーラップによる寄生容量を低減することができる。

以上、本発明を好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
【0104】
(付記1) 第1導電型のチャネル領域を含む半導体基体と、
前記半導体基体上に、前記半導体基体中のチャネル領域に対応して、強誘電体膜を介して形成されたゲート電極と、
前記半導体基体中、前記チャネル領域の両側にそれぞれ形成された、第2導電型の第1および第2の拡散領域と
を含み、
前記強誘電体膜中には、前記第1の拡散領域の近傍に位置する第1の領域と、前記第2の拡散領域の近傍に位置する第2の領域と、前記第1および第2の領域の中間に位置する第3の領域が含まれ、
前記第1、第2および第3の領域には、独立に分極が誘起されていることを特徴とする強誘電体メモリ。
【0105】
(付記2) さらに、前記ゲート電極、前記第1および第2の拡散領域、および前記半導体基体に、それぞれの駆動電圧を印加し、前記強誘電体膜中の前記第1〜第3の領域に、それぞれの分極を誘起する駆動回路と、
多値データを供給され、前記多値データの値に応じて前記駆動回路を制御するデータ判別回路と、を備え、
前記駆動回路は、前記第1、第2および第3の領域に、同一の分極を誘起する第1の書き込み段階と、前記第1の書き込み段階の後、前記第1、第2および第3の領域の一つにおいて分極を反転させる第2の書き込み段階を実行することを特徴とする付記1記載の強誘電体メモリ。
【0106】
(付記3) 前記駆動回路は、(1)前記ゲート電極に第1の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域、および前記半導体基体を接地する動作と、(2)前記ゲート電極に第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域、および前記半導体基体を接地する動作と、(3)前記動作(1)の後、前記ゲート電極および前記第1および第2の拡散領域に前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記半導体基体を接地する動作と、(4)前記動作(2)の後、前記ゲート電極に前記第1の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域を浮遊状態とし、前記半導体基体を接地する動作と、(5)前記動作(1)の後、前記ゲート電極および前記第1の拡散領域、および前記半導体基体に、前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第2の拡散領域を接地する動作と、(6)前記動作(1)の後、前記ゲート電極および前記第2の拡散領域、および前記半導体基体に、前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を接地する動作と、(7)前記動作(2)の後、前記ゲート電極におよび半導体基体に前記第1の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を接地し、前記第2の拡散領域を浮遊状態とする動作と、(8)前記動作(2)の後、前記ゲート電極および前記半導体基体に前記第1の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を浮遊状態とし、前記第2の拡散領域を接地する動作のいずれかを行うことを特徴とする付記1記載の強誘電体メモリ。
【0107】
(付記4) さらに前記ゲート電極に読出し電圧を印加し、前記第1の拡散領域に第1の読出しドレイン電圧を印加した状態で第1のドレイン電流を検出する第1の読み出し段階と、前記第1の読出し段階の後で実行され、前記ゲート電極に読出し電圧を印加し、前記第2の拡散領域に第2の読出しドレイン電圧を印加した状態で第2のドレイン電流を検出する第2の読出し段階を実行する読出し回路と、前記第1および第2のドレイン電流の組み合わせから、前記第1、第2および第3の領域に誘起された分極の組み合わせを求めるデータ判定回路と、を有することを特徴とする付記1記載の強誘電体メモリ。
【0108】
(付記5) 強誘電体メモリへの多値データ記録方法であって、
前記強誘電体メモリは、第1導電型のチャネル領域を含む半導体基体上に、前記半導体基体中のチャネル領域に対応して、強誘電体膜を介して形成されたゲート電極と、前記半導体基体中、前記チャネル領域の両側にそれぞれ形成された、第2導電型の第1および第2の拡散領域とを含み、前記強誘電体膜中には、前記第1の拡散領域の近傍に位置する第1の領域と、前記第2の拡散領域の近傍に位置する第2の領域と、前記第1および第2の領域の中間に位置する第3の領域が含まれ、
前記記録方法は、
前記第1〜第3の領域に、独立に分極を誘起する手順を含むことを特徴とする多値データ記録方法。
【0109】
(付記6) 前記分極を誘起する手順は、前記第1、第2および第3の領域に、同一の分極を誘起する第1の段階と、前記第1の段階の後、前記第1、第2および第3の領域のいずれか一つの分極を反転させる第2の段階よりなることを特徴とする付記5記載の多値データ記録方法。
