説明

情報入出力装置

【課題】 より簡単な構成で簡単な操作によりかな文字やアルファベットを含む情報を入力することができるとともに、視覚を必要とせずに出力された情報をより容易に認識することができる情報入出力装置1を提供する。
【解決手段】 情報入出力装置1は、十字方向の所定位置にそれぞれ配置される4つの出力キーと、4つの入力キーと、を備える情報入出力装置1であって、出力キーは、突出状態と、非突出状態とに制御可能であるとともに、所定位置に保持される第1の態様、中心から見て左側方向に保持される第2の態様、中心から離反する方向に保持される第3の態様、及び中心から見て右側方向に保持される第4の態様に制御可能であり、突出状態及び非突出状態の組み合わせにより母音を示すとともに、第2の態様、第3の態様、及び第4の態様のいずれかの態様に制御することにより子音を示すことにより情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報機器とその情報機器のユーザとの間で情報のやりとりを行うユーザインターフェースの一種であり、キー操作によりユーザが情報機器に対して情報を入力することができるとともに、キーの動きにより情報機器からユーザに対して情報の出力することができる情報入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報機器のユーザが情報機器に情報を入力する装置としては、パーソナルコンピュータにおいて、例えば0から9までの数字のボタンを備えており、これらのボタンを押下することで数字を入力することができるテンキーやかな文字及びアルファベットが割り振られたボタンを備えており、これらを押下することによりかな文字やアルファベットを入力することができるキーボードが知られている(例えば、特許文献1)。また、より簡単な構成で数字、かな文字、及びアルファベットが入力可能な携帯電話のキーパットが知られている(例えば、特許文献2)。
【0003】
一方、情報機器からユーザに対して情報を出力する装置としては、パーソナルコンピュータや携帯電話機のディスプレイが知られており、例えば視覚に障害を持つユーザに対して情報を出力するために、表面から選択的に格納可能な複数のピンを有するエンボス型の触覚ディスプレイも知られている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−317201号公報
【特許文献2】特開2007−193752号公報
【特許文献3】特表2003−502699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、パーソナルコンピュータのキーボードは操作すべきキーが多く、情報機器のユーザがキーボードを見ずにキーボードを操作する所謂ブラインドタッチを行うためには熟練が必要であった。また、テンキーでは数字しか入力することができず、携帯電話機のキーパット等は、操作できるボタンの数が少ないため1つのボタンに多くのかなやアルファベットを関連付ける必要があり、1文字を入力するために同じボタンを数回押下する必要がある場合があるなど操作が複雑になり問題があった。
【0006】
また、情報を出力する装置として、ディスプレイは他人に見える場所での使用は情報セキュリティ上問題があった。また、エンボス型の触覚ディスプレイは例えば点字などをディスプレイ上に配置するものであるので、少なくとも点字を覚える必要があるなど、使用するためには熟練が必要であった。
【0007】
そこで本発明は、より簡単な構成で簡単な操作によりかな文字やアルファベットを含む情報を入力することができるとともに、視覚を必要とせずに出力された情報をより容易に認識することができる情報入出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の情報入出力装置は、中心から等間隔離して十字方向の所定位置にそれぞれ配置される4つの出力キーと、前記出力キーの外側にそれぞれ配置される4つの入力キーと、を備える情報入出力装置であって、前記4つの出力キーは、それぞれ上方に突出する突出状態と、当該突出状態よりも下方に位置する非突出状態とに制御可能であるとともに、前記所定位置に保持される第1の態様、前記所定位置よりも中心から見て左側方向に保持される第2の態様、前記所定位置よりも中心から離反する方向に保持される第3の態様、及び前記所定位置よりも中心から見て右側方向に保持される第4の態様に制御可能であり、前記4つの出力キーの前記突出状態及び前記非突出状態の組み合わせにより母音を示すとともに、前記4つの出力キーのうちのいずれか1の出力キーを前記第2の態様、前記第3の態様、及び前記第4の態様のいずれかの態様に制御することにより子音を示すことにより情報を出力することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の情報入出力装置は、前記4つの入力キーは、上方に突出した状態に保持される非押下状態と、所定範囲まで押下される半押下状態と、当該半押下状態よりも深く押下される押下状態とを感知可能であるとともに、所定位置に維持される非移行状態、中心から見て左側方向に移行される左方向状態、前記所定位置よりも中心から離反する方向に移行される離反状態、及び中心から見て右側方向に移行される右方向状態、を感知可能であって、前記入力キーのうち、操作者から見て最も離れる側に配置された入力キーの右方向状態から時計回りに、前記4つの入力キーの左方向状態、離反状態、及び右方向状態の順に1から12までの数字を入力可能であることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の情報入出力装置は、前記4つの入力キーは、半押下状態及び押下状態と、前記左方向状態、前記離反状態、及び前記右方向状態と、の組み合わせによりアルファベットを入力可能であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の情報入出力装置は、十字方向の所定位置に配置された4つの出力キーだけの簡単な構成で、全てのかな文字の情報を出力することができる。すなわち、4つのキーの突出状態と非突出状態の組合せにより16通りの情報を出力することができるので「アイウエオ」の5通りの母音情報を清音、濁音、半濁音の3通りの合計15通りについて出力することができるとともに、4つの出力キーのうちの1つの出力キーが所定位置に保持される第1の態様以外の、所定位置よりも中心から見て左側方向に保持される第2の態様、所定位置よりも中心から離反する方向に保持される第3の態様、又は所定位置よりも中心から見て右側方向に保持される第4の態様に制御することにより12通りの情報を出力することができるので、「アカサタナハマヤラワ」の10通りの情報を出力することができ、これらを組み合わせることにより、全てのかな文字の情報を出力することができる。
【0012】
これにより、請求項1に記載の情報入出力装置は、例えば視覚に障害を持つユーザに対して情報を出力する装置として用いることができる。
【0013】
請求項2に記載の情報入出力装置は、4つの入力キーは、操作により上方に突出した状態に保持される非押下状態と、所定範囲まで押下される半押下状態と、当該半押下状態よりも深く押下される押下状態とを感知可能であるとともに、4つの入力キーは、所定位置に維持される非移行状態、中心から見て左側方向に移行される左方向状態、所定位置よりも中心から離反する方向に移行される離反状態、及び中心から見て右側方向に移行される右方向状態、を感知可能であるので、いずれかの入力キーについてユーザの操作により非押下状態、半押下状態、又は押下状態に保持し、左方向状態、離反状態、又は右側状態に保持することで、36通り(入力キー4つ×3通り×3通り)の情報を入力することができる。このように請求項2に記載の情報入出力装置は、4つの入力キーのみで36通りの情報を入力することができる。また、入力キーのうち、操作者から見て最も離れる側に配置された入力キーの右方向状態から時計回りに、4つの入力キーの左方向状態、離反状態、及び右方向状態の順に1から12までの数字を入力可能であり、この数字は時計の配置と同じであるので、極めて容易に記憶することができる。
【0014】
このように請求項2に記載の情報入出力装置は、例えば4桁の暗証番号を設定する際に、12進法で暗証番号を設定することができ、10進法で暗証番号を設定するものよりも高いセキュリティを提供することができる。また、簡単な配置であるのでユーザが目で見ながらでなくとも入力することができるので、情報入出力装置の周囲を周囲の視線を遮る目隠しで覆った状態で暗証番号などを入力することができるので、よりセキュリティに優れる。
【0015】
請求項3に記載の情報入出力装置は、入力キーが、非押下状態をのぞいても、24通りの情報を入力することができるので、4つの入力キーのいずれかを操作することによりアルファベットを入力することが可能である。
【0016】
このように極めて簡単に入力することができるので、例えばマウスに、情報入出力装置を取り付けることで、キーボードを必要としないパソコンの入力インターフェースとして使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】情報出入力装置の電気的構成を示すブロック図。
【図2】情報出入力装置の外観構成を示す正面図。
【図3】入力キーの非押下状態、半押下状態、及び押下状態を説明する断面図。
