説明

後処理装置および画像形成システム

【課題】タブ側に相当する所定辺を対象とする用紙端部の整合動作を実行するという要求を満たしつつも、タブの存在による整合不良を抑制することで、用紙の整合精度の向上を図る。
【解決手段】先端整合部(第1の整合部)は、用紙の先端部に対する当接位置を、用紙幅方向CDに沿って選択可能に構成されている。この場合、後処理制御部は、タブ位置の情報に基づいて、中間スタッカ40に集積される用紙Pの先端部側の用紙辺から構成される領域において非タブ領域を選択し、当該選択した非タブ領域を対象として先端整合部による用紙整合動作を実行する選択整合制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザの多様な要望を実現するため、画像形成装置に、使用目的に合わせた種々の機能を備える後処理装置を組み合わせて使用する画像形成システムが知られている。後処理装置が備える機能としては、例えば、綴じ処理による冊子作成機能が挙げられる。この後処理装置は、画像形成装置から画像が形成された用紙が導入されると、これを搬送することで集積部に用紙を集積し、そして、集積された用紙が所定枚数に到達したことを条件に綴じ処理を実行する。また、出来上がり時の冊子の美しさを確保するためには、用紙端部が整合性よく整列している必要があることから、後処理装置では、所定枚(最小で一枚)の用紙が集積部に搬送される度に、当該集積部に集積される用紙の整合を行う用紙整合動作が実行される。
【0003】
ところで、この類の冊子を作成する際には、冊子利用時の便宜のため、インデックス(見出し)として機能するタブ紙(用紙の所定辺の一部を突出させたタブを備える用紙)を冊子内に含める手法も提案されている。このようなタブ紙を用いた場合、タブ紙は通常の用紙(タブを有しない用紙)と比較して突出した部位(タブ)を備えるため、精度よく整合を行うことができないという問題がある。
【0004】
例えば特許文献1には、タブ紙のタブ側に相当する所定辺が先端部となるように用紙を搬送した場合に、タブの突出長さ分だけ後処理位置がずれることを抑制する後処理装置が開示されている。この装置は、用紙がタブ紙である場合には、用紙の先端部を受け止めるストッパの位置を、シート搬送方向の下流側に調整する。
【0005】
また、例えば特許文献2には、タブ紙等の不定形紙を整合可能にする後処理装置が開示されている。この後処理装置は、用紙先端部(用紙搬送方向の前方に相当する端部)が上方、用紙後端部(用紙搬送方向の後方に相当する端部)が下方となるように傾斜して配置された排紙トレイを有し、タブ紙のタブ側に相当する所定辺が後端となるように用紙を搬送している。そして、タブ紙が排紙トレイに排出された場合、後処理装置は、用紙先端部が下方、用紙後端部が上方となるように排紙トレイを傾けることで、排紙トレイの用紙先端部側に配置された整合板に用紙を突き当て、これにより、用紙の整合を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−114940号公報
【特許文献2】特開2003−292231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に開示された手法は、通常の用紙とタブ紙とを混載して集積するようなシーンであっても適用可能な手法であるものの、タブ側に相当する所定辺側を対象とする用紙端部の整合動作を行うことができないという問題がある。そのため、タブ側に相当する所定辺側における用紙端部の整合精度が低下するという不都合がある。また、特許文献1に開示された手法によれば、タブ側に相当する所定辺を対象とする用紙端部の整合動作を実行しているものの、タブ紙を混載集積するようなシーンでは、依然として整合性が低下するという問題がある。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タブ側に相当する所定辺を対象とする用紙端部の整合動作を実行するという要求を満たしつつも、タブの存在による整合不良を抑制することで、用紙の整合精度の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、第1の発明は、搬送された用紙を集積する集積部と、集積部へと搬送される用紙が、当該用紙の所定辺の一部を突出させたタブを備えるタブ紙である場合に、所定辺におけるタブ位置の情報を取得する取得部と、所定辺側の用紙端部と当接することで、集積部に集積される用紙の整合を行う第1の整合部と、第1の整合部を制御して用紙整合動作を行う整合制御部とを有する後処理装置を提供する。この場合、第1の整合部は、用紙端部に対する当接位置を所定辺と平行する方向に沿って選択可能に構成されている。また、整合制御部は、取得部により取得されたタブ位置の情報に基づいて、集積部に集積される用紙の所定辺から構成される領域において第1の整合部がタブと干渉することなく用紙端部と当接可能な領域を非タブ領域として選択し、当該選択した非タブ領域を対象として第1の整合部による用紙整合動作を実行する選択整合制御を行う。
【0010】
ここで、第1の発明は、集積部に集積される用紙の四辺のうち所定辺を除く残余の三辺にそれぞれ設けられており、各辺側の用紙端部と当接することで集積部に集積される用紙の整合を行う第2の整合部、第3の整合部及び第4の整合部をさらに有することが好ましい。
【0011】
また、第1の発明において、第1の整合部は、所定辺と平行する方向に沿って移動可能な単一の当接部材より構成されることが好ましい。あるいは、第1の発明において、第1の整合部は、それぞれが所定辺と平行する方向において所定の間隔を隔てて配置される複数の当接部材より構成されていてもよい。
【0012】
この場合、第1の整合部は、集積部に集積される用紙面を基準として、当該用紙面よりも下方側に配置されており、当接部材は、集積部に集積される用紙の下面側から上面側に延在して構成されることが望ましい。ここで、整合制御部は、所定辺と平行する方向においてタブが存在しない領域を、非タブ領域として選択することができる。
【0013】
一方、第1の発明において、第1の整合部は、集積部に集積される用紙面を基準として、当該用紙面よりも上方側に配置されるとともに、用紙の積載方向に沿って昇降可能に構成されており、当接部材は、集積される用紙の上面側から下面側へと延在して構成されていてもよい。ここで、整合制御部は、集積部に集積される用紙の最上面から用紙積載方向に沿って所定の範囲、かつ、所定辺と平行する方向においてタブが存在しない領域を、非タブ領域として選択することができる。
【0014】
また、第2の発明は、用紙に画像を形成するとともに、当該画像が形成された用紙を排出する画像形成装置と、画像形成装置から排出される用紙に後処理を施す、第1の発明のいずれかに記載された後処理装置とを有する画像形成システムを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1の整合部をタブの存在しない領域に対して選択的に当接されることができる。これにより、タブ側に相当する所定辺を対象とする用紙端部の整合動作を実行するという要求を満たしつつも、タブの存在による整合不良を抑制することができる。その結果、用紙の整合精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成システムの全体構成を模式的に示す説明図
