形状測定装置
【課題】光学式のセンサー部によって測定する、被検物の形状測定の測定精度を向上させる。
【解決手段】被検物にライン光を照射する光照射部(91)およびライン光の照射方向とは異なる方向から被検物に照射されたライン光を検出する検出部(92)を有するセンサー部(20)と、互いに直交する座標系の座標軸方向それぞれに、センサー部(20)を移動させる移動部と、移動部に対してセンサー部(20)を回転可能に支持する回転機構と、座標系の基準位置を示す球を検出することにより、移動部に対するセンサー部(20)の回転方向を算出する回転方向算出部(359)と、を備える。
【解決手段】被検物にライン光を照射する光照射部(91)およびライン光の照射方向とは異なる方向から被検物に照射されたライン光を検出する検出部(92)を有するセンサー部(20)と、互いに直交する座標系の座標軸方向それぞれに、センサー部(20)を移動させる移動部と、移動部に対してセンサー部(20)を回転可能に支持する回転機構と、座標系の基準位置を示す球を検出することにより、移動部に対するセンサー部(20)の回転方向を算出する回転方向算出部(359)と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品等の物体の表面形状を測定する技術は従来から種々提案されており、接触式の測定プローブを用いて被検物の形状を三次元で測定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に係る形状測定装置においては、門柱状のフレーム部に保持された測定プローブが被検物に対してXYZ方向に移動可能な構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−160084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、測定プローブとしては、上述の接触式のものの他に、光切断方式を用いた非接触プローブがある。このような光学式の測定プローブ(センサー部)は、被検物に所定の投影パターン(スリット光や、縞模様)を投影して被検物を撮像し、その撮像画像から各画像位置(各画素)の基準面からの高さを算出し、被検物の三次元表面形状を測定するようになっている。
しかしながら、光学式の測定プローブの取り付け角度を正確に設定しないと、測定により取得された点群情報が示す形状に歪みが生じてしまい正確な測定を行うことができなかった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、光学式のセンサー部によって測定する、被検物の形状測定の測定精度を向上させることができる形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、被検物にライン光を照射する光照射部および前記ライン光の照射方向とは異なる方向から前記被検物に照射された前記ライン光を検出する検出部を有するセンサー部と、互いに直交する座標系の座標軸方向それぞれに、前記センサー部を移動させる移動部と、前記移動部に対して前記センサー部を回転可能に支持する回転機構と、前記座標系の基準位置を示す球を検出することにより、前記移動部に対する前記センサー部の回転方向を算出する回転方向算出部と、を備えることを特徴とする形状測定装置提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光学式のセンサー部によって測定する、被検物の形状測定の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の形状測定装置に係る一実施形態の構成例を示す斜視図である。
【図2】本実施形態における形状測定装置の構成を示す側面図である。
【図3】本実施形態における回転機構の要部構成を示す図である。
【図4】本実施形態におけるロック状態判定部の要部構成を示す図である。
【図5】本実施形態における形状測定装置100の構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態におけるセンサー部20の取り付け角度を検出するまでの処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態における球19に対するスキャン位置を示す図である。
【図8】本実施形態におけるセンサー部20の取り付け方向を変更した場合のライン光の状態を示す図である。
【図9】図8と同様にセンサー部20の取り付け方向を変更した場合の中心座標の位置を示す図である。
【図10】本実施形態におけるプローブ座標系を示す図である。
【図11】本実施形態におけるセンサー部20におけるプローブ座標系を示す図である。
【図12】本実施形態における円中心座標(中心位置)の軌跡をプローブ座標系で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の形状測定装置の一実施形態に係る構成について説明する。なお、本実施形態は、発明の要旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各要請要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0010】
図1は、本発明の形状測定装置に係る一実施形態の構成例を示す斜視図であり、図2は側面図である。本実施形態に係る形状測定装置は、光切断法を用いることで、被検物の表面に一本のライン光からなるライン状投影パターンを投影し、ライン状投影パターンを被検物表面の全域を走査させる毎に投影方向と異なる角度から被検物に投影されたライン状投影パターンを撮像する。そして、撮像された被検物表面の撮像画像よりライン状投影パターンの長手方向の画素毎に三角測量の原理等を用いて被検物表面の基準平面からの高さを算出し、被検物表面の三次元形状を求める装置である。
【0011】
図1、2に示すように、形状測定装置100は、本体部11と、傾斜回転テーブル14と、被検物の形状を測定するためのセンサー部20と、センサー部20を移動させる移動部30と、センサー部20を移動部30に対して回転させる回転機構40と、を有している。図1に示される範囲を、測定装置本体110という。形状測定装置100は、測定装置本体110に付帯する制御部500を備える。
【0012】
本体部11は、架台12と、該架台12上に載置される定盤13とを含む。架台12は、形状測定装置100全体の水平度を調整するためのものである。定盤13は、石製または鋳鉄製からなるものであり、上面が架台12により水平に保たれたものとなっている。この定盤13の上面には、傾斜回転テーブル14と、球19とが載置されている。
【0013】
以下、互いが直交する3方向により規定されるXYZ座標系を用いて形状測定装置100の構成について説明する。ここで、XY平面とは定盤13の上面と平行な面を規定するものである。すなわち、X方向とは定盤13上における一方向を規定するものであり、Y方向とは定盤13の上面においてX方向に直交する方向を規定するものであり、Z方向とは定盤13の上面に直交する方向を規定するものである。
球19は、測定可能な空間の任意の位置に石常盤8の上に固定されており、その設置座標は、XYZ座標系において既知の座標として予め計測されている。
【0014】
傾斜回転テーブル14は、被検物200が上面に載置される回転テーブル21、回転テーブル21の上面に対して垂直なZ軸方向(センサー20から被検物200に向かう方向)に延びる回転軸L1を中心として回転テーブル21が回転可能に装着される傾斜テーブル22、並びに、X軸方向(回転軸L1と交差する方向)に延びる傾斜軸L2を中心に傾斜テーブル22を回転可能に支持する支持部23および24を備えて構成される。回転テーブル21は円形の板状の部材であり、上面の平面度が高精度に規定されている。
【0015】
傾斜テーブル22は、回転軸駆動モータ22aを内蔵しており、回転軸駆動モータ22aは、回転軸L1を中心として回転テーブル21を回転駆動する。回転テーブル21は、中央部分に形成されている複数の貫通穴(不図示)を介して、複数のボルトにより回転軸駆動モータ22aのシャフトに連結されている。
【0016】
また、支持部23は、傾斜軸駆動モータ23aを内蔵しており、傾斜軸駆動モータ23aは、傾斜軸L2を中心として傾斜テーブル22を回転駆動することで、回転テーブル21を水平面に対して所定の傾斜角度で傾斜させる。
【0017】
このように、傾斜回転テーブル14では、回転テーブル21を回転させ、傾斜テーブル22を傾斜させることで、回転テーブル21に載置される被検物200を任意の姿勢で保持できるようになっている。なお、回転テーブル21は、傾斜テーブル22の傾斜角度が急勾配になっても被検物200がずれないように、被検物200を固定することができるように構成されている。
【0018】
センサー部20は、傾斜回転テーブル14に載置される被検物200に光切断を行うためのライン光を照射する照射部91と、ライン光が照射されることで光切断面(線)が現れた被検物200の表面を検出する検出部92と、を主体に構成される。また、センサー部20には、検出部92により検出された画像データに基づいて被検物の形状を測定する演算処理部300が接続されている。演算処理部300は、形状測定装置100における全体の駆動を制御するための制御部500に含まれる。
【0019】
照射部91は、図示しないシリンドリカルレンズや細い帯状の切り欠きを有したスリット板等から構成され、光源からの照明光を受けて扇状のライン光91aを生じさせるものである。光源としては、LEDやレーザー光源・SLD(super luminescent diode)等を用いることができる。LEDを用いた場合は安価に光源を形成することができる。また、レーザー光源を用いた場合、点光源であるため収差の少ないライン光を作ることができ、波長安定性に優れ半値幅が小さいため、迷光カットに半値幅の小さいフィルターが使えるため、外乱の影響を少なくすることができる。また、SLD(super luminescent diode)を用いた場合は、レーザー光源の特性に加え可干渉性がレーザー光よりも低いため被検物面でのスペックルの発生を抑えることができる。
【0020】
検出部92は、照射部91の光照射方向とは異なる方向から被検物200の表面に投影されるライン光91aを撮像するためのものである。また、検出部92は、図示しない結像レンズやCCD等から構成され、後述のように移動部30を駆動させてライン光91aが所定間隔走査される毎に被検物200を撮像するようになっている。なお、照射部91および検出部92の位置は、被検物200の表面上のライン光91aの検出部92に対する入射方向と、照射部91の光照射方向とが、所定角度θをなすように規定されている。本実施形態では、上記所定角度θが例えば45度に設定されている。
検出部92で撮像された被検物200の画像データは、演算処理部300に送られ、ここで所定の画像演算処理がなされて被検物200の表面の高さが算出され、被検物200の三次元形状(表面形状)が求められるようになっている。演算処理部300は、被検物200の画像において、被検物200の凹凸に応じて変形したライン光91aによる光切断面(線)の位置情報に基づき、光切断面(線)(ライン光91a)が延びる長手方向の画素毎に三角測量の原理を用いて被検物200表面の基準平面からの高さを算出し、被検物200の三次元形状を求める演算処理を行う。
【0021】
移動部30は、被検物200に投影されたライン光91aの長手方向と略直角な方向にセンサー部20(照射部91)を移動させることで、ライン光91aを被検物200の表面に走査させるためのものである。本実施形態に係る形状測定装置100では、後述のように形状測定者により指定された方向にセンサー部20が移動部30により移動されるようになっている。なお、センサー部20の回転角度を検出し、該検出結果に基づいて移動部30の移動方向を自動的に算出する構成であっても構わない。
【0022】
移動部30は門型フレーム15を主体として構成されている。なお、定盤13は、端部(図2では右側の端部)が、定盤13上をY軸方向に門型フレーム15を駆動させるY軸ガイドを兼ねるように構成されている。
【0023】
門型フレーム15は、X軸方向に延びるX軸ガイド15a、定盤13のY軸ガイドに沿って駆動する駆動側柱15b、および駆動側柱15bの駆動に従って定盤13の上面を滑動する従動側柱15cにより構成されている。
【0024】
ヘッド部16は、門型フレーム15のX軸ガイド15aに沿ってX軸方向に沿って駆動可能とされている。ヘッド部16には、該ヘッド部16に対してZ軸方向に駆動可能なZ軸ガイド17が装着されている。Z軸ガイド17の下端部にはセンサー部20が装着されている。
【0025】
ところで、本実施形態に係る形状測定装置100のように光切断法を用いる場合、センサー部20の照射部91から被検物200に照射されるライン光91aが、センサー部20の移動方向(以下、スキャン方向と称す。)と直交する方向に配置させるのが望ましい。例えば、図2において、被検物200に対するセンサー部20のスキャン方向をY軸方向に設定した場合、ライン光91aをX軸方向に沿って配置するのが望ましい。センサー部20とライン光91aの出射方向とをこのような関係に設定すると、測定時にライン光91aの全域を有効に利用したスキャンを行うことができ、被検物200の形状を最適に測定できるためである。
【0026】
本実施形態に係る形状測定装置100は、上述したように、センサー部20が移動部30により被検物200に対して移動可能とされている。移動部30は上述した門型フレーム15を主体として構成されるため、移動部30に取り付けられたセンサー部20の照射部91から照射されるライン光91aのスキャン方向は、被検物200に対し、原則としてX方向、Y方向、およびZ方向のいずれかに制約される。
