説明

循環式インクジェット装置

【課題】種々のインクを、高精度かつ安定的に吐出可能な循環式インクジェット装置を提供すること。
【解決手段】循環式インクジェット装置は、インクの入口と、前記インクの出口と、前記インクを微少量ずつ吐出し可能なノズル部と、を有するインクジェットヘッド(7)と、前記入口に前記インクを送り込む圧力を発生する第1ポンプ(2)と、前記出口から前記インクを引き出す圧力を発生する第2ポンプ(3)と、前記第1ポンプ、前記インクジェットヘッド、および、前記第2ポンプをこの順に通って前記インクが循環する経路を形成する流路部(12)と、前記入口に送り込まれる前記インクの圧力を測定する第1圧力センサ(4)と、前記出口から引き出される前記インクの圧力を測定する第2圧力センサ(5)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、インク循環型のインクジェットヘッドを用いて微小液滴を吐出する機能を有する循環式インクジェット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性を有し、インク入口およびインク出口を少なくとも有する第1のインク袋と、可撓性を有し、インク入口およびインク出口を少なくとも有する第2のインク袋と、インク供給口およびインク排出口を備えるインクジェットヘッドと、インクの移送手段である送液ポンプとを有し、インク入口とインク出口とが送液ポンプを介して連結されており、インク出口と、インクジェットヘッドが有するインク供給口とが連結され、インク入口と、インク排出口とが連結されていることによって、第1のインク袋、インクジェットヘッド、第2のインク袋、送液ポンプの順でインクを循環可能な第1のインク流路が形成されているインクジェット装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−78473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェットヘッドで、インクを高精度に吐出するためには、インクを吐出するために設けられたノズル穴におけるインクの液面の形状(「メニスカス」とも言う)を適正に保持することが非常に重要である。そのためには、インクジェットヘッド内の圧力を高精度に制御することが必要である。
【0005】
さらに、固形成分を含むインクを用いる場合、インクを停滞させると、固形成分の凝集や沈降などが生じてしまう。この場合、インクを常に一定流速で循環させておくことが好ましいが、この場合、インクジェットヘッド内に大きな圧力変動を引き起こす要因になる。
【0006】
そのような外乱に対しても、インクジェットヘッド内の圧力を高精度に制御することが重要である。
【0007】
ここに開示された技術は、凝集や沈降が懸念される固形成分を含むインクをはじめとする各種物性を有するインクを、高精度かつ安定的に吐出可能な循環式インクジェット装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、
インクの入口と、前記インクの出口と、前記インクを微少量ずつ吐出し可能なノズル部と、を有するインクジェットヘッドと、
前記入口に前記インクを送り込む圧力を発生する第1ポンプと、
前記出口から前記インクを引き出す圧力を発生する第2ポンプと、
前記第1ポンプ、前記インクジェットヘッド、および、前記第2ポンプをこの順に通って前記インクが循環する経路を形成する流路部と、
前記入口に送り込まれる前記インクの圧力を測定する第1圧力センサと、
前記出口から引き出される前記インクの圧力を測定する第2圧力センサと、
を備える循環式インクジェット装置によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
種々のインクを、高精度かつ安定的に吐出可能な循環式インクジェット装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態の循環式インクジェット装置の全体構成を説明するための図
【図2】第1ポンプ2および第2ポンプ3の構成を説明するための図
【図3】インペラ21を説明するための図
【図4】ケーシング22を説明するための図
【図5】第2実施形態のインペラの構成図
【図6】第3実施形態の循環式インクジェット装置の構成図
【図7】変形例の循環式インクジェット装置の構成図
【図8】第4実施形態の循環式インクジェット装置の構成図
【図9】第5実施形態の循環式インクジェット装置の構成図
【図10】第5実施形態の変形例に係る循環式インクジェット装置の構成図
【図11】第6実施形態の循環式インクジェット装置の構成図
【図12】第7実施形態の循環式インクジェット装置の構成図
【図13】第8実施形態の循環式インクジェット装置の構成図
【図14】第3インクタンク91および第4インクタンク92を説明するための図
【図15】第9実施形態の循環式インクジェット装置の構成図
【図16】第9実施形態の変形例に係る循環式インクジェット装置の構成図
【図17】第10実施形態の循環式インクジェット装置の構成図
【図18】第10実施形態の変形例に係る循環式インクジェット装置の構成図
【図19】第11実施形態の循環式インクジェット装置の構成図
【図20】第12実施形態の循環式インクジェット装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる実施形態について説明する。
【0012】
〔実施形態1〕
以下に、第1実施形態における循環式インクジェット装置について説明する。
【0013】
<循環式インクジェット装置の構成>
図1は第1実施形態の循環式インクジェット装置の全体構成を説明するための図である。
【0014】
循環式インクジェット装置1は、インクジェットヘッド7、インクタンク8、第1ポンプ2、第2ポンプ3、チューブ12、第1圧力センサ4、第2圧力センサ5、および、ポンプ制御システム6とを備える。
