情報入力装置
【課題】ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができる情報入力装置を提供する。
【解決手段】ステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するための複数の電極を有する受付手段110と、複数の電極の静電容量の値又は変化を測定し、複数の電極の静電容量の値又は変化に基づき、制御情報を出力する制御する制御手段111とを備え、受付手段は、人体の接触により制御情報の出力を不能とする第1領域と、人体の接触により制御情報の出力を可能とする第2領域とを有し、ステアリングホイールの円弧方向のグリップ表面において第2領域が第1領域により挟まれるよう配列され、制御手段は、第2領域の電極の静電容量の値、又は変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、第1領域の電極の静電容量の値、又は変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超えない場合に制御情報を出力する。
【解決手段】ステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するための複数の電極を有する受付手段110と、複数の電極の静電容量の値又は変化を測定し、複数の電極の静電容量の値又は変化に基づき、制御情報を出力する制御する制御手段111とを備え、受付手段は、人体の接触により制御情報の出力を不能とする第1領域と、人体の接触により制御情報の出力を可能とする第2領域とを有し、ステアリングホイールの円弧方向のグリップ表面において第2領域が第1領域により挟まれるよう配列され、制御手段は、第2領域の電極の静電容量の値、又は変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、第1領域の電極の静電容量の値、又は変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超えない場合に制御情報を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車載機器をステアリングホイール上で操作する情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードウェアの技術の発展とともに、自動車の分野において、空調設備、映像音楽再生記録器、カーナビゲーション機器などの車載機器が多様化、複雑化してきた。それに伴って、自動車の運転手(ドライバ)がそれらの機器を操作する負担も多くなってきた。多くの場合、車載機器の操作パネルは、運転手席と助手席の間のパネルに位置しているため、運転手がそれらを安全に操作するには、運転を停止し、視線を車載機器に向け、ハンドルから手を離し、運転の姿勢を崩してスイッチやボリュームのつまみを回すなどの作業が必要である。これらの負担により、例えば赤信号中にパネルを操作していて突然青信号に変わった場合や、突然他の車から追突された場合などに、運転姿勢へすぐに戻ることができず、安全性確保の妨げとなっていた。
【0003】
これに対し、運転手の車載機器の操作負担を低減するため、入力装置に様々な改良と工夫が考案されてきている。それらの典型的な例が、入力インターフェースをステアリングホイールの一部に配置したものである。古くは、下記の特許文献1に記載された静電容量によるセンサをステアリングホイールに取り付けたものがある。また、図13(a)に示すように、ステアリングホイールの真ん中部分133とグリップ131との付け根にスイッチ132を配置したものがある。また、図13(b)に示すように、ステアリングホイールの背後の部分に突起状のスイッチ135を設けたものがある。
【0004】
また、図13(c)に示すように、スイッチの代わりにタッチパッドを配置する構造のものが提案されている(下記の特許文献2を参照)。また、図13(d)に示すように、ステアリングホイールのグリップ137上に、光反射センサによる小型の皿状のタッチパッド138が配置されているものがある(下記の特許文献3を参照)。また、図14(a)に示すように、ステアリングホイールの円形の軸の表面全体に、運転手の手による接触センサ(機能面)140が配置され、手がどの位置で握られているかの判断ができるようになっているものがある(下記の特許文献3を参照)。また、図14(b)に示すように、運転手がステアリングホイールを握っているかをセンシングできるものがある(下記の特許文献4を参照)。とりわけ、図13(d)、図14(a)、(b)の例では、インターフェースがステアリングホイールのグリップの円軸の表面に配置されているため、運転手はステアリングホイールを握った運転姿勢により近い状態で、車載機器を操作できるという点で、予期せぬ事態に対し安全性を高めることができる。
【特許文献1】実用新案出願公開 昭64−51564号公報
【特許文献2】特開2005−96519号公報(図6)
【特許文献3】特開2005−231622号公報(図1A、図4)
【特許文献4】特表2005−537992号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、運転の際にステアリングホイールを握るため、図14(a)、(b)では誤って車載機器を操作してしまう危険性がある。一方で、図13(d)に示す例では、誤って操作しないような対策として、センサ部分の皿状のタッチパッド138が窪んだ凹部分に配置されるなどの工夫がされている。そのため、上述した従来例の入力インターフェースの中でも、図13(d)の例はハンドルを握りながらでも誤操作を少なくし、運転姿勢に近い状態で操作できるという利点がある。しかし、ステアリングホイールのグリップの形の一部を皿状に変形させる必要があり、そのため運転中の障害となり、また、多少の誤操作は減ったとしても、それでも誤って皿の部分に指が接触して運転中に誤動作させてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためのものであり、ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができる情報入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明によれば、車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するための複数の電極を有する受付手段と、前記受付手段の前記複数の電極の静電容量の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の電極の前記静電容量の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、前記受付手段は、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、前記制御手段は、前記第2領域の前記電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置が提供される。この構成により、ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができる。なお、上述した接触を検知するということは、実際に触れたことを検知する以外に近接(接近)を検知することも含む。また、人体とは主に運転手の手(指)を言う。以下、同様である。
【0008】
また、本発明の情報入力装置において、前記第2領域の前記電極が複数の電極から構成される場合、前記制御手段が、前記第2領域の前記複数の電極のうちの所定の電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力することは、本発明の好ましい態様である。この構成により、細かい情報入力が可能となる。
【0009】
また、本発明によれば、車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するために用いられる光源及び前記光源によって照射された前記人体からの反射光を受信する光反射受信器を複数有する受付手段と、前記受付手段の前記複数の光反射受信器における前記反射光の強度の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の光反射受信器の前記反射光の強度の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、前記受付手段は、前記光反射受信器を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、前記制御手段は、前記第2領域の前記光反射受信器の前記反射光の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記光反射受信器の前記反射光の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置が提供される。この構成により、ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができる。
【0010】
また、本発明によれば、車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するための複数の抵抗検知器を有する受付手段と、前記受付手段の前記複数の抵抗検知器の抵抗の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の抵抗検知器の前記抵抗の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、前記受付手段は、前記抵抗検知器を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、前記制御手段は、前記第2領域の前記抵抗検知器の前記抵抗の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記抵抗検知器の前記抵抗の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置が提供される。この構成により、ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができる。
【0011】
また、本発明によれば、車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するために用いられる超音波発生器及び前記超音波発生器によって照射された前記人体からの反射波を受信する反射波受信器を複数有する受付手段と、前記受付手段の前記複数の反射波受信器における前記反射波の強度の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の反射波受信器の前記反射波の強度の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、前記受付手段は、前記反射波受信器を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、前記制御手段は、前記第2領域の前記反射波受信器の前記反射波の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記反射波受信器の前記反射波の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置が提供される。この構成により、ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができる。
