説明

微粒子計測装置

【課題】微量で微小な浮遊微粒子を効率よく高感度で計測可能とする。
【解決手段】本発明の微粒子計測装置は、計測エリア内を浮遊する微粒子を導入する経路を備え、かつ上記経路内に多孔体からなる微粒子トラップフィルタを配置してなる微粒子トラップ処理手段と、上記微粒子トラップフィルタ上の所定小エリアに上記微粒子を集積させる微粒子集積手段と、上記所定小エリアに集積した微粒子に分光感度を増感させる増感材を添加処理する増感処理手段と、上記分光感度を増感された微粒子に対して所要の分光を行う分光処理手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊微粒子を計測する微粒子計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浮遊微粒子として例えばCNTは、炭素原子が六角形に配置されたグラフェンシートを筒状に巻いた形状で長さ方向にほぼ一様な直径形状をなし、長さと直径との比であるアスペクト比が大きく直径が微細であり、機械的強度が高く、半導体にも金属にもなるなどにより、半導体材料、導電材料、電界電子放出源、強度増強材料等、各種用途に用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
このようなCNTに限らず、nmオーダーの微粒子は、その微細さから、例えばその製造工程等では人体への粉塵曝露に対して安全対策を施すことが好ましいとされる。しかし、上記微粒子は、微細でかつ微量に存在するものであることから、空中や液中等を浮遊している状態では、高効率でかつ高感度で、そのうえ、その種類や形態、その浮遊状態に適宜に合わせて計測することができる装置の実現は困難とされている。
【特許文献1】特開2001−303250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、浮遊状態の微粒子を、微粒子の種類に依存することなく、また、微粒子の形態によらず、高効率、高感度で計測することが可能な微粒子計測装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明第1にかかる微粒子計測装置は、計測エリア内を浮遊する微粒子を導入する経路を備え、かつ上記経路内に多孔体からなる微粒子トラップフィルタを配置してなる微粒子トラップ処理手段と、上記微粒子トラップフィルタ上の微粒子に分光感度を増感させる増感材を添加処理する増感処理手段と、上記分光感度を増感された微粒子に対して所要の分光処理を行う分光処理手段と、を含むことを特徴とするものである。
【0006】
本発明第2にかかる微粒子計測装置は、計測エリア内を浮遊する微粒子を導入する経路を備え、かつ上記経路内に多孔体からなる微粒子トラップフィルタを配置してなる微粒子トラップ処理手段と、上記微粒子トラップフィルタ上の所定小エリアに上記微粒子を集積させる微粒子集積手段と、上記所定小エリアに集積した微粒子に分光感度を増感させる増感材を添加処理する増感処理手段と、上記分光感度を増感された微粒子に対して所要の分光処理を行う分光処理手段と、を含むことを特徴とするものである。
【0007】
本発明第1、第2は、微粒子の浮遊形態には限定されず、その浮遊場所は、気中、液中を問わない。
【0008】
本発明第1、第2は、微粒子の種類にはなんら限定されない。微粒子の一例としては、例えば、気中、液中に浮遊する炭素系微粒子、有機物含有微粒子、無機物からなる微粒子を例示することができる。炭素系微粒子には例えばCNTがある。
【0009】
上記多孔体は、特に限定しないが、高分子樹脂製やセラミック製の多孔体が好適に使用され、より好ましくは樹脂、アルミナ、シリカゲル、および多孔質(ポーラス)ガラスなどの多孔体が使用される。特に、多孔質ガラスは、種々の形状に成形が容易であり、細孔径がほぼ均一であるという利点があり、上記所定経路内に着脱可能に装着させる場合に形状の成形容易性を活用できるうえ、細孔径が均一であるから、微粒子のトラップ制御には好適である。
【0010】
上記微粒子集積処理手段は、特に限定しないが、例えば微粒子を溶媒表面に再分散させ、溶媒を蒸発させる際による微粒子の再凝集の効果や、さらには、溶媒中に浮遊している微粒子を光放射圧の作用や、基板上において、基板の凹凸、親和性により液滴を集積させることにより、微粒子の濃縮を助長させることなどが有効である。
【0011】