【0027】
そこで、本実施形態に係る形状測定装置100では、Z軸ガイド17とセンサー部20との間に上記回転機構40を配置し、センサー部20を移動部30に対して回転可能な構成としている。これにより、形状測定装置100は、上述のようにセンサー部20のスキャン方向と直交方向にライン光91aを配置可能となっている。
【0028】
図3は回転機構40の要部構成を示す図であり、図3(a)は上面図、図3(b)は側面図である。回転機構40は、図3に示すように、取付部41と、回転部42と、ロック部43と、ロック状態判定部44と、を有している。センサー部20は回転部に設けられる回転軸42aの一端側に取り付けられている。本実施形態では回転軸42aにおける回転中心軸C1が照射部91から照射されるライン光91aの中心軸C2と一致するようにセンサー部20が回転軸42aに取り付けられている。
【0029】
回転部42は、センサー部20を移動部30に対して回転可能に保持する回転軸42aと、回転軸42aが所定角度だけ回転する毎に当該回転軸42aの回転動作を一時的に規制する回転規制部60と、を有している。
【0030】
回転規制部60は、回転軸42aの外周に形成された歯型溝61と、取付部41に設けられるボールプランジャ62と、を含む。歯型溝61は、回転軸42aの外周に例えば7.5°おきに形成されている。このような構成に基づき、回転軸42aは、7.5°回転する毎にボールプランジャ62が歯型溝61に係合するため、回転軸42aの回転動作に負荷がかかるようになり、作業者の手にクリック感を感じさせることができるようになっている。よって、作業者は、手に感じたクリック感の回数に応じて、回転軸42aの回転角度を容易に把握することが可能となっている。
【0031】
なお、取付部41には、回転軸42aの回転角度を示す回転指標部45が設けられている。回転指標部45には、例えば目盛りが設けられており、回転軸42aが上述のように7.5°回転する毎に、7.5°、15°、22.5°…等のように回転角度の値を表示するようになっている。これにより、形状測定者は、回転指標部45の目盛りを目視することで、回転軸42aの回転角度を所定値に簡便且つ確実に設定することが可能となっている。
【0032】
回転機構40は、図3(a)に示すように、回転軸42aの回転によりセンサー部20が0°〜120°の範囲で移動するようになっている。センサー部20が0°位置に配置されると、照射部91および検出部92がX軸方向に沿って配置される。また、センサー部20が90°位置に配置されると、照射部91および検出部92がY軸方向に配置される。センサー部20が回転すると、同図に示されるように被検物200の表面上に照射されるライン光91aの向きが変化する。
【0033】
本実施形態に係る形状測定装置100は、回転軸42aにおける回転中心軸と、照射部91から照射されるライン光91aの中心軸とが一致した状態となっているので、回転後に被検物200に対するライン光91aの測定開始位置(測定中心位置)がXY平面内でずれることが防止されている。このように回転後に被検物200に対するライン光91aの測定開始位置がXY平面内でずれないため、被検物200の端部においてセンサー部20の向きを変更した場合であっても、ライン光91aが被検物200の表面から外れた位置に照射されてしまうことが防止されている。なお、本実施形態の係る形状測定装置100はライン光91aが被検物200の測定面の垂線方向から照射されているため、測定精度が向上するとともにライン光91aの中心軸と回転機構40の回転中心軸とを一致させることで、スキャン方向と直交する方向とライン光91aの延在方向を合わせることができる。また、被検物の測定対象の幅が広い場合など、ライン光91aの中心以外を測定対象に合わせたい場合がある。そのような場合は、回転に加えてX方向とY方向とに平行移動する変位機構を設け、被検物に照射されているライン光91aの一部の照射位置を保ちながらライン光91aの延在方向が変わるようにセンサー部20を変位することにより所望の位置と方向にライン光91aを合わせることができる。
【0034】
ロック部43は、取付部41に取り付けられ、回転軸42aを挿通させる固定部71と、該固定部71に取り付けられたロックレバー72と、を含む。回転軸42aは軸受け部50により取付部41に対して滑らかに回転可能とされている。固定部71は、例えばロックレバー72が下方(−Z方向)に移動された場合に回転軸42aを締め付け、回転軸42aが取付部41に対して回転しないように固定するようになっている。一方、固定部71は、ロックレバー72が上方(+Z方向)に移動された場合に回転軸42aを締め付けることがなく、回転軸42aが取付部41に対して回転可能とされる。
【0035】
図4はロック状態判定部44の要部構成を示す図であり、図4(a)はロック状態判定部44によるロック非検出状態を示す図であり、図4(b)はロック状態判定部44によるロック検出状態を示す図である。
ロック状態判定部44は、図4(a)に示すようにロックレバー72の先端に取り付けられたセンサー検出用板部44aと、該センサー検出用板部44aに接触するタッチセンサー44bとを含む。センサー検出用板部44aは、ロックレバー72が回転軸42aを良好に締め付け可能な位置に移動した際、タッチセンサー44bに接触するようになっている。タッチセンサー44bは、形状測定装置100の全体の駆動の制御を行う制御部500に電気的に接続されている。
【0036】
タッチセンサー44bは、所定位置に配置されたセンサー検出用板部44aに接触可能な接触部44cを有している。接触部44cは、センサー検出用板部44aにより押圧可能な構成とされている。
【0037】
接触部44cは、図4(b)に示すように所定の位置まで押圧された時にON信号を制御部500に通知するようになっている。一方、接触部44cは、所定の位置まで押圧されていない時にOFF信号を制御部500に通知するようになっている。ここで、ON信号が通知される場合とは、ロックレバー72による回転軸42aの締め付けが十分であることを意味し、OFF信号が通知される場合とは、ロックレバー72による回転軸42aの締め付けが不十分であることを意味する。
【0038】
制御部500は、ON信号が通知されると、形状測定装置100の表示部(不図示)に回転軸42aのロック状態が良好(例えば、OK等)である旨を表示するようになっている。一方、制御部500は、OFF信号が通知されると、形状測定装置100の表示部(不図示)に回転軸42aのロック状態が不良(例えば、NO等)である旨を表示するようになっている。これにより、回転軸42aのロック状態が不良のままで、被検物200の形状測定が開始されるといった不具合の発生が防止されたものとなっている。
【0039】
このような構成に基づき、形状測定装置100は、センサー部20にガタツキが生じることなく、照射部91からライン光91aを被検物200の所定方向に向けて照射できるようになっている。
【0040】
続いて、形状測定装置100の動作として、被検物200の形状を測定する方法について以下に説明する。
はじめに、形状測定者は、回転テーブル21に被検物200を載置し、被検物200に照射されるライン光91aが所定方向を向くように回転機構40によりセンサー部20を移動部30に対して回転させる。
【0041】
形状測定者(ユーザ)は、回転規制部60のクリック感の回数および回転機構40に設けられた上記回転指標部45の目盛りの少なくともいずれかを参照して、回転軸42a(センサー部20)の回転角度を所定値に容易に設定することができる。
【0042】
なお、センサー部20を回転させる際、照射部91から被検物200に対してライン光91aを照射した状態のまま行うようにしても構わない。この場合、形状測定者は、被検物200に投影されるライン光を目安として、センサー部20における回転角度の設定をより容易に行うことが可能となる。
【0043】
形状測定者は、回転軸42aを所定角度回転させた後、ロック部43を用いて回転軸42aを固定する。具体的には、形状測定者は、ロックレバー72を下方に移動することで回転軸42aを締め付け、回転軸42aを確実に固定することができる。これにより、後述の形状測定時にセンサー部20が移動部30により移動する途中に、回転軸42aが動くことでセンサー部20の照射部91から被検物200に照射されるライン光の位置がずれるといった不具合の発生を防止できる。
【0044】
本実施形態では、形状測定装置100は、上述のようにして設定したセンサー部20における回転軸42aの回転角度(取付角度)を、センサー部20が球19をスキャン(走査)することにより検出し、検出した回転角度情報を保持する。形状測定装置100は、被検物200に照射されたライン光91aの長手方向と略直角な方向にセンサー部20(照射部91)を移動させるように移動部30を駆動し、ライン光91aにより被検物200の表面に走査させる。
【0045】
被検物200にライン光91aが照射されると、被検物200の表面にライン光91aによる光切断面(線)が現れるため、検出部92により、ライン光91aが所定間隔走査される毎に(光切断面が現れた)被検物200を撮像する。このとき、検出部92で撮像された被検物200の画像データは、演算処理部300に送られる。
【0046】
このようにして得られた被検物200の画像データから、演算処理部300は被検物200の凹凸に応じて変形したライン光91aによる光切断面(線)の位置情報に基づいて、光切断面(線)(ライン光91a)が延びる長手方向の画素毎に、三角測量の原理を用いて被検物200表面の基準平面からの高さを算出し、被検物200の三次元形状を測定することができる。
【0047】
図5は、本発明の一実施形態による形状測定装置100の構成を示すブロック図である。図1から図4と同じ構成には、同じ符号を附す。
形状測定装置100は、測定装置本体110と制御部500とを備える。
測定装置本体110は、駆動部116と、位置検出部117と、センサー部20とを備える。
駆動部116は、ヘッド駆動部114とテーブル駆動部133とを備える。
ヘッド駆動部114は、門型フレーム15内部に設けられ、入力される駆動信号に基づいて、門型フレーム15をY方向に駆動するY軸用モータ、ヘッド部16をX方向に駆動するX軸用モータ、およびZ軸ガイド17をZ方向に駆動するZ軸用モータを備える。ヘッド駆動部114は、後述の駆動制御部354から供給される駆動信号を受け取る。ヘッド駆動部114は、それら駆動信号に基づき移動部30の位置を3方向(X、Y、Z方向)に電動で移動させる。
【0048】
テーブル駆動部133は、回転テーブル21を回転軸L1回りに回転駆動する前述の回転軸駆動モータ22aおよび回転軸L2回りに回転駆動する前述の傾斜軸駆動モータ23aを備える。テーブル駆動部133は、駆動制御部354から供給される駆動信号を受け取る。テーブル駆動部133は、その駆動信号に基づき回転テーブル21を回転軸L1、L2回りに、電動でそれぞれ回転させる。
【0049】
位置検出部117は、ヘッド位置検出部115と、テーブル位置検出部134とを備える。
ヘッド位置検出部115は、門型フレーム15内部に設けられ、移動部30のX軸、Y軸、およびZ軸方向の位置をそれぞれ検出するX軸用エンコーダ、Y軸用エンコーダ、およびZ軸用エンコーダを備える。ヘッド位置検出部115は、それらのエンコーダによって移動部30の位置を検出し、移動部30の位置を表す信号を後述の座標検出部351へ供給する。
【0050】
テーブル位置検出部134は、回転テーブル21の回転軸L1、L2回りの回転位置をそれぞれ検出するロータリ軸用エンコーダおよびチルト軸用エンコーダを備える。テーブル位置検出部134は、それらのエンコーダを用いて、回転テーブル21の回転軸L1、L2回りの回転位置を検出し、検出した回転位置を表す信号を座標検出部351へ供給する。
【0051】
センサー部20は、三次元形状を有している被検物200の表面形状を検出する。
センサー部20は、光切断方式により被検物200の表面形状を求めるために、前述の照射部91と検出部92とを備えて構成される。照射部91は、後述の間隔調整部352から供給される光の照射を制御する制御信号に基づき、被検物200に直線上の光があたるように、被検物200に直線状のスリット光(ライン状の光)を照射する。
検出部92は、照射部91の照射方向に対して、光軸を所定角度ずらして配置される。検出部92は、照射部91からの照射光により被検物200の表面に形成される光切断線を撮像する。ここで、光切断線は、被検物200の断面形状に応じて形成される。検出部92は、被検物200の表面に形成される陰影パターンを撮像し、撮像した画像情報を間隔調整部352へ供給する。これにより、制御部500は、形状測定データを取得する。検出部92は、CCD(Charge Coupled Device)、C−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーなどの個体撮像素子を備えている。
【0052】
続いて、制御部500について説明する。
制御部500は、演算処理部300と、入力装置542と、ジョイスティック543と、モニタ544とを備える。
入力装置542は、ユーザが各種指示情報を入力するキーボードなどを備える。入力装置542は、入力された指示情報を検出し、検出した指示情報を記憶部355に書き込み記憶させる。
ジョイスティック543は、ユーザの操作を受けて、その操作に応じて移動部30の移動や回転テーブル21を駆動させる制御信号を生成して駆動制御部354へ供給する。このように、ジョイスティック543は、指定領域においてセンサー部20を配置させる状態を示す情報を検出し、検出した情報に基づいてセンサー部20を配置させる制御指令情報として、入力することができる。
