説明

微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液、その製造法および製紙におけるサイズ剤としての該分散液の使用

エチレン系不飽和モノマーを少なくとも1つのレドックス開始剤および澱粉の存在下でフリーラジカル乳化重合させることによって得られる、微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液であって、この場合エチレン系不飽和モノマーとして(a)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン30〜60質量%、(b)少なくとも1つのアクリル酸−C1〜C12アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸−C1〜C12アルキルエステル1〜60質量%、(c)少なくとも1つの別のエチレン系不飽和の共重合可能なモノマー0〜10質量%が使用され、および澱粉として(d)1000〜65000g/molの分子量Mwを有する、少なくとも1つの劣化された澱粉15〜40質量%が使用され、この場合総和(a)+(b)+(c)+(d)は、100%であり、および全固体含量に関連し、およびこの場合重合は、使用されるモノマーに対して少なくとも0.01質量%の少なくとも1つのテルペン含有連鎖移動剤の存在下で実施される、上記の微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液、モノマー(a)、(b)および(c)をレドックス開始剤と一緒に(d)劣化された澱粉および使用されたモノマーに対して少なくとも0.01質量%の少なくとも1つのテルペン含有連鎖移動剤の存在下で乳化重合させることによって、微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液を製造する方法、ならびに紙、板紙および厚紙のためのサイズ剤としての上記の微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン系不飽和モノマーを少なくとも1つのレドックス開始剤、澱粉およびテルペン含有連鎖移動剤の存在下で乳化重合させることによって得られる、微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液、該分散液の製造法、および紙のためのサイズ剤およびコーティング剤としての該分散液の使用に関する。
【0002】
欧州特許第0273770号明細書B1および欧州特許第0257412号明細書B2の記載から、エチレン系不飽和モノマー、例えばアクリルニトリルおよび(メタ)アクリル酸エステルおよび場合によっては乳化重合の種類に応じて別のモノマー、例えばスチレン10質量%までをペルオキシド基含有開始剤、殊にレドックス開始剤、および劣化された澱粉の存在下に共重合させることによって得られる、微細に分配された水性分散液を基礎とするサイズ剤は、公知である。連鎖移動剤、例えばテルペンの使用は、何れの刊行物にも開示されていない。
【0003】
WO 99/42490 A1の記載から、同様に微細に分配された、水性ポリマー分散液は、公知であり、これは、紙、板紙および厚紙の表面サイジングに使用される。この分散液は、エチレン系不飽和モノマーを500〜10000の数平均分子量Mnを有する劣化された澱粉の存在下でフリーラジカル重合させることによって得られる。このモノマーは、(i)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン、(ii)少なくとも1つの(メタ)アクリル酸−C1〜C4アルキルエステルならびに(iii)場合により別のエチレン系不飽和モノマー10質量%までからなる。重合は、グラフト活性の水溶性レドックス系の存在下で行なわれる。分子量の調節のために、メルカプタンの群からの連鎖移動剤を使用することが開示されている。
【0004】
WO 2002/14393 A1には、サイズ剤およびコーティング剤として使用されるポリマー分散液を製造するための方法が開示されている。このポリマー分散液は、一価の飽和C3〜C8アルコールの少なくとも1つの(メタ)アクリル酸エステルと少なくとも1つの他のエチレン系不飽和モノマーとのモノマー混合物のエマルジョン中で澱粉または澱粉誘導体ならびにペルオキシド基含有開始剤の存在下で共重合させることによって得られる。乳化重合は、モノマーならびに開示剤を連続的に計量供給することによって区別され、この場合第1の開始剤量は、5〜60分の第1の供給時間で計量供給され、および第1の開始剤量より少ない第2の開始剤量は、5〜180分の供給時間で計量供給される。連鎖移動剤の使用は、開示されていない。
【0005】
また、紙、板紙および厚紙のためのサイズ剤としての微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液は、WO 2007/000419 A1の記載から公知である。この分散液は、水性媒体中でレドックス開始剤を用いて、(i)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン、メタクリル酸メチルエステル、アクリルニトリルおよび/またはメタクリルニトリル、(ii)少なくとも1つの(メタ)アクリル酸−C1〜C12アルキルエステルおよび少なくとも1つの(iii)エチレン系不飽和の共重合可能なモノマーを含有するエチレン系不飽和モノマーを、1000〜65000g/molの分子量Mwを有するカチオン性の劣化された澱粉の存在下で乳化重合させることによって得られる。この開示には、多数の連鎖移動剤が含まれているが、しかし、この発明の実施例は、連鎖移動剤なしに実施されている。
【0006】
WO 2007/000420 A1には、同様に紙、板紙および厚紙のためのサイズ剤としての微細に分配された、澱粉含有の水性ポリマー分散液が開示されており、この分散液は、(i)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン、メタクリル酸メチルエステル、アクリルニトリルおよび/またはメタクリルニトリル、(ii)少なくとも1つの(メタ)アクリル酸−C1〜C4アルキルエステル、(iii)少なくとも1つの(メタ)アクリル酸−C5〜C22アルキルエステルおよび(iv)場合により少なくとも1つの別の共重合可能なエチレン系モノマーならびに(v)1000〜65000の分子量Mwを有する劣化された澱粉を連鎖移動剤の存在下でフリーラジカル乳化重合させることによって得られる。この国際公開公報には、数多くの潜在的な連鎖移動剤が開示されているが、しかし、第三ドデシルメルパタンは、全ての実施例中でも使用される好ましい連鎖移動剤である。
【0007】
しかし、製紙産業においては、紙、板紙および厚紙を製造するための新規の効率的なエンジンサイズ剤および表面サイズ剤についての継続された要求が存在する。
【0008】
従って、本発明は、公知のポリマー分散液と比較して紙、板紙および厚紙のためのサイズ剤としての改善された効率を有する、微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液を提供するという課題に基づくものであった。
【0009】
この課題は、本発明によれば、エチレン系不飽和モノマーを少なくとも1つのレドックス開始剤および澱粉の存在下にフリーラジカル乳化重合させることによって得られる、微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液で解決され、この場合エチレン系不飽和モノマーとして、
(a)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン30〜60質量%、
(b)少なくとも1つのアクリル酸−C1〜C12アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸−C1〜C12アルキルエステル1〜60質量%、
(c)少なくとも1つの別のエチレン系不飽和の共重合可能なモノマー0〜10質量%が使用され、
および澱粉として
(d)1000〜65000g/molの分子量Mwを有する、少なくとも1つの劣化された澱粉15〜40質量%が使用され、
この場合総和(a)+(b)+(c)+(d)は、100%であり、および全固体含量に関連し、およびこの場合重合は、使用されるモノマーに対して少なくとも0.01質量%の少なくとも1つのテルペン含有連鎖移動剤の存在下で実施される。
【0010】
本発明による微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液は、紙、板紙および厚紙の製造において公知技術水準に関連して顕著に高められたサイズ効果によって区別される。
【0011】
群(a)のモノマーは、場合により置換されたスチレンである。この群には、スチレンおよび置換されたスチレン、例えばα−メチルスチレン、環上でハロゲン化されたスチレン、例えばクロロスチレンまたはC1〜C4アルキル置換されたスチレン、例えばビニルトルエンが属する。しかし、場合により置換されたスチレンの混合物が使用されてもよい。この群の中の有利に使用されるモノマーは、有利にこの群から単独で使用されるスチレンである。
【0012】
群(a)の中のモノマーは、(a)、(b)、(c)および(d)を有する反応混合物中に30〜60質量%、特に40〜50質量%の量で含有されている。
【0013】
群(b)のモノマーとして、一価C1〜C12アルコールに由来する、アクリル酸およびメタクリル酸の全てのエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、第三ブチルアクリレート、第三ブチルメタクリレート、第二ブチルアクリレート、第二ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、ネオペンチルアクリレート、ネオペンチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヘキシルアクリレート、2−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、デシルアクリレートおよびデシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、2−プロピルヘプチルアクリレートおよび2−プロピルヘプチルメタクリレートがこれに該当する。この群の中の有利に使用されるモノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸とC1〜C8アルコールとのエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、第二ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、第三ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよび2−エチルヘキシルメタクリレートである。