【0012】
また、本発明の情報入力装置において、前記受付手段が配置された前記ステアリングホイールの円弧方向の長さが5cm以下であることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、誤動作を低減させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の情報入力装置は、上記構成を有し、ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができる。すなわち、運転者が運転姿勢に近い状態で入力操作でき、不用意に手がステアリングホイールに触れても誤動作しない情報入力装置を提供する。これにより、運転しようとしてハンドルを握っても誤作動しなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る情報入力装置について説明する。図1(a)は本発明の実施の形態に係る情報入力装置を搭載したステアリングホイールの一例を示す図である。図1(b)は本発明の実施の形態に係る情報入力装置を搭載した他のステアリングホイールの一例を示す図である。図2(a)は本発明の実施の形態における情報入力インターフェースの一例の拡大図を示す図である。図2(b)は本発明の実施の形態における他の情報入力インターフェースの一例の拡大図を示す図である。図3(a)は本発明の実施の形態における運転手が座席に座りステアリングホイールを握った様子を示す図である。図3(b)は本発明の実施の形態における情報入力インターフェースの有効に機能する範囲の一例を示す図である。
【0015】
図4(a)は本発明の実施の形態における情報入力インターフェースを備えたステアリングホイールを握って運転をしている際の状態の一例を示す図である。図4(b)は本発明の実施の形態における情報入力インターフェースを備えたステアリングホイールを使って情報入力をしている時の状態の一例を示す図である。図5は本発明の実施の形態におけるステアリングホイールの表面に巻かれる電極群の一例を示す図である。図6(a)は本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、排他領域における電極群の配置の一例を示す図である。図6(b)は本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、入力領域における電極群の配置の一例を示す図である。
【0016】
図7(a)は本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、入力領域における電極群の配置とそれを操作する手の指の配置の一例を示す図である。図7(b)は本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、入力領域における電極群の配置とそれを操作する手の指の他の配置の一例を示す図である。図8は本発明の実施の形態における入力領域への操作によって所望の項目を選択する際の一覧リストの一例を示す図である。図9は本発明の実施の形態における電極セグメントでの静電容量の変化量の測定から、制御情報(信号)の発信をするか否かを判断するまでの処理フローの一例を示すフローチャートである。図10は本発明の実施の形態における測定された各電極セグメントにおける静電容量の変化量を調製した値の一例を示す図である。図11は本発明の実施の形態に係る情報入力装置の構成の一例を示す構成図である。図12(a)は本発明の実施の形態における他の情報入力インターフェースの一例の拡大図を示す図である。図12(b)は本発明の実施の形態における図12(a)の拡大図に運転手の手が配置された状態を示す図である。
【0017】
まず、本発明の実施の形態に係る情報入力装置の一例について説明する。図1は本発明の実施の形態に係る情報入力装置を搭載したステアリングホイールの一例を示す図である。図1に示すように、運転手からの情報が入力される情報入力インターフェース(上述した受信手段に相当し、インターフェース部とも言う)11は、ステアリングホイールのグリップ10の円柱表面に、運転手から見て右上の配置されている。もちろん、図1(b)に示すように、左上の位置に配置することも、左右両方に配置することも可能である。そのインターフェース部11は、例えば3つの電極群(単に、電極とも言う)からなり、図1(a)に示すように、排他領域(上述した第1領域に相当)としての電極群12、電極群14と入力領域(上述した第2領域に相当)としての電極群13からなる。
【0018】
また、図1(b)に示すグリップ18上には、左手用のインターフェースとして、排他領域としての電極群15、電極群17と、入力領域としての電極群16が配置され、右手用のインターフェースとして、排他領域としての電極群13、電極群15と、入力領域としての電極群14が配置されている。当然、これらの電極群は、他の電極群と絶縁されて配置され、運転者の指が接近した場合、電極群の静電容量の変化量をそれぞれ独立して測定できるよう配線されている。なお、ここでの静電容量は電極と人体(指)との間(対空間、対アース間)の静電容量であってもよく、また複数の電極間における静電容量であってもよい。また、以下の説明では静電容量の変化量に基づいて制御情報を出力するようにしているが、変化量に限られるものではなく、静電容量の値や変化速度に基づいて制御情報を出力するようにしてもよい。
【0019】
ここで言う入力領域とは、その領域内の電極(電極セグメント、単にセグメントとも言う)に対して指などの接触、接近、若しくは近接により、静電容量の変化量が計算による閾値を超えた場合、回路を通じて入力の情報(入力信号であって上述した制御情報に相当)が不図示の車載機器に発信される領域を言う。また、ここで言う排他領域とは、その領域内の電極に対して指などの接触、接近、若しくは近接により、静電容量の変化量が計算による閾値を超えた場合、回路を通じて入力領域内の電極からの入力信号の発信を停止させる領域を言う。なお、閾値については後述する。
【0020】
これらの電極群とステアリングホイール全体は、デザイン性や、外見上の見栄えの良さ、滑り防止などの理由で薄い膜の材質の絶縁体で覆うことができる。なお、上述した電極に対する接触、接近、若しくは近接とは、電極に直接指が触れた場合、若しくは電極を覆う絶縁体の薄い膜に指が触れた場合などを言う。また、ここで言う指には親指が含まれる。
【0021】
これらの電極群を構成する情報入力インターフェースの例の拡大図を図2(a)、(b)に示す。まず、図2(a)では、ステアリングホイールのグリップ20上に、入力領域を示す領域Bを構成する電極群22と、排他領域を示す領域A、Cを構成する電極群21、電極群23が配置され、領域Bの電極群22は、ステアリングホイールのグリップ20の円弧方向に沿ったグリップ20の軸上の表面上で、領域Aの電極群21と領域Cの電極群23によって挟まれて配置されていなければならない。すなわち、円弧方向に沿って、排他領域(領域A)−入力領域(領域B)−排他領域(領域C)という順番に配置されることを言う。
【0022】
一方、図2(b)では、図2(a)に相当する入力領域を示す領域Bに2つの電極群(電極群24、26)が配置され、それらの電極群の間は絶縁部25によって絶縁され、絶縁部25は絶縁されたグリップ20の材質と同様の材質で構成されている。この場合、運転手は排他領域の電極群21、23を触れずに電極群24や電極群26を摘む、回転させるなどすることによって、より複雑な不図示の車載機器の操作をすることができる。なお、絶縁部25を上述した排他領域として構成するようにしてもよい。
【0023】
上述したような配置にする理由は、運転手がステアリングホイールを握る際の腕や手(手の甲)の位置と大いに関係している。図3(a)に示すように、運転手が座席に座り、ステアリングホイールを握った場合を考える。この場合、本発明が提案するような「排他領域−入力領域−排他領域」と配列された情報入力インターフェースをステアリングホイール40の円弧方向に沿って配置しておけば、図4(a)の入力領域42の円弧の円周の長さが手の甲や指の幅より小さい限り、入力領域42を触ったとしても排他領域43若しくは排他領域44も同時に触るということになる。
【0024】
これにより、手41が入力領域42に接触しても排他領域43、44にも接触するため情報入力の処理が起動しない。このことは、運転中に運転姿勢でステアリングホイールを握っている時は、不図示の車載機器の情報入力インターフェースが誤作動で起動して欲しくないということに則するものである。なお、本発明では、図2(a)に示す領域Bの長さ(ステアリングホイールの円弧のうちの領域Bが配置された部分の長さ)又は電極群22の長さ(ステアリングホイールの円弧のうちの電極群22が配置された部分の長さ)を5cm以下、図2(b)に示す電極群24、26と絶縁部25を合わせた長さ(ステアリングホイールの円弧のうちの入力領域が配置された部分の長さ)を5cm以下とすることが望ましい。ただし、5cm以下でなくても実施は可能である。以上述べた原理は、本発明の提案する情報入力インターフェースが図1(b)に示すような左上にある場合も同様に適用できる。
【0025】
さらに、本発明が提案する図2(a)、(b)に示した例を発展させたグリップ上の電極の配置として図12(a)、(b)に示すようなものが考えられる。図12(a)は各電極群の配置を示す図である。図12(b)は図12(a)の電極群の上に実際に運転手の手126が置かれ、不図示の車載機器を操作しようとしている場合の状態を示す図である。上述した図2(a)、(b)で示した例と似たような構成で、図12(a)、(b)の例でも同様に、グリップ20上に領域A(排他領域)の電極群21と、領域C(排他領域)の電極群23がある。領域Bには、入力領域の電極群120と電極群122(電極群120以外の領域Bに描かれている四角形状のものすべて)が配置されている。この例では、領域Bの入力領域の電極群120、122以外の部分は、領域Aや領域Cのような排他領域の電極群121で構成されている。もちろん、各電極群はグリップ20表面上に絶縁されて配置されている。
【0026】
図12(b)に示すように、不図示の車載機器を操作しようとしている運転手の手126の親指123と中指125は、入力領域の電極群122に触れている。人差し指124は入力領域の電極群120に触れている。それらの指以外の手の部分は、排他領域の電極群121には触れていない。電極群が静電容量センサとして物体近接をセンシングした場合、それぞれの排他領域の電極群と入力領域の電極群による静電容量変化が起こり、それらの変化の比、特異点抽出などから運転手の手126の配置が図12(b)のようになった状態かどうかを特定できる。この状態で、入力領域の電極群122上を親指123や中指125がスライドすることで、指の動きを検知し不図示の車載機器の操作を可能とさせる。
【0027】
次に、運転手が情報入力インターフェースを用いて不図示の車載機器を操作したいという意図がある場合の操作について図4(b)を用いて説明する。不図示の車載機器を操作する場合、例えばステアリングホイール40のグリップ上の、入力領域42のみを親指と人差し指などで摘むなどする。このようにすることによって、排他領域43と排他領域44のどちらにも手41(指)は大きく触れない。そのため、排他領域43や排他領域44での静電容量の変化量は閾値を超えない程度の小さなものであるが、入力領域42では静電容量の変化量が閾値を超えた大きな値となるため、運転手が触ったという情報(信号)が不図示の車載機器を制御する不図示の回路へ送られる。
【0028】
