説明

往復動ポンプユニット、及び往復動ポンプ接続用配管構造体

【課題】 往復動ポンプの吸入ポートに接続される一次側配管系での流体圧が、往復動ポンプの吐出ポート側の流体圧よりも大きな場合であっても、逆止弁の開閉を適正に行うことができ、往復動ポンプによる流体の吸入と吐出とを適正に行うことができる往復動ポンプユニットを提供する。
【解決手段】 流体圧の高い一次側配管系が接続される往復動ポンプユニットであって、一次側配管系と往復動ポンプの吸入ポートとを接続する接続用配管系を備え、該接続用配管系は、バッファタンクと、バッファタンクと一次側配管系とを連通させる一方でバッファタンクと一次側逆止弁との連通を遮断する第一状態と、バッファタンクと一次側配管系との連通を遮断する一方でバッファタンクと一次側逆止弁とを連通させる第二状態とに切り換えるように構成された流路切換手段とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復動体が内装されたポンプヘッドの吸入ポート及び吐出ポートのそれぞれに逆止弁が流体的に接続された往復動ポンプを備え、吸入ポートに吐出ポート側よりも流体圧の高い一次側配管系が接続される往復動ポンプユニット、及び往復動ポンプの吸入ポートに吐出ポート側よりも流体圧の高い一次側配管系を接続するための往復動ポンプ接続用配管構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流体を一次側から二次側に向けて送る容積型ポンプの一つとして、往復動ポンプが周知である。かかる往復動ポンプとしては、ダイヤフラムポンプやピストンポンプ等が挙げられ、これらは、往復動体が内装されたポンプヘッドの吸入ポート及び吐出ポートのそれぞれに逆止弁が流体的に接続されており、ポンプ単体として構築されたり、配管系の一部や駆動源等と共にユニット化されたりして構築されている。
【0003】
前記逆止弁は、ハウジング内に弁体が移動可能に内装されており、流体が一次側から二次側に向けて流動するに際し、その圧力によって弁体がハウジング内で二次側に移動して、流路が確保される一方、流体の流通が停止して圧力が低下したときに、弁体の自重等が作用して該弁体がハウジング内の弁座に密着し、二次側に向けて流れた流体がハウジングに向けて逆流するのを防止できるように構成されている。
【0004】
上記構成の往復動ポンプ(ユニット)は、往復動体を作動させてポンプヘッド内に流体を吸入する(吸い込む)に際し、吸入ポート側の逆止弁の流路が開放する一方で、二次側の逆止弁の流路が閉塞し、ポンプヘッド内の流体を二次側に押し出すに際し、吸入ポート側の逆止弁の流路が閉塞する一方、二次側の逆止弁の流路が開放するように構成されている。即ち、ポンプヘッドに接続された一次側及び二次側の逆止弁は、一次側から二次側に向けての流体の流動のみ許容するように設けられており、これによって、ポンプヘッド内の往復動体の往復動で流体の吸入及び吐出を円滑且つ確実に行え得るように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−201969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記構成の往復動ポンプ(往復動ポンプユニット)は、吸入ポート側の逆止弁に吐出ポート側よりも流体圧の高い一次側配管系が流体的に接続される場合がある。即ち、上記構成の往復動ポンプ(往復動ポンプユニット)は、流体を循環させるべく流体を圧送するポンプを備えた循環ラインから分岐した分岐配管や、流体を圧送する主配管から分岐した分岐配管に等に接続される場合がある。
【0006】
この場合、一次側配管系からの流体の流体圧が高いため、上記構成の往復動ポンプ(往復動ポンプユニット)の逆止弁の弁体が、一次側の流体圧で二次側に押され、逆止弁内の流路を閉塞しなければならないタイミングであっても、流路を閉塞させることができないといった現象が発生する場合があった。特に、弁体の自重によって流路を閉塞するように構成された逆止弁の場合には、一次側配管系からの流体圧の影響を受けやすく、流路の開閉を適正に行うことができなくなることが顕著である。
【0007】
そのため、往復動ポンプのポンプヘッドによる流体の吸入と吐出とを適正な状態で行うことができないといった問題があった。即ち、往復動ポンプは、往復動体の往復動と、逆止弁による流路の開閉とによって流体の吸入と吐出とを行うため、上述の如く、一次側配管系の流体圧によって逆止弁が適正に作動しないと、単に往復動体が往復動するだけで、流体の吸入と吐出とを行うことができないといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁に流体的に接続される一次側配管系での流体圧が、往復動ポンプの吐出ポート側の流体圧よりも大きな場合であっても、逆止弁の開閉を適正に行うことができ、往復動ポンプによる流体の吸入と吐出とを適正に行うことができる往復動ポンプユニット、及び往復動ポンプ接続用配管構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る往復動ポンプユニットは、往復動体が内装されたポンプヘッドの吸入ポート及び吐出ポートのそれぞれに逆止弁が流体的に接続された往復動ポンプを備え、吸入ポート側の逆止弁に吐出ポート側よりも流体圧の高い一次側配管系が流体的に接続される往復動ポンプユニットであって、一次側配管系と吸入ポート側の逆止弁とを流体的に接続する接続用配管系を備え、該接続用配管系は、流体を流出入可能に構成されたバッファタンクと、バッファタンクと一次側配管系とを連通させる一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁との連通を遮断する第一状態と、バッファタンクと一次側配管系との連通を遮断する一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁とを連通させる第二状態とに連続的に切り換えるように構成された流路切換手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
上記構成の往復動ポンプユニットによれば、流体圧の高い一次側配管系に接続される接続用配管系が、流体を流出入可能に構成されたバッファタンクと、バッファタンクと一次側配管系とを連通させる一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁との連通を遮断する第一状態と、バッファタンクと一次側配管系との連通を遮断する一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁とを連通させる第二状態とに切換可能に構成された流路切換手段とを備えているので、往復動ポンプ(逆止弁)が一次側配管系の圧力影響を受けることがなく、逆止弁で流路の開閉を円滑に行わせることができ、流体の吸入と吐出とを円滑に行うことができる。
【0011】
具体的には、流路切換手段が、バッファタンクと一次側配管系とを連通させる一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁との連通を遮断する第一状態と、バッファタンクと一次側配管系との連通を遮断する一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁とを連通させる第二状態とに切換可能に構成されるので、第一状態及び第二状態の何れにおいても往復動ポンプ(逆止弁及びポンプヘッド)は、流体圧の高い一次側配管系と縁切り(流体的に遮断)された状態となり、一次側配管系の流体圧の影響を受けない状態となる。
【0012】
そして、流路切換手段が第一状態にあるときに、一次側配管系からバッファタンクに流体が流入し、その状態から流路切換手段が第二状態に切り換わると、バッファタンク内の流体を往復動ポンプに供給できる状態となる。従って、往復動ポンプを駆動するに際し、一次側の流体圧の影響を受けていない各逆止弁は、往復動体の往復動(駆動)に連動して適正に開閉することになり、第二状態において、バッファタンク内の流体を吸入して二次側の吐出ポートから吐出させることができる。そして、流路切換手段が第一状態と第二状態とに連続的に切り換わることで、一次側配管系の流体圧の影響を受けない状態で、バッファタンクに対する流体の補充とバッファタンクから往復動ポンプへの流体を供給とを連続的に行うことができ、該流体を二次側に円滑に吐出させることができる。
【0013】
また、本発明に係る往復動ポンプユニットの一態様として、前記往復動ポンプを二つ備えて無脈動ポンプとして構成され、前記接続用配管系は、二系統設けられると共に、各接続用配管系が各往復動ポンプの吸入ポート側の流路を合流させた共通ポート介して各往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁に流体的に接続され、何れか一方の接続用配管系における流路切換手段が第一状態にあるときに、他方の接続用配管系における流路切換手段が第二状態となるよう、各接続配管系の流路切換手段の状態を交互に切り換えるように構成されてもよい。かかる構成によれば、各往復動ポンプの吸入ポートを合流させた共通ポートに二系統の接続用配管系が接続されているので、各接続用配管系の流路切換手段の状態を交互に切り換えるようにしても、何れか一方の接続用配管系におけるバッファタンクが往復動ポンプに対して流体的に接続された状態となる。これにより、二つの往復動ポンプの作動状態に対応して各接続用配管系の流路切換手段の状態を切り換える制御を行わなくても、各往復動ポンプに対してバッファタンク内の流体を吸入させて吐出させることができる。
【0014】
さらに、本発明に係る往復動ポンプユニットの他態様として、前記往復動ポンプを二つ備えて無脈動ポンプとして構成され、前記接続用配管系は、一系統設けられると共に、各往復動ポンプの吸入ポート側の流路を合流させた共通ポートを介して各往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁に流体的に接続され、流路切換手段と共通ポートとの間に流体を流出入可能に構成された補助タンクを更に備えてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、第一状態及び第二状態の何れにおいても一次側配管系の流体圧の影響を受けることがなく、且つ補助タンクと往復動ポンプとが常に連通状態となる位置(流路切換手段の二次(下流)側)に補助タンクが設けられることになる。これにより、往復動ポンプは、一次側配管系からの流体圧の影響を受けることなく適正に作動し、補助タンク内の流体を吸入して吐出させることができる。
【0016】
具体的には、流路切換手段が第一状態となっている状態で、バッファタンク内に一次側配管系からの流体が流入(補充)され、流路切換手段が第二状態に切り換わると、一次側配管系での流体圧の影響を受けない状態で、バッファタンク内の流体が補助タンクに補充されると共に何れか一方の往復動ポンプに供給されることになる。そして、流路切換手段が第二状態であるときに作動する往復動ポンプは、バッファタンク及び補助タンクの少なくとも何れか一方からの流体を吸入して二次側に吐出することになる。その一方で、流路切換手段が第二状態から第一状態に切り換わると、バッファタンクが、補助タンク及び往復動ポンプとの連通が遮断された状態になるので、この状態で作動する何れか一方(他方)の往復動ポンプは、第二状態で補充された補助タンクの流体を吸入して吐出することになる。
【0017】