【図2】第1の実施形態にかかる後処理装置2の要部を示す模式図
【図3】画像形成システムの制御系を模式的に示すブロック図
【図4】タブ位置検出部230およびタブ位置Rtaの検出手法を説明する説明図
【図5】選択整合制御を含む用紙整合動作の処理手順を示すフローチャート
【図6】非タブ領域Rs1〜Rs4を例示する説明図
【図7】整合不能処理の詳細な手順を示すフローチャート
【図8】第2の実施形態にかかる後処理装置2の要部を示す模式図
【図9】第3の実施形態にかかる後処理装置2の要部を示す模式図
【図10】非タブ領域Rs1〜Rs7を例示する説明図
【図11】用紙整合動作の処理手順を示すフローチャート
【図12】第4の実施形態にかかる制御概念を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムの全体構成を模式的に示す説明図である。この画像形成システムは、画像形成装置1と、後処理装置2とを有する。
【0018】
画像形成装置1は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置であり、画像データに基づいて用紙Pに画像を形成する。画像形成装置1は、原稿読取装置5と、感光体11と、帯電部12と、像露光部13と、現像部14と、転写部15Aと、分離部15Bと、クリーニング装置16と、定着装置18と、メイン制御部100(図3参照)とを有する。
【0019】
原稿読取装置5は、画像形成装置1本体の筐体上部に配置され、画像を読み取る際に原稿を自動的に移動させる自動原稿送り部を備えている。この原稿読取装置5は、原稿に形成された画像を読み取り、所定の画像信号を出力する。出力された画像信号は、A/D変換が施されることにより画像データとして作成される。
【0020】
原稿読取装置5が備える画像読取制御部(図示せず)は、画像データに、シェーディング補正やディザ処理、圧縮等の処理を施し、この処理により得られるデータを最終的な画像データとしてメイン制御部100に出力する。なお、メイン制御部100は、原稿読取装置5から画像データを取得するのみならず、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータや他の画像形成装置から画像データを受信してもよい。
【0021】
感光体11は、帯電部12によりその表面が一様に帯電させられる。像露光部13は、画像データを基にメイン制御部100から出力される出力情報に対応して、レーザビームにより感光体11の表面を走査露光する。これにより、一様に帯電した感光体11の表面に潜像が形成される。現像部14はトナーにより当該潜像を反転現像し、これにより、感光体11の表面にトナー画像が形成される。
【0022】
用紙収納部17Aに収納された用紙Pは、転写部15Aへ給紙される。転写部15Aは、感光体11の表面上のトナー画像を用紙Pへ転写し、その後、分離部15Bは、トナー画像が転写された用紙Pを感光体11から分離する。クリーニング装置16は、転写部15Aによりトナー画像が用紙Pに転写された後の感光体11の表面に残留しているトナーを除去する。中間搬送部17Bは、分離された用紙Pを定着装置18へ搬送する。定着装置18は、用紙Pに対する加熱および加圧により定着処理を施す。排紙部17Cは、定着処理が施された用紙Pを後処理装置2へ排出(供給)する。
【0023】
用紙Pの両面に画像形成を行う場合、定着装置18により定着処理が施された用紙Pは、搬送経路切換板17Dにより、その搬送方向が排紙部17C側から下方(反転搬送部17E)側へと切り換えられる。反転搬送部17Eは、用紙Pをスイッチバックすることにより用紙Pの表裏を反転させた上で用紙Pを転写部15Aへ搬送する。転写部15Aは、トナー画像を用紙Pの裏面へ転写し、当該用紙Pは定着装置18を経て、排紙部17Cから後処理装置2へ供給される。
【0024】
本実施形態にかかる画像形成装置1は、所定の画像を形成した用紙Pを後処理装置2に供給する以外にも、用紙の所定辺の一部に突出したタブを有する用紙P(以下「タブ紙Pt」という)を後処理装置2に供給することもできる。かかるタブ紙Ptを後処理装置2に供給することにより、冊子のインデックスとして利用可能なタブ紙Ptを用紙P間に挿入することができる。
【0025】
例えば、画像形成装置1は、用紙収納部17Aを構成するいずれかのトレイにタブ紙Ptを収容しておくことにより、後処理装置2に対するタブ紙Ptの供給を行うといった如くである。この場合、画像形成装置1内および後処理装置2内におけるタブ紙Ptの搬送は、タブを有する所定辺が先端部(用紙搬送方向の前方に相当する端部)となるように設定される。また、タブ紙Ptに画像を形成するか否かは選択的である。
【0026】
後処理装置2は、画像形成装置1の後段に配置されており、当該画像形成装置1から排出される用紙Pに対して後処理を行う。本実施形態にかかる後処理装置2が行う後処理は、綴じ処理、すなわち、複数枚の用紙Pに対してステープルを施す処理である。後処理装置2は、導入部20と、用紙供給ユニット30と、中間スタッカ40と、ステープラー70と、後処理制御部200(図3参照)とを主体に構成されている。
【0027】
導入部20は、画像形成装置1から排出された用紙Pを後処理装置2の内部に導入する。この導入部20は、画像形成装置1の排紙部17Cと対応するように、その位置が設定されている。
【0028】
ここで、導入部20から導入された用紙Pに関する機内の搬送経路の概要について説明する。導入部20下流の搬送経路は、第1の搬送経路R1と、第2の搬送経路R2と、第3の搬送経路R3とに分岐しており、導入部20からの用紙Pは、切換ゲート(図示せず)の切り換えに応じて、いずれかの搬送経路R1〜R3に供給される。綴じ処理を行うことなく用紙Pを機外のトレイに排出する場合、切換ゲートは、第1の搬送経路R1または第2の搬送経路に設定され、綴じ処理を行う場合、切換ゲートは、第3の搬送経路R3に設定される。各搬送経路R1〜R3は、多数の搬送ローラとガイド部材とにより構成されている。
【0029】
第1の搬送経路R1は、導入部20からの用紙Pをサブ排紙トレイ85に搬送するための経路である。このサブ排紙トレイ85は、機外の上部に配置されている。サブ排紙トレイ85は、用紙Pの積載許容量が少ないことから、例えば厚紙などといった特殊な用紙Pに対する少量排紙の際に利用される。
【0030】
第2の搬送経路R2は、導入部20からの用紙Pをメイン排紙トレイ80に搬送するための経路である。このメイン排紙トレイ80は、機外の中段部に配置されており、大量排紙を可能にするために用紙Pの積載方向に沿って昇降可能に構成されている。
【0031】