本発明の構成によれば、運転手が運転のためにグリップを握っているのか、情報入力のためにグリップに接触しているのかを判別することができ、後者の状態の特異性を高めることで誤動作の少ない、安全な情報入力装置として機能する。
【0029】
また、図4(b)に示すステアリングホイール40を親指と人差し指で摘むという姿勢は、指の動きの変化のみで、すぐに図4(a)のようなステアリングホイール40を握るという運転姿勢に戻ることができるため、万が一、車両機器の操作中に追突されるなどの事故が起きても運転手は素早く行動でき、危険を回避することができる。
【0030】
ここで、図3(a)に示す状態でステアリングホイールを旋回させ、情報入力インターフェースが下部、すなわち運転手の膝の真上付近に位置した場合、上述の状況とは違い、指はステアリングホイールの円弧に対し略垂直となって情報入力インターフェースに触れることになる。この場合、入力領域32にのみに中指などが偶然触れる可能性があり、運転中にもかかわらず情報入力インターフェースを誤動作させるという可能性がある。
【0031】
それに対する改善策として、図3(b)に示すように、ステアリングホイール30の旋回による回転角が所定の角度範囲内である場合にのみ情報入力インターフェースの機能を有効とさせるよう制限することにより誤動作を防ぐことができる。例えば、運転手側から見て右手用の情報入力インターフェースの場合、時計の10時方向から右回りに4時の方向までの180度の範囲内に情報入力インターフェースが位置している場合にのみ、制御情報(信号)を発信できるように制限を設ける。これにより誤動作の防止となる。
【0032】
ここで、上述した閾値とは、静電容量の変化量に対する単なる定数、固定数に限定されず、手の接触、接近、若しくは近接による排他領域と入力領域での電極群のそれぞれで測定された複数の静電容量の変化量から計算される相対値、規格化された値、相関値、該当する電極の面積で割った値、それらを入力値としたニューラルネットワークによる出力に対する判別の閾値を含むものである。
【0033】
次に、上述したステアリングホイールの表面に巻かれる電極群について図5を用いて説明する。上述したように、電極群は、排他領域を示す領域A、入力領域を示す領域B、排他領域を示す領域Cと分かれて順番に配置されているが、特に、領域Bの電極群を図5に示すような細かい電気的に絶縁されたセグメントに分けることで、更に細かい情報入力の設定をすることができる。さらに、図4(b)に示した、運転手が情報入力を意図している場合の手(指)の配置の特異性を更に高めることができる。それについて詳しく述べる。
【0034】
ステアリングホイールのグリップの円弧に対して略垂直に切った面(断面)から見た、表面の電極の配置の簡易図を図6(a)、(b)に示す。図6(a)、(b)に示すように、グリップのコア62、64の外側(周囲)に電極61、63がそれぞれ配置されている。図6(a)は領域A又は領域Cにおける断面を示し、図6(b)は領域Bにおける断面を示している。図5、図6(b)から分かるように、領域Bの電極は、この例では電気的に絶縁した8つの電極と配線とからなる。図6(b)に示すように、それぞれの電極をB1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8と呼ぶことにする。
【0035】
図7(a)、(b)は、図4(b)に示すような、運転手が情報入力インターフェースを使用しようと意図した場合の手(指)の配置を示すものであり、入力領域(領域B)のみを親指と人差し指で摘んでいる様子を示している。なお、図7(a)、(b)にはそれぞれグリップのコア72、74及び電極71、73がそれぞれ示されている。図7(a)の例は、親指と人差し指が入力領域のB1とB5とに接触している場合を示している。実際は、セグメント同士の間に指が入り込む(位置する)など、その静電容量の変化に大きくばらつきはあるが、各静電容量の変化の比や分布から主として指がどのセグメント(電極)に接触しているか判断することができる。
【0036】
電極を8つのセグメントに区切った例では、制御情報(信号)が不図示の車載機器へ送信される条件として、円周に配置されたB1からB8までの電極のうち、ある電極(例えば、B1)と、グリップの断面の中心に対してその電極(例えば、B1)と対称の位置にある反対側の電極(例えば、B5)のみが接触されている場合に情報の発信を行うという、より厳しい条件を設けている。それにより、情報入力状態における指の配置の特異性が高まり、運転状態での情報入力インターフェースの誤作動の確率を下げることができる。さらに、この円周に配置された8つの電極により、静電容量の変化による近接センサデバイスが、タッチ式ジョグダイヤルとしても使用できるよう設定が可能である。
【0037】
図7(b)の例では、親指と人差し指が電極B8とB4に接触している場合を示している。これは、図7(a)に示す状態から親指と人差し指をB8とB4の電極の位置に移動させたものであり、これにより、近接をセンシングした電極は、B1からB8及びB5からB4へ変化することで、擬似的な方向性をもつ回転情報となって、不図示の車載機器にその情報が送信される。これは、映像音楽再生機器やカーナビで、例えば図8に示すようにカーソルを上下移動させて一覧リストの中から所望の項目を選択したり、音楽のボリュームを変更したりする操作などで有用であり、容易かつ直感的に行うことができる。
【0038】
ここで、上述した電極での静電容量の変化量の測定から、制御情報(信号)の発信をするか否かを判断するまでの処理フローについて図9を用いて説明する。まず、各電極における静電容量の変化量を測定する(S901)。測定された各電極における静電容量の変化量の詳細については後述する。領域Bのいずれかの電極の測定値が閾値を超えたか否かを判断する(S902)。領域Bのいずれかの電極の測定値が閾値を超えた場合、測定値が測定された時刻に対応する領域Aの測定値が閾値を超えていないか否かを判断する(S903)。領域Aの測定値が閾値を超えていない場合、測定値が測定された時刻に対応する領域Cの測定値が閾値を超えていないか否かを判断する(S904)。
【0039】
領域Cの測定値が閾値を超えていない場合、閾値を超えた領域Bの該当する電極とグリップの断面の中心に対して対称の位置にある電極の該当する時刻における測定値が閾値を超えているか否かを判断する(S905)。すなわち、これは2つの指(例えば、親指と人差し指)でグリップ表面の電極を摘んだ状態か否かを判断することである。
【0040】
測定値が閾値を超えている場合、閾値を超えた領域Bの電極に隣り合う電極の情報が所定の記憶領域に記録されているか否かを判断する(S906)。これは、例えば上述した図7(a)から図7(b)への動き(ジョグダイヤルのような操作)をセンシングすることである。すなわち、過去に指に近接していた領域Bにおける電極と現在接触している電極との位置関係を判断している。
【0041】
隣り合う電極の情報(例えば、B2という情報)が所定の記憶領域に記録されている場合、現時点の電極と情報として記録された電極との位置関係に基づく信号を出力する(S907)。すなわち、例えば、電極B1からB8への変化、B5からB4への変化など、グリップの表面上の隣接する電極間での変化であると判断された場合、その回転方向と回転移動角度などの情報(上述した制御情報に相当)を不図示の車載機器に送信する。これにより、擬似的にジョグダイヤル的な連続入力機能を持たせることができる。なお、S906において、閾値を超えた領域Bの電極に隣り合う電極の情報が所定の記憶領域に記録されていない場合、所定の記憶領域に閾値を超えた領域Bの電極の情報を記録する(S908)。また、S902〜S905において、それぞれ「NO」と判断されるとS902に戻る。
【0042】
なお、上述した判断の基準となる閾値は、単に定数に限定されず、領域Bの静電容量の変化値に対する領域A、Cにおける変化量との比、相対値なども含む。そうすることで、指が領域の境に接触した場合、電極の応答におけるノイズや、接触した時と非接触になった時での静電容量値のヒステリーシス特性などの誤差を考慮することができる。
【0043】
次に、上述した図9のS901において測定された各電極における静電容量の変化量を調製した値を図10に示す。図10に示すように、上から(a)から(j)まで各電極に対するグラフがあり、順に、(a)は領域Aにおける電極に対するグラフ、(b)は領域Cにおける電極に対するグラフ、(c)は領域BのB1電極に対するグラフ、(d)は領域BのB2電極に対するグラフ、(e)は領域BのB3電極に対するグラフ、(f)は領域BのB4電極に対するグラフ、(g)は領域BのB5電極に対するグラフ、(h)は領域BのB6電極に対するグラフ、(i)は領域BのB7電極に対するグラフ、(j)は領域BのB8電極に対するグラフを示している。グラフは、横軸が測定の時間、縦軸が測定によって得られた電極の静電容量の変化量を調整した値である。ここで調整された値とは、規格化された値、相対値、ニューラルネットワークでの判別のための値などである。なお、電極の静電容量の変化量を調整せずにそのまま用いるようにしてもよい。
【0044】
ここでは、簡単な例として、電極に指の接触などが起きた際には計算された値が通常よりも上がり閾値に達するとする。また、図10の(k)は、これらの観測値を計算して得られた値から、不図示の車載機器に最終的に制御情報(信号)が出力されるかどうかを示している。
【0045】
図10の例では、まず、図10の(a)、(b)の領域(排他領域)A、Cでの指の接触などがないかどうかを見ると分かりやすい。領域A、Cを運転手が握った場合、すなわち、図10の(a)、(b)の縦軸において値が上がり閾値を超えた場合は、図10の(k)のグラフに示すように、情報入力インターフェースは排他期間となり何も処理はされない。これは、運転手がグリップを握って運転を行っている状態である。
【0046】
図10の(k)の横軸の時刻t1以後は、排他領域から運転手の手が離れ、まだ何も行われていないが、時刻t2からt3にかけて入力領域を示す領域Bにおいてジョグダイヤル的な操作がされていることが分かる。すなわち、まずB1とB5に指が接触し、次にB4とB8に指が接触し、次にB3とB7に指が接触し、次にB2とB6に指が接触している。情報入力インターフェースは、これらの回転方向と移動量を不図示の車載機器に伝えることで、運転手が連続的に操作を行うことができる。時刻t3の時点で、領域Cに指が接触しているため、情報入力は再び停止状態となる。
【0047】
更なる工夫として、入力領域のみが接触された場合でも、入力領域に接触し排他領域に接触しないという状態が一定の間、例えば0.8秒の時間が経過しなければ機能しないという設定をすることもできる。これにより、運転手が運転しようとしてステアリングホイールを握るとき、一瞬だけ手が図4(b)のような状態になってしまった場合であっても不図示の車載機器操作の情報入力の誤動作を防ぐことができる。
【0048】
また、別の工夫としては、排他領域の電極も電気的に絶縁された複数のセグメントに分けることで、排他領域の電極群での静電容量の変化量と、入力領域の電極群の静電容量の変化量との分布や相関から、入力と排他性を計算させ、運転手が運転をしようとして握っているのか、情報入力インターフェースを操作しようとしているのか、より厳密に判断することも可能である。
【0049】
その他に、情報入力インターフェースで入力する場合、始めのメニュー画面起動には、入力領域をタップ、例えば2回、トントンと指で接触してからのみ、擦る、摘むなどの操作ができるようにするなど、入力の仕方を発展させることができる。さらに、本発明の利点は、車載機器の操作という行為を介して、運転手に対してステアリングホイールに手を常に当てておくという習慣を積極的に促すことで、運転手の安全姿勢を促進させるという効果もある。