モニタ544は、データ出力部357から供給された測定データ(全測定ポイントの座標値)等を受け取る。モニタ544は、受け取った測定データ(全測定ポイントの座標値)等を表示する。また、モニタ544は、計測画面、指示画面等を表示する。
【0053】
演算処理部300は、座標検出部351と、間隔調整部352と、座標算出部353と、駆動制御部354と、記憶部355と、移動指令部356と、データ出力部357と、回転方向算出部359とを備える。
【0054】
座標検出部351は、ヘッド位置検出部115から出力される座標信号によって、センサー部20および回転テーブル21の位置、すなわち水平方向における観察位置(光軸中心位置)と上下方向における観察位置とを検知する。また、座標検出部351は、テーブル位置検出部134から出力される回転位置を表す信号によって、回転テーブル21の回転軸L1、L2回りの回転位置を検知する。座標検出部351は、それぞれ検知された水平方向における観察位置(光軸中心位置)と上下方向における観察位置の情報と、テーブル位置検出部134から出力される回転位置を表す情報(回転テーブル21の回転位置情報)とから、座標情報を検出する。そして、座標検出部351は、センサー部20の座標情報と回転テーブル21の座標情報と回転位置情報とを座標算出部353へ供給する。
また、座標検出部351は、センサー部20の座標情報と回転テーブル21の座標情報と回転位置情報とに基づいて、センサー部20と回転テーブル21との相対的な移動経路、移動速度などを検出する。
【0055】
間隔調整部352は、座標計測開始前に記憶部355からサンプリング周波数を指定するデータを読み出す。間隔調整部352は、そのサンプリング周波数で、検出部92から画像情報を受け取る。
【0056】
座標算出部353は、間隔調整部352から供給されたフレームが間引かれた画像情報を受け取る。座標算出部353は、座標検出部351から供給されたセンサー部20の座標情報と、回転テーブル21の回転位置情報を受け取る。座標算出部353は、間隔調整部352から供給された画像情報と、センサー部20の座標情報と、回転テーブル21の回転位置情報とに基づき、各測定ポイントの座標値(三次元座標値)の点群データを算出する。
【0057】
具体的な算出方法は以下の通りである。まず、座標算出部353は、受け取ったセンサー部20の座標から、センサー部20に固定された照射部91の座標と、検出部92の座標を算出する。
ここで、照射部91はセンサー部20に固定されているので、照射部91の照射角度は、センサー部20に対して固定である。また、検出部92もセンサー部20に固定されているので、検出部92の撮像角度は、センサー部20に対して固定である。
【0058】
座標算出部353は、照射した光が被検物200にあたった点を、撮像された画像の画素毎に、三角測量を用いて算出する。ここで、照射した光が被検物200にあたった点の座標は、照射部91の座標から照射部21の照射角度で描画される直線と、検出部92の座標から検出部92の撮像角度で描画される直線(光軸)とが交わる点の座標である。なお、上記の撮像された画像は、測定位置に配置されたセンサー部20によって検出された画像を示す。
これによって、被検物に照射されるスリット光を所定の方向に走査させることにより、光が照射された位置の座標を算出することができる。
また、被検物200は、回転テーブル21に支持されている。被検物200は、回転テーブル21が回転軸周りに回転することにより、回転テーブル21の回転軸を中心に一緒に回転する。つまり、算出された光が照射された位置の座標は、回転テーブル21の回転軸中心に回転したことによって姿勢が傾けられた被検物200の表面の位置を示す情報である。よって、光が照射された位置の座標を、回転テーブル21の傾き、即ち回転軸周りの回転位置情報に基づいて、回転テーブル21の傾きを補正することにより、実際の被検物200の表面形状を求めることができる。
また、座標算出部353は、算出した三次元座標値の点群データを記憶部355に保存する。
【0059】
記憶部355は、入力装置542から供給された各種指示情報を測定条件テーブルとして保持する。ここで、測定条件テーブルは、測定条件や測定手順等の所定の移動指令データ、被検物200の測定位置と測定手順とを示す指定領域の測定ポイントの座標値と回転テーブル21の回転位置、被検物200の測定開始点(最初の測定ポイント)および測定終了点(最後の測定ポイント)等の座標値、測定開始位置での測定目標方向、各測定ポイントの間隔(例えば、一定間隔の測定ピッチ)を表すデータなどの項目を備える。
【0060】
例えば、被検物200の測定位置と測定手順とを示す指定領域の測定ポイントの座標値と回転テーブル21の回転位置は、次に示す処理により算出される。
測定ポイントの座標値と回転テーブル21の回転位置は、被検物200の指定領域を指定する測定ポイント毎に、ユーザによって入力された情報に基づいて、測定ヘッド13および回転テーブル21を駆動して、被検物200およびセンサー部20を所望の姿勢にそれぞれ位置決めした位置により算出される。
より具体的には、駆動制御部354から供給された各測定ポイントの座標値(三次元座標値)に基づいて、座標算出部353が、当該測定ポイントの座標値を算出する。座標算出部353が算出する当該測定ポイントの座標値は、入力装置542による当該座標値のキー入力の他、予めジョイスティック543の操作によって移動部30を移動させ、および回転テーブル21を駆動させ、被検物200およびセンサー部20を所望の姿勢に位置決めした位置により算出される。
座標検出部351は、位置決めされた姿勢の状態における、センサー部20の座標情報と、回転テーブル21の回転位置情報とを検出して座標算出部353へ供給する。座標算出部353は、センサー部20の座標情報と、回転テーブル21の回転位置情報を記憶部355に書き込み保存する。
また、被検物200の測定開始点(最初の測定ポイント)および測定終了点(最後の測定ポイント)等の座標値は、座標検出部351により、被検物200の指定領域の測定ポイントの座標値に基づいて生成され、記憶部355に書き込まれる。
【0061】
また、記憶部355は、座標算出部353から供給された三次元座標値の点群データを測定データとして保持する。また、記憶部355は、座標検出部351から供給された各測定ポイントの座標値(三次元座標値)の点群データを保持する。また、記憶部355は、設計データ(CADデータ)を保持する。
【0062】
駆動制御部354は、ジョイスティック543からの操作信号に基づいて、または、移動指令部356からの指令信号に基づいて、ヘッド駆動部114およびテーブル駆動部133に駆動信号を出力して、移動部30を移動させ、および回転テーブル21の駆動させる制御を行う。
また、駆動制御部354は、ジョイスティック543からの操作信号に基づいて、登録位置として設定された移動部30および回転テーブル21の位置情報を記憶部355に書き込み記憶させる。つまり、駆動制御部354は、移動部30に支持されているセンサー部20の位置を間接的に取得することができる。
【0063】
移動指令部356は、記憶部355から測定条件テーブルに登録された被検物200の測定開始点(最初の測定ポイント)および測定終了点(最後の測定ポイント)等を読み出す。移動指令部356は、被検物200の測定開始点および測定終了点から、被検物200に対するスキャンの移動経路を算出する。
移動指令部356は、算出した移動経路に従って、測定ヘッド13および回転テーブル21を駆動させるべく、駆動制御部354を介してヘッド駆動部114とテーブル駆動部133とに移動指令を送信する。また、移動指令部356は、移動指令等に基づいて、間隔調整部352に制御信号を供給してセンサー部20の光学系の制御を行う。
【0064】
データ出力部357は、記憶部355から測定データ(全測定ポイントの座標値)等を読み出す。データ出力部357は、その測定データ(全測定ポイントの座標値)等をモニタ544に供給する。また、データ出力部357は、測定データ(全測定ポイントの座標値)等をプリンタ(不図示)へ出力する。
【0065】
回転方向算出部359は、XYZ座標系の基準位置を示す球19をスキャンすることにより検出される画像データに基づいて、球19の表面座標を検出する。これにより、回転方向算出部359は、移動部30に対して回転して支持されているセンサー部20の回転方向を算出する。つまり、回転方向算出部359は、センサー部20が球19を検出して得られた1つの画像において示される点群情報を記憶部355から読み出して、その点群情報に基づいて近似される円を生成する。即ち、回転方向算出部359は、所定の大きさの円にフィッティングさせる円フィッティングを行う。回転方向算出部359は、センサー部20が球19を検出して得られた複数の画像データに基づいて、近似される円の中心の位置情報を算出する。回転方向算出部359は、それぞれ算出した円の中心の位置情報に基づいて直線近似を行い、円の中心の軌跡が示す角度を算出する。回転方向算出部359は、近似直線が示す角度(傾き)に基づいて、センサー部20の取り付け角度を算出する。
【0066】
図6から図11を参照し、センサー部20における回転軸42aの回転角度(取付角度)を変更後、基準となる球19をスキャンしセンサー部20の取り付け角度を検出するまでの処理の手順を説明する。
図6は、センサー部20の取り付け角度を検出するまでの処理の手順を示すフローチャートである。
まず、形状測定装置100は、球19をスキャンするスキャン開始位置に、センサー部20を移動させる。
図7は、球19に対するスキャン位置を示す図である。この図には、球19を上面視した状態が示される。
この図のライン光(l1からln)は、便宜的に回転機構40においてセンサー部20の取り付け角度を0度に設定した場合を示してある。
図7に示すように、ライン光の中心位置(プローブ座標原点)が球19をX軸とY軸にそれぞれ45度方向(Scan45°)の角度を保ち、X+、Y+方向(右肩上がり)に横断するように、順にスキャンを行えるような最適な開始位置を、ユーザは、形状測定装置100に設定する。ユーザは、最適な開始位置を、球19の既知の座標に基づいて、球19を横断するように算定し、形状測定装置100に設定する。
形状測定装置100は、その設定されたスキャン開始位置を、ティーチングされた位置情報を示すティーチングファイルに保持させる。ティーチングとは、センサー部20がスキャンする経路を示す位置情報を形状測定装置100に保持させる処理である。
【0067】
形状測定装置100のティーチングを行う場合、移動指令部356は、駆動制御部354により直交軸、回転機構を駆動させて移動部30を移動させることにより、センサー部20を球19の測定開始位置に移動させる。
ユーザは、センサー部20から照射される光切断線が被測定物の測定開始位置に照射されるように6軸を移動ツマミ、またはジョイスティック543を用いて調整する。
この時、光切断線はセンサー部20内の検出部92によって検出された画像データから検出された光切断線の位置をモニタ544に表示する。これにより、ユーザは、光切断線の位置を検出された画像の中心に撮像されるように微調整が可能である。
センサー部20は、形状測定装置100への取り付け前に単体校正が実施されており、光切断線が計測カメラの中心位置にある時がワーキングディスタンスの中心となるように予め校正されている。
このように、形状測定装置100は、予めティーチングされることにより、角度検出動作時には、記憶部355のティーチングファイルに保持されている予めティーチングされた開始位置情報を基にスキャン開始点へ、センサー部20を移動させる(ステップS10)。
【0068】
次に、入力装置542は、ユーザによって指定されたスキャン方向を記憶部355に書き込んで登録する。
入力装置542は、指定されたスキャン方向を、スキャン開始位置同様にティーチングファイルのデータとして予め記憶部355に保持させる。設定されるスキャン方向は、0〜90度の取り付け可能範囲内で設定できる。望ましいスキャン方向は、有効な点群数をできるだけ多く生成できるように、0〜90度の取り付け可能範囲内に対し、中間位置の45°とする(ステップS20)。
【0069】
次に、入力装置542は、ユーザによって指定されたスキャンピッチを記憶部355に書き込んで登録する。
入力装置542は、指定されたスキャンピッチをスキャン開始位置同様にティーチングファイルのデータとして予め記憶部355に保持させる。例えば、スキャンピッチの値は、デフォルト値として100μm(マイクロメートル)にする。このスキャンピッチの値は、球19の大きさ、必要とされる設定精度に応じて変更することができる(ステップS30)。
【0070】
次に、形状測定装置100は、センサー部20をスキャンさせて、スキャン範囲分の画像を取得する。センサー部20は、指定されたスキャン範囲分における球19の画像を取得する。
図8を参照し、センサー部20の取り付け方向を変更した場合のライン光と球19の関係を説明する。
図8は、センサー部20の取り付け方向を変更した場合のライン光の状態を示す図である。
センサー部20の取り付け角度を、図8(a)は0度、図8(b)は45度、図8(c)は90度とした場合のライン光と球19の関係を示す。
この図に示される座標系はワールド座標系によって示されており、紙面右がX軸、上がY軸、紙面から飛び出る方向がZ軸である。図示される直線は、球19を上面視したライン光を示す。また、複数の直線本は、スキャン方向を45度方向に設定し、指定されたピッチでセンサ部20を移動させて画像を取得した位置における、それぞれのライン光の軌跡を示す。
【0071】