【図4】入力キーの左方向状態の一例を説明する断面図。
【図5】入力キーの非移行状態、左方向状態、離反状態、及び右方向状態と、出力キーの第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び第4の態様とを説明する正面図。
【図6】出力キーの突出状態及び非突出状態と、第1の態様、及び第2の態様を説明する断面図。
【図7】かな文字を出力する場合に出力する文字の母音に応じて制御される出力キーの突出状態及び非突出状態のパターンを示す一覧表図。
【図8】かな文字を出力する場合に出力する文字の母音に応じて制御される出力キーの突出状態及び非突出状態のパターンを模擬的に示す図。
【図9】かな文字を出力する場合に出力する文字の子音に応じて制御される出力キーの第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び第4の態様のパターンを示す一覧表図。
【図10】かな文字を出力する場合に出力する文字の子音に応じて制御される出力キーの第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び第4の態様の動作を説明する図。
【図11】情報入出力装置を用いて数字を入力する場合の入力キーの操作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の情報入出力装置1の最良の実施形態について各図を参照しつつ説明する。情報入出力装置1は、図1に示すように、CPU(Central
Processing Unit)101、HDD(Hard Disk Drive)102、RAM(Random Access Memory)103、第1の入力キー104a、第2の入力キー104b、第3の入力キー104c、第4の入力キー104d、第1の出力キー105a、第2の出力キー105b、第3の出力キー105c、第4の出力キー105d、LAN−I/F(Local Area Network-Interface)106、及びこれらの間で情報の送受信を可能にするバス(bus)107により構成されており、図2に示すように、例えば樹脂により形成され、ほぼ平坦な矩形のボード108上に、当該ボード108の中心から等間隔離して十字方向の所定位置にそれぞれ各出力キー105が配置されるとともに、これらの出力キー105の外側に各入力キー104が配置されて形成されている。
【0019】
CPU101は、情報入出力装置1の各部をHDD102に記憶された制御プログラムにしたがって制御するものである。HDD102は例えば各入力キー104が備える接触感知センサ2や押下感知センサ3などのセンサからの信号を数字やかな文字などの情報に変換する情報入力プログラムや、各種の情報に基づいて各出力キー105の動作を制御する出力制御プログラムなどの各種のプログラムを記憶している。また、RAM103は、HDD102から読み出した情報、入力キー104の各センサ2,3からの信号、及びLAN−I/F106から入力された情報を一時記憶している。LAN−I/F106は外部の情報機器からLAN4を介して情報を受信するものである。
【0020】
各入力キー104はぞれぞれ、図3に示すように、扁平に形成された入力キー頭部5及びこの入力キー頭部5の中央から下側に向かって延びる入力キー脚部6を有し鉛直断面が略T字状の入力キー本体7と、ボード108の入力キー104を取り付ける位置に形成され入力キー本体7の入力キー脚部6が挿入される入力キー挿入孔11と、ボード108の下側に配置されて、入力キー本体7の入力キー脚部6の先端が当接しており、入力キー本体7の入力キー頭部5が押下されていない非押下状態、非押下状態から押下された半押下状態、半押下状態からさらに押下された押下状態とにより高さを変更可能なノック機構8と、ノック機構8の非押下状態、半押下状態、及び押下状態を感知する押下感知センサ3と、ノック機構8の上端縁の所定箇所に複数設置され、入力キー本体7の先端位置を感知する接触感知センサ2と、を備えている。
【0021】
なお、図2に示すように、ユーザから最も離れる側の入力キー104を第1の入力キー104aとし、以下時計回りにユーザから見て右側の入力キー104を第2の入力キー104b、ユーザに最も接近する側の入力キー104を第3の入力キー104c、ユーザから見て左側の入力キー104を第4の入力キー104dとする。
【0022】
入力キー本体7の入力キー脚部6の複数箇所には膨らんだ入力キー膨出部9が形成されている。そして、この入力キー脚部6が挿入される入力キー挿入孔11の周縁には弾性体により形成された環状の入力キー保持リング10が固定されている。これにより、この入力キー保持リング10が入力キー膨出部9を包むように当接することで、入力キー本体7が入力キー挿入孔11に保持される。また、入力キー本体7がいずれかの方向に倒れた場合にも、入力キー保持リング10が弾性変形することにより入力キー本体7の入力キー脚部6の入力キー膨出部9に当接することで、入力キー本体7が入力キー挿入孔11に保持される。
