説明

微細可動デバイス及びその駆動方法

【課題】主アクチュエータや駆動回路の簡素化を可能とし、また外部から供給する電圧を下げることができるようにする。
【解決手段】基体上に、可動部(可動子42)と、その可動部に連結されて双安定動作をする変形部材(ヒンジ41)と、可動部を駆動する主アクチュエータとを備え、その主アクチュエータによって可動部が2つの安定状態間を変位する微細可動デバイスにおいて、変形部材にその2つの安定状態の間に存在するエネルギー障壁を一時的に下げるエネルギー障壁低下手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基体上に、可動部と、その可動部に連結されて双安定動作をする変形部材と、可動部を駆動するアクチュエータとを備え、そのアクチュエータによって可動部が2つの安定状態間を変位する構成とされた微細可動デバイス及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図5はこの種の微細可動デバイスの従来例として、特許文献1に記載されている微細可動デバイスの構成を示したものであり、この例では微細可動デバイスは光スイッチを構成している。
【0003】
基板10の上面10aにはファイバ溝21が十字状に形成され、十字状のファイバ溝21により4分割された1つの領域が駆動体形成部22とされる。駆動体形成部22にはこれを2分するように、十字状をなすファイバ溝21の中心部21aと連通してロッド溝23が形成され、ロッド溝23の他端は駆動体形成部22に形成された凹部24に連通されている。
【0004】
ロッド溝23には可動ロッド25が配され、可動ロッド25の中心部21a側の一端にはミラー26が設けられている。可動ロッド25の他端側は凹部24内に延伸され、凹部24内に位置する可動ロッド25の両側の各2箇所には変形S字状をなすヒンジ(板ばねヒンジ)27a〜27dがそれぞれ連結され、これらヒンジ27a〜27dによって可動ロッド25はその延伸方向に変位自在に駆動体形成部22に支持されている。
【0005】
ヒンジ27a,27bと27c,27dとの間において櫛歯型の静電アクチュエータが設けられ、その可動櫛歯電極28が可動ロッド25の両側に固定され、可動櫛歯電極28のヒンジ27c,27d側とヒンジ27a,27b側とにそれぞれ第1固定櫛歯電極31及び第2固定櫛歯電極32が設けられている。可動櫛歯電極28は可動ロッド25の両側に突設延伸された支持アーム33のそれぞれ両側に形成されており、第1、第2固定櫛歯電極31,32はそれぞれ凹部24内の固定部34,35に固定支持されている。
【0006】
上記のような構成を有する光スイッチはSOI基板を用いて作製されており、即ち基板10はSOI基板とされる。なお、図5Bにおける11はSOI基板の中間絶縁層を示し、12,13はそれぞれ単結晶シリコンよりなるハンドル層及びデバイス層を示す。
【0007】
各構成要素はデバイス層13をエッチングすることによって形成されており、可動ロッド25、ミラー26、ヒンジ27a〜27d、可動櫛歯電極28及び支持アーム33といった可動体は、その下の中間絶縁層11がエッチング除去されて可動可能とされている。図5A中、36a〜36dはファイバ溝21に挿入固定された光ファイバを示す。
【0008】
ヒンジ27a〜27dは双安定動作をするものとされ、即ち2つの異なる安定状態(安定な屈曲状態)をとることができる。例えば、この光スイッチの作製初期状態(第1安定状態)において、図5Aに示したようにミラー26が中心部21aに位置するものとする。この時、例えば光ファイバ36aから出射した光はミラー26によって反射されて光ファイバ36bに入射し、光ファイバ36dから出射した光はミラー26によって反射されて光ファイバ36cに入射する。
【0009】
支持アーム33、可動ロッド25、ヒンジ27a〜27dを介して可動櫛歯電極28と電気的に接続されている駆動体形成部22及び第2固定櫛歯電極32を接地した状態で第1固定櫛歯電極31に電圧を印加すれば、第1固定櫛歯電極31と可動櫛歯電極28との間に静電吸引力が働き、その力が第1安定状態の保持力よりも大きい場合、ヒンジ27a〜27dは第2安定状態に反転し、その電圧を絶ってもその状態で自己保持される。この時、図6に示したようにミラー26は中心部21aから退避した状態となり、光ファイバ36a,36dからの各出射光は光ファイバ36c,36bにそれぞれ入射される。
