説明

情報再生装置、及び情報再生方法

【課題】デジタルコンテンツが異常処理されたものであるか否かを判定することができるコンテンツ判定装置、コンテンツ判定方法、情報再生装置、情報記録媒体を提供する。
【解決手段】情報再生装置は、暗号化されているか否かの属性を示す電子透かしを含むコンテンツが記録されている情報記録媒体(102)から、コンテンツを読み出すドライブ(101)と、デクリプタ(103)と、デクリプタ状態モニタ(104)と、ストリーム属性モニタ(106)と、復号状態信号が復号処理中以外を示し且つ属性検出信号が暗号化されているコンテンツであることを示す場合、及び、復号状態信号が復号処理中を示し且つ属性検出信号が暗号化されていないコンテンツであることを示す場合に、コンテンツが異常処理されたものであると判定する判定手段(107)と、映像デコーダ(105)と、コンテンツが異常処理されたものであると判定されたときに映像信号を出力させない出力制御手段(108)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像や音楽などのデジタルコンテンツが異常処理されたものであるか否かを判定することができるコンテンツ判定装置、コンテンツ判定方法、情報再生装置、及びこの情報再生装置で再生される情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ある情報記録媒体から他の情報記録媒体に情報を不正にコピーする行為(例えば、著作権侵害行為)を防止するために、シリアル・コピー・マネージメント・システム(SCMS)やコピー・ジェネレーション・マネージメント・システム(CGMS)などのコピーガード技術が使用されている。例えば、2ビットの著作権保護情報が情報記録媒体に記録され、著作権保護情報が“00”であればコピー可能、“10”であれば1回だけコピー可能、“11”であればコピー禁止を示す。情報記録装置は、情報記録媒体に記録された著作権保護情報を遵守する。しかし、情報記録媒体に記録された著作権保護情報は、不正に改変され得る。このため、2ビットの著作権保護情報に加えて、映像情報をエンコードして得られたデジタルデータに対して2ビットの著作権保護情報と同じ情報をウォーターマークとして付加しておき、再生時に両者を検出し、両者の比較結果に応じてデコーダからデータを出力するか、出力禁止するかを決める方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、デジタルコンテンツの著作権保護技術では、コンテンツを暗号化する手法が一般的に使用されている。この著作権保護技術においては、データ記録時に、保護対象となるデータを暗号化し、暗号化されたデータを復号するために必要な暗号鍵と著作権保護のための再生制御データを電子透かしによって暗号化されたデータに埋め込む。そして、データ再生時に、電子透かしを検出して暗号化されたデータを復号するために必要な暗号鍵と著作権保護のための再生制御データを復元し、復元された暗号鍵を用いて暗号を復号、そして復元された再生制御データで保護対象となるデータの再生を制御する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−87096号公報
【特許文献2】特開2003−195759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の方式では、暗号を復号するための鍵や復号手順を秘匿する強度が、保護の強さに対応しているが、これらの秘匿した情報が一旦解読されてしまうと、著作権保護が機能しなくなるという弱点を抱えていた。例えば、暗号化して著作権保護されたコンテンツが、第三者によって解読され、デジタルデータが平文に変換されてしまうと、もはや無断再生、複製や盗用、改変を防止することはできなくなる。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、映像や音楽などのデジタルコンテンツが異常処理されたものであるか否かを判定することができるコンテンツ判定装置、コンテンツ判定方法、情報再生装置、及び情報記録媒体を提供することにある。
【0007】
また、映像や音楽などのデジタルコンテンツが不正に解読されたものであるか否かを判定し、不正解読されたコンテンツが正常に再生されることを防止することができる情報再生装置、及び情報再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンテンツ判定装置は、コンテンツが暗号化されているか否かの属性を示す電子透かしを含むコンテンツが、暗号化されている場合に、前記コンテンツの暗号化されているストリームを復号するデクリプタと、前記デクリプタが復号処理中か否かを示す復号状態信号を生成するデクリプタ状態モニタと、前記電子透かしから前記属性を示す属性検出信号を生成するストリーム属性モニタと、前記復号状態信号が復号処理中以外を示し且つ前記属性検出信号が暗号化されているコンテンツであることを示す場合、又は、前記復号状態信号が復号処理中を示し且つ前記属性検出信号が暗号化されていないコンテンツであることを示す場合に、前記コンテンツが異常処理されたものであると判定する判定手段とを有するものである。
【0009】
また、本発明のコンテンツ判定方法は、コンテンツが暗号化されているか否かの属性を示す電子透かしを含むコンテンツが、異常処理されたものであるか否かを判定する装置によるコンテンツ判定方法であって、前記コンテンツが暗号化されている場合に、デクリプタによって前記コンテンツの暗号化されているストリームを復号するステップと、前記デクリプタが復号処理中か否かを示す復号状態信号を生成するステップと、前記電子透かしから前記属性を示す属性検出信号を生成するステップと、前記復号状態信号が復号処理中以外を示し且つ前記属性検出信号が暗号化されているコンテンツであることを示す場合、又は、前記復号状態信号が復号処理中を示し且つ前記属性検出信号が暗号化されていないコンテンツであることを示す場合に、前記コンテンツが異常処理されたものであると判定するステップとを有するものである。
【0010】
また、本発明の情報再生装置は、コンテンツが暗号化されているか否かの属性を示す電子透かしを含むコンテンツが、記録されている情報記録媒体から、前記コンテンツを読み出す再生手段と、前記コンテンツが暗号化されている場合に、前記コンテンツの暗号化されているストリームを復号するデクリプタと、前記デクリプタが復号処理中か否かを示す復号状態信号を生成するデクリプタ状態モニタと、前記電子透かしから前記属性を示す属性検出信号を生成するストリーム属性モニタと、前記復号状態信号が復号処理中以外を示し且つ前記属性検出信号が暗号化されているコンテンツであることを示す場合、又は、前記復号状態信号が復号処理中を示し且つ前記属性検出信号が暗号化されていないコンテンツであることを示す場合に、前記コンテンツが異常処理されたものであると判定する判定手段と、前記再生手段又は前記デクリプタから出力される前記コンテンツのストリームをデコードして映像信号として出力する映像デコーダとを有するものである。
【0011】
また、本発明の情報記録媒体は、上記情報再生装置によって再生される情報記録媒体であって、記録されているコンテンツが、暗号化されているか否かの属性を示す電子透かしを含むことを特徴としている。
【0012】
また、本発明の情報再生装置は、符号化され、かつ暗号化された映像や音声を表すストリーム情報の暗号化を復号するデクリプタと、該デクリプタの内部信号を受けて、該デクリプタが復号処理中か否かを示す復号状態信号を生成するデクリプタ状態モニタと、前記ストリーム情報の符号化を復号するデコーダとを備え、前記復号状態信号が復号処理中を示す場合に限り、前記デコーダを正規に復号動作させるようにしたものである。
【0013】
また、本発明の他の情報再生装置は、符号化され、かつ暗号化された映像や音声を表すストリーム情報の暗号化を復号するデクリプタと、該デクリプタの内部信号を受けて、該デクリプタが復号処理中か否かを示す復号状態信号を生成するデクリプタ状態モニタと、前記ストリーム情報の符号化を復号するデコーダと、前記デコーダで復号したストリーム情報を出力するための出力手段とを備え、前記復号状態信号が復号処理中を示す場合に限り、前記出力手段から復号したストリーム情報を正規に出力するようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のコンテンツ判定装置、コンテンツ判定方法、及び情報再生装置によれば、コンテンツが正常なものであるか、異常処理されたものであるかを判定することができる。
【0015】
また、本発明の情報再生装置によれば、コンテンツが異常処理されたものである場合に、映像信号を出力させないことができる。
【0016】
また、本発明の情報記録媒体によれば、コンテンツが正常なものであるか、異常処理されたものであるかを判定することが可能になる。
【0017】
