説明

往復式動力取り出し装置

【課題】連続的に推力を出力することができ、しかも作業効率を向上させるための、往復式動力取り出し装置を提供すること。
【解決手段】本体は基台を有し、基台に一つのスライド溝及びスライド溝と連通する二つの圧縮チャンネルが設けられ、スライド溝の中にスライダーが収納され、該スライダーの中央に長孔が形成され、長孔の対向する両側辺にそれぞれ歯列が設けられ、二つの圧縮チャンネルにそれぞれロッドが収納され、この二つのロッドの一端がそれぞれスライダーの側辺に連結され、動力ユニットの動力出力軸が扇形歯車の中心孔を穿通して、基台に形成される穴に枢設され、動力出力軸と扇形歯車とは固着され、扇形歯車が長孔に設置され、動力出力軸によって扇形歯車が回転し、扇形歯車の歯部が二つの対向する歯列中の一方と噛合う時、スライダーを往復に移動させることにより、ロッドを往復的に移動させ、それぞれ推力を出力する、ことからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復式動力取り出し装置に関し、特に、線形往復移動を発生できる動力取り出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1Aと図1Bは、本発明者により登録された台湾特許公報第521814号(特許文献1)及び米国特許第6,789,439号(特許文献2)による往復式動力取り出し装置を示す図面である。動力ユニットの動力出力軸21が回転すると扇形歯車22を回転させる。図1Aに示されたように、扇形歯車22の歯部221とスライダー11の歯列111に噛み合う時に、スライダー11及びロッド112を図面の左方へ移動させる。一方、図1Bに示されたように、歯部221と歯列113に噛み合う時に、スライダー11及びロッド112を図面の右方へ移動させる。このように扇形歯車22の回転動作によって、ロッド112が線形的に往復移動され、動力を出力するのである。
【特許文献1】台湾特許公報第521814号
【特許文献2】米国特許第6,789,439号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した先行技術による往復式動力取り出し装置において、ロッドは一方へ移動する時のみ動力を出力し、連続的ではなく間歇的に推力を出力するので、その効率が相対的に低い。
【0004】
先行技術の往復式動力出力ユニットをさらに改良し、スライダーが両側の一方へ移動する時、いずれも推力を出力できるようにし、連続的な推力出力を生成させるために、発明者は本発明を提案した。
本発明の主な目的は、連続的に推力を出力することができ、しかも作業効率を向上させるための、往復式動力取り出し装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明の往復式動力取り出し装置は、
本体と動力ユニットにより構成される往復式動力取り出し装置であって、
前記本体は基台を有し、前記基台に一つのスライド溝及び前記スライド溝と連通する二つの圧縮チャンネルが設けられ、
前記スライド溝の中にスライダーが収納され、該スライダーの中央に長孔が形成され、長孔の対向する両側辺にそれぞれ歯列が設けられ、
前記二つの圧縮チャンネルにそれぞれロッドが収納され、この二つのロッドの一端がそれぞれ前記スライダーの側辺に連結され、
前記動力ユニットの動力出力軸が扇形歯車の中心孔を穿通して、基台に形成される穴に枢設され、
前記動力出力軸と前記扇形歯車とは固着され、
前記扇形歯車が前記長孔に設置され、
動力出力軸によって扇形歯車が回転し、扇形歯車の歯部が二つの対向する前記歯列中の一方と噛合う時、スライダーを往復に移動させることにより、ロッドを往復的に移動させ、それぞれ推力を出力することからなる。
【0006】
又、前記スライダーの両側辺の異なる端にそれぞれ突出部が設けられ、
前記二つのロッドの一端にそれぞれネック部とキャップ部が設けられ、
前記二つの突出部に前記ネック部及びキャップ部に対応し、これらをそれぞれ収納するための収納孔が設けられていることにより、前記二つの突出部と前記二つのロッドとはそれぞれ連結することが好適である。
又、前記基台に更に二つの第一チャンネルと、二つの第二チャンネル、一つの第三チャンネル及び第四チャンネルが設けられ、
前記二つの第一チャンネルの一端はそれぞれグリース供給機構に連通する開口端に形成され、他端はそれぞれ前記二つの圧縮チャンネル中の、前記ロッドの一方の行程に近づく前端に連通され、
前記第二チャンネルの一端はそれぞれ前記二つの圧縮チャンネル中の、前記ロッドの一方の行程に近づく後端に連通され、他端はそれぞれ前記第三チャンネルに連通され、