【0010】
駆動体形成部22及び第1固定櫛歯電極31を接地した状態で第2固定櫛歯電極32に電圧を印加すれば、第2固定櫛歯電極32と可動櫛歯電極28との間に静電吸引力が働き、その力が第2安定状態の保持力よりも大きい場合、ヒンジ27a〜27dは反転し、再び第1安定状態に戻り、このようにして光路の切り替えが行われるものとなっている。
【特許文献1】特開2005−134895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、従来の微細可動デバイスは2つの安定した屈曲状態をとりうるヒンジによって可動部(可動ロッド)を支持しており、静電アクチュエータに電圧を印加し、その静電吸引力により可動部を駆動してヒンジの屈曲状態を反転させることにより、可動部が2つの安定状態間を変位し、印加電圧を解除してもその状態を保持するものとなっている。
【0012】
しかるに、このような双安定動作をするヒンジには、その2つの安定状態の間に、ヒンジの反力が最大となるエネルギー障壁が存在しており、2つの安定状態を行き来するためにはこのエネルギー障壁を超えなければならない。そのため、このような双安定な動作をする変形部材を備えた微細可動デバイスでは大きな駆動力を発生するアクチュエータが必要となり、よって例えばアクチュエータの複雑化や外部から供給する電圧の増大、アクチュエータにエネルギー(電圧)を供給する回路等の大型化・複雑化を招くものとなっていた。
【0013】
この発明の目的はこのような問題に鑑み、アクチュエータに必要とされる駆動力を下げることができ、よってアクチュエータやアクチュエータを駆動する回路の簡素化を図ることができ、外部からの供給電圧を下げることができるようにした微細可動デバイスを提供することにあり、さらにその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明によれば、基体上に可動部と、その可動部に連結されて双安定動作をする変形部材と、可動部を駆動する主アクチュエータとを備え、その主アクチュエータによって可動部が2つの安定状態間を変位する微細可動デバイスにおいて、変形部材にその2つの安定状態の間に存在するエネルギー障壁を一時的に下げるエネルギー障壁低下手段が設けられる。
【0015】
請求項2の発明では請求項1の発明において、エネルギー障壁低下手段は変形部材の可動部に連結されていない側の端部を一時的に変位させる第2のアクチュエータよりなるものとされる。
【0016】
請求項3の発明では請求項2の発明において、変形部材は座屈型のヒンジとされ、そのヒンジの可動部に連結されていない側の端部は両端を固定された板ばね状のばね部の腹に連結されており、そのばね部の腹のヒンジが連結されている側とは反対側に可動平板電極が連結され、その可動平板電極と対向して固定平板電極が設けられ、第2のアクチュエータは可動平板電極と固定平板電極とで構成される並行平板型の静電アクチュエータとされる。
【0017】
請求項4の発明によれば、変形部材の2つの安定状態の一方が他方よりも相対的に高いエネルギーをもつような請求項1記載の微細可動デバイスの駆動方法は、変形部材のエネルギーの高い安定状態から低い安定状態に可動部を変位させる際には、主アクチュエータを動作させず、エネルギー障壁低下手段によるエネルギー障壁の一時的な低下だけで変位させるものとする。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、可動部を駆動する主アクチュエータに必要とされる駆動力を下げることができる。従って、主アクチュエータや主アクチュエータを駆動する回路の簡素化を図ることができ、また外部から供給する電圧を下げることができ、これらの点でコストダウンを図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
【0020】
図1はこの発明による微細可動デバイスの一実施例の要部構成を示したものであり、この例では微細可動デバイスは図5に示した従来の微細可動デバイスと同様、光スイッチを構成するものとなっている。