【0014】
アクリル酸とC1〜C4アルコールとのエステル、例えばn−ブチルアクリレート、第二ブチルアクリル酸、イソブチルアクリレートおよび第三ブチルアクリレートは、殊に好ましい。
【0015】
本発明によれば、少なくとも1つのアクリル酸−C1〜C12アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸−C1〜C12アルキルエステル、例えば互いに任意の混合物での2つ以上の上記エステルは、群(b)のモノマーとして使用される。前記群のモノマーとして、好ましくは群(b)からのモノマーだけが使用され、特に好ましくは、C1〜C4アルコールのアクリル酸のエステルの群からのモノマーが使用される。
【0016】
群(b)の中のモノマーは、(a)、(b)、(c)および(d)を有する反応混合物中に1〜60質量%、特に1〜29質量%の量、特に有利に5〜25質量%の量で存在する。
【0017】
ポリマーを変性するために、重合は、場合によっては少なくとも1つの他のモノマー(c)の存在下で実施されてよい。モノマー(c)として、原理的にモノマー(a)および(b)とは異なる全てのモノマーが適している。このようなモノマーのための例は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニルホルムアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカプロラクタム、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸および酸基含有モノマーの塩である。酸性モノマーは、部分的または完全に中和された形で使用されてよい。中和剤として、例えば苛性ソーダ液、苛性カリ液、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カルシウムおよびアンモニアが使用される。
【0018】
モノマー(c)のための他の例は、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートおよびジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドおよびジメチルアミノプロピルメタクリルアミドである。この塩基性モノマーは、重合の際に遊離塩基の形で、有機酸または鉱酸との塩として、または四級化された形で使用されてよい。
【0019】
更に、群(c)の中のモノマーとして、直鎖状または分枝鎖状のC1〜C30カルボン酸のビニルエステルは、適している。この種のカルボン酸は、飽和されかつ非分枝鎖状であり、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸(ヘキサン酸)、ヘプタン酸、カプリル酸(オクタン酸)、ペラルゴン酸、カプリン酸(デカン酸)、ウンデカン酸、ラウリル酸(ドデカン酸)、トリデカン酸、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸(テトラコサン酸)、セロチン酸、ミリシン酸(トリアコンタン酸)である。また、本発明によれば、飽和の分枝鎖状カルボン酸、例えばイソ酪酸、イソ吉草酸(3−メチル酪酸)およびツベルクロステアリン酸ならびに強度に枝分かれした飽和カルボン酸が適している。後者の強度に枝分かれした飽和カルボン酸は、バーサチック酸の概念の下、例えばピバリン酸、ネオヘキサン酸、ネオヘプタン酸、ネオオクタン酸、ネオノナン酸およびネオデカン酸が公知である。直鎖状または分枝鎖状C1〜C30カルボン酸の適したビニルエステルは、例えばラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルエステル、酢酸ビニル、プロピルヘプタン酸ビニルエステル、ネオデカン酸ビニルエステル(Hexion Specialty Chemicals社のVeoVA(登録商標)10)、ネオノナン酸ビニルエステル(Hexion Specialty Chemicals社のVeoVA(登録商標)9)ならびにビニルペラルゴネートである。
【0020】
しかし、記載されたモノマー(c)の任意の混合物が使用されてよい。
【0021】
群(c)の中のモノマーは、成分(a)、(b)、(c)および(d)を有する反応混合物中に0〜10質量%の量で含有されている。前記モノマーがポリマーの変性のために使用される場合には、有利に使用される量は、成分(a)、(b)、(c)および(d)を有する反応混合物に対して0.1〜5質量%である。
【0022】
前記モノマーは、1000〜65000g/molの分子量Mwを有する成分(d)としての劣化された澱粉の存在下に重合される。劣化された澱粉の平均分子量Mwは、当業者に公知の方法によって、例えば多角度光散乱検出器を使用してゲル浸透クロマトグラフィーにより簡単に算出することができる。
【0023】
このような澱粉を得るために、80質量%超、特に95質量%超の含量を有する、全ての種類の澱粉、例えばジャガイモ、コーン、コムギ、米、タピオカ、エンドウ豆、モロコシまたはワックススターチ(wax starches)からの澱粉、例えばワックス状コーンスターチおよびワックス状ジャガイモ澱粉から出発することができる。澱粉は、アニオン性および/またはカチオン性に変性されてよく、エステル化されてよく、および/または架橋されてよい。アニオン性澱粉が好ましい。
【0024】
澱粉の分子量Mwが早くも1000〜65000g/molの範囲内にある場合には、この澱粉は、重合の開始前に、または別の工程で分子量の分解に掛けられる。重合の開始前に澱粉が酵素的および/または酸化的に分解される方法は、好ましい。分解された澱粉の分子量Mwは、特に2500〜35000g/molの範囲内にある。
【0025】
カチオン化された澱粉の場合には、この澱粉は、例えば天然の澱粉を少なくとも1つの四級化剤、例えば2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドと反応させることによって製造される。カチオン化された澱粉は、第四級アンモニウム基を有する。
【0026】
アニオン性澱粉の場合には、この澱粉は、例えば天然の澱粉を適当な酸化剤、例えば次亜塩素酸ナトリウムまたは過ヨウ素酸塩と酸化反応させることによって得られる。
【0027】
置換された澱粉中のカチオン性基またはアニオン性基の割合は、置換度(DS)により記載される。この割合は、例えば0.005〜1.0、特に0.01〜0.4である。
【0028】
全ての澱粉を使用することができる。澱粉は、特にモノマーの重合前に分解されるが、しかし、モノマーの重合中に分解されてもよい。この分解は、酸化的、熱的、酸分解的または酵素的に行なわれてもよい。特に、澱粉の分解は、酵素的および/または酸化的に乳化重合の開始直前に、重合が実施される装置中で、または別の工程で行なわれる。唯一の劣化された澱粉が重合の際に使用されてよいか、または2つ以上の劣化された澱粉からの混合物が重合の際に使用されてもよい。
【0029】
澱粉は、本発明によれば、成分(a)、(b)、(c)および(d)を有する反応混合物中に15〜40質量%、特に25〜35質量%の量で含有されている。
【0030】
本発明による微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液は、重合を使用されるモノマーに対して少なくとも0.01質量%の少なくとも1つのテルペン含有連鎖移動剤の存在下で実施することによって得られる。
【0031】
テルペン含有連鎖移動剤は、本発明の範囲内で、イソプレン単位
[H2C=C(CH3)−CH=CH2]から構成され、その結果、イソプレンの規則から誘導することができるような炭化水素である。テルペンは、モノテルペン(C10)、セスキテルペン(C15)、ジテルペン(C20)、セステルテルペン(C25)、トリテルペン(C30)およびテトラテルペン(C40)ならびにポリテルペン(C40超)に分けられ、実質的に非環式、単環式、二環式および三環式のテルペンに分けられる。当業者には、例えばRoempp Chemie Lexikon,増補改訂版第9版、1989−1992,Georg Thieme Verlag Stuttgartの記載からテルペンは公知である。
【0032】
狭義の意味において、テルペンは、C1016基本骨格を有する炭化水素、ならびにその水素化誘導体および脱水素化誘導体、ならびにこれらに由来するアルコール、ケトン、アルデヒドおよびエステルである。
【0033】
好ましくは、本発明によれば、単環式モノテルペンが使用され、特に好ましくは、ジ不飽和の単環式モノテルペン(いわゆるp−メンタジエン)が使用される。ジ不飽和の単環式モノテルペンの例は、α−、β−およびγ−テルピネン、テルピノレン、(+)−(S)−α−フェランドレン、(−)−(S)−α−フェランドレンおよびリモネンである。好ましいのは、α−テルピネンおよびテルピノレンであり、特に好ましいのは、テルピノレンである。
【0034】
勿論、記載されたテルペン含有連鎖移動剤の混合物が使用されてもよいが、しかし、好ましくは、テルペン含有連鎖移動剤だけが使用され、特に好ましくは、テルピノレンだけが使用される。
【0035】
テルペン含有連鎖移動剤は、重合の際にモノマーに対して少なくとも0.01質量%の量で使用される。この量は、実質的に単数の使用される連鎖移動剤または複数のそれぞれ使用される連鎖移動剤の効率に左右される。この量は、通常、モノマー(a)、(b)および(c)に対して0.01〜10質量%、特に0.05〜5.0質量%の範囲内にある。
【0036】
重合を開始させるために、本発明によれば、レドックス開始剤が使用される。これは、特に、例えば過酸化水素および重金属塩を含有するか、または過酸化水素および二酸化硫黄を含有するか、または過酸化水素およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含有する、グラフト活性の水溶性レドックス系である。更に適したレドックス系は、第三ブチルヒドロペルオキシド/二酸化硫黄、過硫酸ナトリウムまたは過硫酸カリウム/重亜硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム/重亜硫酸ナトリウムまたは過硫酸アンモニウム/硫酸鉄(II)である。特に、過酸化水素は、重金属塩、例えば硫酸鉄(II)との組合せで使用される。しばしば、レドックス系は、付加的に他の還元剤、例えばアスコルビン酸、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、二亜硫酸ナトリウムまたは亜ジチオチン酸ナトリウムを含有する。モノマーの重合は、澱粉の存在下で行なわれ、および澱粉は、同様に還元剤として作用するので、多くの場合に他の還元剤の共用は、省略される。レドックス開始剤は、例えばモノマーに対して0.05〜10質量%、特に0.1〜5質量%の量で使用される。
【0037】