従って、流路切換手段を第一状態と第二状態とに交互に切り換えることで、二つの往復動ポンプ(無脈動ポンプ)に対して一次側配管系の流体圧の影響を与えない状態で流体を連続的に供給することができる。これにより、二つの往復動ポンプ(無脈動ポンプ)を適正に作動させることができ、流体を二次側に向けて無脈動で且つ連続的に吐出させることができる。なお、この場合、補助タンクは、何れか一方の往復動ポンプに供給する液体を貯留するものであるので、少なくとも一つの往復動ポンプの作動サイクル(往復動体の往復動)における一サイクル当たりの吸入量(吐出量)の流体を貯留できるように構成し、バッファタンクは、他方の往復動ポンプ及び補助タンクに供給する液体を貯留するものであるので、一つの往復動ポンプの一サイクル当たりの吸入量(吐出量)と補助タンクに補充する量の合計量以上の液体を貯留できるように構成することが好ましい。
【0018】
本発明に係る往復動ポンプユニットの別の態様として、前記往復動ポンプを二つ備えて無脈動ポンプとして構成され、前記接続用配管系が往復動ポンプに対応して二系統設けられると共に、各接続用配管系が各往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁のそれぞれに流体的に接続され、何れか一方の接続用配管系における流路切換手段が第一状態にあるときに、対応する往復動ポンプによる吸入及び吐出のタイミングに対応して他方の接続用配管系における流路切換手段が第二状態となるよう、各接続配管系の流路切換手段の状態を交互に切り換えるように構成されてもよい。
【0019】
往復動ポンプを二つ備えた無脈動ポンプは、各往復動ポンプの流体の吸入と吐出のサイクルが逆位相となるように構成されるが、上述の如く、接続用配管系が各往復動ポンプに対応して二系統設けられ、何れか一方の流路切換手段が、第一状態にあるときに、対応する往復動ポンプによる吸入及び吐出のタイミングに対応して他方の流路切換手段が第二状態となるように構成されれば、流体を吸入して吐出する際に各逆止弁が一次側配管系の流体圧の影響を受けることがなく、各往復動ポンプの流体の吸入と吐出とを適正に行うことができる。
【0020】
そして、前記流路切換手段は、バッファタンクの一次側及び二次側のそれぞれに設けられた一対の二方弁で構成され、何れか一方の二方弁が開放状態であるときに他方の二方弁が閉鎖状態になるように構成されてもよい。このようにすれば、各二方弁を独立して開閉させることができるので、第一状態と第二状態とに切り換えるに際しても、往復動ポンプ(逆止弁)が一次側配管系の流体圧の影響を受ける状態になるのを確実の防止することができる。
【0021】
また、前記流路切換手段は、三方弁で構成され、該三方弁の三つのポートのうち、二つのポートのいずれにも連通可能な主ポートにバッファタンクが接続されてもよい。このように流路切換手段に三方弁を採用すると、接続用配管系の小型化を図ることができる上に、複雑な制御を行うことなく、第一状態と第二状態との切り換えを確実に連動させることができる。
【0022】
そして、前記バッファタンクは、流体が貯留される貯留空間を備え、該貯留空間は、往復動ポンプに供給するための流体を流出入させる開口が形成された剛性を有する内周壁面と弾性変形自在なダイヤフラムとで画されてなり、貯留空間内に流体が入った状態でダイヤフラムが非弾性変形状態となるように構成されていることが好ましい。このようにすれば、流路切換手段が第二状態であるときに往復動ポンプが作動すると、バッファタンクの貯留空間内の流体が吸い出されることになり、これに伴って、貯留空間を画するダイヤフラムも流体に追従するように弾性変形することになる。
【0023】
そして、流路切換手段が第二状態から第一状態に切り換わると、一次側配管系から流体が貯留空間内に流れ込むことになる。この際、第二状態で弾性変形したダイヤフラムは、非弾性変形状態に復元しようとするため、仮に一次側配管系の流体圧が貯留空間内に流入するのに十分でない場合であっても、ダイヤフラムの復元に伴う貯留空間の容積変化によって流体が貯留空間に強制的に吸い込まれることになり、バッファタンクに流体を確実に流入させることができる。従って、流路切換手段が第二状態に切り換わって往復動ポンプが作動するに際し、バッファタンク内の流体が不足して円滑な吐出が阻害される等といった事態になるのを確実に防止することができる。
【0024】
本発明に係る往復動ポンプ接続用配管構造体は、往復動体が内装されたポンプヘッドの吸入ポート及び吐出ポートのそれぞれに逆止弁が流体的に接続され、吸入ポート側の逆止弁に一次側配管系を流体的に接続可能に構成された往復動ポンプに対し、該往復動ポンプの吐出ポート側よりも流体圧の高い一次側配管系を流体的に接続させるための往復動ポンプ接続用配管構造体であって、一次側配管系と吸入ポート側の逆止弁とを流体的に接続する接続用配管系を備え、該接続用配管系は、流体を流出入可能に構成されたバッファタンクと、バッファタンクと一次側配管系とを連通させる一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁との連通を遮断する第一状態と、バッファタンクと一次側配管系との連通を遮断する一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁とを連通させる第二状態とに連続的に切り換えるように構成された流路切換手段とを備えたことを特徴とする。
【0025】
上記構成の往復動ポンプ接続用配管構造体によれば、流体を流出入可能に構成されたバッファタンクと、バッファタンクと一次側配管系とを連通させる一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁との連通を遮断する第一状態と、バッファタンクと一次側配管系との連通を遮断する一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁とを連通させる第二状態とに切換可能に構成された流路切換手段とを備えているので、往復動ポンプ(逆止弁)が一次側配管系の圧力影響を受けることがなく、逆止弁で流路の開閉を円滑に行わせることができ、流体の吸入と吐出とを円滑に行うことができる。
【0026】
具体的には、流路切換手段が、バッファタンクと一次側配管系とを連通させる一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁との連通を遮断する第一状態と、バッファタンクと一次側配管系との連通を遮断する一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁とを連通させる第二状態とに切換可能に構成されるので、第一状態及び第二状態の何れにおいても往復動ポンプ(逆止弁及びポンプヘッド)は、流体圧の高い一次側配管系と縁切り(流体的に遮断)された状態となり、一次側配管系の流体圧の影響を受けない状態となる。
【0027】
そして、流路切換手段が第一状態にあるときに、一次側配管系からバッファタンクに流体が流入し、その状態から流路切換手段が第二状態に切り換わると、バッファタンク内の流体を往復動ポンプに供給できる状態となる。従って、往復動ポンプを駆動するに際し、一次側の流体圧の影響を受けていない各逆止弁は、往復動体の往復動(駆動)に連動して適正に開閉することになり、第二状態において、バッファタンク内の流体を吸入して二次側の吐出ポートから吐出させることができる。そして、流路切換手段を第一状態と第二状態とに連続的に切り換えることで、一次側配管系の流体圧の影響を受けない状態で、バッファタンクに対する流体の補充とバッファタンクから往復動ポンプへの流体を供給とを連続的に行うことができ、該流体を二次側に円滑に吐出させることができる。
【0028】
また、本発明に係る往復動ポンプ接続用配管構造の一態様として、前記往復動ポンプを二つ備えた無脈動ポンプを接続対象とし、各往復動ポンプの吸入ポート側の流路を合流させて形成された共通ポートを介して各往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁に一次側配管系を流体的に接続するための往復動ポンプ接続用配管構造体であって、前記接続用配管系は、前記共通ポートに接続可能に二系統設けられ、何れか一方の接続用配管系における流路切換手段が第一状態にあるときに、他方の接続用配管系における流路切換手段が第二状態となるよう、各接続配管系の流路切換手段の状態を交互に切り換えるように構成されてもよい。
【0029】
かかる構成によれば、各往復動ポンプの吸入ポート側を合流させた共通ポートに二系統の接続用配管系が接続させるように構成されているので、接続用配管系を介して往復動ポンプと一次側配管系とを流体的に接続した状態で、各接続用配管系の流路切換手段の状態を交互に切り換えるようにしても、何れか一方の接続用配管系におけるバッファタンクが往復動ポンプに対して流体的に接続された状態となる。これにより、二つの往復動ポンプの作動状態に対応して各接続用配管系の流路切換手段の状態を切り換える制御を行わなくても、各往復動ポンプに対してバッファタンク内の流体を吸入させて吐出させることができる。
【0030】
さらに、本発明に係る往復動ポンプ接続用配管構造の他態様として、前記往復動ポンプを二つ備えた無脈動ポンプを接続対象とし、各往復動ポンプの吸入ポート側の流路を合流させて形成された共通ポートを介して各往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁に一次側配管系を流体的に接続するための往復動ポンプ接続用配管構造体であって、前記接続用配管系は、前記共通ポートに接続可能に一系統設けられ、流路切換手段と共通ポートとの間に流体を流出入可能に構成された補助タンクを更に備えてもよい。
【0031】
かかる構成によれば、接続用配管系を介して往復動ポンプと一次側配管系とを流体的に接続した状態において、第一状態及び第二状態の何れにおいても一次側配管系の流体圧の影響を受けることがなく、且つ補助タンクと往復動ポンプとが常に連通状態となる位置(流路切換手段の二次(下流)側)に補助タンクが設けられることになる。これにより、往復動ポンプは、一次側配管系からの流体圧の影響を受けることなく適正に作動し、補助タンク内の流体を吸入して吐出させることができる。
【0032】
具体的には、流路切換手段が第一状態となっている状態で、バッファタンク内に一次側配管系からの流体が流入(補充)され、流路切換手段が第二状態に切り換わると、一次側配管系での流体圧の影響を受けない状態で、バッファタンク内の流体が補助タンクに補充されると共に何れか一方の往復動ポンプに供給されることになる。そして、流路切換手段が第二状態であるときに作動する往復動ポンプは、バッファタンク及び補助タンクの少なくとも何れか一方からの流体を吸入して二次側に吐出することになる。その一方で、流路切換手段が第二状態から第一状態に切り換わると、バッファタンクが、補助タンク及び往復動ポンプとの連通が遮断された状態になるので、この状態で作動する何れか一方(他方)の往復動ポンプは、第二状態で補充された補助タンクの流体を吸入して吐出することになる。
【0033】
従って、流路切換手段を第一状態と第二状態とに交互に切り換えることで、二つの往復動ポンプ(無脈動ポンプ)に対して一次側配管系の流体圧の影響を与えない状態で流体を連続的に供給することができる。これにより、二つの往復動ポンプ(無脈動ポンプ)を適正に作動させることができ、流体を二次側に向けて無脈動で且つ連続的に吐出させることができる。なお、この場合、補助タンクは、何れか一方の往復動ポンプに供給する液体を貯留するものであるので、少なくとも一つの往復動ポンプの作動サイクル(往復動体の往復動)における一サイクル当たりの吸入量(吐出量)の流体を貯留できるように構成し、バッファタンクは、他方の往復動ポンプ及び補助タンクに供給する液体を貯留するものであるので、一つの往復動ポンプの一サイクル当たりの吸入量(吐出量)と補助タンクに補充する量の合計量以上の液体を貯留できるように構成することが好ましい。
【0034】