【0015】
(インクジェットヘッド)
インクジェットヘッド7は、インク入口とインク出口、インクを微少量ずつ吐出し可能なノズル部、および内部にインク入口からインク出口へのインクの流路を有する。インクジェットヘッド7は、ピエゾ素子に電圧を加え歪ませ、そのピエゾ素子で構成したインク室に発生する圧力波を利用してインクを押し出す。そして、ノズル部は、インクジェットヘッド7内のインクを微少量ずつ吐出する。
【0016】
(インクタンク)
インクタンク8は、攪拌装置9、液面センサ10および温度センサ11を備えている。インクタンク8は、インクの貯蔵や攪拌およびインク温度の調整等を行う。インクタンク8から第1ポンプ2にインクが引き出され、第2ポンプ3からインクタンク8にインクが送り込まれる。
【0017】
攪拌装置9はインクを攪拌する。これにより、インク中に含まれる固形成分の沈降や凝集を防ぐ。
【0018】
また、液面センサ10はインクタンク8の液面を管理する。これにより、インクタンク8内の水頭圧を一定に保ち、圧力変動を抑制する。
【0019】
さらに、温度センサ11とインクタンク8の外部に設置された温度調節器により、インクタンク8内のインク温度が一定に保たれる。これにより、インクの流速の変化による圧力変動を抑制する。
【0020】
(ポンプ)
インクジェットヘッド7内の圧力制御は、第1ポンプ2および第2ポンプ3により行われる。第1ポンプ2および第2ポンプ3は、たとえば、遠心渦巻きポンプであり、インペラ21の回転によってインクに遠心力を与えることでインクを圧送することが可能である。遠心渦巻きポンプは、インペラ21の高速回転によって、インクが圧送されるという動作原理であるため、液体の圧送時の脈流がほとんどないという特性を有している。
【0021】
第1ポンプは、インク入口にインクを送り込む圧力を発生する。第1ポンプ2が作り出す吐出力により、インクジェットヘッド7のインク入口側の圧力が制御される。さらに、第2ポンプは、インク出口からインクを引き出す圧力を発生する。第2ポンプ3が作り出す吸込力によって、インクジェットヘッド7のインク出口側の圧力が制御される。これにより、インクジェットヘッド7内の圧力変動を制御することができ、より高精度なメニスカスコントロールが可能となる。
【0022】
第1ポンプ2および第2ポンプ3の詳細な構成については、後述する。
【0023】
(循環システム)
チューブ12は、第1ポンプ2、インクジェットヘッド7、第2ポンプ3、および、インクタンク8をこの順に通ってインクが循環する経路を形成する。
【0024】
(圧力センサ)
第1圧力センサ4は、第1ポンプ2とインクジェットヘッド7の間に設置される。第2圧力センサ5は、第2ポンプ3とインクジェットヘッド7の間に設置する。第1圧力センサ4は、第1ポンプ2からインクジェットヘッド7に送り込まれるインクの圧力を測定する。第2圧力センサ5は、インクジェットヘッド7から第2ポンプ3に引き出されるインクの圧力を測定する。第1圧力センサ4をインクジェットヘッド7のインク入口側に、第2圧力センサ5をインクジェットヘッド7のインク出口側に設置することで、高精度な圧力検出が可能となる。
【0025】
(ポンプ制御システム)
ポンプ制御システム6は、第1圧力センサ4による測定結果および第2圧力センサ5による測定結果に基づき、第1ポンプ2および第2ポンプ3の動作を制御する。具体的には、ポンプ制御システム6は、第1圧力センサ4による測定結果および第2圧力センサ5による測定結果に基づき、第1ポンプ2および第2ポンプ3の回転数を制御する。
【0026】
より具体的には、第1ポンプ2および第2ポンプ3のインペラ21の回転数を、インクジェットヘッド7内部のインク圧力が設定値をキープするように、個々に制御する。
【0027】
したがって、インク流速やインクジェットヘッド7の駆動条件の変化による圧力変動の影響を受けることなく、安定したインクジェットヘッド7内の圧力(メニスカス)コントロールが可能となる。
【0028】
<ポンプの構成>
図2は第1ポンプ2および第2ポンプ3の構成を説明するための図である。本実施形態では、第1ポンプ2および第2ポンプ3は同じ構成である。なお、第1ポンプ2および第2ポンプ3は、異なる構成としてもよい。
【0029】
第1ポンプ2および第2ポンプ3は、永久磁石25を備えたインペラ21と、インク入口であるインク吸入口41と、インク出口であるインク吐出口24と、気泡抜き口23とを備える。第1ポンプ2および第2ポンプ3は、さらに、インペラ21を回転可能に収容するケーシング22と、ケーシング22の外側に配置され、非接触状態でインペラ21に回転力を付与する駆動部(たとえば、モータ)27と駆動羽根28からなる。
【0030】
(インペラ)
図3はインペラ21を説明するための図である。インペラ21の回転によってインクに遠心力が与えられ、インクが圧送される。
【0031】
インクに含まれる固形成分がケーシング22の内部で詰まりにくいように、インペラ21は、オープンタイプの羽根が好ましい。
【0032】
さらに、インペラ21は、底部31の外径が羽根部の外径よりも小さい。これにより、インペラ21の回転数を大きくしても、回転時に発生するインペラ21の浮上力を抑制することができる。そして、脱調するまでの回転数を大きくすることができるため、流量や揚程を大きくすることができる。なお、脱調とは、インペラ21に回転力を付与する駆動部(モータ)27の回転トルクがインペラ21の永久磁石25に伝達できなくなる状態をいう。
【0033】
インペラ21の材質は、ポリエーテルエーテルケトンである。これにより、耐溶剤性と耐摩耗性を備えることができる。
【0034】
(ケーシング)
図4はケーシング22を説明するための図である。ケーシング22は、インク吸入口41とインク吐出口24および気泡抜き口23を備えている。インク吸入口41は、気泡抜き口23の近傍に、ポンプの外部からインペラ21の回転中心を含む領域まで貫通するように設置されている。気泡抜き口23は、インペラ21の回転中心を含む領域からポンプの外部まで貫通する通気口である。ケーシング22の底部には、ボール26が設置されている。