また、本発明によれば、コンテンツが正常なものであるかそうでないかを判定して、不正解読されたものなど正常でないコンテンツが再生されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る情報再生装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る情報再生装置におけるコンテンツ判定及び出力映像信号を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る情報再生装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】実施の形態2に係る情報再生装置におけるコンテンツ判定及び出力映像信号を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る情報再生装置の構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態3に係る情報再生装置においてコンテンツ著作権保護の状態を判断するための説明図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る情報再生装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態5に係る情報再生装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態6に係る情報再生装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る情報再生装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【0020】
実施の形態1に係る情報再生装置は、自身が暗号化されているか否かの属性を示す電子透かしを含むデジタルコンテンツが記録されている情報記録媒体101から、映像及び/又は音声を再生する。情報記録媒体101は、例えば、DVDやCDなどの光ディスク、又は、メモリカードなどである。暗号化は、映像や音声等のデジタルコンテンツを、正規の権利を有しない者が不正に再生又は複製をすることを防止する著作権保護のために施される。暗号化方式としては、例えば、著作権保護のために規定されているCPRM(Content Protection for Recordable Media)やAACS(Advanced Access Content System)などを用いることができる。なお、情報記録媒体に記録されているコンテンツに含まれる、映像データ以外の制御情報(例えば、ナビゲーション制御情報)などは、著作権保護暗号化されていなくてもよい。
【0021】
図1に示されるように、実施の形態1に係る情報再生装置は、装置全体の動作を制御するコントローラ100と、情報記録媒体101からコンテンツを読み出す再生手段としてのドライブ102と、コンテンツが暗号化されている場合に、コンテンツの暗号化ストリームを復号(暗号解読)するデクリプタ103と、デクリプタ103が復号処理中か否かを示す復号状態信号を生成するデクリプタ状態モニタ104とを有する。復号状態信号は、デクリプタ103が復号処理中である場合はEで示し、デクリプタ3が復号処理中以外の場合はNで示す。コンテンツには、オーサリング時にあらかじめ、再生されようとしている部分のデータが著作権保護暗号化されるデータかそうでないデータかの属性を、不正に改竄されにくい方法で埋め込んでおく。属性は、例えば、電子透かしを利用してコンテンツのストリームに埋め込まれる。
【0022】
また、実施の形態1に係る情報再生装置は、ドライブ102又はデクリプタ103から出力されるコンテンツのストリームをデコード(符号化データの復号化)して映像信号として出力する映像デコーダ105と、電子透かしから属性を示す属性検出信号を生成するストリーム属性モニタ106とを有する。属性検出信号は、電子透かしが暗号化されていることを示す場合はEで示し、電子透かしが暗号化されていないことを示す場合はNで示す。
【0023】
さらに、実施の形態1に係る情報再生装置は、復号状態信号が復号処理中以外(N)を示し且つ属性検出信号が暗号化されているコンテンツであること(E)を示す場合、又は、復号状態信号が復号処理中(E)を示し且つ属性検出信号が暗号化されていないコンテンツであること(N)を示す場合、コンテンツが異常処理(例えば、著作権保護の点における不正処理)されたものであると判定する判定手段107を有する。
【0024】
さらにまた、実施の形態1に係る情報再生装置は、判定手段107が、コンテンツは異常処理されたものであると判定したときに、映像デコーダ105からの映像信号を外部に出力させない出力制御手段108を有する。なお、本出願において、デクリプタ103が実行する「復号」は、著作権保護のために暗号化されたデータの暗号を解読する処理を示し、映像デコーダ105が実行する「デコード(復号)」は、符号化データを元のデータに変換する処理を示す。
【0025】
また、図1に示されるように、デクリプタ103、デクリプタ状態モニタ104、ストリーム属性モニタ106、及び判定手段107は、本発明の実施の形態1に係るコンテンツ判定装置(すなわち、実施の形態1に係るコンテンツ判定方法を実施する装置)に相当するコンテンツ判定ブロック109を構成している。コンテンツ判定ブロック109における判定結果に基づく表示又は警告音を、不図示の表示部又はスピーカから出力するように構成してもよい。
【0026】
図2は、実施の形態1に係る情報再生装置におけるコンテンツ判定条件及び出力映像を示す説明図である。
【0027】
図2に示されるように、コンテンツの暗号化の状態(非暗号N又は暗号E)、復号状態信号(非暗号N又は暗号E)、及び属性検出信号(非暗号N又は暗号E)の組み合わせから8つの場合(場合a〜場合h)が考えられる。なお、図2に示されるコンテンツの暗号化の状態は、情報記録媒体101に記録されたコンテンツの本来の状態を示すが、コンテンツが改変されている場合もあり得るので、情報再生装置は、コンテンツの本来の状態(非暗号N又は暗号E)を正確に知ることはできない。
【0028】
(a) 場合aは、コンテンツは暗号化されておらず(N)、復号状態信号は暗号化されていないこと(N)を示し、属性検出信号は暗号化されていないこと(N)を示す場合である。この場合には、コンテンツは元々暗号化されておらず、復号状態信号及び属性検出信号の両方がコンテンツは暗号化されていないことを示すので、不正な改変を受けていないと推測できる。判定手段107は、復号状態信号及び属性検出信号の両方が暗号化されていないこと(N及びN)を示すので、コンテンツは不正処理を受けていない、すなわち、「正常」であると判定する。出力制御手段108は、判定手段107の判定結果に基づいて、映像デコーダ105の出力信号をそのまま、映像信号をして出力する。
【0029】
(b) 場合bは、コンテンツは暗号化されておらず(N)、復号状態信号は暗号化されていないこと(N)を示すが、属性検出信号は暗号化されていること(E)を示す場合である。この場合には、コンテンツは元々暗号化されておらず、復号状態信号はコンテンツは暗号化されていないことを示し、属性検出信号がコンテンツは暗号化されていることを示すので、不正な改変(例えば、コンテンツが不正に解読されて平文になっている)を受けていると推測できる。判定手段107は、復号状態信号は暗号化されていないこと(N)を示すが、属性検出信号は暗号化されていること(E)を示すので、コンテンツは不正処理を受けている、すなわち、「異常」であると判定する。出力制御手段108は、判定手段107の判定結果に基づいて、映像デコーダ105の出力信号を遮断し、映像信号をして出力しない。
【0030】
(c) 場合cは、コンテンツは暗号化されておらず(N)、復号状態信号は暗号化されていること(E)を示すが、属性検出信号は暗号化されていないこと(N)を示す場合である。この場合には、デクリプタ103は平文のデータに対して復号処理を実施しており、正常に復号されない。判定手段107は、復号状態信号は暗号化されていること(E)を示すが、属性検出信号は暗号化されていないこと(N)を示すので、コンテンツは不正処理を受けている、すなわち、「異常」であると判定する。出力制御手段108は、判定手段107の判定結果に基づいて、映像デコーダ105の出力信号を遮断し、映像信号をして出力しない。
【0031】
(d) 場合dは、コンテンツは暗号化されていないが(N)、復号状態信号は暗号化されていること(E)を示し、属性検出信号は暗号化されていること(E)を示す場合である。この場合には、デクリプタ103は平文のデータに対して復号処理を実施しており、正常に復号されない。場合dは、通常は起こりえないケースである。ただし、判定手段107は、復号状態信号は暗号化されていること(E)を示し、属性検出信号も暗号化されていること(E)を示すので、コンテンツは不正処理を受けてない、すなわち、「正常」であると判定する。ただし、画面を見たユーザは、異常を知ることができ、手動で再生を停止することになると考えられる。
【0032】