前記第三チャンネルは前記第四チャンネルに連通されることが好適である。
又、前記基台に取り付けた上蓋の上に前記動力ユニットが結合されることが好適である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、同一時間内に、先行技術による往復式動力取り出し装置に比べれば、二倍のグリース量を供給して、グリース供給の効率を大いに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の他の目的、効果及び実施例につき、以下、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図2、図3、図4A、図4Bに示されたように、本発明による往復式動力取り出し装置は、基本的に基台30と上蓋31を包含する本体3と、モーター(又は気体駆動機構)51とモーター51に噛合されている歯車列52を包含する動力ユニット5とによって構成される。前記上蓋31は複数のボルト311,312により基台30の上端に固着され、前記歯車列52は上蓋31の上に取り付けられる。前記モーター51は導線(または導管)53を介して電池または交流電源供給器、直流電源供給器(またはエアコンプレッサー)に接続している。
【0009】
モーター51の回転軸は歯車列52に連結し、歯車列52の動力出力軸54は扇形歯車55の中心孔を穿通して基台30のスライダー32に形成された穴に枢設される。動力出力軸54は扇形歯車55に固定されることによって、扇形歯車55を回転させる。図4A、図4Bに示されたように、基台30は、上蓋31の下端に、スライド溝32及びスライド溝32と連通する二つの圧縮チャンネル33、34を形成している。
【0010】
前記スライド溝32の中にスライダー35を収納し、スライダー35の両側辺の異なる端にそれぞれ突出部351、352が形成され、スライダー35に長孔36が設けられ、前記扇形歯車55が長孔36中に設置されている。
【0011】
スライダー35が長孔36の対向する両側辺に形成される歯列361、362はそれぞれ扇形歯車55の歯部551と噛合せできる。前記二つの圧縮チャンネル33、34にそれぞれロッド37,38が収納されて、二つのロッド37,38の一端にそれぞれネック部371、381とキャップ部372、382が設けられ、前記二つの突出部351、352にそれぞれ前記ネック部371、381及びキャップ部372、382を収納するための収納孔が設けられるようにして、二つの突出部351、352をロッド37、38に連接させると共に、ロッド37,38を往復に移動させる。
【0012】
図4A、図4B、図5A、図5Bに示されたように、本発明による往復式動力取り出し装置を応用する際、本体3の下端にグリース供給機構を設置することができ、往復式に移動するロッド37、38をグリース供給の動力にすることができる。
【0013】
図5Aに示されたように、本実施例による基台30には更に二つの第一チャンネル41、42と二つの第二チャンネル43、44、一つの第三チャンネル45及び第四チャンネル46が設けられ、第一チャンネル41、42の開口端411,421はそれぞれグリース供給機構に連通され、他端はそれぞれ圧縮チャンネル33、34の、ロッド37、38の行程に近づく前端に連通される。
【0014】
第二チャンネル43、44の一端はそれぞれ圧縮チャンネル33、34の、ロッド37、38の行程に近づく後端に連通され、他端はそれぞれ第三チャンネル45に連通される。また第三チャンネル45は第四チャンネル46に連通される。
【0015】
図4A、図5Aに示されたように、動力出力軸54によって扇形歯車55が回転し、扇形歯車55の歯部551が歯列362に噛合う時、スライダー35を図面の左方へ移動させる。この時、グリースが第一チャンネル41の開口端411から第一チャンネル41及び圧縮チャンネル33内に進入すると共に、ロッド38が圧縮チャンネル34内のグリースを推進して第二チャンネル44に進入させ、第三チャンネル45及び第四チャンネル46を通過して、基台30の外に排出させる。
【0016】
また、図4B、図5Bに示されたように、扇形歯車55の歯部551が歯列361と噛合う時、スライダー35を図面の右方へ移動させる。この時、グリースが第一チャンネル42の開口端421をから第一チャンネル42及び圧縮チャンネル34内に進入すると共に、ロッド37が圧縮チャンネル33内のグリースを推進して第二チャンネル43に進入させ、第三チャンネル45及び第四チャンネル46を通過して、基台30の外に排出させる。
【0017】