【0050】
次に、本発明の実施の形態に係る情報入力装置の構成について図11を用いて説明する。図11に示すように、情報入力装置は、受信手段110、制御手段111から構成されている。なお、情報入力装置の構成はこれに限られるものではなく、他の構成要素が含まれてもよい。受信手段110は、車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体(例えば、指)の接触を検知するための複数の電極(図5を参照)を有するものである。また、受付手段110は、電極を備え、人体の接触により制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域(排他領域に相当)と、電極を備え、人体の接触により制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域(入力領域に相当)とを有し、ステアリングホイールの円弧方向のグリップ表面において第2領域が第1領域によって挟まれるように配列されている(図2(a)、(b)を参照)。
【0051】
制御手段111は、受付手段110の複数の電極の静電容量の値又はその変化(例えば、静電容量の変化量)を測定し、測定された複数の電極の静電容量の値又はその変化(例えば、静電容量の変化量)に基づいて、車両の不図示の車載機器を制御する制御情報を出力するものである。また、制御手段111は、第2領域の電極の静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度(例えば、静電容量の変化量)が所定の閾値を超え、かつ第1領域の電極の静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度(例えば、静電容量の変化量)が所定の閾値を超えないと判断した場合に、制御情報を不図示の車載機器に出力するものである。
【0052】
なお、上述した説明では、静電容量の変化量に基づいて制御情報を出力するかを判断しているが、静電容量の変化量に基づくものに限られるものではない。例えば、一般的に用いられている光方式によるもの(具体的には、可視光若しくは赤外線による反射光の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度によるものであって、上述した光反射受信器における反射光の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度に基づくもの)、抵抗膜方式によるもの(具体的には、タッチすることによって通る電気の変化の値、又はその変化量、あるいは変化速度によるものであって、上述した抵抗検知器の抵抗の値、又はその変化量、あるいは変化速度に基づくもの)、超音波方式によるもの(具体的には、超音波の反射波の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度によるものであって、上述した反射波受信器における反射波の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度に基づくもの)などであっても本発明を実施することは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る情報入力装置は、ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができるため、自動車の車載機器をステアリングホイール上で操作する情報入力装置などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)本発明の実施の形態に係る情報入力装置を搭載したステアリングホイールの一例を示す図である。(b)本発明の実施の形態に係る情報入力装置を搭載した他のステアリングホイールの一例を示す図である。
【図2】(a)本発明の実施の形態における情報入力インターフェースの一例の拡大図を示す図である。(b)本発明の実施の形態における他の情報入力インターフェースの一例の拡大図を示す図である。
【図3】(a)本発明の実施の形態における運転手が座席に座りステアリングホイールを握った様子を示す図である。(b)本発明の実施の形態における情報入力インターフェースの有効に機能する範囲の一例を示す図である。
【図4】(a)本発明の実施の形態における情報入力インターフェースを備えたステアリングホイールを握って運転をしている際の状態の一例を示す図である。(b)本発明の実施の形態における情報入力インターフェースを備えたステアリングホイールを使って情報入力をしている時の状態の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるステアリングホイールの表面に巻かれる電極群の一例を示す図である。
【図6】(a)本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、排他領域における電極群の配置の一例を示す図である。(b)本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、入力領域における電極群の配置の一例を示す図である。
【図7】(a)本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、入力領域における電極群の配置とそれを操作する手の指の配置の一例を示す図である。(b)本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、入力領域における電極群の配置とそれを操作する手の指の他の配置の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における入力領域への操作によって所望の項目を選択する際の一覧リストの一例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態における電極セグメントでの静電容量の変化量の測定から、制御情報(信号)の発信をするか否かを判断するまでの処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態における測定された各電極セグメントにおける静電容量の変化量を調製した値の一例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る情報入力装置の構成の一例を示す構成図である。
【図12】(a)本発明の実施の形態における他の情報入力インターフェースの一例の拡大図を示す図である。(b)本発明の実施の形態における図12(a)の拡大図に運転手の手が配置された状態を示す図である。
【図13】(a)〜(d)従来のステアリングホイールに設けられた情報入力インターフェースを示す図
【図14】(a)従来のステアリングホイールに設けられた他の情報入力インターフェースを示す図(b)従来のステアリングホイールに設けられた他の情報入力インターフェースを示す図
【符号の説明】
【0055】
10、18、20、131、134、137 グリップ
11 情報入力インターフェース(インターフェース部)
12、14、15、17、21、23、121 排他領域の電極群
13、16、22、24、26、120、122 入力領域の電極群
25 絶縁部
30、40 ステアリングホイール
31、33、43、44 排他領域
32、42 入力領域
41 手
61、63、71、73 電極
62、64、72、74 コア
110 受信手段
111 制御手段
123 運転手の親指
124 運転手の人差し指
125 運転手の中指
126 運転手の手
132 スイッチ
133、136 ステアリングホイールの真ん中部分
135 突起状のスイッチ
138 皿状のタッチパッド
140 接触センサ(機能面)
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車載機器をステアリングホイール上で操作する情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードウェアの技術の発展とともに、自動車の分野において、空調設備、映像音楽再生記録器、カーナビゲーション機器などの車載機器が多様化、複雑化してきた。それに伴って、自動車の運転手(ドライバ)がそれらの機器を操作する負担も多くなってきた。多くの場合、車載機器の操作パネルは、運転手席と助手席の間のパネルに位置しているため、運転手がそれらを安全に操作するには、運転を停止し、視線を車載機器に向け、ハンドルから手を離し、運転の姿勢を崩してスイッチやボリュームのつまみを回すなどの作業が必要である。これらの負担により、例えば赤信号中にパネルを操作していて突然青信号に変わった場合や、突然他の車から追突された場合などに、運転姿勢へすぐに戻ることができず、安全性確保の妨げとなっていた。
【0003】
これに対し、運転手の車載機器の操作負担を低減するため、入力装置に様々な改良と工夫が考案されてきている。それらの典型的な例が、入力インターフェースをステアリングホイールの一部に配置したものである。古くは、下記の特許文献1に記載された静電容量によるセンサをステアリングホイールに取り付けたものがある。また、図13(a)に示すように、ステアリングホイールの真ん中部分133とグリップ131との付け根にスイッチ132を配置したものがある。また、図13(b)に示すように、ステアリングホイールの背後の部分に突起状のスイッチ135を設けたものがある。
【0004】
また、図13(c)に示すように、スイッチの代わりにタッチパッドを配置する構造のものが提案されている(下記の特許文献2を参照)。また、図13(d)に示すように、ステアリングホイールのグリップ137上に、光反射センサによる小型の皿状のタッチパッド138が配置されているものがある(下記の特許文献3を参照)。また、図14(a)に示すように、ステアリングホイールの円形の軸の表面全体に、運転手の手による接触センサ(機能面)140が配置され、手がどの位置で握られているかの判断ができるようになっているものがある(下記の特許文献3を参照)。また、図14(b)に示すように、運転手がステアリングホイールを握っているかをセンシングできるものがある(下記の特許文献4を参照)。とりわけ、図13(d)、図14(a)、(b)の例では、インターフェースがステアリングホイールのグリップの円軸の表面に配置されているため、運転手はステアリングホイールを握った運転姿勢により近い状態で、車載機器を操作できるという点で、予期せぬ事態に対し安全性を高めることができる。
【特許文献1】実用新案出願公開 昭64−51564号公報
【特許文献2】特開2005−96519号公報(図6)
【特許文献3】特開2005−231622号公報(図1A、図4)