それに従って、エチレン系不飽和モノマーを少なくとも1つのレドックス開始剤および澱粉の存在下で反応させることによって得られるポリマー分散液は、好ましく、この場合エチレン系不飽和モノマーとして
(a)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン30〜60質量%、
(b)少なくとも1つのアクリル酸−C1〜C12アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸−C1〜C12アルキルエステル1〜29質量%、
(c)少なくとも1つの別のエチレン系不飽和の共重合可能なモノマー0.1〜5質量%が使用され、
および澱粉として
(d)1000〜65000g/molの分子量Mwを有する、少なくとも1つの劣化された澱粉25〜35質量%が使用され、
この場合総和(a)+(b)+(c)+(d)は、100%であり、および全固体含量に関連し、およびこの場合重合は、使用されるモノマーに対して少なくとも0.01質量%の少なくとも1つのテルペン含有連鎖移動剤の存在下で実施される。
【0038】
特に好ましいのは、エチレン系不飽和モノマーとして
(a)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン40〜50質量%、
(b)アクリル酸−C1〜C12アルキルエステルまたはメタクリル酸−C1〜C12アルキルエステル5〜25質量%、
(c)少なくとも1つの別のエチレン系不飽和の共重合可能なモノマー0.1〜5質量%が使用され、
および澱粉として
(d)2500〜35000g/molの分子量Mwを有する、少なくとも1つの劣化された澱粉25〜35質量%が使用されるようなポリマー分散液であり、
この場合総和(a)+(b)+(c)+(d)は、100%であり、および全固体含量に関連し、およびこの場合重合は、使用されるモノマーに対して少なくとも0.01質量%の少なくとも1つのテルペン含有連鎖移動剤の存在下で実施される。
【0039】
殊に好ましいのは、エチレン系不飽和モノマーとして
(a)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン40〜50質量%、
(b)アクリル酸−C1〜C12アルキルエステル5〜25質量%、
(c)少なくとも1つの別のエチレン系不飽和の共重合可能なモノマー0.1〜5質量%が使用され、
および澱粉として
(d)2500〜35000g/molの分子量Mwを有する、アニオン性の劣化された澱粉25〜35質量%が使用されるような微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液であり、
この場合総和(a)+(b)+(c)+(d)は、100%であり、および全固体含量に関連し、およびこの場合重合は、使用されるモノマーに対して少なくとも0.01質量%の連鎖移動剤としての少なくとも1つの単環式モノテルペンの存在下で実施される。
【0040】
殊に、エチレン系不飽和モノマーとして
(a)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン40〜50質量%、
(b)アクリル酸−C1〜C4アルキルエステル5〜25質量%、
(c)少なくとも1つの別のエチレン系不飽和の共重合可能なモノマー0.1〜5質量%が使用され、
および澱粉として
(d)2500〜35000g/molの分子量Mwを有する、アニオン性の劣化された澱粉25〜35質量%が使用されるような微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液が好ましく、
この場合総和(a)+(b)+(c)+(d)は、100%であり、および全固体含量に関連し、およびこの場合重合は、使用されるモノマーに対して少なくとも0.01質量%の連鎖移動剤としてのテルピノレンの存在下で実施される。
【0041】
本発明の対象は、同様に、乳化重合によって得られる、本発明による微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液を製造するための方法である。
【0042】
このような方法は、
(a)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン30〜60質量%、
(b)少なくとも1つのアクリル酸−C1〜C12アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸−C1〜C12アルキルエステル1〜60質量%、
(c)少なくとも1つの別のエチレン系不飽和の共重合可能なモノマー0〜10質量%、および
(d)1000〜65000g/molの分子量Mwを有する、少なくとも1つの劣化澱粉15〜40質量%を、
但し、この場合総和(a)+(b)+(c)+(d)は、100%であり、および全固体含量に関連するものとし、
レドックス開始剤の存在下で水性媒体中で重合し、およびこの重合を、使用されるモノマーに対して少なくとも0.01質量%の少なくとも1つのテルペン含有連鎖移動剤の存在下で実施することによって区別される。
【0043】
モノマー(a)〜(c)の乳化重合は、水性媒体中で1000〜65000g/molの分子量Mwを有する澱粉(d)の存在下で行なわれる。モノマーは、乳化重合法の種類により供給方式で、ならびにバッチ方式で重合されてよい。好ましくは、劣化澱粉および重金属塩の水溶液が最初に装入され、モノマーが別々に、または混合物として添加され、それとは別に、レドックス開始剤の酸化作用を有する部分、特に過酸化水素が連続的に、またはバッチ形式で添加される。また、WO 2002/14393 A1の記載から公知である勾配方式は、澱粉含有ポリマー分散液の製造に使用されてよい。
【0044】
この場合、添加は、計量供給時間に亘って、均一に、または不均一に、即ち計量供給速度を変えながら行なうことができる。
【0045】
重合は、通常、酸素の不在下、有利に不活性ガス雰囲気中、例えば窒素の下で実施される。重合中、成分の十分な混合が保証されるべきである。即ち、反応混合物は、特に重合の全時間中および場合によりそれに引続く後重合の全時間中、攪拌される。
【0046】
重合は、通常、30〜110℃の温度、特に50〜100℃で実施される。また、圧力反応器の使用またはカスケード型攪拌タンクまたは流動管中での連続的な重合の実施は、可能である。
【0047】
分散効果を高めるために、重合バッチには、通常、イオン性、非イオン性または両性乳化剤が添加されてよい。通常の乳化剤は、場合により使用されるにすぎない。使用される量は、0〜3質量%であり、特に使用されるモノマー(a)、(b)および(c)の総和に対して0.02〜2質量%の範囲内にある。通常の乳化剤は、刊行物中、例えばM.Ash,I.Ash,Handbook of Industrial Surfactants,Third Edition,Synapse Information Resources Inc.中に詳細に記載されている。通常の乳化剤の例は、長鎖状の一価アルコール(C10〜C20アルカノール)と、アルコールまたはエトキシル化フェノール、または多くの場合にアルカリ液で中和された形で使用される、硫酸でエステル化されたアルコキシル化アルコール1モル当たり酸化エチレンおよび/または酸化プロピレン4〜50モルとの反応生成物である。更に、通常の乳化剤は、例えばナトリウムアルキルスルホネート、ナトリウムアルキルスルフェート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、スルホコハク酸エステル、第四級アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩、例えばジメチル−C12〜C18アルキルベンジルアンモニウムクロリド、第一級脂肪アミン塩、第二級脂肪アミン塩および第三級脂肪アミン塩、第四級アミドアミン化合物、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩およびアルキルオキサゾリニウム塩である。
【0048】
乳化重合中、モノマーは、直接に最初に装入された混合物中に計量供給されてよいか、またはモノマーは、水性エマルジョンまたはミニエマルジョンの形で重合バッチに供給されてよい。そのために、モノマーは、既に記載された通常の乳化剤を使用して水中に乳化される。
【0049】
重合は、2〜9のpH値で、特に3〜5.5のpH値で弱酸性の範囲内で実施される。pH値は、重合前または重合中に通常の酸、例えば塩酸、硫酸または酢酸で、または塩基、苛性ソーダ液、苛性カリ液、アンモニア、炭酸アンモニウム等で望ましい値に調節されることができる。好ましくは、分散液は、重合の終結後に3〜5.5のpH値に調節される。
【0050】
残りのモノマーをできるだけ十分に澱粉含有ポリマー分散液から除去するために、好ましくは、後重合が実施される。このために重合分散液には、主要重合の終結後に過酸化水素、過酸化物、ヒドロペルオキシドおよび/またはアゾ開始剤の群からの開始剤が添加される。開始剤と適当な還元剤、例えばアスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムとの組合せは、同様に可能である。好ましくは、水中で難溶性の油溶性開始剤が使用され、例えば通常の有機過酸化物、例えば過酸化ジベンゾイル、ジ−第三ブチルペルオキシド、第三ブチルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシドまたはビスシクロヘキシルペルオキシドジカーボネートが使用される。
【0051】
後重合のために、主要重合が実施された温度に相当するかまたは20℃まで、特に10℃まで高くなる温度に加熱される。重合開始剤が消費されたかまたはモノマーの変換率が例えば少なくとも98%、特に少なくとも99.5%である場合には、主要重合は、終結している。後重合のために、特に第三ブチルヒドロペルオキシドが使用される。後重合は、例えば35〜100℃、多くの場合に45〜95℃の温度範囲内で実施される。
【0052】
重合の終結後、重金属イオンのための錯形成剤は、全ての重金属イオンが錯体として結合しているような量でポリマー分散液に添加されてよい。
【0053】
澱粉含有ポリマー分散液は、20〜500nm、特に50〜250nmの平均粒度を有する分散された粒子を含有する。平均粒度は、当業者に公知の方法、例えばレーザー相関分光分析(laser correlation spectroscopy)、超遠心分離またはHDF(Hydrodynamic fractionation流体力学的分別)により測定されることができる。更に、分散されたポリマー粒子の粒度のための基準は、LD値である。LD値(Lichtdurchlaessigkeit光透過率)を測定するために、そのつど試験すべきポリマー分散液は、0.1質量%の水性希釈溶液中で2.5cmの辺の長さを有するセル中で波長600nmの光で測定され、水の相応する透過率で同じ測定条件下で比較される。この場合、水の透過率は、100%で記載される。分散液は、よりいっそう微細に分配されるほど、前記方法により測定されるLD値は、よりいっそう高くなる。測定値から平均粒度は、算出することができる。B.Verner,M.Baerta,B.Sedlacek,Tables of Scattering Functions for Spherical Particles,Prag,1976,Edice Marco,Rada D−DATA,SVAZEK D−1参照。