本発明に係る往復動ポンプ接続用配管構造の別の態様として、前記往復動ポンプを二つ備えた無脈動ポンプを接続対象とした往復動ポンプ接続用配管構造体であって、前記接続用配管系が往復動ポンプに対応して二系統設けられると共に各接続用配管系が各往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁のそれぞれに流体的に接続可能に構成され、何れか一方の接続用配管系における流路切換手段が第一状態にあるときに、対応する往復動ポンプによる吸入及び吐出のタイミングに対応して他方の接続用配管系における流路切換手段が第二状態となるよう、各接続配管系の流路切換手段の状態を交互に切り換えるように構成されてもよい。
【0035】
往復動ポンプを二つ備えた無脈動ポンプは、各往復動ポンプの流体の吸入と吐出のサイクルが逆位相となるように構成されるが、上述の如く、接続用配管系が各往復動ポンプに対応して二系統設けられ、何れか一方の流路切換手段が、第一状態にあるときに、対応する往復動ポンプによる吸入及び吐出のタイミングに対応して他方の流路切換手段が第二状態となるように構成されれば、流体を吸入して吐出する際に各逆止弁が一次側配管系の流体圧の影響を受けることがなく、各往復動ポンプの流体の吸入と吐出とを適正に行うことができる。
【0036】
そして、前記流路切換手段は、バッファタンクの一次側及び二次側のそれぞれに設けられた一対の二方弁で構成され、何れか一方の二方弁が開放状態であるときに他方の二方弁が閉鎖状態になるように構成されてもよい。このようにすれば、各二方弁を独立して開閉させることができるので、第一状態と第二状態とに切り換えるに際しても、往復動ポンプ(逆止弁)が一次側配管系の流体圧の影響を受ける状態になるのを確実の防止することができる。
【0037】
また、前記流路切換手段は、三方弁で構成され、該三方弁の三つのポートのうち、二つのポートのいずれにも連通可能な主ポートにバッファタンクが接続されてもよい。このように流路切換手段に三方弁を採用すると、接続用配管系の小型化を図ることができる上に、複雑な制御を行うことなく、第一状態と第二状態との切り換えを確実に連動させることができる。
【0038】
そして、前記バッファタンクは、流体が貯留される貯留空間を備え、該貯留空間は、往復動ポンプに供給するための流体を流出入させる開口が形成された剛性を有する内周壁面と弾性変形自在なダイヤフラムとで画されてなり、貯留空間内に流体が入った状態でダイヤフラムが非弾性変形状態となるように構成されていることが好ましい。このようにすれば、流路切換手段が第二状態であるときに往復動ポンプが作動すると、バッファタンクの貯留空間内の流体が吸い出されることになり、これに伴って、貯留空間を画するダイヤフラムも流体に追従するように弾性変形することになる。
【0039】
そして、流路切換手段が第二状態から第一状態に切り換わると、一次側配管系から流体が貯留空間内に流れ込むことになる。この際、第二状態で弾性変形したダイヤフラムは、非弾性変形状態に復元しようとするため、仮に一次側配管系の流体圧が貯留空間内に流入するのに十分でない場合であっても、ダイヤフラムの復元に伴う貯留空間の容積変化によって流体が貯留空間に強制的に吸い込まれることになり、バッファタンクに流体を確実に流入させることができる。従って、流路切換手段が第二状態に切り換わって往復動ポンプが作動するに際し、バッファタンク内の流体が不足して円滑な吐出が阻害される等といった事態になるのを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る往復動ポンプユニットは、往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁に流体的に接続される一次側配管系での流体圧が、往復動ポンプの吐出ポート側の流体圧よりも大きな場合であっても、逆止弁の開閉を適正に行うことができ、往復動ポンプによる流体の吸入と吐出とを適正に行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【0041】
また、本発明に係る往復動ポンプ接続用配管構造体によれば、往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁に流体的に接続される一次側配管系での流体圧が、往復動ポンプの吐出ポート側の流体圧よりも大きな場合であっても、逆止弁の開閉を適正に行うことができ、往復動ポンプによる流体の吸入と吐出とを適正に行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の第一実施形態に係る往復動ポンプユニットを添付図面を参照して説明する。
【0043】
本実施形態に係る往復動ポンプユニットは、図1に示す如く、流体Wを循環させる循環ライン100から分岐した分岐配管101に接続されている。往復動ポンプユニット1の説明に先立ち循環ライン100について概略説明すると、該循環ライン100は、流体Wを貯留する貯留タンク102と、該貯留タンク102内の流体Wを一旦吸引した後に、再度貯留タンク102に戻す一次側配管系103とで構成されている。
【0044】
本実施形態においては、貯留タンク102は、上部が開放した開放型のタンクであり、流体(本実施形態においては粘性の高いスラリー)Wが貯留されている。前記一次側配管系103は、貯留タンク102の底に接続された第一配管103aと、該第一配管103aに接続されたポンプ(本実施形態においては圧送ポンプ)103bと、該圧送ポンプ103bに接続されるとともに、貯留タンク102の上部開放部に流体Wを放出可能に配設された第二配管103cとで構成されており、前記圧送ポンプ103bを作動させることで、貯留タンク102内の流体Wを循環させるようになっている。
【0045】
そして、該一次側配管系103は、圧送ポンプ103bの作動によって大きな流体圧(正(+)圧)が生じる第二配管103cの途中に、本実施形態に係る往復動ポンプユニット1を接続するための分岐配管101が設けられており、循環ライン100で循環される流体Wの一部を、分岐配管101を介して往復動ポンプユニット1に供給できるように構成されている。
【0046】
前記往復動ポンプユニット1は、往復動ポンプ2a,2bと、該往復動ポンプ2a,2bと一次側配管系103(分岐配管101)とを接続するための接続用配管構造体(往復動ポンプ接続用配管構造体)3とを備えている。本実施形態に係る往復動ポンプユニット1は、一次側(一次側配管系103)の流体圧よりも低い流体圧で流体Wを吐出させるようになっている。換言すれば、該往復動ポンプユニット1は、往復動ポンプ2a,2b(後述する吐出ポート)の二次(下流)側よりも流体圧の高い一次側配管系103が一次(上流)側に接続されている。
【0047】
往復動ポンプ2a,2bは、図2乃至図4に示す如く、ポンプヘッド20a,20bと、該ポンプヘッド20a,20bの一次側の吸入ポート21a,21b、及び二次側の吐出ポート22a,22bのそれぞれに流体的に接続され、一次側から二次側に向けての流体Wの流通を許容する逆止弁23a,23b,24a,24bと、当該往復動ポンプ2a,2b(ポンプヘッド20a,20bの後述するダイヤフラム27a,27b)を駆動するポンプ駆動手段25とを備えている。なお、以下の説明において、吸入ポート21a,21bに接続された逆止弁23a,23b(吸入ポート21a,21b側の逆止弁23a,23b)を一次側逆止弁といい、吐出ポート22a,22bに接続された逆止弁24a,24bを二次側逆止弁という。また、これらの両方を総称する場合には、単に逆止弁23a,23b,24a,24bという。
【0048】
本実施形態に係る往復動ポンプ2a,2bは、二つ並列に設けられ、各往復動ポンプ2a,2bにおける流体Wの吸入(吹い込み)及び吐出(吐き出し)のサイクルを互いに逆位相にすることで無脈動ポンプPを構成している。なお、図1においては、二つの往復動ポンプ2a,2bを一つ無脈動ポンプとして符号Pを付して示している。
【0049】
各往復動ポンプ2a,2bは、ダイヤフラム式の定容積ポンプであり、前記ポンプヘッド20a,20bは、ケーシング26a,26bと、該ケーシング26a,26b内に配設され、ケーシング26a,26b内に形成される空間(以下、作動空間という)Sa,Sbを該ケーシング26a,26b(後述する凹部262a,262b)と共に画定するダイヤフラム27a,27bと、該ダイヤフラム27a,27bにポンプ駆動手段25の駆動を伝達する駆動伝達手段28a,28bとで構成されている。
【0050】
前記ケーシング26a,26bは、ケース本体260a,260bと、該ケース本体260a,260bにダイヤフラム27a,27bを取り付けるための取付部材261a,261bとで構成されている。
【0051】
前記ケース本体260a,260bは、ブロック状に形成されており、一方の面に奥部側ほど小径となった略円錐台状の凹部262a,262bが形成されている。そして、該凹部262a,262bの内周壁面には、該凹部262a,262b内と一次側配管系103とを連通させる穴からなる前記吸入ポート21a,21bと、凹部262a,262bと二次側の一次側配管系103とを連通させる穴からなる前記吐出ポート22a,22bとが形成されている。
【0052】
また、該ケース本体260a,260bには、各逆止弁23a,23b,24a,24bを内装するための逆止弁内装穴263a,263b,264a,264bが吸入ポート21a,21b、及び吐出ポート22a,22bのそれぞれに連通して形成されている。即ち、逆止弁内装穴263a,263b,264a,264bは、内装した逆止弁23a,23b,24a,24bが吸入ポート21a,21b及び吐出ポート22a,22bのそれぞれと連続した流路を形成できるようにケース本体260a,260b内に形成されている。
【0053】
なお、詳細については後述するが、本実施形態に係る逆止弁23a,23b,24a,24bは、後述する弁体272a,272b,273a,273bが開放状態にある流路を自重の作用によって閉塞するようになっており、その弁体272a,272b,273a,273bの自重を下方に向けて確実に作用させるべく、逆止弁内装穴263a,263b,264a,264bは、弁体272a,272b,273a,273bが上下方向に移動する姿勢で逆止弁23a,23b,24a,24bを内装できるように形成されている。
【0054】
さらに、該ケース本体260a,260bには、接続用配管構造体3の後述する接続用配管系30a,30b(図1参照)を流体的に接続可能に構成された一次側の接続ポート265a,265bが一次側逆止弁23a,23b(逆止弁内装穴263a,263b)と連通するように形成されると共に、二次側の配管50を流体的に接続可能に構成された二次側の接続ポート266a,266bが二次側逆止弁24a,24b(逆止弁内装穴264a,264b)と連通するように形成されている。
【0055】
本実施形態においては、二つの往復動ポンプ2a,2bを一体的にした無脈動ポンプPとすべく、上記構成を有する二つケース本体260a,260bが並列(横並び)した態様で一体的に形成されている。即ち、二つの往復動ポンプ2a,2bのケース本体260a,260bが一つのブロック状に形成されている。これに伴い、各往復動ポンプ2a,2bの一次側逆止弁23a,23bに一系統の流路で流体Wを流入させるべく、本実施形態に係るケース本体260a,260bには、ケース本体260a,260b内に二つの往復動ポンプ2a,2bの吸入ポート21a,21b側の流路(一次側逆止弁23a,23bに連通した上流側の流路)が一カ所で合流するように形成され、その合流部分から各往復動ポンプ2a,2bに流体Wを供給できるように、当該部分に両方の往復動ポンプ2a,2bに対する共通の接続ポート265a,265b(共通ポート)が形成されている(以下、二つの往復動ポンプ2a,2bに対する共通の一次側の接続ポート265a,265bを一次側共通ポート265という)。
【0056】