(e) 場合eは、コンテンツは暗号化されているが(E)、復号状態信号は暗号化されていないこと(N)を示し、属性検出信号は暗号化されていないこと(N)を示す場合である。この場合には、デクリプタ3は暗号化されたデータに対して復号処理を実施しておらず、正常な映像は出力されない。場合eは、通常は起こりえないケースである。ただし、判定手段107は、復号状態信号は暗号化されていないこと(N)を示し、属性検出信号も暗号化されていないこと(N)を示すので、コンテンツは不正処理を受けてない、すなわち、「正常」であると判定する。ただし、画面を見たユーザは、異常を知ることができ、手動で再生を停止することになると考えられる。
【0033】
(f) 場合fは、コンテンツは暗号化されているが(E)、復号状態信号は暗号化されていないこと(N)を示し、属性検出信号は暗号化されていること(E)を示す場合である。この場合には、デクリプタ103は暗号化されたデータに対して復号処理を実施しておらず、正常な映像は出力されない。判定手段107は、復号状態信号は暗号化されていないこと(N)を示すが、属性検出信号は暗号化されていること(E)を示すので、コンテンツは不正処理を受けている、すなわち、「異常」であると判定する。出力制御手段8は、判定手段107の判定結果に基づいて、映像デコーダ105の出力信号を遮断し、映像信号を出力しない。
【0034】
(g) 場合gは、コンテンツは暗号化されており(E)、復号状態信号は暗号化されていること(E)を示すが、属性検出信号は暗号化されていないこと(N)を示す場合である。この場合は、電子透かしの属性が誤っていると解釈できる。場合gは、通常は起こりえないケースである。判定手段107は、復号状態信号は暗号化されていること(E)を示すが、属性検出信号は暗号化されていないこと(N)を示すので、コンテンツは不正処理を受けている、すなわち、「異常」であると判定する。出力制御手段8は、判定手段107の判定結果に基づいて、映像デコーダ105の出力信号を遮断し、映像信号をして出力しない。
【0035】
(h) 場合hは、コンテンツは暗号化されており(E)、復号状態信号は暗号化されていること(E)を示し、属性検出信号は暗号化されていること(E)を示す場合である。この場合には、コンテンツは元々暗号化されており、復号状態信号及び属性検出信号の両方がコンテンツは暗号化されていることを示すので、不正な改変を受けていないと推測できる。判定手段107は、復号状態信号及び属性検出信号の両方が暗号化されていること(E及びE)を示すので、コンテンツは不正処理を受けていない、すなわち、「正常」であると判定する。出力制御手段108は、判定手段107の判定結果に基づいて、映像デコーダ105の出力信号をそのまま、映像信号として出力する。
【0036】
なお、上記場合a〜場合hにおいては、判定手段107の判定結果に応じて、出力制御手段108が映像デコーダ105からの映像信号を出力させるか、出力させないかの制御を行ったが、この制御に代えて、ドライブ2による再生処理を実行するか、停止するかという制御を行ってもよい。
【0037】
以上に説明したように、実施の形態1に係る情報再生装置(又はコンテンツ判定方法、コンテンツ判定装置)によれば、又は、実施の形態1に係る情報記録媒体101を情報再生装置によって再生すれば、再生するか再生停止するかを示す再生出力制御信号が、判定手段107から出力制御手段108へ送られ、出力制御手段108は、映像デコーダ105が復号した映像出力信号を受け、再生出力制御信号が再生を許可する場合に限り、映像出力信号を外部へと出力する。また、コントローラ100は、出力制御手段108を含む映像デコーダ全体である映像復号ブロック109の状態を検知しながら、再生の制御を行っている。このようにシステムを構成することにより、暗号化により保護されていたはずのコンテンツが不正に解読されて平文にされていたとき、そのデータのストリームが入力されると不正に解読されたことを正しく検知し、不正処理されたコンテンツが再生されることを防止することができる。
【0038】
また、実施の形態1によれば、不正に解読されたストリームの再生を防止できることから、こうした再生映像出力信号を介して、コンテンツが不正に複製されることも防止することができる。
【0039】
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2に係る情報再生装置の構成を概略的に示すブロック図である。図3において、図1に示される構成と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。 実施の形態2に係る情報再生装置は、出力制御手段118が、デクリプタ103と映像デコーダ105の間に備えられている点、及び、ストリーム属性モニタ116が、デクリプタ103の出力から属性を検出している点が、実施の形態1に係る情報再生装置と相違する。
【0040】
現実の装置では、著作権保護機能を有効に機能させるために、著作権保護暗号の復号処理を行ったり、不正解読の検出や再生停止の判断・制御を行ったりする処理ブロックは、外部から信号の解析や改変ができないよう堅く防御されておかなければならない。具体的には、LSIに実装する場合や、それと同様の機能をソフトウェアで実現する場合に、改造を防ぐよう設計する必要がある。そのために防御すべき部分を集中して保護する方が便利な場合がある。実施の形態2に係る情報再生装置は、実施の形態1に係る情報再生装置に比べて、不正解読の検出や再生停止の判断・制御を行う処理ブロックをデクリプタ103と同じLSI上の回路ブロック120内にまとめたものである。
【0041】
図3において、ストリーム属性モニタ116は、デクリプタ103の出力をモニタして電子透かしを復元するために必要な情報を取り、電子透かしの内容から、いま再生している部分の映像データが、著作権保護暗号化されているべきデータか否かを示す属性を復元し、属性検出信号として出力する。こうして取り出された復号状態信号と属性検出信号を、判定手段117に入力し、再生しているコンテンツが不正解読を受けたデータであるかどうかを判定する。
【0042】
図4は、実施の形態2に係る情報再生装置におけるコンテンツ判定及び出力映像信号を示す説明図である。図4に示されるように、判定手段117における判定は、図2に示したものと同じである。判定した結果、再生するか再生停止するかを示す再生出力制御信号が、判定手段117から出力制御手段118へ送られる。出力制御手段118では、デクリプタ103から映像デコーダ105へ送られる復号したデータを受け、再生出力制御信号が再生を許可する場合に限り、映像出力信号を映像デコーダ105へと出力する。
【0043】
実施の形態2の出力制御手段118と実施の形態1の出力制御手段108とを比べると、実施の形態1の出力制御手段108は映像デコーダから出力される全ての映像信号を遮断できるが、実施の形態2の出力制御手段118は、デクリプタ103の出力のみを遮断できる。図2と図4を比較すると、場合b及び場合fの出力映像が異なる。図4の場合bにおいては、コンテンツが本来暗号化されていないので、再生映像を出力しても、著作権保護の観点からは問題ないと考えられる。図4の場合fの場合は、暗号化されているコンテンツをデクリプタによって復号しないケースであり、異常映像しか表示されないので、著作権保護の観点からは問題ないと考えられる。
【0044】
以上に説明したように、実施の形態2に係る情報再生装置(又はコンテンツ判定方法、コンテンツ判定装置)によれば、又は、実施の形態2に係る情報記録媒体101を情報再生装置によって再生すれば、暗号化により保護されていたはずのコンテンツが不正に解読されて平文にされていたとき、そのデータのストリームが入力されると不正に解読されたことを正しく検知し、不正処理されたコンテンツが再生されることを防止することができる。
【0045】
なお、実施の形態2において、上記以外の点は、上記実施の形態1の場合と、同じである。
【0046】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る情報再生装置は、映像や音声などのデジタルコンテンツが記録されている情報記録媒体から、映像や音声など情報を再生する。情報記録媒体は、例えば、DVDやCDなどの光ディスク、または、メモリカードなどである。また、情報記録媒体が遠隔地にあり、そこからデジタルコンテンツのデータが情報再生装置へ電気的に伝送されてくる場合にも適用可能である。デジタルコンテンツは、映像や音声などのコンテンツを符号化して表現したものであり、そのデジタルコンテンツに対して、正規の権利を有しない者が不正に再生又は複製をすることを防止するために著作権保護のための暗号化が施される。暗号化方式として、例えば光ディスクのコンテンツの著作権保護用に規定されたCPRMやAACSなどを用いることができる。なお、情報記録媒体に記録されるデジタルコンテンツの全部を暗号化する必要はなく、映像データや音声データ以外の制御情報(例えば、ナビゲーション制御情報)等は、著作権保護暗号化されなくてもよい。
【0047】
図5は、本発明の実施の形態3に係る情報再生装置の構成を示すブロック図である。図示したように、実施の形態3に係る情報再生装置は、装置全体の動作を制御するシステムコントローラ7と、情報記録媒体1からコンテンツを読み出す再生手段としてのドライブ2と、コンテンツの暗号化された部分である暗号化ストリームを復号(暗号解読)するデクリプタ3と、デクリプタ3が復号処理中か否かを示す復号状態信号Dを生成するデクリプタ状態モニタ4とを有する。