【0054】
澱粉含有ポリマー分散液の固体含量は、例えば5〜50質量%であり、特に15〜40質量%の範囲内にある。
【0055】
上記の微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液は、紙、板紙および厚紙のためのサイズ剤として使用される。このサイズ剤は、表面サイズ剤として、ならびにエンジンサイズ剤としてそれぞれ通常の量で使用されてよい。好ましいのは、表面サイズ剤としての使用である。この場合、本発明による分散液は、表面サイジングに適した全ての方法で加工されてよい。ポリマー分散液は、例えばサイズプレス、フィルムプレスまたはゲートロールアプリケーターによりサイジングすべき紙の表面上に塗布することができる。適用のために、分散液は、通常、サイズプレス液に、固体物質に対して0.05〜3質量%の量で添加され、装備すべき紙の望ましいサイズ度により左右される。更に、サイズプレス液は、他の物質、例えば澱粉、顔料、染料、蛍光増白剤、殺生剤、紙力増強剤、固着剤、消泡剤、歩留まり向上剤および/または脱水促進剤を含有する。紙製品の表面上に塗布されるポリマーの量は、例えば0.005〜1.0g/m2、特に0.01〜0.5g/m2である。本発明によるサイズ剤は、公知のサイズ剤と比較して、本発明によるサイズ剤が僅かな塗布量で、特に木材不含の非塗被紙上でよりいっそう良好なサイズ効果をもたらすという利点を有する。
【0056】
次に、本発明を、限定するものでない実施例により詳細に説明する。
【実施例】
【0057】

実施例中の百分率の記載は、文脈から特に明らかでない限り質量%を意味する。
【0058】
LD値は、測定すべき分散液の0.1%の水溶液中でHach社の機器DR/2010を用いて600nmの波長で測定される。粒度は、Malvern社の高性能粒度分布測定装置(HPPS)を用いてHe−Neレーザー(633nm)を使用することにより173°の散乱角度で測定された。
【0059】
実施例1
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、0.03〜0.04のCOO−置換度および34のK値(DIN 53726により測定した)を有する、酸化された劣化澱粉65.0g、酢酸カルシウム水和物0.80gおよび水380gを最初に装入し、攪拌しながら85℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液1.60g(α−アミラーゼ、Novo Nordisk社のTermamyl(登録商標)120 L)を添加し、引続きこのバッチ量を20分間攪拌した。酵素による澱粉分解を氷酢酸4.0gの添加によって停止させた。
【0060】
その後、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液2.0gを添加し、それに続けて10分間2.5質量%の過酸化水素溶液4.0gを供給した。引続き、2.5質量%の過酸化水素溶液40.0gを120分間で供給した。同時に85℃で90分間でスチレン18.0g、第三ブチルアクリレート30.0gおよびテルピノレン1.1gならびにそれと同時に水110.0gを添加した。その後に、完全脱塩水40.0gを添加した。モノマーの供給が終結した後、さらに85℃で30分間、後重合させ、その後にバッチ量を65℃に冷却した。この温度で第三ブチルヒドロペルオキシド4.0gを添加し、40分間さらに攪拌した。引続き、室温に冷却した。
【0061】
25.4質量%の固体含量、57%のLD値および94nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0062】
比較例1
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、0.03〜0.04のCOO−置換度および34のK値(DIN 53726により測定した)を有する、酸化された劣化澱粉65.0g(Suedstaerke社のAmylex(登録商標)15)、酢酸カルシウム水和物0.80gおよび水380gを最初に装入し、攪拌しながら85℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液1.60g(α−アミラーゼ、Novo Nordisk社のTermamyl(登録商標)120 L)を添加し、引続きこのバッチ量を20分間攪拌した。酵素による澱粉分解を氷酢酸4.0gの添加によって停止させた。
【0063】
その後、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液2.0gを添加し、それに続けて10分間2.5質量%の過酸化水素溶液4.0gを供給した。引続き、2.5質量%の過酸化水素溶液40.0gを120分間で供給した。同時に85℃で90分間でスチレン18.0gおよび第三ブチルアクリレート29.6gならびにそれと同時に水110.0gを添加した。その後に、完全脱塩水40.0gを添加した。モノマーの供給が終結した後、さらに85℃で30分間、後重合させ、その後にバッチ量を65℃に冷却した。この温度で第三ブチルヒドロペルオキシド4.0gを添加し、40分間さらに攪拌した。引続き、室温に冷却した。
【0064】
25.03質量%の固体含量、43%のLD値および99nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0065】
実施例2
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、0.03〜0.04のCOO−置換度および34のK値(DIN 53726により測定した)を有する、酸化された劣化澱粉75.0g(Suedstaerke社のAmylex(登録商標)15)および水370gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液0.80g(α−アミラーゼ、Genencor社のMultifect(登録商標)AA1200L)を添加し、このバッチ量を30分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液4.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0066】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液75.0gの180分間の供給を開始した。同様に、同時に120分間、スチレン110.0gと第三ブチルアクリレート29.0gとアクリル酸1.5gとテルピノレン0.9gならびに完全脱塩水110.0gおよび40質量%の乳化剤溶液0.5g(Na−C14〜C15アルキルスルホネート、Bayer AG社のEmulgator(登録商標)K30)からなるモノマーを供給した。モノマー供給が終結した後に、さらに85℃で30分間、後重合させた。その後に、完全脱塩水15.0gならびに第三ブチルヒドロペルオキシド2.0gを添加した。次に、このバッチ量を40分間、後攪拌した。引続き、室温に冷却した。
【0067】
25.11質量%の固体含量、70%のLD値および77nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0068】
比較例2
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、0.03〜0.04のCOO−置換度および34のK値(DIN 53726により測定した)を有する、酸化された劣化澱粉75.0g(Suedstaerke社のAmylex(登録商標)15)および水370gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液0.80g(α−アミラーゼ、Genencor社のMultifect(登録商標)AA1200L)を添加し、このバッチ量を30分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液4.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0069】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液75.0gの180分間の供給を開始した。同様に、同時に120分間、スチレン110.0gと第三ブチルアクリレート28.5gとアクリル酸1.5gならびに完全脱塩水110.0gおよび40質量%の乳化剤溶液0.5g(Na−C14〜C15アルキルスルホネート、Bayer AG社のEmulgator(登録商標)K30)からなるモノマーを供給した。モノマー供給が終結した後に、さらに85℃で30分間、後重合させた。その後に、完全脱塩水15.0gならびに第三ブチルヒドロペルオキシド2.0gを添加した。次に、このバッチ量を40分間、後攪拌した。引続き、室温に冷却した。
【0070】
24.99質量%の固体含量、56%のLD値および88nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0071】
実施例3
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、0.03〜0.04のCOO−置換度および34のK値(DIN 53726により測定した)を有する、酸化された劣化澱粉75.0g(Suedstaerke社のAmylex(登録商標)15)および水370gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液0.80g(α−アミラーゼ、Genencor社のMultifect(登録商標)AA1200L)を添加し、このバッチ量を30分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液4.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0072】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液75.0gの180分間の供給を開始した。同様に、同時に120分間、スチレン96.0gと第三ブチルアクリレート43.0gとアクリル酸1.5gとテルピノレン1.1gならびに完全脱塩水110.0gおよび40質量%の乳化剤溶液0.5g(Na−C14〜C15アルキルスルホネート、Bayer AG社のEmulgator(登録商標)K30)からなるモノマーを供給した。モノマー供給が終結した後に、さらに85℃で30分間、後重合させた。その後に、完全脱塩水15.0gならびに第三ブチルヒドロペルオキシド2.0gを添加した。このバッチ量を40分間、後攪拌した。引続き、室温に冷却した。