【0035】
インペラ21が回転すると、インク吸入口41からインクが流入し、インク吐出口24からインクが流出する。
【0036】
ポンプ内に気泡が混入した場合、気泡抜き口23から気泡吸引装置13により、気泡が抜かれる。これにより、ポンプ性能を回復させる。ポンプ内に気泡が混入した場合でも、ポンプ性能の低下を防ぐことができる。気泡吸引装置13は、ポンプまたは圧力調整機能を備えた装置である。なお、第1ポンプ2は、気泡抜き口23が設けられていない構成であってもよい。
【0037】
インペラ21の回転支持は、ケーシング22の底部に設置したボール26で行われる。シャフト支持タイプのポンプよりも、インクに含まれる固形成分が詰まり難い。さらに、インペラ21回転中に、磁気吸引力を越えない、適度な浮上力を与えることで、回転支持部の耐摩耗性を向上させることができる。
【0038】
ケーシング22の材質は、フッ素樹脂またはポリエーテルエーテルケトンである。これにより、耐溶剤性を備え、さらに、インクタンク8内で温調されたインク温度の低下を抑制することができる。
【0039】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を説明する。図5に、第2実施形態2のインペラの構成を示す。
【0040】
第2実施形態は、第1実施形態の変形例であり、その基本的構成は第1実施形態と同様である。したがって、以下に、第1実施形態とは異なる部分を主に説明し、共通する部分の説明を省略する。
【0041】
本実施形態では、インペラ21は、底部31に複数の穴51を有している。インペラ21の回転数を大きくしても、回転時に発生するインペラ21の浮上力を抑制することができる。これにより、脱調するまでの回転数を大きくすることができるため、流量や揚程を大きくすることができる。
【0042】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態を説明する。図6に、第3実施形態の循環式インクジェット装置の構成を示す。
【0043】
第3実施形態は、第1実施形態の変形例であり、その基本的構成は第1実施形態と同様である。したがって、以下に、第1実施形態とは異なる部分を主に説明し、共通する部分の説明を省略する。
【0044】
循環式インクジェット装置は、第1インクタンク61、第2インクタンク62およびタンク間循環用ポンプ63を備えている。第1インクタンク61から第1ポンプ2にインクが引き出され、第2ポンプ3から第2インクタンク62にインクが送り込まれる。タンク間循環用ポンプ63により、第2インクタンクから第1インクタンクにインクが送り込まれる。
【0045】
タンク間循環用ポンプ63には、ダイヤフラムポンプを用いているが、遠心渦巻きポンプやチューブポンプであってもよい。
【0046】
また、図7に示すように、複数のインクジェットヘッド7a〜7cを備えたものであってもよい。この場合、搭載するインクジェットヘッド7の個数に合わせて、第1ポンプ2a〜2c、第2ポンプ3a〜3c、第1圧力センサ4a〜4c、第2圧力センサ5a〜5cおよびポンプ制御システム6a〜6cを備える。
【0047】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態を説明する。図8に、第4実施形態の循環式インクジェット装置の構成を示す。第4実施形態は、第3実施形態の変形例であり、その基本的構成は第3実施形態と同様である。したがって、以下に、第3実施形態とは異なる部分を主に説明し、共通する部分の説明を省略する。
【0048】
本実施形態の循環式インクジェット装置は、第1インクタンク61と、第2インクタンク62と、タンク間循環用ポンプ63とを備える。
【0049】
第1インクタンク61は、第1ポンプ2によりインクジェットヘッド7の入口に送り込まれるインクを貯蔵している。また、第2インクタンク62は、第2ポンプ3によりインクジェットヘッド7の出口から引き出されるインクを貯蔵している。タンク間循環用ポンプ63は、第2インクタンク62内のインクを第1インクタンク61に送り込む圧力を発生させるポンプである。
【0050】
本実施形態の循環式インクジェット装置では、第1インクタンク61と第2インクタンク62間に水頭差Hが設けられている。水頭差とは、第1インクタンク61におけるインクの液面レベルと第2インクタンク62におけるインクの液面レベルの鉛直方向の高さの差(図8中にて符号Hを付す矢印にて示す。)である。言い換えると、第1インクタンク内に貯蔵されたインクの液面が、第2インクタンク62内に貯蔵されたインクの液面よりも鉛直方向において高い位置になるように、第1インクタンク61および第2インクタンク62が配置されている。これにより、インクジェットヘッド7内に差圧が発生し、インク循環を補助するので、第1ポンプ2および第2ポンプ3のポンプ容量を小さくすることができる。
【0051】
また、第1インクタンク61および第2インクタンク62のいずれか一方、あるいは両方を密閉しても良い。タンク間循環用ポンプ63により、密閉した第1インクタンク61内を正圧、あるいは、第2インクタンク62内を負圧にすることで、インク循環を補助することができる。
【0052】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態を説明する。図9に、第5実施形態の循環式インクジェット装置の構成を示す。第5実施形態は、第3実施形態の変形例であり、その基本的構成は第3実施形態と同様である。したがって、以下に、第3実施形態とは異なる部分を主に説明し、共通する部分の説明を省略する。
【0053】