図6に戻り、次に、座標算出部353は、センサー部20が球19を検出して、取得した画像に基づいて3次元点群情報を生成する。座標算出部353は、取得した画像から、画像信号が示す輝度値が高いピーク位置を検出する。回転方向算出部359は、座標算出部353によって検出されたピーク位置に基づいて、センサー部20によって検出された情報から位置情報に変換する変換テーブルによる点群変換を行い、3次元点群情報を生成する。なお、センサー部20によって検出された情報から位置情報に変換する変換テーブルは、予め記憶部355に記憶されている(ステップS50)。
【0072】
次に、回転方向算出部359は、得られた1画像において、生成された3次元点群情報によって示される1ライン(光切断線)をプローブ座標系のYZ平面上の円としてフィッティングする。
ところで、センサー部20の取り付け方向が不定である場合、ライン光の向きも不定である。このため、スキャンピッチによって間隔が定められてスキャンされた結果によって示されるラインであっても、各ライン(光切断線)の相互の位置関係は不明である。
しかしながら、それぞれの1ライン(光切断線)においては、球19をスキャン(測定)して生成されていることにより、センサー部20の取り付け方向、すなわちライン光の向きに係らず円(真円)であることが保証される。
そこで、回転方向算出部359は、ライン毎に取得した3次元点群情報を、プローブ座標系YZ平面上の円としてフィッティングを行い、フィッティングして生成された円の中心座標を算出する(ステップS60)。
【0073】
フィッティングして生成された円の中心座標について説明する。
図9は、図8と同様にセンサー部20の取り付け方向を変更した場合の中心座標の位置を示す図である。
図9(a)は0度、図9(b)は45度、図9(c)は90度とした場合のライン光と球19の関係を示す。
この図に示される座標系はワールド座標系によって示されており、紙面右がX軸、上がY軸、紙面から飛び出る方向がZ軸である。直線は、球19を状面視したライン光を示しており、複数本が描かれているのはスキャン方向を45度方向に設定し、指定されたピッチで移動した画像を取得する位置における、それぞれのライン光の軌跡である。
ライン毎に算出した中心座標位置を基に繋いだ線を、図中に矢印で示す。
【0074】
ここで、プローブ座標系について説明する。
図10は、プローブ座標系を示す図である。
この図に示されるセンサー部20において、照射部91から照射されたライン光91aの軸と検出部92の光軸92aが交わる点を原点として、ライン光91aの照射方向と逆向きの方向をZ+方向、紙面右をX+方向、紙面奥をY+方向としたプローブ座標系が定義されている。
例えば、検出部92が、(1024×1024)画素のCCDカメラを備える場合には、CCDカメラが、ライン光91aによって描かれる光切断線の長手方向をCCDカメラの垂直走査方向として撮像し、最大輝度位置の検出をCCDカメラの水平走査方向に行うことにより、最大1024個のピーク位置を1画面内の情報から検出することができる。
これにより、予めセンサー部20が単体校正された状態では、撮像された画像内の精密な水平画素の位置から、校正データを基にした補正演算により、光切断面内のプローブ座標系での3次元座標が生成可能である。仮に、センサー部20が単体校正された状態に校正誤差が含まれる場合であっても、撮像された画像内の精密な水平画素の位置から生成された校正データを基にした補正演算により補正することができる。本実施形態に示すセンサー部20は、このような校正誤差がなく校正されているものとし、補正演算の詳細に関しては説明を省略する。
【0075】
続いて、ワールド座標系について説明する。
プローブ座標系として生成された点群情報の座標は、ヘッド位置検出部115によって検出されたX、Y、Zの3軸方向のエンコーダの位置情報、および、センサー部20の取り付け角度情報を加味した演算を、回転方向算出部359が行い、ワールド座標系に変換される。つまり、ワールド座標系は、図1に示された形状測定装置100の左手前を原点としてX、Y、Z方向での測定空間内の3次元位置を示す座標系のことである。
【0076】
続いて、プローブ座標系からワールド座標系への変換について説明する。
プローブ座標系によって示される点の3次元座標を式(1)として示す。
【0077】
【数1】
【0078】
図11は、センサー部20におけるプローブ座標系を示す図である。
この図11は、回転機構40が回転中心軸C1の回転中心ORを基準として、取り付け角度aとする位置に、センサー部20を回転して支持する状態を示す。この場合、回転中心軸C1は、Z軸と一致するものとする。
取り付け角度aの回転を行うことにより生成される回転行列をMaとすると、プローブ座標系からワールド座標への変換は式(2)として示される。
【0079】
【数2】
【0080】
ここで、Oは回転中心軸C1の回転中心ORをワールド座標系によって示しており、形状測定装置100のX、Y、Z軸のエンコーダ値と一致させるように校正されている。
Lは、回転中心軸C1の回転中心ORを基点として、プローブ座標系の原点OPに向けてのベクトルを示す。ベクトルLのノルムをl(エル)とすると、ベクトルLは、式(3)として示される。
【0081】
【数3】
【0082】
式(3)として示される演算処理により、回転方向算出部359は、ベクトルLの先端、即ち、プローブ座標系の原点OPを、ワールド座標系に変換することができる。つまり、回転方向算出部359は、センサー部20によって検出された披検物200の表面の位置情報をワールド座標系に変換することができることを示している。
【0083】
次に、回転方向算出部359は、スキャンして取得した複数の画像情報から取得した画像から算出される円中心座標に基づいて、それらの円中心座標の直線近似を行う(ステップS70)。
図12は、円中心座標(中心位置)の軌跡をプローブ座標系で示した図である。
この図に示される矢印は、円中心座標(中心位置)の軌跡を直線近似してプローブ座標系において示したものである。
この図におけるX方向は、プローブ座標系におけるスキャン位置を示し、スキャン開始位置から、スキャン方向として設定された45度方向のオフセット(スキャンピッチ × 画像番号N)を考慮して示されている。
回転方向算出部359は、各円中心位置を座標Y、および、スキャン位置を座標Xとして示されるXY平面上の直線として直線近似を行い、その直線の傾きφを算出する(ステップS80)。
【0084】
次に、回転方向算出部359は、算出された傾きφに基づいて、センサー部20の取り付け角度に変換する。
算出された傾きφに対し、センサー部20の取り付け角度φ’は、式(4)として示される演算式に基づいて算出することができる。
【0085】
【数4】
【0086】
式(4)に示される演算式により、回転方向算出部359は、算出された傾きφと、予め定めたスキャン方向(45°)とにより、センサー部20の取り付け角度φ’を算出することができる(ステップS90)。
【0087】
本発明の実施形態に示したように、センサー部20の取り付け角度を変更した後に、基準となる球の測定を行うことにより、その結果から、センサー部20の現在の取り付け方向を自動で精密に算出することができる。その結果、正確に設定された取付角度情報に基づいて、安全に測定を行うことが可能となり、高精度な3次元形状を測定可能な形状測定装置100を構成することが可能となる。
【0088】
本実施形態に係る形状測定装置100によれば、上記回転機構40を用いてセンサー部20を回転させることで、センサー部20のスキャン方向と直交する方向にライン光91aを配置できるので、種々の被検物200においても最適な範囲を測定できる。
【0089】
なお、本実施形態において、センサー部20は、被検物200にライン光を照射する照射部91およびライン光の照射方向とは異なる方向から被検物200に照射されたライン光を検出する検出部92を有する。移動部30は、互いに直交する座標系の座標軸方向に、センサー部20を平行移動させる。回転機構40は、移動部に対して前記センサー部を回転可能に支持する。回転方向算出部359が、座標系の基準位置を示す球19を検出することにより、移動部30に対するセンサー部20の回転方向を算出する。
これにより、センサー部20によって測定する、種々の被検物200の形状測定の測定精度を向上させることができる。また、センサー部20がライン光91aの長さ方向と直交する方向にスキャンを行うので、ライン光91aの全域を有効に利用することができ、測定領域におけるスキャン回数を少なくすることができ、短時間で形状測定を行うことができる。
【0090】
また、回転方向算出部359は、センサー部20が球19を検出して得られた1つの画像において示される点群情報に基づいて近似される円を生成する。回転方向算出部359は、得られた複数の画像に基づいて近似される円の中心の位置を算出する。回転方向算出部359は、算出した中心の位置を示す中心位置情報に基づいて、センサー部20の取り付け角度を算出する。
これにより、回転方向算出部359は、算出した中心の位置を示す中心位置情報に基づいて、中心の位置の移動方向から、回転機構40におけるセンサー部20の取り付け角度を算出することができる。
【0091】
また、センサー部20は、座標系の座標軸方向と異なる方向に移動部によって移動させられて、球19を検出する。
これにより、座標軸方向と異なる方向に移動させることにより、2つの軸の成分を1回のスキャンにより検出することができる。
【0092】
また、センサー部20は、回転方向算出部359により算出されたセンサー部20の回転方向に基づいて、ライン光91aの長さ方向と直角となる方向に移動させられて被検物200の形状を検出する。
これにより、センサー部20がライン光91aの長さ方向と直交する方向にスキャンを行うので、ライン光91aの全域を有効に利用することができ、測定領域におけるスキャン回数を少なくすることができ、短時間で形状測定を行うことができる。
【0093】
また、回転機構40は、センサー部20を回転させる回転軸の中心軸とライン光の中心軸とが一致するように、移動部30とセンサー部20との間に設けられている。
これにより、回転方向算出部359による演算処理を低減させることができ、また、検出精度を高めることができる。
また、移動部30は、被検物200を載置する載置台を跨ぐ門型フレーム15を備えている。これにより、センサー部20を回転させた後に被検物200に対するライン光91aの測定開始位置がXY平面内にあるため、被検物200の端部においてセンサー部20を回転させた場合であっても、ライン光91aが被検物200の表面から外れてしまい、被検物200に対するセンサー部20の位置を再調整する必要が生じることがない。また、非常に安定した定盤13を介してセンサー部20の回転機構と傾斜回転テーブル14を切り分けている。そのため、被検物を傾斜および回転させる際の誤差にセンサー部20の回転誤差が重畳することがなく高精度な測定が達成できる。
【0094】
以上、本発明の一実施形態に係る構成について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、回転機構40におけるセンサー部20の取付角度の設定範囲が0°〜120°の場合を例に挙げて説明したが、センサー部20の取付角度の設定範囲を0°〜180°に設定しても構わない。この構成によれば、ライン光91aの向きが0°〜180°の範囲で変化するため、より広い範囲で被検物200の形状を測定することができる。
また、本実施形態では、移動部30は、被検物200を載置する載置台を跨ぐ門型フレーム15を備えているものとしたが、多関節アーム状の構成を備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0095】
15…門型フレーム、20…センサー部、30…移動部、40…回転機構、91…照射部、92…検出部、100…形状測定装置、200…被検物、359…回転方向算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品等の物体の表面形状を測定する技術は従来から種々提案されており、接触式の測定プローブを用いて被検物の形状を三次元で測定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に係る形状測定装置においては、門柱状のフレーム部に保持された測定プローブが被検物に対してXYZ方向に移動可能な構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−160084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、測定プローブとしては、上述の接触式のものの他に、光切断方式を用いた非接触プローブがある。このような光学式の測定プローブ(センサー部)は、被検物に所定の投影パターン(スリット光や、縞模様)を投影して被検物を撮像し、その撮像画像から各画像位置(各画素)の基準面からの高さを算出し、被検物の三次元表面形状を測定するようになっている。
しかしながら、光学式の測定プローブの取り付け角度を正確に設定しないと、測定により取得された点群情報が示す形状に歪みが生じてしまい正確な測定を行うことができなかった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、光学式のセンサー部によって測定する、被検物の形状測定の測定精度を向上させることができる形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、被検物にライン光を照射する光照射部および前記ライン光の照射方向とは異なる方向から前記被検物に照射された前記ライン光を検出する検出部を有するセンサー部と、互いに直交する座標系の座標軸方向それぞれに、前記センサー部を移動させる移動部と、前記移動部に対して前記センサー部を回転可能に支持する回転機構と、前記座標系の基準位置を示す球を検出することにより、前記移動部に対する前記センサー部の回転方向を算出する回転方向算出部と、を備えることを特徴とする形状測定装置提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光学式のセンサー部によって測定する、被検物の形状測定の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の形状測定装置に係る一実施形態の構成例を示す斜視図である。