【0110】
(付記7) 前記分極を誘起する手順は、(1)前記ゲート電極に第1の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域、および前記半導体基体を接地する手順と、(2)前記ゲート電極に第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域、および前記半導体基体を接地する手順と、(3)前記動作(1)の後、前記ゲート電極および前記第1および第2の拡散領域に前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記半導体基体を接地する手順と、(4)前記動作(2)の後、前記ゲート電極に前記第1の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域を浮遊状態とし、前記半導体基体を接地する手順と、(5)前記動作(1)の後、前記ゲート電極および前記第1の拡散領域、および前記半導体基体に、前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第2の拡散領域を接地する手順と、(6)前記動作(1)の後、前記ゲート電極および前記第2の拡散領域、および前記半導体基体に、前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を接地する手順と、(7)前記動作(2)の後、前記ゲート電極におよび半導体基体に前記第1の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を接地し、前記第2の拡散領域を浮遊状態とする手順と、(8)前記動作(2)の後、前記ゲート電極および前記半導体基体に前記第1の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を浮遊状態とし、前記第2の拡散領域を接地する手順のいずれかよりなることを特徴とする付記5記載の多値データ記録方法。
【0111】
(付記8) 強誘電体メモリからの多値データ読出し方法であって、
前記強誘電体メモリは、第1導電型のチャネル領域を含む半導体基体上に、前記半導体基体中のチャネル領域に対応して、強誘電体膜を介して形成されたゲート電極と、前記半導体基体中、前記チャネル領域の両側にそれぞれ形成された、第2導電型の第1および第2の拡散領域とを含み、前記強誘電体膜中には、前記第1の拡散領域の近傍に位置する第1の領域と、前記第2の拡散領域の近傍に位置する第2の領域と、前記第1および第2の領域の中間に位置する第3の領域が含まれ、
前記読出し方法は、
前記ゲート電極に読出し電圧を印加し、前記第1の拡散領域に第1の読出しドレイン電圧を印加した状態で第1のドレイン電流を検出する第1の読み出し段階と、
前記第1の読出し段階の後で実行され、前記ゲート電極に読出し電圧を印加し、前記第2の拡散領域に第2の読出しドレイン電圧を印加した状態で第2のドレイン電流を検出する第2の読出し段階と、
前記第1および第2のドレイン電流の組み合わせから、前記第1、第2および第3の領域に誘起された分極の組み合わせを求める段階と、を含むことを特徴とする多値データ読出し方法。
【0112】
(付記9) 前記第1の読出し段階では前記第2のドレイン領域が接地され、前記第2の読出し段階では、前記第1のドレイン領域が接地されることを特徴とする付記8記載の多値データ読出し方法。
【0113】
(付記10) 前記第1の読出し段階は、前記第1のドレイン電流が、4段階の電流値のいずれに該当するかを検出する段階を含み、前記第2の読出し段階は、前記第2のドレイン電流が、前記4段階の電流値のいずれに該当するかを検出する段階を含むことを特徴とする付記8または9記載の多値データ読出し方法。
【0114】
(付記11) Siを主構成要素とする半導体基体と、
前記半導体基体上に、前記半導体基体中のチャネル領域に対応して形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された強誘電体膜と、
前記強誘電体膜上に形成されたゲート電極と、
前記半導体基体中、前記チャネル領域の両側にそれぞれ形成されたソースおよびドレイン領域と
よりなる強誘電体メモリにおいて、
前記絶縁膜は、酸化ケイ素を主成分とする非晶質膜と、HfO2を主成分とする多結晶膜を積層した構成を有することを特徴とする強誘電体メモリ。
【0115】
(付記12) 上記酸化珪素を主成分とする非晶質膜は、2〜5nmの膜厚を有することを特徴とする付記11記載の強誘電体メモリ。
【0116】
(付記13) 前記HfO2を主成分とする多結晶膜は、HfO2 、HfSiOx 、HfAlOx 、或いは、HfSiONのいずれかよりなることを特徴とする付記11または12に記載の強誘電体メモリ。
【0117】
(付記14) 上記強誘電体膜は、Pb(Zr,Ti)O3,SrBi2 Ta2 9,(Bi,La)4Ti312,(Bi,Nd)4Ti312,Bi4Ti312,およびPb5 Ge3 11のいずれかの多結晶膜であることを特徴とする付記11乃至13のいずれか一項記載の強誘電体メモリ。