【0021】
双安定動作をし、2つの安定状態をとりうる変形部材は図5と同様、変形S字状をなす座屈型の板ばね状のヒンジ41とされ、この例では一対のヒンジ41が可動部をなす可動子42の両側にそれぞれ連結され、これら一対のヒンジ41によってロッド状の可動子42はその延伸方向に変位自在に支持されている。可動子42の先端にはミラー43が形成されている。
【0022】
可動子42は櫛歯型の静電アクチュエータによって駆動されるものとなっており、可動子42の後端側の両側に突設延伸された支持アーム44のそれぞれ両側に可動櫛歯電極45が形成され、可動子42の変位方向(延伸方向)において可動櫛歯電極45を挟むように第1固定櫛歯電極46及び第2固定櫛歯電極47が設けられている。
【0023】
各ヒンジ41の可動子42に連結されている一端側と反対側の他端部は、板ばね状のばね部51の腹(延伸方向中央)に連結されている。ばね部51は可動子42の変位方向に延伸されており、両端は固定部52にそれぞれ連結固定されている。
【0024】
ばね部51の腹のヒンジ41が連結されている側とは反対側には連結部53を介して可動平板電極54が連結されており、この可動平板電極54と所定の間隙を介して対向するように固定平板電極55が設けられている。これら可動平板電極54と固定平板電極55によって並行平板型の静電アクチュエータが構成されている。なお、両端が固定部52に支持されたばね部51はその延伸方向と直交する方向に変形する(撓む)ものとなっているが、双安定動作をするヒンジ41から受ける力によっては変形を起こさない剛性を有するものとされる。
【0025】
上記のような構成を有する光スイッチは、図5に示した従来の光スイッチと同様、中間絶縁層を介して単結晶シリコンよりなるハンドル層、デバイス層が接合されてなるSOI基板を用いて作製することができる。各構成要素はデバイス層をエッチングすることによって形成され、基体をなすハンドル層上に位置される。ヒンジ41、可動子42、ミラー43、支持アーム44、可動櫛歯電極45、ばね部51、連結部53及び可動平板電極54といった可動体は、その下の中間絶縁層がエッチング除去されて可動可能とされる。
【0026】
次に、この光スイッチの駆動方法について説明する。なお、可動櫛歯電極45は支持アーム44、可動子42、ヒンジ41、ばね部51を介して固定部52と電気的に接続されており、また可動平板電極54は連結部53、ばね部51を介して固定部52と電気的に接続されている。固定部52は接地される。
【0027】
図1に示した第1の安定状態において、第1固定櫛歯電極46に電圧を印加すると、第1固定櫛歯電極46と可動櫛歯電極45間の静電吸引力により、図1中に矢印で示した第2方向への駆動力が発生する。ヒンジ41の屈曲状態が反転し、第2の安定状態となるためには、変形中のヒンジ41の最大反力以上の駆動力が必要であり、このヒンジ41の反力は屈曲したヒンジ形状により発生する。
【0028】
そこで、第1固定櫛歯電極46への電圧印加(ヒンジ変形開始)と同時に、あるいは第1固定櫛歯電極46に電圧を印加する前後に、固定平板電極55に電圧を印加すると、固定平板電極55と可動平板電極54間の静電吸引力により、図1における右側の可動平板電極54には矢印で示した第3方向に、左側の可動平板電極54には矢印で示した第4方向に駆動力が発生し、これによりばね部51がそれぞれ変形してヒンジ41を引っ張り、ヒンジ41をほぼ直線化させる。
【0029】
このヒンジ41の直線化により可動子42は第2方向へ移動し、同時にこのヒンジ41の直線化によりヒンジ41の反力が低下するため、第1固定櫛歯電極46に印加する電圧が従来より低くても、つまり従来より小さな駆動力で可動子42は図2に示したような中間状態まで移動する。
【0030】
次に、第1固定櫛歯電極46に電圧を印加したまま、固定平板電極55への印加電圧を解除する(固定平板電極55を接地する)。並行平板型の静電アクチュエータの駆動力が消滅し、ばね部51が元の直線状態に戻る。ばね部51が直線状態に復帰することにより、ヒンジ41は押され(圧縮力が加わり)、屈曲する。この屈曲により可動子42を第1方向か第2方向のどちらかへ押し出そうとするが、第1固定櫛歯電極46による第2方向への駆動力が発生しているため、可動子42は第2方向へ移動する。その結果、可動子42とヒンジ41は図3に示した第2の安定状態となり、第1固定櫛歯電極46への印加電圧を解除しても、その状態を保持する。