【0048】
一般に、暗号を解読するデクリプタ3の内部は、解読するべき暗号化データを保持する暗号化データレジスタと、この暗号を解読するための暗号キーのデータを保持する暗号キーレジスタと、これらのデータに対して所定の論理演算を施して暗号を解読するための解読回路と、解読結果としての平文のデータを保持する解読データレジスタが含まれる。これらの各レジスタと解読回路のうち、少なくとも、暗号化データレジスタに解読するべきデータを順次ロードする際、および、解読結果を解読データレジスタに順次ストアする際に、タイミング信号が発行される。また、解読回路が複数ステップの処理を要する場合には、各ステップ間で中間データを引き渡すためのタイミング信号が発行される。
【0049】
こうしたタイミング信号等のデクリプタ3の内部信号を引き出して、デクリプタ状態モニタ4に取り込む。デクリプタ状態モニタ4では、デクリプタ3が実際に暗号解読の処理を実行しているか否か、その内部信号に基づいて判断し、その結果を復号状態信号Dとして出力する。復号状態信号Dは、デクリプタ3が復号処理中である場合は値(乃至状態)Edを示し、デクリプタ3が復号処理中でない場合は値(乃至状態)Ndを示す。
【0050】
復号状態信号Dを生成するための方法として、上記のようなタイミング信号を使用することは一例であり、暗号化の方式やその解読方法に応じて、暗号解読の処理を実行しているか否かを判断するためのデクリプタ3の内部信号は適宜選択して設計する。
【0051】
例えば別の暗号化・解読方式の例として、デクリプタ3には常に解読処理を実行させるが、暗号キーレジスタに設定するデータを単位元データとしたときに限り解読回路が暗号化データレジスタのデータを変化させずにそのまま通して、解読データレジスタに出力することで非暗号化データを通過させることができるような方式である場合には、デクリプタ3から引き出してデクリプタ状態モニタ4に取り込むべき内部信号を、暗号キーレジスタのデータとする、あるいは、その暗号キーレジスタのデータが単位元データと一致しているか否かを示す信号とする、という構成が考えられる。
【0052】
また、実施の形態3に係る情報再生装置は、デクリプタ3から出力されるコンテンツの解読ストリームをデコード(符号化データの復号化)して映像や音声などの復号化データとして出力するデコーダ5と、デコーダ5が出力するコンテンツの復号化データを映像や音声のコンテンツとして再生して出力する出力制御手段8と、デジタルコンテンツに含まれるナビゲーション制御情報を受けて、コンテンツの再生を制御する再生コントローラ6とを有する。
【0053】
再生コントローラ6が検出したナビゲーション制御情報は、次に再生するべきコンテンツの箇所や、コンテンツとして再生するときの設定情報も含む。これらの情報はシステムコントローラ7によって処理され、ドライブ2に対する情報記録媒体1へのアクセス指令、デコーダ5における復号動作の制御指令、出力制御手段8の設定指令、としてそれぞれ対応するブロックに伝達され、及びそれらに対するレスポンスが返される。出力制御手段8の出力するコンテンツ出力信号は、図示していないモニタなどの映像表示手段やスピーカなどの音声化手段から、映像や音声に変換されて出力される。
【0054】
なお、本出願において、デクリプタ3が実行する「復号」は、著作権保護のために暗号化されたデータを解読する処理を意味し、デコーダ5が実行する「復号」は、映像や音声が符号化されたコンテンツの符号化データを元のデータに変換する処理を意味する。
【0055】
図6を用いて、以上のように構成した情報再生装置において再生されるコンテンツについて説明する。デジタルコンテンツのうち、著作権保護すべき重要なデータは、映像データと音声データである。映像データや音声データに対して、暗号化した部分と暗号化していない非暗号化部分があって、さらに暗号化した部分がそのまま保護されている場合と、元々暗号化されていたものが不正に解読されて情報記録媒体上には暗号化されていない平文の状態で記録されている場合が存在することを想定したとき、情報再生装置に入力されるコンテンツに関して、本来の暗号化/非暗号化の状態(暗号化がEc/非暗号化がNc)、情報記録媒体上の暗号化/非暗号化の状態(暗号化がEm/非暗号化がNm)の関係は、図6に示す4つの場合Sa,Sb,Sc,Sdのいずれかとなる。
【0056】
場合Saは、本来暗号化されているべきコンテンツが、情報記録媒体上で正しく暗号化されている場合である。著作権保護が正常にされているので、正規に再生して問題ない。
場合Sbは、本来暗号化されているべきコンテンツが、情報記録媒体上で正しく暗号化されていない場合である。不正に解読されて情報記録媒体上には暗号化されていない平文の状態で記録されたと見なせる。著作権保護が破られたと判断できるので再生を禁止する。
場合Scは、本来暗号化されていないコンテンツが、情報記録媒体上で暗号化されている場合である。何らかのデータ操作により著作権保護の暗号化が付加されたと見なせる。著作権保護が不正に適用されたと判断できるので再生を禁止する。
場合Sdは、本来暗号化されていないコンテンツが、情報記録媒体上でも正しく非暗号化のままの場合である。著作権保護上、正規に再生して問題ない。
【0057】
ここで、情報記録媒体上の暗号化/非暗号化の状態が非暗号化状態Nmであるとき、本来の暗号化/非暗号化の状態として暗号化状態Ec(場合Sb)と非暗号化状態Nc(場合Sc)の2つの場合があるために、不正解読されたコンテンツの再生を禁止して著作権保護しつつ、本来暗号化されていないコンテンツは再生できるようにしようとすると、本来の暗号化/非暗号化の状態が暗号化状態Ecか非暗号化状態Ncのいずれであるかを別の手段(乃至情報)を介して知ることが必要になる。仮に何らかの手段を設けて通知可能にしたとしても、その本来の暗号化/非暗号化の状態を示す手段(情報)がさらに不正解読によって回避された場合、コンテンツの著作権保護ができなくなるリスクが残る。
【0058】
ここで、上記の「暗号化/非暗号化の状態を知らせるための手段(乃至情報)」としては、例えば、映像音声情報の中に暗号化/非暗号化の状態を示すデジタル情報を制御情報として配置することが考えられる。また、「電子透かし」の形で埋め込むことも考えられる。
【0059】
本発明の情報再生装置は、本来暗号化されるべきコンテンツの再生のためのものである。すなわち、本発明の情報再生装置は、コンテンツの暗号化の規定により本来の暗号化/非暗号化の状態として暗号化状態Ecしか許容しないものである。こうすると、本来の暗号化/非暗号化の状態を示す手段が不正解読されることによって著作権保護が回避され、不正再生されるというリスクをなくすることができる。
【0060】
さて、上記のようにして映像データと音声データがすべて暗号化されたコンテンツを再生するとき、ドライブ2から読み出されたデジタルコンテンツの映像データと音声データはデクリプタ3に入力される。デクリプタ3にはデクリプタ3の内部信号を受けて、デクリプタ3が著作権保護の暗号を復号処理中か否かを示す復号状態信号Dを生成するデクリプタ状態モニタ4が接続されている。図6中の場合Saと場合Sbに示すように、復号状態信号Dは、情報記録媒体上の暗号化/非暗号化の状態が暗号化された状態Emであるコンテンツに対してデクリプタ3が復号処理を実行中の場合はEdを、また、情報記録媒体上の暗号化/非暗号化の状態が非暗号化状態Nmであるコンテンツに対してデクリプタ3が復号処理を実行していない場合はNdを示す。
【0061】
復号状態信号Dはデコーダ5に送られる。デコーダ5では、デクリプタ3において復号処理中にデクリプタ状態モニタ4から出力された復号状態信号Dが値Edを示した(即ち、デクリプタ状態モニタ4が、値がEdの復号状態信号Dを出力した)コンテンツに対して、符号化の復号処理を正規に実施する。しかし、デクリプタ3において復号処理中にデクリプタ状態モニタ4から出力された復号状態信号Dが値Ndを示した(即ち、デクリプタ状態モニタ4が、値がNdの復号状態信号Dを出力した)コンテンツに対しては、符号化の復号処理を実施しない。これにより不正に解読されたコンテンツの再生を禁止する。
【0062】
デコーダ5において符号化の復号処理の過程で著作権保護を実施することの利点として、デクリプタ3、デクリプタ状態モニタ4、デコーダ5は、一連の連続したデジタルデータ処理に使用する回路なのでLSIとして1チップ化されること、また、これら3つのブロックは、図5中にコンテンツデコーダ9として破線で囲って示したように近接した回路なのでLSI内で一体化し易く、復号状態信号D等に対する外部からの改変のための不正改造や不正モニタを避けやすいことが挙げられる。
【0063】
なお、本実施の形態では、情報記録媒体に記録されるデジタルコンテンツのうち映像データや音声データ以外のナビゲーション制御情報等の制御情報は、デクリプタ3へは入力・処理されず、再生コントローラ6に送られるので、著作権保護暗号化しないこととした。
【0064】