循環式インクジェット装置は、第1インクタンク61、第2インクタンク62、第1圧力調整装置71、第2圧力調整装置72、および、インクタンク内圧力制御システム73を備えている。第1圧力調整装置71は、第1インクタンク61内の圧力を調整する装置である。第2圧力調整装置72は、第2インクタンク62内の圧力を調整する装置である。第1圧力調整装置71により圧力調整された第1インクタンク61から第1ポンプ2にインクが送り込まれ、第2ポンプ3から第2圧力調整装置72により圧力調整された第2インクタンク62にインクが引き出される。本実施形態では、インクタンク内圧力制御システム73によって、第1インクタンク61内の圧力が第2インクタンク62内の圧力よりも高くなるよう制御されている。具体的には、第1インクタンク61内は正圧に、第2インクタンク62内は負圧に制御されている。
【0054】
第1圧力調整装置71を備えた第1インクタンク61、および、第2圧力調整装置72を備えた第2インクタンク62を設置することにより、固形成分を含む高粘度インクを一定流量速で循環させる場合でも、第1ポンプ2および第2ポンプ3のポンプ容量を小さくすることができる。また、インクジェットヘッド近傍に、大容量の第1ポンプ2および第2ポンプ3を設置するスペースがない場合に有利である。
【0055】
インクジェットヘッド7内の圧力制御は、第1ポンプ2および第2ポンプ3で行うため、第1圧力調整装置71および第2圧力調整装置72は、固形成分の凝集や沈降が起こらない循環流量を得るための、圧力調整を行えば良い。
【0056】
また、第1圧力調整装置71を備えた第1インクタンク61、および、第2圧力調整装置72を備えた第2インクタンク62をインクジェットヘッド7から50cm以上離れて設置することにより、インク攪拌によって、第1インクタンク61および第2インクタンク62内に発生する液面変動が、インクジェットヘッド7内の圧力変動に与える影響を抑制することができる。
【0057】
さらに、第1圧力調整装置71を備えた第1インクタンク61と第2圧力調整装置72を備えた第2インクタンク62を近づけて設置することで、タンク間循環用ポンプ63のポンプ容量を小さくできるので、インクジェットヘッド7内の圧力変動を抑制することができる。
【0058】
なお、第1圧力調整装置71を備えた第1インクタンク61、および、第2圧力調整装置72を備えた第2インクタンク62の液面変動が小さい場合は、インクタンク内圧力制御システム73の設置を省略しても良い。
【0059】
また、図10に示すように、複数のインクジェットヘッド7a〜7cを備えたものであってもよい。この場合、搭載するインクジェットヘッド7の個数に合わせて、第1ポンプ2a〜2c、第2ポンプ3a〜3c、第1圧力センサ4a〜4c、第2圧力センサ5a〜5cおよびポンプ制御システム6a〜6cを備える。
【0060】
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態を説明する。図11に、第6実施形態の循環式インクジェット装置の構成を示す。第6実施形態は、第5実施形態の変形例であり、その基本的構成は第5実施形態と同様である。したがって、以下に、第5実施形態とは異なる部分を主に説明し、共通する部分の説明を省略する。
【0061】
循環式インクジェット装置は、複数のインクジェットヘッド7a〜7dを備えている。第1ポンプ2からインクジェットヘッド7a〜7dにインクが送り込まれ、インクジェットヘッド7a〜7dから第2ポンプ3にインクが引き出される。インクをインクジェットヘッド7a〜7dに均一に分流することで、インクジェットヘッド7a〜7dのいずれかに、第1圧力センサ4、第2圧力センサ5およびポンプ制御システム6を備える構成にできる。これにより、第1ポンプ2、第2ポンプ3、第1圧力センサ4および第2圧力センサ5の搭載数を、インクジェットヘッド7の個数よりも少なくすることができる。
【0062】
また、第1圧力調整装置71を備えた第1インクタンク61、および、第2圧力調整装置72を備えた第2インクタンク62を設置しているので、複数のインクジェットヘッド7a〜7dにインクを循環させる場合でも、第1ポンプ2および第2ポンプ3のポンプ容量を小さくすることができる。
【0063】
均一に分流するためには、第1ポンプ2からインクジェットヘッド7a〜7d、およびインクジェットヘッド7a〜7dから第2ポンプ3までの配管長が同じであることが望ましいが、メニスカス圧力のマージンを保持できる範囲内で、配管長が異なっても良い。
【0064】
なお、1組の第1ポンプ2および第2ポンプ3に対して、搭載できるインクジェットヘッド7の個数は、インク中の固形成分の凝集や沈降が起こらず、且つ、インク循環時およびインクジェットヘッド7の駆動時(インク吐出時)にヘッド圧力の変動が起こらないような循環流量が得られる範囲で、自由に選択することができる。また、インクジェットヘッド7を多数並べて、ラインヘッドにする場合は、第1ポンプ2および第2ポンプ3の組数を増やして設置すれば良い。
【0065】
〔第7実施形態〕
次に、本発明の第7実施形態を説明する。図12に、第7実施形態の循環式インクジェット装置の構成を示す。第7実施形態は、第5実施形態の変形例であり、その基本的構成は第5実施形態と同様である。したがって、以下に、第5実施形態とは異なる部分を主に説明し、共通する部分の説明を省略する。
【0066】
循環式インクジェット装置は、複数のインクジェットヘッド7a〜7c、第1ポンプ2a〜2c、第2ポンプ3a〜3c、第1圧力センサ4a〜4c、第2圧力センサ5a〜5c、ポンプ制御システム6a〜6c、インク供給管81a〜81c、および、インク回収管82a〜82cを備える。インク供給管81a〜81cは、第1インクタンク61に設置されている。インク回収管82a〜82cは、第2インクタンク62に設置されている。
【0067】
1つのインク供給管81から第1ポンプ2a〜2cに分流させ、また、第2ポンプ3a〜3cから1つのインク回収管に合流させると、固形成分を含む高粘度のインクを循環する場合などは、圧力損失が大きくなる。インク供給管81a〜81c、および、インク回収管82a〜82cを設置することで、圧力損失を低減することができる。