【特許文献4】特表2005−537992号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、運転の際にステアリングホイールを握るため、図14(a)、(b)では誤って車載機器を操作してしまう危険性がある。一方で、図13(d)に示す例では、誤って操作しないような対策として、センサ部分の皿状のタッチパッド138が窪んだ凹部分に配置されるなどの工夫がされている。そのため、上述した従来例の入力インターフェースの中でも、図13(d)の例はハンドルを握りながらでも誤操作を少なくし、運転姿勢に近い状態で操作できるという利点がある。しかし、ステアリングホイールのグリップの形の一部を皿状に変形させる必要があり、そのため運転中の障害となり、また、多少の誤操作は減ったとしても、それでも誤って皿の部分に指が接触して運転中に誤動作させてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためのものであり、ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができる情報入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明によれば、車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するための複数の電極を有する受付手段と、前記受付手段の前記複数の電極の静電容量の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の電極の前記静電容量の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、前記受付手段は、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、前記制御手段は、前記第2領域の前記電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置が提供される。この構成により、ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができる。なお、上述した接触を検知するということは、実際に触れたことを検知する以外に近接(接近)を検知することも含む。また、人体とは主に運転手の手(指)を言う。以下、同様である。
【0008】
また、本発明の情報入力装置において、前記第2領域の前記電極が複数の電極から構成される場合、前記制御手段が、前記第2領域の前記複数の電極のうちの所定の電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力することは、本発明の好ましい態様である。この構成により、細かい情報入力が可能となる。
【0009】
また、本発明によれば、車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するために用いられる光源及び前記光源によって照射された前記人体からの反射光を受信する光反射受信器を複数有する受付手段と、前記受付手段の前記複数の光反射受信器における前記反射光の強度の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の光反射受信器の前記反射光の強度の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、前記受付手段は、前記光反射受信器を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、前記制御手段は、前記第2領域の前記光反射受信器の前記反射光の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記光反射受信器の前記反射光の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置が提供される。この構成により、ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができる。
【0010】
また、本発明によれば、車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するための複数の抵抗検知器を有する受付手段と、前記受付手段の前記複数の抵抗検知器の抵抗の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の抵抗検知器の前記抵抗の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、前記受付手段は、前記抵抗検知器を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、前記制御手段は、前記第2領域の前記抵抗検知器の前記抵抗の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記抵抗検知器の前記抵抗の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置が提供される。この構成により、ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができる。
【0011】
また、本発明によれば、車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するために用いられる超音波発生器及び前記超音波発生器によって照射された前記人体からの反射波を受信する反射波受信器を複数有する受付手段と、前記受付手段の前記複数の反射波受信器における前記反射波の強度の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の反射波受信器の前記反射波の強度の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、前記受付手段は、前記反射波受信器を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、前記制御手段は、前記第2領域の前記反射波受信器の前記反射波の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記反射波受信器の前記反射波の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置が提供される。この構成により、ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができる。
【0012】
また、本発明の情報入力装置において、前記受付手段が配置された前記ステアリングホイールの円弧方向の長さが5cm以下であることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、誤動作を低減させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の情報入力装置は、上記構成を有し、ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができる。すなわち、運転者が運転姿勢に近い状態で入力操作でき、不用意に手がステアリングホイールに触れても誤動作しない情報入力装置を提供する。これにより、運転しようとしてハンドルを握っても誤作動しなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る情報入力装置について説明する。図1(a)は本発明の実施の形態に係る情報入力装置を搭載したステアリングホイールの一例を示す図である。図1(b)は本発明の実施の形態に係る情報入力装置を搭載した他のステアリングホイールの一例を示す図である。図2(a)は本発明の実施の形態における情報入力インターフェースの一例の拡大図を示す図である。図2(b)は本発明の実施の形態における他の情報入力インターフェースの一例の拡大図を示す図である。図3(a)は本発明の実施の形態における運転手が座席に座りステアリングホイールを握った様子を示す図である。図3(b)は本発明の実施の形態における情報入力インターフェースの有効に機能する範囲の一例を示す図である。
【0015】
図4(a)は本発明の実施の形態における情報入力インターフェースを備えたステアリングホイールを握って運転をしている際の状態の一例を示す図である。図4(b)は本発明の実施の形態における情報入力インターフェースを備えたステアリングホイールを使って情報入力をしている時の状態の一例を示す図である。図5は本発明の実施の形態におけるステアリングホイールの表面に巻かれる電極群の一例を示す図である。図6(a)は本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、排他領域における電極群の配置の一例を示す図である。図6(b)は本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、入力領域における電極群の配置の一例を示す図である。
【0016】
図7(a)は本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、入力領域における電極群の配置とそれを操作する手の指の配置の一例を示す図である。図7(b)は本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、入力領域における電極群の配置とそれを操作する手の指の他の配置の一例を示す図である。図8は本発明の実施の形態における入力領域への操作によって所望の項目を選択する際の一覧リストの一例を示す図である。図9は本発明の実施の形態における電極セグメントでの静電容量の変化量の測定から、制御情報(信号)の発信をするか否かを判断するまでの処理フローの一例を示すフローチャートである。図10は本発明の実施の形態における測定された各電極セグメントにおける静電容量の変化量を調製した値の一例を示す図である。図11は本発明の実施の形態に係る情報入力装置の構成の一例を示す構成図である。図12(a)は本発明の実施の形態における他の情報入力インターフェースの一例の拡大図を示す図である。図12(b)は本発明の実施の形態における図12(a)の拡大図に運転手の手が配置された状態を示す図である。
【0017】
まず、本発明の実施の形態に係る情報入力装置の一例について説明する。図1は本発明の実施の形態に係る情報入力装置を搭載したステアリングホイールの一例を示す図である。図1に示すように、運転手からの情報が入力される情報入力インターフェース(上述した受信手段に相当し、インターフェース部とも言う)11は、ステアリングホイールのグリップ10の円柱表面に、運転手から見て右上の配置されている。もちろん、図1(b)に示すように、左上の位置に配置することも、左右両方に配置することも可能である。そのインターフェース部11は、例えば3つの電極群(単に、電極とも言う)からなり、図1(a)に示すように、排他領域(上述した第1領域に相当)としての電極群12、電極群14と入力領域(上述した第2領域に相当)としての電極群13からなる。
【0018】
また、図1(b)に示すグリップ18上には、左手用のインターフェースとして、排他領域としての電極群15、電極群17と、入力領域としての電極群16が配置され、右手用のインターフェースとして、排他領域としての電極群13、電極群15と、入力領域としての電極群14が配置されている。当然、これらの電極群は、他の電極群と絶縁されて配置され、運転者の指が接近した場合、電極群の静電容量の変化量をそれぞれ独立して測定できるよう配線されている。なお、ここでの静電容量は電極と人体(指)との間(対空間、対アース間)の静電容量であってもよく、また複数の電極間における静電容量であってもよい。また、以下の説明では静電容量の変化量に基づいて制御情報を出力するようにしているが、変化量に限られるものではなく、静電容量の値や変化速度に基づいて制御情報を出力するようにしてもよい。
【0019】
ここで言う入力領域とは、その領域内の電極(電極セグメント、単にセグメントとも言う)に対して指などの接触、接近、若しくは近接により、静電容量の変化量が計算による閾値を超えた場合、回路を通じて入力の情報(入力信号であって上述した制御情報に相当)が不図示の車載機器に発信される領域を言う。また、ここで言う排他領域とは、その領域内の電極に対して指などの接触、接近、若しくは近接により、静電容量の変化量が計算による閾値を超えた場合、回路を通じて入力領域内の電極からの入力信号の発信を停止させる領域を言う。なお、閾値については後述する。