なお、本発明の情報再生装置は、本来暗号化されるべきコンテンツの再生のためのものであり、本来の暗号化/非暗号化の状態として暗号化状態Ecしか許容しないようにすると記述したが、コンテンツの暗号化/非暗号化の状態の判定基準について、ここで具体例を説明する。
【0065】
映像データは、ある時点の映像を静止画像で表現したフレームを時間順に並べて、毎秒24枚乃至30枚の連続的なフレームの列として構成される。映像データの符号化ではMPEG技術を適用することが一般的である。MPEGでは、たとえば15枚等と予め設定した所定枚数の連続するフレームをグループ化して一括りとして扱い、一括して符号化する。このグループの先頭のフレームは基準フレームと呼ばれて独立して符号化され、同じグループの他のフレームは、基準フレームや他のフレームを参照してそれらとの差分値により符号化される。
【0066】
このような映像データを暗号化するとき、符号化された全データ列を暗号化することが、著作権保護の強度の観点で最も望ましい。しかし、暗号化と暗号復号化の処理に要する負荷、すなわち、演算量やその演算を実行するための回路やソフトウェアを設計・実装するためのコストと暗号の強度を考慮すると、必ずしも全データ列を暗号化することが最適でない場合もある。たとえば、1枚のフレーム中の所定の部分のみ暗号化したり、一つのグループのフレーム中の所定フレームのデータのみ暗号化したり、所定の間隔で暗号化するグループを指定したりできる。
【0067】
このように所定の間隔で、例えば間欠的に暗号化されたコンテンツを再生する場合、デクリプタ状態モニタ4が復号状態をモニタするタイミングは、前述した映像データ中の暗号化対象部分の選定と配置に関連する。不正に解読されたコンテンツに対して復号状態信号Dが値Ndを示すようにしつつ、正規の規定に沿って部分的(間欠的に)に暗号化されたコンテンツに対して誤って復号状態信号Dが値Ndを示すようなことなく、正しく復号状態信号Edを示すようにしなければならない。このため、復号状態の判定は、映像データ中の暗号化対象部分を少なくとも1つ以上含む期間にわたって、デクリプタ3が復号処理を実行中か否かをモニタした上でなされるように設計する。例えば、映像データ中の暗号化対象部分を少なくとも1つ以上含む期間中に、一瞬でも或いは所定時間以上、デクリプタ3の内部信号が復号処理中を示す場合には、デクリプタ状態モニタ4において、デクリプタ3が復号処理を行なっていると判断して、デコーダ5でコンテンツに対する符号化の復号処理を正規に実施するように設計する。
【0068】
他の方法では、デコーダ5において、デクリプタ状態モニタ4からの復号状態信号Dを観測して、コンテンツに対する符号化の復号処理を正規に実施するか実施しないかを判定する段階で、映像データ中の暗号化対象部分を少なくとも1つ以上含む期間にわたって、復号状態信号Dを観測した上で判定するように設計する。例えば、映像データ中の暗号化対象部分を少なくとも1つ以上含む期間中に、一瞬でも或いは所定時間以上、復号状態信号Dが値Edを示した場合には、デコーダ5において、デクリプタ3が復号処理を行なっていると判断して、コンテンツに対する符号化の復号処理を正規に実施するように設計する。
【0069】
これらの方法により、映像データ中の所定部分のみが暗号化されるように規定されたコンテンツに対しても、誤判定によって正規コンテンツの再生が停止されるようなことなく、かつ不正に解読されたコンテンツの再生を禁止する。
【0070】
なお、本発明の情報再生装置は、本来暗号化されるべきコンテンツの再生のためのものであり、本発明の情報再生装置で情報記録媒体から再生しようとする場合、本来暗号化されないコンテンツが暗号化されて記録されている場合には、再生が許容され、本来暗号化されないコンテンツが暗号化されずに記録されている場合には、再生が禁止されることになる。
【0071】
以上に説明したように、実施の形態3に係る情報再生装置(又はコンテンツ判定方法、コンテンツ判定装置)によれば、再生するか再生禁止するかの制御に用いられる復号状態信号Dが、デクリプタ状態モニタ4から直接デコーダ5へ送られ、デコーダ5はデクリプタ3が解読したデータ信号をコンテンツとして符号化を復号するかどうかを復号状態信号Dにより直接判断することになる。このようなシステム構成では、システムを不正に改変することが困難となり、コンテンツの不正解読や不正再生のリスクが大幅に下がる。このようにシステムを構成することにより、暗号化により保護されていたはずのコンテンツが不正に解読されて平文にされていたとき、そのデータのストリームが入力されると不正に解読されたことを正しく検知し、不正処理されたコンテンツが再生されることを防止することができる。
【0072】
また、実施の形態3によれば、不正に解読されたストリームの再生を防止できることから、こうした再生映像出力信号を介して、コンテンツが不正に複製されることも防止することができる。
【0073】
実施の形態4.
図7は、本発明の実施の形態4に係る情報再生装置の構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態4に係る情報再生装置は、概して実施の形態3で説明した情報再生装置と類似した構成をしており、デクリプタ状態モニタ4の出力する復号状態信号Dの接続先が異なるものである。したがって、実施の形態3との差違を中心に説明する。なお、図7中のブロックで図5中と同一番号で示すものは、同一の機能を持つ。
【0074】
復号状態信号Dは図5ではデコーダ5に送られるのに対して、図7では出力制御手段8に送られる。出力制御手段8では、デクリプタ3において復号処理中にデクリプタ状態モニタ4から出力された復号状態信号が値Edを示したコンテンツに対して、デコーダ5が出力するコンテンツの復号化データを映像や音声のコンテンツとして正規に再生して出力する。しかし、デクリプタ3において復号処理中にデクリプタ状態モニタ4から出力された復号状態信号Dが値Ndを示したコンテンツに対しては、デコーダ5が出力するコンテンツの復号化データを映像や音声のコンテンツとして再生して出力することを阻止する。これにより不正に解読されたコンテンツの再生を禁止する。
【0075】
実施の形態3について述べたように、所定の間隔で、例えば間欠的に暗号化されたコンテンツを再生する場合であって、出力制御手段8において、デクリプタ状態モニタ4からの復号状態信号Dを観測して、デコーダ5からのコンテンツの復号化データを映像や音声のコンテンツとして再生して出力するか否かを判定する場合には、映像データ中の暗号化対象部分を少なくとも1つ以上含む期間にわたって、復号状態信号Dを観測した上で該判定を行うように設計する。例えば、映像データ中の暗号化対象部分を少なくとも1つ以上含む期間中に、一瞬でも或いは所定時間以上、復号状態信号Dが値Edを示した場合には、出力制御手段8において、デクリプタ3が復号処理を行なっていると判断して、上記デコーダ5からの復号化データの再生出力を実施するように設計する。
【0076】
これにより、映像データ中の所定部分のみが暗号化されるように規定されたコンテンツに対しても、誤判定によって正規コンテンツの再生が停止されるようなことなく、かつ不正に解読されたコンテンツの再生を禁止することができる。
【0077】
出力制御手段8における処理の過程で著作権保護を実施することの利点として、既存LSIに本発明の機能を追加するときの設計が容易な点が挙げられる。デコーダ5として既にモジュール化したIP(Intellectual Property)があるとき、デコーダ5を再設計することなく、著作権保護機能の強化が実現できる。このとき、図7中に別のコンテンツデコーダ10として破線で囲って示したように、デクリプタ3、デクリプタ状態モニタ4、デコーダ5、出力制御手段8の4つのブロックをLSI内で一体化し、復号状態信号D等に対する外部からの改変のための不正改造や不正モニタを避けるようにする。
【0078】
以上に説明したように、実施の形態4に係る情報再生装置(又はコンテンツ判定方法、コンテンツ判定装置)によれば、再生するか再生禁止するかの制御に用いられる復号状態信号Dが、デクリプタ状態モニタ4から直接出力制御手段8へ送られ、出力制御手段8はデコーダ5が復号したデータ信号をコンテンツとして出力するかどうかを復号状態信号Dにより直接判断することになる。このようなシステム構成では、システムを不正に改変することが困難となり、コンテンツの不正解読や不正再生のリスクが大幅に下がる。このようにシステムを構成することにより、暗号化により保護されていたはずのコンテンツが不正に解読されて平文にされていたとき、そのデータのストリームが入力されると不正に解読されたことを正しく検知し、不正処理されたコンテンツが再生されることを防止することができる。
【0079】
また、実施の形態3で説明した、復号状態信号Dをデコーダ5に接続して著作権保護機能を強化する手法と、この実施の形態4で説明した復号状態信号Dを出力制御手段8に接続して著作権保護機能を強化する手法とを併用することによって、より強固な著作権保護機能を実現することも可能である。
この場合、デコーダ5と出力制御手段8の2箇所において著作権保護を回避するための不正な解読を阻止する仕組みを組込むので、より強固な著作権保護を実現することができる。
【0080】
実施の形態5.