【0068】
〔第8実施形態〕
次に、本発明の第8実施形態を説明する。図13に、第8実施形態の循環式インクジェット装置の構成を示す。
【0069】
第8実施形態は、第3実施形態の変形例であり、その基本的構成は第3実施形態と同様である。したがって、以下に、第3実施形態とは異なる部分を主に説明し、共通する部分の説明を省略する。
【0070】
本実施形態の循環式インクジェット装置は、第3インクタンク91と、第4インクタンク92と、第2圧力調整装置72とを備える。
【0071】
第3インクタンク91は、第1ポンプ2を備え、第1ポンプ2によりインクジェットヘッド7の入口に送り込まれるインクを貯蔵している。また、第4インクタンク92は、第2ポンプ3を備え、インクジェットヘッド7の出口から引き出されるインクを貯蔵している。第2圧力調整装置72は、インクジェットヘッド7の出口から第4インクタンク92にインクを引き出す圧力を発生させる装置である。
【0072】
第3インクタンク91から第1ポンプ2にインクが引き出され、第1ポンプ2からインクジェットヘッド7の入口にインクが送り込まれる。また、インクジェットヘッド7の出口から、第2圧力調整装置72により圧力調整された第4インクタンク92にインクが引き出される。さらに、第4インクタンク92から第2ポンプ3にインクが引き出され、第2ポンプ3から第3インクタンク91にインクが送り込まれる。
【0073】
図14は、第3インクタンク91および第4インクタンク92の構成を説明するための図である。本実施形態では、第3インクタンク91および第4インクタンク92は同じ構成である。なお、第3インクタンク91および第4インクタンク92は、異なる構成としてもよい。
【0074】
第1ポンプ2および第2ポンプ3は、第3インクタンク91および第4インクタンク92の外側に配置された、駆動部(たとえば、モータ)27と駆動羽根28によって、非接触状態でインペラ21に回転力を付与される。インペラ21の回転によってインクに遠心力が与えられ、インク吸入口41および気泡抜き口23からインクが流入し、インク吐出口24からインクが流出する。
【0075】
インク吸入口41および気泡抜き口23は、常に第3インクタンク91および第4インクタンク92内のインク中にあるので、ポンプ内に気泡が混入することがなく、ポンプ性能の低下を防ぐことができる。
【0076】
また、第1ポンプ2および第2ポンプ3のインペラ21の回転により、第3インクタンク91および第4インクタンク92内のインクを攪拌することができる。
【0077】
〔第9実施形態〕
次に、本発明の第9実施形態を説明する。図15に、第9実施形態の循環式インクジェット装置の構成を示す。
【0078】
第9実施形態は、第8実施形態の変形例であり、その基本的構成は第8実施形態と同様である。したがって、以下に、第8実施形態とは異なる部分を主に説明し、共通する部分の説明を省略する。
【0079】
本実施形態の循環式インクジェット装置は、第2インクタンク62およびタンク間循環用ポンプ63を備える。
【0080】
第2インクタンク62は、第2ポンプ3により第4インクタンク92から引き出されるインクを貯蔵している。タンク間循環用ポンプ63は、第2インクタンク62内のインクを第3インクタンク91に送り込む圧力を発生させるポンプである。
【0081】
第3インクタンク91から第1ポンプ2にインクが引き出され、第1ポンプ2からインクジェットヘッド7のインク入口にインクが送り込まれる。インクジェットヘッド7のインク出口から、第2圧力調整装置72により圧力調整された第4インクタンク92にインクが引き出される。さらに、第4インクタンク92から第2ポンプ3にインクが引き出され、第2ポンプ3から第2インクタンク62にインクが送り込まれる。タンク間循環用ポンプ63により、第2インクタンク62から第3インクタンク91にインクが送り込まれる。
【0082】
第2インクタンク62を設置することで、第2ポンプ3からインクを送り込むための配管長を短くすることができる。さらに、タンク間循環用ポンプ63を設置することで、インク循環を補助することができるので、第2ポンプ3の容量を小さくすることができる。
【0083】
また、図16に示すように、複数のインクジェットヘッド7a〜7cを備えたものであってもよい。この場合、搭載するインクジェットヘッド7の個数に合わせて、第1ポンプ2a〜2c、第2ポンプ3a〜3c、第1圧力センサ4a〜4c、第2圧力センサ5a〜5cおよびポンプ制御システム6a〜6cを備える。
【0084】
〔第10実施形態〕
次に、本発明の第10実施形態を説明する。図17に、第10実施形態の循環式インクジェット装置の構成を示す。
【0085】
第10実施形態は、第9実施形態の変形例であり、その基本的構成は第9実施形態と同様である。したがって、以下に、第9実施形態とは異なる部分を主に説明し、共通する部分の説明を省略する。
【0086】
本実施形態の循環式インクジェット装置は、第2圧力調整装置72a、72b、および、インクタンク内圧力制御システム73を備える。
【0087】
第2圧力調整装置72aは、第4インクタンク92内の圧力を調整する装置である。第2圧力調整装置72bは、第2インクタンク62内の圧力を調整する装置である。本実施形態では、第4インクタンク92および第2インクタンク62内の圧力は、ともに負圧に制御されている。さらに、インクタンク内圧力制御システム73によって、第4インクタンク92内の圧力が第2インクタンク62内の圧力よりも高くなるように制御されている。
【0088】