【0073】
25.11質量%の固体含量、75%のLD値および73nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0074】
比較例3
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、0.03〜0.04のCOO−置換度および34のK値(DIN 53726により測定した)を有する、酸化された劣化澱粉75.0g(Suedstaerke社のAmylex(登録商標)15)および水370gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液0.80g(α−アミラーゼ、Genencor社のMultifect(登録商標)AA1200L)を添加し、このバッチ量を30分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液4.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0075】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液75.0gの180分間の供給を開始した。同様に、同時に120分間、スチレン96.0gと第三ブチルアクリレート42.5gとアクリル酸1.5gならびに完全脱塩水110.0gおよび40質量%の乳化剤溶液0.5g(Na−C14〜C15アルキルスルホネート、Bayer AG社のEmulgator(登録商標)K30)からなるモノマーを供給した。モノマー供給が終結した後に、さらに85℃で30分間、後重合させた。その後に、完全脱塩水15.0gならびに第三ブチルヒドロペルオキシド2.0gを添加した。このバッチ量を40分間、後攪拌した。引続き、室温に冷却した。
【0076】
24.51質量%の固体含量、70%のLD値および76nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0077】
実施例4
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、0.03〜0.04のCOO−置換度および34のK値(DIN 53726により測定した)を有する、酸化された劣化澱粉75.0g(Suedstaerke社のAmylex(登録商標)15)および水370gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液0.80g(α−アミラーゼ、Genencor社のMultifect(登録商標)AA1200L)を添加し、このバッチ量を30分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液4.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0078】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液50.0gの150分間の供給を開始した。同様に、同時に120分間、スチレン93.0gとn−ブチルアクリレート46.0gとアクリル酸1.5gとテルピノレン1.0gならびに完全脱塩水110.0gおよび40質量%の乳化剤溶液0.5g(Na−C14〜C15アルキルスルホネート、Bayer AG社のEmulgator(登録商標)K30)からなるモノマーを供給した。モノマー供給が終結した後に、さらに85℃で30分間、後重合させた。その後に、完全脱塩水15.0gならびに第三ブチルヒドロペルオキシド2.0gを添加した。このバッチ量を40分間、後攪拌した。引続き、室温に冷却した。
【0079】
25.39質量%の固体含量、74%のLD値および82nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0080】
比較例4
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、0.03〜0.04のCOO−置換度および34のK値(DIN 53726により測定した)を有する、酸化された劣化澱粉75.0g(Suedstaerke社のAmylex(登録商標)15)および水370gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液0.80g(α−アミラーゼ、Genencor社のMultifect(登録商標)AA1200L)を添加し、このバッチ量を30分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液4.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0081】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液50.0gの150分間の供給を開始した。同様に、同時に120分間、スチレン92.5gとn−ブチルアクリレート46.0gとアクリル酸1.5gならびに完全脱塩水110.0gおよび40質量%の乳化剤溶液0.5g(Na−C14〜C15アルキルスルホネート、Bayer AG社のEmulgator(登録商標)K30)からなるモノマーを供給した。モノマー供給が終結した後に、さらに85℃で30分間、後重合させた。その後に、完全脱塩水15.0gならびに第三ブチルヒドロペルオキシド2.0gを添加した。このバッチ量を40分間、後攪拌した。引続き、室温に冷却した。
【0082】
25.88質量%の固体含量、76%のLD値および91nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0083】
実施例5
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、澱粉83.0g(ジャガイモ澱粉ヒドロキシエチルエーテル、Avebe社のSolfarex(登録商標)A55)および水480gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液1.9g(α−アミラーゼ、Genencor社のMultifect(登録商標)AA1200L)を添加し、このバッチ量を30分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液4.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0084】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液75.0gの180分間の供給を開始した。同様に、同時に120分間、スチレン86.0gとn−ブチルアクリレート44.0gとアクリル酸0.4gとテルピノレン0.7gとからなるモノマーを供給した。モノマー供給が終結した後に、さらに80℃で60分間、後重合させた。その後に、完全脱塩水15.0gを添加した。引続き、室温に冷却した。
【0085】
25.9質量%の固体含量、79%のLD値および72nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0086】
比較例5
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、澱粉83.0g(ジャガイモ澱粉ヒドロキシエチルエーテル、Avebe社のSolfarex(登録商標)A55)および水480gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液1.9g(α−アミラーゼ、Genencor社のMultifect(登録商標)AA1200L)を添加し、このバッチ量を30分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液4.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0087】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液75.0gの180分間の供給を開始した。同様に、同時に120分間、スチレン86.0gとn−ブチルアクリレート44.0gとアクリル酸0.4gとからなるモノマーを供給した。モノマー供給が終結した後に、さらに80℃で60分間、後重合させた。その後に、完全脱塩水15.0gを添加した。引続き、室温に冷却した。
【0088】
25.39質量%の固体含量、76%のLD値および70nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0089】
実施例6
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、天然のエンドウ豆澱粉68.0gおよび水480gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液6.0g(α−アミラーゼ、Genencor社のMultifect(登録商標)AA1200L)を添加し、このバッチ量を30分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液4.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0090】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液75.0gの180分間の供給を開始した。同様に、同時に120分間、スチレン93.0gとn−ブチルアクリレート46.0gとアクリル酸1.5gとテルピノレン1.1gとからなるモノマーを供給した。モノマー供給が終結した後に、さらに80℃で60分間、後重合させた。その後に、完全脱塩水15.0gを添加した。引続き、室温に冷却した。
【0091】
25.79質量%の固体含量、12%のLD値および158nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0092】
比較例6
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、天然のエンドウ豆澱粉68.0gおよび水480gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液6.0g(α−アミラーゼ、Genencor社のMultifect(登録商標)AA1200L)を添加し、このバッチ量を30分間攪拌した。
【0093】