図8は、本発明の実施の形態5に係る情報再生装置の構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態5に係る情報再生装置は、実施の形態3で説明した情報再生装置のさらに詳細な構成を示すものである。したがって、実施の形態3と対比して説明する。なお、図8中のブロックで図5中と同一番号で示すものは、同一の機能を持つ。
【0081】
実施の形態5に係る情報再生装置は、装置全体の動作を制御するシステムコントローラ7により、情報記録媒体1からコンテンツを読み出す再生手段としてのドライブ2を制御してデジタルコンテンツのデータを読み出す。パーサ11は、読み出されたデジタルコンテンツのデータを種類別に振り分ける。映像データはパーサ11から映像バッファ12に、音声データはパーサ11から音声バッファ22に、制御データはパーサ11から制御バッファ32に送られる。
【0082】
映像バッファ12に蓄えられた映像データは順次映像コンテンツの暗号化ストリームを復号(暗号解読)する映像暗号化デクリプタ13に送られる。映像暗号化デクリプタ状態モニタ14は、映像暗号化デクリプタ13の内部信号を受けて、映像暗号化デクリプタ13が著作権保護の暗号を復号処理中か否かを示す映像暗号化復号状態信号Dvを生成する。映像暗号化デクリプタ13、映像暗号化デクリプタ状態モニタ14は、それぞれ前記実施の形態1のデクリプタ3、デクリプタ状態モニタ4に相当する。映像暗号化復号状態信号Dvは、実施の形態3に説明した復号状態信号Dに相当し、映像暗号化デクリプタ13が復号処理中である場合は値(乃至状態)Edを示し、映像暗号化デクリプタ13が復号処理中でない場合は値(乃至状態)Ndを示す。
【0083】
映像暗号化デクリプタ13から出力される映像コンテンツの解読ストリームは、実施の形態1のデコーダ5に相当する映像デコーダ15がデコード(符号化データの復号化)して映像データとして出力する。映像デコーダ15が出力する映像コンテンツの復号化データは、実施の形態3の出力制御手段8に相当する映像出力制御手段18がコンテンツの映像として再生して出力する。映像出力制御手段18の出力するコンテンツ出力信号は、図示していないモニタなどの映像表示手段から、映像に変換されて出力される。
【0084】
映像デコーダ15では、映像暗号化デクリプタ13において復号処理中に映像暗号化デクリプタ状態モニタ14から出力された映像暗号化復号状態信号Dvが値Edを示した(映像暗号化デクリプタ状態モニタ14が、値がEdの映像暗号化復号状態信号Dvを出力した)コンテンツに対して、符号化の復号処理を正規に実施する。しかし、映像暗号化デクリプタ13において復号処理中に映像暗号化デクリプタ状態モニタ14から出力された映像暗号化復号状態信号Dvが値Ndを示した(映像暗号化デクリプタ状態モニタ14が、値がNdの映像暗号化復号状態信号Dvを出力した)コンテンツに対しては、符号化の復号処理を実施しない。これにより不正に解読された映像コンテンツの再生を禁止することができる。
【0085】
映像暗号化デクリプタ13、映像暗号化デクリプタ状態モニタ14、映像デコーダ15の3つのブロックは、図8中に映像コンテンツデコーダ19として破線で囲って示したように連続したデジタルデータ処理に使用する近接した回路なので、1チップのLSI内で容易に一体化でき、映像暗号化復号状態信号Dv等に対する外部からの改変のための不正改造や不正モニタを避けることができる。
【0086】
音声バッファ22に蓄えられた音声データは順次音声コンテンツの暗号化ストリームを復号(暗号解読)する音声暗号化デクリプタ23に送られる。音声暗号化デクリプタ状態モニタ24は、音声暗号化デクリプタ23の内部信号を受けて、音声暗号化デクリプタ23が著作権保護の暗号を復号処理中か否かを示す音声暗号化復号状態信号Daを生成する。音声暗号化デクリプタ23、音声暗号化デクリプタ状態モニタ24は、それぞれ前記実施の形態1のデクリプタ3、デクリプタ状態モニタ4に相当する。音声暗号化復号状態信号Daは、実施の形態3に説明した復号状態信号Dに相当し、音声暗号化デクリプタ23が復号処理中である場合は値(乃至状態)Edを示し、音声暗号化デクリプタ23が復号処理中でない場合は値(乃至状態)Ndを示す。
【0087】
音声暗号化デクリプタ23から出力される音声コンテンツの解読ストリームは、実施の形態1のデコーダ5に相当する音声デコーダ25がデコード(符号化データの復号化)して音声データとして出力する。音声デコーダ25が出力する音声コンテンツの復号化データは、実施の形態3の出力制御手段8に相当する音声出力制御手段28がコンテンツの音声として再生して出力する。音声出力制御手段28の出力するコンテンツ出力信号は、図示していないスピーカなどの音声化手段から、音声に変換されて出力される。
【0088】
音声デコーダ25では、音声暗号化デクリプタ23において復号処理中に音声暗号化デクリプタ状態モニタ24から出力された音声暗号化復号状態信号Daが値Edを示した(音声暗号化デクリプタ状態モニタ24が、値がEdの音声暗号化復号状態信号Daを出力した)コンテンツに対して、符号化の復号処理を正規に実施する。しかし、音声暗号化デクリプタ23において復号処理中に音声暗号化デクリプタ状態モニタ24から出力された音声暗号化復号状態信号Daが値Ndを示した(音声暗号化デクリプタ状態モニタ24が、値がNdの音声暗号化復号状態信号Daを出力した)コンテンツに対しては、符号化の復号処理を実施しない。これにより不正に解読された音声コンテンツの再生を禁止することができる。
【0089】
音声暗号化デクリプタ23、音声暗号化デクリプタ状態モニタ24、音声デコーダ25の3つのブロックは、図8中に音声コンテンツデコーダ29として破線で囲って示したように連続したデジタルデータ処理に使用する近接した回路なので、1チップのLSI内で容易に一体化でき、音声暗号化復号状態信号Da等に対する外部からの改変のための不正改造や不正モニタを避けることができる。
【0090】
再生コントローラ6は、実施の形態3と同じくデジタルコンテンツに含まれるナビゲーション制御情報を制御バッファ32を介して受けて、コンテンツの再生を制御する。
【0091】
なお、前記実施の形態4に説明した復号状態信号Dを出力制御手段8に接続して著作権保護機能を強化する手法を、本発明の実施の形態5に適用、もしくは併用してより強固な著作権保護機能を実現することも可能である。この場合、映像暗号化復号状態信号Dvを映像出力制御手段18に接続し、及び/又は音声暗号化復号状態信号Daを音声暗号化復号状態信号Daに接続する。映像と音声の両方の復号状態信号Dv、Daを併用するか、一方を利用するかについては、装置設計の負荷と著作権保護の効果により判断すればよい。
【0092】
以上に説明したように、実施の形態5に係る情報再生装置(又はコンテンツ判定方法、コンテンツ判定装置)によれば、再生するか再生禁止するかの制御に用いられる映像暗号化復号状態信号Dv及び音声暗号化復号状態信号Daが、映像暗号化と音声暗号化の各デクリプタ状態モニタ16及び24から直接映像と音声の各デコーダ15及び25へ送られ、両デコーダは映像暗号化と音声暗号化の各デクリプタ13及び23が解読した映像と音声のデータ信号を、それぞれ映像と音声の符号化を復号するかどうかをそれぞれの復号状態信号Dv、Daにより直接判断することになる。
【0093】
また、再生許可するか再生禁止するかの制御に用いられる映像暗号化復号状態信号Dv及び音声暗号化復号状態信号Daが、映像暗号化と音声暗号化の各デクリプタ状態モニタ14及び24から直接映像と音声の各出力制御手段18及び28へ送られる場合には、両出力制御手段18、28は、映像暗号化と音声暗号化の各デコーダ15及び25が復号した映像と音声のデータ信号を、それぞれ映像と音声のコンテンツとして出力するかどうかを復号状態信号Dv、Daにより直接判断することになる。
【0094】
このようなシステム構成では、システムを不正に改変することが困難となり、コンテンツの不正解読や不正再生のリスクが大幅に下がる。このようにシステムを構成することにより、暗号化により保護されていたはずのコンテンツが不正に解読されて平文にされていたとき、そのデータのストリームが入力されると不正に解読されたことを正しく検知し、不正処理されたコンテンツが再生されることを防止することができる。
【0095】
なお、実施の形態5において、上記以外の点は上記実施の形態3及び実施の形態4の場合と同じである。
【0096】
実施の形態6.