第3インクタンク91から第1ポンプ2にインクが引き出され、第1ポンプ2からインクジェットヘッド7のインク入口にインクが送り込まれる。インクジェットヘッド7のインク出口から、第2圧力調整装置72aにより圧力調整された第4インクタンク92にインクが引き出される。さらに、第4インクタンク92から第2ポンプ3にインクが引き出され、第2ポンプ3から第2圧力調整装置72bにより圧力調整された第2インクタンク62にインクが送り込まれる。タンク間循環用ポンプ63により、第2インクタンク62から第3インクタンク91にインクが送り込まれる。
【0089】
第2圧力調整装置72bにより、第2インクタンク62内を負圧にすることで、インク循環を補助することができるので、第2ポンプ3の容量を小さくすることができる。
【0090】
また、本実施形態の循環式インクジェット装置は、図18に示すように、複数のインクジェットヘッド7a〜7cを備えたものであってもよい。この場合、循環式インクジェット装置は、搭載するインクジェットヘッド7の個数に合わせて、第1ポンプ2a〜2c、第2ポンプ3a〜3c、第1圧力センサ4a〜4c、第2圧力センサ5a〜5cおよびポンプ制御システム6a〜6cを備える。
【0091】
〔第11実施形態〕
次に、本発明の第11実施形態を説明する。図19に、第11実施形態の循環式インクジェット装置の構成を示す。
【0092】
第11実施形態は、第10実施形態の変形例であり、その基本的構成は第10実施形態と同様である。したがって、以下に、第10実施形態とは異なる部分を主に説明し、共通する部分の説明を省略する。
【0093】
本実施形態の循環式インクジェット装置は、第1インクタンク61および第1圧力調整装置71を備える。
【0094】
第1インクタンク61は、タンク間循環ポンプ63により第2インクタンク62から引き出されるインクを貯蔵している。第1圧力調整装置71は、第1インクタンク61から第3インクタンク91にインクを送り込む圧力を発生させる装置である。本実施形態では、インクタンク内圧力制御システム73によって、第1インクタンク61内の圧力が第2インクタンク62内の圧力よりも高くなるよう制御されている。具体的には、第1インクタンク61内は正圧に、第2インクタンク62内は負圧に制御されている。
【0095】
第1圧力調整装置71により圧力調整された第1インクタンク61から第3インクタンク91にインクが送り込まれる。第3インクタンク91から第1ポンプ2にインクが引き出され、第1ポンプ2からインクジェットヘッド7のインク入口にインクが送り込まれる。インクジェットヘッド7のインク出口から、第2圧力調整装置72aにより圧力調整された第4インクタンク92にインクが引き出される。さらに、第4インクタンク92から第2ポンプ3にインクが引き出され、第2ポンプ3から第2圧力調整装置72bにより圧力調整された第2インクタンク62にインクが送り込まれる。タンク間循環用ポンプ63により、第2インクタンク62から第1インクタンク61にインクが送り込まれる。
【0096】
第1圧力調整装置71により、第1インクタンク61内を正圧にすることで、インク循環を補助することができる。
【0097】
〔第12実施形態〕
次に、本発明の第12実施形態を説明する。図20に、第12実施形態の循環式インクジェット装置の構成を示す。第12実施形態は、第11実施形態の変形例であり、その基本的構成は第11実施形態と同様である。したがって、以下に、第11実施形態とは異なる部分を主に説明し、共通する部分の説明を省略する。
【0098】
循環式インクジェット装置は、複数のインクジェットヘッド7a〜7dを備えている。
【0099】
第3インクタンク91から第1ポンプ2にインクが引き出され、第1ポンプ2からインクジェットヘッド7a〜7dの入口にインクが送り込まれる。また、インクジェットヘッド7a〜7dの出口から、第2圧力調整装置72により圧力調整された第4インクタンク92にインクが引き出される。さらに、第4インクタンク92から第2ポンプ3にインクが引き出され、第2ポンプ3から第2インクタンク62にインクが送り込まれる。
【0100】
インクをインクジェットヘッド7a〜7dに均一に分流することで、インクジェットヘッド7a〜7dのいずれかに、第1圧力センサ4、第2圧力センサ5およびポンプ制御システム6を備える構成にできる。これにより、第1ポンプ2、第2ポンプ3、第1圧力センサ4および第2圧力センサ5の搭載数を、インクジェットヘッド7の個数よりも少なくすることができる。
【0101】
均一に分流するためには、第1ポンプ2からインクジェットヘッド7a〜7d、およびインクジェットヘッド7a〜7dから第4インクタンク92までの配管長が同じであることが望ましいが、メニスカス圧力のマージンを保持できる範囲内で、配管長が異なっても良い。
【0102】
なお、1組の第1ポンプ2および第2ポンプ3に対して、搭載できるインクジェットヘッド7の個数は、インク中の固形成分の凝集や沈降が起こらず、且つ、インク循環時およびインクジェットヘッド7の駆動時(インク吐出時)にヘッド圧力の変動が起こらないような循環流量が得られる範囲で、自由に選択することができる。また、インクジェットヘッド7を多数並べて、ラインヘッドにする場合は、第1ポンプ2および第2ポンプ3の組数を増やして設置すれば良い。
【0103】
〔その他の実施形態〕
第1〜第11実施形態では、インペラ21の材質はポリエーテルエーテルケトンであり、ケーシング22の材質はフッ素樹脂またはポリエーテルエーテルケトンであったが、耐溶剤性および耐摩耗性を備えた樹脂、ステンレス鋼やアルミなどの金属、アルミナなどのセラミックであっても良い。特に、金属やセラミックは、樹脂と比較して熱伝導率が大きいので、第1ポンプ2および第2ポンプ3が、それぞれ第3インクタンク91および第4インクタンク92内の、温調されたインク中にある場合は、ポンプ内のインク温度の低下を抑制できる効果がある。
【0104】
〔実施形態の特徴〕
上記実施形態において特徴的な部分を以下に列記する。なお、上記実施形態に含まれる発明は、以下に限定されるものではない。なお、各構成の後ろに括弧で記載したものは、特徴の理解を助けるために記載した、各構成の具体例である。各構成はこれらの具体例に限定されるものではない。また、各特徴について記載された効果を得るためは、記載された特徴以外の構成は変形または削除されてもよい。