第3の搬送経路R3は、導入部20からの用紙Pを中間スタッカ40に搬送するための経路である。第3の搬送経路R3の最後段には、排紙部としての排紙ローラ25が配置されている。この排紙ローラ25は、中間スタッカ40の上方(具体的には、中間スタッカ40に集積される用紙面に対して上方)に配置されており、第3の搬送経路R3を経て搬送された用紙Pを中間スタッカ40に排出する。排紙ローラ25から排出された用紙Pは中間スタッカ40上に順次集積され、その集積枚数が所定枚数に到達した段階でステープラー70により綴じ処理が行われる。綴じ処理が行われた用紙Pはメイン排紙トレイ80に排出される。
【0032】
用紙供給ユニット30は、画像形成装置1から排出される用紙Pとは別ルートで後処理装置2に用紙Pを導入する機能を担っており、用紙載置部31と、用紙送り部32とで構成されている。用紙載置部31には用紙Pが積層載置され、当該用紙載置部31に載置された用紙Pは、用紙送り部32によって最上面の一枚が取り込まれ、第4の搬送経路R4に供給される。本実施形態では、二組の用紙載置部31および用紙送り部32が設けられており、個々の用紙載置部31に載置された用紙Pをそれぞれ供給することができるようになっている。かかる用紙供給ユニット30は、タブ紙Ptの導入方法として利用することもできる。
【0033】
第4の搬送経路R4は、用紙送り部32から供給された用紙Pを、導入部20下流側の用紙Pの搬送経路へと搬送する。そして、第4の搬送経路R4によって搬送された用紙Pは、導入部20から導入された用紙Pと同様に、第1から第3の搬送経路R1〜R3のいずれかの搬送経路へと供給される。第4の搬送経路R4は、多数の搬送ローラとガイド部材により構成されている。
【0034】
中間スタッカ40は、ステープラー70による綴じ処理に供するために、排紙ローラ25から排出される用紙Pを集積する集積部としての機能を担っている。中間スタッカ40は、当該中間スタッカ40に集積される用紙Pの先端部がその後端部よりも上向きとなるように傾斜した格好で配置されている。
【0035】
中間スタッカ40の周囲には、用紙突当部45、先端整合部50(図2参照)および幅方向整合部55が配置されるとともに、用紙搬送部60が配置される。ここで、図2は、後処理装置2の要部を示しており、用紙突当部45、先端整合部50、幅方向整合部55および用紙搬送部60を中心とした構成を示す模式図である。同図において、(a)は当該要部を側面側から眺めた状態を示し、(b)は当該要部を上方から眺めた状態を示している。
【0036】
用紙突当部45は、中間スタッカ40に対し、当該中間スタッカ40に積載される用紙Pの後端部側に配置されている。排紙ローラ25から排出された用紙Pは、中間スタッカ40の傾斜面上を下降し、用紙Sの後端部が当該用紙突当部45に当接して停止する。この用紙突当部45は、中間スタッカ40に排出された用紙Pの後端部と当接することで、中間スタッカ40に集積される用紙Pの整合を行う。換言すれば、用紙突当部45は、中間スタッカ40に集積される用紙Pの後端部を用紙搬送方向FDに沿って整合する。また、用紙突当部45は、必要に応じて、用紙搬送方向FDに沿って反復可動することで、用紙Pの後端と強制的に当接し、これにより、用紙Pの後端部の整合を行うこともできる(用紙突当部45による用紙整合動作)。
【0037】
先端整合部50は、中間スタッカ40に排出された用紙Pの先端部と当接することで、中間スタッカ40に集積される用紙Pの整合を行う。換言すれば、先端整合部50は、中間スタッカ40に集積される用紙Pの先端部を用紙搬送方向FDに沿って整合する。
【0038】
本実施形態において、先端整合部50は、単一の整合機構51で構成されており、当該整合機構51は、中間スタッカ40に集積される用紙面を基準として、当該用紙面の下方側に配置されている。この整合機構51は、駆動プーリー51aと、従動プーリー51bと、これらのプーリー51a,51b間に掛け渡されるタイミングベルト51cと、当接部材51dとで構成されている。
【0039】
駆動プーリー51aおよび従動プーリー51bは、当該プーリー51a,51b間に掛け渡されるタイミングベルト51cが用紙搬送方向FDと対応するように配置されている。当接部材51dは、タイミングベルト51cの外表面側に設けられており、用紙Pとの当接時を基準として、集積される用紙Pの下面側から上面側へと延在して構成されている。駆動プーリー51aは、シャフト51eを介して、駆動モーター51fからの駆動力が伝達されることにより、正方向または逆方向へと回転駆動する。
【0040】
駆動プーリー51aの回転駆動に伴いタイミングベルト51cが回転すると、タイミングベルト51cに固着された当接部材51dが用紙搬送方向FDに沿って移動する。整合機構51は、当接部材51dの移動を通じて、中間スタッカ40に排出された用紙Pの先端部に当該当接部材51dを当接することで、中間スタッカ40に集積される用紙Pの整合を行う(先端整合部50による用紙整合動作)。なお、前述したように、後処理装置2にタブ紙Ptが導入された場合、当該タブ紙Pは、タブを有する所定辺側が先端部となるように搬送される関係上、先端整合部50の当接部材51dは、中間スタッカ40に集積される用紙Pのうちタブ側に相当する所定辺側の端部と当接することとなる。
【0041】
また、本実施形態において、整合機構51は、用紙搬送方向FDと直行する方向である用紙幅方向CD、すなわち、先端部側に対応する用紙辺と平行な方向に沿って移動可能に構成されている。整合機構51は、駆動モーター51gの駆動力が動力伝達機構を介して伝達されることにより用紙幅方向CDに揺動し、これにより、用紙幅方向CDにおける位置を調整することができる。すなわち、先端整合部50は、用紙幅方向CDにおける整合機構51の位置を調整することにより、用紙Pと当接部材51dとの当接位置を用紙幅方向CDに沿って自在に選択することができる。
【0042】
幅方向整合部55は、中間スタッカ40に排出された用紙Pの側端部(用紙搬送方向FDと平行する用紙辺側の端部)側と当接することで、中間スタッカ40に集積される用紙Pの整合を行う。換言すれば、幅方向整合部55は、中間スタッカ40に集積される用紙Pの側端部を用紙幅方向CDに沿って整合する。
【0043】
具体的には、幅方向整合部55は、用紙搬送方向FDと平行する一対の可動整合板56で構成されており、個々の可動整合板56は、用紙幅方向CDにおいて所定距離だけ隔てて配置されている。個々の可動整合板56は、用紙幅方向CDに沿って移動可能に構成されており、図示しない駆動機構(駆動モーターやタイミングベルト)によって駆動されることにより、用紙幅方向CDにおける位置を調整することができる。この幅方向整合部55は、この可動整合板56の移動を通じて、中間スタッカ40に排出された用紙Pの側端部に可動整合板56を当接することで、中間スタッカ40に集積される用紙Pの整合を行う(幅方向整合部55による用紙整合動作)。
【0044】