【図2】本実施形態における形状測定装置の構成を示す側面図である。
【図3】本実施形態における回転機構の要部構成を示す図である。
【図4】本実施形態におけるロック状態判定部の要部構成を示す図である。
【図5】本実施形態における形状測定装置100の構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態におけるセンサー部20の取り付け角度を検出するまでの処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態における球19に対するスキャン位置を示す図である。
【図8】本実施形態におけるセンサー部20の取り付け方向を変更した場合のライン光の状態を示す図である。
【図9】図8と同様にセンサー部20の取り付け方向を変更した場合の中心座標の位置を示す図である。
【図10】本実施形態におけるプローブ座標系を示す図である。
【図11】本実施形態におけるセンサー部20におけるプローブ座標系を示す図である。
【図12】本実施形態における円中心座標(中心位置)の軌跡をプローブ座標系で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の形状測定装置の一実施形態に係る構成について説明する。なお、本実施形態は、発明の要旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各要請要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0010】
図1は、本発明の形状測定装置に係る一実施形態の構成例を示す斜視図であり、図2は側面図である。本実施形態に係る形状測定装置は、光切断法を用いることで、被検物の表面に一本のライン光からなるライン状投影パターンを投影し、ライン状投影パターンを被検物表面の全域を走査させる毎に投影方向と異なる角度から被検物に投影されたライン状投影パターンを撮像する。そして、撮像された被検物表面の撮像画像よりライン状投影パターンの長手方向の画素毎に三角測量の原理等を用いて被検物表面の基準平面からの高さを算出し、被検物表面の三次元形状を求める装置である。
【0011】
図1、2に示すように、形状測定装置100は、本体部11と、傾斜回転テーブル14と、被検物の形状を測定するためのセンサー部20と、センサー部20を移動させる移動部30と、センサー部20を移動部30に対して回転させる回転機構40と、を有している。図1に示される範囲を、測定装置本体110という。形状測定装置100は、測定装置本体110に付帯する制御部500を備える。
【0012】
本体部11は、架台12と、該架台12上に載置される定盤13とを含む。架台12は、形状測定装置100全体の水平度を調整するためのものである。定盤13は、石製または鋳鉄製からなるものであり、上面が架台12により水平に保たれたものとなっている。この定盤13の上面には、傾斜回転テーブル14と、球19とが載置されている。
【0013】
以下、互いが直交する3方向により規定されるXYZ座標系を用いて形状測定装置100の構成について説明する。ここで、XY平面とは定盤13の上面と平行な面を規定するものである。すなわち、X方向とは定盤13上における一方向を規定するものであり、Y方向とは定盤13の上面においてX方向に直交する方向を規定するものであり、Z方向とは定盤13の上面に直交する方向を規定するものである。
球19は、測定可能な空間の任意の位置に石常盤8の上に固定されており、その設置座標は、XYZ座標系において既知の座標として予め計測されている。
【0014】
傾斜回転テーブル14は、被検物200が上面に載置される回転テーブル21、回転テーブル21の上面に対して垂直なZ軸方向(センサー20から被検物200に向かう方向)に延びる回転軸L1を中心として回転テーブル21が回転可能に装着される傾斜テーブル22、並びに、X軸方向(回転軸L1と交差する方向)に延びる傾斜軸L2を中心に傾斜テーブル22を回転可能に支持する支持部23および24を備えて構成される。回転テーブル21は円形の板状の部材であり、上面の平面度が高精度に規定されている。
【0015】
傾斜テーブル22は、回転軸駆動モータ22aを内蔵しており、回転軸駆動モータ22aは、回転軸L1を中心として回転テーブル21を回転駆動する。回転テーブル21は、中央部分に形成されている複数の貫通穴(不図示)を介して、複数のボルトにより回転軸駆動モータ22aのシャフトに連結されている。
【0016】
また、支持部23は、傾斜軸駆動モータ23aを内蔵しており、傾斜軸駆動モータ23aは、傾斜軸L2を中心として傾斜テーブル22を回転駆動することで、回転テーブル21を水平面に対して所定の傾斜角度で傾斜させる。
【0017】
このように、傾斜回転テーブル14では、回転テーブル21を回転させ、傾斜テーブル22を傾斜させることで、回転テーブル21に載置される被検物200を任意の姿勢で保持できるようになっている。なお、回転テーブル21は、傾斜テーブル22の傾斜角度が急勾配になっても被検物200がずれないように、被検物200を固定することができるように構成されている。
【0018】
センサー部20は、傾斜回転テーブル14に載置される被検物200に光切断を行うためのライン光を照射する照射部91と、ライン光が照射されることで光切断面(線)が現れた被検物200の表面を検出する検出部92と、を主体に構成される。また、センサー部20には、検出部92により検出された画像データに基づいて被検物の形状を測定する演算処理部300が接続されている。演算処理部300は、形状測定装置100における全体の駆動を制御するための制御部500に含まれる。
【0019】
照射部91は、図示しないシリンドリカルレンズや細い帯状の切り欠きを有したスリット板等から構成され、光源からの照明光を受けて扇状のライン光91aを生じさせるものである。光源としては、LEDやレーザー光源・SLD(super luminescent diode)等を用いることができる。LEDを用いた場合は安価に光源を形成することができる。また、レーザー光源を用いた場合、点光源であるため収差の少ないライン光を作ることができ、波長安定性に優れ半値幅が小さいため、迷光カットに半値幅の小さいフィルターが使えるため、外乱の影響を少なくすることができる。また、SLD(super luminescent diode)を用いた場合は、レーザー光源の特性に加え可干渉性がレーザー光よりも低いため被検物面でのスペックルの発生を抑えることができる。
【0020】
検出部92は、照射部91の光照射方向とは異なる方向から被検物200の表面に投影されるライン光91aを撮像するためのものである。また、検出部92は、図示しない結像レンズやCCD等から構成され、後述のように移動部30を駆動させてライン光91aが所定間隔走査される毎に被検物200を撮像するようになっている。なお、照射部91および検出部92の位置は、被検物200の表面上のライン光91aの検出部92に対する入射方向と、照射部91の光照射方向とが、所定角度θをなすように規定されている。本実施形態では、上記所定角度θが例えば45度に設定されている。
検出部92で撮像された被検物200の画像データは、演算処理部300に送られ、ここで所定の画像演算処理がなされて被検物200の表面の高さが算出され、被検物200の三次元形状(表面形状)が求められるようになっている。演算処理部300は、被検物200の画像において、被検物200の凹凸に応じて変形したライン光91aによる光切断面(線)の位置情報に基づき、光切断面(線)(ライン光91a)が延びる長手方向の画素毎に三角測量の原理を用いて被検物200表面の基準平面からの高さを算出し、被検物200の三次元形状を求める演算処理を行う。
【0021】
移動部30は、被検物200に投影されたライン光91aの長手方向と略直角な方向にセンサー部20(照射部91)を移動させることで、ライン光91aを被検物200の表面に走査させるためのものである。本実施形態に係る形状測定装置100では、後述のように形状測定者により指定された方向にセンサー部20が移動部30により移動されるようになっている。なお、センサー部20の回転角度を検出し、該検出結果に基づいて移動部30の移動方向を自動的に算出する構成であっても構わない。
【0022】
移動部30は門型フレーム15を主体として構成されている。なお、定盤13は、端部(図2では右側の端部)が、定盤13上をY軸方向に門型フレーム15を駆動させるY軸ガイドを兼ねるように構成されている。
【0023】
門型フレーム15は、X軸方向に延びるX軸ガイド15a、定盤13のY軸ガイドに沿って駆動する駆動側柱15b、および駆動側柱15bの駆動に従って定盤13の上面を滑動する従動側柱15cにより構成されている。
【0024】
ヘッド部16は、門型フレーム15のX軸ガイド15aに沿ってX軸方向に沿って駆動可能とされている。ヘッド部16には、該ヘッド部16に対してZ軸方向に駆動可能なZ軸ガイド17が装着されている。Z軸ガイド17の下端部にはセンサー部20が装着されている。
【0025】
ところで、本実施形態に係る形状測定装置100のように光切断法を用いる場合、センサー部20の照射部91から被検物200に照射されるライン光91aが、センサー部20の移動方向(以下、スキャン方向と称す。)と直交する方向に配置させるのが望ましい。例えば、図2において、被検物200に対するセンサー部20のスキャン方向をY軸方向に設定した場合、ライン光91aをX軸方向に沿って配置するのが望ましい。センサー部20とライン光91aの出射方向とをこのような関係に設定すると、測定時にライン光91aの全域を有効に利用したスキャンを行うことができ、被検物200の形状を最適に測定できるためである。
【0026】
本実施形態に係る形状測定装置100は、上述したように、センサー部20が移動部30により被検物200に対して移動可能とされている。移動部30は上述した門型フレーム15を主体として構成されるため、移動部30に取り付けられたセンサー部20の照射部91から照射されるライン光91aのスキャン方向は、被検物200に対し、原則としてX方向、Y方向、およびZ方向のいずれかに制約される。
【0027】
そこで、本実施形態に係る形状測定装置100では、Z軸ガイド17とセンサー部20との間に上記回転機構40を配置し、センサー部20を移動部30に対して回転可能な構成としている。これにより、形状測定装置100は、上述のようにセンサー部20のスキャン方向と直交方向にライン光91aを配置可能となっている。
【0028】
図3は回転機構40の要部構成を示す図であり、図3(a)は上面図、図3(b)は側面図である。回転機構40は、図3に示すように、取付部41と、回転部42と、ロック部43と、ロック状態判定部44と、を有している。センサー部20は回転部に設けられる回転軸42aの一端側に取り付けられている。本実施形態では回転軸42aにおける回転中心軸C1が照射部91から照射されるライン光91aの中心軸C2と一致するようにセンサー部20が回転軸42aに取り付けられている。
【0029】
回転部42は、センサー部20を移動部30に対して回転可能に保持する回転軸42aと、回転軸42aが所定角度だけ回転する毎に当該回転軸42aの回転動作を一時的に規制する回転規制部60と、を有している。
【0030】
回転規制部60は、回転軸42aの外周に形成された歯型溝61と、取付部41に設けられるボールプランジャ62と、を含む。歯型溝61は、回転軸42aの外周に例えば7.5°おきに形成されている。このような構成に基づき、回転軸42aは、7.5°回転する毎にボールプランジャ62が歯型溝61に係合するため、回転軸42aの回転動作に負荷がかかるようになり、作業者の手にクリック感を感じさせることができるようになっている。よって、作業者は、手に感じたクリック感の回数に応じて、回転軸42aの回転角度を容易に把握することが可能となっている。
【0031】
なお、取付部41には、回転軸42aの回転角度を示す回転指標部45が設けられている。回転指標部45には、例えば目盛りが設けられており、回転軸42aが上述のように7.5°回転する毎に、7.5°、15°、22.5°…等のように回転角度の値を表示するようになっている。これにより、形状測定者は、回転指標部45の目盛りを目視することで、回転軸42aの回転角度を所定値に簡便且つ確実に設定することが可能となっている。
【0032】
回転機構40は、図3(a)に示すように、回転軸42aの回転によりセンサー部20が0°〜120°の範囲で移動するようになっている。センサー部20が0°位置に配置されると、照射部91および検出部92がX軸方向に沿って配置される。また、センサー部20が90°位置に配置されると、照射部91および検出部92がY軸方向に配置される。センサー部20が回転すると、同図に示されるように被検物200の表面上に照射されるライン光91aの向きが変化する。
【0033】