また、本実施形態においては、二つの往復動ポンプ2a,2bから吐出される流体Wを一系統の流路で二次側に流出させるべく、一次側と同様に、ケース本体260a,260b内に二つの往復動ポンプ2a,2bの吐出ポート22a,22b側の流路(二次側逆止弁24a,24bに連通した下流側の流路)が一カ所で合流するように形成され、その合流部分に両方の往復動ポンプ2a,2bに対して共通の二次側の配管50(一系統の配管系)を接続するための共通の接続ポート266a,266bが形成されている(以下、二つの往復動ポンプ2a,2bの共通した二次側の接続ポート266a,266bを二次側共通ポート266という)。
【0057】
取付部材261a,261bは、ケース本体260a,260bの凹部262a,262bの開口部に嵌入可能に構成された筒状の嵌入部267a,267bと、該嵌入部267a,267bが連設されると共にケース本体260a,260bに連結可能に形成されたブロック状の部材本体268a,268bとで構成されており、該部材本体268a,268bには、後述するシャフト体280a,280bを挿通させる貫通穴269a,269bが、各嵌入部267a,267bの内穴と略同心で穿設されている。本実施形態においては、ケース本体260a,260bと同様、二つの取付部材261a,261bが並列(横並び)した態様で一体的に形成されている。これにより、二つの往復動ポンプ2a,2bの各ケーシング26a,26bが一つの無脈動ポンプPの一つのケースとして構成されるようになっている。
【0058】
該取付部材261a,261bは、嵌入部267a,267bをケース本体260a,260bの凹部262a,262bに嵌入した状態で、前記凹部262a,262bの開口部に配設されたダイヤフラム27a,27bの外周縁部を、ケース本体260a,260bと挟み込んだ状態にして該ダイヤフラム27a,27bを固定できるように構成されている。
【0059】
前記ダイヤフラム27a,27bは、テフロン(R)樹脂等を略円板状に成形したもので、何れの面側にも中央部が膨出した態様で弾性変形可能に形成されている。本実施形態に係るダイヤフラム27a,27bは、中心から外周縁に向けて断面が波状をなすように、平面視において両面に円環状の凸部及び凹部が複数条交互に形成されており、これによって、何れの面側にも膨出した態様に変形しやすいようになっている。該ダイヤフラム27a,27bは、外周縁部が全周に亘ってケース本体260a,260bの凹部262a,262bにおける開口縁部に形成された環状面と取付部材261a,261bの嵌入部267a,267bの先端面とに挟まれて取り付けられている。
【0060】
これにより、該ダイヤフラム27a,27bは、中央部が面直交方向の何れにおいても膨出した態様で弾性変形可能な状態で、凹部262a,262bの内周壁面と共に流体Wを流出入させる作動空間Sa,Sbを画定している。ダイヤフラム27a,27bは、作動空間Sa,Sbを画する一方の面に対して反対側の他方の面に、駆動伝達手段28a,28bの後述するシャフト体280a,280bが、該ダイヤフラム27a,27bと略同心となるように延設されている。
【0061】
前記逆止弁23a,23b,24a,24bは、ハウジング270a,270b,271a,271bと、該ハウジング270a,270b,271a,271b内に移動可能に内装された弁体272a,272b,273a,273bとで構成されている。前記ハウジング270a,270b,271a,271bは、ケース本体260a,260bの逆止弁内装穴263a,263b,264a,264bに内装可能に形成され、各逆止弁内装穴263a,263b,264a,264bに内装した状態で吸入ポート21a,21b及び吸入ポート21a,21bと連通し、前記弁体272a,272b,273a,273bが移動可能に内装される弁体内装穴274a,274b,275a,275bが形成されている。
【0062】
前記弁体内装穴274a,274b,275a,275bは、上下方向に延びるように形成されている。吸入ポート21a,21bに連通する弁体内装穴274a,274b内には、弁体272a,272bが着座することで、一次側(一次側配管系103)と吸入ポート21a,21b(作動空間Sa,Sb)との連通が遮断される弁座276a,276bが形成されている。その一方で、吐出ポート22a,22bに連通する弁体内装穴275a,275bには、弁体273a,273bが着座することで、二次側(二次側の配管50(図1参照))と吐出ポート22a,22b(作動空間Sa,Sb)との連通を遮断する弁座277a,277bが形成されている。なお、本実施形態に係る逆止弁23a,23b,24a,24b(ハウジング270a,270b,271a,271b)のそれぞれは、弁座276a,276b,277a,277bの形成された二つの弁体内装穴274a,274b,275a,275bが直列に形成されており、各弁体内装穴274a,274b,275a,275bに球状の弁体272a,272b,273a,273bが内装されている。
【0063】
前記駆動伝達手段28a,28bは、ダイヤフラム27a,27bの他方の面に延設されたシャフト体280a,280bと、該シャフト体280a,280bの先端部に取り付けられ、後述する偏心カム252a,252bに案内される案内体281a,281bと、前記部材本体268a,268bに連結され、シャフト体280a,280bが軸線方向に案内可能に挿通されるベース体282a,282bと、案内体281a,281bとベース体282a,282bとの間に介装され、シャフト体280a,280bを軸線方向に付勢するコイルバネ283a,283bとで構成されている。
【0064】
前記シャフト体280a,280bは、上述の如く、ダイヤフラム27a,27bの他方の面に同心で延設されており、前記取付部材261a,261bの貫通穴269a,269bに略同心で挿通された状態をなし、先端側が取付部材261a,261bから更に延出した状態となっている。前記案内体281a,281bは、回転する偏心カム252a,252bの外周面上を転動するローラ284a,284bと、シャフト体280a,280bの先端に連結され、前記ローラ284a,284bを軸支するフレーム部285a,285bとで構成されている。フレーム部285a,285bは、シャフト体280a,280bの先端部が連結される一端側とは反対側の他端からローラ284a,284bの外周の一部が突出するようにピン(図示しない)を介して該ローラ284a,284bを軸支するように構成され、他端部にコイルバネ283a,283bの一端側を受ける鍔状の第一バネ座部286a,286bが形成されている。
【0065】
本実施形態に係るベース体282a,282bは、取付部材261a,261b(部材本体268a,268b)に連結可能に構成されており、取付部材261a,261bの貫通穴269a,269bと略同心で、該貫通穴269a,269bに挿通状態にあるシャフト体280a,280bを挿通するシャフト体挿通穴287a,287bが形成されている。該シャフト体挿通穴287a,287bには、シャフト体280a,280bの外周面を案内する筒状のブッシュ288a,288bが内装されており、該シャフト体280a,280bが軸線方向で移動できるようになっている。
【0066】
また、案内体281a,281bとベース体282a,282bとの間でコイルバネ283a,283bを定位置に配設すべく、ベース体282a,282bには、コイルバネ283a,283bに他端側が入り込む環状の凹部からなる第二バネ座部289a,289bが形成されている。本実施形態に係るベース体282a,282bは、往復動ポンプ2a,2b毎に設けられており、一体化した取付部材261a,261bにそれぞれ独立して連結されるようになっている。また、該ベース体282a,282bは、取付部材261a,261bに連結される一端側とは反対の他端側の外周に、ポンプ駆動手段25の主要構成を内装する筐体35に形成された雌ネジ穴350a,350bに螺合するための雄ネジ部290a,290bが形成されており、該筐体35にも連結できるようになっている。
【0067】
前記コイルバネ283a,283bは、シャフト体280a,280bに外嵌した状態で、一端側が第一バネ座部286a,286bで受けられると共に他端側が第二バネ座部289a,289bに受けられており、自然長の状態でダイヤフラム27a,27bが非変形状態となるように長さ設定されている。
【0068】
前記ポンプ駆動手段25は、電動モータ250と、該電動モータ250の回転数を変換する減速機構251と、該減速機構251の出力軸253a,253bに固定され、前記案内体281a,281bを案内する偏心カム252a,252bとで構成されている。
【0069】
前記減速機構251は、電動モータ250の出力を減速して偏心カム252a,252bの所定回転数で回転させるようになっており、該偏心カム252a,252bの回転に対応してシャフト体280a,280bを所定のサイクルで軸心方向で往復動させることで、ダイヤフラム27a,27bの変形(作動空間Sa,Sbの容積変化)サイクル、即ち、流体Wの吸入乃至吐出を所定サイクルで行えるようになっている。そして、本実施形態においては、二つの往復動ポンプ2a,2bで無脈動ポンプPを構成しているため、該減速機構251は、一つの電動モータ250の出力を分配する分配器としても機能するようになっている。即ち、該減速機構251は、シャフト体280a,280bの軸心と直交方向に延びる出力軸253a,253bを二本備えており、出力軸253a,253bのそれぞれに偏心カム252a,252bが連結されている。そして、各偏心カム252a,252bは、各往復動ポンプ2a,2bにおける吸入乃至吐出のサイクルが逆位相となるように各出力軸253a,253bに取り付けられている。これにより、各往復動ポンプ2a,2bの吸入乃至吐出が交互に行われ、流体Wを無脈動で吐出させ得るようになっている。
【0070】
図1に戻り、前記接続用配管構造体3は、一次側配管系103と往復動ポンプ2a,2bの吸入ポート21a,21bとを接続する接続用配管系30a,30bと、該接続用配管系30a,30bを支持するベース(図示しない)とを備えている。該接続用配管系30a,30bは、流体Wを流出入可能に構成されたバッファタンク300a,300bと、バッファタンク300a,300bと一次側配管系103とを連通させる一方でバッファタンク300a,300bと一次側逆止弁23a,23bとの連通を遮断する第一状態と、バッファタンク300a,300bと一次側配管系103との連通を遮断する一方でバッファタンク300a,300bと一次側逆止弁23a,23bとを連通させる第二状態とに連続的に切り換えるように構成された流路切換手段301a,301bとを備えている。
【0071】
本実施形態に係る往復動ポンプユニット1(接続用配管構造体3)は、バッファタンク300a,300bと流路切換手段301a,301bとを備えた接続用配管系30a,30bが二系統並列に設けられている。上述の如く、往復動ポンプ2a,2bは、ポンプヘッド20a,20bの一次側共通ポート265から流体Wを供給できるように構成されているため、各接続用配管系30a,30bは、一次側、及び二次側で互いに合流するように形成されており、一次側の合流部分が分岐配管101に接続され、二次側の合流部分がケース本体260a,260bの一次側共通ポート265に接続されている。
【0072】
前記バッファタンク300a,300bは、図5に示す如く、流体Wを貯留する貯留空間Ta,Tbが形成されており、貯留された流体Wが往復動ポンプ2a,2bの作動で吸い出されるに際し、内部が負(−)圧になって流体Wの流出が阻害されないように構成されている。具体的に説明すると、本実施形態に係るバッファタンク300a,300bは、奥部側ほど小径になるように円錐台状の凹部302a,302bが一方の面に形成されると共に、該凹部302a,302b内と他方の面側とを連通させるように、該凹部302a,302bと略同心で貫通した接続ポート303a,303bが形成されたタンク本体304a,304bと、前記凹部302a,302bの開口を閉塞するように配設される円板状のダイヤフラム(以下、タンク用ダイヤフラムという)305a、305bと、該タンク用ダイヤフラム305a,305bの外周縁部をタンク本体304a,304bとの間に挟み込むようにしてタンク本体304a,304bに連結される蓋部材306a,306bとで構成されている。