用紙搬送部60は、綴じ処理が施された用紙Pを中間スタッカ40からメイン排紙トレイ80へと搬送する機能を担っており、一対のコンベアー機構61で構成されている。個々のコンベアー機構61は、駆動プーリー61aと、従動プーリー61bと、これらのプーリー61a,61bの間に掛け渡される搬送ベルト61cとで構成されている。一対のコンベアー機構61は、用紙幅方向CDにおいて所定距離だけ隔てて配置されている。各駆動プーリー61aは、共通のシャフト61dに連結されており、当該シャフト61dを介して駆動モーター61eからの駆動力が伝達されることにより、それぞれ回転駆動する。この駆動プーリー61aの回転駆動にともない搬送ベルト61cが回転することにより、中間スタッカ40上に載置されている用紙Pがメイン排紙トレイ80へと搬送される。また、個々のコンベアー機構61は用紙幅方向CDに沿って移動可能に構成されており、駆動モーター61fによって駆動されることにより、用紙幅方向CDにおける位置を調整することができる。かかる位置調整により、種々のサイズの用紙Pにも対応することができるように構成されている。
【0045】
再び図1を参照するに、ステープラー70は、中間スタッカ40に集積された用紙Pを対象として、予め定めた位置および向きに従ってステープルを施すことにより、綴じ処理を行う。例えば、ステープラー70は、用紙Pの後端近傍にステープルを施すことにより端部綴じを行う。
【0046】
図3は、本実施形態にかかる画像形成システムの制御系を模式的に示すブロック図である。この画像形成システムの制御系は、メイン制御部100と、後処理制御部200とで構成されている。これらの各制御部100,200は、互いに通信可能に構成されている。
【0047】
メイン制御部100は、画像形成装置1を制御するとともに、後処理制御部200を制御することにより画像形成システム全体を統合的に制御する機能を担っている。メイン制御部100としては、CPU、ROMおよびRAMを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。
【0048】
メイン制御部100は、原稿読取装置5等より入力された画像データを取得する。また、メイン制御部100は、入力された画像データに基づいて、画像形成装置1の各部を制御し、入力された画像データに応じた画像を用紙Pに形成する。具体的には、メイン制御部100は、作像部110(感光体11、帯電部12、像露光部13、現像部14、転写部15A、分離部15Bおよびクリーニング装置16を含む)、定着装置18、搬送経路に設けられた搬送ローラを駆動する搬送部120を制御する。
【0049】
操作入力部130は、ユーザによって設定される種々の情報をメイン制御部100に出力する。操作入力部130としては、例えば、ディスプレイ上に表示される情報に従い、入力操作を行うことが可能なタッチパネルを用いることができる。この場合、メイン制御部100は、操作入力部130を制御することにより、当該操作入力部130を介してユーザに種々のメッセージを表示することができる。
【0050】
かかる操作入力部130を通じて、ユーザは、印刷条件(例えば、片面・両面の印刷種別、用紙Pの種類(例えば、斤量)、画像の濃度や倍率など)を設定することができる。また、ユーザは、タブ紙Ptを挿入する場合には、どのタイミング(何枚目のタイミング)でタブ紙Ptを挿入するかといった情報を設定することもできる。
【0051】
通信部140は、自己の装置に接続する後処理装置2との通信を確立する入出力部として機能する。これにより、メイン制御部100は、通信部140を介して後処理装置2の後処理制御部200と相互に通信を行うことができる。
【0052】
後処理制御部200は、後処理装置2を制御する機能を担っている。後処理制御部200としては、CPU、ROMおよびRAMを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。本実施形態との関係において、後処理制御部200は、これを機能的に捉えた場合、整合制御部201と、取得部202とを有している。
【0053】
整合制御部201としての後処理制御部200は、整合部220(用紙突当部45、先端整合部50および幅方向整合部55を含む)を制御することにより用紙整合動作を実行し、これにより、中間スタッカ40に集積された用紙Pの整合を行う。後処理制御部200は、用紙Pが中間スタッカ40に排出される度に用紙整合動作を実行する。
【0054】
ここで、本実施形態の特徴の一つとして、整合制御部201としての後処理制御部200は、中間スタッカ40に排出される用紙Pがタブ紙Ptである場合、選択整合制御を実行する。この選択整合制御により、後述するタブ位置Rtaの情報に基づいて、中間スタッカ40に集積される用紙先端部側の用紙辺から構成される領域において先端整合部50がタブと干渉することなく用紙端部と当接可能な領域を非タブ領域として選択し、当該選択した非タブ領域を対象として先端整合部50による用紙整合動作を行うという一連のプロセスが実行される。かかる選択整合制御の詳細については後述する。
【0055】
取得部202としての後処理制御部200は、後処理装置2に導入された用紙Pがタブ紙Ptである場合に、タブ位置検出部230の検出結果を通じて、タブ位置Rtaの情報を取得する。
【0056】
なお、後処理制御部200は、前述した整合制御部201および取得部202としての機能以外にも後処理装置2を動作させるための各種機能を担っている。例えば、後処理制御部200は、搬送経路に設けられた搬送ローラを駆動する搬送部210を制御し、後処理装置2における用紙Pの搬送を制御することができる。同様に、後処理制御部200は、ステープラー70を制御することにより、中間スタッカ40に集積された用紙Pに対する綴じ処理を行うことができる。
【0057】
タブ位置検出部230は、用紙の所定辺におけるタブの位置(領域)を示すタブ位置Rtaを検出する。タブ位置検出部230は、用紙Pの搬送経路の上方に配置されており、例えば、複数の受光素子231を用紙幅方向CDにそって直線状に配列したリニアイメージセンサ(例えばCCDラインセンサ等)で構成されている(図4(a)参照)。このタブ位置検出部230において、個々の受光素子231は、搬送経路上の検出位置を用紙Pが通過していない場合に検出信号がオフとなり、当該検出位置を用紙Pが通過している場合に検出信号がオンとなる(同図(b)参照)。タブ紙Ptが搬送された場合、タブ位置に相当する受光素子231は、検出信号の立ち上がりタイミング(オンタイミング)が他の受光素子231のそれよりも先行する。そのため、タブ位置検出部230は、各受光素子231からの検出信号の立ち上がりタイミングの差に基づいて、タブ位置Rtaを検出することができる。
【0058】
通信部240は、自己の装置に接続する画像形成装置1との通信を確立する入出力部として機能する。これにより、後処理制御部200は、通信部240を介して画像形成装置1のメイン制御部100と相互に通信を行うことができる。
【0059】