本実施形態に係る形状測定装置100は、回転軸42aにおける回転中心軸と、照射部91から照射されるライン光91aの中心軸とが一致した状態となっているので、回転後に被検物200に対するライン光91aの測定開始位置(測定中心位置)がXY平面内でずれることが防止されている。このように回転後に被検物200に対するライン光91aの測定開始位置がXY平面内でずれないため、被検物200の端部においてセンサー部20の向きを変更した場合であっても、ライン光91aが被検物200の表面から外れた位置に照射されてしまうことが防止されている。なお、本実施形態の係る形状測定装置100はライン光91aが被検物200の測定面の垂線方向から照射されているため、測定精度が向上するとともにライン光91aの中心軸と回転機構40の回転中心軸とを一致させることで、スキャン方向と直交する方向とライン光91aの延在方向を合わせることができる。また、被検物の測定対象の幅が広い場合など、ライン光91aの中心以外を測定対象に合わせたい場合がある。そのような場合は、回転に加えてX方向とY方向とに平行移動する変位機構を設け、被検物に照射されているライン光91aの一部の照射位置を保ちながらライン光91aの延在方向が変わるようにセンサー部20を変位することにより所望の位置と方向にライン光91aを合わせることができる。
【0034】
ロック部43は、取付部41に取り付けられ、回転軸42aを挿通させる固定部71と、該固定部71に取り付けられたロックレバー72と、を含む。回転軸42aは軸受け部50により取付部41に対して滑らかに回転可能とされている。固定部71は、例えばロックレバー72が下方(−Z方向)に移動された場合に回転軸42aを締め付け、回転軸42aが取付部41に対して回転しないように固定するようになっている。一方、固定部71は、ロックレバー72が上方(+Z方向)に移動された場合に回転軸42aを締め付けることがなく、回転軸42aが取付部41に対して回転可能とされる。
【0035】
図4はロック状態判定部44の要部構成を示す図であり、図4(a)はロック状態判定部44によるロック非検出状態を示す図であり、図4(b)はロック状態判定部44によるロック検出状態を示す図である。
ロック状態判定部44は、図4(a)に示すようにロックレバー72の先端に取り付けられたセンサー検出用板部44aと、該センサー検出用板部44aに接触するタッチセンサー44bとを含む。センサー検出用板部44aは、ロックレバー72が回転軸42aを良好に締め付け可能な位置に移動した際、タッチセンサー44bに接触するようになっている。タッチセンサー44bは、形状測定装置100の全体の駆動の制御を行う制御部500に電気的に接続されている。
【0036】
タッチセンサー44bは、所定位置に配置されたセンサー検出用板部44aに接触可能な接触部44cを有している。接触部44cは、センサー検出用板部44aにより押圧可能な構成とされている。
【0037】
接触部44cは、図4(b)に示すように所定の位置まで押圧された時にON信号を制御部500に通知するようになっている。一方、接触部44cは、所定の位置まで押圧されていない時にOFF信号を制御部500に通知するようになっている。ここで、ON信号が通知される場合とは、ロックレバー72による回転軸42aの締め付けが十分であることを意味し、OFF信号が通知される場合とは、ロックレバー72による回転軸42aの締め付けが不十分であることを意味する。
【0038】
制御部500は、ON信号が通知されると、形状測定装置100の表示部(不図示)に回転軸42aのロック状態が良好(例えば、OK等)である旨を表示するようになっている。一方、制御部500は、OFF信号が通知されると、形状測定装置100の表示部(不図示)に回転軸42aのロック状態が不良(例えば、NO等)である旨を表示するようになっている。これにより、回転軸42aのロック状態が不良のままで、被検物200の形状測定が開始されるといった不具合の発生が防止されたものとなっている。
【0039】
このような構成に基づき、形状測定装置100は、センサー部20にガタツキが生じることなく、照射部91からライン光91aを被検物200の所定方向に向けて照射できるようになっている。
【0040】
続いて、形状測定装置100の動作として、被検物200の形状を測定する方法について以下に説明する。
はじめに、形状測定者は、回転テーブル21に被検物200を載置し、被検物200に照射されるライン光91aが所定方向を向くように回転機構40によりセンサー部20を移動部30に対して回転させる。
【0041】
形状測定者(ユーザ)は、回転規制部60のクリック感の回数および回転機構40に設けられた上記回転指標部45の目盛りの少なくともいずれかを参照して、回転軸42a(センサー部20)の回転角度を所定値に容易に設定することができる。
【0042】
なお、センサー部20を回転させる際、照射部91から被検物200に対してライン光91aを照射した状態のまま行うようにしても構わない。この場合、形状測定者は、被検物200に投影されるライン光を目安として、センサー部20における回転角度の設定をより容易に行うことが可能となる。
【0043】
形状測定者は、回転軸42aを所定角度回転させた後、ロック部43を用いて回転軸42aを固定する。具体的には、形状測定者は、ロックレバー72を下方に移動することで回転軸42aを締め付け、回転軸42aを確実に固定することができる。これにより、後述の形状測定時にセンサー部20が移動部30により移動する途中に、回転軸42aが動くことでセンサー部20の照射部91から被検物200に照射されるライン光の位置がずれるといった不具合の発生を防止できる。
【0044】
本実施形態では、形状測定装置100は、上述のようにして設定したセンサー部20における回転軸42aの回転角度(取付角度)を、センサー部20が球19をスキャン(走査)することにより検出し、検出した回転角度情報を保持する。形状測定装置100は、被検物200に照射されたライン光91aの長手方向と略直角な方向にセンサー部20(照射部91)を移動させるように移動部30を駆動し、ライン光91aにより被検物200の表面に走査させる。
【0045】
被検物200にライン光91aが照射されると、被検物200の表面にライン光91aによる光切断面(線)が現れるため、検出部92により、ライン光91aが所定間隔走査される毎に(光切断面が現れた)被検物200を撮像する。このとき、検出部92で撮像された被検物200の画像データは、演算処理部300に送られる。
【0046】
このようにして得られた被検物200の画像データから、演算処理部300は被検物200の凹凸に応じて変形したライン光91aによる光切断面(線)の位置情報に基づいて、光切断面(線)(ライン光91a)が延びる長手方向の画素毎に、三角測量の原理を用いて被検物200表面の基準平面からの高さを算出し、被検物200の三次元形状を測定することができる。
【0047】
図5は、本発明の一実施形態による形状測定装置100の構成を示すブロック図である。図1から図4と同じ構成には、同じ符号を附す。
形状測定装置100は、測定装置本体110と制御部500とを備える。
測定装置本体110は、駆動部116と、位置検出部117と、センサー部20とを備える。
駆動部116は、ヘッド駆動部114とテーブル駆動部133とを備える。
ヘッド駆動部114は、門型フレーム15内部に設けられ、入力される駆動信号に基づいて、門型フレーム15をY方向に駆動するY軸用モータ、ヘッド部16をX方向に駆動するX軸用モータ、およびZ軸ガイド17をZ方向に駆動するZ軸用モータを備える。ヘッド駆動部114は、後述の駆動制御部354から供給される駆動信号を受け取る。ヘッド駆動部114は、それら駆動信号に基づき移動部30の位置を3方向(X、Y、Z方向)に電動で移動させる。
【0048】
テーブル駆動部133は、回転テーブル21を回転軸L1回りに回転駆動する前述の回転軸駆動モータ22aおよび回転軸L2回りに回転駆動する前述の傾斜軸駆動モータ23aを備える。テーブル駆動部133は、駆動制御部354から供給される駆動信号を受け取る。テーブル駆動部133は、その駆動信号に基づき回転テーブル21を回転軸L1、L2回りに、電動でそれぞれ回転させる。
【0049】
位置検出部117は、ヘッド位置検出部115と、テーブル位置検出部134とを備える。
ヘッド位置検出部115は、門型フレーム15内部に設けられ、移動部30のX軸、Y軸、およびZ軸方向の位置をそれぞれ検出するX軸用エンコーダ、Y軸用エンコーダ、およびZ軸用エンコーダを備える。ヘッド位置検出部115は、それらのエンコーダによって移動部30の位置を検出し、移動部30の位置を表す信号を後述の座標検出部351へ供給する。
【0050】
テーブル位置検出部134は、回転テーブル21の回転軸L1、L2回りの回転位置をそれぞれ検出するロータリ軸用エンコーダおよびチルト軸用エンコーダを備える。テーブル位置検出部134は、それらのエンコーダを用いて、回転テーブル21の回転軸L1、L2回りの回転位置を検出し、検出した回転位置を表す信号を座標検出部351へ供給する。
【0051】
センサー部20は、三次元形状を有している被検物200の表面形状を検出する。
センサー部20は、光切断方式により被検物200の表面形状を求めるために、前述の照射部91と検出部92とを備えて構成される。照射部91は、後述の間隔調整部352から供給される光の照射を制御する制御信号に基づき、被検物200に直線上の光があたるように、被検物200に直線状のスリット光(ライン状の光)を照射する。
検出部92は、照射部91の照射方向に対して、光軸を所定角度ずらして配置される。検出部92は、照射部91からの照射光により被検物200の表面に形成される光切断線を撮像する。ここで、光切断線は、被検物200の断面形状に応じて形成される。検出部92は、被検物200の表面に形成される陰影パターンを撮像し、撮像した画像情報を間隔調整部352へ供給する。これにより、制御部500は、形状測定データを取得する。検出部92は、CCD(Charge Coupled Device)、C−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーなどの個体撮像素子を備えている。
【0052】
続いて、制御部500について説明する。
制御部500は、演算処理部300と、入力装置542と、ジョイスティック543と、モニタ544とを備える。
入力装置542は、ユーザが各種指示情報を入力するキーボードなどを備える。入力装置542は、入力された指示情報を検出し、検出した指示情報を記憶部355に書き込み記憶させる。
ジョイスティック543は、ユーザの操作を受けて、その操作に応じて移動部30の移動や回転テーブル21を駆動させる制御信号を生成して駆動制御部354へ供給する。このように、ジョイスティック543は、指定領域においてセンサー部20を配置させる状態を示す情報を検出し、検出した情報に基づいてセンサー部20を配置させる制御指令情報として、入力することができる。
モニタ544は、データ出力部357から供給された測定データ(全測定ポイントの座標値)等を受け取る。モニタ544は、受け取った測定データ(全測定ポイントの座標値)等を表示する。また、モニタ544は、計測画面、指示画面等を表示する。
【0053】
演算処理部300は、座標検出部351と、間隔調整部352と、座標算出部353と、駆動制御部354と、記憶部355と、移動指令部356と、データ出力部357と、回転方向算出部359とを備える。
【0054】
座標検出部351は、ヘッド位置検出部115から出力される座標信号によって、センサー部20および回転テーブル21の位置、すなわち水平方向における観察位置(光軸中心位置)と上下方向における観察位置とを検知する。また、座標検出部351は、テーブル位置検出部134から出力される回転位置を表す信号によって、回転テーブル21の回転軸L1、L2回りの回転位置を検知する。座標検出部351は、それぞれ検知された水平方向における観察位置(光軸中心位置)と上下方向における観察位置の情報と、テーブル位置検出部134から出力される回転位置を表す情報(回転テーブル21の回転位置情報)とから、座標情報を検出する。そして、座標検出部351は、センサー部20の座標情報と回転テーブル21の座標情報と回転位置情報とを座標算出部353へ供給する。
また、座標検出部351は、センサー部20の座標情報と回転テーブル21の座標情報と回転位置情報とに基づいて、センサー部20と回転テーブル21との相対的な移動経路、移動速度などを検出する。
【0055】
間隔調整部352は、座標計測開始前に記憶部355からサンプリング周波数を指定するデータを読み出す。間隔調整部352は、そのサンプリング周波数で、検出部92から画像情報を受け取る。
【0056】
座標算出部353は、間隔調整部352から供給されたフレームが間引かれた画像情報を受け取る。座標算出部353は、座標検出部351から供給されたセンサー部20の座標情報と、回転テーブル21の回転位置情報を受け取る。座標算出部353は、間隔調整部352から供給された画像情報と、センサー部20の座標情報と、回転テーブル21の回転位置情報とに基づき、各測定ポイントの座標値(三次元座標値)の点群データを算出する。
【0057】
具体的な算出方法は以下の通りである。まず、座標算出部353は、受け取ったセンサー部20の座標から、センサー部20に固定された照射部91の座標と、検出部92の座標を算出する。
ここで、照射部91はセンサー部20に固定されているので、照射部91の照射角度は、センサー部20に対して固定である。また、検出部92もセンサー部20に固定されているので、検出部92の撮像角度は、センサー部20に対して固定である。
【0058】