その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液4.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0094】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液75.0gの180分間の供給を開始した。同様に、同時に120分間、スチレン93.0gとn−ブチルアクリレート46.0gとアクリル酸1.5gとからなるモノマーを供給した。モノマー供給が終結した後に、さらに80℃で60分間、後重合させた。その後に、完全脱塩水15.0gを添加した。引続き、室温に冷却した。
【0095】
25.59質量%の固体含量、9%のLD値および167nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0096】
実施例7
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、アニオン性のタピオカ澱粉91.0g(Eimhaeng Modified Starch社のAF 382 S)および水400gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液4.0g(α−アミラーゼ、Novo Nordisk社のTermamyl(登録商標)120 L)を添加し、このバッチ量を20分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液4.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0097】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液91.0gの165分間の供給を開始した。10分後、スチレン85.0gとn−ブチルアクリレート33.0gとアクリル酸1.5gとテルピノレン1.1gならびに40質量%の乳化剤溶液0.5g(Na−C14〜C15アルキルスルホネート、Bayer AG社のEmulgator(登録商標)K30)および水80.0gからなるモノマーを120分間で供給した。モノマーの供給が終結した後、さらに80℃で35分間、後重合させた。その後に、完全脱塩水15.0gならびに第三ブチルヒドロペルオキシド2.0gを添加した。このバッチ量を30分間、後攪拌した。引続き、室温に冷却した。
【0098】
24.88質量%の固体含量、56%のLD値および115nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0099】
比較例7
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、アニオン性のタピオカ澱粉91.0g(Eimhaeng Modified Starch社のAF 382 S)および水400gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液4.0g(α−アミラーゼ、Novo Nordisk社のTermamyl(登録商標)120 L)を添加し、このバッチ量を20分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液4.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0100】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液91.0gの165分間の供給を開始した。10分後、スチレン85.0gとn−ブチルアクリレート33.0gとアクリル酸1.5gならびに40質量%の乳化剤溶液0.5g(Na−C14〜C15アルキルスルホネート、Bayer AG社のEmulgator(登録商標)K30)および水80.0gからなるモノマーを120分間で供給した。モノマーの供給が終結した後、さらに80℃で35分間、後重合させた。その後に、完全脱塩水15.0gならびに第三ブチルヒドロペルオキシド2.0gを添加した。このバッチ量を30分間、後攪拌した。引続き、室温に冷却した。
【0101】
25.21質量%の固体含量、31%のLD値および125nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0102】
実施例8
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、澱粉83.0g(ジャガイモ澱粉ヒドロキシエチルエーテル、Avebe社のSolfarex(登録商標)A55)および水480gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液1.9g(α−アミラーゼ、Genencor社のMultifect(登録商標)AA1200L)を添加し、このバッチ量を30分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液4.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0103】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液75.0gの180分間の供給を開始した。同様に、同時に120分間、スチレン82.0gとn−ブチルアクリレート44.0gとアクリル酸4.0gとテルピノレン0.7gとからなるモノマーを供給した。モノマー供給が終結した後に、さらに80℃で60分間、後重合させた。その後に、完全脱塩水15.0gを添加した。引続き、室温に冷却した。
【0104】
25.7質量%の固体含量、74%のLD値および81nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0105】
比較例8
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、澱粉83.0g(ジャガイモ澱粉ヒドロキシエチルエーテル、Avebe社のSolfarex(登録商標)A55)および水480gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液1.9g(α−アミラーゼ、Genencor社のMultifect(登録商標)AA1200L)を添加し、このバッチ量を30分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液4.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0106】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液75.0gの180分間の供給を開始した。同様に、同時に120分間、スチレン82.0gとn−ブチルアクリレート44.0gとアクリル酸4.0gとからなるモノマーを供給した。モノマー供給が終結した後に、さらに80℃で60分間、後重合させた。その後に、完全脱塩水15.0gを添加した。引続き、室温に冷却した。
【0107】
25.9質量%の固体含量、77%のLD値および76nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0108】
実施例9
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、酸化的に分解されたタピオカ澱粉59.0g(Siam Modified Starch Co.,Ltd.社)および水278gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液1.90g(α−アミラーゼ、Novo Nordisk社のTermamyl(登録商標)120 L)を添加し、このバッチ量を20分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液3.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0109】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液51.0gの165分間の供給を開始した。10分後、スチレン70.5gとn−ブチルアクリレート15gとn−ブチルアクリレート15gとテルピノレン0.8gと40質量%の乳化剤溶液0.4g(Na−C14〜C15アルキルスルホネート、Bayer AG社のEmulgator(登録商標)K30)ならびに水82.5gからなるモノマーを120分間で供給した。その後に、完全脱塩水11.3gを添加した。モノマーの供給が終結した後、さらに85℃で30分間、後重合させた。
【0110】
引続き、10質量%の第三ブチルヒドロペルオキシド溶液1.5gを添加し、このバッチ量を30分間、後攪拌した。引続き、室温に冷却した。
【0111】
25.4質量%の固体含量、51%のLD値および120nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0112】
比較例9
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、酸化的に分解されたタピオカ澱粉59.0g(Siam Modified Starch Co.,Ltd.社)および水278gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液1.90g(α−アミラーゼ、Novo Nordisk社のTermamyl(登録商標)120 L)を添加し、このバッチ量を20分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液3.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0113】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液51.0gの165分間の供給を開始した。10分後、スチレン70.5gとn−ブチルアクリレート15gとn−ブチルアクリレート15gならびに40質量%の乳化剤溶液0.4g(Na−C14〜C15アルキルスルホネート、Bayer AG社のEmulgator(登録商標)K30)および水82.5gからなるモノマーを120分間で供給した。その後に、完全脱塩水11.3gを添加した。モノマーの供給が終結した後、さらに85℃で30分間、後重合させた。引続き、10質量%の第三ブチルヒドロペルオキシド溶液1.5gを添加し、このバッチ量を30分間、後攪拌した。引続き、室温に冷却した。
【0114】
26.4質量%の固体含量、56%のLD値および101nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0115】
実施例10