【0020】
これらの電極群とステアリングホイール全体は、デザイン性や、外見上の見栄えの良さ、滑り防止などの理由で薄い膜の材質の絶縁体で覆うことができる。なお、上述した電極に対する接触、接近、若しくは近接とは、電極に直接指が触れた場合、若しくは電極を覆う絶縁体の薄い膜に指が触れた場合などを言う。また、ここで言う指には親指が含まれる。
【0021】
これらの電極群を構成する情報入力インターフェースの例の拡大図を図2(a)、(b)に示す。まず、図2(a)では、ステアリングホイールのグリップ20上に、入力領域を示す領域Bを構成する電極群22と、排他領域を示す領域A、Cを構成する電極群21、電極群23が配置され、領域Bの電極群22は、ステアリングホイールのグリップ20の円弧方向に沿ったグリップ20の軸上の表面上で、領域Aの電極群21と領域Cの電極群23によって挟まれて配置されていなければならない。すなわち、円弧方向に沿って、排他領域(領域A)−入力領域(領域B)−排他領域(領域C)という順番に配置されることを言う。
【0022】
一方、図2(b)では、図2(a)に相当する入力領域を示す領域Bに2つの電極群(電極群24、26)が配置され、それらの電極群の間は絶縁部25によって絶縁され、絶縁部25は絶縁されたグリップ20の材質と同様の材質で構成されている。この場合、運転手は排他領域の電極群21、23を触れずに電極群24や電極群26を摘む、回転させるなどすることによって、より複雑な不図示の車載機器の操作をすることができる。なお、絶縁部25を上述した排他領域として構成するようにしてもよい。
【0023】
上述したような配置にする理由は、運転手がステアリングホイールを握る際の腕や手(手の甲)の位置と大いに関係している。図3(a)に示すように、運転手が座席に座り、ステアリングホイールを握った場合を考える。この場合、本発明が提案するような「排他領域−入力領域−排他領域」と配列された情報入力インターフェースをステアリングホイール40の円弧方向に沿って配置しておけば、図4(a)の入力領域42の円弧の円周の長さが手の甲や指の幅より小さい限り、入力領域42を触ったとしても排他領域43若しくは排他領域44も同時に触るということになる。
【0024】
これにより、手41が入力領域42に接触しても排他領域43、44にも接触するため情報入力の処理が起動しない。このことは、運転中に運転姿勢でステアリングホイールを握っている時は、不図示の車載機器の情報入力インターフェースが誤作動で起動して欲しくないということに則するものである。なお、本発明では、図2(a)に示す領域Bの長さ(ステアリングホイールの円弧のうちの領域Bが配置された部分の長さ)又は電極群22の長さ(ステアリングホイールの円弧のうちの電極群22が配置された部分の長さ)を5cm以下、図2(b)に示す電極群24、26と絶縁部25を合わせた長さ(ステアリングホイールの円弧のうちの入力領域が配置された部分の長さ)を5cm以下とすることが望ましい。ただし、5cm以下でなくても実施は可能である。以上述べた原理は、本発明の提案する情報入力インターフェースが図1(b)に示すような左上にある場合も同様に適用できる。
【0025】
さらに、本発明が提案する図2(a)、(b)に示した例を発展させたグリップ上の電極の配置として図12(a)、(b)に示すようなものが考えられる。図12(a)は各電極群の配置を示す図である。図12(b)は図12(a)の電極群の上に実際に運転手の手126が置かれ、不図示の車載機器を操作しようとしている場合の状態を示す図である。上述した図2(a)、(b)で示した例と似たような構成で、図12(a)、(b)の例でも同様に、グリップ20上に領域A(排他領域)の電極群21と、領域C(排他領域)の電極群23がある。領域Bには、入力領域の電極群120と電極群122(電極群120以外の領域Bに描かれている四角形状のものすべて)が配置されている。この例では、領域Bの入力領域の電極群120、122以外の部分は、領域Aや領域Cのような排他領域の電極群121で構成されている。もちろん、各電極群はグリップ20表面上に絶縁されて配置されている。
【0026】
図12(b)に示すように、不図示の車載機器を操作しようとしている運転手の手126の親指123と中指125は、入力領域の電極群122に触れている。人差し指124は入力領域の電極群120に触れている。それらの指以外の手の部分は、排他領域の電極群121には触れていない。電極群が静電容量センサとして物体近接をセンシングした場合、それぞれの排他領域の電極群と入力領域の電極群による静電容量変化が起こり、それらの変化の比、特異点抽出などから運転手の手126の配置が図12(b)のようになった状態かどうかを特定できる。この状態で、入力領域の電極群122上を親指123や中指125がスライドすることで、指の動きを検知し不図示の車載機器の操作を可能とさせる。
【0027】
次に、運転手が情報入力インターフェースを用いて不図示の車載機器を操作したいという意図がある場合の操作について図4(b)を用いて説明する。不図示の車載機器を操作する場合、例えばステアリングホイール40のグリップ上の、入力領域42のみを親指と人差し指などで摘むなどする。このようにすることによって、排他領域43と排他領域44のどちらにも手41(指)は大きく触れない。そのため、排他領域43や排他領域44での静電容量の変化量は閾値を超えない程度の小さなものであるが、入力領域42では静電容量の変化量が閾値を超えた大きな値となるため、運転手が触ったという情報(信号)が不図示の車載機器を制御する不図示の回路へ送られる。
【0028】
本発明の構成によれば、運転手が運転のためにグリップを握っているのか、情報入力のためにグリップに接触しているのかを判別することができ、後者の状態の特異性を高めることで誤動作の少ない、安全な情報入力装置として機能する。
【0029】
また、図4(b)に示すステアリングホイール40を親指と人差し指で摘むという姿勢は、指の動きの変化のみで、すぐに図4(a)のようなステアリングホイール40を握るという運転姿勢に戻ることができるため、万が一、車両機器の操作中に追突されるなどの事故が起きても運転手は素早く行動でき、危険を回避することができる。
【0030】
ここで、図3(a)に示す状態でステアリングホイールを旋回させ、情報入力インターフェースが下部、すなわち運転手の膝の真上付近に位置した場合、上述の状況とは違い、指はステアリングホイールの円弧に対し略垂直となって情報入力インターフェースに触れることになる。この場合、入力領域32にのみに中指などが偶然触れる可能性があり、運転中にもかかわらず情報入力インターフェースを誤動作させるという可能性がある。
【0031】
それに対する改善策として、図3(b)に示すように、ステアリングホイール30の旋回による回転角が所定の角度範囲内である場合にのみ情報入力インターフェースの機能を有効とさせるよう制限することにより誤動作を防ぐことができる。例えば、運転手側から見て右手用の情報入力インターフェースの場合、時計の10時方向から右回りに4時の方向までの180度の範囲内に情報入力インターフェースが位置している場合にのみ、制御情報(信号)を発信できるように制限を設ける。これにより誤動作の防止となる。
【0032】
ここで、上述した閾値とは、静電容量の変化量に対する単なる定数、固定数に限定されず、手の接触、接近、若しくは近接による排他領域と入力領域での電極群のそれぞれで測定された複数の静電容量の変化量から計算される相対値、規格化された値、相関値、該当する電極の面積で割った値、それらを入力値としたニューラルネットワークによる出力に対する判別の閾値を含むものである。
【0033】
次に、上述したステアリングホイールの表面に巻かれる電極群について図5を用いて説明する。上述したように、電極群は、排他領域を示す領域A、入力領域を示す領域B、排他領域を示す領域Cと分かれて順番に配置されているが、特に、領域Bの電極群を図5に示すような細かい電気的に絶縁されたセグメントに分けることで、更に細かい情報入力の設定をすることができる。さらに、図4(b)に示した、運転手が情報入力を意図している場合の手(指)の配置の特異性を更に高めることができる。それについて詳しく述べる。
【0034】
ステアリングホイールのグリップの円弧に対して略垂直に切った面(断面)から見た、表面の電極の配置の簡易図を図6(a)、(b)に示す。図6(a)、(b)に示すように、グリップのコア62、64の外側(周囲)に電極61、63がそれぞれ配置されている。図6(a)は領域A又は領域Cにおける断面を示し、図6(b)は領域Bにおける断面を示している。図5、図6(b)から分かるように、領域Bの電極は、この例では電気的に絶縁した8つの電極と配線とからなる。図6(b)に示すように、それぞれの電極をB1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8と呼ぶことにする。
【0035】
図7(a)、(b)は、図4(b)に示すような、運転手が情報入力インターフェースを使用しようと意図した場合の手(指)の配置を示すものであり、入力領域(領域B)のみを親指と人差し指で摘んでいる様子を示している。なお、図7(a)、(b)にはそれぞれグリップのコア72、74及び電極71、73がそれぞれ示されている。図7(a)の例は、親指と人差し指が入力領域のB1とB5とに接触している場合を示している。実際は、セグメント同士の間に指が入り込む(位置する)など、その静電容量の変化に大きくばらつきはあるが、各静電容量の変化の比や分布から主として指がどのセグメント(電極)に接触しているか判断することができる。
【0036】
電極を8つのセグメントに区切った例では、制御情報(信号)が不図示の車載機器へ送信される条件として、円周に配置されたB1からB8までの電極のうち、ある電極(例えば、B1)と、グリップの断面の中心に対してその電極(例えば、B1)と対称の位置にある反対側の電極(例えば、B5)のみが接触されている場合に情報の発信を行うという、より厳しい条件を設けている。それにより、情報入力状態における指の配置の特異性が高まり、運転状態での情報入力インターフェースの誤作動の確率を下げることができる。さらに、この円周に配置された8つの電極により、静電容量の変化による近接センサデバイスが、タッチ式ジョグダイヤルとしても使用できるよう設定が可能である。
【0037】
図7(b)の例では、親指と人差し指が電極B8とB4に接触している場合を示している。これは、図7(a)に示す状態から親指と人差し指をB8とB4の電極の位置に移動させたものであり、これにより、近接をセンシングした電極は、B1からB8及びB5からB4へ変化することで、擬似的な方向性をもつ回転情報となって、不図示の車載機器にその情報が送信される。これは、映像音楽再生機器やカーナビで、例えば図8に示すようにカーソルを上下移動させて一覧リストの中から所望の項目を選択したり、音楽のボリュームを変更したりする操作などで有用であり、容易かつ直感的に行うことができる。
【0038】
ここで、上述した電極での静電容量の変化量の測定から、制御情報(信号)の発信をするか否かを判断するまでの処理フローについて図9を用いて説明する。まず、各電極における静電容量の変化量を測定する(S901)。測定された各電極における静電容量の変化量の詳細については後述する。領域Bのいずれかの電極の測定値が閾値を超えたか否かを判断する(S902)。領域Bのいずれかの電極の測定値が閾値を超えた場合、測定値が測定された時刻に対応する領域Aの測定値が閾値を超えていないか否かを判断する(S903)。領域Aの測定値が閾値を超えていない場合、測定値が測定された時刻に対応する領域Cの測定値が閾値を超えていないか否かを判断する(S904)。