【0073】
前記タンク用ダイヤフラム305a,305bは、往復動ポンプ2a,2bのダイヤフラム27a,27bと同様に、テフロン(R)樹脂等を略円板状に成形したもので、少なくともタンク本体304a,304bの凹部302a,302bの内側に中央部が膨出した態様で弾性変形可能に形成されている。本実施形態に係るタンク用ダイヤフラム305a,305bは、中心から外周縁に向けて断面が波状をなすように、平面視において両面に円環状の凸部及び凹部が複数条交互に形成されており、これによって、上述の如く、膨出した態様に変形しやすいようになっている。該タンク用ダイヤフラム305a,305bは、上述の如く、タンク本体304a,304bと蓋部材306a,306bとに外周縁部が挟まれて取り付けられており、凹部302a,302bの剛性のある内周壁面と共に貯留空間Ta,Tbを画定し、凹部302a,302b内(タンク用ダイヤフラム305a,305bと凹部302a,302bの内周壁面とで画定された貯留空間Ta,Tb)において、面直交方向に弾性変形可能に構成されている。
【0074】
前記蓋部材306a,306bは、タンク本体304a,304bに連結した状態でタンク用ダイヤフラム305a,305bと対向する部位が、常態にあるタンク用ダイヤフラム305a,305b(非弾性変形状態にあるタンク用ダイヤフラム305a,305b)の一方の面(貯留空間Ta,Tbを画定する面とは反対側の面)に沿うように形成されており、流体Wが貯留された状態で、タンク用ダイヤフラム305a,305bが、凹部302a,302bとは反対側に膨出するような変形を起こさないようになっている。
【0075】
具体的に説明すると、タンク用ダイヤフラム305a,305bが凹部302a,302bとは反対側に膨出した態様となるように流体Wを貯留できるようにすると、流体Wを流出させる際、即ち、往復動ポンプ2a,2bに吸引される際であるにも関わらず、タンク用ダイヤフラム305a,305bの復元力が作用して内部の流体Wが押し出され、流体Wが流出し終わった後に非弾性変形状態となってしまう。そして、貯留空間Ta,Tb内に流体Wを貯留する際に、タンク用ダイヤフラム305a,305bを弾性変形させるほどの流体圧を作用させなければならないが、流路切換手段301a,301bが第一状態になって一次側配管系103と連通状態になっても、一次側配管系103からの流体圧がタンク用ダイヤフラム305a,305bを弾性変形させることが出来るほどの圧力でない場合に、貯留空間Ta,Tb内に流体Wを充填することができない場合がある。
【0076】
そこで、本実施形態に係るバッファタンク300a,300bは、流体Wが貯留された状態でタンク用ダイヤフラム305a,305bが非弾性変形状態(真っ直ぐな状態)となるように構成し、往復動ポンプ2a,2bの作動で流体Wを吸引される際に、吸引による流体Wの流出に追従してタンク用ダイヤフラム305a,305bが凹部302a,302b側に膨出するように変形することで、貯留空間Ta,Tb内が負圧になって流体Wの流出が阻害されるのを防止して流体Wを円滑に二次側(往復動ポンプ2a,2b側)に供給できようになっている。そして、その一方で、接続ポート303a,303bから貯留空間Ta,Tb内に流体Wを補充するに際し、一次側からの流体圧が作用していない状態であっても、タンク用ダイヤフラム305a,305bの復元(貯留空間Ta,Tbの増大)による負圧の発生で、流体Wを貯留空間Ta,Tb内に強制的に流入させることができるようになっている。
【0077】
なお、図示していないが、本実施形態に係るバッファタンク300a,300bは、蓋部材306a,306bのタンク用ダイヤフラム305a,305bと対向する部位に、外部に連通した空気穴が形成されており、タンク用ダイヤフラム305a,305bが円滑に変形できるようになっている。即ち、タンク用ダイヤフラム305a,305bと蓋部材306a,306bとの間が密閉状態になると、タンク用ダイヤフラム305a,305bが凹部302a,302b側に変形しようとするに際し、タンク用ダイヤフラム305a,305bと蓋部材306a,306bとの間が負圧状態になって変形が阻害される虞があるため、上述の空気穴を形成することで、タンク用ダイヤフラム305a,305bと蓋部材306a,306bとの間での負圧の発生を防止し、タンク用ダイヤフラム305a,305bの変形の円滑性を確保するようにしている。
【0078】
図1に戻り、各接続用配管系30a,30bの流路切換手段301a,301bは、バッファタンク300a,300bの一次側及び二次側のそれぞれに設けられた一対の二方弁307a,308a、307b,308bで構成されている。該一対の二方弁307a,308a、307b,308bは、配管Lによって流体的に接続されており、該配管Lの途中に前記バッファタンク300a,300bの接続ポート303a,303bが流体的に接続されている。本実施形態に係る二方弁307a,308a、307b,308bには、電磁駆動のダイヤフラム式のバルブが採用されているが、例えば、ボールバルブ、ゲートバルブ、バタフライバルブ、ニードルバルブ等の種々のバルブ(弁)を採用することができる。但し、流路の開閉の応答性や、流体Wの性状、流速等を考慮して最適なタイプのバルブを選定することは言うまでもない。また、各バルブの開閉を行うための駆動源は、電磁式、電動式、圧縮空気式等の種々のものを採用できるが、バルブの開閉の応答性を考慮すれば、電磁式、或いは電動式のものを駆動源として採用することが好ましい。
【0079】
一対の二方弁307a,308a、307b,308b(駆動源:図示しない。)は、シーケンサ40に接続されており、該シーケンサ40の制御により、何れか一方の二方弁307a,308a、307b,308bが開放状態であるときに他方の二方弁307a,308a、307b,308bが閉鎖状態になるように構成されている。
【0080】
そして、本実施形態に係る接続用配管系30a,30bは、二系統設けられているので、一方の接続用配管系30a,30bにおける一次側の二方弁307a,307bが開放状態にあるとき、他方の接続用配管系30a,30bにおける一次側の二方弁307a,307bが閉鎖状態となるようになっている。即ち、一方の接続用配管系30a,30bの一次側の二方弁307a,307bが開放状態で二次側の二方弁308a,308bが閉鎖状態となった第一状態にあるとき、他方の接続用配管系30a,30bの一次側の二方弁307a,307bが閉鎖状態で二次側の二方弁308a,308bが開放状態となった第二状態となり、第一状態及び第二状態の何れであっても往復動ポンプ2a,2bが一次側配管系103の流体圧を受けないようになっている。そして、両方の接続用配管系30a,30bを第一状態と第二状態とに交互に切り換えることで、何れか一方の接続用配管系30a,30bのバッファタンク300a,300bと、何れか一方の往復動ポンプ2a,2bとが連通状態となって、該バッファタンク300a,300b内の流体Wを往復動ポンプ2a,2bに供給できるようになっている。
【0081】
本実施形態に係る往復動ポンプユニット1は、以上の構成からなり、次に、該往復動ポンプユニット1の作動について説明する。
【0082】
該往復動ポンプユニット1は、接続用配管系30a,30bの何れか一方が第一状態となっていると、他方の接続用配管系30a,30bが第二状態になっているので、何れか一方の往復動ポンプ2a,2bが作動空間Sa,Sb内に流体Wを吸い込むように作動すると、一次側共通ポート265を介して第二状態にある他方の接続用配管系30a,30bのバッファタンク300a,300b内の流体Wがポンプヘッド20a,20bに流入する。この際、何れの往復動ポンプ2a,2bにおいても、一次側配管系103(循環ライン100)の流体圧の影響を受けておらず、作動した往復動ポンプ2a,2bの逆止弁23a,23b,24a,24bが正常に作動することになり、流体Wの吸入乃至吐出が正常に行われることになる。
【0083】
即ち、往復動ポンプ2a,2bが流体Wを吸入するに際し、二次側の逆止弁23a,23b,24a,24bが吐出ポート22a,22b側の流路を閉鎖して作動空間Sa,Sb内の気密性を確保し、ダイヤフラム27a,27bの変形(凹部262a,262bと離間する方向に膨出した態様の弾性変形)に伴って、バッファタンク300a,300b内の流体Wが作動空間Sa,Sb内に円滑に吸入される一方、往復動ポンプ2a,2bが流体Wを吐出するに際し、一次側逆止弁23a,23bが吸入ポート21a,21b側の流路を閉鎖して作動空間Sa,Sb内の気密性を確保し、ダイヤフラム27a,27bの変形(凹部262a,262b内に膨出した態様の弾性変形)に伴って、作動空間Sa,Sb内の流体Wを吐出ポート22a,22bから円滑に吐出させることになる。
【0084】
そして、各接続用配管系30a,30bの流路切換手段301a,301bが切り換わり、一方の接続用配管系30a,30bが第二状態となると共に他方の接続用配管系30a,30bが第一状態になる。そうすると、一方の接続用配管系30a,30bは、他方の接続用配管系30a,30bが第一状態であるときに、第二状態となっていたため、バッファタンク300a,300b内には分岐配管101からの流体Wが充満した状態となっており、他方の往復動ポンプ2a,2bが作動空間Sa,Sb内に流体Wを吸い込むように作動すると、一次側共通ポート265を介して第二状態にある一方の接続用配管系30a,30bのバッファタンク300a,300b内の流体Wが該往復動ポンプ2a,2bのポンプヘッド20a,20bに流入する。
【0085】
この際、他方の接続用配管系30a,30b(流路切換手段301a,301b)が第一状態で、一方の接続用配管系30a,30b(流路切換手段301a,301b)が第二状態であるが、この状態においても、何れの往復動ポンプ2a,2bにおいても、一次側配管系103(循環ライン100)の流体圧の影響を受けておらず、作動した往復動ポンプ2a,2bの逆止弁23a,23b,24a,24bが正常に作動し、流体Wの吸入乃至吐出が正常に行われることになる。そして、流路切換手段301a,301bが第一状態になった一方の接続用配管系30a,30bのバッファタンク300a,300bのタンク用ダイヤフラム305a,305bは、変形状態から復元し、その復元に伴って流体Wが強制的に貯留空間Ta,Tb内に吸い込まれ、二つの接続用配管系30a,30bが第一状態と第二状態とに切り換わるまでに貯留空間Ta,Tb内に流体Wが充満した状態となる。
【0086】
従って、各接続用配管系30a,30bを第一状態と第二状態とに交互に切り換えることで、各往復動ポンプ2a,2bの逆止弁23a,23b,24a,24bに一次側配管系103の流体圧の影響を与えることなく流体Wが適正に供給されると共に、二つの往復動ポンプ2a,2b(無脈動ポンプP)が正常に作動し、二次側共通ポート266に接続された二次側の配管50から該流体Wが無脈動で連続的に吐出されることになる。
【0087】
以上のように、本実施形態に係る往復動ポンプユニット1によれば、バッファタンク300a,300bと一次側配管系103とを連通させる一方でバッファタンク300a,300bと一次側逆止弁23a,23bとの連通を遮断する第一状態と、バッファタンク300a,300bと一次側配管系103との連通を遮断する一方でバッファタンク300a,300bと一次側逆止弁23a,23bとを連通させる第二状態とに切換可能な流路切換手段301a,301bを備えているので、一次側の流体圧が二次側よりも大きくても、往復動ポンプ2a,2bが作動するに際し、バッファタンク300a,300b、逆止弁23a,23b,24a,24b、及び、ポンプヘッド20a,20bが一次側配管系103の流体圧の影響を受けない状態にすることができ、往復動ポンプ2a,2bで流体Wの吸入乃至吐出を円滑に行わせることができる。