上記微粒子集積処理手段により、微粒子を所定小エリアに集積させた場合では、微粒子濃度が大きくなり、微粒子計測に好ましい。また、上記集積した微粒子に増感処理し、増感処理した微粒子を分光的手段で分光して計測するので、浮遊微粒子が微量であっても、その微量の微粒子を効率的に計測することができる。
【0012】
上記増感処理手段は、特に限定しないが、例えば増感材を含む溶媒を添加して微粒子の分光感度を増強させる手段で構成することができる。
【0013】
上記増感処理手段は、例えば分光感度を増強させる増感材として金属ナノ粒子を含む溶媒を添加すると共に、この金属ナノ粒子に光照射して、該金属ナノ粒子に表面プラズモン共鳴を起こさせることで、該サンプル上の微粒子における散乱光強度を表面増強させる手段で構成することができる。
【0014】
上記分光処理手段は、特に限定しないが、例えば、分光による吸収ピーク、反射ピーク、蛍光ピーク、散乱ピークのいずれかを計測処理することができるものであり、これらにより微粒子の構成成分を同定することができるものであればよい。
【0015】
本発明第1では、微粒子をトラップ処理手段でトラップし、そのトラップしたサンプル上の微粒子を、増感処理手段で増感させたうえで、分光処理するから、浮遊微粒子をその量が微量であっても高い計測効率で計測することが可能となる。
【0016】
本発明第2では、微粒子をトラップ処理手段でトラップし、そのトラップしたサンプル上の微粒子を微粒子集積処理手段で所定小エリアに集積させ、さらに、増感処理手段で増感させたうえで、分光処理するから、浮遊微粒子をその量が微量であっても高い計測効率で計測することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、浮遊微粒子が微量でもそれを正確にかつ高感度で計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る微粒子計測装置を詳細に説明する。実施の形態では各微粒子のうちCNTを計測対象としているが、微粒子はこのCNTに限定されない。また、分光形態もラマン分光に適用して説明するが、分光はラマン分光に限定されない。
【0019】
図1は、同微粒子計測装置が有する処理手段を示す。この微粒子計測装置は、図1で示すように、CNT等の微粒子をトラップする微粒子トラップ処理手段と、上記微粒子トラップ処理手段がトラップした微粒子を一定小エリアに集積する微粒子集積処理手段と、上記微粒子集積処理手段が集積した微粒子にラマン分光感度を増感させるラマン増感材である金属ナノ微粒子を添加するラマン増感処理手段と、上記ラマン増感処理手段でラマン分光感度が増感した微粒子に対してラマン分光を行うことにより微粒子浮遊量を定量計測するラマン分光処理手段と、を含む。
【0020】
図2を参照して、上記微粒子トラップ処理手段を説明すると、1は微粒子トラップ処理手段としてのトラップ装置である。このトラップ装置1は、計測エリア3内の適所に配置され、その計測エリア3内に浮遊するCNT9aをトラップ(捕集ないし捕獲)するものである。計測エリア3は例えばCNT9aを扱う作業者等が居るクリーン環境とされたエリアであり、その計測エリア3内には上記作業等によりCNT9aが主に浮遊していると仮定する。また、CNT9a以外にも各種の微粒子9bが浮遊していると仮定する。
【0021】
トラップ装置1は、CNT9aや各種の微粒子9bをトラップするために、少なくとも、円筒状のフィルタケース5と、トラップフィルタ7とを具備している。フィルタケース5は、ケース上部の円筒状大径部分5aと、ケース下部の円筒状小径部分5bと、大径と小径両部分5a,5bを連成する、下方へ漸次縮径する連成部分5cとを有し、その小径部分5b内部にトラップフィルタ7が着脱可能に装着されている。
【0022】
計測エリア3内に浮遊するCNT9aや他の微粒子9bは、トラップ装置1のフィルタケース5の大径部分5a内に導入されると共にその内部通路を自重落下していき、ケース下部の小径部分5b内に装着しているCNTトラップフィルタ7でトラップされる。
【0023】
トラップフィルタ7の構造を図3を参照して説明する。図3(a)はトラップフィルタ7のSEM写真一部を模式的に示す平面図、図3(b)は図3(a)のA−A線断面図を示す。
【0024】
トラップフィルタ7は、CNT9a等が通過できない孔径の細孔を多数有する多孔体、実施の形態では、多孔質ガラスで構成されている。多孔質ガラスの作製法としては、ガラスの分相による方法、ゾルゲル法による方法、均一微粒子の焼結による方法等がある。図3で示す多孔質ガラスは、ガラスの分相による方法により作製されたものである。
【0025】