【0118】
(付記15) 前記強誘電体膜は、さらに微量元素をドープされていることを特徴とする付記14記載の強誘電体メモリ。
【0119】
(付記16) 上記ゲート電極は、上記強誘電体膜との界面に導電性酸化物膜を設けた多層膜よりなることを特徴とする付記11〜15のうち、いずれか一項記載の強誘電体メモリ。
【0120】
(付記17) 上記導電性酸化物膜は、IrO2 、RuO2 、或いは、SrRuO3 のいずれかよりなることを特徴とする付記16記載の強誘電体メモリ。
【0121】
(付記18) Siを主構成要素とする半導体基体上に、HfO2 を主成分とする非晶質絶縁膜を堆積する工程と、
熱酸化を行うことによって前記非晶質絶縁膜を、HfO2 を主成分とする多結晶膜に変換する工程とを含み、
さらに前記非晶質絶縁膜を多結晶膜に変換する工程において、同時に、前記半導体基体との界面に酸化珪素を主成分とする非晶質膜を形成する工程を含むことを特徴とする強誘電体メモリの製造方法。
【0122】
(付記19) Siを主構成要素とする半導体基体と、前記半導体基体上に、前記半導体基体中のチャネル領域に対応して形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成された強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成されたゲート電極と、前記半導体基体中、前記チャネル領域の両側にそれぞれ形成されたソースおよびドレイン領域とよりなり、前記絶縁膜は、酸化ケイ素を主成分とする非晶質膜と、HfO2を主成分とする多結晶膜を積層した構成を有する強誘電体メモリの駆動方法であって、
データ書き込み時に各メモリセルの書き込み前のデータを読み出し、書き込みデータが同一の場合には書き込みを行わず、書き込みデータが異なる場合には、書き込み後に再度読み出しを行って、正常に書き込みが行われているかどうかを判別し、書き込みが正常でない場合は繰り返し前記読み出し及び書き込み動作を繰り返すことを特徴とする強誘電体メモリの駆動方法。
【0123】
(付記20) Siを主構成要素とする半導体基体と、前記半導体基体上に、前記半導体基体中のチャネル領域に対応して形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成された強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成されたゲート電極と、前記半導体基体中、前記チャネル領域の両側にそれぞれ形成されたソースおよびドレイン領域とよりなり、前記絶縁膜は、酸化ケイ素を主成分とする非晶質膜と、HfO2を主成分とする多結晶膜を積層した構成を有する強誘電体メモリの駆動方法であって、
データを書き込む際に、書き込みデータとは逆極性の逆データの書き込みパルスを先行させた後、データ書き込みパルスを前記ゲート電極に印加することを特徴とする強誘電体メモリの駆動方法。
【0124】
(付記21) 上記データ書き込みを行う際に、上記逆データ書き込みパルスと上記データ書き込みパルスの電圧或いはパルス幅の少なくとも一方を変え、メモリウィンドウがシフトしないようにすることを特徴とする付記20記載の強誘電体メモリの駆動方法。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】従来のMFIS構造のFeRAMの構成を示す図である。
【図2】(A)〜(C)は、図1のFeRAMの動作原理を説明する図である。
【図3】(A),(B)は、本発明の第1の実施形態によるFeRAMの構成および動作を示す図である。
【図4】(A)〜(H)は、本発明の第1実施形態によるFeRAMへの多値記録の概要を示す図である。
【図5】(A),(B)は、本発明の第1実施形態によるFeRAMへの多値記録の例を示す図である。
【図6】(A),(B)は、本発明の第1実施形態によるFeRAMへの多値記録の例を示す別の図である。
【図7】(A),(B)は、本発明の第1実施形態によるFeRAMへの多値記録の例を示すさらに別の図である。
【図8】(A),(B)は、本発明の第1実施形態によるFeRAMへの多値記録の例を示すさらに別の図である。
【図9】本発明の第1の実施形態によるFeRAMへの多値データ記録回路の構成を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態によるFeRAMからの多値データの読出しを説明する図である。
【図11】本発明の第1の実施形態によるFeRAMにおける多値データ読出し回路の構成を示す図である。
【図12】本発明の第1実施例によるFeRAMからの多値データの読出しの例を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施形態による、FeRAMの製造工程を示す図(その1)である。
【図14】本発明の第3の実施形態による、FeRAMの製造工程を示す図(その2)である。
【図15】本発明の第3の実施形態による、FeRAMの製造工程を示す図(その3)である。
【図16】本発明の第3の実施形態による、FeRAMの製造工程を示す図(その4)である。