【0105】
[F1]
循環式インクジェット装置は、
インクの入口(インク入口、インク吸入口41)と、前記インクの出口(インク出口、インク吐出口24)と、前記インクを微少量ずつ吐出し可能なノズル部と、を有するインクジェットヘッド(7)と、
前記入口に前記インクを送り込む圧力を発生する第1ポンプ(2)と、
前記出口から前記インクを引き出す圧力を発生する第2ポンプ(3)と、
前記第1ポンプ、前記インクジェットヘッド、および、前記第2ポンプをこの順に通って前記インクが循環する経路を形成する流路部(チューブ12)と、
前記入口に送り込まれる前記インクの圧力を測定する第1圧力センサ(4)と、
前記出口から引き出される前記インクの圧力を測定する第2圧力センサ(5)と、を備える。
【0106】
これにより、種々のインクを、高精度かつ安定的に吐出可能な循環式インクジェット装置を提供することができる。
【0107】
[F2]
F1に記載の循環式インクジェット装置であって、
前記第1圧力センサによる測定結果および前記第2圧力センサによる測定結果に基づき、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプの動作を制御する制御部(ポンプ制御システム6)をさらに備える。
【0108】
これにより、F1の効果をより大きくすることができる。
【0109】
[F3]
循環式インクジェット装置であって、
インクの入口(インク入口、インク吸入口41)と、前記インクの出口(インク出口、インク吐出口24)と、前記インクを微少量ずつ吐出し可能なノズル部と、を有するインクジェットヘッド(7)と、
前記入口に前記インクを送り込む圧力を発生するポンプ(第1ポンプ2)と、
前記インクジェットヘッドおよび前記ポンプを通って前記インクが循環する流路を形成する流路部(チューブ12)と、を備え、
前記ポンプは、前記インクの中で回転可能な遠心式のインペラ(21)と、前記インペラと非接触状態で前記インクの外から前記インペラに回転力を付与する駆動部(27)と、を備える。
【0110】
これにより、インクの脈動を抑制しつつ、インクに含まれる固形成分が詰まるのを抑制できる。
【0111】
[F4]
F3に記載の循環式インクジェット装置であって、前記インペラ(21)は、底部(31)の外径が羽根部の外径よりも小さい。これにより、回転時に発生するインペラの浮上力を抑制することができる。
【0112】
[F5]
F3に記載の循環式インクジェット装置であって、前記インペラ(21)は、底部(31)に複数の貫通穴(穴51)をさらに有する。これにより、回転時に発生するインペラの浮上力を抑制することができる。
【0113】
[F6]
F3に記載の循環式インクジェット装置であって、前記ポンプは、前記インペラの回転中心を含む領域から前記ポンプの外部まで貫通する通気口(気泡抜き口23)をさらに有する。これにより、ポンプ内に気泡が混入して、ポンプ性能が低下するのを抑制することができる。
【0114】
[F7]
F6に記載の循環式インクジェット装置であって、前記気泡抜き口は、前記通気口を通って前記ポンプの外部まで気泡を吸引する気泡吸引装置(13)をさらに有する。これにより、F6の効果をさらに大きくすることができる。
【0115】
[F8]
F1に記載の循環式インクジェット装置であって、
前記第1ポンプにより前記インクジェットヘッドの入口に送り込まれるインクを貯蔵する第1インクタンク(61)と、
前記第2ポンプにより前記インクジェットヘッドの出口から引き出されるインクを貯蔵する第2インクタンク(62)と、をさらに備え、
前記第1インクタンクは、当該第1インクタンクに貯蔵されたインクの液面が前記第2インクタンクに貯蔵されたインクの液面よりも鉛直方向において高い位置になるよう配置されている。これにより、インクジェットヘッド7内に差圧が発生し、インク循環を補助するので、第1ポンプ2および第2ポンプ3のポンプ容量を小さくすることができる。
【0116】
[F9]
F1に記載の循環式インクジェット装置であって、
前記第1ポンプにより前記インクジェットヘッドの入り口に送り込まれるインクを貯蔵する第1インクタンクと、
前記第2ポンプにより前記インクジェットヘッドの出口から引き出されるインクを貯蔵する第2インクタンクと、
前記第1インクタンク内の圧力を調整する第1圧力調整部(第1圧力調整装置71)と、
前記第2インクタンク内の圧力を調整する第2圧力調整部(第2圧力調整装置72)と、
前記第1インクタンク内の圧力が前記第2インクタンク内の圧力よりも高くなるよう前記第1および第2圧力調整部を制御する圧力制御部(インクタンク内圧力制御システム73)と、をさらに備える。
【0117】
これにより、固形成分を含む高粘度インクを一定流速で循環させる場合でも、第1ポンプ2および第2ポンプ3のポンプ容量を小さくすることができる。また、インクジェットヘッド近傍に、大容量の第1ポンプ2および第2ポンプ3を設置するスペースがない場合に有利である。
【0118】
[F10]
F9に記載の循環式インクジェット装置であって、前記圧力制御部は、前記第1インクタンク内の圧力を正圧に、前記第2インクタンク内の圧力を負圧になるよう前記第1および第2圧力調整部を制御する。これにより、F9の効果をさらに高めることができる。
【0119】
[F11]
F1に記載の循環式インクジェット装置であって、
前記第1ポンプ(2)を備え、前記第1ポンプ(2)により前記インクジェットヘッド(7)の入口に送り込まれるインクを貯蔵する第3インクタンク(91)と、
前記第2ポンプ(3)を備え、前記第2圧力調整部(72)により前記インクジェットヘッド(7)の出口から引き出されるインクを貯蔵する第4インクタンク(92)と、をさらに備える。