【0031】
このようにして、この例では第1の安定状態から第2の安定状態への駆動が行われる。なお、第2の安定状態から第1の安定状態への駆動は、上記第1の安定状態から第2の安定状態への駆動方法における第1固定櫛歯電極46への電圧印加を、第2固定櫛歯電極47への電圧印加に置き替える(読み替える)ことにより行われる。
【0032】
以上、説明したように、この例では可動子42を駆動する櫛歯型静電アクチュエータ(主アクチュエータ)とは別に、ヒンジ41の可動子42に連結されていない側の端部を一時的に変位させる並行平板型静電アクチュエータ(第2のアクチュエータ)を具備するものとなっており、この第2のアクチュエータによってヒンジ41の2つの安定状態の間に存在するエネルギー障壁を、可動子42が変位する際に一時的に下げることができるものとなっている。これにより、この例では主アクチュエータに必要とされる駆動力を下げることができ、よって主アクチュエータや主アクチュエータを駆動する回路の簡素化を図ることができ、また外部からの供給電圧を下げることができ、これらの点でコストダウンを図ることが可能となる。
【0033】
ここで、具体的数値例に基づいて説明する。
各ヒンジ41の長さを1mmとし、また図4中に示した各部の寸法を下記とする。
【0034】
ヒンジ41の幅 :W=2μm
ばね部51の長さ:L=302μm
ばね部51の幅 :W=4μm
連結部53の幅 :W=5μm
可動平板電極54・固定平板電極55の対向幅:W=300μm
可動平板電極54・固定平板電極55間の間隙: G =1.5μm
なお、これらヒンジ41、ばね部51、連結部53及び可動平板電極54の厚さ(高さ)はSOI基板のデバイス層厚=100μmとなっている。
【0035】
ヒンジ41及び第2のアクチュエータである並行平板型静電アクチュエータの仕様を上記とし、今、仮りに並行平板型静電アクチュエータを動作させず、つまり従来と同様、主アクチュエータである櫛歯型静電アクチュエータのみを動作させて、図1の第1の安定状態から図3の第2の安定状態に可動子42を変位させる場合、第1固定櫛歯電極46に印加する電圧は65V以上の大きさの電圧が必要となる。
【0036】
これに対し、並行平板型静電アクチュエータを動作させる場合、固定平板電極55への印加電圧50Vで、ヒンジ41のばね部51に連結されている端部を最大0.8μm変位させることができ(図2中、変位をxで示す)、これによって第1の安定状態から第2の安定状態に可動子42を変位させるために必要な第1固定櫛歯電極46への印加電圧を50V以下に低減することができた。
【0037】
静電アクチュエータの駆動回路には、従来においては例えば基本電圧27Vを整数倍する昇圧回路を利用しており、従来は回路寸法が大きく、パッケージの障害となっていた3倍昇圧(81V)回路が必要であったのに対し、この例では上述したように駆動電圧を50V以下にすることができ、よって小寸法でパッケージに有利な2倍昇圧(54V)回路の採用が可能となった。
【0038】
以下、図1に示した光スイッチを駆動する場合の、上述した方法とは異なる駆動方法について説明する。
例えば、光スイッチを図1に示した第1の安定状態を初期状態として作製した場合、第1の安定状態ではヒンジ41にストレスはほとんど存在していないが、双安定となる第2の安定状態ではヒンジ41が初期状態(第1の安定状態)から変形しているため、ストレスを内包している。即ち、第1の安定状態より第2の安定状態の方が高いエネルギーを内包している。従って、双安定な2つの安定状態の間に存在するエネルギー障壁を取り除いてやれば、可動子42はより低いエネルギー状態である第1の安定状態に自発的に変位することになる。
【0039】