【0023】
ユーザが入力キー本体7の入力キー頭部5を押下すると、入力キー脚部6を介して入力キー脚部6の先端に当接しているノック機構8に下向きの力が伝達される。図3(a)に示すように、入力キー頭部5を押下されていない突出状態から入力キー頭部5を押下すると、図3(b)に示すように、下向きの力が伝達されたノック機構8及び入力キー本体7が下側に下がり、半押下状態に保持される。そして、半押下状態からさらにユーザが入力キー本体7の入力キー頭部5を押下すると、図3(c)に示すように、ノック機構8及び入力キー本体7がさらに下側に下がり、押下状態に保持される。ノック機構8には、非押下状態、半押下状態、及び押下状態をそれぞれ検知可能な押下感知センサ3が設けられている。この押下感知センサ3は、例えばノック機構8の側面に高さ方向に間隔をあけて3つ連設されたマーカー12を検知する光学センサであり、ボード108から所定間隔下方に固定している。押下感知センサ3が検知したマーカー12の情報はバス107を介してRAM103に一時記憶されCPU101によりノック機構8のいずれの高さのマーカー12であるか判断され、ノック機構8が、非押下状態、半押下状態、及び押下状態のいずれであるかを判別する。なお、押下感知センサ3は、これに限定されるものではなく、ノック機構8の非押下状態、半押下状態、及び押下状態を判別することができる種々のセンサを用いることができる。
【0024】
また、各入力キー104は、図2及び図4に示すように、入力キー本体7がいずれの方向にも倒れていない非移行状態、非押下状態、半押下状態又は押下状態の入力キー本体7の入力キー頭部5をボード108の中心から見て左側方向に倒す左方向状態、ボード108の中心から離反する方向に移行される離反状態、及びボード108の中心から見て右側方向に倒す右方向状態、にそれぞれ移行可能である。ノック機構8の上端面8aは中央が最も窪んだ球面状に形成されており、入力キー本体7が入力キー挿入孔11を中心として非移行状態、左方向状態、離反状態、及び右方向状態、に移行したときにも、入力キー本体7の入力キー脚部6の先端がノック機構8の上端面8aに当接するように構成されている。なお、ノック機構8上端面8aの入力キー本体7が左方向状態のときに入力キー脚部6の先端が当接する位置、入力キー本体7が離反状態のときに入力キー脚部6の先端が当接する位置、及び入力キー本体7が右方向状態のときに入力キー脚部6の先端が当接する位置、にはそれぞれ接触感知センサ2が固定されており、入力キー本体7の入力キー脚部6の先端が当接したことを感知すると、感知した旨の信号がバス107を介してRAM103に記憶され、CPU101により、入力キー本体7が左方向状態、離反状態、及び右方向状態のいずれであるか判別され、また、入力キー本体7の入力キー脚部6の先端をいずれの接触感知センサ2も感知していない場合、すなわちいずれのセンサが感知した旨の信号もRAM103に記憶されていない場合、CPU101により入力キー本体7が非移行状態であることが判別される。
【0025】
なお、図示していないが、各入力キー104は、入力キー本体7が、ユーザの操作により半押下状態、押下状態となっているときにユーザが入力キー本体7の頭部5から指を離すと、非押下状態に戻り、左方向状態、離反状態、及び右方向状態となっているときにユーザが入力キー本体7の頭部5から指を離すと、非移行状態に戻るように、バネなどの弾性体で付勢している。
【0026】
第1から第4の出力キー105a,b,c,dは、図3に示すように、各入力キー104よりも中心寄りにそれぞれ設置されている。入力キー104の場合と同様に、ユーザから最も離れる側の出力キー105を第1の出力キー105aとし、以下時計回りにユーザから見て右側の出力キー105を第2の出力キー105b、ユーザに最も接近する側の出力キー105を第3の出力キー105c、ユーザから見て左側の出力キー105を第4の出力キー105dとする。各出力キー105は扁平に形成された出力キー頭部21及びこの出力キー頭部21の中央から下側に向かって延びる出力キー脚部22を有し鉛直断面が略T字状の出力キー本体23と、ボード108の出力キー105を取り付ける位置に形成され出力キー本体23の出力キー脚部22が挿入される出力キー挿入孔23と、ボード108の下側に配置されて、出力キー本体23の出力キー脚部22の先端が当接しており、上下に移動して出力キー105を突出状態と非突出状態とに移行することができる圧出部24と、ボード108と圧出部24との間に複数設けられており、出力キー105の出力キー脚部22が挿入される貫通孔が形成された平板状の出力キー制御板25と、この出力キー制御板25を所望方向にスライドさせることができる複数のソレノイド26と、を備えている。