図3(a)中、黒色で表示される箇所は細孔部分であり、白色で表示される箇所は多孔質ガラス部分である。この多孔質ガラスの細孔径は6nmないし100nmで分布している。この多孔質ガラスは、SiO2(50−70重量%):B23(20−40重量%):Na2O(5−15重量%)を主成分とする母材ガラス(ホウケイ酸ガラス)をガラス転移点以上、軟化点以下の温度(通常500℃−650℃)で熱処理した後、酸、アルカリによるエッチングを経て作られる。このようにして製造された多孔質ガラスは、石英ガラスのスポンジ構造を有する。このように実施の形態の多孔質ガラスは上記のようにして作られた高ケイ酸タイプの多孔質ガラスである。この多孔質ガラスは多数の細孔を有しており、その細孔径は、上記母材ガラスの組成、分相の熱処理条件、等により制御することができる。
【0026】
トラップ装置1のフィルタケース5は、上部が大径で、下部が小径で、かつ、その小径部分5bにトラップフィルタ7を装着したので、トラップフィルタ7のフィルタ面積は、フィルタケース5上部の大径部分5aの開口面積より小さく、これによりCNT9aや他の微粒子9bをそのフィルタ面にトラップし濃縮することができる。
【0027】
CNT9aや他の微粒子9bは、自重によりCNTトラップフィルタ7のフィルタケース5内に導入されるが、下方から図示略の気流吸い込みポンプで吸い込ませるようにすることで、さらに短時間でCNTトラップフィルタのフィルタケース5内に導入させやすくなる。
【0028】
トラップフィルタ7にはそのフィルタ面全域の広い範囲でCNT9aや他の微粒子9bがトラップされており、そのため、CNT9aや他の微粒子9bをラマン分光により定量するための量として不足することがある。そこで、トラップフィルタ7のフィルタ面上の所定小エリアにCNT9aや他の微粒子9bを集積するため、CNT9aや他の微粒子9bは、図4で示す次の処理手段である微粒子集積処理手段で、トラップフィルタ7のラマン分光処理に適した一定小エリア内に集積される。
【0029】
微粒子集積処理手段を、図4を参照して、説明する。まず、図4(a)で示すように、トラップフィルタ7上には、上記微粒子トラップ処理手段により、そのフィルタ面全域の広い範囲でCNT9aや他の微粒子9bが散在してトラップされている。
【0030】
そして、図4(b)で示すように、トラップフィルタ7上に分散媒の例としてエタノール11を滴下治具13を用いて滴下する。滴下したエタノール11a中に、トラップフィルタ7上のCNT9aや他の微粒子9bを分散させる。
【0031】
次いで、図4(c)で示すように、トラップフィルタ7上のCNT9aや他の微粒子9bに対して光照射15を行い、この光照射15による力学的作用でCNT9aや他の微粒子9bを一定小エリアに集積させる。例えば、本出願人の実験では、CNT9aや他の微粒子9bが直径10mmの円内に散在していたと仮定すると、直径0.1mmの円内にCNT9aや他の微粒子9bを集積して10000倍に濃縮させることができた。この力学的作用は、トラップフィルタ7上のCNT9aや他の微粒子9bに光照射15したときに発生する光放射圧による。この光放射圧の作用方向を操作してCNT9aや他の微粒子9bを図4(d)で示すように一定小エリアに集積させる。この光放射圧によるCNT9aや他の微粒子9bの集積作用を説明すると、まず、トラップフィルタ7上のエタノール溶媒11a中への光照射15でエタノール溶媒11a中を伝播する光が屈折率の異なる媒質であるCNT9aや他の微粒子9b中に侵入する際、屈折により光の進路方向が変化する。この変化がCNT9aや他の微粒子9bには反作用力の光放射圧として働く。この光放射圧が働く方向は、エタノール溶媒11aとCNT9aや他の微粒子9bとの屈折率関係で決まる。この光放射圧制御によりCNT9aや他の微粒子9bを一定小エリアに集積させることができる。
【0032】
一定小エリア内にCNT9aや他の微粒子9bが集積すると、エタノール溶媒11aを図4(e)で示すように気化させる。こうしてトラップフィルタ7の所定小エリア上にCNT9aや他の微粒子9bが集積され濃縮化される。
【0033】
次に、微粒子集積処理手段で一定小エリア内に集積したCNT9aや他の微粒子9bにラマン分光感度を増感させるラマン増感材を添加する処理を行う。このラマン増感処理を行うラマン増感処理手段を、図5を参照して説明すると、図5(a)で示すように金や銀等の金属超微粒子(金属ナノ微粒子)17aを含むラマン増感材液17を滴下治具19を用いて、トラップフィルタ7上に図4(e)のように集積しているCNT9aや他の微粒子9b上に、滴下する。
【0034】