図9は、本発明の実施の形態6に係る情報再生装置の構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態6に係る情報再生装置は、実施の形態5で説明した情報再生装置の一部を変形したものであり、図8と図9の中で同一番号で示すブロックは同一の機能を持つ。以下、実施の形態5と対比して説明する。
【0097】
図8と図9の中で異なる点は、映像暗号化復号状態信号Dv及び音声暗号化復号状態信号Daの接続先である。図8では、映像暗号化復号状態信号Dv及び音声暗号化復号状態信号Daが、それぞれ、映像デコーダ15及び音声デコーダ25の一方に接続されているのに対して、図9では、映像暗号化復号状態信号Dv及び音声暗号化復号状態信号Daが、それぞれ、映像デコーダ15及び音声デコーダ25の両方に接続されている。このように構成したとき、映像暗号化復号状態信号Dvが値Ndを示したコンテンツに対して、映像データの符号化の復号処理を禁止するだけでなく、音声データの符号化の復号処理も禁止できるようになる。また、音声暗号化復号状態信号Daが値Ndを示したコンテンツに対して、音声データの符号化の復号処理を禁止するだけでなく、映像データの符号化の復号処理も禁止できるようになる。つまり、映像と音声の少なくとも一方が著作権保護を不正に解読されたコンテンツに対して、映像音声両方の再生を禁止することができるようになり、より強固な著作権保護を実現することができる。
【0098】
また、さらに別の変形として、映像暗号化復号状態信号Dv及び音声暗号化復号状態信号Daのうちの一方だけを利用するようにしてもよい。すなわち、映像か音声のいずれか一方だけの復号状態信号によって、映像データと音声データの両方の符号化の復号処理を実行するか禁止するかを判断するようにする。この場合、暗号化デクリプタ状態モニタの設計・実装が一方のみでよいため、本発明を実施する装置やLSIの設計・製作の負荷が軽くなる。
【0099】
以上に説明したように、実施の形態6に係る情報再生装置(又はコンテンツ判定方法、コンテンツ判定装置)によれば、再生するか再生禁止するかの制御に用いられる映像暗号化復号状態信号Dv及び音声暗号化復号状態信号Daが、両方とも再生を許可しない限り再生を禁止することができるので、映像と音声の少なくとも一方が著作権保護を不正に解読されたコンテンツに対して、映像音声両方の再生を禁止することができるようになり、より強固な著作権保護を実現することができる。
【0100】
また、映像暗号化復号状態信号Dv及び音声暗号化復号状態信号Daのうちいずれか一方だけの復号状態信号によって、両方のコンテンツの再生を判断し禁止することにより、不正な改変に強い構成としたり、設計や実装が容易な構成とするなど、システムに要求される仕様に対して適切な方を利用して、より強固な著作権保護を効率的に実現することができる。
【0101】
なお、実施の形態6において、上記以外の点は上記実施の形態3から実施の形態5の場合と同じである。
【0102】
実施の形態7.
本実施の形態7では、前記の実施の形態6において説明した情報再生装置の構成を示すブロック図9と同じブロック構成を利用する。ただし、実施の形態6における動作と異なる点がある。すなわち、映像暗号化復号状態信号Dv及び音声暗号化復号状態信号Daを受けた映像デコーダ15及び音声デコーダ25における、映像及び音声の復号を許可するか禁止するかの処理を異なるものとした。
具体的には、例えば、映像暗号化復号状態信号Dv及び音声暗号化復号状態信号Daのうち音声暗号化復号状態信号Daのみにより、映像、音声両方のコンテンツの再生を判断するようにし、音声暗号化復号状態信号Daが値Ndを示したコンテンツに対して、音声データの符号化の復号処理は禁止せず、映像データの符号化の復号処理だけ禁止するようにした。
【0103】
不正ディスクを再生するユーザの中には、そのディスクが不正処理されたものと知らないユーザもいると考えられる。ここで映像、音声共に再生を禁止した場合、このようなユーザが再生装置の異常と誤解する恐れがある。そこで音声のみ再生させることにより、映像に関する著作権は保護しつつコンテンツ全体としては価値を提供せず、コンテンツが異常であることをユーザに知らせて利用を制限することができる。たとえば、著名俳優の映像が背景音楽と共に収録されたコンテンツのように、映像の著作権に多大の価値があり音声の著作権の価値が相対的に低い場合に適用でき、効果が得られる。
【0104】
また、上記の例とは逆に、映像暗号化復号状態信号Dv及び音声暗号化復号状態信号Daのうち映像暗号化復号状態信号Dvのみにより、映像、音声両方のコンテンツの再生を判断するようにし、映像暗号化復号状態信号Dvが値Ndを示したコンテンツに対して、映像データの符号化の復号処理は禁止せず、音声データの符号化の復号処理だけ禁止することも可能である。映像と音声の著作権保護の程度に関する関係は上記と逆になるが、同様の効果を得ることができる。たとえば、著名な音楽家の演奏が背景映像と共に収録されたコンテンツである場合に適用でき、効果が得られる。
【0105】
この実施の形態7において、映像と音声のいずれの復号状態信号Dv、Daを利用して、映像と音声のいずれの著作権を保護するかは、装置設計の負荷と著作権保護の目的と効果により判断すればよい。
【0106】
以上に7種類の実施の形態を説明したが、1つの実施の形態の説明の中に示された考え方や技術は、その実施の形態のみに限定されるものではなく、これを他の実施の形態に組み合わせて利用できることは言うまでもない。
例えば、実施の形態3では、暗号を解読するデクリプタ3の内部構成について説明したが、これを実施の形態1や2に適用することは、もちろん可能である。
また、実施の形態7において復号状態信号Dv、Daを利用して、映像と音声のいずれかの符号化の復号処理の許可/禁止を制御して著作権を保護する方法を説明したが、実施の形態4に説明したように出力制御手段からの出力を許可/禁止して著作権を保護するようにして利用することも、もちろん可能である。
さらに、実施の形態1や2では、映像データに対する著作権保護のみについて説明したが、実施の形態5から7に説明したように、映像データと同じ手法を音声データに適用したり、映像と音声の双方の暗号化復号状態信号を相互に利用することによって映像と音声の両方の著作権保護を強力、或いは、柔軟に行なう手法を、実施の形態1や2に適用して組み合わせることも、もちろん可能である。
【符号の説明】
【0107】
100 コントローラ、 101 情報記録媒体、 102 ドライブ、 103 デクリプタ、 104 デクリプタ状態モニタ、 105 映像デコーダ、 106,116 ストリーム属性モニタ、 107,117 判定手段、 108,118 出力制御手段、 109,110 コンテンツ判定ブロック、 120 回路ブロック、 1 情報記録媒体、 2 ドライブ、 3 デクリプタ、 4 デクリプタ状態モニタ、 5 映像デコーダ、 6 再生コントローラ、 7 システムコントローラ、 8 出力制御手段、 9 コンテンツデコーダ、 10 別のコンテンツデコーダ、 11 パーサ、 12 映像バッファ、 13 映像暗号化デクリプタ、 14 映像暗号化デクリプタ状態モニタ、 15 映像デコーダ、 16 映像暗号化復号状態信号、 18 映像出力制御手段、 19 映像コンテンツデコーダ、 22 音声バッファ、 23 音声暗号化デクリプタ、 24 音声暗号化デクリプタ状態モニタ、 25 音声デコーダ、 Da 音声暗号化復号状態信号、 28 音声出力制御手段、 29 音声コンテンツデコーダ、 32 制御バッファ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツが暗号化されているか否かの属性を示す電子透かしを含むコンテンツが、暗号化されている場合に、前記コンテンツの暗号化されているストリームを復号するデクリプタと、
前記デクリプタが復号処理中か否かを示す復号状態信号を生成するデクリプタ状態モニタと、
前記電子透かしから前記属性を示す属性検出信号を生成するストリーム属性モニタと、
前記復号状態信号が復号処理中以外を示し且つ前記属性検出信号が暗号化されているコンテンツであることを示す場合、又は、前記復号状態信号が復号処理中を示し且つ前記属性検出信号が暗号化されていないコンテンツであることを示す場合に、前記コンテンツが異常処理されたものであると判定する判定手段と