以下、図5を参照し、選択整合制御を含む用紙整合動作の詳細について説明する。ここで、図5は、選択整合制御を含む用紙整合動作の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ユーザによるジョブ(JOB)の実行指令に応じて、後処理制御部200によって実行される。当該処理は、主として、後処理制御部200の整合制御部201としての機能により実行される。
【0060】
まず、ステップ1(S1)において、後処理制御部200は、後処理装置2に用紙P(タブ紙Ptを含む)が導入されたことを条件に、当該用紙Pに関する情報を取得する。具体的には、後処理制御部200は、後処理装置2に導入された用紙Pがタブ紙Ptであるか否かといった情報や、当該用紙Pのページ数に関する情報を取得する。
【0061】
ステップ2(S2)において、後処理制御部200は、後処理装置2に導入された用紙Pがタブ紙Ptであるか否かを判断する。このステップ2において肯定判定された場合、すなわち、タブ紙Ptである場合には、ステップ3(S3)に進む。一方、ステップ2において否定判定された場合、すなわち、タブ紙Ptではない場合には、後述するステップ7(S7)に進む。
【0062】
ステップ3において、後処理制御部200は、タブ領域情報の更新処理を行う。タブ領域情報は、用紙幅方向CD(タブ側の所定辺と平行する方向)においてタブが存在している領域を示す情報である。このタブ領域情報であるタブの存在領域は、中間スタッカ40に集積される用紙Pにおいて先端部側の用紙辺(タブ側の所定辺)から構成される領域、すなわち、用紙Pの集積により当該所定辺側に形成される壁面領域において特定される。タブ紙Ptは複数枚が1セットとなり個々のタブをインデックスとして機能させる関係上、各タブ紙Ptのタブは、残余のタブ紙Ptのタブと位置が重複しないように、互いに異なる位置に設定されている。そのため、中間スタッカ40に集積されるタブ紙Ptの枚数が増加するにしたがい、タブが存在している領域が順次拡大していくこととなる。
【0063】
そこで、後処理制御部200は、機内に導入された用紙Pがタブ紙Ptである場合には、取得部202としての機能により、そのタブ紙Ptに関してタブ位置検出部230が検出したタブ位置Rtaの情報を読み込む。そして、後処理制御部200は、読み込んだタブ位置Rtaの情報を、従前までに保持していたタブ領域情報に反映することにより、用紙幅方向CDに関してタブが存在する領域を特定し、これにより、当該タブ領域情報を更新する。これにより、図6(a)〜(e)に示すように、タブ紙の集積にともない、用紙先端部側の辺においてタブが存在している領域がタブ領域情報として逐次更新されることとなる。
【0064】
ステップ4において、後処理制御部200は、非タブ領域が存在するか否かを判定する。この非タブ領域は、中間スタッカ40に集積される用紙Pの先端部側の用紙辺(タブ側の所定辺)から構成される領域において、先端整合部50(当接部材51d)がタブと干渉することなく用紙端部と当接可能な領域であり、タブ領域情報に基づいて認識可能である。具体的には、非タブ領域は、用紙幅方向CDにおいて、タブの存在領域を除く領域が該当する。ここで、図6(a)〜(e)は、タブの存在領域に応じた非タブ領域Rs1〜Rs4を例示する。同図(a)〜(d)に示すように、非タブ領域Rs1〜Rs4は、中間スタッカ40に集積されるタブ紙Ptの枚数が増加する程、用紙幅方向CDにかけて序々に小さくなる傾向があることが分かる。また、同図(e)に示す状態では、用紙幅方向CDにおいて全領域にタブが存在しているため、非タブ領域が存在しない状態となっている。
【0065】
このステップ4において肯定判定された場合、すなわち、非タブ領域が存在する場合には、ステップ5(S5)に進む。一方、ステップ4において否定判定された場合、すなわち、非タブ領域が存在しない場合には、ステップ6(S6)に進む。
【0066】
ステップ5において、後処理制御部200は、先端整合部50(具体的には、駆動モーター51g)を制御することにより、整合機構51の用紙幅方向CDにおける位置を調整し、これにより、整合機構51を非タブ領域へと移動させる。
【0067】
ステップ6において、後処理制御部200は、整合不能処理を実行する。図7は、整合不能処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【0068】
まず、ステップ10(S10)において、後処理制御部200は、警告表示するか否かを判断する。この警告表示は、非タブ領域、すなわち、先端整合部50により整合可能な領域がないことをユーザに警告するものであり、当該警告を行うか否かの設定は、初期設定としてユーザにより予め選択されている。このステップ10において肯定判定された場合、すなわち、警告表示を行う場合には、ステップ11(S11)に進む。一方、ステップ10において否定判定された場合、すなわち、警告表示を行わない場合には、本ルーチンを抜ける。
【0069】
ステップ11において、後処理制御部200は、警告を既に表示したか否かを判断する。このステップ11において肯定判定された場合、すなわち、警告を既に表示したことがある場合には、本ルーチンを抜ける。一方、ステップ11において否定判定された場合、すなわち、警告を表示したことがない場合には、ステップ12(S12)に進む。
【0070】
ステップ12において、後処理制御部200は、ジョブを一旦停止させる。この場合、後処理制御部200は、画像形成装置1のメイン制御部100に対してもジョブの停止指令を出力する。また、後処理制御部200は、メイン制御部100に所定のコマンドを出力し、用紙整合動作が不可能である旨のメッセージとともに、ジョブを中止するか否かの選択を促すメッセージを操作入力部130に表示する。
【0071】
ステップ13(S13)において、後処理制御部200は、操作入力部130の入力結果を参照し、ジョブを継続するか否かを判断する。このステップ13において肯定判定された場合、すなわち、ジョブを継続する場合には、本ルーチンを抜ける。一方、ステップ13において否定判定された場合、すなわち、ジョブを中止する場合には、ステップ14(S14)に進む。
【0072】
ステップ14(S14)において、後処理制御部200は、処理途中の用紙Pをメイン排紙トレイ80に排紙するといった、ジョブの終了処理を実行する。
【0073】
再び図5を参照するに、ステップ7において、後処理制御部200は、用紙整合動作を実行する。具体的には、後処理制御部200は、先端整合部50と、幅方向整合部55とをそれぞれ制御することにより、用紙整合動作を行う。なお、当該用紙整合動作に、用紙突当部45による用紙整合動作を含めてもよい。
【0074】
ステップ8(S8)において、後処理制御部200は、現在の後処理装置2に導入された用紙Pが最終紙、すなわち、ジョブの最終の用紙Pであるか否かを判断する。このステップ8において肯定判定された場合、すなわち、最終紙である場合には、本ルーチンを抜ける。一方、ステップ8において否定判定された場合、すなわち、最終紙でない場合には、ステップ1に戻る。
【0075】