これにより、第1ポンプ(2)および第2ポンプ(3)のインク吸入口(41)および気泡抜き口(23)は、常に第3インクタンク(91)および第4インクタンク(92)内のインク中にあるので、ポンプ内に気泡が混入することがなく、ポンプ性能の低下を防ぐことができる。また、第1ポンプ(2)および第2ポンプ(3)のインペラ(21の)回転により、第3インクタンク(91)および第4インクタンク(92)内のインクを攪拌することができる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
ここに開示された循環式インクジェット装置は、各種の印刷に利用可能である。特に、固形成分が含まれるインクを用いた印刷に利用可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 循環式インクジェット装置
2 第1ポンプ
3 第2ポンプ
4 第1圧力センサ
5 第2圧力センサ
6 ポンプ制御システム
7 インクジェットヘッド
8 インクタンク
9 攪拌装置
10 液面センサ
11 温度センサ
12 チューブ
13 気泡吸引装置
21 インペラ
22 ケーシング
23 気泡抜き口
24 インク吐出口
25 永久磁石
26 ボール
27 駆動部(モータ)
28 円板
31 底部
41 インク吸入口
51 穴
61 第1インクタンク
62 第2インクタンク
63 タンク間循環用ポンプ
71 第1圧力調整装置
72 第2圧力調整装置
73 インクタンク内圧力制御システム
81 インク供給管
82 インク回収管
91 第3インクタンク
92 第4インクタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクの入口と、前記インクの出口と、前記インクを微少量ずつ吐出し可能なノズル部と、を有するインクジェットヘッドと、
前記入口に前記インクを送り込む圧力を発生する第1ポンプと、
前記出口から前記インクを引き出す圧力を発生する第2ポンプと、
前記第1ポンプ、前記インクジェットヘッド、および、前記第2ポンプをこの順に通って前記インクが循環する経路を形成する流路部と、
前記入口に送り込まれる前記インクの圧力を測定する第1圧力センサと、
前記出口から引き出される前記インクの圧力を測定する第2圧力センサと、
を備える循環式インクジェット装置。
【請求項2】
前記第1圧力センサによる測定結果および前記第2圧力センサによる測定結果に基づき、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプの動作を制御する制御部をさらに備える、
請求項1に記載の循環式インクジェット装置。
【請求項3】
インクの入口と、前記インクの出口と、前記インクを微少量ずつ吐出し可能なノズル部と、を有するインクジェットヘッドと、
前記入口に前記インクを送り込む圧力を発生するポンプと、
前記インクジェットヘッドおよび前記ポンプを通って前記インクが循環する流路を形成する流路部と、を備え、
前記ポンプは、前記インクの中で回転可能な遠心式のインペラと、前記インペラと非接触状態で前記インクの外から前記インペラに回転力を付与する駆動部と、
を備える循環式インクジェット装置。
【請求項4】
前記インペラは、底部の外径が羽根部の外径よりも小さい、
請求項3に記載の循環式インクジェット装置。
【請求項5】
前記インペラは、底部に複数の貫通穴をさらに有する
請求項3に記載の循環式インクジェット装置。
【請求項6】
前記ポンプは、前記インペラの回転中心を含む領域から前記ポンプの外部まで貫通する通気口をさらに有する、
請求項3に記載の循環式インクジェット装置。
【請求項7】
前記気泡抜き口は、前記通気口を通って前記ポンプの外部まで気泡を吸引する気泡吸引装置をさらに有する、
請求項6に記載の循環式インクジェット装置。
【請求項8】
前記第1ポンプにより前記インクジェットヘッドの入口に送り込まれるインクを貯蔵する第1インクタンクと、
前記第2ポンプにより前記インクジェットヘッドの出口から引き出されるインクを貯蔵する第2インクタンクと、をさらに備え、
前記第1インクタンクは、当該第1インクタンクに貯蔵されたインクの液面が前記第2インクタンクに貯蔵されたインクの液面よりも鉛直方向において高い位置になるよう配置されている、
請求項1に記載の循環式インクジェット装置。
【請求項9】
前記第1ポンプにより前記インクジェットヘッドの入り口に送り込まれるインクを貯蔵する第1インクタンクと、
前記第2ポンプにより前記インクジェットヘッドの出口から引き出されるインクを貯蔵する第2インクタンクと、
前記第1インクタンク内の圧力を調整する第1圧力調整部と、
前記第2インクタンク内の圧力を調整する第2圧力調整部と、
前記第1インクタンク内の圧力が前記第2インクタンク内の圧力よりも高くなるよう前記第1および第2圧力調整部を制御する圧力制御部と、をさらに備える
請求項1に記載の循環式インクジェット装置。
【請求項10】
前記圧力制御部は、
前記第1インクタンク内の圧力を正圧に、前記第2インクタンク内の圧力を負圧になるよう前記第1および第2圧力調整部を制御する、
請求項9に記載の循環式インクジェット装置。
【請求項11】
前記第1ポンプを備え、前記第1ポンプにより前記インクジェットヘッドの入口に送り込まれるインクを貯蔵する第3インクタンクと、
前記第2ポンプを備え、前記第2圧力調整部により前記インクジェットヘッドの出口から引き出されるインクを貯蔵する第4インクタンクと、をさらに備えた、
請求項1に記載の循環式インクジェット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−96524(P2012−96524A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69228(P2011−69228)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】