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、酸化的に分解されたタピオカ澱粉54.0g(Siam Modified Starch Co.,Ltd.社)および水278gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液2.4g(α−アミラーゼ、Novo Nordisk社のTermamyl(登録商標)120 L)を添加し、このバッチ量を20分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液3.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0116】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液51.0gの165分間の供給ならびに同様に同時に、スチレン74.0gとn−ブチルアクリレート7.5gとn−ブチルアクリレート22.5g、アクリル酸1.1g、テルピノレン0.5g、40質量%の乳化剤溶液0.4g(Na−C14〜C15アルキルスルホネート、Bayer AG社のEmulgator(登録商標)K30)ならびに水82.5gからなるモノマーの120分間の供給を開始した。その後に、完全脱塩水11.3gを添加した。モノマーの供給が終結した後、さらに85℃で30分間、後重合させた。引続き、10質量%の第三ブチルヒドロペルオキシド溶液1.5gを添加し、このバッチ量を30分間、後攪拌した。引続き、室温に冷却した。
【0117】
25.5質量%の固体含量、61%のLD値および94nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0118】
比較例10
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、酸化的に分解されたタピオカ澱粉54.0g(Siam Modified Starch Co.,Ltd.社)および水278gを最初に装入し、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、1.0質量%の酵素溶液2.4g(α−アミラーゼ、Novo Nordisk社のTermamyl(登録商標)120 L)を添加し、このバッチ量を20分間攪拌した。その後に、10.0質量%の硫酸鉄(II)溶液3.0gを添加し、それによって酵素分解を停止させた。
【0119】
引続き、反応温度を5分間で85℃に上昇させた。同時に5.0質量%の過酸化水素溶液51.0gの165分間の供給ならびに同様に同時に、スチレン74.0gとn−ブチルアクリレート7.5gとn−ブチルアクリレート22.5g、アクリル酸1.1g、40質量%の乳化剤溶液0.4g(Na−C14〜C15アルキルスルホネート、Bayer AG社のEmulgator(登録商標)K30)ならびに水82.5gからなるモノマーの120分間の供給を開始した。その後に、完全脱塩水11.3gを添加した。モノマーの供給が終結した後、さらに85℃で30分間、後重合させた。引続き、10質量%の第三ブチルヒドロペルオキシド溶液1.5gを添加し、このバッチ量を30分間、後攪拌した。引続き、室温に冷却した。
【0120】
26.2質量%の固体含量、58%のLD値および90nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0121】
比較例A、WO 07/000420 A1からの実施例5に対応する
攪拌機および内部温度測定部を備えた、2 lの表面研磨機(Planschliffkolben)中にアニオン性のジャガイモ澱粉79.55g(DS値=0.044)を最初に装入した。攪拌しながら、脱塩水430g、(1%の)α−アミラーゼ2.30gおよび25%の酢酸カルシウム水和物1.02gを添加した。この混合物を85℃に加熱し、この温度で30分間攪拌した。その後に、氷酢酸9.22gおよび10%の硫酸鉄(II)七水和物2.60gを添加し、次に18%の過酸化水素溶液4.9gを添加した。 その後に、脱塩水124.7gとC15の平均鎖長を有するアルカンスルホネートのNa塩の混合物0.20g(40%で)と第三ドデシルメルカプタン2.3gとスチレン84.64gとエチルヘキシルアクリレート42.32gと第三ブチルアクリレート42.32gとからなるモノマーの供給を開始した。供給時間は、90分間であった。同時に、18%の過酸化水素溶液39.6gの120分間に亘る供給を開始した。この混合物を30分間、後重合させ、次に50℃に冷却した。次に、10%の第三ブチルヒドロペルオキシド2.19gを添加し、さらに30分間攪拌し、その後に30℃に冷却した。次に、25%のNaOH28.94gおよび水100mlを添加し、それによって分散液を中性になるように調節した。
【0122】
25.47質量%の固体含量および83%のLD値(0.1%)を有する微細に分配されたポリマー分散液が得られた。平均粒度は98nmであった。
【0123】
比較例B、WO 02/14393 A1からの実施例1に対応する
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、0.03〜0.04のCOO−置換度および34のK値(DIN 53726により測定した)を有する、酸化された劣化澱粉144g(Suedstaerke社のAmylex(登録商標)15)および水298gを最初に装入し、攪拌しながら25分間で85℃に加熱した。次に、25質量%の酢酸カルシウム水溶液1.6gおよび1質量%の市販の酵素溶液10g(α−アミラーゼ、Novo Nordisk社のTermamyl(登録商標)120L)を添加した。30分後に、酵素による澱粉分解を氷酢酸16gの添加によって停止させた。更に、1質量%の硫酸鉄(II)水溶液32gを添加した。
【0124】
この反応混合物の温度を85℃に維持した。この温度で90分間で、水100gと4質量%の乳化剤溶液5g(Na−C14〜C15アルキルスルホネート、Bayer AG社のEmulgator(登録商標)K30)とn−ブチルアクリレート84gとスチレン196gとからなる混合物を添加した。モノマーの供給と同時に、開始剤の供給を開始した。最初の30分間で、30質量%の過酸化水素溶液40gを添加した。引続き、75分間で30%の過酸化水素溶液13gを添加した。全てのモノマー量が添加された後、開始剤の供給が終結するまで温度を重合温度に維持した。引続き、室温に冷却し、分散液のpH値を5に調節した。
【0125】
42質量%の固体含量、93%のLD値および88nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0126】
比較例C、WO 02/14393 A1からの比較例2に対応する
攪拌機、還流冷却器、計量供給装置および窒素雰囲気下で作業するための装置を装備した重合容器中で、0.03〜0.04のCOO−置換度および34のK値(DIN 53726により測定した)を有する、酸化された劣化澱粉144.5g(Suedstaerke社のAmylex(登録商標)15)および水330gを最初に装入し、攪拌しながら25分間で85℃に加熱した。次に、25質量%の酢酸カルシウム水溶液1.6gおよび1質量%の市販の酵素溶液10g(α−アミラーゼ、Novo Nordisk社のTermamyl(登録商標)120L)を添加した。30分後に、酵素による澱粉分解を氷酢酸16gの添加によって停止させた。更に、1質量%の硫酸鉄(II)水溶液32gを添加した。
【0127】
この反応混合物の温度を85℃に維持した。この温度で90分間で、水100gと4質量%の乳化剤溶液5g(Na−C14〜C15アルキルスルホネート、Bayer AG社のEmulgator(登録商標)K30)とn−ブチルアクリレート84gとスチレン196gとからなる混合物を添加した。モノマーの供給と同時に、開始剤の供給を開始した。30質量%の過酸化水素溶液13gを90分間で添加した。モノマーの添加の終結後、開始剤の供給が終結するまで温度を重合温度に維持した。引続き、室温に冷却し、分散液のpH値を5に調節した。
【0128】
43.5質量%の固体含量、90%のLD値および119nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0129】
比較例D、WO 99/42490 A1からの実施例9に対応する
攪拌機およびジャケット加熱部を備えた、2 lの表面研磨機(Planschliffkolben)中で窒素の下で酸化的に分解されたジャガイモ澱粉109.2g(Avebe社のPerfectamy(登録商標)A 4692)を完全脱塩水1062g中に分散させ、この澱粉を攪拌しながら86℃への加熱によって溶解した。順次に1%の硫酸鉄(II)溶液23.2gおよび3%の過酸化水素溶液71.4gを添加し、引続き86℃で15分間攪拌した。その後に、同時に一定の計量供給速度で90分間で次の2つの計量供給溶液を計量供給した:1)スチレン145.6gとn−ブチルアクリレート102.8gとメチルメタクリレート85.6gとを有するモノマー混合物、ならびに2)3%の過酸化水素溶液97.4g。計量供給の終結後、86℃で15分間、後攪拌し、引続き第三ブチルヒドロペルオキシド2gを添加することによって後活性化した。更に、86℃で60分間の後攪拌時間の後、分散液を室温に冷却し、エチレンジアミンテトラアセテートの10%の溶液(テトラナトリウム塩として)を添加し、10%の苛性ソーダ液11.4gでpH6.5に調節した。
【0130】
目開き100μmを有するポリアミドフィルターを介して濾過し、25.0%の固体含量を有する、微細に分配された分散液を得た。これから製造された2.5%の溶液の吸光度は、0.884であった(660nm、1cm−キュベット)。
【0131】
比較例E、WO 99/42490 A1からの実施例1に対応する
攪拌機、還流冷却器およびジャケット加熱部を備えた、2 lの表面研磨機(Planschliffkolben)中で窒素の下で酸化的に分解されたジャガイモ澱粉124.5g(Avebe社のPerfectamy(登録商標)A 4692)を完全脱塩水985g中に分散させ、および86℃への加熱によって溶解した。順次に1%の硫酸鉄(II)溶液42.7gならびに3%の過酸化水素溶液166gを添加し、86℃で15分間攪拌した。15分後に、同時にではあるが別々に、一定の計量供給速度で90分間で86℃で次の計量供給溶液を計量供給した:1)スチレン106.6gとn−ブチルアクリレート80.3gと第三ブチルアクリレート80.3gを含有する混合物、ならびに2)3%の過酸化水素溶液93.7g。計量供給の終結後、さらに86℃で15分間攪拌し、次に後活性化のために第三ブチルヒドロペルオキシド2gを添加した。86℃でさらに60分後、室温に冷却し、テトラナトリウム塩としてのエチレンジアミンテトラ酢酸の10%の溶液10gを添加し、10%の苛性ソーダ液13gでpH値を6.5に調節した。
【0132】