そして、この金属ナノ微粒子17aに図5(b)で示すように光照射21すると、金属ナノ微粒子17aに表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)が起きる。
【0035】
この表面プラズモン共鳴は、金属ナノ微粒子17a表面に光照射21した際に、金属ナノ微粒子17a表面の自由電子が励起状態になり、自由電子が図5(c)で示すように集団17bで振動することで、表面プラズモン波が発生し、強い電場が発生する現象である。
【0036】
この場合、CNT9aや他の微粒子9bもこの集団17bと共に振動することになる。このようにして上記集積したCNT9aや他の微粒子9b上に、銀等の金属ナノ微粒子17aを含む溶液を滴下し、光照射21することで、金属ナノ微粒子17a表面にプラズモン共鳴を起こさせ、ラマン散乱光強度を増強(SERS:)させることができる。
【0037】
次に、トラップフィルタ7上でラマン増感処理手段でラマン散乱光強度が増強したCNT9aや他の微粒子9bに対してラマン分光する。ラマン分光については、物質にある波長の光を照射すると、その光と同じ波長の光(レイリー光)以外に、波長が少しずれた光(ラマン光)がごくわずかであるが散乱され、その波長のずれは物質特有であり、ラマン分光では、光照射21して散乱光のラマンスペクトルを測定する。
【0038】
このラマン分光処理手段を、図6を参照して、説明する。図6において、レーザ光源23からのレーザ照射光25をそれに対して45度傾けて設けたダイクロイックフィルタ27に照射する。ダイクロイックフィルタ27は、レーザ照射光25の特定波長光を反射するが、他の全ての波長光を通すので、レーザ照射光25は、ダイクロイックフィルタ27で90度反射され、対物レンズ29によってCNT9aや他の微粒子9b上に集光させられる。そして、CNT9aや他の微粒子9bから拡散する種々の波長の光が対物レンズ29で集光され、ダイクロイックフィルタ27を通過し、レーザ反射光28として、対物レンズ31からCCD検出器33で検出される。この場合、ダイクロイックフィルタ27は、レーザ照射光25と同じ特定波長で反射したレイリー散乱光を除き、他の波長に偏移したラマン光のスペクトルを通す。CCD検出器33で検出した信号は、解析部35で解析され、また、その解析状態はモニタ装置37のモニタ画面上に表示される。
【0039】
図7は、モニタ装置37のモニタ画面上でのラマン散乱光のスペクトル(ラマンスペクトル)を示す。このラマンスペクトルは、縦軸にラマン散乱光強度、横軸にラマンシフト(単位は波数、cm-1)をとったグラフで示される。このラマンスペクトルにおいて、1585(cm-1)付近にGピークと呼ばれる結晶性の高いグラファイトに見られるピークがあらわれ、1380(cm-1)付近にDピークと呼ばれるグラファイト結晶に存在する欠陥密度に見られるピークがあらわれる。実施の形態では、トラップフィルタ7上に集積され、かつ、ラマン増感されたCNT9aや他の微粒子9bにレーザ照射光25を照射し、CNT9aや他の微粒子9b上での散乱光のうちラマン散乱光を計測することで、トラップフィルタ7上のCNT9aや他の微粒子9bの量を計測することができる。
【0040】
そして、このCNT9aや他の微粒子9bの計測量から、計測エリア3内で浮遊するCNT9aや他の微粒子9bの浮遊量が判り、その浮遊量が一定以上超えていれば、CNT9aや他の微粒子9bの浮遊量が一定量以下となるように、計測エリア3内の清浄化等の制御を行う。
【0041】
図8は、実施の形態の計測方法を実施するための微粒子計測装置39であり、ハードウエア部39aと、ソフトウエア部39bとを具備する。ハードウエア部39aは、微粒子をトラップ処理するための微粒子トラップ処理装置41と、微粒子トラップフィルタ7上にトラップした微粒子を一定小エリアに集積する微粒子集積処理装置43と、微粒子トラップフィルタ7上に集積した微粒子にラマン分光感度を増感させるラマン増感材を添加するラマン増感処理装置45と、ラマン分光感度を増感された微粒子に対してラマン分光を行うラマン分光処理装置47と、ラマン分光処理装置47による計測結果をモニタするモニタ装置49と、を具備する。
【0042】
微粒子トラップ処理装置41は、図2、図3で説明した微粒子トラップ装置1と同様の構成であるが、トラップ対象が微粒子の場合では、微粒子トラップに適したトラップフィルタをセットする。このトラップフィルタは着脱ないし交換可能に装置41に設けることができる。
【0043】