本発明はスライダー35の両側にそれぞれ二つのロッド37、38を連結する構造を利用して、スライダー35を左または右へ移動する時ともに、二つのロッド37、38とのいずれか一方を利用して推力を出力して、圧縮チャンネル33、34内のグリースを推進し、基台30外に排出させ、連続的にグリースを供給できる。
【0018】
以上記載したことは、本発明の技術内容の実施例のみであり、同技術に詳しい者が本発明を利用して行う修飾や、変更はいずれも、本発明の主張する特許請求の範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】先行技術の往復式動力取り出し装置を示す略図である。
【図1B】先行技術の往復式動力取り出し装置を示す略図である。
【図2】本発明の部分構造を示す分解図である。
【図3】本発明の外観を示す略図である。
【図4A】本発明の動作を示す略図である。
【図4B】本発明の動作を示す略図である。
【図5A】本発明による実施例の動作を示す略図である。
【図5B】本発明による実施例の動作を示す略図である。
【符号の説明】
【0020】
10、3 本体
11、35 スライダー
111、361、362 歯列
112、37、38 ロッド
21、54 動力出力軸
22、55 扇形歯車
221、551 歯部
30 基台
31 上蓋
311、312 ボルト
32 スライド溝
33、34 圧縮チャンネル
351、352 突出部
36 長孔
371、381 ネック部
372、382 キャップ部
41、42 第一チャンネル
411、421 開口端
43、44 第二チャンネル
45 第三チャンネル
46 第四チャンネル
5 動力機構
51 モーター
52 歯車列
53 導線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と動力ユニットにより構成される往復式動力取り出し装置であって、
前記本体は基台を有し、前記基台に一つのスライド溝及び前記スライド溝と連通する二つの圧縮チャンネルが設けられ、
前記スライド溝の中にスライダーが収納され、該スライダーの中央に長孔が形成され、長孔の対向する両側辺にそれぞれ歯列が設けられ、
前記二つの圧縮チャンネルにそれぞれロッドが収納され、この二つのロッドの一端がそれぞれ前記スライダーの側辺に連結され、
前記動力ユニットの動力出力軸が扇形歯車の中心孔を穿通して、基台に形成される穴に枢設され、
前記動力出力軸と前記扇形歯車とは固着され、
前記扇形歯車が前記長孔に設置され、
動力出力軸によって扇形歯車が回転し、扇形歯車の歯部が二つの対向する前記歯列中の一方と噛合う時、スライダーを往復に移動させることにより、ロッドを往復的に移動させ、それぞれ推力を出力する、
ことを特徴とする往復式動力取り出し装置。
【請求項2】
前記スライダーの両側辺の異なる端にそれぞれ突出部が設けられ、
前記二つのロッドの一端にそれぞれネック部とキャップ部が設けられ、
前記二つの突出部に前記ネック部及びキャップ部に対応し、これらをそれぞれ収納するための収納孔が設けられていることにより、前記二つの突出部と前記二つのロッドとはそれぞれ連結する、
ことを特徴とする請求項1に記載の往復式動力取り出し装置。
【請求項3】
前記基台に更に二つの第一チャンネルと、二つの第二チャンネル、一つの第三チャンネル及び第四チャンネルが設けられ、
前記二つの第一チャンネルの一端はそれぞれグリース供給機構に連通する開口端に形成され、他端はそれぞれ前記二つの圧縮チャンネル中の、前記ロッドの一方の行程に近づく前端に連通され、
前記第二チャンネルの一端はそれぞれ前記二つの圧縮チャンネル中の、前記ロッドの一方の行程に近づく後端に連通され、他端はそれぞれ前記第三チャンネルに連通され、
前記第三チャンネルは前記第四チャンネルに連通される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の往復式動力取り出し装置。
【請求項4】
前記基台に取り付けた上蓋の上に前記動力ユニットが結合されることを特徴とする請求項3に記載の往復式動力取り出し装置。


【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2006−258277(P2006−258277A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138014(P2005−138014)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(505171713)
【Fターム(参考)】