【0027】
出力キー本体23の出力キー脚部22の複数箇所にも膨らんだ出力キー膨出部27が形成されている。そして、この出力キー脚部22が挿入される出力キー挿入孔23の周縁には弾性体により形成された環状の出力キー保持リング28が固定されている。これにより、この出力キー保持リング28が出力キー膨出部27を包むように当接することで、出力キー本体23が出力キー挿入孔23に保持される。また、出力キー本体23がいずれかの方向に倒れた場合にも、出力キー保持リング28が弾性変形することにより出力キー本体23の出力キー脚部22の出力キー膨出部27に当接することで、出力キー本体23が出力キー挿入孔23に保持される。
【0028】
例えばLAN−I/F106を介して受信してRAM103に一時記憶された情報を出力する際には、図6に示すように、CPU101は出力制御プルグラムにしたがって圧出部24を制御し、出力キー本体23を突出状態に制御する。そしてCPU101はさらに出力制御プログラムにしたがって複数のソレノイド26を制御し、各出力キー105のそれぞれを出力キー本体23を出力キー脚部22が鉛直に保持される第1の態様、出力キー頭部21が第1の態様よりもボード108の中心から見て左側方向に保持される第2の態様、出力キー頭部21が第1の態様よりもボード108の中心から離反する方向に保持される第3の態様、及び出力キー頭部21が第1の態様よりもボード108の中心から見て右側方向に保持される第4の態様に制御することによりユーザに対して情報を出力する。以上のように、情報入出力装置1は4つの入力キー104と4つの出力キー105の8つのキーのみの極めて簡単な構成で、様々な情報を入力及び出力することができる。
【0029】
次に情報入出力装置1の出力制御について説明する。例えば情報入出力装置1を備えた図示しない情報機器がインターネットを介してかな文字の電子メールを受信すると、LAN−I/F106を介してRAM103に出力すべき電子メールの内容が一時記憶される。そして、CPU101は一時記憶された情報の一文字目の母音が「ア段」から「オ段」のいずれであるか判断するとともに、当該一文字目が清音、濁音、半濁音のいずれであるか判断する。すなわち「ア段」から「オ段」の5通りの母音それぞれについて清音・濁音・半濁音の3通りのいずれであるかを判断し、計15通りのいずれであるかを判断する。そして図7及び図8に示すように、この15通り情報にそれぞれ割り振られたパターンで第1の出力キー105aから第4の出力キー105dまでの4つの出力キー105を突出状態又は非突出状態に制御する。なお、図8は4つの出力キー105のみを示しており、説明の便宜上、斜線でハッチングした出力キー105が突出状態にあり、ハッチングしていない出力キー105が非突出状態にあるものとする。これら4つの出力キー105はそれぞれ突出状態と非突出状態とに制御可能であるので、2の4乗パターンすなわち16パターンに制御することができ、全てのキーを非突出状態に制御する待機状態を除く、15通りを前述の母音及び清音・濁音・半濁音の組合せに当てはめることで対応させることができる。
【0030】
4つの出力キー105を突出状態又は非突出状態に制御すると、次にCPU101は、一文字目の子音が「ア行」から「ワ行」のいずれであるか判断する。濁音・半濁音を除く子音は10通りで表わすことができるので、図9及び図10に示すように、CPU101は第1の出力キー105aから第4の出力キー105dのいずれか1つの出力キー105を第2の態様、第3の態様、第4の態様のいずれかに制御し、他の3つの出力キー105を第1の態様に制御(維持)することにより、12通りのパターンを出力することができるので、全ての子音を出力することができる。このようにして出力された母音及び清音・濁音・半濁音の情報と、子音の情報とを組み合わせることによりユーザは一文字目を認識することができる。4つの出力キー105はボード108中央よりに十字位置に配置されているので、ユーザは出力キー105を例えば親指で触れるなどすることにより触覚だけでどの状態に制御されているか認識することができる。したがって、例えばこの情報入出力装置1の上側に内部を透過しない図示しないカバーを設けて目隠しした状態でもユーザは文字情報を認識することができ、機密情報を他人に見られることなく必要なかな情報を入手することができる。
【0031】