【図17】本発明の第3の実施形態による、FeRAMの製造工程を示す図(その5)である。
【図18】本発明の第3の実施形態による、FeRAMの製造工程を示す図(その6)である。
【図19】本発明の第3の実施形態により製造されたFeRAMのデータ保持特性を示す図である。
【図20】本発明の第4の実施形態によるFeRAMの構成を示す図である。
【図21】本発明の第5の実施形態によるFeRAMの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0126】
11 p型シリコン基板
12 素子間分離絶縁膜
13 n型ウェル領域
14 ダミーゲート酸化膜
15 ダミーゲート電極
16 p型ソース領域
17 p型ドレイン領域
18 非晶質HfO2
19 多結晶HfO2
20 SiO2
21 強誘電体膜
22 導電性酸化物膜
23 Pt膜
41 n型シリコン基板
42 素子間分離絶縁膜
43 p型ソース領域
44 p型ドレイン領域
45 バッファ絶縁膜
46 強誘電体膜
47 ゲート電極
101,114 データ判別回路
102 駆動回路
103,115 ROM
111 ワード線選択回路
112 ビット線選択回路
113 センスアンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型のチャネル領域を含む半導体基体と、
前記半導体基体上に、前記半導体基体中のチャネル領域に対応して、強誘電体膜を介して形成されたゲート電極と、
前記半導体基体中、前記チャネル領域の両側にそれぞれ形成された、第2導電型の第1および第2の拡散領域と
を含み、
前記強誘電体膜中には、前記第1の拡散領域の近傍に位置する第1の領域と、前記第2の拡散領域の近傍に位置する第2の領域と、前記第1および第2の領域の中間に位置する第3の領域が含まれ、
前記第1、第2および第3の領域には、独立に分極が誘起されていることを特徴とする強誘電体メモリ。
【請求項2】
さらに、前記ゲート電極、前記第1および第2の拡散領域、および前記半導体基体に、それぞれの駆動電圧を印加し、前記強誘電体膜中の前記第1〜第3の領域に、それぞれの分極を誘起する駆動回路を備え、
前記駆動回路は、前記第1、第2および第3の領域に、同一の分極を誘起する第1の書き込み段階と、前記第1の書き込み段階の後、前記第1、第2および第3の領域の一つにおいて分極を反転させる第2の書き込み段階を実行することを特徴とする請求項1記載の強誘電体メモリ。
【請求項3】
前記駆動回路は、(1)前記ゲート電極に第1の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域、および前記半導体基体を接地する動作と、(2)前記ゲート電極に第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域、および前記半導体基体を接地する動作と、(3)前記動作(1)の後、前記ゲート電極および前記第1および第2の拡散領域に前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記半導体基体を接地する動作と、(4)前記動作(2)の後、前記ゲート電極に前記第1の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域を浮遊状態とし、前記半導体基体を接地する動作と、(5)前記動作(1)の後、前記ゲート電極および前記第1の拡散領域、および前記半導体基体に、前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第2の拡散領域を接地する動作と、(6)前記動作(1)の後、前記ゲート電極および前記第2の拡散領域、および前記半導体基体に、前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を接地する動作と、(7)前記動作(2)の後、前記ゲート電極におよび半導体基体に前記第1の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を接地し、前記第2の拡散領域を浮遊状態とする動作と、(8)前記動作(2)の後、前記ゲート電極および前記半導体基体に前記第1の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を浮遊状態とし、前記第2の拡散領域を接地する動作のいずれかを行うことを特徴とする請求項1記載の強誘電体メモリ。
【請求項4】
さらに前記ゲート電極に読出し電圧を印加し、前記第1の拡散領域に第1の読出しドレイン電圧を印加した状態で第1のドレイン電流を検出する第1の読み出し段階と、前記第1の読出し段階の後で実行され、前記ゲート電極に読出し電圧を印加し、前記第2の拡散領域に第2の読出しドレイン電圧を印加した状態で第2のドレイン電流を検出する第2の読出し段階を実行する読出し回路と、前記第1および第2のドレイン電流の組み合わせから、前記第1、第2および第3の領域に誘起された分極の組み合わせを求めるデータ判定回路と、を有することを特徴とする請求項1記載の強誘電体メモリ。