座標算出部353は、照射した光が被検物200にあたった点を、撮像された画像の画素毎に、三角測量を用いて算出する。ここで、照射した光が被検物200にあたった点の座標は、照射部91の座標から照射部21の照射角度で描画される直線と、検出部92の座標から検出部92の撮像角度で描画される直線(光軸)とが交わる点の座標である。なお、上記の撮像された画像は、測定位置に配置されたセンサー部20によって検出された画像を示す。
これによって、被検物に照射されるスリット光を所定の方向に走査させることにより、光が照射された位置の座標を算出することができる。
また、被検物200は、回転テーブル21に支持されている。被検物200は、回転テーブル21が回転軸周りに回転することにより、回転テーブル21の回転軸を中心に一緒に回転する。つまり、算出された光が照射された位置の座標は、回転テーブル21の回転軸中心に回転したことによって姿勢が傾けられた被検物200の表面の位置を示す情報である。よって、光が照射された位置の座標を、回転テーブル21の傾き、即ち回転軸周りの回転位置情報に基づいて、回転テーブル21の傾きを補正することにより、実際の被検物200の表面形状を求めることができる。
また、座標算出部353は、算出した三次元座標値の点群データを記憶部355に保存する。
【0059】
記憶部355は、入力装置542から供給された各種指示情報を測定条件テーブルとして保持する。ここで、測定条件テーブルは、測定条件や測定手順等の所定の移動指令データ、被検物200の測定位置と測定手順とを示す指定領域の測定ポイントの座標値と回転テーブル21の回転位置、被検物200の測定開始点(最初の測定ポイント)および測定終了点(最後の測定ポイント)等の座標値、測定開始位置での測定目標方向、各測定ポイントの間隔(例えば、一定間隔の測定ピッチ)を表すデータなどの項目を備える。
【0060】
例えば、被検物200の測定位置と測定手順とを示す指定領域の測定ポイントの座標値と回転テーブル21の回転位置は、次に示す処理により算出される。
測定ポイントの座標値と回転テーブル21の回転位置は、被検物200の指定領域を指定する測定ポイント毎に、ユーザによって入力された情報に基づいて、測定ヘッド13および回転テーブル21を駆動して、被検物200およびセンサー部20を所望の姿勢にそれぞれ位置決めした位置により算出される。
より具体的には、駆動制御部354から供給された各測定ポイントの座標値(三次元座標値)に基づいて、座標算出部353が、当該測定ポイントの座標値を算出する。座標算出部353が算出する当該測定ポイントの座標値は、入力装置542による当該座標値のキー入力の他、予めジョイスティック543の操作によって移動部30を移動させ、および回転テーブル21を駆動させ、被検物200およびセンサー部20を所望の姿勢に位置決めした位置により算出される。
座標検出部351は、位置決めされた姿勢の状態における、センサー部20の座標情報と、回転テーブル21の回転位置情報とを検出して座標算出部353へ供給する。座標算出部353は、センサー部20の座標情報と、回転テーブル21の回転位置情報を記憶部355に書き込み保存する。
また、被検物200の測定開始点(最初の測定ポイント)および測定終了点(最後の測定ポイント)等の座標値は、座標検出部351により、被検物200の指定領域の測定ポイントの座標値に基づいて生成され、記憶部355に書き込まれる。
【0061】
また、記憶部355は、座標算出部353から供給された三次元座標値の点群データを測定データとして保持する。また、記憶部355は、座標検出部351から供給された各測定ポイントの座標値(三次元座標値)の点群データを保持する。また、記憶部355は、設計データ(CADデータ)を保持する。
【0062】
駆動制御部354は、ジョイスティック543からの操作信号に基づいて、または、移動指令部356からの指令信号に基づいて、ヘッド駆動部114およびテーブル駆動部133に駆動信号を出力して、移動部30を移動させ、および回転テーブル21の駆動させる制御を行う。
また、駆動制御部354は、ジョイスティック543からの操作信号に基づいて、登録位置として設定された移動部30および回転テーブル21の位置情報を記憶部355に書き込み記憶させる。つまり、駆動制御部354は、移動部30に支持されているセンサー部20の位置を間接的に取得することができる。
【0063】
移動指令部356は、記憶部355から測定条件テーブルに登録された被検物200の測定開始点(最初の測定ポイント)および測定終了点(最後の測定ポイント)等を読み出す。移動指令部356は、被検物200の測定開始点および測定終了点から、被検物200に対するスキャンの移動経路を算出する。
移動指令部356は、算出した移動経路に従って、測定ヘッド13および回転テーブル21を駆動させるべく、駆動制御部354を介してヘッド駆動部114とテーブル駆動部133とに移動指令を送信する。また、移動指令部356は、移動指令等に基づいて、間隔調整部352に制御信号を供給してセンサー部20の光学系の制御を行う。
【0064】
データ出力部357は、記憶部355から測定データ(全測定ポイントの座標値)等を読み出す。データ出力部357は、その測定データ(全測定ポイントの座標値)等をモニタ544に供給する。また、データ出力部357は、測定データ(全測定ポイントの座標値)等をプリンタ(不図示)へ出力する。
【0065】
回転方向算出部359は、XYZ座標系の基準位置を示す球19をスキャンすることにより検出される画像データに基づいて、球19の表面座標を検出する。これにより、回転方向算出部359は、移動部30に対して回転して支持されているセンサー部20の回転方向を算出する。つまり、回転方向算出部359は、センサー部20が球19を検出して得られた1つの画像において示される点群情報を記憶部355から読み出して、その点群情報に基づいて近似される円を生成する。即ち、回転方向算出部359は、所定の大きさの円にフィッティングさせる円フィッティングを行う。回転方向算出部359は、センサー部20が球19を検出して得られた複数の画像データに基づいて、近似される円の中心の位置情報を算出する。回転方向算出部359は、それぞれ算出した円の中心の位置情報に基づいて直線近似を行い、円の中心の軌跡が示す角度を算出する。回転方向算出部359は、近似直線が示す角度(傾き)に基づいて、センサー部20の取り付け角度を算出する。
【0066】
図6から図11を参照し、センサー部20における回転軸42aの回転角度(取付角度)を変更後、基準となる球19をスキャンしセンサー部20の取り付け角度を検出するまでの処理の手順を説明する。
図6は、センサー部20の取り付け角度を検出するまでの処理の手順を示すフローチャートである。
まず、形状測定装置100は、球19をスキャンするスキャン開始位置に、センサー部20を移動させる。
図7は、球19に対するスキャン位置を示す図である。この図には、球19を上面視した状態が示される。
この図のライン光(l1からln)は、便宜的に回転機構40においてセンサー部20の取り付け角度を0度に設定した場合を示してある。
図7に示すように、ライン光の中心位置(プローブ座標原点)が球19をX軸とY軸にそれぞれ45度方向(Scan45°)の角度を保ち、X+、Y+方向(右肩上がり)に横断するように、順にスキャンを行えるような最適な開始位置を、ユーザは、形状測定装置100に設定する。ユーザは、最適な開始位置を、球19の既知の座標に基づいて、球19を横断するように算定し、形状測定装置100に設定する。
形状測定装置100は、その設定されたスキャン開始位置を、ティーチングされた位置情報を示すティーチングファイルに保持させる。ティーチングとは、センサー部20がスキャンする経路を示す位置情報を形状測定装置100に保持させる処理である。
【0067】
形状測定装置100のティーチングを行う場合、移動指令部356は、駆動制御部354により直交軸、回転機構を駆動させて移動部30を移動させることにより、センサー部20を球19の測定開始位置に移動させる。
ユーザは、センサー部20から照射される光切断線が被測定物の測定開始位置に照射されるように6軸を移動ツマミ、またはジョイスティック543を用いて調整する。
この時、光切断線はセンサー部20内の検出部92によって検出された画像データから検出された光切断線の位置をモニタ544に表示する。これにより、ユーザは、光切断線の位置を検出された画像の中心に撮像されるように微調整が可能である。
センサー部20は、形状測定装置100への取り付け前に単体校正が実施されており、光切断線が計測カメラの中心位置にある時がワーキングディスタンスの中心となるように予め校正されている。
このように、形状測定装置100は、予めティーチングされることにより、角度検出動作時には、記憶部355のティーチングファイルに保持されている予めティーチングされた開始位置情報を基にスキャン開始点へ、センサー部20を移動させる(ステップS10)。
【0068】
次に、入力装置542は、ユーザによって指定されたスキャン方向を記憶部355に書き込んで登録する。
入力装置542は、指定されたスキャン方向を、スキャン開始位置同様にティーチングファイルのデータとして予め記憶部355に保持させる。設定されるスキャン方向は、0〜90度の取り付け可能範囲内で設定できる。望ましいスキャン方向は、有効な点群数をできるだけ多く生成できるように、0〜90度の取り付け可能範囲内に対し、中間位置の45°とする(ステップS20)。
【0069】
次に、入力装置542は、ユーザによって指定されたスキャンピッチを記憶部355に書き込んで登録する。
入力装置542は、指定されたスキャンピッチをスキャン開始位置同様にティーチングファイルのデータとして予め記憶部355に保持させる。例えば、スキャンピッチの値は、デフォルト値として100μm(マイクロメートル)にする。このスキャンピッチの値は、球19の大きさ、必要とされる設定精度に応じて変更することができる(ステップS30)。
【0070】
次に、形状測定装置100は、センサー部20をスキャンさせて、スキャン範囲分の画像を取得する。センサー部20は、指定されたスキャン範囲分における球19の画像を取得する。
図8を参照し、センサー部20の取り付け方向を変更した場合のライン光と球19の関係を説明する。
図8は、センサー部20の取り付け方向を変更した場合のライン光の状態を示す図である。
センサー部20の取り付け角度を、図8(a)は0度、図8(b)は45度、図8(c)は90度とした場合のライン光と球19の関係を示す。
この図に示される座標系はワールド座標系によって示されており、紙面右がX軸、上がY軸、紙面から飛び出る方向がZ軸である。図示される直線は、球19を上面視したライン光を示す。また、複数の直線本は、スキャン方向を45度方向に設定し、指定されたピッチでセンサ部20を移動させて画像を取得した位置における、それぞれのライン光の軌跡を示す。
【0071】
図6に戻り、次に、座標算出部353は、センサー部20が球19を検出して、取得した画像に基づいて3次元点群情報を生成する。座標算出部353は、取得した画像から、画像信号が示す輝度値が高いピーク位置を検出する。回転方向算出部359は、座標算出部353によって検出されたピーク位置に基づいて、センサー部20によって検出された情報から位置情報に変換する変換テーブルによる点群変換を行い、3次元点群情報を生成する。なお、センサー部20によって検出された情報から位置情報に変換する変換テーブルは、予め記憶部355に記憶されている(ステップS50)。
【0072】
次に、回転方向算出部359は、得られた1画像において、生成された3次元点群情報によって示される1ライン(光切断線)をプローブ座標系のYZ平面上の円としてフィッティングする。
ところで、センサー部20の取り付け方向が不定である場合、ライン光の向きも不定である。このため、スキャンピッチによって間隔が定められてスキャンされた結果によって示されるラインであっても、各ライン(光切断線)の相互の位置関係は不明である。
しかしながら、それぞれの1ライン(光切断線)においては、球19をスキャン(測定)して生成されていることにより、センサー部20の取り付け方向、すなわちライン光の向きに係らず円(真円)であることが保証される。
そこで、回転方向算出部359は、ライン毎に取得した3次元点群情報を、プローブ座標系YZ平面上の円としてフィッティングを行い、フィッティングして生成された円の中心座標を算出する(ステップS60)。
【0073】
フィッティングして生成された円の中心座標について説明する。
図9は、図8と同様にセンサー部20の取り付け方向を変更した場合の中心座標の位置を示す図である。
図9(a)は0度、図9(b)は45度、図9(c)は90度とした場合のライン光と球19の関係を示す。
この図に示される座標系はワールド座標系によって示されており、紙面右がX軸、上がY軸、紙面から飛び出る方向がZ軸である。直線は、球19を状面視したライン光を示しており、複数本が描かれているのはスキャン方向を45度方向に設定し、指定されたピッチで移動した画像を取得する位置における、それぞれのライン光の軌跡である。
ライン毎に算出した中心座標位置を基に繋いだ線を、図中に矢印で示す。
【0074】
ここで、プローブ座標系について説明する。
図10は、プローブ座標系を示す図である。
この図に示されるセンサー部20において、照射部91から照射されたライン光91aの軸と検出部92の光軸92aが交わる点を原点として、ライン光91aの照射方向と逆向きの方向をZ+方向、紙面右をX+方向、紙面奥をY+方向としたプローブ座標系が定義されている。
例えば、検出部92が、(1024×1024)画素のCCDカメラを備える場合には、CCDカメラが、ライン光91aによって描かれる光切断線の長手方向をCCDカメラの垂直走査方向として撮像し、最大輝度位置の検出をCCDカメラの水平走査方向に行うことにより、最大1024個のピーク位置を1画面内の情報から検出することができる。