このように本実施形態において、先端整合部50(第1の整合部)は、用紙Pの先端部に対する当接位置を、用紙幅方向CDに沿って選択可能に構成されている。この場合、後処理制御部200は、タブ位置Rtaの情報に基づいて、中間スタッカ40に集積される用紙Pの先端部側の用紙辺から構成される領域において非タブ領域Rs1〜Rs4を選択し、当該選択した非タブ領域Rs1〜Rs4を対象として先端整合部50による用紙整合動作を実行する選択整合制御を行う。
【0076】
かかる構成によれば、先端整合部50をタブの存在しない領域に対して選択的に当接されることができる。これにより、タブ側に相当する所定辺を対象とする用紙端部の整合動作を実行するという要求を満たしつつも、タブの存在による整合不良を抑制することができる。その結果、通常の用紙Pとタブ紙Ptとが混載して集積されるようなシーンでも、用紙の整合精度の向上を図ることである。
【0077】
また、本実施形態によれば、中間スタッカ40に集積される用紙Pの四辺のうちタブ側の所定辺を除く残余の三辺にそれぞれ設けられており、各辺側の用紙端部と当接することで中間スタッカ40に集積される用紙Pの整合を行う用紙突当部45(第2の整合部)および幅方向整合部55(第3および第4の整合部)をさらに有している。
【0078】
タブの存在による整合不良を抑制するために、タブが存在しない3辺を対象として用紙端部に対する整合動作を実行することが考えられる。しかしながら、タブ側に相当する所定辺のみから用紙Pがはみ出しているようなケースでは、前述の三辺に対応する用紙整合動作では、これを整合することができない。その点、本実施形態によれば、タブが存在しない3辺に対応する用紙突当部45および幅方向整合部55の存在を前提とした上で、タブ側に相当する所定辺に対応する先端整合部50が存在することで、タブ紙Ptを含むシーであっても用紙四辺の整合を精度よく実行することができる。
【0079】
また、本実施形態において、先端整合部50は、タブ側の所定辺と平行する方向(用紙幅方向CD)に沿って移動可能な単一の当接部材51dより構成されている。かかる構成によれば、当接部材51dの当接位置を、タブ側の所定辺と平行する方向(用紙幅方向CD)に沿って自在に選択することができる。これにより、用紙Pと当接する部材である当接部材51dをタブの存在しない領域に対して選択的に当接されることができる。
【0080】
また、本実施形態において、先端整合部50は、中間スタッカ40に集積される用紙面を基準として、用紙Pよりも下方側に配置されている。この場合、当接部材51dは、中間スタッカ40に集積される用紙Pの下面側から上面側に延在して構成されている。かかる構成によれば、タブ側に相当する所定辺を対象とする用紙端部の整合動作を適切に実行することができる。
【0081】
また、本実施形態において、後処理制御部200は、タブ側の所定辺と平行する方向においてタブが存在しない領域を、非タブ領域として選択している。かかる構成によれば、非タブ領域Rs1〜Rs4を適切に選択することができる。
【0082】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態にかかる画像形成システムについて説明する。この第2の実施形態にかかる画像形成システムが、第1の実施形態のそれと相違する点は、先端整合部50の構成である。なお、第1の実施形態と重複する構成については説明を省略することとし、以下相違点を中心に説明を行う。ここで、図8は、第2の実施形態にかかる後処理装置2の要部を示しており、先端整合部50および用紙搬送部60を中心とした構成を示す模式図である。同図において、(a)は、当該要部を側面側から眺めた状態を示し、(b)は、当該要部を上方から眺めた状態を示している。
【0083】
本実施形態において、先端整合部50は、複数の整合機構51で構成されており、これらの整合機構51は、中間スタッカ40に集積される用紙面を基準として当該用紙Pの下方側に配置されている。また、複数の整合機構51は、用紙幅方向CDにおいて所定距離だけ隔てて配置されており、例えば5つ設けられている。各整合機構51は、駆動プーリー51aと、複数の従動プーリー51bと、これらのプーリー51a,51bの間に掛け渡されるタイミングベルト51cと、当接部材51dとで構成されている。
【0084】
プーリー51a,51bは、当該プーリー51a,51b間に掛け渡されるタイミングベルト51cが用紙Pの搬送方向と対応するように配置されている。当接部材51dは、タイミングベルト51cの外表面側に設けられており、用紙Pとの当接時を基準として、集積される用紙Pの下面側から上面側へと延在して構成されている。また、各当接部材51dは、周方向におけるタイミングベルト51c上の位置が互いにオフセットするように配置されている。各駆動プーリー51aは、共通のシャフト51eに連結されており、当該シャフト51eを介して駆動モーター51fからの駆動力が伝達されることにより、それぞれ正方向または逆方向へと同期して回転駆動する。
【0085】
これらの整合機構51において、各駆動プーリー51aの回転駆動に伴いタイミングベルト51cがそれぞれ回転することにより、当該タイミングベルト51cに固着された各当接部材51dが用紙搬送方向FDに沿って移動する。各整合機構51は、このような当接部材51dの移動を通じて、中間スタッカ40に排出された用紙Pの先端部に当該当接部材51dを当接することで、中間スタッカ40に集積される用紙Pの整合を行うことが可能となっている。この場合、各整合機構51は、必要量だけタイミングベルト51cを回転させることで、用紙幅方向CDに配列された複数の整合機構51のなかから、用紙Pと直接的に当接する当接部材51dを備える整合機構51を任意に一つ選択することができる。すなわち、先端整合部50は、用紙幅方向CDに配列された複数の整合機構51の中から任意に一つの整合機構51を選択することにより、用紙Pと当接部材51dとの当接位置を用紙幅方向CDに沿って自在に選択することができる。
【0086】
このように本実施形態によれば、先端整合部50は、それぞれがタブ側の所定辺と平行する方向(用紙幅方向CD)において所定の間隔を隔てて配置される複数の当接部材51dより構成されている。かかる構成によれば、当接部材51dの当接位置を、タブ側の所定辺と平行する方向(用紙幅方向CD)に沿って自在に選択することができる。これにより、用紙Pと当接する部材である当接部材51dをタブの存在しない領域に対して選択的に当接されることができる。
【0087】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態にかかる画像形成システムについて説明する。この第3の実施形態にかかる画像形成システムが、第1の実施形態のそれと相違する点は、先端整合部50の構成である。なお、第1の実施形態と重複する構成については説明を省略することとし、以下相違点を中心に説明を行う。ここで、図9は、第3の実施形態にかかる後処理装置2の要部を示しており、先端整合部50および用紙搬送部60を中心とした構成を示す模式図である。同図において、(a)は、当該要部を上方側から眺めた状態を示し、(b),(c)は、直行する2つの側面方向から当該要部を眺めた状態を示している。