微粒子集積処理装置43は、図4で説明した微粒子を光放射圧で集積させる装置であり、微粒子にエタノール等の溶媒を滴下する滴下治具と、溶媒中の微粒子に光照射する光照射装置と、溶媒気化装置とを具備する。
【0044】
ラマン増感処理装置45は、図5で説明した微粒子のラマン分光感度を増強させる装置であり、微粒子にエタノール等の溶媒を滴下する滴下治具と、溶媒中の微粒子に光照射する光照射装置と、を具備する。
【0045】
ラマン分光処理装置47は、図6で説明した装置である。
【0046】
ソフトウエア部39bは、CPU(プロセッサ)49、ROM51、RAM53、操作部55、トラップ処理装置ドライバ57、微粒子集積処理装置ドライバ59、ラマン増感処理装置ドライバ61、ラマン分光処理装置ドライバ63を具備する。
【0047】
CPU49は、微粒子計測装置39全体の制御を司る。ROM51には、システムプログラムや上記各処理装置個々のアプリケーションプログラム等が格納されている。RAM53は、CPU49の作業等に用いたりする。操作部55は、装置パネルに配置されてユーザ操作されるキー等である。
【0048】
トラップ処理装置ドライバ57は、微粒子トラップ処理装置41を駆動するものであり、微粒子トラップ装置1の上部開口に蓋を設けた場合、その蓋の開閉、また、微粒子トラップフィルタ7の着脱を行う機構を設けた場合、その機構を駆動する。
【0049】
微粒子集積処理装置ドライバ59は、微粒子集積処理装置43における滴下装置、光照射装置、微粒子トラップフィルタのセット装置等を駆動する。
【0050】
ラマン増感処理装置ドライバ61は、ラマン増感処理装置45における滴下装置、光照射装置、等を駆動する。
【0051】
ラマン分光処理装置ドライバ63は、ラマン分光処理装置47におけるレーザ光源、CCD検出器、解析部、等を駆動制御する。
【0052】
モニタ装置ドライバ65は、モニタ装置49においてモニタ画面上へのラマンスペクトルの表示を制御する。
【0053】
以上説明したように本実施の形態では、気中に浮遊する微粒子が微量であっても、ラマン分光で正確に定量することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る微粒子計測装置の各手段を概念的に示す図である。
【図2】図2は微粒子トラップ処理手段を示す図である。
【図3】図3(a)は微粒子トラップフィルタの平面、図3(b)は微粒子トラップフィルタの断面を示す図である。
【図4】図4は微粒子集積処理手段の説明に供する図である。
【図5】図5は集積した微粒子に対するラマン増感材の説明に供する図である。
【図6】図5はラマン分光処理手段の概略構成を示す図である。
【図7】図7はモニタ画面上のラマンスペクトルを示す図である。
【図8】図8は微粒子計測装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 微粒子トラップ装置
3 計測エリア
7 微粒子トラップフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測エリア内を浮遊する微粒子を導入する経路を備え、かつ上記経路内に多孔体からなる微粒子トラップフィルタを配置してなる微粒子トラップ処理手段と、
上記微粒子トラップフィルタ上の微粒子に分光感度を増感させる増感材を添加処理する増感処理手段と、
上記分光感度を増感された微粒子に対して所要の分光処理を行う分光処理手段と、
を含むことを特徴とする微粒子計測装置。
【請求項2】
計測エリア内を浮遊する微粒子を導入する経路を備え、かつ上記経路内に多孔体からなる微粒子トラップフィルタを配置してなる微粒子トラップ処理手段と、
上記微粒子トラップフィルタ上の所定小エリアに上記微粒子を集積させる微粒子集積手段と、
上記所定小エリアに集積した微粒子に分光感度を増感させる増感材を添加処理する増感処理手段と、
上記分光感度を増感された微粒子に対して所要の分光処理を行う分光処理手段と、
を含むことを特徴とする微粒子計測装置。
【請求項3】
上記多孔体を、多孔質ガラスで構成した、ことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−85353(P2010−85353A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257195(P2008−257195)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(505044451)ソナック株式会社 (107)
【Fターム(参考)】