これにより、予めセンサー部20が単体校正された状態では、撮像された画像内の精密な水平画素の位置から、校正データを基にした補正演算により、光切断面内のプローブ座標系での3次元座標が生成可能である。仮に、センサー部20が単体校正された状態に校正誤差が含まれる場合であっても、撮像された画像内の精密な水平画素の位置から生成された校正データを基にした補正演算により補正することができる。本実施形態に示すセンサー部20は、このような校正誤差がなく校正されているものとし、補正演算の詳細に関しては説明を省略する。
【0075】
続いて、ワールド座標系について説明する。
プローブ座標系として生成された点群情報の座標は、ヘッド位置検出部115によって検出されたX、Y、Zの3軸方向のエンコーダの位置情報、および、センサー部20の取り付け角度情報を加味した演算を、回転方向算出部359が行い、ワールド座標系に変換される。つまり、ワールド座標系は、図1に示された形状測定装置100の左手前を原点としてX、Y、Z方向での測定空間内の3次元位置を示す座標系のことである。
【0076】
続いて、プローブ座標系からワールド座標系への変換について説明する。
プローブ座標系によって示される点の3次元座標を式(1)として示す。
【0077】
【数1】
【0078】
図11は、センサー部20におけるプローブ座標系を示す図である。
この図11は、回転機構40が回転中心軸C1の回転中心ORを基準として、取り付け角度aとする位置に、センサー部20を回転して支持する状態を示す。この場合、回転中心軸C1は、Z軸と一致するものとする。
取り付け角度aの回転を行うことにより生成される回転行列をMaとすると、プローブ座標系からワールド座標への変換は式(2)として示される。
【0079】
【数2】
【0080】
ここで、Oは回転中心軸C1の回転中心ORをワールド座標系によって示しており、形状測定装置100のX、Y、Z軸のエンコーダ値と一致させるように校正されている。
Lは、回転中心軸C1の回転中心ORを基点として、プローブ座標系の原点OPに向けてのベクトルを示す。ベクトルLのノルムをl(エル)とすると、ベクトルLは、式(3)として示される。
【0081】
【数3】
【0082】
式(3)として示される演算処理により、回転方向算出部359は、ベクトルLの先端、即ち、プローブ座標系の原点OPを、ワールド座標系に変換することができる。つまり、回転方向算出部359は、センサー部20によって検出された披検物200の表面の位置情報をワールド座標系に変換することができることを示している。
【0083】
次に、回転方向算出部359は、スキャンして取得した複数の画像情報から取得した画像から算出される円中心座標に基づいて、それらの円中心座標の直線近似を行う(ステップS70)。
図12は、円中心座標(中心位置)の軌跡をプローブ座標系で示した図である。
この図に示される矢印は、円中心座標(中心位置)の軌跡を直線近似してプローブ座標系において示したものである。
この図におけるX方向は、プローブ座標系におけるスキャン位置を示し、スキャン開始位置から、スキャン方向として設定された45度方向のオフセット(スキャンピッチ × 画像番号N)を考慮して示されている。
回転方向算出部359は、各円中心位置を座標Y、および、スキャン位置を座標Xとして示されるXY平面上の直線として直線近似を行い、その直線の傾きφを算出する(ステップS80)。
【0084】
次に、回転方向算出部359は、算出された傾きφに基づいて、センサー部20の取り付け角度に変換する。
算出された傾きφに対し、センサー部20の取り付け角度φ’は、式(4)として示される演算式に基づいて算出することができる。
【0085】
【数4】
【0086】
式(4)に示される演算式により、回転方向算出部359は、算出された傾きφと、予め定めたスキャン方向(45°)とにより、センサー部20の取り付け角度φ’を算出することができる(ステップS90)。
【0087】
本発明の実施形態に示したように、センサー部20の取り付け角度を変更した後に、基準となる球の測定を行うことにより、その結果から、センサー部20の現在の取り付け方向を自動で精密に算出することができる。その結果、正確に設定された取付角度情報に基づいて、安全に測定を行うことが可能となり、高精度な3次元形状を測定可能な形状測定装置100を構成することが可能となる。
【0088】
本実施形態に係る形状測定装置100によれば、上記回転機構40を用いてセンサー部20を回転させることで、センサー部20のスキャン方向と直交する方向にライン光91aを配置できるので、種々の被検物200においても最適な範囲を測定できる。
【0089】
なお、本実施形態において、センサー部20は、被検物200にライン光を照射する照射部91およびライン光の照射方向とは異なる方向から被検物200に照射されたライン光を検出する検出部92を有する。移動部30は、互いに直交する座標系の座標軸方向に、センサー部20を平行移動させる。回転機構40は、移動部に対して前記センサー部を回転可能に支持する。回転方向算出部359が、座標系の基準位置を示す球19を検出することにより、移動部30に対するセンサー部20の回転方向を算出する。
これにより、センサー部20によって測定する、種々の被検物200の形状測定の測定精度を向上させることができる。また、センサー部20がライン光91aの長さ方向と直交する方向にスキャンを行うので、ライン光91aの全域を有効に利用することができ、測定領域におけるスキャン回数を少なくすることができ、短時間で形状測定を行うことができる。
【0090】
また、回転方向算出部359は、センサー部20が球19を検出して得られた1つの画像において示される点群情報に基づいて近似される円を生成する。回転方向算出部359は、得られた複数の画像に基づいて近似される円の中心の位置を算出する。回転方向算出部359は、算出した中心の位置を示す中心位置情報に基づいて、センサー部20の取り付け角度を算出する。
これにより、回転方向算出部359は、算出した中心の位置を示す中心位置情報に基づいて、中心の位置の移動方向から、回転機構40におけるセンサー部20の取り付け角度を算出することができる。
【0091】
また、センサー部20は、座標系の座標軸方向と異なる方向に移動部によって移動させられて、球19を検出する。
これにより、座標軸方向と異なる方向に移動させることにより、2つの軸の成分を1回のスキャンにより検出することができる。
【0092】
また、センサー部20は、回転方向算出部359により算出されたセンサー部20の回転方向に基づいて、ライン光91aの長さ方向と直角となる方向に移動させられて被検物200の形状を検出する。
これにより、センサー部20がライン光91aの長さ方向と直交する方向にスキャンを行うので、ライン光91aの全域を有効に利用することができ、測定領域におけるスキャン回数を少なくすることができ、短時間で形状測定を行うことができる。
【0093】
また、回転機構40は、センサー部20を回転させる回転軸の中心軸とライン光の中心軸とが一致するように、移動部30とセンサー部20との間に設けられている。
これにより、回転方向算出部359による演算処理を低減させることができ、また、検出精度を高めることができる。
また、移動部30は、被検物200を載置する載置台を跨ぐ門型フレーム15を備えている。これにより、センサー部20を回転させた後に被検物200に対するライン光91aの測定開始位置がXY平面内にあるため、被検物200の端部においてセンサー部20を回転させた場合であっても、ライン光91aが被検物200の表面から外れてしまい、被検物200に対するセンサー部20の位置を再調整する必要が生じることがない。また、非常に安定した定盤13を介してセンサー部20の回転機構と傾斜回転テーブル14を切り分けている。そのため、被検物を傾斜および回転させる際の誤差にセンサー部20の回転誤差が重畳することがなく高精度な測定が達成できる。
【0094】
以上、本発明の一実施形態に係る構成について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、回転機構40におけるセンサー部20の取付角度の設定範囲が0°〜120°の場合を例に挙げて説明したが、センサー部20の取付角度の設定範囲を0°〜180°に設定しても構わない。この構成によれば、ライン光91aの向きが0°〜180°の範囲で変化するため、より広い範囲で被検物200の形状を測定することができる。
また、本実施形態では、移動部30は、被検物200を載置する載置台を跨ぐ門型フレーム15を備えているものとしたが、多関節アーム状の構成を備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0095】
15…門型フレーム、20…センサー部、30…移動部、40…回転機構、91…照射部、92…検出部、100…形状測定装置、200…被検物、359…回転方向算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検物にライン光を照射する光照射部および前記ライン光の照射方向とは異なる方向から前記被検物に照射された前記ライン光を検出する検出部を有するセンサー部と、
互いに直交する座標系の座標軸方向それぞれに、前記センサー部を移動させる移動部と、
前記移動部に対して前記センサー部を回転可能に支持する回転機構と、
前記座標系の基準位置を示す球を検出することにより、前記移動部に対する前記センサー部の回転方向を算出する回転方向算出部と、
を備えることを特徴とする形状測定装置。
【請求項2】
前記回転方向算出部は、
前記センサー部が前記球を検出して得られた1つの画像において示される点群情報に基づいて近似される円を生成し、得られた複数の前記画像に基づいて前記近似される円の中心の位置情報に基づいて、前記センサー部の取り付け角度を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項3】
前記センサー部は、
前記座標系の座標軸方向と異なる方向に前記移動部によって移動させられて、前記球を検出する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の形状測定装置。
【請求項4】
前記センサー部は、
前記回転方向算出部により算出された前記センサー部の回転方向に基づいて、前記ライン光と直角となる方向に移動させられて前記被検物の形状を検出する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の形状測定装置。
【請求項5】
前記回転機構は、前記センサー部を回転させる回転軸の中心軸と前記ライン光の中心軸とが一致するように、前記移動部と前記センサー部との間に設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の形状測定装置。
【請求項6】
前記移動部は、
前記被検物を載置する載置台を跨ぐ門柱型構造
を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の形状測定装置。
【請求項1】
被検物にライン光を照射する光照射部および前記ライン光の照射方向とは異なる方向から前記被検物に照射された前記ライン光を検出する検出部を有するセンサー部と、
互いに直交する座標系の座標軸方向それぞれに、前記センサー部を移動させる移動部と、
前記移動部に対して前記センサー部を回転可能に支持する回転機構と、
前記座標系の基準位置を示す球を検出することにより、前記移動部に対する前記センサー部の回転方向を算出する回転方向算出部と、
を備えることを特徴とする形状測定装置。
【請求項2】
前記回転方向算出部は、
前記センサー部が前記球を検出して得られた1つの画像において示される点群情報に基づいて近似される円を生成し、得られた複数の前記画像に基づいて前記近似される円の中心の位置情報に基づいて、前記センサー部の取り付け角度を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項3】
前記センサー部は、
前記座標系の座標軸方向と異なる方向に前記移動部によって移動させられて、前記球を検出する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の形状測定装置。
【請求項4】
前記センサー部は、
前記回転方向算出部により算出された前記センサー部の回転方向に基づいて、前記ライン光と直角となる方向に移動させられて前記被検物の形状を検出する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の形状測定装置。
【請求項5】
前記回転機構は、前記センサー部を回転させる回転軸の中心軸と前記ライン光の中心軸とが一致するように、前記移動部と前記センサー部との間に設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の形状測定装置。
【請求項6】
前記移動部は、
前記被検物を載置する載置台を跨ぐ門柱型構造
を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の形状測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−93258(P2012−93258A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241341(P2010−241341)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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