を有することを特徴とするコンテンツ判定装置。
【請求項2】
コンテンツが暗号化されているか否かの属性を示す電子透かしを含むコンテンツが、異常処理されたものであるか否かを判定する装置によるコンテンツ判定方法であって、
前記コンテンツが暗号化されている場合に、デクリプタによって前記コンテンツの暗号化されているストリームを復号するステップと、
前記デクリプタが復号処理中か否かを示す復号状態信号を生成するステップと、
前記電子透かしから前記属性を示す属性検出信号を生成するステップと、
前記復号状態信号が復号処理中以外を示し且つ前記属性検出信号が暗号化されているコンテンツであることを示す場合、又は、前記復号状態信号が復号処理中を示し且つ前記属性検出信号が暗号化されていないコンテンツであることを示す場合に、前記コンテンツが異常処理されたものであると判定するステップと
を有することを特徴とするコンテンツ判定方法。
【請求項3】
コンテンツが暗号化されているか否かの属性を示す電子透かしを含むコンテンツが、記録されている情報記録媒体から、前記コンテンツを読み出す再生手段と、
前記コンテンツが暗号化されている場合に、前記コンテンツの暗号化されているストリームを復号するデクリプタと、
前記デクリプタが復号処理中か否かを示す復号状態信号を生成するデクリプタ状態モニタと、
前記電子透かしから前記属性を示す属性検出信号を生成するストリーム属性モニタと、
前記復号状態信号が復号処理中以外を示し且つ前記属性検出信号が暗号化されているコンテンツであることを示す場合、又は、前記復号状態信号が復号処理中を示し且つ前記属性検出信号が暗号化されていないコンテンツであることを示す場合に、前記コンテンツが異常処理されたものであると判定する判定手段と、
前記再生手段又は前記デクリプタから出力される前記コンテンツのストリームをデコードして映像信号として出力する映像デコーダと
を有することを特徴とする情報再生装置。
【請求項4】
前記判定手段が、前記コンテンツは異常処理されたものであると判定したときに、前記映像デコーダからの映像信号を外部に出力させない出力制御手段をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の情報再生装置。
【請求項5】
前記復号状態信号が復号処理中以外を示し且つ前記属性検出信号が暗号化されているコンテンツであることを示す場合に、前記デクリプタの出力を前記映像デコーダに入力させない出力制御手段をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の情報再生装置。
【請求項6】
前記ストリーム属性モニタは、前記映像デコーダによってデコードされた後の映像信号に基づいて、前記復号状態信号を生成することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の情報再生装置。
【請求項7】
前記ストリーム属性モニタは、前記デクリプタによって復号された後の映像信号に基づいて、前記復号状態信号を生成することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の情報再生装置。
【請求項8】
請求項3乃至7のいずれか1項に記載の情報再生装置によって再生される情報記録媒体であって、
記録されているコンテンツが、暗号化されているか否かの属性を示す電子透かしを含むことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項9】
符号化され、かつ暗号化された映像や音声を表すストリーム情報の暗号化を復号するデクリプタと、
該デクリプタの内部信号を受けて、該デクリプタが復号処理中か否かを示す復号状態信号を生成するデクリプタ状態モニタと、
前記ストリーム情報の符号化を復号するデコーダとを備え、
前記復号状態信号が復号処理中を示す場合に限り、前記デコーダを正規に復号動作させるようにした情報再生装置。
【請求項10】
符号化され、かつ暗号化された映像や音声を表すストリーム情報の暗号化を復号するデクリプタと、
該デクリプタの内部信号を受けて、該デクリプタが復号処理中か否かを示す復号状態信号を生成するデクリプタ状態モニタと、
前記ストリーム情報の符号化を復号するデコーダと、
前記デコーダで復号したストリーム情報を出力するための出力手段とを備え、
前記復号状態信号が復号処理中を示す場合に限り、前記出力手段から復号したストリーム情報を正規に出力するようにした情報再生装置。
【請求項11】
前記ストリーム情報の暗号化が間欠的に行われており、
前記デクリプタ状態モニタは、前記ストリーム情報中の暗号化対象部分を少なくとも1つ以上含む期間にわたって、前記デクリプタの内部信号を観測した上で、前記デクリプタが復号処理中か否かの判定を行う
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報再生装置。
【請求項12】
前記ストリーム情報の暗号化が間欠的に行われており、
前記デコーダは、
前記デクリプタ状態モニタから出力される前記復号状態信号を、前記ストリーム情報中の暗号化対象部分を少なくとも1つ以上含む期間にわたって観測した上で、
正規の復号処理を行うかどうかの判定を行う
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報再生装置。
【請求項13】
前記ストリーム情報が映像を表すストリーム情報と音声を表すストリーム情報とを含み、
前記デクリプタが、
映像を表すストリーム情報の暗号化を復号する映像暗号化デクリプタと、
音声を表すストリーム情報の暗号化を復号する音声暗号化デクリプタとを含み、
前記デクリプタモニタが、
前記映像暗号化デクリプタの内部信号を受けて、該映像暗号化デクリプタが復号処理中か否かを示す映像暗号化復号状態信号を生成する映像暗号化デクリプタモニタと、
前記音声暗号化デクリプタの内部信号を受けて、該音声暗号化デクリプタが復号処理中か否かを示す音声暗号化復号状態信号を生成する音声暗号化デクリプタモニタとを含み、
前記デコーダが、
前記映像を表すストリーム情報の符号化を復号する映像デコーダと、
前記音声を表すストリーム情報の符号化を復号する音声デコーダとを含み、
前記映像暗号化復号状態信号及び前記音声暗号化復号状態信号の双方が復号処理中を示す場合に、前記映像デコーダ及び前記音声デコーダを正規に復号動作させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項14】
符号化され、かつ暗号化された映像や音声を表すストリーム情報の暗号化をデクリプタにより復号し、
該デクリプタの内部信号を受けて、該デクリプタが復号処理中か否かを示す復号状態信号を生成し、
前記ストリーム情報の符号化をデコーダにより復号するとき、
前記復号状態信号が復号処理中を示す場合に限り、前記デコーダを正規に復号動作させるようにした情報再生方法。
【請求項15】
符号化され、かつ暗号化された映像や音声を表すストリーム情報の暗号化をデクリプタにより復号し、
該デクリプタの内部信号を受けて、該デクリプタが復号処理中か否かを示す復号状態信号を生成し、
前記ストリーム情報の符号化をデコーダにより復号し、
前記デコーダで復号したストリーム情報を出力手段から出力するとき、
前記復号状態信号が復号処理中を示す場合に限り、前記出力手段から復号したストリーム情報を正規に出力するようにした情報再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−301702(P2009−301702A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206286(P2009−206286)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【分割の表示】特願2008−549247(P2008−549247)の分割
【原出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】