目開き100μmを有する濾布を介して濾過し、25.0%の固体含量を有する、微細に分配された分散液を得た。微細に分配された分散液は、スチレン80mg/kg、n−ブチルアクリレート90mg/kgならびに第三ブチルアクリレート50mg/kgの残留モノマー含量を有していた。2.5%に希釈された分散液の混濁値は、0.63であった(660nm、1cm キュベット)。粒度は、74.5nmであった(WO 99/42490 A1の記載と同様のレーザー相関分光分析によって測定した)。
【0133】
実施例および比較例により得られたポリマー分散液の使用技術的試験
劣化されたトウモロコシ澱粉の水溶液を望ましい濃度に調節した。次に、この澱粉溶液に実施例および比較例の試験すべき分散液を計量供給し、その結果、サイズプレス液は、劣化されたトウモロコシ澱粉100g/lならびにそれぞれ分散液1〜3g/lを含有していた。引続き、澱粉溶液とポリマー分散液との混合物をサイズプレスを用いて紙上に、AKD(アルキルジケテン)でパルプ中で僅かに予めサイズ剤が施された80g/m2の秤量で50℃の温度で塗布した。調製物の摂取量は、約45%の範囲内であった。引続き、こうして処理された紙を接触乾燥により90℃で乾燥させ、50%の空気湿度で24時間状態調節し、次に試験に掛けた。
【0134】
試験紙としてAKDでパルプ中に僅かに予めサイズ剤が施された紙が使用され、この紙は、次の組成を有していた:19%の充填剤含量を有する繊維組成物(カバ材の漂白硫酸塩パルプ80%およびマツ材の漂白硫酸塩パルプ20%)(Omya社のHydrocarb(登録商標)60ME)。
【0135】
表面にサイズ剤が施された紙のサイズ度を測定するために、DIN EN 20535によるCobb60値を測定した。水との接触および60秒の接触時間の後の枚葉紙のg/m2での吸水度がCobb60値として定義された。Cobb60値が低ければ低いほど、使用された分散液のサイズ効果は、ますます良好になる。HST値をTappi標準規格T 530に基づきハーキュリーズ・サイジング試験(Hercules Sizing Test)により算出した。HST値が高ければ高いほど、使用された分散液のサイズ効果は、ますます良好になる。この試験の結果は、第1表中に記載されている。
【0136】
【表1】

【0137】
本発明による実施例の記載から、テルペン含有連鎖移動剤なしの相応する比較例と比較して明らかに低いCobb60値ならびに高いHST値が達成され、それによって製造された紙は改善されたサイズ効果を示すことが明らかになる。この効果は、それぞれのポリマー分散液の塗布量と共に顕著に増大する。
【0138】
また、公知技術水準から公知のポリマー分散液と比較して、明らかに改善されたサイズ効果が達成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン系不飽和モノマーを少なくとも1つのレドックス開始剤および澱粉の存在下でフリーラジカル乳化重合させることによって得られる、微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液において、エチレン系不飽和モノマーとして
(a)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン30〜60質量%、
(b)少なくとも1つのアクリル酸−C1〜C12アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸−C1〜C12アルキルエステル1〜60質量%、
(c)少なくとも1つの別のエチレン系不飽和の共重合可能なモノマー0〜10質量%が使用され、
および澱粉として
(d)1000〜65000g/molの分子量Mwを有する、少なくとも1つの劣化された澱粉15〜40質量%が使用され、
この場合総和(a)+(b)+(c)+(d)は、100%であり、および全固体含量に関連し、およびこの場合重合は、使用されるモノマーに対して少なくとも0.01質量%の少なくとも1つのテルペン含有連鎖移動剤の存在下で実施される、上記の微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液。
【請求項2】
エチレン系不飽和モノマーとして
(a)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン30〜60質量%、
(b)少なくとも1つのアクリル酸−C1〜C12アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸−C1〜C12アルキルエステル1〜29質量%、
(c)少なくとも1つの別のエチレン系不飽和の共重合可能なモノマー0.1〜5質量%が使用され、
および澱粉として
(d)1000〜65000g/molの分子量Mnを有する、少なくとも1つの劣化された澱粉25〜35質量%が使用され、
この場合総和(a)+(b)+(c)+(d)は、100%であり、および全固体含量に関連し、およびこの場合重合は、使用されるモノマーに対して少なくとも0.01質量%の少なくとも1つのテルペン含有連鎖移動剤の存在下で実施される、請求項1記載の微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液。
【請求項3】
エチレン系不飽和モノマーとして
(a)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン40〜50質量%、
(b)アクリル酸−C1〜C12アルキルエステルまたはメタクリル酸−C1〜C12アルキルエステル5〜25質量%、
(c)少なくとも1つの別のエチレン系不飽和の共重合可能なモノマー0.1〜5質量%が使用され、
および澱粉として
(d)2500〜35000g/molの分子量Mwを有する、少なくとも1つの劣化された澱粉25〜35質量%が使用され、
この場合総和(a)+(b)+(c)+(d)は、100%であり、および全固体含量に関連し、およびこの場合重合は、使用されるモノマーに対して少なくとも0.01質量%の少なくとも1つのテルペン含有連鎖移動剤の存在下で実施される、請求項1または2記載の微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液。
【請求項4】
エチレン系不飽和モノマーとして
(a)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン40〜50質量%、
(b)アクリル酸−C1〜C12アルキルエステル5〜25質量%、
(c)少なくとも1つの別のエチレン系不飽和の共重合可能なモノマー0.1〜5質量%が使用され、
および澱粉として
(d)2500〜35000g/molの分子量Mwを有する、アニオン性の劣化された澱粉25〜35質量%が使用され、
この場合総和(a)+(b)+(c)+(d)は、100%であり、および全固体含量に関連し、およびこの場合重合は、使用されるモノマーに対して少なくとも0.01質量%の連鎖移動剤としての少なくとも1つの単環式モノテルペンの存在下で実施される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液。
【請求項5】
エチレン系不飽和モノマーとして
(a)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン40〜50質量%、
(b)アクリル酸−C1〜C4アルキルエステル5〜25質量%、
(c)少なくとも1つの別のエチレン系不飽和の共重合可能なモノマー0.1〜5質量%が使用され、
および澱粉として
(d)2500〜35000g/molの分子量Mwを有する、アニオン性の劣化された澱粉25〜35質量%が使用され、
この場合総和(a)+(b)+(c)+(d)は、100%であり、および全固体含量に関連し、およびこの場合重合は、使用されるモノマーに対して少なくとも0.01質量%の連鎖移動剤としてのテルピノレンの存在下で実施される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液。
【請求項6】
テルペン含有連鎖移動剤がモノマーに対して0.01〜10質量%の量で使用される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液。
【請求項7】
テルペン含有連鎖移動剤がモノマーに対して0.05〜5質量%の量で使用される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液の製造法において、
(a)少なくとも1つの場合により置換されたスチレン30〜60質量%、
(b)少なくとも1つのアクリル酸−C1〜C12アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸−C1〜C12アルキルエステル1〜60質量%、
(c)少なくとも1つの別のエチレン系不飽和の共重合可能なモノマー0〜10質量%、および
(d)1000〜65000g/molの分子量Mwを有する、少なくとも1つの劣化された澱粉15〜40質量%を、
但し、この場合総和(a)+(b)+(c)+(d)は、100%であり、および全固体含量に関連するものとし、
レドックス開始剤の存在下で水性媒体中で重合し、およびこの重合を、使用されるモノマーに対して少なくとも0.01質量%の少なくとも1つのテルペン含有連鎖移動剤の存在下で実施することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液の製造法。
【請求項9】
重合を連鎖移動剤としての少なくとも1つの単環式モノテルペン0.05〜5質量%の存在下で実施する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
重合を連鎖移動剤としてのテルピノレン0.05〜5質量%の存在下で実施する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
重合分散液に主要重合の終結後に過酸化水素、過酸化物、ヒドロペルオキシドおよび/またはアゾ開始剤の群からの開始剤を添加し、および後重合を実施する、請求項8から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
後重合のためにポリマー分散液に第三ブチルヒドロペルオキシドを添加する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
紙、板紙および厚紙のためのサイズ剤としての請求項1から7までのいずれか1項に記載の微細に分配された、澱粉含有ポリマー分散液の使用。

【公表番号】特表2013−506726(P2013−506726A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531360(P2012−531360)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064357
【国際公開番号】WO2011/039185
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】