次に、情報入出力装置1の入力制御について説明する。例えばユーザが電子メールなどの情報を外部に発信する場合やパスワードや暗証番号による認証等のように情報入出力装置1に対してユーザが情報の入力をする場合、ユーザが4つの入力キー104を操作して所望の情報の入力を行う。例えば暗証番号などの数字を入力する場合には、図11に示すように、操作者が第1の入力キー104aを右に倒した場合、すなわち第1の入力キー104aを右方向状態に保持した場合、当該第1の入力キー104aの入力キー脚部6先端に当接する接触感知センサ2からの信号をRAM103が一時記憶し、CPU101はこれに基づいて「1」が入力されたと判断する。同様に操作者が第2の入力キー104bを操作者から離反する側に倒した場合、すなわち第2の入力キー104bを左側状態に保持した場合、当該第2の入力キー104bの入力キー脚部6に当接する接触感知センサ2からの信号をRAM103が一時記憶し、CPU101はこれに基づいて「2」が入力されたと判断する。
【0032】
同様にCPU101は、ユーザが第2の入力キー104bを離反状態に保持した場合「3」が入力されたと判断し、第2の入力キー104bを右側状態に保持した場合「4」が入力されたと判断し、第3の入力キー104cを左側状態に保持した場合「5」が入力されたと判断し、第3の入力キー104cを離反状態に保持した場合「6」が入力されたと判断し、第3の入力キー104cを右側状態に保持した場合「7」が入力されたと判断し、第4の入力キー104dを左側状態に保持した場合「8」が入力されたと判断し、第4の入力キー104dを離反状態に保持した場合「9」が入力されたと判断し、第4の入力キー104dを右側状態に保持した場合「10」が入力されたと判断し、第1の入力キー104aを左側状態に保持した場合「11」が入力されたと判断し、第1の入力キー104aを離反状態に保持した場合「12」が入力されたと判断する。なお、第1の入力キー104aを離反状態に保持した場合は「12」に代えて「0」が入力されたと判断するものであっても良い。なお、各入力キー104への数字の入力は、例えば入力キー104が非押下状態且つ非移行状態に復帰したときに確定される。これにより、ユーザは入力キー104以外の何らのキーを操作することなく、入力を確定することができる。
【0033】
これによりユーザは第1から第4の入力キー104a,b,c,dの1つをいずれかの方向に倒す操作を行うだけで12通りの数字を入力することができる。しかも、1から12又は0から11の配置はアナログ時計の時間の表示と同じであるので、ユーザは極めて簡単に暗証番号を記憶することができ、また、極めて簡単に入力することができる。また、このように12通りの数字を入力可能にすることで、例えば4桁の暗証番号を入力するような場合に12進法の暗証番号を用いることができる。したがって、12進法の4桁は12の4乗通りの組み合わせがあるので、10進法の4桁のように10の4乗通りの組み合わせに比べてセキュリティを強固にすることができる。
【0034】
また、アルファベットを入力する場合には、ユーザが第1から第4の入力キー104a,b,c,dのいずれかの入力キー本体7の入力キー頭部5を押下して、入力キー104を半押下状態又は押下状態にして、押下感知センサ3により入力キー本体7の下側に設置されたノック機構8の状態を感知することにより入力キー104の半押下状態又は押下状態を感知し、当該押下感知センサ3の信号をRAM103に一時記憶する。そして、CPU101は記憶された信号に基づいて第1から第4の入力キー104a,b,c,dのいずれの入力キー104が半押下状態又は押下状態であるか判断する。次に、ユーザが押下した入力キー104を左側状態、離反状態、右側状態のいずれかに倒すと、ノック機構8の上端面8aに設置された複数の接触感知センサ2のうちの1つに入力キー104の入力キー脚部6先端が当接し、当該当接した接触感知センサ2からの信号がRAM103に記憶される。そして、CPU101は、RAM103に記憶された信号に基づいて、入力キー104が左側状態、離反状態、右側状態のいずれかであるか判断し、4つの入力キー104、半押下状態及び押下状態の2通り、及び左側状態、離反状態、右側状態の3通りを組み合わせた24通りのパターンにそれぞれ対応させたアルファベット文字の一字を判断する。なお、入力キー104の入力パターンは、半押下状態、押下状態の場合の24通りの他、非押下状態の12通りがあるので、各入力キーを非押下状態に保持した場合の左側状態、離反状態、及び右側状態にそれぞれ記号を当てはめることで、例えばアルファベット入力とともに頻繁に使用される少なくとも12文字の記号を入力することができる。
【0035】