【0088】
そして、往復動ポンプ2a,2bを二つ備えた無脈動ポンプPとして構成しても、接続用配管系30a,30bが、各往復動ポンプ2a,2bに対応して二系統設けられ、何れか一方の流路切換手段301a,301bが、第一状態にあるときに、他方の流路切換手段301a,301bが第二状態となるように構成したので、各往復動ポンプ2a,2bの流体Wの吸い込みと吐出とを適正に行うことができる。特に、接続用配管系30a,30bを二系統(二ライン)設け、これらを合流させて共通の接続ポート265a,265b(一次側共通ポート265)に接続するようにしたので、各流路切換手段301a,301bを逆の状態となるように交互に切り換えるだけで、各往復動ポンプ2a,2bに流体Wを供給できる状態にすることができる。
【0089】
そして、バッファタンク300a,300bの一次側及び二次側のそれぞれに設けられた一対の二方弁307a,308a、307b,308bで一系統における流路切換手段301a,301bを構成し、何れか一方の二方弁307a,308a、307b,308bが開放状態であるときに他方の二方弁307a,308a、307b,308bが閉鎖状態になるように構成するようにしたので、第一状態と第二状態とに切り換えるに際し、往復動ポンプ2a,2bやバッファタンク300a,300b等に一次側配管系103の流体圧の影響を与える状態が形成されるのを確実に防止することができる。
【0090】
また、バッファタンク300a,300bの貯留空間Ta,Tbを、接続ポート303a,303bが形成された剛性を有する内周壁面と弾性変形自在なダイヤフラム27a,27bとで画すようにしたので、往復動ポンプ2a,2bの作動を阻害することなく流体Wを往復動ポンプ2a,2bに供給することができる上に、往復動ポンプ2a,2bに供給するための流体Wを円滑に貯留(補充)することができる。
【0091】
次に、本発明の第二実施形態に係る往復動ポンプユニットについて説明する。なお、本実施形態に係る往復動ポンプユニットは、主たる構成が第一実施形態と同一であるので、第一実施形態に係る構成と同一又は相当する構成については同一名称及び同一符号を付して説明を割愛し、以下において相違する構成についてのみ説明することとする。また、本実施形態に係る往復動ポンプユニットの説明に用いる図6においては、図1と同様に、二つの往復動ポンプ2a,2bを一つ無脈動ポンプPとして符号Pを付すこととする。
【0092】
本実施形態に係る往復動ポンプユニット1は、図6に示す如く、第一実施形態と同様に、バッファタンク300a,300b及び流路切換手段301a,301bを備えた接続用配管系30a,30bを二系統備えている。本実施形態においては、各接続用配管系30a,30bの流路切換手段301a,301bが一つの三方弁309a,309bで構成されており、該三方弁309a,309bの三つのポートP1,P2,P3のうち、二つのポートP1,P2のいずれにも連通可能な主ポートP3にバッファタンク300a,300bが接続されている。
【0093】
前記流路切換手段301a,301b(三方弁309a,309b)は、流路の開閉(切り換え)を行うための駆動源を備えており、該駆動源がシーケンサ40に電気的に接続され、シーケンス制御により、流路の切り換えを行うようになっている。即ち、一方の接続用配管系30a,30bにおける三方弁309a,309b(流路切換手段301a,301b)が第一状態にあるときに、他方の接続用配管系30a,30bにおける三方弁309a,309b(流路切換手段301a,301b)が第二状態となるよう、各接続配管系の三方弁309a,309bに対して流路を切り換えるようにシーケンス制御するように構成されている。
【0094】
従って、本実施形態に係る往復動ポンプユニット1は、第一実施形態と同様の作用、及び効果を奏し、さらに、各接続用配管系30a,30bの流路切換手段301a,301bを一つの三方弁309a,309bとすることで、複数の弁のタイミングを計る必要がなく、各接続用配管系30a,30bにおいて第一状態と第二状態との切り換えを連動して行うことができる。従って、往復動ポンプユニット1の構成の簡素化は勿論のこと、全体の制御を簡素化することができる。
【0095】
次に、本発明の第三実施形態に係る往復動ポンプユニットについて説明する。なお、本実施形態に係る往復動ポンプユニットについても、主たる構成が第一、及び第二実施形態と同一であるので、第一及び第二実施形態に係る構成と同一又は相当する構成については同一名称及び同一符号を付して説明を割愛し、以下において相違する構成についてのみ説明することとする。また、本実施形態に係る往復動ポンプユニットの説明に用いる図7においては、図1及び図6と同様に、二つの往復動ポンプ2a,2bを一つ無脈動ポンプPとして符号Pを付すこととする。
【0096】
本実施形態に係る往復動ポンプユニット1は、図7に示す如く、接続用配管構造体3がバッファタンク300a及び流路切換手段301aを備えた接続用配管系30aを一系統備えている。本実施形態に係る接続用配管系30aの流路切換手段301aには、第二実施形態と同様に、三方弁309aで構成されており、該三方弁309aの三つのポートP1,P2,P3のうち、二つのポートP1,P2のいずれにも連通可能な主ポートP3にバッファタンク300aが接続されている。本実施形態に係る往復動ポンプユニット1の流路切換手段301a(三方弁309a)は、流路の開閉(切り換え)を行うための駆動源を備えている。各三方弁309aの駆動源は、シーケンサ40に電気的に接続されており、流路切換手段301aの第一状態と第二状態との切り換え(流路の切換)をシーケンス制御により行うようになっている。
【0097】
本実施形態に係る往復動ポンプユニット1は、接続用配管系30aを一系統にするに伴い、上記構成に加え、流体Wの流出入可能に構成され、流路切換手段301aが第一状態にあるときに往復動ポンプ2a,2bに供給する流体Wを貯留する補助タンク400を備えている。該補助タンク400は、流路切換手段301aと一次側逆止弁23a,23bとの間に配設されており、本実施形態においては、流路切換手段301aと往復動ポンプ2a,2bの一次側共通ポート265とを接続する配管Lに流体的に接続されている。なお、該往復動ポンプユニット1の接続用配管系30aは、接続用配管系30aの流路切換手段301a(三方弁309a)、バッファタンク300a、及び往復動ポンプ2a,2bの各接続についても配管(採番しない)を介してなされている。
【0098】
該補助タンク400は、前記バッファタンク300aと同一の構成にされており、図5を流用して説明すると、流体Wを貯留する貯留空間Tが形成されており、貯留された流体Wが往復動ポンプ2a,2bの作動で吸い出されるに際し、内部が負圧になって流体Wの流出が阻害されないように構成されている。具体的に説明すると、本実施形態に係る補助タンク400は、奥部側ほど小径になるように円錐台状の凹部401が一方の面に形成されると共に、該凹部401と他方の面側とを連通させるように、該凹部401と略同心で貫通した接続ポート402が形成されたタンク本体403と、前記凹部401の開口を閉塞するように配設される円板状のタンク用ダイヤフラム404と、該タンク用ダイヤフラム404の外周縁部をタンク本体403との間に挟み込むようにして該タンク用ダイヤフラム404を固定すると共にタンク本体403に連結される蓋部材405とで構成されている。
【0099】
上記構成の補助タンク400は、上述の如く、流路切換手段301aが第一状態にあるとき、即ち、一次側配管系103とバッファタンク300aとが連通し、往復動ポンプ2a,2bの一次側逆止弁23a,23bと一次側配管系103及びバッファタンク300aとが非連通状態になった状態で、何れか一方の往復動ポンプ2a,2bに供給する流体Wを貯留するものであるので、一つの往復動ポンプ2a,2bのダイヤフラム27a,27b(往復動体)の往復動サイクル(作動サイクル)における一サイクル当たりの流体Wの吸入量(吐出量)の流体W、好ましくは吐出量以上の流体Wを貯留できるように構成されており、バッファタンク300aとの連通が遮断された状態(流路切換手段301aが第一状態であるとき)であっても、往復動ポンプ2a,2bに流体Wを供給できるようになっている。
【0100】
これに伴って、バッファタンク300aは、流路切換手段301aが第二状態となったときに、往復動ポンプ2a,2b及び補助タンク400に供給する流体Wを貯留するべく、一つの往復動ポンプ2a,2bのダイヤフラム27a,27bの往復動サイクル(作動サイクル)における一サイクル当たりの流体Wの吸入量(吐出量)と補助タンク400に補充する流体Wの補充(貯留)量の合計量以上の流体Wを貯留できるように構成されている。なお、補助タンク400から往復動ポンプ2a,2bに流体Wを供給することができ、且つバッファタンク300aから往復動ポンプ2a,2b及び補助タンク400に流体Wを供給できることを前提に、補助タンク400及びバッファタンク300aにおける流体Wの貯留量を同一にすれば、同一構成のタンクでバッファタンク300a及び補助タンク400を構成することができ、製造効率の向上やコストの低減に貢献することができる。
【0101】
本実施形態に係る往復動ポンプユニット1は、以上の構成からなり、次に、該往復動ポンプユニット1の作動について図7を参照して説明すると、流路切換手段301a(三方弁)が第一状態であるとき、バッファタンク300aが往復動ポンプ2a,2bと非連通状態になり、接続用配管系30aの流路切換手段301aよりも二次側は、一次側配管系103からの流体圧の影響を受けなることなく、補助タンク400が往復動ポンプ2a,2bと連通状態となる。この状態で、二次側逆止弁24a,24bは一次側配管系103の流体圧の影響を受けていないので、吐出ポート22a,22b側の流路を閉鎖して作動空間Sa,Sb内の気密性を確保した状態となる。従って、無脈動ポンプPを構成する二つの往復動ポンプ2a,2bのうち、何れか一方の往復動ポンプ2a,2bが作動する(ダイヤフラム27a,27bが凹部401から離間する方向に膨出するように変形する)際に、補助タンク400内の流体Wが一次側共通ポート265を介して吸入される。
【0102】
そして、一次側逆止弁23a,23bについても一次側配管系103の流体圧の影響を受けていないので、作動空間Sa,Sb内に流体Wを吸入した後、一次側逆止弁23a,23bは、弁体272a,272bの自重によって吸入ポート21a,21b側の流路を閉鎖して作動空間Sa,Sb内の気密性を確保した状態となる。従って、流体Wを吐出させるべく、往復動ポンプ2a,2bが作動する(ダイヤフラム27a,27bが凹部262a,262b内に膨出するように変形する)際に一次側逆止弁23a,23bがポンプヘッド20a,20b(作動空間Sa,Sb)に流入した流体Wが逆流するのを防止し、作動空間Sa,Sb内の流体Wが吐出ポート22a,22bから吐出されることになる。
【0103】
そして、第一状態でバッファタンク300a内に流体Wが流入しているので、流路切換手段301aが第二状態になると、一次側配管系103での流体圧の影響を受けない状態で、バッファタンク300a内の流体Wが補助タンク400に補充されるとともに、先に作動した往復動ポンプ2a,2bに連続して作動する他方の往復動ポンプ2a,2bに吸入され、吐出ポート22a,22bから吐出されることになる。この場合においても、往復動ポンプ2a,2b(逆止弁23a,23b,24a,24b)は、一次側配管系103の流体圧を影響を受けていない状態となっているので、逆止弁23a,23b,24a,24bが適正に作動することになり、往復動ポンプ2a,2bによる流体Wの吸入(流入)及び吐出(流出)が適正に行われることになる。