【0039】
領域Cの測定値が閾値を超えていない場合、閾値を超えた領域Bの該当する電極とグリップの断面の中心に対して対称の位置にある電極の該当する時刻における測定値が閾値を超えているか否かを判断する(S905)。すなわち、これは2つの指(例えば、親指と人差し指)でグリップ表面の電極を摘んだ状態か否かを判断することである。
【0040】
測定値が閾値を超えている場合、閾値を超えた領域Bの電極に隣り合う電極の情報が所定の記憶領域に記録されているか否かを判断する(S906)。これは、例えば上述した図7(a)から図7(b)への動き(ジョグダイヤルのような操作)をセンシングすることである。すなわち、過去に指に近接していた領域Bにおける電極と現在接触している電極との位置関係を判断している。
【0041】
隣り合う電極の情報(例えば、B2という情報)が所定の記憶領域に記録されている場合、現時点の電極と情報として記録された電極との位置関係に基づく信号を出力する(S907)。すなわち、例えば、電極B1からB8への変化、B5からB4への変化など、グリップの表面上の隣接する電極間での変化であると判断された場合、その回転方向と回転移動角度などの情報(上述した制御情報に相当)を不図示の車載機器に送信する。これにより、擬似的にジョグダイヤル的な連続入力機能を持たせることができる。なお、S906において、閾値を超えた領域Bの電極に隣り合う電極の情報が所定の記憶領域に記録されていない場合、所定の記憶領域に閾値を超えた領域Bの電極の情報を記録する(S908)。また、S902〜S905において、それぞれ「NO」と判断されるとS902に戻る。
【0042】
なお、上述した判断の基準となる閾値は、単に定数に限定されず、領域Bの静電容量の変化値に対する領域A、Cにおける変化量との比、相対値なども含む。そうすることで、指が領域の境に接触した場合、電極の応答におけるノイズや、接触した時と非接触になった時での静電容量値のヒステリーシス特性などの誤差を考慮することができる。
【0043】
次に、上述した図9のS901において測定された各電極における静電容量の変化量を調製した値を図10に示す。図10に示すように、上から(a)から(j)まで各電極に対するグラフがあり、順に、(a)は領域Aにおける電極に対するグラフ、(b)は領域Cにおける電極に対するグラフ、(c)は領域BのB1電極に対するグラフ、(d)は領域BのB2電極に対するグラフ、(e)は領域BのB3電極に対するグラフ、(f)は領域BのB4電極に対するグラフ、(g)は領域BのB5電極に対するグラフ、(h)は領域BのB6電極に対するグラフ、(i)は領域BのB7電極に対するグラフ、(j)は領域BのB8電極に対するグラフを示している。グラフは、横軸が測定の時間、縦軸が測定によって得られた電極の静電容量の変化量を調整した値である。ここで調整された値とは、規格化された値、相対値、ニューラルネットワークでの判別のための値などである。なお、電極の静電容量の変化量を調整せずにそのまま用いるようにしてもよい。
【0044】
ここでは、簡単な例として、電極に指の接触などが起きた際には計算された値が通常よりも上がり閾値に達するとする。また、図10の(k)は、これらの観測値を計算して得られた値から、不図示の車載機器に最終的に制御情報(信号)が出力されるかどうかを示している。
【0045】
図10の例では、まず、図10の(a)、(b)の領域(排他領域)A、Cでの指の接触などがないかどうかを見ると分かりやすい。領域A、Cを運転手が握った場合、すなわち、図10の(a)、(b)の縦軸において値が上がり閾値を超えた場合は、図10の(k)のグラフに示すように、情報入力インターフェースは排他期間となり何も処理はされない。これは、運転手がグリップを握って運転を行っている状態である。
【0046】
図10の(k)の横軸の時刻t1以後は、排他領域から運転手の手が離れ、まだ何も行われていないが、時刻t2からt3にかけて入力領域を示す領域Bにおいてジョグダイヤル的な操作がされていることが分かる。すなわち、まずB1とB5に指が接触し、次にB4とB8に指が接触し、次にB3とB7に指が接触し、次にB2とB6に指が接触している。情報入力インターフェースは、これらの回転方向と移動量を不図示の車載機器に伝えることで、運転手が連続的に操作を行うことができる。時刻t3の時点で、領域Cに指が接触しているため、情報入力は再び停止状態となる。
【0047】
更なる工夫として、入力領域のみが接触された場合でも、入力領域に接触し排他領域に接触しないという状態が一定の間、例えば0.8秒の時間が経過しなければ機能しないという設定をすることもできる。これにより、運転手が運転しようとしてステアリングホイールを握るとき、一瞬だけ手が図4(b)のような状態になってしまった場合であっても不図示の車載機器操作の情報入力の誤動作を防ぐことができる。
【0048】
また、別の工夫としては、排他領域の電極も電気的に絶縁された複数のセグメントに分けることで、排他領域の電極群での静電容量の変化量と、入力領域の電極群の静電容量の変化量との分布や相関から、入力と排他性を計算させ、運転手が運転をしようとして握っているのか、情報入力インターフェースを操作しようとしているのか、より厳密に判断することも可能である。
【0049】
その他に、情報入力インターフェースで入力する場合、始めのメニュー画面起動には、入力領域をタップ、例えば2回、トントンと指で接触してからのみ、擦る、摘むなどの操作ができるようにするなど、入力の仕方を発展させることができる。さらに、本発明の利点は、車載機器の操作という行為を介して、運転手に対してステアリングホイールに手を常に当てておくという習慣を積極的に促すことで、運転手の安全姿勢を促進させるという効果もある。
【0050】
次に、本発明の実施の形態に係る情報入力装置の構成について図11を用いて説明する。図11に示すように、情報入力装置は、受信手段110、制御手段111から構成されている。なお、情報入力装置の構成はこれに限られるものではなく、他の構成要素が含まれてもよい。受信手段110は、車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体(例えば、指)の接触を検知するための複数の電極(図5を参照)を有するものである。また、受付手段110は、電極を備え、人体の接触により制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域(排他領域に相当)と、電極を備え、人体の接触により制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域(入力領域に相当)とを有し、ステアリングホイールの円弧方向のグリップ表面において第2領域が第1領域によって挟まれるように配列されている(図2(a)、(b)を参照)。
【0051】
制御手段111は、受付手段110の複数の電極の静電容量の値又はその変化(例えば、静電容量の変化量)を測定し、測定された複数の電極の静電容量の値又はその変化(例えば、静電容量の変化量)に基づいて、車両の不図示の車載機器を制御する制御情報を出力するものである。また、制御手段111は、第2領域の電極の静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度(例えば、静電容量の変化量)が所定の閾値を超え、かつ第1領域の電極の静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度(例えば、静電容量の変化量)が所定の閾値を超えないと判断した場合に、制御情報を不図示の車載機器に出力するものである。
【0052】
なお、上述した説明では、静電容量の変化量に基づいて制御情報を出力するかを判断しているが、静電容量の変化量に基づくものに限られるものではない。例えば、一般的に用いられている光方式によるもの(具体的には、可視光若しくは赤外線による反射光の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度によるものであって、上述した光反射受信器における反射光の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度に基づくもの)、抵抗膜方式によるもの(具体的には、タッチすることによって通る電気の変化の値、又はその変化量、あるいは変化速度によるものであって、上述した抵抗検知器の抵抗の値、又はその変化量、あるいは変化速度に基づくもの)、超音波方式によるもの(具体的には、超音波の反射波の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度によるものであって、上述した反射波受信器における反射波の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度に基づくもの)などであっても本発明を実施することは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る情報入力装置は、ステアリングホイールのグリップの形状を変えることなく、誤動作を少なくさせることができるため、自動車の車載機器をステアリングホイール上で操作する情報入力装置などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)本発明の実施の形態に係る情報入力装置を搭載したステアリングホイールの一例を示す図である。(b)本発明の実施の形態に係る情報入力装置を搭載した他のステアリングホイールの一例を示す図である。
【図2】(a)本発明の実施の形態における情報入力インターフェースの一例の拡大図を示す図である。(b)本発明の実施の形態における他の情報入力インターフェースの一例の拡大図を示す図である。
【図3】(a)本発明の実施の形態における運転手が座席に座りステアリングホイールを握った様子を示す図である。(b)本発明の実施の形態における情報入力インターフェースの有効に機能する範囲の一例を示す図である。
【図4】(a)本発明の実施の形態における情報入力インターフェースを備えたステアリングホイールを握って運転をしている際の状態の一例を示す図である。(b)本発明の実施の形態における情報入力インターフェースを備えたステアリングホイールを使って情報入力をしている時の状態の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるステアリングホイールの表面に巻かれる電極群の一例を示す図である。
【図6】(a)本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、排他領域における電極群の配置の一例を示す図である。(b)本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、入力領域における電極群の配置の一例を示す図である。
【図7】(a)本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、入力領域における電極群の配置とそれを操作する手の指の配置の一例を示す図である。(b)本発明の実施の形態におけるステアリングホイールのグリップに対して垂直な面から見た、入力領域における電極群の配置とそれを操作する手の指の他の配置の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における入力領域への操作によって所望の項目を選択する際の一覧リストの一例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態における電極セグメントでの静電容量の変化量の測定から、制御情報(信号)の発信をするか否かを判断するまでの処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態における測定された各電極セグメントにおける静電容量の変化量を調製した値の一例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る情報入力装置の構成の一例を示す構成図である。