なお、例えばかな文字を入力する場合には、例えば第1の入力キー104aを押下状態にした場合の右側状態に「あ行」を割り当て、ユーザの操作により第1の入力キー104aを右側に倒した回数が1回の場合は「あ段」、2回の場合は「い段」というように入力回数により「あ段」〜「お段」を入力可能に形成することができる。また、これらの入力は、例えば入力キー104が非押下状態且つ非移行状態に復帰したときに確定される。これにより、ユーザは入力キー104以外の何らのキーを操作することなく、入力を確定することができる。
【0036】
なお、例えばかな英数の入力切替、出力切替、及び決定ボタンなどを別途を設けてより操作性を向上させることもできる。また本実施形態においては、4つの入力キー104と4つの出力キー105とをそれぞれ設ける構成としたが、1つのキーにそのキーの状態を検知するセンサとキーの動作を制御する構成とを取り付けることにより、入力キー104と出力キー105とを1つの入出力キーとして4つ設ける構成にしてもよい。
【0037】
また、例えばボード108を中心を軸として回転可能に構成し、90度回転する毎に、当該回転を検知するセンサを設けることで、ボード108を回転しない場合、ボード108を時計回りに90度回転する場合、180度回転する場合、270度回転する場合の4つ場合のそれぞれにおいて、各入力キー104を操作することにより、4倍の組合せパターンで入力することができ、4倍の情報を入力することができる。このように構成したとしても、ボードを90度回転させる毎に、第1の入力キー104a、第2の入力キー104b、第3の入力キー104c、及び第4の入力キー104dの配置が1つづつずれるだけなので、情報入出力装置1全体としての配置自体は変化せず、簡単にユーザは操作することができる。
【0038】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る情報入出力装置1は、入力と出力を伴う情報処理を行うあらゆる情報機器に適応することができる。例えば、携帯電話機のキーパット、各種の電気機器を操作するリモコン、セキュリティー入力用の入力装置、又はマウスに固定される入力装置として用いることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 情報入出力装置
2 接触感知センサ
3 押下感知センサ
104 入力キー
105 出力キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心から等間隔離して十字方向の所定位置にそれぞれ配置される4つの出力キーと、前記出力キーの外側にそれぞれ配置される4つの入力キーと、を備える情報入出力装置であって、
前記4つの出力キーは、それぞれ上方に突出する突出状態と、当該突出状態よりも下方に位置する非突出状態とに制御可能であるとともに、前記所定位置に保持される第1の態様、前記所定位置よりも中心から見て左側方向に保持される第2の態様、前記所定位置よりも中心から離反する方向に保持される第3の態様、及び前記所定位置よりも中心から見て右側方向に保持される第4の態様に制御可能であり、
前記4つの出力キーの前記突出状態及び前記非突出状態の組み合わせにより母音を示すとともに、前記4つの出力キーのうちのいずれか1の出力キーを前記第2の態様、前記第3の態様、及び前記第4の態様のいずれかの態様に制御することにより子音を示すことにより情報を出力することを特徴とする情報入出力装置。
【請求項2】
前記4つの入力キーは、上方に突出した状態に保持される非押下状態と、所定範囲まで押下される半押下状態と、当該半押下状態よりも深く押下される押下状態とを感知可能であるとともに、
所定位置に維持される非移行状態、中心から見て左側方向に移行される左方向状態、前記所定位置よりも中心から離反する方向に移行される離反状態、及び中心から見て右側方向に移行される右方向状態、を感知可能であって、
前記入力キーのうち、操作者から見て最も離れる側に配置された入力キーの右方向状態から時計回りに、前記4つの入力キーの左方向状態、離反状態、及び右方向状態の順に1から12までの数字を入力可能であることを特徴とする請求項1に記載の情報入出力装置。
【請求項3】
前記4つの入力キーは、半押下状態及び押下状態と、前記左方向状態、前記離反状態、及び前記右方向状態と、の組み合わせによりアルファベットを入力可能であることを特徴とする請求項2に記載の情報入出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−68970(P2012−68970A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214066(P2010−214066)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(510255495)
【Fターム(参考)】