【0104】
そして、第二状態において、バッファタンク300aから補助タンク400に流体Wが供給されているので、流路切換手段301aを再度第一状態に切り換え、一方の往復動ポンプ2a,2bが作動するに際し、上述のように補助タンク400内の流体Wを供給することができる。従って、流路切換手段301aを第一状態と第二状態とに交互に切り換えることで、一次側配管系103の流体圧の影響を与えることなく二つの往復動ポンプ2a,2bに流体Wが供給され、その結果、無脈動で流体Wを二次側の配管50に送ることができる。
【0105】
以上のように、本実施形態に係る往復動ポンプユニット1は、第一実施形態と同様の作用及び効果を奏する上に、接続用配管系30aが一系統でシンプルな構成にすることができる。
【0106】
次に、本発明の第四実施形態に係る往復動ポンプユニットについて説明する。なお、本実施形態においても、第一乃至第三実施形態に係る構成と同一又は相当する構成については同一名称及び同一符号を付して説明を割愛し、以下において相違する構成についてのみ説明することとする。また、本実施形態に係る往復動ポンプユニットの説明に用いる図8においては、図1、図6及び図7と同様に、二つの往復動ポンプ2a,2bを一つ無脈動ポンプPとして符号Pを付すこととする。
【0107】
詳細については図示しないが、本実施形態に係る往復動ポンプユニット1は、図8に示す如く、各往復動ポンプ2a,2bにおける吸入ポート21a,21b側の流路がそれぞれ独立して形成されている。即ち、第一乃至第三実施形態とは異なり、往復動ポンプ2a,2b毎に一次側の接続ポート265a,265bが設けられている。これに伴い、本実施形態においては、各往復動ポンプ2a,2bに対応して接続用配管系30a,30bが二系統設けられ、各接続用配管系30a,30bは、対応する往復動ポンプ2a,2bの接続ポート265a,265bに流体的に接続されている。そして、この二系統の接続用配管系30a,30bにおける一次側においては互いに合流して一次側配管系103(分岐配管101)に接続されている。
【0108】
各接続用配管系30a,30bは、流体Wを流出入可能に構成されたバッファタンク300a,300bと、バッファタンク300a,300bと一次側配管系103とを連通させる一方でバッファタンク300a,300bと一次側逆止弁23a,23bとの連通を遮断する第一状態と、バッファタンク300a,300bと一次側配管系103との連通を遮断する一方でバッファタンク300a,300bと一次側逆止弁23a,23bとを連通させる第二状態とに連続的に切り換えるように構成された流路切換手段301a,301bとを備え、該バッファタンク300a,300b及び流路切換手段301a,301bは、第一実施形態と同一の構成となっている。
【0109】
本実施形態においては、各接続用配管系30a,30bが各往復動ポンプ2a,2bの接続ポート265a,265bに接続されているため、各接続用配管系30a,30bから対応する往復動ポンプ2a,2bへの流体Wの供給を行えるよう、各接続用配管系30a,30bの流路切換手段301a,301bを対応する往復動ポンプ2a,2bの吸入乃至吐出のタイミングに対応(同期)して各二方弁307a,308a、307b,308bの開閉を行い、各流路切換手段301a,301bを第一状態及び第二状態に切り換えるようになっている。
【0110】
具体的に説明すると、本実施形態に係る往復動ポンプユニット1は、各接続用配管系30a,30bの流路切換手段301a,301bを構成する一対の二方弁307a,308a、307b,308bの何れか一方が開放状態であるときに他方の二方弁307a,308a、307b,308bが閉鎖状態になることを前提に、各二方弁307a,308a、307b,308bの開閉を行うことで第一状態と第二状態とに切り換えるように構成されている。
【0111】
本実施形態において、各二方弁307a,308a、307b,308bは、流路の開閉を行うための駆動源を備えており、各駆動源は、無脈動ポンプPを構成する二つの往復動ポンプ2a,2bのそれぞれの作動状態を入力信号として受けるコントローラ42に接続されている。これにより、コントローラ42からの信号を受けて各駆動源が駆動し、各二方弁307a,308a、307b,308bの流路の開閉を行うことで、各接続用配管系30a,30bの流路切換手段301a,301bを第一状態と第二状態とに切り換えるように構成されている。このように各往復動ポンプ2a,2bの作動状態から得られる入力信号を基に、各二方弁307a,308a、307b,308bを切り換えることで、一方の往復動ポンプ2a,2bが流体Wを吸入する際にその往復動ポンプ2a,2bに対応する接続用配管系30a,30bの流路切換手段301a,301bが第二状態となってバッファタンク300a,300b内の流体Wを吸入できる状態となり、流体Wの吸入及び吐出を行っていない他方の往復動ポンプ2a,2bに対応する接続用配管系30a,30bの流路切換手段301a,301bが第一状態となって次の作動に備えて一次側配管系103からバッファタンク300a,300b内に流体Wを流入させる状態となるようになっている。
【0112】
なお、コントローラ42に入力される前記入力信号は、例えば、往復動ポンプ2a,2bの駆動モータの回転数から各偏心カム252a,252bの位相状態等を算出し、これも基に往復動ポンプ2a,2bの作動状態に対応した入力信号としたり、センサーやエンコーダを用いて各偏心カム252a,252bの回転角度(姿勢)を認識し、これも基に往復動ポンプ2a,2bの作動状態に対応した入力信号としたりすることができる。
【0113】
従って、本実施形態に係る往復動ポンプユニット1においても、各二方弁307a,308a、307b,308bの開閉を切り換えることで、各往復動ポンプ2a,2bの流体Wの吸入及び吐出に対応させて各接続用配管系30a,30bの流路切換手段301a,301bを第一状態と第二状態とに連続的に切り換えることができ、第一乃至第三実施形態と同様に、各往復動ポンプ2a,2bが流体Wを吸入して吐出する際、各逆止弁23a,23b,24a,24bが一次側配管系103の流体圧の影響を受けることがなく、各往復動ポンプ2a,2bの流体Wの吸い込みと吐出とを適正に行うことができる。
【0114】
尚、本発明の往復動ポンプユニット、及び往復動ポンプ接続用配管構造体は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0115】
上記第一乃至第四実施形態の何れにおいても、往復動ポンプ2a,2b及び接続用配管構造体3を備えた往復動ポンプユニット1について説明したが、例えば、往復動ポンプ2a,2bを一次側配管系103に接続するための接続用配管構造体3単体としてもよい。このようにしても、往復動ポンプ2a,2bと一次側配管系103との間に接続用配管構造体3を介設することで、往復動ポンプユニット1と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0116】
上記第一乃至第四実施形態の何れにおいても、往復動ポンプ2a,2bを二つ設けて無脈動ポンプPを構成するようにしたが、これに限定されるものではなく、一つの往復動ポンプ2a,2b(定容積式の脈動ポンプ)に対して接続用配管構造体3(接続用配管系30a,30b)を接続してもよい。このようにしても、往復動ポンプ2a,2bが流体Wを吸入するに際し、接続用配管系30a,30bを構成する流路切換手段301a,301bを第二状態にすることで、一次側配管系103からの流体圧の影響を受けることなくバッファタンク300a,300b内の流体Wを供給することができる。従って、往復動ポンプ2a,2bの逆止弁23a,23b,24a,24bを正常に作動させることができ、供給される流体Wを吸入して吐出する工程を円滑且つ確実に行うことができる。
【0117】
上記第一乃至第四実施形態の何れにおいても、往復動ポンプ2a,2bの一例としてダイヤフラムポンプについて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、吸入ポート21a,21b及び吐出ポート22a,22bに逆止弁23a,23b,24a,24bが設けられたピストンポンプであってもよい。即ち、往復動体が内装されたポンプヘッドの吸入ポート及び吐出ポートのそれぞれに逆止弁が流体的に接続された往復動ポンプであればよい。
【0118】
上記第一乃至第四実施形態の何れにおいても、流体Wを貯留する貯留空間Ta,Tbを剛性のある内周壁面とタンク用ダイヤフラム305a,305bとで画したバッファタンク300a,300bを採用したが、例えば、流体Wを貯留可能に外部開放した一般的なタンクであってもよい。この場合、かかるタンクは外部開放しているので、往復動ポンプ2a,2bが流体Wを吸入するに際してバッファタンク300a,300bの貯留空間Ta,Tbが負圧になることがないため、貯留した流体Wを往復動ポンプ2a,2bに円滑に供給することができる。また、一次側配管系103の流体圧が高いので、流路切換手段301a,301bを第一状態にすると、その一次側配管系103の流体圧によってバッファタンク300a,300b内に流体Wを供給することができる。但し、タンクの配置等による水頭差等の影響により、一次側配管系103の流体圧のみでバッファタンク300a,300b内の流体Wを十分に供給できない場合や、外気等に触れさせることを嫌う流体W(例えば、薬品や薬剤、飲料等の場合)には、上記実施形態で説明したバッファタンク300a,300bを採用することが好ましい。
【0119】
上記第一乃至第四実施形態の何れにおいても、一次側配管系103として流体Wを圧送する循環ライン100を一例にして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、上流から下流に向けて流体Wを圧送する主配管に上記構成の往復動ポンプユニット1(接続用配管構造体3)を接続するようにしてもよい。即ち、吸入ポート21a,21bに接続される一次側配管系103の流体圧が往復動ポンプ2a,2bの吐出ポート22a,22b側(二次側)よりも大きくなよるものであれば、流体Wの循環の有無に関係なく上記構成の何れの往復動ポンプユニット1或いは往復動ポンプユニット1接続用構造体を適用することができる。
【0120】
上記第一乃至第四実施形態の何れにおいても、往復動ポンプ2a,2bの逆止弁23a,23b,24a,24bに弁体272a,272b,273a,273bの自重によって流路を閉塞するものを採用したが、例えば、弁体272a,272b,273a,273bがバネ等によって付勢されて逆止弁23a,23b,24a,24bであってもよい。即ち、一次側配管系103における流体圧がバネ体の付勢力に打ち勝つようにな場合には、流路の閉塞を円滑に行えない場合があるが、上述の如く、往復動ポンプ2a,2bが流体Wを吸入乃至吐出するに際して一次側配管系103の流体圧の影響を受けることがないため、バネ体の付勢力を有効的に作用させて流路の開閉を円滑に行うことができる。
【0121】
また、逆止弁23a,23b,24a,24bの弁体272a,272b,273a,273bは、球状のものに限定されるものではなく、例えば、弁座276a,276b,277a,277bの穴に先端側が嵌り込むように構成された逆円錐状の弁体272a,272b,273a,273bを備えたものであってもよい。
【0122】