この例では屈曲したヒンジ41によりエネルギー障壁が形成されており、ヒンジ41の直線化によりエネルギー障壁を取り除くことができる。つまり、第2の安定状態において固定平板電極55に電圧を印加すると、ばね部51が変形してヒンジ41を引っ張り、ヒンジ41が直線化する。これにより、可動子42は図2に示した中間状態に変位すると共に、エネルギー障壁が取り除かれ、次いで固定平板電極55への印加電圧を解除すると、ばね部51が直線状態に復帰し、ヒンジ41が屈曲して可動子42はよりエネルギーの低い第1の安定状態へと変位する。
【0040】
このように、この駆動方法によれば、第2の安定状態から第1の安定状態に変位させる際に、第2固定櫛歯電極47への電圧印加が不要となり、あるいは印加電圧が極めて小さくて済む。第2固定櫛歯電極47への電圧印加が不要の場合には、第2固定櫛歯電極47自体が不要となり、これによりデバイスの小型化を図ることができ、また電圧を与える制御の簡素化を図ることができる。さらに、第2固定櫛歯電極47に対応する可動櫛歯電極45が不要となるため、可動子42(可動体)の軽量化を図ることができ、その点で耐衝撃性を向上することができる。
【0041】
以上、光スイッチを例に説明したが、この発明による微細可動デバイスは、双安定動作をする変形部材で可動部を支持して、可動部を2つの位置のいずれかに選択的に位置させ、自己保持させる構造の各種デバイスに適用することができ、一例をあげればリレーデバイス等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明による微細可動デバイスの一実施例の要部構成を示す平面図。
【図2】図1に示した微細可動デバイスが駆動され、第1の安定状態から第2の安定状態に変位する途中の中間状態を示す平面図。
【図3】図1に示した微細可動デバイスの変位後の状態(第2の安定状態)を示す平面図。
【図4】図1に示した微細可動デバイスが備える第2のアクチュエータを拡大して示した平面図。
【図5】微細可動デバイスの従来構成例を示す図、Aは平面図、BはそのCC断面図。
【図6】図5に示した微細可動デバイスが駆動され、第1の安定状態から第2の安定状態に変位した後の状態を示す平面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上に、可動部と、その可動部に連結されて双安定動作をする変形部材と、可動部を駆動する主アクチュエータとを備え、その主アクチュエータによって可動部が2つの安定状態間を変位する微細可動デバイスにおいて、
前記変形部材に、その2つの安定状態の間に存在するエネルギー障壁を一時的に下げるエネルギー障壁低下手段が設けられていることを特徴とする微細可動デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の微細可動デバイスにおいて、
前記エネルギー障壁低下手段は、前記変形部材の前記可動部に連結されていない側の端部を一時的に変位させる第2のアクチュエータよりなることを特徴とする微細可動デバイス。
【請求項3】
請求項2記載の微細可動デバイスにおいて、
前記変形部材は座屈型のヒンジとされ、
そのヒンジの前記可動部に連結されていない側の端部は両端を固定された板ばね状のばね部の腹に連結されており、
そのばね部の腹の前記ヒンジが連結されている側とは反対側に可動平板電極が連結され、
その可動平板電極と対向して固定平板電極が設けられ、
前記第2のアクチュエータは前記可動平板電極と前記固定平板電極とで構成される並行平板型の静電アクチュエータとされていることを特徴とする微細可動デバイス。
【請求項4】
前記変形部材の2つの安定状態の一方が他方よりも相対的に高いエネルギーをもつような請求項1記載の微細可動デバイスを駆動する方法であって、
前記変形部材のエネルギーの高い安定状態から低い安定状態に前記可動部を変位させる際には、前記主アクチュエータを動作させず、前記エネルギー障壁低下手段によるエネルギー障壁の一時的な低下だけで変位させることを特徴とする微細可動デバイスの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−274158(P2009−274158A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125724(P2008−125724)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】