【0088】
本実施形態にかかる先端整合部50は、第1の実施形態と同様に単一の整合機構51で構成されているものの、整合機構51は、中間スタッカ40に集積される用紙面を基準として当該用紙面の上方側に配置されている。このような構成上、タイミングベルト51cの外表面側に設けられる当接部材51dは、用紙Pとの当接時を基準として、集積される用紙Pの上面側から下面側へと延在して構成されている。
【0089】
また、本実施形態の特徴の一つとして、整合機構51は、用紙Pの積載方向SDに沿って移動可能に構成されている。具体的には、整合機構51の周囲には、所定の位置取りで配置された駆動プーリー51hおよび複数の従動プーリー51iと、当該プーリー51h,51iの間に掛け渡されたタイミングベルト51jとが配置されている。これらのプーリー51h,51iの間に掛け渡されたタイミングベルト51iには、用紙積載方向SDに沿って延在する直線領域が形成されており、当該直線領域には、整合機構51が連結されている。駆動プーリー51hは、駆動モーター51kからの駆動力が伝達されることにより、正方向または逆方向へと回転駆動する。
【0090】
このような整合機構51において、駆動プーリー51hの回転駆動にともないタイミングベルト51jが回転することにより、整合機構51が集積方向SDに昇降し、これにより、集積方向SDにおける位置を調整することができる。この位置調整は、後処理制御部200による整合部220の制御を通じて実現することができ、後処理制御部200は、中間スタッカ40に集積される用紙Pの最上面と整合機構51とが所定の距離だけ離間するように、用紙Pの集積枚数に応じて位置制御を行う。この位置制御により、当接部材51dは、用紙Pの積載方向において最上面の用紙Pから所定の範囲において当該用紙Pと当接することとなり、かかる範囲において用紙Pの用紙整合動作を行うこととなる。
【0091】
このような整合機構51を用いた場合であっても、選択整合制御の内容は基本的に第1の実施形態のそれと同様であるが、以下の点において処理内容が相違する。具体的には、後処理制御部200は、タブ領域情報の更新処理を行う場合(図5に示すステップ3)、用紙幅方向CDのみならず、用紙Pの積載方向をも考慮してタブ領域情報を更新する。すなわち、後処理制御部200は、読み込んだタブ位置Rtaの情報を従前までに保持していたタブ領域情報に反映することにより、当該タブ領域情報を更新する。
【0092】
そして、後処理制御部200は、積載方向SDにおいて最上面の用紙Pから所定の範囲、かつ、用紙幅方向CDに関してタブが存在しない領域を、非タブ領域として選択する。ここで、「用紙Pの最上面から所定の範囲」とは、最上面の用紙Pから当接部材51dが当接する範囲に相当する。例えば、図10(a)〜(e)は、タブの存在する領域に応じた非タブ領域Rs1〜Rs7を例示する。同図(a)〜(c)に示すように、中間スタッカ40に集積される用紙Pの総数が少ない状態では、非タブ領域Rs1〜Rs4は、タブ紙Ptの枚数が増加する程、用紙幅方向CDにかけて序々に小さくなる傾向にあることが分かる。一方、同図(d)に示すように、中間スタッカ40に集積される用紙Pの総数が所定値以上となった状態では、用紙積層方向SDにはタブが全く存在しない領域である非タブ領域Rs4以外にも、積層方向SDにおいて最上面の用紙Pからタブ紙Ptまでの距離が十分に確保される領域も非タブ領域Rs5となる。そして、同図(e),(f)に示すように、用紙幅方向CDの全領域にタブが存在するような状況となっても、積層方向SDにおいて最上面の用紙Pからタブ紙Ptまでの距離が十分に大きくなる領域が存在すれば、それが非タブ領域Rs6,Rs7として機能する。
【0093】
このように本実施形態において、先端整合部50は、中間スタッカ40に集積される用紙面を基準として、用紙Pよりも上方側に配置されるとともに、用紙Pの積載方向に沿って昇降可能に構成されている。この場合、当接部材51dは、集積される用紙Pの上面側から下面側へと延在して構成されている。かかる構成によれば、タブ側に相当する所定辺を対象とする用紙端部の整合動作を適切に実行することができる。
【0094】
また、後処理制御部200は、中間スタッカ40に集積される用紙Pの最上面から用紙積載方向SDに沿って所定の範囲、かつ、タブ側の所定辺と平行する方向(用紙幅方向CD)においてタブが存在しない領域を、非タブ領域Rs1〜Rs7として選択している。かかる構成によれば、一次元的な視点のみなら、二次元的な視点から非タブ領域Rs1〜Rs7を設定しているため、非タブ領域が選択不能となるといった事態を陥ることを抑制することができる。これにより、用紙の整合精度の向上をより図ることである。
【0095】
なお、本実施形態に示す手法は、第2の実施形態に開示した先端整合部50に適用することも可能である。
【0096】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態にかかる画像形成システムについて説明する。この第4の実施形態にかかる画像形成システムが、第1の実施形態のそれと相違する点は、用紙Pに対する整合機構51の当接位置を固定的に設定されているような状況であってもタブ紙を含む用紙Pに対する整合を正確に実現することである。すなわち、本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、先端整合部50は、整合機構51を用紙幅方向CDに沿って移動させる必要はなく、またそのような構成を省略してもよい。なお、第1の実施形態と重複する構成については説明を省略することとし、以下相違点を中心に説明を行う。
【0097】
図11は、第4の実施形態にかかる用紙整合動作の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ユーザによるジョブ(JOB)の実行指令に応じて実行される。
【0098】
まず、ステップ20(S20)において、後処理制御部200は、後処理装置2に用紙P(タブ紙Ptを含む)が導入されたことを条件に、当該用紙Pに関する情報を取得する。具体的には、後処理制御部200は、後処理装置2に導入された用紙Pがタブ紙Ptであるか否かといった情報や、当該用紙Pのページ数に関する情報を取得する。
【0099】
ステップ21(S21)において、後処理制御部200は、後処理装置2に導入された用紙Pがタブ紙Ptであるか否かを判断する。このステップ21において肯定判定された場合、すなわち、タブ紙Ptである場合には、ステップ22(S22)に進む。一方、ステップ21において否定判定された場合、すなわち、タブ紙Ptではない場合には、後述するステップ24(S24)に進む。
【0100】