上記第四実施形態において、往復動ポンプ2a,2bの接続ポート265a,265bをそれぞれ独立するように形成し、各接続ポート265a,265bに接続用配管系30a,30bを接続するようにしたが、例えば、両方の往復動ポンプ2a,2bの接続ポート265a,265b同士を流体的に接続するジョイントを設け、このジョイントに両方の往復動ポンプ2a,2bに対する共通する一次側共通ポート265を形成し、この一次側共通ポート265に対して第一乃至第三実施形態に係る構成で接続用配管系30a,30bを接続するようにしても勿論よい。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の第一実施形態に係る往復動ポンプユニットを循環ラインに接続した概略配管図を示す。
【図2】第一乃至第四実施形態に係る往復動ポンプにおける一部断面を含んだ側面図を示す。
【図3】第一乃至第四実施形態に係る往復動ポンプにおける断面正面図であって、図2のI−I断面を示す。
【図4】第一乃至第四実施形態に係る往復動ポンプの駆動伝達手段の一部と駆動手段とを組み立てた状態の平面断面図を示す。
【図5】第一乃至第四実施形態に係るバッファタンク(第四実施形態の補助タンク)の縦断面図を示す。
【図6】本発明の第二実施形態に係る往復動ポンプユニットを循環ラインに接続した概略配管図を示す。
【図7】本発明の第三実施形態に係る往復動ポンプユニットを循環ラインに接続した概略配管図を示す。
【図8】本発明の第四実施形態に係る往復動ポンプユニットを循環ラインに接続した概略配管図を示す。
【符号の説明】
【0124】
1…往復動ポンプユニット、2a,2b…往復動ポンプ、3…接続用配管構造体(往復動ポンプ接続用配管構造体)、20a,20b…ポンプヘッド、21a,21b…吸入ポート、22a,22b…吐出ポート、23a,23b…一次側逆止弁(逆止弁)、24a,24b…二次側逆止弁(逆止弁)、25…ポンプ駆動手段、26a,26b…ケーシング、27a,27b…ダイヤフラム、28a,28b…駆動伝達手段、30a,30b…接続用配管系、35…筐体、40…シーケンサ、42…コントローラ、50…配管、100…循環ライン、101…分岐配管、102…貯留タンク、103…一次側配管系、103a…第一配管、103b…圧送ポンプ、103c…第二配管、250…電動モータ、251…減速機構、252a,252b…偏心カム、253a,253b…出力軸、260a,260b…ケース本体、261a,261b…取付部材、262a,262b…凹部、263a,263b,264a,264b…逆止弁内装穴、265…一次側共通ポート、265a,265b…接続ポート、266…二次側共通ポート、266a,266b…接続ポート、267a,267b…嵌入部、268a,268b…部材本体、269a,269b…貫通穴、270a,270b,271a,271b…ハウジング、272a,272b,273a,273b…弁体、274a,274b,275a,275b…弁体内装穴、276a,276b,277a,277b…弁座、280a,280b…シャフト体、281a,281b…案内体、282a,282b…ベース体、283a,283b…コイルバネ、284a,284b…ローラ、285a,285b…フレーム部、286a,286b…第一バネ座部、287a,287b…シャフト体挿通穴、288a,288b…ブッシュ、289a,289b…第二バネ座部、290a,290b…雄ネジ部、300a,300b…バッファタンク、301a,301b…流路切換手段、302a,302b,401…凹部、303a,303b,402…接続ポート、304a,304b,403…タンク本体、305a,305b,404…タンク用ダイヤフラム、306,306b,405…蓋部材、307a,308a、307b,308b…二方弁、309a,309b…三方弁、350a,350b…雌ネジ穴、400…補助タンク、L…配管、P…無脈動ポンプ、P1…ポート、P2…ポート、P3…主ポート(ポート)、Sa,Sb…作動空間、T,Ta,Tb…貯留空間、W…流体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復動体が内装されたポンプヘッドの吸入ポート及び吐出ポートのそれぞれに逆止弁が流体的に接続された往復動ポンプを備え、吸入ポート側の逆止弁に吐出ポート側よりも流体圧の高い一次側配管系が流体的に接続される往復動ポンプユニットであって、一次側配管系と吸入ポート側の逆止弁とを流体的に接続する接続用配管系を備え、該接続用配管系は、流体を流出入可能に構成されたバッファタンクと、バッファタンクと一次側配管系とを連通させる一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁との連通を遮断する第一状態と、バッファタンクと一次側配管系との連通を遮断する一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁とを連通させる第二状態とに連続的に切り換えるように構成された流路切換手段とを備えたことを特徴とする往復動ポンプユニット。
【請求項2】
前記往復動ポンプを二つ備えて無脈動ポンプとして構成され、前記接続用配管系は、二系統設けられると共に、各接続用配管系が各往復動ポンプの吸入ポート側の流路を合流させた共通ポートを介して各往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁に流体的に接続され、何れか一方の接続用配管系における流路切換手段が第一状態にあるときに、他方の接続用配管系における流路切換手段が第二状態となるよう、各接続配管系の流路切換手段の状態を交互に切り換えるように構成されている請求項1記載の往復動ポンプユニット。
【請求項3】
前記往復動ポンプを二つ備えて無脈動ポンプとして構成され、前記接続用配管系は、一系統設けられると共に、各往復動ポンプの吸入ポート側の流路を合流させた共通ポートを介して各往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁に流体的に接続され、流路切換手段と共通ポートとの間に流体を流出入可能に構成された補助タンクを更に備えている請求項1記載の往復動ポンプユニット。
【請求項4】
前記往復動ポンプを二つ備えて無脈動ポンプとして構成され、前記接続用配管系が往復動ポンプに対応して二系統設けられると共に、各接続用配管系が各往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁のそれぞれに流体的に接続され、何れか一方の接続用配管系における流路切換手段が第一状態にあるときに、対応する往復動ポンプによる吸入及び吐出のタイミングに対応して他方の接続用配管系における流路切換手段が第二状態となるよう、各接続配管系の流路切換手段の状態を交互に切り換えるように構成されている請求項1記載の往復動ポンプユニット。
【請求項5】
前記流路切換手段は、バッファタンクの一次側及び二次側のそれぞれに設けられた一対の二方弁で構成され、何れか一方の二方弁が開放状態であるときに他方の二方弁が閉鎖状態になるように構成されている請求項1乃至4の何れかに記載の往復動ポンプユニット。
【請求項6】
前記流路切換手段は、三方弁で構成され、該三方弁の三つのポートのうち、二つのポートのいずれにも連通可能な主ポートにバッファタンクが接続されている請求項1乃至4の何れかに記載の往復動ポンプユニット。
【請求項7】
前記バッファタンクは、流体が貯留される貯留空間を備え、該貯留空間は、往復動ポンプに供給するための流体を流出入させる開口が形成された剛性を有する内周壁面と弾性変形自在なダイヤフラムとで画されてなり、貯留空間内に流体が入った状態でダイヤフラムが非弾性変形状態となるように構成されている請求項1乃至6の何れかに記載の往復動ポンプユニット。
【請求項8】
往復動体が内装されたポンプヘッドの吸入ポート及び吐出ポートのそれぞれに逆止弁が流体的に接続され、吸入ポート側の逆止弁に一次側配管系を流体的に接続可能に構成された往復動ポンプに対し、該往復動ポンプの吐出ポート側よりも流体圧の高い一次側配管系を流体的に接続させるための往復動ポンプ接続用配管構造体であって、一次側配管系と吸入ポート側の逆止弁とを流体的に接続する接続用配管系を備え、該接続用配管系は、流体を流出入可能に構成されたバッファタンクと、バッファタンクと一次側配管系とを連通させる一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁との連通を遮断する第一状態と、バッファタンクと一次側配管系との連通を遮断する一方でバッファタンクと吸入ポート側の逆止弁とを連通させる第二状態とに連続的に切り換えるように構成された流路切換手段とを備えたことを特徴とする往復動ポンプ接続用配管構造体。
【請求項9】
前記往復動ポンプを二つ備えた無脈動ポンプを接続対象とし、各往復動ポンプの吸入ポート側の流路を合流させて形成された共通ポートを介して各往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁に一次側配管系を流体的に接続するための往復動ポンプ接続用配管構造体であって、前記接続用配管系は、前記共通ポートに接続可能に二系統設けられ、何れか一方の接続用配管系における流路切換手段が第一状態にあるときに、他方の接続用配管系における流路切換手段が第二状態となるよう、各接続配管系の流路切換手段の状態を交互に切り換えるように構成されている請求項8記載の往復動ポンプ接続用配管構造体。
【請求項10】
前記往復動ポンプを二つ備えた無脈動ポンプを接続対象とし、各往復動ポンプの吸入ポート側の流路を合流させて形成された共通ポートを介して各往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁に一次側配管系を流体的に接続するための往復動ポンプ接続用配管構造体であって、前記接続用配管系は、前記共通ポートに接続可能に一系統設けられ、流路切換手段と共通ポートとの間に流体を流出入可能に構成された補助タンクを更に備えている請求項8記載の往復動ポンプ接続用配管構造体。
【請求項11】
前記往復動ポンプを二つ備えた無脈動ポンプを接続対象とした往復動ポンプ接続用配管構造体であって、前記接続用配管系が往復動ポンプに対応して二系統設けられると共に各接続用配管系が各往復動ポンプの吸入ポート側の逆止弁のそれぞれに流体的に接続可能に構成され、何れか一方の接続用配管系における流路切換手段が第一状態にあるときに、対応する往復動ポンプによる吸入及び吐出のタイミングに対応して他方の接続用配管系における流路切換手段が第二状態となるよう、各接続配管系の流路切換手段の状態を交互に切り換えるように構成されている請求項8記載の往復動ポンプ接続用配管構造体。
【請求項12】
前記流路切換手段は、バッファタンクの一次側及び二次側のそれぞれに設けられた一対の二方弁で構成され、何れか一方の二方弁が開放状態であるときに他方の二方弁が閉鎖状態になるように構成されている請求項8乃至11の何れかに記載の往復動ポンプ接続用配管構造体。
【請求項13】
前記流路切換手段は、三方弁で構成され、該三方弁の三つのポートのうち、二つのポートのいずれにも連通可能な主ポートにバッファタンクが接続されている請求項8乃至11の何れかに記載の往復動ポンプ接続用配管構造体。
【請求項14】
前記バッファタンクは、流体が貯留される貯留空間を備え、該貯留空間は、往復動ポンプに供給するための流体を流出入させる開口が形成された剛性を有する内周壁面と弾性変形自在なダイヤフラムとで画されてなり、貯留空間内に流体が入った状態でダイヤフラムが非弾性変形状態となるように構成されている請求項8乃至13の何れかに記載の往復動ポンプ接続用配管構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−85200(P2007−85200A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272395(P2005−272395)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000229760)株式会社タクミナ (25)
【Fターム(参考)】