【図12】(a)本発明の実施の形態における他の情報入力インターフェースの一例の拡大図を示す図である。(b)本発明の実施の形態における図12(a)の拡大図に運転手の手が配置された状態を示す図である。
【図13】(a)〜(d)従来のステアリングホイールに設けられた情報入力インターフェースを示す図
【図14】(a)従来のステアリングホイールに設けられた他の情報入力インターフェースを示す図(b)従来のステアリングホイールに設けられた他の情報入力インターフェースを示す図
【符号の説明】
【0055】
10、18、20、131、134、137 グリップ
11 情報入力インターフェース(インターフェース部)
12、14、15、17、21、23、121 排他領域の電極群
13、16、22、24、26、120、122 入力領域の電極群
25 絶縁部
30、40 ステアリングホイール
31、33、43、44 排他領域
32、42 入力領域
41 手
61、63、71、73 電極
62、64、72、74 コア
110 受信手段
111 制御手段
123 運転手の親指
124 運転手の人差し指
125 運転手の中指
126 運転手の手
132 スイッチ
133、136 ステアリングホイールの真ん中部分
135 突起状のスイッチ
138 皿状のタッチパッド
140 接触センサ(機能面)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するための複数の電極を有する受付手段と、
前記受付手段の前記複数の電極の静電容量の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の電極の前記静電容量の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、
前記受付手段は、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、
前記制御手段は、前記第2領域の前記電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置。
【請求項2】
前記第2領域の前記電極が複数の電極から構成される場合、
前記制御手段は、前記第2領域の前記複数の電極のうちの所定の電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力する請求項1に記載の情報入力装置。
【請求項3】
車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するために用いられる光源及び前記光源によって照射された前記人体からの反射光を受信する光反射受信器を複数有する受付手段と、
前記受付手段の前記複数の光反射受信器における前記反射光の強度の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の光反射受信器の前記反射光の強度の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、
前記受付手段は、前記光反射受信器を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、
前記制御手段は、前記第2領域の前記光反射受信器の前記反射光の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記光反射受信器の前記反射光の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置。
【請求項4】
車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するための複数の抵抗検知器を有する受付手段と、
前記受付手段の前記複数の抵抗検知器の抵抗の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の抵抗検知器の前記抵抗の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、
前記受付手段は、前記抵抗検知器を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、
前記制御手段は、前記第2領域の前記抵抗検知器の前記抵抗の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記抵抗検知器の前記抵抗の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置。
【請求項5】
車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するために用いられる超音波発生器及び前記超音波発生器によって照射された前記人体からの反射波を受信する反射波受信器を複数有する受付手段と、
前記受付手段の前記複数の反射波受信器における前記反射波の強度の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の反射波受信器の前記反射波の強度の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、
前記受付手段は、前記反射波受信器を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、
前記制御手段は、前記第2領域の前記反射波受信器の前記反射波の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記反射波受信器の前記反射波の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置。
【請求項6】
前記受付手段が配置された前記ステアリングホイールの円弧方向の長さが5cm以下である請求項1から5のいずれか1つに記載の情報入力装置。
【請求項1】
車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するための複数の電極を有する受付手段と、
前記受付手段の前記複数の電極の静電容量の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の電極の前記静電容量の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、
前記受付手段は、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、
前記制御手段は、前記第2領域の前記電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置。
【請求項2】
前記第2領域の前記電極が複数の電極から構成される場合、
前記制御手段は、前記第2領域の前記複数の電極のうちの所定の電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記電極の前記静電容量の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力する請求項1に記載の情報入力装置。
【請求項3】
車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するために用いられる光源及び前記光源によって照射された前記人体からの反射光を受信する光反射受信器を複数有する受付手段と、
前記受付手段の前記複数の光反射受信器における前記反射光の強度の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の光反射受信器の前記反射光の強度の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、
前記受付手段は、前記光反射受信器を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、
前記制御手段は、前記第2領域の前記光反射受信器の前記反射光の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記光反射受信器の前記反射光の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置。
【請求項4】
車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するための複数の抵抗検知器を有する受付手段と、
前記受付手段の前記複数の抵抗検知器の抵抗の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の抵抗検知器の前記抵抗の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、
前記受付手段は、前記抵抗検知器を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、
前記制御手段は、前記第2領域の前記抵抗検知器の前記抵抗の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記抵抗検知器の前記抵抗の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置。
【請求項5】
車両のステアリングホイールのグリップ表面に配置され、人体の接触を検知するために用いられる超音波発生器及び前記超音波発生器によって照射された前記人体からの反射波を受信する反射波受信器を複数有する受付手段と、
前記受付手段の前記複数の反射波受信器における前記反射波の強度の値又はその変化を測定し、測定された前記複数の反射波受信器の前記反射波の強度の値又はその変化に基づいて、前記車両の車載機器を制御するための制御情報を出力する制御手段とを備える情報入力装置であって、
前記受付手段は、前記反射波受信器を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を不能とする2つ以上の第1領域と、前記電極を備え、前記人体の接触により前記制御情報の出力を可能とする1つ以上の第2領域とを有し、前記ステアリングホイールの円弧方向の前記グリップ表面において前記第2領域が前記第1領域によって挟まれるように配列され、
前記制御手段は、前記第2領域の前記反射波受信器の前記反射波の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が所定の閾値を超え、かつ前記第1領域の前記反射波受信器の前記反射波の強度の値、又はその変化量、あるいは変化速度が前記所定の閾値を超えないと判断した場合に、前記制御情報を前記車載機器に出力するよう構成された情報入力装置。
【請求項6】
前記受付手段が配置された前記ステアリングホイールの円弧方向の長さが5cm以下である請求項1から5のいずれか1つに記載の情報入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−87566(P2008−87566A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268843(P2006−268843)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]