ステップ22において、後処理制御部200は、機内に導入された用紙Pがタブ紙Ptである場合には、そのタブ紙Ptについてタブ位置検出部230が検出したタブ位置Rtaの情報を読み込む。そして、後処理制御部200は、先端整合部50の整合機構51(具体的には、当接部材51d)の位置と、タブ位置Rtaとが一致するか否かを判断する。このステップ22において肯定判定された場合には、ステップ23(S23)に進む。一方、ステップ22において否定判定された場合には、ステップ24に進む。
【0101】
ステップ23では、後処理制御部200は、機内に導入された用紙P(タブ紙Pt)を中間スタッカ40へと搬送することなく、機外へと排出する。例えば、後処理制御部200は、タブ紙Ptをサブ排紙トレイ85に搬送する。
【0102】
ステップ24において、後処理制御部200は、後処理制御部200は、用紙整合動作を実行する。具体的には、後処理制御部200は、先端整合部50と、幅方向整合部55をそれぞれ制御することにより、用紙整合動作を行う。なお、当該用紙整合動作に、用紙突当部45による用紙整合動作を含めてもよい。
【0103】
ステップ25(S25)において、後処理制御部200は、現在の後処理装置2に導入された用紙Pが最終紙、すなわち、ジョブの最終の用紙Pであるか否かを判断する。このステップ25において肯定判定された場合、すなわち、最終紙である場合には、本ルーチンを抜ける。一方、ステップ25において否定判定された場合、すなわち、最終紙でない場合には、ステップ20に戻る。
【0104】
このように本実施形態によれば、先端整合部50の整合機構51(具体的には、当接部材51d)の位置と、タブ位置Rtaとが一致する場合には、タブ紙Ptを中間スタッカ40に集積することなくこれを排出している。かかる構成によれば、用紙Pの集積が進んだとしても、整合機構51の可動範囲にタブが存在するタブ紙Ptが集積させるといった事態を抑制することができる。これにより、図12に示すように、整合機構51の当接位置を常時、非タブ領域Rs0として確保することができる。
【0105】
なお、本実施形態では、取得部202としての後処理制御部200は、後処理装置2に供給されるタブ紙Ptに関するタブ位置Rtaの情報をタブ位置検出部230から取得する構成であるが、操作入力部130を介して入力される情報から取得してもよい。
【0106】
以上、本発明の実施形態にかかる画像形成システムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。例えば、タブの位置は、用紙Pの先端部に限らず、側端部あるいは後端部のいずれかの端部に相当する辺に存在していてもよい。この場合、当該辺の位置に応じて、本発明に示す整合部(当接部材)および選択整合制御を適用すればよい。また、画像形成システムを構成する後処理装置それ自体も本発明の一部として機能する。
【符号の説明】
【0107】
1 画像形成装置
5 原稿読取装置
11 感光体
12 帯電部
13 像露光部
14 現像部
18 定着装置
100 メイン制御部
110 作像部
120 搬送部
130 操作入力部
140 通信部
2 後処理装置
20 導入部
30 用紙供給ユニット
40 中間スタッカ
45 用紙突当部
50 先端整合部
51 整合機構
55 幅方向整合部
60 用紙搬送部
70 ステープラー
80 メイン排紙トレイ
85 サブ排紙トレイ
200 後処理制御部
210 搬送部
220 整合部
230 タブ位置検出部
240 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送された用紙を集積する集積部と、
前記集積部へと搬送される用紙が、当該用紙の所定辺の一部を突出させたタブを備えるタブ紙である場合に、前記所定辺におけるタブ位置の情報を取得する取得部と、
前記所定辺側の用紙端部と当接することで、前記集積部に集積される用紙の整合を行う第1の整合部と、
前記第1の整合部を制御して用紙整合動作を行う整合制御部とを有し、
前記第1の整合部は、前記用紙端部に対する当接位置を前記所定辺と平行する方向に沿って選択可能に構成されており、
前記整合制御部は、前記取得部により取得されたタブ位置の情報に基づいて、前記集積部に集積される用紙の前記所定辺から構成される領域において前記第1の整合部がタブと干渉することなく用紙端部と当接可能な領域を非タブ領域として選択し、当該選択した非タブ領域を対象として前記第1の整合部による用紙整合動作を実行する選択整合制御を行うことを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記集積部に集積される用紙の四辺のうち前記所定辺を除く残余の三辺にそれぞれ設けられており、各辺側の用紙端部と当接することで前記集積部に集積される用紙の整合を行う第2の整合部、第3の整合部及び第4の整合部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載された後処理装置。
【請求項3】
前記第1の整合部は、前記所定辺と平行する方向に沿って移動可能な単一の当接部材より構成されることを特徴とする請求項1または2に記載された後処理装置。
【請求項4】
前記第1の整合部は、それぞれが前記所定辺と平行する方向において所定の間隔を隔てて配置される複数の当接部材より構成されることを特徴とする請求項1または2に記載された後処理措置。
【請求項5】
前記第1の整合部は、前記集積部に集積される用紙面を基準として、当該用紙面よりも下方側に配置されており、
前記当接部材は、前記集積部に集積される用紙の下面側から上面側に延在して構成されることを特徴とする請求項3または4に記載された後処理装置。
【請求項6】
前記整合制御部は、前記所定辺と平行する方向においてタブが存在しない領域を、前記非タブ領域として選択することを特徴とする請求項5に記載された後処理装置。
【請求項7】
前記第1の整合部は、前記集積部に集積される用紙面を基準として、当該用紙面よりも上方側に配置されるとともに、用紙の積載方向に沿って昇降可能に構成されており、
前記当接部材は、前記集積される用紙の上面側から下面側へと延在して構成されることを特徴とする請求項3または4に記載された後処理装置。
【請求項8】
前記整合制御部は、前記集積部に集積される用紙の最上面から用紙積載方向に沿って所定の範囲、かつ、前記所定辺と平行する方向において前記タブが存在しない領域を、前記非タブ領域として選択することを特徴とする請求項7に記載された後処理装置。
【請求項9】
用紙に画像を形成するとともに、当該画像が形成された用紙を排出する画像形成装置と、
前記画像形成装置から排出される用紙に後処理を施す、請求項1から8のいずれかに記載された後処理装置と
を有する画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−1518(P2013−1518A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134972(P2011−134972)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】