【請求項5】
強誘電体メモリへの多値データ記録方法であって、
前記強誘電体メモリは、第1導電型のチャネル領域を含む半導体基体上に、前記半導体基体中のチャネル領域に対応して、強誘電体膜を介して形成されたゲート電極と、前記半導体基体中、前記チャネル領域の両側にそれぞれ形成された、第2導電型の第1および第2の拡散領域とを含み、前記強誘電体膜中には、前記第1の拡散領域の近傍に位置する第1の領域と、前記第2の拡散領域の近傍に位置する第2の領域と、前記第1および第2の領域の中間に位置する第3の領域が含まれ、
前記記録方法は、
前記第1〜第3の領域に、独立に分極を誘起する手順を含むことを特徴とする多値データ記録方法。
【請求項6】
前記分極を誘起する手順は、前記第1、第2および第3の領域に、同一の分極を誘起する第1の段階と、前記第1の段階の後、前記第1、第2および第3の領域のいずれか一つの分極を反転させる第2の段階よりなることを特徴とする請求項5記載の多値データ記録方法。
【請求項7】
前記分極を誘起する手順は、(1)前記ゲート電極に第1の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域、および前記半導体基体を接地する手順と、(2)前記ゲート電極に第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域、および前記半導体基体を接地する手順と、(3)前記動作(1)の後、前記ゲート電極および前記第1および第2の拡散領域に前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記半導体基体を接地する手順と、(4)前記動作(2)の後、前記ゲート電極に前記第1の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1および第2の拡散領域を浮遊状態とし、前記半導体基体を接地する手順と、(5)前記動作(1)の後、前記ゲート電極および前記第1の拡散領域、および前記半導体基体に、前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第2の拡散領域を接地する手順と、(6)前記動作(1)の後、前記ゲート電極および前記第2の拡散領域、および前記半導体基体に、前記第2の極性の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を接地する手順と、(7)前記動作(2)の後、前記ゲート電極におよび半導体基体に前記第1の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を接地し、前記第2の拡散領域を浮遊状態とする手順と、(8)前記動作(2)の後、前記ゲート電極および前記半導体基体に前記第1の書き込み電圧を印加し、前記第1の拡散領域を浮遊状態とし、前記第2の拡散領域を接地する手順のいずれかよりなることを特徴とする請求項5記載の多値データ記録方法。
【請求項8】
強誘電体メモリからの多値データ読出し方法であって、
前記強誘電体メモリは、第1導電型のチャネル領域を含む半導体基体上に、前記半導体基体中のチャネル領域に対応して、強誘電体膜を介して形成されたゲート電極と、前記半導体基体中、前記チャネル領域の両側にそれぞれ形成された、第2導電型の第1および第2の拡散領域とを含み、前記強誘電体膜中には、前記第1の拡散領域の近傍に位置する第1の領域と、前記第2の拡散領域の近傍に位置する第2の領域と、前記第1および第2の領域の中間に位置する第3の領域が含まれ、
前記読出し方法は、
前記ゲート電極に読出し電圧を印加し、前記第1の拡散領域に第1の読出しドレイン電圧を印加した状態で第1のドレイン電流を検出する第1の読み出し段階と、
前記第1の読出し段階の後で実行され、前記ゲート電極に読出し電圧を印加し、前記第2の拡散領域に第2の読出しドレイン電圧を印加した状態で第2のドレイン電流を検出する第2の読出し段階と、
前記第1および第2のドレイン電流の組み合わせから、前記第1、第2および第3の領域に誘起された分極の組み合わせを求める段階と、を含むことを特徴とする多値データ読出し方法。
【請求項9】
前記第1の読出し段階では前記第2のドレイン領域が接地され、前記第2の読出し段階では、前記第1のドレイン領域が接地されることを特徴とする請求項8記載の多値データ読出し方法。
【請求項10】
前記第1の読出し段階は、前記第1のドレイン電流が、4段階の電流値のいずれに該当するかを検出する段階を含み、前記第2の読出し段階は、前記第2のドレイン電流が、前記4段階の電流値のいずれに該当するかを検出する段階を含むことを特徴とする請求項8または9記載の多値データ読出し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−108648(P2006−108648A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252504(P2005−252504)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】